プロフィール
シーザリオ陛下直属の王室親衛隊であるタナトス隊の隊長を務める少女。幼い出で立ちとは裏腹に死神騎士としての実力は確かなものであり、自他共に認める王の右腕としてヘイズを慕い支え続けてきた。だが、自らの正体が鏡士バロールが生み出した鏡精ルグであると知った彼女は、仲間たちと袂を分かち単身で過去の世界へ向かうことを決意する。全ては、愛する人たちが生き続ける世界を創るために。
ヘイズの一言
私が見てきたエルナトは……そうだな、優しくて可愛いところがたくさんあって、一言では語り切れないのが困ったところだ。いつも私を献身的に支えてくれようとする姿を見ると、つい頬が緩んでしまう。だが、昔は少し寂しがり屋なところもあったのだ。私がどうしても傍にいてやれないときは、不安そうな顔をしていてな。もし、今もまたそのような顔をしているのならば、力いっぱい抱きしめてやろうと思う。私がどれだけ、お前を愛しているのか知ってもらうためにもな。
コダマの一言
エルナトのことは、なんて言うのかな……同志 ? ライバル ? まぁ、そんな感じでヘイズ様のことになったらお互い譲れなくてさ。どっちがヘイズ様のことを慕っているのか勝負するなんて日常茶飯事だった。けど、話せば話すほどエルナトが俺と同じようにヘイズ様のことを好きなのがよくわかったんだ。だから、俺たちはエルナトだけに何もかも背負わせたりはしない。ちゃんとみんなで迎えにいくから待っててくれよ、エルナト先輩。
Character | 死神騎士の誇り | |
---|---|---|
エルナト | ふぅ。ようやく半分といったところですか。 | |
エルナト | ですが、提出された書類は今日中に目を通しておかないと……。 | |
ヘイズ | 精が出るな、エルナト。 | |
エルナト | ヘ、ヘイズ様 ! ?な、何故、死神騎士の詰め所に ! ? | |
ヘイズ | 少し仕事が早く終わってな。せっかくだから顔を出してみようと思ったのだ。 | |
エルナト | だ、駄目ですよ !勝手に抜け出して一人で出歩いていたらまた臣下の者たちに小言を……。 | |
ヘイズ | 問題ない。バレる前にはちゃんと戻る。それよりエルナトよ。私の愛する子供たちは元気にやっているか ? | |
エルナト | は、はい……タナトス隊はもちろんですが他の部隊も幻影種から市民を守るために日々活動しております。 | |
ヘイズ | そうか。それを聞いて安心した。皆、頑張ってくれているのだな。 | |
エルナト | ですが、幻影種の活動範囲も広がっていますので、警戒は怠らないようにします。 | |
ヘイズ | ああ、頼んだぞ。だが、あまり無理はしないようにと皆にも伝えておいてくれ。 | |
エルナト | かしこまりました。タナトス隊隊長として、部下の健康状態もきっちりと管理いたします。 | |
ヘイズ | そうだな。ならば、まずは隊長自らがお手本にならなくてはいかんぞ。 | |
エルナト | え、えっと……。それはどういう意味でしょうか、ヘイズ様…… ? | |
ヘイズ | 私に隠し事など二百年早いぞ、エルナト。その様子だと、最近はずっと詰め所に籠りっぱなしであろう。 | |
ヘイズ | お前が隊長としての責務を果たそうとする気持ちは重々理解しているつもりだが頑張りすぎは身体に毒だということを忘れるなよ ? | |
エルナト | は、はい……申し訳、ありません……。 | |
ヘイズ | ……ふっ。すまない。これも私の言い訳だな。 | |
ヘイズ | どれだけ立派になってくれたとしてもお前の顔が浮かぶと、つい心配になってしまうんだ。きっと私はまだまだ子離れできぬ母親なのだろうな。 | |
エルナト | ヘイズ様…… !い、いえ ! むしろそっちのほうが私にとっては嬉し……。 | |
ヘイズ | すまない、仕事の邪魔をしてしまったな。では、私はそろそろ―― | |
? ? ? | エルナトー、いるかー ?開けるぞー ? | |
エルナト | ! ? ま、まずいです、ヘイズ様 !ヘイズ様がいることがバレたら詰め所がパニックに ! | |
ヘイズ | う、うむ。では、私は窓からこっそり出ていこう。エルナト、今日はお前の顔が見れただけでも嬉しかったぞ。 | |
コダマ | これ、今日が締め切りの始末書だけど……って、何やってんだ ? そんな窓際に突っ立って。 | |
エルナト | な、なんでもありません。少し空気の入れ替えをしていただけです。 | |
コダマ | ふーん。そっか。けど、エルナト先輩、なんか嬉しそうだな。いいことでもあったのか ? | |
エルナト | ……ええ、ありましたよ。ですから、今日は特別にいつもより多めにお説教をしてあげましょう。 | |
コダマ | ええっ ! ? 勘弁してくれよ。ちゃんと始末書だって書いてきたんだからさぁー。 | |
エルナト | いいえ、今日こそはあなたにも死神騎士としての誇りを持ってもらうよう私がきっちり指導しますからね、コダマ。 |
Character | エルナトとして | |
エルナト | ――ヘイズ様ッ ! ! | |
アグラード | どうした、エルナト ! ?何かあったのか ? | |
エルナト | アグ……ラード殿…… ?すみません……いつの間にか眠ってしまっていたようですね。 | |
アグラード | 無理もない。今までたった一人で鏡映点たちを相手に想珠を集めていたんだ。 | |
アグラード | 見張りはこのまま俺が引き受ける。今は身体を休ませておけ。 | |
エルナト | ありがとうございます。ですが生憎、眠れそうにありません……。 | |
アグラード | ……先ほど、ヘイズ様の名を呼んでいたな。 | |
エルナト | ええ、夢の中でヘイズ様とお会いしました。そこにはヘイズ様だけじゃなくてコダマやアイリス、セイリオスも……。 | |
エルナト | ……ですが、私が少し目を離して振り返ると皆の姿が少しずつ消えていくんです。そして、最後には私の身体も消えて……。 | |
アグラード | ……それは、嫌な夢を見てしまったな。 | |
エルナト | ……本当に我ながら悪趣味でした。まるで、この先の未来を暗示しているかのような……。 | |
アグラード | エルナト……。 | |
エルナト | いえ、今のは失言でしたね。私に協力してくれているあなたに対しても不安にさせるような言動をしてしまいました。 | |
アグラード | 俺のことは気にするな。俺は自分の意志でお前に協力すると決めたんだからな。 | |
アグラード | それに、お前が途中で逃げ出すような奴じゃないこともわかっているつもりだ。 | |
エルナト | ……アグラード殿。この際ですから一つ、お聞きしてもいいですか ? | |
アグラード | ん ? なんだ ? | |
エルナト | どうして、私をそこまで信用してくれるのですか ?私は、あなたたちの世界が崩壊するきっかけを与えた『ルグ』なのですよ ? | |
アグラード | ……そうだな。もしお前が『ルグ』のままなら疑いの目を向けたのかもしれないが―― | |
アグラード | 俺が見てきたお前は、ヘイズ様のためならば己の命を投げ出してでも戦うような奴だった。 | |
アグラード | だから、俺はお前に協力することにしたんだ。『ルグ』ではなく『エルナト』としてのお前にな。 | |
エルナト | ……そうですか。そう言っていただけると気持ちが少し楽になります。 | |
エルナト | あなたにとって本当に必要なのは『ルグ』としての私の力のはずです。それを咎めるつもりもありません。でも、あなたは私を『エルナト』として扱ってくれる。 | |
エルナト | あなたが『エルナト』として見てくださるのなら私は最後まで『エルナト』として生きることができそうです。 | |
アグラード | ……怖くないのか ? | |
エルナト | 死ぬことが、ですか ?ええ、ちっとも怖くありませんよ。 | |
エルナト | ヘイズ様たちの世界が救われるのなら何も迷うことなどありません。私の命は、ヘイズ様たちの世界のために使います。 | |
エルナト | それが、私のことを愛してくれたヘイズ様への最後の恩返しです。 |