キャラクター#N/A
マーク……どうしたイクス ?早く構えろよ。
イクス……マーク。一体どうして…… ! ?何で、こんな風に戦う必要があるんだよ ! ?
マーク俺とお前は、敵同士。ずっと、そうだったろ ?
ミリーナ……だったらどうして、この間は一緒に戦ってくれたの ?
マークただ、気まぐれに道が重なっただけだ。──深い理由なんか、ないさ。
マーク構えねぇならそれでもいいぜ。そのまま、死にな。
イクス……そういうわけには行かない。俺はこの世界を救ってみせるって誓ったんだ。
イクスあんたを倒して、この先へ進んで見せる !
ミリーナうん……私も──イクスの進む道を、信じてる !
(俺も、あの人達みたいな強さが欲しい)
イクスそうならなきゃ、いけないんだっ !

キャラクター#N/A
マーク──はっ !……随分生意気になったもんだな、イクス !
イクス俺は──あんたを倒してみせるっ !
ミリーナ──私たちは、負けない !はぁぁぁっ ! ! !
マーク──だが、まだ浅ぇ !
マークはぁぁぁぁぁぁっ !
イクスここだぁぁぁっ !

キャラクター#N/A
ミリーナ……クス。……イクス ?
ミリーナイクス聞こえてる ?
イクス……あ、ああ。聞こえてるよ。ごめん、ちょっと考え事してた。
ミリーナなーんだ。急にぼーっとするからびっくりしちゃった。積み荷。それで最後だよ。
イクス……これで全部、か。手伝ってくれてありがとな、ミリーナ。
イクス1人で遠くの海への漁に出るのは初めてだからどうも、勝手がわからなくて。
ミリーナううん。全然 !──帰ってくるのは4日後だっけ。
イクスああ。その予定だ。でもどんなトラブルがあるかわからないもんな。準備しておくに越したことはないよ。
イクスまずはやっぱり天候か……。大雨や嵐はずっと警戒しておくとして……。逆に、日照りにも注意しないと。
イクス水を多く積みたいけど、過積載は船の転覆に繋がる。そこをクラーケンにでも襲われたら全滅だ。クラーケン対策は何か用意していたっけ。
イクスそうだ ! 暗記はしてるけど一応図鑑を持って行こう。生態を知れば、対策が立てられるからな。
ミリーナふふっ。イクスったら相変わらず心配性なんだから。
ミリーナでも大丈夫よ。イクスがそれだけ考えて準備してるんだもの。
ミリーナ──自信もっていいんだよ。ね。頑張って !
イクスミリーナ、もう子供じゃないんだぜ。手とか、繋がなくていいよ。
ミリーナふふっ。──ごめんごめん。イクスが不安がってるとつい、応援したくなっちゃうの。
ミリーナ……それに、4日も会えないと寂しいし。
イクス4日なんてすぐだろ ?
ミリーナそうだけど……。漁、心配だなぁ。私も着いていけたらいいのに。
イクス──何の訓練もせずに乗るなんて、それこそ何が起こるかわからないからダメだよ。それに、ミリーナには鏡士の修行もあるだろ ?
ミリーナ──あ ! そうだ !丁度この間、習った術があるの。
イクス術 ?
イクス──わっ ! 何だそれ ! ? 具現化か ! ?
ミリーナそうよ。鏡士にしか出来ない秘術──その中でも特別な奴♪
カーリャはじめまして、イクスさま。──私、ミリーナさまの鏡精のカーリャだよ !
イクスあ、ああ……。
ミリーナねぇ、カーリャ ?私の代わりに、イクスに付いていってくれないかな ?
カーリャミリーナさま。カーリャは、ミリーナさまから離れすぎると力が出なくなっちゃうんですよぅ。
ミリーナそっか……。そうよね……。
イクス──凄いな、ミリーナ。こんな事もできるようになったのか。
ミリーナイクスだって、もう1人で遠出できるなんて凄いじゃない。頑張ってる証拠だよ。お互い、順調だね !
イクスははっ。そうだな。……やっぱり俺は、父さんや母さんとは違って鏡士より、漁師の方が合ってるんだろうな。
イクス──あ。しまった。忘れ物したぞ。図鑑もとってこなきゃいけないし一度家に戻らなきゃ。
カーリャそれじゃあ、カーリャも一旦さよ~なら~。また、いつでも気軽にお呼び出しを~♪
イクス……何だか騒がしいやつだな。
ミリーナふふっ。元気な子なの。
(──うん ? )
(何だ…… ? 今の音──)

キャラクター#N/A
? ? ?──そいつも、命はあるみたいだな。
……おい……──おい……。大丈夫か ! ?
イクス………ミリー……ナ……。
? ? ?……お前が抱えてた女の事だな。そっちも無事だよ。
イクスミリーナ !
さっきお前と同じように目を開けてイクス……って──そのまま寝ちまったよ。
イクス……良かっ………た……。
? ? ?──自分たちに何があったのかはわかるか ?
イクスえっと………………。
イクス………わから……ない……。
? ? ?……お前ら、オーデンセから流れてきたんじゃねぇかって思うんだが。
イクスオーデンセは俺たちの住んでる島です……ってここはオーデンセじゃないんですか ?
マークさん、どうします ?
マーク隠しても仕方ねぇだろ。話してやれ。
……遠くだったけど俺たち救世軍の船の上から見えたよ。――オーデンセに火の玉が降るのがな。
イクスな、何だ……それ……。オーデンセはどうなったんです ! ?
マーク消えちまったよ。跡形もなく、な。
イクスそんな……馬鹿な ! ?
マーク信じられねぇか ? だったら見に行ってみな。ここは王都のあるセールンド島だ。少し船を沖に出せばオーデンセが見える。
マークいや……見えた筈、だな。もう吹き飛んじまったんだから。
イクス………………。
イクス島の……他の人たちは……流されてきてないんですか ?
さてなぁ……。可哀想だがこの辺には死体しか流されてきてないぞ。
お前たちはたまたま海の上を漂ってたのを俺らの船が見つけただけだからな。
それよりマークさんに礼の一つでも言えよ、坊主。マークさんがお前らを見つけて荒れた海に飛び込んで引き上げてくれたんだぜ。
イクスあ……すみません。俺、自分のことばっかりで……。あの……ありがとうございました。ミリーナのことも助けてくれて……。
マーク別に礼を言われたくて助けたんじゃねぇよ。気にすんな。
マークルック、お前も余計なことを言うんじゃねぇよ恩着せがましい。
ルックす、すみません……。
マーク生き残りがいないか気になるなら連れが目を覚ましてから王都へ行ってみればいいんじゃないか ?
イクス……そうですね。すみません。ありがとうございます。
マークだったら話は決まりだ。お前はもう少し寝ておけ。何しろさっき目覚めたばかりなんだからな。
イクスは……はい……。あの……マークさん。
マーク……マークさん、ねぇ。むずがゆい。呼び捨てで構わねぇよ。敬語もやめてくれ。
イクスは、はい。えっと、マークたちは救世軍って言ってたけど……。
マークああ、俺たちは救世軍。魔女からセールンド王国を守るための自警団……みたいなもんだ。
イクス魔女…… ?
マークいずれ、その内にわかるさ。じゃあな、坊主。俺はヤボ用があるから失礼するぜ。ルック、後は頼むぞ。
ルックわかりました、マークさん !
ルックほら、坊主も早いとこ横になれって。オーデンセのことが気になるのはわかるが……まずは自分の体を大事にするんだ。
イクスはい……。わかりました。
イクス(明日になったら……王都へ行ってみよう……)
翌日
ルック……よかったな。嬢ちゃんの方も元気になって。
ミリーナはい。おかげさまで。色々と良くして下さってありがとうございました。
ルックオーデンセのことショックだろうけど……気を落とすなよ。
ミリーナ……はい。
ルック王都までの道はわかるな ?
イクスはい。さっきしっかり地図を頭にたたき込んでおきました。念のため12回見直したんで大丈夫だと思います。
ミリーナそこの山道を抜ければ、見えてくるんですよね ?
ルックああ。そうだ。だが、気を付けろよ。この付近には魔物が出るからな。
イクスわざわざ忠告されるってことは──すごく危険な道だって事ですか ! ?それじゃあ、色々と対策していかないと。
イクスどんな攻撃特性をもってるかわからないからな。まずは──解毒薬の準備をして。それと、麻痺対策に、睡眠対策、石化と──
ルックお、おいおい。心配しすぎだって。魔物は出るが、小物ばかりだよ。坊主がそんな心配性とは思わなかった。
ミリーナ普通の魔物なら大丈夫です。イクスってこう見えても、漁師の仕事で鍛えてるから意外と逞しいんですよ !
ルック……お前、漁師だったのか ?魔鏡をつけてるから、鏡士かと思ったんだがな。オーデンセは鏡士の島なんだろ。
イクス……はは。両親は鏡士だったんですけど祖父が鏡士嫌いで。これは、両親の形見だから持ってるだけなんです。
イクスそれに――俺には鏡士の才能は……ないんで。
ルック何か悪いこと聞いちまったな。――そうだ。こいつを持っていきな。
ルックちょっとした旅道具を入れてある。これも、マークさんが渡してやれってさ。
ミリーナ本当に、何から何まで……ありがとうございます。
ルック生き残り……見つかるといいな。デミトリアス陛下ならお力になってくれるはずだ。困ったら城に寄ってみろよ。
ルックオーデンセの生き残りならきっと歓迎してくれる。いいか、謁見するのはデミトリアス様だぞ。今は陛下が一番信じられるお方なんだからな。
イクスわかりました !それじゃあ失礼します !
ミリーナありがとうございました ! ルックさん !

キャラクター5話 【ラクス山道】
イクスやっと着いたぞ。ここが王都セールンドか。大きな街だな……。オーデンセとは大違いだ。
イクス父さんと母さんはこんな街で魔鏡の研究をしてたのか……。
イクス(俺も【あんなこと】がなければここで魔鏡の勉強をしてたのかな……)
ミリーナそこの広場の先に見える高い建物がお城……だよね ?すごく大きい……。オーデンセが全部入っちゃうんじゃないかしら……。
市場の男性……あんたたち、オーデンセって言ったか ?まさかオーデンセから来たのかい ?
イクスえ ? は、はい。
市場の男性ちょうどいい。オーデンセに炎の雨が落ちたって噂があるけど本当なのか ?
ミリーナ……はい。
市場の男性だから港が封鎖されてるのか……。だったらデミトリアス陛下から何かお触れがあってもよさそうなものなのに……。
イクスあ、あの ! オーデンセから脱出した人が王都に来ていませんか ?
市場の男性さぁ……。炎の雨が海の方に落ちてから一週間になるけど、特にそんな人の話は聞かないな。
市場の男性そもそも急に港が封鎖されて、何が何だかわからないでいたら、オーデンセの島影が見えなくなったって噂が流れてきたんだ。
市場の男性ゲフィオン様が非常事態宣言を出されたから俺たちはろくに移動もできないんだよ。
ミリーナ……ゲフィオン様 ?
市場の男性知らないのかい ? 宰相のゲフィオン様だよ。ご病気のデミトリアス陛下に代わって政治を取り仕切っておられるんだ。
市場の男性……でもここだけの話、ゲフィオン様は魔女だって――
セールンド王国軍兵士何の騒ぎだ !不要不急の外出は控えるように言われているだろう。早く家に帰れ !
市場の男性す、すみません ! ちょっと食料の買い出しに……。失礼しました !
セールンド王国軍兵士お前たちも――ん ?ちょっと待て。お前たちは魔鏡を持っているな。
セールンド王国軍兵士まさか、イクス・ネーヴェとミリーナ・ヴァイスか ?オーデンセ島の生き残りの !
イクスえ ! ? どうして俺たちの名前を知ってるんですか ! ?
セールンド王国軍兵士ゲフィオン様がお前たちを捜しておられたのだ。2人とも、今すぐ城に来なさい。
イクスは、はい――
ミリーナ……待って、イクス。救世軍のルックさんが言ってたわよね。デミトリアス様に会えって。
イクスそうだ……。それに……。
マークああ、俺たちは救世軍。魔女からセールンド王国を守るための自警団……みたいなもんだ。
市場の男性……でもここだけの話、ゲフィオン様は魔女だって――
セールンド王国軍兵士……お前たち、救世軍と言ったな ?あの反乱分子と関係があるとは……まさかお前たちも救世軍の一員なのか ?
イクスいえ、俺たちは救世軍じゃありません。救世軍の人に助けられてセールンドに辿り着いたんです。
セールンド王国軍兵士……まぁ、こんな田舎者が救世軍のシンパとも思えないか。
セールンド王国軍兵士しかし救世軍に関わりがあるとなるとますます野放しにはできない。城まで連行する !
二人! ?
イクス……まいったな。無理矢理連行されるとは思わなかった。ここは……どこなんだろう ?
ミリーナお城の中なのよね ?中央に大きな機械があるけれど……。
ミリーナあら、この機械、魔鏡機器じゃないかしら。魔鏡を取り付けるソケットがあるわ。
イクスえ ! ? こんな大きな魔鏡機器初めてだ。何をする魔鏡機器なんだろう。
イクス魔鏡機器なんだから何かを具現化するんだよな、やっぱり。
ミリーナそうね。魔鏡術はキラル分子を使って色々なものを具現化して生み出す術だからこの大きな機械もきっと――
? ? ?そう、その通り。それは魔鏡術を増幅し、具現化を安定させるための装置――カレイドスコープだ。
イクスあ、あなたは……。
ゲフィオン私はゲフィオン。デミトリアス様から、宰相としてまたデミトリアス様の代理人としてこのセールンド王国の舵取りを任されている者だ。
ミリーナあなたが……ゲフィオン様……。
ゲフィオン部下が手荒な真似をしたようだな。すまない。
イクスいえ……あの……。
ゲフィオンイクス。ミリーナ。聞きたいことは山のようにあるだろう。だが、まずは私の話を聞いて欲しい。
ゲフィオン初めにオーデンセ島のことだ。残念だが――オーデンセ島は消滅した。炎の雨で跡形もなく、な。
二人! !
ゲフィオンセールンドにも被害が及ぶところであったが魔術障壁によって何とか事なきを得た。
ゲフィオン津波が落ち着いてから、調査船を出したが……近寄ることもかなわない状態だ。恐らく生き残りはいないだろう。お前たちを除いてな。
ミリーナそんな…… ! ?
イクス全滅…… ? 本当に ! ?
ミリーナ叔母様も……イクスのお祖父様も、村のみんなも…… ?本当に一人も生きていないんですか ! ?
ゲフィオン――捜索を打ち切った訳ではない。だが……今のところ一人も見つかっていない。残念だが……諦めて欲しい。
ミリーナ……………… !
イクスそんな…… ! 馬鹿な…… ! !

キャラクター5話 【ラクス山道】
ゲフィオン……少しは落ち着いたか ?
イクス……はい。まだ……信じられない気分ですけど。
ゲフィオンだろうな。だがお前たちの気持ちを慮ってはいられないのだ。話を続けさせてもらう。
ミリーナ………………。
ゲフィオン鏡士たちよ。どうかこの世界を救ってくれまいか。お前たちこそ、世界に残された希望なのだ。
イクスそれはどういうことですか ?急にそんなことを言われても……。
ゲフィオンこの世界――ティル・ナ・ノーグは今、滅びの危機にある。
ゲフィオン世界が限界を迎えているのだ。世界の寿命……と捉えてもらってもいい。
イクス世界の寿命…… ? 滅び…… ?どうしてそんなことが…… ?
ゲフィオン宮廷学者たちの計測から導き出した予測だ。その計算式は――今説明しても仕方ないだろう。しかし世界が滅びを迎えているのは紛れもない事実だ。
ゲフィオンこの滅びを食い止めるために、王立研究所は世界を守る盾【アイギス】を造りだした。全てはこの世界を構成するアニマの流出を防ぐ為。
ゲフィオンアニマが失われれば、世界を構成する物質は砂のような粒子となって消失する。しかしアイギスは……崩壊した。
ゲフィオン世界を守る防御壁である筈のアイギスは四散し破片が空から降り注ぐことになってしまった。それがオーデンセを滅ぼした炎の雨の正体だ。
ゲフィオンそして防御壁であるアイギスが失われたことで滅びの進行は一気に早まり、世界は破壊し尽くされた。
ゲフィオン今やこの世界に残されたのはセールンド諸島と周辺海域の島々のみだ。他の大陸は全て消滅してしまったのだ。
二人! ?
ゲフィオン信じられぬのもの無理はない。だがこれは純然たる事実だ。
ゲフィオンこのままアイギスが失われたままではセールンド諸島も消滅してしまうだろう。
ゲフィオンだが、アイギスを修復するためには鏡士の力と膨大なキラル分子が必要だ。
ゲフィオンしかし……アイギスの消失によって宮廷鏡士のほとんどが命を落とした。鏡士の故郷オーデンセもまた……失われてしまった。
ゲフィオンキラル分子を確保する方法はあるが、鏡士がいない。鏡士がいなければアイギスを修復できない。
ゲフィオンそして――お前たちは鏡士だ。お前たちならば、アイギスを修復できる。
ミリーナむ……無理です。私はまだ見習いだし、イクスは――
イクス俺は……鏡士じゃありません。
ゲフィオンだが、鏡士の血を引いているだろう。鏡士の魔鏡術は血統に依存するもの。
イクス……無理……です。俺は……昔、魔鏡術を暴走させたことがあるんです。それでミリーナを傷つけてしまいました。
イクス俺には才能がないんです。
ゲフィオン御しきれぬ程の強い才能とも言える。
イクス…………すみません。
ゲフィオン……ミリーナ。鏡士の修行をしているのならば鏡士の掟を学んでいるな ?
ミリーナ……はい。尊き異能である、鏡士の力は我欲の為に振るうのではなく世の為にその力を振るえ──と。
ゲフィオン世の為──まさに今がその時なのだ。
イクス(世の為……。だけど……俺は……)
ミリーナ――ゲフィオン様 !私が――私がイクスの分も働きます。だからイクスを鏡士の道に追い込まないで下さい !
ゲフィオン……そなた一人が背負うにはあまりに荷が勝ちすぎる役目だぞ。命を失うやもしれぬ。それでも良いのだな。
イクス! ?
ミリーナ……それでも、やります。ですからイクスは――
イクス待って下さい !そ、そんなに危険な事なんですか ?アイギスの修復っていうのは。
ゲフィオン正確にはアイギスの修復を行うのは我々宮廷の人間だ。ミリーナには、キラル分子の充填を頼みたい。
ゲフィオンキラル分子がエネルギー粒子であることは知っているな ?
ミリーナはい。魔鏡術の力の源でもあります。
ゲフィオンそう。この世界は今キラル分子が大幅に不足している。それもまたアイギスが破壊されたためだ。
ゲフィオンキラル分子はアニマから作られる。だがアイギスが失われた為、アニマが流出しキラル分子が作れなくなっているのだ。
ゲフィオンこれを補うために、異世界からの具現化を行う。
イクス異世界からの……具現化 ? 異世界って何ですか ?
ゲフィオン文字通り、こことは違う世界のことだ。この部屋の中央にあるカレイドスコープは、異世界をこの世界の一部として具現化する力を持っている。
ゲフィオンこのカレイドスコープを使って異世界を具現化しそこからエネルギーを得ることでアイギスの修復が行えるという訳だ。
ゲフィオンだが、一部とは言え、文字通り世界を具現化するのだ。それを行う鏡士にどのような負担が返ってくるかわからぬ。
ゲフィオン……一人よりは二人の方が負担も減り安定するだろうな。
イクス……それは……俺みたいな素人でも、ですか ?
ミリーナイクス ! ?
ゲフィオン素人であろうと、鏡士の血を引く者ならば変わらぬ。
イクスだったら……俺も……やってみます。自信はないけど、でも世界がオーデンセみたいに消えるなんて……。そんなの……駄目だ。
ゲフィオン……ありがとう。若き鏡士たちよ。私も援助は惜しまぬ。だが事を成せるのはそなたたちだけなのだ。
ゲフィオンどうか……世界を救って欲しい。

キャラクター5話 【ラクス山道】
ミリーナねぇ、イクス。本当に良かったの ?鏡士の力、ずっと嫌だって……。
イクス昨日、ゲフィオン様の話を聞いている間ずっとこんな風に思ってた。
イクス「鏡士なんて、いきなり言われても俺にはよくわからないよ」
イクス「世界を救ってくれなんて想像もつかない程、大きな話……」って。
イクスでも、何もしないでいて、オーデンセと同じ事が起きてしまうのは、絶対駄目だ。
イクスそれを止められる力が、自分の中にあるなら──やらなくちゃ、って思ったんだ。
イクスミリーナ一人で、危険な任務をしなきゃいけないなんてのも、嫌だからさ。──だから、俺、やってみるよ。
ミリーナ……イクス、ありがとう。──私、イクスがそう決めたのなら絶対にやれるって思う。
イクスそう……だといいな。自信は全然無いんだけど。
ミリーナふふっ。鏡士のことだったら、何でも聞いてね。ほら、私、ちょっとだけ先輩だし。
イクスありがとな。よろしく頼むよ。ミリーナ。
イクスそれじゃあ、出発前に準備が万全か確認しよう。これから行く場所は未知の場所だからどんな事が起こるかわからない。
イクス怖いのは、まずはやっぱり人を襲う魔物だよな。──武器の手入れは大丈夫か ? ミリーナ ?
ミリーナもちろん。──イクスの剣も、昨日、磨いておいたよ。
イクスありがとう。……いや、待てよ。魔物よりも、その土地の性質の方が重大な危険をはらんでいるかもしれない。
イクス水はあるのか…… ?そもそも……空気だってあるのかどうか……。確証が無い以上、何か準備をしていくか。
カーリャさすがに空気はあるんじゃないですかー ?
カーリャミリーナさま。イクスさまってちょっと考えすぎじゃないですかー ?
ミリーナふふっ。でもイクスが色々考えるのはみんなを危険な目に遭わせたくないからなのよ。
ミリーナイクスはすごく優しくて一生懸命なの。だから、これでいいのよ。
イクスいつだって、慎重に行動して損はないさ。
カーリャふーむ。まぁ、そういうことにしておきます。
ガロウズおーい。お前ら、そろそろ行くぞー。急げよー !
カーリャガロウズさまも呼んでますね。それじゃあ、出発しましょうか !
イクスよし。俺にどれだけのことができるのかは、わからないけど──やってみるか。
ミリーナうん ! 一緒に頑張ろう !
イクス──それじゃあ、行こう !昨日、俺たちが具現化した新しい大陸……。【最初の鏡映点】のいる場所へ !
キャラクター1話 【1-1 デデッキ森林 入口】
マーク……地震か ?
? ? ?鏡震だ。どうやら始まったようですね。
マーク異世界の魂――アニマをサーチしてこの世界に新大陸として具現化させる。本当にやりやがったのか、あの魔女は。
? ? ?……………………。
イクスすごいな……。この船。空を飛ぶなんて……。
ミリーナ本当よね !世界に一機しかない飛空艇ケリュケイオン……。機体も白くて綺麗だよね。
ガロウズ気に入ってくれて嬉しいよ。これからはこいつを足としてどんどん使ってやってくれ。
イクス……落ちたりしないんでしょうか。
ガロウズははは ! 今のところ無事故だぜ、安心しな。
ガロウズそれと俺は単なる機械屋――魔鏡技師だ。そんな堅苦しい口の利き方はよしてくれ。ガロウズでいい。
イクスは、はい。
ガロウズお、二人とも。見えてきたぞ。
イクスあれが……俺とミリーナがカレイドスコープを使って具現化した、異世界の一部…… ! ?
ミリーナすごい……。島……ううん、大陸 ! ?あんなものを具現化したの ! ? 私たち ! ?
イクスあの時は実感がなかったけど――
ゲフィオン――それではイクス、ミリーナ。早速、最初の異世界の具現化を行ってもらおう。手順は説明した通りだ。
二人はい !
イクス……え ! ? 地震 ! ?
ゲフィオンいや【鏡震】だ。本来この世界のものではない魂――アニマを、この世界に写し取って具現化した為に世界が驚いているのだ。
ミリーナそれじゃあ、もうこれで異世界の具現化は終了したんですか ?
ゲフィオンそうだ。カレイドスコープの照準を異世界に向けその異世界で強きアニマを持つ鏡映点をサーチする。
ゲフィオン鏡映点はいわば具現化の起点だ。鏡映点を通じて異世界のアニマを複製し、呼び寄せる。
ゲフィオン実際に具現化されるのは異世界の一部でしかないがそれでも確かにこの世界の大陸として実体化した筈だ。
イクス大陸…… ?本当にそんなものが創り出されたんですか ?
ゲフィオンそれは自分の目で確かめるがいい。
イクス(わかってたつもりだったけど……やっぱり信じられない……)
イクス近くに他の島や大陸はなかったのかな。巻き込んで潰したりとかしてないよな……。
イクスこの辺りは世界地図で言うとどの辺りなんです……じゃなくて、どの辺りなんだ、ガロウズ ?
ガロウズ……アイギス計画がスタートしてから海図も地図もアイギス計画用に作り直されたんだ。何しろセールンド諸島以外は消えちまったからな。
ガロウズここはポイント1001だ。セールンド諸島からは離れてるからな。この辺りにはもう大陸も島も何もなかったよ。
イクスそう……ですか……。
ガロウズよし、あの具現化大陸に着陸するぞ。大陸と一緒に具現化された鏡映点って人間を捜すんだろ ?頑張れよ ! 二人とも !
カーリャ到着ー !
イクスこれが異世界を具現化した大陸……。すごい……。全然、普通だ……。
ミリーナ本当……。土の匂いも、緑も元から世界にあるものと何も変わらないね。
イクス空気もちゃんとある……。
カーリャそりゃ、ありますよ……。
イクス魔女……か。
ミリーナえ ? どうしたの急に ?
イクス……いや、何かちょっと怖くなってきた。でも……こうしないとこの世界を救えないんだよな。迷ってる場合じゃないんだ。
イクス(迷ってたら……オーデンセみたいに……)
イクスよし、まずは鏡映点って人を捜すんだったな。
カーリャミリーナさまの魔鏡に鏡映点さまのお顔を映しますねー。――ほいっと !
カーリャわー、イケメンじゃないですかー !カーリャはもう少し王子様みたいなタイプが好きですけど、これはこれで中々です。
ミリーナそうかしら ? イクスの方が可愛くて格好いいわ !
イクス……はいはい。二人ともふざけてないでこの黒髪の男の人を捜すぞ。
イクスところで……隣の犬は何だろう。この犬も鏡映点……なのかな ?
カーリャ……多分。
イクスそ、そうか。犬が鏡映点ってこともあるのか。駄目だな。鏡映点ってのは人間がなるんだと思い込んでた。常識を疑ってかからないとな。
イクスよし、二人とも、行くぞ !

キャラクター2話 【1-2 デデッキ森林 東部】
イクスすごいな……。この森。ちゃんと本当の森だ。これが具現化か……。
イクスなぁ、ミリーナ。鏡士の具現化ってそもそも何なんだ ?
イクスあ、もちろん、何もないところから物を創り出すってことは知ってるけどどうしてそんなことができるんだろうな。
イクスカーリャだってミリーナが具現化しただろ ?
ミリーナ鏡士のことを勉強するのはいいことだと思う。じゃあ簡単に説明するね。
ミリーナ万物の全てには魂――アニマがあるの。万物に宿る、根源の力とも言えるかも。
ミリーナ鏡士の具現化というのは、魔鏡を媒介にしてそこに対象物のアニマを写し、複製して実体化する作業のことを言うの。
ミリーナそこからさらに力を発展させて、何もないところから作りたいものを想像して生み出したりもできるのよ。この辺りはちょっと高度な技術になるけれど。
ミリーナ今回の異世界の具現化もカレイドスコープを使っているけれど基本は同じ。
イクスつまり……この大陸も鏡映点も、俺たちの世界に連れてきたんじゃなくて、そのアニマを複写して同じ物を作り出したってことだな。
ミリーナそうよ。魂の本体はあくまで元の世界にあるの。こっちに作られるのは、かりそめの存在よ。でも、記憶も経験も、そっくりそのまま。
ミリーナこちらに具現化した異世界の大陸と鏡映点は異世界のアニマを放出しているの。
ミリーナそれがアニマが極端に少なくなってしまっているこの世界を満たしてくれる。
イクス異世界からのアニマはキラル分子に変換されてアイギスの修復に使われる……んだったな。
イクスまだ今ひとつ良くわかってないけどこれから頑張って勉強していくよ。
ミリーナうん。一緒に頑張ろうね。ちなみに、カーリャは私の心の一部を具現化した存在なのよ。
イクス……ミリーナの心の一部――のわりに結構いい性格をしているような……。
カーリャどういう意味ですか、イクスさま ?
ミリーナふふ♪ 可愛いでしょ ?
カーリャねぇねぇ、ミリーナさま。鏡映点らしい人、全然いませんけどー ?
ミリーナそうね……。確か、鏡映点の人はアニマを放出しているから特別な魔物に狙われやすいんだったよね。
イクス光魔……だっけ ?どんな魔物かわからないけど、危険な魔物だそうだから早く見つけないといけないんだけどな。
カーリャ二手に分かれたらどうですか ?
イクスそれはダメだ。見知らぬ土地で、1人になるなんて危険すぎる。
カーリャでも、このままじゃ見つかる前に鏡映点が光魔に食べられちゃうかもですよ。
イクスうーん……。確かにその方が効率はいいけど……。色々な可能性が考えられるから慎重に判断しないといけない。
イクス(それでなくても……。こんな具現化なんて大それたこと、本当に引き受けてよかったのか迷ってるし……。それに……)
イクス――駄目だ駄目だ。今はそんなことを考えてる時じゃない。ちゃんと状況を整理しろ。速度を取るか……安全を取るか……。
イクス確かに二手に分かれた方が……。でも……。
ミリーナイクス、もし私のことを心配してるなら気にしないで。イクスが決めたことならきっと大丈夫。ねぇ、やってみよう ?
イクス……うん、わかった。でも、お互い無理はしないこと。
イクス俺はここから東の方を回ってみるからミリーナとカーリャは西の方を頼むよ。
イクス何かあったら、魔鏡の通信で知らせるってことで。
ミリーナうん。わかった。気を付けてね、イクス。
イクスミリーナもな。
魔物の声グルルルル……。
イクス――魔物か !
イクス異世界を具現化するのに魔物まで具現化されるって本当にとんでもない力だな。
イクス……待てよ。まさかカレイドスコープは鏡映点以外の【人間】も具現化してる……とか ?
魔物の声グルルルル……。
イクスあれ…… ? 別の方角からも魔物の声が……。
イクス──もしかして俺、囲まれてるのか ! ?

キャラクター3話 【1-3 デデッキ森林 中央部】
ユーリ大体片づいたみたいだな。生きてるか ?
イクスはい ! なんとか…… ! ?
イクスあ……あなたは…… ! ?
ユーリ――ん ? オレに用があるって顔だな。だがここは、とっとと逃げた方がいいぜ。きっと大物が控えてる。
イクスえ ! ?
ラピード──ウウウウウ !
ユーリお出ましか !
イクス──魔鏡が反応してる。もしかして、これが、光魔 ! ?
ユーリへぇ。今度のは骨がありそうだ、なっと !
ユーリ今のうちに……って、おいおい ! やる気かよ ?
イクス俺、あなたを捜してたんです !それに、この魔物――光魔も !だから、俺も戦わなきゃ !
ユーリなるほどね、それであんな顔になったのか。けど、別に知り合いって訳じゃないよな。お前は一体……。
ラピードワンワン !
ユーリっと、悪ぃラピード !焦らしてヤキモチ焼かれる前にこのデカブツの相手しないとな !
ミリーナ――確かこっちから魔物の声が聞こえたはず……。
ユーリなんだなんだ、次から次へと。
イクス──ミリーナ ! カーリャ !どうしてこっちに……。
ミリーナイクスの行った方から魔物の声が聞こえたから心配になって……。無事で良かった…… !
ミリーナ――あ、その人……鏡映点ね ?
カーリャでもって、あれが光魔…… !ううう……震えちゃう……ぶるぶる !
イクス話はあとだ ! 今はあいつを !
ユーリそういうこった、お嬢さん。下がってな。
ミリーナ大丈夫です ! ご心配なく。──ある程度の心得はあります !
ユーリなるほど、うちのお姫様といい、飛び入り娘は勇ましいのがお約束ってか。
イクス――よし、行くぞ !

キャラクター4話 【1-3 デデッキ森林 中央部】
ユーリよし、いっちょあがり !
イクスはあはあはあ……や、やった !光魔を倒せたぞ !
ミリーナイクス ! すごい !
イクスはぁはぁ……これで【鏡映点】の人たちは……護れた──って……凄い、息一つ乱れてない……。
カーリャさすがは、鏡映点さまですね。
カーリャミリーナさまが言ってました。鏡映点になる人は、その世界の命運を握るような英雄だったり、世界にとって重要な方なんだって。
ユーリ悪いが何のことだかさっぱりだ。説明してもらえるか。色々と。
イクスあ、はい。すみません。
イクス俺たち、あの、ゲフィオン様の命で【鏡映点】を捜していたんです。あ、【鏡映点】の人です。
ユーリ……だからわかんねえっての。
ミリーナす、すみません !あの、えっと……どこから説明すればいいのか……。
カーリャ二人とも、落ち着いて下さいよー !カーリャまで焦ってきちゃいます !
ユーリま、そんな恐縮すんなって。妙な事続きで、ちと気が立ってた。きつい言い方して悪かったな。
ユーリオレはユーリ・ローウェル。こっちは相棒のラピードだ。
イクスあ、俺は、イクス。イクス・ネーヴェです。
ミリーナミリーナです。ミリーナ・ヴァイス。
カーリャカーリャです !
ユーリよろしくな。それじゃ早速教えてくれるか。お前らの知ってることを、な。
イクスはい。ですが、ここで長話してるとさっきの魔物が来てしまいます。歩きながらお話しさせて下さい。
ユーリあん ? さっき親玉を倒したろ ?しばらく大丈夫だと思うぜ。
ミリーナいえ、来てしまうんです。あの魔物――光魔はあなたを追いかけてくるんです。そのことについても説明します。
ユーリ……長い話になりそうだな。わかったよ。順を追って説明してくれ。なるべく簡潔に、な。
イクスはい。

キャラクター5話 【1-5 デデッキ森林 出口】
イクス――という訳で最初の異世界を具現化したところです。
ユーリ………………。
イクスあの……突拍子もない話なんで嘘みたいなんですけど、でも本当なんです……。
ユーリったく、お偉い連中が人の都合をお構いなしなのはどこの世界でも大差ないってか。
イクスユーリさん ?
ユーリいや、なんでもねぇよ。
ユーリここはテルカ・リュミレースじゃなく、今のオレとラピードはもともとのオレたちから一部を具現化させた存在、ね。
ミリーナはい。信じてもらえないかもしれないですけど……。
ユーリま、今のとこ信じるしかないしな。実際、色々思い当たる事があった。
ユーリ急に目の前が白くなったと思ったら、ラピード以外、みんな消えちまった。
ユーリ一見、元いた場所っぽいがなんか違う。つまりあの時が、この世界にオレたちが具現化した瞬間ってわけだ。
イクスしばらく具現化させてもらってこの世界の危機を回避できるだけのアニマが満ちれば元の世界に、きちんとお返しします。
ユーリそいつを聞いて安心したぜ。ケリつけたい事がまだあるんでね。お前らの言う異世界ってとこでな。
ラピードワン !
ユーリま、オレたちの状況は大体わかった。けど、まだ腑に落ちねえことがある。
ユーリアニマってのが溜まって終わりなら具現化したオレとラピードを放っておいてもいいはずだ。
ユーリけど、わざわざ捜してた。それにも理由があるんだろ ?
イクスはい。鏡映点は、この大規模な具現化の術の核になっている存在なんです。
ミリーナカレイドスコープは、異世界の強い力の持ち主を起点にして、異世界をサーチします。そしてその人物の記憶や感情を元に異世界を具現化する。
ミリーナ鏡映点は、異世界をこの世界に具現化する為の楔のような存在なんです。
イクスだから、この具現化大陸が安定するまでにあなたたちの身に、もしもの事が起きてしまうと具現化を保てなくなってしまうんです。
ユーリふーん。んでそれに光魔とやらが絡んでる、と。
ミリーナはい。光魔は大きな具現化の術に対するひずみのような存在で具現化世界に現れる特殊な魔物だそうです。
ミリーナとても強いアニマに惹かれて現れる魔物で鏡映点のアニマを食べて自分の力に変えようと襲ってくるそうなんです。
ユーリなるほどな。だからさっき言ってた『光魔が追ってくる』になる訳だ。
イクスはい。だから光魔の発生源だっていう【光魔の鏡】を見つけて破壊するまで俺たちの飛空艇に保護させてほしいんです。
ユーリ………………。
ユーリなぁ、気ぃ悪くしないでもらいたいんだがそんな世界の存亡にかかわる重要な事なんでお前らみたいなガキがやってんだ ?
ユーリ大人はどうした ?
ミリーナ……もうこの世界に、具現化を行える鏡士は私たちしかいないんです。
イクス何より、もう世界には王都のある島々とそこに暮らす人々しか残されていない……。今、俺たちが頑張らないといけないんです。
ユーリなるほどな……ひとつ安心したぜ。偉い連中が腐ってるワケじゃなさそうだってな。けど……。
ユーリ世界の運命ってヤツぁ、なんでこう若いもんの肩に乗っかるのが好きなのかね……ったく。
ユーリイクス、ミリーナ。悪ぃが飛空艇とやらで保護されてやることはできねえな。
イクスえ !
ユーリ光魔の鏡とやらちゃちゃっと壊したいんだろ ?手伝わせろよ。
ミリーナどんな危険があるかわからないんですよ !
ユーリ生憎、義をもって事を成せ、ってのがうちのモットーなんでね。断られても勝手にやらせてもらうぜ。
イクス……わかりました。ユーリさん。ありがとうございます。正直、凄く、心強いです。
ラピードワウ !
ユーリ任せろ、だとさ。
ミリーナラピードさんも、ありがとうございます !
ユーリ……ラピード『さん』ときたか。調子狂うな、どうも。

キャラクター6話 【1-8 ボッコス街道 3】
ミリーナ簡単には見つからないね。光魔の鏡……。
ユーリ光魔の鏡ってのは、どんな代物なんだ ?
イクスそれが……俺たちもまだ見たことがないんです。確かゲフィオン様の話だと鏡精は光魔の鏡を感知できるってことだったよな。
ミリーナカーリャ、何か感じる ?
カーリャきゅう……。残念ながら何も感じないです……。
イクス近くにはないってことなのかな…… ?
ユーリせめて何かヒントみたいな物があればな。匂いもわからねぇからラピードの鼻でも無理みたいだ。
ラピードくぅーん。
イクス光魔は光魔の鏡から生まれるらしいんです。あんまり時間をかけていると、どんどん光魔が生まれて大きな群れで襲ってくるかもしれない……。
ユーリオレは囮でもかまわねえけどな。手っ取り早くていいさ。
ミリーナダメです ! 本末転倒です !
ユーリわかったわかった。そう怒鳴るなって。
イクス考えろ……。何か手が……。
カーリャむほぉぉぉぉ ! ?
イクスうわわ ! ?
ユーリなんだなんだ。
ミリーナどうしたのカーリャ ?突然そんなに震えて !
カーリャわ、わ、わからないです~ !そういえば光魔を初めて見たときもこんな感じでぶるぶると……。
ミリーナあれって、怖くて震えてたんじゃないの ?
イクスもしかして、その震えが光魔を感知してるってことなんじゃないか ?
カーリャマジですか ! ?
ユーリいや、こっちが聞いてんだっての。
カーリャぶるぶる…… !とにかく、あっちの方に何かを感じます~。
イクス行ってみよう !

キャラクター7話 【1-10 ハンクス遺跡 B1F】
カーリャぶるぶるする !あの光ってる鏡みたいのを見ると猛烈にぶるぶるしますよぅ ! !
ユーリ……また露骨に怪しいな。
イクスはい。きっとあれが光魔の鏡なんだ……。
ユーリマジで感知できてたってことか。
カーリャでも、結構近づかないとわからないみたいです。ぶるぶるぶるぶる……。
ミリーナ十分よ。すごいわ、カーリャ !
カーリャえへへ……ぶるぶるぶる……。えへへへ……ぶるぶるぶる……。
ラピードワフ……。
イクスよし。手前にいる光魔を倒して、鏡を封じよう。それでここはひとまず、大丈夫な筈だ。
カーリャはわわわ ! 向こうもこっちに気づいたかも !
イクス──来るぞ !

キャラクター8話 【1-10 ハンクス遺跡 B1F】
ミリーナふぅ、何とか倒せたみたい……。イクス、光魔の鏡を──
イクスああ。やってみる。
カーリャやったぁ !
ミリーナさすがね ! イクス !
イクスこ、壊しただけじゃないか。ユーリさんに笑われるだろ !
ユーリ別に笑いはしねぇけどな。光魔の鏡ってのは壊すだけで大丈夫なのか ?
イクスはい。そう聞いています。
ユーリ……ふーん。
イクスふぅ……。これで、まずは一つめの異世界の鏡映点――ユーリさんたちの安全は確保できたんだな。
ミリーナうん。ゲフィオン様に言われたことは全てやり遂げた筈よ。
ユーリ初仕事は大成功ってところか ?おめでとさん。
イクスありがとうございます !ユーリさんたちのおかげです !
ユーリオレたちはお前らに付いていっただけだよ。
ユーリんじゃ、これでアニマってのが満ちるまでオレたちはここらでブラブラしてればいい訳だな。
イクスあ、あの、ユーリさん !
イクスよかったら、俺たちの飛空挺に乗ってもらえませんか ?
イクス俺、この世界を――ティル・ナ・ノーグを何としても救いたい。でも、まだ全然未熟です。
イクスだから、力を貸してほしいんです。勝手に具現化して、アニマまでもらってるのに厚かましいと思うかもしれませんけど……。
イクス世界にアニマが満ちて、アイギスを修復できるまで俺たちと一緒に戦ってくれませんか !
ユーリ……そうこなくっちゃな。
ユーリ夜空にまたたく凛々の明星の名に賭けてその仕事、引き受けたぜ。
ラピードワン !
イクスありがとうございます !
ミリーナよかったね。イクス。
イクスそれじゃ、飛空艇に行きましょう !
ユーリああ。
ユーリ無断で仕事受けちまったけど構わないよな、ラピード。
ラピードワウ !
ユーリこちとらじっとしてるのは性に合わないしな。正直、あいつらが誘ってくれて願ったりってとこだ。
イクス……これでまずは一つか。どうにか、うまくやれたかな。
ミリーナうん ! イクス、凄かったよ !鏡を壊して封印した時なんて、凄くかっこよかったもの。
イクスでも、まだまだだよ。ユーリさんは、凶暴な光魔相手でも余裕みたいだったし。
イクス鏡映点に選ばれるぐらいの力……。きっと、色んな苦難を越えてきたんだろうな。
イクスユーリさんにしてみたら訳のわからない状況のはずなのに動じずに、状況を冷静に判断して……。
イクスあの位の度胸が俺にもあればもっと自信を持って任務に立ち向かえるのに。
ミリーナイクスだったら、絶対大丈夫だよ。──うん。絶対。だって、昔から何でもできるもの。
イクスそんなことないだろ……。ミリーナはいい加減な事を言うよなぁ。
イクス──そもそも、どんなに訓練したって戦闘では何が起こるかわからないんだ。
イクス目の前の敵と対峙している時に突然の不運が起きたら──
イクス例えば、ずっと昔にしかけられた落とし穴をそうと気付かずに踏んだり……。
カーリャよくそれだけ無駄な想像ができますね、イクスさま。
イクス無駄ってことはないだろ !
ミリーナカーリャ ! そんなこと言わないの !
ガロウズ何だかとぼけた奴らだなぁ、お前らは。さぁ、最初の任務を終えたんだ。ゲフィオン様に報告に戻るぞ。
イクスそうだな。ガロウズ、ケリュケイオンをセールンドへ。
ガロウズよしきた ! 任せとけ !

キャラクター8話 【1-10 ハンクス遺跡 B1F】
ミリーナ……ゲフィオン様、遅いね。
イクス………………。
ミリーナイクス ? どうしたの ?
イクス――なぁ、ミリーナ。異世界の具現化のことなんだけどあそこには光魔だけじゃなくて魔物もいたよな ?
イクス……ってことは、もしかして動物とか……人間も具現化されてたりするのかな。
ミリーナ………………。
ミリーナ……そうね。ユーリさんやラピードさんの記憶や心を通して、異世界を具現化しているから二人の記憶にある異世界の人たちも……。
イクスこれって……まるで天地創造じゃないか ?こんな大それたことをしていいのかな……。
ミリーナイクス……。
イクスずっと不安だったんだ。大丈夫なのかなって。ゲフィオン様は魔女だって噂もあるし――
カーリャイクスさま、ま、まずいですよっ !
イクス――え ! ?
ゲフィオン……そうだ。私は一部の人間から魔女と呼ばれている。
イクスゲフィオン様 ! ? す、すみません !
ゲフィオンいや、いい。イクスの懸念ももっともだ。これは人の身には大それた計画だ。それはよくわかっている。
ゲフィオンしかし、我々は滅びる訳には行かない。全ての責めと咎は私が負う。お前たちが気にすることはない。
ゲフィオンそうはいっても気にするのだろうがな。私は魔女だ。それでいい。
イクス……は、はい……。
ゲフィオンさて、報告を受けようか。最初の異世界の具現化。首尾はどうであった ?
イクス何とか上手くいきました。鏡映点のユーリさんとラピードさんに助けられたおかげでもあるんですけど……。
ゲフィオン最初は皆、力が及ばぬもの。異世界の戦士に学び、その力を借りられるのは僥倖だ。
イクスあの……一つ伺いたいんですが光魔に対する策はないんでしょうか。
イクス今回は鏡映点の二人が戦いになれていましたけど今後もそうとは限りません。
ゲフィオン……残念だが、迅速に光魔の鏡を封じる以外は無い。
ゲフィオンただ……一つ思い当たることがある。具現化された大陸は、ある種、鏡映点によって生み出された小さな世界とも言える。
ゲフィオンもし、そこで何か災害や事件が起きていればそれは鏡映点とは関係ないひずみ――つまり光魔の鏡が関係しているとみていいだろう。
ゲフィオン災いの芽を見つけ、それを摘むように追っていけばより早く、光魔の鏡を見つける事ができるかも知れぬ。
イクスありがとうございます。注意して、探索にあたります。
ゲフィオンでは、さっそく次の異世界を具現化してくれ。すでに四つの異世界をリストアップしそれぞれサーチ済だ。
ミリーナもう四つも…… !
ゲフィオンあまり時間がない。多少無理をしてでも急いでこの世界にアニマを満たす必要があるのだ。四つの世界を具現化する順序はお前たちに任せる。
イクスわかりました。頑張ります。
ゲフィオン……ところで、私のことを魔女だと言っていたのは救世軍の連中か ?
イクスえ ! ?
ゲフィオンお前たちは救世軍に助けられたと聞いている。
イクスあ……えっと……。はい。救世軍の人も……言っていたと思います。すみません。
ゲフィオンいや、お前が謝ることはない。民たちが私を魔女と呼ぶのも問題はない。
ゲフィオンだが、救世軍には気をつけるのだ。彼らは私のやることを快く思っていない。これまでも、世界中に混乱と不和の種を撒いてきた。
ゲフィオン彼らはわかっていないのだ。自分たちがどれほど愚かなことをしているか。
ゲフィオンいや……それは人のことを言えた義理ではないな。とにかく、救世軍に心を許してはならぬ。しかと気をつけよ。
イクス………………。
ミリーナわかりました。ゲフィオン様。
ゲフィオン頼んだぞ、若き鏡士たちよ。
イクス………………。
ミリーナ……イクス。救世軍の人たちのこと気にしてるんでしょ ?
イクスちぇ、ミリーナはお見通しか……。そうだよ。だって……助けてもらった人たちなのに気をつけろとか、心を許すなって……。
ミリーナうん。
イクスそもそもあの人たちには「デミトリアス陛下に会え」って言われたんだぜ。
イクスでも……ゲフィオン様に確認したら陛下はご病気で会えないって言われちゃったし……。
イクスなんか……本当にこのまま進んでいいのか心配になって……。
ミリーナイクスのそういう慎重なところ、すごくいいと思う。私たち……わからないことだらけだけどだからこそ自分たちの目で見てきた物を信じていこう。
イクスだけどさっきミリーナ、わかりましたって……。
ミリーナふふ♪ それはそれ、これはこれ。偉い人を怒らせることもないじゃない。
ミリーナ今のところゲフィオン様にもよくしてもらっているし救世軍の人たちにも助けてもらったんだからどちらのことも悪く思う必要はないでしょ ?
イクス……そう、だよな。俺、つい先回りして色々悪いことを想像しちゃうんだよな。
ミリーナ大丈夫。その分私が楽天的になるから !
カーリャミリーナさまはイクスさまに甘すぎませんかぁ ?
ミリーナふふ♪ いいのよ。さあ、それよりカレイドスコープのところへ行きましょう。

キャラクター8話 【1-10 ハンクス遺跡 B1F】
マーク驚いたな。あんたが何もしないなんて。
? ? ?まずはお手並み拝見というところですよ。世界にアニマが満ちる分にはこちらも助かりますからね。
マーク……俺は……ゲフィオンを許さねぇ。
? ? ?そうでしょうね。まぁ、しばらくは静観していることです。それが――彼の為でもありますよ。
マークわかってるってーの。イクスとミリーナを殺すのは――もう少し先の話だ。
ガロウズよう。待ってたぜ。
ユーリよっ !
ラピードワフ !
イクスガロウズ ! ? それにユーリさんとラピードさん ! ?どうしてここに ! ?
ガロウズ俺はゲフィオン様にカレイドスコープの整備を頼まれてな。
イクスガロウズはそんなこともできるのか ?
ガロウズ王宮付きの魔鏡技師をなめんなよ。つまる所は飛空艇と同じ、キラル分子を操る魔鏡技術でできてる物だからな。
ガロウズゲフィオン様に言われた四つの世界に関する設定は入れてあるぜ。
ユーリ俺はまぁ、野次馬根性って奴だ。自分がどうやって具現化されたのか見ておきたくてな。構わねぇだろ ?
イクスもちろんです。……ってゲフィオン様に怒られるかな ?
ユーリバレなきゃ大丈夫だろ。
ミリーナええ、みんなで内緒にしていれば ♪
ユーリそういうこった。
イクスはは……。そうですね。それじゃあ始めます。
ミリーナじゃあ、前回と同じように異世界にある強いアニマをサーチしましょう。
イクスああ。今度も上手くやらないと……。
ミリーナ大丈夫 ! 意識を腕の魔鏡に集中させるの。そこからカレイドスコープに内蔵されている魔鏡に力が伝わるわ。
ミリーナそうすればあとはカレイドスコープがやってくれる。前もそうだったでしょう ?イクスなら、絶対できるよ !
イクス──よし。やろう、ミリーナ。
ガロウズじゃあ、カレイドスコープを起動するぞ。こいつをこうして……。
ガロウズさて――どの世界から具現化する ?
イクス次は――この世界だ !
ルックおわわわわわ ! ? 地震 ! ?
マーク慌てんな。この間と同じ鏡震だ。
マーク次の具現化を始めやがったな、イクス……。
? ? ?次の大陸を何処に具現化したかはわかっています。早々に、尖兵たちを派遣して調査に当たらせましょう。
マーク動くのか ? 俺に静観しろって言っておきながら。
? ? ?情報を収集させるだけですよ。これからの為に、ね。
? ? ?ミリーナとイクスに手をつけるのは……その後のお楽しみ、ということですよ。
To be continued
キャラクター1話 【2-1 ポアソン街道 1】
イクス………… ?
ミリーナイクス、どうかしたの ?
イクスいや、なんだかこの大陸は空気が独特なような気がしてさ……。
カーリャイクスさま。どれだけ空気のこと気にしてるんですか。
ミリーナ独特なのは空気が澄んでるからじゃない ?ここの大陸って自然豊かだもの。
イクスそういうことか。確かにあちこちに色々な花が咲いてるもんな。
イクスもしかしてこの大陸を具現化するときに礎になった鏡映点と関係があったりするのかな。確か今回は小さな女の子だったけど……。
ミリーナもしかしたら、自然やお花が好きな女の子なのかもしれないわね !とっても可愛いかったし、今から会うのが楽しみ♪
イクスけど鏡映点ってことは光魔に狙われやすいだろ。おちおち花も見てられないぐらい危ない目にあってるかもしれないぞ。
イクスいや……待てよ。鏡映点になるくらいだから見た目は小さな女の子だけどユーリさん並に強かったりするのかも……。
イクスけど普通に考えて小さな女の子がそこまで戦えるわけがないし……。ダメだ、不確定要素が多すぎるっ……。
カーリャあぁ。イクスさまがまた深みにハマろうと……。
ミリーナ今はとにかく鏡映点を捜すことに集中しましょう。どんな子かは会ってからのお楽しみ。ね ?
イクスそ、そうだな。剣も鏡士の力にも、少しだけ慣れてきたし……よし ! やるぞ !
ミリーナふふっ。イクス、張り切ってるね。
イクスどこまでできるか自信はないけど……こんな状況だしさ。自分に出来る限りの事はしたいんだ。
ミリーナうん ! すごく素敵だと思うよ。私たちも頑張ろうね、カーリャ。
ミリーナイクスがうまくできるように、私たちは、何でもするの。──そう……例え火の中……水の中 !
カーリャカーリャも頑張りますけど焦げたりびちょ濡れになったりはさすがにちょっと……。
イクスミリーナが火傷したり風邪を引いたりしないよう俺も更に頑張らないと……。
ミリーナご、ごめんね、イクス !そんなにプレッシャー感じなくていいからね。さっきのは覚悟みたいなものだから気にしないで。
カーリャ覚悟にしたって重すぎますよ……っとうん ? いまわずかにプルッときたような。
ミリーナもしかして鏡映点じゃないかな ?レーダーでもこのあたりに反応があったもの。
カーリャかもですね !幸先いい感じです♪
光魔の声…ウゥ~…ハルルルルル !
カーリャって、そう喜んでもいられなかったですぅ !
イクス──光魔か ! ?近くで誰かが襲われてるんじゃ――
ミリーナ見て ! 商人の男性と……もう一人いる !光魔に囲まれててよく見えないけどあの背丈、まだ小さい女の子よ !
イクスくそっ……取り返しがつかないことになる前に急いで助けないと ! !
商人な、なな……何でこんな所に、魔物が !
ソフィまだまだいる……この魔物何…… ? 不思議な感じがする…。
イクスさがって ! !
ミリーナもう大丈夫だからね。
ソフィえっ ?
イクスくらえっ ! !
ミリーナ数が多い……。
イクスここは俺が引きつける !
光魔……ウゥ~……ハルルルルル !
イクスうっ……前に出たもののその次の手が――
ミリーナイクス ! 危ない !
イクス――えっ ! ?
ソフィはぁぁぁっ !
光魔ギァァァァァッ…… !
イクスそ、そんな……。
ミリーナい、一撃で……吹き飛ばしちゃった。
ソフィ大丈夫 ?
イクスあ、ああ……って、君 !鏡映点の女の子じゃないか ! ?
ソフィ鏡映点 ?
ミリーナ私たち、事情があってあなたを探してたの。
ソフィわたしを…… ?
イクスって、詳しい話はこいつらを倒してからだ !
ソフィ手伝ってくれるの ?
イクスああ。もしかして……足手まといだったりするかな ?
ソフィううん、ありがとう。一緒に戦おう。
イクスよかった ! じゃあいくぞっ !

キャラクター2話 【2-2 ポアソン街道 2】
イクス──ってことで……俺たちはソフィを鏡映点としてこの大陸を具現化させてもらったんだ。
ソフィ具現化……わたしが、鏡映点…… ?説明されても、よく、わからない。
ミリーナ……そうだよね。突然の事でどうしていいか戸惑っちゃうよね。
ソフィううん。考えても、よくわからないときはとりあえず、できることから。
イクスさっき助けた人をこの先の村まで送るんだよな ?
ソフィうん。魔物が出てきたら危ないから。
ミリーナ……わぁ……小さいのになんてしっかりした子なの……。
カーリャミリーナさま、顔が緩みきってますよ。
イクス相変わらず子どもが好きだよな。特に女の子……。村でもよく面倒をみてたけど。
ソフィ――じゃあ、わたし、行くね。
ミリーナちょ、ちょっと待って。私たちもソフィと一緒に行くよ。
ソフィそうなの ?
イクスああ。ソフィのことを放ってはおけないし俺たちも村に行って情報収集をしたいからさ。
ソフィ情報収集 ?
イクス光魔の鏡っていう光魔の発生源についてだよ。これを封印――破壊しないと、光魔……さっきみたいな魔物が無限に湧いてきてしまうんだ。
ミリーナまずはどのあたりから光魔がやってくるか調査するの。それがわかれば光魔の鏡がどこにあるかもだいたい推測がつくから。
ソフィ……光魔の鏡。うん、わかった。それならわたしも協力する。
イクスいいのか ? 確かにソフィはびっくりするくらい強いけど、危険な目に遭うかもしれないぞ ?
ソフィさっきみたいにまた誰かが襲われるのはイヤだから。戦うことになっても、わたしは平気。
ミリーナ……ソフィ、なんていい子なの。ソフィ自身がいい子なのはもちろんだけれどきっとご両親の育て方もよかったのね。
ソフィご両親って、アスベルとシェリアのこと ?
イクスアスベルさんとシェリアさんって言うのか。ソフィがこれだけしっかりしてるってことはそのお二人もすごい人格者なんだろうな。
商人……人格者の二人か。
ソフィ何か知ってるの ! ?
商人実は、昨日の夜、えらく強い男女二人組に賊から助けてもらったんだ。
商人夜だったから姿はよく見えなかったんだけどな。あの戦いぶりはそこのお嬢ちゃんにも引けを取らないぐらいだった。
ソフィもしかしてアスベルとシェリア ?二人もこの世界にいるかも知れないの ?
イクスいや、それは……どうなんだろう。
イクス今回はソフィを鏡映点として具現化したから他の人が鏡映点として具現化されているとしたらカレイドスコープに不具合があるってことだよな。
ミリーナイクス……。
イクス(それか、元の世界の姿だけを借りて具現化されたこの世界の住人――だなんて言ったらこの子、悲しむだろうな……)
イクス(鏡映点は、本人の鏡像を異世界から具現化する。でも鏡映点以外の人間はこの世界の人間として具現化される)
イクス(ソフィの記憶を経由しているから、もしかしたらソフィのご両親も、姿だけ同じだけどソフィのことを知らない存在として、作られている可能性はある)
イクス(姿だけの借り物とはいえ……命を具現化する……。本当にこれでいいんだろうか……)
ソフィ……………。
イクスあっ……。
ソフィ……わたし、二人を捜したい。
イクス……うん、わかった。ソフィのご両親についても街で情報収集してみよう。
ミリーナそうだね。それまではソフィのこと私たちが責任をもって預かりましょう。
イクスえっ……。あ、ああ……そう、だな……。
ソフィイクス ? どうかしたの ?顔色、少し悪いよ。
イクス実は俺……小さい子はちょっと……\nいや、ソフィみたいな大人しい子なら\nそこまでではないんだけど……。
ソフィごめん。よく聞こえない。
イクスな、なんでもないよ。とにかく俺は大丈夫だから !えっと……ソフィ、改めて、よろしくな。
ミリーナよろしくね、ソフィ。
ソフィうん。よろしく。それと、ありがとう。
イクスありがとう……って ?
ソフィわたしのこと心配してくれて。
二人ソフィ……。
カーリャみなさーん ! ちょっと見てくださいよ !いいもの見つけました !
ソフィあっ。
ミリーナとっても綺麗 !紫色の花なんて珍しいね !
イクス図鑑でも見たことがない。なんて言う花なんだろう。
ソフィクロソフィ。
ミリーナクロソフィって言うんだ。花の印象も名前もなんだかソフィにぴったりだね。
ソフィうん。クロソフィはね、私の名前の由来になった花なんだ。
イクスソフィにとって大切な花なんだな。
カーリャならソフィさまにあげますよ。カーリャはこの花を売ったお金で駄菓子を買おうと思ってただけですから。
イクス食べ物目当てだったのかよ……。
ソフィありがとう。カーリャ。
イクスあれ……でもこのクロソフィって花この辺りでは見かけなかったよな。カーリャ、どこに生えてたんだ ?
カーリャ生えていたんじゃなくて落ちてたんです。
イクス……ってことは何かによって別の場所から運ばれてきたのか。
ソフィ……別の場所から。
イクス風か……あるいは動物か人か……。落ちていた時の状況を見ないと何とも……。
カーリャ別にどうでもいいじゃないですかー。とにかく村に行きましょうよ。
ソフィそれじゃあ、行こう。村はこっち、ついてきて。

キャラクター3話 【2-5 畑のある村】
イクスまさか村の周りにまで光魔がいるとは思わなかったな。まだまだ準備と予測が足りてないってことか……。
ミリーナなんとか村まで辿り着けてよかったよね。
イクスこれもソフィのおかげだな。すごく強くてまた助けられたよ。ありがたいけど……なんか、申し訳ないな。
ソフィどうして ?みんなの役に立てるの、嬉しいよ。
イクスやっぱり世話になりっぱなしなのが気になるっていうか……。
イクスいや、こう立ち止まってる暇はないな。早く光魔の鏡を破壊しないと。
ミリーナさっき助けた人も無事に送り届けたし情報収集、開始だね。
イクスああ。さっそく聞き込みを……って、あれ ?ソフィ、どこに行くんだ ?
ソフィわたしも情報収集。
ミリーナソフィも ?
ソフィうん。
カーリャあ、行っちゃいました。手分けして聞き込みする感じですかね ?
ミリーナかもしれないね。村の中は安全そうだしそっちの方が効率的だもん。ソフィ、自発的に行動できて偉いなぁ。
イクスカーリャ。いちおうソフィを見ていてくれないか ?何かあったら俺たちに知らせてくれ。
カーリャこの村の中くらいならカーリャも自由に動けますし大丈夫ですよ !
イクスよし。それじゃあ手分けして聞き込み開始だ。
お姉さん私が最初に見たのは……あっちの方だったかな。
ミリーナありがとうございます。
イクスミリーナ。俺の方は聞き込み終わったよ。
ミリーナ私も。これがまとめたメモだよ。
イクスやっぱりアスベルさんとシェリアさんらしき人については、何も掴めずか……残念だな。
ミリーナそうだね……けど光魔の鏡についてはだいぶ絞れてきたよ。
イクス──村の人の情報を総合すると、あっちの方から、じわじわって感じだな。
ミリーナこの方角に向かってみようよ。近づいていったら、カーリャが探知できるかもしれないし。
イクスそうだな。それじゃあソフィとも合流を……あっ、ちょうどあそこにいた !聞き込み中みたいだな。
ソフィ【心が安らぐような場所】……知らない ?
おじいさん【心が安らぐような場所】って……なんだいそれは ?
ソフィこの花が咲いている場所。
おじいさんああ。クロソフィだね。それならたぶん――
ソフィみんな。お待たせ。わたしも情報収集、終わったよ。
イクスソフィ。さっき話してるのが聞こえたんだけどその……クロソフィが咲いている場所に行きたいのか ?
ソフィうん。【心が安らぐような場所】。光魔の鏡を壊したあと、行ってもいい ?
イクスあ、ああ。もちろんだけど……。
カーリャ光魔の鏡とソフィさまが行きたい場所は同じ方向にあるみたいでしたし、まさに一石二鳥 !はやく光魔の鏡をぶっ壊しちゃいましょう !
ソフィうん。イクスもカーリャもありがとう。じゃあ出発。
ミリーナクロソフィが咲いている場所かぁ……。とっても綺麗なんだろうな。
イクスなあ、ミリーナ。【心が安らぐような場所】ってことはソフィは心を安らげたいってことだよな ?
ミリーナなの……かな ?それがどうかしたの ?
イクスいや。ソフィってまだ小さいのにすごく落ち着いているというかちょっと淡々としているところがあるだろ。
イクスもしかしたらソフィ、胸の中にすごい闇を抱えているんじゃないかと思って。俺、心配になってきて……。
カーリャ発想が飛躍しすぎですよ !イクスさまの方が闇を抱えているんじゃないですか ! ?
イクス俺の話はいいだろ ! それよりソフィだ !
イクス……例えば……山賊に連れ去られて両親と離ればなれになってしまった。拳術を磨き山賊のアジトからなんとか脱出するも――
イクス行く先がなく、孤独と寒さに震え続け気がついたら心は傷つき凍りついてしまったんだ。そして人々につけられた名は『悲しみの格闘家』
イクスくそ、そんな辛い過去を持つソフィに「すごく強い」なんて言って……俺、酷すぎだろ……。
カーリャ小説の読みすぎなんじゃないですか ?
イクスけどこう考えればソフィが【心が安らぐような場所】を探している理由も納得できるだろ。
イクスそんな大変な思いを抱えている中俺たちが具現化したせいで余計に心が疲れてしまったのかも……。
ミリーナうーん。私も考えすぎだと思うけど……。心配なら歩きながら聞いてみようよ !

キャラクター4話 【2-6 ガウス森林】
カーリャソフィさま。さっき【心が安らぐような場所】を探してるって言ってましたけどどうしてなんですか ?
ソフィ大切な場所だから。
ミリーナクロソフィはソフィの名前の由来みたいだしその場所にも思い入れがあるのね ?
ソフィうん。友情を誓った思い出の場所。
ソフィそれに、アスベルたちと離れ離れになっちゃったけどそこでまた会うことができたから。この世界でも、そこに行けば、また会えるかなって。
ミリーナ……ソフィ。
イクス親御さんだけじゃなく友達との思い出の場所でもあったのか。
ソフィわたしにとってすごく大切な場所。だから、イクスたちにも見て欲しいな。
ミリーナううっ……ソフィ ! ちょっと頭、撫でさせて。やっぱり、ソフィはいい子だね……。どうしてこんなにいい子なの。
ソフィきっと……友達の、みんなのおかげ。みんなと旅したから、だよ。
イクスよし ! クロソフィの咲いている場所を一緒に見つけよう。俺たちも手伝うからな !
ソフィうん。ありがとう。
カーリャにしし。良かったねですね、イクスさま。ソフィさまのあの強さが、深い悲しみから生まれてなくて。
イクスほんとよかったよ……。ずっと胸がじくじくしてたんだ。
ミリーナでも……私よりずっと小さいのにあんなに強いの、とっても憧れちゃう。私も、ああいうの、やってみたいな。
カーリャあの身のこなしと戦い方はどちらかというとイクスさまの方が必要なんじゃないですか~ ?
イクス……確かに……そうなんだよなぁ。
イクスよし ! ソフィ、ちょっといいか ?
ソフィ何 ?
イクスお願いがあるんだけど……。えっと、俺に戦い方を教えてくれないか ?できる範囲で、構わないから。
ソフィ戦い方 ?
イクス俺、もっと上手く戦えるようになりたいんだ。
カーリャおお。イクスさまレベルアップ大作戦ですね !
イクスああ。戦い方だけじゃなくてソフィの強さの秘訣も知りたい。
イクス鏡映点に助けてもらえるのはありがたいことだけどやっぱりそのままじゃダメだと思うし少しでも成長していきたいから。
イクスだから……いいかな、ソフィ ?
ソフィごめん。わたし、教えたことないから、わからない。……教えるのは、教官ならできたのかも。
イクスそっか……いや、大丈夫だよ。まずはソフィを見習ってみることにする。こういうのは見て覚えるのが大切だって言うしさ。
ソフィ見習うってどういうこと ?
イクスえっと……ソフィの良いところを真似するって意味、かな。
ソフィわかった。いいよ、真似しても。わたしもアスベルやシェリアたちの真似、よくしてたから。
ミリーナソフィも身近な人たちの背中を見て大きくなっていったのね。
ソフィうん。そうかもしれない。
イクスこれはいいことを聞いたな。よし、俺もソフィみたいに頑張るぞ !
ソフィわたしにも何かできることがあったらそのとき伝えるね。
イクスああ ! ありがとう、ソフィ !
ミリーナふふっ。
カーリャミリーナさま、どうかしました ?
ミリーナソフィもいい子で可愛いし張り切るイクスも可愛いなって思って。
イクスそこは可愛いじゃなく頼もしいとか、格好いいだろ……まったく。子供扱いするなよな。
ミリーナうん。けど、何か困ったことがあったら昔みたいに遠慮なく頼っていいんだからね。喉が渇いたとか、お腹が空いたとか
カーリャはいはーい ! カーリャはお腹すきました !
イクスおいおい……さっき食べたばっかりだろ。このあたりは光魔も出て危険だし腹ごしらえはもう少し進んでからだ。
カーリャそんな……カーリャは今にもお腹と背中がくっついちゃいそうなのに。
ミリーナけどお腹が空くとご飯もより美味しくなるわよ。もう少し我慢してね。
カーリャくっ……わかりました。ミリーナさまたちにとってもここからは険しい道。カーリャもこの危機を乗り越えてみせます。
ミリーナふふ、次の休憩場所についたらすぐ料理に取り掛かれるよう何を作るか考えておくわね。
ソフィ次の……ご飯……。
ミリーナソフィは何か食べたいものはある ?
ソフィカニタマ。
カーリャおっ、即答ですね。
イクスソフィのこんな表情はじめてみた。そんなに好きなんだな。
ミリーナそれじゃあカニタマで決まり。ソフィに喜んでもらえるよう腕によりをかけて作るね。
ソフィありがとう。楽しみ。
イクスよし、それじゃあ先に進むとするか。

キャラクター5話 【2-7 オイゲン氷山地 麓】
イクス進んでも進んでも、あたり一面雪で真っ白だな……。
ミリーナソフィ、寒くない ?
ソフィわたしは大丈夫だよ。
カーリャさっきのカニタマのおかげかソフィさまは元気いっぱいって感じですね。
ソフィうん。とっても美味しかった。
ミリーナありがとう。喜んでもらえて私も嬉しいよ。また食べたくなったら言ってね。
ソフィなら次もカニタマがいい。
イクス次もカニタマ ! ? それは栄養が偏るんじゃ……。いや、けどカニタマがソフィの強さの秘訣かも……。
イクスなら……よし ! 俺もソフィを見習ってどんどんカニタマを食べるぞ !
カーリャ見習うところそこですか ! ?ただ好きなだけだと思いますけど !
ソフィけど……同じものばかり食べてるとシェリアに怒られる。だからミリーナに任せるね。
ミリーナソフィ……もう本当にいい子なんだからっ。ええ、私に任せて ! 私、カニタマも食事の栄養バランスも両立できるようにがんばってみるね。
イクスけど今は料理のことより雪原を越えることを一番に考えよう。
イクス雪原は同じ景色が続くから迷いやすいうえ寒さ、足場の悪さの影響も加わり体力の消耗も激しい。みんな、くれぐれも油断しないようにな。
ソフィわかった。
ミリーナカーリャ。光魔の鏡の反応は ?
カーリャちゃんと近づいてますよ。進路は間違っていないはずです。
ソフィなら……【心が安らぐような場所】にも……。ありがとう、カーリャ。
カーリャえへへ。ソフィさまに褒められちゃいました。
イクス……きっとまた強い光魔と戦うことになる。作戦を考えたり、武器を手入れしたりしっかり準備しておかないとな。
イクスソフィと出会ったときみたいにまた強い敵と正面からやりあわざるを得ないことになったら……。
ミリーナ……イクス。
カーリャむむっ ! この感じは ! !
ソフィ! みんな、構えて !
ミリーナ雪の中に潜んでいたのね。イクス、どうしよう ! ?
イクスくそ、囲まれてる…… ! ?こういう自分が不利なときの定石は陣形を崩さず防御に徹して――
光魔……ウゥ……ハルルルル……。
カーリャちょっ ! 後ろから来ますよ !
イクス――なっ ! !
ソフィハァッッ ! !
ミリーナソフィ ! ありがとう !
ソフィわたしが光魔を引きつける。
イクスけどそれじゃあ――
ソフィ大丈夫。これくらいならどうってことない。
カーリャソフィさま ! また他にも――
ソフィ――ヤァッッ !
カーリャって、心配無用でしたね !カニタマもチャージしたソフィさまは無敵です !
イクス……さすがソフィだな。俺も引き下がってる場合じゃない。ったく、何やってるんだ、俺は。
ミリーナイクス ?
イクスミリーナ……援護は頼んだ !一体一体なら今の俺たちでも十分倒せるんだ !冷静に、確実に倒していこう !
ミリーナうん、わかった !
イクスよしっ、俺たちもソフィに続くぞ !

キャラクター6話 【2-8 オイゲン氷山地 中腹】
光魔……ウゥ~……ハルルルルル !
イクスくっ……。
ソフィこっちは全部倒した !
ミリーナイクス ! この敵が最後だよ !
イクスあ、ああ ! こっちは任せろ !こいつは……俺が―― ! !
イクスなっ ! ! しまった ! ?剣が、弾かれ──
ミリーナ危ない、イクス !
ソフィ──はぁぁっ !
ソフィしぶとい !
イクス……ソフィ ! ?
ミリーナソフィ ! 一度さがって !
ソフィ大丈夫 ! これで終わり !
イクス……さ、さすがだな。
ミリーナうん……。今、目で追えなかった。
ソフィ二人とも。大丈夫 ?
イクスああ……。ソフィのおかげでな。ありがとう、助かった。
ミリーナソフィこそ怪我はしてない ?
ソフィうん。わたしも平気だよ。
カーリャみんなが無事でよかったです……。一瞬どうなるかと思っちゃいましたよ。
ミリーナうん……今のは私もさすがにヒヤッとしたよ。イクスだけじゃなくソフィにも。もちろんソフィは強いってわかってたけど……。
ソフィミリーナ ?
イクス……ソフィはすごいな。
ソフィわたしが ?
イクス俺、頭では飛び出してやりたいって思っててもなかなか行動がついていかないんだ。だからやるべきことに真っ直ぐなソフィが羨ましい。
イクスソフィみたいにって思ってもどうしても自分の感情に振り回されちゃうんだよな。焦りとか不安とか恐怖とか……色んな気持ちにさ。
ソフィごめん。わたしには、それがよくわからない。
イクスえっ ?
ソフィたぶん、わたしがプロトス1だから。ラムダを消すために生まれた戦闘用ヒューマノイドだからだと思う。
ミリーナちょ、ちょっと待って。ラムダっていうのがよくわからないけどソフィが……戦闘用ヒューマノイドって……。
イクスウソ、だよな……。それ、ソフィが……兵器って意味にしか聞こえないけど……。
ソフィうん。対消滅……自分の命を引き換えにラムダを消し去ることがわたしの使命なの。
ミリーナそんな……そんなのあんまりだよ。酷すぎる……。
イクスだから、ソフィは戦いの時でも……。
イクス――ごめんっ !俺、ソフィの事情を全然知らないくせに羨ましいとか言っちゃって ! !
イクスごめん……本当に、ごめんっ ! ソフィ !
ソフィ大丈夫だよ。ちゃんとわかってるから。イクスたちも、アスベルたちと同じ。わたしをわたしとして見てくれているって。
ミリーナもちろんだよ ! 何であろうとソフィが可愛い女の子であることには違いないもの。
カーリャカニタマやクロソフィが好きだったり意外と普通ですもんね。イクスさまの方がよっぽど変わってますもん。
イクスそれはソフィに対しても俺に対しても失礼だぞ。まあ、それはともかく――
イクス俺たちにとってソフィはソフィだ。今までも、そしてこれからも。
ソフィうん。
カーリャさあ ! お互い腹を割って話し合い絆も深まったってことで !いざ出発です !
ソフィ待って。
イクスどうかしたのか ?
ソフィイクス。わたしと戦ってみて。
イクスえっ……ソフィと ?
ソフィいまなら何か伝えられると思う。けど、わたし、上手く説明ができそうにないから。──これが今のわたしに出来る、一番の方法。
イクスソフィ……。
イクス……わかった !それじゃあ、よろしく頼む !

キャラクター7話 【2-8 オイゲン氷山地 中腹】
イクス……よ、よし。なんとか防ぎきった !これで勝負あったか――
ソフィ──そこっ !
イクスなっ―― ! ?
カーリャソフィさまの勝ちです !
イクスまいった……。
カーリャイクスさまは詰めが甘いですね。やっぱりソフィさまの方が数段上――。
ミリーナ……カーリャ ?イクスも、すごく、頑張ってたでしょ ?
カーリャは…… ! そ、そうですね !イクスさまも、互角の戦いでしたよ !
イクスそういう気遣いが一番傷つくんだけど……。
ソフィイクス、どうだった ?
イクスそうだな……。ソフィの強さを実感したよ。あの間合いから飛び込んでくるとは思わなかった。少なくともいまの俺にはできそうにない。
イクスそれと、俺ってさ、一歩下がるクセがあるのかもしれない。危ないかもって思ったときに。
イクス頭では攻め込んでも大丈夫なはずってわかってる。けど……胸のあたりが締め付けられるっていうか……やっぱり、感情に振り回されちゃってるんだ。
ソフィなら、わたしも感情に振り回されてる。
イクスえっ……ソフィが ?
ミリーナ全然そんなふうには見えないけど。
ソフィわたしも戦いながら、強さの秘訣を考えてみたの。そしたらアスベルたちみんなのことが思い浮かんで自然と胸のあたりが温かくなった。
ソフィ大切なのは気持ち。それがあるから、わたしは一歩踏み出せるんだと思う。何かを感じるのは、きっといいことだよ。
イクス何かを感じないからじゃなく感じるから強くなれる……か。
イクスやっぱりソフィはすごいな。俺にはソフィが持っているようなそういう特別な気持ちがあるかどうか……。
ソフィ大丈夫。イクスにもきっとあるよ。だって、それは――
ソフィ大切なものを守りたいっていう想いだから。
イクス大切なものを……守りたい……。
イクスそうか……だからソフィはそんなにも強くいられるのか……。
ソフィ伝わった ?
イクスああ、ちゃんと伝わったよ。ありがとう、ソフィ。
ソフィうん。よかった。
イクスよし、それじゃあ行くとするか。
ミリーナもう少しで雪原も越えられそうだよ。
カーリャそしたらきっと光魔の鏡ももうすぐです !
イクスつまり……光魔の主もいるはずだ。きっと今まで戦った光魔よりもずっと強い。覚悟していかないと。
ミリーナあれ…… ?
カーリャミリーナさま。どうかしました ?
ミリーナ何か落ちてるみたい。
ソフィそれって……クロソフィ。どうしてここに落ちてるの。
イクス待て……そのクロソフィが落ちていたところって確かさっき光魔と戦った場所だよな。
カーリャあっ ! カーリャが拾った場所もそういえば光魔と戦った場所でしたよ !
イクスならクロソフィは光魔についていた可能性が高い……。となると【心が安らぐような場所】は……。
ソフィ大丈夫かな……。
イクス……とにかく急ごう。行けばきっとわかる筈だ。

キャラクター8話 【2-13 心が安らぐ場所 1】
ミリーナわぁ……とっても綺麗。もしかして、ここが──
ソフィ【心が安らぐような場所】。
ソフィ花と、木と……。やっぱり、ラントの裏山によく似てる。
カーリャまさか光魔の鏡より先に見つかるとは !よかったですね、ソフィさま !
イクスけど……誰もいないみたいだな。
ソフィわたしやイクスたちがいるよ ?
イクスえっと……そうじゃなくて……。
ソフィアスベルたちと会えなかったのは残念。だけど、イクスたちにこの場所を見てもらえて、わたしは嬉しい。
ミリーナ……ソフィ。
ソフィ光魔にも荒らされてなくてよかった。
イクスああ。ちょっと心配しすぎだったみたい――
カーリャ──ぶるぶるぶるぶる !
イクスカーリャ ! その反応 !もしかして――光魔の鏡 !
ソフィハアッ !
ソフィ……すごい数。
イクスそれに光魔の主まで。くそ、このまま暴れられたらこの場所が――
ミリーナイクス ! 構えて !
ソフィ! 間に合わない、クロソフィが――
イクスうっ……大丈夫だ ! こっちは俺に任せろ ! !
イクス(俺がこのまま動かなければクロソフィの花がメチャクチャにされてしまう。そんなの……絶対にダメだ)
イクス(この間合いならいけるはず……。けど……もし失敗したら――後ろにいるミリーナが危険に……)
イクス(いや──そうじゃない。俺はミリーナもソフィの大切な場所も守るんだ。だから……それ以外の小さな気持ちなんて――)
イクス何だって構うもんかぁぁぁぁっ !
ミリーナイクス ! ?
イクスくそっ……初動が遅れたせいで切先が届かなかった……。このままじゃ……競り負け、そう――
ソフィ――たぁぁっ !
光魔の主ギャァァァァァッ ! ?
イクスソフィ ! 助かった、ありがとう !
ソフィううん。助けられたのはわたしの方。時間を稼いでくれてありがとう、イクス。
カーリャさあ ! この勢いに乗ってあいつにトドメを刺しちゃって下さい !
ソフィいこう、二人とも。
ミリーナうん !
イクス大切なものを守るために !

キャラクター9話 【2-14 心が安らぐ場所 2】
イクスよし……どうにか倒せたぞ。
ミリーナあとは光魔の鏡だけ !イクス、お願い !
イクスわかった。
イクス破壊完了 !これで、光魔の出現も止まるはずだ !
ミリーナうん ! やったね、イクス !お疲れさま ! !
ソフィこの場所も……被害は少ないみたい。少しお手入れをすればすぐ元通りにできそう。本当に、よかった……。
ソフィイクス、ミリーナ。ありがとう。これも二人のおかげ。
ミリーナううん。こっちこそお礼を言わないと。ソフィが助けてくれたからさっきの光魔の主も倒せたんだもの。
イクスああ。それに……俺も、今度はちゃんと一歩踏み出すことができた。ソフィのおかげだ、本当にありがとう。
ソフィううん。それはイクスが頑張ったからだよ。
イクスいやいや。頑張れたのもやっぱりソフィがいてくれたからこそで――
カーリャもう。なんですかその譲り合い。ちょっと他人行儀過ぎですよ。カーリャたちとソフィさまの仲じゃないですか。
ミリーナふふっ。そうだね、カーリャ。お互い助け合ったってこと、だよね。
ソフィうん ! だってもうわたしたちは友達だから !
イクス友達……。
イクス……ああ、俺たちは友達だ !ありがとう、ソフィ !俺、ソフィと友達になれてとっても嬉しいよ。
ミリーナうん、私も !
カーリャカーリャもです !
ソフィわたしも。
ソフィアスベルたちにも言いたいな。友達が増えたよって。きっと喜んでくれると思うから……。
イクスああ。きっといつか、伝えられるときが来る。俺はそんな気がするよ。
カーリャいつもネガティブなイクスさまにしては珍しくポジティブな見解ですね。
イクスうるさいなぁ。たまにはいいだろ。
ソフィイクスたちがこの場所を守ってくれたみたいにわたしもイクスたちの大切な場所を守りたい。
ソフィ……アスベルたちを見つけるまでイクスたちと一緒に戦いたい。
ミリーナありがとう、ソフィ。私たちも、アスベルさんとシェリアさんのこと一緒に捜すね。
ソフィうん。よろしく、みんな。
イクスああ ! こちらこそ、よろしく、ソフィ !
イクスよし。それじゃあさっそくこの場所の手入れを――
イクス! ? な、何だ……今の。
Msc_002_009_speaker01殺されかかったってのにずいぶん呑気なセリフを吐くもんだな。
イクスマーク…… ?どうしてこんなところに ?それに今の攻撃は…… ?
ミリーナ――待って、イクス。あの人、『殺されかかった』って言ったわ。つまり――
マークはは、そう睨むなよ、怖い怖い。今回はついでだ。
マークちょいと光魔が暴れまわってるって話を聞いてな。救世軍として討伐に来たところにお前らがいたんだ。
マーク光魔相手に勝つとはなぁ。鏡士の死体が二つ転がってても不思議じゃないと思ってたが……。
イクス……どういう意味ですか。
マークそんなこともわからねぇのか。案外察しが悪いんだな、イクス。簡単な話さ。俺はお前に死んでもらいたいんだわ。
ミリーナどうして ! ?オーデンセの海で助けてくれたのはあなたなんでしょう ! ?
マークあの時は、な。
イクス……もしかして !俺たちがゲフィオン様についたから ! ?
マーク悪の宰相ゲフィオンが命じた使命──救世軍がそいつを止めんのは道理だろ ?
ソフィイクス、ミリーナ ! 気を付けて !この人……凄く、強い !
マークおおっと。小さな鏡映点サマにお褒めの言葉を頂けるとは恐悦至極。
マークだが、悪いな。ここで全員、死にさらせ。
イクスマーク ! やめてくれ ! まずは話を――
マークうるせぇ、この腰抜けがっ ! !てめぇのそのツラみてるとイライラすんだよ !
ソフィイクス ! 構えて !
ミリーナくるわ !
イクス――くっ ! !

キャラクター10話 【2-14 心が安らぐ場所 2】
イクス──でぇぇぇぇいっ ! ! !
マーク……へぇ、飛び込んでくるのか。
イクス──はぁはぁ……どうだ !
マークどうだ、ねぇ。──だが、いいのか ?俺に気を取られすぎてると……。
ミリーナ── ! ?
マークあいつ、死ぬぜ ?
イクスミリーナ !
ソフィ──させない !
マーク──おっと。
ミリーナ──ソフィ !
イクスありがとう ! 助かった !
マークよかったなぁ、イクス。大事な女のツラがグシャグシャにならなくてよ。
イクスマーク、いい加減にしろ ! 冗談じゃすまないぞ !
マークいい加減にしろ、だ ? 戦場で女一人すら自分の力で護れないような奴が、ずいぶん偉そうじゃねぇか。
ソフィわたしたちは友達。助け合うことは普通のこと。あなたは……知らないの ?
マークああ、知ってるよ。あんたはいいな。まともなオトモダチがいるみたいで。まぁ、そうじゃない奴もいるってことさ。
イクス……マーク ?
マーク……なーんか、冷めちまったな。今日のところは引き上げるか。
ミリーナ逃げるつもり ! ?
マークバカが。俺がお前たちを逃してやるんだよ。光魔がいねぇなら俺がここにいる理由もねぇ。
マークそれに……これ以上やりあえばうっかりお前を殺しちまうかもしれないからな。
イクス今は殺さない理由があるってことか ?
マークこっちも色々と訳ありでね。またの機会を楽しみにしておいてくれや。
マークイクス、ミリーナ。それから鏡映点と鏡精も。次に会う時は、遠慮なく殺し合えることを祈ってるぜ。せいぜい腕を磨いておきな。
ミリーナマーク !
ソフィダメ ! 深追いは危険 !
ミリーナそ、そうだね。今の私たちじゃ……。
イクス……凄い強さだったな。救世軍の……マーク。
ソフィあの人……イクスに対してすごく、怒ってるように見えたけど……。
イクス俺がゲフィオン様についたから ?でも、そんな理由だけで…… ?
ソフィ人は悲しくても怒る。シェリアが言ってた。
イクス……悲しくても、か。
ミリーナイクス、セールンドに戻ったらゲフィオン様に相談してみよう。
イクス……そうだな。
イクスけど王宮に向かう前に、この場所の手入れが先だ。
カーリャマークとの戦いは光魔以上に激しかったですからね。さっきより被害が広がってなきゃいいですけど。
ソフィあっ……。
カーリャソフィさま ? どうかしました ?
ソフィさっきの人……少し離れた場所で戦ってくれた。クロソフィ、無事みたいだよ。
ミリーナ…………。
イクス……何なんだろうな、まったく。

キャラクター10話 【2-14 心が安らぐ場所 2】
イクスただ今、戻りました。ゲフィオン様。
ゲフィオンご苦労。して、状況は ?
ミリーナ異世界エフィネアの具現化に成功しました。
イクス鏡映点も無事確保、光魔の鏡も封印ひとまず大陸の安定化も図れたと思われます。
ゲフィオン此度も、光魔に襲われた事であろう。二人とも怪我は無いか ?
イクス光魔は、大丈夫だったのですが……。
ゲフィオン…… ?
ゲフィオン……救世軍――か。最近活動が活発になってきたとは思っていたが……。
ミリーナこの任務のことを、どうやって知ったのでしょう ?
ゲフィオンこの計画は、混乱を避ける為、ごく一部の人間しか真実を知らない筈なのだがな……。
イクスどこからか、俺たちのことが漏れていたということですね……。
ゲフィオンその可能性が高い。セールンドの城内であっても油断はできぬな。
ゲフィオンお前たちにも甘言をもって近づく輩が現れるかもしれぬ。惑わされたり、かどわかされぬよう気をつけよ。
ミリーナはい、わかりました。
ゲフィオンマークという男については私の部下に調べさせ、手を打っておく。心当たりも……ないではない。
ゲフィオン──お前たちは、使命に集中せよ。他の些末な問題は、私の方で対処しよう。案ずる必要はない。
イクスありがとうございます。ですが、まだ少し気になることが……。
ゲフィオン何だ ?
イクスその、マークなんですが……。何故か俺に対して怒りを抱いているような気がするんです。
ゲフィオン気がする……か。報告として受け取るには、いささか曖昧だな。
ミリーナですがゲフィオン様 !イクスの命を狙ってくる相手なんです。何か、少しでも情報があれば──
ゲフィオン――どうであれお前たちが案ずることではない。今は、お前たちにしかできない使命を果たせ。
ゲフィオンでは、謁見はここまでだ。イクス、ミリーナ、頼んだぞ。速やかに、次の世界を具現化させるのだ。
イクスは、はい……わかりました。
ミリーナ……ゲフィオン様。途中からピリピリしてたね。
イクスさっきのは俺たちが悪いよ。ただの感覚の話をされても……。ゲフィオン様だって困るよな。
イクスそんなことより、世界の危機のことを考えてくれってそりゃあ、その通りだと思うよ。
イクスゲフィオン様が手を打ってくれるって言ってくれたし、この件はもうお任せしよう。
ミリーナ……うん。わかった。そうだね……。確かに今は目の前にある私たちにしかできない使命を果たさなくちゃ !
イクスああ、カレイドスコープに行こう。次の世界を具現化するぞ。
キャラクター1話 【3-1 ディン森林地帯 西部】
カーリャはい、到着っと。イヒヒ、イクスさま~ ?空気の心配はしなくてもいいんですかぁ ?
イクス……まだそれ引っ張るのか ?
ミリーナカーリャ。次に同じネタでイクスをからかったらおやつは抜きね。
カーリャそれはカーリャにとって拷問ですぅ~。イクスさまと親交を深めようとしただけなのに~。
イクスわかったわかった。とりあえず鏡映点を捜そう。確かこの辺りだったよな。
ミリーナうん、それと今回は二人だからね。同じ場所にいてくれればいいけど……。
イクスうーん、偶然には期待しない方が無難だな。ケリュケイオンから見たら、街があったから立ち寄って、地道に聞き込みしてみよう。
イクス(具現化した大陸に街があるっていうのも凄いよな。カレイドスコープの力……。考えれば考えるほど怖くなってくる……)
カーリャいっそ向こうから出てきてくれれば捜す手間がはぶけるのになぁ。
カーリャ鏡映点になった人この指とーまれ~♪なーんて。
イクスそれで見つけられたら苦労しないって。
Msc_003_001_speaker01――い……。お……。
ミリーナあら ?……何か、声みたいなものが聞こえない ?
イクスああ、かすかにだけど……あっちの方だな。
カーリャはわわわわ !なんか赤いのがこっちに近づいてきます !
Msc_003_001_speaker01おーい ! そこの人たち !
ミリーナ赤い髪の……男の人 ?――って、あの人 ! 鏡映点じゃない ?
イクスそんなまさか !本当にカーリャの指に止まりに来た ! ?
カーリャよっしゃー、カーリャちゃん天才 !探すどころか、あっちから来るなんて。今回は楽勝――
Msc_003_001_speaker01そこ、どいてくれ ! 早く逃げろーっ !
イクスあれ……なんか……魔物に追われてるぞ ! ?
カーリャふぇぇ、全然楽勝じゃなかったですー !誰ですか、そんなこと言ったのは !
イクスツッコミは後でゆっくりやるから !今はあの人を助けに行こう !
Msc_003_001_speaker01あんたたち逃げろって言ったのに何してんだ !
イクス俺たちも加勢する !
Msc_003_001_speaker01え……マジかよ ! ? 戦えんのか ?
イクス大丈夫、やれるさ !
ミリーナイクス、魔物が来るわ !
Msc_003_001_speaker01くそっ、こうなったらあてにするからな !

キャラクター2話 【3-2 ディン森林地帯 東部】
? ? ?ありがとな ! おかげで助かったよ。変なバケモノに不意打ちくらってさ。ちょっと危なかったんだ。
? ? ?それと悪かった。あんたたちを巻き込んじまって。
イクスいや、そっちこそ無事でよかったよ。
カーリャ……じーっ。
? ? ?……ところでこのちっちゃいのさっきから俺に指つきつけてるけど…………何なんだ ?
ミリーナカーリャ、その指に鏡映点さんは止まらないからね ?
カーリャですよね……。ちょっとだけ可能性があるんじゃないかと思ったんですけど……。残念です。
? ? ?きょうえいてん…… ?なんだそりゃ ?
ミリーナあ、ごめんなさい。鏡映点っていうのはあなたのことなんです。ちょっとお話をさせてもらってもいいですか ?
ルークそりゃ、別に構わねーけど……だったらまず自己紹介しとかないとな。俺はルークだ。そっちは ?
イクス俺はイクス。こっちはミリーナとカーリャ。ここからはちょっと込み入った話になるんだけど――
ルークへぇ……。
イクス突拍子もない話なのにルークは随分落ち着いているんだな。
カーリャさっすが鏡映点って感じですね。
ミリーナ鏡映点は『時代に影響を及ぼす人物』っていうくらいだからきっと大物なのね。
ルーク――って、まったくわかんねえ !
三人! ?
ルーク……悪い。俺の仲間ならこういう話が得意な頭のいい奴がいるんだけどさ。俺にはさっぱりだわ。はは……。
ルークきっとあいつがここにいれば――
ルーク「やれやれ。こんな事も理解できなくてどうやって今まで生きてきたんでしょうね」とかなんとか言ってさ。
ルークそれでもきっと、知恵を貸してくれて……。――いや、くれねえかもな。ああいう奴だし…。
カーリャうはぁ……ルークさま、何だか疲れた顔してますよ。これは闇が深そうな予感です……。
ミリーナイクスは辛い事があったら私になんでも言ってね ?頼ってくれていいんだよ ?
イクス俺は平気だからさ、ミリーナ。頭なでるの、やめてくれないかな……。
ルークなあ、光魔の鏡って言ったか ?さっき俺を追いかけてた魔物もその影響で湧いてるんだよな ?
ルークなら、俺も一緒に探すよ。お前らが目的を達成できれば俺もこの世界も、元に戻るんだろ ?
イクスああ。助かるよルーク ! ありがとう。
ルークいいっていいって。さっき助けてもらった恩もあるし。
ルークそれにしても……俺も、今いるこの場所も【複製】だなんてなんか、皮肉だよな……。
ミリーナルークさん、どうかしました ?
ルークん ? ……いや、なんでもないよ。それより、光魔の鏡ってのはどうやって見つけるんだ ?
イクスその前に、鏡映点がもう一人いるはずなんだ。まずはその人を捜したい。
ルークもう一人 ?もしかして俺の知ってる奴かな ! ?ガイとか――……ティ、ティアとか……。
ルークそういや、ミュウがいねぇからミュウか。いや、魔物はないか……。
イクス犬の鏡映点ならいるけど……。
ルークマジかよ ! ?まぁ、でも、ミュウよりはナタリアの方が可能性が高いか……。それかアニスってことも……。
ミリーナ顔、見てみますか ?魔鏡に姿が映っているから……。
カーリャじゃーん。こんな感じのイケメンです !
ルーク――げ。なんだ、こいつかよ。
イクスえ ? 嫌な人なのか ?
ルーク嫌っつーか、面倒っつーか。……さっき話してた頭のいい奴だよ。ジェイドっていうんだ。
ルークまぁ、こういう状況だしジェイドなら頼りにはなる……かなぁ ?
ルークま、いいや。ジェイドを捜すんだな。それならもう少し先に街があったからそこで話を聞いてみようぜ !

キャラクター3話 【3-8 降雪の街】
イクスさてと、街についたはいいけど……どこから聞き込みするかな。
ミリーナイクス、あれ見て。すごい人だかり。あそこで鏡映点の情報を聞けるんじゃない ?
ルークあれ ? 中心にいるの、ジェイドじゃないか ! ?
イクス鏡映点 ! よかった ! すぐに見つかって !
ルークつーか、あいつ、あんな大勢に囲まれて……なんかもめ事でも起こしたんじゃないだろうな。
子供ジェイドさん、行っちゃヤダ !もっと一緒にいてよぉ。
Msc_003_003_speaker02いや~、アンタに勉強見てもらったらすっかりなついちまったね。次も頼んでいいかい ?
ジェイドもちろんですよ。よろしければ他の子供たちにも声をかけて下さい。学問は大事ですからね。
Msc_003_003_speaker03ジェイドさん、先ほどはありがとう。畑を荒らす魔物を退治していただいて……。これは少しばかりのお礼です。
ジェイドいいえ、それは受け取れません。皆さんの喜ぶ顔が見られただけで私は満足ですから。
Msc_003_004_speaker03――ジェイド様 ! ジェイドさん ! ジェイドさーん ! ―
カーリャすごーい ! 人気者じゃないですかぁ !今回こそさすが鏡映点って感じですねぇ !
ミリーナルークさんだって鏡映点らしい素敵な人よ。優しくてとってもいい人。
カーリャそれはわかってますけど。あのメガネの人は大物感もありつつ、キラキラして爽やかで乙女の理想って雰囲気ですよ。ね ? イクスさま。
イクスなんで俺に話をふったんだよ……。一番乙女から遠いだろ、俺。
カーリャだって、ミリーナさまじゃ理想の相手が誰だかわかりすぎて話が終わっちゃうじゃないですか……
ミリーナふふ♪ そうよ、カーリャ♪世界で一番格好良くて優しいのは私の目の前にいる銀髪の王子様だもの !
イクス……それはともかく。ジェイドさん、慕われてるな。本当にいい人なんだなぁ。俺もあんな風になりたいよ。
イクスなぁ、ルーク……。
イクス――って、ルーク ! ? どうした ! ?
カーリャルークさま、大丈夫ですか ! ?足が生まれたての子鹿みたいにガックガクのふにゃんふにゃんですよぉ ! ?
ルークあ……頭が……。頭が……。
イクスおい、しっかりしろルーク !どこか具合が悪いのか ! ?
ジェイドおや ? あそこで騒いでいるのは……ルークじゃないですか。丁度良かっ――
ジェイドおや、どうしたんですか ? 顔が引きつってますよ。
ルークお……お前、ジェイド、だよな ?
ジェイドいやですねえ。私以外の何に見えるというんです。ところで、こちらの方は ?
イクス……あ、俺はイクスです。今はルークに旅の協力してもらっています。
ジェイドそうですか。ルークは私の自慢の仲間ですからね。きっとお役に立つと保証しますよ。
ルーク! ?
ジェイド彼は、私の仲間の中でも飛びぬけて秀でた才能の持ち主でしてね。何より義理堅く、信頼のおける人物です。
ルークひいぃ……。かゆ……かゆいぃ……。
ジェイドおや、じんましんですね。そんなに掻きむしったら肌が傷つきますよ。私が診て差し上げましょう。
ルークだーっ ! さわんなーっ !一体何なんだよジェイド。具合でも悪いのか ! ?
ジェイド具合が悪そうなのはあなたでしょう。本当に大丈夫ですか ?しかしルークがこれでは……困りましたね。
イクスあの……何かあるんですか ?
ジェイドええまあ。先ほど、街の皆さんからこの辺りを荒らす盗賊を討伐して欲しいと頼まれましてね。
ミリーナそんな危険なことまで引き受けたんですか ?
ジェイドええ。苦しむ人々の願いは断れませんから。
カーリャやだ、かっこいい…… !
ジェイドルークがいたので、協力を願おうと考えたのですが……。私だけで行くしかないようですね。
ミリーナそんな……危険です !今だって光魔があなたを狙っているのに !
ジェイド私を ? 何故でしょう。それに『こうま』とは…… ?
イクスそれについて、あなたには色々と伝えなくちゃならないことがあるんです。少しだけでも時間をもらえませんか ?
ジェイド……それは困りましたね。事は街の安全に関わります。一刻も早く出発したいと思ってましたので。
ジェイド――ですが、あなた方の案件も捨て置くという訳にはいかないようです。ですから、一つ提案しましょう。
ジェイド盗賊のアジトまで、ご一緒しませんか ?
イクス……え ?
ジェイド道すがら、そちらの事情をうかがいます。もちろん、戦わなくて結構です。民間人に危険な真似はさせられませんから。
イクスそんな……。ジェイドさんにだけ戦わせて俺たちに、ただ見てろって言うんですか。
ジェイド民間人であると同時に、ルークの友人です。傷つく姿は見たくないのですよ。
イクス俺、戦えます !一緒に連れていって下さい !
ルークくそっ、じゃあ俺も行く !こんな変なジェイドと一緒にイクスたちだけを行かせられるかよ !
ミリーナイクスが行くなら、私だって !
カーリャミリーナさまが行くならもちろんカーリャもご一緒しますよ。
ジェイドわかりました。少々想定外のメンバーですが心強い仲間が増えて嬉しい限りです。
ジェイド目的地は盗賊のアジト。みなさん、心を一つに頑張りましょう !
ルークうぇぇぇ……。一体、どうなってるんだよ……。

キャラクター4話 【3-11 アスター砂漠 西部】
ジェイド――なるほど、そういう訳でしたか。皆さん大変な使命を帯びているんですねぇ。さぞかし大変でしょう。
イクスいや大丈夫です。それに俺、もっと戦って経験を積んで強くならないといけないから……。
ジェイド頼もしいですね。その強さへの憧れ成長期の少年らしくて実にうらやましい。
イクスでも、今の俺には憧れだけでどうにかなるほどの力がありません。それを以前、思い知ったんです。
ジェイド……確かに、個人の能力や経験、戦略など強くなるには様々な要素が必要です。けれどあなたは何より強い物を持っている。
ジェイド力を求めるその心ですよ。今は前だけ向いて進むといい。大丈夫、あなたは必ず強くなります。
イクスありがとうございます。ジェイドさん。
ミリーナイクス、なんだかいつになく……素直な感じ……だね……。ふぅ……。
カーリャミリーナさま、もしかして疲れてるんじゃ……。
ジェイドイクス、ちょっと休憩を取りませんか ?歳のせいか、少々疲れてしまいました。ミリーナさんも、ですよね ?
イクスあ、ごめんミリーナ !俺、自分のペースで進んじゃって。
ミリーナあ、大丈夫だよ !ちょっと立ち止まればすぐに……。
ジェイドいえ、急いては事を仕損じます。軍用の携行食ですが、食べ物も飲み物もあります。皆さんも遠慮なくどうぞ。
ジェイドさあ、ミリーナさん。これを食べると回復が段違いですよ。
カーリャジェイドさまって中々優しいメガネですね !紳士って、ああいう人を言うんでしょうね~。
イクスうん。その上強くて、うらやましいよ。
カーリャでも、少しミリーナさまに近づきすぎですね。ちょっと邪魔してきます。
イクスやれやれ……。
ルーク――やっぱり納得いかねえ。
イクスうわっ ! 何だよルーク。びっくりした。ジェイドさんのところに行かないのか ?
ルークあんなジェイド初めてだ。逆に怖くて近寄る気になれねーよ。
イクス何が問題なんだ ? そもそも、俺たちには『いつものジェイドさん』ってのがどんな人なのかわからないんだけど……。
ルークいつものジェイドか ?説教、イヤミ、説教、悪い冗談をはさんでアドバイス、説教、イヤミ、とどめに皮肉……。
イクスえっと……仲間、だよな…… ?
ルークああ、仲間だぜ ? だからこそさ。ジェイドは本当に大事なことを聞こえのいい言葉で流したりしない。
ルークさっきイクスに話していたことだってなんかアイツらしくないっつーか……。
ルークでもなー、頭のいい奴ってややこしいこと考えるだろ ?何かアイツなりの作戦って可能性も捨てきれないっていうか……。
ジェイドイクスー ! 水分をとらないとバテますよ。ほら、ルークも一緒に。
ルーク俺はいいや。行ってこいよ、イクス。
ジェイド浮かない顔をしてますね。ルークと話をしていたようですが……私のことを何か言っていましたか ?
イクスいや、なんというか……。
ジェイドおや、図星ですか ?でも、仕方のないことです。私の日頃の行いのせい、といいますか。
ジェイドルークと私は考え方や理念に違いが多い。でもそれは人として当然です。ですが、溝はやはりありましてね。
ジェイドその溝を埋めようと思って色々と心を砕いたつもりなのですが……ごらんの通りです。
ジェイドお互いのために良かれと思ってしたことがどうも受け入れてもらえなかったようで。……すみませんね。こんな話を。
イクスそうだったんですか……。それならルークとはちょっと行き違っているだけかもしれませんね。
ジェイドええ、ここが頑張りどころですから。彼の不信感は必ず解消してみせますよ。
イクスそうですね。ルークはジェイドさんの本質をちゃんとわかってるみたいだから。きっと大丈夫ですよ
ジェイド……本質ですか ?ハハハッ、それはちょっと怖いですねぇ。
ジェイドさて、そろそろ本格的に盗賊のアジトへ乗り込むとしましょうか !

キャラクター5話 【3-12 アスター砂漠 盗賊アジト】
イクスここが、盗賊のアジト…… ?やけに静かだな。
ジェイドその筈ですが……。ここからでは状況が良くわかりませんね。もう少し踏み込んでみましょう。
ジェイドしんがりは私が務めますので、ルーク、先頭をお願いします。中の様子に気を配って下さいね。
ルーク……わかってるよ。
ミリーナ誰も……いないんじゃない ?
イクスジェイドさん。その情報って――
ルーク――イクスどけっ !
イクス……え ! ?
ミリーナイクス、大丈夫 ! ?イクスを襲うなんて……ジェイドさん、どうして ! ?
ジェイドたまたま私の前にいたものですから。それにしても、私の一撃を防ぐとはさすが優秀ですね、ルーク。
ルークいいかげんにそのキモイ口調をやめやがれ !正体を見せろよ、この偽者が !
イクス……にせ、もの ?
ルークああ、俺も少し悩んじまったけどさどう考えたって最初から怪しいんだよ !
ジェイドおやおや、私はそンなニアヤシカッタデスカ ?
カーリャこ……光魔 ! ?
ミリーナうそ……。鏡映点に化けるなんてこんなことまでできるの ! ?
Msc_003_005_speaker01……ウゥ~……ハルルルルル
ルーク―― ! ? なんだコイツ !
カーリャ魔物が集まってきてます ! ?仲間を呼んでるんですよ !
ルークやべえぞイクスさっさとコイツ倒さねえと !
イクス――くそっ、やってやる !

キャラクター6話 【3-13 アスター砂漠 偽アジト】
イクスハアッ……ハアッ……。まずいな、囲まれた……。
ルークもう少しであいつをぶっ倒せるのに。こう雑魚が多くちゃ……。くそっ ! 何とかならねえのかよ !
Msc_003_006_speaker01何とかして差し上げましょう。
ルーク……へ ?
Msc_003_006_speaker01――エナジーブラスト !
イクスすごい。一撃で……魔物が全部……。
Msc_003_006_speaker01いやぁ、この状況なんだか懐かしいと思いませんか。……ルーク ?
ルークジェイド……。ジェイド――か ! ?
イクスあれが本物のジェイドさん…… ?
ジェイド随分と苦戦していましたね。私の姿をした魔物につい手加減をしてしまったとか ?
ルークんな訳あるか !いつも以上に気合い入ってたっつーの !
ジェイドそれは結構。私への日頃のうっぷんを晴らすいい機会だったようですからねぇ。存分に楽しめましたか ?
ミリーナえ ?気のせいか……オーラが黒い… ?
カーリャあの……ルークさま。この人本当に本物ですか ?こっちも光魔なんじゃ……。
ルークいや、このひねくれた態度、本物のジェイドに間違いなさそうだ。でも、どうしてここに……。
ジェイド街で『親切なジェイドさん』とかいう愉快な噂を耳にしましてね。高みの見物をしていたんですよ。
ジェイドそうしたら皆さんが『親切なジェイドさん』と街を出ていくじゃないですか。面白そうだったのでこっそり後をつけちゃいました♪
イクスあとをつけちゃ……って、え ! ?
ルーク――お前、まさかこの道のりの間ずっと……。
ジェイドええ、どうやらあなたは、私が優しくすると健康に害が及ぶようですね。後なんでしたっけ ? イヤミ説教イヤミ……。
ルークあ、あれはしょうがねえだろ ?大体お前な、ついて来てたんなら、すぐ出て来いよ !おかげであの偽物が調子にのって――
Msc_003_006_speaker02…… !
イクスしまった ! まだ生きて――
ジェイドおや、とどめを刺し損ねたみたいですね。ルーク、あなたが無駄なおしゃべりをしているからですよ ?
ルーク俺 ! ? 俺が悪いのかよ ! ?
ジェイドまぁ、あの状態ではそう遠くまでは逃げられませんね。じわじわと追い詰めてやりましょう。
イクスは、はい……。

キャラクター7話 【3-15 アスター砂漠 中心地】
ジェイド――なるほど。先ほどの道中で耳にしたあなたたちの会話も合わせて、ひと通りの事情は理解できました。
ジェイドそれともう一つ。街の人々の様子ですが老若男女の違いなく記憶にあいまいな部分があるようです。
ジェイド忘れているわけではないのに、自分の記憶が絶対だとは信じ切れていないようでした。まるで夢について話しているような……。
ジェイドこの現象もあなたたちに関係があるのでしょう ?
ミリーナはい……。具現化の影響かもしれません。
ミリーナみんなの記憶も、術の力で生み出しているから……。まだそれが安定して馴染んでいないからそんな風になってしまうのかも……。
ミリーナでも、具現化が安定すれば問題はない筈です。
ジェイドない筈――ですか。まあ、信じるしかないのでしょうね。
ジェイドそれが真実かどうか今の私には確かめる手だてがありませんから。
ルークなんだよジェイド、ネチネチ問い詰めて。さっきの偽者の方がよっぽど紳士だったぜ。
ジェイドそうですか。それならルークには特別に偽者同様の態度で接していきましょう。
ジェイドそんな風に他人をかばえるところがあなたの美徳であり優しさですから。
ルーク――気持ち悪ぃ……けどこれもジェイドなりの嫌みだと思うとなんか今は心地いいぜ ! もっと来いよ !
ジェイドやれやれ。どうやらおかしな方向にこじらせてしまったようですねえ。
ジェイドま、いいでしょう。せっかくの機会です。私もこの世界について研究してみます。
ジェイドあなたたちのような鏡士や、その術の元となる魔鏡、私たちの世界の譜業にあたる仕組み。興味は尽きませんから。
カーリャうう……。なんだか雰囲気が違い過ぎて混乱しちゃいますよぅ……。むしろ偽者が懐かしいような……。
ジェイドああ、カーリャ――でしたよね ?あなたのことも色々と知りたいものです。その姿を見ると、胸の鼓動が止まりません…… !
カーリャえ…… ? うそ…… ! カーリャに恋しちゃった…… ?
ジェイドはい。もう今すぐに解剖したいくらいですよ。
カーリャかい……ぼう……。
ジェイド鏡精――未知の存在への探求心で胸が高まりますねぇ。
ジェイドそうだ。ミリーナ。彼女を少しお借りしてもいいですか ?今のうちに体組織の標本採取を――
ミリーナだ――め――っ ! !やめて ! やめて下さいっ !
カーリャガタガタブルブルガタガタブルブル……。
イクスジェイドさん、さすがに冗談がキツいですよ。二人がおびえちゃってます。
ジェイドおや、冗談ではなかったのですが仕方ありませんね。これはしまっておきましょう。
ミリーナい、今手に持ってたのって……。
イクスなんかの瓶と小さな刃物…… ?
カーリャ本気じゃない ! ?この人本気なんじゃないですかぁ ! ?
ルークうんうん。みんなが本物のジェイドのこと理解してくれたみたいで良かったぜ !

キャラクター8話 【3-17 アスター砂漠 洞窟】
カーリャううっ……。なんかぶるぶるっときた。ミリーナさま、この近くにありますよ !光魔の鏡 !
ミリーナ本当 ! ?もしかしたらさっきの偽者もそこにいるのかな。
ルーク光魔の鏡って魔物が湧くとか言ってた奴か ?
ミリーナそう。光魔にとって鏡は巣――みたいなものかな。封印しないと無限に湧き続けるの。
ジェイド手負いの魔物が巣に戻る――というのはありえるかもしれませんね。しかも先ほどの場所からも近い。
カーリャう~ぶるぶるぶる……。こっちこっち、もうすぐです !
カーリャ……あった ! 光魔の鏡――と、予想通り、偽者もいますね。全然動かないですけど。
ルークよし、今のうちに一気に叩くか !
イクスいや、ちょっと……待ってくれ。
ルークなんでだ ? 今が好機って奴だろ ?
イクスまた騙されるかもしれない。罠とかさ。ジェイドさんにだって化けられるようなずる賢い奴だから、慎重に行かないと……。
ルークじゃあ、どうするんだ ?
イクス俺が飛び込んで――いや、しばらく様子を見るっていう手もあるな……。でもその時間で回復されたら元も子もない……。
イクス戦っている間に鏡から光魔が発生する可能性だってあるし……。いっそ俺が忍び寄って鏡を封印してから……。
カーリャあー、出ましたね。イクスさまのいつものアレ……。
ミリーナねえイクス、そんなに考えなくても――
イクスミリーナ、悪い。ちょっと待ってくれ。最善手を探すから……。
ルーク……なあ、さっきから「俺が俺が」ってなんでそんな作戦ばっかなんだ ?
イクスそれは……一番いい方法をとるためだよ。みんなを守れるように誰も傷つかないようにってさ。
イクスこういう場数だって、踏めば踏むほど次に役立つ。もっと強くなれるだろ。
ルークそれはわかるけどさ、お前の作戦に俺たち、入ってないような気がするんだよ。
イクスそれは……。
ルーク強くなって自分が全部何とかしなきゃっていう気持ち俺にもよくわかる。
ルークけどさ、それは仲間のことや、周りの状況が見えないのと同じになっちまう時があって……ええっと……。
ジェイド説明の要領は得ませんが、そんなことが言えるようになったとは驚きです。ちゃんと頭も成長していたんですね。
ルークはいはい。ジェイドせんせーのおかげでーす。
ルーク――まあ、要はさ。仲間を頼りにしていいんだよ。ほら、ミリーナもカーリャもあんなに心配そうにお前のこと見てるしな。
ミリーナうん……。ルークさんの言う通りだよ。私の「頼りにして」って言葉、軽く聞こえるかもしれないけど、本気でそう思ってるよ。
イクス……そうか、そうだよな。みんなのこと考えているようで俺、自分のことだけを――
ルークそんな顔するなよイクス !一人でも頑張ろうって意気込み自体は悪いことじゃないんだしさ。
イクス…………。
ルークだから、あんまり気負うなってことで……。――どうしようジェイド。これ伝わってるか ?
ジェイドやれやれ、人に説教など慣れないことをするからですよ。
イクスいや……。ありがとうルーク !おかげで決心できた。
イクスあらためて――頼むよ。一緒に光魔の所へ飛び込んでくれるか ?
ルークおおい、いきなりそれかよ !でもまあ、いいぜ。お前の背中は、俺に任せとけ。
イクスミリーナ、援護をよろしく。
ミリーナうん、一緒に頑張ろう、イクス !
イクスよし、行くぞ !

キャラクター9話 【3-17 アスター砂漠 洞窟】
ルークやったぜ !あばよ、綺麗な方のジェイド !
ミリーナイクス、鏡の封印を――
イクスああ、任せろ !
イクスよしっ――封印完了 !
ルークよっしゃあ !無事終わり――で、いいんだよな ?
イクスああ、この世界もじきに安定すると思う。それにルークやジェイドさんを狙う光魔はもう現れないよ。
ジェイドそれは良かった。これ以上、あんな光魔に私の真似をされるのも迷惑ですから。
ルークははーん、さすがのジェイドも自分の偽者は気持ち悪かったか。
ジェイドというよりも、偽者がむやみやたらに偽善を行ったおかげで、あの街は今空前のジェイドブームなんですよ。
イクス……ジェイドブーム ?
ルークお前、よく真顔でそういうこと言えるな……。
ジェイド私が街を歩けばお年寄りはお菓子をくれ子供たちは歓声をあげて「ジェイドさん大好き」と抱きつきに来る。
ジェイド――いやあ、地獄ですね !
カーリャそれが喜べないとか、どれだけ……。
ミリーナルークさん、凄い人と仲間なのね……。尊敬するわ……。
ジェイド本当ですね。さすがルーク !
ルークいやあ、それほどでもあるけどな !それとジェイドはその紳士の笑顔をやめろ。
ルーク……で、イクスたちはこの後も別の世界の具現化っていうのをやるのか ?
イクスああ。今はそれが、俺たちにできることだから……。
ルークそうか。――もしよければだけどさ。これからも俺に協力させてくれよ。
イクス……ルーク、いいのか ?
ルーク俺なんかでもさ。世界を救う役に立つことができるなら――そう、したいんだ。
ジェイド…………。
イクスなんだよルーク。俺なんか、なんて。ルークが協力してくれるなら嬉しいに決まってるじゃないか。
イクスさっきの助言どおり、頼らせてもらうよ。これからもよろしく、ルーク !
ルークああ、どんどん頼ってくれよ。――ジェイド、お前もいいよな ?
ジェイドご一緒するのはかまいませんが具現化のお手伝いとやらは遠慮します。
ルークええっ ! 何でだよ。
ジェイド先だっても申し上げましたがまずはこの世界を調査したいんですよ。研究材料も山とありますからね。
ルークおいおい、マジか……。
ジェイドそれに、この具現化世界が安定したとはいえ長時間にわたり、鏡映点がこの島から出て何も影響がないのか、少々気になります。
ジェイドですから、私まで戦いに引っ張りだすような事態が起こらない限り調査に集中させてほしいんですよ。
イクスあ、はい、それはもちろん……。
ルークお、よかったじゃないかイクス。
イクス……え、何で ?
ルークだって要するにジェイドは、自分が出るほどのことがある時には助けるって言ってるんだし。
イクス……ルーク、本当にすごいな。あの言葉の裏から、よくそんな意図を……。
ルークいやあ、今回の偽ジェイド騒ぎで俺も色々学んだんだよ。
ルークジェイドが皮肉や嫌みを言ってるうちがまだ平和なんだなーって……。
ミリーナルークさん、もうなんか悟ってるって感じ……。
カーリャやっぱり、ルークさまも鏡映点なんですね。とんでもない大物です……。
イクスはは、そうだな。まあ、光魔の鏡も封じたしセールンドに戻ろうか。

キャラクター9話 【3-17 アスター砂漠 洞窟】
カーリャは~、セールンドの空気です~。なんだか懐かしく感じちゃいます。
イクスルークたちとの時間が濃かったからな。特にジェイドさんは……凄かった。
ミリーナふふ……。私たちの周りには中々いないタイプの人だったね。
イクスそれと、ルークのおかげでわかったよ。ミリーナやカーリャがどれだけ俺のことを思ってくれてるのかも。
イクス自分でもそれに気が付いていたはずなのに変に考えが固まっちゃってて……。俺、情けなかったよな。
ミリーナ何いってるのイクス。私は、強がってるイクスだって頑張ってて、格好いいって思ってたよ。
イクスミ、ミリーナ……。
ミリーナだけど、色んなことを知って、気が付いて私を素直に頼ってくれるイクスはもっと素敵に見える。
カーリャはいはい、よかったですねぇ……。
イクスな、なんだよカーリャ。
カーリャ別にいいんですけどカーリャがいること忘れないでほしいです。
イクスはは、わかったって。甘い物で許してくれるか ?
カーリャ許しますー ! イクスさま大好きー !
イクス仕方ないな。ちょっとそこの店に――
Msc_003_010_speaker01――もう信じられねえよ俺は !
Msc_003_010_speaker02アンタやめてよ ! そんな大声で……。飲みすぎだよ !
Msc_003_010_speaker01俺は救世軍に入った奴に聞いたんだぜ ?ゲフィオンがセールンドを腐らせるってな !
Msc_003_010_speaker02そんなの、よその人が聞いたら……。
Msc_003_010_speaker01みんな言ってるだろうが ! 政治はガタガタ最近は地面までグラグラ揺れやがる。これなら酒飲んで目が回ってる方がましだ !
ミリーナ…………。
イクス……ミリーナ、行こう。
ミリーナ……どうして具現化のこと、秘密にするのかな。みんなに話せば、鏡震の不安も落ち着くのに。
イクスそれは……。大陸が失われたこととか新しく大陸を作ってることとか、突然聞かされてもみんな不安になるだけだからだろ ?
ミリーナそう……よね……。
イクス……わかるよ。ゲフィオン様って何か隠してるみたいな気がして心配になるよな……。
ミリーナでも、世界を救う方法がこれしかないなら……私たちはゲフィオン様を信じて具現化を頑張るしかないのよね。
イクス……今は俺たちにできることをやろう。一刻も早く具現化を成し遂げてアイギスを造り直してもらうんだ。
カーリャでもその前に、まずは甘い物ですよ、イクスさま。
イクスわかってるわかってる。
Msc_003_010_speaker03あそこの旦那、また暴れてるのかい ?
Msc_003_010_speaker04ああ、荒れるのもわかるがね。国がこんなに落ち着かないんだから。おかげで俺なんか、夢見まで悪い。
Msc_003_010_speaker03アンタもかい ? それ【滅びの夢】だろ。アタシも見るんだよ。みんな金色の砂になって死んじまう、嫌な夢をさ。
ミリーナ滅びの夢……。
イクス――どうしたミリーナ ?
ミリーナ……ううん。何でもないの。
キャラクター1話 【4-1 バルトロ密林 奥地】
カーリャうわ~~ん。カーリャはこんな薄暗い森で死にたくないです~ !
ミリーナカーリャはおおげさね。ちょっと迷っただけだし大丈夫よ。きっとすぐ抜け出せるわ。
イクスごめん……。もっと俺が考えて行動していれば……。
ミリーナイクスは悪くないよ。あんな数の光魔と戦ってたら私たち、危なかったと思う。森に逃げようって判断してくれたイクスのおかげで助かったんだもの。
ミリーナあのときのイクスはすっごく頼もしかったなぁ……。まるで颯爽と現れた騎士様みたいだった。
カーリャミリーナさま……現実に戻ってきて下さい。
イクス……ミリーナだってカーリャに負けないくらい大げさだぞ。
イクスまぁ……とにかく今は先に進もう。周囲に生えている草花から考えるともう少しで森から抜け出せる筈だから。
イクス不安もあるけど……ジッとしていても何も始まらない。俺も少しは積極的に行動していかないと。
ミリーナユーリさんみたいに、ね ?
イクスそういうこと。さぁ、行こう。
ミリーナふふっ♪
カーリャミリーナさま ? どうしたんですか ?
ミリーナイクスってばどんどん逞しくなってるなって思って♪
カーリャあぁ……ミリーナさまがまた現実から離れていく。
イクスおーい、二人とも置いていくぞ。
ミリーナはーい。すぐ追いつくわ。ほら、カーリャも行くわよ。
カーリャ…………っ。
ミリーナカーリャ ?
カーリャぷるぷるぷるぷるっ ! !
ミリーナちょっ。どうしちゃったの ! ?
イクスすごい震えてる……ってことは、まさか !ミリーナ、急ぐぞ ! こっちだ ! !
光魔……ウゥ~……ハルルルルル。
イクスはぁ……はぁ……。くそ、逃げ切れなかったか。
ミリーナ囲まれたわね……。
カーリャどうしましょう。逃げる場所もありませんよ。
イクスどうするって……このままじゃまずいんだ。やるしかないだろ !
イクス――はぁぁぁっ ! !
光魔ギャウゥッ ! !
イクスミリーナ !
ミリーナうん !
Msc_004_001_speaker01ギァァァァァッ… !
Msc_004_001_speaker01……ウゥ~……ハルルルルル。
イクス……やっぱりそう簡単にいかないよな。くそっ……。だけど俺だって……。
? ? ?さがって ! ここはオレが !
イクスえっ ?
Msc_004_001_speaker02てやぁっ !
Msc_004_001_speaker01ギャウゥッ ! !
イクス
Msc_004_001_speaker02たたみ掛ける ! 天滝破 !
Msc_004_001_speaker01ギァァァァァッ… !
ミリーナイクス ! あの人、鏡映点よ !
イクス本当だ ! えっと、あのっ ! !俺は……
Msc_004_001_speaker02自己紹介はあと !今は一気に蹴散らす ! !
イクス! はいっ !なら俺たちも協力します !
スレイありがとう。けど、無茶はしないようにね ?
一同はい !

キャラクター2話 【4-2 バルトロ密林 奥地】
ミリーナ――つまり話をまとめるとここは鏡映点であるスレイさんの心や記憶を元に具現化された大地。
カーリャスレイさまが暮らしてたっていう「グリーンウッド」を写したわけです。
スレイ……そっか。それで、さっきの魔物が光魔。本当に凄いことになってるんだな。
イクスごめん、混乱させちゃうよな。
スレイどうかな。自分でもよくわからないや。でも、イクスたちがやってることの意味はちゃんと理解できたと思う。
スレイみんなはこれから光魔の鏡を探すんだよね ?
イクスそうなるな。放っておくわけにはいかないし。
ミリーナ光魔は普通の人も襲うからなるべく早く封印しないといけないものね。
スレイだったら、光魔の鏡を封印するまでオレも一緒について行っちゃダメかな ?
ミリーナスレイさんが来てくれたら私たちは助かりますけど……。
スレイこれからどうするか決めるにはまずはこの土地がどうなってるかちゃんと知ることが先決だと思うんだ。
スレイ一人じゃないほうがオレも色々助かるしイクスたちの使命をオレも手伝いたい。
イクススレイ……。
スレイ森で迷っていたところを助けてくれたお礼もちゃんとしたいからね。
イクスそんな、お礼だなんて。けど……ありがとう。よろしくお願いするよ。
ミリーナよろしくお願いします。
スレイうん ! 改めてよろしく ! !カーリャもね !
カーリャもちろんですよ !
イクスそれじゃあ光魔の鏡の捜索開始だな。カーリャ、何か反応はあるか ?
カーリャこの先からちょいぷるっと感じます。
イクス光魔がいるってことか。となると、光魔の発生源である光魔の鏡もこの先のはず。
ミリーナけど山の斜面が急すぎて登れないわ。別のルートを探してみる ?
スレイ! いや、ちょっと待って。
イクススレイ、どうかしたのか ?
スレイここ。石像がある。ほら、あっちにも。
イクス本当だ。全然気付かなかった。
スレイわざとわかりにくい場所に置かれているんだと思う。きっと何かあるはずだ。
カーリャ何か、ですか ?
スレイたぶん昔の人が使っていた秘密の通路、地下遺跡だね。まだ断定はできないけどうまくいけば山の反対側にでられるかもしれない。
イクス地下遺跡 ! ? 行ってみる価値はありそうだけど大丈夫かな……。
イクス俺、海や森で遭難したときの知識はあるけど遺跡でのサバイバル術は全然だし……。
スレイそれならオレに任せて。
イクススレイ ?
スレイさあ。出発だ。

キャラクター3話 【4-5 密林の大遺跡 入口】
ミリーナかなり大きい遺跡ね。
イクス見たことない規模だな。一体どこまで広がってるんだ ?
スレイ………。
スレイ(この遺跡の造り……)
イクスん ? スレイ ?
カーリャおっ !
ミリーナカーリャ、どうしたの ?
カーリャブルブルっときました !この遺跡の奥にたくさん光魔が潜んでるっぽいですよ !
イクス光魔が……。となると戦いは避けられない、けど……。
スレイ? あ、ごめんごめん。オレはまた光魔と戦うことになっても大丈夫だよ。イクスはどうしたい ?
イクスありがとう。スレイが大丈夫なら他に迂回ルートもなさそうだし通り抜けて行ったほうがいいと思う。
イクスあっ。でも、遺跡が崩れる可能性も……。
スレイその心配はいらないと思うな。
イクスえ ? そうなのか ?
スレイこの遺跡の石組はかなり丈夫だからほら、ここの壁。ヒビ1つないだろ ?衝撃に強い石を使ってる証拠だよ。
スレイもちろん、地震が起きたりしたらわからないけど。
ミリーナちょっとやそっとじゃ崩れないってことね。
スレイそういうこと。
イクスすごいな。そんなに遺跡に詳しかったのか。
スレイ詳しいって言い切れるかわからないけどグリンウッド大陸には、あちこちに古代の遺跡が沢山残ってたからね。
ミリーナ元の世界での経験や知識が役に立っているのね。
カーリャとにかく、スレイさまが大丈夫って言うなら安心ですね !
カーリャではではー、気を取り直して遺跡探検を再開しましょー !
スレイ遺跡探検。
イクス
スレイ……うん、みんな気を付けて進もう !ここはオレが先導するよ。
ミリーナお願いします、スレイさん。
イクス…… ?

キャラクター4話 【4-6 密林の大遺跡 通路】
ミリーナ……ここ、なんだか変わった造りね。他の場所とは違う印象だわ。
イクス言われてみれば。なにか特別な場所だったのかもな。
スレイ二人とも、気になるの ?
ミリーナあ、はい。遺跡ってあまりじっくり見たことなかったけどここは特に大きいから。
カーリャ異世界のものだとしても「古代の神秘」を感じずにはいられませんね !
イクスちょっとおおげさだけど確かに知的好奇心はくすぐられるよな。俺ももっと遺跡について学んでおくべきだったよ。
スレイ……よし !みんな、ちょっとだけ待ってて。
ミリーナえ ? スレイさん ?
スレイこの辺だけ……間違いないとして……繋ぎ目はしっかりして……。
スレイだとすると……かな……。意匠のモチーフは……。
カーリャなんかすごく熱心に、遺跡を調べてますね。
スレイお待たせ !この辺が他の場所とは違う理由大体わかったよ !
スレイここは他より造られた時代が古いみたいなんだ。
イクス……ここだけ古い ?そんなふうには感じないけど。
スレイたとえば……そうだな。ここの壁を見てみて。
スレイ風化の度合いが他より強いんだよ。あと装飾の題材は同じ「花」なんだけど周りの方が繊細で状態も良いから。
イクス……うわぁ ! ホントだ !よくみたら全然違うな !
スレイ他にも、この辺に合わせて周りを造り足したような痕跡もあったし多分、間違いないんじゃないかな。
カーリャすごいですね、考古学者みたいですよ。
ミリーナスレイさんの遺跡の詳しさには驚かされっぱなしよね。
イクス遺跡に入ってからのスレイはちょっと楽しそうだしな。
スレイえっと、実はオレ……。
スレイこういう遺跡を探検するのがずっと好きだったんだ。
スレイ子供の頃から、いつも親友と二人で里の近くにあった遺跡で遊んだりしてた。
イクス(スレイの親友……)
ミリーナ(どんな人かな……)
スレイいつか世界中の遺跡を探検しようって話してたし、どっちがすごい発見をするかいつも競争してたから、それで自然とね。
イクス世界中の遺跡を……。
スレイオレの話はこんなとこだよ。それより時間取っちゃってごめん。早く先に進もう !
ミリーナスレイさんがあんなに遺跡好きだったなんてね。
カーリャどうりでこんなすごい遺跡が具現化されちゃうわけですよ。
イクス具現化……あっ。
ミリーナイクス ? どうかしたの ?
イクスちょっと確認。遺跡の造りのことだけど、元の世界のものが完璧には具現化されていないなら異なる遺跡が混ざった形で具現化してたりもするのか ?
ミリーナええ。その可能性は、十分に……。
イクス…………。
カーリャなんですか ? 急に黙っちゃって。
イクスカーリャは自分の大好きなお菓子がへんてこな形に改造されて目の前に出されたらどう思う ?
カーリャ穴がないドーナッツみたいなことですか ?カーリャは美味しかったら満足ですけどそんなのドーナッツじゃないって思いますね !
イクスいまのスレイもそんな気持ちなんじゃないかって思ってさ。『元のもの』とは違うんだから。
ミリーナ……スレイさん、やっぱり気にしてるかな。さっき話してくれた遺跡探検や幼馴染みのこともスレイさんにとって凄く大切なことのように感じたし。
イクス……うん。スレイの気持ちは分からないけどでも……申し訳ない気持ちだよ。大切な物を土足で踏みにじったみたいでさ……。

キャラクター5話 【4-7 密林の大遺跡 大広間】
スレイこれで決める ! 氷月翔閃ッ ! !
Msc_004_005_speaker01ギァァァァァッ…… !
イクスふう……。
ミリーナ終わったね。
スレイうん、みんなお疲れ !戦闘も続いたし、少し休まないか ?
ミリーナそうですね、遺跡に入ってから歩きっぱなしだったし。
イクスカーリャ、もう近くに光魔はいないよな ?
カーリャはいー、大丈夫だと思いますー。
イクス光魔の鏡を見つけるまではもう少しかかりそうだな。
カーリャちゃんと近づいてはいますよ。多分ですけど。
ミリーナみんな、おやつよ。また光魔と戦いになるかもしれないしいまのうちに食べちゃいましょう。
カーリャわーい ! おやつです~♪
イクスありがとう、ミリーナ。スレイも一緒に――あれ ? スレイは ?
カーリャあっ ! あっちで一人本を読んでいますよ !おーい、スレイさま~ !
スレイ……うん ?
イクススレイ。ミリーナがおやつを作ってくれたんだ。こっちにきて一緒に食べないか ?
スレイえっ ? オレもいいの ?
ミリーナもちろんですよ。
イクスごめん、本に集中していたかったかな ?
スレイあ、いや。そうじゃなくてほら……光魔って鏡映点に集まってくるだろ。
スレイもしいきなり光魔が襲ってきたらオレの近くにいたイクスたちも巻き添えになっちゃうからさ。
イクススレイ、だから一人離れて……。
ミリーナ……スレイさん、ごめんなさい。
イクスごめん。俺たちの方がスレイを巻き込んでるのに。
スレイあっ。オレの方こそ気を遣わせちゃってごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。
スレイイクスやミリーナが謝ることないよ。オレは全然気にしてないし元の世界でも似たような感じだったから。
イクス元の世界でも ?
ミリーナどういうことですか ?
スレイえーっと、オレがいた世界にも憑魔っていう危険な魔物がいたんだ。オレはその憑魔に狙われやすくて。
カーリャひょうま…… ?
イクス……スレイ、もしよければ詳しく聞かせてくれないか ?
スレイうん。ちょっと長くなっちゃうけど――
イクスなるほど。浄化の力を授かりし導師、か。
カーリャ人でもなんでも魔物になっちゃうなんて怖いですね。
ミリーナそんな世界でスレイさんは人々を救う旅をされてたんですね。
スレイはは、ちょっと大袈裟に言っちゃったかもしれないけどね。まあ、そんな感じなのかな。
イクス旅は、やっぱり大変だったよな ?
スレイもちろん楽じゃなかったよ。導師は世界でオレ一人だったし。
イクススレイだけ ! ?責任重大じゃないか……。俺だったらきっと堪えられない……。
スレイ仲間がいてくれたから、全然辛くはなかったけどね。旅の途中に楽しいことも沢山あったよ。
イクス……戦いの腕前もそうだけどスレイには見習うことが多いな。
スレイはは、ありがとうイクス。でも、みんなだってすごく頑張ってるじゃないか。
スレイ「このままじゃ世界が消えてしまう」そんな危機に立ち向かうなんて誰にでもできることじゃないよ。
スレイだから、むしろオレの方がちゃんと手伝わないといけない。
スレイこの島の光魔の鏡一刻も早く探し出さなきゃな !
カーリャ冒険再開ですか ?
イクス休憩もおやつも十分取れたからな。出発しよう。
スレイうん !

キャラクター6話 【4-10 密林の大遺跡 最深部】
ミリーナかなり歩いてきたはずだけどなかなか出口が見えないね。
カーリャほんとこの遺跡広すぎですー。
スレイうーん……。
スレイあと少しで抜けられると思うからもうひと踏ん張りだよ。
イクスそんなことまでわかるのか。
スレイなんとなくだけど遺跡の通路と部屋の並び的にね。そろそろ一番奥まで来てるんじゃないかな。
ミリーナふふ、スレイさんがそう言うなら頑張らないといけないですね。
カーリャはい ! 光魔の鏡まではまだちょっと距離がありそうなのでみなさんがんばりましょうー。
スレイ…………。
イクススレイ ? どうかしたのか ?
スレイあ、うん。大したことじゃないんだけど――
スレイやっぱりここはオレから生まれた場所なんだなって思って。
イクス……ああ。その通りだ。ごめん、スレイ。
ミリーナ…………。
スレイあ、ごめん今変なこと言っちゃったかも !みんな気にしないで !
イクスいや、でも――
スレイほんと、大したことじゃないんだ。
スレイ……ここまで来る間にさ何カ所か「オレが見たかった遺跡」があるなって思ってて、それでちょっと。
イクススレイが見たかった遺跡 ?
スレイえーっと、「元の世界のオレ」が文献を読んで、いつか見てみたいと思ってた珍しい遺跡のことだよ。
スレイさっき少し話したけど、オレ遺跡探検が好きなんだ。それで色々古い書物も読んだりしてて。
ミリーナじゃあスレイさん、この遺跡には――
スレイうん。いくつかの遺跡が混ざってるんだと思う。
スレイ元のオレが実際に行ったことのある遺跡。いつか見てみたいと思ってた遺跡。色々だね。
スレイそういうことが起こるんだよね ?鏡映点から具現化された大地には。
イクス……ああ。スレイの世界がそっくりそのまま具現化されるわけじゃないから。
スレイやっぱり。あ ! でもあそこはそうじゃないよ ?
イクスえ ?
スレイ最初にミリーナが気にしてた場所 !あっちは別に混ざってなくて本当にちゃんと年代が違ってたから !
ミリーナ遺跡に入ってすぐのところですよね。古い部分と、それよりは新しい部分で遺跡の造りが違っていたところ。
スレイそう ! あそこはちゃんと一つの遺跡でみんなに言ったことは間違いじゃないから。
イクスああ、うん。それは大丈夫なんだけど……。
イクススレイ、俺たちに気を遣って無理してないか ?
スレイ? オレはなんにも !むしろちょっと楽しんじゃってたくらい。
イクスそう、なのか ?
スレイこんな体験、元の世界では絶対にできないからね。正直、遺跡に入ってからワクワクしっぱなしだった。
スレイそれよりごめん、また時間取っちゃって。もうすぐ遺跡を抜けるはずだから。さあ、先へ進もう !
イクスあ、ああ。
ミリーナちょっと意外な反応だったね。
イクス……だよな。けど、すごく自然体だった。
イクススレイは「今の自分」をどう思ってるんだろな。……それだけじゃないんだ。こんな状況でもどうして、あんな風にいられるのか……。
スレイみんな ! 出口だ !外に出られるぞ ! !
カーリャやりましたね !ここまで長かったですよぉ !
ミリーナイクス、私たちも行きましょう。
イクスああ、そうだな。スレイに遅れないように。

キャラクター7話 【4-11 ゼンライ山道 入口】
イクスはぁっ……くっ……。凄くキツい山道だな。
光魔……ウゥ~……ハルルルルル
ミリーナ! ここにも光魔が !
スレイはぁぁっ ! !
光魔ギァァァァァッ… !
スレイ……よし。みんな、怪我はない ?
ミリーナありがとう、スレイさん。私たちはまだ大丈夫よ。
イクススレイはさすがだな。こんな山道での連戦でもまだ余裕がある。
スレイオレって山育ちだから。みんなより少し慣れてるだけだよ。
スレイそうだ。この先に光魔がいないかオレ、ちょっと確認してくるよ。
イクスそれなら俺も……。
スレイすぐ戻るから心配しないで。みんなはここで休んでて。
イクスああ。うん、わかった。

キャラクター8話 【4-13 ゼンライ山道 頂上付近】
ミリーナスレイさんはまだまだ余裕そうだったわね。
イクスすごいよな。強くて、博識で、おまけに優しくて。あれで俺とほとんど同い年なんだぜ ?
イクスあれこそが「世界を救う役目」を担うに相応しい人物だよなって思ったよ。
イクス俺も、スレイみたいになれるかな……。
ミリーナ今のイクスだって十分凄いよ。それこそ「世界を救う役目」を担うに相応しい人物。だからゲフィオン様だって任せてくれたんだと思うな。
イクス俺なんてまだまだだよ。なんていうんだろ……スレイは安定感があるだろ ?
イクススレイを見てると思うんだ。「世界を救う役目」を持つ人間として俺は、器が小さいんじゃないかって――
スレイオレはそんなに大したヤツじゃないよ。
ミリーナスレイさん。
イクスえっ……もしかして。
スレイごめん、聞こえちゃった。
イクスいや……別にいいんだ。ちょっと恥ずかしいけど。
スレイイクス、聞いて。イクスの器は小さくないよ。
スレイイクスはイクス、なんだし。
イクス……俺は俺 ?
イクスそういうものかな。正直俺は、そう簡単に割り切れ――
スレイうん、それならそれで良いと思う。
イクスえ ? けど、こういうのが器の大きさに関係してたりするんじゃ……。
スレイあんまり関係ないと思うな。極端な話、なんだっていいんだよ。
スレイイクスにとって、一番大切で好きなことが何なのかそれを忘れさえしなければ。
イクス一番大切で好きなこと…… ?
スレイオレが導師になって旅に出ようって思ったのは――
スレイ里や仲間のみんなに、平和に仲良く暮らしてほしかったからなんだ。一言でぎゅっとまとめるとね。
イクス……。
スレイでもそのために「憑魔を浄化しよう」とか「もっと強くなろう」って目標に夢中になりすぎると――
スレイ本当に自分がしたかったことが何なのかいつの間にか薄れちゃうんだよね。
ミリーナ何となくですけど、わかります。あくまで手段だったことが目的にすり替わっちゃうってこと……。
スレイうん。そうなると、他にも色んなことが上手くいかなくなっていってすごく悩んで、苦しむことになる。
スレイオレ、そうなりかけたことがあってその時、親友と仲間が言ってくれたんだ。お前がしたいことは何なんだってさ。
ミリーナスレイさんにも、そんなことが……。
スレイイクスが本当にしたいことってさ「世界を救うこと」じゃないよね ?前に、オレもよく考えたらそうだった。
イクスそれはそう……だな。俺にとっての「一番大切で好きなこと」か……。
イクス俺はミリーナが心配で……それにセールンドの人たちも守りたくて普通の日々が失われて欲しくなくて……。
ミリーナ……イクス。
スレイ多分ほとんどの人がそうなんだ。一番大切なことって、大体は自分の身近にいる人のことだから。
二人……身近にいる人。
スレイそれを忘れたり、誤魔化したりしなければ性格とか物事の考え方とかは人それぞれで良いんだと思う。
スレイすっごくエラそうなこと言ってるけど……。
イクスそんなことはない。ありがとう、スレイ。……って、ありがとうって言ってばかりだな。
ミリーナふふ。そうだね。
イクスよし ! 行こう、スレイ。時間を取らせてごめん。
スレイ全然だよ。オレたち、仲間じゃないか。
イクス仲間…… !ああ ! そうだな !
スレイさあ ! 光魔の鏡まであと少しだ !

キャラクター9話 【4-14 ゼンライ山道 頂上】
カーリャぶるぶるぶるぶる !ようやく見つけましたよ !
スレイあれが、光魔の鏡……。
ミリーナいつも通り、すごい数の光魔ね。
イクス戦ってる最中にもわき出て来るだろうな。
Msc_004_009_speaker01……ウゥ~……ハルルルルル。
スレイどう攻める ?
イクスまずは俺が前に――
イクス…………。
イクスいや、いまの俺じゃ厳しい……。それにどれだけ効率よく戦っても長期戦は避けられない。
イクス地の利も得られないこの状況で最短で目的を果たすには……。
イクススレイ ! 一人で突っ込んで、思いっきり暴れてほしい !
スレイ……了解 !光魔たちを、ひたすら引っかき回せばいいんだな !
イクスミリーナはスレイの動きに合わせて援護を !
ミリーナわかった、任せて !
Msc_004_009_speaker01……ウゥ~……ハルルルルル
スレイ追撃はよろしく、イクス !うおぉぉぉぉぉっ ! !
スレイ手加減なしだ !
Msc_004_009_speaker01ギャゥッ !
スレイ次ッ ! !
Msc_004_009_speaker01グギャァッ ! !
ミリーナえいっ ! !
Msc_004_009_speaker01ギァァァァァッ… !
イクス今だ ! !
Msc_004_009_speaker01ギャゥッ !
Msc_004_009_speaker01ギァァァァァッ… !
イクスよし !
スレイどんどん行くよ、ミリーナ !
ミリーナはい ! !
ミリーナはぁぁぁ ! !
Msc_004_009_speaker01グギャァッ ! !
スレイ一気にたたみかける !
Msc_004_009_speaker01ギァァァァァッ… !
イクスいいリズムだ !このまま行こう、スレイ、ミリーナ !
ミリーナうん ! !
スレイ油断せず、どんどん行くぞ !

キャラクター10話 【4-14 ゼンライ山道 頂上】
イクス……よし、終わったよ。
スレイよかった。これで光魔が出てくることはなくなるんだね。
ミリーナありがとうございました。スレイさんのおかげです。
スレイそんなことないよ。みんなで頑張ったから勝てたんだし。
イクスいや、スレイに一番キツイ役目を負ってもらったのは確かだ。
イクスここまでくる間にも、スレイに頼ってた面がかなり大きかったしさ。
カーリャスレイさま、かっこよかったですよね !さすが導師って感じですよ !
スレイえっと、そこまで言われるとちょっと照れ臭いけど――
スレイ役に立てたんならよかったよ。オレもみんなにはすっごく助けてもらったし少しは恩が返せたかな。
イクスえっ……スレイが ?
ミリーナ私たちは助けてもらったけど……。
スレイだって、何も知らなかったオレに色々教えてくれて、親切にしてくれたでしょ。
スレイ森で迷子になってるところも助けてくれたしオレの遺跡話にも付き合ってくれたしあと、おやつだってわけてくれた。
スレイほら。こんなにたくさんある。
ミリーナ言われてみればそうだけど……。
イクスうん。ちょっと変な気がする……。
スレイえ、そうかな ?でも、実際にオレかなり助かったんだけど……。
イクス……ふふ。いや、きっとそういうところがスレイなんだろうな。いかにも導師らしいよ。
スレイむ、それって全然褒めてないだろ、イクス。
イクスそりゃあ、スレイが変わってるからね。元の世界でも言われなかったか ?
スレイ………………。
ミリーナ(言われてたんだ……)
カーリャ(言われてたんですね)
スレイあーもう ! とにかく !お互い助かったんならよかったよ !
イクスははっ ! うん、スレイの言うとおりだ。
イクスそれでスレイ。できたらこれからも俺たちに力を貸してほしいんだ。
イクス一緒に来てくれないか ?
スレイ……うん ! もちろん一緒に行くよ !このティル・ナ・ノーグを全部回ってみたいしね !
イクスありがとう。また一緒に冒険しよう !
スレイだな !
ミリーナよかったね、イクス。また、心強い仲間が増えて。
イクスうん。スレイの傍で色々勉強したいよ。それで……いつか俺もスレイみたいになれるといいなって……。
イクス(はっきりとした『自分の気持ち』を俺にとって『一番大切なもの』を迷いなく定められるように……)
イクスこの旅が終わるまでには、きっと…… !

キャラクター10話 【4-14 ゼンライ山道 頂上】
ゲフィオン今回も無事具現化世界を安定化できたようだな。
イクスはい。光魔との戦いは相変わらずですが何とか。
ゲフィオンふむ……慣れてきた様子ではあるが……やや、疲れがあるように見えるな。
イクスいえ ! そんなことはありません。
ゲフィオン無理をするな。次の具現化の前に少しセールンドで養生していくといい。
ミリーナでも、時間が……。
ゲフィオン確かに猶予は無い。だが、お前たちに倒れられては元も子もない。
ゲフィオンこれも任務の内──そう思え。
イクス……わかりました。お心遣い、ありがとうございます。
イクスふぅ……。ゲフィオン様の言う通り……。確かに立て続けの具現化で落ち着く時間はなかったかもな……。
イクス具現化の旅……か。
イクス少しは鏡士として成長できてるのかな。もっと手ごわい光魔が出てきたとしても俺、うまく戦えるんだろうか……。
ミリーナきゃぁぁぁぁぁぁぁっ ! !
イクス! ?
イクス今のは……ミリーナの悲鳴 ! ?ミリーナ !
イクスミリーナ ! ? どうした ! ?
ミリーナ……あ、イクス……。
ミリーナごめんね、起こしちゃった ?心配して来てくれたんだ……ありがとう。
イクス顔色が悪いけど大丈夫か ?
ミリーナ大丈夫だよ。なんでもないの。ちょっとだけ、変な夢を……見ただけだから。
イクス……あんな悲鳴を聞いてちょっとした夢だなんて、思えないって。
ミリーナ……。
イクスちゃんと、話してくれよ。聞くからさ。
ミリーナイクス……ありがとう……。うん。聞いて……もらおうかな……。
ミリーナ……怖い夢を見たの。ティル・ナ・ノーグが滅びる夢。
ミリーナ大陸や島がキラキラ光って住んでいた人たちも一緒に光る砂になるの。
ミリーナさっきまで笑って話してた人たちが跡形も無く消えてしまって……。
カーリャ……それ【滅びの夢】じゃないですか ?
イクス滅びの夢…… ?なんだ、それ ?
カーリャ昼間、ミリーナさまと買い出しに出たときに市場で聞いたんです。最近みんな、世界が滅びる夢を見てるんだって。
ミリーナあれが……滅びの夢なのかわからないけどでも……悲惨な夢だった……。
ミリーナ触れていたものが砂になって消える感触がまだ手に残ってる……。
ミリーナ……何かの暗示なんじゃないかって凄く怖くて……。
イクス……………………。
イクス……あんまり気にしない方がいいよ。
イクス街の人たちが話してたことが、頭の中に残っててその影響で変な夢を見ただけって可能性もあるんだし。
イクスそれに、疲れも溜まってただろ ?誰だって疲れた時には変な夢を見るさ。
ミリーナそう、かな……。ただの夢だと思っていいのかな……。
イクスそうそう、ただの夢だよ。ミリーナは、心配性だな。
ミリーナふふ……イクスに心配性って言われるなんて思わなかった。
イクスお、俺はそんなに心配性じゃないぞ。慎重に考えることは、そりゃあるけど……。
ミリーナ……イクス。本当は私の話を聞いたとき色々、不安なことを考えたでしょ ?
イクスえっと……それは……。
ミリーナでも、言わないでくれたんだよね。
イクス……そうだよ。……良くないことの暗示とか何かの前触れ、とか……色々考えた。
イクスけど、確証もない話でミリーナを不安にさせてもしょうがないだろ。確かめようもないしさ。
ミリーナ──ありがとう。イクスのその気持ちで元気になれたよ。
ミリーナそうだよね──夢は、夢だよね。気にしすぎてもしょうがないよね !
イクスそっか。それなら、よかったよ。──ゆっくり眠れそうか ?
ミリーナうん。大丈夫。ごめんね。イクス。おやすみ。
イクスああ。おやすみ、ミリーナ。また明日から、頑張ろう。
イクスみんなが見る……滅びの夢、か。一体、何なんだ…… ?
キャラクター1話 【5-1 果樹園】
イクスよし。光魔に気をつけつつ、先を急ごう。目的地の街までもうひと踏ん張りだ。
ミリーナその街に鏡映点がいる筈なのよね。今回は黒髪の男の子だったけど、どんな人なのかな。
イクス穏やかそうな印象だったし、本を持ってたから俺と同じで本が好きなのかもしれないぞ。街に着いたらまず図書館から捜してみよう。
ミリーナ見て ! 街が見えてきたわよ !
イクスカーリャ、何か反応はあるか ?
カーリャアァァァァ…………もう、ダメです……。
イクスど、どうしたんだよ。具合でも悪いのか ?
イクスハッ……まさかこの大陸の空気は鏡精にとって毒だったり ! ?
カーリャカーリャは……お腹と背中が……くっつきそうです……。
ミリーナふふっ。お腹がすいただけみたいだね。
イクス……なんだよ。心配して損した。というか、さっきおやつ食べたばっかりだろ。
カーリャあはは~みてくださいよ~。地面にサラダが敷き詰められていますよ~。すごく美味しそうです~。
ミリーナちょっとカーリャ ! それはただの芝生よ !
イクスいくら腹が減っているからってそこらへんに生えているものは食べちゃダメだぞ !それこそ毒があるかもしれないんだからな !
カーリャ毒……ぷ、ぷ……ぷるっ ! !
イクスお、おいおい。そんなに怖がることは――
カーリャち、違いますよ……この反応 !
光魔…ウゥ~…ハルルルルル。
イクス光魔 ! ?
ミリーナ見て ! あそこで誰かが囲まれてる !
イクスあの人……鏡映点じゃないか !なんだか防戦一方で苦戦してるみたいだぞ !はやく助けないと !
ジュードうん……やっぱり。だいぶわかってきた……。
イクスさがって ! ここは俺たちが !
ジュードあなたたちは……。あ、いや……かばってくれてありがとう。けど大丈夫、僕も戦えるから。
イクスえっ……そうなのか ! ?だって武器も持っていないし――
ミリーナ二人とも ! 危ない ! !
イクス――なっ ! !
ジュード――ハッ ! !
イクスす、すごい……。一瞬で光魔をまとめて……格闘術の使い手だったのか。
ジュードあはは……えっと、これは護身術なんだけどね。
イクスそれが護身術 ! ?い、いや……それよりも今は光魔に集中だ !
ジュード光魔……か。うん、わかった。いまはとにかくこいつらを倒そう。
イクスああ ! いくぞ ! !

キャラクター2話 【5-2 果樹園の村】
ジュード……それにしても、消えてしまった大陸を具現化させて、世界を甦らせようとするなんて、大変な旅だね。
イクス具現化して終わりって訳でもないからさ。鏡映点であるジュードと無事に合流できてよかったよ。
ミリーナそれにしてもビックリしたよね。ジュードさんがあんなに強かったなんて。
イクスああ。苦戦しているのかと思って助けに駆けつけたけどむしろ俺たちの方が助けられたもんな。
ジュード誤解させちゃったみたいだね。あれはあえて攻撃せず光魔を観察していたんだ。
イクス光魔を ? いったいどうして ?
ジュード実は……この先の村でお世話になったんだけど自警団の人たちが謎の腹痛で倒れたんだ。
ジュードみんなもう体調はよくなったけど……いまだに原因がわかっていない。
イクスもしかしてその原因が光魔なのか ! ?
ジュードどうだろう。けど、事件が起こる数日前から村周辺に光魔がうろつきはじめたらしい。無関係だとも思えない。
ミリーナつまりジュードさんが光魔を観察していたのはその事件の原因を探るためだったのね。
ジュードうん。まずは光魔の習性や特殊な能力普通の魔物との決定的な違いを分析するところから始めてみようと思ったんだ。
ジュード再発防止のためにも原因は突き止めておきたいからね。
イクス確かに……。もし他の街でも同じようなことが起きたら大変だ。そのうえ運悪く光魔が押し寄せてきたら街が壊滅しかねない !
イクスど、どうしよう……何とかしないと。光魔が関わっているなら俺たちにも責任があるわけだし……。
ミリーナイクス、焦らないで。まずは落ち着こう ?
ジュードねぇ、さっきの話だと、イクスたちは光魔の発生源である\"光魔の鏡\"を発見し破壊する役目が残っているんだよね。
ジュードよければ僕も手伝わせてくれない ?
イクスえっ……いいのか ?
ジュードもちろん。まずは光魔の増殖を防がないと。それに、光魔の鏡を探していれば何か手がかりが掴めるかもしれないからね。
ジュードお互いに今やるべきことは一緒なんだ。せっかくだし協力し合っていこうよ。
イクス……ジュード、ありがとう。やっぱり、さすが鏡映点だな。強いし頼りになるし頭もいいし……尊敬するよ。
ジュードそんな……なんだか照れちゃうな。僕はごく普通の医学生なんだけど。
カーリャさあ ! ! 雑談はそこまでにしてはやく光魔の鏡を探しに行きましょう !カーリャがぷるっと見つけてやりますよ ! !
ジュードうん、頼りにしているね。この広い大陸で闇雲に探すのは得策じゃない。鏡精であるカーリャに光魔の鏡を感知する能力があってよかったよ。
ミリーナけどその前に一度、街に向かわない ?情報収集や買い物もしたいし。
ジュードそうだね。僕が調べたことも共有するよ。食事を取りながら話そう。
イクス食事といえば……カーリャ、やけに元気だな。ついさっきまで腹ペコでへばってたのに。
カーリャ……ギクッ。
イクスまさかそこらへんにあるものを勝手に食べたわけじゃないよな ?
カーリャそ、そそ……そんなことするわけないじゃないですか !美味しそうな木の実が落ちていたからってカーリャは食べたりしませんよ !
ジュード……木の実、食べたんだね。
ミリーナ口の周りにも果肉がついてるよ。いまハンカチで綺麗にしてあげるね。
カーリャんんっ…………ぷはっ !ありがとうございます、ミリーナさま !あっ……けど木の実は食べてないですからね !
イクスはぁ……ひとまず先に進むとするか。
カーリャはい ! 出発です♪

キャラクター2話 【5-2 果樹園の村】
イクスジュードってやっぱり強いよな。けっこう体もがっしりしてるし……。医学生って勉強漬けなのかと思ってたんだけど。
ジュード幼なじみと一緒に武術を教わっていたからだよ。あの頃はよくボコボコにされたなぁ……。
イクスえ ! ? ジュードをボコボコにするって相当な強さだな ! ? 筋肉ムキムキ系とか……。
ジュードはは……女の子なんだけどね……。
イクス筋肉ムキムキの女の子 ! ?
ミリーナちょっと格好いいかも……。私、強い女の人に憧れてるから……。
ジュード二人とも何か誤解してない ! ?
カーリャム……。
ジュードカーリャ ?
カーリャムグゥゥ……お、お腹が……。く、苦しい……です……。
ミリーナカーリャ ! ? 大丈夫 ! ?すごい汗……熱まであるじゃない !
ジュードこの症状……ちょっと診せて !
カーリャ……喉が……渇きました……。お、お水を……。
ミリーナ待ってて、今、飲ませてあげるからね。
ジュードうん……やっぱりだ。この発熱と口渇……村で発生した腹痛の症状と完全に一致する !
イクスそんな ! なんでカーリャが ! ?
ジュード―― !
カーリャム、ぐぐぅ…………うぅ……。
ジュードよし。治癒術が効いてくれた。対症療法だけどこれで痛みは和らぐはず。
カーリャあ、ありがとう……ございます……。
ミリーナよかった……。けど……どうしてカーリャが。
イクスもしかして……。カーリャ、怒らないから話して欲しい。さっき、本当は木の実を拾って食べたんだよな ?
カーリャ……は、はい。
ジュードどんな木の実だった ?
カーリャに……虹色に……きらきらしてる…ブドウみたいな……。
イクスその特徴だと……ダメンジの実だな。
ジュードダメンジの実 ?ごめん、聞いたことがないんだけど……。
ミリーナ私たちの世界にはあるんだけどジュードさんの世界にはないものなんだと思うな。これも恐らく、エンコードの影響。
ミリーナ異世界の物理法則なんかを、そのままこの世界に持ち込むと、色々な問題が発生する可能性が高いの。
ミリーナだから異世界の様々な法則は、この世界の法則に上書きされて具現化されるのよ。
イクスそれに、この大陸の構成要素中に俺たちの世界の構成要素が混ざることもある。ダメンジの実もその一つなんだろうな……。
ジュードエンコードか……。うん、わかったよ。それでダメンジの実っていうのはどんな木の実なの ?
イクスダメンジの実は、見た目は綺麗だし香りも味もいいんだけど毒があるのが特徴なんだ。
イクスカーリャの症状と『絶対に食べてはならないモノ百科』に書いてあったダメンジの実の中毒症状にも一致している。
ジュードということは村の人たちもダメンジの実で腹痛になったのかな……。
イクスあれ、けど……おかしいぞ。このあたりの自然環境でダメンジの実が育つ筈がないのに……。
ミリーナカーリャは落ちてたって言ってたよね。
ジュード何者かがダメンジの実を村の自警団に届けた。その道中に落としたものをカーリャが食べた。これなら説明がつく。
イクスダメンジの実はあまり一般的ではないんだ。普通の人なら毒があるなんて思いもしない筈。机に置かれていたら何の疑いもなく食べるだろうな。
イクスもしこの推測が正しいとしたら一体誰が、何のためにこんなことを……。
ジュードもしかして落ちていたダメンジの実も……。
イクス……ジュード ? どうかしたのか ?
ジュードいや、何でもないよ。それよりもダメンジの実の解毒方法は知ってる ?
イクスごめん、そこまでは……。ただ、俺が読んだ本には書いてなかっただけで解毒方法は解明されている筈だけど……。
ミリーナ街までもう少しだし、きっと図書館もある筈よね。到着したらみんなで調べてみない ?
ジュードそうだね。はやくカーリャを治してあげないと。

キャラクター3話 【5-2 果樹園の村】
ジュード司書の人に事情を話したら図書館を開けてもらえることになったよ。
イクスよかった。これでダメンジの実の解毒方法を調べられるな。
ミリーナそれにしてもここの図書館は大きいね。蔵書もたくさんありそう。
イクスオーデンセの図書館とは比較にならない規模だもんな。ここの図書館だったら蔵書を読み尽くすのも一筋縄ではいかなそうだよ。
ジュードイクス、図書館の本を読み尽くしたことがあるの ! ?凄いじゃない !
イクスそんなことないって。あそこは規模も小さかったし。鏡士の修行を禁止されて、一時期凄く退屈だったんだ。暇つぶしに読んでたら、読み尽くしてたってだけだよ。
イクスそれに、俺、本が好きでさ。文字を追ってるとなんだか落ち着くんだよな。
ジュードあ、それ何だかわかる気がするよ。本を読んでいると知識が増えていくでしょ。その予備知識が安心感に繋がることも多いよね。
イクスそう、そうなんだよ !知識はいくらあっても損することはないしさ。本はやっぱりいいよな。
ミリーナふふっ。二人とも読書好きで気が合うみたいね。
ジュードあっ……司書の人が入っていいって。それじゃあダメンジの実の解毒方法を調べようか。
イクスああ ! カーリャのために !
ミリーナうん、頑張ろう !
イクス見つけた ! ダメンジの実の解毒方法だ !薬草があれば簡単に作れそうだな。
ジュードえっと……必要な薬草はホワイトベルベーヌイエローバジル、ホワイトラベンダーエーテルヴァイスの4つ……みたいだね。
ジュードよし、次はそれぞれの自生地を調べよう。
ミリーナ薬草辞典を持ってきたよ !
イクスどれどれ……ホワイトベルベーヌは寒冷地にあるらしいな。
ジュードとなると雪山の麓あたりなら自生してそうだね。
イクスホワイトラベンダーは、草原を好むみたいだ。この街に来る途中、見晴らしのいい場所があったけど、あの辺りに生えてるかな……。
ミリーナエーテルヴァイスは……山岳地帯で見られるって書いてあるわね。
ジュード――あとはイエローバジル……あった。湿原、それも、日の当たらない場所を好むみたいだね。
イクスよし。これで大体の自生地に目星が付いたな。
ミリーナええ。早く取りに行きましょう。……カーリャ。苦しいと思うけどもう少し辛抱してね。
カーリャはぁいぃ……。

キャラクター4話 【5-7 クルスニク雪山】
イクス……やっと雪山の麓まできたな。ホワイトベルベーヌはどこに生えてるんだろう……。
ミリーナホワイトベルベーヌって白い草よね。雪に紛れてわかりにくいのかも……。
イクスそれらしきものは見当たらないな。ひょっとして、山に入らないとダメなのか ?
ジュード待って、あれを見て !
ミリーナその青い草は ?
イクスブルーベルベーヌだ。けど、ホワイトベルベーヌでしか解毒剤は調合できないはずだけど……。
ジュードホワイトベルベーヌっていうのはブルーベルベーヌの変異体でしょう ?だから、そのあたりにも生えているんじゃないかな。
ジュード自然に発生する変異体は野生種の群生する場所に紛れていることも多いし。
イクス確かにそうかもしれない !四つ葉のクローバーが一般的なクローバーと一緒に生えているのと同じ理屈だな !
イクスさすがジュード !俺なんて、変異体のことまで頭が回らなかったよ。
ジュードそんな……。たまたまだよ。
ミリーナううん、本当に凄いよ。これでホワイトベルベーヌが見つかるといいんだけど。
ジュードうん。ブルーベルベーヌの中にホワイトベルベーヌが紛れていないか探してみよう。
ミリーナ――あった !これがホワイトベルベーヌじゃない ?
ジュードうん ! 間違いないね !
ミリーナよかった…… !とりあえず1つ目の薬草は手に入れられたね。
イクス………… ?
ミリーナイクス、どうかした ?
イクスいや……気のせいかな。誰もいない筈なのに何か気配がするような……。
ジュードいや、僕も同じ気配を感じてる。魔物が近くにいるのかもしれないね。
イクス……俺たちが縄張りに入ったから警戒でもしてるのかな ?
ミリーナ今は、一旦ここを離れて次の薬草を探しに行こうよ。
ミリーナ変な気配からは離れた方がいいと思う。
イクスああ、そうだな。カーリャのためにも急がないと。
カーリャよろしくお願いしますぅ……。

キャラクター5話 【5-9 ギルヴァート平原】
ジュードホワイトラベンダーがあるとしたらこの辺りの草原じゃないかな。
ミリーナ……なんだろう。遠くからかすかに甘い香りがする……バニラみたいな。
イクス甘い香り……そういえば薬草辞典には一般的なラベンダーより甘い香りがするって書いてあったな。
ジュードなら香りを辿ってみよう !
イクス――あったぞ ! 白くて小さな花が付いてる甘い香りの植物。これがホワイトラベンダーで間違いないよ !
イクス確か神経系を沈静化する作用があるんだよな。魔物はこの甘い匂いが苦手で魔物よけにも使われるんだって。
イクス衝撃を与えると香りが強くなって拡散するらしいんだ。だから乾燥させてすりつぶして匂い袋にするといいんだってさ。
ジュードイクス、ずいぶん詳しいね。
イクスえっ……さっき読んだ図鑑に書いてあっただろ ?128ページのコラムのところに。
ミリーナさすがイクス ! 相変わらず凄いね !一度読んだだけでそこまで覚えちゃうんだもん !
イクスあはは……。ミリーナはいつも大げさだな。こんなのみんな大体そうだろ ?……あれ、もしかして俺がおかしいのか ?
ジュード落ち着いて、それは凄い才能だよ。その記憶力のよさは誇っていいと思うな。
イクスそ、そう言ってもらえると嬉しいけど……。ジュード、本当に俺って大丈夫なのか ?頼む、医者としての意見を聞かせて欲しい。
ジュードまだ医者じゃないんだけど……。
ジュードえっと……もちろんデメリットもあるよ。記憶力がいいってことは忘却機能がうまく働いていないとも取れる。
ジュードネガティブな情報が忘却されずそれに振り回されてしまう、とかが記憶力のいい人によくみられる事例だね。
イクスやっぱり……まさに俺じゃないか……。
ジュードけど、人よりも多くの知識を持っているのはイクスの強みであることに間違いはないよ。
イクスああ……今俺はその強みを活かせてるんだよな。知識を活かす知恵が大切だっていうのは本によく書かれているからわかってるんだけど……。
イクスジュード。どうしたらいいと思う ?
ジュードそれは僕には答えられない。最終的にイクス自身がどうしたいかに関わることだからね。
ジュードただアドバイスできることがあるとすれば……自分の意志を大切にすること、かな。
イクス自分の意志……か。いつもやるべきことを見定めてるジュードが言うとその言葉にも重みを感じるな。
ジュード僕の言葉っていうより僕の大切な人の言葉なんだけどね。
ミリーナ大切な人 ?
ジュード実は、その人に出会えたから僕も自分の意志の大切さに気づけたんだ。
ジュードイクスは僕のことを尊敬してくれるけど僕ってそんな凄い人間じゃないんだよ。
ジュード医学生になったのも親が医者だったからだし。旅に出たのも事件に巻き込まれたから。つい最近まで周りに流されてばかりだったからね。
イクスえっ、ジュードもそうだったのか ! ?
ジュード僕もってことは……イクスも ?
イクスえっと、俺さ……鏡士になるって決める前は祖父ちゃんや周りの人たちと同じように漁師になろうって考えてたんだ。
イクス俺に鏡士は向いてない。みんなと同じ漁師でいい。俺は、それでいいんだって……。
ジュード波風が立たない生き方を選んでた ?
イクス…………うん。
イクスけど、故郷の島が消えたり、世界が危ないって知ったり鏡士の力が必要だってゲフィオン様から言われたり避けられない現実を前にして、気付いたんだ……。
イクス俺には――やらなきゃいけない使命があるって。
ジュードうん。僕も似たような感じだった。
イクス俺も……ジュードみたいになれるかな ?
ジュード意志を貫こうとすれば対立は避けられない。相手や周りと違うことが怖くなるときもあると思う。
ジュードそのときは僕がイクスの力になるよ。僕も仲間に助けられてきたからね。
イクスジュード……。
ジュードさあ、先に進もう。

キャラクター6話 【5-12 大湿原(水洞内)】
イクスこのあたりにイエローバジルがある筈なんだけど……。
ミリーナなかなか見つからないね。
ジュード……二人とも。
イクスジュード、どうかしたのか ?
ジュード気配を感じない ?
イクス! ああ、後ろからだよな。また魔物の縄張りに入ったのか……。
ジュードいや……どうもおかしい。足音や気配の数から考えてさっきと同じ魔物の群れだ。
ジュードそれに僕たちの様子を伺っているけどずっと襲ってこないのも気になる……。
イクス何か狙いがあるのかもしれないな。やっぱりただの魔物じゃなさそうだ。なんだか不気味だな……。
ジュードはやく薬草を取ってここを去ろう。ソグド湿原を元に具現化された土地だからかところどころぬかるんでいて足場が悪い。
イクス戦いになるとマズいことになりそうだな……。
ミリーナ二人とも ! あれを見て !イエローバジルじゃない ! ?
イクスああ ! そのとおりだ !さっそく採取して――
ジュード待って ! 魔物がくる !二手に分かれて挟み撃ちする気なんじゃ――
イクスこんな時に……って、この魔物、光魔じゃないか !
ミリーナそれに……どういうこと ! ?挟み撃ちが狙いなのかと思ったけど一方の光魔の群れは反対の方向に――
ジュード……まさか。
イクスイエローバジルを踏みつけ始めたぞ ! ?
ジュードこれが狙いだったみたいだね……。
イクスど、どうしよう……このままじゃ薬草が……。けど今イエローバジルの方に行けば挟み撃ちにされてしまうし……。
イクスあっ……。
ミリーナイクス ? 何か思い浮かんだの ?
イクスえっと……いや、何でもない。それよりこの状況、どうすれば……。
ジュード今は目の前の光魔を倒そう !イエローバジルは後回しだ !
ミリーナジュードさん、何か考えがあるのね ! ?
ジュード説明はあと !急ぐ必要はあるからね !
イクスもしかして……。
イクス――ああ、俺もジュードに賛成だ。よし、いくぞ。

キャラクター7話 【5-13 大湿原(水洞深部)】
イクスはぁ……はぁ……。なんとか光魔は全部倒せたな。
ミリーナけど、酷い……。薬草がみんな泥まみれになってちぎれてる……。
イクスいや、全部じゃない筈だ。
ミリーナえっ……あ、本当だ。このあたりのイエローバジルは無事みたい。
ジュードイエローバジルは葉肉がしっかりしてるのが特徴だからね。全てダメにされることはないと思ったんだ。
ミリーナもしかして……その知識があったからジュードさんは目の前の光魔を優先したの ?
ジュードうん。足場の悪い湿原で挟み撃ちになるリスクの方が高いと思ったからね。賭けの部分もあったから完璧な策ではなかったけど。
イクスいや、それでも凄いよ。俺……実は同じことを思いついたんだけど言い出せなかったんだ。
イクス間違っていたり的はずれな意見だったらどうしようって……。
イクスさっきジュードの話を聞いて俺も頑張ろうって決めたのにやっぱりそう簡単にはいかないな。
ジュード意志を貫くにあたり対立するのは敵だけじゃない。仲間や、仲間になりうる人とも対立することはある。
ジュードけどお互いに悪いことをしているわけじゃない。自分が正しいと思ったから行動してるんだしね。
ジュード仲間なんだから……いや、仲間だからこそちゃんと自分自身に責任を持って意見をぶつけ合うことも大切だと思うな。
イクス……ジュードは強いな。ありがとう。俺、今度からはちゃんと言うようにする。
ジュードうん。イクスも僕が間違っていると思ったら遠慮なく言ってね。
ジュードそして、もし対立することになったときはお互い遠慮なく、精一杯、戦おう。
イクスああ。約束だ。
ジュードうん !
ミリーナあれ……。
イクスミリーナ、どうかしたのか ?
ミリーナこれを見て。もしかしてダメンジの実じゃない ?
イクスなっ ! どうしてこんなところに ! ?
ジュードねぇ……自警団にダメンジの実を届けたのもお腹が空いているカーリャの前にダメンジの実を落としたのも光魔なんじゃないかな ?
イクス確かに、自警団がやられれば、その村に滞在していた鏡映点であるジュードを襲いやすくなる。
イクスそしてカーリャがやられれば光魔の鏡の発見が遅れ光魔は自分たちの勢力を増やすことができる。
イクスまさか、さっきの薬草集めの妨害も……。
ミリーナけど、光魔にそんなことができるの ! ?だって……もしできるなら……。
ジュードうん、これは立派な謀だ。普通の動物や魔物にはそこまでの知能はない。
ジュード全ての光魔がそうとは限らないけどもしこの仮定が正しければ、光魔には知能があるということになる。
ジュードそれも……僕たち人間と、同じレベルの。
イクス待てよ……だったら最後の薬草も狙われるかもしれないぞ ! ?
ジュード僕もそう思う。エーテルヴァイスは希少だし外的刺激にはすごく弱いのが特徴だ。急いだ方がよさそうだね。
イクスああ ! 行こう !

キャラクター8話 【5-16 バラン岩場 中心部】
イクス随分険しい道だったな。思ったより時間がかかっちゃったけどエーテルヴァイスは大丈夫かな……。
ジュード見て。あそこに生えているのがエーテルヴァイスじゃない ?
イクスああ、そうみたいだ。よかった、無事だったみたいだな。さっそく取りに――
カーリャ……ふ、ふぇぇぇぇぇぇ !
ミリーナカーリャ ! ? どうしたの ! ?凄く震えてるけどまさか毒が回ったんじゃ…… ! ?
ミリーナカーリャをこんなに苦しめるなんて絶対に許さない……。光魔……呪うわ…… !
ジュードま、待って ! 落ち着いて。まだ毒が回ったわけではなさそうだよ ?
イクス――あ、もしかして光魔の鏡が近いんじゃないか ! ?
ミリーナまさか、そんな都合のいいことが……。
ジュード静かに。隠れて。
光魔…ウゥ~…ハルルルルル。
ジュードやっぱり。光魔がいる。それに奥で光っているのはもしかして……。
イクス光魔の鏡だ。ここで鏡を封印できれば薬草もジュードも守れて一石二鳥だぞ。
ミリーナけど、このまま戦ったら薬草が駄目になっちゃいそう。なんとか薬草を確保できたとしてもあの数の光魔に囲まれたら……。
ジュードエーテルヴァイスは罠だね。光魔は、薬草を取りに来た僕たちをここで始末する策なんだと思うよ。
イクス薬草を取りに行く前に気づけてよかったけどどう対処すればいいんだろう……。
イクス薬草を取りに行ったら光魔に囲まれてしまう。光魔の鏡や光魔を倒すことを優先すれば薬草が駄目になってしまうし……。
ミリーナ何か手はないかしら……。
イクス――待てよ、いや……けど。
ジュードイクス。何か閃いたんだよね。よければ教えてくれない ?
イクス……わかった。
イクス魔物はホワイトラベンダーの匂いが嫌いだろ。だったら光魔にも効き目がある可能性が高い。
イクスホワイトラベンダーが生えていた場所の近くに光魔は近寄ろうとしなかったのが、その証拠だ。
ミリーナつまり……ホワイトラベンダーを使ってエーテルヴァイスから光魔を遠ざければ……その隙に必要な分だけ摘み取ることができる !
イクスただ……上手くいっても光魔は鏡映点であるジュードを襲ってくる筈なんだ。
イクス一人がエーテルヴァイスを摘むとなると二人だけで一斉に襲いかかってくるであろう光魔を撃退しなくちゃいけない。
イクスそのうえ、エーテルヴァイスを摘んだらすぐその場から離れられるように経路を確保しておく必要もあるんだ。
ミリーナ確かに、ホワイトラベンダーの効果が切れれば採取していた人が光魔に取り囲まれてしまうものね……。
イクスその中でも最善策を考えるとすれば接近戦ができる俺とジュードが戦う役でミリーナがエーテルヴァイスを採取する役が合理的だ。
ミリーナうん。私もそう思う。
イクスただ……二人だけで光魔を防ぎきれるかわからない。そのうえ、ほとんどの光魔は鏡映点であるジュードに襲いかかってくる筈だ。
イクスいくらジュードが強くても危険過ぎる。せめてホワイトラベンダーがもう少しあればジュードを守れるんだけど……。
イクスごめん……。やっぱり俺の作戦じゃうまくいきそうにない。
ジュード……いや、なんとかなるかもしれないよ。
イクスえっ ?
ジュード相手は光魔。普通の魔物と違って知能がある。そこを利用すればいいんだ。
ミリーナどういうこと ?
ジュードまずホワイトラベンダーを投げて、光魔を遠ざけミリーナがエーテルヴァイスを採取する。ここまではイクスの作戦通り進める。
ジュードそうしたら光魔が僕をめがけて襲ってくるはずだ。その光魔に対してホワイトベルベーヌを投げる。
イクスえっ……けど、ホワイトベルベーヌの香りにはホワイトラベンダーと同じような魔物を遠ざける効果はないぞ。
ジュード大丈夫。同じ白い薬草を投げつければ知能のある光魔は、また僕たちがホワイトラベンダーを投げつけたと思って引き下がるはずだ。
イクスそうか…… ! 知能があるってことは人間と同じように学習をする !それを逆手に取るんだな !
ジュードその通り。すぐにバレると思うけどミリーナが採取を終えて戻ってくる程度の時間は稼げるはずだ。二人とも、この作戦はどう思う ?
ミリーナいいと思う !
イクスああ ! 勝算はあると思う。凄いよ、ジュード !
ジュードこれもイクスが元となるアイディアを提案してくれたおかげだよ。
イクスよし、善は急げだ。ミリーナは薬草を頼んだぞ。
ミリーナうん ! そっちは二人に任せるね !
ジュードよし、ホワイトラベンダーの束を石に巻き付けて……と。投げるよ !
ミリーナじゃあ、私も行ってくるね !
イクスジュード、光魔が気づいたみたいだ !こっちに来るぞ !
ジュード次はホワイトベルベーヌを……っと。イクス、投げるよ !
イクスど、どうだ……。
ジュードよし ! うまくいったみたいだ !
ミリーナお待たせ ! 薬草を集めたわ !
光魔…ウゥ~…ハルルルルル ! !
ジュード丁度こっちにも、光魔が戻ってきた。
イクスよし、みんなで迎え撃とう !

キャラクター9話 【5-16 バラン岩場 中心部】
ジュードこれで光魔の鏡を封印できた……んだよね ?
ミリーナはい。これで今後ここから光魔は出現しない……筈です。
ジュードよかった。それじゃあ、ここでダメンジの解毒薬を作っちゃおう。
ジュード――はい、カーリャ。これを飲んでみて。
カーリャふぁい……。
カーリャ――……う、うぎゃぁぁぁあああああ ! ?にっが――――――いいいいいいい ! ?
カーリャ何なんです、これ ! ? まるでピーマンとコーヒー豆とカカオをすりつぶして、フライパンで真っ黒にしたような味がっ ! ?
ミリーナカーリャ ! 元気になったのね ! ?よかった ! !
カーリャにゃあ~……ミリーナさまいい匂い !
ジュード体が小さいから、解毒薬の効きも早かったみたいだね。これだけ元気ならもう大丈夫だよ。
ミリーナありがとう、ジュードさん !
イクスジュードがいなかったらカーリャを助けることができなかったよ。本当にありがとう、ジュード。
ジュードちょ、ちょっと、やめてよ。そんなの気にしないで。みんなでカーリャを助けたんだよ。
ミリーナカーリャ。あなたもお礼を言って ?
カーリャ……ありがとうございました。このご恩は一生忘れません。
カーリャけど……うぅ……苦すぎですよぉ。
ミリーナ良薬は口に苦し、だよ ?それもジュードさんが作ってくれた薬がよかった証拠なんだから。
イクスこれに懲りたら、拾い食いはやめるんだな。
カーリャ拾い食い、ダメ絶対……。はい……ちゃんと覚えておきます。
ミリーナカーリャにとっても今回の冒険はいい経験になったみたい。
イクスああ……もちろん、俺にとっても。知識も大切だけど、それと同じくらい知恵や意志も大切なんだって学べたよ。
ミリーナ私もだよ。やっぱり鏡映点からは学ぶことが多いよね。
ジュードねぇ、二人とも。今後のことについて相談があるんだけど話を聞いてもらってもいい ?
イクスもちろん。それで、相談っていうのは ?
ジュード僕は村の人たちに今回の事件の真相を伝えればひとまずこの大陸でやるべきことは全て成し遂げたことになる。
ジュードだから、その後はイクスたちの旅の手伝いをさせて欲しいんだ。
イクスえっ…… ! むしろお願いしたいくらいだしありがたいけど……すごく危険だぞ。
ジュード鏡映点を保護するのが二人の役目なのはわかってる。でも、ずっと保護されているだけってのも悪いし危険だからこそ戦える人間は貴重だと思うんだ。
ジュード今回のことだけじゃなく今後も、お互いに助け合っていこうよ。
イクスジュード……わかった、ありがとう。それならよろしく頼むよ。こちらからもよろしくな。
ミリーナええ、よろしくね、ジュードさん。
ジュードうん。よろしく !

キャラクター9話 【5-16 バラン岩場 中心部】
イクスゲフィオン様。報告は以上です。
ゲフィオン2人とも、ご苦労だった。
ゲフィオンこの世界から失われた大地が形を変えながらも甦っているのはそなたたちのおかげだ。感謝しているぞ。
イクスいえ、俺は……俺たちは未熟だと痛感させられています。これからも頑張ります。
ゲフィオンそうか……。だが焦るな。そして無理はするな。
ゲフィオンカレイドスコープと魔鏡を扱える鏡士はもはや全滅したに等しい。お前たちが生き続けることも大事な使命なのだ。
イクスありがとうございます。肝に銘じます。
ゲフィオン先ほど報告された光魔の妙な動きに関してはこちらも調査してみよう。
ゲフィオンそれから救世軍が色々と動いているようだ。セールンド軍の重要拠点を次々と攻撃している。
二人! ?
ゲフィオンそれにしても困った。具現化した大陸と交流し新たに生まれた住民たちを守るためには軍の力が不可欠だったのだが……。
ゲフィオンお前たちも救世軍には気を付けるように。
イクス………………。
ゲフィオン……そういえば、その後カーリャは無事か ?
ミリーナは、はい。おかげさまで、今はすっかり……。あの……ここへ呼びましょうか ?
ゲフィオン――いや、結構だ。息災なら何より。
ゲフィオン鏡士と鏡精は特別な繋がりをもつ。カーリャが苦しむことでミリーナに悪影響があっては困る。
ゲフィオン先ほども話した通り、お前たちは替えの利かない存在。くれぐれも自分たちの命を大事にな。
ミリーナわかりました、ゲフィオン様。
イクスお気遣い、ありがとうございます。これからも頑張ります。
ゲフィオンふふ……。期待しているぞ。次の大陸具現化もよろしく頼む。
キャラクター1話 【6-1 雪山の村】
ミリーナだいぶ歩き回ったけど鏡映点も光魔の鏡もなかなか見つからないね。
イクス鏡映点は人や動物の筈だからすれ違っているだけなのかもしれないけど光魔の出現地域が点在的なのは気になるな。
ミリーナ光魔は光魔の鏡から出現する。つまり光魔の鏡を中心とした同心円的分布になる筈なのにね。
カーリャ難しいことはよくわかんないですけどなんかいつもと違う感じですよね。
イクスああ。俺もそう―― ! ?
小さな男の子うわーん……おうち、帰りたいよぉ……。
ミリーナあぶない ! 屋台の積み荷が崩れるわ !
イクスこのままじゃ下敷きに――くっ ! 間に合えっ ! !
小さな男の子えっ ! ?
イクス――ッ ! !
ミリーナ二人とも大丈夫 ! ?
小さな男の子ボ、ボクは平気。
イクスふぅ……お、俺もなんとか。――いたっ。
小さな男の子お、お兄ちゃん。大丈夫 ?
イクスえっ……あ、あぁ……。ちょっと積み荷がぶつかっただけ……だよ。へ、へっちゃら……さ。
小さな男の子よかった !ありがとう、お兄ちゃん !すっごく格好良かったよ !
イクスそ、そんな……。俺なんてたいしたこと……いててっ。積み荷の木箱が腕をかすめたみたいだな。
? ? ?あんたも、なかなかのお人好しね。
イクスえっ ?
ルーティファーストエイド !
イクスあっ……傷が……。えっと……あ、ありがとうございます。
ルーティそれじゃあ、まいど。100万ガルドね。
イクスひゃ、100万ガルド ! ?そんな大金、俺もってな――って、あぁっ !
ルーティな、何よ。ただの冗談じゃない。
ミリーナイクス ! この人って !
二人鏡映点 ! !
ルーティきょ、きょうえい……えっ ?
イクス――というわけなんだ。
ルーティなるほどねぇ。具現化やあんたたちの使命についてはだいたい理解したわ。けど――
小さな男の子…………すぅすぅ。
ルーティまず、あんたの背中で眠ってるそのチビ助をなんとかしないとね。
イクス…………うぅ。そ、そうだな……。
カーリャイクスさま、さっきからちょっと顔色が悪いですけどどうかしたんですか ?
イクスえっと……俺実はちょっと子供が苦手というか……。
イクスも、もちろん嫌いなわけじゃ―― ! !
二人しーーーっ。お、き、ちゃ、う……。
イクスご、ごめん……。
ルーティとりあえず、あたしとミリーナでその子について聞き込みしてくるわ。あんたはここで待ってて。
イクス……わかった。
ミリーナカーリャ、一緒にいてあげて。私もそんなに遠くには行かないようにするから。
カーリャそれならカーリャが消えちゃう心配もないですね。了解です。
ルーティそれじゃあ行くわよ。
ミリーナイクス、すぐ戻るから頑張ってね ?困ったらカーリャを頼ってね ?それから無理はしないようにね ?
イクスミリーナ、俺の方が子供みたいじゃないか。とりあえず……大人しく待ってるよ。聞き込み、よろしくな。
イクス……ミリーナたち、遅いな。聞き込みに手間取ってるのか ?
小さな男の子う~ん、よくねたぁ !お兄ちゃん、遊ぼうよ !
イクス……い、今、仲間がいないからもうちょっとだけ大人しく待ってて。
小さな男の子お願い ! ちょっとだけでいいから !ボク、楽しい遊び知ってるんだ !お兄ちゃんもきっと楽しいよ !
イクス……カーリャ、遊んであげてくれ。
カーリャええ ! ? イクスさま子供のお願いをそんな風にごまかしてたら将来、立派なイクメンになれないですよ !
イクスそんな予定はないぞ……。──どうしたらいいかわからないんだよ。島でも接する機会を避けてたから。
小さな男の子……イヤ、なの ?
イクスあぁぁっ……ち、違うんだ。えっと、イヤじゃないんだって。別にそういうわけじゃなくて――
カーリャ遊んであげましょうよ。お兄ちゃん、にしし~♪
イクスカーリャ……。お前、楽しんでるだろ。
イクスそれじゃあ……ミリーナたちが戻るまでなら。えっと、じゃんけん……とかする ?
小さな男の子するっ !
ミリーナお待たせ。──ふふっ。イクス、遠くから見てたらこの子のパパみたいだったよ。
ルーティイクス、チビ助の相手、ありがとね。おかげで大分、聞き込みができたわ。
小さな男の子あーあ。もう戻ってきちゃった。
イクス二人ともおかえり !いやぁ、戻って来てくれてよかったよ。何かこの子の情報はわかったか ?
ルーティあんた……そんなせっぱ詰まった顔しなくても。まぁ、それは置いといて。その子の住んでる場所、検討ついたわよ。
ミリーナこの辺りの子じゃないみたいでちょっと遠い場所みたいなの。歩きながら、話すね。
ルーティというわけで光魔の鏡を捜すのも、あんたたちの船に乗るのもまずはこの子を無事に家に返してから、ね。
イクスもちろん ! じゃあさっそく出発だ !
小さな男の子あっ。まてー ! お兄ちゃーん !
ルーティあ、二人とも。そっちじゃないわよ !逆 ! 逆の方向よ !
ルーティ……あれじゃあ鬼ごっこね。チビは楽しそうだからいいけど。
カーリャミリーナさま。イクスさまってどうして子供が苦手なんですか ?
ミリーナどう接したらいいかわからなくて緊張しちゃうんだって。
ミリーナ何気ない言葉で泣かせちゃうかもとか子供だけがかかる病気をうつしちゃったらどうしようとか、色々考えちゃうのよ。
カーリャなんだか納得しました。イクスさまらしいというか……。相変わらず心配性なんですね。
ミリーナ……それか、私のせいかも。
カーリャ
イクス……あれ ? そういえば。
ミリーナイクス、どうしたの ?何か街で買うものでもある ?
イクスいや……違うんだ。どうしてこの子こんな場所にいるのかなって思って。
イクスこの街に住んでる訳でもないのにこんなところに一人でいるなんて。
小さな男の子……わかんない。ボク、気付いたらここにいたから。
イクス……うーん。これって実は具現化された瞬間からこの子だけがここにいたってことかな ?今までそんなことあったかな ?
イクス単に俺たちが今までこういうケースに気付かなかっただけだとしたら今後の具現化の時に、もっと色々配慮して――
ミリーナ……待って、イクス。
イクス心当たりがあるのか ?
ミリーナ……うん。これも歩きながら話すね。

キャラクター2話 【6-2 バーンハルト街道 1】
イクス――つまり、俺が具現化作業に迷いがあってその影響で、安全な場所に具現化される筈の人や物がおかしな場所に、ずれて具現化された……ってことか。
イクス(確かに……。このところずっと考えてた。こんな人の手に余る力を使っていいのかって。その迷いがあの子を危険な目に……)
ミリーナあくまで想像だけどね。魔鏡を使った具現化でも心の迷いは厳禁なの。だから……。
ルーティへぇ……。具現化って色々と大変そうね。まぁ、でも原因がわかってよかったじゃない。あんたが気を付ければ大丈夫なんでしょ ?
イクスはは……。う、うん。そうかな……。
ミリーナイクス。一人で悩まないでね。私も一緒に考えるから。
ルーティそれにしても、雪原が続くわね。──寒くない ? 大丈夫 ?
小さな男の子うん。大丈夫。
ルーティそう。あんた、強いわね。なかなかやるじゃない。
小さな男の子ううん。お兄ちゃんの方が強いよ。
イクスあ、あはは…………。
カーリャイクスさま。そろそろ慣れたらどうです ?
イクスいや、だって……。とにかくルーティが相手してくれて助かるよ。
ルーティあんたもしっかりしなさいよ。さっきの話を聞いた限り、チビの具現化位置がずれたのって、あんたの責任でもあるんだから。
イクスうっ。そうだよな。俺が鏡士として未熟だから……こんなことに。
ミリーナこれだけ大規模な具現化の術だもの。たまにうまく行かない部分が出るのも仕方がないよ。
イクス大規模な具現化か……。本当にとてつもないよな。物質だけじゃなくて沢山の命を写し出すんだから。
イクス実は、たまに、怖くなるんだ……。カレイドスコープによる具現化のこと。あの装置も元は軍事兵器だったらしいし。
カーリャってことは、今回はこれくらいですんでよかったってことですかね ?
イクス不吉なこと言うなよ !
ミリーナでも、イクスの不安だけで狂いが生じるなんてあの規模の魔鏡機器としては不自然でもあるのよね。
イクスつまり整備不良か、構造的欠陥か何らかの問題があるのかもしれないのか。これはゲフィオン様に報告しないとな……。
ルーティなんにせよ、そのせいでさっきまで家にいたっていう小さな子供が街の真ん中にほっぽり出された事実に変わりないわ。
ルーティだからまずは……忘れてないわよね ?
イクスああ。この子を教会の孤児院まで送り届ける。ちゃんとわかってるよ。
カーリャあとどれくらいで着きそうです ?
ルーティ街の人から聞いた感じだとまだまだ先ね。
イクスならそろそろ休憩を取った方がいいか ?
小さな男の子ボクは大丈夫 !
イクスげ、元気いいな……。
ミリーナふふっ。なんだかんだその子、イクスに懐いてるよね。ぴったり二人くっついてて可愛い。
イクスそうかなぁ……。
ルーティ………イクス。ちょっといい ?
イクスえっ ?
ルーティいつ光魔に襲われるかわからない。もちろん、あたしたちも気をつけるけど――
ルーティそのチビ、あんたにべったりみたいだしあんた……しっかり守りなさいよ。
イクス……っ。
ルーティできる ?
イクスああ……俺だって昔に比べればちょっとは成長したんだ。子供を守りながら戦うことだってできる。
イクスいざとなれば……オーバーレイだって……。いまの俺なら、きっと……。
ミリーナ
ルーティオーバーレイ ?
イクス……あ、いや、何でもない。とにかく先に進もう。

キャラクター3話 【6-6 バティスタ雪山 5合目】
ルーティ山道に入ってきたわね。──周囲に何か見えるかしら……。
イクスあ ! 山の尾根に見える建物……。あれって教会じゃないか ! ?
小さな男の子おうち ! ボクのおうちだよ !
イクスお、おい。あんまり離れると危ないだろ。
小さな男の子じゃあ、お兄ちゃんの側にいるね。
イクスうっ、それはそれで……。
ルーティとにかく、あの教会が孤児院で当たりみたいね。
カーリャ今までもけっこう歩きましたけど教会までまだまだありますねぇ。
イクスよし、急ごう !この子を早く帰してあげないとだからな !
ミリーナ──あ、イクス。……速足で行っちゃった。
小さな男の子お兄ちゃん、鬼ごっこ好きなんだ !ボクもやるよ ! まて~ ! !
ルーティまったく。子供が二人いるみたいね。それも、一人はかなり大きい子供。まぁ……そういうのには慣れっこだけど。
ミリーナえっ。どういう意味 ?
ルーティあたしの周りにいた連中の話。
ルーティ年の割にみんなうちのチビたちみたいにきゃんきゃんしてさー。
ミリーナえっ……ちょっと待って。うちのチビたちって ! ?ルーティ、まさかもう子供が……。
ルーティち、違うわよ ! 別に相手だっていないし……ってそういう話でもないから ! うちのチビたちってのはあたしが育った孤児院の子供たち !
ミリーナあっ。だからルーティは子供の相手に慣れていたのね。
ルーティあれくらい、大きな子供を相手にするのに比べたら全然ラクなものよ。あんたもわかるだろうけど。
ミリーナう~ん。確かにイクスって少し子供っぽい所もあるかも……。
ミリーナでも、いつもしっかりしてるのにそういう一面があるのがまたたまらないのよね♪
ルーティ……まぁ、あんたがそれでいいならいいけど。しめる所はしめなさいね。……って、さすがにお節介だったかしら。
ミリーナううん。アドバイス、ありがとう !私、島で同年代の女の子がいなかったからルーティと念願だったガールズトークができて嬉しい !
ルーティガ、ガールズトーク ! ?
イクスおーい ! 何やってるんだ ?早くしないと日が暮れちゃうぞ !
ミリーナうん ! 行こう、ルーティ。
ルーティはぁ……はいはい。行きましょう──ん ?
ルーティ何よ──……まぁ、あたしにしちゃあ珍しいお節介だったかもね。
ルーティ──あのバカたちと旅してあたしも、少し変わったんだろうな……。
イクス…… ? あれ ?ルーティ、どうしたんだろう……。ひとり言か ?
ミリーナそれにしてはずいぶんはっきり喋ってたような……。
カーリャあのぉ……カーリャ、見ちゃったんですけどルーティさま、一人でいるときとか結構あんな感じで話してますよ……。
イクスそうだったのか ! ?ルーティ……って、ひとり言を言う癖があるのかな ?
ミリーナちょっと聞きづらいよね……。
ルーティあんたたち、どうかしたの ?
二人! ?
ミリーナ――いいえ。何でもないの。気にしないで。
ルーティ? そう。なら口だけじゃなく足も動かしなさいね。
イクスあ、あぁ。教会を目指して進もう。

キャラクター4話 【6-7 バティスタ雪山 8合目】
ミリーナふぅ……結構歩いてきたね……。
ルーティそう言えば、さっき山の上に見えた建物……。
イクス
ルーティ大神殿っぽいと思ったのよね…… ?でも、場所は全然違う……。
ルーティ──ああ。そうよね。子供の具現化する場所がずれちゃうって話だもの。
ルーティあんなでっかい建物なんてきっともっと難しくって位置ぐらいずれるわよね。
イクスルーティ、あの……。だ、大丈夫か ?
ルーティあ、えっ ! ?単なるひとり言よ、ひとり言。気にしないで !
ミリーナそ、そう……わかったわ。ただのひとり言よね、うん、大丈夫よ。
カーリャカーリャたち、ルーティさまが悩んでるなら相談に乗りますよ ?
ルーティ? いったい何の話よ。
ルーティえっ ? ……う~ん。まあ、そうね。あんたたちになら隠さなくてもいいかな。紹介してあげるわ。
ルーティこの剣と話してたのよ。名前は、\"アトワイト\"。
イクス剣と、話す…… ?
アトワイト初めまして、アトワイトよ。皆さん、よろしく。
イクス! ? よくみたらいま……剣が、光った ?
ルーティアトワイトが「よろしく」だってさ。
イクスえっ……あ、ああ。よろしくお願いします……で、いいのか ?
ミリーナそれじゃあ私も。アトワイトさん、よろしくお願いします。
アトワイトふふっ。律儀な子たちね。
イクスあ。また光った。
ルーティけど、やっぱアトワイト――ソーディアンの声は聞こえてないみたいね。
ミリーナソーディアン ?
ルーティアトワイトのように意思を持ってる剣のこと。ソーディアンマスターだけが使いこなせ、声も聞こえる。で、あたしはソーディアンマスターの一人。
ミリーナ喋れる剣…… ? あ、そう言われてみると確かにさっき光ったのって意思表示をしているみたいだったわね。
イクス意思を持つ剣、ソーディアンか !かっこいいな ! 異世界にはそんなものがあるのか !よければもっと詳しく話を聞かせてくれないか ! ?
ルーティそういうの、あんま慣れてないのよね。こういうのはあたしの役目じゃなかったし。
ルーティまぁ、簡単に言うと千年前の\"天地戦争\"って大きな戦争に終止符を打つ為に造られた最終兵器……だったっけな。
ルーティちなみにソーディアンは全部で六本あってどれも凄い力を秘めてるの。で、あたしの仲間もソーディアンを持ってるわ。
カーリャおお ! なんか燃えますね ! !
ミリーナふふっ。興味津々みたいね。
イクス当たり前だろ !だって凄い力を秘めた最終兵器なんだろ !ソーディアン、知れば知るほど憧れるな !
ルーティ興味があるなら触ってみる ?
イクスいいのか ! ?
ルーティあ、でも注意してね。気に入らない人間が触るとガブって噛み付いちゃうから !
三人ええっ ! ?
アトワイトルーティ、悪ふざけはよくないわよ。みんな怖がってるじゃないの !
ルーティあはは、ごめんごめん。冗談よ。怖がらせるなってアトワイトに叱られちゃったわ。
ミリーナ……そ、そうよね。冗談よね……良かった。
カーリャイクスさま、心臓は動いてますか~ ?
イクスあ、あぁ……なんとか。
イクスけど……本当に凄いな……。
ミリーナ
イクスご、ごめん。夢中になりすぎた。そろそろ先に進もう。

キャラクター5話 【6-8 バティスタ雪山 出口付近】
イクス…………はぁ。
ミリーナイクス、何か考え事 ?
イクス……あ、うん。さっきルーティからソーディアンのこと聞いて俺にもそんな凄い力があったらなって思っちゃって。
イクスマークみたいな強い奴がまた現れたらって考えたらソーディアンみたいな凄い力……武器とかがあればより安心して旅が続けられるかもなぁってさ。
ルーティ……凄い力、ねぇ。まぁ確かにそうなんだけど……。
アトワイトルーティ。思うところがあるんでしょう ?あなたの言葉で良いから、伝えてあげて。きっと、とても大事なことよ。
ルーティこういうの柄じゃないけどねぇ。まぁ、わかったわ。
ルーティイクス。えっといまあんたたちが話してたことなんだけど……。
イクスえっ ?
ルーティ確かにソーディアンは凄い剣……凄い力を持ってる。けど、力を悪用する奴がいたからそれに対抗して造られた物なのよ。
カーリャ『悪い奴を倒す、正義の剣』ってことですかっ !
ルーティうーん、ちょっと違うわね。どんなに強い力でも使い方が悪ければ、そうなっちゃうってこと。
ルーティ──あたしだって、全然偉そうに言えたもんじゃないわ。
ルーティ他のソーディアンマスターにも、バカなスタンとか変にスレちゃってるリオンとかもいるけど。それでもみんな、どこかでわかってると思う。
ルーティソーディアンみたいな力を手に入れることができたなら大切なのは、使う人自身なんだって。
イクス──強い力をただ手に入れるだけじゃ足元を見失うこともある、ってことか……。
ルーティイクス自身の強い心こそがどんな武器よりも大事なんじゃないかってあたしは思うわ。
ルーティそれに、あんたたち鏡士の力だってあたしからみたら十分すぎるほど、凄い力よ。
イクス!確かにそうだよな……。──肝に銘じておくよ。
アトワイト──ありがとう、ルーティ。うまく伝わったと思うわ。
ルーティふぅ。こういう話、ほんと柄じゃないわ。さぁ、ちょっと休憩しましょ。休んだら出発ね。
ミリーナ……イクス。
イクスミリーナ、ごめん。ちょっと今は……一人にさせてくれ。すぐ戻るから。
小さな男の子……お兄ちゃん。

キャラクター6話 【6-9 グレバム森林 中央】
イクス……力そのものより使う人の方が大事、か。わかってたつもりなんだけどな。俺はやっぱりまだまだだ。人間としても……鏡士としても……。
小さな男の子そんなことないよ……。自分のこと悪く言わないで。お兄ちゃんはボクの英雄なんだから。
イクスそんな……俺が英雄だなんて大げさだよ。けど、慰めてくれてありがとう。
小さな男の子……慰めた訳じゃないよ。
イクスえっ ?
小さな男の子ううん……何でも無い。それじゃあもう……ボク、あっち行くね。
イクスあっ……ちょっと待って !森には魔物が潜んでいるかも――
イクス!さがって ! !
イクスミリーナもルーティもいない……。俺一人でなんとかしないと……。
イクス(けどこの数……この子をかばいながらじゃ今の俺に勝ち目がない……。もう……あれに頼るしかないのか)
イクス(でも……また【暴走】したら……)
イクスよーし ! やってやる、見てろよ、ミリーナ。凄い術を使ってみせてやる。
イクスそれで、凄い鏡士になって祖父ちゃんを少しでも楽させてやるんだ。
ミリーナうん。──イクスならきっとできるよ !
イクス―― !
ミリーナわぁ…… !凄く強い光…… !
イクス……よし ! いいぞ……。それじゃあ、これを……。
イクス……え……うわぁぁぁぁぁ ! ?
ミリーナイクス ! 危ない…… !
ミリーナ……イクス。無事、だね……。よかっ……た……。
イクスミリーナッ ! !
イクス! !こ、ここは……。
ミリーナイクス ! 目を覚ましたのね !よかった……。二人が倒れていたときは何が起こったのかと思った。
イクス倒れていたって……あれ、あの子は……。ミリーナ ! あの子は無事なのか ! ?もしかして魔物に襲われて――
ミリーナ大丈夫、無事よ。魔物も私たちが倒したから。強い魔鏡の輝きを感じたから、心配になってイクスたちを追いかけたの。間に合ってよかったわ。
イクス……そう、だったのか。ありがとう、ミリーナ…………。またミリーナに助けられちゃったな……。
ミリーナ……イクス。またってことはやっぱりあの魔鏡の輝きは、秘伝魔鏡術だったのね。
ミリーナネーヴェ家の鏡士だけが扱える特殊な魔鏡術オーバーレイ……。魔鏡の光を纏って、一時的に力を増幅させる技……。
イクス……うん。俺さ、ルーティの話を聞いてまずは自分自身が強くならなきゃって思ったんだ。いつまでも……目を背けてちゃダメだって。
イクス色々旅をしてきて、ちょっとは成長したと思ってた。けど……またダメでさ……。凄く焦るし不安になる。……情けないよ。こんな風に考えちゃうことも。
ミリーナううん。そう感じるのは悪いことじゃないよ。むしろいいことだと思う。
イクスえっ…… ?
ミリーナそれは自分の理想に向かって頑張ってる証拠だよ。成し遂げたい。だけど成し遂げられるかわからない。だから不安になるんだと思う。
ミリーナまだ自分の理想には届いてないってことなんだろうけど安心して。ちゃんとイクスは成長してる。誰よりも隣でイクスのことを見てきた私が保証する。
イクス……ミリーナ。
イクスああ──俺、頑張るよ。凄い鏡士になるなんて漠然としてるけど……この気持ちは本気だから。
ミリーナ……うん。
ミリーナ──うん ! 大丈夫 ! 絶対に !イクスがなりたいって思ったなら絶対になれるよ !
イクス……大げさだな、ミリーナ。けど、ありがとう。
ルーティまったく。あんたは心配かけて。あたしたちが駆けつけるのがもう少し遅かったらどうなってたかわかってるの ?
イクスごめん、ルーティ。それから……助けてくれてありがとう。俺だけじゃなく、その子のことも。
小さな男の子……お兄ちゃん。
ルーティまぁいいわ。チビ、行くわよ。あたしについてきなさい。
小さな男の子あっ……う、うん。
イクスルーティ。待ってくれ。
ルーティ……何 ?
イクス俺、ちゃんと最後までその子を、送り届けたいんだ。俺に任せてもらえないかな ?
ルーティできる保証は ?
イクスうっ……。
アトワイトルーティ、言い方があるんじゃないの ?
ルーティ……わ、わかってるわよ。
ルーティその……悪かったわ。別に信用してないわけじゃないのよ。
イクスいや……いいんだ。はっきり言えない俺が悪いんだし。
イクスけど……やらなきゃいけないと思うから。だって俺、その子を助けたんだ。ちゃんと最後まで、その責任を果たしたい。
ルーティ……。
イクス本当にちゃんとできるかはわかんないけど……。
ルーティふっ……もう、あんたは。微妙にしまらないんだから。
ルーティけど、わかったわ。イクス、そのチビは任せる。
イクスああ。ありがとう、ルーティ。
小さな男の子………。
イクス……おいで。俺と一緒に行こう。
小さな男の子うっ……うんっ ! ! ありがとう !
イクスちょ、ちょっと。どうして涙ぐむんだよっ ! ?
ルーティさあ。教会までもう少しよ。最後まで気を引き締めて行きましょう。

キャラクター7話 【6-14 草原の教会】
イクスえっと、そんなわけで──迷子になっていたので連れてきました。
Msc_006_007_speaker01ありがとうございます !どこに行ってしまったのか心配していたんです……。
ミリーナいえ !無事に送り届けられて良かったです。
イクス……迷子……っていうのはちょっと嘘だけど……。
Msc_006_007_speaker01え ?
ルーティ──ううん、何でもないわ !
ルーティイクス ! 説明してもわからないだろうし結果オーライなんだから。ここは、ごまかしときましょ。
イクス──あ。そっか……そうだよな。
カーリャさすがルーティさま !初対面のときから思ってましたけどかなりの世渡り上手ですよね !
ルーティカーリャ ? それどういう意味かしらぁ ?
カーリャな、なんでもありませーん !
ルーティあっ。こら、待ちなさい !
ミリーナふふっ。二人もすっかり仲良しね。
イクス……ちゃんと帰れてよかったな。
小さな男の子うん。お兄ちゃん、ありがとうね。あと……えっと……もし、時間があったら
イクスああ……一緒に遊ぼう。そのときは、オススメの遊びを教えてくれ。
小さな男の子うん ! 約束 !またね ! 格好いいお兄ちゃん !
イクスな、なんだよそれ……。けど……約束だ !それじゃあ、またな !
カーリャ──さて、とにかくこれで子供の件は無事、解決ですね !あとは、光魔の鏡です !
イクス結構いろんな場所に行ったのにやっぱり全然見あたらなかったな。
ミリーナカーリャ、ここまでの道中でも何も感じなかったのよね ?
カーリャはい……。お役に立てなくてごめんなさい……。
カーリャ──けど、何て言うんでしょう。この辺り、何となく違和感があるんですよね。
ミリーナ違和感 ?
カーリャはい。ちょっとだけですが。ぶるぶる、じゃなくて、ぴりぴりみたいな感じだったから、勘違いかも──
Msc_006_007_speaker02……ウゥ~……ハルルルルル !
イクス── ! ?
ミリーナ今の──魔物の声 ! ?教会の外から…… ! ?
カーリャ──な、な、な、な、何で ! ?
イクスカーリャ!? ──その震え……!
カーリャと、と、突、然 ! 来、ま、し、た !ぴりぴりから、ぶるぶるに ! ! !さっき、まで、無かっ、たのに !
イクス何だって ! ?そんなことって……。
ルーティどう考えても、やばい感じね !外に出るわよ !
イクスこ、これは…… !
ミリーナ光魔の鏡 ! ?さっきまで何もなかったのに ! ?
イクスこれじゃまるで待ちかまえていたみたいじゃないか !
ルーティ考えるのは後にしましょ。
ルーティあんたらにしてみたら探していたお宝が向こうから来てくれた。ラッキーってことでいいじゃない。
ルーティけど、お宝を前にしたときが一番危険でもあるわ。──あの中から光魔が無限に湧いてくるっていうならさっさと光魔の鏡を破壊しないと。
ミリーナええ。教会の孤児院だってあるものね。
イクス……確かに。今は、目の前の戦いに集中しなきゃ。
イクスよし。みんな、教会を護りながら戦おう !
ルーティ当たり前でしょ ! 中には随分チビたちもいる !あの子らには、指一本触れさせないわよ !そうでしょ、イクス ! !
イクスああ ! その通りだっ ! !

キャラクター8話 【6-15 草原の教会 外れ】
イクスはぁ……はぁ……──よし !光魔の主を倒したぞ…… !
ルーティ教会も無事みたいね……よかった。
ミリーナイクス、後は光魔の鏡を──
イクスああ !
ルーティ待って ! ? イクス、危ない !
イクス! ?
マーク──また、鏡映点サマに助けられたな。イクス。
イクスマーク ! !
マーク俺がセールンド軍の方を相手してる間に随分調子に乗ってくれたみたいだが……そいつもここで終わりだ。
ミリーナこっちの事情は聞く耳なしなの ! ?
マーク当たり前だろ ?
ミリーナイクス ! ? 光魔が !
ルーティくっ ! これじゃあまた教会が…… !
イクスルーティ、そっちを頼む !
ルーティわかったわ !
マークふっ……そうすると思ったぜ。
イクス── !まさか、これを狙って… ! ?
マークこれで、面倒な邪魔は入らないだろっ !
イクスぐあっ ! ?
ミリーナイクス !
イクス……気を付けろ ! ミリーナ !やっぱりマークは俺たちよりずっと強い。
マーク逃げたっていいんだぜ ?代わりにその女が死ぬだけだ。
イクス何っ ! ?
マークイクス、俺が何も知らないと思ってるのか ?お前が過去に何をやらかしたのかを。
イクス……っ ! !
マークなぁ、ビビりくん ?
イクス…………それは。
小さな男の子お兄ちゃんを悪く言うなっ !
イクス―― ! ?
マークなんだ ?
ルーティバカッ ! なんで出てきたの ! !戻りなさい ! はやくっ ! !
ミリーナルーティ ! その子をお願い !
ルーティ言われなくてもわかってるわ !
イクスこんなときでも、俺のこと……。
マークよかったなぁ、イクス。あのガキには無様な姿を見せずにすんで !
イクス――ぐっ ! !
ミリーナイクス ! !
マークまぁ、ミリーナには見せちまったがな。無様なのは今に始まったことじゃねぇから構いはしねぇか。
イクス……黙れ。
マークあ ?
イクス俺は……確かにビビりでお前よりもまだまだ弱い。何もかも中途半端な……半人前だ。
イクスけど ! 俺は鏡士として生きると決めた ! !もう自分の持つ力にもそして過去にも目を背けはしない ! !
イクスここにいる全員に誓ってやる !俺はマーク……お前にだけは負けない !どんなにお前が強くても ! !
マークそこまで言うなら――
マークやってみせな !
イクスうおぉぉぉっっ ! ! ! !

キャラクター9話 【6-15 草原の教会 外れ】
イクスもうミリーナは狙わせない !
マークはは、頑張るじゃねぇか。
マークなら、こいつはどうだ !
イクス──遅い !
イクスよし、かわせた !
マークああ。かわしちまったな。
イクスなんだと ?
マークまた前と同じだぜ ?俺に気を取られすぎると、ってな。
カーリャイクスさま ! 後ろ !
イクスミリーナ ! !
ミリーナ! ?
ルーティくっ ! ? あたしじゃ間に合わない !
イクス(くそっ……またかよっ ! !また……ミリーナが怖い思いをしてる。俺がよけたから……俺のせいでっ)
イクス(何とかしたい……。いや……何とか、するんだ ! ! )
イクス(いつも俺を信じてくれているミリーナを守る為に俺も自分を信じる ! だから俺は、今度こそ―― ! ! )
イクス──やってみせる ! !
マーク──何っ ! ? その光は ! ?
イクスオーバーレイ ! !
マーク……っ。
イクスミリーナ、大丈夫か ?
ミリーナイクス……その魔鏡術って……。
イクスああ。やっとミリーナに見せることができた。よかったよ……今度は、うまくできて。
イクス……ミリーナを守れて。
ミリーナイクス…… !
イクス俺、ちょっとは前に進めたかな。
ミリーナううん。ちょっとじゃない。その秘伝魔鏡術はイクスにとって――
ミリーナとっても、とっても大きな一歩だよ。
マーク……その程度の力で守った気になるなよ ?
イクスこれなら──どうだっ !
Msc_006_009_speaker01── !
イクス――誰だ ! ?
ルーティあ、あんた……。
マーク何で止めた ?
Msc_006_009_speaker01──わざと受けるつもりだったろう。……今の貴様に万に一つの事態も許されない。
マークははっ。ずいぶん優しいな。あの程度の力どうってことは無かったんだぜ。
Msc_006_009_speaker01……まだ、くだらん茶番を続けるつもりか。手伝えというのは、こんなことか ?
マークわかったわかった。ここは一度、退いてやるよ。
Msc_006_009_speaker01……。
ルーティ──リオン…… !あんた、一体何やってんの ! ?
リオンふん……僕に構うな。
イクスリオンって……ルーティの仲間のソーディアンマスターだよな ! ?
マークこの鏡映点は──俺たちが抑えさせてもらった。
イクス何だと ! ?
マークここは、お前らだけの庭じゃねぇってことだ。
ミリーナ……そんな ! ?救世軍がその人を具現化したっていうの…… ?
イクスそれじゃあまさか救世軍にも鏡士が ! ?
マーク……ゲフィオンにでも聞いてみたらどうだ ?きっと、いい答えをくれるぜ。お前たちにとって、都合のいい答えをな。
光魔……ウゥ~……ハルルルルル !
イクスくそっ……また光魔が !
マークじゃあ、また会おうぜ。イクス。
リオンふんっ……。
ルーティ──あんた ! 待ちなさいよ !どうしてなのよ !どうしてあんたは――このバカッ !

キャラクター9話 【6-15 草原の教会 外れ】
イクス……鏡の封印はできたけど。
カーリャさっきの話……救世軍にも鏡士がいてこっちの邪魔をしてきてるってことですよね ?
ミリーナもしかして……うまく具現化できなかったり光魔が私たちに都合の悪い場所に現れるのは相手の鏡士が干渉してるせいだったのかも。
イクス鏡士はオーデンセ出身のはずだから……。俺たちの知ってる人かもしれない……。何だか混乱してきたよ……。
ルーティこらこら、あんたたち。そんな暗い顔して考え込んでてもしょうがないでしょ。
ルーティとにかくこれで、ここでやることは終わったんでしょ ?──光魔ってのも、もう出ないのよね。
イクス……ああ。この島はもう大丈夫だ。
ルーティそれなら約束通りあたしはあんたたちの飛空艇に乗ることにするわ。
ルーティ一緒に行かなきゃいけない理由もできたしね。
ミリーナあのリオンって人……ルーティと同じソーディアンマスターなのよね ?……仲間、なのよね ?
イクスどうして、俺たちを問答無用で殺そうとしてくる奴らなんかの方に……。
ルーティわからない……。
ルーティでもね。あいつ、ちょっとヒネてるけどスタンに言わせると根はそんなに悪い奴じゃないらしいのよ。
ルーティ──きっと何か、事情があるんだろうってスタンなら言うだろうから。追いかけてみるわ。仲間、だしね。
ルーティ──まぁ、それはそれとしてこれからも、何かあったら声かけてよ。
ルーティあんたら、まだまだ頼りないからさ。──あんたらの旅、手伝ってあげるわ。
ミリーナうん…… ! ありがとう、ルーティ。すごく、心強いわ。これからもよろしくね !
カーリャ──さて、それじゃあどうします ?イクスさま。
イクス次の島の具現化だけど……その前に一度、城に寄ってこの件をゲフィオン様に相談しよう。
イクス今のままじゃ、これから先どんな形で具現化を邪魔されるか想像もつかないし……。
イクス相手がどんな方法でこっちの具現化に干渉しているのかがわかれば何か対策ができるかもしれない。
ミリーナまずは、相手を知ることから、よね ?私もそれがいいと思うわ。
イクス……知ること、か。
イクスゲフィオン様……。信じていいんだよな……。
キャラクター#N/A
Msc_007_001_speaker03そんな……うそ……。
Msc_007_001_speaker03イクス……うそ、だよね……。
Msc_007_001_speaker03イクス……目をあけてよ……。お願い……お願いだからっ ! !
Msc_007_001_speaker03……やだよ……。
Msc_007_001_speaker03いや……。
Msc_007_001_speaker03いや―――― ! ! ! !
ミリーナ――――ッ ! !
Msc_007_001_speaker02ミリーナ、大丈夫か ?すごいうなされてたぞ。
ミリーナ………………。
Msc_007_001_speaker02……ミリーナ ?
ミリーナ……あっ、あぁ。大丈夫よ。なんともないから気にしないで。
イクスミリーナ…もしかして、また、【滅びの夢】か ?
ミリーナ……ええ。
ミリーナあっ、でも本当に平気だからね。ちょっと驚いただけ。
ミリーナそうだ。イクスは大丈夫 ?
イクス俺はなんともないよ。それに俺、まだ一度も滅びの夢を見たことがないんだ。
ミリーナよかった……。あまり目覚めのいいものじゃないし見たことがないならその方がいいわ。
イクスけど、なんで俺だけ見ないんだろう……。聞いた話だと、セールンドの人たちもほぼ全員が見てるっていうのに。
イクスそれに、どんどん\"滅びの夢\"が鮮明になってきてるんだろ ?
イクスこれってどういう意味なんだ……。やっぱり……滅びの夢は何かを暗示してるのかな……。
ミリーナどうなのかしら……。
ミリーナけど、イクスが滅びの夢を見ない理由はイクスが強いからだと思うわ。
イクスいや、それはないだろ。俺はようやく鏡士の力を制御できるようになったばかりだし。
ミリーナふふ♪ そうじゃなくて……心がってこと。
ミリーナきっと、みんな不安なのよ。鏡の盾アイギスの破片が降ってきたり突然、大陸が現れたりしてるから。
イクスもしかして……ミリーナもそうなのか ?
ミリーナ……不安が全くない訳じゃないけど私はそこまでじゃないかな。だってイクスと一緒だもの。
ミリーナ二人で力を合わせて、大地の具現化を進めて鏡の盾アイギスを修復していく。
ミリーナそうやって、滅びから世界を救えばきっと滅びの夢も見なくなるんじゃないかしら。
イクスそうかもしれないけど……。
イクス……うん。夢のことも含めてゲフィオン様に相談しなくちゃいけないな。
ガロウズ――おーい。お前たち。入ってもいいか ?
イクスガロウズ ?ああ、どうぞ。
ガロウズゲフィオン様からだ。これからしばらく王宮を離れるってよ。
イクスゲフィオン様が ! ?どうして ! ?
ガロウズ詳しくはわからねぇけど急用ができたらしいぜ。
ガロウズなんだ ? 焦った顔して。もしかして、ゲフィオン様に用だったのか ?
ガロウズだったら今から急いで王宮へ行けばもしかしたら出かける前のゲフィオン様を捕まえられるかも知れないぜ ?
ミリーナイクス、どうする ?
イクス滅びの夢や救世軍の動向それに敵側に鏡士がいる可能性……。相談したいことがたくさんある。
イクス今後、何が起こるかわからないし対策をたてるためにも少しでも話をしておくべきだ。すぐに王宮へ向かおう。
ミリーナわかったわ。
イクスすいません !
イクスゲフィオン様はどちらにおいでですか ! ?
Msc_007_001_speaker01ゲフィオン様ですか ?つい先ほどお出かけになりましたよ。
イクスえっ ? もうですか ! ?
Msc_007_001_speaker01全ての予定をキャンセルなさって急ぎ出発されましたので。
イクスえっと……それじゃあいつ戻ってくるかわかりますか ?
Msc_007_001_speaker01いえ、申し訳ないのですが詳しいことは存じ上げません。しばらく、としか伺っていないものですから。
イクスそれなら、行き先を教えてもらえませんか ?
Msc_007_001_speaker01すみませんが……それもわからないんです。
イクスそう……ですか……。
Msc_007_001_speaker01すみません。仕事に戻らないといけないのでこれで失礼致します。
ミリーナゲフィオン様、どうしたのかしら。随分慌ただしく出かけていったみたいだけれどたぶん、何かあったのよね。
イクスああ……。そうだな。何があったのかはさっぱり見当もつかないけど……。
ミリーナイクス、これからどうする ?
イクス……こうして、ただ待ってる間にもまた救世軍が、鏡映点を仲間に引き入れようとするかもしれない。
イクス俺たちは、今できることをしよう。
ミリーナ次の大陸に向かうのね。
イクスああ、急いで出発だ。

キャラクター#N/A
イクスここが新しい大陸か……。よし。それじゃあ鏡映点を捜しに――
ミリーナイクス ! 見て ! あそこで小さな動物が光魔に襲われてるわ ! ?
カーリャはわわわわ ! ? 大変です ! ?
イクス助けよう !
イクス……ふぅ、何とか光魔を追い払えたな。
ミリーナよかった……。襲われていた仔も怪我はないみたい。
クィッキークィッキー !
イクス――あははっ…… !くすぐったいって !どうしたんだ、急に…… ! ?
ミリーナふふ。その仔、光魔から助けてくれたイクスに、感謝してるんだと思うな。
イクスあははっ……そういうことか。なら、どういたしましてだな。
クィッキークィッ、クィッキー !
カーリャなんだか楽しそうでいいですねぇー !カーリャも混ぜてくださーい !
ミリーナあっ、カーリャ。いきなり近づいたらその仔が驚いちゃう――
Msc_007_002_speaker01Oh KOKO!!
カーリャほわわっ !驚かせてごめんなさ……えっ ?
イクス今の、女の子の声……だったか ?
ミリーナえっ ? どこへいくの ?
イクスおーい !一人じゃ危ないぞ !
Msc_007_002_speaker01KOKO!
イクスえっ ! ?あの人、この大陸の鏡映点……だよな ! ?
ミリーナもしかして、あの仔を捜していたのかしら ?
メルディYou two ・・・!Found the KOKO for us aren't you?!Thanks!!
イクス……えっ ?
メルディMonster's been attacked・・・ Separated・・・Was worried・・・You've save it.
ミリーナあ、あれ ! ?
イクスあ、あの……待ってください。えっと……その……。
メルディOops sorry!I am NALR!
メルディThis is KOKO!NALR is KOKO's friend.!
ミリーナねぇ……イクス。何て言ってるかわかる ?
イクスいや……。全然わからないよ……。
メルディHumm・・・!?You don't understand NALVOKS・・・ do you?
イクスえぇっ ! ? ごご、ごめん !なにか変なこと言ったかな ! ?
ミリーナち、違うの !私たちは怪しい者じゃないのよ ! ?
カーリャそうです ! このイクスさまとミリーナさまは世界を救う使命を持った正義の味方で――
イクスややこしくなるからカーリャは少し黙っててくれーっ !
メルディCool!We're all friends now.
イクス……え ?
メルディYou are both incredible!You saved KOKO. I am so grateful.
イクスと、とりあえず、怪しまれてはいない……のかな ?
イクスふぅ……。よかった。
ミリーナ……ねぇ。イクス。これからどうする ?
イクスそうだな……。言葉が通じないのは想定外だったし一度、状況を整理したいよな。
ミリーナそれじゃあ街に向かいましょうよ。確かこの先にあったわよね。
メルディTo the town?I know the direction.That way!
ミリーナもしかして……街、どこかわかるの ?
イクス……よかった。助かるよ。案内、頼めるかな。
メルディFollow me!
イクスありがとう。よし。それじゃあ、ついて行こうか。

キャラクター#N/A
ミリーナあなた、もしかして……メルディっていうの ?
メルディYes I am NALR!NA L R. NALR!
メルディThis is KOKO.KOKO!
ミリーナあっ。わかった !あなたがメルディ !で、この仔がクィッキーね !
ミリーナイクス。聞いて !名前がわかったよ――
ミリーナ……なんでそんな後ろにいるの ! ?
イクスいや。光魔がどこに潜んでるかわからないし。俺は後ろで周囲を警戒してるだけだよ。
メルディThank you OKS butWe can coordinate betterIf we move closer!
イクスえっ…… ?その……何、かな ?
メルディWe should go together!
イクスえっと……なんだろ。あっ……あはは……。
カーリャもしかして、イクスさまメルディさまのことが苦手なんですか ?
メルディYou What?
イクスいやいや ! 違うから !メルディ、それは誤解だよ ! ?
メルディWhat's wrong with you?
イクスそ、そんな不安そうな顔しないでくれよ……。
イクス俺はメルディのこと苦手とかそういうのじゃなくて……。
イクスど、どうしよう。ミリーナ。
ミリーナうーん。イクスが思ってたことそのまま伝えればいいんじゃないかしら ?きっとメルディにも伝わるわよ。
イクスその……。メルディに間違った受け答えをして誤解させたり、不安にさせてしまったら悪いと思ってさ……。
イクス伝わってる……かな ?
メルディDon't worry.I don't understand your word butI sense what you mean.
メルディPlease continue talking to me.
イクスうーん…。ごめん。なんて言ってるか、わからないや。
ミリーナそうねぇ……多分『気にしすぎないで』……じゃないかしら ?
イクスあぁ、そういうこと……なの、かな ?えっと、気を使わせてごめん。メルディ。
イクス俺、気にしすぎてたかも――
Msc_007_003_speaker01な、何なんだこいつら !というより、ここはどこだっ ! ?
イクスなんだこの声 ! ?もしかして、誰か襲われてる ! ?
メルディWhat's this voice KOL?I'll go check!
イクス待てよ ! メルディ ! !
カーリャイクスさま ! ミリーナさま !こ、この反応 !光魔 ! それに、鏡映点です ! !
ミリーナ鏡映点も ! ?ケリュケイオンで観測したときは一人だけだったのに !
イクスとにかく、メルディを追いかけよう ! !
メルディKOL! Are you OK?
キールメルディ ! ?お前、こんなとこで何やってるんだ ! ?
イクス俺たちも加勢する !
キールお前たち、何者だ ! ?見たところ……インフェリア人でもセレスティア人でもないな ! ?
ミリーナインフェリア人 ? セレスティア人 ?私たちは――
メルディThey are with us!Let's fight together fornow!!
キール……お前がそういうなら。だが、ぼくはまだ信頼した訳じゃないからな !
キールおいっ、加勢するんだろ ! ?ちゃんと活躍してくれよ !
イクスあぁ ! 任せてくれ ! !

キャラクター#N/A
イクス――大体、説明できたかな ?この世界のこと……。
メルディOK understand.Thanks for a brief.
キールぼくも、この世界、及び具現化の諸原理光魔の鏡と、その封印の必要性など諸々、理解した。
イクスキール。メルディ。二人を巻き込んでしまってごめん……。
キールまったくだ。せっかく晶霊術に関する新説を閃いて論文にまとめていたのに。もう少しで完成だったんだぞ。
ミリーナキールさん、私からも。迷惑かけてごめんなさい……。
キールあぁ。本当にいい迷惑だね。論文だけじゃなく具現化されたと思ったらいきなり光魔とかいう魔物に襲われるし――
メルディKOL! Don't accuse them.OKS and NOLOVH they are samewith us.
キールな、なんだよ。別にぼくは、二人を責めてる訳じゃない。ただ事実を言ってるだけで……。
メルディOKS! NOLOVH! Its not your fault!I am with you!
イクスえっ…… ? もしかしてメルディも怒って……るのか ?
キール違う。こいつは『自分が協力する』って言いたいんだよ。
イクス本当に ! ?ありがとう ! メルディ !すごく助かるよ !
メルディWhen the times are tough we should help each other.Let me help you.
ミリーナよかったわね。イクスメルディ、協力してくれるみたいで。
イクスキールは……手伝ってもらえるか ?もちろん無理にとは言えないけど……。
キール――不可知なるものを学ぶこと。大学時代の恩師。マゼット博士の言葉だ。
キールお前たちの旅に同行することはぼくの学ぶべきものに通じている気がする。
キールそれに……メルディも行くんだろ。……付き合うしかないじゃないか。
イクスえっ、いいのか ! ?ありがとう、キール ! 心強いよ !
キール勘違いするなよ。別にお前たちを助けるためについて行く訳じゃ――
メルディThank you KOL!I am glad... I'm glad to be with you KOL!
キールな、なんでお前まで喜んでるんだよ ! ?
メルディDon't be shy.Don't you want to be together?
キールい、いや……それは……。というより、ぼくはお前と一緒なのが嫌な訳じゃ――
キールと、とにかく光魔の鏡を封印するんだろ。さっさと片付けるぞ。
イクスそれもそうだな。カーリャ。光魔の鏡の反応は ?
カーリャう、うーん。どっちでしょう……。
ミリーナ距離が離れてて方角までまだよくわからない ?
カーリャそれもあるんですけど……。うーん……この街の先……ですね。
イクスわかった。それじゃあいってみよう。

キャラクター#N/A
ミリーナカーリャ。光魔の鏡の反応はどう ?
カーリャもうすぐですよ。ぶるぶる~って感じます~。
イクスそろそろ光魔に出くわすかもしれない。キールとメルディも気をつけてくれ。
キール言われなくてもわかってる。ぼくたち鏡映点はただでさえ狙われやすいんだからな。
キールメルディ。戦闘中、危ないと思ったらすぐ後ろにさがれ。ぼくが囮になり、立て直す時間を稼ぐ。
メルディYou are getting the timefor KLANAL ARTEUnderstood butDon't strains yourself too far.
キールふん。お前は自分の心配だけしてろ。余計なことを考え、判断に迷ったあげく光魔に囲まれたりしたら面倒だ。
メルディYES! I do mind about you!We are the friends!
キールお前なんかに気遣われなくてもぼくは自分の力でなんとかする。
メルディWhat do you mean by your own business?I can help.
キールどうだか。そもそもお前は――
カーリャキールさまぁ。メルディさまのことが心配でしょうがないのはわかるけどそろそろ先に進みません ?
キールぼ、ぼくは心配なんてしてないっ !どう解釈したらそんな結論になる ! ?理解不能だっ ! !
イクスいや……。見たままの解釈だと思うけど……。
ミリーナずっと一緒に旅してきた仲間だもの。それだけ大切なのよね。
キールか、勘違いはやめてくれ。むしろ、ぼくはこいつのことなんてどうでも――
メルディI don't care about you KOL.I am going.
キールあっ。メルディ ! 待てよ !
イクスメルディ、行っちゃったぞ。追いかけないと……。
キール…………。
イクスキール……。大丈夫か ?
ミリーナ落ち込まないで、キールさん。気をしっかり持って !
キール……お、落ち込んでなんかない。ほら。先に進むぞ……。ぼくは大丈夫だ……。
イクスいや、全然そうは見えないんだけど――
メルディEveryone! Quick!
キールメルディ ! ? どうした !
イクスなにかあったのか ! ?
イクスメルディ ! 大丈夫か ! ?
メルディYES. Prof. NHXAZMU too.He is just fainted.
キールマゼット博士 ! ?なんでこんなところに ! ?
ミリーナ確かキールさんの恩師だっていう…… ! ?大丈夫なの ! ?
キールあぁ、気絶しているだけらしい。
イクスなら、まず光魔の主を倒すぞ !そして光魔の鏡も封印する ! !

キャラクター#N/A
メルディWow!
キールおい。そっちは終わったか ?
イクスあぁ。これでもう光魔は発生しない。キール、メルディ。協力ありがとう。
ミリーナマゼット博士は ?大丈夫だった ?
キール何も問題ない。街からしばらく出ないようと伝えておいた。
イクスなぁ、キール。マゼット博士は……その、鏡映点だったのか ?
キール……いや、恐らく違うと思う。微妙に会話がかみ合わなかった。
キールぼくらの記憶を通して具現化されたこの世界の住人としてのマゼット博士と思っていいだろうな。
ミリーナ……ごめんなさい。
キールいや、そういうものだと聞いていたから問題はない。それに博士が異世界に連れてこられたんじゃなくてよかったと思ってる。
キール研究者にしてみればいい迷惑だからな。
イクスそうだよな……。ごめん、キール。
ミリーナあ、あの、キールさん。マゼット博士は、こんなところで何をしていたの ?
キール立証できていないからと詳しくは語ってくれなかった。
キールだが……察するに。別世界の観測を試みていたんだろうな。
イクス別世界 ? どういうことだ ?
キールまず、晶霊学的存在論を応用しアイギスの盾の存在の可能性をマゼット博士は導き出したんだろう。
キールけど、アイギスの盾がオルバース界面簡単にいうと、世界を分かつ境界だと誤った結論に至ったんだろうと思う。
イクスつまり、アイギスを世界の境界だと思った。だから外側に別世界があると考えてその観測をしようとしてたのか。
キールおそらくな。
ミリーナ別の世界か……。考えたこともなかった。さすが学者さん、すごい発想ね。
キールぼくたちの元いた世界は二つの世界で構成されていたからある意味、自然な発想とも言えるな。
キールまぁ、お前たちの話を聞いている限りアイギスの外に別の世界なんて存在するとは思えないけど。
イクス(アイギスの外か……。滅びの危機が迫っているようにゲフィオン様は言ってたけど……)
マーク……ゲフィオンにでも聞いてみたらどうだ ?きっと、いい答えをくれるぜ。お前たちにとって、都合のいい答えをな。
ミリーナイクス、どうかしたの ?
イクス……いや。なんでもないよ。
キールそうだ。二人とも。マゼット博士から『オージェのピアス』を預かってきた。
キールこれをつければメルディと会話できるようになる。
イクスメルディの言葉がわかるようになるのか ! ?
ミリーナよかったわ。これでメルディのことがもっとわかるようになるのね。
キールだが、ひとつ問題がある。
キールオージェのピアスは心の波長が合わさったときにしか機能しないんだ。
イクス心の波長 ?
キールとりあえず、ピアスをつけてみてくれ。
イクスああ、わかった。……これで、いいかな。ミリーナはつけたか ?
ミリーナつけたわよ。いつでも大丈夫。
イクスえっと……メルディ。俺の言葉、わかる ?
メルディI am sorry. I still don't understand.Do you understand my word?
イクスダメだ。俺にはメルディの言葉わからないや……。
ミリーナ私もわからないわ。どうしたら【心の波長】が合うのかしら。
イクス心の波長か……。なかなか難しそうだな……。
キールぼくや他の仲間も最初はわからなかった。少しずつメルディのことを知っていけば心の波長も合っていく筈さ。
クィッキークィッキー !
キールうん ? どうしたんだ、クィッキー ?
メルディI am worry that it's the directionfor the town.
イクスキール。メルディは何て言ってるんだ ?
キール街の方から魔物の気配がするらしい。まだ光魔が残っていたのかもな。
ミリーナイクス、倒しておいた方がよさそうね。
イクスそうだな。二人は飛空艇に戻っていてくれ。あとは俺たちが片付ける。
キールいや、ぼくも手伝う。
メルディI am with you for the battle.
イクス二人とも協力してくれるのか ?
キール街にはマゼット博士もいるからな。昔より体力もついたみたいだしまだまだ戦える。
メルディKOKO and I am fine..KOKO will guide us thereLets follow!
キール案内するってさ。
イクスすまない。助かるよ。それじゃあ、さっそく向かおう。

キャラクター#N/A
イクスよしっ。このあたりの光魔はほぼ倒したな。
ミリーナイクス、お疲れさま。これで街の人も安全ね。
イクスああ。キールも念のため街の人たちに外出は控えるよう伝えにいってくれてるしな。
メルディKOKO?Have you found anything?
ミリーナあれ ? どうしたのかしら ?
メルディKOKO!!
ミリーナイクス ! お願い ! !
イクスハアァッ ! !

キャラクター#N/A
イクスクィッキー、大丈夫か ?
クィッキークィッキー !
ミリーナよかった。ケガはないみたい。
メルディKOKO are you OK?
メルディThank you!You've saved KOKO again.
イクスえっと……感謝されてるんだよな ?ミリーナ、言葉わかるようになったか ?
ミリーナううん。けど、わかるわ。
イクスそう……だな。メルディ、どういたしまして。
メルディ・・・!!
イクスえっ ?ど、どうしたんだ ?
イクスな、なんだろ……。俺、何かしちゃったのか…… ?
メルディyour hand OKS!
ミリーナあっ、イクス。手、ケガしてるわよ。大丈夫 ?
イクス……ホントだ。けど、全然平気だよ。かすり傷で気づかなかったぐらいだし。
メルディSorry for this OKS.Are you OK?
ミリーナメルディ、優しいわね。イクスのことも心配してくれて。
イクス……あぁ。そうだな。それに、俺にも何となくわかったよ。
イクスメルディ、聞いてくれ。俺は大丈夫だよ。それより、クィッキーが無事でよかった。
ミリーナメルディの大切なお友達だものね。
メルディOKS・・・. NOLOVH・・・.
メルディありがとな !
イクス……えっ ! ? 今 ! ?
ミリーナ聞こえたわよね ! ?
メルディバイバ ! 二人が言葉わかるよ !メルディが言葉もわかるか ! ?
イクスあっ、あぁ ! わかるよ ! !ちゃんと伝わってる ! !
ミリーナ私も ! メルディの言葉わかるわよ ! !
メルディワイール ! よかったよ !メルディ、二人と話せるの嬉しいよ ! !
メルディそれに、二人にやっとちゃんとお礼も言える !
イクスお礼なんて……。むしろ俺たち言葉がわからなくてメルディに迷惑かけたと思うし……。
メルディううん。イクスとミリーナ。二度もクィッキー助けてくれた。それに、二人がおかげで、キールにも会えた。
メルディ二人にはずっと感謝してたよ。本当に、ありがとな。
イクスメルディ……。
ミリーナよかったわね。イクス。メルディの気持ち、ちゃんとわかって。
イクスあぁ。俺たちの方こそ感謝の気持ちでいっぱいだよ。
キールイクス。ミリーナ。メルディと話せるようになったのか ! ?
イクスキール ! ああ、そうだよ !ちゃんとメルディの言葉がわかる !これもキールのおかげだ !
ミリーナキールさんが言っていた【心の波長】のこと少しだけ理解できたわよね。
イクスキール、ありがとう。
キールな、なんだよ急に。ぼくは特に何もしてない。感謝される筋合いはないね。
キール逆に……ぼくは助けられた身だ。お前たちのおかげでメルディとも再会できたわけだしな。
キール遅くなったが……。一応……礼は言っておく。
メルディキールがそんなこと言うなんて珍しい。どうしよ、雪降るかもしれないよ。
キールう、うるさい ! 雪なんて降るか !
カーリャぶるっ……ぶるっ…… !
キール鏡精 ! 想像して鳥肌を立てるな !
カーリャ違いますよぅ !光魔の鏡を封印したのにまだ反応を感じるんです !
ミリーナえっ ! ? まだ他に光魔の鏡があるの ! ?
イクス……救世軍による干渉かな ?それとも鏡映点が2人だから光魔の鏡も2つあるとか。
ミリーナでも、ルークさんとジェイドさんの時はそんな事なかったわよね。
キール……2つの光魔の鏡。いや……これは仮説だが二つの世界を具現化したなら……。
メルディキール、そうかもしれない。
ミリーナ二人とも、何かわかったの ?
キールあくまで仮説だ。だが、可能性は高い。
メルディ向かいながら説明するよ。反応があるとこまで行こう。
イクスわかった。二人ともよろしく頼む。

キャラクター#N/A
イクスつまり、実は今回、二つの世界がひとつの島として具現化されていた。だから光魔の鏡も二つあるってことか。
ミリーナキールさんとメルディのいた世界はインフェリアとセレスティア、二つの世界から成り立ってたのよね。
イクスああ。そう聞くと、ありえない話じゃないのかもな。
メルディさっき封印したのは、インフェリア側が光魔の鏡。この先、セレスティア側にもある筈だよ。
カーリャカーリャもこの先から光魔の鏡の反応を感じますよぉ。離れてるから、まだちょびっとですけど。
キールはぁはぁ……休憩は……終わり……だ……。は、早く……ぜぇ……はぁ……。封印しに……はぁ、はぁ……いくぞ……。
イクス息絶え絶えだぞ ! ?まだ休んでていいから !
メルディキール。体力ないのしょうがないこと。無理するのよくないよ。
キールはぁ……ぼくの……どこが……無理してるって……言うのか……はぁはぁ……さっぱり、わからないね。
ミリーナメルディの言う通りよ。呼吸が乱れてすごく苦しそう……。
メルディ山登るのすごい体力使う。疲れ取れるまで待つよ。
キール休んでる暇なんか……いたっ !
イクスキール、大丈夫か ! ?
キールくっ……無論だ。
メルディ本当か ?キール、ケガしてないか ?
キールどこもケガはしてない。ちょっとつまづいただけでいちいち騒がないでくれ。
メルディけど……。
キールいいから先に進むぞ。無駄話している方がよっぽど体力を消耗する。
メルディあっ、待って。オージェのピアス落としたよ。
キールうん ? どこだ ?
メルディ後ろだよ。メルディが拾うよ。
キール自分で拾える。無駄に動き回って体力消費するようなことするな。
イクス……あれ ? キールとメルディはオージェのピアスがなくても互いに言葉がわかるのか ?
メルディキールが言葉は少ししかわからないな。
キールぼくもメルディの言葉はわからない。メルニクス語は複雑な言語だからな。
メルディインフェリアでメルニクス語は古代語の扱いだからな。
キールこいつとはじめて会ったときは辞書を引きながらなんとか言葉を理解しようとしたものさ。
メルディなんだか懐かしいよ。キール、辞書引いても全然、メルニクス語わかってなかった。
キールしょ、しょうがないだろ。メルニクス語は解明されてないことが多過ぎるんだ。
キールそれよりオージェのピアスはどこだ ?片側が見当たらない。
メルディ服に引っかかってるよ。
キールあぁ、袖に引っかかってたか。
ミリーナねぇ、イクス。やっぱりキールさんとメルディ普通に会話してるわよね ?
イクス言葉がわかってるようにしか見えないな。
キール……よし、これで大丈夫だ。ピアスをつけたぞ。
カーリャピアスといえば【心の波長】が関係してましたよね。
カーリャもしかして、キールさまとメルディさまは心の波長が完全に一致してるから言葉がわかるんでしょうか。
メルディうーん……。そうなのかもな。
キールそんなわけないだろ !変なこというな !
イクスけど、それじゃあどうして ?
キールそ、そんなこと知るか……。
キールただ……言葉はわからなくてもなんとなく、こいつの考えてることはわかるというか……。
メルディキールもか ?メルディも同じだよ。
キールい、一緒にするな。お前は思考が単純だからわかるだけだ。
メルディメルディ、そんな単純じゃないよ ?色々いーっぱい考えてるよ。もちろんキールがことも。
イクスだから、なのか…… ?
キールまぁ……そうかもな。相手の気持ちを考えること。知ろうとすること。
キール学問と同じで、そういう姿勢が大切なのかもしれないな。
ミリーナキールさんはそれだけメルディのことを考えて知ろうとしてきたのね。
キールお、おい。変な誤解はするなよ。とにかく、今は光魔の鏡を封印しに行くぞ。
メルディあっ。キール、待ってよ~。
ミリーナなんだかキールさん少し元気になったみたいね。
イクスそうだな。俺たちも行こう。

キャラクター#N/A
イクスミリーナ。もう準備は終わったのか ?
ミリーナ私は大丈夫。キールさんとメルディもすぐ来るみたいよ。
カーリャあとはみんなで光魔をやっつけてパパッと光魔の鏡を封印するだけですね !
イクスけど、そう簡単にはいかないと思うぞ。たぶん光魔の群れが待ち構えている筈だから。
ミリーナ光魔の鏡が出現して時間がけっこう経ってるから光魔の数も増えてそう……。
イクスそれに、二つの世界が具現化するなんて想定外のことも起きてる。
イクス何が起こるかわからないわけだしいつも以上に慎重に行動しないと。
ミリーナ今は私たちの力で解決していかないとだものね。さらに気を引き締めていかなきゃ。
イクス(……そうだな。今はゲフィオン様もいない。まず、俺がしっかりしないと……)
イクスミリーナ。何かあっても俺がなんとかするよ。
ミリーナイクス ?
イクスどこまでできるかわからないけど。俺、もっと頑張るからさ。
ミリーナなら、私も頑張るわ。しっかりイクスをサポートする。
ミリーナ私、イクスよりお姉さんなのよ。むしろどんどん頼ってくれていいんだから !
ミリーナ……だから、ひとりで抱え込みすぎないで。私もイクスと同じ気持ちでいるから。
イクス俺と同じ ? それってどういう――
キール待たせた。クレーメルケイジの中の晶霊をフリンジしようとしたんだがどうも勝手が違っていて、時間がかかった。
キール……もしかすると、晶霊がいないのかも知れない。これがお前たちの言っていたエンコードの影響なのかも知れないな。
キールまぁ、術は使えるから問題はない。あとでじっくり調べるさ。
メルディもう準備はばっちり !いつでも出発できる。
ミリーナイクス。みんな集まったしさっそく行きましょう。
イクス……あ、ああ。そうだな。それじゃあ光魔の鏡を探しに行こう。
イクス(ミリーナも、俺と同じ気持ち……。やっぱり、不安なのかな……)

キャラクター#N/A
イクスやああぁぁっ ! !
イクスはぁ……はぁ……。とりあえず……片付いたか……。
ミリーナイクス、大丈夫 ! ?
イクスああ……。ミリーナのサポートのおかげでね。
キールそれにしても……きりがないな。さっきからずっと……戦いっぱなしだ
メルディ思ってた以上に光魔が数、多いね。
イクスけど、無視はできないよ。このあたりの光魔を放っておいたら街に向かう可能性もある。
メルディそうだな。すべて倒さないとだよ。
キール……おい、メルディ。お前――
カーリャイクスさま ! また光魔ですよ !
イクスキール、メルディ !そっちの光魔を頼む !
メルディわかったよ !
キール待て !
メルディなんだよー ! ?
キールお前、走り回って光魔を引きつけようとしてるだろ。
キール街に、光魔が向かったりしないように。ここは異世界に具現化された存在だとしてもお前にとっては大切な故郷と同じようなものだから。
メルディえっ……キール。なんで……。
キールわかるんだよ。お前は単純だから。ちょっと見てればな。
メルディ……ごめんな。勝手なこと考えて。
キール誰も悪いとはいってないだろ。代われ、ぼくが囮になる。
メルディ待って !メルディもキールがことわかるよ。
メルディキール、光魔増えたの自分がせいに思ってる。体力なくて、休憩取って時間かかったから。
メルディだから、体力ないのに無理しようとしてる。
キールう、うるさい !体力なくて悪かったな ! !
メルディそうじゃないよ。だから……。
メルディ一緒に、戦おうよ。
キール……メルディ。
キールま、まぁ。それも状況に即した合理的判断だな。いいだろう。
メルディはいな ! それじゃあ――
キールああ ! いくぞ !
ミリーナキールさんとメルディって通じ合ってて素敵だね
イクスそうだな……。
イクス(……俺だって、ちゃんとミリーナを守ってみせる)
ミリーナイクス、ずっと前衛で戦って体力を消耗したでしょう。私が前に出るわ。
イクス……いや、まだ大丈夫だ !ミリーナは援護たのむよ !
ミリーナ……そ、そう ? わかったわ。でも……苦しかったら言ってね。
イクスああ ! 大丈夫 !

キャラクター#N/A
イクス見つけたぞ ! 光魔の鏡だ !
光魔の主……ウゥ~……ハルルルルル !
ミリーナ光魔の主……。それに、光魔も……。
メルディまだこんなに残ってたか……。
キールさすがに一度にまとめて相手にするのは厳しそうだぞ。
イクス(くそっ……またかよっ ! !また……ミリーナが怖い思いをしてる。俺がよけたから……俺のせいでっ)
イクス(何とかしたい……。いや……何とか、するんだ ! ! )
イクス(いつも俺を信じてくれているミリーナを守る為に俺も自分を信じる ! だから俺は、今度こそ―― ! ! )
イクス(そうだ……俺が、やれば ! !やらなくちゃ ! ! )
ミリーナイクス、どうしたの ?
イクス俺が光魔の主を引きつける !みんなは光魔を倒してくれ !
ミリーナイクスひとりで ! ?それは危険よ !
キール同感だ。連携を取りやすいミリーナと二人で戦うべきだろ。
メルディそうだよ。まわりの光魔はキールとメルディでなんとかできる。
イクスあくまで引きつけるだけだから大丈夫だ。
イクス光魔の主を倒すとき、まわりの光魔に邪魔されないよう数を減らしておいてほしい。
ミリーナそういう作戦もわかるけど……でもイクスだけ危険な目に――
イクスそれに、ミリーナまで光魔の主に狙われたら危ないから。
ミリーナイクス……。
イクス頼んだぞ !
ミリーナあっ ! 待って ! !
ミリーナくっ…… !
イクス(なかなか素早いな。だけど、時間稼ぎぐらいなら俺ひとりでなんとかなりそうだ)
イクス(よし、だいぶ攻撃パターンもわかってきた――)
イクス(加速した ! ?くっ――完全には避けきれないか ! ? )
ミリーナイクス ! ? 大丈夫 ! ?
イクスミリーナ……。あ、ありがとう。
ミリーナやっぱり私も協力するね。
イクスえっ ! ? 危ないぞ !ミリーナが標的になるかもしれ――
ミリーナイクス ! すごく嬉しかったよ !私のこと、守ってくれて !
ミリーナでも、私だってイクスを守りたい。私はイクスに怖い思いをさせたくない。
ミリーナだから、自分ができること、力になれることはちゃんとやりたいの。
イクスミリーナ……。
ミリーナそれに、ほら。私、少しだけ先輩だから。
イクスミリーナ。
ミリーナ何 ?
イクス俺と一緒に、戦ってくれ。
ミリーナもちろん !
イクスよしっ、じゃあいくぞっ ! !一緒に ! !

キャラクター#N/A
ミリーナイクス ! お願い ! !
イクスありがとう ! ミリーナ ! !
イクスうおぉぉぉおっ ! ! ! !
イクスはぁ……はぁ……。た、倒した……。
キールあとは光魔の鏡を壊して、封印するだけだな。
メルディイクス、頼んだよ。
イクスあぁ。任せてくれ。これで――
イクスよしっ、もう大丈夫だ。
メルディこれでセレスティア側も安心だな。イクス、ありがとな。
イクスいや、お礼をいうのはこっちだよ。メルディ、キール。二人ともありがとう。
キール感謝される筋合いはない。はじめに言ったように、ぼくが同行したのは不可知なるものを学ぶためだからな。
カーリャメルディさまが行くならとも言ってたよーな ?
キールそ、それは別に重要なことじゃない !
ミリーナイクスもお疲れさま。ずっと前衛で、戦いっぱなしだったけど大丈夫 ?
イクスあぁ。ミリーナにも、助けてもらったからな。ありがとう。
ミリーナどうしたの、改まって。
イクスいや……謝りたいことがあってさ。
イクス俺……ミリーナに怖い思いさせたくないとか心配かけたくないとかでいっぱいで……。
イクスちゃんとミリーナの気持ち、わかってなかったから……ごめん。
ミリーナああ……ううん……。私こそ、ごめんね。
ミリーナイクスがどんどん強くなって背中を見ることが多くなって勝手にそのことを悩んでたのかも。
ミリーナちゃんと、イクスを助けられているのかなって。
イクス何言ってるんだよ。今までだって何度ミリーナに助けられてきたか……。
カーリャお二人ともかみ合ってるようでかみ合ってなかったんですねぇ !
イクスずっと一緒にいる幼なじみが相手でも人の気持ちを考えるのって難しいんだな。
ミリーナそうよね。あらためてキールさんとメルディってすごいと思うわ。
キールな、なんだよ、いきなり。
カーリャ二人は本当にただの旅の仲間ですかぁ ?幼なじみ以上の深~い絆があるようにしか見えないですよぅ。
カーリャたとえば~……そう !こ・い・び――
キールだ、断じて違う ! !このぼくがこんなやつの恋人なわけないだろっ ! !
キールこんな変なしゃべり方で味覚が常人離れしてるこんなやつのっ ! !
メルディそれどういう意味か ! ?メルディ、もう知らない !先に飛空艇いくよ !
キールあっ、おい ! 待てよ ! !
イクスあはは……。仲が良いんだか悪いんだか。本当にどういう関係なんだろうな。
ミリーナけど、お互いに相手のことを考えて信頼し合ってるのよね。二人は。
イクス自分で考えること、知ろうとすること。これって無条件で相手を信頼することより大切なことなのかもしれないな。
イクス間違うこともあるかもしれないけど――
イクスこうして、ちゃんと。もっと、わかり合えるって思うから。
ミリーナ……イクス。ええ、私もそう思うわ。
イクス……なぁ、俺たち、わからないことだらけだろ。
イクスアイギスはティル・ナ・ノーグを滅びの危機から守ってくれる盾だってゲフィオン様は言っていた。
イクスけど、そもそも【滅びの危機】って何なんだ。アイギスの外側はどうなっているのかも俺たちはよく知らない。
ミリーナそうね。多分ゲフィオン様はそのことをちゃんとわかっているんでしょうけれど……。
イクスゲフィオン様は今どこで何をしているのかな……。
イクスそもそも、あの人がどういう人かも俺たちはよくわかってないんだ。
イクスそれに……正直に言うと――
マーク……ゲフィオンにでも聞いてみたらどうだ ?きっと、いい答えをくれるぜ。お前たちにとって、都合のいい答えをな。
ミリーナ……イクス。マークの言葉が気になってるのよね ?
イクス……ああ。
イクスだから、ゲフィオン様のこと少し調べてみようと思う。どうかな ?
ミリーナええ。いいと思う。ゲフィオン様のことだけじゃなくて他にも何かわかるかもしれないし。
イクス王宮の書庫なら何か手がかりがあるかもしれない。
ミリーナそうね。一般の図書館には置いてない文献もある筈だもの。
イクスセールンドに戻ったら、早速調査開始だ。

キャラクター#N/A
ミリーナイクス、お疲れさま。お茶いれてきたわよ。ここに置いておくわね。
イクスありがとう、ミリーナ。助かるよ。
ミリーナゲフィオン様のこと何かわかった ?
イクスいや……。まったくわからない。最近の、宰相になってからの記録しか残っていないんだ。
イクス宰相になった経緯もそれ以前に何をしていたのかもどの文献にも載っていない。
ミリーナえっ、そんなことってありえるの ! ?
イクスいや。普通は考えられないよな。あまりにも不自然だよ……。
イクスゲフィオン様……。一体、何者なんだ……。
ガロウズお前ら。何やってんのかと思えばゲフィオン様のことを調べてたのか。
イクスガロウズ ! ?
ミリーナえっ……あの、これは……。
ガロウズ何。俺は別に気にしてねぇよ。
ガロウズなんせ、俺もよく知らねぇからな。
イクスえっ、ガロウズも ! ?
ガロウズああ。知ってるのは、昔、魔鏡兵器の開発に携わっていたらしいってことぐらいだな。
ミリーナ魔鏡兵器の開発……。確か、魔鏡戦争のとき盛んだった研究よね。
イクス魔鏡兵器の研究者はほぼ全員が鏡士だった筈だ……。俺の父さんも母さんもそうだったから。
イクスそれじゃあ、まさかゲフィオン様には鏡士の力があるのか ! ?
ガロウズいや。そこまではわからねぇ。魔鏡技師ってだけなら俺と同じく鏡士である必要はないしな。
ガロウズけど、俺の命の恩人ってことは確かだぜ。
イクス命の恩人 ?
ガロウズこの魔鏡義肢がその証さ。
ガロウズ俺は魔鏡戦争で死にかけたことがあるんだ。まぁ、なんとか助かったけど左腕を失っちまってな。
ガロウズもう兵士として満足に戦うこともできねぇ。家族もみんな死んじまった。
ガロウズ今後どうすればいいかわからなくて人生に絶望したよ。
ガロウズそんな俺を見て、ゲフィオン様が特別にこの魔鏡義肢を作って下さった。
イクスゲフィオン様が、その魔鏡義肢を……。
ガロウズそれで、俺はゲフィオン様に恩を返そうと魔鏡技術の勉強して、魔鏡機器の整備や運用を担当するようになった訳だ。
ガロウズまぁ、親が魔鏡技師だったから予備知識はあったしな。
ミリーナそうだったの……。ゲフィオン様って優しい方なのね。
ガロウズ今どこで何をしてるかわからねぇけどきっとお前らのことを助けようとしてるって俺は思ってるぜ。
イクス……俺たちのことを、か。
ガロウズけど、まだ気になるんだろ。少し時間も経ったことだし一度王宮を見てきたらどうだ ?
イクス……そうだな。
ミリーナやっぱりまだゲフィオン様は戻られていないみたいね。
イクスああ。それに行方だけじゃなくて素性も経歴も、結局全てわからずじまいだ……。
ミリーナけど、それもイクスがちゃんと調べたからわからないってところまでたどり着けたのよ。
イクスそれはそうかもしれないけど……。
ミリーナそれに、ガロウズさんから話を聞いて少しだけゲフィオン様のことを知ることができたじゃない。
ミリーナガロウズさんのときのように私たちを助けようと動いてくれてるって考えることもできるでしょう ?
デミトリアスその通りだ。それは私が保証するよ。
イクスえっ……あなたは ?
デミトリアス……私はこのセールンドの国王デミトリアスだ。君たちのことは、ゲフィオンから聞いているよ。
イクス国王陛下 ! ? し、失礼しました…。
デミトリアスいや、気にしないでくれ。むしろ謝らなければならないのは私の方だ。
デミトリアスゲフィオンのことで不安にさせてしまったようだね。
デミトリアス彼女には今、極秘任務にあたってもらっているんだよ。
デミトリアス詳しくは言えないが……ゴホッゴホッ。
イクス陛下 ! ? 大丈夫ですか ! ?
デミトリアスすまない……こんな頼りない王で……。生まれつき身体が弱くてね……。
デミトリアス物心つく頃には随分持ち直したんだが結局こんな有様だ……。ゲフィオンには負担を強いるばかりだよ。
デミトリアスだが、彼女が留守の間は、私が君たちの旅の責任を持つよ。それとも私の補佐では不満かな ?
イクス陛下御自らですか ! ?
デミトリアス……この通り身体は弱いがカレイドスコープのことは理解している。安心してくれ。
イクスは、はい。わかりました。
デミトリアスそれじゃあ、すぐにでも次の作業に取りかかろうか。二人とも、ついてきてくれ。
デミトリアスカレイドスコープを起動する。……イクス、魔鏡をこちらに。
イクスどうぞ。
デミトリアスありがとう。こちらの準備は整った。
ミリーナ私はいつでも大丈夫です。
イクス俺もいけます。
デミトリアスでは、鏡士の力を――
二人はい !
二人――
デミトリアス――よし。これでレイヤード処理は成功だ。
イクスレイヤード処理…… ! ?今のは具現化ではなかったんですか ?
デミトリアスえ ! ?ゲフィオンから何も聞いていないのか ?
ミリーナ何のことですか ?
デミトリアス実は六つ目の大陸が具現化された直後からアニマの上昇率に異常が生じたんだ。
イクス六つ目……。ルーティと出会った大陸か。
デミトリアスそこで既に具現化した大陸に再具現化を行うレイヤード処理を施して大陸を安定させる必要があったんだよ。
ミリーナあそこには街や孤児院が……すでに大勢の人たちがいます。大陸の人たちに影響はないんですか ?
デミトリアス具現化を安定状態にしただけだ。理論上は何も問題ない。
イクスその理論というのは一体 ?
デミトリアスそうだね……。君たちは、魔鏡工学や魔鏡機器の知識全般を身に付けているかな ?
ミリーナ……いえ。
イクス俺も魔鏡技術の触りぐらいしか……。
デミトリアスならどこから説明したものか……。すまない、人に物事を解説するのはあまり慣れていなくてね。
デミトリアス時間をくれれば資料を用意できると思うんだけれど……。
イクスそれなら、その資料を待つ間に、レイヤード処理が本当に問題を引き起こしていないか調べに行っても構わないでしょうか。
ミリーナイクス…… !そうよね。ちゃんと自分たちの目で確かめておきたいものね。
デミトリアス……フフ !君たちは本当に仲がいいんだね。
デミトリアスもちろん、問題はないよ。むしろ是非確認に行ってほしい。
デミトリアス二人にばかり仕事をさせて申し訳ないけれどどうか、よろしく頼むよ。
ミリーナ大丈夫です。お任せ下さい。
デミトリアス……そうだ、イクス。君の持つ魔鏡はカレイドスコープによる具現化の際に核となる唯一無二の特別な魔鏡だ。
デミトリアスそれは知っていたかな ?
イクスカレイドスコープを動かす時に必要だというのはゲフィオン様から聞いていましたがそこまでのものとは……。
デミトリアスそうか……。ゲフィオンが君の性格を慮ってあまりプレッシャーを与えないようにしていたのかもしれないな。
デミトリアスその魔鏡は、この世界を守るためには欠かせない重要なものだ。
デミトリアス君にとっても両親の形見だとも聞いている。くれぐれも大切にしてほしい。
イクスは、はい。わかりました。
キャラクター1話 【孤児院付近】
イクスレイヤード処理の影響の調査……。次は孤児院だな。
カーリャ大陸の主要な街や村を見回りましたけど何も影響はなかったじゃないですか。心配し過ぎですよ。
ミリーナこれでいいのよ。こうやって自分たちの目で確かめることが大切なんだから。
イクスカーリャ、光魔の鏡の気配は感じるか ?
カーリャいいえ。これっぽっちもぶるぶるしません。やっぱり光魔の鏡は発生してないっぽいですよ。
イクスそうか。少なくともレイヤード処理による光魔の発生や被害は心配なさそうだな。
ルーティおっ、イクスにミリーナじゃない。
ミリーナルーティ、もしかして孤児院に行ってたの。
ルーティそうよ。久しぶりにね。あんたたちはレイヤード処理の調査 ?
イクスそうだよ。ところで、孤児院はどうだった ?
ルーティそれがもうびっくりよ。いやぁ、ホント具現化って凄いわ。
ミリーナえっと、どうしたの ?
ルーティそれがね、少し前から具現化された各大陸間で交易が行われるようになったらしくてさ。
ルーティ孤児院の食糧、日用品不足なんかもだいぶ解消されてたみたいなのよ。
ルーティこれもあんたたちが地道に具現化の旅を進めてきたおかげね。
イクスそれじゃあ、孤児院ではレイヤード処理による問題や悪影響は何も発生していなかったんだな ?
ルーティないない。むしろチビども全員以前にも増してピンピンしてたわよ。
イクスそうか……。それならよかった……。
ルーティただ、少しだけ気になる情報があって……。
イクス気になる情報 ?
ルーティレイヤード処理が完了してすぐに救世軍があちこち嗅ぎまわりはじめたみたいなのよ。
ミリーナそうなの ! ?
イクス救世軍の動向……。タイミング的に怪しすぎるな。
ルーティ孤児院にも尋ねてきたんですって。金髪の少年を見かけなかったかって。
イクス救世軍が行方を追っているってことはもしかして、その人は鏡映点なんじゃ……。
ルーティあんたもそう思うのね。それなら……多分……。いや……きっと、あいつだわ。
ミリーナルーティ、心当たりがあるのね ?
ルーティええ。金髪っていったらスタンよ。あたしと同じソーディアンマスターのね。
ルーティあいつホントにバカで世間知らずでさ。だから、トラブルに巻き込まれてなきゃいいんだけど……。
ルーティそれに……あいつまで救世軍に押さえられたら……。
ミリーナ……ルーティ。
イクスひとまず救世軍より先にその人を保護しなくちゃいけないな。
ミリーナそうね。救世軍の動向を考えるとレイヤード処理の影響と無関係には思えないわ。
ルーティありがと。正直助かるわ。さすがにあたし一人じゃ手に余ると思ってたのよ。
イクスえっ。ルーティ、もしかして一人で行こうとしてたのか ?
ルーティま、確かな情報じゃないからね。無駄足になる確率も高いし付き合わせるのも悪いと思って。
イクスけど、それでもルーティが行こうと思ったのは仲間のことが心配だったからだろ ?
ミリーナそれなら私たちも協力するのは当然よね。
ルーティまったく……。何も手に入らないかもしれないのによくそんなこと言えるわね。
ミリーナうーん。じゃあ、こう考えるのはどう ?
ミリーナ私たちはルーティが協力してくれてとっても助かってる。だから、ルーティにも協力する。
イクスルーティの言うところのこれで『チャラ』ってやつだな !
ミリーナそうそう、それ !これで貸し借りなしよね !
カーリャお二人とも !むしろ利子つけて返さなきゃですよ !
ルーティちょ、ちょっと。そんな育ちの悪い言葉使うもんじゃないわよ……。
アトワイトふふっ……。この子たちもなかなかのお人好しみたいね。
ルーティまったく……。
イクス……うん ?
ミリーナイクス、どうかした ?
イクス……いや。何でもない。たぶん、気のせいだ。
ミリーナ気のせい ? それって――
ルーティよしっ ! あんたたち、しっかり言質取ったから覚悟しなさい !
イクスああ。望むところだよ。
ルーティそうと決まればさっそく出発よ !行商人から目撃情報を仕入れてきたわ !ついて来なさい !

キャラクター2話 【8-1 バーンハルト街道 1】
スタンはぁ……はぁ……。なんなんだ、さっきの兵士たちは……。いきなり襲いかかってきて……。
ディムロス理由はわからんがお前を狙っていることは確かなようだな。
スタン起きたら知らない場所に飛ばされてるし変な奴らに追いかけ回されるし悪い夢でも見ている気分だよ。
ディムロスだが、これは夢ではないようだぞ。我らがいた世界を礎とした別世界と考えるのが妥当だろう。
スタンそうだな。もし夢だったらそろそろリリスが起こしてくれる頃だし。
ディムロススタン、その発言だけは夢であってほしいと思ってしまったぞ……。
ルーティホント、何バカなこと言ってるのよ。
スタンルーティ !
アトワイトよかった。ディムロスも一緒みたいね。
ディムロスアトワイト ! ?
イクスルーティ、見つかったのか ! ?
ルーティええ。スタンよ。あたしの勘どおりこいつも具現化されてたみたいね。
スタンえっと、ルーティ。この人たちは ?それに……ぐ、具現化 ?
ルーティあたしが説明するよりイクスたちの方が早いわ。二人とも、頼んだわよ。
イクスああ。わかった。
イクス――ということなんです。
スタンうーん、なるほど。
ルーティだいたい事情はわかった ?
スタンいや、全然。俺には難しすぎてさっぱりだよ。
ルーティはぁ……だと思ったわ……。
ルーティとにかく、あんたもこの世界を救うためこの二人に協力しなさい。
スタンそれはもちろん。
ミリーナえっ ! ? スタンさん、いいんですか ! ?
イクスちょ、ちょっと待ってください。えっと……協力してくれるのは嬉しいです……。
イクスだけど、もう少しちゃんと説明させてください……。今のままだと……申し訳ないです……。
スタンそうかなぁ……。よくわからないけど、二人は困っててだから今ここに俺がいるんだろ ?
イクスそうですけど……。他にも色々事情があって……。
スタンいいや。俺にとってはそれだけで十分だよ。二人を放っておくことはできない。
スタンそれに、困っている人を見過ごすなってのがエルロン家の家訓だからな。
イクス……スタンさん。
スタンイクス、これからよろしく。
イクススタンさん、ありがとうございます !
スタンミリーナもよろしく。
ミリーナええ。スタンさん。こちらこそよろしくお願いします。
カーリャルーティさまもスタンさまもとってもいい人ですね。
イクスそうだな。ルーティも俺たちが事情を説明し終わる前に是非協力させてくれって言ってくれたしな。
スタンえっ、ルーティが ?
ルーティちょっと、スタン。なによその反応は。あたしだって人助けぐらいするわよ。
スタンご、ごめん。ちょっと意外だったから。
ディムロスだが立派な心がけだぞ。いついかなるときも世界のために行動する。それがソーディアンマスターだ。
ルーティそうそう !これもソーディアンマスターの使命よ !
ルーティそ、それに……二人は王宮に仕えてるからうまいこといけば国家予算の数割ぐらいもらえたりするかもだし…………。
スタンあっ、よかった。いつものルーティだ。
ディムロスすまないが先ほどの発言は撤回させてくれ。
アトワイトなんだか二人に申し訳なくなってきたわね……。
イクス……やっぱり。
ルーティあっ ! ちょ、ちょっと !今のは冗談よ ! ?
イクスやっぱり……聞こえる。
ルーティえっ…… ?
イクスミリーナも聞こえるだろ ! ?男の人と女の人の声が ! ?
ミリーナええ、聞こえてるわ !もしかして、ディムロスさんとアトワイトさん ! ?
ディムロス我の声が聞こえるのか ! ?
アトワイト私の声も ! ?
イクスはい ! しっかりと !
ルーティちょ、ちょっと待って !なんであんたたち、ソーディアンの声が聞こえるようになってるわけ ! ?
ミリーナもしかして、具現化のレイヤード処理の影響かしら ! ?
イクス……たぶん、その可能性は高いと思う。
イクスほら、この前、ミクリオとエドナ様と出会っただろ。
イクスあの時はスレイの認知する世界像が反映されて本来、俺たちには認識できない天族を認識できるようになった。
イクスあれと同じ理屈だよ。
イクスルーティの認知する世界像から別の誰かの認知する世界像に上書きされたんだと思う。
ミリーナ別の誰かって……スタンさん ?
イクスそうなると、スタンさんにとって剣が生きてることは当たり前だったのか ?
スタンいや、普通剣は生きてないし。
ディムロスその台詞……なんだか出会った当初のことを思い出すな……。
ミリーナスタンさんの世界像じゃないみたいね。でも、それじゃあ……いったい誰の……。
ミリーナレイヤード処理の際に具現化された鏡映点が他にいるのかしら。
イクスそれはわからない……。けど、一つだけわかったことがある。
イクスそれはレイヤード処理による影響は具現化大陸の安定化以外にも確かにあったってことだ。
イクス俺たちがソーディアンの声を認識できるようになっただけなら問題はないのかもしれない。
イクスだけど……それ以外にまだ気づいていない悪影響が発生しているかも……。
救世軍兵士見つけたぞ ! あの男だ ! !
スタンあいつら、こんなところまで追いかけてきたのか ! ?どれだけしつこいんだよ !
イクス救世軍 ! ?
ディムロスイクス、あやつらが敵対勢力なのだな。
イクスそうです。鏡映点であるスタンさんを捕らえようとしてるんだと思います。
ディムロススタン、わかっているな ?
スタンああ ! いくぞ、ディムロス !
ルーティアトワイト !
アトワイトいつでもいいわよ。
イクスミリーナ、俺たちもいくぞ !
ミリーナええ !

キャラクター3話 【8-1 バーンハルト街道 1】
スタンお前たち ! まだやるつもりか ! !
救世軍兵士クッ……なんて強さだ…… !
救世軍兵士だが……ここで逃がすわけには……。
リオン退け。そいつらに用はない。
スタンリオン ! ?
ルーティな、なんであんたがここに……。
リオン…………ふんっ。
救世軍兵士退けと言われても……あいつを捕らえるよう俺たちは――
リオン二度同じことは言わん。犬死にしたければ勝手にしろ。
救世軍兵士……わ、わかりました。
ミリーナリオンさん……まだ救世軍に……。
スタンちょ、ちょっと待ってくれ……。救世軍って敵なんだよな…… ?悪い奴らなんだよな…… ?
スタンなのに……なんで……リオンが救世軍を指揮してるんだよ……。
ディムロスシャルティエ !お前も聞こえているのだろう ! ?何故、黙っている !
リオン…………。
スタンおい ! リオン ! 行くなよ !待ってくれ――
ルーティスタン ! 危ない ! !
スタン――うわっ ! !
イクススタンさん !
スタンくっ…………。
ルーティスタン、大丈夫 ! ?
スタンあ、ああ……。
ルーティあんた……スタンに何してんのよ ! !
リオン敵が近づいてくれば斬る。当然のことだ。
スタンそんな……敵だなんて……。俺たちは……一緒に頑張って……神の眼を取り返した仲間だろ…… !
スタンリオン ! 待ってくれ ! !どうしてなんだよ ! ?
スタンリオン ! リオーーーン ! !

キャラクター4話 【8-2 バーンハルト街道 2】
ミリーナリオンさん……。どうして救世軍に協力してるのかしら……。
イクスわからない……。
ルーティだけど、今。あいつが敵であることは間違いないわ。
スタンいや……リオンは敵じゃない。
ルーティあんた、自分が斬られたこと忘れたの ! ?少しは人を疑うことを覚えなさいよ !
スタンそれでも、リオンは敵じゃない !俺の仲間だ ! ! そして、友達だ ! !
イクス……そうなんですね。
スタンリオンはすごく強くて、俺よりもずっと頭が良くて責任感もあってとっても良い奴なんだよ。
スタンきっと何か事情があるんだ。救世軍と一緒になって世界を滅ぼそうとする奴じゃない。
ルーティそりゃ、そうかもしれないけど……。
イクススタンさん、ルーティ。ごめん……こんな争いに巻き込んで……。
ミリーナ私たちのせいで……仲間と……敵対することになって……。
ルーティあたしはもう……覚悟は決まってる。あんたたちは気にすることないわよ。
スタンそうだよ。それに、イクスとミリーナは何も悪いことはしていないじゃないか。
イクスでも、俺たちと一緒にいたらきっと……リオンさんと戦うことに……。
スタン確かに……俺は……リオンと戦いたくない……。
ディムロススタン ! ?もしや救世軍につくつもりか ! ?
スタン違うって !もちろんイクスとミリーナに協力はする !
イクスだけど……それじゃあ……。
スタンリオンと戦うことになるかもしれないって言ったよな ?
スタンそれってつまり、リオンとまた会うことができるかもしれないってことだろ ?
スタンそのとき、ちゃんとお互い話し合えばきっとなんとかなる。何か事情があるなら助けることもできる。
スタンそうしたらイクスとミリーナも助けられてリオンも助けられる。
スタンだから、二人は気に病むことないよ。そのまままっすぐに自分が正しいと思ったことをすればいい。
イクス……スタンさん。
ルーティまったく……あんたらしいわ。
ディムロス相変わらず考えが甘い。だが、進むべき道は間違っていないぞ。
アトワイトひとまず、今後の方針が固まったみたいね。
イクスはい。俺たちがまずやるべきなのは救世軍の動向の調査です。
ミリーナそうね。救世軍のことを調べていけばリオンさんのこと、レイヤード処理の影響もわかってくる筈よ。
ルーティそれなら街へ向かうわよ。手分けして聞き込みね。
イクス情報収集なら港町が最適だ。この大陸の交易の中心となってるからな。
スタンわかった。さっそく向かおう。

キャラクター5話 【8-5 水路に囲まれた港街 1】
イクスみんな、救世軍について何かわかったか ?
スタンああ。街で聞き込みしてきた。少しだけど情報も手に入ったよ。
ルーティだけど……なーんか釈然としないのよね。
ミリーナスタンさんとルーティもそうだったのね……。
イクスまさか、悪い噂や怪しい話どころかいい奴らだって評価しかないんだもんな……。
スタン街の人たちの安全のために魔物を討伐したり、自警団を組織して街の治安を守ったりとかしてたんだな。
ルーティあたしが仕入れた情報じゃ、交易も実は救世軍が主導になって進めてたみたいなのよね。
ミリーナそうだったの ! ?
イクス救世軍……調べれば調べるほどよくわからないな……。
スタンなんだか……俺もわからなくなってきたよ。
ディムロススタン ! 惑わされるな !襲われたことを忘れたか !
ルーティそうよ。そういう奴らに限って裏でかなり悪いことやってるに決まってるんだから。
アトワイト確かに、私たちを妨害し、鏡映点を押さえ世界を滅びへと誘おうとしているのは紛れもない事実なのだから。
スタンまあ、それはわかってるけど。
イクス肝心の救世軍が何をしようとしてるのか、とかリオンさんの行方、レイヤード処理の影響もわからずじまいだったな……。
ミリーナ大丈夫よ。まだ聞き込みをしていない街や村だってあるじゃない。
ルーティけど、今日のところはこれぐらいにしましょ。さすがに疲れたわ。
スタンそうだな……腹も減ったし……。
イクスそれじゃあ宿に向かおう。さっき予約しておいたから。
ルーティおっ、さすがイクス ! 気が利くわね !行きましょ行きましょ !
? ? ?…………。
ミリーナ…… !
イクスミリーナ ?
ミリーナイクス、ちょっと先に行っててくれる ?
イクスあ、あぁ。けど、どうかしたのか ?
ミリーナううん。何でもないの。かわいい雑貨屋さんがあったから。
ミリーナ無駄遣いはしないから安心して。少し見てくるだけ。
イクス無駄遣いの心配はしてないよ。ミリーナは買い物上手だからな。
イクスこの前もミリーナが買っておいてくれた物のおかげで助かったし。
ミリーナふふっ。そう言ってもらえると嬉しいわ。
イクス少し気分転換でもしてくるといいよ。けど、あまり遅くならないようにな。
ミリーナええ。わかったわ。
イクスそれじゃあ、先に行ってるよ。
ミリーナうん。
ミリーナ……カーリャ、行くわよ。
カーリャいいですけど、雑貨屋さんなんてありましたっけ ?
ミリーナそうじゃないわ。カーリャは気づかなかったの ?
カーリャえっ、何がです ?
ミリーナここに来てからずっとイクスをつけ回してる奴がいるわ。

キャラクター6話 【8-6 水路に囲まれた港街 2】
イクスを尾行していた謎の男。ミリーナはその正体を探るべく男の後を追い人気のない街外れの一角にたどり着く――
ミリーナイクスをつけ回してた男……どこに向かってるのかしら……。
カーリャミリーナさま。これマジでヤバいですって。イクスさまたちも呼んで来ましょうよ。
ミリーナダメよ。今戻ったら見失っちゃうし一人で行動した方が尾行にも気づかれにくいわ。
ミリーナそれに、まだあっちは私に気づいてない。情報を手に入れる絶好のチャンスなのよ。
カーリャですけど……んんんっ~~。
ミリーナ静かに。誰かと接触を始めたわ。
救世軍兵士……つけられてはいないな ?
ああ。大丈夫だ。俺の監視にも気づいてないさ。
ミリーナ(あれは……救世軍の兵士 ! ?ということは……あの男も………… ! )
救世軍兵士それで、あいつらは ?
今は宿だ。俺たち救世軍について調べているようだがまだ何もバレてはいない。
救世軍兵士今後の予想しうる行動は ?
しばらく俺たちについての情報収集だろうな。別の街や村に向かう可能性が高い。
救世軍兵士今この大陸を動き回られると厄介だ。別の大陸に向かわせることはできないか ?
そうだな……偽の情報を流せば可能な筈だ。やってみる。
救世軍兵士頼んだぞ。これで【特異鏡映点】の確保に人員を総動員できる。
ミリーナ(特異鏡映点 ! ? )
なあ。その特異鏡映点ってのは一体何なんだよ ?
救世軍兵士マークさんによるとこの世界を救うことができる存在らしい。
っていうと ?
救世軍兵士俺も小耳に挟んだ程度なんだがなんでも特異鏡映点ってのは――
救世軍兵士っていう存在なんだと。
なるほどな……。そりゃ、意地でもあいつらに渡すわけにはいかないな。
ミリーナ(うそ……。特異鏡映点なんて存在が具現化されてたなんて……。しかも、そんな力が……)
ミリーナ(すぐイクスに知らせないと ! )
マーク盗み聞きたぁ、お育ちがいいことで。
ミリーナマーク ! ?
ん ! ?
救世軍兵士何者だ ! ?
ミリーナくっ……気づかれたわね……。
マークったく、面倒なことになったぜ。まさか特異鏡映点について知られちまうとはな。
マークお嬢ちゃん、さすがに今回ばかりは跳ねっ返りが過ぎてるぜ。ま、らしいと言えばらしいけどな。
ミリーナ……私を始末する気 ?
マーク大切な駒を殺すわけねぇだろ ?
ミリーナ……どういう意味 ?
マーク知りたがりは命を縮めるぜ ?
ミリーナそれじゃあ、失礼させてもらっていいかしら ?イクスが帰りを待ってるから。
マークアハハハッ ! こりゃ傑作だなっ !こんなときでもイクスかよっ ! !
マークじゃじゃ馬もその辺にしときな。
ミリーナ! !
マーク人質を取るなんざ、ホントだせぇがこっちも背に腹は代えられない状況だ。
マーク今、あいつらに特異鏡映点の存在を知られると厄介だからな。
マーク一緒に来てもらうぜ。
ミリーナ………………。
イクス……ミリーナ、遅いな。買い物に時間がかかるタイプなのはわかってるけど……遅すぎる。
イクス……もしかして、何かあったんじゃ。不安になってきたな……。
カーリャイクスさま ! !
イクスカーリャ ! ? なんで一人なんだ ! ?ミリーナはどうした ! ?
カーリャミリーナさまが……救世軍にさらわれてしまいました ! !
イクスなん、だって……。
イクスカ、カーリャ。冗談……だよな ?心配性な俺を……からかってるだけだよな…… ?
カーリャ冗談じゃないですってば ! !ガチなやつですよっ ! !
イクスなっ……何があったんだっ ! ?なんでミリーナはさらわれたっ ! ?無事なのかっ ! ? 今どこにいるっ ! ?
カーリャそ、そんないっぺんには答えられないですってば ! !
イクスわかってるからっ !いいから早く教えてくれっ ! !
カーリャイクスさまを尾行してた奴に気づいて情報を探っていたら、マークが現れてミリーナさまを連れ去ったんです !
カーリャなんでも特異鏡映点っていう存在がいるらしくてイクスさまたちにそのことを知られるとマズいとかで !
イクス特異鏡映点 ! ? なんだそれは ! ?いや、それよりミリーナは ! ?
カーリャミリーナさまは無事だと思いますがどこに連れ去られたかはカーリャもわからなくて――
イクスカーリャ ! !
カーリャあああっ ! !ミリーナさまと離れすぎて力が…… ! !
イクスカーリャ ! 待ってくれ ! !何か、何か他にないか ! ?なんでもいい、教えてくれ ! !
カーリャとにかくミリーナさまは生きてます ! !だから早くミリーナさまを――
イクスカーリャ ! !
ルーティなによ。騒がしいわね。どうかしたの……って、イクス ! ?
スタンイクス ! 何があった ! ?
イクスどうしよう……どうすればいい……。
ルーティ落ち着きなさい !どうしたの ! ? 何があったの ! ?ちゃんと話して !
イクス……ミリーナがさらわれた。
スタンミリーナが ! ? 一体誰に ! ?
イクス……………………。
スタンおいっ ! イクス ! !誰にさらわれたんだよ ! !
ルーティバカ ! 状況からみて救世軍に決まってるでしょ ! !
ルーティくっ……まだ遠くには行ってない筈。あたりを探すわよ。
スタンそうだな ! イクス、行くぞ ! !

キャラクター7話 【8-9 バーンハルト街道 7】
静寂に包まれた一室。そこには気を失いぐったりと横になっている鏡士の少女。そして救世軍の指示により彼女を見張るリオン・マグナスの姿があった――
シャルティエまさかスタンさんとディムロスまで具現化されてるとは思いませんでしたね。
リオンシャル……付き合わせてすまないな。
シャルティエ何言ってるんですか。坊ちゃんは僕のマスターなんです。どこまでもお供しますよ。
シャルティエたとえ、スタンさんたちと敵対しようと。
リオンだが、とんだお笑いぐさだな。今度は救世軍に従ってこうして、女の見張りをしている始末だ。
ミリーナ………………。
リオンこれではあの時と何も変わっていない……。
シャルティエそんなことはありませんよ。必ず好機はやって来ます。
シャルティエそれに、この世界でも僕たちは一緒じゃないですか。
シャルティエ僕たち二人がいればできないことはない。坊ちゃん、そうでしょう ?
リオン……ああ、そうだな。そして……今度こそ助けるんだ。
シャルティエはい ! その意気ですよ ! !
リオンシャル……。ありがとう。
シャルティエいえいえ。坊ちゃんが元気になってくれてよかったです。
シャルティエそれにしても彼女……ミリーナさんでしたっけ ?悪い人には見えませんよね。
シャルティエ救世軍の奴らが言うにはこの世界を滅ぼそうとしている鏡士の一人って話でしたけど。
リオン誰が何を考えてるなどわかったものではない。信じられるのは自分だけだ。
シャルティエそれは……そうですけど……。
ミリーナうっ……ここは……。
シャルティエあっ、目を覚ましたみたいですね。
リオン…………。
ミリーナ……あなた、リオンさん ?どうして……ここに……。
リオンお前が勝手な行動をしないよう監視するためだ。
ミリーナそうじゃないわ。どうして救世軍と一緒にいるのかって聞いてるのよ。
リオンお前には関係のないことだ。黙れ。
ミリーナスタンさんもルーティもあなたのこと心配してたわよ。
リオン聞こえなかったか。僕は黙れと言ったんだ。
ミリーナそれに、スタンさんは言ってたわ。リオンさんは仲間だって。友達なんだって。救世軍に協力するような人じゃないって。
リオン黙れと言っている ! !
ミリーナ…………。
ミリーナ何か事情があるのでしょう ?
リオン人の心配をするより少しは自分の心配をしたらどうだ。
ミリーナいいえ。私は、心配も不安も何一つないもの。
ミリーナ今、イクスは必死になって私を助けようとしてくれているから。
リオンただ助けを待っているだけの奴は能天気なものだな。
ミリーナ助けられる側が能天気でいられるなんて本当は思ってないでしょう ?
リオン…………。
ミリーナイクスと私は一緒に戦おう、頑張ろうって約束した。そして今、イクスは頑張ってる。
ミリーナだから、私はくじけたりしない。私も頑張って、この状況を打破しようと必死に考えているのよ。
ミリーナねぇ、リオンさん。あなたは誰を助けようとしているの ?
リオン……貴様。先ほどの話を聞いていたな ?
シャルティエもしかして、僕の声も聞こえてたりして。
ミリーナええ。聞こえてるわよ。ソーディアンのシャルティエさんよね ?
シャルティエええええっ ! ?まさか本当に聞こえてるなんて――
リオンシャル !
シャルティエあっ……す、すいません……。
リオン貴様が何を考えていようが僕には関係ない。
リオンここから逃がすつもりもない。おとなしくしていろ。
ミリーナリオンさんの覚悟はわかってる。大切な仲間と敵になっても助けたい人がいるんでしょう ?
ミリーナでも、本当に私たちは敵対しなくちゃいけないの ?協力することはできないかしら ?
ミリーナ事情だけでも話してみない ?
リオン……敵に語ることなどない。
シャルティエ坊ちゃん……。
マークははっ。ちょっと見ない間にずいぶんと仲良くなったみたいじゃねぇか。
ミリーナマーク !
マーク俺は構わねぇぜ。いつでも鏡士どもの元に行けばいい。
リオン貴様…… ! よくもぬけぬけと…… ! !
リオンマリアンはどこにいる ! !
ミリーナ(……マリアンさん ! ? )
マークまあ、落ち着け。あのメイドなら今は俺たちが預かっている。どこにいるかは悪いが教えられねぇな。
ミリーナリオンさん…… !マリアンさんって人が人質になってるのね !
ミリーナマーク ! どうしてそんな酷いことするの ! ?
マーク……ははっ ! 聞いてた通りの女だな。どうして酷いことをするのかって ?
マーク強いて言うなら、あいにくと酷いことってのは効果的だからだな。
ミリーナ酷いことだとはわかってるのね ?だったら――
マークおい、お前。この女を例の場所に連れていってくれ。
救世軍兵士了解であります !
? ? ?――待ちなさい。
? ? ?肉体労働は私の仕事ではありませんがあなたでは、彼女に不釣り合いです。私がエスコートしましょう。
マーク……ファントム ! ?
ファントムさあ、来てもらいましょうか。麗しのミリーナ様。
ミリーナくっ…… !
リオン…………。
ファントム……リオン、あなたはこう考えていますね。
ファントム「コイツは彼女の居場所を知っている。コイツを脅せば何か手がかりが掴めるかもしれない」と。
ファントムあなたの考えている通りだ。私は、彼女の居場所を知っています。
リオンほう。そのことを僕に言うのか。
マークはぁ……余計なことを……。
ファントムですが、きみなら私がどんな人間かも見抜いているんじゃありませんか ?フフ……私の口は堅いですよ ?
ファントムそう……彼女を助けるためにも今は救世軍に従うしかない。それが彼女を救う唯一の道です。
ファントム頭の切れるあなたになら理解できると思いますがねぇ ?
リオンずいぶんとおしゃべりが好きなようだな。ならば口の堅さを試してやろう。
リオン貴様が消えても聞き出す手段は他にもある。
マークやめろ。時間の無駄だ。あんたも斬られる前にさっさと行け。
ファントムアハハハハ、怖い怖い。では失礼しますよ。
マークさて。お前にはやってもらうことができた。
リオンいつまでこんな茶番に付き合わせる気だ。はやくマリアンを解放しろ。
マーク次が最後だ。そうしたら解放する。約束だ。
リオン偽れば命で償ってもらう。
マーク男に二言はねぇよ。詳しく話す。ついて来な。

キャラクター8話 【8-10 グレバム森林 1】
ルーティチッ……ここもダメか。なんで何の情報もないのよ。
スタンまだ探していないところはある。次はあっちの方に行ってみよう。
イクス………………。
スタンイクス、元気出せよ。カーリャが無事だって言ってただろ。
イクスだけど、それはさらわれた時の話だ。今がどうなのかはわからない……。
イクスそれに……マークはミリーナを殺そうとしたんだ……。今……本当に生きてるのかも……。
ルーティけど、本気で殺そうと思ってんならその場で始末しちゃってる筈でしょうが。あたしは生きてると思うわよ。
イクスだけど、酷い目にあってるかもしれないだろ……。
ルーティ……あのさ。心配してる暇があったらちょっとは捜すのに集中してくれない ?
ルーティさらわれちゃったもんは仕方ないでしょ。今のあんた、相当役立たずだわ。
スタンルーティ、そこまで言うことないだろ。ずっと一緒だった幼馴染みがさらわれたんだぞ。
イクスいや……いいんだ。ルーティの言う通りだよ……。俺が……役立たずだから……ミリーナはさらわれたんだし……。
イクスそう……俺が……俺があのとき一緒に行ってたら……ミリーナはさらわれたりしなかったんだ……。
イクスそれに……ミリーナの居場所がわかっても救世軍にはマーク、それにリオンさんまでいる……。
イクス少し鏡士の力が使えるようになっただけの、今の俺じゃミリーナを助けられるか……わからない……。
ルーティあんたね……。
ルーティいい加減にしなさいよ ! !
イクスえっ……。
ルーティあんたっていつもそうよね !
ルーティソーディアンの力があったらとかあのとき一緒に行ってればとかないものねだりや仮定の話ばっか ! !
ルーティ今のあんたは役立たず以下 ! !なんの価値もないゴミクズよ !
イクス…………ごめん。
アトワイトちょっと。ルーティ、落ち着きなさいよ。
スタンそうだ。さすがに言い過ぎだぞ。
ルーティ何 ! ? あたしが悪いっての ! ?
ルーティディムロスだって今のこいつ見て何も思わないわけ ! ?心配するだけで何もしないこいつを ! !
ディムロス……ルーティの考えは間違っていない。
スタンディムロス !イクスの気持ちだって考えろよ !
スタン心配で不安になるのは当然のことだ !だから今は俺たちがイクスを支えなきゃなんだろ !
イクススタンさん……。いいんだ……俺は心も弱いから……。
ルーティだからそういうところだって言ってんのよ !孤児院の子たちだって自分の境遇を嘆いたりはしない ! !
ルーティ何かを手に入れたかったら必死こいて頑張るしかないのよ ! !少なくともあたしはそうしてきた ! !
ルーティあんたが今しなくちゃいけない本当のことはなんなのっ ! ?ちっとは根性見せなさいよっ ! !
イクス俺が今しなくちゃいけないことは……。
イクスミリーナを……助けること……。
ルーティわかったでしょ。ったく、こうして話してる時間も惜しいってのに。
イクス……ルーティ。ありがとう……そうだよな……。
イクス俺は今、ミリーナを助けるために頑張らなくちゃいけないんだ……。
イクスそれに……ミリーナと約束した。一緒に戦おう、頑張ろうって……。
イクスきっとミリーナは、捕まってる今でもなんとかしようって頑張ってる……。
イクス頑張らなきゃ……いけないよな……。
スタンイクス、そうだよ。頑張ろう。ミリーナだけじゃなく俺もルーティもディムロスもアトワイトもみんなついてる。
スタンみんなで頑張ってミリーナを助けるんだ ! !
ルーティ当たり前でしょうが。ほら、さっさと行くわよ。まだ何も掴めてないんだから。
イクスいや……ちょっと待ってくれ……。他の場所を調べても何もわからない可能性が高い……。
ルーティあんたねぇ……。まだそういうこと言うの……。
イクスルーティ、違うんだ。もう俺たちはこんなに調べた。なのに何もわからないのはおかしいんだ。
イクスミリーナが言ってた。何もわからないってことも調べたからわかったことだって……。
イクスそう……何も目撃情報がないのはあきらかに不自然だ……。
イクス待てよ…… ? カーリャが消えたとき消失の仕方が一定ペースではなく加速度的だった……。
イクスつまり……移動手段は……少なくとも徒歩や馬車じゃない……。
イクス……海路 !そうだ ! あの時点での風向きと風速からこれしか考えられない !
スタンけど、港町での目撃情報もなかったよな。
イクス救世軍は交易を主導していた。人目に付かないようミリーナを貨物内に閉じ込めて船に運ぶことも容易な筈。
ルーティ確かに……そうかもしれないわ。急いで街に戻ってミリーナが乗せられた船を調べましょ。
イクスいや、その必要はない。船の出入港のスケジュールと仕向港は全部頭に入ってる。
ルーティえっ。どうしてあんたそんなこと知ってるのよ ?
イクス港に着いたら港湾事務所に立ち寄るのが癖になっていてさ。そのときスケジュール表を読んだんだ。
スタンそれを一発で覚えたって言うのか ! ?
ルーティ本だけじゃなくスケジュール表まで一度読んだらすべて記憶できるってわけね。なんて記憶力なのよ……。
イクスあの時刻から、ミリーナが乗せられたと思われる船は一つしか考えられない。
イクスそしてその船が向かった先もちゃんと覚えてる。
スタンってことは、ミリーナがいる場所がだいたいはわかったってことか。
イクスたぶんそこまでいけばミリーナの居場所も特定できる。
ルーティどういうこと ?
イクスはじめて具現化の旅に出るときミリーナとはぐれたりしないか不安でガロウズに頼んだことがあったんだ。
イクス俺はここから東の方を回ってみるからミリーナとカーリャは西の方を頼むよ。
イクス何かあったら魔鏡の通信で知らせるってことで。
イクスミリーナに近づければ、魔鏡で通信が取れる筈だ。結局、全然使ってはいなかったけどミリーナならきっと覚えてる。
イクス俺はミリーナを信じる。
ルーティよし。そうときたらすぐに向かうわよ。
スタンイクス、案内よろしくな。
イクスああ。任せてくれ。

キャラクター9話 【8-13 ロベルト洞窟 1】
リオンはマークから最後の命令を受ける。救世軍に捕らわれた最愛の人を救うため成し遂げねばならない命令とは――
リオン足止めだと ?
マークそうだ。あいつらはあの女を助けにこっちにやって来る。
マークだが、今うろうろされると厄介だ。特異鏡映点を先に押さえられちまうかもしれねぇからな。
マークまっ、キツそうなら断ってくれや。ソーディアンマスター二人に鏡士が一人。返り討ちになるかもしれねぇだろ ?
リオンずいぶんと舐められたものだな。
マークははっ。さすが鏡映点様だ。こっちは人手不足だから助かるぜ。
リオンそんなことよりマリアンは無事なんだろうな ?
マーク殺すわけねぇだろ。もちろん生きてるぜ。お前も知っての通りあのメイドは特異鏡映点。
マークこの世界を救うことができる存在を殺したりなんてしねぇよ。
リオン……マリアンをいつ解放するんだ ?
マークこのゴタゴタが片付いた後ちゃんと解放する。ただし、条件付きになるが。
リオン……条件 ?
マーク救世軍の監視下でならって意味だ。悪いが特異鏡映点は手元に置いておく必要があるからな。
マークだが、救世軍の監視下でなら女の自由、身の安全は保証する。もちろんお前との接触も認める。
マークお前ももう俺たちに協力する必要はない。どこにでもいけばいいさ。
マークこれが最大限の譲歩だ。この条件が飲めるか ?
リオン…………。
マーク……交渉は成立ってことでよさそうだな。つまりあとはお前の腕次第だ。
マーク俺はさっそく特異鏡映点を押さえに向かう。うっかり死ぬんじゃねぇぞ ?
シャルティエ坊ちゃん、あの条件でよかったんですか ?あれでは結局囚われの身に変わりはありませんよ。
リオンあんな条件に従うつもりはない。マリアンと会えればこっちのものだ。救世軍を倒し、共に逃げる。
シャルティエまあ、普通そうしますよね。あのマークって男もそれぐらい想像付く筈なのに何考えてるんだか。
リオン知ったことか。だが……ようやくここまできた。
シャルティエ……ええ。そうですね。
リオン……あと少し。あともう少しで……助けられるんだ…………。
シャルティエ坊ちゃん。
リオン行くぞ、シャル。
シャルティエはい !
リオン……マリアン。待っていてくれ。

キャラクター10話 【8-15 ロベルト洞窟 3】
とある場所に閉じ込められるミリーナ。そこで思わぬ人物と出くわすことになる――
ミリーナ…………。
救世軍兵士ここでおとなしくしていろ。
救世軍兵士じゃあ、俺たちも向かうか。
救世軍兵士ああ。
ミリーナ………………。
ミリーナよし。行ったみたいね。それなら――
カーリャうわ~~っ ! ミリーナさま~~っ ! !ご無事だったんですね~~っ ! !
ミリーナ静かに。
カーリャあ、ああぁ。す、すいません…………。
ミリーナふふっ。けど、心配してくれてありがと。
カーリャ当然ですよぉ……。
ミリーナカーリャ、あなたの身体ならここから抜け出せるわよね ?
カーリャはい。あの隙間からなら。
ミリーナあたりの様子を見てきて欲しいの。兵の数と配置、脱出経路、地形的特徴とか。
カーリャそんなに遠くには行けないですけど大丈夫ですか ?
ミリーナもちろんよ。カーリャができる範囲で。それだけでもすごく助かるわ。
カーリャわかりました。では行ってきますね。
ミリーナ気をつけてね。
ミリーナ……それにしても寒いわね。ずっといたら体調を崩しそう……。
ミリーナけど、カーリャを待っている間にも私ができることをやらないと。
ミリーナまずはイクスに魔鏡の通信を送らなきゃ。届くといいんだけど。
? ? ?こほっ……。
ミリーナそこに誰かいるの ! ?
? ? ?ごめんなさい。驚かせてしまったわね。
ミリーナえっ…… ! ?
ミリーナなんで王宮のメイドさんがここに ! ?
? ? ?あなたは……あの時の。確か……鏡士さまでしたね ?
ミリーナはい。鏡士のミリーナ・ヴァイスです。それより、どうしてあなたが……。
ミリーナ待って……救世軍に捕らわれているってことはもしかして……マリアンさん ! ?
マリアンどうして私の名前を ?
ミリーナやっぱりマリアンさんですね !無事でよかった !リオンさんから聞きましたよ !
マリアンエミリオから……。
ミリーナえっ ?
マリアンいいえ。なんでもありません……。
ミリーナマリアンさん、安心してください。今脱出方法はないか探してるところです。
ミリーナそれに私の仲間も必ず助けに来てくれます。だからもう大丈夫ですよ。
マリアンそうなのですね……よかった……。ありがとうございます。
マリアンあと……。リオン様は……無事でしょうか……。まだ救世軍に……。
ミリーナ……マリアンさん。
ミリーナリオンさんは……無事です。ちゃんと自分の意思で行動しています。
ミリーナだから、今はリオンさんを信じましょう ?
マリアンですが、また……私のせいで…………こほっ……。
ミリーナマリアンさん ? 大丈夫ですか ! ?
マリアンこほっ……えぇ………。ここに……連れてこられてから……少し……体調が…………悪く、て――
ミリーナマリアンさん ! ?
マリアンはぁ……はぁ………………。
ミリーナすごい熱…… !マリアンさん、しっかりしてください !すぐ治療しますから !
ミリーナマリアンさん ! マリアンさん ! ?

キャラクター11話 【8-16 ロベルト洞窟】
スタンイクス、魔鏡の通信はつながったか ?
イクスミリーナからの通信を受け取った !とにかく無事みたいだ !
ルーティふぅ……これで一安心ね。
イクスけど、王宮にいたメイドさんも何故か捕らえられてるみたいなんだ。
イクスミリーナによると、体調があまり良くないみたいで……。
スタンそれならその人を助けるためにも早く行かないとな。
ルーティそれで、ミリーナたちが閉じ込められている場所はどこなの ?
イクス具体的な場所はわからないけどこれだけ情報があれば特定できそうだ。いま考えるから待っててくれ。
アトワイトディムロス。彼、だいぶいい目つきになったわね。
ディムロスああ。そうだな。
アトワイト地上軍最高司令官リトラーとまではいかないけれど、なかなかの切れ者なんじゃないかしら ?
ディムロスだが、まだ未熟すぎる。己への自信のなさ、迷いが強すぎせっかくの知恵を活かしきれていない。
ディムロスそれに、剣の腕もまだまだだ。型から外れることを無意識に恐れている。あれでは地上軍ではやっていけん。
アトワイトふふっ。あなたは相変わらずね。それだけ口うるさく言うってことは少しは見どころがあるって事かしら。
ディムロス素質はある……とだけ言っておこう。我にはスタンがいるからな。これ以上、面倒は見切れん。
ルーティあんたたち、静かにしてなさいよ。イクスが集中してるんだから。
イクス……これはジュードから教えてもらった薬剤としても使える花……。日陰かつ風のあまりない場所で咲く……。
イクスそして、この廃墟……特徴的にスレイなら神殿だったと考えるはず……。次に考えるのは紋様……いや劣化と風化度合いで……。
イクス……巡礼者のために建造されたなら現存する神殿との距離がわかって……そして雪の堆積状態から……方角も……。
イクス……見つけた。
スタンイクス、すごいじゃないか !
ルーティええ ! よくやったわ ! !
イクスこれも二人のおかげだよ。
スタンえっ。ルーティ、俺たち何かしたか ?
ルーティただ黙って見てただけよね。
イクスそうじゃないよ。ルーティはあの時今の俺は何をすべきかって気づかせてくれた。
イクスルーティがちゃんと言ってくれなかったらきっと……俺はあのまま何もできずにいた……。
ルーティ…………。
イクスそれに、スタンさんはずっと俺を励ましてくれただろ。
イクスあのとき……もういいんだ、なんて言っちゃったけど……本当は……すごく嬉しかったんだ……。
イクスちゃんと……自分の気持ちをわかってくれる人がいて……。
スタン……イクス。
イクスだから、ここまで来られたのは二人がいてくれたからなんだ。本当にありがとう。
ルーティまったく、何言ってんのよ。あんたもいなかったらここまで来られなかったでしょうが。
スタン俺とルーティがいたからじゃない。イクスも入れて全員――俺たちがいたからなんだよ。
イクス……俺たちか。
スタンそうだよ。俺たち仲間が。
ルーティさっ、とっとと行くわよ !場所まで突き止めたんだからあともうひとふんばり !
イクスみんな、こっちだ !ついて来てくれ !
スタンわかった ! 今はとにかく前に進むぞ ! !
イクスよしっ ! ミリーナの目印も見つけた !きっとこの先に、ミリーナはいる ! !
リオン……この先にはいかせん。
イクスリオンさん…… !
ルーティチッ……こんなときにあんたなのね……。
スタンリオン ! やっと会えた ! !
リオン目障りだ、さっさと消えろ。
スタンまずはちゃんと話そう !リオン、何があったんだよ !なんで救世軍に協力してるんだ ! !
リオン……黙れ。
ルーティ話す気はないって訳ね……。
イクスリオンさん……そこをどいてくれ。
スタンイクス ! 待て !まだ話は終わってない ! !
イクススタンさん……ごめん !けど、いま足を止めるわけにはいかない !
ルーティバカ ! さがりなさい ! !相手はソーディアンマスターなのよ !
ディムロスいまのお前で適う相手ではない !自分でもわかっているだろう ! !
イクス…………。
リオンふんっ……手が震えているぞ。まったく話にならんな。怖いなら引っ込んでいろ。
イクス……怖い……ああ、そうだよ !怖いに決まってるだろ ! !
イクスけど、俺はミリーナを助けるんだ !そのためには何がなんでも前に進まなきゃいけない ! !
イクスだから……そこをどいてくれ ! !リオンさん……いや、リオン ! !
リオン誰に何を言われようが知ったことか。大切なものを守るためこの先には行かせん !
リオン絶対に……何があってもだっ ! !
ルーティスタン ! 来るわよ ! !
スタンくそっ ! !

キャラクター12話 【8-16 ロベルト洞窟】
イクスくはっ―― ! !
スタンイクス !
リオンくっ……。
シャルティエ坊ちゃん !
リオンシャル……まだだ…… !まだ……僕は、負けてないっ !
ルーティあんた……まだやるつもりなの ! ?
イクスくっ……はぁ……はぁ……。
スタンイクス、無理するな。ボロボロじゃないか。
イクスいいや……まだだ……。スタンさん、ルーティ……ミリーナだって……頑張ってるんだ……。
イクス俺だって諦めるわけにはいかないっ !
イクスだから……そこをどいてくれぇぇっ ! ! ! !
リオン目障りだっ ! ! 消え失せろっ ! ! ! !
スタン……やめろ。
二人――ハァァッ ! ! ! !
スタンやめろぉぉぉっっ―― ! !
スタンくっ―― ! !
イクススタンさん ! ?
リオン邪魔をするな ! !
スタン頼む……リオン ! !もうやめてくれっ ! !
スタンなんで仲間同士で戦わなくちゃいけないんだよっ ! !
スタンどうして仲間同士で傷つけ合わなくちゃいけないんだよ ! !
スタン仲間ってのは困ったときに助け合うものだろっ ! !
スタン俺たち仲間だろ ! 友達だろ ! !まずはちゃんと話してくれよっ ! !
リオンスタン……。この期に及んでまだ僕を……友と呼ぶのか……。
スタン当たり前だっ ! !
ルーティあたしたちはミリーナを助けるためこの先に進まなきゃいけないの。
イクスお願いだ……そこを通してくれ。
リオン……くっ。
ディムロス貴様、自分のやってることがわかっているのか ! ?
アトワイトソーディアンマスターの力はそんなことのためにあるんじゃないのよ。
シャルティエみなさん……坊ちゃんを責めないでください !
ディムロスシャルティエ ! ?
シャルティエみなさんの事情はわかってます !ミリーナさんが人質に取られていることも !
シャルティエけど、坊ちゃんも同じなんです !マリアンを人質に取られているんです !
リオンシャル !
スタンマリアンさん……。確か屋敷でディムロスを持ってきてくれたメイドの人か……。
イクスメイド……。待て。もしかして、ミリーナと一緒に閉じ込められてる人か ! ?
リオンマリアンを知っているのか ! ?
イクスミリーナの通信にメイドさんと一緒に閉じ込められているという情報があった。
イクスそして、俺たちは二人の居場所を知ってる。これから助けに行くところだ。
シャルティエ坊ちゃん ! 聞きましたか ! ?スタンたちと一緒にいけばきっとマリアンを助けられますよ !
リオン……だが、罠の可能性もある。
リオンそれに、この世界を滅ぼそうとしている鏡士の言うことなど信じるに値しない。
ルーティあんた、何言ってるの ?世界を滅ぼそうとしてるのは救世軍の方でしょうが。
リオン……どういう意味だ ?
リオンなん……だと…… ?
イクスこの世界にアニマを満たしアイギス計画を完遂することで滅びの危機から世界を救う。
イクスこれが真実だ。
リオン…………。
シャルティエ坊ちゃん、この話が本当かどうかは置いておくとしても……この話をマリアンが聞いたら……。
リオンマリアンは……自ら命を絶つことを選ぶだろう……。
リオン何故だ……何故こうなるんだ…… !今度こそ……僕の手で救えると思ったのにっ ! !
ルーティちょっと、落ち着きなさいよ。いったいどういうことなの ?
リオンそうか……お前たちは何も知らないのか……。あの後、何が起こったのか……。
スタンリオン ? どうしたんだ ?何かあったのか ?
リオン……この世界では関係のないことだ。
イクスけど、少なくとも今マリアンさんは生きている。
イクス少し体調がよくないみたいだけどミリーナが回復魔法で治療してるから心配はない。
スタンリオン、お前は頭がいいからさきっと色々考えてて、色々知ってるからこそまだ信じられないとこもあるんだと思う。
スタンだけど、マリアンさんを人質に取るような救世軍なんかより俺たち仲間を信じてくれよ !
スタンそして一緒に、マリアンさんを助けよう ! !
リオン……スタン。
スタンほら、まずは仲直りの握手だ。イクスもルーティも、みんなで。
ルーティまったく、仕方ないわね。
イクス一緒に、大切な人を助けよう。
リオン……お前たちも。
救世軍兵士貴様 ! 寝返ったな !
イクス救世軍 ! ?
リオンチッ……思っていたより早かったな。
ルーティこりゃ、厄介なことになったわね。
スタン倒しながら進むぞ !
イクスわかった ! みんな、こっちだ ! !

キャラクター13話 【8-21 ティベリウス雪原 5】
スタンくっ……。救世軍の奴ら、本当にしつこいな。
イクススタンさん、大丈夫か ?
スタンああ、平気平気。
ルーティ……スタン。あんた。
スタンそれにしてもどうすりゃいいんだ。相手にしてたらきりがないぞ。
リオン状況から判断すると、僕が敵対したことマリアンの居場所を特定したことをすでに救世軍は気づいている。
イクスつまり、早く助けに向かわないと二人が別の場所に移動されてしまう可能性が高いってことか。
リオンそれだけではない。たとえ救出しても脱出経路を塞がれてしまっては元も子もないぞ。
イクス……いったい、どうすればいいんだ。
リオン簡単なことだ。
スタンリオン ! どこに行く気だ ! ?
リオン僕が囮になる。
スタン無茶だ ! 危険すぎる ! !お前を置いてはいけない ! !
リオン僕が決めた事だ。さっさと行け !
スタンけど―― !
リオンスタン、お前は僕を友達呼ばわりするがそんなもの受け入れた覚えはない。
リオン僕はお前のように、能天気で、図々しくて、馴れ馴れしい奴が大嫌いだ。
リオンだから……後は任せた。
イクス……そんな。
ルーティあんたって奴は……。
スタンリオン……。
スタンバカ野郎 ! !
リオン…… !
スタンお前はまたそうやって一人で抱え込もうとしてさ、本当にバカ野郎だよ ! !
スタンリオンはずっと一人で頑張ってきたんだろ !もういいんだよ !お前をもう一人にはさせない ! !
スタンだから、俺が残る ! !
リオン……なんだと ?
ルーティスタン、あんた正気なの ! ?いまのあんたじゃそれこそ無茶よ ! !
ルーティそうよ……だったらあたしも残る !
スタンダメだ ! ルーティは潜入に慣れてる !イクスたちと一緒にいくべきだ !
ルーティいい加減にしなさいよ !あたしが気づいてないとでも――
スタンルーティ ! 俺を信じてくれ !
ルーティ……スタン。
ルーティあんた、頑丈なのよね ?
スタンあははっ。それぐらいが取り柄だからな。
ルーティわかったわ……。
リオンお前一人で大丈夫なのか ?
スタンリオン、お前は一人で頑張ってきた。だから次は俺の番だ。
スタンそれに、マリアンさんが待ってるんだろ。きっとリオンのことを心配してる。行って、安心させてやれよ。
リオン……ここは任せたぞ。
救世軍兵士見つけたぞ !
イクスくっ……気づかれた !
スタンイクス ! お前も頼んだぞ !
イクスああ ! ミリーナ、マリアンさん、ルーティ、リオン、俺……全員で必ずここに戻ってくる ! !
ルーティだから、やられんじゃないわよ !約束破ったりしたら承知しないんだから !
スタンわかってる ! 約束だ !俺は、お前たち全員を待ってる ! !
スタンだから、ここは俺に任せろっ ! !
ルーティほら、あんたたち !はやく行くわよ !
イクスああ ! 先に進むぞ ! !
リオン……っ !
スタンさて、行くとするか。
スタンぐ ! いててて……。
ディムロススタン ! ?お前、もしや足を…… ! ?
スタンへへ……ルーティはすごいな……。黙ってたのになんで気づいたんだろ。
ディムロスまったく……お前というやつは。大丈夫なんだろうな ?
スタンちょっと捻ったくらいだよ。これぐらいたいしたことない。
ディムロスふっ……そうか。
スタンなんだよ、ディムロス。珍しく口うるさくないな。
ディムロス何も言うことはない。あのような輩がどれだけ束になろうとお前と我を倒すことはできんのだから。
スタンディムロス……ああ、そうだな !
ディムロスいくぞっ ! スタン ! !
スタン俺とディムロスの力、見せつけてやるっ ! !

キャラクター14話 【8-24 雪積り積る遺跡 廊下】
イクスくっ……なんて頑丈な扉なんだ。
リオンどけ。シャル、いくぞっ !
シャルティエはいっ !
リオン――ハアアァッ ! !
ルーティよしっ、扉が壊れたわ。
イクスミリーナたちはこの先だ !
ミリーナどうして……どうしてなのっ ! !
イクスミリーナ ! 無事か ! ?
ミリーナイクス ! ? よかった !来てくれるって信じてたわ !
ルーティあたしたちも一緒よ !ここまでは計画どおりね。
ミリーナルーティ ! それにリオンさんも ! ?
リオンマリアン ! ?
マリアン……はぁ……はぁ。
リオン女 ! 治癒術はどうした ! ?
ミリーナそんなの……ずっとやってるわよ……。けど……。
ミリーナけど、治癒術が効かないの !何度やっても……何度やっても全然、効いてくれないの ! !
リオン何……っ ! ?
ルーティアトワイト !
アトワイトええ !
マリアンはぁ……はぁ……ぐっ……。
ルーティうそ……どうして……。
アトワイトまったく効いてないわね。何かにすべて吸収されてしまってるように感じるわ。
ミリーナたぶん原因は……このブレスレットよ。これは特別な魔鏡機器だから簡単には外せないの……。
イクス王宮の禁書庫の本で読んだ……。これは【アンチ・ミラージュブレス】。魔鏡戦争時代に開発された魔鏡機器だ。
イクス鏡士の人体実験の際に、被験者への鏡術による肉体と精神に及ぼす影響を緩和するために使用されていたらしい。
イクスなんでマリアンさんがこんなものを……。
リオンそんなことはどうでもいい !外せないなら破壊しろ !
イクスダメだ……。無理に外したり破壊したりしたらマリアンさんは……。
リオン……っ。
アトワイト彼女、酷く衰弱してるわ。はやく治療しないと助からないわよ。
リオンそんなことは見ればわかる !その魔鏡機器とやらを外す方法はないのか ?
イクス……魔鏡機器。ガロウズなら取り外せるはずだ !
ルーティスタンが脱出経路を確保してる。合流して、ケリュケイオンに向かうわよ。
リオンケリュケイオンまで……どれだけの距離があると思っている……。
シャルティエ……坊ちゃん。
ルーティ何弱気になってるのよ !今はとにかく、前に進むしかないのよ ! !
ミリーナリオンさん !私たちでマリアンさんを助けましょう !
イクスまだ助かる可能性はある !だから、今すべきことをするんだ !
リオン…………。
リオンお前たちに言われるまでもない。今はそれしか手段がないんだ。はやく行くぞ !
イクスああ !

キャラクター15話 【8-26 雪積り積る遺跡 入口】
ルーティマズいわね。救世軍に追いつかれてるわ。
イクス戦闘はできるだけ避けたい。あと少しでスタンさんとも合流できるから逃げ切れるといいんだけど……。
ミリーナマリアンさんは ?
アトワイト危険な状態よ。ぐずぐずしていられないわ。
リオン…………。
マリアン……っ……ここは……。
リオンマリアン !意識を取り戻したのか !
マリアンリオン、様…… ?よかった……ご無事でしたか……。
リオンああ……心配をかけたな。
マリアンここは……いったい……。霧が濃くて……お顔が……見えません……。
リオン……何を言ってるんだ……。霧なんて……。
アトワイト……衰弱、及び過度のストレス状態に晒された心因性の突発性視覚障害のようね。いまの彼女には何も見えていないわ。
リオン…………っ。
マリアン……大丈夫です。そばに……いるのでしょう ?声はちゃんと……聞こえています。
ミリーナマリアンさん……きっとすぐに良くなります。ほら、さっきより少しだけ手も温かい……。
マリアンそう……なのですね……。
ミリーナ……もしかして感覚も……。
マリアンごめんなさい……。何も……感じません……。
リオンそんな……。
マリアン……もう、私は……ダメみたいです。だから……ここに置いていってください……。みなさん……だけでも、逃げて……。
イクスそんなことできません !
マリアン鏡士様……。私は、この世界に……いてはならない……存在なのです……。
マリアン私は……特異鏡映点……だから……。
リオン……マリアン、そのことを……知っていたのか。
ミリーナマリアンさんが……そうだったの……。
ルーティちょ、ちょっと待ちなさいよ。
イクス特異鏡映点って……何なんだ ?
ミリーナ特異鏡映点は……。アニマを逆流させる存在よ。
イクスアニマを……逆流……。
ルーティウソでしょ……。
リオンくっ……。
マリアン鏡士様……申し訳、ありません……。私がいては…………この世界が……滅んでしまうのですよね。
ミリーナけど、特異鏡映点の力を抑えることだってできるかもしれません !
イクス俺たちが方法を探します !だから……だから―― ! !
マリアンたとえ……力を抑えても……きっと……私は……救世軍に狙われ続けます……。
ルーティあんた……だからって……。
アトワイトルーティ。やめなさい。彼女の決意の固さ。わかるでしょ ?
ルーティわからないわ !まったく納得できない !
ルーティあたしたちはあんたを助けるためにここに来たの。リオンだってそうよ。
ルーティ問題があるなら、みんなで解決すればいいだけの話。あんた一人で解決しようとしないで。
ルーティそれに、これはあんただけの問題じゃない。あたしたちにも関係することなの。勝手に決められる筋合いはないわ !
マリアンですが……。
イクスルーティの言うとおりです。希望を……捨てないで下さい !
ミリーナマリアンさん、一緒に困難を乗り越えましょう。私たちもいますから。
マリアン…………。
リオンマリアン……僕は……君に生きていて欲しい。
マリアン…………。
マリアン……あなたが……それを望むなら……。
イクスマリアンさん !
マリアンご迷惑を……おかけしますが……私も、連れて行って……いただけますか ?
ミリーナもちろんですよ。最初からそのつもりです。
イクス俺たちで絶対にあなたを助けます。

キャラクター16話 【8-29 ティベリウス雪原 8】
ルーティよっしゃ。なんとか追っ手を振り切れたわね。
ミリーナスタンさんが脱出経路を確保してくれてるのよね ?
イクスああ。もうすぐだ。スタンさんも無事だといいんだけど。
ルーティあいつなら大丈夫よ。心配することないわ。ディムロスだっているんだしさ。
マリアン…………。
リオン…………。
ルーティ見えてきたわ !あの先でスタンが待ってるわよ !
イクスいや……ちょっと……待ってくれ……。
ミリーナイクス、どうしたの ?
イクスそんな……ウソだろ……。
ルーティ何があったの ?
イクス……脱出経路が、封鎖されてる。
リオンなんだと……スタンは何をやっている ! ?
ルーティ……スタン。あいつ……まさか……。
ルーティじょ、冗談じゃ……ないわよ……。
アトワイトルーティ ! しっかりしなさい !
ルーティだって……脱出経路が……。
アトワイトスタンさんが倒されるわけないじゃない !それはあなたが一番わかってることでしょ !
ルーティ……そ、そうね。うん……スタンがやられるわけない。
ルーティそうだわ。あいつなら絶対に大丈夫。アトワイト、ありがとね。
アトワイトもう……ひやひやさせないでちょうだい。
ルーティイクス ! 他に脱出経路はないの ! ?
イクス……ひとつだけある。けど……。
ルーティいいから教えなさい !グズグズしてる暇ないんだから !
イクス…………山越えだ。
リオン……あの雪山を越えるというのか。
イクスそれしか……道はない……。
ルーティ……行くしかないわ。
ミリーナそれが、全員が助かる可能性のあるたった一つの道なら。
リオン……病人を抱えたまま山越えができると思っているのか ?
ファントムフフ……その通りです。山越えは無理でしょうね。
イクス救世軍 ! ?
ミリーナどうしてここに ! ?
ルーティどうでもいいわ !邪魔するなら倒すだけよ ! !
ファントム剣を収めて頂けますか ?我々は戦いに来たのではありません。交渉に来たのですから。
リオン……交渉だと ?
ファントム我々も予想を遙かに超える犠牲がでました。これ以上の争いはこちら側としても避けたいのです。
ファントムそこで一時休戦を申し入れようかと。
ファントム条件は、特異鏡映点の即時返還。
ルーティバカ言ってんじゃないわよ !そんなの交渉でも何でもないわ !あんたたちにしか得がないじゃない !
ファントム特異鏡映点の【アンチ・ミラージュブレス】。これをすぐにでも解除し彼女の治療を約束する。
ファントムつまり特異鏡映点の命を保証する。悪い話ではないと思いますがねぇ。
リオン……マリアンの。
ファントムあなたも救世軍に戻ってきますか ?こちらは歓迎しますよ。
ファントムもっともまた裏切られる恐れがありますからしばらく特異鏡映点との面会は認められませんがね。
ファントムそれでも、特異鏡映点の命は保証しますよ ?
リオン…………。
ルーティちょ、ちょっと。あんた、何考えてるの ?
ミリーナリオンさん…… ?
イクス救世軍に……従うつもりなのか…… ?
ファントム私にはあなたの考えていることがわかる。状況から鑑みてどうするべきかもう気づいているはずですよ。
リオン僕は……。
ルーティあんた……ふざけんじゃないわよ……。
ルーティあたしたちはスタンと約束した。必ず、全員揃って戻ってくるって !
ルーティあいつは絶対に生きてる !あたしたちが戻るのをたった一人で戦いながら待ってるわ ! !
ルーティあたしたちを信じたからあいつは……本当は足をケガしてるの黙ってそれでも一人で残ったのよ ! !
ルーティスタンのことなんだと思ってんのよっ ! !
ミリーナリオンさん、マリアンさんとの約束あなたは覚えているでしょう ?
ミリーナマリアンさんは私たちと一緒に行くとそう、約束したのよ。
イクス確かに山越えは厳しいかも知れない……。けど、俺は……俺たちはマリアンさんを信じてる ! !
シャルティエ坊ちゃん ! 僕は坊ちゃんが選んだ道ならどんな道でもついていきます ! !
シャルティエけど……けどですよっ !絶対に後悔する道は選んで欲しくない ! !それだけはわかってください ! !
リオン……黙れ。お前たちに指図されるいわれはない。
ルーティあんた……。
ファントム…………。
リオン確かに……貴様の言うことはもっともだ。
リオン状況から判断するに……スタンは……もうやられたかもしれない。
リオンマリアンは……山越えに耐えられないかも知れない……。
リオンそう……いまは救世軍に従うべきだ。これがもっとも賢い道だ……。
イクス……そんな。
ミリーナリオンさん……。
ルーティあんた……ここまできて……。
シャルティエ……。
ファントム……わかっていただけましたか。
リオンああ……貴様に言われるまでもない。
リオン……だからどうしたっ ! !
ファントム―― !
リオン僕はマリアンを、スタンを……こいつたちが信じる道を選ぶ !
リオン僕はもう決して迷わない……。
シャルティエ坊ちゃん ! !
ルーティよしっ ! そうこなくっちゃ !
ミリーナ私たちもその道を進むわ !
イクスみんなで一緒に進むんだ ! !
ファントムフフフ、交渉は決裂ですか !そうだろうと思っていました !
イクス魔物を生みだした ! ?

キャラクター17話 【8-30 ティベリウス雪原 9】
スタンはぁ……はぁ……ぐっ !
ディムロススタン ! 大丈夫か ! ?
スタンああ、まだやれる。
ディムロスそれにしても遅い。あの者たちは何をやっているのだ。
スタン心配することないさ。イクス、ルーティ、それにリオン。みんなで戻ってくるって約束しただろ。
スタン俺はみんなを……信じてる。
マークハハッ、今回はまた随分とお気楽な鏡映点サマだな。
スタン誰だ、お前は !
マーク救世軍のリーダーってところかね。
スタンそうか……お前が……。
スタンよくも……リオンを……マリアンさんを……ミリーナを……。
スタン俺の仲間を傷つけてくれたなっ ! !
ディムロススタン ! 落ち着け !こいつは……強いぞ ! !
スタンそんなこと知るか !
マークおーっ ! だいぶ威勢がいいじゃねぇか。俺はそういうの嫌いじゃないぜ。
マークだが……遊んでるヒマはねぇんだ。お前とは互いに万全の状態で戦ってみたかったがな。
マーク……死になっ ! !
マーククッ―― ! !
リオンふんっ……。
スタンリオン !
リオン……待たせたな。
スタン気にするなよ !絶対に戻ってくるって信じてたからな !
マークへぇ……まさか山越えを選ぶとはな。いいねぇ、そういう馬鹿は嫌いじゃないぜ。
マークちょっとばかり鏡映点様を甘く見過ぎてたかな。
イクススタンさん !すまない、遅くなった !
ミリーナよかったわ ! 無事だったのね !
ルーティこのバカ ! 心配させんじゃないわよ ! !
スタンみんな !
マークこりゃまた勢揃いで。
リオン……覚悟はいいか。
マーク言葉を交わすよりもってことか。ああ、いいぜ。悪くねぇ。
マーク全員まとめてかかってきなっ ! !

キャラクター18話 【8-30 ティベリウス雪原 9】
マークへっ……なかなかやるじゃねぇか。さすがソーディアンマスター様は違うな。
スタンくそっ……まだ終わってないぞ !
イクスはぁっ……はぁっ……。ぐっ……マーク !
マークイクス、ちっとは腕を上げたみたいだがまだまだだ。
マークそんなんじゃ、この先また女をさらわれちまうかもな。
イクス黙れ ! よくも……ミリーナを…… ! !
リオン下がっていろ。僕が片をつける。
マークそう来たか。熱いじゃねぇか。
リオンまったくもって救世軍は口ばかり達者な奴が揃っているようだな。
リオンそろそろ消えてもらうぞっ ! !
マーク……まぁ、そうだな。俺もそろそろ消えるとしよう。
ルーティ何よ ! 逃げるつもり ! ?
マーク特異鏡映点サマを見てみろ。これ以上、治療が遅れるとマズいぜ。
マークその女より俺のことが気になるなら付き合ってやってもいいけどな。
リオン…………。
マークそれでいい。じゃあな。
マークそうだ。最後に一つ。
リオン……何だ。
マーク……悪かったな。大切なものを苦しめて。
スタン謝ってすむか ! !待てっ ! !
ルーティスタン。放っておきなさい。いまはケリュケイオンに向かう方が先よ。
スタンくっ……わかった。
リオン行くぞ。

キャラクター18話 【8-30 ティベリウス雪原 9】
イクスガロウズが【アンチ・ミラージュブレス】を外してくれてから数日経ったけど……。マリアンさん……まだ目を覚まさないな。
ミリーナリオンさんも一睡もせずにずっと看病してるし……。あれじゃ身体が持たないわよ……。
イクス二人とも……心配だな……。
ルーティイクス、ミリーナ !あんたたちここにいたのね !
イクスルーティ、スタンさん。どうしたんだ ?
スタンマリアンさんが意識を取り戻したんだ !
ミリーナ本当に ! ? マリアンさんは無事なの ! ?
ルーティええ。感覚も戻ったわ。しばらく休養する必要はあるけど。
イクスよかった……。一時はどうなることかと……。
ミリーナいまマリアンさんはどうしてるの ?
スタンリオンと話してるところ。
ルーティそれでさ……あんたらに、ちょっと頼みがあるのよ。
イクス頼み ?
スタンいまだけ、少しだけでいいんだ。リオンとマリアンさん二人きりにしてもらえないか ?
ルーティあんたたちが二人に聞きたいこと山ほどあるのはわかってるんだけどさ……。
イクスああ。もちろんだよ。
イクス二人が具現化されてからの経緯とか特異鏡映点についてや、救世軍のこと。確かに二人には色々聞いておきたいけど……。
イクスでも、二人はずっと前に進み続けてたくさん傷ついて、いまようやく少しだけ休むことができてるんだと思うから……。
ミリーナそうね……。だから今だけはあの二人のために私たちは待つべきだわ。
スタンイクス、ミリーナ。ありがとう……。
マーク……特異鏡映点を失ったのか。
救世軍幹部失ったところで問題ないでしょう ?彼らにアレを扱える人間がいるとは思えませんし。
マーク……それはどうかな。
救世軍幹部含みのある物言いですねぇ。
マークまぁ、気にするなよ。それに俺たちの本当の目的は無事達成してるわけだしな。
マークあいつらが気づいてないだけで。
キャラクター1話 【ケリュケイオンブリッジ】
ジェイド――さて。そろそろ我々はわからないことだらけのこの世界と具現化について知らなければなりません。
ジェイドとりあえず、現時点での問題点を整理しましょう。キール、説明を。
キール任せてくれ !
キールブリッジに全員は入れないから艦内通信でみんなに話を聞いてもらう。簡単な概要は渡した資料のとおりだ。
キールまず、今回の具現化の術式と構造から説明しよう。これはぼくらの世界では――
イクス……ご、ごめん。話が難しくて何を言っているのかよくわからなかったんだけど。
キールな、何故だ ! ?表まで用意して簡潔に伝えたのに !
ジェイド私としたことが、人選を間違えたようです。要するに、我々は何も知らないということを知るべきだという話です。
ミリーナはしょりすぎじゃありませんか ?せっかくキールが魔鏡技術のことを詳細に話してくれたのに……。
ジェイドそんなレベルで話しても仕方のないことだと思いますよ。
ジェイド問題なのは、現時点で、誰が敵か味方かすらわからないということです。
ジェイドそしてこの具現化が本当に正しいことなのかどうか――ということもね。
ジェイドですから、まずゲフィオン様とやらをここにご招待しましょう。
イクスえ ! ? 宰相の立場にある方をケリュケイオンに ! ?
ジェイド私にしてみれば知らない世界の宰相です。
ジェイド我々を勝手に具現化するぐらい横暴なのですから、それぐらい譲歩してほしいものですよ。
リオン……その点は僕も同意だ。勝手な真似をしてくれる。
イクスす、すみません……。
リオン……例のマークという男は王宮ともつながりがある。ゲフィオンも無条件に信じられる存在じゃない。
ジェイドマリアン――おっと、私が彼女を呼び捨ててもかまいませんか、リオン ?
リオンやめろ。
ジェイドやめません。単なる確認です。
リオン――き、貴様…… !
カーリャなんてたちの悪い眼鏡……。
ジェイドリオンが話を脱線させてしまいましたがマリアンに向こう三ヶ月のゲフィオンのスケジュールを思い出してもらいました。
ジェイド行方不明の時期も多いですがちょうど今頃は鏡士の神殿というところにおられるようですよ。
ミリーナ……イクス、みんな。ゲフィオン様に会いましょう。それが一番だと思うから。
イクスああ、そうするしかないな。ガロウズ。鏡士の神殿というところへ連れて行ってくれ。
ガロウズ……あそこか。気は進まねぇが、仕方ないか。
ジェイドゲフィオンの元へは私とキールも同行させてもらいます。
ジェイド――ああ、別に無理して戦闘メンバーに入れていただかなくて結構ですよ。
ジェイド老人ともやし学者はのんびり後ろをついていってもいい訳ですし。
キールバカにするな ! ぼくだって戦える !イクス、頼ってかまわないぞ !
イクス…………。
ミリーナイクス…… ?
イクスあ、いや、何でもないよ。キールもありがとう。頼りにしてるよ。
ジェイド…………。

キャラクター2話 【9-1 鏡士の神殿】
ゲフィオンイクス、ミリーナ ! それに鏡映点の方々。何故ここに……。
イクスゲフィオン様にお願いがあってきたんです。ゲフィオン様こそ、ここで何を ?
ゲフィオン……占いに使う魔鏡を作ろうと思ってな。ここにある古い魔鏡のかけらを集めていた。
ミリーナでは、やはりゲフィオン様も鏡士なんですね ! ?
ゲフィオンそうか……。その話を聞きたかったのか。
ジェイドええ。是非とも詳しく聞かせていただきたいですね。
ジェイドそれにアイギス計画の真の目的や救世軍のこと。それに特異鏡映点についても。
ゲフィオン特異鏡映点 ! ?まさか特異鏡映点が現れたのか ! ?マリアン以外にも ! ?
キールマリアンのことを知っているんですか ! ?
ゲフィオンもちろんだ。特異鏡映点を放置するわけにはいかないので王宮で保護していた筈だが……。
ミリーナ……それを救世軍が連れ去ったってこと ?
ゲフィオン! ?
ジェイド特異鏡映点とは何なのです ?アニマを逆流させることで世界を消滅させる可能性を持つとは聞いていますが……。
ゲフィオン特異鏡映点はカレイドスコープの構造が生み出すバグだ。
ゲフィオンカレイドスコープは元々戦争用に開発された大量破壊兵器。あらゆる物質のアニマを抜き取り消滅させる。
ゲフィオンその機能を反転させて具現化に使っていることを考えれば、普通の鏡映点の方がバグなのかも知れないが。
ジェイドそのような構造的欠陥を承知でアイギス計画を進めたと ?これはこれは、中々大胆ですねぇ。
ゲフィオンそれだけこの世界が危険で不安定な状態にあるということだ。
ゲフィオンそれに因果律に抵触さえしなければこのバグは発生しないことがわかっていた。
ジェイド因果律……ですか。嫌な予感がしてきました。
ミリーナどういうことですか ?
キール因果とは『結果と原因には必ず何らかの関係がある』ということだ。
キールしかしこの文脈では時間の流れに干渉する……ということだろうな。
ゲフィオンそうだ。六回目の具現化の際にスキャンした世界には、因果律をねじ曲げる要素つまり時の流れに干渉する力が存在していた。
ゲフィオンそのためにマリアンが特異鏡映点として具現化されたのだ。
ミリーナそんなものがあるなんて、スタンさんたちは言ってなかったけれど……。
ゲフィオン彼らの知らない場所あるいは過去か未来にそのような力が発生していたのかも知れぬな。
イクス……ゲフィオン様。俺は――
ミリーナカーリャ ? どうしたの ? 震えてるわ。近くに新しい鏡映点か光魔の鏡でも……。
カーリャ……来る。……何か凄いものが来ます。アニマがぐちゃぐちゃで……吐きそう……。
ミリーナカーリャ ! ? 大丈夫 ! ?
ゲフィオン気絶しているだけのようだな。しかし――
イクス鏡震 ! ?
キール大きいぞ ! ?ここの耐震構造は大丈夫なのか ! ?
ゲフィオンここが潰れるなら世界中が壊滅する。しかしこの揺れの激しさは――
イクス……まずい。ここは海から近いぞ。津波が起きるかも知れない。揺れが収まったらすぐにここを出よう !

キャラクター3話 【9-1 鏡士の神殿】
ガロウズ――みんな、大変なことになったぞ。
ゲフィオン何が起きたというのだ。
ガロウズ……島が……オーデンセ海域に新しい島ができたんです。
ミリーナどうして ! ? 具現化はイクスと私にしかできない筈よね。ゲフィオン様も鏡士だけどここにおられるのに……。
ゲフィオン……宮廷には、私以外にあと数人鏡士の力を持つ者がいる。
ゲフィオンしかし具現化を行えるほどの力を持つ者は今は一人しかいない。
ゲフィオン鏡士の中の鏡士である『ビクエ』の称号を与えられた第103代ビクエならば……。
ジェイドしかし具現化はイクスの魔鏡がなければ行えないのですよね。
ゲフィオンその筈だ。しかしビクエならあるいは――。
ミリーナ犯人捜しも重要だけど今は新しい島のことが気になるわ。
ミリーナ具現化でできた島なら、光魔も光魔の鏡もそれに鏡映点だっている筈だもの。
イクス………………。
ジェイド……ガロウズ。モニターに新しい島というのを映せますか ?
ガロウズ……いや……そいつは……。
イクス
ジェイド――なるほど。そういうことですか。ですが、今イクスやミリーナの心情を慮っている暇はありません。
イクス……え ?
ガロウズ……わかった。
ジェイドなるほど。新しい島はかなり大きい。島というより大陸だ。それにずいぶん大きな樹がありますねぇ。
リオンおい、お前。それより他に気にするべきものがあるだろう !
キール何だ……あの海に空いた穴は……。まるであそこだけ宇宙につながっているようだぞ。
ミリーナあれが……オーデンセのあった場所…… ?アイギスの破片で吹き飛んだとは聞いていたけれど……。
ミリーナあれは……生き残りがいるかもとかそんなレベルじゃ……。
ガロウズ……今オーデンセ海域周辺は進入禁止だ。島どころか周辺の海域があった空間全てが【消失】した。
ガロウズこれが俺たちが食い止めようとしている世界の滅びの姿って訳だ。
ゲフィオンガロウズを責めないでくれ。
ゲフィオンお前たちを不安にさせないようオーデンセの情報は極力耳に入れないようにしてきたのだ。
リオン……フン。よく言う。イクスたちを都合良く働かせるために、故郷の顛末を知らせなかっただけだろう。
ゲフィオン否定はしない。アイギスの修復は全てにおいて最優先させねばならぬ。
ゲフィオン具現化によるアニマの流入がアイギスの修復には必要不可欠なのだ。
ジェイド……イクス。心ここにあらずといった様子ですがそれでも具現化に関してはあなたが指揮を執る必要があります。
ジェイドどうしますか ? あの大陸に行きますか ?
ジェイド変則的に誕生した土地ですから危険が皆無とは言いませんが調査する必要はあるでしょう。
イクス……行きます。
ジェイド結構。では調査隊を組んで下さい。
ゲフィオン私はカレイドスコープを確認してこよう。誰かがあれを私の許可なく動かしたのなら痕跡が残っている筈だ。
ミリーナ……ゲフィオン様。失礼かと思いますが信じていいのですか ?
ゲフィオンその判断はお前たちに任せるしかない。しかし私は嘘はつかぬ。
イクス………………。

キャラクター4話 【9-2 ダイク街道 1】
ミリーナ……イクス。オーデンセのことショックだったよね。
ミリーナいくらアイギスの破片が降ってきたっていっても、どこかにまだ生き残りがいるんじゃないかって思ってたから……。
ミリーナあんな……本当に何も……空間ごと消失してるなんて……。私たちが助かったことの方が奇跡だったのね。
イクス………………。
カーリャうう……。ここにいるとアニマ酔いしそうです。何かおかしいですよぉ、この……島 ? 大陸 ?
ミリーナイクス…… ?
カーリャ……あれ ? イクスさま、ミリーナさま。な、何か、ぶるぶる来てます。来てます。来てますよ ! ?
ロイドくそっ ! ? こんな時にどこ行っちまったんだ、あいつは…… !
カーリャ来ーたー ! 鏡映点ですよ ! ?
ロイドうわっ ! ? 天使 ! ?
カーリャええ ! ? 初対面からそんな褒め殺し ! ?カーリャ、この人のこと好きになっちゃったかも知れません !
ロイドずいぶん小さい天使だなぁ……。
イクスあ、あの。カーリャは天使じゃなくて鏡精ですよ。
ロイドきょうせい ? なんだそれ ?
イクスえっと……。あの、待って下さい。カーリャ、この人が鏡映点で間違いないんだな ?
カーリャカーリャのことを天使って言ってくれるんですから間違いないです。ぶるぶるするし。
カーリャこれって……恋 ! ?
ミリーナそれはセンサーのせいでしょ ?
ミリーナあの、私はミリーナ、彼はイクス。この子はカーリャです。
イクス――というわけで、おそらく具現化したと思われるこの島……大陸にやってきたんです。鏡映点を捜して。
ロイド………………。
イクスあ、突然で驚かれるのも無理はないんですけど……。
ロイド悪い。何言ってるんだかさっぱりだ。
ミリーナえ ? あの……えっと……。
ロイドよくわかんないけど俺を捜してたんだよな ?
ロイドじゃあ悪いけど一緒に来てくれないか ?俺も今、人を捜してるんだ。
イクスあ、はい。えっと――。
ロイドあ、そっか。俺はロイド、ロイド・アーヴィング。迷子の子供を捜してるんだ。
ロイドこの辺にいると思うから一緒に捜してもらえないかな ?
イクスもちろんです、ロイドさん。
ロイドあー、何かそういう堅苦しい呼び方しなくていいよ。ロイドでいい。イクス、ミリーナ、カーリャ。よろしくな !
イクスあ、ああ。よろしく、ロイド。

キャラクター5話 【9-5 ケイト森林 林道】
ミリーナロイドが捜してる子供って、どんな子なの ?
ロイドポールって名前の男の子だよ。まだ四つか五つぐらいだけど、生意気でさ。
ロイド大樹の根が暴れ出したのを見て退治しに行くって町を出て行ったらしいんだ。
イクス大樹の根が暴れる ? 大樹ってこの大陸に来るときに見えた大きな樹のことかな ?
イクスその根が暴れるってどういうことなんだ ?
ロイドそれが、俺にもよくわからないんだよ。ここって、えっと異世界……って奴なんだろ ?ここにも大樹があったのか ?
ミリーナあんな大きな樹は私たちの世界にはないわ。
ミリーナあの樹もこの大陸もここに住む人たちすらも全てはロイドや……もしかしたら他の鏡映点の人たちの「記憶や想い」から創られた物よ。
ロイド俺の記憶や想い……。だからポールはイセリアのポールにそっくりなのに俺のことを全然知らないのか ?
イクスうん……そうだと思うよ。
イクス鏡映点以外の人たちは、ここに生まれた時に元の世界の記憶を引き継がない『この世界の住人』になるんだ。
イクスロイドにとってはショックだと思うけど……。
ロイド…………。
イクスロイド ? どうしたんだ ?
ロイド……あ、いや。この世界が消滅の危機だから具現化っていうのをやってるって言ってたよな。
イクスああ。その証拠に俺たちの故郷は……完全に消滅してたよ。ちり一つも残ってなかった……。
ロイド今やってる具現化で、イクスたちの故郷を造ることはできないのか ?
ミリーナ異世界の力を借りないとこの規模の具現化ができないの。
ミリーナでも異世界の力を借りるとどうしても元々あった島と同じ物は造れないみたい。
イクス今は鏡映点の人たちの力を借りるしかできないんだ。
ロイド…………。
カーリャあわわわ、待って下さい。何かぶるぶる来ましたよ ?近くに光魔の気配です !
? ? ?う、うわぁぁぁぁ ! ?
ロイドポールの声だ ! ?
イクス奥から聞こえたぞ !光魔に襲われてるのかも知れない ! 急ごう !
ミリーナ子供を襲うなんて許さない !
ロイドポール ! 今助けるからな !
イクス行くぞ !

キャラクター6話 【9-5 ケイト森林 林道】
ポールロイド ! 遅いじゃないか !
ロイドあのなー ! お前が勝手に町の外に出るからだろ !お父さんもお母さんも心配してるぞ !
ミリーナ一人で不安だったんだよね ?でもロイドが見つけてくれたんだからお礼は言わないとね。
ポール……あ、ありがとう。でもおいら、大樹の化け物を倒そうと思って……。
イクス大樹の化け物 ? そういえばさっきも大樹の根が暴れたって……。
ロイドああ。大樹の根が暴れて、町を襲ったんだ。町は壊滅状態で……。今、仲間の一人が町に残って、住民の手当てをしてる。
ミリーナ大変だわ ! 私たちも行きましょう。できる限り協力しないと !
イクスああ。ケリュケイオンに連絡して治癒術を使える仲間を、町に降ろしてもらおう !
ロイド治癒術を使える仲間がいるのか ! ? 助かる !
ポールおいらに感謝しろよ、ロイド !おいらがここに来たからちゆじゅつってのを使える人が見つかったんだぞ !
ロイド生意気言うな !リフィル先生に言いつけるぞ !
ポールや、やめろよ……。お尻叩かれるだろ……。
ミリーナリフィル先生 ? 町の学校の人 ?
ポール鬼だよ。
ロイドバカ ! 聞かれたら殺されるぞ。
イクスえ ! ? 暴力教師…… ! ?
カーリャ教育の闇って奴ですかね ?
ロイド……えっと、まぁそんな感じかな。でも美人だし、優しいところもあるんだぜ。俺の学校の先生で旅の仲間なんだ。
イクス暴力教師が仲間…… ! ? だ、大丈夫なのか ! ?竹刀で叩かれたりするんだろ ! ?
ロイドいや……リフィル先生に武器はいらないから……。まぁ、いいや。会えばわかるよ。
ロイドすっげぇ頭がいい人だからさっき俺にしてくれた話も、先生ならすぐわかると思うよ。町へ戻ろうぜ。
ミリーナそうね。さ、ポール。手をつなごう ?
ポールしょうがねぇな。つないでやるよ。
ミリーナふふ、ありがとう !

キャラクター7話 【9-8 ケイト森林 湿地部 】
イクス建物が潰れて町のあちこちに大穴が空いてる……。
ミリーナこれが大樹の根が暴れた跡なの…… ?
ポールうわぁ、リフィル先生だ !
リフィルロイド ! お帰りなさい !ポールを連れ戻してくれたのね。
ポールせ、先生、さいならー !
リフィルまぁ、呆れた。あの子、逃げ方がロイドにそっくりだわ。
リフィル――さて、と。ロイド、隣にいるのはどなたかしら ?
ロイドあ、紹介するよ。イクスとミリーナとカーリャ。三人ともポールを捜すのを手伝ってくれたんだ。
リフィルそうだったの。みんなありがとう。私はリフィル。教師をしています。あなたたちは……この土地の人 ?
イクスあ、いえ。この土地っていうかこの世界の人間です。あの――
リフィル――この世界、ね。そう、やっぱりそういうことなのね。
ミリーナえ ? ここが異世界だってことがわかるんですか ?
リフィルそうね。マナの感じが違うから。それに――いえ、まずはあなたたちの話を聞きましょうか。
イクスは、はい。説明します。
リフィル……そう。これはやっかいね。
ミリーナ……すみません。私たち、自分の世界の都合でロイドやリフィルさんたちにご迷惑をおかけしてしまって……。
リフィル全くだわ。
ロイド先生 ! ? 何を言い出すんだよ !
ロイド俺たちだってシルヴァラントを助けたいからコレットを助けたいからって自分の都合を優先してきただろ !
リフィルそうよ。私たちのしていることと彼らがしていることは本質的には変わらない。
リフィルでもね、彼らは『これが犠牲を伴って行われている』ということを知らないのよ。
リフィルいえ、知っていても理解できていないのね。旅を始めたばかりのあなたや私のように。
イクスあの、この具現化はリフィルさんたちの世界には影響はありません。
リフィルどうして ? どうしてないと言い切れるの ?イクスだったかしら。あなた、私たちの世界へ行って、影響がないか調べたの ?
イクスそ、それは……ゲフィオン様が……そう言っていたから……。調べてはいないです。
リフィルそれに仮に私たちの世界に影響がなかったとしてもすでにこの世界には私やロイドの記憶を触媒にした新しい生命が誕生した。
リフィル世界をクリエイトするということはそこに責任が伴うの。私たちは勝手に鏡映点として選ばれ、責任を負わされた。
リフィルしかも今回の具現化は何故起きたのかあなたたちすらわかっていないという。無責任だとは思わなくて ?
ミリーナ――……それは……。それは……その通りです。……申し訳ありません。
リフィル本当にこれしか世界を救う道がないのなら……あなたたちがそう決意したのなら。
リフィル自分たちがやろうとしていることが本当はどういうことなのかよく理解なさい。
リフィルそれもできないで、協力を求めたり一人前に人助けをしている気持ちになるのは危険よ。
イクス……そう……か。そうだったんだ。
ミリーナイクス…… ? どうしたの ?
イクスマリアンさんのことがあって俺の中にもやもやした気持ちがずっと燻ってて……。
イクスその正体が何だかわからなくてずっと考えてたけど多分これが答えなんだ。
イクス俺……何も知らないんだって。本当の本当に知らなかったんだって。
イクス何が正しくて何が間違ってるのか。そもそも自分の故郷のことすら怖くて本当の状況を見にいけなかった。
イクス前を向いているつもりだったけど目の前に起きたことから逃げ続けてたんだ。
ジュードイクス ! 治癒術を使える仲間を集めて連れてきたんだけど……。――何か、あったの ?
ミリーナあ、ええ。大丈夫。あの、リフィルさん。私たちもこの町の人たちを助けたいんです。あの……だから……。
リフィル……ええ。今は人命救助を優先しましょう。そこのあなた。
ジュードあ、ああ、はい !
リフィル町の広場にこの町の町長がいるからその人に指示を仰いで。
ジュードわかりました !
リフィル私たちも行きましょうか。まずは町の人たちを助けましょう。
ロイドそうだな。
ロイドイクス、ミリーナ。気にするなよ。先生は二人のことを心配してあんなことを言ってるだけなんだからさ。
ロイド俺は二人がやっていること凄いと思うぜ。世界を造ってまで、誰かや何かを救いたいって気持ち、わかる気がする。
ロイド俺の知ってる奴にもそういう奴がいるから。
イクスあ……ありがとう、ロイド。
カーリャロイドさま……性格イケメン過ぎませんか…… !カーリャ……ゲキカンです !
ミリーナ…………。

キャラクター8話 【9-9 素朴な町】
? ? ?う……うぅ……。
イクスだ、大丈夫ですか ! ?
カーリャあわわわわ、ひ、ひどい怪我ですよ ?
ミリーナイクス。私が治療するわ。
ミリーナ……これで傷は治ったけれどまだ何だか苦しそう。
カーリャ何ですか ?この首の下あたりについてる石は ?
ロイドエクスフィアだ ! ?
ミリーナエクスフィア ?
ロイド俺が手につけてる石と同じだよ。エクスフィアをつけられてるってことはまさかこの人は人間牧場の人なのか ! ?
イクスに、人間牧場 ! ? な、何だそれ ! ?人間を飼ってる牧場 ! ?ま、まさか、ロイドたちの世界では人肉を…… ! ?
ロイドすっげー想像力だなぁ、イクス……。
リフィルどうしたの ?
ジェイドずいぶん騒がしいようですが何かありましたか ?
カーリャはわわ、眼鏡大佐も来てたんですか。
ジェイド私も死体専門とはいえ、医学の道を志したこともありましたので。
ジェイドまぁ、ジュードとティアに無理矢理連れてこられただけですが。
ロイド先生、この人、人間牧場から来たみたいなんだ。
リフィル人間牧場 ! ?ここにも人間牧場があるなんて……。
ジェイド人間牧場とは……また興味をそそられる単語ですねぇ。
リフィルあなたは少し黙っていて。
ジェイドこれは失礼。
カーリャ出会ったばかりで眼鏡を御すとは……さすが鬼教師です。
ミリーナこら、カーリャ ! あなたも少し黙りなさい !
リフィル大丈夫 ? 話せるかしら ?あなたは人間牧場から逃げてきたの ?
脱走者……あ……ああ。木の根みたいな奴が建物を壊してくれたんで、なんとか……。
ロイド他の人は ? 他にも牧場に捕らわれてた人がいるんだろう ?
脱走者そ、そうだ…… ! 仲間を助けてくれ !ほとんど逃げ出すことができたんだが怪我がひどくて動けない奴らもいるんだ。
ロイドわかった。任せてくれ。先生、行こう !
リフィル……いえ。ここにもこの後、牧場から逃げてきた人が押し寄せてくるでしょうしまだ人手が足りないわ。
リフィル私はこの町に残ってトリアージと治療を続けます。
リフィルロイド、イクス、ミリーナ、カーリャ。あなたたちで牧場の様子を見てきてくれるかしら。
リフィルそちらの様子次第で救援隊を向かわせるわ。連絡はケリュケイオンに入れてちょうだい。
リフィル魔鏡の通信……というのでケリュケイオンには連絡できるのでしょう ?
ロイド先生……何かあったのか ?
リフィルえ ? ああ、ちょっと疲れただけよ。大丈夫。あなたはまだ大丈夫よね。
ロイドああ、俺はまだまだ動けるぜ。でも無理するなよ。先生が倒れたら元も子もないんだからな。
リフィルフフ、そうね。気をつけるわ。
ロイドイクス、ミリーナ、カーリャ。人間牧場へ行こうぜ。頼めるか ?
イクスもちろんだよ。
ミリーナ私の治癒術でみんなを助けられるならやれるだけのことをやらないと。
カーリャロイドさまの頼みならカーリャも頑張っちゃいますよ。
ロイドよし、みんな行こう !
ジェイドおつむの程度はともかく、中々鋭いですねぇあなたの教え子は。で、リフィル。何を隠しているのですか ?
リフィルロイドを褒めるように見せかけてさりげなく自分の観察力を誇るのはやめてくれるかしら。
リフィルそれに今は治療に専念する方が大事なのではなくて ?
リフィルこちらも後であなたに聞いておきたいことがあるから、話ならそのときでいいでしょう。
ジェイドこれはこれは…… ! 世界の枠を飛び越えればあなたのような人もいるのですね……。
リフィルどういうこと ?
ジェイドいえ、何でもありません。広場へ戻りましょうか、先生。
リフィル私、自分より年上の生徒を持った覚えはなくてよ。
リフィルそれに生徒になるつもりならもっと可愛げを持ってほしいものね。
ジェイドはい、リフィル先生 !
リフィル……もういいわ。黙っててちょうだい。

キャラクター9話 【9-13 半壊した人間牧場 入口】
イクスここが人間牧場か……。えっと、確かエクスフィアっていう石を物理変化させるための場所だっけ ?
ロイドぶつりへんか ? それはよくわかんねーけど人間でエクスフィアを目覚めさせる実験を行ってた場所だよ。
ミリーナそんな恐ろしい場所まで具現化してしまうなんて……。
ロイド……俺のせいかもしれないな。
カーリャえ ! ? どうしてそうなるんですか ?
ロイドだって具現化ってのは俺の心とか記憶が影響するんだろ ?
ロイド俺が人間牧場のこと気にしてたから具現化しちまったんじゃないかな。
ロイド大樹の根にしてもさ、俺たちの世界で大樹が暴走しちまったことがあって……。
ロイドその時のことがこの具現化にも影響してるんじゃないかって思うんだよ。
イクスリフィルさんの言ってた通りなんだな。俺……本当に何もわかってなかったよ。
イクスゲフィオン様の言う通り、アニマサーチした異世界にはなんの影響もないって言葉を信じて。
イクスでもよく考えてみれば、勝手にここに具現化されて、いろいろな枷を背負わせてしまってるんだなって。
イクス今まで出会った人たちがみんな好意的だったから深く考えてみようともしなかった……。
ロイドだったらもういいんじゃないか。気づいたんだろ ?気づいたあと、どうしていくかってことが大事なんだと思うぜ。
ロイドそれにさ、俺にもイクスたちの気持ちがわかるんだ。
イクスえ ?
ロイド俺の世界も色々やばいことになっててさ。
ロイド再生の神子って存在が世界を救ってくれるんだって、俺もみんなも……多分世界中がそう思ってた。
ロイドでもさ、違ったんだよ。何かをしたいと思うなら、自分が自分の力で立ち向かわなきゃいけないんだ。
ロイドそうやって初めてつかみ取れる物があるって俺、ある人に教えられて気づいたんだ。
イクス自分の力で立ち向かう……。
ロイド俺にもそういう瞬間があった。イクスたちは今がそのときなんだと思うぜ。
ロイドイクスたちがこの世界を救うために立ち向かうなら、俺も協力するよ。
イクスロイド……。うん、そうだな。俺……今度は目の前のことから目を背けないよ。
イクス知らなくてもいいってごまかし続けてきたことをきちんと知ろうと思う。
イクスもう【あの時】みたいなことは嫌だ。
ミリーナイクス、あれは…… !
カーリャんん ? 何のことです、ミリーナさま。
イクス……俺が魔鏡術を暴走させた時のことだよ。多分、俺の逃げ癖ってあそこから始まってるんだ。
ロイド……イクス。その話、後にしよう。誰か来る。
イクス牧場の人かな。
ロイドいや、殺気がする。ひとまず奥へ進もう。
ミリーナそうね。今は牧場の人を捜しましょう。困っているはずだもの。

キャラクター10話 【9-15 半壊した人間牧場 深部】
イクスあそこに人がいるぞ !
ミリーナ大丈夫ですか ! ?
牧場の女性あ……助けにきて下さったんですか…… ?
ミリーナええ。待って下さい。いま治癒術を…… !
ミリーナここにいる人たちは全員治療できたわ。
イクス他にここに残っている人はいないんですか ?
牧場の女性軽傷の人たちは、みんな逃げられたので後はここに残っている者だけです。
ロイドよし。歩けるようなら町へ送っていこう。
イクス貴様は……救世軍の ! ?
ファントムおやおや、イクス殿にミリーナ殿。これはこれは。人間牧場に侵入したらしい人間というのは、あなた方のことでしたか。
ロイドイクス……こいつ何者だ ?
ファントムおや、見知らぬ顔ですね。鏡映点でしょうか。お名前は ?
ロイド人に名前を尋ねる前にまず自分から名乗ったらどうだ。
ファントムそれは困りました。真名を明かすのは危険なこと。
ファントムですから私のことはファントムとお呼び下さい。魔鏡術に焦がれた哀れな幻影にはぴったりでしょう。
ロイドマナ ? 幻影 ? なんか気持ち悪い奴だなぁ。俺はロイドだ。ファントム、人間牧場に何の用だ。
ロイドお前、凄く……嫌な感じがするぞ。
ファントムああ、やはりあなたがロイドでしたか。ならば邪魔になりそうですねぇ。始末しておきましょうか。
イクス何 ! ?
ファントム出でよ、我が下僕たちよ !
ファントム行け ! 邪魔な鏡士と鏡映点を始末せよ !

キャラクター11話 【9-15 半壊した人間牧場 深部】
ファントムまだ終わりではありませんよ。
ロイドまた魔物の召喚を ! ?
ミリーナきりがないわ。どこか隙を見てファントムの首を取らないと !
ファントムミリーナ……。その冷徹な判断力……私はそういうところに惹かれるのですよ……。
イクスミリーナに近づくな !
リフィル待ちなさい。
ロイドリフィル先生 ! ? どうしてここに ! ?
ファントムリフィル殿。こんなところに足を運んで下さるとは気が変わったと考えてよろしいかな ?
リフィルあなたたちの狙いはわかっているわ。ロイドたちの後ろにあるエクスフィアね。
ロイドこんなところにエクスフィアが ! ?俺の知ってる牧場とは雰囲気が違いすぎてわからなかった……。
リフィル具現化にあなたの記憶や感情が混ざっているから正確に再現されていないのね……。
ロイド……なんか馬鹿にされたよーな気がするぞ ?
ファントムリフィル殿。我らの下に来て下さるのですな。
イクスえ ! ?
ロイドど、どういうことだよ、先生 !
リフィル……条件は2つ。ロイドたちをこのまま見逃すこと。そして、ここにあるエクスフィアはあきらめること。
ファントム……結構。あなたという素晴らしい特異鏡映点が手に入るなら我々にはエクスフィア以上の価値がある。
ミリーナ特異鏡映点 ! ? リフィルさんが ! ?
ロイドリフィル先生 !
ファントム――おっと、動かないでいただきたい。今はリフィル殿に敬意を表し黙って引き下がります。
ファントムただし少しでも我らの邪魔をすれば私のペットたちを牧場の人間に向かわせますよ。
イクスくそっ !
ロイドリフィル先生……。どうしてこんなまねを……。それに前からファントムを知っていたのか ?
ミリーナこうしてはいられないわ。ロイドはリフィルさんを追って !私たちは――
イクス牧場の人たちを町に送り届けてからみんなでリフィルさんを取り戻す、だろ ?
ロイドわかった ! 牧場の人たちを頼む !
? ? ?これは困ったな。リフィルさんを巻き込むのはボクが許さないよ。大切な同族だしね。
マークやれやれ、奴に逆らえってのかよ。
? ? ?そうだね。どうなるかはリフィルさん次第かな。もう少し見学しておくことにするよ。
? ? ?使えそうな手駒も集めないといけないし。
マークあの頭のおかしな博士だけじゃ足りないか ?
? ? ?あいつ……雑魚臭がするしね。少しはボクに選ばせてよ。
マークやれやれ。子供のお守りは大変だわ。

キャラクター12話 【9-16 半壊した人間牧場 深部】
ロイドくそ…… ! あいつら先生をどこへ連れて行ったんだ ! ?
ロイド――ん ? 今、何か踏んだぞ ?
ロイドこれはエクスフィアの欠片だ。どうしてこんなところに……。
ロイドあっちにも落ちてる……。そうか ! もしかしたらこれは――。
イクスよし。なんとか人間牧場の人たちを助けられたな。
ミリーナ次はリフィルさんの行方を捜しましょう。
イクスそうだな。まずはロイドと合流しよう。こんな時、魔鏡を使った通信が使えればな……。
ジェイドなるほど。確かにそれは便利です。ガロウズとキールに話して通信装置を開発してもらいましょう。
イクスえ ! ? ジェイドさん随分簡単に言いますけど魔鏡の通信は鏡士しか……。
ジェイドだからこそ、普通の人間にも使える通信装置があればいい――という話ですよね。
ジェイドキールは魔鏡技術を独学で学んでいました。彼が原理を考案しガロウズが作ればできるでしょう。
ジェイド足りないところはあなたたちが助ければいい。いやぁ、持つべきものは才能ある仲間ですねぇ。
ミリーナ人を便利に使う軍人さんも、ですね ?
ユーリその人使いの荒い軍人さんに頼まれてこいつを見つけたぜ。
イクスそれは……何かの宝石、ですか ?
ユーリ見たことがない物だからなんとも。だがラピードがこの宝石の欠片からあのリフィルって先生の匂いをかぎとった。
ラピードワフン !
ユーリこの宝石の欠片が一定の間隔で落ちてたんだよ。
ユーリパンくずならぬ石くずを落としていったってことだろうな。
ミリーナということはこの宝石の欠片を拾っていけばリフィルさんがどこに行ったかわかるってことね。凄いわラピードさん !
ラピードワン !
イクスよし。リフィルさんを捜す班とこの街に残って救護を続ける班に分かれよう。
ジェイド私はここに残ります。リフィルがいない今町長だけでは住民の混乱を治められない。私が指揮を執りましょう。
ミリーナジェイドさんなら安心ですね。イクス、私たちは急いでリフィルさんを捜しましょう !
イクスああ、そうだな !

キャラクター#N/A
ロイドくそ… ! あいつら先生をどこへ連れて行ったんだ ! ?
ロイド――ん ? 今、何か踏んだぞ ?
ロイドこれはエクスフィアの欠片だ。どうしてこんなところに…。
ロイドあっちにも落ちてる…。そうか ! もしかしたらこれは――。
イクスよし。なんとか人間牧場の人たちを助けられたな。
ミリーナ次はリフィルさんの行方を捜しましょう。
イクスそうだな。まずはロイドと合流しよう。こんな時魔鏡を使った通信が使えればな…。
ジェイドなるほど。確かにそれは便利です。ガロウズとキールに話して通信装置を開発してもらいましょう。
イクスえ ! ? ジェイドさん随分簡単に言いますけど…。
ジェイドキールは魔鏡技術を独学で学んでいました。彼が原理を考案しガロウズが作ればできるでしょう。
ジェイド足りないところはあなたたちが助ければいい。いやぁ、持つべきものは才能ある仲間ですねぇ。
ミリーナ人を便利に使う軍人さんも、ですね ?
ユーリその人使いの荒い軍人さんに頼まれてこいつを見つけたぜ。
イクスそれは…何かの宝石、ですか ?
ユーリ見たことがない物だからなんとも。だがラピードがこの宝石の欠片からあのリフィルって先生の匂いをかぎとった。
ラピードワフン !
ユーリこの宝石の欠片が一定の間隔で落ちてたんだよ。
ユーリパンくずならぬ石くずを落としていったってことだろうな。
ミリーナという事はこの宝石の欠片を拾っていけばリフィルさんがどこに行ったかわかるってことね。凄いわラピード !
ラピードワン !
イクスよし。リフィルさんを捜す班とこの街に残って救護を続ける班に分かれよう。
ジェイド私はここに残ります。リフィルがいない今町長だけでは住民の混乱を納められない。私が指揮を執りましょう。
ミリーナジェイドさんなら安心ですね。イクス、私たちは急いでリフィルさんを捜しましょう !
イクスああ、そうだな !

キャラクター13話 【9-17 レミエル街道 1】
カーリャむぅぅ。宝石の欠片どこにも見当たりませんね。
ミリーナリフィルさんはこの辺りにいるってことかしら ?でも建物も何もない場所だけど……。
イクスあ ! あそこにいるのはロイドだ !おーい ! ロイド !
ロイドイクス ! みんな !ちょうどみんなを呼びに街へ戻ろうと思ってたところなんだ。
イクスリフィルさん見つかったのか ! ?
ロイドいや、その逆だ。先生がエクスフィアの欠片を落として目印にしてくれてたみたいなんだけどここで途切れちまってるんだ。
ミリーナ私たちもその宝石の欠片を拾ってここまで来たの。
イクス……ここで匂いが途切れるってことは何か乗り物に乗せられたのかも知れないな。
ガロウズおい、イクス。ゲフィオン様から連絡だ。カレイドスコープに異変があったらしい。大至急、城に来てくれとのことだ。
ロイドイクス。カレイドスコープってのはこの世界に重要な物なんだろ。だったら、ここは俺たちに任せてくれていいんだぜ。
ミリーナでもイクス。リフィルさんは私たちや牧場の人を助けるために救世軍についていったのよ ?
ミリーナそれにリフィルさんが本当に特異鏡映点ならあいつらに何をされるか……。
イクス……ガロウズ。俺たちはこのままリフィルさんを助ける。
ガロウズおい !じゃあゲフィオン様の方はどうするんだ。
イクスジェイドさんとキールがいる。多分魔鏡術の知識はミリーナと同じぐらいある筈だ。
イクス持つべきものは才能ある仲間だからな !
ガロウズ――わかったよ。こっちのことは任せとけ。何かあれば連絡する。
イクス頼む、ガロウズ。
ガロウズイクス。お前、中々いい面構えになってきたぞ。腹、くくったな ?
イクス……あ、ありがとう。
ロイドイクス……ありがとう !お前って最高だぜ !
イクスそ、そんなことないよ……。
ロイドそんなことあるよ !リフィル先生を助けたら絶対恩返しするからな。
イクス何か照れるな。えっと……この後だけどケリュケイオンみたいな飛空艇はそうそうない筈なんだ。
イクス地上を走る乗り物なら荒れ地を避ける筈だからある程度方角が絞れると思う。
ロイド頭いいなー、イクス !じゃあ、行こうぜ !

キャラクター14話 【9-19 レミエル街道 3】
ファントムこんな物を落としてくるとは。可愛らしい真似をしてくれますねぇ ?
リフィルあら……何のことかしら。
ファントムあなたが道すがら落としてきたエクスフィアの欠片は回収させています。助けが来るなどとは思わないことですね。
リフィル雄弁さは焦りの証かしら ?それとも怖いの ?
ファントム……私は頭のいい女性は好きですが土足で踏み込んでくる輩は嫌いなんですよ。
ファントム小利口なあなたならそのアンチ・ミラージュブレスが体にどんな作用を引き起こすかわかるでしょう。
ファントムせいぜい楽しんで下さい。
ロイド……やっぱりな。
ミリーナどうしたの ?
ロイド何か、しっくりこないと思ってたんだけどこの辺りには大樹の根が暴れた形跡がないんだ。
イクス言われてみれば、地面に穴も空いてないし枯れた樹の根も転がってないな……。
カーリャ街から離れてるからじゃないですか ?
ミリーナそうかしら。そんなに遠くないような気もするけど……。
ロイド上手く言えないんだけどこの辺りの風景が何かピンとこないんだ。
ロイド具現化されたからって、俺たちの世界がそのまま写される訳じゃないんだろ ?
ロイド俺の記憶とか感情とかが何か関係してるんだよな。
ロイドだから人間牧場も、俺の知ってるところとは全然雰囲気が違ってた……。
ミリーナそうね。私たちは【エンコード】って呼んでるわ。
ミリーナ異世界には異世界の化学や物理や魔術法則があるけれど、それをそのまま私たちの世界に持ってきたら
ミリーナ異質なエネルギーがぶつかって世界が壊れてしまう可能性があるの。
ミリーナだから鏡映点の人たちを通すことで一度全ての法則をリセットして、私たちの世界に馴染むように変換しているのよ。
ロイドあー、そういう難しいことは本当によくわからないんだよ。
ロイド要するに、この世界には俺の記憶とか気持ちが混じってるんだよな。
ロイドだとしたら、何か懐かしいとか、怖いとか見覚えがあるとか何かしら心に引っかかる物があると思うんだ。
イクスそうだな。他の鏡映点のみんなもそんな感じのことを言ってた。見覚えがあるようなないような、不思議な感覚だって。
ロイドだけどこの辺りは俺、何も感じない。俺の心からは凄く遠い気がする。
ミリーナまさか……キメラ化…… ?
イクスそれは ? 俺は初めて聞く言葉だけど……。
ミリーナ――ええ、多分そうよ。だからカーリャもアニマ酔いしてしまったんだわ !
ミリーナ凄いわ、ロイド !本当に具現化のこと、よくわかってないの ?
ロイドえ ? へ……へへ、まぁな ! 全然わからないぜ !
イクスそこは自慢するところじゃないような……。でもミリーナ、キメラ化ってどういうことなんだ ?
救世軍――あ ! ? お前たちは ! ?
ロイドちょうどいいぞ ! あいつらを捕まえてリフィル先生の居場所を聞こう !

キャラクター15話 【9-19 レミエル街道 3】
ロイドおい、リフィル先生はどこだ !
救世軍リフィル…… ?
イクス特異鏡映点の女の人だ !
ロイド銀髪の美人だよ !
ミリーナ話してくれれば見逃してあげる。でも隠し立てするならセールンドの憲兵に引き渡すわ。
救世軍……こ、この先の古城だ。
カーリャナイスですよ。すぐに行きましょう !
ミリーナ待って ! ここで解放したらファントムに知らせに行くかも知れないし情報も嘘かも知れないわ。
ミリーナ念のため連れて行きましょう。
ロイド確かにそうだな。それにしてもミリーナってちょっとリフィル先生みたいだな。
ミリーナリフィルさんに似てるなんて嬉しい。凄く綺麗な人だし、子供にも怪我人にも優しくて素敵な人だもの。
イクスミリーナって昔から時々妙に男らしいところがあるんだよな。
ミリーナえ ? そ、そうかな……。ど、どうしよう。恥ずかしい……。
ロイドいいんじゃないか。俺の仲間も女の方が強いところあるぜ。それに心の強さには男も女も関係ない。
ロイドミリーナの強さは周りの人を守ろうとする強さって感じがする。そういう人って綺麗でいいなって、俺、思うよ。
ミリーナロ、ロイド……。あ、ありがとう……。
カーリャひゃあああああ。好感度爆上げですよ !
イクス…………。

キャラクター16話 【9-21 フォシテス砂漠 中央】
ジェイド――キメラ化、ですか。複数の異世界が混ざり合って具現化したのですね。
キール具現汚染の一種だな。ミリーナから教えてもらった現代魔鏡論に書いてあった。
ゲフィオンカレイドスコープを解析したが具現化の使用履歴が削除されていた。だが代わりに、割れた魔鏡の欠片を見つけたのだ。
ゲフィオンおそらくイクスの魔鏡を何らかの手段で入手、解析して似た力を持つ魔鏡を作ったのだろう。
ゲフィオンそれができるのはビクエしかいない。
キールビクエというのは鏡士の最高位に与えられる称号だったな。
キールそんなに凄いならイクスとミリーナをアイギス計画に巻き込む必要はなかったんじゃないか。
ガロウズ当代ビクエ様は、以前から病気で倒れて寝たきりの筈だ。
ジェイド……だからイクスたちを巻き込まざるを得なかった。
ジェイドそれなのにビクエを犯人と考えるとはまだ何か隠しておられるようですねぇ。
ゲフィオン動けない筈のビクエを見たという者がいる。今までは気にもとめていなかったがこうなってくると疑わざるを得ない。
ゲフィオン調査をしてみるが――。
ジェイドいえ。その調査は我々で行います。この王宮には敵が多すぎる。内通者が複数いると考えるべきでしょう。
ゲフィオン……ではこの件の調査はジェイド殿に一任しよう。
ガロウズキメラ化した大陸はどうしたらいいんでしょうか。多少の汚染なら問題ないでしょうが、あの規模じゃ……。
ゲフィオンああ、非常に危険だ。しかもこの魔鏡の破片をサーチすると、意図的に時の因果律が存在する世界を選んだことが見て取れる。
キール今具現化しているロイドたちの世界にも時間に干渉する何かがあるってことか。
ジェイドだからリフィルが特異鏡映点として現れることになった……。ふむ……。一つ確認してよろしいでしょうか。
ゲフィオン何が気になっているのだ ?
ジェイド簡単な話です。
ジェイドカレイドスコープと魔鏡が、異世界の因果律に干渉できるということは、恐らく時間の流れを観測して任意の時代を具現化することもできる筈だ。
ジェイドそもそも異世界は並行世界の一種でもある。時間移動は並行世界移動だという説もありますね。
ゲフィオン何が言いたい。
ジェイドこの世界を蘇らせようと思うなら異質な異世界をサーチするより、同じ世界の過去をサーチする方が良かったのでは ?
ガロウズ過去 ! ? そんなことができるのか ! ?
ゲフィオンそのアプローチはすでに検討実行され――失敗した。
ゲフィオンだから危険を承知で異世界を頼るしかなかったのだ。
ゲフィオンこの世界を救うためには手段を選んではいられない。
ジェイド…………そう、でしたか。

キャラクター17話 【9-24 アルテスタ街道 2】
マークよう、イクス ! また鏡映点をナンパか。毎度毎度上手いことやるな。
イクスマーク…… !
ロイド敵か ! ?
マーク敵と言えば敵だな。俺は救世軍だから。
ロイドだったら何をしにここへ現れた !リフィル先生をどこへ連れていったんだ !
マークまあまあ、落ち着いてくれよ。取引をしないか。
ミリーナ……どういうこと ? 何を企んでいるの ?
マークお前たちが捕まえた救世軍は俺の部下だ。返してくれないか。もちろんタダとは言わない。
マークリフィルが閉じ込められている場所の地図とアンチ・ミラージュブレスを外す鍵を渡す。
イクスリフィルさんにアンチ・ミラージュブレスを ! ?
ロイドなんだ ? そのあんち……何とかって ?
イクス人体実験の被験者につける機器なんだ。
ロイドそんなものを先生につけたのか ! ?
マークどうする ? アンチ・ミラージュブレスは健康な人間がつけていても害が及ぶ。早く助けてやりたいだろう ?
ミリーナ罠、じゃないの ?
マークだとしたらどうする ?仲間を見捨てるのか ?
ロイドイクス、ミリーナ。取引しよう。罠だとしても、そんなもの壊しちまえばいいんだ。
マーク単純明快だな。そういうの、意外と嫌いじゃないぜ。ほらよ、鍵と城の地図だ。
イクスこの地図が…… ?
マーク……ああ、見ての通りリフィルが捕らわれている古城の見取り図だ。
マークリー……じゃねぇやファントムか。あいつがその城を実験場として使うつもりらしい。
マークまだ準備が整ってないから助け出すなら今のうちだぜ。
ロイドよし、みんな、急ごう !
マークおっと、仲間は返してもらうぞ
イクスもちろんだ。
マークいいねぇ、反吐が出るほど青くてまっすぐで。せいぜい頑張れよ。
イクスマークの奴、いったいどういうつもりだ。
ロイド悪いが、今は奴のことよりリフィル先生を助けないと。
ミリーナええ。リフィルさんきっと苦しんでいる筈だわ。急ぎましょう !

キャラクター18話 【9-26 封鎖された古城 地下】
ロイドリフィル先生 !
リフィルロイド ! それにイクスたちまで…… !よくここがわかったわね。
イクスリフィルさんが『パンくず』を落としてくれたので……。
ミリーナ待って下さい。今、アンチ・ミラージュブレスを外しますね。
リフィルみんな、助けに来てくれてありがとう。だけどこの城を出る前にもう少し協力してほしいことがあるの。
ロイド先生……まさかここを自爆させようって言い出すんじゃ……。
イクスえ ! ? この城、自爆装置なんてついてるんですか ! ?
ミリーナなるほど。敵の戦力は徹底的に叩くってことですね。
カーリャか、過激です…… !
リフィルちょっと待ちなさい !誰もそんなこと言っていないでしょう。
リフィルそれは……壊せるならその方がいいけれど見たところ自爆装置があるような場所とは思えないわ。
リフィルそうじゃなくて、この城の奥に救世軍が集めてきたエクスフィアがあるの。あれは悪用されると危険だわ。回収したいのよ。
イクスエクスフィアって一体何なんですか ?確かロイドもつけてるんですよね。
リフィルそうね……。人間の能力を極限まで高める作用がある宝石とでも言えばいいかしら。
リフィルただし、誤った使い方をすれば人体に様々な悪影響を与えるの。
リフィル素晴らしい力がある石だから悪用させるわけにはいかないのよ。保管場所なら私が案内できるわ。
ミリーナわかりました。すぐにエクスフィアを回収しましょう。
ロイド先生が加わってくれるから回復は万全だな !
リフィルごめんなさい。私は戦闘には参加できないの。治癒術もあてにしないで。
イクスえ ? まさかアンチ・ミラージュブレスの影響ですか ?
リフィル……いえ。私が特異鏡映点だからよ。ファントムは特異鏡映点には世界を滅ぼす力があると言っていたわ。
ロイドそういえば、先生。ファントムと知り合いだったのか ?
リフィルロイドがポールを捜しに行った後にあの男が私を訪ねてきたの。すぐに追い払ったのだけれど……。
イクスリフィルさんが特異鏡映点だから連れて行こうとしたのか……。
イクスマリアンさんといいどうして特異鏡映点がいるってわかったんだ ?
リフィルそれは彼らが特異鏡映点の具現化に関わっているから……かも知れないわね。
ミリーナそれって王宮に救世軍の味方がいるってことですよね。
イクス…………。
リフィル……話がそれたわね。とにかく私が通常とは違う存在である以上、今後力を使うことは避けるべきだと思うの。
リフィル少なくとも特異鏡映点について正確なことが分かるまでは魔術も治癒術も封印するしかないわ。
ミリーナ……すみません。私たちの考えが至らなくて。
ロイドそのことならもう気にするなよ。リフィル先生だっていつまでもそのことを責めるつもりはないと思うぜ。
ロイドそれより救世軍の連中に気づかれる前にエクスフィアを回収しよう。
リフィルそうね。まだこの城は敵のベースとしては機能していないようだから今がチャンスよ。
イクスはい ! 行きましょう !

キャラクター19話 【9-28 封鎖された古城 隠し部屋】
ロイドもしかして……これ全部エクスフィアか ?
リフィルこんなに集めていたのね。これじゃあ全部運ぶのは難しいかしら。
イクス待って下さい。ケリュケイオンに連絡を取って、みんなに手伝ってもらえば運び出せると思います。
ロイドイクスの魔鏡ってそんなこともできるのか。すげぇ ! なぁなぁ ! 俺にも使わせてくれよ。
イクスいや、これは鏡士でないと無理だと思うよ。
ロイドそうなのか。鏡士ってすげぇな !
イクスそ、そんなことないよ。
ミリーナロイドって感心したり、何でも褒めたり……何だかちょっと照れちゃうね。
イクスそ、そうだな。どうしていいのかわからなくなっちゃうよ。
ロイドなんでだ ? 凄いのを凄いって言うのは当たり前だろ ?
リフィルフフ……。ロイドは本当に素直でバカ正直ないい子なの。普通の人間にはちょっとまぶしいぐらいにね。
ロイドバカ正直ってなんだよ、先生。
リフィルごめんなさい。これでも褒めてるのよ。
ミリーナ……何だかロイドがうらやましいな。
イクスうん、俺も……。
ロイド何がだ ?
イクスロイド自身にも憧れるし、それにリフィルさんみたいな大人が傍にいてくれて色々教えてくれたら心強いんだろうなって。
ミリーナ私たちの島には学校がなかったから……。
ロイドなんだ。だったらイクスたちも今からリフィル先生の生徒になればいいじゃん。
イクスえ ! ?
リフィルあら、二人が望むなら喜んで教えるわよ。
ミリーナは、はい ! リフィル先生 !
イクスお、俺もリフィル先生って呼んでもいいですか ?
ロイドそりゃ、先生なんだから先生でいいだろ !
イクスり……リフィル……せ、せんせい……。は、恥ずかしい…… !
カーリャイクスさま何を照れてるんでしょう。
ミリーナ言い慣れない言葉だしリフィルさんが美人だからよ。イクスったら可愛い !
イクスう、う、うるさぁいっ !と、とにかくガロウズに連絡取るよ !

キャラクター20話 【9-29 封印されし森 入口】
ガロウズエクスフィアの積み込み、完了したぜ。
リフィルありがとう。助かったわ。
ジェイドさて、ではそろそろ今回の具現化における最大の問題点に触れてもよろしいでしょうか ?
イクスさっき報告してくれた「キメラ具現化」の問題ですね。
ジェイド調査の結果、現在この大陸は三つの異世界が混ざり合って具現化しています。
ジェイド原因は本来の使うべきではない魔鏡を使用したこと。そして時の因果律に干渉したこと。
ジェイドこれらはおそらく意図的なものだったのでしょう。
リフィル私――特異鏡映点を生み出すためね。
ジェイドええ。キメラ具現化はあの巨大な樹の暴走を引き起こしています。
ジェイド樹に向かってアニマが集められその結果、樹の根が大地を引き裂こうとしている。
ジェイドこのままでは、あの樹はますます力をつけてやがて他の島々へ根を伸ばすでしょう。
ロイド俺たちの世界と同じことが起きるのか……。何か回避する方法はないのか ?
イクス暴走の原因は、樹がアニマを集めていることなんですよね。どうしてアニマを集めているんでしょうか。
ジェイドロイドたちの世界を構成するアニマとは違う別世界のアニマが流入しているせいでしょう。
ロイドもっとわかりやすく説明してくれよ。あんた、頭いいんだろ ?
ジェイドそうですね……。血に血液型があるようにアニマにも型があり、違うアニマが混じると病気になる……といったところでしょうか。
ロイドだったら血を分離すればいいだけだろ。
ジェイド簡単に言いますねぇ。
ロイド三つの異世界が混じり合ってるのが原因ならテセアラとシルヴァラントみたいに分離すればいいんじゃないかな。
ロイド精霊の楔を抜いたときみたいに……ってあれは失敗したからだめか。
リフィル――待って。悪くないアイデアだわ。
リフィル異なるアニマが流入しあっている場所は何らかの異変が起きている筈。魔鏡で調べることはできないの ?
ジェイドなるほど。複数のアニマが混在している場所が世界が混ざり合っている場所。
ジェイドコンタミネーションの起きている場所が特定できれば、魔鏡でアニマを動かして分離させることができる。
ジェイドまぁ、あくまで予測ではありますが。
ミリーナ鏡士はアニマを意図的に動かすことに長けています。
ミリーナアニマの混ざり合う境界線上を、キラル分子で切り離せば、キメラ具現化した対象物を分離させることができるんじゃないかしら。
ロイドだめだ。何言ってるのかさっぱりわかんねーよ。人間の言葉でしゃべってくれ !
イクス人間の言葉だったと思うけど俺にもよくわからなかった。
イクス……要するに魔鏡でロイドたちの大陸を三つの異世界に切り分けるってことですか ?
ジェイドそれだけわかっていれば十分です。キメラ具現化の切り分け方法について考えがあります。
ジェイドリフィル、キール、ガロウズ力を貸して下さい。イクスはこの大陸の光魔の鏡を探して下さい。
イクス光魔の鏡、ですか ?
ジェイドええ。見つけたら封印せずに待機するように。光魔が襲ってきて危険ですから、戦力を整えていって下さい。
ロイドあーもう、何だか訳わかんねーけどイクスの方の仕事は俺にもできそうだな。イクス、協力するぜ !
イクスありがとうロイド。俺も何だかよくわからないけど……とりあえず光魔の鏡を探してきます。
ミリーナもちろん私も一緒よね、イクス。
カーリャカーリャもお供しますよ。
イクスうん、みんな頼むよ !

キャラクター21話 【9-30 封印されし森 深部】
カーリャぶるぶるします。光魔の鏡が近いですよ !
ミリーナ見て、あの奥のところ !
ロイドあれが光魔の鏡か……。
ガロウズイクス。光魔の鏡は見つかったか ?
イクスああ。今光魔の鏡の前にいる。
ジェイド結構。では周囲の光魔を片付けてからイクス一人で光魔の鏡の中に入ってもらいます。
イクスえっ ! ?
リフィル光魔の鏡というのは、異世界のアニマがティル・ナ・ノーグへやってくる時のゲートになっているの。
リフィル光魔の鏡を通してこの大陸を見ればアニマが結合して混ざり合っているのが見える筈よ。
リフィルそれを、腕の魔鏡からキラル分子を照射することで切り離すの。
キールただし光魔の鏡の中に入れば、そのままティル・ナ・ノーグと他の異世界の間にあると思われる【虚無】に引きずり込まれる。
キールカーリャを連れて行け。カーリャを通じてティル・ナ・ノーグのミリーナとつながることでこちらの世界にイクスをつなぎ止める。
ミリーナそんな危険なこと、イクスにさせられません !私が代わりに――
ガロウズいや、光魔の鏡の中でアニマを分離するにはイクスの魔鏡が必要なんだ。だからこれはイクスにしかできない。
ミリーナでも…… !
ロイドミリーナ。ミリーナは自分を信じられないのか ?
ミリーナえ ? 自分を信じる…… ? イクスじゃなくて…… ?
ロイドああ。今まで一緒にいたんだから俺にもわかるよ。ミリーナがイクスのことを信頼してるのは。
ロイドでもミリーナはイクスを大切に思いすぎて自分の中の不安までイクスに重ねてるんじゃないかな。
ロイドミリーナは自分がイクスをこちらの世界にとどめておけないんじゃないかって心配してるんだと思うんだよ。
ミリーナあ…… !
ロイド大丈夫。ミリーナならできる。そうだろ、イクス。
イクスああ、ミリーナはいつだって俺を助けてくれるから。
ミリーナイクス……。だけど【あの時】私のせいで……。
イクスミリーナ。違う。【あの時】無理に力を使おうとした俺を助けてくれたのはミリーナとフィルだった。
ミリーナ…………。
ロイド俺には【あの時】のことはわからないけど……お互いが自分の中の不安に囚われてるだけなんじゃないかな。
ロイドその不安を埋める手伝いを俺にもさせてくれよ。俺だって二人の仲間だろ ?
ロイドいざとなったら俺も鏡の中に飛び込んでイクスを連れ戻すさ !
ミリーナわかったわ。私も自分を信じる。私……ここでイクスを守るわ。
ジェイド結構。では光魔を片付けたら作戦開始です。頼みましたよ。

キャラクター22話 【9-30 封印されし森 深部】
イクスよし、行くぞ !
カーリャはわわ……。綺麗な光です。
リフィルイクス、聞こえていて ?
イクスは、はい !
リフィルアニマの色が違う箇所にキラル分子を照射するの。やってみて !
イクス(ここで失敗したら……具現化した世界はどうなるんだ……)
イクス――いや、今は目の前のアニマに集中する !
ロイド随分時間がたったけどイクスはどうだ ? 何かわかるか ?
ミリーナ大丈夫。カーリャを通じてイクスを感じるわ。
ロイド…… ! ? おい、光魔の鏡が光り出したぞ ! ?
イクス――よし。これでアニマが混ざり合っているところは全部分離できた筈だぞ。
カーリャさすがです、イクスさま !これで帰れますね。
イクス……あれ ? カーリャの姿が……。
イクスカーリャ ! ? どうなってるんだ ! ?ミリーナ ! ガロウズ ! ロイド !リフィル先生 ! キール ! ジェイドさん ! ?
イクスな、何だ ? 金色の光の砂が……俺の周りに……。
? ? ?苦シイ……ココハドコダ……。
? ? ?助ケテ……助ケテ……ドウナッテシマッタノ ?
イクスな、何だ ! ? 人の声がする ! ?
? ? ?タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ
? ? ?アニマヲヨコセオマエノアニマヲ !アニマヲアニマヲアニマヲアニマヲアニマヲアニマヲアニマヲアニマヲアニマヲアニマヲ
イクスや、やめろ……俺の中に入ってくるな ! ?消えろ ! ? 消えてくれ ! ?
ロイドイクス ! !
ロイドイクス ! 手を伸ばせ !それ以上そっちに行くと【虚無】に飲まれるぞ !
イクスロイド !
ミリーナイクス ! 大丈夫 ! ?
イクス俺……一体どうなったんだ…… ?
ミリーナカーリャが鏡の中からはじき飛ばされてきたのっ !
ミリーナそれで、私が助けに飛び込もうとしたらロイドがカーリャと一緒に……っ !
イクスミリーナ……泣いてる ?
ミリーナごめんなさい。私がちゃんとつなぎ止めておけなかったから。
ロイドそんなことないだろ。カーリャは金色の砂にはじき飛ばされたって言ってたんだ。ミリーナのせいじゃない。
カーリャそうですよ。それにロイドさまに助けてもらってちゃんとイクスさまを連れ戻せましたからね。
イクスうん。ありがとう、ロイド。何があるかわからない鏡の中まで助けに来てくれて。
ロイド仲間だろ。そんなのお互い様だ。
イクスミリーナもありが――。
イクス! ?
ミリーナイクスが……無事で良かった…… !
カーリャお二人とも、喜び合うのはいいんですけれど光魔の鏡の封印も忘れないで下さいね。
イクス(光魔の鏡の中で聞こえたあの声は何だったんだ……。それにあの何もない空間……。虚無……。)
イクス(消失したオーデンセ海域の空間とも似ていた……)
イクス(俺たちの世界に迫っている滅びってのはあの【虚無】のことなのか…… ? )

キャラクター22話 【9-30 封印されし森 深部】
ゲフィオンイクス、ミリーナ。そして鏡映点の方々。そなたたちの活躍で、キメラ具現化していた大陸は、二つの島に分離した。
ゲフィオンあの巨大な樹も動かなくなったようだ。感謝する。
イクス二つ…… ? 三つの異世界が混じり合っていたと聞いていましたが……。
ゲフィオン三つのうちの二つはほぼ同質の世界であったために分離できない状態にあったようだ。
ゲフィオンおそらく同じ世界の過去と未来であったのだろう。
ゲフィオン分離したもう一つの異世界もかなり近い性質を持っていたようだな。
ゲフィオン何かしら関わりのある異世界同士だったが故に混濁したのだと考えられる。
リフィルゲフィオン様。鏡映点は存在するだけでアニマをこの世界に満たすことができると聞いています。
リフィルでは逆の性質を持つ特異鏡映点はこの世界にとって邪魔な存在なのではありませんか ?
ミリーナリフィルさん…… !
ゲフィオンアニマの点だけ捉えればそうかも知れぬ。だが同時に鏡映点として、具現化に関与している存在であることは間違いない。
ゲフィオン具現化が安定し、アイギスが完成する前に鏡映点が消えては、具現化した島に悪影響が出ることも考えられる。
リフィルですがジェイドの調査では、光魔の鏡と特異鏡映点はほぼ同じ性質を持つそうです。
リフィル光魔を発生させることこそなくても放置すれば特異鏡映点からアニマが失われ世界が消失するのではありませんか ?
ゲフィオン……否定はできぬ。
イクスゲフィオン様。しばらく具現化を中止しませんか。
イクス俺は……あなたを信じていいのかわからなくなってきた。
ミリーナイクス…… !
ゲフィオン…………。
イクス先生――リフィルさんに言われて気づきました。俺たちがどれだけ安易に世界を生み出してしまったのか。
イクスティル・ナ・ノーグの為に必要なことだったのだと思います。
イクスけれど俺たちは何も知らなすぎた。そしてあなたは隠しごとが多すぎる。
イクス俺は……何も知らないままこの計画を進めたくない。自分たちのしたことに責任を持っていきたいんです。
ゲフィオン……そうだな。どちらにしてもカレイドスコープは壊れていて具現化ができない状態だ。
ゲフィオン特異鏡映点の件も何らかの解決策を見いださねばならぬ。
ゲフィオンまずは修理を進める間に、お前たちにアイギス計画を知ってもらうための資料をそろえよう。
ゲフィオンデミトリアス陛下もお前たちに渡したい資料があると言っておられた。全ては陛下の前で話をすることとしよう。
リフィル私も独自に調査をするようにジェイドから依頼されています。権限をいただけますか ?
ゲフィオン承知した。
イクスではカレイドスコープの修理が完成してゲフィオン様の準備が整ったらお話を聞かせて下さい。
イクス俺たちに隠しているアイギス計画の詳細を。
マークやれやれ。奴らエクスフィアまで盗んでいくとはなぁ。
ミトスさすがリフィルさん。
マークリーパが苛ついてたぜ。
ミトス鏡映点殺しに協力してやるんだから文句は言わせないよ。それより約束は守れるの ?
リヒター……失われた命の復活。本当に可能なんだろうな。
マーク具現化の力を見ただろう ?しっかり頼むぜ、反鏡映点サマ ?
ディスト反鏡映点、では面白くありませんね。何か呼び名を考えましょう。
チェスター……そんなものはどうでもいい。俺は……アミィを取り戻す。ただ、それだけだ。
キャラクター1話【ケリュケイオンブリッジ】
イクス新しい大陸が発見された ! ?
ジェイドええ。ですから調査を頼みます。
イクスちょ、ちょっと待ってください。俺たちは具現化していませんよ ?
ジェイドわかっています。あなたたちではない何者かの仕業。そう考えて間違いないでしょう。
ミリーナゲフィオン様の話だと、私たち以外に具現化を行えるほどの力を持っている鏡士は一人しかいないんでしたよね ?
イクス第103代ビクエ……。
ジェイド可能性はあります。ですが断定はできない。王宮内部については現在探っているところですので。
ジェイドまぁ、敵ではないといいですがね。鏡士の力において、あなたたちではビクエの足下にも及びませんから。
イクスそれは……ビクエに比べたらそうでしょうけど……。
ミリーナイクス。ジェイドさんが言いたいのは精進なさいってことだと思うわよ。
ミリーナジェイドさん。そうですよね ?
ジェイドさあ。どうでしょうね。
イクス……精進か。そうだな。俺だって鏡士になるって決めたんだから。
ジェイド意気込みすぎてこじらせないでくださいよ。
イクスはい。大丈夫です。それで、調査っていうのは ?
ジェイドいつも通りですよ。鏡映点を保護し光魔の鏡を封印してきてください。
ミリーナそれだけですか ?
ジェイドはい。他には特にありません。何が起こるかもわかりませんが。
イクス具現化を中止したにもかかわらず具現化の旅は続く……か。
ジェイド皮肉なものですねぇ。
ミリーナけど立ち止まってはいられないわよね。
イクスああ。そうだな。もちろん用心はしつつだけど。
ジェイドでは旅の餞別に資料を贈ります。調査に向かってもらう大陸の情報を簡単にですがまとめましたので。
イクスありがとうございます。
ミリーナこの子が鏡映点なのね。女の子かしら ? 可愛いっ。
イクス男の子のようにも思えるけど…………って、待てよ。これは…… ! ?
ジェイド後はあなたの判断に任せます。私は遺跡オタクではありませんので。それでは、調査頼みましたよ。
ミリーナあっ ! ジェイドさん !
イクス……やっぱりこの遺跡や街並みは。
ミリーナ……イクス ? どうしたの ?
イクススレイとミクリオ、エドナ様にも一緒に来てもらおう。
イクスこれは俺よりもスレイたちの意見を聞いた方がよさそうだ。

キャラクター2話【10-1 ダイル街道 1】
スレイイクス。お待たせ。街の様子を見てきたよ。
イクスそれで……どう思った ?
スレイオレもイクスと同じ見解だよ。
イクスそうか……。建造物の様式や装飾モチーフが天遺見聞録に記載されていたものに酷似しているからまさかとは思ったけど……。
スレイこの大陸はオレたちの世界……それも遙か昔の時代の世界が具現化されたと考えて間違いないと思う。
イクス遙か昔か。アスガード王家の末流の一つ……ペン=ドラゴニア伯が台頭したと伝えられるアスガード時代の隆盛期ぐらいか ?
スレイもっと昔だと思うな。過剰な彫刻や動植物を自由に組み合わせたモチーフの建造物もあったし。
イクスとなると少なくとも1000年以上前……。ミクリオはどう思う ?
ミクリオそうだな……。まず主要な建造物の様式は実用的かつシンプルなデザインだった。それから街の人の服装などからも考えて……。
ミクリオアスガード時代の統一期だと思うな。
イクスグレイトフル・アスガード。100年の平和が続いたのち突然、大規模な地殻変動が発生した時代か。
スレイ確かに、そう考えたらアスガード時代初期の文化的特徴が垣間見られるのも納得だ。
イクスさすがミクリオだな。建造物だけじゃなく文化的な側面も見落とさずに判断できてすごいよ。
ミクリオそれほどでもないさ。それにイクスだって歴史の流れをしっかり覚えててすごいじゃないか。
スレイオレたちで歴史や天遺見聞録の話をしてるとイクスがグリンウッドの考古学者に思えてくるからな。
イクスいやいや。そんなことないよ。二人に比べたらまだまだだしさ。
エドナちょっと。いつまで歴史座談会してるつもり。
スレイあはは……ごめん。具現化された世界とはいえまさか過去の世界に来ることになるとは思ってなかったから夢中になっちゃって。
ミクリオうん ? もしここが本当に統一期の世界ならすでにエドナは――いたっ ! !
エドナまったく。そんなに刺されたいの ?
ミクリオもう刺してるじゃないか !
エドナ乙女の年齢を考古学的知識を用いて探ろうとした罰よ。
スレイこ、この件は触れない方がよさそうだな。
ミリーナそうね。それにエドナ様が何歳であろうとこんなに可愛いことに変わりはないもの。
エドナそうやって隙あらばワタシを撫でるのね……。もう慣れたから、どうでもいいけど……。
イクスそれじゃあ、ひとまず鏡映点を捜さないと。
カーリャおぉっ ! さっそくぶるぶる来ましたよ !あっちです !
イクスわかった。行ってみよう。
ライフィセットジッとしてて。もうすぐ終わるから。
商人……凄いな。みるみる傷が癒えていく。
イクス見つけた。あの子が鏡映点だ。
スレイ待って。あれって……天響術 ?
ミクリオどうやら天族みたいだね。
エドナいえ、あれは……。
ライフィセットはい。これでもう大丈夫だよ。
商人すまないね。助かったよ。
ライフィセット気にしないで。それじゃあ僕はもう行かなきゃ。
商人待ってくれ。
ライフィセット……どうしたの ?
商人その不思議な力は金になる。俺の商売に協力してくれ。もちろん、報酬は弾むし――
ライフィセットイヤだ。
商人なっ……少しは考えてくれてもいいだろ。
ライフィセットイヤだ。僕は商売道具のモノじゃない。それじゃあもう行くから。
商人待て ! 逃がしはしないぞ !
ライフィセット何 ! ? 放してよ ! !
商人うるさい !お前は黙って従っていれば――ッ !
スレイごめん。話に割って入って。けど、イヤだって言ってるんだ。本人の意思も尊重してあげてよ。
ライフィセット……。
商人チッ……なんだお前たちは。もしかしてお前たちもこいつを利用して金儲けを――
スレイするわけない。天族はモノじゃないんだ。人間と同じようにそれぞれ思いや夢や情熱が……心があるんだから。
ミクリオ……スレイ。
ライフィセット天族…… ?
ミリーナさがってて。もう大丈夫だからね。
ライフィセットあ、ありがとう。
商人忌々しい…… !何だかわからんが横取りはさせんぞ !
エドナスレイ。こいつら……。
スレイああ。穢れを感じる !けど、穢れが増える感じもなければ憑魔化もしない…… ! ?
ミクリオ考えるのは後だ !みんな ! 構えろ !
イクスくるぞ ! !

キャラクター3話【10-1 ダイル街道 1】
ライフィセット……うん。ここが別の世界だっていうのも僕が鏡映点って存在なのもわかった。
ライフィセットけど、ごめん。僕は保護されるつもりも二人の旅に協力するつもりもないよ。
イクス……もちろん無理強いはしないよ。俺たちの都合で迷惑をかけてるわけだし信用できないと思われても仕方がない。
イクスけど……光魔に襲われたり救世軍に狙われるかもしれないから……。
ライフィセットわかってる。だけど僕にはやらなきゃいけないことがあるんだ。
ライフィセットそれに、ようやく……僕の大切な人が平和な暮らしを手に入れることができそうだから……。
ミリーナ大切な人 ?
ライフィセットうん。ベルベットって言うんだ。僕が守ると決めた人だから悪いけど二人には――
ミリーナそうだったのね !もしかして女の子かしら ?
ライフィセット女の子 ! ? 確かにベルベットは女の子だけど年齢はミリーナと同じくらいだよ ! ?
ミリーナ……そうなの ?ライフィセットと同い年くらいのかわいい女の子じゃなくて ?
ライフィセットベルベットは……綺麗な人だよ……。
カーリャあれれ ? ライフィセットさまってば顔が赤くないですか ?
ライフィセットそ、そんなんじゃないってば。
イクスえっと。ベルベットさんは今どうしてるんだ ?
ライフィセット街の外であった廃屋で僕の帰りを待ってる筈だよ。
ミリーナ年上の綺麗なお姉さんかぁ……。
イクスその人もきっと鏡映点の筈だ。ジェイドさんの資料に、顔が判別不明の鏡映点がもう一人いるって書いてあったし。
ミリーナええ、そうよね。
イクスライフィセット、事情を説明したいから会わせてもらえないかな ?
ライフィセットベルベットに ? だ、大丈夫かなぁ……。
イクス何か問題でもあるのか ?
ライフィセットえーと…………ううん。何でもない。
ライフィセット昔のベルベットが具現化のことを聞いたら大変なことになってたかもしれない。
ライフィセットだけど……きっと今のベルベットなら大丈夫。二人のことを紹介するね。
イクスああ。ありがとう。
スレイお待たせ。こっちはもう大丈夫だよ。商人たちには帰ってもらったから。
イクススレイ、ありがとう。ちょうど俺たちもライフィセットと話が終わったところだ。
エドナ……。
スレイ天族の力を利用しようとする商人か……。人間が天族を知覚できる世界だとこういうことも起こってしまうんだな……。
ミクリオだがイクスとミリーナのような人間もいる。これは事実だろう。だから……。
スレイありがとう、ミクリオ。オレは大丈夫。
スレイ人間と天族の共存する世界……。それがオレの夢。だから、それを諦めたりはしないよ。
ライフィセット人間と天族の共存……。
ミクリオえっと……ライフィセット。さっき天響術を使っていたようだったが君も天族なのかい ?
ライフィセットあ、あの……天響術と天族ってなに ?あの回復魔法は聖隷術。僕は聖隷だよ。
スレイ聖隷術 ? 聖隷 ? 聞いたことがないな。天響術と天族を昔はそう呼んでいたのか ?
ライフィセット昔 ? どういうこと ?
スレイ実は、オレたちの元いた世界って――
エドナそれについてはワタシが後でボーヤにもわかりやすく説明してあげるわ。楽しみにしておきなさい。
ライフィセットう、うん。
エドナスレイ、ミボ。ということでこの件はワタシが預かるわ。
ミクリオどうしたんだ ?やけに積極的じゃないか。
スレイ普段なら説明なんてメンドクサイって言いそうなのにな。
エドナあなたたちに任せた方がメンドクサイことになりそうだからよ。
エドナ……知らない方が互いに幸せなこともあるの。あなたたちにはわからないかもしれないけど。
ミクリオ……何か知ってるのか ?
エドナさあ。どうかしら。
スレイけど……わかった。オレたちから歴史や時代の話はしないようにする。
ミクリオそうだね。聞かれたとしても原則として互いに話さないようにした方がよさそうだ。
スレイエドナ、頼んだよ。
エドナ……ええ。
イクスえっと……もう大丈夫そうか ?そろそろ出発しようと思うんだけど。
スレイああ。もう話は終わったよ。どこかに向かうの ?
イクスアニマサーチから漏れたはぐれ鏡映点の可能性が高い人をライフィセットが知っているみたいなんだ。
ミリーナ一度会って事情を説明しようと思うの。
カーリャついでに光魔の鏡も探さなきゃですよ !みなさま、お忘れなく !
スレイわかった。それならオレたちは後から合流でもいいかな ?街で少し気になる噂を聞いたんだ。
イクス噂 ?
スレイ鏡士……たぶんイクスとミリーナを血眼になって捜している人物がいるらしいんだ。
イクスそうなのか ! ?
カーリャイクスさまとミリーナさまの命が狙われている感じですか ! ?
スレイあくまで噂だけど火のない所に煙は立たないとも言うからさ。一応、オレたちはこの件を調べてみるよ。
イクスけど、深追いしてスレイたちまで狙われることになったら……。
ミクリオ大丈夫さ。スレイが無茶しそうになったら僕が止めるよ。
スレイなんだよ。オレは大丈夫だって。
ミクリオどうだか。
ミリーナふふっ。ミクリオさんがスレイさんについているなら安心ね。
スレイミリーナも ?オレそんなそそっかしくないよ ?
ミクリオほら。スレイ、行くよ。
エドナワタシはあなたたちについて行くわ。ちょっと話もあるから。
イクスそうなのか ?
エドナ後で話す。
ライフィセットそれじゃあ出発しようか。ベルベットのところに案内するよ。
エドナ……ベルベットね。
ライフィセット…………。
エドナなにをジロジロ見ているのかしら。見た目によらずだいぶお盛んなようね。
ライフィセットご、ごめん !けどそういうのじゃないって !
ライフィセットどこかで見かけたような気がしたから……。
ミリーナエドナ様を ?
ライフィセットエドナ ! ? 今エドナって言った ! ?
ミリーナえ……、ええ。
ライフィセットそう……だったんだ……。
エドナワタシのことを知っているのね ?
ライフィセットうん。アイゼンから……。あと手紙でも……。
エドナ……そう。わかったわ。とにかくまずベルベットのところまで案内なさい。
ライフィセットうん。ついてきて。

キャラクター4話【10-4 クロガネの森 出口】
ベルベット…………まだかしら。
ライフィセットベルベット。ただいま。
ベルベットフィー、遅いわよ。何かあったのかもって心配したじゃ――
イクスど、どうも。
ミリーナ初めまして。
ベルベット……誰 ?
ライフィセットイクスとミリーナだよ。街で悪い商人に襲われそうになったところをイクスたちが助けてくれたんだ。
ベルベットそうだったのね。どうりで遅いと思った。
ライフィセットちょっと調べたいことがあったんだ。すぐ帰るつもりだったんだけど心配させちゃってごめん。
ベルベット謝ることはないわよ。……まぁ、とにかく無事ならよかったわ。
ベルベットイクスとミリーナって言ったわね。ライフィセットを助けてくれたことには感謝する。
ベルベットけど……他に何か用があるんでしょ ?ただライフィセットをここまで送って来たようには思えない。
イクスはい。ライフィセットには説明しましたがこの世界についてベルベットさんにも話さなきゃいけないことがあるんです。
ベルベット……この世界。
エドナワタシもあなたたちに話があるわ。
ベルベット……あんたは ?
ライフィセットイクスたちと一緒にいたんだ。名前は……エドナ。
ベルベットエドナって……。まさかアイゼンの妹……。
エドナお兄ちゃんの手紙に書かれていたベルベットとライフィセットっていうのはやっぱり、あなたたちなのね。
エドナまさかこんな形で会うことになるとは……。
エドナそれにしても……。あなた……その穢れ……。
ベルベット仕方ないでしょ。喰魔になってから穢れごと業魔を喰らっていたんだから……。
ミリーナ喰魔 ?
エドナ特殊な業魔よ。珍しい憑魔みたいなものと思っておきなさい。
イクス憑魔……。スレイの話だと穢れに侵された存在だったよな……。
イクス……待ってくれ。それってつまりベルベットさんからも穢れが……。
ベルベットあたしはもう、穢れを抑えられないのよ……。
ミリーナ穢れって……天族にとっては毒みたいなものなのよね ?エドナ様、大丈夫なの ?
エドナええ。苦しくもなんともないわ。やっぱり、この世界の穢れは……元の世界の穢れとは違うみたいね。
エドナ増加もしなければ人も天族も蝕むことはないわ。
ミリーナ穢れもエンコードされていたのね。よかった……。
ライフィセットそうだね。聖隷が穢れに侵されたら……。
エドナ……同感ね。
ベルベット……穢れの性質が違うことも含め薄々感づいていたけどやっぱりここは別の世界のようね。
イクスはい。今からお話しします。
エドナワタシのことも話すわ。ありがたく聞きなさい。

キャラクター5話【10-5 クロガネの森 奥地】
ベルベット……この世界のことや具現化あたしが鏡映点っていうのはわかったわ。
エドナワタシとあなたたちが具現化された時間差についてはどうかしら ?
ベルベットそっちも理解したわよ。あんたが同じ世界の遠い未来から具現化されたなんて、また途方もない話ね。
エドナそれはこっちの台詞よ。
ベルベットあと言っておくことがあるわ。互いの時代についてや知っている歴史については――
エドナ話すつもりはない。お互いにこの話はしない。言うまでもないわね。
ベルベット……助かるわ。あたしはまだ……成し遂げていないことがあるから……。
ベルベットあんたの口からあたしがどうなったのかを知るなんてまっぴらごめんよ。
エドナ……そうね。
イクスやっぱり、ベルベットさんにも使命があったんですね……。すいません、巻き込んでしまって……。
ベルベット……使命なんて大層なものじゃないわ。あんたたちと違ってね。
ミリーナけど、とても大切なことだったんでしょう ?
ベルベット……ええ。
ベルベットけど、この世界にあいつはいない。あいつが存在しない世界……。
ベルベット復讐を果たしたら今みたいな気持ちになるのかもね……。
ライフィセットベルベット、相談があるんだけど。
ベルベット……フィー ? どうかしたの ?
ライフィセットよければ、あの村で一緒に暮らさない ?
ライフィセットそうしたらベルベットはやらなくちゃいけないことがいっぱいだよ。
ライフィセット買い物をしたり、狩りをしたり裁縫をしたり、掃除をしたり料理をしたり、洗濯したり。
ライフィセットこれからベルベットはもっともっと忙しくなるんだ。
ベルベット……。
ライフィセットどうかな ?
ベルベット……あの村で。
ミリーナあの村っていうのは ?
ライフィセットベルベットの故郷にそっくりな村がこの世界にもあるんだ。
ベルベットあたしたちが具現化された場所よ。本当に……そっくりだったわね……。昔のアバルの村に……。
イクス……故郷か。そこで暮らしたいならそうした方がいいと思います。
ベルベット……どうして ?
ミリーナ私たちの故郷は……もうなくなっちゃったから。
ベルベット……あんたたちも。
イクス本物ではないかもしれない……。けど故郷に戻れるものなら戻りたいって気持ちはわかりますから。
ライフィセットベルベット。イクスたちもいいって言ってるんだよ。
ベルベット……戻っていいのかしら。
ミリーナ迷っているならもう一度行ってから決めてみてもいいんじゃないかしら。
エドナくすぶっているより……ずっとマシよ。
イクスそれにベルベットさんの故郷も俺たち見てみたいですし。
ライフィセットベルベットの故郷はすっごくいいところだよ !自然が豊かでとっても落ち着くんだ !
ベルベットもう……なんでフィーが得意げなのよ。
ベルベットけど、もう一度行ってみるのも悪くはないかもしれないわね。
ミリーナそれじゃあ決定ね !
イクススレイとミクリオとも合流してみんなで向かおうか。
カーリャついでに光魔の鏡も探せますからね。
お腹の音ぐ~~
ライフィセットあっ……。
ベルベットふふっ……フィーったら。その前に腹ごしらえが必要のようね。
ライフィセットうん。
ベルベットそれじゃあウリボアを狩ってくるわ。なんだか湿っぽい話しちゃったから気分転換もかねてね。
イクス俺も手伝いますよ。
ベルベットあたし一人で十分なんだけど……。
イクス猟師の仲間に狩りのコツを教わったんです。ちょっとは役に立てると思うので。
ミリーナうん。イクスなら大丈夫よ。なにかあっても私が守ってあげるからね。
イクスミリーナはもう……。俺は子供じゃないんだぞ。
ライフィセットイクス。わかるよ。どうして女の人って男心がわからないんだろうね。
イクスああ。まったくだ。
二人なんでこっちを見るの ?
エドナボーヤたちは放っておきなさい。駄々こねてるだけよ。
ライフィセットむっ……そんなんじゃないのに。
ベルベットふっ……それじゃあ頼りになる男のフィーには荷物の整理をお願いしようかしら。
ライフィセットう、うん ! 出発に備えてまとめておくね !
イクスベルベットさん。それで、俺たちはついていってもいいんですか ?
ベルベット……好きにすれば。
イクスはい ! それじゃあ好きにします !
ミリーナイクス、頑張ろうね。それにエドナ様も。
エドナワタシも行くのは確定なのね……。
ライフィセットそれじゃあ、いってらっしゃい。
ベルベットええ。いってきます。

キャラクター6話【10-6 商人が集う街】
スレイ鏡士を狙っている謎の人物……。噂は本当だったみたいだな。
ミクリオ聞き込みをした限りだとその人物は黒髪で長髪の女性……。しかもだいぶ殺気立っていたようだね。
スレイそして捜していたのは銀髪で男の鏡士……。狙いはイクスとみて間違いないな。
ミクリオ実際、イクスと外見的特徴が似ている人が襲われていたという情報もあった。イクスの命を狙っている可能性が高い。
スレイもうちょっと情報があれば対策も立てられそうなんだけどな……。
ミクリオスレイ。深追いは禁物だって言っただろ。まずはこのことをイクスたちに伝えるのが先決だ。
スレイそうだな。調査はこれぐらいにして合流予定の場所に行こうか。
ミクリオああ。まずは街を出て――ッ ! !
スレイなんだ……この感じは…… ! ?
ミクリオち、近づいて……きている ! ?
? ? ?……鏡士の居場所を知っているな ?
ミクリオこれは……穢れ、なのか…… ?
スレイミクリオ ! ? 大丈夫か ! ?
ミクリオああ、この世界の穢れは影響がないようだ。だが……どうしてあの女性は……こんなにも穢れを……。
スレイあなたは……いったい…… ?
? ? ?鏡士はどこだ ! ?はやく質問に答えろっ ! !
スレイ……ああ。居場所は知ってるよ。
ミクリオスレイ !
スレイ大丈夫。オレに任せて。
? ? ?どこにいる。
スレイあなたには教えられない。
? ? ?なんだと…… ?
スレイイクスの命を狙っているのはあなたなんだよね ?
? ? ?……そうか。あたしのことを嗅ぎ回っていたのはあんたたちか……。
スレイどうしてイクスの命を狙うの ?
? ? ?黙れ。いいからそいつの居場所を吐け。
スレイそれはできない。理由はわからないけどいまオレがイクスの居場所を言ったらきっとあなたはイクスを殺そうとするだろ。
スレイあなたにも事情があるんだと思う。けどその事情は……本当にイクスを殺さないと解決できないのか ?
スレイ他にもまだ解決の道があるかもしれない。オレも一緒に探すからまずは理由を教えてほしい。
? ? ?そんな道はない !
スレイえっ……。
? ? ?あたしは鏡士を殺す ! !そして必ず……アルトリウスを殺すんだ ! !
? ? ?お前が居場所を吐かないならあたしがこの手で吐かせるまでだ ! !
ミクリオな、なんだその腕は ! ?
スレイ待ってくれ ! ここは街中だ !無関係な人を巻き込むことになる !
? ? ?だからどうした ! !
スレイクッ―― !
ミクリオスレイ ! 集中しろ !
スレイけど……街の人たちが !
ミクリオ応戦して引きつけつつ街の外に出ていったん態勢を立て直そう。そうすれば街の人も巻き込まずにすむ。
スレイああ。わかった !

キャラクター7話【10-6 商人が集う街】
? ? ?チッ……逃したか。
? ? ?だが手がかりは掴めた……。待っていろ……鏡士……。
ミクリオはぁ……はぁ……。い、行ったみたいだ……。
スレイあの穢れ……。そして禍々しい左腕……。いったいなんなんだ……。
スレイオレの力では……浄化が追いつかなかった……。
ミクリオスレイ。僕らはあくまで調査が目的だったのを忘れたのか。
ミクリオそれに、一人で背負い込もうとするな。
スレイ……ああ。そうだったな。いまはうつむいている場合じゃない。
スレイありがとう。ミクリオ。
ミクリオ礼なんていらないよ。それより、一刻も早くイクスたちにこのことを伝えるべきじゃないか ?
スレイそうだな。急ごう。

キャラクター8話【10-7 ベンウィックの森】
ベルベット一口サイズにしたウリボアの肉をホウレンソウや他の食材と軽く炒めてっと。これでキッシュの下ごしらえはばっちりね。
ミリーナベルベットは料理が得意なのね。とっても手際がよくて尊敬しちゃうわ。
ベルベット昔はよく作ってたから……。
ミリーナそうだったのね。ずいぶんと慣れた手つきだから料理の名人なのかと思っちゃった。
ベルベットあたしなんてまだまだよ……。
ミリーナそんなことないわ。ベルベットの料理の技は完璧よ。
ベルベットあたしの技じゃないけどね……。これは教わったものだから。
ミリーナそれでもベルベットはすごいわよ !強くて綺麗で格好良くてしかも家庭的 !なんだか憧れちゃうわ !
ベルベットな、何 ? 褒めたって何もでないわよ。
ミリーナちょっと照れてるベルベットも可愛い…… !
ベルベットなんなのもう……。
ベルベットけど、あんただって料理はできるみたいじゃない。しれっと前菜は作り終わってるし。
ミリーナベルベットに比べたら全然よ。よければその料理の技教わりたいくらいだもの。
ベルベット教わる……ね……。
ミリーナどうかしたの ?
ベルベット昔はあたしも教わる側だったから……。こうして台所に並んではセリカ姉さんに料理の技を教わっていたのよ……。
ミリーナベルベットはお姉さんに家事を習ったのね。
ベルベット……とっても厳しかったけどね。だけど、おかげで血肉になってる。
ベルベットだからあたしも厳しいわよ。
ミリーナもしかして教えてくれるの ! ?
ベルベット……気が向いたときにはね。
ミリーナやった ! ありがとう !ベルベットって優しいのね !
ベルベットちょっと。抱きつかないでよ。
エドナ……ミリーナ。目を離しているとシフォンケーキが黒焦げになるわよ。
ミリーナあっ……そろそろ焼き上がる頃ね。エドナ様、教えてくれてありがとう。
エドナそれじゃあワタシは心置きなくドラゴ鍋風スープの最終仕上げに取りかかるとするわ。
ミリーナエドナ様のスープかぁ。私、すごく楽しみ。
エドナヤバい美味しさだから覚悟しておきなさい。
ベルベット……うん ? 何この骨 ?
ベルベットちょっと、エドナ。待ちなさい。
ライフィセットなんだかあっちは盛り上がってるみたいだね。
イクスえっ…… ? あぁ……そうなのか。本に夢中で気づかなかったよ。
イクス手伝いに行った方がいいかな。でもミリーナに追い出されるだろうしな……。
ライフィセットねぇ、それってどんな本なの ?
イクス魔鏡術についての本だよ。これは魔鏡術の中でも想像の力について書かれているんだ。
ライフィセット想像の力 ?
イクスたとえばこのリンゴに……想像の力の魔鏡術を使えば……。
イクス――。
ライフィセットリンゴが増えた !
イクス実体のない幻だけどね。それにミリーナからしたらこんなの基礎中の基礎だろうし。
ライフィセットけどすごいよ !想像の力の魔鏡術はこんなこともできるんだね !
ライフィセットあれ ? もしかして魔鏡術には他の種類の力があるの ?
イクスそうだよ。そして鏡士はその家系ごとに得意とする力が違うんだ。
イクスたとえば俺の家系は無から有を具現する【創造の力】。
イクスミリーナの家系は有から有を具現する想像の力が得意な魔鏡術なんだよ。
ライフィセットそうなんだ。聖隷と鏡士聖隷術と魔鏡術は似てるところがあるね。
ライフィセットけど、どうして【想像の力】の本を読んでたの ?イクスは得意なのは【創造の力】なんだよね。
イクス鏡士として上を目指そうと思ったからかな。苦手な【想像の力】とも向き合うことでもっと力がつくと思うんだ。
ライフィセットそうなんだ。進むべき道が決まったんだね。
イクスああ。鏡士の最高位ビクエの称号を持つ者はすべての魔鏡術の力を自在に操ると言われているんだ。
イクス俺も少しでも近づけたらなって。
ライフィセットそういう自分の意思すごく大切だと思うよ。
イクス力の暴走も考えられるからまだ実戦では使えないんだけどね。
イクスあっ……それと、このことミリーナには秘密にしてくれないか ?……色々、変に心配させたくないから。
ライフィセットうん。わかった。男同士の約束だ。
ベルベット何話してるの ?
ライフィセットなんでもないよ。
イクスあっ……えっと。気にしないで下さい。
ベルベット……そう。まぁいいけど。もうすぐ料理ができるからテーブル片付けておいて。
ライフィセットわかったよ。はやく食べたいな。イクス、行こうか。
イクスああ。そうだな。

キャラクター9話【10-8 のどかな村】
ベルベットそれじゃあ……。
一同いただきます !
ライフィセットう~んっ ! おいしい ! !やっぱりベルベットのキッシュは最高だよ !
ベルベットクラウ家特製キッシュだからね。これなら味見どころか目をつぶってでも作れるわ。
イクスミリーナのサラダも美味しいな。このドレッシング好きなんだよ。
ミリーナふふっ……知ってるわよ。
エドナあなたたち。いいからワタシのドラゴ鍋風スープをはやく食べなさい。
ベルベットいや……まずそのスープの中身を教えなさいよ。
ライフィセットどうしたの ?スープも美味しいよ ?
ベルベットフィー ! 食べたの ! ?
エドナふふふっ……。
ベルベットもういいわ。気にしないことにする。
ミリーナベルベット。ウリボアのミートボールもよかったら食べてね。
イクスミリーナが作ったのか ?
ミリーナええ。ベルベットからレシピを教わったの。だから一番初めにベルベットの感想が欲しくて。
ベルベット…………。
ライフィセットベルベット……。
ミリーナどうかしたの ?
イクスそういえば、まだ何も手をつけてないけど。もしかして体調が悪いとかですか ?
ベルベット違うのよ……。いまのあたしが……この料理を食べてもきっと……何も――
エドナえいっ。
ベルベット――はむっ ! ?
エドナいいから食べなさい。食事は全員でとらないと。
ベルベット…………。
ミリーナどうかな ? ちょっと甘過ぎたかもって思ったんだけど。
ベルベット…………うっ……うそ。
ミリーナベルベット ! ? どうしたの ! ?そんなに口に合わなかった ! ?
ベルベット……いいえ。そんな……こと……。
ベルベットおいしいわ……。ちょっと……甘いけど。
ミリーナよかったわ。けどやっぱり甘いわよね。次作るときは気をつけなきゃ――
ライフィセットベルベット ! ? 味がわかるの ! ?
ベルベット…………。
イクス味…… ? どういうことだ ?
ベルベット……味覚が……味覚が戻ってるの。
ミリーナベルベット、味がわからなかったの ! ?
ベルベット……どうして。
ライフィセットベルベット。
ベルベット……フィー。
ライフィセットあの村に戻ろう。
ベルベット……。
ライフィセット僕はあの村で一緒に暮らしたい。ベルベットはどうなの ?
ベルベットあたしは……。
ライフィセット決めよう。この世界での生き方を。
ベルベットあたしは……フィーと一緒に、あの村で――
カーリャうわわっ ! ! 鐘の音 ! ? 何事ですか ! ?
エドナこの先にある街で何かあったようね。
イクスごめん。ちょっと外の様子を見てくる。
ミリーナ……大丈夫かしら。
ベルベット…………。
ライフィセット何があったんだろう。
ベルベット嫌な予感がするわ。
イクスみんな ! 街で火事があったみたいだ !
ベルベット火事ですって ?
エドナ出火の原因は何かしらね。
イクス誰かが火を放ったらしい……。俺は街を見てくるよ。
ベルベットあたしも行くわ。
ライフィセットベルベット……待って。さっきの答え……。
ベルベット安心して。ちゃんと後で答えるから。
ライフィセット……わかった。
ミリーナ行きましょう。

キャラクター10話【10-9 のどかな村】
イクスこのあたりは……もう大丈夫そうだな。消火も終わってるみたいだ。
スレイイクス !
イクススレイ ! ミクリオ !どうしてここに ! ?
ミクリオこれでも水の天族だからね。消火活動の手伝いさ。
スレイこのあたりの街の人は全員避難した。安心してくれ。
ミクリオエドナたちは一緒じゃないのか ?
イクスミリーナ、ライフィセット、エドナ様はけが人を治療しているところだ。全員無事だよ。
スレイそれならよかった。イクスも襲われていないか心配で――
ミクリオスレイ ! この……感じは…… ! ?あの時の……。
スレイ……ああ。やっぱり来たか。
イクス……二人とも ?
ベルベットイクス。住宅街を見てきたわ。逃げ遅れた人はいないみたい。
イクスあっ、ベルベットさん。ありがとうございます。こっちも避難は――
スレイイクス ! 下がって ! !
イクスえっ ?
ベルベットあんたたち……どういうつもり ?
ミクリオそれはこちらの台詞だ。どうしてイクスの命を狙う ?なぜ街に火を放った ?
ベルベットあたしが ?
イクス二人とも、待ってくれ。ベルベットさんがそんなことする筈ない。
スレイ……イクス。けど、オレたちは実際に……。
ミクリオああ。人違いである筈がない。
スレイ今度こそ、浄化してみせる !それが導師であるオレの使命だから !
ベルベット……導師だと ! ?
イクスベルベットさん ! ?
ベルベットだいたい理解したわ……。穢れを感じているってことはあんたたち対魔士と使役聖隷ね。
ベルベットしかも導師を名乗るなんて……アルトリウスの狂信者といったところかしら。
ベルベット災禍の顕主を退治に来たってことね……。
スレイなん……だって……。
ミクリオあなたが災禍の顕主だって言うのか ?
ベルベットそのとおりよ。この世界もあんたたちの好きにはさせない。立ちふさがるなら容赦しないわ !
イクスちょ、ちょっと !みんな落ち着いてくれ !
ベルベット下がってないと怪我するわよ !
ミクリオスレイ ! くるぞ ! !
スレイくっ……あなたが災禍の顕主ならオレは負けるわけにはいかない…… !
ベルベット望むところだ ! !
エドナ――はいはい、そこまでよ !
二人エドナ ! ?
エドナまったく。最悪な出会い方してくれたものね。
ライフィセットベルベット ! 大丈夫 ! ?
ベルベット……ええ。
ミリーナイクス、いったい何があったの ?
イクス……それが俺にもさっぱりで。
エドナベルベット。この二人がさっき話したスレイとミボよ。
ベルベットこいつらが……。
エドナスレイも熱くなりすぎよ。ミボはただのバカなんだろうけど。
ミクリオ……どうして僕だけ。
イクススレイ、ミクリオ。聞いてくれ。俺たちはずっとベルベットさんと一緒にいたんだ。
イクスベルベットさんが……少なくとも街に火を放ったなんてことは絶対にありえない。
エドナそうね、それは確かよ。
スレイ……じゃあオレたちが見たのは……。
ミクリオ僕らはこの目で実際に目撃した。彼女が街の倉庫に火を放ったのを。
? ? ?それは……こっちのあたしよ。
ベルベットなっ…… ! あんた何者よ ! ?
? ? ?……あんたが未来のあたしか。まぁ、たとえ自分であろうと邪魔するなら殺すだけだ。
ベルベット未来 ?
ライフィセットつまりあのベルベットは過去のベルベットってこと ?
イクス……そんなこと、ありえるのか。
? ? ?あんたが鏡士イクス・ネーヴェ……。ようやく見つけた……。騒ぎを起こして正解だったわ。
? ? ?よくも……よくもこんな世界にあたしを具現化してくれたな ! ?こんな牢獄のような世界に ! !
イクス牢獄…… ? この世界が…… ?
? ? ?そうよ ! 牢獄よ ! !地下の特別牢と何も変わらないわ ! !
? ? ?あたしの大切なものを奪った……あの憎きアルトリウスに復讐したくてもすることができない……。
? ? ?よくも……あたしの生きる意味を奪ってくれたな ! !
イクス……ベルベットさん。そう、だったのか…… ?
ベルベット……そうかもね。
ライフィセットベルベット……。
ミリーナどんな理由があろうと誰であろうとイクスは殺させない。それだけは許さないわ。
イクス……ミリーナ ?
? ? ?こんな世界に用はない !必ずお前を殺して……あたしは元の世界に戻るんだ !
イクス元の世界に戻る ?それは俺を殺したところで――
? ? ?黙れぇっ ! ! ! !

キャラクター11話【10-9 のどかな村】
? ? ?その力……。お前は何者だ ! ?
スレイオレは導師、スレイ。この世界の災厄を鎮めたいって思ってる。
ベルベット世界の災厄、ね……。
? ? ?ファントムの言っていた鏡士の力とはまた違う力か……。
イクスファントムだって ! ?
? ? ?鏡士。あたしは必ずあんたを殺す……。そして左手首の魔鏡も奪う。……覚えていろ。
スレイ待ってくれ !一度ちゃんと話を―― ! !
ベルベット無駄よ。やめておきなさい。それに……あたしはバカじゃない。深追いすれば痛い目見るわよ。
スレイ……わかったよ。
イクス本当に……あのベルベットさんは過去のベルベットさんなのか……。
ミリーナ外見は同じだけど……ベルベットとはなんだか違うように感じられて私……信じられないわ……。
ベルベットあいつは過去のあたし。間違いないわ。フィーもそう思うでしょ ?
ライフィセット……うん。きっと……真実を知ったときの……。
ベルベットしかも、あれはもう手遅れね。完全に【絶望】と【憎悪】に支配されているわ。
ミクリオ街中でスレイと僕に襲いかかり街を放火し、イクスを殺そうとしているのは過去のあなただったっていうのか……。
ベルベットあたしならそれぐらいやる。
エドナけど、どうして過去のあなたがいるわけ ?ワタシたちの過去の世界が具現化されたと思ったら、さらに過去の存在が現れるなんて。
スレイ特殊な光魔や鏡映点みたいなものなのか ?
カーリャたぶん違いますよ。カーリャ、全然ぶるぶるきませんでしたし。
イクスいまわかっていることを整理すると……。まず、この大陸は俺たちではなく何者かによって具現化された。
イクスそしてあのベルベットさんは……ファントムの名を口にした……。
ミリーナファントムは具現化に関する研究もおこなっていたわよね。
イクスああ。その研究はすでに鏡魔という鏡映点を元にした意思を持たない魔物を具現化するまでに至っている。
ライフィセットそのファントムってやつが関係してる可能性が高いんだね ?
イクス俺の命、そしてこの魔鏡を狙っていることも含めてそう考えるのが妥当だな。
イクスけど……どういうことなんだ……。俺を殺しても元の世界に戻るのは不可能な筈なのに……。
ミリーナ元の世界に戻るということはこの世界から元の世界に影響を及ぼすということだものね……。
ミリーナイクスを殺しても元の世界に影響なんて及ぼせないのに……。
イクスファントムが何か研究してるのかもしれないけど……。具現化の仕組み的にそんなことはできない筈……。
イクスけど、もし本当にそれができるならリフィル先生が言っていたように元の世界に悪影響がでることも…… ?
ベルベット幻のニンジンを吊されて利用されてるようにも思えるけどね。
ベルベットとにかく、今は目の前のことを片付けるわよ。やるべきことは――
カーリャ……ぷるっ……ぷるっ ! !
ミリーナカーリャ ? どうしたの ?
カーリャこの先に……たぶん光魔の鏡があります。
ミクリオ光魔の鏡か……。そこから光魔が発生するんだったな。
ベルベット光魔は鏡映点を襲う習性があるんでしょ ?溢れかえった光魔に群がられるなんてごめん被りたいわ。
イクス放置しておくわけにはいかないな。
ライフィセットだけど、この先って……。ベルベットの故郷の村じゃないか……。
ベルベット……向かうわよ。
ミリーナでも、過去のベルベットはどうしたら――
ベルベット復讐鬼。
ミリーナえっ ?
ベルベット紛らわしいから。あいつのことは今後、復讐鬼と呼ぶ。
ミリーナけど……過去のベルベットなんでしょ。そんな呼び方は……。
ベルベット復讐鬼よ。いいわね。
ミリーナ……わかったわ。
ミリーナえっと……その……復讐鬼はどうするの ?こっちも無視してはおけないわよね ?
イクス……確かにそうだな。
ベルベット放っておいても追っかけてくる筈よ。だからまずは急ぎ、光魔の鏡を封印する。そしてその後に――
ベルベット復讐鬼を殺す。
スレイ……殺すだって ! ?なんでそうなるんだ ! ?
ベルベットこっちにまで被害が出そうなんだから当然でしょ。
ベルベットそれに、【個】よりも【全】。【感情】よりも【理】。導師の思想にも合ってると思うけど。
スレイ……導師の思想 ?
ベルベット……早く行くわよ。
ライフィセットベルベット ! 待ってよ ! !
スレイ……ベルベット。
ミクリオベルベットは導師についてどう思っているんだろうな……。
エドナ時代によっても色々あるのよ。
イクス導師と災禍の顕主……。スレイたちの世界では両者は互いに敵対する存在……なんだよな。
スレイあぁ。けどベルベットとはそういう関係になりたくないな……。
エドナスレイらしくしていればどうとでもなる筈よ。
スレイオレらしく……。
エドナさぁ。光魔の鏡を封印しに向かうわよ。

キャラクター12話【10-11 ニコ街道 2】
スレイベルベット。ちょっといいかな ?
ベルベット…………。
スレイあの……話したいことがあるんだけど……。
ベルベットあたしはない。しつこいわね。
スレイご、ごめん。
ベルベット…………。
ミクリオ……スレイ。
ライフィセットスレイ。あの……ベルベットも悪気があるわけじゃないんだ……。だから……その……。
スレイ大丈夫だよ。導師が嫌いだって言う人にも出会ってきたからさ。
ベルベットフィー ! 何してるの。
ライフィセット……ベルベット。聞いて。スレイは……違うと思うよ……。
ベルベット何が違うっていうの。
ライフィセット……聖隷の力を利用しようとする商人から真っ先に僕を守ってくれたのはスレイだったんだ。
ライフィセットそれに……人と天族の共存する世界スレイはそれが夢だって……言っていたから……。
スレイああ。それがオレの夢でだからオレは導師になったんだ。
ベルベット……。
ライフィセットだから……話ぐらいは……。
ベルベット……わかったわよ。で、話って何 ?
スレイさっきは……剣を向けてごめん。
ベルベット導師が災禍の顕主に剣を向ける。何も間違ってないじゃない。
スレイそうじゃない。オレは……ベルベットに剣を向けたことを謝りたかったんだ……。
ベルベット……あたしに ?
スレイごめん……。
ミクリオ僕も……すまなかった……。
ベルベット…………いいわよ。気にしてないから。
ライフィセットベルベット。スレイってちょっと変わった導師だね。
ベルベットそうね。
エドナうちの導師は相当変人だから覚悟なさい。油断してると遺跡オタクにされるわよ。
ベルベット……遺跡オタク ?
スレイちょ、ちょっと……エドナ。ベルベットとライフィセットに変な奴って思われちゃうだろ。
エドナけど、遺跡オタクは事実じゃない。
ミクリオ待ってくれ。遺跡オタクは変じゃない。
スレイアリーシャだけじゃなくルーティやリフィル先生も遺跡オタクだもんな。
エドナいや、ルーティは違うでしょ。
ベルベットふっ……確かに相当変人みたいね。
イクスみんな。お待たせ。光魔の鏡がある場所がわかったよ。
ベルベットじゃあ、そこに向かうわよ。
スレイだな !
イクス…… ?
ミリーナふふっ……よかった。
ミクリオライフィセット。ありがとう。
ライフィセット気にしないで。
エドナどうしてワタシに対しての感謝がないのかしら。
スレイそうだ !エドナもありがとう。
エドナまったく。手のかかる子たちね。
ベルベット光魔の鏡があるのはあたしの故郷か……。
イクス……光魔に襲われてないといいんですが。
ベルベット心配してもしょうがないわ。光魔の主ってのも控えてるんでしょ。油断せずに行くわよ。

キャラクター13話【10-14 クローディン山岳】
イクス光魔の鏡は封印完了。村も無事なようでよかったよ。
ベルベット業魔対策のバリケードがこんな形で役に立つとはね……。
ミリーナここがベルベットの故郷……。とってもいい場所じゃない。
スレイそれに村の人もいい人ばっかりだった。おさげの女の人が親切に村を案内してくれたんだよ。
ミクリオ村にいた二匹の犬もおとなしかった。
エドナ犬の方がビビってたわよね。もっと吠えまくってくれたらよかったのに。
エドナまぁ、ミボのビビる姿が見られなかった点を除けば特に不満はないけれど。
ライフィセット本当に……いい村だよ……。
ベルベットまったく。何浸ってるのよ。復讐鬼の始末がまだ残ってるでしょ。
イクスそのことなんだけど。俺たちだけで何とかしようと思う。
ベルベット……どういうこと ?
ミリーナそろそろ決めるときよ。
ライフィセットベルベット。ここで一緒に暮らそうよ。
ベルベット……まだ返事していなかったわね。
ライフィセットベルベットはどうしたいの ?
ベルベットそうね……。戻ってきて思ったわ。それも悪くないかもって。
ライフィセットそれじゃあ答えは ! ?
ベルベットできないわ。
ライフィセットえっ……。
ベルベットごめんね。フィー。
ライフィセットどうして ! ?
ベルベット……もうすぐわかるわ。
スレイっ ! この穢れは ! ?
ベルベット復讐鬼がこっちに向かってる。
ライフィセットそれもイクスたちが何とかしてくれるって言ってるんだよ !
イクスああ。狙いは俺だ。すぐに村をでる。
ベルベットダメよ。この村を離れたらさっきの街の二の舞になるわ。
スレイけどそれじゃあこの村で戦うことになる。村の人たちを巻き込んでしまうじゃないか。
ミクリオ今から事情を説明して全員を避難させる時間もないぞ。
ベルベット……説明なんて必要ないわ。
スレイえっ……。
村人あの女……隣街に火を放った放火魔の特徴にそっくりじゃないか……。
村人き、きっと別人よ……。
村人けど……万が一ってことも……。
エドナあら。有名人じゃない。
ベルベットまぁね。
ライフィセットけどベルベットはやっていない !
ベルベットそうよ。復讐鬼がやった。過去のあたしがやったのよ。
ライフィセットそれは……けど……。
ベルベットあんたたちは村の人たちの避難誘導を任せたわ。
イクスベルベットさん…… ?
ベルベット導師 ! わかったわね ! ?
スレイあ、ああ……。わかった。けど……どうするつもりなの ?
ベルベット決まってるでしょ……。
ライフィセットまさか……。
ライフィセットベルベット ! 待って !
ベルベット…………。
村人な、なんだあの左腕は ! ?
村人や、やっぱり……あいつが放火魔だ !
ベルベット今からこの村はあたしのものだ ! !逆らう奴が一人でもいれば村を燃やして全員殺す ! !
村人な、なんでそんなことを…… !
ベルベット黙れ ! !
村人――うわっ !み、みんな逃げろ ! !
ベルベット全員出て行け ! !あたしの前から消え失せろ !
ベルベット我が名は災禍 !災禍の顕主ベルベットだ ! !
ライフィセット……ベルベット。なんで……どうしてだよ……。
ライフィセットせっかく戻れると思ったのに ! !
エドナ……決まってるでしょ。この村を、守るためよ。
ライフィセットそんなことわかってるよ ! !
エドナだったら今すべきことを果たしなさい !
ライフィセットそんなこと……わかってるってば。
ベルベット導師 !
スレイ……わかった。
ミクリオ…………スレイ。
スレイみなさん ! こっちに避難を ! !オレについてきて !
ミリーナイクス……。私たちも……。
イクスああ……。まずは村人の避難誘導。安全のため村周辺の光魔の排除だな。
スレイイクス……。こんなことになっちゃったけどオレはまだ……復讐鬼を……いや、過去のベルベットを……。
イクスああ。わかってる。俺がちゃんとうまくできるか……まだわからないけど……。
イクスやってみるよ。作戦通り。

キャラクター14話【10-15 故郷によく似た村】
イクス……これで準備は完了だな。
ベルベット…………ここにいたのね。
イクスベルベットさん……。
ベルベットどうかした ?
イクス本当に……あれでよかったのかと思って……。
ベルベット……いいのよ。
イクスけど……。
ベルベットそうだ。あんたに言いたいことがあったの。ちょっと耳貸して。
イクスなんですか ?
ベルベットいいから。一度しか言わないわよ。聞き逃したりしないように。
イクスはい。わかりました。
ベルベット死ね。
イクスうぐっ……。
復讐鬼はっ……あははは…… !ほんっとうにバカな奴ね ! !まんまと引っかかったわ ! !
復讐鬼ざまあみろ ! !あたしの生きがいを奪ったんだ ! !これは当然の報いだ ! !
イクス…………。
復讐鬼……本当にバカな奴。
復讐鬼けどこれであたしは戻れるんだ。この魔鏡があれば――
復讐鬼何 ! ?
スレイそれは幻だよ。
復讐鬼……お前たち。
イクスはぁ……はぁ……。想像の力の魔鏡術だ……。
イクスなんとか……力の暴走も……回避できた……。
スレイ聞いて。あなたは元の世界に戻ることはできないんだ。
復讐鬼…………。
スレイもう……わかったと思う。だから終わりにしよう。そしてこの世界での生き方を見つけようよ。
スレイオレがちゃんと手伝うから。
イクス俺も……できることがあれば……。
復讐鬼…………そうか。あんたたち……。
復讐鬼よくも……よくも騙したな ! !
スレイ……。
復讐鬼殺されたと思ったラフィは……自分の意思で死んだとか……本当は元の世界に戻れないだとか……。
復讐鬼殺したと思ったお前はただの幻だとか……。
復讐鬼ふざけるなっ ! ! 何が幻だっ ! !どいつもこいつも……どれだけあたしを踏みにじれば気が済むんだっ ! !
スレイそうじゃ、ないよ……。
ベルベットだから言ったでしょ。もう説得なんて無理な状態だって。殺すしかないのよ。
スレイ…………ベルベット。
復讐鬼なにが未来のあたしだ ! おまえも幻だ ! !あんたがあたしの筈がない ! !
ベルベットいいえ。あたしは未来のあんたよ。だから……あんたの苦しみだってわかる。
復讐鬼嘘をつくな ! ! 生きる意味を失ったこの痛みがどれほどのものかお前は何もわかっていないっ ! !
ベルベット……痛みなら感じている。【絶望】も【憎悪】もした。
ベルベットけれどあたしは全てを喰らい前に進むと心に決めた !
ベルベットたとえ過去の自分であってもその歩みの邪魔はさせない !
復讐鬼ライフィセット !あんたはあたしにつきなさい !そいつこそが幻なのよ ! !
ライフィセット……。
復讐鬼聞こえないの ! ? ライフィセット ! !
ベルベットフィー、選んでいいわよ。どっちも……あたしなんだから。
復讐鬼あたしにつくのよ ! !
ライフィセット……僕には僕の意思がある。それを認めてくれるベルベットに……僕は災禍の顕主についていく。
ベルベット……フィー。
復讐鬼この裏切り者っ ! !
ベルベットフィー、下がってなさい。今度はあんたの力は借りない。
ベルベットあたし自身がこの手で自分の過去に決着をつける。
ライフィセット……わかった。
スレイ悪いけどオレはまだ諦められない。だから戦わせてもらうよ。
ベルベット勝手にしなさい。あんたの力は役に立つ。利用させてもらうだけよ。
ミクリオスレイがいくなら。
エドナワタシたちも混ぜてもらうわ。
イクスミリーナ。
ミリーナイクスは殺させない。
ベルベットさぁ。かかってきなさい復讐鬼。災禍の顕主が相手になるわ。

キャラクター15話【10-15 故郷によく似た村】
イクスくっ……強い……。
スレイはぁ……はぁ……。やっぱり……浄化しきれない……。
スレイけど……オレはまだ諦めたくないんだっ ! !
ベルベット邪魔よ ! !
スレイ――くっ !
ミクリオスレイ !
復讐鬼ぐっ……。
ベルベット……捕まえた。
復讐鬼くそっ……。おまえ、なんかに……。
ベルベットもう……大丈夫だから。ちゃんとあたしはわかってるわ。
復讐鬼……なんだと。
ベルベットあんたをなかったことにはしない。あたしはすべてを喰らうから。
ベルベットだから今は……あたしの中で眠っていて。
復讐鬼…………。
イクス金色の砂が……ベルベットさんの中に……。
エドナあれはなんなの ?
ミリーナ何、かしらね……。
ベルベットさて。これで諸々片がついたわね。
スレイベルベット……ごめん。オレ……結局……。
ベルベット気にすることないわ。ちゃんとあいつはあたしの中にいるんだから。
イクスけど……。
ベルベットはぁ……。それよりはやくケリュケイオンに案内してもらえないかしら。
イクス……いいんですか ?
ベルベットしょうがないでしょ。もうあの村には戻れないんだから。
ベルベットやっぱり、この世界にあたしの居場所はない。
ベルベットだから、はやくあんたたちの面倒ごとを全部片付けて、あたしは消える。そのために協力するわ。
イクスベルベットさんは……強いですね。どんなこともちゃんと受け止めて前に進んでいけて。
ベルベットあたしは自分の意思で行動しているだけ。
ベルベットそれに……支えてくれる人がいるから。
ライフィセット……ベルベット。
ベルベットありがとう。フィー。あんなときでもずっと側にいてくれて。
ライフィセットううん。僕も自分の意思で行動しているだけだから。
イクス支えてくれる人か……。
イクスミリーナ。
ミリーナ何 ?
イクス俺、もっと魔鏡術を極めようと思う。【あの時】のこととかあるけどそれでも頑張ろうと思うんだ。
イクスけど、まだ吹っ切れてはいなくて……だから、もし俺が迷いそうになったら――
ミリーナ私がイクスの支えになるわ。それが私の意思でもあるから。
イクスありがとう。ミリーナ。
ミリーナふふっ。イクスなら絶対にもっとすごい鏡士になれるって私、信じてるわ。
ベルベットまた……この村ともお別れね。
スレイベルベット……。オレ、事情を説明してくる。
ベルベットもう、いいのよ。
ミクリオだけど……ベルベットはあの村で暮らしたかったんだろう…… ?
スレイこのままじゃ……。ベルベットが救われないじゃないか……。
ベルベット……一つ聞かせて。あんたは【全】か【個】か。どっちを取る ?
スレイどういう意味 ?
ベルベットいいから。思ったことを答えなさい。
スレイ思ったことか……。
スレイすべての【個】を取れば【全】になる……かな。
ベルベットはぁ ? 何それ ?
スレイあっ……思ったことって言われたから。これじゃあダメかな ?
ベルベット……いいえ。
ミクリオスレイらしいと僕は思うよ。
ライフィセットやっぱり相当の変人だね。
エドナだから言ったでしょ。
スレイな、何 ? みんなして。そりゃ、無茶なのかもしれないけど。
ベルベットけど……あたしはいい答えだと思うわ。
ベルベットスレイみたいな導師と出会えてよかった……。
スレイオレもベルベットと出会えてよかったよ。
イクスそれじゃあ、ベルベットさんをケリュケイオンまで案内するよ。
ベルベットあたしは行くけど、フィーはどうするの ?
ライフィセット……僕はまだやることがあるんだ。だからこの大陸にもうしばらく残る。
ベルベット……一人で平気なの ?
ライフィセット大丈夫だよ。それにケリュケイオンにも顔出すようにするからさ。
ベルベット……わかったわ。せっかく味覚も戻ったことだし料理を用意して待ってるわね。
ライフィセットうん !
エドナ……で、何を隠してるの ?
ライフィセットベルベットにはできるだけ普通の生活を送ってほしかったから黙ってたけどエドナには話しておくね。
ライフィセット僕は……アイゼンを探してるんだ。
エドナ…… ! ?
ライフィセットこの手袋、拾ったんだ。アイゼンのだよね ?
エドナ……間違いないわ。これは……お兄ちゃんの……。
ライフィセットだとしたらたぶんこの大陸にいる筈なんだ。
エドナ……わかったわ。ワタシは旅に同行するついでに他の大陸を当たってみる。何か手がかりを見つけたら共有するわ。
ライフィセットうん。頼んだよ。
エドナ……お兄ちゃん。
キャラクター1話【救世軍アジト】
マーク――お前、何考えてるんだ。俺たちの目的が何かわかってるのかよ。
ファントム彼らの計画を邪魔すること。つまり具現化の阻止でしょう ? あなたごときに言われなくても、重々承知していますよ。
マークなら、何でお前は勝手に予定外の具現化なんかしてやがるんだ !
ファントム計画をより良い方向に進めるためです。それ以上でも以下でもありません。
マークそれが勝手だって言ってんだよ。そもそもあいつの目的は――
ファントムこんなくだらない論争をするために私を呼び出したんですか ?あなたは本当に暇なんですねぇ。
ファントム私にはやらなければならないことが山ほどあるんです。これで失礼しますよ。
マーク……チッ、こうなりゃ決行するしかねえな。
マーク――それじゃあフィルの件調査を進めてくれ。ファントムには絶対に気取られるなよ。
? ? ?大丈夫大丈夫、信用しろって。俺はできる男だぜ ?んじゃ、行ってくるわ。
マークチェスター。お前には『あっち』を任せるからな。
チェスター……。
マークなんだよ、不満そうだな。そんなに嫌かね、この仕事は。
チェスター……喜んでやるような仕事じゃねえだろ。
マークま、お前の性格じゃそうなるか。曲がったことは嫌いってツラだ。
チェスターああ、そうだな。こんな任務、嫌になって途中で放り出すかもしれないぜ ?
マーク任務を放り出す、ねぇ。そういう無責任なことも嫌がるタイプに見えるけどな。
チェスター……うるせぇよ。
マークハハッ、お前のそういう性格を見込んで頼んでるんだ。
マークそれに、さっきのアイツみたいに「信用しろ」なんて主張する奴よりはよっぽど信用できる。
チェスター……こんな面倒な手を使わないでお前が直接やりあったらどうなんだよ ?
マークそれができりゃ……苦労はしねぇんだよな……。
チェスター…… ?
マークとにかく、俺たちの計画が上手くいけばお前の望みが叶うのもそう遠い話じゃなくなると思うぜ ?
マーク会いたいんだろ、妹のアミィに。そのためにここにいる。――違うか ?
チェスター……約束は守ってくれるんだろうな。
マーク当然だ。そもそも俺たちの目的は『そこ』にあるんだからな。

キャラクター2話【11-1 モリスン街道1】
リフィル――古城……って私が連れていかれた、あの場所 ?
イクスはい。もう一度、あの古城に行ってみるべきだと思うんです。
イクスマークは、ファントムがあの場所を実験場として使うつもりだと言ってました。
イクスこれ以上、無茶な具現化をさせないためにも手がかりがありそうな場所なら徹底的に探るべきじゃないかと……。
ジェイド確かに、救世軍の動きを止めるためにも実験施設となりうる地点を叩くのは有効な手段です。
ジェイドですが、すでに私たちに踏み込まれた場所をそのまま呑気に使っていると思いますか ?
イクス……そうですよね。やっぱり……。
ジェイドおや、そこで引いてしまうんですね。もっと食いついてくれなくては。
ジェイド熱血で押すのか、口八丁で引っかけるのか泣き落としでもするのか、色々と期待していたのですが……いやぁ、残念です。
イクス……え ?
リフィルジェイド、真面目な提案を面白半分に茶化すのは頂けないわね。
ジェイド茶化すだなんて。誠実だけが取り柄だった押しの弱いイクスがどれだけ成長したのか見てみたかっただけですよ。
ジェイドしかしやはり、こういったことは本職にお任せするべきでしたね。申し訳ありません、リフィル先生。
リフィルジェイド……その笑顔はなんなのかしら。何をたくらんでるの ?
ジェイドたくらむだなんてとんでもない。やはり『先生』でいるあなたの方が私の精神衛生上良いようでしてね。
リフィル…… ?
イクス(あ~……遺跡モードのリフィル先生に面くらってたもんな、ジェイドさん……)
イクスあの、それで古城の件は――
ジェイドああ、これは失礼。もちろん、調べる価値はあると思います。今は少しでもあちらの動きが知りたい。
ジェイド多少は内部を把握している分あの時に城へ踏み込んだメンバーで再度偵察する方が効率が良いでしょう。
リフィルそうね。あまり大人数でも動きにくいもの。という訳だから――聞いてるかしらロイド ! そしてコレット !
ロイドうわっ、なんでバレた ! ?
コレットはあ~見つかっちゃった……。
リフィル二人とも、立ち聞きなんてお行儀が悪いわよ。
ロイドだって、さっきイクスが難しい顔でリフィル先生を捜し回ってたからさ。なんか放っとけなくて付いてきちまった。
イクスそっか。心配してくれたんだな。ありがとうロイド、コレット !
コレット邪魔してごめんなさい。リフィル先生。
リフィルまあ、説明の手間も省けたし今回はよしとしましょう。それじゃロイドはイクスと一緒に出発の準備をしておいて。
リフィル何かあったらすぐに援護を送れるようこちらでも態勢を整えておきます。連絡はこまめに入れるのよ。
ロイドああ、任せとけって。行こうぜイクス !
コレット待ってロイド !……あのリフィル先生私も行っていいですか ?
リフィルコレットも ?そうねえ……コレットが偵察……。
コレット私飛べるし、高い壁の向こうを調べたり高い所の荷物とかとったり、後は、後はえっと……とにかく役に立ちます ! だから――
ロイド先生、コレットのことは俺が見てるから。いいだろ ?
リフィル……わかったわ。ロイド、コレットをお願い。コレット、ロイドが無茶しないように見張っておくのよ ?
二人はい、先生 !
ジェイド――イクス。あなたはもっと自信を持っていいと思いますよ。
イクスえ…… ?
ジェイド過去に大きな失敗をした人間は、往々にしてそれを取り返そうと焦ったり、あるいは次の一歩を踏み出すことにおびえるものです。
ジェイドあなたもその迷宮に入り込もうとしている。私はかつて、同じように迷った人間を複数知っています。
ジェイド時には手を差し伸べず突き放したりもしました。
ジェイドまあ、ここであなたに手を差し伸べたからといって過去が変わる訳ではありませんがたまには人助けぐらいしてもいいでしょう。
ロイド間違えたら、やり直せばいいもんな !何だ。ジェイドのこと、みんな怖い怖いって言うけど、一言多いだけでいい奴じゃん !
コレット私もジェイドさんってやさしいなって思う。だって、誰かが嫌なことを言わないと前に進めないことってあるもの。
ジェイドはぁ……。人間性がまともなピオニーとサフィールを相手にしているようで疲れますね……。
リフィルあら、ロイドとコレットみたいな子を知っているの ?
ジェイド私の幼馴染みと下僕のことです。お気になさらず。こちらの二人の方がよほどしっかりしていますから。
ジェイドでは、イクス。お土産話を期待していますよ ?
イクスは、はい !ありがとうございます、ジェイドさん !

キャラクター3話【11-2 モリスン街道2】
カーリャお城はこっちの方角ですね。うひゃ~、これは結構歩きそうですよ~。
イクス仕方ないさ。ケリュケイオンで近場まで乗りつけたら救世軍に見つかるかもしれないだろ。
コレットノイシュがいればよかったのにね。
ロイドそうだなあ。あいつならこのくらいの距離なんてことないだろうな。
イクスノイシュって ?
ロイド俺の昔っからの相棒でさ風みたいに早く走って――
? ? ?ギャアアアアアアッ ! !
イクス今のは――魔物の声 ! ?
ロイド声っていうより、ありゃ断末魔だぜ !誰か戦ってるんだ !
ミリーナこの先よ、行きましょう !
イクスあの人、強い…… !
ロイドすっげえ……あっという間に片付けちまった。
クレス――っ、まだいるのかっ !
イクスうわっ、ち、違います !俺たちは助けに入ろうと―― !
クレス人 ! ? ……だったのか。てっきりまだ魔物が残っていたのかと……。
イクスあ……驚かせてしまってすみません。
クレス僕のほうこそ、助けに来てくれた人に剣をむけるなんて……。本当にすまない。
イクスそんな、謝らないで下さい。それに俺、結局助けも何もしてないし……。
クレスいや、そんなことは !
イクスいやいやそんな !
ミリーナうふふ、二人とも真面目なのね。
ロイド状況がわからなかったんだしここはお互い様ってことでいいんじゃないか ?
クレスそうだね。それにお礼がまだだった。心配して来てくれてありがとう。
クレス僕はクレス・アルベイン。君たちはこの辺りの人 ?
イクスいや、旅の途中……かな。俺はイクス。こっちはロイドとコレット。それとミリーナとカーリャ。
クレス旅の人……。それじゃ城のことは知らないか……。
イクス城って、この先にある古い城のことか ?
クレス知ってるのか ! ? もしかして君たちはそこの関係者じゃ――
ロイドいや、えっと……関係者じゃないんだけど関係あるっていうか……。
コレット私たち、お城の様子を調べに行くの。
イクスコレット ! ?
ロイド駄目だろ、コレット !もしクレスが敵だったらどうするんだよ !
コレットそうかもだけど謝りあいっこしてすごくいい人みたいだよ ?
イクスそれはまぁ、そうかも知れないけど……。
カーリャいい人か悪い人かはともかくカーリャはぶるぶる来てますよ !
ミリーナあ……もしかしてクレスさんも鏡映点ってこと ! ?
ロイドへ ! ? じゃあまたどこかで島が具現化されたのか ! ?
イクスいや、そういう話は聞かないからはぐれ鏡映点かもしれない。
クレスはぐれ……きょうえい……え ?
クレスちょっと待ってくれ。僕には、きょうえいてんとか……よくわからないよ。
クレス君たちはあの城と敵対する立場なのかい ?だとしたら少なくとも敵ではないと思うよ。
クレス僕があの城に行くのはさらわれたのかもしれない親友がいる可能性があるからなんだ。
イクスさらわれた ? 詳しく話してくれないか。
クレスいいけど……今は少しでも早く先に進みたい。目的地が同じなら歩きながら説明してもいいかな。
クレスそれと、君たちの話も聞かせて欲しい。変に思われるかもしれないけど、正直僕はここがどこかもよくわかってないんだ。
クレス今の自分の状況を、ちゃんと知りたい。
イクス……わかった。俺もクレスに説明――いや言わなきゃいけないことがある。一緒に行こう。

キャラクター4話【11-3 モリスン街道3】
クレス……異世界か。どうりで、今がアセリア歴何年か街の人に聞いてもわからない訳だ。
クレスまた過去か未来に飛ばされたのかと思ってたけどそうじゃなかったんだな……。
カーリャ過去とか未来とか……なんかさらっとすごいこと言ってますね。クレスさま。
ミリーナええ。時間を跳躍して旅をしていたってことだもんね。
クレスなあイクス、本来の世界での僕は今どうなってるんだろう。
クレス僕は仲間と敵の本拠地に乗り込んでいた。でも、その辺りから記憶が曖昧で……。
イクス無責任だけど、断定したことはいえない。でも『クレス』は今も仲間たちと戦い続けていると思う。
クレスそうか……みんなと一緒なんだな。そうだ ! ダオスは――僕の敵もこの世界に来ている可能性はあるのか ?
イクスそれもはっきりとはわからないんだ……。今はまだ、それらしい奴はいないとしか……。
クレス…………。
イクスごめん……クレス。不本意だよな。自分の世界を救うために戦っていたのに俺たちの都合で巻き込まれたんだから。
イクス俺たちがどんなに傲慢なことをしているか分かってる。具現化された人たちの気持ちやその立場が、とても複雑だってことも。
イクスそんな当たり前のことに、最近ようやく気が付いたんだ。クレスと同じように具現化された人に諭されてさ。
ロイド……。
イクスその上、協力してくれなんて言われても納得できないかもしれないけど――
クレス……イクスたちの具現化は避けられないことなんだろう ?
イクスうん……今は訳あって止めているけど実質的にはこれしかない状況なんだ。
イクスそれに、最初はこの役目を義務みたいに感じてたけど、今は俺自身も世界を救いたいって、強く望んでる。
イクスクレスや、鏡映点の人たちの想いや存在を無駄にしないためにも、……絶対に成し遂げたいんだ。
クレスそうか。じゃあ、これからもよろしく !
イクスえ、そんな簡単に……クレス、いいのか ?
クレスうん、イクスの決意が聞けたからね。僕たちがここに具現化されたことが無駄じゃないって思えた。
クレスそれにさ……『――生きてるうちは色々あるさ。あんまり気にすんなよ』
ロイドお、なんか急にくだけたな。
クレス今のは、僕の親友の受け売りなんだ。
イクス親友って、もしかしてさっき、さらわれたって言ってた ?
クレスああ。チェスターって言って同じ村で育った幼馴染みでさ。
クレス僕たちの村が襲われて身を寄せた叔父にも裏切られて……そんな時、そう言って慰めてくれた。
ロイド村の襲撃に、身内の裏切り……か。それって……辛いよな。
コレット……ロイド。うん……そだね。
クレス……ロイドもコレットも、色々あったんだね。
ロイド……生きてるうちは色々ある、か。うん、なんてことない言葉だけどいいこと言うよな、そいつ !
クレスああ。そして、その色々の末に僕はダオスを追い詰める所まで来られた。
クレスだからさ、気にして立ち止まっているよりは前に進んで、やれることをやらないと。
イクス……クレスは本当に強いんだな。力だけじゃなく心も。
ロイドああ、色々って……口にするのは簡単だけどそうやって自分で納得できるところまで消化するのって、本当はキツいもんな。
ロイドそれができてるクレスはすげー格好いいし決意したイクスもすげー格好いいぜ。俺も負けてられないな。
イクスあ、ありがとう……ロイド。
クレスまいったな。そんな風に言われるとは思わなかったよ。
コレットふふ、ロイドっていつもこうなの。
コレットあ、でも、ロイドだって格好いいよ ?
ロイドへへ、ありがとな、コレット。でもこれからは、いい人だからってすぐ作戦のこと喋っちゃ駄目だぞ。
クレスなあ、ロイド、イクス。コレットのことあまり怒らないであげてほしい。
クレス彼女の言葉がなかったら詳しい話をしないまま君たちと別れていたかも知れない。
イクスそういえばそうだな。コレット、ありがとう。
コレットううん。私こそごめんなさい。これからは気をつけるね !
カーリャうっ、まぶしい…… ! ロイドさまもクレスさまもイクスさまもコレットさまも善人オーラがビカビカ出てますよ ! ?
ミリーナ本当ね。きっとチェスターさんって人も凄くいい人なんでしょうね !
クレスああ、チェスターはいい奴だよ。僕が保証する。
カーリャ俄然やる気が出てきましたよ。必ずチェスターさまを見つけましょう !

キャラクター5話【11-4 モリスン街道4】
イクス――金髪の少年と怪し気な男たち……か。そいつらがチェスターさんを連れ去ったっていうのは確かなのか ?
クレスああ。街の人の話では、長い髪を一つに束ねた弓使いが、そいつらに絡まれてたらしい。……チェスターの特徴と似てるんだ。
クレスもっともイクスたちの話を聞く限りだとチェスターが具現化されているとは限らないんだよね。
イクスいや、世界を変える力がある人たちが鏡映点になるんだから、クレスの仲間なら鏡映点として具現化されている可能性は高い筈だよ。
イクス特にこの大陸が具現化された時は色々と問題があったからいつもと違うことが起きていたんだ。
イクスロイドたちと一緒に、他の世界の鏡映点が具現化されていた可能性は十分考えられる。
ミリーナ……ねぇ、チェスターさんがさらわれた後クレスさんも狙われたりしなかったの ?
クレスうーん、ないな。魔物と戦ったくらいだよ。
イクス同じ鏡映点であるクレスの存在に気が付かなかったのかそれともチェスターさんを最優先で確保する理由があったのか……。
ミリーナとすると、チェスターさんは特異鏡映点なのかもしれないわね。だから有無を言わさずに連れていかれたのかも。
ミリーナクレスさんたちは時空転移をしていたみたいだから可能性は高いと思う。
ロイドもしそうなら、あの妙なのをくっつけられちまうんじゃないか ?アン……ドーナツ、みたいな……。
ミリーナふふ、アンチ・ミラージュブレスよ。だったら確かに急がないといけないわね。
クレスアンチ・ミラージュブレスっていうのは何かまずいものなのか ?
イクス……うん、長く身につけていると体に害が及ぶらしい。
クレスなんだって ?くそっ、チェスターにそんなものつけさせてたまるか ! !
カーリャびっ、びっくりしたっ !クレスさまでも、そんな風に怒鳴るんですね。
クレスあ……ごめんよカーリャ。驚かせちゃって。
ロイドクレスが熱くなるのも仕方ねえよ。友達がピンチなんだからな。しかも親友で幼馴染みだろ ?
コレットそだね。私もロイドやジーニアスに何かあったらって思うといてもたってもいられないもん。
クレスロイドとコレットも幼馴染みなのか。もしかして、イクスとミリーナも ?
イクスああ。それとフィルって奴を加えて三人で遊んだよな。
ミリーナええ、懐かしいわ。
イクスフィルは遠くに引っ越したから、一年に一度くらいしか会えなかったけど、大事な幼馴染みなんだ。
イクスあいつには迷惑もかけたけどまた、みんなで会えたらなって思うよ……。
ミリーナ……そうね。
ロイドみんなで会えたら――か。ジーニアスもどうしてんのかなあ。向こうの俺に、美味い飯作ってくれてるのかな。
コレット料理上手だもんね、ジーニアス。誕生日にジーニアスからもらったクッキーもすっごく美味しかったもん。
イクスへえ、幼馴染みのジーニアスってそんなに器用なのか。
ロイドああ、リフィル先生の弟でさ。俺より年下だけど、頭もすげえいいんだぜ。
ミリーナリフィルさんに弟 ?うわあ、可愛いんだろうなあ。
カーリャミリーナさま、想像だけでうっとりして……。そういえばクレスさまは、ご兄弟っているんですか ?
クレス僕はひとりっ子なんだ。けどチェスターにはアミィちゃんっていう妹がいてさ。料理上手で可愛い子だった。
イクス【だった】って…… ?
クレスあ……いや、僕の村が襲われた時に……ね……。
イクス……そうか。
クレスあいつの家族は妹だけだったから大事にしてたよ。僕と一緒に戦ってたのもアミィちゃんの仇を討つためだったんだ。
クレスだから、この世界ではダオスがいないかもしれないと知ったら……そう思うと心配なんだよな。
イクス……だとすると、チェスターさんに俺たちの話受け入れてもらえるかな。
クレス大丈夫だよ。僕に説明してくれたようにきちんと話せばわかってくれるさ。
ロイドそうそう。クレスの親友ならチェスターもきっと真面目でいい奴だって !
クレス……う~ん真面目……真面目なのかなあ ?あいつ、女風呂を覗こうとしたことあるしそういう所は違うような……。
ロイド――え……。
コレットお風呂を…………。……………………。
ロイドな、何でこっちを見るんだよ !何度も言うけど、俺のは誤解なんだからな。
クレスロイドも覗こうとしてたのか ?チェスターと気が合いそうだな。
コレット……ロイド、本当に違うんだよね ?
ロイド頼むクレス、話題を変えてくれ !
クレスえ、話題っていわれても……よし。もうすぐ城も近いしイクス、張り切ってイクッスよ !
イクスえっ ?
ロイド……。
クレス……あ、はは。その……
カーリャ……やはりクレスさまもただの真面目系爽やか鏡映点じゃなかったんですね……。
ミリーナイクス……イクッス……行くっす ?
カーリャミリーナさま、まさか今気が付いた…… ?
ミリーナなるほど ! 凄いわ、クレスさん !もっと言ってクレッス ?な~んちゃって♪
コレットすごいよ、ミリーナ !そういうのを白いわんちゃんって言うんだよね ?
三人尾も白い !
クレス二人ともさすがだね !これは僕も腕を磨かなくちゃ !
カーリャも、盛り上がってる…… ?時代は今、親父ギャグウェーブなんですか ?
イクスいや、あれはないと思う……。
ロイドだよなぁ……。
カーリャせっかくの善人オーラがしおしおですよぉ。

キャラクター6話【11-7 デミテル洞窟 入口】
コレットあれが目的地のお城 ?見張りっぽい人がたくさんいるね。
イクス……前とは比べものにならないくらい警戒度合が増してるな。やっぱりジェイドさんが言った通りか……。
ロイドこりゃ偵察するどころか近づくのもヤバそうだぜ。
イクスチェスターさんのことも捜さなきゃいけないのにこれじゃ……。
クレス……やっぱり似てる。
イクスクレス、どうしたんだ ?
クレスこの城、僕たちが踏み込んだ敵の城に似てるんだ。まったく同じって訳じゃないけどね。
イクス確か……ダオス城って言ってたっけ ?
クレスああ。隠し通路があったり鏡の中に入れたり……迷路みたいな所さ。
クレスもし見た目だけじゃなくて城の造りまで似てるとしたら、隠し通路みたいなものもあるのかもしれない。
イクスそれならこの辺りを探してみよう。目立たないようにな。
イクス……はぁ、やっぱ簡単には見つからないか。
ロイド前みたいに、コレットのドジで道が開けて……みたいなことないかなぁ。
コレット好きで失敗しちゃう訳じゃないんだよ ?
ミリーナでもその失敗が幸運を呼ぶなんてコレットってきっと幸運の女神様に愛されてるのね。私も愛しちゃう !
コレットううん。今日はちゃんと自分の力で役に立ちたいの !
コレットあ、高いところから見渡したら何かわからないかな ?私、ちょっとやってみるね !
イクスあ、コレット待っ――
コレットどこかに……抜け道は……。
警備兵――おい、あれ ! 人が浮かんでるぞ ! ?
警備兵はぁ ? 何言って――あ !
ロイドやべっ ! コレット下りて来い !
コレット待って ! 何かあそこ……岩の隙間に……洞窟――かな ?
クレス洞窟 ? ……コレット ! どっちの方角だ ! ?
コレットこの先まっすぐ ! 大きい岩に突き当たったら右に回り込んで !
イクスクレス、その洞窟って――
クレス見張りがこない内に行くぞ。
イクス本当だ、こんな所に洞窟が……。
ミリーナ草も茂ってるし、私たちの目線からじゃ穴があるなんてわからないわね。
クレスそれにしてもすごいな。羽なんて……。
コレットえへへ、役に立ったかな ?
ロイドコレット、ごめんな。幸運とかそんなの関係ないよな。自分ができることをやらなきゃだよな。
コレットだいじょぶ。ロイドもみんなもいつだってそうやってると思うし、だから私も頑張りたかっただけだから。
カーリャおおお、またビッカビカの善人オーラが !
クレスうん。ありがとう、コレット。僕もチェスターを見つけるために頑張るよ。
イクスなあクレス、この洞窟が抜け道なのか ?
クレス……見た感じは違うけどダオスの城に行くときにも、洞窟を通って行ったんだ。もしかしたらと思って。
ロイドどうせ他に手掛かりはないんだ。行ってみようぜ !

キャラクター7話【11-9 デミテル洞窟 深部】
カーリャ結構深い洞窟ですねぇ……。そろそろ城の入口的なモノが欲しいところですけど。
ミリーナ気をぬいちゃだめよ。それとカーリャは鏡映点――チェスターさんの気配を感じたら教えて。
カーリャう~ん、鏡映点の気配っていってもあんまり遠くじゃわからないかもですよ。
カーリャまだ鏡映点と光魔の感じ方もそれほど区別できてないですし……。
ミリーナそっか……。カーリャも――いえ私もまだまだ修行をしなきゃいけないわね。
カーリャそうですね。イクスさまを見習わないと。
イクスえ、なんで…… ?
カーリャ知ってますよ~ ? 夜な夜な一人で【創造の魔鏡術】を練習していること。
イクスカーリャが知ってるってことは……ミリーナも ?
ミリーナのぞき見するつもりじゃなかったんだけどごめんね ?
イクス謝ることじゃないよ。なかなか上手くいかなくて、人前で修行するのが恥ずかしかっただけだから。
クレスイクス、創造の魔鏡術ってなんだい ?
イクス色んな物をゼロから実体化させる術って言えばいいかな。俺の家系が得意とする術なんだ。
イクス鏡士として成長するなら使いこなせなきゃいけないんだけど……
イクス昔……、術を暴走させたあげくミリーナを傷つけたんだ……それ以来、使うのが怖くなって……。
クレスそれを今、練習してるのか ?
イクスああ。このままじゃ、大事な人も守れなくなる。実際に戦うようになって思い知ったよ。
イクスそれにさ、鏡映点の人たちと出会って大事なことをたくさん教えられたから。
イクスだから今、必死で修行してるんだ。ようやく少しだけ使えるようになったよ。まだまだだけどさ。
クレス必死に修行か……。イクスのそういう所なんかチェスターと似てるな。
イクス俺とチェスターさんが ?
クレスああ、僕は時間を超えて旅をしたって言っただろ ?その時、チェスターとの力の差が開いてしまったことがあったんだ。
クレスそれを仲間のアーチェって子がズバっと言っちゃってさ。まあ、アーチェとしてはからかっただけなんだろうけどね。
クレスそうしたらあいつ、夜中に一人で必死に訓練してて。さっきのイクスの話と似てるだろ ?
クレス……まあ、あいつが夜中に起きてたのは別の理由もあったんだけどさ。とにかく、みるみるうちに強くなった。
クレス僕が過去で積み重ねた時間がなければ追い越されてたかもしれないって思うよ。それくらい努力家なんだ、あいつ。
イクスすごいな。俺もそんな風に、強くなれるといいんだけど。
ロイドそれにしても、すげぇな。クレスの剣――エターナルソード。本当に時間を跳べるんだな。
コレットでも不思議だね。私たちの世界にも同じ名前の剣があるんだよ。
クレスえ ? ロイドたちの世界のエターナルソードって言うのは…… ?
ロイド俺たちの世界には精霊がいてオリジンって精霊がハーフエルフのために作った剣なんだよ。
クレス僕たちの世界とはちょっと違うんだね。オリジンが作ったって言うのはこっちも同じだけど。
ミリーナもしかしたらカレイドスコープが具現化する世界は異世界同士の時空の距離が比較的近いところなのかも知れないわね。
ミリーナ確かアイフリードって人も、色んな世界に存在しているみたいだったし。
クレスアイフリード ? アイフリードなら僕たちの世界にもいるよ !
ロイドええ ! ?なんかすげぇな、アイフリードって。
ロイド今度クレスたちの世界の話も色々聞かせてくれよ。他にも俺たちの世界と似てるところがあるかも知れないし。
クレスそうだね。僕もロイドたちの世界のことを聞いてみたいよ。
イクス――シッ、静かに。みんな、あれを見てくれ。
クレス魔物か……。ダオス城にいた奴とは違うけどでもあいつの後ろに見えるのは……。
ロイドああ。城への入り口っぽいよな !
イクス……入るためには戦うしかないな。
クレスああ。みんな、行こう !

キャラクター8話【11-9 デミテル洞窟 深部】
イクスハァ……ハァ……。結構やっかいだったな。
ロイドクレスって見た目よりずっとタフだよな。全然疲れた感じがしねえし。
イクスそういうロイドもな。
クレスイクス、聞いてもいいかい ?この城は僕の世界のダオス城を模したものなんだろう ?
イクスクレスが見覚えあるっていうならそうなんだと思う。鏡映点の記憶や感情が具現化に影響するから。
クレス……さっきも話した通りダオス城には色んな仕掛けがあるんだ。
クレスもしここにも同じような仕掛けがあるなら全員で先に進むのは難しいかもしれない。
イクスなんだよそれ……そんなにやっかいなのか ?
クレスああ。ダオスの城では、デリスエンブレムがないと踏み込んだ途端、別の場所に転送されて城の奥に入れないんだ。
コレット待って。奥から人の声がする。
? ? ?貴様っ、大人しくそれを渡せ !
? ? ?抵抗するなら容赦はしないぞ !
ミリーナ本当だわ。この声……城の中からよね ?
? ? ?抵抗なんてするに決まってんだろ。黙って捕まるなら最初から逃げねえっての !
クレス今の声、チェスターだ !
イクス何だって ! ?それじゃやっぱりここに――
? ? ?援軍を呼べ ! 裏切者を取り押さえろ !
チェスターくそっ、そこどけよ !お前らに用はねえんだ !
クレス……僕はチェスターを助けに行く。イクスたちは城の偵察の方に集中してくれ !
イクス待ってくれクレス !
ロイド……なあイクス偵察はいったん置いといていいよな。あいつ一人で行かせられねぇよ。
イクスああ、俺たちも行こう。クレスとチェスターさんを助けないと !
ロイドヘヘ、そうこなくっちゃ。
クレスチェスター !
チェスター――クレス ! ?
クレス大丈夫か、チェスター !
チェスターお前、なんでここに ! ?
クレスお前を助けに来たに決まってるだろう !
兵士……面倒だ、一緒にくたばれ !
チェスタークレス、かがめ !
兵士何っ ! ?
チェスターいまだ !
クレスはあああっ !
クレスチェスター、無事でよかった !
チェスターそれより、どうしてお前がこの世界に…… !
クレス僕も具現化されてたんだ。それよりチェスター、さらわれたんだろ ?
チェスターあ……ああ……そ、そうなんだ。もしかして……オレを助けにここへ…… ?
クレスあ……そうだ !変なもの付けられてないか ?アンチ・ミラージュブレスとかいう……
チェスター……クレス、お前何いって…… ?
イクスおーい、クレス !
チェスター――あいつらは…… !
クレスイクス、来てくれたのか。僕もチェスターも無事だ !
クレスチェスター、お前を助けるために協力してくれた人たちだよ。
イクスよかった。チェスターさんと会えたん――
イクス――何だ ! ?
クレスこの光はまさか ! ?イクス逃げろ、それは転移の―― !

キャラクター9話【11-10 怪しげな古城 通路】
ミリーナう……ここは…… ?
イクスミリーナ、大丈夫か ? カーリャは ?
カーリャうう……ここにいますよ~。っていうか、何ですか、さっきのぐにゃ~っとした感じ。……目が回りそうでした。
イクス光に包まれる直前クレスが転移って言ってた気がするけど……。
ミリーナじゃあ、クレスさんが話していた踏み込むと別の場所に転送される仕掛けっていうのがこれなのね。
イクスああ、俺たちはまんまと引っかかったって訳だ。あれほどクレスに注意されてたのに……。
ミリーナここには私たちしかいないのね。ロイドさんたちは――他のみんなはどうしたのかしら。
イクス他の場所に転移してるのかもな。すぐにでも確かめたいけどこの部屋じゃ……。
カーリャ前後左右、どこを見ても壁ですね。出口も入口も隙間もありません。
イクス剣でどうにか壊せないかな。
ミリーナ私も術でやってみるわ。
イクス……駄目か。
カーリャえ~そんな ! それじゃこの密室でカーリャたちは一生……。
イクス……創造の魔鏡術なら出入り口を創り出せるよな。
ミリーナそれは……そうだけど。でも空間を歪める程の魔鏡術は、今の私たちじゃ難しすぎるわ。
ミリーナ大地の具現化はカレイドスコープがあるから私たちでもできるけど……。
イクス……確かに、まだ空間を歪めるような物は創れないけど、でも例えば爆薬とかなら……。
ミリーナ爆薬……。それは内部構造を知らないと難しいわ。それに私の血筋だと創る方の魔鏡術に関しては、まだ簡単な物しか――
イクス俺は創る方――創造の血筋だ。
ミリーナ……イクス。今、魔鏡術のステップは何段階目 ?
イクス……第二段階だ。
ミリーナ…………。
チェスター――こっちだ ! この辺から音がしてたぜ。
イクス……なあ、今の聞こえたか ?
ミリーナええ、壁の向こうから音がしたわ !
クレスおい ! 誰かそこにいるか ! ?
イクスクレス……それにチェスターさんか ! ?俺だよ、イクスだ !壁のこっち側にいる !
クレスイクスか !ここに転送されていたんだな。どうだ、出られそうか ?
イクス無理なんだ。四方が壁で囲まれて壊すこともできない。クレスたちは無事なのか ?
クレス僕たちはデリスエンブレムを持ってるから大丈夫だ。壁を壊すから、ちょっと待っていてくれ。
チェスターチッ、なんだよこれ、堅すぎんだろ !
クレスクッ……びくともしない。何か仕掛けがあるのか ?
ミリーナ……イクス、一か八かやってみない ?創造の魔鏡術。イクスの最初の提案――この壁に出口を創るのよ。
クレス創造の魔鏡術ってイクスが修行しているやつか。そうか、使う決心がついたんだな !
イクスいや、その……。簡単なものならともかく今の状況じゃ難しいと思う。
イクス安全かつ確実に具現化するには、魔鏡の力を増幅する装置や準備が必要なんだ。もしくは魔鏡が複数あればどうにかなるけど……。
イクス今、手元には魔鏡が一枚。この状態で術を使うと、著しく体力を消耗する。そうすると……制御できない。
クレスそれは、前に話してた暴走が起きるってことか。
イクス……ああ。こんな逃げ場のない所で暴走させたら、あの時以上に大変なことになるかもしれない。それだけは……。
ミリーナ……ねえイクス、考えたんだけど私が制御のサポートをしつつ、術でイクスの体力を回復し続ければどうかな ?
イクスそれは……。確かに一人でやるよりは安定するだろうけど……。それで暴走しないとは限らないよ。
ミリーナでも、他に手はないと思う。
イクス…………。
クレス……イクス。ずっと術の修行していたんだろう ?コツコツ努力をして。
クレスチェスターも同じことをしてたって話したらそんな風に強くなりたいって話してくれた。
チェスターオ、オレと同じ ?お前、何を話したんだよ
クレス何って、事実をね。チェスターは努力家で強いっていうことさ。
チェスター……事実か。そう言われちゃな。――おい ! イクスっていったっけ。
チェスターもしも力不足で二の足踏んでるならさオレが保証してやるよ。
チェスター訓練した分だけ力はついてる。昔のお前とは違うってさ。
クレスその通りだよ。イクスは必ずできる !それともチェスターの保証だけじゃやっぱりもの足りないか ?
チェスターそりゃねえだろ。オレの保証だけでも十分、確実に、必ずや、間違いなく、成功するっての !
チェスターおい聞いてるか、イクス。努力の証、ガツンと見せてやれ !ついでにオレの保証の確かさもな。
イクス……そうだな。そこまで言ってもらってやらなかったら修行した意味がないよな !
ミリーナイクス、それじゃ……。
イクスああ、やるよ。
イクスそれにさ、俺が修行を始めたのもベルベットさんと会って、全てを受け入れる強さを目の当たりにしたからだった。
イクス俺も不安や恐怖にとらわれずやるべきことをやらないとな。
ミリーナええ。私がサポートするから、安心して術を使って。あの時約束したでしょ。イクスの支えになるって。
イクスああ、頼んだよミリーナ。
イクスクレス、チェスターさん今から術を行使する !念のため壁から離れててくれ !
イクス(呼吸を整えて……冷静に……。体が辛くても大丈夫だ。ミリーナが癒してくれる……)
イクス(絶対に――成功する ! )
イクス……や、やった……か ?
ミリーナやったのよ、成功したのよイクス !しかも壁だけが崩れて――他に被害もないわ !
クレスすごいよイクス !完璧に制御できてるじゃないか !
チェスターほら見ろ、オレの保証は完璧なんだって !よくやったな、イクス。
イクスありがとう。二人の言葉に励まされたよ。
クレス早速だけどすぐに動けるかい ?ロイドたちを捜さないと。
チェスター多分、イクスたちと同じようにこの辺りに転送されてるんじゃねえか ?壁の中の音に気を付けながら進もうぜ。

キャラクター10話【11-12 怪しげな古城 隠し部屋】
イクス――それじゃ、今度も頼んだよミリーナ。
ミリーナええ、任せて !
ロイドイクス、助かったぜ !
コレットすごいね ! 私も頑張って壁に体当たりしてみたんだけど、全然壊れなくて……。転んだときと何が違うのかなぁ ?
ロイドいきなり壁に突っ込んでいくから止める間もなかったよ……。
ミリーナ体当たりって……怪我してない ?コレットみたいな華奢な体でそんな無茶したらだめだからね。
コレットうん、心配してくれてありがとミリーナ。なるべく気を付けるね !
ロイド……なるべくってところがコレットだよなぁ。
ミリーナ限りなく心配だわ……。
クレスロイド、コレット、無事でよかった。怪我はないか ?
ロイドああ、ピンピンしてるぜ !えっと……そっちがチェスターだよな。
チェスターああ、クレスが世話に――っていうかオレのことを助けるのに、協力してくれたんだって ? ありがとな。
ロイドいいっていいって。それにしてもよくあいつらの所から逃げられたな。
クレスさっき聞いたんだけどチェスターはしばらく救世軍側にいたんだってさ。
チェスターああ、無理やりつれてこられて世界を救うから協力しろとか言われてさ。
チェスターだからこの世界のことや具現化の話も大体は聞いてるよ。ダオスがいないかもってこともな。
チェスターけどやっぱりなんか……納得できなくてさ。――んで、奴らの目を盗んで逃げて来たって訳だ。
ロイドだからあいつらに裏切者って言われてたのか。
チェスターまあ、それもあるけどな。あいつらへの意趣返しってことでこいつを持って来たらバレちまった。
クレス何かの……設計図 ?
ロイドうわ~……見てるだけで目が回りそうな細かさだな。
ミリーナちょっと待って、これ……ところどころに具現化の術式が書かれてる。すごい……。
チェスターなんだよ、そんなに大したもんなのか ?適当に失敬してきただけだぜ ?
ミリーナイクス、見て。この辺りとか……ほら !
イクス……ああ、本当だ。もしかしたら……ファントムが研究してる装置……かも……。
ミリーナ……イクス、立て続けの具現化で体力の回復が追いつかないんじゃない ?
イクスいや、少し休めば大丈夫だ。この程度で済んでるのは、ミリーナのおかげだよ。
クレス……イクス、一度この城を出よう。どっちにしろ、デリスエンブレムは僕とチェスターしか持ってない。
クレスあの転移装置が起動している以上、残念だけどイクスたちは城の奥へ入れないよ。
イクス……わかった。一旦ケリュケイオンに戻ろう。
イクスデリス・エンブレムの対策も練りたいしクレスとチェスターさんも、一緒に来てもらっていいかな ?
クレスもちろん !いいよな、チェスター。
チェスターあ、ああ……。世話になるぜ。
クレス………… ?

キャラクター11話【11-15 デミテル洞窟 深部】
クレスイクス、体はどうだい ?
イクスああ、もう大丈夫だ。帰ったらすぐにでも修行したいよ。ミリーナの助けがなくても制御できるようにならないとな。
チェスターハハッ、修行大好きかよ。クレスみたいだな。
イクスクレスには、チェスターさんみたいだって言われたけど。
チェスターじゃあ、オレとクレスのいいとこ取りってことにしておけ。……そうだな。オレ的にそのいい所ってのを説明すると……
チェスター――過去、現代、未来を渡り、勇者はついに異世界へと降り立った。その名はクレス !彼はこの地に至っても未だ努力を怠らない。
チェスターその英雄の傍らに立つのは、厳しい特訓の末に大いなる弓の力を手に入れた親友。彼の放つ矢は、研鑽の煌めきをまとうのだった !
チェスターそんな彼らに憧憬のまなざしを送る鏡士の少年は――
クレスチェスター……その大げさなナレーションまだやってるのか……。イクスが固まってるぞ。
チェスターなんだよ、せっかく乗って来たのに。
ロイド……チェスター、お前すげえ難しい話し方するんだな。途中から何言ってるかわかんなかったぜ……。
チェスターそうか ? じゃあ、もっとわかりやすく――
ミリーナふふ、一気に賑やかになったわね。でももうすぐ出口よ。そろそろ外の警備兵にも気を付けないと。
? ? ?忠告が遅かったようだな。
イクス――誰だ !
リヒター今はお前に用はない。……チェスター、人の物をとってはいけないと教育されなかったか ?
チェスター……チッ。リヒターかよ……。
リヒター設計図を返してもらおう。
ロイドおっと、そうはいかないぜ。お前らがこの設計図でヤバイことしてるならなおさらな !
リヒター……ロイド・アーヴィング。それに……神子も一緒か。またお前たちが俺の邪魔をするんだな。
ロイド何のことだ ?
リヒター……別に。未来のお前に借りがあるだけだ。
ロイド未来の……俺 ? それは一体……。
リヒター鏡映点であるお前たちには関係のない話だ。ましてや、ラタトスクがいないこの世界ではお前と争うこともないと思っていたが……。
チェスター隙ありだぜ !
リヒターくっ…… !
ミリーナ今よ !
クレスくっ ! 待ち伏せされていたのか !
カーリャこれじゃあ挟み撃ちですよ ! ?
イクスミリーナ ! 想いの……想像の魔鏡術であの男を――
ミリーナ幻で足を止めるのね。任せて !
ロイド俺たちは目の前の連中を叩くぞ !

キャラクター12話【11-15 デミテル洞窟 深部】
リタ……で、この術式を組みこんで……。魔鏡はここに……か。ふ~ん……。
ジェイドガロウズにも先ほど見てもらいましたがリタ、あなたはどう思います ?
リタうっさいな、黙ってて !めんどくさい仕組みと設計なんだから !
ジェイドこれは失礼。どうにも天才の扱いにはなれなくて。
リタ決めた。いつかその眼鏡割るわ。――まあ、それはともかく。間違いなく具現化装置の一種だとは思う。
リタけど、これを設計した奴、妙なこだわりっていうか趣味みたいなもんが溢れてて……読み解くの……ホント面倒。
ジェイドそこは同感ですね。その設計図には、どこか執着心さえ感じる。
リタねえこれ、しばらく借りられない ?ていうか借りるから。
ジェイドええ、構いませんよ。ただし、他の皆さんの意見も必要ですからちゃんと返して下さいね。
リタわかってるっての。集中したいから一人で静かに見たいだけ。
ジェイド改めて皆さん、ご苦労様でした。期待以上のお土産でしたよ。やればできる子ですね、イクス !
イクスいや、それはチェスターさんのおかげですから。
チェスターずっと気になってたんだけどよ。そのチェスターさんってのはやめてくれチェスターでいいよ。
イクスわかった。ありがとう、チェスター !
リフィルクレス、チェスターあなたたちの協力に感謝します。おかげで重要な情報が手に入ったわ。
クレスいえ僕の方こそ、イクスたちには友人を助ける手伝いをしてもらったんです。お礼をいうのは僕たちですよ。
リフィルお互いに助け合えたのなら何よりね。それで、あなたたちはこれからどうするの ?
クレス鏡映点の人たちはみんな、この世界のために協力してるんですよね。
リフィルそうだけど、協力するかしないか選ぶのはあなたたちの自由よ。イクスたちも強要はしない筈だわ。
イクスああ。もちろんできればお願いしたいけどそれぞれの考え方があるからそれを尊重したいと思ってる。
クレスならもう決まってるよ。僕はイクスたちに協力する。
チェスター……おいクレス、そんなすぐに決めなくてもいいんじゃないか ?
チェスター一旦、どこかに落ち着いてさそれからでも遅くないって。
クレスそういうチェスターはどうするんだよ。
チェスター俺はほら、救世軍ともめたわけだし……ここで協力しながら世話になるのがいいかなって考えてるけど……。
チェスターお前は違うだろ ?俺のせいで巻き込んじまっただけでさ。だから――
クレスお前がイクスたちに協力する意思があるなら僕だってそうするよ。これからも一緒に戦おう、チェスター !
チェスター――そうか。わかったよ。
クレスイクス、これからもよろしくな。
イクスああ、頼りにしてるよ。
リフィルそれじゃイクス二人のことは頼んだわね。
ミリーナそういえばうっかり聞きそびれてたんだけど結局チェスターさんは特異鏡映点じゃなかったのよね ?
チェスターえ ? ああ、そうらしいな。最初は特異鏡映点だと思われてたみたいだけど、よく調べたら違ってたって言われたからな。
チェスターまあ、だからこそ監視の目もなかったし簡単にあそこからおさらばできたってわけだ。
ミリーナそうだったのね。アンチ・ミラージュブレスのことでクレスさんには余計な心配させちゃったわ。
チェスターみたいだな。とりあえず何の問題もなしだ。これからもよろしく頼むぜ。イクス、ミリーナ !
イクスああ ! よし、それじゃ後で艦内を案内するよ。ここで少し待っててくれ。
チェスターわかった。楽しみにしてるぜ !
チェスター……。
クレスなあチェスター……。何か悩んでることがあるならちゃんと相談してくれよ。
チェスターなんだよ、藪から棒に。
クレスいつもなら率先して「一緒に戦おう」って言ってくれるはずだろ ?さっきのといい、チェスターらしくない。
チェスターそれは……その、ほら、お前があんまりにも簡単に決めたように見えたからさ。ちゃんと考えろって促してやったんだよ。
クレス……それだけか ?
チェスターそうだよ。お前って結構、貧乏クジ引くタイプだからな。……ったく、人が心配してやってんのに「らしくない」とはなあ。
クレスいやだって、お前こそ思い詰めるタイプだからさ……何かあるのかって思ったんだよ。ほら、あの時だってそうだったろ。
クレス村の人たちやアミィちゃん村が襲われた時のことを考えると眠れなくなるって……。
チェスター……あれは、仕方ないだろ。簡単に忘れられるもんじゃねぇんだし。でも、今は平気だぜ ? 毎晩グッスリだ。
クレスとにかく、もし何かあるならちゃんと言えよ。
チェスターはいはい、わかったわかった。
イクス待たせたな ! それじゃ部屋のことも含めて艦内を案内するよ。
チェスターほら、行こうぜ !さあて、風呂はあるかなぁ ?どんな感じなんだろうな !
クレスお前、またのぞく気じゃないだろうな……。
チェスター(すまねぇ、クレス……。お前もこの世界にいるなんて思わなかったんだ……。)
チェスター――くそっ !

キャラクター12話【11-15 デミテル洞窟 深部】
ファントム納得のいく説明をして下さい。……それとも言い訳といった方がいいでしょうかね。
マークだから何度も言ってるだろ ?あれが今一番有効な作戦なんだって。
ファントム私に黙って計画し、私の実験場に潜入させあまつさえ私の設計図を持ちだしたことがですか ?
ファントムあれがどれだけ価値のあるものかあなたはわかっていないようだ。
マークああ、そうみたいだな。すまないね。あんたよりも頭が悪いもんで。
マークでもおかげで、手土産つきのチェスターは大歓迎されてるみたいじゃねえか。
マークこれからはあっちの情報がまるわかりだ。あんたの望んだ通りだろ。
ファントム……あんな雑な計画で本当に怪しまれずに送り込めたとでも ?
ファントム……まあ、あなたにとってはそれでよいのでしょうね。他にも何やら考えておいでのようですから。
マーク……。
ファントム何にしろ、ことが動いたなら仕方がない。チェスターがどれだけやれるか私も楽しみに待つことにします。
ファントム大事な戦力であるリヒターをわざと負傷させてまで奴らの信頼を勝ち取ったのですからね。
ファントムさぞかしよい情報を流してくれることでしょう。
マーク……その情報があんたに行くかはまだわからねえけどな。
ファントムはぁ……いけませんよマーク。反抗的な態度もほどほどにしないと。あなたもフリーセルのようになってしまう。
マーク……どういうことだよ。なんでフリーセルの名前が出てくる。
ファントムフリーセル……救世軍の創始者にして初代リーダー。有能と言ってもいい人物でしたねえ。
ファントムその有能さが少々邪魔でしたので始末しましたけど。
マークお前が――やったのかよ…… !
ファントムええ。トップを挿げ替えるにはこれが一番簡単ですから。
マーク……。
ファントムわかって頂けましたか ? ご自分の立場を。それでは改めて申し上げましょう。
ファントム――お前はお飾りの救世軍リーダーだ。そのことを忘れるなよ。
マーク……っ。
ファントムそれでは、私は仕事があるのでこれで。あなたのせいで新たな設計図を用意しないといけなくなりましたから。
マークくそっ……頼むぜチェスター……。ファントムを追い詰めるためにもお前が働いてくれなきゃ困るんだ……。
キャラクター1話【隠し研究所】
マークここだな。アルヴィンから報告された洞窟ってのは。
救世軍兵士間違いありません。
マーク……よし。突入するぞ !
マークフィル ! ? どこだ ! ?……くそ、誰もいないのか。
救世軍兵士マーク様 ! 奥に少女が倒れています !
マーク何 ?
カノンノ・E……ん……。
マークカノンノ ! ? どうしてここに ! ?
カノンノ・E――……マーク ?
マークカノンノ、フィルは一緒じゃないのか ?
カノンノ・E――マーク !駄目 ! 今すぐここから逃げて !
マークどういうことだ ?
カノンノ・Eこれは罠なの !あいつがマークをおびき出すための――
ディストハーッハッハッハッ !残念でしたねぇ。アルヴィンの行動など私には筒抜けですよ。
マーク変態博士のお出ましかよ。ふらふら勝手なことをしてるかと思えば裏でファントムと繋がってたのか。
カノンノ・E…… !
ディスト私の願いを叶えられるのはあなたではない。ファントムの魔鏡理論ですからねぇ。――さぁ、裏切り者を取り押さえなさい !
マーク――甘いんだよ、変態眼鏡 !
ディスト閃光弾 ! ?
マークカノンノ ! 逃げろ !ケリュケイオンのミリーナを捜せ !

キャラクター2話【12-1 いざないの森】
ミリーナあれがビフレストの魔鏡兵器……。あの時と同じだわ。許さない……絶対に……。
シェリア……ミリーナ ? ミリーナ、大丈夫 ?
ミリーナ―― ! ?ゆ、夢…… ?
シェリアごめんなさい。うなされていたみたいだから起こしちゃったんだけれど……。
ミリーナ――や、やだ。私寝ちゃってたのね。ごめんなさい。
シェリア魔鏡科学……っていうのを調べてるのよね ?大事なのはわかるけれど少し休んだ方がいいわ。
リタそうそう。無理して寝ぼけた頭を動かそうとしてもろくなことにならないしね。
キール残りの調べ物はぼくがやる。ミリーナのおかげで魔鏡科学にも随分詳しくなったしな。
ミリーナみんな……ありがとう。でも大丈夫。寝落ちしちゃった分今は気力充実してるもの。
ファラだったらミリーナも夜食を食べて。シェリアと二人でたくさん作ってきたから。
シェリアキール研究室が頑張ってるならファラ生活向上委員会も負けないように頑張らないと !
リタその名前、ほんとバカっぽいんだけど。
キールぼくの名前のついた研究室が不満だって言うのか ?
リタそっちの話じゃないわよ。まぁ、キール研究室っていうのも微妙な気がするけど。
ミリーナふふ、ディベートが盛んなところもキール研究室のいいところよね。リタもキールも楽しそうで良かった !
二人…… ! ?
ミリーナせっかくシェリアとファラが夜食を準備してくれたんだし私、イクスたちを呼んでくるわね。
リタ……ねぇ。
キール研究室の名前の件なら、単にぼくがみんなより早くケリュケイオンに合流したからで――
リタうっさい。その話じゃなくてミリーナのことよ。
リタ何か……大丈夫なの ?凄くつらそうに見えたけど……。
ファラ滅びの夢……っていうのを見てたのかな ?
キールおかしな話だよな。世界中の人間が同じような夢を見るなんて。
シェリア何だか気になるわ。調べてみた方がいいんじゃないかしら。
リタ……そうね。こっちはこっちでチェスターが救世軍から奪ってきた設計図の解析があるし別に調査隊を出した方がいいかもしれない。
ファラ決まりだね。私、ミリーナに話してくる !
ガイ――これがチェスターの記憶を元に起こしたファントムの城の見取り図だ。
チェスターあの城は魔術的な仕掛けが多い。正面から攻めるのは難しいぜ。
ミリーナイクス、みんな。ファラたちがお夜食を作ってくれたわよ。
ガロウズお、ありがたいな。ちょうど腹が減ってたんだ。
ガイさすが、ファラたちは気が利くな――ってミリーナ。何だか顔色が悪いけど大丈夫か ?
イクス本当だ。このところキールたちと調べ物が続いてるから……。
ミリーナ大丈夫よ。
ファラ大丈夫じゃないでしょ、ミリーナ。
ミリーナファラ !
ファラミリーナ。さっき滅びの夢を見てうなされていたんでしょ ?
イクスえ ! ? そうなのか ! ?
ガロウズ……滅びの夢、か。
イクスそういえば、ガロウズは見ないのか ?滅びの夢。
ガロウズあ、ああ。俺は、な。
イクス俺もそんな夢は見ないからミリーナの苦しさをわかってやれないんだけど……。
ファラそれそれ。わたしたちも鏡映点だからなのかそういう夢は見ないでしょう ?
ファラこの際、滅びの夢が何なのか調べてみたらどうかと思うの。
イクス今はジェイドさんもリフィル先生も出かけてるから、勝手に動いていいのかわからないけど……。
チェスター何言ってるんだ。別にあの二人がリーダーって訳じゃない。
チェスターそれにここはイクスとミリーナが生まれた世界だろ。遠慮する方がおかしいんじゃないか。
ガイチェスターの言う通りだ。イクス。誰かの力を借りるのは悪いことじゃない。でも最後に決断するのは自分だ。そうだろう ?
イクスそうですね。チェスター、ガイさん、ありがとう。俺、仲間に恵まれてるなって思います。
チェスターお、おう……。
ガイ…………。
イクスそれじゃあ、ファラの提案通り滅びの夢の調査をしよう。
ファラあ、でも、せっかくだから夜食を食べていってね。
イクスもちろん、そうさせてもらうよ。それに出かけるのは朝になってからの方がいいし。
ミリーナイクス……。ありがとう……。――私、カーリャを起こしてくるわね。
ガロウズケリュケイオンはどこにつける ?
イクスとりあえずセールンドに頼むよ。
ガロウズよしきた。任せときな !

キャラクター3話【12-2 静かな街道】
カーリャふわわわ……。眠いです。
イクスごめんな、カーリャ。一応朝になるまで待ったんだけどまだ眠いか ?
ミリーナ鏡精は具現化した鏡士の力に依存するから、私の力が足りないせいかもしれない……。
カーリャあわわわ、そんなことないですよぅ。ミリーナさまはちゃんと安定した力を供給して下さってます。
ミリーナありがとう、カーリャ。私も疲れをためないように気をつけるわね。
ファラさて、これからどうするの ?
イクス滅びの夢を見たことがある人に話を聞いてみよう。朝だから、夢の記憶も鮮明だと思うし。
リッド手分けして聞き込むか ?
カーリャん ? あそこにいるのって救世軍じゃありませんか ?
リッドおい、あんた。こんなところで何してるんだ ?
救世軍兵士あんたたちか !ちょうどよかった、捜してたんだ !
ミリーナ……あら ? あなたは救世軍のルックさん ?
イクス! ?
ファラ知り合いなの ?
イクス俺とミリーナが、オーデンセの消失に巻き込まれた時に助けてくれた人なんだけど……。でも、あなたはマークの部下ですよね ?
ルック……ああ、そいつは否定しない。ただ、今はあんたたちの敵じゃないんだ。
ルックあんたたちを捜していたのは引き合わせたい女の子がいるからなんだよ。
イクス引き合わせたい女の子 ?それは一体――
ミリーナ待って、イクス。罠かもしれない。
ルック俺が救世軍の人間だから信用できないって言うなら、安心してくれ。俺は救世軍を辞めた人間だ。
ルック指揮官が立て続けに消えちまう集団ってのが薄気味悪くなってきてな。
ファラ指揮官が立て続けに消える ?じゃあ今の救世軍は誰が指揮してるの ?
ルック数日前にマークさんが消えちまってからは四幻将のリヒターさんが代理で指揮を執ってるがどうなっちまってるのかねぇ……。
イクスマークが消えた ! ?一体何が起こってるんだ ?
ルックそれがわからねぇから俺は逃げ出してきたんだよ。
ルックとにかく宿屋まで一緒に来てくれ。救世軍に追われてる子を保護してほしいんだ。
ファライクス、ミリーナ。行ってみよう。
ファラ滅びの夢のことも気になるけど救世軍に追われている人が助けを求めてるなら放っておけないよ。
イクスそうだな。

キャラクター4話【12-3 発展途中の街】
ルックおい、カノンノ。例の鏡士を見つけてきたぞ。
カノンノ・E……あれ ? リッドとファラ ! ? どうして ! ?二人ともどうやってティル・ナ・ノーグに来たの ?
ファラえ ! ? リッド……知ってる ?
リッドいや……覚えがねぇな。オレたちどこかで会ってたか ?
カノンノ・E――あ、何だ、そうか。リヒターさんと同じ別の世界の人たちなんだ。
カノンノ・Eごめんなさい、二人が知ってる人にそっくりだったから……。
カーリャそっくりって……。顔が似ていて名前まで同じって、それって本当に別人なんですか ?
カノンノ・E異世界同士の距離が近いとそういうこともあるんだって教えてもらったの。あなたは、鏡精さん ?
カーリャえ、はい、そうですけど……。
カノンノ・Eそれじゃあ、横にいる二人がイクスさんとミリーナさんですね。マークとフィリップから話は聞いています。
イクスフィリップ ! ? フィリップってまさかフィル――フィリップ・レストンのことか ! ?
カノンノ・Eそうです。
ミリーナフィルが……救世軍に ! ?
リッドフィルって、確かイクスたちの幼なじみだったよな。ええっと……―
カノンノ・E私はカノンノ・イアハートです。
リッドカノンノか……あんたは何者なんだ ?フィルって人とはどういう関係なんだ ?
ファラ待って。宿の外が騒がしいよ。
ルック――くそ。追っ手に見つかっちまったな。俺が奴らを引きつけておくからあんたたちは逃げてくれ。
イクスそれじゃあ、あなたが危険なんじゃ……。
ルックマークさんには恩があるんだ。そのカノンノって子はマークさんの妹だっていうし助けるのは当然だろ。
ルックまぁ、こちとら逃げるのは上手いんだ。気にせず行ってくれ。
ミリーナわかりました。カノンノ、一緒に来てもらえる ?
カノンノ・Eもちろんです。マークからミリーナさんを頼るように言われてますから。どうかよろしくお願いします。
イクスあの――
ルック何だよ、ぐずぐずしてると捕まっちまうぞ。
イクスオーデンセの時といい、今回といい本当にありがとうございます。ルックさん。どうか、気を付けて。
ルック……あんたたち、どうみてもビフレストの亡霊と手を組んだ破壊者には見えないな。
ルックまぁ、いい。早く行け。
リッド裏口は廊下を出て左だ、急ぐぞ !

キャラクター5話【12-4 静かな街道】
リッド追っ手は振り切ったみたいだな。
カノンノ・Eごめんなさい。皆さんに迷惑をかけてしまって。
イクスカノンノ。きみはどうして救世軍に追われているんだ ?
イクスマークの妹って、どういうことなんだ ?それにフィルとは一体どういう関係なんだ ?
カノンノ・Eわからないことばかりですよね。順を追って説明させて下さい。
カノンノ・Eまず私は、このティル・ナ・ノーグの人間ではありません。
ミリーナあなたも鏡映点ってこと ?
カノンノ・Eいえ……ストレンジャー、だとフィルは言っていました。
カノンノ・E具現化されたことには違いないけれど私は他の鏡映点の方とは違って大陸の具現化には関わっていないんです。
ファラつまりカノンノは、カノンノの世界からカノンノの存在だけが具現化したってこと ?
リッドでも具現化っていうのは鏡士じゃないとできないんだろ ?
リッド異世界からの具現化ができるのはイクスたちぐらいだって聞いてるけどな。
カノンノ・E私を具現化したのはフィルです。
カノンノ・E私、グラニデ――自分の世界以外の世界も見てみたくて、異世界を旅して回っていたんです。
カノンノ・Eでもこの前の転送の時に妙な力に足を取られてしまって……。
カノンノ・E気づいたら真っ暗で何もないところに放り出されていました。
カノンノ・E体が金色に光って、苦しくなったときに手が差し伸べられたんです。
カノンノ・Eその手をつかんで、必死に逃げ出した先がこのティル・ナ・ノーグでした。
イクス真っ暗な世界……。金色の光……。それってまさか……虚無 ?
カノンノ・Eはい。後から、私のいた場所が虚無と呼ばれる滅びの世界だと聞きました。
カノンノ・Eフィルは私を虚無から助け出すために私をスキャンして具現化したんです。
カノンノ・Eそのとき発生したエネルギーのおかげでもう一人の私――元の私は虚無から元いた世界へ引き戻されました。
カノンノ・E具現化された私は、こうしてティル・ナ・ノーグに……。
ミリーナフィルが、カノンノを具現化した……。カレイドスコープも無しで異世界にアクセスしたなんて……。
カノンノ・Eフィルは滅びから世界を救うための研究をしていると言っていました。
カノンノ・Eそれで虚無を観察しているときに私を見つけてくれたんです。
カノンノ・E私、行くところもなかったからフィルのお手伝いをすることにしたんです。
カノンノ・Eマークともフィルの研究室で知り合いました。
イクスでもカノンノはマークの妹なんだよな。
カノンノ・Eあの……マークの妹分ということで救世軍の皆さんに紹介されていたのでいつの間にか間違えられてしまって。
カノンノ・E本当の妹って訳ではないんです。ごめんなさい。
ミリーナでもその救世軍から今は追われているのよね。何があったの ?
カノンノ・E私も詳しいことはわからないんです。私はずっとフィルの傍にいたから救世軍のことはあまり詳しくなくて。
カノンノ・Eでも救世軍に何かあったことは間違いありません。
カノンノ・Eそのせいでフィルは救世軍に捕まって私はマークをおびき出すために利用されました。
イクスえ ? フィルは救世軍って訳じゃないのか ?
カノンノ・E元々救世軍は、フィルとフィルのお友達のフリーセルさんで結成した義勇軍だったそうなんです。
カノンノ・Eフィルは救世軍としての活動をマークに任せて、一人で滅びを食い止める研究をしていたらしいです。
カノンノ・Eでも、突然フリーセルさんが暗殺されてしまったそうで……。
カーリャあわわわ……。暗殺……。
リッドきな臭い話になってきたな。
カノンノ・Eそれでマークがフリーセルさんの代わりに指揮を執るようになったと聞いています。
カノンノ・Eでも突然救世軍がフィルの研究室にやってきて、フィルも私も連れさられてしまいました。
カノンノ・E私はフィルと引き離されてしまって……。お願いです。フィルとマークを救世軍から助けて下さい !
カノンノ・E私、二人を助けるためならどんなことでもします。二人は私の命の恩人なんです。
イクスわかった。
ミリーナイクス ! ?
イクスミリーナ。マークは俺たちにとっても命の恩人じゃないか。それにフィルは幼なじみだろ。
ミリーナええ……。でも今までのことを考えると……。
イクスわかってる。だから、決断する前にみんなの話を聞いておきたい。
リッド……でも、もう自分の中では決めてるんだろう、イクス。どこかの誰かと同じ目をしてるからな。
ファライクス、わたしは間違ってないと思う。助けを求めて伸ばしてきた手を振り払うなんてできないよ。
ファラ例え敵対していた人でも、話せばわかることだってあるんじゃないかな。
カノンノ・Eマークが皆さんと敵対していたのは救世軍に追われるようになってから初めて知りました。
カノンノ・Eでも少なくとも私の前では、マークは二人のことを「いい奴らだ」って笑って話してくれたから……。だから、お願いします !
ミリーナ……カノンノ。そんなに頭を下げないで。ごめんなさい。私も警戒しすぎたのかも知れない。
ミリーナでも私たちには協力してくれる仲間がいるの。みんなの話も聞かないと。少しだけ時間をちょうだい。
カノンノ・Eもちろんです。困らせてごめんなさい。
イクスよし、ケリュケイオンとの合流地点に向かおう。

キャラクター6話【12-5 とこしえの森】
リフィルそう……。こちらへの報告ありがとう。判断はイクスに任せるわ。
リフィルただ助けに行くというなら決して無理はしないこと。そして気を抜かないこと。
リフィル全てが罠かも知れない。人を信じるのと同じぐらい、情報を精査することも大事よ。
イクスはい、リフィル先生。そちらの調査はどれくらいかかりそうですか。
リフィルまだかなりかかりそうなの。後のことはよろしく頼むわね。
リフィルそれからロイドとルークとカイルに宿題を忘れないように伝えてちょうだい。
リフィルあとそろそろジェイドがそっちに着く頃だからろくでもないことをしないように見張っておいてね。
カイルえー ! ? もしかして宿題出されたのってオレとルークとロイドだけなの ! ?
ロイドやっべー。先生がいない隙にと思ってクレス道場に入り浸ってた……。
ルークてか、何で俺がカイルとロイドと同じ扱いなんだよ !
カノンノ・Eフフ…… !
ミリーナどうしたの、カノンノ。
カノンノ・Eごめんなさい。私の世界にもカイルたちにそっくりな人たちがいるんです。
カノンノ・Eまるで同じ人みたいな反応だから何だか懐かしくて……。
イクスよし。みんなの意見も大体俺と同じだったしリフィル先生も任せてくれるそうだから……。
ロイドマークとフィリップって人を助け出すんだな。任せとけ !
カイルオレ、必ず二人を助け出してみせるよ !
ルークまずは二人のいそうな場所のあたりをつけないとな。
ユーリおいおい、お前たちは宿題やっとけって釘刺されたばかりだろ。ここはオレに任せて三人はさっさとお勉強に戻るんだな。
ジェイドそうやって体よく子守から抜け出そうという訳ですか。
ユーリ一番の問題児が帰ってきたな……。
ジェイド話は聞かせてもらいました。マークにしてもフィリップにしても重要な情報を握っていることには違いない。
ジェイドカノンノ。二人が囚われている場所に心当たりはありますか ?
カノンノ・Eはい。何ヵ所か、救世軍が拠点にしている場所を知っています。
イクス手分けして捜すしかないな。カノンノも手伝ってくれるか ?
カノンノ・Eもちろんです !
ロイドそうだ !チェスターなら救世軍のことも詳しいよな。俺、ちょっと捜してくる !
ルークあ、俺も行く ! カイルも来いよ。
カイルうん。ユーリ、抜け駆けは駄目だからな !
カノンノ・Eチェスターさんがここにいるんですか ?
ジェイドああ、チェスターも救世軍にいましたからねぇ。顔見知りですか ?
カノンノ・Eは、はい……。
ジェイド…………。
ジェイド失礼。私もクレスに話があるので後のことはよろしくお願いします。
ユーリ…………。
イクスわかりました。それじゃあ、カノンノ。拠点の場所を教えてくれ。
イクスユーリさんの意見も聞きたいんでこっちに来てもらえますか。
ユーリ……ん ? ああ、わかった。

キャラクター7話【12-6 とこしえの森 奥地】
イクスこちらイクス。A地点が見えてきた。これから潜入する。
マリアン了解しました。BからDまでの救世軍拠点に向かった皆さんも、潜入に成功したようです。
イクスありがとう。また連絡します。
チェスターこういうとき、人数が多いのは助かるな。
カーリャ数は力ですからね。
カノンノ・Eでも一番可能性が高いのはこの先のA地点にある拠点です。
カノンノ・E一番古くから救世軍が使っている拠点なので……。
ミリーナねぇ、カノンノ。よかったら、もっとフランクに話さない ?女の子同士、仲良くしましょう。
カノンノ・Eうん……でも、色々無茶なお願いをしているから……。
ミリーナ私……これでも悪かったなって思っているの。イクスみたいにすぐにカノンノの申し出を受けてあげられなかったから。
ミリーナ親しい人を案じる気持ちはみんな同じなのに色々なことを考え過ぎちゃって……。
ミリーナしかもマークはカノンノに私を頼れって言っていたんでしょう ?せっかく信じて頼ってくれたのに……。
カノンノ・Eミリーナさん……。
ミリーナミリーナって呼んで。私、カノンノともっと仲良くなりたいわ。
カノンノ・Eありがとう……ミリーナ !
チェスターカノンノはイクスとも気が合うと思うぜ。
イクス俺と ?
カーリャカノンノさまも変態的に心配性なんですか ?
イクスど、どういう意味だよ ! ?
チェスターいや、イクスって読書が趣味なんだろ ?
カノンノ・Eえ ? イクスさんも本が好きなんですか ?
イクスああ。本って俺の知らないことがたくさん詰まってるからさ。
イクス寝る前に本を読み始めて気づいたら朝だったなんてこともあるよ。
カノンノ・Eわかります。私も本を読んでいるとつい夢中になっちゃうから。
ミリーナふふ、よかったね、イクス。読書友達が増えて !
イクスうん。カノンノにケリュケイオンの書庫を見せたいよ。
カノンノ・Eうわぁ ! 見てみたい !
ミリーナ状況が落ち着いたら、必ず案内するわ。まずはフィルとマークを助けましょう !
カノンノ・Eうん、私も頑張るね !

キャラクター8話【12-7 A地点のアジト 入口】
イクス……あんまり人がいないな。おかげで侵入するのは簡単だったけど。
チェスターここにはいないのかもしれないな。マークなりフィリップなりが捕まってるなら警備が厳重になるんじゃないか ?
ミリーナそうね。でも、もしもってこともあるし他の班が見つけたって連絡をもらうまではしっかり捜しましょう。
マーク――誰だ ? 誰かいるのか ?
カノンノ・Eマーク ! ?
マークカノンノ ! ? どうしてここに ! ?
カノンノ・E助けに来たの。ミリーナたちも一緒だよ。
マーク! ?
チェスター…………。
マーク……なんだよ、このメンツは。
チェスター悪かったな。【裏切り者】がこんなところにいてよ。
イクスマーク。今助けるから。
マーク……へぇ、この牢の鍵を持ってるってのか ?
ミリーナイクスは鏡士なのよ ?
イクス錠前を元に、鍵の形を思い描いて――。
チェスターはー…… ! 鏡士ってのは便利だな !こんなに簡単に鍵が作れるのか。やりたい放題だな !
イクスはは……。あんまり複雑だと俺にはまだ無理だけどね。
イクス……マーク。早く行こう。
マークはっ、かっこわりぃな。でも――ありがとな。
イクス前に助けてもらっただろ。そのお礼だよ。
マーク…………。
カノンノ・Eマーク。フィルはどこ ?
マークあ、ああ。この拠点にいないなら別の場所だとは思うが……。
カノンノ・E場所、わからない ?
マークわりぃな。どうにもぼやけちまっててよくわからねぇんだ。
ミリーナ何 ? どういうこと ?
マーク……何でもねぇよ。助けてもらったことは感謝してるが俺はフィルを捜す。
イクスフィルなら俺たちも捜す――いや、もう捜してる。
マークは ?
カノンノ・E今、鏡映点のみんなが手分けして救世軍の拠点を回ってるの。
マーク――いや、それは……どうかな。
イクスどういうことだ ?
マークフィルは特別なんだ。俺みたいに、こんな辺境の拠点に放置していい存在じゃない。
マーク救世軍のアジトを回ったところであいつはいないと思うぜ。
ミリーナでもマークを見つけることはできたわ。とりあえずケリュケイオンに行きましょう。
マークお前らを殺そうとしていた俺を連れて行くのか ?とんだお人好しだな。
ミリーナ殺そうとしていた相手に妹分を任せようとするあなたも相当お人好しだと思うけど ?
マーク……そりゃそうだ。だせぇが仕方ないか。わかった。一緒に行かせてもらう。
チェスター…………。

キャラクター9話【12-9 A地点のアジト 出口】
イクスどうした、マーク。
マーク……わりぃ。前言撤回だ。俺はここに残る。
チェスターはぁ ? 今更何言ってるんだお前 ! ?
イクスフィルを捜すなら協力し合った方がいいだろ ?
マークお前みたいな坊やと協力して何になるって言うんだよ。
イクス坊やって言いぐさはないだろ。どうして急にそんなこと言い出すんだよ。
マークなんだっていいだろ。とにかく俺はお前らと一緒に行く気はない。戻らせてもらう。
カノンノ・E待って、マーク。ちゃんと話した方がいいよ。本当のこと。
マーク…………。
カノンノ・E私、マークがミリーナとイクスにどんなことをしてきたのかよく知らないけど……。
カノンノ・Eでも今は協力してるんだから隠しごとはやめようよ。
イクスマーク。何か理由があるなら話してくれよ。それに俺たち、フィルのことも聞きたいんだ。
マーク……わかったよ。どっちにしても俺はこれ以上お前らと一緒にはいけないんだ。【物理的】にな。
チェスターどういうことだ ?もっとわかるように話せよ。
マーク俺は……フィリップの鏡精なんだ。
カーリャえ ! ? 私と同じ…… ?
イクス鏡精 ! ?でもカーリャとマークはまるで違うけど――
ミリーナカーリャが小さな妖精の姿をしているのは私の具現化の力がまだこの程度だからなの。
ミリーナもしもフィルがカレイドスコープなしで異世界から人を具現化できるほどの力を持っているなら、鏡精だって当然もっと……。
マークまぁ、そういうことだ。鏡精はご主人様の傍を離れて行動することができない。
マークフィルほどの鏡士になれば俺の行動範囲もかなり広いが、それでも限界はある。
マーク感じるんだよ。これ以上進むと俺の存在が保てなくなって消えちまうって。
ミリーナつまりフィルはここからかなり離れたところにいて、この拠点のある場所は限界ぎりぎりのところにあるのね。
マークああ。どうりで監視も緩いしろくに飯も出てこない訳だぜ。
マーク俺がここから出られないことを計算して閉じ込めてたんだ。
イクスあ、でも、前にカーリャがミリーナから離れすぎて消えたときはすぐにまた復活できてたけど……。
マークフィルの生死がわからないからな。今ここで俺が消えたら二度と復活できるかわからない。
マーク仮に復活できたとしてももう姿も記憶も変わっちまってるかも……。
ミリーナえ ? おかしくない ?フィルが死んでいたらマークだって消えてしまう筈でしょう ?
マークそれは――
救世軍いたぞ ! イクスとミリーナだ !
チェスターくそ、見つかっちまったか。
マークここは俺が食い止める。お前たちは逃げろ。
カノンノ・Eでも、マークが――
マークどうせ鏡精だ。これ以上進めないならせめて壁になってやるさ。早く行け !
イクス――わかった。無理するなよ、マーク。
マークふん。馬鹿にするなよ ?鎖に繋がれちゃいるが、雑魚に負けるようなマーク様じゃねぇよ。
ミリーナ鏡精は鏡士の心の分身なのよ。フィルのためにも……無茶はしないで。
マークはいはい、早く行けって !チェスター、後は頼むぞ !
チェスター――わかったよ !行くぞ、イクス、ミリーナ !

キャラクター10話【12-10 鏡士の神殿 入口】
リオン待っていたぞ、イクス。
クレスフィリップ・レストンのことで情報が手に入ったんだ。
イクスフィルの居場所がわかったのか ! ?
リオンいや、各地に調査に出た連中もフィリップの居場所に関する情報は得られなかったようだ。
リオンこれ以上救世軍の拠点を洗っても手がかりは得られないだろう。
カノンノ・Eマークの言ってた通りなのかも。
カノンノ・Eフィルは簡単には見つからないような場所に閉じ込められてるんだって言ってたから。フィルは重要な存在だからって。
クレス確かに、重要な存在なんだと思う。僕たちが聞いてきた話が事実なら。
ミリーナフィルの情報っていうのは――
リオンフィリップ・レストンは、第103代――当代ビクエの真名だ。
リオンつまり、僕たちのあずかり知らないところで大地を具現化していた犯人がフィリップということだな。
イクスフィルが当代ビクエ ! ? 鏡士の中の鏡士 ! ?そんな馬鹿な ! あいつはまだ15歳ですよ !鏡士としては半人前だって言ってたのに !
リオンそれを僕に言うな。僕は救世軍から聞き出した情報を伝えただけだ。
リオンフィリップのことを聞きたいならそこの女に聞けばいいんじゃないか ?
カノンノ・E…………。
イクスカノンノ。教えてくれ、フィルは……俺たちの幼なじみのフィリップ・レストンはビクエの鏡士なのか ?
カノンノ・Eそう、だと思う。このティル・ナ・ノーグで最高の鏡士だって言ってたから。
イクスだとしたら、どうしてフィルはゲフィオン様の意向を無視して勝手に大地の具現化をしたんだ。
リオンそれよりも、フィリップは何故病気だなどと偽っていたんだ。
リオン奴がいれば、イクスやミリーナが具現化をおこなう必要などなかったんじゃないか ?
リオン城の連中も、救世軍も、フィリップも何をしようとしていたんだ ?
リオン大地の具現化の目的は、本当にこの世界を救うためだったのか ?この状態では何も信じることはできないぞ。
ミリーナ…………。
クレス勝手な具現化の犯人がフィリップという人だと決めつけるのは早計かも知れない。
クレスでも、僕たちは少し慎重に動いた方がいいのかも知れないね。
イクス……フィルを見つけよう。マークを助けるためにも、こんがらがった状況をはっきりさせるためにも。
ミリーナ…………。
イクスミリーナ ? 顔色が真っ青だぞ。大丈夫か ?
ミリーナ……え ? ああ、ええ、そうね。
ミリーナそれよりイクス、私アイデアがあるの。フィルの魔鏡の軌跡をたどればフィルの居場所がわかるんじゃないかしら。
ミリーナ鏡士は死ぬまで魔鏡を手放さない。魔鏡の場所がわかればフィルの居場所もきっとわかるわ。
イクス本当にそんなことができるなら……。でもミリーナ少し休んだ方がいいんじゃないか ?
ミリーナううん。急ぎましょう。今の状況でのんびりする訳にはいかないわ。
リオンミリーナの言う通りだ。多少体に負担がかかろうが、フィリップを見つけられるなら無理をしてもらう。
クレス……ミリーナ、本当にいいのかい ?休んでもいいんだよ。ここで倒れる方が大変なんだから。
ミリーナいえ、私もリオンさんの意見に賛成です。今無理をしてでもフィルを見つけるのは重要なことだと思うから。
クレス……わかったよ。イクス、ミリーナを見ていてあげてくれよ。
イクスもちろんです。
ミリーナ魔鏡の軌跡をたどるには集中しなくちゃいけないの。
ミリーナ以前ゲフィオン様がいた鏡士の神殿に向かいましょう。

キャラクター11話【12-11 鏡士の神殿 最深部】
カーリャあの時の鏡震の影響はなかったみたいですね。
カノンノ・Eここに来たってことはこの場所に何か意味があるんだよね ?
ミリーナ鏡士の魔鏡はこの神殿で作られることが多いの。フィルの魔鏡もきっとここで作られたものの筈よ。
ミリーナだからここでフィルの魔鏡の痕跡を見つけてそれをたどるのよ。
カノンノ・E魔鏡の痕跡……。どんなものなのかな。
ミリーナ人間には見えないわ。鏡精だけが見える虹色の光なのよ。
イクス鏡精しか見えないのか ! じゃあ、俺は……。
カノンノ・Eイクスも鏡精を呼べば ?
イクスえ ! ?
カノンノ・Eえ ? なんで驚くの ?イクスにも鏡精がいるでしょ ?
イクスいや、俺……鏡士としての正式な訓練は受けてないから……。
カノンノ・Eでもイクス、鍵を具現化したよね。あれだけのことができるなら鏡精も呼べるんじゃないかな。
イクス俺なんか――
イクス…………。
ミリーナイクス。もしイクスが鏡精を呼びたいなら私手伝うわ。
カノンノ・Eイクスの力、凄く強いよ。フィルだってイクスは凄い才能の持ち主だって褒めてたもの。できるよ、絶対 !
イクス……逃げてばかりはいられないよな。俺、やってみる。ミリーナ、教えてくれ。
イクスアニマを感じろ。俺の中にいるもう一人の自分を。俺の心の現し身――
イクス現世に姿を見せろ ! 鏡精コーキス !
コーキスいやっほーぅっ !ようやく俺の出番って訳か !マスター、ありがとな !
カノンノ・Eす、すごい ! すごいよ、イクス ! 鏡精だよ !
イクス俺の鏡精……。コーキス…… ?
コーキスおう、マスター !
イクスま、マスター…… ?
ミリーナふふ。鏡精の性格は人それぞれだから。
ミリーナ心の中の理想とか、抑圧している感情とか色々な物が干渉して鏡精の性格が作られるの。心の半身よ。
イクス俺の心の半身……。
カーリャむむ、カーリャの後輩爆誕ですね !
コーキスちーっす ! カーリャパイセン、よろしく !
イクス俺の心の半身と思うとちょっと複雑だな……。
ミリーナふふふ、可愛いじゃない。それじゃあ二人とも、フィルの魔鏡の痕跡を捜してくれるかしら。
ミリーナ二人は私たちの心から生まれた鏡精だから私たちの記憶の中にある【フィルの魔鏡】を知っている筈よ。それを追いかけるの。
二人了解 !
カノンノ・E待って ! 魔物の気配がする。
ミリーナそんな……。この最深部は神聖な場所の筈なのに。
イクス地震で環境が変わったのかも知れない。コーキス、カーリャ。二人はフィルの魔鏡の痕跡を捜してくれ。
イクス俺たちは魔物を迎え撃つ。

キャラクター12話【12-11 鏡士の神殿 最深部】
イクスコーキス、カーリャ ! どうだ ?
ミリーナ二人とも集中してるわ。きっともうすぐ――
カーリャ見えました !
コーキス俺にも見えたぜ !
二人こっちだ !
カノンノ・E……え、えっと。二人とも正反対の方を指さしてるけど。
カーリャこっちですよ。こっちからフィルさまの魔鏡の気配をギラギラ感じました !
コーキスいや、マスター ! こっちだ。こっちにフィルの魔鏡がキラキラしてるのが見えたぜ。
カーリャちょっと、コーキス。何先輩に逆らってくれちゃってるんですか !
コーキスはぁ ? ちょっと先に生まれたからって先輩風ふかすなよ、ベイビー。
ミリーナ二人とも、喧嘩は駄目よ !
カーリャだけど、ミリーナさま。本当にこっちに魔鏡の軌跡が見えたんです。
コーキスマスター。俺、嘘なんか言ってないぞ。
カノンノ・Eもしかしてフィルの魔鏡が二つあるとか割れて二箇所にあるとか ?
イクスうん。俺も同じことを考えてた。俺たちの鏡精が嘘をつく訳ない。二手に分かれて、両方とも確認してみよう。
ミリーナ私はカーリャの見つけた軌跡を追うわね。
イクス俺はコーキスの軌跡を追う。お互い魔鏡で連絡を取り合おう。
ミリーナカノンノはどうする ? ケリュケイオンに戻っていてもいいけれど、もしよかったらイクスと一緒に行ってくれると嬉しいな。
イクスえ ? どうして俺と ?
ミリーナイクス一人じゃ心配だもの。カノンノは明るくて元気できっとイクスを励ましてくれると思うから。
イクスば、馬鹿にするな。俺は一人だって大丈夫だよ。
イクスそれよりミリーナは最近無理してるからカノンノについていってもらって――
カノンノ・Eふふふ ! 二人とも本当にお互いのことを思い合ってて優しいね。
カノンノ・Eでも今回はミリーナの提案が早かったから私はイクスについていく。それでいいかな ?
ミリーナんー、もう ! カノンノったらなんて素直で可愛いのかしら。イクスのことお願いね。
イクスちぇっ。じゃあカノンノ、よろしく頼むな。
カノンノ・Eううん。フィルを見つけるためなんだし私、もっともっと頑張るね !
イクスそれじゃあ、行こう

キャラクター13話【12-12 ビクエの陵】
カノンノ・Eこの遺跡、何だか不思議な場所だね。凄く静かで、空気が凛としてる。
イクスここは……ビクエの陵、だと思う。本でしか見たことがないけど。
カノンノ・Eビクエの陵…… ? お墓ってこと ?
イクスうん。歴代のビクエが眠っている場所だって聞いてるけど、こんなところにフィルの魔鏡があるなんて、何だか嫌な予感がするな……。
カノンノ・Eお墓だからって怖いこと考えなくてもいいと思うな。
カノンノ・Eお墓って、亡くしてしまった大切な人に語りかけたりする場所でもあるでしょ ?
コーキスそうそう。マスターは悪い方向に考え過ぎなんだよ。
コーキスミリーナさまの心配した通りだったな。カノンノさまに感謝しろよー。
イクス本当だな。うん、きっと大丈夫だ。コーキス。フィルの魔鏡はどこだ ?
コーキスこっちだ。この奥だよ。
コーキスこれだ ! マスター、これがフィルさまの魔鏡だ。
イクスうん、間違いない。フィルが使ってた魔鏡だ。でも……もう一つある魔鏡はなんだろう。
カノンノ・Eそっちはフィルが最近使ってた魔鏡じゃないかな。歴代ビクエが代々受け継いできた古い魔鏡だって教えてくれたことがあるの。
イクスじゃあどっちもフィルの物で間違いないな。でも肝心のフィルはどこに……。
コーキスもしかして、ここに鏡をおいてどこかに行ったんじゃないか ?
イクス鏡士が魔鏡を手放すなんて……。
コーキスあ、でもマスター。その鏡があればマークって奴も助けられるかも。
イクスえ ? そんなことできるのか ?
コーキス魔鏡は鏡士のもう一つの心だからな。
コーキスもしマークって奴がこの魔鏡のどっちかを使って呼び出された鏡精なら、鏡を持っている限り存在が消えちまうことはなくなるよ。
コーキスもっとも鏡士からのアニマの供給がないから存在を保つのがやっとだと思うけど。
イクスでもマークをケリュケイオンに連れ帰ることはできるな。
カノンノ・Eうん。すぐにマークのところに行こう。
イクスよし、ミリーナに連絡しておくよ。

キャラクター14話【12-13 王宮への道】
ミリーナ……ねぇ、カーリャ。ここ、お城よ ?本当にここにフィルの魔鏡があるの ?
カーリャありますよ ! 多分……。
ミリーナフィルがここに来てるってことなのかしら……。
カーリャミリーナさま。何だかあんまりフィルさまに会いたくなさそうですね ?
チェスターん ? 幼なじみなんだろ ?
ミリーナええ。イクスとは違って、手の掛からない真面目ないい子よ。凄く可愛い子なの。
チェスター……かわ……いい ? そうなのか ?マークから聞いてる話と随分違うな。
カーリャほえ ? どう違うんですか ?
チェスターええっと……なんて言ってたかな。確か、研究大好きな偏執狂で友達も作らないで研究室に籠ってるって。
チェスターオレも直接会ったことがある訳じゃないから本当のところはわからないけどな。
ミリーナ……そう。
? ? ?それは誰の話ですか ?
チェスターファントム ! ?
ミリーナ! ?
カーリャはわわわわ ! ?ミ、ミリーナさま、大変です !あ、あいつの魔鏡がフィルさまの魔鏡で――
ゲフィオンビクエ ! ? そこで何をしている ! ?
チェスターな……なんだと ?
ファントム?これはこれはゲフィオン様。ご無沙汰しております。
ファントム?国王陛下がこの第103代ビクエをお呼びだと伺いましたので病を押して登城いたしました。
ゲフィオン――では、早く陛下の元へ向かうがいい。
ファントム?それでは失礼致します。
ファントム?チェスター、ミリーナ。それに小さな鏡精。お話はまたの機会と致しましょう。失礼しますよ。
ミリーナ…………。
チェスターおい、ゲフィオンだったな。あんた、あいつの正体を知ってるのか ! ?
ゲフィオン正体 ? あれは我が国の鏡士の最高位であるビクエ。……フィリップ・ビクエ・レストンだ。
チェスターあいつは救世軍の幹部のファントムなんだよ !
ゲフィオン救世軍だと ! ?
ゲフィオン――そうか、あのフィルが救世軍なのか……。
ミリーナ――ゲフィオン様。あの【夢】は真実なのですか ?
チェスターミリーナ ? 一体何の話だ ?
ゲフィオン……夢の記憶はそこまで進んだのか。ならば今更尋ねるまでもなかろう。全て真実だ。
カーリャミリーナさま…… ?
ミリーナ――わかりました。もう、迷いません。悩みません。苦しみません。私は――今度こそイクスを守ります。
ゲフィオン……それでいい。
イクスミリーナ。マークを助けられそうな方法がわかったんだ。カノンノともう一度例の拠点に向かってみる。
ミリーナこちらも報告したいことがあるの。拠点で合流しましょう。
ミリーナゲフィオン様。私たちもこれで失礼します。
ゲフィオン――待て。戻るのならイクスに伝えてくれ。私も陛下も全てを話す準備ができた、と。
ミリーナ
ミリーナ――わかりました。

キャラクター15話【12-14 A地点のアジト 中核】
マーク……おい。性懲りもなくまた来たのか。お前らは。
イクスお前だって、また捕まってるじゃないか。
マークあのなぁ。よく考えてみな。ここに来るまで救世軍の連中には襲われなかっただろう ?
マークこの牢にも鍵は掛かってねぇよ。この拠点は俺が制圧した。まぁ、そのうち救世軍の援軍が来るだろうけどな。
カノンノ・Eじゃあ、どうして牢屋にいたの ?
マーク暗くて静かなんでな。寝るのにはちょうどいい。どうせこの拠点からは出られないんだしな。
カノンノ・Eねぇ、マーク。私たち、フィルの魔鏡を見つけたの。
カノンノ・Eこれがあればマークもフィルの傍を離れて動けるんでしょう ?
マークこいつは……確かにフィルが俺を呼び出したときの魔鏡だ。でも何でこれがあって、フィルがいないんだ ?
イクスわからない。ビクエの陵に置いてあったんだ。
マーク何…… ! ? この魔鏡、二つともビクエの陵にあったのか ! ?
イクスえ ? あ、ああ……。
マーク……そんな……馬鹿な……。
カノンノ・E何 ? 何か意味があることなの ?マーク、フィルに何か起きたって事 ?
マーク……いや、それは――
ミリーナイクス ! みんな、大変よ !救世軍らしき兵士たちがこの拠点に向かってるの。
チェスターちらっと見えた限りじゃ奴らを率いてるのは、ミトス・ユグドラシルだった。
マークあの坊やか、こんな時に……。
イクスミトス ? ロイドから聞いたことがある。確か、ロイドたちの世界の人で凄く強いって……。
チェスターああ。あいつはやばい。大体ハーフエルフってのは色んな意味で規格外の奴が多くてな。
チェスターミトスも相当なやり手だ。急いで逃げるぞ。
イクスよし、マーク。しっかり魔鏡を持ってろよ。
マークああ。わかった。

キャラクター16話【12-15 A地点のアジト 出口】
ミトスお疲れ様。チェスター、カノンノ、マーク。
ミトスあ、マークはもう返事するどころじゃないみたいだね。鏡精って案外不便なんだ。
マーク…………っ。
ミトスこっちに来るとは運がいいね。正面なら100人規模の救世軍兵士が相手だったんだよ ?
イクス……え ?お前……きみが、ミトス ?
ミトスうん。初めましてだね、イクス。それにミリーナも。噂は色々聞いてるよ。ファントムから。
ミリーナ
ミトス本音を言うとね僕はマークの方に付きたいんだよ。
ミトスでも……現時点で僕の願いを叶えてくれるのはファントムの方だから。
カーリャぶるぶるぶる……光魔ですぅ !
コーキスうわっ、チキン肌になった !これが光魔の感触かよ。気持ち悪い……。
カノンノ・E待って ! ミトス。私は――私のことは助けてくれるよね。
コーキスえぇ ! ? まさかの裏切りフラグ ! ?
カノンノ・E鏡精さんは黙ってて。
マークカノンノ……。お前、まさか……。
カノンノ・E私、もっと色んな世界を見てみたい。こんなところで終わりたくないから。
ミトスカノンノ、本当にいいの ?
カノンノ・E……ごめんね !
カーリャはわわ、カノンノさまのポーチから剣が ! ?
コーキス仕込み杖ならぬ仕込みポーチかよ ! ?
カノンノ・E今のうちに逃げよう !
ミトス――光魔。こっちの用件は終わった。あとは任せるよ !
イクスくそっ、光魔たちに追いつかれる。
マーク俺を棄てていけ。俺を抱えてなけりゃもっと速く走れるだろう。
ミリーナ立っているのもやっとのくせに何言ってるの。そんなことできる訳ないでしょう。
チェスターミトスの奴、追ってこないぞ。ここで光魔を片付けちまおう。
イクス了解だ !

キャラクター17話【12-15 A地点のアジト 出口】
イクス何とか帰ってこれたな。
マーク……ここがお前たちの船か。
スタン……マーク !
リオンスタン、よせ。イクスがカノンノの頼みを聞き入れて助けると決めたんだ。お前も納得しただろう。
スタン納得した訳じゃない。ただ、イクスがそう決めたのならその判断を尊重してやりたかっただけだ。
リオンだったら我慢しろ。恐らくあいつは黒幕であるファントムに繋がっている。
カノンノ・Eごめんなさい。みんながマークによくない感情を持っていることはわかっています。
カノンノ・Eいずれ必ずお詫びをしてマークと一緒に出て行きますから。
スタンいや……。俺の方こそ、かっとなってすまなかった。それに、出て行くなんていうなよ。
リオンそうだ。お前たちは救世軍とファントムの情報を持っている。だから――目の届く場所にいてもらうぞ。
カノンノ・E……ありがとう。リオンさん、スタンさん。これで後はフィルの行方さえわかれば……。
チェスターそのことなんだが報告しなけりゃならないことが色々あってな。
チェスターただ長い話になりそうなんだ。とりあえずマークを休ませてからにしないか。
イクスああ、わかった。
ミリーナそれにしても、カノンノナイス不意打ちだったわよ !
ミリーナおかげで本当に助かったわ。ありがとう。いいこいいこ♪
カノンノ・Eミリーナに頭をなでてもらうとほっとする。
マークお前、頭をなでられるの好きだからな。
ミリーナもう、それならそうと言ってくれれば !私、いくらでもなでてあげるのに。可愛いなぁ !
カノンノ・Eでも私、謝らないといけないことがあるの。ミトスに不意打ちしたときにビクエの魔鏡を落としたみたい……。
マークいや、あれは落としたんじゃない。ミトスはカノンノの不意打ちを見抜いていた。
マークカノンノの剣が飛び出してくるのをわかっていて、ぎりぎりまでカノンノを引き寄せて、ビクエの魔鏡を奪ったんだ。
チェスターじゃああいつの目的はオレたちをどうこうすることじゃなくてビクエの魔鏡を奪うことだったのか。
チェスターくそっ、してやられたって訳かよ。
ミリーナビクエの魔鏡をどうするつもりなのかしら……。
イクス敵の動きが、わからないことばかりで混乱するな。
ミリーナそうだわ、イクス。ゲフィオン様が、全てを話すって。
イクス
マーク全てをねぇ。面白い。俺も同席させてもらいたいな。
ミリーナマークはそんな強がりを言っている場合じゃないでしょ。あなたは医務室へ行くの。
マーク……はぁ、ホント締まらねぇなぁ。ダサすぎるだろ、俺。
ミリーナあなたは病人みたいなものなんだからダサいも何もないでしょ。
マークはいはい。――ありがとな、ミリーナ。
イクスじゃあ、今後のことを話す前にみんないったん休憩にしよう。リタたちの設計図解析がどうなったかも知りたいし。
チェスターああ、そいつはいいな。ひとっ風呂浴びて、さっぱりしてぇや。
クレスチェスター、ちょっといいかな。
チェスターん ? どうした、クレス。
クレスチェスター。僕に隠していることはないか ?
チェスター……っ !
クレスもし何かあるなら、話してくれ。
チェスターはは、何もないって。何でもない。お前、この間から変に勘ぐりすぎだぞ。さーて、少し休ませてもらうぜ。
クレス……チェスター。
ガイ――やっぱり口を割りそうにないな。
クレスもう少し時間を下さい。
クレスチェスターが何をしようとしているのか何を悩んでいるのか、必ず聞き出してあいつを助けたいんです。
キャラクター1話【密談】
ゼロス……調べれば調べるほど嫌な話になっていくな。俺さまたちにとっては。
クラトス仕方があるまい。我々はこの世界に造り出されてしまった。
クラトスだが、あの若い鏡士の二人に悪意があったわけではないようだ。
ゼロスリフィル様に接触して確証を得てくるか。
クラトスそれがいい。私は国王の方を探る。
ゼロスへぇー。やっぱりロイドとは合流しないってか ?
クラトスロイドはロイドのやり方でこの世界と対峙していくだろう。私が行動を共にする必要はない。
ゼロス……父親らしいことは何もしないで期待と責任だけは押しつける。そういうところが気にくわねぇんだよ。
クラトス……フ。それは神子も同じだろう。
ゼロス俺さまとあんたは立場が違うだろう。……いや、結局同じなのか。くそ。
クラトス神子。ケリュケイオンにはマークがいる。奴からアルヴィンの動向を探ってほしい。
ゼロスへいへい。毎度人使いが荒いな。クルシスの天使様はよ。それじゃ久々にハニーたちに会いに行くか !
クラトス――気を抜くな、神子よ。この世界の鏡士は、世界の理を覆す力を持つ。
ゼロス……あんたもな。ロイドと決着をつけるまでは。
ゼロスって、まぁ、俺さまにはどうでもいいことだけどな。

キャラクター2話【13-1 最北端の島へ続く道】
? ? ?ミリーナ。お願いがあるんだけど、いい ?
ミリーナもちろんいいわよ。何、フィルのお願いって。
フィリップえっと……。今から一緒に水鏡の森に行ってほしいんだ。
ミリーナ水鏡の森 ? 素敵ね。 だったらお弁当を持って行きましょうよ !簡単なもので良ければ、すぐに作るわ。
フィリップうん ! ありがとうミリーナ。
ミリーナそうだ !せっかくだからイクスも誘いましょう !三人でピクニックなんて、久々だもの !
フィリップえ ! ? あ……う、うん。――そうだね。それがいいね。
フィリップイクス、きっと港だよね。後で誘いに行こうよ。
ミリーナええ、それじゃあ急いでお弁当を作っちゃうわね。
イクス……ミリーナ ?ミリーナってば !
ミリーナえ、あ、な、何 ?
イクス大丈夫か、ミリーナ。やっぱり疲れてるんじゃないのか ?
ミリーナう、ううん。違うの。フィルのこととか……色々思い出していただけ。大丈夫よ。
イクス……そうか ?うーん、じゃあその言葉を信じるけど。
ミリーナそれより、どうかしたの ?
イクスリフィル先生が言ってた最北端の島に着いたんだ。
ミリーナあ、そうか、そこでリフィルさんと合流するのよね。急いで迎えに行きましょう。
コーキスマスター、ミリーナさま。何とかしてくれよ。
カーリャマークが俺も連れて行けってうるさくて。
コーキスカノンノさまが駄目だって止めてるんだけどもー大変だっつーの。
コーキスどんだけ首突っ込みたがりなんだよ。動けないのに。マジヤバいぜあいつ。
カーリャうんうん、マジヤバです。
ミリーナもう、しょうがないわね。私、ちょっと叱ってくる。
ミリーナついでにカノンノに、マークが勝手に出歩かないよう見張ってもらうわね。イクス、先に準備して待ってて。
イクスはは……まるでだだっ子だな。わかった。頼むよミリーナ。
チェスターミリーナ。丁度いい。オレもマークに用があるんだ。一緒に行く。
ミリーナええ、わかったわ。

キャラクター#N/A

キャラクター3話【13-2 最北端の島】
イクスリフィル先生。調査、お疲れ様でした。
リフィルいいえ、ゲフィオン様との面会までに間に合って良かったわ。
ロイド先生、何を調べてたんだ ?
リフィルそうね。虚無の調査――というのが正しいかしら。
イクス虚無って……光魔の鏡の中にあったあの真っ暗な空間のことですか ?
ロイド何であんなものを調べてるんだ ?
ミリーナもしかしてこの場所に私たちを呼んだ理由と関係があるんですか ?
リフィルええ、その通りよ。どうしてもあなたたちに見せておきたいものがあるの。
カーリャぶるぶるぶる……。
コーキスうわ ! ? チキン肌来た !マスター、光魔だ !
光魔……ウゥ~……ハルルルルル
イクス空からだと ! ?
ミリーナ危ない、イクス !
ロイドマジかよ ! ? 逃げ場がないぞ !
リフィル……戦うしかなさそうね。私も協力するわ。
ミリーナえ ! ? 大丈夫なんですか ! ?リフィルさんは特異鏡映点だから――
リフィルその点は大丈夫。とにかく今は光魔を何とかしないと。
イクスでもこの数じゃ――
ゼロスびびってんじゃねーぞ !美女と美少女の前なんだ。せいぜいかっこつけて虚勢でもはりな !
イクスえ…… ! ?
ロイドゼロス ! ?
ゼロスハニー、久しぶり !
ロイド久しぶりって――
ゼロスさぁ、半分は俺さまが引き受ける。ショータイムの始まりだぜ !

キャラクター4話【13-2 最北端の島】
ミリーナリフィルさん、身体は大丈夫ですか ?
リフィルええ。大丈夫よ。
リフィル特異鏡映点としての力は、キールたちが考案してくれた例のブレスレットである程度抑えられているの。
リフィル魔術を使った場合の暴走の可能性も考慮して何度か実験も済ませたから安心して。
ミリーナリフィルさん……。まさか……自分の身体で実験を…… ?
リフィルええ。人を巻き込むよりその方が気が楽だわ。
ゼロス何々 ? リフィル様で実験 ?そのキーワード超そそる !魅惑の女教師、放課後の実験――
リフィルだまりなさい !
イクスあ、あの……。ありがとうございました。
ゼロスいやいや、少年。もっと盛大に感謝してくれてもいいんだぜ。えっと、横にいる可愛いお嬢さんが…… ?
ミリーナミリーナです。あの、あなたは……。
ゼロスミリーナちゃんね !俺さまはゼロス・ワイルダー。気軽にゼロスくんって呼んでくれ。
ゼロスいやぁ、ミリーナちゃんはこの世界の太陽だね。笑顔がまぶしいよ。
ミリーナふふ、ありがとうございます。ゼロスくん。
ゼロスひゃー、素直素直 ! 俺さまのことくん付けで呼んでくれるの二人目よ ?
ロイドお前……相変わらずだな。
ゼロスハニー ! まさかこの訳のわからない世界でもハニーに会えるとは、やっぱ俺さまとハニーは運命の親友なのかなー ?
リフィルあら……ここが異世界だということは知っているのね。
ゼロスだって、俺さま、ここに来てから結構時間経ってるし。
ゼロス最初は一人でシルヴァラントにでも飛ばされたのかと思ったけどレアバードもないしな。
ゼロスなんか変だと思って色々調べてたのよ。そしたらリフィル様らしき人がいるって聞いてここまで追いかけてきたって訳。
ロイドへー。
ゼロス――ってロイドくん ! ?その反応冷たすぎじゃない ! ?
ゼロス何だかよくわからない世界で一人流浪して時には魔物に襲われ、時には飢えに苦しみながらやっとここに辿り着いたんだぜ ! ?
ゼロスもっとこうねぎらいってもんがあってもいいでしょーよ ! ?
カーリャえっと……。怒濤の展開でわやくちゃですけどこの人鏡映点ですよ。カーリャぶるぶるしてます。
リフィルそう……。私たちと同じタイミングで具現化されたはぐれ鏡映点なのね ?
ゼロスはぐれ鏡映点 ? 何だそりゃ ?
イクスそれは、色々長い話があって――
ゼロスあ、野郎はパス。ミリーナちゃんリフィル様、それにカーリャちゃん !俺さまにおせーて ?
イクスな、な、な……。
コーキスうおおおおおい !マスターのこと馬鹿にすんなオラァァァ ! ?
ロイドイクス、コーキス。あきらめろ。あいつはこういう奴だから。説明はリフィル先生たちに任せておこうぜ。
リフィルしょうがないわね。それじゃあ歩きながら説明しましょうか。目的地はこの先の森よ。
ゼロスお~け~お~け~。盛り上がっていこうぜぇ !

キャラクター5話【13-5 静かな森 奥地】
リフィル――ついたわ。ここよ。
イクスえ ? ここに何があるんですか ?
リフィル何もない空間が【ある】のよ。ほら、この先に手を伸ばしてみて。
イクス――え ! ? 何か……ある。何だ、これ ?
コーキスマジかよ、マスター ! ?
コーキスいたたた ! ? ホントだ ! ? やべぇ ! ?ここに何かある ! ?
リフィルそう。その見えない何かこそこの世界の【果て】。この世界を囲む見えない壁よ。
リフィルこの壁が虚無から世界を護っているの。つまりこの見えない壁こそ、アイギス計画の柱であるアイギスの盾なのよ。
イクス虚無……。あの光魔の鏡の向こうにあった何もない空間……。
ロイド……ん ?この壁、思ってたよりは柔らかいな。力一杯押したら、突き抜けそうだぞ。
リフィルええ。だから気をつけてね。簡単に虚無の方へ抜けてしまうわよ。
ゼロスしかし、何だって世界を護る盾がそんなに柔らかいんだ ?衝撃を吸収するためか ?
リフィルそうね。それにこの壁は今も広がり続けているからよ。
カーリャ壁が広がってる ? どうしてですか ?
リフィルそれはイクスとミリーナが、具現化で異世界からアニマを吸収しているから。具現化の度に世界は拡張し続けたの。
リフィルそうしてここまでの広さになった。今は具現化を止めているからほとんど壁は動いていないけれどね。
イクス――待って下さい。つまり、俺たちが具現化を始める前までは、この壁はもっとずっと狭かったって事ですか ! ?
リフィルええ、そういうことね。私とジェイドでかつてアイギスが存在していたと思われる痕跡を探っていったの。
リフィルその結果、一番古いものはセールンド付近の小さな島に点在していたわ。
リフィルつまりセールンド周辺以外の世界は既に消滅していた。
リフィルそれをイクスたちが具現化によってここまで造り直した、という事になるわね。
ロイドすげー ! ? イクスたち頑張ったんだな ! ?
ミリーナ………………。
イクス――あの、そのセールンド周辺っていうのはオーデンセまで含まれるんでしょうか ?
リフィル……そうね。オーデンセはセールンドに近い島だったから、含まれていた……とも考えられるわね。
リフィル残念ながら深海にまで痕跡を探りに行くことはできないしオーデンセも消失しているから――
イクス確証は、ない。
ロイドん ? 何か引っかかってるのか ?
イクス世界に滅びの危機――虚無が迫っていたからアイギスが造られた。だけどそのアイギスが壊れたからオーデンセ島を含めた世界中が消失した。
イクス俺とミリーナは奇跡的に消失に巻き込まれずにすんで助かった。――本当にそれならいいんだ。
ロイドそれ以外に何があるんだ ?イクスたちが生き残ったから、異世界からの具現化でこの世界がここまで広がったってことだろ ?
ゼロス……ああ、そういうことか。
カーリャ何ですか、ゼロスさま ?
ゼロスロイドくんの言った通り、そもそもミリーナちゃんたちが奇跡的に生き残ったから世界はここまで広がりを取り戻した訳だ。
ゼロスでも、もしも、その奇跡が仕組まれた奇跡だったとしたら ?
ゼロスオーデンセの消滅の時に、ミリーナちゃんたちも亡くなっていたのだとしたら ?
ロイド! ?
ゼロスもっと言えば、イクスはそれ以上のことを心配してるんじゃないのか ?
ゼロスそもそも消失したオーデンセは、本当にこの世界に存在していた島なのか。イクスたちがしてきたように誰かがオーデンセという島を具現化したんじゃないか。
ゼロスリフィル様たちの調査によればこの世界に最初から存在する島――オリジナルの島はセールンド島とその周辺だけだ。
ゼロスそこにオーデンセが入っていたのかいないのかで話は大きく変わってくる。
ゼロスま、つまり、イクスもミリーナちゃんも具現化された人間なんじゃないか……ってことだよな。
ロイドだけど具現化はイクスたちにしか――
ロイド……あ。
リフィルそうよ。イクスたちにしかできない【筈】だった。
リフィルでも、ビクエ――あなたたちの報告によるところのファントムにもできる可能性がある。
イクスファントムだけじゃない。フィルがいる。カノンノはフィルがビクエだと言っていた。
イクスもしフィルが本当にビクエならフィルにも具現化ができる。
イクスまぁ……そうなるとなんでゲフィオン様がファントムのことをビクエって呼ぶのかはわからないけど……。
ミリーナ………………。
リフィルそうね。ビクエが誰なのかという点は一旦置いておきましょう。
リフィルただ最初の大陸の具現化が、イクスたちではなくビクエによるオーデンセ具現化であった可能性を否定はできないわ。
イクス………………。
ゼロスまぁまぁ、そんな深刻な顔するなって。
ゼロスオーデンセは昔から残っていてミリーナちゃんたちが具現化を始めたんだって可能性も十分あるんだからさ。
ロイドああ、そうだよ。それに詳しい話はゲフィオンが教えてくれるんだろ。そういうのは『きゅう』っていうんだぜ !
リフィルき・ゆ・う、です。まぁ、使い方は正しいわ。ロイドにしては珍しく。
ロイド珍しいって何だよ ! ?
ミリーナ……ふふっ。そうですね。とりあえずこのことをみんなに報告しましょう。イクス、ケリュケイオンに戻ろう。ね ?
イクスあ、ああ……。うん、そうだな。

キャラクター6話【13-7 入り組んだ街道1】
ロイド……イクス。そんな顔するなよ。
イクスあ……ごめん。つい、色々考えちゃって。
ロイドイクスが具現化された存在かもって話か ?
ロイド俺、馬鹿だからよくわかんねぇけど仮にもしイクスが誰かに造られた存在だとしてそれが何か問題なのか ?
イクスえ…… ?
ロイド俺たちと同じだろ。俺たちもこの世界に具現化された。でも俺は俺だし、先生は先生だしゼロスはゼロスだぜ。
ロイドイクスはイクス、ミリーナはミリーナ。そうだろ ?
イクス……そうだけど、でも、元の俺は――俺たちはもう死んでるってことなんじゃないか ?
ロイドそれは……そうだな。その場合は多分そうなんだと思う。
ロイドでも元のイクスって何だ ?どんな奴で、何をしていたんだ ?
イクスえ ? ええっと、どうなんだろう。具現化は本人をそのままコピーするから多分、俺と同じで漁師をしてて心配性で……。
ロイドでも、そのイクスは俺たちのことを知らないんだろ ?
イクスそりゃそうだよ。元の俺は具現化してた訳じゃないから。
ロイドじゃあ、別人みたいなもんじゃん。
ミリーナ………… !
イクス別人じゃないよ、俺の元だから……うーん、昔の俺、かな ?
ロイド昔のイクスか。うん、ならそれでいいよ。昔のイクスは死んだのかもしれない。もしそうなら、そのことはつらいし残念だよ。
ロイドでも俺は今ここにお前が――イクスがいて嬉しいぜ。イクスと友達になれてよかったって思う。
ロイドもし昔の自分が死んで自分が具現化されたことが後ろめたいなら俺のせいにしていいぜ。
ロイド俺のために具現化されたんだってさ。
イクスロイド……。
ミリーナあら、イクスは私のために具現化されたのかも知れないわよ。私と再会するために。
イクスミリーナまで……。ミリーナだって俺と同じ立場なのに……。何か気を遣わせちゃってごめん。
イクスそうだよな。ロイドの言う通り俺、後ろめたかったのかも知れない。元の俺は死んでるのに、具現化されて……。
ゼロスおいおいおい、それが杞憂って奴だろ ?俺さまたちだって、元の俺さまがどうなってるかなんてわからねぇんだ。
ゼロス具現化された直後に死んでるかも知れない。自分の手の届かないところまで気にしてもしゃーないだろ。
イクス――はい。くそっ、しっかりしないとな。俺……腹をくくるって決めたのに。
イクス(そうだ……。馬鹿か俺は。俺なんかより、みんなの方に酷い運命を強いてしまっているのに……)
イクス(早くはっきりさせないと。異世界からの具現化の真実を……)
リフィルそれにしても、ゼロス。あなた、さっきこの世界のことを聞いたのに随分と理解が早いのね ?
ゼロス俺さま、王立学問所の主席よ~ ?地頭がいいんだなぁ、俺さまってば。
ゼロス頭も良くて顔も良くて性格も良くて非の打ち所がなさ過ぎるぜ~ !
ミリーナふふ♪ ゼロスくんって本当に頭がいいんですね。
ゼロスいや~照れるな~ ! でひゃひゃひゃ !
リフィル……まぁいいわ。先を急ぎましょうか。

キャラクター7話【13-9 入り組んだ街道3】
キールリフィル先生 !……無事でよかった。
キール計算は間違っていなかったしカイルから得られたデータでも、暴走を引き起こす可能性は限りなく低かったが……。
リフィルええ。あなたとガロウズが検証してくれたブレスレットですもの。安心して使えたわ。
リフィルこれで今後特異鏡映点が現れてもこのペンダントでこの世界への悪い影響をほぼ打ち消せるわね。
キール完璧に、といかないのが悔しいな。でもアニマが逃げる隙は用意しておかないと特異鏡映点に負荷が掛かりすぎる……。
リオンだが、特異鏡映点とは何なんだ ?
リオンファントムが人為的に作り上げたなら目的がある筈だ。いっそマークかチェスターに吐かせるか。
チェスターオレがそんな複雑なこと知ってるわけないだろう ?
アーチェちょっと !それ自分で言ってて恥ずかしくない訳 ?
リフィルあら、新顔ね。
イクスリフィル先生が調査に出ている間に合流したはぐれ鏡映点のアーチェです。クレスやチェスターの仲間だそうですよ。
リフィル……あら、あなた、ハーフエルフ、なの ?
アーチェそうだけど、その言い方だとそっちもハーフエルフってこと ?
リフィルおかしなものね。異世界にもハーフエルフがいてしかもそれに気づくなんて。もしかしたら私たちの世界は――
リフィルいえ、検証は後にしましょう。
リフィルそれよりこの調子だと、具現化でこちらに現れたはぐれ鏡映点はかなりの数いるのかも知れないわね。
ジェイド世界もすっかり広くなりましたからね。意識して捜していかないと出会うのは難しいかも知れません。
アーチェあ、眼鏡大佐 !
ジェイドはい、眼鏡です♪お帰りなさい、リフィル先生。
ジェイドそれから、リオン。特異鏡映点に関しては考察がすんでいます。
ジェイドおそらく特異鏡映点は、アニマを自在に操り一箇所に集中させるためのゲートとして造り出されたのでしょう。
リオンアニマを集める、だと ? こんな回りくどいことをしなくても、この世界にはアニマを集約する装置があるんじゃないか ?
ジェイドいえ、鏡映点であることが重要なのです。特異鏡映点の共通点は、何らかの原因で時の因果律が歪められる要素があるということ。
ジェイドおそらく特異鏡映点の放出するアニマは時間の壁を破ることができる筈です。
リオン時間の壁を破るアニマ……。そうか、この世界は過去の具現化を試みて失敗したとゲフィオンが言ったらしいな。
リオンこの世界の過去、ないしは未来を具現化する為に、特異鏡映点を造り出したのか。
リフィルおそらくね。さぁ、リオン。このブレスレットをマリアンさんに渡してあげて。
リフィルこれで彼女はこの世界に害を与えることもないしおそらく今後ファントムにアニマの反転の力を使われることもないわ。
リフィル人体に悪影響がないことは確認済みよ。
リオン――わかった。
イクス今の話を総合すると、ファントムの目的は特異鏡映点を利用して世界を消滅させる……みたいなことじゃないのか ?
ジェイドええ。おそらく全く別のものでしょう。
ジェイドそして――歪んでいると言っても差し支えありませんが、その目的のためなら世界が滅んでもいいとさえ思っている。
ミリーナそんな……。自分の目的を叶えても世界が滅んだら意味がないじゃないですか !
ジェイドええ。だから歪んでいるんですよ。
カーリャじゃあファントムの目的って何なんでしょう。それにマークがミリーナさまたちを狙っていたこともうやむやのままですし……。
ジェイド救世軍とマークとファントム。全ては切り離して考えた方がいい。同じ考えで動いていると思うから混乱するんです。
ジェイド――さて、そろそろセールンドに着く頃ではありませんか ?
アーチェんーと、そうみたい。
ジェイド皆さん詳しい話を聞きたいだろうとは思いますが、色々と心配なこともあるのでケリュケイオンに人員を残して下さい。
イクス心配なこと ?
ジェイドまぁ、色々とよからぬ輩が乗り込んできていますからね。
イクスマークならカノンノが見ていてくれますよ。それにマークがあの状態で動けるとは思えないですし。
ジェイドカノンノが信用できるとも限りません。それに……あのゼロスという男もかなり疑わしい。
ジェイドそう思いませんか、チェスター。
チェスターし、知るかよ。元の世界の知り合いだっていうリフィルとロイドに聞けばいいだろ。
リフィル――ジェイド。やめなさい。
ジェイド怒られてしまいました♪とにかくイクス、半数は船に残して下さい。私が残っても構いません。頼みます。
イクスわ、わかりました……。

キャラクター8話【13-10 セールンドの街1】
リフィル……いよいよ、ゲフィオン様との面会ね。イクス、心の準備はいい ?
イクスは、はい !
リフィルミリーナも……大丈夫ね ?
ミリーナ……はい。
リフィル……ミリーナ。最後に忠告させてちょうだい。全て自分で抱え込む必要はないのよ。もし助けが必要なら、遠慮せずに手を伸ばして。
ミリーナ――大丈夫です。
リフィル……そう。そうね。あなたはそういう子だものね。
イクス……え ? リフィル先生もミリーナもどういうことですか ?
イクスまさか二人とも、これからゲフィオン様が何を話そうとしているのかわかってるんですか ! ?
リフィル……少なくとも私とジェイドはある程度の事実をわかっているつもりよ。それにキールとリタにも情報を共有してあるわ。
イクスえ ! ?
リタそ、そんな顔しないでよ。一緒にこの世界の仕組みなんかを調べてたんだから当たり前でしょ !
キールぼくは……正直、まだ整理がついていない。知っていることと理解していることは違うからな。
ゼロスうーわー。知らぬはイクスくんばかりってか ?
リフィルそうね。その点は申し訳ないと思っています。私がキール研究室のみんなにお願いしたの。
リフィルゲフィオン様から……或いはミリーナから語られるまでは、イクスを含めた他のみんなには秘密にして欲しいって。
ミリーナリフィルさん…… !
イクスじゃあ、今俺がここで説明を求めても――
リフィル今は、語るつもりはないわ。まずはゲフィオン様に会いましょう。
救世軍兵士おっと。ここから先には行かせないぜ。
イクス救世軍か ! ?
ディストジェイドがきていないではありませんか ! ?こんな肝心なときにジェイドは何をしているんです ! ?
ゼロス何だぁ ? あのぶっさいくなロボットは ?
ディストムキー ! ! 芸術の分からない奴ですね !この四幻将、薔薇のディスト様がこてんぱんにしてやりますよ !

キャラクター9話【13-11 セールンドの街2】
ディストええいっ ! お前たち ! そのアホどもを逃がすんじゃありませんよ !
イクスくそ ! ディストさんを倒してもこれじゃあ――
救世軍兵士あがいても無駄だ。伏せてある兵はまだまだいるんだからな !
リフィル待ち伏せしていたという訳ね。
救世軍兵士イクス・ネーヴェの魔鏡を出せば命だけは助けてやる。
リタ冗談じゃないわよ ! イクス、あんたの魔鏡は絶対渡しちゃ駄目だからね !
イクスだけど……。
キールだけどじゃない !今ケリュケイオンを呼び出してる !味方が来るまでもたせるんだ !
救世軍兵士味方……ねぇ。ケリュケイオンに連絡がつけばいいがな !
ミリーナみんなに何かしたの ! ?――まさか、本当にケリュケイオンの中にスパイが ?
イクスだから……待ち伏せされたってことか ?
ジェイドまぁ、色々とよからぬ輩が乗り込んできていますからね。
イクスマークならカノンノが見ていてくれますよ。
ジェイドカノンノが信用できるとも限りません。それに……あのゼロスという男もかなり疑わしい。
ジェイドそう思いませんか、チェスター。
イクス(まさか……本当に…… ? だけど……)
救世軍兵士さぁ、どうする ? 魔鏡一つでこの場が切り抜けられるなら安いもんだろう ?
イクス魔鏡を……――
ゼロスあーあ。がっかりだぜ。ロイドくんも見る目がないねぇ。
イクスゼロスさん…… ?
ゼロス何なのよ、お前ら。ただでっかい船に乗り合わせてるお客様同士って訳か ?
ゼロスそれでよくもまぁ、友達だの仲間だの言ってられるぜ。
ゼロスホント、お前らの旅は随分適当なもんだったんだな。薄っぺらいお仲間だことで。
リタはぁ ?新入りが勝手なこと言わないでくれる ?あんたに何が分かるのよ !
キール確かに気に入らない奴だっている。それでも、ぼくたちはお互いの力を――仲間を信じている。そうだろ、イクス !
イクス……そうだ。確かにみんながみんな全てを話してはいないかも知れない。でもここまでの旅は嘘じゃない。
イクス嘘が混ざっていたとしてもそれでも俺はみんなに助けられた。だから……魔鏡は渡さない !
救世軍兵士何だと ?
イクスジェイドさんたちがこの状況に気づかない筈はない。
イクスたとえ情報が漏れていてもそんなの関係ない !
イクス俺はケリュケイオンのみんなを信じる !今はこの場をもたせよう !
ゼロスよく言った ! そういう気持ちがいい台詞を聞きたかったのよね。よっしゃ、もう一働きするぜぇっ !

キャラクター10話【13-11 セールンドの街2】
救世軍兵士無駄だ !
リフィル本当……きりがないわね !
イクスキール、ケリュケイオンとの連絡は ?
キール駄目だ。繋がらない。
リタこれ、ちょっとやばいかも。通信を妨害する何かがあるのかもしれない。
ルックマークさん、あれだ !
マークルック ! いい働きだぜ、助かった。
マーク――おい、クソども !誰の命令でこんなところにいやがるんだ ! ?
救世軍兵士マーク ! ? どうしてここに……。
マークああん ?お前らディストにつけてやった部隊か。まとめて相手してやるから覚悟しな !
イクスマーク ! ? 動けるのか ! ?
マークんなこたぁ、どうでもいいだろうが !ここは俺らに任せてお前らは王宮へ向かえ !
イクスえ ! ?
カノンノ・E急いで ! ゲフィオン様が狙われているの !
ミリーナ! ?
マーク早く行け !
イクス――わかった !
マークイクス――すまなかった。
イクスえ ?
マークこいつを持っていけ ! それでわかる筈だ !
マーク――さーて。奴が近くにいるせいか今日の俺は絶好調なんでな。お前ら、泣いて謝るなら今のうちだぜ ?
カノンノ・Eここから先へは行かせないから !
マーク消え失せろッ !

キャラクター11話【13-12 セールンドの街3】
キールはぁ……っはぁ……っ。ここまで来れば大丈夫か ?
リタねぇ、ゲフィオンが狙われてるってどういうこと ?
リフィルイクス。さっきマークから受け取ったのは手紙ではなくて ?
イクスあ、はい。そうみたいです。――ミリーナ。手紙を読む間追っ手をごまかしてくれないか ?
ミリーナわかったわ。最近覚えた幻の霧が使えると思う。これからみんなの姿を隠すわね。
ミリーナ声は隠せないから人が近づいてきたら知らせるわ。
キール……この霧も魔鏡の作りだした幻か。
リフィルただの霧ではないわね。光の屈折を利用して、私たちの姿を捕捉できないようにしている……。
リタこれ、面白いわね。何かに転用できそう。
ゼロスはいはいはーい ! 魔鏡術の考察は後回しにしてマークの手紙とやらをチェックしようぜ。イクスくん、頼むわ。
イクスあ、はい。読みますね。……えっと――
マークイクス。ミリーナ。すまない。ケリュケイオンが襲われた。俺のせいだ。
マーク俺の部下に鏡映点のアルヴィンって奴がいるんだがそいつが俺が伝えたイクスたちの情報を流したらしい。
マークファントムのスパイとして使っていたんだが奴に正体がばれそうになって俺やイクスの情報を流すしかなくなったと言っていた。
マークアルヴィンの話だと、ゲフィオンを捕らえて北の監獄に送る計画があるらしい。
マークゲフィオンからお前たちに情報が伝わらないようにするためだろうって話だ。急いでゲフィオンを確保した方がいい。
マークそれから、ケリュケイオンは無事だ。だが、こうなった以上、お前たちの世話になる訳にはいかない。今までありがとうな。
ゼロス……救世軍の仲間割れってことか。
イクスゲフィオン様が北の監獄に連れて行かれる前に助け出さないと……。
ミリーナ――待って。誰か来るわ。声を出さないで。
救世軍Aマークさんが戻ってきたって本当か ! ?
救世軍B相変わらずめちゃくちゃ強くて手が付けられないらしいぜ。
救世軍A……俺、マークさんには世話になってるし戦いたくねぇな。死神ディストより断然マークさんだろ。
救世軍Bわかるわー。俺も。ゲフィオンは確保したんだし俺らがサボっても大丈夫だろ。
コーキスゲフィオンさま捕まっちゃったのかよ ! ?
救世軍Aえ ! ? どこから声が…… ! ?
イクス馬鹿っ ! 気づかれたぞ ! ?
リフィル丁度いいわ。あの二人を捕まえてゲフィオン様がどうなったのか聞きましょう。
ミリーナじゃあ、霧を払います !
救世軍AB! ?
ゼロス美青年剣士ゼロス・ワイルダー参上ってな。さぁ、俺さま以上におしゃべり上手になってもらうぜ !

キャラクター12話【13-12 セールンドの街3】
リフィルリオンとジェイドが、さっき捕まえた救世軍から情報を聞き出してくれたわ。
リフィルやはりゲフィオン様は既に北の監獄へ連れて行かれたようね。
ロイド……そうか。じゃあ、急いで北の監獄に向かわなきゃな。
ロイドところでマークとカノンノは ?一緒じゃなかったのか ?イクスたちを助けに行ってくれたんだけど。
イクスああ、助けに来てくれたよ。でも……ケリュケイオンを降りるって……。
ロイド何だよ、それ !
ロイド――あ、そうか。ジェイドの奴それに気づいてて、わざとマークとカノンノだけをイクスたちの救援に向かわせたのか !
ロイド……くそ。話を聞きたいときに限ってブリッジにいないのかよ。後で見つけたらとっちめてやらないと。
イクスそういえばケリュケイオンも襲われたんだろう ?みんな大丈夫だったか ?
ロイドああ。こっちは大所帯だからな。みんなで戦ったんですぐに救世軍を追い払えたよ。
ロイドミリーナの方は大丈夫だったか ?
ミリーナえ ? 私 ?
ロイド救世軍の奴ら、ミリーナを捜してたみたいだったぞ。ミリーナがいなかったのもあってすぐに追い払えたんだ。
ミリーナ………………。
イクスミリーナ、何か心当たりがあるのか ?
ミリーナ……いえ、ただちょっと心配になって。
リタねぇ、ミリーナ、何か隠してない ?
ミリーナ………………。
キールミリーナ。みんな随分前から、お前のことを心配してるんだ。
キールこういうのがお節介だってことはぼくにもわかるが、もしも話せることがあるなら話してみたらどうだ。
ミリーナ――そう、ね。黙っていることはあるわ。ごめんなさい。
リタ別に謝らなくてもいいけどそれってイクスにも言えないことなの ?
ミリーナ今は……。でもゲフィオン様を助け出したら話せる……筈よ。
イクスミリーナ……。
ゼロス………………。
ロイドイクス、ミリーナのことを信じて待っていようぜ。ゲフィオンを助け出したら話してくれるって言ってるんだからさ。
イクス……わかった。ミリーナ、後で必ず話してくれよな。
ロイドなぁ、今度は俺も一緒に行くよ。今回はゲフィオンを助け出すだけなんだろ ?
ゼロスハニーは現金だな~。難しい話がなさそうだとわかった途端にこれかよ。
ロイドべ、別にそんなんじゃ……。まぁ、そうなんだけど……。
リフィルまったく、しょうがない子ね。
ミリーナ………………。

キャラクター13話【13-14 北の監獄2】
デミトリアス……ケリュケイオンは北の監獄に向かったようだよ。アルヴィンが首尾よくやってくれたようだね。
ファントムでは、もうアルヴィンは用済みですね。
デミトリアスリーパ、もうやめたらどうだい。ゲフィオンも悲しむ。
デミトリアスそれにアルヴィンだってメルクリアによくしてくれていたし。
ファントム黙っていて下さい。フィルのやり方は甘い。自分の本心を押し殺すからこんなことになるんです。
ファントム私はあの時のフィルの感情を鮮明に覚えています。
? ? ?ミリーナ ! 無事で良かった !
ミリーナ………………。
? ? ?……あれ ? イクスは ?
? ? ?――まさか……イクスは……。
ミリーナビフレストの……軍人が……オーデンセを襲撃して……。
? ? ?! ?
ミリーナみんな……みんな殺されたわ……。
? ? ?ミリーナ……。ミリーナ、泣かないで。僕がいるよ。僕がイクスの代わりにミリーナを守るから。
ミリーナ……許せない……ビフレスト……。私……絶対にビフレストを滅ぼすわ。この魔鏡の力で。
? ? ?……だったら、僕も協力する。イクスは僕たちの……大事な仲間だったんだから。
ファントム……そうして【お前】は何を手に入れた ?
ファントム――何も手に入れられなかった。お前は負け犬なのだよ、フィル。私は――そうはならない !
ファントムまずはこの地にアニマを集中させる !
イクスいたぞ ! あの牢屋だ !
ゲフィオン――イクス ! ? 何故ここに……。
イクスゲフィオン様が攫われたと聞いて助けに来たんです !
キールこの鉄格子、どうする ?何とかして壊さないと――
ロイドいや、この程度の鍵なら多分開けられると思う。ちょっと待っててくれ。
リタへぇ、意外な才能。ロイドって盗賊になったらいいんじゃない ?
ロイド嫌だよ、そんなみみっちいの !
ゼロススケールのでかい盗賊になればいいじゃないのよ。世界中の宝石を盗むジュエルハンターとか。
ロイドジュエルハンターって響きは何か格好いいな。
ゲフィオンみんな……すまない。これはきっと罠だ。急いでカレイドスコープの元へ向かわねば世界を護るアイギスの盾が崩壊する。
ミリーナえ ! ?
リフィル――やっぱりね。
リタホント。気にくわない奴らだけど、こういう推理させたら、あの眼鏡軍人とマントの坊ちゃんは役に立つわよね。
ロイドな、何だよ ? どういうことだ ! ?
リフィルマークとカノンノを監視も付けずに放り出す訳ないでしょう ?
カーリャま、待って下さい。アニマが……ぐるぐるして…… ! ?
コーキス……うぇ、吐きそう……。マスター……。苦しい…… !
ガロウズた、大変だ !大陸が――大陸が次々具現化されてるぞ ! ?

キャラクター14話【13-15 北の監獄3】
ガロウズ何なんだこれは ! ?
ジュード大陸がどんどん増えていく…… ! ?
カイウスうわっ ! ? な、何だ、地震か ! ?
シング……揺れてる ! ?――というか、なんでオレこんなところに ! ?
セネルな、何だ ! ? ここは――
ルカえ ! ? ここ、どこ ? みんなは――
ヴェイグ――っ ! ?
コーキスカーリャ ! ?
ミリーナ…………うぅ……。
イクスミリーナ ! ? ゲフィオン様 ! ?
イクスミリーナ ! しっかりしろ !
リタ駄目だわ。気を失ってる。
ロイドイクスは大丈夫なのか ?
イクスかなり気持ち悪いけどまだ気を失うほどじゃない。
リタとはいえ、本調子じゃないのね。だったらロイドあんたがミリーナを運ぶのよ。
リタいったんケリュケイオンに戻らないと。
イクスゲフィオン様は――
キール――え ! ? あ、いや……。
ゼロスあー。そういうことか。そりゃ、わかってても動揺するわな。ゲフィオン様は俺さまが運ぶわ。
リフィル――ありがとう。助かるわ。キール、それでいいわね。
キールあ、ああ……。そうだな。ゼロスに任せよう。
リオン――聞こえるか。思っていたとおりマークとチェスターが合流した。このままクレスと追跡する。
ジェイド私はカレイドスコープのところへ潜入して暴走が起きていないか確認してきます。
ジェイドそれとカノンノがそちらに向かった筈です。後は任せましたよ。
イクスどういうことです ?
リフィルマークとカノンノにはジェイドとリオンがチェスターにはクレスが付いて動きを探っていたの。
イクスチェスターが……。
ゼロスまぁ、待てよ、イクス。二人が何かを隠していることは間違いない。
ゼロスだが、それが裏切りだとは限らない。まだ何もわかっちゃいないんだ。
ゼロスお前、ケリュケイオンのみんなを信じるって決めたんだろ ? だったら焦るなよ。ドシッと構えてな。
イクス……はい。俺、未熟者だからちょっと揺れかけましたけど、でも大丈夫です。
リタどうでもいいけど、いつまでもここにいるのはまずいんじゃない ?建物が崩れてきたらおしまいなんだけど。
リフィルイクス。リタの言う通りまずはここを離れましょう。急ぐわよ。
イクスはいっ !

キャラクター15話【13-15 北の監獄3】
イクス外に出る扉が閉まってるぞ ! ?くそっ ! 押しても――開かない ! ?
コーキスマスター。上の方に小さな明かり取りの窓がある。俺なら抜けられそうだから見てくるよ。
コーキス駄目だ、マスター !瓦礫が扉のとこに落ちててふさいじまってる !
キールケリュケイオンに助けを求めるか……。
? ? ?そこをどけ。
コーキスへ ? あんたたちは――
? ? ?聖なる鎖に抗ってみせろ !シャイニング・バインド !
ロイド――この声は ! ?
イクスコーキス ! 誰かいるのか ?
? ? ?後は任せたぞ。
イクスカノンノ ! ?――そうか、そういえばさっきこっちに向かってるって言ってたな。
カノンノ・Eえ ? どういうこと ?
ロイド――なぁ、カノンノ、コーキス !今もう一人いただろう ! ?
カノンノ・Eあ、うん……。コレットと同じような羽が生えてる人が……。
ロイドやっぱり……クラトス ! ?
カノンノ・Eうん……。多分クラトスさんだと思う。私の世界にもそっくりな姿のクラトスさんって人がいたから。
カノンノ・Eロイドの世界でも、ロイドとクラトスさんは親子……なんだよね ?
ロイドえっ ! ?あ、ああ――あの……それは……。
ゼロス――あーっと、その辺は、まあ色々とあるのよ、カノンノちゃん。
ゼロスほれ、秀才くん。バトンタッチ !ゲフィオン様のこと抱っこしてあげな♪落とすなよ~ ?
キールな、何だよ、急に……。ぐっ、お、落とすもんか…… !
ゼロスクラトスがいたんだろ ?俺さまちょっくらその辺りを捜してみるわ。通信機借りてくぞ。
イクスえ、ゼロスさん ! ?
ゼロスそっちは大所帯だ。俺さま一人いなくても大丈夫だろ ?クラトスは色々と因縁のある相手でね。
ゼロスロイド君も会いたいだろうししばらくクラトスを捜すために単独行動させてもらうぜ。
ロイドあ、おい、ちょっと待てよ ! ゼロス !
リフィルロイド。今は好きなようにさせてあげなさい。
ロイドゼロス……。
リフィルカノンノ。あなたはどうしてここに ?
カノンノ・Eマークに言われたんです。イクスたちを助けてくれって。
カノンノ・E北の監獄に向かったのはわかっていたから私もゲフィオン様を助ける手助けをしたくて……。
リフィルそう……。つまり、あなたはこれが罠であることを知らなかったのね。
カノンノ・E罠 ! ? どういうことですか ?
リフィルやっかいね。誰が何をどこまで知っているのか……。
リフィルいえ、そうでもないのかも知れないわね。ゲフィオン様はここにいる……。
コーキスそういや、ゲフィオンさまは大丈夫かな ?
キールあ、おい ! ゲフィオンの顔の周りを飛ぶな !
コーキスやば ! ? 手が仮面に引っかかっちまった ! ?
コーキス――って、ゲフィオンさまの顔ミリーナさまにそっくりじゃん ! ?
三人! ?
コーキスマスター ! ?ゲフィオンさまとミリーナさまって親戚なのか ! ?
イクスそんな筈は……。
リタ……もう話した方がいいんじゃない ?
イクス何を知ってるんですか ?もしかして――もしかしてゲフィオン様は……ミリーナなんですか ! ?
リフィルそうね。ケリュケイオンでみんなに説明するわ。ゲフィオンとミリーナの関係について。
リフィルイクス。あなたには辛い話になるかも知れない。覚悟はできていて ?
イクス――大丈夫です、とは正直言い切れません。でも、俺は逃げたくない。聞かせて下さい。全てを。
キャラクター1話【ケリュケイオン】
イクスミリーナとゲフィオン様はまだ目を覚まさないのか ?
ジュードうん。鏡士特有のアニマ酔いのせいで昏睡状態に陥ってるみたい。
ジュード僕だけじゃ心許ないからガロウズさんの伝手でお医者さんを連れてきてもらったんだ。
ジュードでもやっぱり目が覚めるにはもう少し時間が掛かるって。
コーキスもう少しって……あれからもう三日だぞ。カーリャ先輩も消えちまったままだしどうなっちまうんだよ、マスター。
イクス……今は俺たちにできることをしないと。
キール――それならぼくたちの話を聞いてくれ。
リタ以前チェスターが持ってきたファントムの設計図なんだかわかったわよ。
イクス何をする装置だったんだ ?
キールあれは時間の流れの不可逆性を無効化したアニマ――つまり負の属性を持つアニマを人為的に操作するものなんだ。
キール特異鏡映点が生み出す負のアニマとキラル分子を使って、具現化情報そのものを変質させるための計算装置なんだよ !
イクスえっと……。言葉はわかるけど意味がよくわからない……。
ガイ要約すると、過去の世界から何かを具現化する時に、具現化する対象の情報を自分好みに変えられるってことだ。
イクスそ、そんなことができるんですか ! ?
ガイそうみたいだな。相当なエネルギーを必要とするから何でも無制限にという訳じゃないみたいだが。
リタどれだけ情報に手を入れるかで必要なエネルギーが違ってくるわね。
リタこれは仮説だけど、ファントムの奴アイギスで守る世界の範囲を狭める代わりに自分の楽園を作りたいんじゃないの ?
イクスもしそれが本当なら今まで具現化してきた大陸は……。
キール見捨てられる。おそらく虚無に飲み込まれるな。
シェリア重要なお話のところをごめんなさい。そろそろ食料を補給できないかしら。
シェリアもう三日もオーデンセ海域の上にいるでしょう ?備蓄が減ってきているの。
イクス補給か……。確かにそれは無視できないな。
ガイだが、どの大陸の街にも救世軍が待ち構えてるって報告だぞ。
リタオーデンセ海域の上空にいるのも救世軍がオーデンセ海域に近づけないからだもんね。
キールオーデンセ海域はアイギスの盾の効果が弱いからな。薄皮一枚隔てれば虚無だ。どうしてアイギスの修復機能が鈍るのか……。
マギルゥおお ! ? レーダーを見るのじゃ !哀れな枯れ葉の小舟が波間に飲み込まれておるぞ ?
クラースあれは魔物――いや光魔に追われているのか ?
コーキス距離が遠すぎるせいかな。チキン肌にならないぞ。
イクスクラースさん、マギルゥ船に合図を送れないか ?近くの島に上陸してくれれば助けるって。
マギルゥよしよし、任せておけ。伝わるかどうかは知らぬがまぁどうにかなるじゃろう。
ガイおいおい、大丈夫なのかよ……。
クラースイクス。この辺りの小島にはケリュケイオンが着陸できる場所がないがどうするつもりだ ?
イクス救出隊を組んで、コレットとアーチェに運んでもらいます。
イクスジュード、誰か手の空いている人を呼んできてくれ。船の人たちを助けるんだ !
ジュードわかった !

キャラクター2話【14-1 外れにある砂浜】
イクス――大丈夫ですか ! ?
セネルああ。あんたたちのおかげで助かった。
ヴェイグ突然、あの大きな乗り物から女の声が聞こえたときは何かと思ったがな。
イクス(マギルゥマイクで直接呼びかけたのか ! ?すごいな ! ? )
ユーリで、あんたたちは何で、大穴があいて見るからにやばい海域をあんな小さな船で横切ろうとしていたんだ ?
ヴェイグ――その前に一応聞きたい。お前たちは救世軍か ?
イクス違います。救世軍を捜しているんですか ?
ヴェイグいや――少し込み入っているんだ。
セネル俺はセネル。そっちはヴェイグ。訳あってセールンドって島を目指している。
セネルだが、安全そうなルートは救世軍って連中が押さえていてさっきの海域を抜けるしかなかった。
コーキスマスター ! めっちゃチキン肌来てるぜ。この人たちも鏡映点で間違いない。
ヴェイグ鏡映点…… ?救世軍も同じことを言っていたが一体何のことなんだ ?
セネルあんたたちは世界がどうなっているかわかってるのか ?
イクスあ、俺に説明させて下さい。少し長い話ですけど、お二人が疑問に思っていることには答えられると思います。
ヴェイグ……なるほど。つまりここはオレの世界でもセネルの世界でもなかったんだな。どうりで話がかみ合わない訳だ。
セネルイクスたちが救世軍と対立しているなら話は早い。
セネル俺たちは救世軍に攫われたクレアっていう女性を取り戻すためにセールンドに向かってるんだ。
ヴェイグオレたちは具現化されたなんて事情はわからなかったからな。
ヴェイグクレアと街に出てみたんだがそこで救世軍に追われていた少年を保護したんだ。
ヴェイグだが途中で敵に囲まれてクレアは少年と一緒に――
セネル俺も知り合いを捜して客船に密航したんだが最初の寄港地でヴェイグたちの起こした騒ぎに気づいたんだよ。
セネルそれで助太刀したんだが、クレアたちを取り返すことはできなかった。
セネルだから救世軍が集まっているっていうセールンドに向かうことにしたんだ。
ジュードねぇイクス。攫われたクレアさんと少年ってもしかしたら特異鏡映点なんじゃない ?
ヴェイグ特異鏡映点 ? 確かあのルカ……とか言う少年がそんな風に呼ばれていたな。
ユーリ嫌な感じがするな。救世軍の奴らこっちが把握している以上の特異鏡映点を確保してるんじゃねぇか ?
イクス俺もそう思います。だとしたら放置しておくのは危険だ。
イクスセネルさん、ヴェイグさん。よかったら俺たちにもクレアさんたちを助け出す手伝いをさせて貰えませんか ?
ヴェイグ……ヴェイグだ。ヴェイグでいい。
イクスえ ?
セネルこれから一緒に戦うんだ。変に気を遣うなってことだろう。
イクス――わかった。よろしく頼むよ。

キャラクター3話【14-2 開けた街道】
二人…………。
イクス二人とも、どうかしたのか ?
ヴェイグいや、異世界にはほうきに乗った魔女が実在するんだな……。
セネルそれに羽根が生えた……コレット、だったか ?両腕に俺とヴェイグを抱えて飛ぶなんてどれだけ力持ちなんだ……。
イクスはは……。ですよね……。
ユーリけど、あの二人のおかげでケリュケイオンが着陸できないとこでも俺たちは降りられてんだ。
ユーリここんとこ船の中にこもってたんで体がなまってたとこだ。救世軍相手に暴れてやろうぜ。
? ? ?そいつは丁度いい。
ジュード――アルヴィン ! ?
アルヴィンよう、優等生♪
イクスえ ! ? アルヴィンってマークの手紙に書いてあった――
コーキスマスター。この人も鏡映点だ。新しい鏡映点が見つかる度にぞわっとするのカンベンして欲しいぜー。
ジュード……アルヴィンは救世軍に関わりがあるんだよね。
ジュード確かマークのスパイとしてファントムの元にいたのに、僕たちの情報をファントムに流したって聞いたよ。
ユーリで、リフィルの見立てじゃ俺たちを北の監獄に遠ざけたのもあんただって話だったな。
アルヴィンおっと。武器に手をかけるのはやめてくれ。悪かったよ。こっちにも色々と事情があったんだ。
アルヴィン急に具現化なんかされて、知らない世界に放り出されたんだぜ。生き延びるために救世軍にしがみつくしかなかったんだよ。
アルヴィンもっと早くお前らに出会えていれば――なーんて言ってもこうなっちまったことはどうにもならないけどな。
アルヴィンでも……悪かったよ。
ジュードだったら、僕たちに力を貸してよ。
アルヴィンそのつもりでここに来たんだぜ。もっともマークとの約束があるから一緒には行けないけどな。
ジュードアルヴィン ! ?
ユーリこりゃまたうさんくさいことで……。
アルヴィンだよなー ! 自分でもそう思うわ。……それでもな。異世界に来てまで仲間を裏切るのはもう終わりにしたいんだよ。
アルヴィン……ってな訳で、これを受け取ってくれ。
イクスこの地図は……何ですか ?
アルヴィンファントムが集めた特異鏡映点が城の地下牢に移されてきた。その地図は地下牢へ通じる隠しルートだ。
アルヴィン今度こそ信用してくれて大丈夫だぜ ?
アルヴィン……ここに来てジュードたちを裏切ったら俺は本当に居場所を失っちまうからな。
ヴェイグアルヴィンと言ったな。クレアは――クレアとルカもここにいるのか ?
アルヴィン少なくとも俺が得た情報では特異鏡映点がそこに集められているのは間違いない。
アルヴィン個々の名前まではさすがに把握できてないんだ。悪いな。
ジュード……わかった。アルヴィンを信じるよ。レイアも言ってた。自分を救世軍から逃がしてくれたのはアルヴィンだって。
アルヴィン……そうか。じゃあ、俺はここで失礼するぜ。
アルヴィンそうだ、ジュード。確証はないがローエンが救世軍に囚われたって情報があった。もし地下牢にいるなら――
ジュード――助けるよ、必ず。
アルヴィンさっすが優等生。後は頼むな !
ユーリ信用していいもんかねぇ。
セネル確かにうさんくさい奴だが人を騙した後ろめたさも感じているようだった。
セネルその気持ちがあるなら信じてみていいんじゃないか ?
ヴェイグどのみち他に情報もない。信じて地下牢に向かうしかないだろう。
イクスロイドが言ってた。罠なんて壊せばいいって。
ユーリロイドらしいな。だが気に入った。行って一暴れしてやろうぜ。

キャラクター4話【14-4 地下の深部】
セネルあの地図、本物だったみたいだな。
イクスああ。でも牢の中には誰も――
? ? ?誰かいるんですか ?
ヴェイグクレアか ! ?
ジュードこっちだ !
ヴェイグクレア ! 待っていろ、今助ける !
クレアヴェイグ、それに皆さんありがとうございます。
ヴェイグ無事で良かった……。ルカはどうした ?一緒じゃなかったのか ?
クレアそれがルカや他に閉じ込められていた人はみんな連れて行かれてしまったの。
クレア魔女に壊された世界を取り戻す……とか何とか言っていたわ。
ヴェイグ魔女 ?
イクスゲフィオン様のことか…… ?
コーキスゲフィオンさまってミリーナさまのことか ?
イクスそれは……。
ジュードその話はいったん置いておこうよ。それより壊された世界を取り戻すって世界の再具現化ってことなんじゃない ?
ユーリファントムの目的は、自分の望み通りに造り替えた世界じゃないかって話だったな。
ユーリだったら連れて行かれた連中は特異鏡映点だっていう可能性が高い訳か。
イクスだとしたら、連れて行かれた人たちはカレイドスコープのところにいるんじゃないか ?
セネル待て。俺はまだこの世界のことがよく把握できてないんだが――
セネル特異鏡映点というのが世界の再具現化に使われるのだとしたら、今具現化している俺たちはどうなるんだ ?
セネルそれに今既に具現化されている大陸は……。
イクス……消えてしまうと思う。
セネル――っ ! ?
ヴェイグ……イクス、このまま敵のところに向かうつもりか ?
ヴェイグだがクレアには戦う力はない。クレアを連れて行くことはできないぞ。
リフィルイクス、聞こえていて ?ミリーナとゲフィオン様が目を覚ましたわ。
イクス! ?
ユーリイクス。ヴェイグとクレアを連れてケリュケイオンに戻れ。
イクスでも――
ユーリあっちはあっちで聞かなきゃいけないことは山ほどあるだろうよ。その代わり特異鏡映点の方は俺たちで引き受ける。
ユーリ忘れたのか ? イクス。こっちはお前らに力貸すって仕事を引き受けてんだぜ ?
ユーリ夜空にまたたく凛々の明星の名にかけてな。こういう時こそ俺の出番ってヤツさ。
ジュードそうだよ。それに僕の方もこの先に仲間がいるかも知れないんだ。
セネル俺もだ。
セネル特異鏡映点だか何だか知らないが救世軍が具現化した連中を集めているならこの先に俺の仲間もいるかもしれない。
ユーリ確かクレスたちも城に潜入してる筈だな。連絡を取って合流する。そっちはミリーナから【真実】を聞け。いいな ?
イクスわかりました。ヴェイグ、行こう。
ヴェイグああ。

キャラクター5話【14-5 城へ続く街道1】
ゲフィオン全ての始まりは十五年前のビフレスト皇国によるオーデンセ侵攻だった。
イクス……くそ。雨か。
ビフレスト皇国軍――見つけたぞ ! 鏡士だ !
ミリーナ! ?
イクスミリーナ、走れ !港まで行けばセールンドへ逃げられる !
ミリーナイクス、だけど――
イクスミリーナに手を出すな !
ビフレスト皇国軍どけ !
ミリーナイクス ! ?
ビフレスト皇国軍邪魔だー ! !
イクスミリーナは俺が守る ! !
イクスぐぅ……やらせ……ない……っ !スタック・オーバーレイ ! ! !
ミリーナそんな……うそ……
ミリーナイクス……うそ、だよね……
ミリーナイクス……目をあけてよ……お願い……お願いだからっ ! !
ミリーナやだよ……
ミリーナいや……
ミリーナいやーーーー ! ! ! !
イクス! ?
ミリーナ…………。
ゲフィオンその後セールンドに逃げたミリーナは幼なじみのフィリップと共に王立魔鏡科学研究所に入った。
ゲフィオンビフレストに復讐するために亡くなったイクスの両親がおこなっていた魔鏡兵器の研究を受け継いだのだ。
ゲフィオンそしてカレイドスコープが誕生した。カレイドスコープの力は絶大だった。
ゲフィオンビフレストの大地や人々のアニマを抜き取り残された物質としての存在――アニムスを光の砂へと変えて消滅させた。
ゲフィオンその力がセールンド王国を勝利に導き同時に、世界を破滅へと追い込んでしまったのだ。
ゲフィオンかつて世界が存在していた場所に何もない空間――虚無が生まれてしまった。
ゲフィオン虚無と世界の欠片である光の砂は暴走し瞬く間に世界を飲み込み、消滅させていった。
ゲフィオンこれがミリーナが――私が魔女と呼ばれる所以だ。
イクスじゃあ、あなたは本当に……。
ゲフィオン私の名はミリーナ・ヴァイス。世界を破滅させた女だ。
イクス………… !
リフィル――そしてあなたは、アイギスという世界を守る盾を造り出して残されたわずかな世界を守ったのね。
ゲフィオンそうだ……。しかし世界は既にセールンドとオーデンセの周囲しか残っていなかった。
ゲフィオン私は――私とフィリップはカレイドスコープを改良して、過去の時代から世界を具現化しようと考えたのだ。

キャラクター6話【14-6 城へ続く街道2】
フィリップ……ミリーナ。あきらめてくれ。
フィリップイクスの形見の魔鏡に、古のビクエの魔鏡を重ねても一年前が限界だ。これ以上過去へは遡れない。
フィリップ仮にできたとしても、現在との距離が遠いほど具現化のダメージが酷くなる。残されたこの世界まで引き裂かれるぞ。
ミリーナ――そう……よね。それにこれ以上時間をかけていたら、死の砂嵐で世界は虚無になる。それは避けなくちゃね……。
フィリップ……ミリーナ。試してみたいことがあるんだ。過去の【僕】を具現化してみたい。
ミリーナフィル ! ?
フィリップ範囲を狭めれば、十年前からでも具現化できると思うんだ。まずは僕で試して、成功したらイクスとミリーナを…… !
ミリーナ駄目よ……。それは……。
フィリップ世界は一年前から、オーデンセの住民だけは十年前から具現化すればいい。それにイクスの傍にはミリーナが必要だろう ?
ミリーナ駄目よ。同一時間に同一存在を具現化すれば、自震で双方のアニマとアニムスがダメージを受けるわ。
フィリップ僕の家系は融合の魔鏡術だ。いくつか回避策を考えてある。ミリーナ、やらせて欲しい。
ミリーナ……でもそれは、私のエゴなのよ。だから――
フィリップだったらこれは僕のエゴだ。僕はミリーナの願いを叶えたい。
フィリップイクスを甦らせてあげたいし、その横にはミリーナがいなければ駄目なんだよ。
ミリーナ…………。
ゲフィオンいくつかの実験の後私は……私の歪んだ思いを現実にした。
ゲフィオンその頃には、過去からの具現化も研究が進み個人レベルまで焦点を絞ればある程度の過去から具現化する手段が見つかっていた。
ゲフィオン私は、過去から甦らせた新生ティル・ナ・ノーグに十年前――今現在からはおよそ二十年前の時間軸からイクスやオーデンセの人々を甦らせたのだ。
イクスそれが俺……。
ゲフィオン――いや、正確には違う。
イクスえ ! ?
ミリーナ……違うの、イクス。私は二人目のミリーナだけど、あなたは――
ゲフィオン救世軍がアイギスシステムを破壊したのだ。
ゲフィオンその結果、システムを置いていたオーデンセ上空にアイギスの破片が降り注ぎ具現化したオーデンセも消失してしまった。
イクス! !
ゲフィオン全ては虚無に漂う死の砂嵐の影響だ。あれは世界の――人々のアニムスの欠片だ。アニムスには人々の記憶が残されている。
ゲフィオンそれが具現化した人々に【滅びの夢】という形で影響してしまった。
ゲフィオン彼らはかつて存在していた自分たちの滅びの記憶を夢として見ることになりそれが不安を生んでしまった。
ミリーナゲフィオンは――いえ、私は、オーデンセを守るために、航行権を制限したの。
ミリーナ特にオーデンセ海域への立ち入りは厳しくしていた。
ミリーナそれをビフレストと通じているからではと怪しんだ救世軍が、オーデンセのアイギス装置を破壊してしまったのよ。
イクスあの時……具現化された俺は死んだのか ! ?
ゲフィオンミリーナを庇って……命を落とした。それだけではない。過去から具現化した世界も死の砂嵐に飲み込まれてしまった。
ゲフィオン全ては水泡に帰した。もはや悠長に過去からの具現化をしていては世界が滅びてしまう。
ゲフィオンそれに過去から具現化した人々は死の砂嵐の存在によって、必ず滅びの夢を見る。過去の記憶がもたらす不安は、また破壊を招くだろう。
ゲフィオンだから私は最後の手段を講じた。それが異世界からの具現化だ。
ゲフィオンティル・ナ・ノーグそのものを甦らせることはできぬが異世界の力を借りることでこの世界を別の形で残すことはできる。
ゲフィオンどれだけ憎まれようと私はこの世界を残したかった。そうしなければならなかった。
ゲフィオンただそのためには、どうしてもイクスの力ともう一枚のイクスの魔鏡が必要だったのだ。
キール……一つ、わからないことがある。救世軍を作ったのはフリーセルとフィリップだったと聞いている。
キールどうしてフィリップは、自らの計画を壊すような真似をしたんだ。
ゲフィオンそれは、私には想像することしかできない。
ゲフィオンおそらくフィリップは、滅びの夢で動揺する人々の反乱の芽を潰すため、あえて反乱勢力を一つにまとめようとしたのだろう。
ゲフィオンだが、救世軍の動きを抑えきれなかったのではないか。
カノンノ・Eそれは……ファントムのせいですか ?
ゲフィオンそうだろうな。
ゲフィオンお前たちがファントムと呼んでいるのはフィリップが最初に自らを実験台にして生み出したもう一人のフィルだ。
ゲフィオンフィリップはリーパと呼んでいた。
ゲフィオンだがリーパを具現化した影響でリーパもフィリップも肉体と精神にダメージを負ってしまった。
ゲフィオンフィルは子どもの頃のように病気がちになり城にも登城しなくなってしまった。
ミントあの……。ユーリさんたちから連絡が入っています。
リタあたしが聞いてくる。
リタ――イクス、あんた酷い顔色よ。いったん休憩にしましょ。少し休んだ方がいいわ。
イクス…………。

キャラクター7話【14-7 城へ続く街道3】
チェスター……どうするんだ ? つけられてるぞ。
マークミリーナから預かった例の魔鏡は持ってるな ?
チェスター当たり前だ。何のためにケリュケイオンに入り込んだと思ってる。
マークいいんだな ? ファントムを消しても。妹を具現化することができなくなるぞ。
チェスター……揺れることを言うんじゃねぇよ。迷ってねぇって言ったら嘘になる。もう一度会えるなら……。
チェスターでもファントムがやろうとしていることは今まで具現化された存在も消し去っちまうんだろう ?
チェスター勝手に具現化されて勝手に殺されて……そんなのは許せねぇ。
マークあんたを選んだ俺の目は正しかったな。――行け、チェスター !
クレスチェスター ! 待ってくれ !
マークおっと。悪いがここから先には行かせないぜ。
リオン面白い。ここでお前を消してやる !
クレス――リオン、後ろだ !
リオン! ?
カイウスお前がマークか。ここは任せろ !
マーク――何者だ ?
シングオレはシング。そっちはカイウス。フィリップって人から頼まれたんだ。
マークあいつ、やっぱり近くにいるのか ! ?
カイウス急げ ! こっちにはメルクリアから預かった鏡がある。
マーク恩に着る !
クレス待て ! !
シング2対2か。なら片付けられそうだな。
リオンほざくな、雑魚が。
カイウス何 ! ?
ユーリおっと、俺たちも数に入れてもらおうか。
クレスユーリ ! ジュード !
リオン――それに新入りか。別に助けはいらなかったが合流したからには働いてもらおうか。
セネル言われなくてもそうするさ。
カイウス数が多いな……。やっぱりメルクリアの鏡を使おう、シング。
シングああ。ここでもたついてたらメルクリアとフレンに合流できなくなる。
ユーリフレン、だと ? おい、お前ら――
カイウス悪いな !縁があったらまた会おうぜ !
セネルくっ、目くらましか ! ?
ユーリちっ ! 逃げ足の速い !
ジェイド――今の光は何かと思えば皆さんでしたか。
セネル……お前、何者だ。血の匂いがするな。
ジェイドあー、これは失礼。道中、色々とありまして。
ジェイド返り血はなるべく浴びないようにしてきたのですがね。
ユーリセネル。こいつは善人面した悪人だが一応俺たちの味方だ。
ジェイド傷つきますねぇ。そちらこそ善人の仮面をつけている【だけ】で、こちら寄りの人種だと思っていましたが。
リオンフン、お前たちはどっちもどっちだろう。それより、どうしてここにいる。カレイドスコープの方はどうした ?
ジェイド近くまではいけましたが、いくつかあるルートのどれも完全に封鎖されています。
ジェイドあの封印はパスコードを知っていないと解けないたぐいのものです。
ジェイド鏡士なら出入り口を具現化してしまえるのかも知れませんがね。
クレスこちらもチェスターたちを見失ってしまいました。どうしますか。
セネルせっかくここまで来たんだ。このまま戻るのは惜しい。
リオンジェイド、一番マシな潜入ルートを教えろ。警備体制を確認しておきたい。
ジュード待って。一度ケリュケイオンと連絡を取っておいた方がいいと思う。
ジュードイクスたちが戻っている筈だしゲフィオンから何か聞いているかも知れないよ。
ジュードそれとユーリ、大丈夫 ?何だか浮かない顔してるけど……。
セネルあの眼鏡の軽口に傷ついた訳でもないだろう ?
ユーリまさか。――さっきの連中が知り合いと同じ名前を口にしたんでな。ちょっと気になっただけだ。
ユーリそれよりケリュケイオンに連絡するんだろう。俺がやる。

キャラクター8話【14-7 城へ続く街道3】
イクス………………。
コーキスマスター……。つらいんだな。俺すげぇ、胸が苦しい。マスターが苦しいからだろ。
イクス……ごめんな。コーキス。わかってるんだ。俺が過去から具現化された存在だから何なんだって。
イクス鏡映点のみんなだって具現化された存在だから何も変わらない筈なんだけど……。
イクスでも……ロイドが言ってたみたいに俺……後ろめたいんだ。きっと。
ヴェイグ――イクス。ここにいたか。
イクスヴェイグ。何かあったのか ?
ヴェイグいや……。オレには具現化やこの世界に起きたことに関してまだ簡単な知識しかない。
ヴェイグだがそれでも、イクスがイクスとしてこの世界に生まれたことを悔やむ必要はないんじゃないかと思う。
イクス……ヴェイグ。
ヴェイグイクスがどんな存在であっても楽しい時は笑い悲しい時は涙を流すだろう。
ヴェイグ人の心とはそういうものだ。それは具現化された人間でも変わらないと思う。
コーキスヴェイグさま……。すげぇよ。そうだよ、その通りだよ。
ヴェイグ――いや、これはクレアの受け売りなんだ。だが、オレもクレアと同じように考えている。
ルーク――心は同じ、か。そうだな。俺もそう思うよ。
イクスルーク……。
ルークさっき、カノンノからイクスの話を聞いた。えっと、今までお前にちゃんと話したことなかったと思うけど……。
ルーク俺さ、普通の人間じゃない。レプリカなんだ。
ルーク被験者(オリジナル)のルークって奴が別にいて、俺はそいつのコピーみたいな感じ……って言えばいいかな。
ルーク最初にその話を知ったときはすげぇ混乱して、認めたくなくてさ。でも……今は俺は俺なんだって思える。
ルーク色んなことがあって、その体験は俺だけのものなんだって。……って、これはティアの受け売りだけどな。
イクスルーク……。ごめん。そんな話をさせて……。
ルークいいんだよ。要するに、俺もヴェイグもイクスに言いたいことは同じだと思うんだ。
ヴェイグああ。ここにいるイクスも具現化された他の存在も、みんな同じように心を持つ誰にも代えがたい大切な存在だ。
イクス――ありがとう、二人とも。それにコーキスも。
イクスだけど俺、二人にもみんなにもまだ伝えてないことがあるんだ。――でも、腹は決まった。
イクスみんなをブリッジに集めて欲しい。
ルークわかった。全員は無理だから各部屋に通信が繋がるようにしておくよ。
イクスみんな、ごめん。こんな時だけど――こんな時だから話を聞いて欲しい。
イクス俺はティル・ナ・ノーグを救うために異世界を具現化してきた。
イクス最初は何もわからなかったけど、俺なりに魔鏡技術を調べていくうちに、俺が最初に聞いてた話が矛盾してるって気づいたんだ。
イクス結論から先に言う。鏡映点として具現化されたみんなは――もう二度と元の世界には戻れない。
イクス一生ティル・ナ・ノーグで生きていくしか選択肢がないんだ。
ミリーナ! ?
カイル――……え ? どういうこと ?確かこの世界の具現化が落ち着くまでいて欲しいってことじゃなかったの ?
イクスゲフィオン……様、俺たちの具現化は異世界に影響しないと言っていましたね。
イクスということは、この世界で具現化された鏡映点は戻れないと言っているのと同じですよね ?
リッドそうか……。この世界の記憶を持って元の世界に戻るってことは元の世界に干渉することになるのか。
ミリーナゲフィオン。本当なの ! ?
ゲフィオン――事実だ。
ガロウズ今、ティル・ナ・ノーグはアイギスに守られているがその外には虚無が広がっている。
ガロウズ虚無はティル・ナ・ノーグからあらゆるエネルギーが流れ出ることを妨げているんだ。
キールだから観測者効果を無視して、異世界からの具現化を実現できていたんだな。
ガロウズああ。異世界から具現化することはできても具現化した人々を元の世界に戻すことはできない。
ガロウズもしも虚無がなくなれば、そもそも存在する次元の壁によって、具現化の力そのものが跳ね返されちまう。
ミリーナそれを知っていてイクスに具現化をさせたの ! ?
ミリーナ鏡映点のみんなをこの世界に閉じ込めるとわかっていて ! ?
ゲフィオンガロウズを責めるな。決めたのは私だ。私がそういう人間だと言うことはお前が一番よくわかっている筈。
ゲフィオン今はまだこの判断をしたときの記憶が共有されていないようだがいずれ全てわかる。
ジェイド失礼。カレイドスコープの元へ再潜入する為の手勢が欲しいのですがケリュケイオンを着陸させて貰えますか。
クレスこの辺りの救世軍は追い払った。今なら着陸しても安全だ。
イクス……わかりました。ケリュケイオンを降ろします。

キャラクター9話【14-8 デレク山 麓】
イクスみんな、無事で良かった。
リオン無事で当然だ。それよりゲフィオンから話は聞けたんだろうな ?
イクスああ……。ゲフィオンは……その……。
ユーリ――おい、ちょっと待った。ゲフィオンはどこだ ?今までゲフィオンと話してたんじゃないのか ?
二人! ?
イクスそういえばガロウズもいなくなってる…… ! ?
カーリャ…………。
ミリーナカーリャ ! カーリャならわかるわよね。私とあの人は同じ存在だもの。
ミリーナ私の心から生まれたカーリャにはゲフィオンがどこにいるかわかる筈よ。
カーリャ……ごめんなさい、ミリーナさま。
カーリャケリュケイオンが着陸したときにゲフィオンさまとガロウズさまがセールンドの街の方へ出ていきました。
ミリーナゲフィオンに口止めされたのね。
カーリャはい……。だって、あの人もミリーナさまなんです……。
ベルベット何、何の音 ! ?
スレイ見てくれ ! 空の色が――
イクスオーロラ、なのか ?それにしては随分毒々しい虹色だけど……。
ミリーナ嘘……。
イクスどうした、ミリーナ ?
ミリーナあれは【私】がカレイドスコープで世界を滅ぼしかけたときと同じキラル分子の異常収縮現象……。
ミリーナきっとカレイドスコープを暴走させようとしているんだわ。
イクス――みんな、この世界に呼び寄せて巻き込んでごめん。でもみんなを消させはしないから。
ミリーナ待って、イクス ! どこに行くの !
イクスカレイドスコープのところへ行く。これは俺たちの世界の問題だ。だから俺が解決しないと。
ミリーナ私も行くわ ! 私だってこの世界の人間よ。
ベルベット――いい加減にしてちょうだい。
ベルベット勝手に具現化して、勝手に牢獄みたいなこの世界に閉じ込めて、これは俺たちの世界の問題ってふざけたことを言わないでよ。
イクスベルベットさん……。
ベルベットそれにあたしを具現化したのはあんたじゃないわよ。あのファントムとかいうおかしな男じゃない。
ベルベットだったら奴にあたしの怒りをぶつけてやらなきゃ気が済まないわよ。――だから、あたしを連れて行きなさい。
スレイそうだよ、イクス。ミリーナ。オレたちがもう自分の世界に帰れないならここが具現化されたオレたちの世界になる。
スレイだったらオレたちもこの世界の人間だろ ?解決に協力したいと思うのは当然じゃないか。
ジュードそれに、カレイドスコープへの潜入ルートをイクスは知ってるの ?それを調べてルートを確保したのは僕たちだよ。
カノンノ・E私も連れていってくれるよね。私の知っているフィルはこの世界を壊そうなんてしてなかった。
カノンノ・Eイクスとミリーナが知ってるフィルだってそうでしょう ?
メルディメルディな、戻れないのたぶんわかってた。寂しいけど、へーき !ここ、みんながいるから。
キールぼくも予想はしていた。キール研究室の人間はもちろんそうだろうし、他にもそうだろうと気づいてた奴はいる。馬鹿にするなよ。
リオン気づいてなかった奴もいるがな。
ルーティ何で私を見るのよ。ここはスタンの方を見る流れでしょ !
スタンえぇっ ! ? 俺 ! ?
スタンそれは……確かに帰れないとまでは考えなかったけど、でもこうなったことはイクスたちのせいじゃないよな。
ルーティそうよ。それなのにどうしてイクスとミリーナだけで片をつけようとするの。
リフィルごめんなさい。私はイクスたちに責任がないとは言えないわ。でもね、私たちは仲間でしょう ?
リフィル責任がどうとかじゃなくて仲間なら支えたいって思うのは当然じゃないかしら。
ロイドそうだよ。二人とも変なところで責任感が強いんだな。もっと頼ってくれていいんだぜ。
ロイド間違いは正せるって俺は信じてる。本当はどうにもならないことがあるのもわかってるぜ。
ロイドそれでも希望は捨てたくないし仲間が希望を捨てようとしてるなら拾ってでも押しつけてやるさ。
ルーク希望か……。そうだよな。俺はさ希望と可能性をもらったんだって思ってる。イクスたちは俺に未来をくれたんだって。
ルークだからさ、感謝してるんだよ。助けさせてくれるよな ?
ヴェイグオレはクレアを助けるために力を貸してくれたお前たちに協力したい。……ただ、それだけだ。
ソフィわたしも。わたしも、イクスとミリーナの力になりたい。それだけじゃ駄目かな ?
セネル……いい連中じゃないか。みんな抱え込んでることはあるだろうが、それでもお前らを助けたいって言ってるんだ。
セネル甘えてもいいんじゃないか ?
イクスみんな……。俺を……俺とミリーナを憎んでないのか ?
ラピードワフッ ! ワフッ ! !
ユーリ今の話を聞いてまだそんなことを言うかねぇ。ラピードも呆れてるぜ。
ユーリイクスとミリーナはどうしてこの旅を始めたんだ ?
ミリーナ……この世界を――
イクス――救いたいから。
クレスそれなら、もう何も言う必要はないね。行こう、イクス、ミリーナ。【みんな】でこの世界を守るんだ。

キャラクター10話【14-10 デレク山 山頂】
マークよぅ、イクス、ミリーナ。
イクスマーク…… ! ?お前、今までどこに行ってたんだ ! ?
マークそれはわかってるだろ ? 俺とチェスターの後をつけさせてたんだから。まぁ、途中で上手いこと引き剥がせたけどな。
ミリーナまたそうやって強がって本当のことを隠すのね。
マークミリーナ……。本当にお前は……人の心をえぐってくるな。フィルの奴、ドMだったのかねぇ……。
ミリーナイクス……。隠していてごめんなさい。チェスターとマークから取引を持ちかけられていたの。
イクスえ ! ?
コーキスマスター、ミリーナさま。何とかしてくれよ。
カーリャマークが俺も連れて行けってうるさくて。
ミリーナもう、しょうがないわね。私、ちょっと叱ってくる。
チェスターミリーナ。丁度いい。オレもマークに用があるんだ。一緒に行く。
ミリーナフィルから預かった鏡片のお守り…… ?どうしてそれをチェスターさんが知ってるの ?
チェスターマークから聞いた。それがあればファントムの動きを封じられるかも知れないんだ。
ミリーナ……待って。チェスターさん。あなた、何者なの ? まさか――
チェスター違う ! いや、違わないけど、でも違う。俺はクレスがいるこのケリュケイオンを裏切ったりはしない。
チェスタースパイみたいな真似をするつもりもない。
ミリーナ私が、それを信じると思う ?イクスを陥れる可能性があるものは何だって排除できるのよ。
チェスター信じざるを得ないさ。ゲフィオンとの面会の時の会話で、合点がいった。ミリーナ。お前はゲフィオンの――
ミリーナ――まさか、チェスターさんがそんな手を使ってくるなんてね。まるでジェイドさんかリフィルさんだわ。
チェスターあの枠と一緒にするな。こっちも必死なんだ。まぁ……マークに入れ知恵されたんだけどな。
イクスフィルの鏡片 ? それは何だ ?
マークイクスがオーバーレイ暴走を起こした日……あのピクニックの日にフィルがミリーナに渡していたものだよ。
マークお前の知らない話――知らなくていい話だ。
ミリーナファントムを倒すつもりなら私たち、同じ目的の筈よね。
マークそいつは違うな。俺たちは違う目的で動いてるんだ。
マークさぁーて、話は終わりだ。そろそろ、片付けちまおうぜ。
イクス戦うつもりか ! ?
マークおいおい。そんな意外そうな顔するんじゃねぇよ。俺はお前らや鏡映点の命を狙ってたんだぜ。
マーク当たり前の流れだろ。
コーキスてめぇ、フィルさまの鏡精なんだろ ! ?こんなことしてフィルさまが許すと思ってるのか ! ?
カーリャそうですよ ! ミリーナさまたちはフィルさまの幼なじみなんですよ ! ?
マーク知ったことかよ。俺はフィルのためにお前たちを殺すと決めていたんだ。フィルのためにここで消えてくれや。
イクス…………。
マーク……どうしたイクス ?早く構えろよ。
イクス……マーク。一体どうして…… ! ?何で、こんな風に戦う必要があるんだよ ! ?
マーク俺とお前は、敵同士。ずっと、そうだったろ ?
ミリーナ……だったらどうしてこの間は一緒に戦ってくれたの ?
マークただ、気まぐれに道が重なっただけだ。──深い理由なんか、ないさ。
マーク構えねぇならそれでもいいぜ。そのまま、死にな。
イクス……そういうわけには行かない。俺はこの世界を救ってみせるって誓ったんだ。
イクスあんたを倒して、この先へ進んで見せる !
ミリーナうん……私も──イクスの進む道を、信じてる !
(俺も、あの人達みたいな強さが欲しい)
そうならなきゃ、いけないんだっ !

キャラクター11話【14-10 デレク山 山頂】
マーク……マジかよ。俺はお前らをここに留めておくことすらできねぇのか。
イクス――留めておく ?殺すつもりじゃなかったのか ?
マーク……負け犬に根掘り葉掘り聞くなよ。恥ずかしい。
ミリーナ今更じゃない ?全て話した方がきっと楽になるわ。
マーク……最初はフィルと一緒に救世軍をコントロールする筈だった。世界を虚無から守るためにな。
マークだが……フィルが倒れてファントムが実権を握ってから救世軍は制御不能になっちまった。
マークファントムはフィルの願いである世界とミリーナの幸せのためにはゲフィオンを信じるなと言い出したんだ。
マークそして俺にこう言った。フィルの本当の幸せの為には何が邪魔だと思うか――ってな。
ミリーナそれが私とイクスの命……。
マーク言っておくが、ファントムに命令されたから命を狙ったんじゃない。俺の意思だ。フィルが苦しむのを見ていられなかった。
マークイクスに憧れて、嫉妬して、ミリーナの願いを無条件で叶えようとして……。あいつは望んで奴隷になってたからな。
イクスもしかして、フィルは――
マーク――俺はフィルの鏡精だ。フィルの想いは知ってるし俺の感情はフィルの想いに影響される。
マークだから俺はお前たちが憎くて……でも――いや、まぁ、それはいい。
マークそれより、イクス。カレイドスコープの元に行くなら、これだけは約束しろ。ミリーナを守れ。彼女をサーチさせるな。
イクスミリーナも具現化された存在だろ ?具現化された存在をサーチなんてできるのか ?
カーリャもしかしてゲフィオンさまのことですか ?
マーク――その内わかる。それともう一つ。イクス、絶対に死ぬな。お前は三人目なんだからな。
ミリーナ…………。
イクスえ…… ! ?三人目ってことに意味があるのか ?
マーク具現化には制限がある。アニマサーチは三回を超えるとそれ以上は検出不能になるんだ。
イクスつまり……俺が死ねば、もう俺という存在は二度と具現化できないってことか。
マーク――さすがに察しがいいな。お前が消えればゲフィオンもミリーナも悲しむ。それを見れば傷つくのはフィルだ。
マークだから――絶対に死ぬなよ。
イクス――わかった。
マークそれじゃあ、こいつを持っていけ。
ミリーナこの紋章は、何…… ?
三人デリス・エンブレム ! ?
マークそういう名前らしいな。構造を解析して似た性質のものを作った。それがあればカレイドスコープの封印を突破できる。
セネルなるほど。その紋章がパスコード代わりなのか。
イクスマーク。一緒に行ってくれないのか ?
マーク行けると思うか ? お前らにやられた傷で動けねぇよ。ここで吉報を待つとするさ。……ファントムの好きにさせるなよ。
ヴェイグマーク。本当に全てを語ったのか ?これ以上話すことはないのか ?
マーク――……ねぇよ。
チェスター(デリス・エンブレムのおかげでカレイドスコープの間には入れたが……。ファントムはどこだ)
ファントム――計算通りだ。特異鏡映点がアニマを集めている !
チェスター(特異鏡映点があんなに ! ? )
チェスター(クソ、どうする。連絡はまだ来ねぇが、止めるべきか……)
チェスター(アミィ ! ?どうしてアミィがここに―― ! ? )

キャラクター12話【14-13 セールンド城内3】
フィリップ……やっぱり駄目か。
デミトリアスフィル……。その症状はアニマ汚染だ。これ以上続けては私のようになってしまうぞ。
フィリップ……はい。これ以上は難しい。【狂化止め】の術式を変更する必要があります。
デミトリアスまだ続けるのか ! ?
フィリップいえ、その前に、リーパを止めなければなりません。リーパのアニマとアニムスを繋ぐ部分が歪みを引き起こしています。
ファントム(私を捨てようというのか――。勝手に生み出しておいて感情を与えておいて――)
ファントム(私が歪んでいるから――)
ファントムこの数日で、必要なアニマとキラル分子はここに集めました。後は、特異鏡映点たちに働いてもらうだけです。
ルカ…………。
ファントム何を言っても無駄です。その魔鏡陣の中にいる限り動くことも、声をあげることもできないのですから。
ファントムさぁ、新たな世界を生み出しますよ。歪んだ私の望む、私と彼女のためだけの真に正しく歪んだ新世界を――
ファントム――計算通りだ。特異鏡映点がアニマを集めている !
ファントム――ですから、もう何をしても無駄ですよチェスター・バークライト !
チェスターくっ !
ファントムあなたが何をしに来たのか当ててあげましょう。
ファントム大方マークとフィルに荷担して鏡片をもって私のアニマをフィルに戻すつもりなのでしょう。
ファントムチェスターを捕らえなさい !
チェスター大人しく捕まると思ってるのか !
ファントム捕まりますよ。あなたは具現化された妹を裏切れない。
チェスター! !
救世軍兵士ファントム様。この男、鏡片を持っていません !
ファントム何 ! ?
伝令ファントム様 ! イクス・ネーヴェらが城内に侵入してきました !
ディストなるほど。謁見の間からのカレイドスコープへ繋がる通路に出るつもりですね。
ミトスそれで、どうするつもり。
ミトス僕らをイクスと戦わせるなら当然どこかに配置している筈なのにここに集めるなんて。
リヒターお前は人を信じない。俺やミトスと同じ生き方をしている。
リヒターならばお前は俺たちのことも信じていないだろう。
ファントムそれは心外です。
ファントムところで私がミトスに取り戻させたビクエの魔鏡を覚えていますか ?
ミトス――まさか !
ファントムええ、気づくのが遅かったようですね。
ファントム魔鏡よ ! ビクエの名の下に四つのアニマを幻体として彼のモノと融合させよ ! !
救世軍兵士ファントム様、四幻将の皆様は――
ファントム幻影魔獣と化して、イクスたちを足止めしてくれるでしょう。お前たちも配置につきなさい。
救世軍兵士はっ !
ヴェイグ――城内がやけに静かだな。
カーリャ……何だかぶるぶるします。
コーキス俺もだ。チキン肌がすげぇ……。
ミリーナまさか光魔 ! ?
カーリャ違います……。何だかもっと怖くて悲しい感じがします。
セネルイクス、気をつけろ。こういう時はこの先に何かとてつもなく強い敵が待ち構えている筈だ。
イクスそうだな……。
コレット……聞こえる。魔物みたいな声。多分四匹。
リッドイクス、覚悟はいいな。
イクスああ。どんな敵が待ち受けていても必ず突破してみせるっ !

キャラクター1話【14-15 カレイドスコープ前1】
イクスえ、今から三人でピクニック ! ?俺、ついさっき漁から帰ってきたところだよ。
イクス海にとんでもない魔物が出てさ何とか逃げてきたんだ。
ミリーナえ ! ? イクス、大丈夫 ! ? 怪我は ! ?
イクスいや、俺は平気。でも祖父ちゃんがちょっと足をやられてさ。俺が鏡士の力を使えれば祖父ちゃんに怪我させなくてすんだのに……。
イクスなんで祖父ちゃん鏡士の仕事を嫌うんだろう……。
ミリーナイクスなら素質があるからすぐ鏡士の力を使えると思うってフィルも言ってたわ。
イクス……ちょっと試してみようかな ?魔鏡が使えたら、漁に出るのも楽になるし。
イクス魔鏡の力を使えるのを見たら祖父ちゃんも鏡士になるのを認めてくれるかも……。
フィリップ――二人ともお待たせ……――ミリーナ ! ?イクス ! ? どうしたの ! ?
ミリーナイクスの力が暴走して……止められないの !私が、私が余計なことを言ったから――
フィリップ大丈夫、ミリーナ。僕の守護魔鏡を使えば止められる !
ミリーナえっ ! ?
フィリップ僕の鏡士としての力を弱める封印なんだ。これを使えばきっと――
ミリーナ駄目よ、フィルは体が弱いからわざと力を弱めているんでしょう ?
フィリップでもこのままじゃイクスが死んじゃうよ !
ミリーナ――わかった。でも、私にやらせて。バックファイアを受けるのは私だけでいいから !
フィリップミリーナ ! ?
ファントム……あの時割れた守護魔鏡を使ってくると思っていたがまだミリーナが持っているのか ?
イクス――やっぱりここにいたか、ファントム !
ファントム……遅かったですね、イクス。もう少し頑張るかと思っていましたよ。
ミリーナ遅くなんかないわ。ここであなたを仕留めて世界の造り直しを止めてみせる。
ファントムカレイドスコープがあの状態で ?
カーリャミリーナさま ! ?カレイドスコープが壊れてます ! ?
ファントムカレイドスコープにはアニマをかき集めるために無理をしてもらいました。
ファントム私が造る新たな世界は私が研究して生み出した新たなカレイドスコープを使います。
イクスチェスターが持ってきたあの図面の……。
ファントム新たなカレイドスコープがどこにあるかあなた方には永遠にわからないでしょう。――ミリーナを捕らえろ !
ミリーナ! ?
イクス――やらせるかっ !
チェスター――イクスッ ! どけっ !
救世軍兵士ぐぉっ ! ?
クレスチェスター ! ?
ファントム――何 ! ?幻影魔獣化されて、まだ動けるのか ! ?
チェスター色々あったんだよ。お前に説明する義理はねぇがな !
チェスタークレス、悪かった。後でちゃんと謝らせてくれ。
クレス当然だ。でも今は――
チェスターああ ! ファントムを仕留めるぞ !
ファントムくだらないことを !お前たちが守ろうとしているのはつぎはぎの幻。
ファントム私と同じ――いやそれより下劣な女の嘘で造り出された砂上の楼閣だ !そんな虚飾を何故守ろうとする ! ?
ファントム嘘にまみれた世界に無理矢理生み出されたことを憎いとは思わないのか ! ?
アスベルそれでも俺たちはここに存在している。存在した以上消えても構わないなんて思えないさ。
エミルたとえ嘘の存在でもここまで旅をしてきた事実は覆らないよ。
マルタそうだよ。あんた、ちょっと女々しいんじゃない ! ?
アーチェホントホント。つぎはぎでも何でもいいじゃない。何もかも消えちゃうよりさ。
スタン自分が生み出されたことが憎いならどうしてさらに世界を造り替えようなんて考えるんだ。
ファントム私は――私は私を私として受け入れる世界を造るだけだ。
ファラどうして ? あなたが嘘だと言ったこの世界を壊そうとしなければ誰もあなたを拒絶しないんじゃないの ?
ファントム異世界の人間に何がわかるか。
エドナその態度がいけないんじゃない ?受け入れて欲しいくせに、他人にばかり望みをかけるなんて単なる甘えね。
ファントム他人になど期待してはいない。だからこそ私は私の望む世界を造る。
ファントムどうせこの世界はとうの昔に滅び具現化ではない元の世界などほんの一握りしか残っていない。
ファントム幻と幻を重ね合わせたところでミリーナが嘘で覆った世界の本質は何も変わりはしない。
ミリーナ…………。
イクス確かにこの世界はミリーナが造り出したものかも知れない。でもそれはミリーナの贖罪の気持ちだ。
イクスどんな手段を使ってでもこの世界を残したいと思ったミリーナの気持ちが俺にはわかる。
イクス俺のためにミリーナが追い詰められてしまったことも……。
イクスだから、憎むなら俺を憎め !俺がその嘘を真実に変える !

キャラクター2話【14-16 カレイドスコープ前2】
ファントム……は……はは。それで勝ったつもりか ! ?同一存在が共有するものが記憶と鏡精だけだとでも思ったか ! ?
二人! ?
ミクリオまさか、命そのものすら共有するのか ! ?
コンウェイだとしたらやっかいだね。
エリーゼこの人を倒すためにもう一人のフィリップさんも倒さなければいけないんですか ?
リアラ……そうなのかも知れない。同じ魂が同じ時間に存在しているのなら――
リオン…………。
ジューダスいや、そんな筈はない。なら【僕】は――
ファントム貴様らと私は違う。私は特別なのだ。
ファントムそして今度こそ、フィルだけを受け入れるゲフィオンと彼女が望む世界をここに――
? ? ?そうはいかないよ。
ファントム――き、貴様は…… ! ?
フィル歪みがもたらした副作用――
フィルファーストサンプルであるフィリップとリーパの間でだけ起きたアニマ結合現象を断ち切りに来たんだ。
ファントムそうか、守護魔鏡はお前たちが――
フィルさよならだよ、二人目の僕 !
二人アニマ・デコード !
ファントムぐぅぁあああああああっ ! ?
ライフィセットえ ! ? だ、誰 ? 何が起きたの ! ?
ユリウス今のは魔鏡術か ?
フィルちょっと予定とは違ったけど何とか上手くいったよ、チェスター。
チェスターそうみたいだな。オレが鏡片を持っているふりをしてファントムを引きつける手はずだったが……。
イクスフィル…… ? どういうことだ ?俺が死んでから15年経ってるんだろ ?だったらフィルは35歳の筈なのに……。
フィルそうだね、イクス。でも僕は三人目だから。
イクス! ?
ゲフィオン同一時間に同一存在を具現化すると具現元と具現化体の間で記憶が共有される。
ゲフィオンだからビクエ――いやフィリップはファントムと記憶を共有しないもう一人の自分を造り出した。
ゲフィオンアニマの力を弱める守護魔鏡を使ってファントムのアニマの力を弱めるために。
フィルこれで、ファントムはビクエとのアニマ共有能力が弱まった。もうアニマを回復することはできないよ。
イクスフィリップは――ビクエの方のフィリップはどこにいるんだ ?
フィルアルヴィンとアルヴィンの仲間が匿ってくれてる。
レイアアルヴィン ! ? 仲間 ! ?アルヴィンってば、どこで何をしてるの ! ?
アリーシャ――いや、待て ! ファントムが ! ?
ファントム……死ぬ……私が…… ?ふ……ふははははは……。
ファントム認めてたまるものか !絶望を味わうのは貴様らだ ! !
ファントムお前たちが守ろうとした嘘の世界は……私が死の砂嵐の向こうに……連れて……行く……。
ティアカレイドスコープの様子が変だわ !
ミラ=マクスウェルこの世界に満ちるエネルギーがカレイドスコープの元に集まっているのを感じるぞ。
イクスファントムが壊れたカレイドスコープに何かしたのか…… ?
アイゼン――簡単に事が片付く訳がないってことか。死神の呪いは健在だな。
ゲフィオン……いや、ここから先は私に任せよ。
ゲフィオン確かに手順は狂ったがファントムは結果的に世界中のアニマを集めてくれた。私の望んだ通りに。
ゲフィオン――ガロウズ、頼む。
ゲフィオン見たところ、壊れて暴走し始めているがまだサーチは可能な筈だ。サーチさえできれば後は私が――
ガロウズ――ゲフィオン様……。……わかりました。
ガロウズ照準ロック完了。対象ゲフィオン……いや、ミリーナ・ヴァイス。アニマ・サーチ開始 !
二人! ?
エル大変だよ、みんな ! !
マリアンオーデンセ跡から金色の光の粒がそちらに向かって行きます !
クレアあれは死の砂嵐と呼ばれているものじゃないでしょうか ! ?
デミトリアス――間に合わなかったか !
イクスな、何ですか ! ? 陛下 ! ?
デミトリアス彼女は……世界を虚無から救うために虚無を広げる原因である死の砂嵐を体内に取り込もうとしているのだ。
イクスそんなことが可能なんですか ! ?
ゲフィオンう……うぅ……ウォォオオォォォ ! ?
ルドガーゲフィオンの体が変質していく…… ! ?
レイヴンちょっとちょっとこれはまずいんじゃないの ! ?
フィルイクス ! ミリーナ ! ゲフィオンを……もう一人のミリーナを助けて !
フィル死の砂嵐の正体はアニマを失った世界や人々の欠片なんだ。みんな全ての原因であるミリーナを恨んで狂わせようとしている。
フィルミリーナのアニマを奪って壊そうとしているんだ !
イクス助けるって、どうすれば ! ?
フィル今のゲフィオンは光魔と同じなんだ。光魔も滅びた世界と人々の欠片がアニマを求めて変質したもの。
フィルだから暴れる彼らを鎮めればゲフィオンのアニマが力を取り戻す !
ジェイドつまり、戦えと言うことですね。
イクスわかった !

キャラクター3話【14-16 カレイドスコープ前2】
ミリーナ……虚無は消し去りようがありません。虚無こそが二つの島しか残らなかったこの世界をかろうじて守っている鎧です。
デミトリアスしかしミリーナ。虚無は世界を消滅させようとしているのだろう。
ミリーナ正確には、カレイドスコープによって滅びた存在たちの欠片――死の砂嵐が世界を解体し、虚無へ変えているのです。
デミトリアスあの光る砂のような粒子たちか……。
ミリーナですから、あの死の砂嵐をアイギスの中に閉じ込めようと思います。
デミトリアスアイギス…… ? 今、虚無から世界を守っている防衛システムのことか ?
ミリーナええ。ですがあれは仮の盾に過ぎません。死の砂嵐はアニマに引き寄せられる。
ミリーナですから人の体を魔鏡化してその中に死の砂嵐を閉じ込めます。
ミリーナその人体万華鏡こそが真に世界を守るアイギスです。
フィリップ――まさか、ミリーナがアイギスになるつもりか ! ?
デミトリアス! ?
ミリーナ私は世界を滅ぼした悪魔です。人々と世界の怨嗟を受け入れるのは私の仕事。これをアイギス計画とします。
フィリップそんなことは認めない !
ミリーナ認めてもらわなくてもいいわ。
フィリップ第一アニマもキラル分子も足りないぞ。仮に人間を魔鏡化するとしてもそれなりのエネルギーが必要だ。
ミリーナ異世界からの具現化で世界に新しい大陸と命を生み出す。そしてその異世界からの力をカレイドスコープを使って変換する。
フィリップそれには魔鏡が足りない。イクスの形見の魔鏡と同じ物がもう一枚――
フィリップまさか……。
ミリーナ巻き込みたくはなかったけれどイクスの力を借りるわ。
フィリップ三人目だぞ。
ミリーナもう一人の私はまだ生きている。私と記憶を共有する彼女がイクスを守るわ。
ミリーナ……今……ゲフィオンの記憶が……。イクス、ゲフィオンは生きながらアイギスになるつもりなのよ……。
イクス! ?
ゲフィオンようやく終わる。これでアイギス計画は完了するのだ。
ゲフィオン――さようなら……。大好きだった……イクス……。
イクスミリーナ ! ?
カーリャくぅ……う……。苦しい……。ゲフィオンさまの心が……悲鳴を……上げています……。
セネルおい、ゲフィオンの体からこぼれてるのは死の砂嵐じゃないのか…… ! ?
フィル――そうか。ファントムが必要以上の具現化を繰り返したから、死の砂嵐に融合の魔鏡術の性質が付加されてるんだ。
ミリーナ私の魔鏡術は想像……。融合の魔鏡術には弱いわ。このままじゃ……。
ヴェイグさっきファントムの力を弱めた守護魔鏡なら力を弱められるんじゃないか ?
フィルこれを使うとミリーナの力まで弱めてしまうから……。
デミトリアス死の砂嵐が封じきれなければ、世界は――
ミリーナだったら私がゲフィオンに力を貸すわ !
イクスいや、ミリーナ。もっといい方法がある。
ミリーナえ ! ?
ミリーナ! ?
イクス俺が、ミリーナの嘘を真実に変える。創造の魔鏡術で。
フィル創造の魔鏡術は融合術に勝る……。だけど……。
ミリーナ駄目よ ! 私……私たちはイクスとイクスの世界を守りたかったのにそんなの――
イクス(――あの時暴走させたオーバーレイ。あれを敢えて引き起こす)
イクス(その暴走の力で、魔鏡の檻を造って俺とミリーナごと死の砂嵐を閉じ込める)
イクス魔鏡技 !スタック・オーバーレイ ! !
イクスごめん、ミリーナ。ごめん、みんな。コーキス、後は……頼むぞ……。
コーキス嫌だ ! 嫌だ嫌だ嫌だ !
ミリーナイクス――――っ ! !
その日ティル・ナ・ノーグ全土に広がった魔鏡暴走は鏡殻変動と呼ばれ世界の姿を大きく変えてしまったのだった。