キャラクター | 2話 【天族との邂逅】 |
ミクリオ | …なるほど。つまり、僕らは鏡映点という存在なんだな。 |
スレイ | そういうこと。で、オレはイクスたちに協力してるんだ。 |
ミクリオ | わかった。話を聞いている限りだとスレイが世話になったみたいだし、僕も協力しよう。 |
イクス | 本当か ! ? ありがとう ! ミクリオ ! |
ミリーナ | よかったわね、イクス。 |
スレイ | エドナも事情は理解できた ? |
エドナ | …ええ。 |
イクス | えっと、エドナ…って言うんだよな ?魔物に囲まれて怖かっただろ。もう大丈夫だからな。 |
エドナ | ………。 |
ミリーナ | エドナちゃん、どうかしたの ? |
エドナ | 馴れ馴れしく、ワタシの名前を呼ばないでくれるかしら。 |
イクス | えっ… ? |
エドナ | 何か勘違いしているようだから言っておくけど、ワタシは天族よ。 |
エドナ | 普通の人間には見ることもできないワタシとこうして会話ができていることに感謝の念が足りなさすぎるわ。 |
イクス | えっと…ごめんなさい。天族っていうのがよくわからないけど失礼なことしてしまったんだよな…。 |
エドナ | そうよ。今後、ワタシのことはエドナ様と呼んで崇め奉りなさい。 |
イクス | エ…エドナさまぁ ! ? |
ミリーナ | わかったわ。よろしくね、エドナ様。 |
エドナ | …むっ。 |
イクス | …ミリーナ ? |
ミリーナ | こういうときは私たちが歩み寄れば仲良くなれるものよ。 |
ミリーナ | エドナ様も具現化されたばかりでしかも魔物に襲われて大変だったんだから。 |
イクス | そうか…。確かにそうだよな。俺たちの都合で迷惑かけているんだし。 |
イクス | よろしく。エドナ様。 |
エドナ | ……。 |
エドナ | スレイ、なんなのこの子たちは。 |
スレイ | なんなのと言われても、イクスとミリーナだけど。 |
ミクリオ | これはエドナも一本取られたね。 |
エドナ | うるさい。 |
イクス | なあ。ところで、天族って何なんだ ? |
ミリーナ | 普通の人間とは違う存在なのよね ? |
スレイ | そうだなぁ。ちょっと説明が難しいけど天族っていうのは特別な力を持つ存在で―― |
イクス | 魔物 ! ? あぶないっ ! ! |
エドナ | はぁ…ダルいわね。 |
スレイ | はは…まぁ、こんな感じ。 |
ミリーナ | す、すごい……。 |
イクス | これが…天族の力……。 |
ミクリオ | この世界のことは説明してもらったわけだし次は僕ら天族のことを説明する必要がありそうだね。 |
ミクリオ | そうだな…。どこか落ち着ける場所はあるかい ? |
イクス | この先に飛空艇ケリュケイオンがある。話すならそこがいい。 |
スレイ | 魔物に襲われる心配もないしな。 |
ミクリオ | 天族について話すと、長くなりそうだ。みんな戦って疲れただろうし、何か甘いお菓子でも作ろうか。 |
スレイ | おっ ! 気が利くなぁ、ミクリオ ! |
エドナ | 決まったの ?なら、先に行ってるわ。 |
スレイ | あっ ! ちょっと、エドナ ! |
ミクリオ | イクス、ミリーナ。すまない、迷惑をかけて。 |
ミリーナ | そんなこと思ってないわよ。それより、エドナ様は大丈夫かしら。 |
イクス | このあたりにはまだ魔物がいるからな。 |
ミクリオ | エドナのことは任せてくれ。君たちには迷惑かけないよ。 |
スレイ | あっ ! ミクリオ ! |
ミリーナ | 私たちも追いかけましょう。 |
イクス | ああ。そうだな。 |
カーリャ | 続きは本編でお楽しみください。 |
キャラクター | 1話 【天族との邂逅】 |
スレイ | イクス ! 新しく発見された遺跡はこの先なんだよな ? |
イクス | 報告によるとね。けど、地下遺跡だから入り口がわかりづらい場所にあるらしい。 |
イクス | 遺跡内部の簡単な調査依頼だけどまず入り口を見つけるのが最初の関門だな。見落とさないようにしないと。 |
スレイ | 大丈夫 ! オレに任せて !地下に建造された遺跡なら周囲の地形や土壌、岩石からも目星はつけられるはず ! |
イクス | ありがとう。助かるよ。それじゃあ俺は、気候や太陽高度の遺跡に及ぼす影響をもとに入り口を探してみる。 |
ミリーナ | イクスもだいぶ遺跡に詳しくなったわね。勉強熱心で偉いわ。 |
イクス | 本から学ぶ以外にもスレイから色々教わってるからな。スレイの教え方がうまいんだよ。 |
スレイ | そうかなぁ。オレは説明ヘタな方だよ。幼馴染にもそう言われてたしさ。 |
ミリーナ | 幼馴染って、小さい頃から遺跡探検を一緒にしてきたミクリオさんのことね ? |
スレイ | そうそう。ミクリオとは考古学的解釈がオレと違ってたりすることもあってよく議論してたよ。 |
イクス | けど、違ってたり、自分の考えになかった解釈を語り合えるからこそ盛り上がるし楽しいんだよな。 |
スレイ | だよなー !オレもイクスとティル・ナ・ノーグの歴史や遺跡の話するのすげー楽しい ! |
スレイ | オレとイクス、それからミクリオの三人で遺跡探検したり遺跡の話したらすっごく面白いんだろうな。 |
イクス | オレもミクリオさんと話してみたいよ。 |
スレイ | ぜひ話して欲しい…けど、話せるかなぁ。 |
イクス | 何か問題でもあるのか ? |
スレイ | 話してなかったけどミクリオは人間じゃなくて―― |
? ? ? | なんだこの遺跡は ! ? |
イクス | えっ、いま誰かの声がしなかったか ? |
スレイ | オレも聞こえた !しかも、あの声、ミクリオだ…。 |
ミリーナ | そうなの ! ? |
スレイ | ああ。この声、間違いない。絶対にミクリオだ ! |
スレイ | って、イクスたちも声が聞こえたの ! ? |
イクス | それは、あれだけ大きな声だったからな。 |
ミリーナ | スレイさん、どうしたの ? |
スレイ | いや…なんでもない。とりあえず、声のした方に行ってみよう ! |
イクス | わかった ! |
ミクリオ | この遺跡…各時代の遺跡の特徴が不規則に入り交じっている…しかも風化の度合いもそれぞれ違う… |
ミクリオ | すごいな… !スレイも見たらきっと… |
スレイ | ミクリオ ! |
ミクリオ | スレイ ! ? |
スレイ | やっぱりミクリオだ !この世界でも会えるなんて嬉しいよ !ミクリオも具現化されてたんだな ! ! |
ミクリオ | ちょっと待て。この世界 ?具現化 ? いったいなんのことだ ? |
イクス | スレイ !ミクリオさんが見つかったんだな ! ? |
ミリーナ | よかったわね。 |
ミクリオ | …………。 |
イクス | … ? |
ミクリオ | スレイ、彼らは… ?何だか特殊な鏡を身に付けているようだが。 |
イクス | これは魔鏡。俺たち鏡士の力を引き出す鏡だよ。 |
ミクリオ | なっ… ! ? |
イクス | えっ ! ? |
ミクリオ | 僕の声が聞こえている… ? |
イクス | だって、目の前にいるじゃないか。 |
ミクリオ | 姿も見えるのか ! ? |
ミリーナ | え… ? ええ、見えますよ ? |
スレイ | イクスたち。やっぱりミクリオを認識できるんだな。 |
ミクリオ | ちょっと待ってくれ。君らは人間だろう ?もしかして、それだけ高い霊応力を持っているのか ? |
イクス | 俺たちは確かに人間だけど……霊応力って ? |
ミリーナ | なんのことかしら…。 |
カーリャ | カーリャは鏡精ですけどね ! |
スレイ | たぶん、この世界では人間も天族を普通に知覚できるんだと思うよ。あと、鏡精もね。 |
スレイ | グリンウッドの具現化の際に、オレの認識する世界像が影響を与えたのかもしれないな。 |
ミクリオ | …なんとなくわかってきたぞ。この世界はグリンウッドではなく別の世界ということか。 |
ミクリオ | この遺跡が通常ではありえない特徴を示していることについてもそれなら説明がつく。 |
スレイ | さすがミクリオ ! 話がはやい ! |
イクス | それじゃあ、詳しくは俺たちが説明を―― |
魔物 | グルルル~~ ! ! |
スレイ | いまの、魔物の鳴き声だ… ! |
イクス | 誰かが襲われてるかもしれないな。 |
ミクリオ | 向かった方がよさそうだね。 |
イクス | ああ、行こう ! |
エドナ | まったく。メンドクサイわね。 |
ミリーナ | イクス ! 見て !あの子、魔物に囲まれてるわ ! |
イクス | 大変だ ! すぐに助けないと ! ! |
エドナ | ……人間 ? |
スレイ | エドナ ! |
エドナ | あら。スレイにミボじゃない。 |
イクス | スレイたち、あの子と知り合いなのか ! ? |
スレイ | ああ。オレたちの仲間だ。ミクリオと同じ天族だよ。 |
イクス | 天族 ? |
イクス | くっ… ! 周りにもこんなにいたのか ! |
ミクリオ | すごい数の魔物だ… !エドナ、大丈夫か ! ? |
エドナ | 心配するならはやく敵を倒したらどう ?相変わらず口だけで行動が伴ってないのね。 |
ミクリオ | まったく君は、こんなときでも相変わらずだな。 |
エドナ | 何よその態度。口だけで行動が伴ってないミボ。略してクガミボ。 |
ミクリオ | だから、変に略すな ! |
ミクリオ | みんな、エドナは僕がなんとかする。イクスたちは周りの敵を頼むよ。 |
イクス | わかった ! いくぞっ ! |
キャラクター | 1話 【エドナの要求】 |
イクス | このアイスクリーム、ミクリオの手作りなんだよな !すごくおいしいよ ! |
ミリーナ | こんなになめらかで舌触りのいいアイス、はじめてだわ ! |
ミクリオ | 気に入ってもらえたようでよかったよ。具現化されたときに助けられたお礼だ。遠慮なく食べてくれ。 |
イクス | 天族のことも少しだけわかったよ。ミクリオは水の天族で水や氷を操る力があるんだよな。 |
ミリーナ | だから、お菓子作りの中でも氷菓子がすごく得意なのね。 |
ミクリオ | そういうことさ。 |
スレイ | ねぇ、ミクリオ。オレも食べていいかな ?久しぶりにミクリオのアイスクリーム、食べたくなっちゃってさ。 |
ミクリオ | ああ。いいよ。スレイにも光魔から助けてもらったからね。 |
エドナ | そうよ、スレイ。溶けちゃったらもったいないしどんどん食べなさい。 |
ミクリオ | 別に構わないがなんでエドナは黙々と食べてるんだ。僕と同じ助けられた側だろ。 |
エドナ | なによ、ミボ。何か問題ある ? |
ミクリオ | イクスたちにお礼の一言ぐらいあってもいいんじゃないか ?それが礼儀ってものだろう。 |
エドナ | それが礼儀ならこの世界の人間たち全員がワタシに感謝するべきよ。 |
エドナ | 鏡映点であるワタシが、この世界に存在してるだけで、世界は滅びの危機から救われてるんだから。 |
ミクリオ | またそんな理屈を…。僕が言ってるのはそういう事じゃない。 |
エドナ | 理屈では勝てないから感情論かしら ?まだまだボーヤね、ミボ。 |
ミクリオ | はあ…。もうわかったから、僕らとばかり会話してないでイクスたちとも話したらどうなんだい ? |
スレイ | だな。せっかくこの世界では人間も天族を知覚できるわけだしな。 |
エドナ | …面倒ね。 |
イクス | ミリーナ…。やっぱり俺、エドナ様に嫌われてるのかな…。 |
ミリーナ | そんなことないわよ。イクスは何も嫌われるようなことしていないもの。 |
イクス | けど…天族っていうのは人間を守護する神様みたいなすごい存在なんだろ ? |
イクス | わかったぞ…。エドナ様が俺を嫌う理由。それは、俺が生まれながらの大罪を背負ってるからだ…。 |
カーリャ | 生まれながらの大罪 ? いったい何ですか… ? |
イクス | エドナ様は地の天族なんだろ。ほら、俺ってタマネギ苦手だし…。残したこともあったから…。 |
カーリャ | そんなことですか ! ? |
ミリーナ | それは…違うと思うけど。でも好き嫌いをなくすのはいいことよ。 |
ミリーナ | この際だからちゃんと食べられるようになりましょう。 |
ミリーナ | それで誠心誠意許しを請えばエドナ様も許してくれるかもよ ? |
ミクリオ | イクス、ミリーナ。ひとまず落ち着いてくれ。エドナは誰に対してもこうだ。 |
イクス | …そうなのか ? |
エドナ | そうよ。ワタシは人間が嫌いだもの。 |
エドナ | 困った時だけワタシたちを頼ってきて、こうして具現化させられたりホント面倒。 |
ミクリオ | それは事情を聞いてエドナも納得していたじゃないか。 |
イクス | いや…けど、本当にすいません。俺たちの都合に巻き込んでしまって…。 |
エドナ | …もういいわ。具現化したのをなかったことにはできないのだから。 |
エドナ | タマネギ嫌いを許されるためなら何でもするんでしょ ? なら、おいしいお菓子でも持ってきなさい。 |
ミクリオ | いや、何でもするとは言ってないだろ。 |
イクス | いや、いいよ。おいしいお菓子…か。お菓子といえばミリーナだよな。 |
ミリーナ | え、私 ? |
イクス | ミリーナが作ってくれた誕生日パーティーのケーキ、すごく美味しかったからさ。 |
ミリーナ | あれはイクス好みに作ったからでしょ。 |
イクス | それはそうだけど、みんなも美味しいって喜んでたじゃないか。 |
ミクリオ | …ケーキか。 |
スレイ | ミクリオ、どうしたんだ ? |
ミクリオ | いや、ちょっと僕も作ってみようかと思ってね。 |
スレイ | ミクリオは水の天族だから焼き菓子は苦手だろ ?どうしてケーキなんだ ? |
ミクリオ | 確かに火加減の調整は苦手だがだいぶ慣れてきたんだ。 |
ミクリオ | ちゃんと美味しいケーキを作って皆に振る舞うよ。 |
ミリーナ | ケーキは作るのも食べるのも大好きよ。イクス、楽しみよね ? |
イクス | そうだな。天族のアイスクリームに続いてケーキも食べられるなんてなかなかないことだ。 |
カーリャ | つまり神のケーキってことですからね。 |
ミクリオ | それは大げさだが…。いや、待て……神のケーキ…。 |
スレイ | ミクリオ。神のケーキって…『天遺見聞録』に記載されてたよな ? |
ミクリオ | ああ。神のケーキの作り方が記された伝説のレシピが眠る遺跡…。名前は―― |
2人 | スイートピア遺跡 ! |
エドナ | それ、ワタシが具現化された場所ね。魔物がわんさかいてダルい遺跡だったわ。 |
スレイ | もしかして、新しく発見された地下遺跡ってスイートピア遺跡のことだったのか ? |
ミリーナ | あの辺りは魔物も多かったしそうかもしれないわね。 |
イクス | 魔物がわんさか、か…。近くの街を襲ったりするかもしれない。少し討伐した方がいいかもしれないな。 |
スレイ | なら、オレも一緒に行くよ。遺跡に関する知識もあるし何か役に立てるかもしれない。 |
イクス | ありがとう。心強いよ。けど、スレイの本心は別だろ ? |
スレイ | あはは…バレたか。正直、遺跡のことや伝説のレシピのことが気になってさ。 |
イクス | だと思ったよ。それがスレイだもんな。 |
スレイ | ミクリオとエドナは ? |
エドナ | パス。メンドクサイ。 |
カーリャ | まさかの即答 ! ? |
ミクリオ | 僕はもちろん行くさ。けど、先に向かっていてくれ。すぐ追いつく。 |
イクス | それなら、ひとまず俺たちだけで出発しよう。 |
スレイ | ミクリオ、はやく来ないとオレたちが全部調べつくしちゃうからな。 |
ミクリオ | ふふん。すぐ追いつくっていっただろ。 |
エドナ | はぁ…。まさか人間と接することになるとは思ってもみなかったわね。ホント、迷惑だわ。 |
ミクリオ | エドナ、そのことなんだが、ちょっと頼みたいことがあるんだ。 |
エドナ | …頼みたいこと ? |
キャラクター | 2話 【レシピ1 探検開始!】 |
ミリーナ | ここが例の遺跡 ?すっごく甘い香りが漂ってるね。 |
イクス | チョコレートとかクッキーとか色々なお菓子の香りが遺跡の奥から漂ってきてる。 |
ミリーナ | この遺跡にはお菓子がたくさんあるのかしら ? |
イクス | どうだろう…。けど、遺跡に魔物が多いのは、この香りが原因かもしれない。 |
mst_charas|name|32 | 僕も同じ推察だ。 |
イクス | ミクリオ ! |
ミクリオ | 待たせたね。 |
スレイ | よぉし ! ミクリオも追いついたし、探検開始だな ! 奥がどうなってるのか気になってしょうがないよ ! |
ミクリオ | スレイ。今回は魔物の討伐が優先ってこと忘れないでくれよ。 |
ミクリオ | 遺跡探検に夢中になってイクスたちを振り回さないように。 |
スレイ | あはは…。了解。みんなとの遺跡探検が嬉しくてついテンション上がっちゃって…。 |
イクス | いや、むしろ俺たちがスレイたちに迷惑かけないよう気をつけないと…。 |
ミリーナ | どうしたの、イクス ? |
イクス | 二人は遺跡に慣れてるけど俺たちは全然だろ。足を引っ張らないようにしないと。 |
ミリーナ | 大丈夫よ。イクスは遺跡探検の本、入門編から超上級編まで読破してるし、スレイさんからも色々教わったんでしょ ? |
ミリーナ | 私もイクスがおすすめしてくれた本で勉強してきたから、最低限の知識は身に付いてるわ。 |
スレイ | 大丈夫 !いざとなったときはオレとミクリオできっとなんとかできる ! |
ミクリオ | 足場が崩れて地下に落ちたときも無事、助かったからね。 |
イクス | 足場が…崩れて…… ! ? |
スレイ | あれはヤバかったよな~。 |
カーリャ | その話聞いて、むしろ不安になりました…。 |
ミクリオ | 安心してくれこの遺跡は頑丈そうだ。ちょっとやそっとじゃ崩れないよ。 |
イクス | けど、遺跡にはトラップもあるだろ。 |
イクス | 台座に置かれていた美味しそうなプリンを食べたらスイッチが作動。床に穴が開いて真っ逆さまなんてことも…。 |
スレイ | あはは。そんなあからさまなトラップ、引っかからないよ。 |
カーリャ | えっ、台座に置かれたプリン食べちゃダメだったんですか ? |
4人 | えっ…… ? |
ミクリオ | うわぁぁああああ ! ! ! ! |
スレイ | ミクリオーー ! ! |
イクス | だだだ、大丈夫なのか ! ?この落とし穴かなり深いみたいだぞ ! ?底がまったく見えない ! |
ミリーナ | カーリャ !あれだけ勝手に何かに触れないよう注意したじゃない ! |
カーリャ | すいません ! すいません !あまりにもプリンが美味しそうでっ ! ! |
スレイ | ま、まぁ。ミクリオなら天響術も使えるし無事だと思う。オレも落ちたとき助けてもらったから。 |
イクス | けど、遺跡には魔物もいるわけだしはやくミクリオと合流しないと。 |
スレイ | この遺跡は構造的に地下につながっているはずだからミクリオならきっと奥にいるよ。 |
イクス | わかった。行こう。 |
キャラクター | 3話 【レシピ5 甘い香りに誘われて】 |
カーリャ | ふわぁ~…。あっちからいい香りがしますぅ~。 |
イクス | あれはチョコレートの底なし沼だな。うっかり近づかないように気をつけるんだぞ。 |
カーリャ | あのキラキラしたのはなんですか ? |
ミリーナ | 金平糖の流砂よ。手を伸ばして引きずり込まれないようにね。 |
スレイ | へぇ… ! お菓子や調味料のトラップなんて初めてみた。すごいな~。 |
ミリーナ | そろそろミクリオさんと合流できるかしら。 |
イクス | だと思うけど…。もしかしたら !トラップで身動きが取れなくなっている可能性もある。 |
イクス | たとえば、アイスクリームの濁流に飲み込まれて固められてるかも…。 |
カーリャ | アイスクリームの濁流…。それはうらやま……じゃなくて、ミクリオさま、すいません…。 |
スレイ | …あれ、微かにだけどバニラの香りしない ? |
ミリーナ | …どんどん、近づいて来てる ? |
? ? ? | みんな ! |
イクス | あっ ! ミクリオ !良かった ! 無事で ! |
カーリャ | ミクリオさまー !すいませんでした ! ! |
ミクリオ | はぁ…はぁ……。気にしてないよ。それより…マズいことになった……。 |
スレイ | なにかあったのか ? |
カーリャ | あれ、ミクリオさま。身体からバニラの香りがしますね。 |
イクス | まさか、アイスクリームの濁流が迫っているのか ! ? |
ミクリオ | いや…これはバニラエッセンスの噴水に落ちたときついたんだ。それだけなら問題なかったんだけど…。 |
魔物 | …………。 |
ミクリオ | そのせいで…遺跡中の魔物に追い回されてる…。バニラの香りが大好きみたいで……。 |
スレイ | アイスクリームじゃなくて魔物が濁流のように迫ってきた ! ? |
ミクリオ | けど、あいつら、追いかけてくるだけで襲ってはこないんだ。 |
スレイ | それもバニラの香りが関係してるのかな。 |
イクス | …確か、犬型の魔物はバニラの香りが好きで香りを嗅ぐと一時的におとなしくなるって本に書いてあったな。 |
スレイ | そうなんだ。知らなかったよ。ミクリオも、バニラの香りがあれば犬嫌い、克服できるんじゃないか ? |
ミクリオ | ……。 |
魔物 | バウッ ! |
ミクリオ | …おとなしくなっても、吠えるのが問題だけどね。 |
イクス | あれ…ちょっと待ってくれ…。いまは吠えるだけだけどもし、バニラの香りが消えたら…。 |
ミリーナ | 凶暴化したり…しないわよね ? |
スレイ | ミ、ミクリオ ! 悪いけど香りが飛ばないようにジッとしててくれ !魔物はオレたちが倒すから ! ! |
ミクリオ | …状況が状況だ、仕方ない。イクスたちも巻き込んでしまってすまないが…頼む。 |
イクス | 気にすることない。ちまちま倒す手間がはぶけたよ。 |
ミリーナ | ここにいる魔物は一網打尽にしちゃいましょ ! |
イクス | ああっ、いくぞっ ! ! |
キャラクター | 4話 【レシピ5 甘い香りに誘われて】 |
イクス | よし。目につく魔物は倒しきったな。 |
ミリーナ | これでひとまず遺跡近くの街も安全のはずよ。 |
スレイ | まさにケガの功名だ。一気に魔物を倒せたわけだし、ミクリオには感謝しないと。 |
ミクリオ | スイートピア遺跡の精良な罠をこの身で味わえたのは貴重な体験になったがバニラエッセンスの噴水はもうこりごりだ。 |
スレイ | それにしても、この遺跡の建造技術ってすっごく高度だよな。 |
ミクリオ | ああ。それには驚かされるよ。いまの技術では再現不可能な仕掛けばかりだ。 |
ミクリオ | もしかしたらアスガード時代…いや、それよりも昔の技術か…。 |
スレイ | 神代の時代に建造されたと考えてもおかしくないぞ ! |
ミクリオ | 僕も同感だ。柱の装飾もクローディン王家の紋章に影響されていない独自のモチーフだからね。 |
スレイ | さらに地下に進めばもっと色々な情報がわかるかもしれないな !伝説のレシピも見つかるかも ! |
イクス | それじゃあ、魔物の討伐はここまでだな。遺跡探検の始まりだ。 |
スレイ | イクスたちとまた一緒に冒険できるんだな !しかも今回はミクリオも一緒 ! !オレ、すっごく嬉しいよ ! ! |
ミクリオ | ……。 |
スレイ | …ミクリオ ? どうした ?気分でも悪いのか ? |
ミクリオ | いや…そうじゃない。 |
ミクリオ | イクス、ミリーナ。すまない…僕たちだけで勝手に盛り上がってしまって…。 |
イクス | えっ ? いきなりどうしたんだ ? |
ミクリオ | 自分で言うのもなんだけど遺跡探検って変わった趣味だと思う。 |
ミクリオ | スレイと僕自身も育った環境からして普通の人間とは違うんだ。 |
ミクリオ | だから…イクスたちが気を使って僕らに無理して合わせていないかそれが気になってるんだ。 |
イクス | あははっ ! むしろそれはミクリオの方が俺たちに気を使い過ぎだよ ! |
ミクリオ | わ、笑わないでくれ。良好な人間関係というのは両者が歩み寄ることで築かれるものだ。 |
ミクリオ | だから一方的に付き合わせる訳にはいかない。そう考えるのは自然なことだろう。 |
イクス | むしろ付き合わせて欲しいくらいだよ。 |
ミクリオ | …どういうことだい ? |
イクス | だって、遺跡探検ってこんなに面白いんだから。 |
ミリーナ | ふたりがなんで、遺跡探検が大好きで世界中の遺跡を回ることが夢なのか私たちもわかったわよね。 |
イクス | スレイからミクリオのこと聞いてたけど俺の想像してた以上に遺跡が好きってこともね。 |
ミクリオ | ……イクス、ミリーナ。 |
イクス | それに伝説のレシピの内容も気になるしこの先で、まだ誰も知らない何かと出会えるかもしれない。 |
ミリーナ | そう考えると、なんだかワクワクするわよね。 |
スレイ | そう ! それなんだよ !それが遺跡探検の楽しいところ !二人ともよくわかってる ! ! |
ミクリオ | …ふふっ。そうみたいだね。 |
ミクリオ | すこし、スレイのことを心配し過ぎたみたいだ。 |
スレイ | オレのこと ? どういう意味 ? |
ミクリオ | なんでもないよ。 |
イクス | だから、俺たちも一緒に行っていいかな ?慣れてないから、迷惑じゃなければ。 |
ミクリオ | イクスも気を使い過ぎだよ。もちろん、一緒に行こう。 |
スレイ | ならみんなで、伝説のレシピを誰が一番に見つけるか勝負だな ! |
イクス | 勝負か…。俺で相手になるかな。 |
ミリーナ | イクス、一緒に頑張ろうよ !私も手伝うわ ! |
イクス | …そうだな。二人には勝てる気がしないけど、やってみるか ! |
ミクリオ | 悪いけど、負けるつもりはないからね。特に、スレイには。 |
スレイ | どういう意味だよ、それ。オレだってミクリオには負けないからな。 |
イクス | よしっ、それじゃあ遺跡探検開始だ ! |
キャラクター | 5話 【レシピ9 導師の力】 |
スレイ | 遺跡の構造的にここが最深部みたいだね。この先に神のケーキの作り方が記された伝説のレシピがあるはずだ。 |
イクス | …あれ ?この階だけ甘い香りがしないな。トラップがないってことか ? |
ミクリオ | 最深部は神の祭壇としての意味もある神聖な場だからね。イクスの推測通り、もう罠はないはずだよ。 |
カーリャ | よかったです…。水飴放射器で飴細工にされることもないわけですね…。 |
イクス | 俺たちがお菓子になる前になんとかここまでやってこれてよかったよ。 |
スレイ | 俺たちがお菓子に、か…。そういえば地方の童話に似たような話があったな。 |
ミリーナ | どんなお話なの ? |
スレイ | お腹をすかせた二人組が料理店に入ると香辛料や塩を身体につけるようにお店側から注文をされるんだ。 |
イクス | な、なんでそんなことを…。 |
スレイ | その料理店ってのは客に料理を食べさせる店じゃなかったんだ。 |
ミリーナ | えっ ! ? じゃあどんな料理店なの ! ? |
イクス | ま、待ってくれ…。なんとなく読めてきたぞ……。 |
スレイ | そう……実は、客を料理として食べる店だったんだ。 |
ミリーナ | きゃー ! ! |
スレイ | 最後、二人組が奥へと進み扉を開けると狼が待ち構えていて―― |
ミリーナ | うんうん、それで ! ?イクスもオチが気になるわよね ! ? |
イクス | い、いや…。俺はそこまででも…。なんとなくわかるし…。というかミリーナ、楽しそうだな…。 |
スレイ | そして最後、二人組は……あれ ?狼を食べちゃったんだっけ ? |
ミクリオ | なんとか逃げたっていうオチじゃなかったか ? |
ミリーナ | よかった。とりあえず、二人組は助かったのね。 |
イクス | ……いや、ちょっと待て。二人組は助かったかもしれないけど俺たちは危機的状況かもしれない…。 |
イクス | いまの話から考えると、トラップは遺跡を守るためのものじゃなくて……。 |
イクス | 俺たちを調理するためのものだったんじゃないか…… ? |
スレイ | なるほど…そうかもしれない !だからあんなに手の込んだトラップだったのか ! |
ミクリオ | 『天遺見聞録』でもその解釈はされていなかった !イクス、すごい発見だぞ ! |
ミリーナ | さすがイクス !やったじゃない ! ! |
イクス | 感心してる場合か ! ?俺たちを食べようと狼が待ち構えているかもしれないんだぞ ! ? |
ミリーナ | お話の二人組も助かったんだし私たちもなんとかなるわよ。 |
スレイ | 狼ならバニラエッセンスがあれば懐いてきたりするかもね。 |
ミクリオ | いや、もうあれはごめんだ…。 |
イクス | 二人とも…何か気配を感じないか ?これってまさか、腹を空かせた狼なんじゃ…。 |
ミクリオ | …いや、この気配は。 |
スレイ | 憑魔だ ! ! |
憑魔 | グルルル~~ ! ! |
イクス | なんだあの魔物は ! ? |
ミリーナ | 光魔とも違うみたいだわ !イクス、気をつけて ! |
ミクリオ | あれは憑魔。穢れに侵された魔物だよ。 |
スレイ | イクス、ここはオレに任せて !導師の力で浄化する ! |
イクス | わかった !俺たちはスレイを援護するぞ ! ! |
キャラクター | 6話 【レシピ9 導師の力】 |
イクス | スレイ、憑魔は ? |
スレイ | ちゃんと浄化したよ。もう大丈夫。 |
ミクリオ | それにしても、まさかこんなところで憑魔に出会うとはね。 |
スレイ | あの憑魔、元は母親狼だったみたいで小さな子狼を連れてたからエサを探してここまで来たのかもね。 |
ミクリオ | それで人を襲うようになり穢れが生まれ憑魔化したのか。 |
カーリャ | うぅ…怖かったですー。お菓子や調味料で味付けされてもカーリャは美味しくないですよー。 |
ミクリオ | 子どもに美味しいエサを食べさせたいのはわかるが僕らがエサになるのは勘弁だな…。 |
スレイ | けど、優しい狼だったよ。浄化をしたらこれを持ってきてくれたんだ。 |
イクス | それってまさか、伝説のレシピか ! ? |
スレイ | ああ ! 表題に古代語で『神のケーキの作り方』って書かれてる ! |
ミクリオ | それで、レシピの内容は ! ? |
スレイ | まだ確認してない。イクスやミクリオたちと一緒に読みたかったからね。 |
イクス | ありがとう、スレイ。どんなことが書かれてるのか楽しみだな。 |
スレイ | それじゃあ、読み上げるね。 |
スレイ | えー…まず、火鼠の皮衣を燃やして火を炊き仏の御石の鉢にいれた龍の顎の玉を蓬莱の玉の枝でよくかき混ぜたのち―― |
スレイ | って、なに ! ? このレシピ ! ? |
イクス | えっ。その用意しなくちゃいけないものって全部、伝説上の宝だよな ? |
ミクリオ | すべて『神代の時代』のものだぞ。全部用意するのは無理難題もいいとこだ。 |
ミリーナ | 神のケーキって神様の時代のケーキってことだったのね。 |
スレイ | いや、でもこれすごい発見だよ ! |
ミクリオ | ただ、ケーキを作ることができないのが悔しいな…。 |
? ? ? | あら、それは残念ね。 |
イクス | エドナ様 ! ? どうしてここに ! ? |
エドナ | アナタたちの帰りがあまりに遅いから仕方なく様子を見に来たのよ。 |
スレイ | よくここまで無事にたどり着けたね。トラップだらけだったでしょ ? |
エドナ | あんなトラップごとき巨魁の腕で一発だったわよ。 |
ミクリオ | バカな ! 貴重な遺跡を破壊したのか ! |
エドナ | 遺跡は歴史を物語るもの。『壊された』というのも歴史のひとつ。遺跡に歴史が増えてよかったじゃない。 |
ミクリオ | そんな理屈… !大体、君は―― |
エドナ | なに ? ミボ。結局神のケーキを用意できなかったくせに。文句だけは一人前ね。 |
ミクリオ | く…。 |
スレイ | ミクリオ、神のケーキを作るつもりだったのか ? |
ミクリオ | みんなにケーキを振る舞うって言ったろ。せっかくだし、作ってみようと思ってただけさ。 |
エドナ | で、どうするの ? |
ミクリオ | ケーキは僕がなんとかする。だから待っててくれ。 |
エドナ | …ふうん。 |
ミクリオ | ほら、みんな。伝説のレシピは手に入れたわけだしそろそろ戻ろう。 |
スレイ | あっ、ミクリオ !ちょっと待ってよ ! |
エドナ | まったく。落ち着きがないわね。 |
ミリーナ | イクス、私たちも行きましょうか。 |
イクス | あぁ。そうだな。まだ魔物が残っているかもしれない。気をつけて進もう。 |
キャラクター | 8話 【レシピ17 乙女の秘密】 |
ミクリオ | みんなのおかげでケーキが完成したよ。ありがとう。 |
イクス | それはミクリオが頑張ったからだよ。俺たちは結局、野いちご集めただけだからさ。 |
ミリーナ | ミクリオさんのケーキ、すごく楽しみね。 |
スレイ | ああ ! オレもはやく食べてみたいよ ! |
ミクリオ | それじゃあ、ケリュケイオンに戻ろうか。 |
イクス | ケリュケイオン…。そういえば、もう入れてもらえるのかな。 |
ミリーナ | エドナ様に止められてたものね。 |
エドナ | アンタたちこんなところで油を売ってたの。 |
スレイ | エドナ ! |
イクス | どうしたんだ ? そんなに慌てて。 |
エドナ | ケリュケイオンが大変なことになってるのよ。すぐに来て。 |
スレイ | えっ、いったい何が起こったんだ ! ? |
エドナ | いいから早く。いくわよ、ミボ。 |
ミクリオ | ちょっと ! 引っ張らないでくれ ! ! |
イクス | いったい何があったんだ ! ?もしかして、魔物に襲われたのか ! ? |
スレイ | わからないけど、エドナが慌てるぐらいだ。はやく向かった方がいい。 |
ミリーナ | わかったわ ! 行きましょう ! |
イクス | ミクリオ ! エドナ !ケリュケイオンは―― |
2人 | ようこそ !『天族主催 サプライズパーティー』へ ! ! |
イクス | ……えっ、どういうことだ ! ?サプライズパーティー ! ? |
ミリーナ | イクス、見て !ブリッジに飾り付けもされてるわよ ! |
スレイ | ミクリオとエドナ、こんなこと企画してたのか ! ? |
mst_charas|name|36 | もう、ミボがどうしてもやりたいってきかなくてね。 |
ミクリオ | 僕は君がノリノリで飾り付けしてるのをこの目で見ているんだが――いたっ ! ! |
mst_charas|name|36 | うるさいわね。刺すわよ。 |
ミクリオ | だから刺してから言わないでくれっ ! |
ミリーナ | ミクリオさん、エドナ様 !ありがとう ! すごく嬉しいわ ! |
イクス | まさかパーティーを開いてもらえるとは思ってなかったからな !いきなりどうしたんだ ! ? |
ミクリオ | 僕らは今まで、人間と関わったことがほとんどなかったんだ。スレイ含めても数人しかいない。 |
ミクリオ | だから、人間と親睦を深める方法も芸がなくてね。けど喜んでもらえて良かった。 |
イクス | (そうか。俺たちが天族って聞いて戸惑ったように、ミクリオたちも……) |
スレイ | ねぇ、ミクリオ。それならオレも誘ってくれればよかったのに。人間だけど、天族の村で育ったわけだし。 |
ミクリオ | はじめに言ったろ。これは天族主催だって。 |
ミクリオ | それに、伝説のレシピ探しの勝負ではイクスとスレイに後れを取ったからね。これでおあいこさ ! |
スレイ | あははっ。確かに、これでみんな一勝づつだね。 |
mst_charas|name|36 | ミボ、あれはどうしたの ?まさか用意できなかったとか言わないわよね ? |
ミクリオ | 大丈夫、ちゃんとケーキは作ってきたよ。 |
イクス | あっ、ケーキってこのパーティのために作ってたのか ! |
ミクリオ | そういうことさ。そして、これが完成したケーキ―― |
ミクリオ | アイスクリームケーキだ ! |
イクス | このケーキ、アイスクリームとホワイトケーキが組み合わさってるのか ! ? |
ミリーナ | はじめてみるわね !セールンドでは見たことないわ ! |
イクス | もしかして、この赤いソースは野いちご ? |
ミクリオ | そうだよ。最後の仕上げに使わせてもらったんだ。 |
スレイ | アイスクリームケーキか !すごいな、ミクリオ !マーボーカレーまんみたいなもの ! ? |
ミクリオ | 近いようで遠いような…。まぁ、いいからみんな食べてみてくれ。 |
イクス | それじゃあ…。 |
4人 | いただきます ! |
mst_charas|name|1 | はむっ…………。 |
ミクリオ | どう、かな ? |
mst_charas|name|1 | …………。 |
イクス | おいしい !ミクリオ、これすごく美味しいよ ! |
ミクリオ | はぁ…よかった……。 |
ミリーナ | ミクリオさん、本当に美味しいわよ !なめらかなアイスクリームとしっかり焼けたスポンジの相性が抜群 ! |
エドナ | なかなかやるわね…ミボのくせに。 |
スレイ | ミクリオ、よく思いついたなぁ。 |
ミクリオ | パーティーにはホワイトケーキが一般的だと知ってはいたんだけど正直、なかなかうまくいかなくてね。 |
スレイ | スポンジの焼き加減で悩んでたもんな。 |
ミクリオ | でも、それなら僕らしくいまできる最高のケーキを作ろうとイクスたちと話してて思ったんだ。 |
イクス | 水の天族だからアイスクリーム作りが得意。それがミクリオだもんな。 |
エドナ | 焼き菓子は苦手で変なところで真面目なのもね。 |
ミクリオ | エドナ ? |
エドナ | 冗談よ。 |
ミクリオ | とにかく、こんな僕らだけど改めてこれからよろしく。イクス、ミリーナ。 |
イクス | ああ ! こちらこそ ! |
ミリーナ | イクス、今度は私たちがパーティー開きましょうよ。 |
イクス | ミリーナがケーキを作って俺が新鮮な魚料理を振る舞うとか、俺たちらしいかもな。 |
ミクリオ | それは楽しみだ ! |
スレイ | じゃあそのパーティーは人間主催ってことでオレも手伝うよ ! |
イクス | そうだ。エドナ様。ちょっと聞きたいことがあるんだけど…。 |
エドナ | なによ。鏡士のボーヤ。 |
イクス | 俺たちがパーティー開くことになったらエドナ様は来てくれるかなって。 |
ミリーナ | 人間嫌いなのは知ってるけどもしよければ。 |
エドナ | はぁ…それがわかっててよく誘えるわね。 |
ミクリオ | それで、エドナはどうするの ? |
mst_charas|name|36 | …まあ、この子たちが嫌いなわけじゃないしそこまで言うなら参加してあげる。 |
エドナ | ついでに、旅にも同行してあげる。スレイとミボだけだと頼りないわ。 |
イクス | エドナ様…いいのか ! ?ありがとう ! ! |
ミリーナ | やったわね、イクス ! |
ミクリオ | エドナ、やけに素直じゃないか。 |
mst_charas|name|36 | 少しだけ、この子たちがどういう人間かわかったから…。 |
エドナ | それに、お兄ちゃんのことも何かわかるかもしれないと思っただけ。 |
スレイ | …エドナ。 |
イクス | (エドナ様、どうしたんだ ?なんだかすごく悲しそうな…) |
エドナ | 変な勘ぐりはしないことね。鏡士のボーヤには関係ないことよ。 |
イクス | えっ…あ、はい…。 |
エドナ | それより、そのパーティーはワタシが満足するぐらいのものかしら ? |
エドナ | 言っておくけど、ワタシのパーティー眼は肥えてるわよ。 |
ミクリオ | なんだよ、パーティー眼って…。 |
イクス | ああ、わかったよ。それじゃあ、エドナ様にも喜んでもらえるよう頑張って考えなくちゃだな ! |
ミリーナ | こんなに素敵なパーティーを開いてくれたんだものね ! |
エドナ | …ホント、変な人間ね。この子たちは。 |
スレイ | けど、なんとなくわかっただろ ? |
ミクリオ | これが、イクスとミリーナなんだよ。 |
エドナ | まぁ、そのようね。 |
キャラクター | 2話 【10枚目 ドラゴせんべい】 |
イクス | こうやって色々話しながら自分たちで作ったせんべいを食べるのもなかなか楽しいな。 |
ミクリオ | せんべいに作った人の個性がでてるのもなかなか面白いね。 |
エドナ | このせんべいは鏡士のボーヤが作ったのよね ? |
イクス | えっ、なんでわかったんだ ? |
エドナ | 漁師だったんでしょ。エビが入ってるからどうせそうだと思ったのよ。 |
ミクリオ | イクスは漁師だったのか。エドナ、よく知ってるな。 |
イクス | いや…ちょっと待って。俺、エドナ様に漁師だったって話した記憶はないぞ。 |
スレイ | オレが話したんだよ。エドナにイクスたちのこと教えてくれって頼まれてさ。 |
エドナ | …スレイ。余計なこと言わないでくれるかしら。 |
スレイ | えっ、これ言っちゃダメだったの ? |
エドナ | …もしかして、その調子だと他にも何か余計なことしゃべってないわよね ? |
スレイ | それは……ごめん。エドナのお兄さんのこと話しちゃった。 |
エドナ | まったく……。 |
イクス | いや、それは俺がスレイから聞き出したんだ。 |
ミリーナ | どうしても気になったの…。お兄さんのこと話すとき、エドナ様がつらそうな顔してたから。 |
イクス | ああ。あのときの横顔が忘れられなくて……。 |
エドナ | つまり、ワタシのミスってわけね。あーあ、抜かったわ。 |
イクス | エドナ様、これ…。何の足しになるかもわからないけど…。 |
エドナ | ……ドラゴンに関する資料。 |
イクス | ティル・ナ・ノーグのドラゴン伝承をまとめてみたんだ。 |
エドナ | …この世界にもドラゴンがいるの ? |
ミリーナ | …ええ。けど、この世界のドラゴンは穢れとも天族とも関係ない存在なの。 |
イクス | だから、エドナ様が探しているドラゴンの浄化方法は……。 |
エドナ | …まあ、そうでしょうね。元いた世界では導師であっても浄化不可能と伝えられてるぐらいだもの。 |
エドナ | どうしようもない。…わかってたわ。 |
ミリーナ | だけど、まだ確認してない文献もあるわ。調べていけば、役に立つ情報も見つかると思うの。 |
エドナ | もういいわよ。アナタたちにだって使命があるんでしょ。 |
イクス | 確かに、俺たちには目の前にやるべき大きなことがあるけど…。 |
イクス | それでも、エドナ様が困っているならそっちだってなんとかしたい。少しでも助けになりたいんだ。 |
ミリーナ | 私たちは導師でも天族でもないけど、それでも、放っておけないわよ…。 |
エドナ | ……ホント、やりづらいわね。 |
エドナ | ……けど、ありがと。イクス、ミリーナ…。 |
イクス | ……エドナ様。 |
スレイ | 二人とも、本当にありがとう。エドナのお兄さんを浄化することはオレとエドナの大切な約束でもあるんだ。 |
イクス | スレイとエドナ様の ? |
スレイ | ああ。だけどさ、どうすればいいかわからなくて…ずっと悩んでた。いや…今もか……。 |
ミリーナ | …スレイさん。そうだったのね。 |
スレイ | けど、二人のおかげで励まされたよ。世界が違うからこそ、これまでと違う、新しいものと出会える。 |
スレイ | その出会いが、ドラゴン浄化に関しても新しい手段や発想の足がかり……希望になるかもしれないもんな ! |
ミクリオ | そうだね。僕たちもイズチから出て世界を旅したからこそ色んなことを知ることができたわけだし。 |
スレイ | エドナ、待ってて。オレ…絶対に諦めないから。 |
エドナ | ……。 |
エドナ | じゃあ、もうこの話はおしまい。せっかくのせんべいがしけっちゃうわ。 |
エドナ | まあ、ミボのはもうしけしけのふにゃふにゃみたいだけど。 |
ミクリオ | これは、ぬれせんべいっていうんだよ。いまのエドナの瞳みたいに水分が多めのせんべいさ。 |
エドナ | ワタシの美しい瞳とこんな生焼けみたいなせんべいを一緒にしないでくれる ? |
ミクリオ | 生焼けじゃない。ぬれせんべいはこういうものだ。 |
エドナ | 生焼けだと自覚がないミボ。略してナガミボね。 |
ミクリオ | だから、ぬれせんべいだ ! |
スレイ | 醤油の味がしみてて美味しいよ。ミクリオのぬれせんべい、オレ、すごく好きだし。 |
イクス | あっ…ホントだ。さすがミクリオ。 |
エドナ | …まぁ、味は悪くないのは認めてあげるけど。 |
イクス | こっちの砂糖醤油を使ってるのがミリーナのだよな ?前にも同じのを作ってくれたっけ。 |
ミリーナ | ふふっ、正解よ。ありがとう。覚えててくれて嬉しいわ。 |
イクス | それで、こっちのがスレイだな。表面の模様がアヴァロストの調律時代のモチーフっぽいのがスレイらしいや。 |
スレイ | えー。そんなにオレっぽいかな ? |
ミクリオ | 僕も同感だ。アヴァロストの調律時代の後期に流行ったものってのがスレイらしくて…………。 |
ミクリオ | …待て ?イクス。なぜ僕たちの世界の歴史を知ってるんだ ? |
イクス | いま、スレイに『天遺見聞録』を借りて読んでるところなんだ。 |
ミクリオ | なるほど…。それで…どうだった ? |
イクス | すっごく面白いよ !特に各遺跡を時代背景や世情の側面から建造理由を分析しているところとか ! ! |
スレイ | だよなっ ! ! あそこまで丁寧にわかりやすく書かれてるのも『天遺見聞録』の特徴なんだよ ! ! |
ミクリオ | ああ。特にアスガード時代の遺跡について王族の家系図と地理的側面で分析し、遺跡群として解釈しているのが興味深い。 |
スレイ | そっちより各遺跡を流通経路から分析して砦として解釈する説の方がオレは説得力も斬新さもあると思うぞ。 |
イクス | けど、こっちの世界での歴史から考えるとそうは考えづらいんだよな。遺跡群の建造時には干ばつもあったんだろ。 |
スレイ | 確かに、天候についての影響を軽視しすぎてる側面はあるかもしれないけど水道遺跡群を考えると問題ないような…。 |
ミクリオ | スレイ、これはイクスたちの世界ティル・ナ・ノーグの歴史を学ぶことでまた何か別の側面から発見があるかもな。 |
スレイ | というより、純粋に知りたい ! |
イクス | それじゃあ教えるよ !代わりに、スレイたちの世界の歴史も教えてくれ ! |
スレイ | ああ ! もちろんだよ !そうだな、どこから説明しよう。 |
ミクリオ | 順を追って神代の時代からがいいだろう。せっかく伝説のレシピも手に入ったからそれに紐付けつつ。 |
スレイ | ミクリオは変なところで真面目だよなぁ。それは冗長すぎるのと不明瞭なとこが多い。アスガード王家の始祖の誕生からがいいよ。 |
イクス | 俺はいわゆる興隆期が気になるな。ペン=ドラゴニア伯が台頭してきたあたり。 |
ミクリオ | イクス、良いところに目をつけるね。けど、そこはもっと前の歴史を学んでからの方が断然面白い。是非そうしてみてくれ。 |
スレイ | よしっ、これは三次会が必要だな !歴史座談会の開催だ ! |
イクス | 賛成 ! すぐに図書館からオススメの歴史書を片っ端から借りてくるよ ! |
ミクリオ | 僕も臨むところだ。スレイ、イクス。仮眠なしのぶっ続けだからね。 |
スレイ | もちろん !ふたりとも、朝まで寝かせないからな ! |
ミリーナ | ふふっ…やっぱり男の子同士っていいわね。イクス、すっごい楽しそう。 |
ミリーナ | よしっ。私は三次会用の夜食を作ろうかしら。 |
エドナ | はぁ…仕方ない。手伝うわ、ミリーナ。面倒だけど。 |
ミリーナ | ふふっ、ありがとう。やっぱりエドナ様はとってもいい子ね。 |
エドナ | で、どうしてまたワタシの頭を撫でてるの ? |
ミリーナ | エドナ様が人生経験豊富な淑女だからよ。もう、ホントにかわいい。 |
エドナ | なんだかもうツッコムのも面倒だわ…。 |
ミリーナ | どうかしたの ? |
エドナ | なんでもないわよ。 |
エドナ | そういえば、ミリーナはケーキ作りが得意だったわね。 |
エドナ | 夜食の準備が終わったらワタシたち二人はまったり優雅にお茶でもしましょ。ケーキでも焼いてちょうだい。 |
ミリーナ | ええ、もちろんよ !じゃあ、シフォンケーキ作るわ ! |
エドナ | わかってるじゃない。ライラのとどっちが美味しいか食べ比べてあげる。 |
イクス | ミリーナ !俺たちにもシフォンケーキ頼むよ ! |
ミリーナ | うん。わかったわ。イクスが好きな茶葉で作るね。 |
イクス | ありがとう。さっきはしょっぱいもの食べたから甘いものが欲しかったんだよ。 |
スレイ | そういえば、甘いもの食べるとしょっぱいもの食べたくなるよな。 |
ミクリオ | それじゃあ、残ってるせんべいも持っていこう。 |
イクス | ああ。それは四次会用だな。 |
エドナ | 遺跡語りで何次会までやるつもり ?バカなの ? |
スレイ | 何次会までって言われると難しいな。 |
ミクリオ | だけど、その質問に。 |
イクス | 答えるとすれば。 |
3人 | 遺跡語りに、終わりはない ! |
エドナ | 遺跡バカってのはわかったわ。 |