キャラクター1話 【ケリュケイオンブリッジ】
―― これは今からほんの少しだけ未来に起きる出会いの物語
イクス――カレイドスコープの修理は、そんなに難航しているんですか…。
ゲフィオンああ。調整を終えたはずの箇所が、翌日にはまた不調をきたしてしまう。…この繰り返しだ。
カーリャそれってワザと修理を妨害してる人がいるんじゃありませんかぁ ?
カーリャちゃんと怪しい人間からカレイドスコープを守れてるんですかねぇ ?
ミリーナちょっ、カーリャ !申し訳ありません。
ゲフィオン良いのだ。言われて当然なのだからな。
ゲフィオンただ、見張りの兵も増やしているが魔鏡技師に良からぬ輩の息がかかっている可能性も排除できぬ。
ゲフィオンそこで、この後のカレイドスコープの修理はガロウズに任せようと思う。腕はもちろん、誰よりも信用のおける人物だ。
ゲフィオンイクス、ミリーナ。彼を伴って、セールンドまで来てくれるか。
イクス承知しました。
ゲフィオンそれともう一つ、伝えておくことがあるのだが――
イクスここで待ってるって話だったんだけど…いないなあ。
ミリーナゲフィオン様が言っていた、新たに見つかったはぐれ鏡映点さんって、保護されたばかりなんでしょ ?
ミリーナもしかして、不安で怯えて隠れてるんじゃ…。
ユーリ怯えるねえ。話のとおり、オレんとこの連れだとしたらそんな可愛いタマじゃねぇと思うけど。
? ? ?待ちなさいよ、あんたって人はー ! !
レイヴンわーーダメ ! リタっちその炎はダメ !おっさん本気で黒コゲちゃうー !
リタコゲれば ? 炭になれば長時間火もつくし、よっぽど人のためになるってもんよ。
イクスうわ、すごいケンカ…。男の人の方が一方的にやられてるけど…器用によけてるな。
ミリーナあれって魔術よね ? あの子の出した火の玉、どんどん大きくなってる。すごい…けど…マズくない ?
レイヴンあ、青年、そこにいるの青年じゃない !助けて ! このままじゃホントに炭になって人のお役に立っちゃう !
イクスユーリさん、あの人こっちにむかって手を振ってるけど…もしかして…
ユーリイクス~、船に戻ろうぜ~。
レイヴンせーーねーーん ! ?
リタ…まあ、一通りの事情は理解したわ。それに、あんたがこっちにいるってわかって…少し安心した。
ユーリなんだよリタ、寂しかったのか ?
リタはぁ ? バカじゃないの。この面倒なおっさんのお守りから、ようやく解放されて安心したってこと。
レイヴン言っとくけど、お守りされる方も命がけだからね… ?
ユーリ大丈夫か ? 大変だったな、おっさん。誰かに助けを求めりゃよかったのに。
レイヴン求めて見捨てられたでしょ ! ?
リタったく、突然妙な所に放り出された上にあたしらを保護しにきたって連中、詳しい話は迎えの者に聞けとしか言わないし…。
ミリーナ多分、私たちの任務に極秘事項が多すぎて一般兵には知らされてなかったんだと思う。嫌な思いをしたなら…ごめんなさい。
リタえ ? べ、別に、あんたに謝って欲しいわけじゃないってば。…ほら、もういいって。
レイヴンそうそう。むしろこっちが謝らないとね。リタっちってば保護の説得にかかる兵士をちぎっては投げ、ちぎっては投げ――
イクス…あの…。
リタおっさんだって迷惑かけてるじゃない !さっきだって、待ち合わせ場所から動いてフラフラと女の後ついてったでしょ ! ?
イクス…ちょっと話を…
レイヴンあ、あれは情報収集なの !情報収集とささやかな趣味を兼ねて――
ラピードワンッ ! !
リタ・レイヴンひっ ! !
ユーリイクス、ラピードがさっさと話せってさ。
イクスど、どうも…。レイヴンさん。それにリタ。
イクス俺たち、王宮に用事があるんだ。二人はしばらく、この船で待機になるけどいいかな。
リタえー退屈。だったら外に出て、もっと色々と調べたいんだけど。
ガロウズなあ、イクス。まだ王宮に行かねぇのか ?カレイドスコープの修理具合によっちゃ、システムの根本的な解析が必要に――
リタカレイドスコープって、さっき説明してた具現化装置のことよね。気になってたの。ねえ、どんなシステムなの ? 術式は ?
ガロウズおっと、新入りかい。う~ん、そうだな。カレイドスコープの話はちょっと難しいから今度ゆっくり説明してやるよ。
リタ馬鹿にしないでくれる ?あっという間に理解してみせるわよ。ほら、話聞かせてって。
ガロウズそこまで言うんじゃ仕方ねぇな。ここから王宮までの間でいいってんならかまわないぜ。
リタそれで十分。いい暇つぶしになりそうだわ。
イクスそれじゃ、すぐに王宮へ向かおう。

キャラクター2話 【協同1 カレイドスコープの異変】
リタねえ、ここのエネルギー係数おかしくない ?制御系統の出力が下がってるのって、これも原因なんじゃ…。
ガロウズなるほどな。じゃあ反射板の角度を調整して…。
リタそっちで対処するのね。いいかもしんない。それなら…。
レイヴンなにあれ、心配してついてきたのに、二人だけですっごい盛り上がって…おっさん嫉妬しちゃう !
ユーリ一緒に修理するって言い出した時はどうなるかと思ったけど、随分と気があったみたいだな。
レイヴンそうか…リタっちもついに、大人の階段のぼっちゃう日が…ホロリ…。
リタアホかー !
レイヴンぶほあぁっ ! !じょ、冗談だってば冗談。
リタほんっとあんたたち、いい加減にしてよね。それどころじゃないんだから !
ガロウズ…待たせたな。
イクスガロウズ、カレイドスコープは直ったのか ?
ガロウズいや…予想よりも悪い。今やってたのは応急処置だ。しかもこのままだと、程なく暴走しちまう。
イクス暴走 ! ?そうなったらアイギス計画は…
ガロウズ計画どころじゃねえだろうなぁ。暴走すれば無作為に異世界をサーチして、具現化を繰り返すようになるんだぜ ?
リタ具現化の際に起こる地震、鏡震だっけ ?あれが連続するってことね。計算するとこの世界が滅びるほどの大鏡震が起こる。
ユーリなんだよそれ。兵器だったもんを、わざわざ世界を救う道具にしたんだろ ?そいつがまた滅ぼしてちゃ世話ねえぜ。
レイヴン便利な物ってのは、得てして表裏一体か。まったく…どこの世界にいっても逃れられん話なわけね。
リタだからこそ、なんとかしなくちゃ。こっちに来てまで、同じような思いするのはまっぴら。
ミリーナ修理ができないわけじゃないんでしょ ?
ガロウズああ。けど面倒なのが、カレイドスコープのツインミラーシステムだ。これを司る大鏡は特殊な鏡石を採掘して加工しねぇと。
ガロウズ他にも、照準を司るカーネルリングの損傷が酷いから、こいつも作り直す必要がある。
イクス…間に合うのか ?
ガロウズ少なくともシステムと照準、二つの修理は同時進行じゃないと厳しいな。
ガロウズ大鏡の方は、俺自身が採掘にいかないと難しいから、かかりきりになる。
ガロウズそこでだ。カーネルリングの調達と加工は、リタに任せることにした。
ユーリマジかよ…こいつの腕は確かだけどさ。そんな大役、いきなり任せて大丈夫か ?
ガロウズああ、間違いねぇよ。俺と一緒に修理したこのわずかな時間で、宮廷技師の誰よりも的確に原因を見抜いたんだぜ ? 天才だよ。
リタそういうこと。あんた、あたしが誰だか忘れたの ?
ユーリそりゃ失礼いたしました。
レイヴンって、言ったそばから、どこ行くのよ、リタっち。
リタえ ? 素材の調達だけど。キラル純結晶。精製場所まで。
レイヴン飴ちゃん買いに行くような気軽さだね。どうするよ青年 ?放っといたら一人で行っちゃうよ ?
ユーリしゃあねぇなぁ。イクス、オレたちも一緒に行っていいか ?こいつが暴走しないようにお目付け役で。
イクスああ、もちろん。
ミリーナフフッ、ユーリさんてば、お目付なんて言ってるけど、本当は心配なんでしょ。優しいのね。
ユーリそりゃどーも。けどさ、リタの場合は本当に…なあ ?
ラピードワフン… ?
レイヴンおま、ワフン… ? じゃないよ。俺様もう余計なことは言わないかんね ?今も視線でビシバシ殴られてるんだから !
イクス視線… ?
レイヴンほら、よぉく見てごらん、鏡士の兄ちゃん。あの「無駄口叩くな」と言わんばかりの鋭いしせ――
リタ……。
レイヴン……。
ユーリ…おっさん頑張れ。とにかく頑張れ。
イクスま、まあとりあえず、みんなも準備よろしくな。
リタねえ、あんた、えーっと…イクスだっけ ?追加で必要な部品や素材があるの。これ、メモしてあるから、ついでに調達頼むわね。
イクス…なんかやたら増えてるぞ ?それにダークオーブっていうのは…。
リタそれ、一番大事だから。あの子の自己修復機能の修理に不可欠なエネルギーなの。
イクスあの子…って、カレイドスコープのこと ?
リタ当たり前じゃない。あの子にもそのうち、いい名前をつけてあげなきゃね。
ミリーナ名前かあ。愛情持って直してあげてるのが、良くわかるわ…とても素敵よ、リタさん !
リタ…そ…そんな、大げさなことじゃ…。それに「さん」はいらないし…。
ミリーナそう ? それじゃリタね、リータ !
リタ何よ…ったく、こういうタイプはやりにくいったら…もう…。
イクスそれで、ダークオーブはどのくらい必要 ?買うなら数を書いてくれるかな。
リタ店に手配済みだけど、それじゃ全然足んないだから集められるだけ集めてちょうだい。
イクス集めるって、どこで ?
リタガロウズの話じゃ、あたしたちの目的地方面にいる魔物が持ってるって。だから倒したら忘れず確保。いいわね ?
イクスう~ん…ダークオーブはそれでいいとして。他の部品の調達はどうしよう。
イクスこんなに色々と寄り道してたらカレイドスコープの暴走に間に合わなくて、世界が…。
レイヴンお~鏡士の兄ちゃん。難しい顔してどしたの ?
イクスいや、修理に必要な部品の種類が多くて、集めるのに人手が足りないんです。
レイヴンそんなの、活きのいいのがこの船に待機してるじゃない。見にいったらみんな騒いでたよ~ ? 「何か手伝わせろ」って。
イクス…そうですね。これだけの量があるし、危険だけど、今回は全員に頼んで手分けして集めるしかないか。
レイヴンそそ、こういう時のお仲間さんでしょ。兄ちゃんが上手く采配ふってやんな。
レイヴン腕っぷしの強え奴、交渉上手な奴、人当たりの良さそうな奴、それぞれのいいとこ知ってれば大丈夫よ。
イクス…もしかしてレイヴンさん、こういうの得意だったりします ? だったら一緒に…。
レイヴンおっさんがそんなのが得意に見えるの ?そりゃ買いかぶりってもんだわ。
ガロウズイクス、準備はどうだ ?俺の方はもう出られるぞ。
レイヴンま、頑張りな、若人。
ガロウズ悪い、話の途中だったみたいだな。けど、そろそろ出発しないと間に合わなくなるぜ。
イクスわかってる。部品と素材集めだけど、鏡映点のみんなを隊分けして、一気に集めてきてもらおうって話をしてたんだ。
ガロウズそりゃありがたい。なら、ケリュケイオンに繋がる通信機を各隊に用意するか。
イクスそれいいな、頼んだ !
イクスみんな、無事に出発したよ。
ガロウズ隊分け、うまくいったみたいだな。なら俺たちも行こうぜ。
リタあんたも一緒なの ?行き先は採掘所でしょ ?
ガロウズ鏡石の採掘所と、あんたらの目的地の精製所は、結構近いんだぜ ?道も途中までは一緒だ。
リタそう。じゃあ、その間に、魔鏡科学のこと、色々聞かせてもらうわよ。
レイヴンおーおー嬉しそうにしちゃってまあ。
ユーリやくなよ、おっさん。
ガロウズ…なあリタ、それにお前らも、ちょいと聞いてくれるか。
ガロウズこれは他の隊の奴らにも言ったんだが、任務を遂行するにあたって、必ず守って欲しいことがある。
ガロウズ今回、あまり時間の余裕はねぇ。だから、何か不測の事態が起きても、まずは自分の任務を全うすることを優先してくれ。
リタ誰に言ってんの ?あんたこそ、余計な事考えてグズグズすんじゃないわよ。
ガロウズ頼もしいじゃねぇか。その意気で頼むぜ。
イクスそれじゃリフィル先生、マリアンさん。悪いけど留守番よろしくお願いします。
リフィルええ、ケリュケイオンは任せてちょうだい。
マリアンどうかみなさん、お気をつけて。無事のお帰りをお待ちしています。

キャラクター3話 【協同2 不穏な気配】
リタ――それなら、あたしたちの世界でいう魔導器がカレイドスコープ本体。カーネルリングは魔核に置き換えられるわ。
ガロウズなるほどな。で、あんたは魔核の方が専門てわけか。じゃあ俺の判断は、あながち間違っちゃいなかったってわけだな。
リタまあ、そういうことね。
ガロウズキラル純結晶の精製には高度な魔鏡科学を扱えないとダメなんだ。あんたなら間違いねぇ。
リタほ、ほめたって、なんも見返りないわよ ?
ガロウズいやぁ、カレイドスコープを直せる人物ってだけでも十分な見返りだぜ ?もし俺が動けなくても安心だからな。
リタなによ「動けなくても」って。見かけのわりにはマイナス思考ね。
ガロウズハハッ、悪ぃ悪ぃ。
王宮騎士――ガロウズ殿、こちらへお早く !
ガロウズおっと…そろそろお別れだな。採掘所はこっちの道だ。護衛の騎士さん方を待たせるといけねぇ。
リタあ、そう。ここまでなんだ…。
ガロウズそれじゃリタ、カーネルリングのことくれぐれも頼んだぜ。お前らもよろしくな !
イクスああ、ガロウズも気を付けて。
リタ……。
レイヴンなによリタっち、名残惜しそうに見送っちゃって。
リタべ、別にそんなんじゃないし。もうちょっと魔鏡科学のこととか、知識を仕入れておきたかっただけ。
レイヴンやっこさん、妙に神妙だったからね。自分が動けなくとも、か。リタっちじゃなくても気になるわ。
リタそんなんじゃないって言ってるでしょーが !
ミリーナ…もしかしたらガロウズさん、「いつ何があるかわからない」って思ってるのかも。
ミリーナあの人、戦争で死にかけて、自分の腕も、大事な人も失ってるの。今もこんな状況だからもしかしたらって…。
レイヴン……。
ミリーナでもね、辛くて絶望していた時に、魔鏡技術と出会ったんだって。そして今は、あんなに頼れる技師になってる。
ミリーナそれを受け継ぐ能力を持ったリタが現れて、本当に頼りにしてるのよ。きっとすごく喜んでると思うわ。
リタあたしが来て喜んでる…そうかしら ?
ミリーナそうよ。だって、こんなに強くて賢くて、可愛い弟子ができたんだもの。本当、リタって可愛いわ !
リタあ、あたしはあいつの弟子なんかじゃな――ちょーっとちょっと、あんた近い、ちーかーいーってば !
イクスミリーナの奴、保護欲全開になってる…。
レイヴン麗しい光景じゃない。おっさんも混ぜて混ぜてー !
リタもーあんたら、うっさい !
ユーリリタ、お楽しみのところ悪いが、さっさと行かないと間に合わなくなるぞ ?
リタ楽しんでないからっ !
レイヴン……。
レイヴン…絶望から立ち上がって、夢を見出した奴、か。…いやあ、頭さがるね。
レイヴン…ホント…強ぇわ…。
リタ…ちょっと、何してんの。
レイヴンなに ? 俺様のことが心配で迎えにきちゃった ?
リタふざけないで。まさか、調子悪いんじゃ…。
レイヴンえ、めっちゃ元気よ ? ここが異世界だってわかった時に、体に影響がないかリタっち色々と調べてくれたじゃない。
リタならいいけど…。何かあったら言いなさいよね。
レイヴンはいはい。…ほんと、優しいねぇ。
リタい、いっとくけど、あんたに何かあったら、こっちが面倒だからよ ?
レイヴンわかってますって。でもさ、リタっちがいてくれてよかったよ。ありがとさん。
リタちょ…キモ…。
レイヴンなんで ! ? マジメに感謝してるのに !
リタいいからほら、さっさと行くわよ !じゃないと…。
レイヴンなに…またこのパターン ! ?黒コゲは勘弁よ ! ?
リタうっさい ! さっさとみんなのとこ、戻れ !
レイヴン火 ! ? ひいいいいいぃぃ !
リタったく…あんな顔して、一人でいるんじゃないわよ。…バーカ。

キャラクター4話 【協同4 焦りの感情】
マリアン――各隊、順調に進んでいます。むしろ予定よりも早いくらいですね。
イクスわかりました。定期連絡ありがとうございます。またお願いします。
マリアン承知しました。失礼いたします。
ミリーナよかった。この分なら問題なく修理にこぎつけそうね、リタ。
リタ…精製時間を短縮して…でもそれだと結晶化までの冷却効果が高い物質が必要に…。
ミリーナ…考え中、かな。すごい集中力。
ユーリ用心しな。こういう時、うかつに話しかけると一発くらうぜ ?
ミリーナほ、本当に ?
ユーリま、あんたは大丈夫だろ。あいつ結構気に入ってるみたいだし。
ミリーナそれなら良かったです。しつこくしすぎて、嫌われちゃったらどうしようかと思っていたけど…。
カーリャでもリタさま、やけに表情が厳しいですね。
ユーリ確かに…ちと気負ってんな、あいつ。
ユーリ――なあ、リタ。
リタ…ここだけは何とかしないと、あたしが任されたんだから、何とか…。
ユーリおいリタ !
リタ―― ! な、なによ。この忙しいときに邪魔すんな !
ユーリらしくないぜ、どうした。
リタ…考えれば考えるほど…足りないのよ。この世界での経験も、知識も、何もかも。
リタ術式やエアルの知識、魔導器に関してなら誰にも負けない。けど――
ユーリ違う世界から来て、まだよくわかってない内に、みんなの運命を左右する大役を担っちまった…
イクス怖いし不安だよな。俺も最初そうだった。…わかるよ。
リタな、何よ ! 怖いなんて言ってないでしょ。あんたと一緒にしないで。
レイヴンいいじゃない、怖くたって。むしろそういうの無い方が怖いって。
レイヴンそれにさ、リタっちが怖いのってそれだけじゃないでしょ ?
リタ…何のこと。
レイヴン全幅の信頼を寄せてくれたガロウズの期待に、答えられないかもっていう恐怖感――とか ?
リタ……。
レイヴンうわーホントに当たった ! ? おっさん複雑 !あのリタっちが、人からどう思われるか気にするなんて、嬉しいやら寂しいやらも~。
リタやめてよね…今ツッコむ気分じゃない。
レイヴンでも暗くなったってしょうがないじゃない。不安な時こそ、自分を信じて…ってあれ ?これリタっちの専売特許じゃなかったっけ ?
リタ…そうよ。
レイヴンこの流れ、前にもあった ?
リタそうよ !
リタ知識や経験が足りなくっても覚悟を決めるわよ !面倒な信頼とやらに応えてやるわ !
リタあー ! ムカつく !おっさんに正論説かれると本当ムカつく !
リタさあ、あんたたち、キリキリ歩きなさい !さっさと任務を成功させて、この世界にもあたしの名前を轟かせてやるんだから。
ユーリやれやれ、少しは落ち着いたみたいだな。おっさんもフォローご苦労さん。
レイヴンいやいや~、それほどでも。でも、もっと感謝してくれてもいいのよ ?
ラピードワンッワォン !
レイヴン…いまワンコに「調子にのんな」って言われた気がする…。
ユーリヒュー、当たり。
カーリャもしかしてレイヴンさまって、ヒエラルキー低いんですかね ?
ミリーナしっ、カーリャ聞こえちゃう。
レイヴン聞こえてますぅっ !

キャラクター5話 【協同6 ガロウズ側の状況 】
イクス…遅いなあ。とっくに定期連絡の通信が来てもいい頃なんだけど…。
リタまさかあの通信係、サボってんじゃないでしょうね。
ユーリんな訳ねえだろ。なあ、こっちから連絡したらどうだ ?
イクスそうですね、あんまり遅いようなら――
マリアン申し訳ありません、連絡が遅れました。
イクス良かった。待ってたんです。みんなの様子はどうですか?
マリアン…はい。問題、ありません。
イクスそうですか。俺たちの方も順調なので予定より早く目的地に着くと思います。
マリアンそれはなによりです。では、他の隊への連絡もありますので、これで失礼――
レイヴンちょっと待った。ねえ、本当に何もない ?
マリアン…ええ、ありません。それではこれで…。
レイヴンちょいちょいちょい !それよそれ、なんでそんなに急いでんの。
レイヴンしかもさ、お姉ちゃん。「問題ありません」って言った時、一瞬言葉に詰まったね。
マリアン……。
イクス何かあったなら教えて下さい。どんな些細なことでもいいですから。
レイヴンこのまま通信切っても、俺ら心配できっと任務に集中できないと思うよ ?
マリアン…実は…先ほどガロウズさんたち一行が、鏡石の採掘中に救世軍の襲撃を受けました。
リタ何よそれ…。あっちの状況はどうなってんの ! ?
マリアン騎士団の話では、襲撃の際にガロウズさんは負傷して孤立、――その後行方が、知れないと…。
イクス…捜索はしてるんですよね?護衛の人たちとかが…。
マリアンいえ、襲撃が激しく一時撤退したと…。その連絡を最後に彼らとも通信が途絶えています…。
イクスそれって通信機が壊れたか、…それとも――
レイヴン兄ちゃん、今は事実だけを認識しときな。
マリアン王宮へは、こちらから連絡を入れました。現在、捜索隊を編成しているとのことです。ですから皆さんは、任務を優先して下さい。
カーリャでも王宮にも敵がたくさん紛れ込んでるんですよね…。
リタほかに救助に行けそうな奴は… ?鏡映点てのは強いんでしょ。あいつらはまだ戻ってないの ?
マリアン…はい。ですが戻り次第――
リタ戻るって、いつよ ! ?
リタ…あたし採掘所いってくる。ここからならあたしたちが一番近い。石を採ったついでにあいつ見つければ全部解決よ !
ユーリ落ち着けよリタ。
リフィルマリアン、私が代わるわ。
リフィル――みんな、状況は伝えたとおりよ。けれどあなたたちはこのまま任務を続けて。
リタ続けられるわけないでしょ ! ?こっちの任務が成功したって、あっちが失敗したらなんにもならないんだから !
リフィルまだ採掘班が失敗とは決まっていないわ。それとこちらでも、他の部隊が戻り次第、救助に向かわせる手筈を整えています。
リタだから、それがあてになんないっての !あんただって戦えるんでしょ ?だったら――
リフィル今、この船を動かせるのは私だけよ。離れるわけには行かないの。
リフィルそれにこの船ごと移動してしまったら、他のメンバーの任務に関わるわ。救出に向かうのも、ますます遅れるかもしれない。
リタだから、あたしたちが行くって――
リフィル話はここまで。いいこと ? 任務を続行して。以上よ。
リタちょっと何よ、勝手に切って !ねえ、もう一回つないで、あの女と話つけるから !
イクス…あっちも各隊とのやりとりで手一杯だと思う。それに今はリフィル先生の言うとおり任務を続行した方がいい。だって――
リタあんたまでそんなこと…。ああそう。このまま鏡石が手に入らずに、この世界がぶっ壊れてもいいってのね ?
ユーリお前な、誰もそんなこと言ってねえだろ。こうやってグダグダ立ち止まってねぇで、少しでも先行けっつってるだけだ !
リタそんなの分かってる ! けど…。
ユーリこんな言い合いだってな、歩きながらでもできんだよ。ほら行くぞ、足動かせ。
リタなによ…偉そうに…。進むわよ、進めばいいんでしょ !
レイヴン…ホントおまえさん、損な役回りが得意だよね。
ユーリ…それでいいんだよ。こういうのは得意な奴がやれば。イクスも、リタの言ったこと気にすんなよ。
イクス大丈夫です。俺も何度も焦ってテンパったりしてるんでわかる気がしますから。
イクス(ガロウズ…。どうか無事でいてくれよ…)

キャラクター6話 【協同7 ふくらむ不安】
イクスリタ、妙に静かだな。さっきまでの剣幕がうそみたいだ。
ミリーナうん、でも何だか心配ね…。
リタ…ちょっといい ?
イクスえ ? ああ、もちろん。
リタさっきは色々とその…ごめん。
イクス気にしてないよ。俺だってリタと同じだ。本当は、ガロウズを助けに行ければって思ってたんだし。
リタあのね、あたしが心配してるのは鏡石 !あれがなきゃ、何も始まらないんだから。本当は今からだって採掘所に――
ラピードワンワンッ ! !
リタな、何よ犬 !
ユーリおまえ、まだそんなこと言ってんのか。
リタ…だって、王宮の捜索隊や他の奴らよりあたしたちの方が採掘所に近いのは事実でしょ。
リタこれは効率の問題よ。単純にそれだけの話だから。
ユーリ本当はガロウズが心配だっていっちまえば、まだ可愛げもあるんだけどな。
リタあ、あんたねえ…ホントうっさい !
ユーリおっと。
リタなんで避けんのよ !
ユーリおっさんみたいに、素直にくらってやるほどオレもお人好しじゃないんでね。
レイヴンコラコラ、じゃれあいはおよしなさいよ。どうせなら、おっさんを混ぜなさい。
ユーリ自ら死地に飛び込むとは、さすがおっさん。勇気あんな。…歓迎するぜ ?
レイヴン…今回は遠慮しとく。ま、それは置いといて――
レイヴンさっきの効率の話だけどさ、時間や距離の問題だけなら、リタっちの言うとおりだよ ? けど…。
レイヴンじゃあなんで、留守番のお姉ちゃんたちは、一度は襲撃情報を伏せたのよ。効率よくさっさと俺たちに頼めば良かったのにさ。
リタそれは…突然のことで、頭回ってなかったんじゃない ?それで勝手に判断して――
イクスリフィル先生は冷静で、頭のいい人だよ。ガロウズの件を説明してた時だってすごく落ち着いてた。
ミリーナそうね。勝手に「任務を続行しろ」なんて判断をする人じゃない。
レイヴンん~ ? どっかで聞いたわね。そのセリフ。出発する時だっけ。
リタ…何よ…それじゃ、ガロウズが自分から口止めしたってこと ?なんでそんな…。
レイヴンそんなの、リタっちが一番わかってるでしょ。
リタ……。…あたしまで、何かあったら、修理ができなくなるから…。
リタでもそんなの、合理的じゃない。あたしが修理するよりもあいつがやった方がずっと成功する確率が――
ユーリリタなら、修理をやり遂げる。そう思ったから、余計なことに煩わされないようあえて襲撃を伏せた――
ユーリ確率とか効率とかの数字じゃねえ。ガロウズがお前に任せたのは、リタっていう人間を信じたから――わかってんだろ ?
リタ…ええ。
レイヴンでも、ちょっとずるいよね。リタっちを信じてるなら、襲撃を知ってもやり遂げるって信じてくれなきゃ。
リタ…そうね。ホント、ずるいんだから。まったく…。
レイヴン…おっさん、余計なこといっちゃったかな。落ち込まなきゃいいけど…。
ユーリあいつは平気だよ。自分のやるべきことくらい理解してる。
ラピードクゥーン…。

キャラクター7話 【協同8 役割を果たすために】
イクスへぇ…。ここでキラル純結晶が精製されるのか。
リタさ、ここからが勝負ね。あたしはすぐに作業にかかるわ。
イクス何か手伝うことは ?
リタあるわ。あんたたちじゃなきゃ出来ないことが。――あいつを、助けに行って。
ユーリハァ…。ま、そうくると思ったぜ。けど言っとくが――。
リタわかってる。あたしは行かない。ここでカーネルリングを作るわ。
リタそれが、あたしのやるべきこと。あいつを助けるよりも大事なこと、でしょ ?
リタでも、あんたたちは別だからね。ほら行って行って !
リタそれと、ガロウズに伝えてくれる ?会ったら一発殴るからって !
レイヴン…しゃーない。助けに行きますか。リタっちが異世界で初めて心許した男をさ !
リタちょ、あんたそれ、言い方 !
ユーリやれやれ…。まあ、ここまで来れば問題ねぇか。
ユーリこっちで勝手に話つけちまって悪いが、それでいいか ? イクス。
イクスもちろん、すぐに向かいます !
ミリーナリタも頑張って !私たち、絶対にガロウズさんを見つけるから !
リタええ、任せたわ。…ミ、ミ、ミリーナ…
ミリーナあ…名前、初めてよんでくれた !嬉しい ! ありがとう、リタ !
レイヴンリタっち照れてるぅ~。
リタうっさい ! そうだミリーナ、あたしは側にいないから、おっさんにエロいことされないように気を付けんのよ。
ミリーナえ…レイヴン…さん ?
レイヴンちょっ、やめて ! ?ミリーナちゃん引いてるじゃない。
ユーリイクスに刺されないようにな、おっさん。
イクスレイヴンさん…まさか…。
レイヴンちょっと兄ちゃん目が怖い !
リタほんっとあんたら、バカっぽい…。

キャラクター8話 【協同10 忍び寄る魔の手】
イクスガロウズ ! ガロウズー !
ユーリ…チッ、人の気配がねぇ。ガロウズと護衛がはぐれたってのは本当にこの辺か ?
イクスさっき通信でリフィル先生に聞いたから間違いないはずだけど…。
ラピード…………。…ワウッ !
ユーリどうしたラピード。
ラピード――ワンワンワンッ !
ユーリナイスだ、ラピード !みんな ! ガロウズのにおいをみつけた !こっちだ !
ラピードワン ! ワンワンッ !
イクス――いた、ガロウズ !しっかり、生きてるよな ?
ガロウズ…う…イクス… ? ミリーナ…も…。
ミリーナ良かった…無事で…。
ガロウズ悪い…。迷惑、かけちまった…。
レイヴンしゃべれる程度には大丈夫みたいね。…それにしても、ずいぶんと分かりにくい所にいたもんだね、こりゃ。
ガロウズすまねぇ…はぐれた後も、救世軍の奴らに追われて…隠れてた。
レイヴンいやいや、よく逃げ延びてくれたよ。ウチの魔導少女にも、いい報告できるってもんさ。
ガロウズ魔導…そうだ、リタは ?
ユーリ安心しな。あんたの期待に応えるために絶賛、お仕事中だよ。
ユーリしかし…どっから聞きつけたかは知らねぇが救世軍ってのは、よっぽどあの機械の修理を邪魔したいらしいな。
ラピード―― !…グルルルル…
ユーリ―― ! …チッ、いつの間に…。
イクス魔物 ! ? こんなにたくさん…
ユーリありゃ襲う気マンマンってツラだな。イクス、こっから離れるぞ。
ミリーナガロウズさん、怪我はどう ? 走れる ?
ガロウズ悪ぃ、ちと厳しいな。
イクス俺が支えるよ――っとと…
レイヴン兄ちゃんだけじゃムリムリ。青年、手伝ってやって。
ユーリよし――って、おっさん何やってんだよ、逃げんぞ !
レイヴン少しはお仕事しないとね。弓だったら、距離とってけん制できるから時間稼げるっしょ。
ユーリおい、無理すんなって、おっさん !
レイヴンちょっと青年、中年を馬鹿にする者は、中年期に泣くよ ?
ユーリそうじゃねぇよ ! こっちとオレらの世界じゃ色々勝手が違うだろ ! ?あんたは――
イクス…… ?
レイヴン…んとにまあ、リタっちといい、おまえさんといい…。
レイヴンご心配なく。今んとこぜっこーちょーよ ?何しろ天才魔導士のお墨付き。
ユーリ…そうかよ…なら、任せたぜ、レイヴン !
レイヴンあいよ !
魔物キキキーッ !
レイヴンおっと、おまえさんたちの相手はこっちだってば。
レイヴンおーこわ ! でも、そう簡単に、殺られるわけにゃあいかんのよね。
レイヴン――俺の命は、あいつらのもんだからさ。
イクスハアッ、ハアッ…レイヴンさん…大丈夫かな…。
ガロウズすまねぇ…俺がこんなだから…。
ユーリそんなヤワなおっさんじゃねえよ。…それよりも――こっちにも厄介なのが待ってたみたいだぜ。
マークへぇ、あの魔物の群れから逃れて来たか。さすが鏡映点さま、たいしたもんだぜ。
ファントム生贄を差し出しての逃走とは…。そういう手段を選ばないやり方私も嫌いではありませんよ。
ファントムしかも友達思いのイクスくんがこんな手段に出るなんて、ねぇ。
イクス…… ! ?
ユーリあの魔物はてめぇらの仕業か。
マークこの状況ならそうに決まってんだろ ?綺麗なお兄さんよ。
マーク――さて、ファントム。これで義理は果たしたぜ。ガロウズの居場所を見つけてやった。
マークアンタのやり方は嫌いなんでな。俺の主はアンタじゃない。きっちり自分で後始末してくれや。
ファントムフフフ…。一人では遠くに行けない坊やが何を吠えるのかと思えば。まぁ、かまいませんよ。早く帰りなさい。
マーク…ちっ。――イクス。こんなつまらねぇ男に負けるなよ。お前を殺すのは俺の仕事だからな。
イクス…な、何だ ? 仲間割れか ?
ミリーナイクス、気を取られないで !
ファントムさすがミリーナさん。そう、敵の事情など気にしている場合ではありませんよ。
ファントムこちらはガロウズさえ消せば、目的は達成ですからね !
ガロウズ――っ ! ?
イクスしまっ――
リタさせるかー !
ユーリリタ、おまえなんでここに !
リタカーネルリングの修復が終わったからよ。文句ある ?あ、ついでにこいつも回収してきたから。
レイヴンハァ~イ、来ちゃった ! てへっ。
ユーリはっ、んなこったろうと思ったぜ。
リタそこのあんた、どんな魔物呼ぶ気か知らないけど、無駄だからやめときなさい。
ファントム…あはははは、これはこれは。異世界の魔導士風情が大口を叩くといずれ後悔することになりますよ。
リタ後悔すんのはあんたの方。あたしを誰だと思ってんの。天才魔導士、リタ・モルディオ様よ ?
リタこの名にかけて、あんたのやること、片っ端から、ぶっ潰してあげるわ !
ファントムこの私に刃向かうとは勇ましいお嬢さんだ。
ファントムしかし残念ながらお嬢さんにはちり一つほどの興味もないのですよ。
ファントムそれにわざわざ援軍を相手にするほど私も愚かではありません。私のペットたちとでも遊んでいて下さい。
ファントムでは失礼。
イクスまずい…!あの魔物は!?
リタはっ!?何がまずいわけ?
イクス以前、奴の幼体に襲われたことがある。奴に魔術を使われたら壊滅するぞ!魔術を使わせるな!

キャラクター9話 【協同10 忍び寄る魔の手】
ユーリなんだよあのファントムってのは。魔物呼ぶだけ呼んだら、さっさと消えちまいやがって。
リタそんなのどーでもいいわ。それよりも…あんた平気 ?
ガロウズすまねぇな。任務を全うしろなんてでかい口たたいといてこのザマだ。…けど、よくこんな短時間で精製を…。
リタ行きがけに考えてた、結晶精製の短縮方法を試してみたの。
ガロウズそれを一発で成功させたってのか。はは…参ったねどうも。
リタねえ、鏡石はどうなってるの ?
ガロウズああ、採掘した分は、はぐれる前に護衛の騎士団に託してる。持って帰ってくれてりゃいいんだが…。
イクスそれは大丈夫。さっきリフィル先生と通信した時に、騎士団が石を持って、城に到着したっていってたよ。
イクスそれと、他の隊も材料を確保してもうすぐ戻ってくるってさ。
ガロウズそうか。あの石が無事なら材料は十分だ。あとは俺が加工と修理を…いててっ…。
リタそんな体で修理 ? 間に合うの ?
ガロウズハハッ、そりゃもう、天才魔導士様がついてるからな。
リタし、仕方ないわね ! …世界の危機だし、あんたの分も手伝ってやるわよ。
レイヴン…ん ? そういえば…忘れてた !技師の兄さんよ、リタっちがさ、会ったら絶対一発なぐ――
リタだああああああっ !
レイヴンちょっと ! なんでおっさんを殴るの ! ?
ガロウズ…………。
リタここを締めれば――よし、これで終了っと。
ガロウズお疲れさん。これでもう、暴走の心配はないぜ。
ミリーナやったわね、リタ !
ユーリよっ、さすが天才。
リタふぃ~、結構ハードだったわ…。
レイヴンあらら、ほんとにぐったりなのね。よし、その疲れ、俺様の胸で癒してあげようじゃないか。さ、飛び込んでおいで !
リタ行くわけないでしょ、バカっぽい…。余計疲れるわ…。
レイヴンじゃあミリーナちゃん――
ミリーナふふ、飛び込む胸はもう決めてるので遠慮しておきますね。
ワン、ワンワンッ !
ユーリ「よし、代わりに飛び込んでやる」だってさ。
レイヴンワンコ…、なんで獲物をしとめる態勢なのよ…。
ガロウズハハッ、本当、賑やかな奴らだな。こりゃさらに船の中が騒がしくなるぞ。
イクスなあガロウズ、この集めたダークオーブ、まだたくさん余ってるけど、どうする ?
ガロウズそれか。金にすることもできるけど、大した金額にゃならないんだよな。でも大事な材料だし…。
ガロウズよし、ゲフィオン様に相談してみるか。
ゲフィオン――なるほど。ならば、ダークオーブは王宮で引き取ることにしよう。
ゲフィオンそれと引き換えに褒美の品を与える。
イクスいいんですか ?そんなに値のはるものではないと聞きましたが。
ゲフィオン良いのだ。おまえたちは本当によくやってくれた。集めた分の労力には報わねばな。後で持ってくるが良い。
イクスありがとうございます !
ミリーナすごい、ご褒美ですって !
カーリャなんですかねえ、ワクワクしますね !
イクスそれじゃ早速持っていこうか。
レイヴンちょい待ち。
レイヴン宰相様さ、「集めた分の労力には報わねば」って言ってたじゃない ?
イクス…… ?
レイヴンもっと集めて持ってったら、ご褒美ざくざく倍率ドーン !…なんてことない ?
イクス……そ・れ・だ ! ! ! !
ユーリさすがおっさん、やるじゃねえか !手口がセコイぜ !
リタ天才のあたしでさえ頭が下がるわ。見事よ。そのケチくささ !
レイヴンあれ~、おっさん耳がおかしいのかな ?褒められてるように聞こえないんだけど ?
イクスそんなことありません !すごいですよ、レイヴンさんの強欲作戦 !どんどん集めましょう !
レイヴン…イクスくん…おっさんそろそろ泣いていい ?