キャラクター | 1話【怪談1 夏祭りの人だかり】 |
イクス | ミリーナ ! そっちはどうだった ! ? |
ミリーナ | ダメ、見つからなかったわ。夏祭りだから街に人が多くて…。 |
イクス | 夏もあと少しで終わりだから催し物も多いんだよな。あの人混みの中を探すのは難しいか…。 |
ソフィ | アスベル…シェリア……。 |
カーリャ | 確か、ソフィさまにとってアスベルさまがお父さま、シェリアさまがお母さまなんでしたよね ? |
ソフィ | うん。はやく二人に会いたいな…。 |
ミリーナ | 大丈夫よ。私たちが必ずソフィのご両親を見つけるわ。だから安心して。 |
ソフィ | ありがとう。ミリーナ。わたしも頑張って探すね。 |
ミリーナ | うん。やっぱりソフィは笑顔じゃなくちゃ。そっちの方が可愛いわ♪ |
イクス | アスベルさんとシェリアさん…。情報だと街でソフィを必死になって探してたらしいけど…。 |
カーリャ | う~ん。少なくとも近くにはいないと思いますよ。カーリャ、全然ぷるぷるしませんから。 |
ミリーナ | どこにいるのかしら ?街の中を探すだけでもこんなに大変だったのに…。 |
カーリャ | 大陸中を探すとなると見つけるのはほぼ不可能ですよ。 |
イクス | …待て。それは二人も同じはず。だったら、別の手段で合流しようとしているかも……。 |
イクス | ソフィ。二人が行きそうな場所とかって心当たりがあるか ?そこでソフィを待ってるかもしれない。 |
ソフィ | ……\"心が安らぐ場所\"。 |
ミリーナ | ソフィと出会ったときに一緒に行ったお花がたくさん咲いている場所よね ? |
ソフィ | うん。そこに行けばきっと会える。元の世界で離ればなれになったときも二人とはそこでまた会えたから。 |
イクス | よし。わかった。行ってみよう。 |
キャラクター | 2話【怪談2 心が安らぐ場所へ】 |
アスベル | ……ソフィ。 |
シェリア | 水泳大会のとき一瞬見かけた女の子…。ソフィで間違いなかったのよね ? |
アスベル | 見間違えるはずがない。あれは絶対にソフィだった。だからここにいればきっと会える。 |
シェリア | 私たちの知らない世界みたいだけどこんなにもラントの裏山に似てるなんて…。 |
アスベル | たとえ本当にここが別の世界であっても交わした\"友情の誓い\"は消えていない。ここで…信じて待とう。 |
シェリア | …そうね。七年の時を超えてまたソフィと会えたときのように…。 |
二人 | ここにいれば…きっと……。 |
ソフィ | アスベル ! シェリア ! |
二人 | ソフィ ! |
アスベル | よかった…。またここで会えたな。 |
シェリア | ソフィ、私たちのこともわかるのね ? |
ソフィ | うん。二人のこと全部覚えてるよ。今度はちゃんと。 |
イクス | あの二人がアスベルさんとシェリアさんみたいだな。 |
ミリーナ | よかったわ。ソフィもすごく嬉しそう。 |
アスベル | 君たちは ? |
ソフィ | イクスとミリーナだよ。二人は鏡士で代理保護者なの。 |
シェリア | …か、鏡士で代理保護者 ? |
イクス | えっと、まずはその説明を―― |
アスベル | 具現化…そしてエンコードか…。そうか、だから……。 |
イクス | だ、大丈夫ですか ?もしかしてどこか具合が悪いとか ? |
アスベル | いや。何でもない。それに事情もだいたい理解できた。 |
シェリア | やっぱりここは私たちの世界エフィネアともフォドラとも違う世界なのね。 |
ミリーナ | 私たちの都合でアスベルさんとシェリアさんそれにソフィまで巻き込んでしまって本当にすいません…。 |
アスベル | イクス。ミリーナ。一つ、言わせてもらってもいいか ? |
イクス | ……はい。 |
アスベル | 本当にありがとう。ソフィをここまで連れてきてくれて。 |
イクス | えっ……。 |
ミリーナ | ソフィも会いたがってましたから捜すのを手伝うのは当然です。 |
シェリア | けど、私たちにとってはとても重要なことだったのよ。 |
アスベル | ソフィは俺が面倒を見る。俺が守るって誓ったからな。 |
シェリア | ちゃんと保護してくれて、私たちの代わりに面倒も見てくれたんでしょう ?だから、ありがとう。 |
ミリーナ | アスベルさん…シェリアさん……。 |
ソフィ | イクス、ミリーナ。約束通り、二人に会わせてくれてありがとう。 |
イクス | どういたしまして。俺たちも嬉しいよ。 |
ミリーナ | 私もよ。ソフィ、よかったわね。ちゃんとご両親と再会できて。 |
二人 | ご両親 ! ? |
イクス | えっ…ソフィから伺ったんですけど……ご夫婦ですよね ? |
ミリーナ | 娘さんには私たちの旅にも協力して頂いて本当にお世話になりました。 |
カーリャ | アスベルさまもシェリアさまも思っていたより若いですね。 |
ミリーナ | それもまた、ひとつの形なのよ。 |
シェリア | ちょ、ちょーっと待って ! ! 違うわよ ! ?私とアスベルが夫婦なわけないじゃない ! !そうよね、アスベル ! ? |
アスベル | あ、ああ !それは明らかに誤解だ ! 決してない ! |
シェリア | そ、そんなに力強く否定する必要ないじゃない ! ! |
アスベル | な、なんで怒ってるんだよ ? |
ミリーナ | ああ……なるほど !シェリアさんの気持ち、凄くわかるわ。 |
イクス | …うん ? 結局どういうことだ ?アスベルさんとシェリアさんはソフィのお父さんとお母さんなんだろ ? |
ソフィ | うん。 |
アスベル | えっと…。それは何て言うかものの例えみたいなものなんだ。 |
シェリア | なんだか二人とも妙にかしこまっていると思ったらそういうことだったのね…。 |
アスベル | せっかく歳も近いんだ。もっと普通に話してくれないか ?その方が俺たちも話しやすい。 |
イクス | あ、あぁ。わかったよ。よろしく…アスベル。 |
シェリア | ミリーナもよろしくね。女の子同士、仲良くなれたら嬉しいわ。 |
ミリーナ | ええ、もちろんよ。それに私、さっきのやり取り見てシェリアのこと大好きになっちゃった。 |
シェリア | さ、さっきのことは忘れて ! ! |
ソフィ | シェリアとミリーナ。なんだか楽しそう。 |
イクス | よく初対面であそこまで仲良くなれるよな。 |
アスベル | 何の話をしてるのかわからないけど打ち解けたみたいだな。 |
アスベル | そういえばこの後はどうするんだ ? |
イクス | ケリュケイオンに戻ってゆっくり話すのもいいと思うけど…ソフィはどうしたい ? |
ソフィ | わたし、お祭り行きたい。 |
アスベル | お祭りか。そういえば街でやってたな。 |
シェリア | ソフィも興味があるみたいだしみんなで行きましょうか。 |
ミリーナ | もう夏も終わりだから最後の思い出作りに楽しみましょ ! |
ソフィ | うん。 |
リフィル | ちょっと待ちなさい。 |
アスベル | な、なんだ ! ? |
ソフィ | リフィル先生だよ。魔鏡の通信が入ったみたい。 |
リフィル | 私は教師のリフィルです。ソフィに勉強を教えています。 |
アスベル | ソフィに勉強を ! ?俺たちが知らない間にそんなことになっていたのか… ? |
リフィル | あなたたちがソフィの保護者ね。 |
シェリア | 夫婦の次は保護者 ! ? |
アスベル | だ、だが保護者かと言われればそれは間違っていないな。 |
リフィル | それならよかったわ。すぐにソフィと一緒にケリュケイオンまで来てちょうだい。 |
イクス | リフィル先生。何か用事でもあるんですか ? |
ミリーナ | 私たち、これから夏祭りに行こうって話をしていたんです。 |
リフィル | 夏休みに思いっきり遊ぶ…。それは大いに結構よ。けど、勉強もおろそかにしてはいけないわ。 |
リフィル | これから保護者同伴の三者面談をします。 |
二人 | 三者面談 ! ? |
リフィル | 保護者代理だったイクスとミリーナも今回の面談は同席するように。以上。 |
ソフィ | アスベル、シェリア。面談って何 ? |
アスベル | いや…俺たちもよくわからないが。 |
シェリア | …どうしよう。私、三者面談なんてやったことないわよ ? |
イクス | とりあえずケリュケイオンに戻ろう。行かないと……酷い目にあいかねない…。 |
アスベル | 三者面談ってそこまで恐ろしいものなのか… ? |
シェリア | でも、ソフィのためにも行かないとね。 |
アスベル | ああ。そうだな。イクス、ケリュケイオンまで案内を頼む。 |
キャラクター | 3話【怪談3 夏休みの宿題】 |
リフィル | それでは三者面談を始めます。 |
二人 | よ、よろしくお願いします。 |
ソフィ | アスベル、シェリア。緊張しなくて大丈夫だよ。 |
アスベル | そ、そうは言ってもな…こういうの初めてだし、何を話せばいいのかすらわからない…。 |
シェリア | えっと…。リフィル先生。ソフィがいつもお世話になっています。確か、勉強を教えてくださっているとか。 |
リフィル | ええ。ソフィはとても良い生徒よ。真面目で勤勉。飲み込みもよくてしかもちゃんと宿題もやってくる。 |
リフィル | どこかの誰かにも見習ってもらいたいくらい。 |
ロイド | はっくしょん ! ! |
リフィル | まぁ…それは置いておいて。ソフィは成績もよく、授業も無遅刻無欠席。まさに模範生と言ってもいいわね。 |
アスベル | そ、そうですか !ソフィ、凄いじゃないか ! ! |
ソフィ | わたしだけの力じゃないよ。イクスがわからないところ解説してくれた。それとミリーナも朝起こしてくれたの。 |
シェリア | そうだったのね。二人ともありがとう。 |
二人 | いえいえ。 |
アスベル | ちゃんとイクスとミリーナが付いていてくれてたんだな。なんだか安心したよ。 |
シェリア | ずっと一人で寂しくなかったか心配だったから…。 |
ソフィ | ううん。アスベルとシェリアたちに会いたいなって思ってたけど寂しくはなかったよ。 |
リフィル | ソフィは分け隔てなく誰とも仲良くしていたものね。 |
ソフィ | エリーゼとウィスっていうゲームを一緒に遊んだりしたんだ。 |
ソフィ | あとミリーナとベルベットがカニタマたくさん作ってくれたりファラがオムレツ作ってくれたり。 |
ソフィ | それからね、ミクリオがアイスクリーム作ってくれたよ。 |
シェリア | ソフィ、よかったわね。けど食べてばかりなのは身体に悪いわよ。気をつけないとね。 |
ソフィ | うん。 |
アスベル | シェリア。俺たち、ちょっと心配し過ぎだったみたいだな。 |
シェリア | そうね。私たちがいなくてもソフィはみんなと仲良くやれていたみたい。嬉しそうなソフィを見たら分かるもの。 |
リフィル | ただ、一つだけ問題があるの。 |
アスベル | 問題、ですか ? それはいったい ? |
リフィル | ソフィ、夏休みの宿題は終わった ? |
ソフィ | ううん……まだ……。 |
シェリア | 夏休みの宿題 ? |
アスベル | ソフィ、何が終わってないんだ ? |
ソフィ | 自由研究。これだけ終わってないの。 |
リフィル | 自由研究の宿題には時間が掛かるわ。夏休みもあとわずか。すぐにでも着手しなければ間に合わないわ。 |
アスベル | もし…夏休みの宿題が終わらなかったらどうなるんですか ? |
リフィル | ……知りたい ?かつて夏休みの宿題をやらなかったロイドという生徒がどうなったかを…。 |
イクス | アスベル。悪いことは言わない。聞かない方がいい…。 |
ミリーナ | その話は……むごすぎるわ…。 |
アスベル | い、一体ロイドと言う生徒はどんな酷い目にあったんだ…。 |
リフィル | 夏休みの宿題は教師との約束です。それを守れなかったらどうなるかは…想像に難くないわよね ? |
シェリア | ソフィ !すぐに自由研究を始めるわよ ! |
アスベル | みんなで協力すればなんとかなる ! |
ソフィ | …アスベル。シェリア。ありがとう。 |
カーリャ | …あっ。ですけど宿題は自分の力でやらなくちゃなんですよね……今回は特例ですか ? |
リフィル | 夏休み中、教師は不在。つまりある意味では保護者が教師になるとも言えるわね。 |
アスベル | なるほど。俺たちがしっかりしなくちゃいけないんですね。 |
リフィル | そういうことよ。だから二人とも。ちゃんとソフィの宿題が終わるように導いてあげて。 |
二人 | わかりました ! ! |
イクス | それじゃあ俺たちも手伝おうか。 |
ミリーナ | そうね。私たちはもう終わったし。 |
アスベル | 二人とも。何から何まで本当にありがとう。 |
シェリア | さぁ、夏休みの宿題を片付けるわよ ! |
キャラクター | 4話【怪談4 自由研究のテーマ】 |
アスベル | 自由研究を終わらせようと意気込んだが、これって結局何をすればいいんだ ? |
ソフィ | リフィル先生は自由に何かを研究するのが自由研究だって言ってた。 |
ソフィ | けど…わたし、よくわからない。自由にって言われたけどいったい何を研究したらいいんだろう。 |
シェリア | もしかしてずっとそのことで悩んでて自由研究だけ終わってなかったの ? |
ソフィ | うん…。他の夏休みの宿題は何をやったらいいかハッキリしてた。けど自由研究だけは違ったから。 |
イクス | ソフィ…ごめん。俺たち、気づけなくて。 |
ミリーナ | 毎日コツコツ宿題をしてたから自由研究も終わってるものだと思ってたわ…。 |
ソフィ | 気にしないで。わたしが一人でなんとかしなくちゃって思い込んでただけだから。 |
シェリア | それに、まだ夏休みは終わってないわ。大切なのはこれからよ。 |
アスベル | 諦めなければ絶対に夏休みの宿題を全て終わらせることもできるはずだ。 |
アスベル | そのためにいまはまず何を研究するかを決めよう。 |
イクス | あぁ。そうだな。いまは立ち止まっている場合じゃないな。 |
シェリア | そういえば二人は自由研究のテーマ何にしたの ? |
ミリーナ | 私は\"占星術と天文学の相関性\"。 |
イクス | 俺は\"古典魔鏡術の歴史\"。 |
アスベル | 二人とも難しそうなことをテーマにしたんだな。調べるのも大変だっただろ。 |
イクス | 確かに資料集めだけでも骨が折れたけど自分が興味があることだったからそこまで苦じゃなかったよ。 |
ミリーナ | 調べ物をしてたときのイクス、なんだか楽しそうだったよね。見てて応援したくなっちゃったもん。 |
イクス | お、応援なんていらないってば。それにミリーナの力を借りなくてもちゃんと終わったしさ。 |
ミリーナ | うんうん。よく頑張ったね。イクス、とっても偉いよ。 |
シェリア | むっ……これは。 |
ソフィ | どうかしたの ? |
シェリア | ふふっ…匂うわよ。オトメの匂いよ。 |
アスベル | 何言ってるんだシェリア。匂いなんて何もしないじゃないか。 |
シェリア | アスベルにはわからないでしょうね。 |
ミリーナ | シェリアもこんなにオトメの匂いを身に纏ってるのにね。 |
シェリア | わ、私は纏ってないってば !何もないわ ! |
ミリーナ | えー。そんなことないと思うな ♪ |
ソフィ | くんくん…くんくん…。ダメ。わたしにもわからない。シェリアとミリーナにはわかるのに。 |
ソフィ | 世の中には七不思議の他にも不思議なことがいっぱいだね。 |
アスベル | 七不思議 ? なんだそれは ? |
ソフィ | ティル・ナ・ノーグ七不思議のことだよ。最近、ちまたで話題になってるんだ。 |
ソフィ | この前、イクスがお話してくれたの。ティル・ナ・ノーグ七不思議の謎のこと気になってたんだ。 |
アスベル | …それなら七不思議を自由研究のテーマにしたらどうだ ?ソフィも興味があるんだろ ? |
シェリア | ティル・ナ・ノーグ七不思議を解明して自由研究として発表するのね ! |
ミリーナ | なんだかとっても面白そう ! |
アスベル | ソフィ ? どうだ ?やってみないか ? |
ソフィ | うん。わたしもやってみたい。 |
アスベル | よし。それじゃあ決まりだな。さっそくティル・ナ・ノーグ七不思議の謎を解明しに調査開始だ。 |
イクス | わかった。案内するよ。みんな、ついてきてくれ。 |
キャラクター | 5話【怪談6 湖の亡霊】 |
アスベル | まずは一つ目の七不思議の調査だな。この湖にはどんな謎があるんだ ? |
ソフィ | \"湖の亡霊\"だよ。 |
シェリア | ぼ、亡霊 ? こんな綺麗な湖に亡霊がでるっていうの ? |
ミリーナ | 昔々湖の畔には貴族のお屋敷がありそこには我が儘な令嬢と心優しい給仕の少女がいました。 |
シェリア | ミ、ミリーナ ? どうしたの ?いきなりそんな雰囲気作らないでよ。 |
イクス | ミリーナは怖い話が好きだからなぁ。ティアやファラたちと夜、たまに怪談をやってるみたいだし。 |
アスベル | シェリアは怖い話、苦手だったよな。嫌なら耳ふさいでてもいいぞ。俺が代わりに聞いてるから。 |
シェリア | わ、私も聞くわよ。これもソフィの宿題のためだもの。 |
ミリーナ | ある日、少女は貧しい格好をした少年と出会います。二人は次第に惹かれあい気がつけば互いに恋に落ちていました。 |
ミリーナ | それを見ていた我が儘な令嬢は身分の低い者どうしの恋愛だと始めは馬鹿にして放っていました…。 |
ミリーナ | ですが令嬢は舞踏会で実はその少年が王子様だと知って豹変します。 |
ミリーナ | 令嬢は少女を毒で暗殺し自分が王子様と結婚しようとしたのです。 |
ミリーナ | しかし些細な行き違いが重なり毒で死んでしまったのは王子様でした。 |
ミリーナ | 心優しかった少女は変わってしまい憎しみのあまり令嬢を殺しました。けれど少女の恨みは消えません。 |
ミリーナ | 少女は王子様を助けられなかった自分自身をも恨むようになりついには湖に身を投げ自ら命を絶ちました。 |
ミリーナ | ですがそれでも恨み、憎しみは消えず亡霊となって湖を彷徨い続けていると言われています。 |
ミリーナ | それが湖の亡霊の正体。そう…そしてその少女の名は―― |
ソフィ | シェリア。 |
シェリア | いやーーーっ ! ! |
アスベル | お、おい。落ち着けって。ソフィ、どうかしたのか ? |
ソフィ | お腹すいた。 |
シェリア | そ、そう…お腹がすいたのね。…うう、本当に出たかと思ったわ…。 |
ミリーナ | それじゃあ亡霊が出てくるまでピクニックにしましょうか。お弁当、作ってきたわよ。 |
シェリア | ピクニックをしながら亡霊を待つってそんな悠長なこと…。……呪われたりしないかしら。 |
イクス | さっきの話はあくまで噂だから。それに湖の亡霊はよくある怪談ネタなんだよ。 |
イクス | きっと湖から出る水蒸気と光の屈折によって亡霊っぽいものが見えただけだと思うな。蜃気楼と同じ理屈でさ。 |
シェリア | そ、そうよね。幽霊や亡霊なんているはずがないわよね。うん。絶対にいるわけがない。 |
アスベル | ソフィも腹が減ったみたいだしひとまず飯にするか。 |
ミリーナ | はーい。ソフィ、お口開けてね。カニタマよ。 |
ソフィ | カニタマ、カニタマ、カニタマ、カニタマカニタマ、カニタマ、カニタマ、カニタマカニタマ、カニタマ、カニタマ、カニタマ。 |
ソフィ | あーん……ぱくっ。 |
ミリーナ | ふふっ。本当にソフィはカニタマが好きね。 |
シェリア | ミリーナ、だいぶ慣れた手つきのようだけどソフィにカニタマばっかり食べさせてないわよね ? |
ミリーナ | えっと…ソフィが喜ぶからついつい。けど栄養がかたよらないようにちゃんと気をつけてるわよ。 |
シェリア | それならいいけど…。 |
アスベル | 好物なんだしいいじゃないか。俺もカレーが食べたくなってきたな。 |
シェリア | そういうと思って、作ってきたわよ。もちろん甘口ね。 |
アスベル | さすがシェリアだな。カレーはやっぱり甘口だ。 |
カーリャ | カレー ! ? ピクニックに ! ?ふわわわわ、アスベルさまの好物とはいえシェリアさまは凄いですね ! ? |
ミリーナ | 私も見習わなくっちゃ。イクスも食べたいものがあったら何でも言ってね。 |
イクス | 俺はなんでもいいよ。ミリーナが作ってくれるものはどんな料理でも美味しいし。 |
シェリア | ミリーナ…相当デキるわね……。 |
ミリーナ | シェリア、どうかしたの ? |
シェリア | な、なんでもないわ。ただ、こうしてみんなで食事するのってやっぱり楽しくていいなと思って。 |
ソフィ | 亡霊さんも一緒に食事をしたら楽しくなるかな ? |
シェリア | ちょ、ちょっと。変なこと言わないでよ。本当に亡霊がでてきたら…。 |
ミリーナ | …待って ! 湖に何か見えない ! ? |
??? | …………。 |
アスベル | ……あれは、人影か ! ? |
シェリア | いや~っ ! ! |
イクス | …どんどん近づいてくる。 |
シェリア | どうするの ! ?呪われちゃうかもしれないわよ ! ?アスベル、お願い ! ! 何とかして ! ! |
アスベル | な、何とかって言われても。 |
シェリア | 何かないの ! ? なんでもいいのよ !清めのお塩とか ! ! |
アスベル | 待て。塩はないが……コショウなら ! |
シェリア | それでいいわ !塩でもコショウでも何でもいいから ! ! |
アスベル | ヒューバート…。またお前のお守りに助けられることになるとはな。 |
カーリャ | なんでお守りの中にコショウが ! ? |
アスベル | いまは細かいこと抜きだ !くらえっ ! ! 幸運のコショウをっ ! ! |
??? | …………。 |
イクス | う、動かなくなった… ? |
??? | くしゅんっ……。 |
ミリーナ | 亡霊が…くしゃみしてる ? |
ミラ=マクスウェル | 誰が亡霊だ。それに、いきなりコショウとは…。なにかのまじないか ? |
アスベル | しゃべった ! ?足も…ある。 |
イクス | ミラ ! ? どうしてここに ! ?というか、どうやって湖面の上を歩いてるんだ ! ? |
ミラ=マクスウェル | ああ、これはウンディーネの力だ。湖の上を散歩していた。 |
ソフィ | 亡霊の正体はミラだったんだね。一つ目の七不思議、ちゃんと解明できてよかった。 |
ミラ=マクスウェル | うむ。よくわからないがソフィがよかったというならそれでいいだろう。 |
ミラ=マクスウェル | ところで、皆で何をしているのだ ?おいしそうな匂いがしたので引き寄せられたのだが…じゅるり。 |
シェリア | ピクニックですけど…。よ、よかったら一緒に食べますか ? |
ミラ=マクスウェル | いいのか ?ありがたい。 |
イクス | それじゃあ食べ終わったら二つ目の七不思議の調査に向かおうか。 |
アスベル | ああぁっ !俺の甘口カレーがコショウまみれに ! ! |
キャラクター | 6話【怪談7 白衣の少女】 |
ソフィ | ふわぁ……。 |
シェリア | ソフィ、大丈夫 ?もう夜遅いから眠いなら寝てていいわよ。 |
ソフィ | ううん。平気だよ。みんな頑張って起きてるからわたしも頑張る。 |
アスベル | シェリアも無理するなよ。怖かったらケリュケイオンに戻ってもいいんだからな ? |
シェリア | 怖くなんてないわよ。湖の亡霊と同じように他の七不思議の真相もたいしたことないに決まってるんだから。 |
ミリーナ | けど二つ目の七不思議の\"白衣の少女\"の噂は本当かもしれないわよ。 |
アスベル | \"白衣の少女\"ってこの宿に出てくるって噂の幽霊だったよな。 |
ミリーナ | ええ。夜になると廊下からこつっ…こつっ……っていう足音が聞こえてくるらしいわ。 |
ミリーナ | そしてしばらくすると廊下の花瓶とか置物がガタガタ…ガタガタって動き出すの。 |
ミリーナ | さらに耳を澄ましていると苦しみ悶える少女の息づかいが聞こえてくるんですって。 |
ミリーナ | 聞いた話だと、昔この宿で亡くなった小さな女の子がいまだに苦しみながら幽霊となって彷徨い続けてるって話よ。 |
ミリーナ | ちなみに…その幽霊の名前は―― |
ソフィ | シェリア。 |
シェリア | いやーーーっ ! !なになに ! ? なんなのーっ ! ? |
ソフィ | 喉渇いた。 |
シェリア | ソ、ソフィだったのね…。もう…驚かさないで…。いま、お水いれてあげるから…。 |
アスベル | シェリア、手が震えてるぞ ! ?俺がやるから貸してくれ。 |
シェリア | あ、うん……。 |
アスベル | ソフィ、水だ。慌てて飲んでむせるなよ。 |
ソフィ | ありがとう、アスベル。 |
アスベル | シェリアも水を飲んで少し落ち着こう。ほら、飲めるか ? |
シェリア | ……あ、ありがと。 |
ミリーナ | アスベルさんって優しいわね。シェリア ? |
シェリア | な、なんで私に聞くのよ…。 |
アスベル | あはは…。確かに、ソフィの分のついでに水をいれたぐらいでミリーナはおおげさだな。 |
アスベル | そうだ。イクスとミリーナの分も用意しておくよ。 |
イクス | ありがとう。アスベル。ちょうど俺も喉が渇いてたんだ。 |
シェリア | ……つ、ついで。 |
ミリーナ | あぁ……。 |
アスベル | シェリア ! ? どうしたんだ ?手の震えが増してるぞ… ? |
シェリア | これは…怒りよ……。 |
ミリーナ | シェリア…堪えて。これは幼なじみという関係が背負う宿命よ。あとで話は聞くから。 |
シェリア | ありがとう…。ミリーナは教官と違ってナンパしてこいとか言わなそうだし信頼できるわ…。 |
アスベル | と、とりあえず手の震えが収まったようでよかった。 |
ソフィ | ……あれ ?廊下から何か音が聞こえてくる…。 |
ミリーナ | もうこんな時間なのね。そろそろ幽霊が出てもおかしくないわね。 |
シェリア | ど、どうしよう。何かはわからないけどこの部屋に入ってきたりしないわよね。襲われたりとか……。 |
イクス | た、確かにその可能性は捨てきれない…。 |
アスベル | それなら先手必勝だ。一応、罠を仕掛けよう。何か使えるものはないか ? |
イクス | 俺は…ダメだ。役に立ちそうなものはない。 |
アスベル | 何でも良いんだ。いま持ってるものを出してくれ。 |
シェリア | そうは言っても…私はパスカルのためのバナナくらいしかないわ。 |
アスベル | …バナナ。いや、それは使える。ソフィ、食べてくれ。 |
ソフィ | もぐもぐ……。 |
アスベル | そしてこのバナナの皮を床に置いておく。そうすれば幽霊は足を滑らせるはずだ。 |
シェリア | 元わんぱく小僧が考えそうなことね…。 |
カーリャ | えっ…けど、幽霊でも転ぶんですか ? |
ミリーナ | 足音が聞こえるって話だしもしかしたらありえるんじゃないかしら。 |
ソフィ | アスベル。バナナの皮トラップ用意できたよ。 |
アスベル | ソフィ、よくやった。あとは待つだけ―― |
??? | 誰よ ! ? 床にバナナの皮を捨てたの ! ? |
シェリア | ちょ、ちょっと !なんだかすごく怒ってるんだけど ! ? |
アスベル | す、すごく声にドスがきいてるな…。 |
??? | バナナの皮はかゆみ止めにも使えるし靴磨きにも使えるのに。なんでこうすぐ捨てちゃうのかしら。 |
ソフィ | なんだか、お母さんみたいだね。 |
ミリーナ | ちょっと待って。この声……。 |
ベルベット | …どうしてあんたたちが ? |
イクス | ベルベットさんこそどうしてここに ! ? |
ベルベット | 近くに草原があるでしょ ?たくさんウリボアがいるから時々フィーと狩りに来てるのよ。 |
ライフィセット | 狩りの後はいつもここに泊まるんだ。このあたりには他に宿もないからね。 |
ミリーナ | そうだったのね。けど…どうして箒を持ってるの ? |
ベルベット | 掃除するからに決まってるでしょ。この宿、いつも清掃が行き届いてないから気になってしょうがないのよ。 |
ソフィ | 物音の正体はベルベットが掃除している音だったんだ。 |
イクス | あれ ? それじゃあ\"白衣の少女\"は ? |
ライフィセット | …それって僕のこと ?僕は少女じゃなくて男だよ。 |
ソフィ | そっか、ライフィセットだったんだね。 |
イクス | と、とりあえず二つ目の七不思議もちゃんと解明できたな。 |
アスベル | ……。 |
シェリア | アスベル ? どうかした ? |
アスベル | 言われてみればこの廊下…。たしかに磨きが足りない……。 |
イクス | もしかしてアスベルって綺麗好きなのか ? |
アスベル | いや、騎士学校で廊下掃除をさせられてたこともあってそれでちょっと気になってな。 |
シェリア | 自分の部屋は散らかってるものね。 |
アスベル | それは子どもの頃の話だろ ?この廊下は放っておけない。 |
イクス | それじゃあみんなで掃除して終わったら他の七不思議の調査に向かおうか。 |
キャラクター | 7話【怪談9 呪われた森の真実】 |
アスベル | いよいよ最後の七不思議だ。ソフィ、この謎が解明できればもうすぐ自由研究も終わりだな。 |
ソフィ | うん。みんなでお祭り行けるね。 |
シェリア | それにしてもティル・ナ・ノーグ七不思議ってふたを開けてみたら何というか…。 |
ミリーナ | \"喋る親子の英雄像\"の真相はスタンさんとカイルが立ったまま寝てただけだったり…。 |
イクス | \"再生の壁\"もコレットが穴を開けてロイドが目にもとまらぬ早さで修理してただけだったり…。 |
ソフィ | \"倒れる案山子\"は案山子を畑泥棒だとファラが間違って殺劇舞荒拳で倒しちゃったのが真相だったね。 |
イクス | \"しゃべるぬいぐるみ\"にいたっては予想通り、ティポだったし……。 |
シェリア | もう…怖くもなんともないというか全部ただの笑い話だったとはね…。 |
アスベル | まぁ、ちゃんと謎は解明できたわけだしいいじゃないか。この調子で早く自由研究を終わらせよう。 |
シェリア | それもそうね。えっと…最後の七不思議は何なの ? |
イクス | \"呪われた森\"だよ。 |
ミリーナ | 昔、お姫様と騎士たちが戦いに巻き込まれてこの森に逃げてきたんですって。 |
ミリーナ | けど四方八方を敵に囲まれてしまいお姫様と騎士たちは自ら命を絶った。 |
ミリーナ | それ以降、この森の奥に進もうとすると不気味な声が聞こえたり怪我をしたりと災いが降りかかると言われているわ。 |
ミリーナ | ちなみに、その悲劇のお姫様の名前は―― |
ソフィ | シェリア。 |
シェリア | ソフィ。どうかした ? おやつならケリュケイオンに戻ってからね。 |
ソフィ | うん。わかった。 |
アスベル | シェリア、もう驚かないんだな。 |
シェリア | 当然よ。あくまで噂なんだし。それにだいたいオチも見えてきたし。 |
イクス | たぶん風で木々がこすれる音が不気味な声に聞こえたんだろうな。 |
アスベル | となると、怪我をしたっていうのは風が吹いて落ちてきた木の実に当たったとかか。 |
ミリーナ | もしかしたらミラがシルフとお散歩してただけかもね。 |
シェリア | そうそう。だいたいそんなところに決まっているわ。 |
ソフィ | あとはそれを確認するだけだね。 |
アスベル | ああ。ひとまずこのまま森の奥に進んで―― |
アスベル | いてっ ! |
ソフィ | アスベル。どうかしたの ? |
アスベル | い、いや。何か頭に当たったような……気のせいか ? |
シェリア | 落ちてきた木の実にでも当たったんじゃ―― |
アスベル | シェリア ! 伏せろ ! ! |
シェリア | ――えっ ! ? |
アスベル | クッ… ! |
ソフィ | アスベル ! ? 大丈夫 ! ? |
シェリア | アスベル ! ジッとしてて !すぐ治癒術で手当するから ! |
アスベル | いや、心配ない…。何かが軽く肩に当たっただけだ…。 |
ミリーナ | これ…石よ。しかも風で飛ばされてきたとは考えられない大きさ…。 |
アスベル | なんだって ?いったいどうして…。 |
イクス | ひとまずあそこの茂みに隠れよう ! |
アスベル | みんな ! 無事か ! ? |
シェリア | 私はなんとか。ソフィも大丈夫 ?怪我してない ? |
ソフィ | うん。大丈夫。 |
イクス | 俺とミリーナも無事だ。けど、さっきのはなんだったんだ ? |
アスベル | 突然、石が飛んできたり岩が転がってきたり不気味な声が聞こえてきたりしたな。 |
ミリーナ | どうも肝試し気分でいるのはまずそうね。嫌な感じがする…。 |
シェリア | もしかして…ミリーナが言ってた話って本当なんじゃ……。 |
イクス | 本当にこの森が呪われてるかどうかは置いておくとしても…これ以上、先に進むのは危険だな…。 |
シェリア | 引き返した方がいいわよね……。 |
アスベル | ああ。俺も同感だ。戻ろう。 |
ソフィ | わたしは先に進む。 |
シェリア | …ソフィ ? |
アスベル | ソフィ。確かに自由研究を終わらせなくちゃいけないことはわかる。 |
アスベル | けど、そんなことのためにお前が傷つく必要はない。だからお前を行かせるわけにはいかない。 |
ソフィ | 自由研究があるから進みたいんじゃない。アスベルは何もわかってない。 |
アスベル | …どういう意味だ ? |
ソフィ | わたしは知りたいの。なんでこの森はアスベルとシェリアたちに酷いことしたのかを。 |
ソフィ | そして酷いことしないでってちゃんとわたしは伝えたい。 |
ソフィ | アスベルもシェリアもイクスもミリーナもみんな、わたしは好きだから。 |
アスベル | ソフィ……。 |
ソフィ | わたし、何か間違ってる ? |
シェリア | 間違ってはいないけど……。 |
イクス | みんな、待ってくれ !あそこに誰かいるぞ ! |
アスベル | なんだと ! ? |
ミリーナ | カーリャ、あの人たち何をしているか見える ? |
カーリャ | あれは…森に粗大ゴミを捨ててるみたいです ! |
男 | なんだ、お前たちは ! ? |
シェリア | 気づかれたわね。 |
アスベル | 見られたからには、ということか。 |
ソフィ | こんな綺麗な森にゴミを捨てるなんてわたし、許せない。 |
イクス | みんな ! 来るぞ ! ! |
キャラクター | 8話【怪談9 呪われた森の真実】 |
アスベル | 森にゴミを捨てていた奴がいたとはな。なんとか追い払えたがあの様子だとまたやって来そうだ。 |
イクス | それに粗大ゴミをそのままにしておくわけにもいかないな。 |
ソフィ | ……気配を感じる。 |
シェリア | …気配 ? |
ソフィ | …森の動物たちの視線。わたしたちを見てる。 |
イクス | 俺たち、さっきの奴らと同じ仲間だと思われてるのか ? |
ソフィ | …同じ人間。だから警戒してる。動物たちも自分たちの故郷を守るためにきっと必死なんだよ。 |
アスベル | ……故郷か。人間も動物も自分たちの大切な場所を傷つけられたら嫌だよな…。 |
シェリア | 私たちの故郷のラントも戦争で荒れたことがあったから…。わかる気がするわ。 |
イクス | 俺たちにも何かできればいいんだけど…。 |
ソフィ | わたし、動物さんたちと話してくる。 |
ミリーナ | ソフィ、待って。一人で行くのは危ないわよ ?さっきみたいなこともあるんだし。 |
シェリア | ソフィが行くなら私もついて行くわ。だから… |
ソフィ | みんなで行くと警戒されちゃう。わたし一人なら動物さんたちもちゃんと話を聞いてくれると思う。 |
ソフィ | だからわたし一人で行く。 |
シェリア | でも……。 |
アスベル | …ソフィ、行ってこい。 |
ソフィ | うん。 |
シェリア | あっ、ちょっと ! ソフィ !アスベル、どういうつもり ? |
アスベル | 確かに危険かもしれないがソフィがそうしたいって言ってるんだ。 |
アスベル | それに今回、ソフィが自分で考えてこうしたいと決めたことは俺は間違っていないと思う。 |
アスベル | だから今の俺たちがすべきなのはソフィの考えを尊重して見守ることだと思うんだ。 |
シェリア | ……見守る、か。確かにそうかもしれないわ。 |
シェリア | ずっと近くにいたからなかなか変化に気づかなかったけどソフィも大人になっていってるのね。 |
イクス | ソフィはやっぱり二人の娘に見えるよ。アスベルの真っ直ぐな格好良さやシェリアの相手を思いやる優しさ…。 |
イクス | 二人の良いところがちゃんとソフィに受け継がれてるなって見ていて思ったよ。 |
ミリーナ | 子どもは親の背中を見て育つっていうものね。 |
アスベル | なんだかそう言われると照れるけど…俺たちの思いがソフィに受け継がれて支えになってくれたなら嬉しいな。 |
シェリア | ……ええ。そうね。 |
ソフィ | 森の動物さんたち。聞いて。わたしたちはこの森を荒らしにきたわけじゃないよ。 |
ソフィ | この森を守りたかったんだよね。わたしたちも協力するから一緒に何とかできないかな ? |
ソフィ | みんなで力を合わせてこの森を守ろうよ。 |
イクス | 動物たちがソフィに集まってきたぞ ! ? |
ミリーナ | ラピードさんともお話してたけど他の動物たちともソフィは話せるのね。 |
カーリャ | 目を見れば何が言いたいのかわかるってソフィさまは言ってましたよ。 |
ミリーナ | ソフィは本当に純粋な良い子なのね。 |
ソフィ | アスベル、シェリア。動物さんたちがさっきは石を投げちゃってごめんって言ってるよ。 |
アスベル | そ、そうなのか。えっと…俺は気にしていないよ。こっちこそ誤解させてすまなかった。 |
シェリア | ふふっ…やっぱり七不思議なんて当てにならないわね。 |
シェリア | 呪われた森どころかこんなに優しい動物たちが暮らしている森だったんだから。 |
アスベル | ……七不思議。そうか…それだ。 |
ソフィ | …アスベル ? どうかしたの ? |
アスベル | この森を守る方法を閃いた !少し大がかりかもしれないがみんな、協力してくれるか ? |
イクス | ああ。もちろんだよ。 |
ミリーナ | アスベルさん、聞かせて !まずは何をすればいいの ? |
アスベル | まずは…シェリア !脚本を書いてくれ ! ! |
シェリア | ええっ、私 ! ? いったい何の脚本… ? |
アスベル | 新たな七不思議の脚本だ。やってくれるか ? |
シェリア | あぁ…もう。しょうがないわね。 |
シェリア | ここまできたら後は度胸よ !やってやろうじゃないの ! ! |
キャラクター | 9話【怪談10 一世一代の大舞台!?】 |
男A | よし。今日はこのくらいにしとくか。 |
男B | ああ。とっとと帰ろうぜ。 |
シェリリー・リード | 我は偉大なる女海賊シェリリー・リード !森にゴミを放置し我の森林浴を邪魔する輩はお前たちか ! |
男A | な、なんで森に海賊が ! ? |
黒服 | シェリリー・リード様はお怒りだ。お前たちは禁忌を犯した。覚悟はできているだろうな… ? |
子爵 | え、えっと…俺の台詞は……。 |
子爵 | とりあえず、あいつらを捕らえろっ ! ! |
断罪者 | 人に命令されるのは好かねぇがこの森を汚す悪を見過ごすわけにはいかねぇな。 |
男B | に、逃げろ~っ ! ! |
メイド | まだ片付けが終わってないわよ。ちゃんとそのゴミは持ち帰り分別して処分なさい。 |
男A | な、なんでそんなこと。俺たち以外にもやってるやつはいるのに ! |
黒服 | 言うことが聞けないというわけか。ふふふっ……ならばこの眼帯を外し呪われし左目を開眼するしか―― |
シェリリー・リード | 黒服、待つのだ。こいつらにお迎えが来たようだぞ。 |
天使メルディ | ワイール ! メルディたち天使だよ ! |
天使コレット | えっとね、私たちはあなたたちを地獄に連れて行くのが役目なんだって。ごめんね、脚本に書いてあったの。 |
男B | い、いやだ ! 地獄になんか行きたくない !ちゃんとゴミは持って帰ります ! |
うさ耳 | ありがとうございます。そうしてくれると嬉しいです…あっ…じゃなくて…う、嬉しいぴょん…。 |
シェリリー・リード | 立ち去れ ! 愚か者ども ! ! |
エッグベア | もうするなよ。 |
二人 | 二度としませ~~んっ ! ! |
ソフィちゃん | こうして動物たちの森は救われました。 |
ソフィちゃん | これにて、シェリア・バーンズ脚本・監督作品―― |
ソフィちゃん | 『眠れる森の女海賊と黒服は子爵の断罪とメイドを求めて二人の天使と踊ればうさ耳とエッグベアの夢を見るか』 |
ソフィちゃん | の、上演を終了いたします。 |
一同 | ありがとうございました。 |
イクス | どうやら劇は大成功だったみたいだな。 |
ミリーナ | ええ。そのようね。よかったわ。 |
キャラクター | 9話【怪談10 一世一代の大舞台!?】 |
ソフィ | …というのが最後の七不思議呪われた森の真相でした。 |
ソフィ | 以上でティル・ナ・ノーグ七不思議に関する発表を終わります。ありがとうございました。 |
アスベル | ソフィ。よく頑張ったな。ちゃんと発表もできて偉いぞ。 |
リフィル | 七不思議の真相はどうあれよくここまで調べたわね。 |
ソフィ | あ、けどね。いまは七不思議じゃなくて八不思議なんだよ。 |
ソフィ | 女海賊と彼女に忠誠を誓った黒服が安らかに眠る森があるの。 |
ソフィ | 二人にとって森は大切な場所だからみんなも森や動物、自然を大切にしようって言われているんだって。 |
アスベル | あはは…まさか俺たちが七不思議に加わることになるとはな。 |
シェリア | なんだか恥ずかしいわね……。 |
イクス | まぁ、けっこう手の込んだことやったからなぁ。 |
リフィル | あら、せっかく首尾良く八番目の不思議が誕生したのだから、裏話を口にするのは無粋というものではなくて ? |
ミリーナ | そうですよね。そのおかげでちゃんと森も守れたわけですし。 |
ソフィ | うん。だから八番目の不思議の真相はわたしたちだけの秘密。 |
アスベル | とにかく、これで宿題はすべて片付いたな。残りの夏休み、思いっきり遊べるぞ。 |
シェリア | まだ夏祭りはやっているかしら。 |
ソフィ | アスベル、シェリア。聞いて。わたし、ゴミを捨てるだけじゃなくて何かに使えないか、調べてみようと思う。 |
ソフィ | それから他にも不思議なことがないか調べてみたい。 |
ソフィ | あっ。けどみんなで夏祭りも行きたいな。 |
アスベル | 自由研究を通じてソフィはやってみたいことがたくさん増えたみたいだな。 |
ミリーナ | せっかくだしソフィが興味あるもの時間が許す限り全部やってみてもいいかもね。 |
イクス | ああ。俺も付き合うよ。個人的に資源の再利用にも興味あるし。 |
アスベル | 前に俺たちの仲間が道のゴミを拾って、まとめて捨てていたことがあったんだ。 |
アスベル | あの時は捨てるだけだったけど、今回は資源の再利用までが目標だな。 |
ソフィ | 教官を見習って、まずはゴミ拾いしよう。 |
シェリア | そうなると、それぞれ役割を決めて集めた方が効率がよさそうね。 |
アスベル | そうだな。まずはソフィをケリュケイオン環境大臣に任命したい。みんなの指揮を執ってもらおうと思う。 |
ソフィ | わたしが ? |
イクス | いいなそれ。賛成だ。 |
ミリーナ | ケリュケイオン環境大臣、私たちに指示をお願い。 |
ソフィ | わかった。それじゃあ…。 |
ソフィ | 燃えるゴミ担当大臣はアスベル。燃えないゴミ担当大臣はイクス。 |
ソフィ | ビンカン担当大臣はシェリア。骨董品担当大臣はミリーナ。 |
ソフィ | 大臣は取りまとめをよろしくね。 |
一同 | 了解しました ! |
アスベル | それじゃあ善は急げだ。向かうとしよう。 |
シェリア | またあちこち歩き回ることになりそうね。お弁当や飲み物も用意しないと。 |
リフィル | その前に、ちゃんと宿題を終わらせたソフィに言うことがあるんじゃないかしら ? |
アスベル | あぁ、そうでした。 |
四人 | ソフィ。よくできました。 |
ソフィ | うん。ありがとう。 |