キャラクター | 1話【聖夜1 プレゼント泥棒?】 |
イクス | 騎士団が怪しい人物を捕らえた ?今日はクリスマス・イヴだっていうのに物騒だな。 |
ミリーナ | なんでもクリスマスプレゼント泥棒っていうことらしいけど…。 |
騎士 | さぁ。こっちに来るんだ。 |
ルドガー | くっ……。 |
エル | 離してよ ! エルもルドガーも泥棒なんてしてないし ! |
イクス | あの二人が…泥棒 ? |
ミリーナ | 悪いことする人のようには見えないわよね。 |
カーリャ | おっ… ! イクスさま、ミリーナさま、カーリャ…ぷるぷるします !きっとあの二人は―― |
コーキス | 鏡映点だ ! ! ! ! |
カーリャ | あぁ ! カーリャの台詞なのにっ ! |
ミリーナ | あの二人が鏡映点 ! ?イクス、話を聞いてみましょうよ。 |
イクス | そうだな。――あの、すいません。ちょっと待ってください。 |
騎士 | お二人は鏡士の…。 |
イクス | この二人のことは俺たちに任せてもらえませんか ? |
騎士 | は、はぁ…。お二人がそう言うなら…。 |
ミリーナ | 二人とも大丈夫 ? |
ルドガー | あぁ…助かったよ。 |
エル | けど…なんでエルたちを助けてくれたの ?誰もエルたちのこと信じてくれなかったのに。 |
イクス | それは…えっと。いきなりなんですけど二人とも別の世界から来たんですよね ? |
ルドガー | … ! どうしてそのことを ! ? |
エル | もしかして二人も正史世界から来たの ! ? |
ミリーナ | 正史世界 ? |
エル | だってここ分史世界なんでしょ ? |
イクス | あの…正史世界とか分史世界とか言われても俺たちは何のことだか…。 |
ルドガー | …分史世界じゃないのか。 |
イクス | とりあえず一度落ち着いて話をしましょう。ついて来てください。 |
キャラクター | 2話【聖夜2 クリスマスエージェント】 |
イクス | …と具現化について俺たちから説明できることはこれくらいです。 |
エル | ルドガー、二人の話わかった ? |
ルドガー | ああ。つまり、ここは分史世界じゃなくて全く別の世界ってことみたいだ。…なんだか信じられないけどな。 |
ミリーナ | 他に何か聞きたいことはありますか ? |
ルドガー | 一つある。 |
エル | はいはい ! イクスとミリーナはサンタクロースって知ってる ?あっ、あとクリスマスって何なの ? |
ルドガー | あ、二つだった…。 |
イクス | サンタクロースは通称だよ。本名はサンタ・ビクエ・クロース。大昔の伝説の鏡士なんだ。 |
イクス | とても優しい人だったらしくて恵まれない子ども達に、おもちゃなんかを具現化してプレゼントしてあげていたんだ。 |
ミリーナ | クリスマスっていうのは、サンタクロースの誕生日なのよ。昔はサンタクロースに感謝を捧げる大切な日だったの。 |
イクス | でも今は宗教的な意味合いが薄れて大切な人と一緒にパーティして過ごしたりプレゼントを渡したりする日って感じだな。 |
ミリーナ | ちょうど今日はクリスマスの前日――クリスマス・イヴなの。 |
ミリーナ | クリスマス・イヴの夜になると、今でもサンタクロースが良い子にプレゼントを届けてくれると言われているのよ。 |
エル | そうなの ! ?エルもプレゼントもらえる ! ? |
イクス | あ、いや、サンタクロースは大昔に亡くなってるから今では伝説の存在―― |
イクス | むごはぁっ ! ? |
カーリャ | ミリーナさまイクスさまの口を両手で塞いでる…。 |
ミリーナ | フフ♪サンタさんは今でもどこかにいてエルみたいな良い子にプレゼントを配っているの。 |
ミリーナ | だからきっと貰えるわ。 |
エル | やったー ! |
ミリーナ | ふふっ…エルってとっても可愛いわね。サンタさんじゃなくてもプレゼントしたくなっちゃうわ♪ |
ルドガー | あぁ…エル。ちょっといいか。 |
エル | あっ ! そうだった !エルたちはプレゼントもらうんじゃなくてプレゼント集めて届けなきゃ ! |
イクス | …どういうことだ ? |
ルドガー | 信じてもらえるかわからないが…俺、サンタクロースのエージェントになったんだ。 |
二人 | サンタクロースのエージェント ! ? |
イクス | いや…そんなまさか。だってサンタクロースは伝説上の人物で…。 |
エル | ウソじゃないし !この鏡が証拠だよ ! |
ミリーナ | これ…古文書でみたことがあるわ。サンタクロースが使ったとされる魔鏡じゃない。 |
イクス | …ビクエ級の魔鏡術が施されてる。これ…本物なのか ? |
エル | だからホンモノって言ってるのにー。 |
ミリーナ | 待って…。何か模様が浮き出てきたわよ。 |
エル | あっ !ルドガー、これって ! |
ルドガー | 具現化されたプレゼントが近くにあるみたいだな。 |
ルドガー | イクス、ミリーナ。詳しくは後で話す。ついて来てくれ。 |
キャラクター | 3話【聖夜4 狙われるプレゼント】 |
イクス | 救世軍に追われていたところをサンタクロースに助けられたんですか ! ? |
ルドガー | あ、ああ…。夜道で迷いかけたところでサンタクロースとぶつかったんだ。それで街に出る道を教えてもらった。 |
ミリーナ | その代わりにサンタクロースのエージェントとして働くことになった…。…なんだかすごい話だわ。 |
ミリーナ | ねぇ、サンタクロースってヨーランド様のすぐ後ぐらいの鏡士よね ?生きてる訳がないと思うんだけど…。 |
イクス | だよな…。もしかしたら誰かがサンタクロースの格好をしているのかも。 |
イクス | ほら、この時期みんなサンタの格好で仕事したりするだろ ? |
エル | なにひそひそ話してるの ? |
ミリーナ | ――あ、ああ、何でもないわ。確かそのサンタさん、困っていたのよね ? |
エル | うん。また世界の形が変わってたとか何とか…。 |
エル | とにかくサンタクロースも道に迷ってソリが暴走して、プレゼントをあちこちに落としちゃったんだって。 |
カーリャ | 伝説の鏡士って言われてるサンタさんも結構うっかりさんなんですね。 |
コーキス | ちなみにサンタってどんな奴だったんだ ? |
エル | うーん。暗くてよくわからなかった。声の感じはおじいさんっぽかったよ。 |
ルドガー | それで道を教えてもらったお礼にプレゼント探しを手伝うことになってその鏡――魔鏡を借りたんだよ。 |
ルドガー | 魔鏡ってすごいな。離れているサンタクロースからこの鏡を通じて声が届くんだ。 |
エル | はじめはGHSに電話が来たのかと思ったからビックリしちゃった。 |
イクス | GHS ? |
ルドガー | この小型の携帯通信端末だ。ここでは使えないみたいだけどな。 |
エル | これでノヴァから借金の催促もされずに済むね。 |
二人 | 借金 ! ? |
ルドガー | あ、あはは……。えっと……。 |
ジュード | イクス、ミリーナ。大変だよ。街でまたプレゼント泥棒が現れた。 |
イクス | プレゼント泥棒 ! ? |
エル | …って、えええ ! ?ジュードとエリーゼ !それにミラまでいる ! |
ルドガー | みんな、具現化されてたのか ! ? |
ミリーナ | ジュードたちと知り合いだったの ? |
エリーゼ | えっ…わたしは二人のこと知らないですよ。 |
ティポ | ぼくもー。 |
エル | ひどいよ ! エルとルドガーのこと忘れちゃったの ! ?一緒に旅もしたのに。 |
ジュード | ちょ、ちょっと待って。人違いじゃないの ? |
ミラ=マクスウェル | それより…ルドガーと言ったな。その手に持っているものは何だ。 |
ルドガー | …GHSのことか ? |
ミラ=マクスウェル | …やはり黒匣か。 |
エル | ルドガー…どういうこと ?なんかみんな変だよ…。 |
ルドガー | …………。 |
ジュード | あなたたち…エレンピオスの人だよね。とにかく一度、話をさせて。 |
キャラクター | 4話【聖夜5 犯人を捕まえよう】 |
ジュード | …断界殻が消えた世界 ?それってつまり…リーゼ・マクシアとエレンピオスが一つに繋がったってこと ? |
ルドガー | それを聞いてくるってことは…。 |
エル | さっきから質問ばっかり。まだ何か聞きたいことあるの ? |
ジュード | い、いや…ごめん。 |
ミラ=マクスウェル | ルドガーたちと私たちは確かに同一の世界から具現化されたようだ。だが具現化の時間軸が異なるのだろうな。 |
ジュード | 未来…。ルドガーたちからしたら僕たちは過去の存在みたいだね。 |
ルドガー | ……そうだったのか。 |
ミリーナ | 同一世界の過去と未来からの具現化…。きっと救世軍の仕業ね。特異鏡映点を作り出そうとしたのかもしれない。 |
ミリーナ | 二人が特異鏡映点なのかどうか調べておいた方がいいと思うわ。 |
エリーゼ | …ちょっと待ってください !ルドガーの話が本当なら、わたしたち…。 |
ジュード | …エリーゼ。あんまり深く考えない方がいい。 |
ジュード | リフィル先生も言ってたよ。自分たちの未来に関わることを知りすぎるのはよくないって。 |
ミラ=マクスウェル | …そうだな。私たちも、ルドガーも、ティル・ナ・ノーグへやって来た異邦人だ。 |
ミラ=マクスウェル | 今見るべき事は、今ここにある現実だろう。 |
エル | やっぱり…エルが知ってるミラじゃない。 |
ルドガー | 彼女が正史世界のミラ |
ジュード | さっきからよく口に出してるその正史世界とか分史世界っていうのは…。 |
ジュード | ……って、ダメだよね。さっき自分で言ったばかりなのに。 |
ルドガー | ……いいのか ? |
ジュード | うん。大丈夫。この世界では関係のないことだから。 |
ミラ=マクスウェル | 一つの問題が解決してもまた新たな問題が生まれてくるだろう。 |
ミラ=マクスウェル | だがきっと、私は…いや私たちは変わらず自らの意志で行動していくだろうからな。 |
エリーゼ | はい。そうですよね。 |
ジュード | 僕もそう思うよ。 |
ミラ=マクスウェル | 私たちからはもう何も尋ねない。お前たちは何か聞きたいことはあるか ? |
ルドガー | …いいや。 |
エル | ねぇ…。 |
ミラ=マクスウェル | 私か ? |
エル | …料理ってする ? |
ミラ=マクスウェル | いいや。あまりしないな。 |
ルドガー | …エル。 |
エル | そうだよね…。やっぱり違うんだ。エルが知ってるミラは髪にピョンっていうのなかったし。 |
ミラ=マクスウェル | これはシルフが結ってくれた私のチャームポイントだぞ。 |
エル | そんなのなくてもエルが知ってるミラはキレイなんですー。 |
ミラ=マクスウェル | 褒められているのか何なのかよくわからないな。 |
ジュード | あはは…。と、とにかくいまはプレゼント泥棒を捕まえなくちゃ。 |
イクス | クリスマスプレゼントを奪いまくってる奴がいるんだったな。 |
エル | エルたちその人と間違われたんだよ。 |
ルドガー | 人のプレゼントは盗ってないもんな。 |
エル | 真犯人を捕まえないと ! |
エリーゼ | けど…どうやって捕まえますか ? |
ジュード | 大丈夫。策はあるよ。おびき寄せて挟み撃ちにする。 |
ルドガー | わかった…俺も協力する。 |
エル | もちろんエルも ! |
イクス | あっと、その前に特異鏡映点かどうかだけ確認しておこう。犯人捜しはそれからだ。 |
キャラクター | 6話【聖夜6 ユリウス】 |
イクス | …やったか ! ? |
ジュード | いや……。 |
ユリウス | この程度か。まだまだだな。そろそろ終わらせてもらうぞ。 |
エリーゼ | ジュード ! 来ますよ ! ! |
ジュード | くっ…速い ! ! |
ユリウス | これでトドメだ ! ! |
ルドガー | ――待ってくれ ! ! |
ユリウス | ルドガー ! ? |
イクス | ルドガーさん、知り合いなんですか ! ? |
ルドガー | …俺の兄、ユリウスだ。 |
ミリーナ | ルドガーさんのお兄さんだったの ! ? |
エル | メガネのおじさんがプレゼント泥棒だったの ! ? |
ルドガー | …兄さん。何をしてるんだ ? |
ユリウス | お前の方こそ何をしている。分史世界の存在と馴れ合っても、悲劇を生むだけだぞ。 |
エル | 待って ! メガネのおじさん、ここが分史世界だと思ってるの ! ? |
ユリウス | …どういう意味だ ?エージェントの使者からの情報ではここは間違いなく分史世界のはず…。 |
イクス | ここはティル・ナ・ノーグ。ユリウスさんたちの世界とは独立したまったくの異世界です。 |
ルドガー | 兄さん…ここは分史世界じゃないんだ。 |
ユリウス | …なんだと。 |
ユリウス | そうか…。先入観とは恐ろしいな。こっちが利用するつもりが逆にあいつらに利用されていたというわけか。 |
ルドガー | …あいつら ? 誰のことだ ?兄さんはどうしてこんなことをしてる ? |
ユリウス | …………。 |
ルドガー | 兄さん、またなのか… ?ちゃんと話してくれ ! |
エル | ……ルドガー。 |
イクス | 俺たちもユリウスさんに具現化や鏡映点のことについてお話ししておきたいです。 |
ユリウス | …わかった。だが先に俺から話すとしよう。俺がやり取りしていた組織は救世軍。 |
ユリウス | つまり俺は救世軍のエージェントだ。 |
イクス | 救世軍のエージェント ! ? |
ルドガー | …なんで兄さんが。 |
ユリウス | 歩きながら話す。ついて来い。 |
キャラクター | 7話【聖夜7 アジトへ向かおう】 |
ユリウス | …そうか。おかげでだいぶこの世界について理解できた。 |
イクス | ユリウスさんがプレゼントを回収してたのはプレゼントを探しているエルをおびき出すためだったんですね。 |
ユリウス | エルは特異鏡映点として救世軍に狙われていたからな。 |
ユリウス | 俺が依頼を引き受けたのは、救世軍の話でサンタクロースが時歪の因子である可能性が高いと思ったからだ。 |
ユリウス | エルを引き渡すことで時歪の因子であるサンタクロースの居場所を得られる筈だった。 |
ルドガー | でも、それじゃあエルが…。 |
ティポ | サラッとひどいこと言ってないー ? |
ユリウス | まさか、本当に引き渡す訳がないだろう。情報を得たら、エルは安全な場所でかくまう予定だった。 |
ユリウス | そのためには、一時的にルドガーとエルを引き離す必要があった。それが救世軍側のオーダーだったからな。 |
ルドガー | 信じないわけじゃないけど…。エルを危険な目に遭わせることには変わりないじゃないか。 |
ユリウス | 俺が、あいつらに負けるはずがない。本気を出せば…な。 |
ルドガー | ……。 |
ユリウス | しかしイクスたちの話を聞くとサンタクロースというのは単なる伝承―― |
ユリウス | ごふっ ! ? |
カーリャ | ミリーナさまがユリウスさまの口を両手で押さえつけてる ! ? |
ルドガー | 兄さんの背後を取るなんて… !い、今のも本気じゃなかったから、だよな ? |
ミリーナ | サンタさんは存在しているんですよ♪ね、エル♪ |
ティポ | でも意外と真面目な理由だったのに単なるプレゼント泥棒だと思われちゃって何だか笑っちゃうねー。 |
ミラ=マクスウェル | しかしエルを奪われる前にこちらで保護できたのはよかった。 |
ジュード | ルドガーたちが具現化されたのもやっぱりファントムが関わっていたのかな。特異鏡映点を生み出すために。 |
ユリウス | おそらくそうだろうな。 |
ユリウス | それより俺が気になるのは…俺に資料を寄越してきたエージェントの使者を名乗る人物だ。 |
ユリウス | いや、その使者自体は一般兵のようだったが恐らく資料の作成者は…エレンピオスを知っているはずだ。 |
ルドガー | そいつの資料で兄さんは、ティル・ナ・ノーグが独自の文化を形成したリーゼ・マクシア…分史世界と判断した…。 |
ミリーナ | 明鏡四水という過去を映し出す特殊な魔鏡もこの世界にはあります。 |
ミリーナ | 何かしらの方法でユリウスさんの過去を見られたりはしませんでしたか ? |
ユリウス | …どうだろうな。だが俺の知らない元の世界の情報も記載されていたことを考慮すると…。 |
ジュード | その資料の作成に関与したのはリーゼ・マクシアとエレンピオスを知る人物であることに間違いなさそうですね。 |
ユリウス | もしかしたら…あの研究者も関与してるのか…。 |
エル | あー、もー !はなしむずかし― ! |
エル | それより、サンタクロースとの約束は守らなくていいの ! ?プレゼントを回収してあげないと ! |
イクス | サンタクロース、か…。本当に伝説のサンタクロースと同一人物なのかな…。 |
ユリウス | …………。 |
ルドガー | 兄さん ? |
ユリウス | サンタの正体が何にせよ俺が邪魔をしてしまったことには違いない。 |
ユリウス | 俺が回収したプレゼントは救世軍のアジトに保管されている。行って取り返してくる。 |
ユリウス | だからルドガー、お前はエルとここに残れ。後は俺に任せろ。 |
ルドガー | な、なんだよそれ。 |
ユリウス | 自分がしてしまった責任は自分が取らなくてはな。お前を巻き込みたくはない。 |
ルドガー | けど……。 |
エル | イクスたちはメガネのおじさんを一人で行かせたりしないよね ? |
エル | イクスたちがついていくならエルとルドガーもイクスたちと一緒についていく。 |
ルドガー | …エル。ああ、そうだな。 |
ユリウス | まったく…。今回は、何を言っても無駄のようだな。 |
イクス | ユリウスさん。アジトまで案内をお願いします。 |
ユリウス | 俺はアジトがどこにあるかは知らない。なので派遣していた優秀なエージェントを紹介しよう。 |
ルル | ナァー♪ |
エル | あっ ! ルル ! ! |
ルドガー | ルルまでいたのか ! ? |
ユリウス | ルル…よくやってくれた。もう一仕事、アジトまで案内を頼む。 |
キャラクター | 8話【聖夜8 アジトに潜入】 |
エル | ルドガー ! そっちのプレゼントの回収はもう終わった ? |
ルドガー | ああ。 |
イクス | 俺たちも終わったよ。 |
ミラ=マクスウェル | こちらも完了した。 |
ルドガー | ……うん ? これは。 |
エル | もう、ルドガーってばなに石を拾ってるの ?ピンク色で綺麗なのはわかるけどはやくしないと救世軍にバレちゃうよ。 |
エリーゼ | 待ってください !それは…ピンクダイヤですよ ! |
ルドガー | …ピンクダイヤ ? |
ジュード | 特定の魔物をおびき寄せる効果のある特殊な宝石だよ。 |
ルドガー | えぇ… ! ? |
エル | ルドガー ! はやくそれ捨てて ! |
ジュード | あはは…以前、ピンクダイヤに群がる習性のある魔物は倒しきったから心配はないと思うよ。 |
ルドガー | ……はぁ。 |
エル | もう、そういうことは先に言ってよ。 |
ミラ=マクスウェル | だが…どうして救世軍のアジトにピンクダイヤがあるんだ。 |
ミリーナ | みんな ! あっちの方で煙が噴出しだしたわよ ! |
イクス | …毒ガスとかじゃないよな ! ? |
ユリウス | …待て。煙の中で何かが蠢いている。 |
エル | 魔物 ! ? しかもあんなにたくさん ! ? |
ジュード | まさか…ピンクダイヤを元に魔物をおびき寄せる特殊な煙幕を救世軍が開発していたのか。 |
エリーゼ | そ、そうかもしれません !あの煙幕…うっすらピンク色しています ! |
ユリウス | もう少し時間に余裕があると思ったが…。ルドガー、皆を連れて脱出しろ。 |
ルドガー | …兄さん、どこに行く気だ ? |
エル | もうプレゼントは回収したよ ? |
ユリウス | 念のために俺のバイタルデータを抹消しておきたい。 |
ユリウス | ないとは思うが…骸殻能力を魔鏡技術により再現されてはたまったものではないからな。 |
ルドガー | それなら俺も―― |
ユリウス | いいや。俺一人で十分だ。ここまで手を貸してくれて助かった。後のことは俺が―― |
エル | メガネのおじさん… ! |
ユリウス | な、なんだ ? |
エル | ルドガーが心配なのはわかるけどルドガーの話も聞いてあげて ! |
ルドガー | 兄さん。俺にも手伝わせてくれ。一人で、抱え込まないでほしい。 |
ユリウス | ……。 |
エル | メガネのおじさん、ルドガーけっこう役に立つよ !エルのことも守ってくれたときあるし。 |
ルドガー | …エルとはあのとき、約束もしたからな。それに俺が一応保護者役… |
エル | …ルドガー。 |
ルドガー | …じゃなくて、相棒、だな。 |
エル | そこ、間違えないでよね。 |
ユリウス | …お前たちは互いに支え合って進んできたんだな。 |
ユリウス | ……俺とは真逆だ。 |
エル | パパもいってた。一人じゃできないことも、みんなの力を借りたらできることあるって。 |
エル | メガネのおじさんも、ルドガーやエルを頼ればいいと思う ! |
ユリウス | ……ああ。そうだな。 |
イクス | それなら俺たちが魔物を引きつけておきます。 |
ミラ=マクスウェル | その間にルドガーたちでデータを消去して来い。 |
ジュード | 救世軍が戻ってくるかもしれないからなるべく早くね。 |
ユリウス | わかった。ルドガー、エル。行くとするか。 |
キャラクター | 9話【聖夜9 脱出】 |
ルドガー | 待たせた。 |
ユリウス | そっちは大丈夫だったか ? |
イクス | はい。何とか… !けど魔物をいくら倒してもきりがなくて…。 |
ミラ=マクスウェル | 救世軍も戻ってきた。来た道から脱出は難しいだろうな。 |
ミリーナ | 他に脱出経路を探すにしてもあちこちに魔物がいるわよね。 |
ユリウス | 強行突破という策もあるが…。 |
ルドガー | 兄さん。 |
ユリウス | ああ。わかっているよ。一人で背負い込もうとするな…だろ ? |
ルドガー | ああ。一緒に脱出するんだ。 |
ユリウス | しかし現実的にこの状況でどうするか――! ? |
ユリウス | みんな ! 伏せろ ! ! |
エル | な、なに ! ? 銃声 ! ? |
イクス | 銃 ! ?救世軍はそんなものまで持ってるのか ! ? |
ミリーナ | 早く逃げないと危険だわ。 |
ジュード | …待って。少し時間をちょうだい。 |
エリーゼ | ジュード ?辺りを見回してどうしたんですか ? |
ジュード | いまの銃声…反響の仕方がおかしかった。もしかしたら…どこか……。 |
ジュード | あった ! ミラ、ここの壁を砕いて ! |
ミラ=マクスウェル | ――ノーム ! |
エリーゼ | 空洞になってますよ ! |
ジュード | 風も感じる…。ここからなら脱出できるよ。 |
エル | ジュード、すごいじゃん ! |
ルドガー | 昔から観察眼はピカイチだったんだな。 |
ジュード | ありがとう。けど話は後にしよう。 |
ミリーナ | ええ。行きましょう。 |
? ? ? | さっすが優等生。俺からのクリスマス・プレゼント、受け取ってくれたみたいだな。 |
ジュード | …えっ ? |
ユリウス | どうかしたのか ? |
ジュード | 今、アルヴィンの――元の世界の仲間の声が聞こえた気がして…。 |
? ? ? | ふっ…。インチキ資料を渡した罪滅ぼしだ。メリー・クリスマ~ス♪ |
キャラクター | 10話【聖夜9 脱出】 |
ミリーナ | 後はこのプレゼントをサンタクロースに渡せばいいのよね。 |
エル | ルドガー、プレゼントは ? |
ルドガー | そこにまとめて―― |
イクス | ま、まぶしい―― |
? ? ? | ありがとう。おかげで助かったよ。良い子と私の後輩の鏡士たちに幸多からんことを ! |
ミリーナ | まぶしくてよく見えないけどあなたはまさか―― ! ? |
サンタクロース | そうじゃよ。ワシがサンタ・ビクエ・クロースじゃ。 |
イクス | そんな馬鹿な ! ?サンタクロースは大昔に―― |
サンタクロース | ワシがどうして今も存在を保っているのかはワシの口から語ることはできぬのじゃ。 |
サンタクロース | 今はクリスマスの幻だと思っていておくれ。ワシのことは内密にな。伝説は伝説のままがよいのじゃから。 |
サンタクロース | それからあの小さな良い子にワシからのプレゼントじゃ。 |
サンタクロース | きっとあの子とあの子の大切な人たちを幸せにしてくれるじゃろう。必ず渡しておくれ。 |
ミラ=マクスウェル | どうした、イクス、ミリーナ。ぼーっとしているようだが。 |
サンタクロース | メリークリスマス ! |
ユリウス | な、なんだ、今の声は ! ? |
ルドガー | あ、あれ ?回収したプレゼントが… ! ? |
エル | ウソ ! ? なくなってる ! ? |
ジュード | サンタクロースはもう、プレゼントを持っていったんだね。 |
エル | サンタクロースの魔鏡もなくなってる !エル、リュックにちゃんと入れてたのに ! |
ユリウス | 神出鬼没だな。 |
ミラ=マクスウェル | …結局、サンタクロースの正体はわからずじまいか。残念だ。 |
イクス | う、うん…。そ、そうだね。 |
ミリーナ | あっ…待って。サンタさんからエルにプレゼントを預かったのよ。 |
エル | エルのプレゼント ! ?見せて見せて ! |
エル | って、これトマト ! ?エル、トマト大っ嫌いなんですけど ! |
ユリウス | そうなのか ?トマト、旨いじゃないか。最高のプレゼントだ。 |
ルドガー | ああ。 |
エル | はぁ、エルもうくたくた。お腹もぺこぺこだよ。 |
イクス | そうだ。この後、ケリュケイオンでクリスマス会があるんです。よければルドガーさんたちも参加してください。 |
ルドガー | だったら俺にも料理を振る舞わせてくれ。新しい仲間へのクリスマスのプレゼントだ。 |
ユリウス | それなら俺も手伝おう。料理は得意じゃないが、せめてもの罪滅ぼしだ。 |
エル | え ! ? だったらエルも料理する !エルはルドガーのアイボーなんだからプレゼントだって一緒に用意したいよ。 |
ルドガー | そうだな。だったら、三人でやるか。 |
イクス | ありがとうございます。楽しみです ! |
ミリーナ | じゃあ私たちは一足先に戻ってクリスマス会の準備を進めておきましょう。 |
ミリーナ | ジュードたちは司会なんだから手順を確認しないとね。 |
ジュード | あ、そうだったね。行こう、みんな。 |
ミリーナ | エルも一緒に行きましょう。先に料理の準備をしなくちゃ。 |
エル | うん、わかった。 |
エル | ミリーナ。ルドガーたちにトマトの料理を作ってプレゼントしたいの。手伝ってくれる ? |
エル | エル、トマトのことわかんないし…。 |
ミリーナ | さっきのトマトを使うのね。わかったわ。任せて。内緒で驚かせてあげましょうね。 |
ルドガー | ……料理か。 |
ユリウス | そういえば久しくルドガーの料理も食べてないな。 |
ルドガー | それならトマト・ア・ラ・モードを作るよ。 |
ルドガー | トマト料理だけどエルの大好物なんだ。 |
ユリウス | ちゃんとプレゼントにもなるわけだな。俺も楽しみにしてるよ。 |
ユリウス | …それにしても妙な気分だ。この世界では…お前とこんな風に話せるんだな。 |
ルドガー | 兄さん…。 |
ユリウス | おかしなものだな。自由な時間が与えられた途端に、お前とどう話していいのか、何をしたらいいのか、見当も付かなくなった。 |
ルドガー | …いいんじゃないかな。これから俺と兄さんとエルとルル。みんなでゆっくり考えよう。 |
ルドガー | もしかしたら、これがサンタクロースからのプレゼントなのかも知れないな。 |
ユリウス | …そうだな。――少し冷えてきた。俺たちも行こうか。 |
ルドガー | ああ。エルが待ってるからな。 |
ユリウス | ああ、そうだ、ルドガー。お前に伝えたいことがある。 |
ルドガー | 何だ ? |
ユリウス | ……立派になったな。 |
ルドガー | ――な、何だよ急に…。 |
ユリウス | ――そうだな。いや…急に言いたくなっただけだ。 |
ルドガー | …そうか。 |
ルドガー | …えっと…そう言えばクリスマスにはこんな挨拶でお祝いするらしいんだ。――メリークリスマス、兄さん。 |
ユリウス | …メリークリスマス、ルドガー。 |