キャラクター | 1話【夏の思い出1 ビーチバレー】 |
レイア | うーん、絶好調 !このままどんどん行くよ、ミラ ! |
ミラ=マクスウェル | ああ、もちろんだ。 |
ジュード | くっ、やっぱり手強いね、ミラたちは。 |
ティポ | ぼくたちだって負けてないよー ! |
エリーゼ | そうですジュード !弱気になってはいけません ! |
コーキス | おーい、ジュード様たちー。飲み物の差し入れ持ってきたぞー。 |
ミリーナ | 日差しも強くなってきたし休憩にしましょう。 |
ジュード | ありがとう二人とも。そうだね、少し休んでからまたやろっか。 |
レイア | ええ~、せっかく良いところだったのに~。 |
ミラ=マクスウェル | いや、レイアのスパイクの高さが少々低くなってきていたところだ。体力を回復させるためにも、休息は必要だろう。 |
ミリーナ | みんな、ビーチバレーをやっていたのね。 |
ティポ | ぼくもエリーゼやジュードと一緒にがんばったんだよー。 |
コーキス | えっ、それって反則じゃね ? |
レイア | へへーん、ティポという飛び道具があったってわたしたちが優勢だったけどね。 |
エリーゼ | 次は負けませんからね、レイア。 |
セネル | おっ、楽しんでるみたいだな。 |
ミリーナ | セネル。それにシャーリィとクロエもお疲れ様。頼んでいた海の様子の調査、どうだった ? |
クロエ | 今日も変わらず海は穏やかなままだ。水難事故の心配もないだろう。 |
セネル | ライフセーバーの仕事がなくなったわけじゃないが、精霊の一件から、だいぶ落ち着きを取り戻したな。 |
シャーリィ | それよりも、ロゼさんのお店の方がお客さんで賑わってて、大変かもしれないね。 |
レイア | そうなの ? 良かったらわたしたちも手伝いに行こうか ? |
シャーリィ | ありがとうございます。でも、今日はわたしたちが当番の日ですからレイアさんたちは自由に過ごしてくださいね。 |
セネル | でも、こうして浜辺にジュードたちがいてくれるから正直助かるよ。俺たちも安心して店を手伝えるしな。 |
ジュード | 暑さで体調を崩す人もいるだろうし応急処置が必要なことがあったらいつでも声をかけてね。 |
ティポ | ジュードー。ぼくが砂蒸しになってたら助けてねー。 |
ジュード | それは自信ないから砂に潜らないでね。 |
ミラ=マクスウェル | しかし、人はこうして海を満喫するのだな。みな私たちと同じように楽しそうな表情をしている。 |
レイア | わたしたちが笑顔になれるのもミリーナの用意してくれた水着のおかげだね ! |
エリーゼ | はい、とっても可愛い水着です。 |
ミリーナ | ありがとう、二人とも。ふふっ、私もみんなが喜んでくれて嬉しいわ。 |
ミラ=マクスウェル | 動きやすいし、着心地も実に見事だ。海だけでなく、普段からこの格好で過ごしても良いかもしれないな。 |
ジュード | ええっ ! ! だっ、駄目だからねミラ ! ? |
レイア | ジュード、反応が大袈裟すぎ……。 |
レイア | あーあ、アルヴィンも来れば良かったのにね。 |
ジュード | あんまり乗り気じゃなかったからね、アルヴィン。 |
レイア | 『俺はもう海ではしゃぐようなガキじゃねーんだよ』って、それじゃあわたしたちが子供みたいじゃん ! |
ジュード | でも、もしかしたら気が変わって来てくれるかも。アルヴィン、たまにそういうところあるし。 |
ミリーナ | そうね、アルヴィンさんが来たら水着も用意しなきゃね。 |
コーキス | ミリーナ様、ジュード様たちと一緒にビーチバレーをしたらどうですか ?たまには息抜きも必要ですよ。 |
ティポ | それなら、シャーリィたちも一緒に遊ぼうよー ! |
レイア | そうだよ、みんなでやろうよ !ビーチバレー !今は休憩中なんだよね ? |
クロエ | 誘いは嬉しいんだが、もうすぐ休憩時間が終わってしまうんだ。 |
シャーリィ | ロゼさんにはみなさんに会ってすぐに戻るって伝えてしまっているので……。 |
ミラ=マクスウェル | そうか、そういうことなら仕方ないな。 |
エリーゼ | 残念です……。 |
セネル | よかったらまた今度混ぜてやってくれ。それじゃ、俺たちは仕事に戻るよ。 |
クロエ | また忙しくなるぞ、シャーリィ。気合を入れていこう。 |
シャーリィ | ふふっ、すっかり水着姿で働くことに抵抗がなくなったね、クロエ。 |
クロエ | シャーリィ ! ?せ、せっかく忘れていたのに……。 |
レイア | ……って、わたしたちも動きっぱなしだったから、お腹すいてきちゃったね。 |
ミリーナ | それじゃあ、お昼ご飯にしましょうか。露店もいっぱい出店してるみたいだしお昼も一緒に済ませちゃいましょうよ。 |
ティポ | さんせー。 |
ミラ=マクスウェル | ふむ、これは中々の活気だな。 |
エリーゼ | こんなにお店がいっぱいあったら迷っちゃいます。 |
コーキス | おっ、この店の焼きそば美味そうだな !ん ? でも、なんか普通の焼きそばとは違う匂いのような……。 |
店主 | はい、いらっしゃい !どうだ兄ちゃんたち、うちの自慢のフルーツ焼きそば食っていくか ? |
店主 | うちで獲れた果物を配合して完成させたオリジナルソースを使った焼きそばだ ! |
店主 | ソースだけじゃなくて、ちゃんと果実も丸ごとたっぷり入ってるから食べごたえがある逸品だぜ ? |
レイア | ねぇねぇ、これみんなで食べようよ !フルーツと焼きそば、美味しいもの二つ同時に食べられるんだよ ! |
ジュード | この世界にまで来てこれに出会うなんて……。ミリーナたちの口に合うかなぁ。 |
ミリーナ | なんだか、浜辺が騒がしいわね。 |
ティポ | いっぱい人がこっちに来てるみたいー。 |
海水浴場の客 | 大変だ ! 海から魔物が次々と現れているらしいぞ ! |
レイア | 大変 !ジュード、わたしたちも ! |
ジュード | うん、みんな、行くよ ! |
キャラクター | 2話【夏の思い出1 ビーチバレー】 |
コーキス | よし、ここにいた魔物たちは全部倒せたな ! |
エリーゼ | どうして急に魔物が海から出てきたんでしょうか……。 |
ミラ=マクスウェル | どうやらこの浜辺一帯に被害が広がっているようだ。一度セネルたちと合流するべきだな。 |
レイア | まだあっちのほうで声がするよ。行ってみよう。 |
? ? ? | ――フンッ ! |
セネル | あんた、相当な腕の持ち主だな。おかげで助かったよ。 |
ミリーナ | いたわ ! セネル……とあの人は ? |
セネル | ミリーナたちか。丁度良かった。突然海から魔物が大量に押し寄せてきたんだがこの人が手を貸してくれたんだ。 |
セネル | シャーリィやクロエにも協力してもらってるが……。どうした、ジュード ? |
ジュード | そんな ! どうして……。 |
ミラ=マクスウェル | ガイアス !お前もこの世界に来ていたのか ! |
ガイアス | ……ほう、まさかこんなところでお前たちと出会うとはな。もしや、ルドガーたちも一緒なのか ? |
レイア | えっ ! ? なんでガイアスがルドガーのこと知ってるの ? |
ガイアス | いや、待て……お前たちの姿……。確かに俺の知るジュードたちで間違いがないようだが……そうか。 |
ジュード | ガイアス…… ? |
ミリーナ | ねぇ、ジュード。あの人はジュードたちの知り合いなのよね ?もしかして、はぐれ鏡映点の人なんじゃ……。 |
? ? ? | ミラ ! やっぱりあなたもここに居たのね ! ! |
ミラ=マクスウェル | ミュゼ ! お前までここに ! |
ミュゼ | いや~ん ! やっと会えたわミラ ! |
ミラ=マクスウェル | なっ、ミュゼ !なぜ急に私に抱きつこうとするっ ! ? |
エリーゼ | えっ、ミュゼ……ですよね ? |
ティポ | なんかぼくたちの知ってるミュゼとちがうー。 |
レイア | 本当にガイアスとミュゼ……なんだよね ? |
村の若者 | アーさん ! ミュゼの姐さん !ここに居たんっすね ! |
ガイアス | お前か……他のやつらはどうした ? |
村の若者 | はい、アーさんに言われた通り客をロゼの姐さんの店まで誘導してきました !店を避難所にしてくれるなんて頼もしいっす ! |
セネル | そうか、客の混乱が少ないと思っていたがあんたたちが手を回してくれていたのか。 |
ガイアス | ジュード、俺たちのことはまた詳しく話す。その前にお前たちが知っている情報を教えてもらおう。 |
ガイアス | そこの女、“はぐれ鏡映点”と言ったな ?もしや、俺たちが知らぬ間にこの土地にいたことと何か関係があるのか ? |
ミリーナ | ガイアスさんにミュゼさん、ですね。お二人はおそらくジュードさんたちと同じ鏡映点という存在になるんだと思います。 |
ミリーナ | 少し長くなりますが、ご説明しますね。 |
ミュゼ | ……ということは、私たちはこの世界に具現化された存在ってことなのね ? |
ガイアス | それに、ルドガーだけでなくエルやユリウスまでお前たちのところにいるのか。 |
ジュード | うん。それに、ローエンは無事だけど救世軍にいるらしくって……。まだ会えてないんだ。 |
ガイアス | ローエンのことは少々気がかりだがそちらは救世軍、とやらに任せるのが賢明か……。 |
ガイアス | ミリーナ、もう一度問うが俺たちは元の世界には帰れないということでいいんだな ? |
ミリーナ | ええ、そうなります。お二人を巻き込んでしまったこと本当に申し訳ありません……。 |
ミュゼ | まぁ、そういうことなら仕方ないわね♪ |
コーキス | えっ、そんなにあっさりした感じでいいのか ? |
ミュゼ | だって、帰れないのにグダグダ言っても仕方ないじゃない。それに、ここにはミラたちもいるんだから何も問題ないわ ! |
ミラ=マクスウェル | ミュゼ……。いい加減、もう少し私から離れてくれないか ? |
ジュード | ガイアスはルドガーたちのことを知っているんだよね ? もしかして、今のガイアスは僕たちより未来の……。 |
ガイアス | どうやらそのようだな。お前たちにとって、俺とミュゼは未だ敵対する相手ということか。 |
ガイアス | だが、ジュード。俺たちが今いる世界はリーゼ・マクシアでもエレンピオスでもなくティル・ナ・ノーグという世界のようだ。 |
ガイアス | 俺はこの世界でお前と戦う理由がない。もちろん、ミュゼも同じことを言うだろう。 |
ミュゼ | そうそう。昔のことは忘れて、仲良くしましょ。私たち、一緒に苦楽を共にした仲間じゃない♪ |
エリーゼ | えっ ! ミュゼがわたしたちの仲間 ! ? |
ガイアス | ミュゼ。これ以上はジュードたちに未来のことを話すな。少なくとも今は……な。 |
セネル | 色々とあんたたちにも事情があるみたいだが俺としては魔物の被害を食い止めるためにも二人にはこのまま協力してもらえると助かる。 |
ガイアス | ……良かろう。俺も乗りかかった船だ。ならば、まずは迅速に今回の騒動を収める。ジュード、お前も協力してくれるな ? |
ジュード | うん、それはもちろんだけど……。 |
セネル | さっき、観光で来ていた奴らの話では俺とガイアスで倒した赤色の魔物は東の洞窟に生息している魔物らしい。 |
レイア | ん ? ちょっと待って ?わたしたちの倒した魔物の色って青色の魔物だったよね ? |
村の若者 | そいつは西の洞窟の魔物っすね。ここらへんの魔物は特殊で、東の洞窟と西の洞窟で生息してる魔物の色が違うんす。 |
村の若者 | でも、どっちの洞窟の魔物も大人しくて人間が住んでるところには近寄らないって聞いたことがあるっす。 |
レイア | 普段は大人しいはずの魔物が襲ってくるなんて……絶対何かあるよ ! |
ミリーナ | もしかして、ウンディーネのときの影響がまだ残っているのかしら ? |
ミラ=マクスウェル | いや、ウンディーネが関わっているのなら私も精霊の気配を感じるはずだ。今回の騒動とウンディーネは無関係だろう。 |
ミリーナ | それなら、洞窟でなにかあって大人しかった魔物がこっちに来るようになったとか ? |
ジュード | どっちの洞窟にも、一度行ったほうが良さそうだね。 |
セネル | それなら浜辺に魔物が来たら対応できるようこっちはクロエたちにも警備を手伝ってもらうよ。 |
セネル | 原因が分からない以上また魔物が来るかもしれないからな。 |
ガイアス | ……ん、ここに落ちているものは何かの破片か ? |
エリーゼ | あっ、それに似た石の破片さっき見つけました。色違いですけど……。 |
ティポ | 倒した魔物から出てきたっぽいよー。 |
村の若者 | こんな色をした石の破片、見たことないっすよ。魔物から出てきたっていうのも、なんだか気味が悪いっすね……。 |
セネル | 普段は大人しい魔物だったってことはこの石の破片、魔物の異変に関係があるんじゃないか ? |
ミリーナ | そうね。念のためアジトに戻って、この破片をキール研究室のみんなに調べてもらいましょうか。 |
セネル | なら、俺たちが持っていくよ。 |
ミリーナ | ありがとう、セネル。それじゃあ、お願いね。 |
ミュゼ | う~ん、私には綺麗な石の破片にしか見えないわ。 |
ミュゼ | エルに渡してあげたら喜びそうなものだけど……。 |
ジュード | ミュゼ、本当にルドガーや僕たちと仲間だったのかな……。 |
レイア | 急には信じられないよね……そんなこと言われても……。 |
ジュード | うん……。でも、村の人たちには信頼されてるみたいだし。ガイアスも、弱い立場の人を助けたいっていう信念の人だったんだ。 |
ジュード | 様子を見つつ……、今は、目の前の問題解決に集中しよう。 |
ミリーナ | それじゃあ、私たちは二手に分かれて東と西の洞窟の調査をしましょう。 |
キャラクター | 3話【夏の思い出2 魔物の調査】 |
ルドガー | まさか、ガイアスたちともこうして再会できるなんてな。 |
エル | 王様ー。元気だった ? |
ガイアス | ああ、それなりにな。お前たちの方はすっかりこの世界に馴染んでいるようだな。 |
ジュード | …………。 |
エル | 王様いない時もエル頑張ってたよ !さっきまでルドガーと一緒にロゼのお店のお手伝いもしてたし ! |
ルドガー | そこで、浜辺で魔物を倒してる長身で黒コートの男がいるって聞いたんだ。 |
ルドガー | おまけに空を飛ぶ羽の生えた女性もいるっていうしもしかしたら……って思って駆け付けたんだよ。 |
エル | やっぱり王様とミュゼのことだったんだね ! |
コーキス | なぁなぁエル様。ガイアス様のことなんで王様って呼ぶんだ ? |
エル | だって、王様は王様だからだよ。 |
エル | エルは元の世界ではひろーいジンミャクを持っていたからね。それで王様とも知り合いになったんだよ♪ |
ルドガー | エルのやつ、また調子良いことばっかり言ってるな……。 |
ジュード | それじゃあ、やっぱりルドガーたちはガイアスやミュゼと一緒に旅をしていたんだね。 |
ルドガー | ……そうか、今のジュードたちは知らないんだな。 |
ジュード | うん……。すごく仲が良いんだね。びっくりしたよ。 |
ガイアス | 戸惑うのも無理はない。だが、今ここにいるのはお前の知るガイアスとは違う。 |
ガイアス | ここにいるのはティル・ナ・ノーグのガイアスだ。お前に刃を向けるつもりはない。少なくとも、今はな。 |
ジュード | ガイアス……。 |
ルドガー | 安心しろ、ジュード。ガイアスが何かして来たら俺がジュードを守るからな。 |
ジュード | ありがとう、ルドガー。ちょっと慣れるのには時間かかりそうだけど、ね。 |
ルドガー | ところで、俺はまだ聞いてなかったんだけどガイアスとミュゼは二人一緒にこの世界に来たのか ? |
ガイアス | そうだ。気が付いたら見慣れない土地にいたので、分史世界に迷い込んでしまったかと思いまずは情報を集めることにしたのだ。 |
ガイアス | だが、聞き込みをしていた村で少々やっかいなことに巻き込まれた。 |
エル | やっかいなこと ? |
ガイアス | その村で育てている農作物が魔物の被害に遭ったという話を聞いてな。俺とミュゼで魔物の討伐を引き受けたのだ。 |
ガイアス | この土地に来て一文無しの俺たちにも村人たちは食事と宿を用意してくれた。その謝礼のつもりだったのだが……。 |
コーキス | ん ? どうしたんだよ、ガイアス様 ? |
ガイアス | いや……、魔物を討伐したのはいいが今度は俺たちに何か恩返しがしたいと村人たちから懇願されたのだ。 |
エル | さっすが王様 ! こっちに来てもジンボーあるんだね。 |
ガイアス | そこであいつらが考えた恩返しというのが最近賑わっている海水浴場に俺とミュゼを連れていくという計画だったのだ。 |
ガイアス | 断る理由もなかったので同行したがまさかお前たちに会えるとはな。 |
ルドガー | ははっ、ガイアスらしい話だな。 |
コーキス | そういや、ガイアス様と一緒にいた奴がガイアス様のこと、“アーさん”って呼んでたよな ?あれって、あだ名なのか ? |
ジュード | ああ、そういえばそう呼ばれてたね。“ガイアス”で“アーさん”ってこと ? |
ガイアス | いや、俺はあの村では“アースト・アウトウェイ”と名乗っていたのだ。 |
ガイアス | 市井を観察するときは、世界が違おうとも“遊び人のアースト”として行動すると決めている。 |
ルドガー | えっ ? そのこだわりはここでは必要ないんじゃ……。 |
エル | 王様の方がカッコイイのにー。 |
ガイアス | とにかく、今はなぜ魔物が俺たちのいた砂浜まで来たのか、その原因の究明が優先だ。 |
ジュード | そうだね、僕たちに気づいて魔物も襲ってくるだろうし気を引き締めていこう。 |
エル | それじゃあ、エルはみんなが倒した魔物が落とすキレーな石の破片を集めておくね。 |
ジュード | …………。 |
ガイアス | ジュード、やはりお前もあの石の破片が気になるのか ? |
ジュード | えっ ! ? うっ、うん……。なにか、今回の件と関わっているような気がして……。 |
ガイアス | 俺も同意見だが今の段階で判断するのは早計だ。 |
ガイアス | 俺たちの疑問を解明するためにも奥へ進むべきだろうな。 |
ジュード | そう……だね。セネルたちも待ってくれてるし僕たちは早く原因を突き止めなきゃね。 |
キャラクター | 4話【夏の思い出3 東の洞窟 調査1】 |
ミリーナ | ミュゼさんはミラのお姉さんなのね。ミラも素敵だけど、ミュゼさんも素敵だわ。 |
ミュゼ | うふふ、ミリーナ、だったわね。なんていい子なの ?素直に褒めてくれる人間は好きよ。 |
ミュゼ | ミラも私に対して、ミリーナくらい正直になってくれても良いのよ ? |
ミラ=マクスウェル | 正直もなにも、私はいつも通りに振る舞っているだけだが……。 |
ミュゼ | もう、元の世界ではお姉ちゃんお姉ちゃんって慕ってくれたじゃない。 |
ミラ=マクスウェル | そう……なのか ?すまない、覚えがなくてな。 |
ミュゼ | ふふっ、やっぱりミラって可愛いんだから♪ |
レイア | ……ねぇ、エリーゼ。やっぱりわたしたちの知ってるミュゼと全然違うわよね ? |
エリーゼ | ええ、かなり違います。ミュゼはもっとこう、近寄りがたい雰囲気がありました。 |
ミュゼ | あら、近寄りがたい美人なんて♪ |
二人 | ! ! |
ミュゼ | 私、耳が良いから聴こえちゃうのよ。内緒で褒めてくれても筒抜けなの♪ |
ティポ | ミュゼのじごく耳ー ! |
ミュゼ | ついでに言うとこの先は魔物がいっぱいいるわね。鳴き声が聞こえるもの。 |
ミュゼ | 私がいれば大丈夫でしょうけど念のため、気を付けて先に進みましょう。 |
レイア | ミュゼ、わたしたちのことを守ってくれようと…… ? |
ミュゼ | 当たり前でしょ。あなたたちはミラの大切な仲間なんだもの。 |
ミュゼ | ミラも、あまりよそよそしくしないで。いつも通り甘えてくれていいんだから。 |
ミラ=マクスウェル | そのいつも通り……というのがわからないのだが、その優しさには感謝するよ。 |
ミュゼ | ミラ……。 |
ミリーナ | ……私は元の世界でミラたちとミュゼさんの間に何があったのかは知らないけれどお互い無理をするのはよくないと思うの。 |
ミリーナ | お互いの認識にズレがあるなら、今から少しずつ時間をかけて仲良くなっていけばいいんじゃないかしら ? |
レイア | 正直に言うとね、わたしはまだ、ミュゼのことをちょっと怖いなって思うんだ。 |
レイア | でも……以前にわたしたちに近づいて来た時とは違うのはわかるよ。これが、本来のミュゼなのかもって。 |
エリーゼ | わたしも、そんな気がしてきました。悪い人……いえ、悪い精霊ではないような……。 |
ミラ=マクスウェル | 今は、一時休戦だな。共に協力しなければならない。 |
ミリーナ | 魔物のことを調べるためにもみんなで力を合わせていきましょう。 |
ティポ | もしまた悪さしようとしたらぼくが許さないからねー ! |
ミラ=マクスウェル | ……ジュードたちに後れを取らぬよう私たちも先を急ごう。 |
レイア | あっ、ちょっと待って、ミラ。わたしも ! |
エリーゼ | ティポ、わたしたちも行きますよ。 |
ティポ | よーし、ぼくもがんばっちゃうよー ! |
ミリーナ | ミュゼさん、私にはわからないこともあるけれど二人が仲良くなれるように、何かお手伝いできることがあれば言ってくださいね。 |
ミュゼ | 本当 ! ? ありがとう、ミリーナ。あなたのこと、ますます気に入ったわ♪ |
ミュゼ | でも、私を使役するのはもう少し仲良くなってからかしら ? |
ミリーナ | えっ ? 使役って何ですか、ミュゼさん ? |
ミュゼ | うふふ、純粋なあなたにはちょっと刺激が強いお話かもね♪ |
キャラクター | 5話【夏の思い出4 西の洞窟 調査1】 |
コーキス | ガイアス様すげーな。あれだけ戦ってるのに汗ひとつかいてねぇや。 |
コーキス | ルドガー様たちとのコンビネーションも息ぴったりじゃん。 |
ガイアス | どうやら、お前たちの腕が鈍っているということはなさそうだな。 |
ガイアス | それに、コーキス。お前もなかなかの腕前のようだ。太刀筋も悪くない。 |
コーキス | マジかよ ! へへっ、やったぜ !クレス道場で鍛えた成果かな ! |
エル | やったねコーキス。レイアも王様に認めてもらえるのは凄いことだって言ってたよ。 |
ジュード | それにしても、魔物の数が多いね。僕たちを見るとすぐに襲い掛かってくるし。 |
ルドガー | でも、俺たちの姿を見て逃げていく魔物も何匹かいたよな ? |
エル | うん、ササァーと逃げていっちゃったね。コーキスが追いかけて倒してくれた魔物もいたけど。 |
コーキス | でも、ちょっと不思議なんだよな。 |
ガイアス | 何がだ ? |
コーキス | 俺が逃げていく魔物を倒しても石の破片は出てこないんだ。 |
エル | えっ、そうなの ?ジュードたちが倒す魔物からはいーっぱい破片が出てくるよ ? |
ガイアス | ……ジュード、ルドガー。お前たちは何か気付いたか ? |
ジュード | えっと、僕は向かってくる魔物しか相手にしてなかったけど……。 |
ルドガー | 俺も何匹か逃げていく魔物を倒したけど破片のことは気にしてなかったな。 |
ジュード | 話を総合すると、セネルが言ってたようにこの破片が魔物に何か影響を与えているのかもしれないね。 |
ガイアス | ふむ、ならばその破片が自然物なのかそれとも人工的に作られたものなのかも突き止める必要があるな。 |
エル | どうして ? |
ジュード | もし人工物なら……誰かがわざと魔物に影響を与えるような破片を作ったかもしれないってことだよね。 |
ルドガー | そうだとしたら、一体、何のために……。 |
コーキス | ん ? この先は地底湖になってるのか。でも、ここが最深部っぽいし、調べてなにもなかったら一度戻ってミリーナ様と合流したほうがいいかもな。 |
エル | あっ、湖の近くに何かあるよ ?木箱みたいなものがいっぱい。エル、ちょっと見てくる ! |
ジュード | ! !エル ! 止まって ! |
ルドガー | 魔物 ! ?湖の中にいたのか ! ?それもかなりの数だ ! |
コーキス | ああっ、くそ ! こうなりゃ一気に片付けてやるぜ ! |
キャラクター | 6話【夏の思い出5 東の洞窟 調査2】 |
ミリーナ | みんな、大丈夫だった ? |
エリーゼ | いきなり湖から魔物が出てきましたね。 |
ティポ | びっくりしたー ! |
レイア | でも、今ので一通りやっつけたよね。はぁー、疲れた。 |
ミラ=マクスウェル | なにやら、あそこで魔物が何か食べていたように見えたが。 |
エリーゼ | なんでしょう、これ ? |
ミリーナ | これって、貨物とかに使われている木箱じゃないかしら ? |
レイア | あー、確かにロゼたちが運んでるのを見たことがあるかも。 |
エリーゼ | 皆さん、これ、見てください ! ! |
ミリーナ | 石の破片だわ ! ? |
レイア | もしかして、この石って魔物を倒したときに出てきてたやつじゃない ? |
ミュゼ | でも、この石の破片は真っ黒よ ?触った感じは似てるけど……色が全然違うわ。 |
ミラ=マクスウェル | だが、無関係だとは考えにくい。 |
ミリーナ | そうね、魔物に荒らされてる跡もあるし本当はもっとこの中に破片があったんじゃないかしら ? |
ミラ=マクスウェル | 木箱に入っているということは何者かの手でここに運ばれたということか ? |
レイア | 貨物船とかの漂流物かもしれないよ ? |
ミリーナ | いいえ、漂流物だとしたら少しくらいは木箱に海藻が付着していてもいいはず。なのに、この木箱には全く海藻が付いていないわ。 |
ミラ=マクスウェル | 魔物から出てくる破片の色が変化していたのはおそらく摂取したのち、体内で変色したからだろう。 |
レイア | だとしたら、この黒い石の破片も持ち帰って調べたほうがいいよね。 |
エリーゼ | この破片を食べたせいでお腹が痛くなっちゃったんじゃないでしょうか。 |
ティポ | それで暴れていたのかもー ! |
ミラ=マクスウェル | その割には私たちを狙って来ていたようだが……。 |
ミリーナ | 一度、セネルたちのところに戻りましょう。もしかしたら、キール研究室のみんなが破片について調べ終わってるかもしれないわ。 |
ミュゼ | こんな固くて真っ黒な石の破片を食べなくてももっと美味しい食べ物なんていくらでもあるのにね ?私だったら絶対に食べないわ。 |
ミラ=マクスウェル | ミュゼも精霊なのに人間の食べ物を嗜むのだな。 |
ミュゼ | ええ、そうよ。あなたに教えてもらった楽しみなのよ。 |
ミュゼ | でもこっちに来てからジュードやルドガーがいなくて困ったわ。みんなの手料理が食べられなくて……。 |
ミュゼ | パレンジの実すら食べてないのよ。ハ・ミルの村が恋しいわ。 |
ミラ=マクスウェル | 私が、ミュゼに……。 |
ミュゼ | 本当に私との思い出がなくなってしまったのね。仕方がないことだけど、さみしいわ。 |
レイア | パレンジの実で思い出したけどわたしたち、まだお昼ご飯食べてない ! |
レイア | あーあ、意識したら余計にお腹すいてきちゃったよ。 |
ミリーナ | それじゃあ、帰って落ち着いたらみんなでご飯にしましょう。 |
レイア | ジュードたちも帰ってるかなー。食べ損ねたフルーツ焼きそば一緒に食べたかったけど……。 |
ミリーナ | おそらくだけど、あの騒動の中で営業を続けることはできないと思うわ。 |
ミリーナ | 露店の営業も再開してもらうためにも私たちも頑張りましょう。 |
ミュゼ | ……ねぇ、ミラ。ミリーナたちが言ってるフルーツ焼きそばって……こっちにもあるの ? |
ミラ=マクスウェル | ああ、浜辺の露店にな。レイアの大好物らしいが、魔物が浜辺に出たせいで食べ損ねてしまったんだ。 |
ミラ=マクスウェル | 私も興味があったので、残念だったよ。 |
ミュゼ | ふーん、そんなことがあったのね。 |
ミュゼ | ……ふふっ。 |
ミュゼ | ミラに褒めてもらえることみつけちゃったかも♪ |
キャラクター | 7話【夏の思い出6 西の洞窟 調査2】 |
ジュード | とりあえず、あの洞窟に残っていた真っ黒な石の破片は持って帰って来たけど……。 |
ルドガー | キール研究室に行けば兄さんもいるし魔物から出てきた破片と一緒の物か調べてもらおう。 |
エル | キレーな石だからもったいないけど……でも、ちゃんとエルが集めた石の破片も全部ユリウスに渡すからね。 |
ガイアス | 正しき判断だ。さすがエルだな。 |
コーキス | なんか、ガイアス様って、ちょっとエル様には甘いような気がするんだけど、気のせいか ? |
ルドガー | ははっ、多分、気のせいじゃないよ。困ったもんだよな。 |
レイア | あっ、おーい、こっちこっち ! |
ジュード | みんなも帰ってきてたんだね。 |
ミラ=マクスウェル | ああ、私たちも先ほど帰ってきたところだ。それで、こちらの調査なのだが少々不審な物を発見した……ティポ。 |
ティポ | 任せてー。おえええー。 |
コーキス | ちょ ! ティポ様 ! なに急に吐き出して……。って、これって黒い石の破片 ! ? |
ガイアス | ということは、お前たちが向かった洞窟にも不審な貨物が置かれていたのか ? |
ミリーナ | そっちの洞窟にも、私たちと同じように木箱に入った石があったの ? |
レイア | 違う場所で同じような状況ってことはやっぱり今回の魔物の騒動にはこの石の破片が関係してるってことだね。 |
ユリウス | ルドガー、エル ! |
ルドガー | 兄さん ! ? |
ユリウス | お前たちに頼まれた破片の分析結果を伝えに来たんだ。それに……。 |
ユリウス | 本当に……ガイアス王やミュゼもこちらの世界で具現化していたんだな。 |
ミュゼ | ええ、あなたもね、ユリウス。なんだか、新鮮な光景だわ。 |
ガイアス | ミュゼ、色々聞きたいこともあるだろうが話は後だ。 |
ガイアス | ユリウス、その破片の分析結果を聞かせてくれ。 |
ユリウス | ああ、この石の破片には魔物を凶暴化させる性質があるようだ。 |
ジュード | やっぱり……。普段大人しい魔物が人々を襲ってきたのはこれのせいだったんだね。 |
ユリウス | ルドガー。東西どちらの洞窟も、魔物が木箱を守っていた、と言ったな ? |
ルドガー | ああ。それに、両方の木箱からは黒い石の破片が出てきた。 |
ジュード | 状況から言って、赤い石も青い石も、元はこの黒い石と同じじゃないかって思ったんだけど……。 |
ユリウス | ジュードの言う通り、どの石の破片も、構成される元素は同じものだった。同じ鉱石、と言っていいだろう。 |
ユリウス | 色が違うのは、それぞれの魔物に取り込まれた段階で中にある……っと、これは今は関係ないな。 |
エル | やっぱり、赤いのも青いのも、同じ石なんだ。でも、石なんておいしくないよね ?なんで食べてたんだろ。 |
ルドガー | うーん、人間にはわからない、魔物にとって魅力的な何かがあるんだろうな。 |
ユリウス | その辺りの理由はまだ調査中だが他にもわかったことがある。 |
ユリウス | この石の破片を摂取した魔物は、同じ性質の石に引き寄せられる習性を持ってしまうようなんだ。 |
ユリウス | 石の大きさにも影響するようでより石の破片が大きくなれば、その効果は強くなる。 |
コーキス | じゃあ、魔物がこの浜辺に集まってくるのはその黒い石のデッカいバージョンが浜辺のどこかにあるってことなのか ! ? |
ユリウス | 恐らくそうだろうな。大きさは……そうだな。少なくとも、ティポ以上の大きさはあると考えてくれ。 |
エリーゼ | 結構、大きいんですね。 |
ユリウス | もちろん、それ以上の大きさであることも考えられる。 |
コーキス | それだけデカい石ならすぐに見つけられそうだな。 |
レイア | よし、早速探しに行こうよ ! |
ルドガー | 俺とエルはロゼの店に行ってみるよ。避難所になってるから、人も集まってるだろうし。誰かその大きい石に心当たりがあるかもしれない。 |
ガイアス | そうだな。では、ジュードたちは露店広場の方に行ってみてくれ。手分けした方がいいだろう。 |
ジュード | うん、そうだね。任せて ! |
ガイアス | よし、皆急げ ! ! |
キャラクター | 8話【夏の思い出9 海水浴場の調査】 |
レイア | ……見つからないね、石の塊。ミラたちには浜辺に残ってもらったけど……二人じゃ探すの大変だったかな。 |
ジュード | 仕方ないよ。また魔物が出た時のために誰かにいてもらう必要があったんだし。 |
ジュード | ここは人通り多かったし、大きい石があれば目立つと思うんだけどなぁ。そろそろ、他の所に探しに行った方がいいかもね。 |
レイア | 人通りが多い場所……か。 |
ジュード | どうしたの、レイア ? |
レイア | いや、ついさっきまでここには沢山の人がいたのにさ……。 |
レイア | みんな魔物騒ぎで避難してるから当然だけど、閑散としている様子を見ると、ちょっと悲しくなっちゃって。 |
ジュード | レイア……。大丈夫だよ。魔物が来ないようになったらきっとまたみんな集まってくれるよ。 |
ジュード | そうなったら、ロゼの店も忙しくなるし僕たちも頑張らなきゃいけないね。 |
レイア | ジュード……うん、そうだよね !よーし、またお父さんとお母さんに叩き込まれた接客術を披露しなきゃね ! |
店主 | ……なんだよ、兄ちゃんたちまだここにいたのか ? |
ジュード | あれ、あなたは……。 |
店主 | ここでフルーツ焼きそば売ってた店主だよ。店が心配で戻って来たんだが……。 |
ジュード | ああ、そう言えば見覚えがあります。でも、ここは危険で……。 |
ミュゼ | ジュードー、レイア―。ミラたちにジュードたちの様子を見に行くよう頼まれたんだけど……。 |
ミュゼ | あら、この人は ?ジュードたちの知り合いなの ? |
レイア | 知り合いってわけじゃないけどフルーツ焼きそばの露店を出してた店主さんだよ。 |
ミュゼ | あら、フルーツ焼きそばの ! ? |
ミュゼ | ちょうど良かったわ。あなた、フルーツ焼きそばを作ってくれないかしら ? |
店主 | はぁ ! ? 今からか ! ? |
ミュゼ | ええ、ミラが食べたいって言ってたの。お願いできない ? |
レイア | 駄目だよミュゼ。この人にも今すぐに安全なところに避難してもらわなきゃいけないから。 |
ミュゼ | 嫌よ。だってミラに今すぐ食べてもらいたいんだもの。もちろん、私がミラに褒めてもらうためにね♪ |
レイア | ……ジュード、どうしよう ? |
ジュード | どうしようって言われても……。やっぱり僕たちが止めてあげないと店主さんが可哀想だよ。 |
レイア | そうだよね。ちゃんと落ち着いたらまた営業を再開してくれるだろうし……。 |
アルヴィン | レイア。悪いがそいつがもう一度ここで営業できるかは、話を聞いてからになりそうだぜ。 |
レイア | えっ ? アルヴィン ! いつの間に来てたの ! ? |
アルヴィン | おいおい、誘ったのはレイアだろ ?なに、やっぱり俺、来ちゃいけなかったわけ ? |
レイア | そういうわけじゃないけど。もうー、来るなら来るで、早く来てよね ! |
アルヴィン | しかし、さっきガイアスとは会ってきたが本当にミュゼまでいやがるのかよ。 |
アルヴィン | まぁ、今はおたくから話を聞くのが先か。な、店主さん ? |
店主 | おっ、俺にか ? |
ミュゼ | ちょっとアルヴィン !その人は私と話してるのよ。ミラのお腹と背中がくっついたらどうしてくれるの ! ? |
アルヴィン | そうもいかねぇんだ、ミュゼ。大体の事情はガイアスたちから聞いてる。事を収めるのが優先だ。 |
アルヴィン | 店主さんよ、どうしてここに戻ってきたわけ ?魔物が来るかもしれないってわかってんだろ ? |
店主 | いや、それは……。 |
アルヴィン | それにあんた、避難所で聞き込みをしてた俺らの仲間に話しかけられた後、急いでこっちに来ただろ ? |
ジュード | アルヴィン、この人を疑ってるの ? |
アルヴィン | おいおい、優しいね優等生くんは。こんだけ不審の種があるんだぜ ? |
アルヴィン | 後は…そうだな。あんたの屋台からジュードたちが探しているものが見つかったら俺の推測が当たってたって証明になるんだけどな。 |
店主 | ! ? ! ? |
アルヴィン | おいおい、反応良すぎ。こりゃ調べたらすぐに探し物は見つかりそうじゃね ? |
ミュゼ | あら ? 屋台の調理台の下にあるのって……。 |
店主 | ……っ ! |
レイア | あ ! これだよ ! 黒い石の塊、見つけたよ ! |
アルヴィン | ビンゴ ! |
ジュード | なっ、なに ! ? |
ミュゼ | 大変 ! でっかくてキモい魔物が砂浜に出てきたみたい !ミラたちが応戦してくれてるわ。 |
アルヴィン | こいつの確保は俺一人で十分だ。ジュードたちは手助けに行ってやんな。 |
ミュゼ | 私は先に浜辺へ向かうわね。ミラに何かしたら承知しないんだから ! |
キャラクター | 9話【夏の思い出9 海水浴場の調査】 |
ロゼ | お疲れ、これでみんな戻って来た ? |
ミリーナ | ルドガーさんとエル、それにユリウスさんは見つかった石の塊をアジトまで運んでくれているわ。そのままキール研究室で解析の手伝いをするそうよ。 |
コーキス | あと、セネル様たちも念のために浜辺の警備をしてくれるってさ。 |
ロゼ | それじゃあ、なんでこんなことをやったのかあんたの口から教えてくれない ? |
店主 | ……今さら黙ってても仕方ねーか。 |
店主 | 俺は山にある避暑地の管理組合の人間でな。お前たちが回収した石の塊も、元々は俺たちで管理していたものだ。 |
ミラ=マクスウェル | この石はどこで手に入れたのだ ? |
店主 | 避暑地の土地を開拓するときに討伐したゴレムの死体なんだとさ。 |
ジュード | それじゃあ、石はそこに生息してるゴレムを狩れば手に入るってことですか ? |
店主 | いや、もうそのゴレムは絶滅してる。破片も含めて、お前たちが持ってるもので全部だ。 |
ガイアス | 管理していた、ということはお前たちは元々、その石の性質に気付いていたというわけだな。 |
店主 | ああ、あの石は魔物が好む匂いを発していてな。摂取すると攻撃的になってより強い香りの石を求める。一種の薬みたいなものなんだ。 |
店主 | これは限られた人間にしか伝えられていない。 |
ジュード | 初めに石の性質に気づいた人はその石が悪用されないようにちゃんと管理しようって考えていたんですね。 |
ジュード | でも、あなたは代々管理していたその石を使ってこの海水浴場に魔物が来るように誘導した。 |
レイア | ねぇ、あなたが海で露店をやっていたのは何でなの ? |
ロゼ | それは、魔物がちゃんと浜辺に来るか偵察するためでしょ ? 石も屋台の荷物に紛れ込ませて運び込むことができるし。 |
店主 | 最初だけ様子を見て、すぐ逃げるつもりだったんだよ。なのに、魔物はあっさり倒されちまった。んで、しばらく残って様子を見てたんだ。 |
店主 | 場合によっちゃあ、また石を削ってこっちに来る魔物を増やそうって考えてたんだが、その前に石の存在に気付かれるなんて思わなかったぜ……。 |
レイア | 一体あなたの目的はなんだったの ?こんなことをやって一体何の意味が……。 |
ロゼ | ……この海水浴場の評判を下げるため、ってところ ? |
店主 | ……さすがは同じ商売人だな。あんたたちがこんなところで商売をしなかったら、俺もこんなことは……。 |
エリーゼ | そんな……。 |
レイア | そんなの、おかしいよ !海で遊ぶ人たちがどうなってもいいっていうの ! ? |
店主 | 何とでも言え。俺には、後がなかったんだ……。俺の肩には何十人もの仲間の生活がかかってたんだ ! |
レイア | だからって、こんなこと……。 |
ガイアス | ――愚かだ。 |
ジュード | ガイアス ? |
ガイアス | 実に愚かな行為だと言ったのだ。 |
店主 | なっ、お前に俺たちのなにがっ ! ? |
ガイアス | 人を貶めて、利益を上げようなどそんなものは商売でもなんでもない。 |
ガイアス | 生きていくためには必要だったことだと ? |
ガイアス | 笑わせるな ! 客が来ないのなら自らの力で打開策を発案するべきだった。 |
ガイアス | お前のしたのは魔物を利用した侵略行為だ。 |
ガイアス | お前のような人間は、人の上に立つ器の人間ではない。 |
ミュゼ | ガイアスの言う通りね。これだけ迷惑かけて言い訳するなんて男らしくないわよ ? |
店主 | ……くそっ。 |
アルヴィン | もうこれくらいで十分か ?そろそろ自警団の奴らにこいつを引き取ってもらおうぜ。 |
ガイアス | 待て、最後に一つだけ確認したいことがある。 |
ガイアス | 持っていた石を裏社会の人間に売ろうと考えなかったのか ? そうすれば、このような回りくどいことをせずに金が手に入ったぞ ? |
店主 | へっ、そんな伝手があったらとっくに頼ってるよ。今までは、真面目な商売しかやってこなかったからな。 |
店主 | ……もういいだろ。これ以上は御免だ。 |
ミュゼ | えっ、その人、連れていっちゃうの ?まだやってもらうことがあるのに……。 |
エル | どうしたの ? ミュゼ。あの人は王様が何とかしてくれるよ。 |
ミュゼ | そうなんだけど……。予定が狂っちゃったわ。 |
ミリーナ | もしかして、ミラのことかしら ? |
ミュゼ | ミリーナったら、察しのいい子ね !そうなの、あのね……。 |
レイア | ……ねぇ、ジュード。あの人、避暑地を救いたくてこんなことしたんだよね。やってることは許せないけど可哀相だったかな……。 |
ジュード | うん、あのリーダーがいなくなったら山の避暑地の人達はますます窮地に陥っちゃうかもしれないね……。 |
ジュード | 僕たちに何かできることはないかな……。 |
アルヴィン | ……ったく、悪党に同情とはどこまでお人よしなのかねぇ。うちの連中は。 |
ガイアス | だが、そういう奴らだったからこそお前は一緒にいたのではないのか ?俺が知っているお前は――。 |
ガイアス | いや、未来のことを話すべきではない、とミュゼに言ったばかりか。すまないが忘れてくれ、アルヴィン。 |
アルヴィン | ……ほんとにおたくら、あのガイアスとミュゼか ? |
アルヴィン | 優等生と精霊の主様に感化されたのか……。それとも、ルドガーたちだったりして。 |
ガイアス | ふっ、想像に任せるとしよう。 |
キャラクター | 10話【夏の思い出10 一件落着】 |
ガイアス | ユリウス、回収したゴレムの石はどうなった ? |
ユリウス | ああ、こちらで厳重に管理することになった。 |
ユリウス | 念のため、カロル調査室のメンバーに現地を調べてもらったが、山の避暑地の周りにはゴレムどころか魔物がいるような気配もないとの報告を受けた。 |
ユリウス | おそらく、かなりの希少種だったんだろう。絶滅したという情報は信じても良さそうだ。 |
ガイアス | ということは、現存するゴレムの石とやらは俺たちが手にしている物で全てなんだな。 |
ユリウス | だが、石の破片を体内に宿している魔物は依然あの洞窟の近くに生息している可能性が高い。 |
ユリウス | 浜辺には来なくなったとはいえ凶暴化した魔物を放置しておくのは危険だ。 |
ガイアス | ……わかった。では洞窟の魔物の討伐は引き続き俺たちが対応しよう。 |
ユリウス | ……まさか、ガイアス王とこうして同じ任務に取り組む日がくるとは思わなかったよ。 |
ガイアス | お前は、もうルドガーたちとの禍根はないようだな ? |
ユリウス | ははっ、そうだと良いんだが……。俺たちのことはまたじっくりと話すとして調査結果の補足をしておこう。 |
ユリウス | 自警団に連れていかれた男だが全ての罪を認めて大人しくしているようだ。 |
ユリウス | ロゼから聞いたんだが、彼が経営していたという避暑地と提携をすることになったのもガイアスの提案があったからだそうだな ? |
ユリウス | 今回関わっていた山の避暑地で働いている人たちにも仕事ができたわけだ。さすがの采配だな。 |
ガイアス | 買い被りすぎだ。俺はロゼに山の避暑地の方にも事業開拓の余地があることを伝えただけだ。 |
ユリウス | わかった、そういうことにしておくよ。 |
ユリウス | それで、どうするんだガイアス王。これから俺たちと一緒に行動するのか ? |
ユリウス | ……と、それを聞くのは俺の役目ではないみたいだな。 |
ジュード | ガイアス、ここに居たんだね。 |
ガイアス | ジュード……。 |
ジュード | ガイアスは今回の事件が落ち着くまで僕たちと一緒に行動するって言ってたけどそのあとはどうするつもりなの ? |
ガイアス | どうするつもりもない。ミリーナからは鏡映点が帝国に狙われていると聞いたが俺はそんなものは問題ではないしな。 |
ジュード | 確かに、ガイアスとミュゼなら……。でもね、心配なのとは別に、僕はガイアスにここに残ってほしいって思うんだ。 |
ジュード | ここでは、断界殻(シェル)も黒匣(ジン)もない。僕たちが対立する理由もない。 |
ジュード | 今の僕は、このティル・ナ・ノーグやここにいる仲間たちのことを助けたい。それには、ガイアスの力が必要なんだ。 |
ジュード | だからガイアス。これからは僕たちと一緒に、戦ってくれないかな ? |
ガイアス | ……ふっ、やはりお前は変わらんな。 |
ガイアス | 良いだろう、ジュード。お前がこのティル・ナ・ノーグでどんな姿を見せてくれるかそれを見届けるのも悪くない。 |
ユリウス | これはまた、頼りになる仲間が増えたな。 |
ユリウス | そうだ、二人とも。ミュゼがどこにいるか知らないか ?精霊の研究でクラースたちが意見を聞きたいと言っていたんだが。 |
ジュード | ああ、ミュゼならルドガーやエルたちと果物を買いにいってるよ。 |
ユリウス | ……果物 ? |
ミラ=マクスウェル | エル……は、まだ来ていないようだな。私に話とは一体なんだ、ミュゼ。 |
ミュゼ | ミラ。ごめんなさい。ここに来てもらうように私がエルに伝言を頼んだの。 |
エル | ……よしっ、ちゃんとミラは来てくれたね。 |
ルドガー | なぁ、これって俺たちがキッチンに隠れて見ておく必要があるのか ? |
エル | もう、ルドガーってば。大事な話はトージシャだけでするものなんだよ。 |
ミリーナ | さすがエル、わかってるわ。 |
ルドガー | いや、だから、隠れて\"覗く”必要はないと思うんだけど……。 |
エル | ルドガー、しーっ !ルルも動いちゃ駄目だからね。 |
ルル | ナァ~ ? |
ミュゼ | あのね、これから私もミリーナたちに協力することにしたの。きっとガイアスも一緒だと思うわ。 |
ミラ=マクスウェル | ふむ、そうなのか。協力してくれるというのならありがたい。二人とも私たちに敵意はないようだしな。 |
ミラ=マクスウェル | それで、先ほどから手にしている食べ物は一体…… ? |
ミュゼ | ミラに食べて欲しくて、作ってみたの。ルドガーやミリーナに協力してもらって…。 |
ミュゼ | ほら、仲直りってわけではないんだけど……。今のミラって、私のこと、その……嫌い、なのよね ? |
ミラ=マクスウェル | ……まさか、露店で作っていたフルーツ焼きそばを参考にしたのか ? |
ミュゼ | ええ、そうよ。だってミラ、これが凄く食べたかったみたいだし。 |
ミラ=マクスウェル | なに、ミュゼが ?ふ、ふふ、そうかっ、くくっ……。 |
ミュゼ | えっ、どうして笑うの、ミラ ! ? |
ミラ=マクスウェル | いや、ミュゼがそうやって人間の食べ物に興味を持ってくれるとは思わなくてな。私はそれだけでも嬉しいと感じるよ。 |
ミラ=マクスウェル | 私の知っているミュゼなら絶対に人間の食事などには興味を持たなかった。本当に変わったんだな、ミュゼ。 |
ミュゼ | ミラ……。 |
ミラ=マクスウェル | そういうことなら、遠慮せずに頂こう。それと……私は、ミュゼのことは初めから嫌いではない。私の、たった一人の姉なのだから。 |
ミュゼ | …… !ありがとう、ミラ。いっぱい食べてね ! |
ルドガー | どうやら無事にわだかまりは解けたみたいだな。 |
ミリーナ | ええ、本当に良かったわ。 |
ミュゼ | ねえ、ミラ、美味しい ?私の作った料理は美味しいわよね ! ? |
ミラ=マクスウェル | ああ、美味しいよミュゼ。 |
エル | へへーん、作戦はダイセーコーだねっ ! |
ルル | ナァ~♪ |