キャラクター | 1話【アジト】 |
ミリーナ | ……ファラ生活向上委員会が算出した今後の食料需要の上昇は、以上になります。 |
ガイアス | ……なるほど。もともとこのアジトは補給関連をロゼに頼り切りなのだな。 |
ミリーナ | はい。これからも鏡映点を助けることを考えると別のルートも構築する必要があると思うんです。 |
ミリーナ | 具現化で大量の食料を用意するのは消耗も激しいので、緊急時以外は避けたいですし……。 |
エステル | 畑で何か育ててみるのはどうでしょう。 |
シング | そうか。みんなで手分けして育てればそれなりの規模のものが作れるよね ! |
ナタリア | 自給自足の体制を整えるのは素晴らしいことですわ。ただ……この仮想鏡界ではそもそも耕せる土地がありませんけれど……。 |
ユリウス | だが、確かに畑というアイデア自体は悪くない。どこかに土地を確保できればいいんだが……。帝国と対立しているこの状況では難しいか。 |
クラース | この世界の全ての勢力が親帝国なんだろうか。もし少しでも反発心のある街や集団があれば手を組めるんじゃないか ? |
リオン | ……この状況で、馬鹿正直に帝国と対立していることを宣言するような奴らとは、手を組む方が破滅だぞ。 |
リッド | それもそうか。どこかの街と手を組めたらそこを拠点に狩りなんかもできるんだけどな。 |
クレア | あの……。少し休みませんか ? お茶を淹れてきます。リフレッシュすればいいアイデアが浮かぶかも知れないし……。 |
リフィル | だったら私も手伝うわ。 |
ジューダス | 手伝うのか ! ? |
リフィル | ――どういう反応かしら、それは。 |
コーキス | そりゃ、リフィル様の淹れたコーヒーたまにレモンとか入ってるから……。 |
セネル | リ、リフィルには今の議事録を纏めて貰おう。適材適所っていうだろ。 |
ベルベット | じゃあ、代わりにあたしが手伝うわ、クレア。マリアンたちにも手伝って貰いましょう。 |
クレア | ええ。ありがとう、ベルベットさん。 |
ルカ | あれ……そういえば、カイウスがさっき忘れ物を取りに行ったまま、戻ってきてないけど……。 |
カイウス | みんな、大変だ ! コロセウム――闘技場の街がアスガルド帝国に目をつけられたって ! |
ミリーナ | 闘技場の街……。確かコロセウムって名前に改名したのよね。 |
マルタ | うん。他の島や大陸との交流も増えて、心機一転やり直すために街の名前を改名したって言ってた。 |
マルタ | でも交流が増え過ぎたせいで、逆に帝国にも目をつけられちゃったみたいなの。 |
ロゼ | 税金が取れるって踏んだんだろうね。帝都の商人たちから仕入れた情報だからかなり確度は高いと思う。 |
ロゼ | 今まで帝国が無視してきた海域だからもう少し持つと思ったんだけどね。 |
エミル | あそこに僕らが頻繁に行ってることがバレたらコロセウム自体も不利益を被るかも知れないでしょ。とりあえず状況を知らせてあげたいと思って。 |
ロゼ | ついでに二人には、コロセウム周辺の帝国の動きも見てきてもらおうかと思うんだ。 |
ミリーナ | そうね。お願いするわ。コーキス、二人と一緒に行ってくれる ? |
コーキス | 了解です ! |
エミル | それじゃあ、すぐ出発するよ。帝国が動く前に知らせないと意味がないし。 |
ロゼ | 今回はあたしもついていくから。コロセウムにいるセキレイの羽とも今後のことを詰めなきゃいけないし。 |
ロゼ | もー ! せっかく物流の拠点として開発を手伝ってきたのに、おいしいところを帝国に横取りされるなんて悔しいじゃん。 |
ミリーナ | ええ、お願いね。 |
マルタ | 何かあったらすぐ連絡するね。行ってきまーす ! |
リフィル | ……ねぇ、さっきの話だけれど。 |
ガイアス | ああ、コロセウムだな。 |
ユリウス | 帝国とはそれほど親密ではないはずだ。 |
ミリーナ | ええ、私もそう思います。私たちと同盟を組んでもらえないか交渉してみましょう。 |
ミリーナ | エミルたちとは別に、手紙を書いて届けて貰いますね。 |
キャラクター | 2話【一回戦】 |
エミル | さ、寒いっ ! ? |
マルタ | な、何 ! ? 大雪 ! ?この辺こんなに冷えるところだったの ! ? |
ロゼ | そういえばアイゼンも、この辺りの海流と気候は独特だって言ってたっけ。 |
イクス | 『この島はオーデンセにも近いからね。オーデンセは比較的暖かい島だったけど年に何回か大雪が降ることもあったよ。』 |
コーキス | なんかマスターがこの辺は大雪が降るんだって言ってる。 |
ロゼ | でもこの状況なら、帝国が街に到着するのも遅れるはずだし、ラッキーかもね。 |
コーキス | ……ん ? なんだ、あの人だかりは。ロゼ様の仲間の店か何かか ? |
ロゼ | んー ?うちは街の中の店には関わってない筈だけど。 |
マルタ | ちょっと覗いてみようよ。 |
エミル | でもマルタ、時間が―― |
二人 | ! ? |
ジーニアス | はーい ! さあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい !天才美少女彫刻家プレセア・コンバティールが制作した『紅鮭くわえた木彫りの熊』だよ ! |
ジーニアス | これを買えば家内安全健康第一間違いなし。幸運を呼ぶ熊だよ ! なんと、一体9980ガルドだ ! |
プレセア | 私は……この熊で、大切な……仲間に、出会えました。 |
住人A | こいつはすげぇ。いい出来だ !置物としても価値が出そうだな。 |
住人B | 私はここで小さな熊を買ってから、婚約が内定したの。絶対御利益があるわ、この木彫りの熊 ! |
観光客 | そいつはすげぇ…… ! 俺もかみさんに買っていくか。 |
コーキス | 何かうさんくさいのに、すげぇ人気だな。 |
ロゼ | ……これは……売れる匂いしかしない……。 |
コーキス | ロゼ様 ! ? 目がマジになってるぞ ! ?ここにルーティ様とイリア様とアニス様がいたらとんでもないことになってるな……。 |
エミル | そんなことより、ジーニアスにプレセア ! ?二人もこの世界にいたの ! ? |
ジーニアス | ……え ? きみ……誰…… ? |
マルタ | あ……。もしかしてジーニアスとプレセアもロイドたちと同じで、私たちより昔の時代から具現化されたのかも……。 |
プレセア | ロイドさん ? ロイドさんを知っているんですか ! ? |
ジーニアス | まさかこの街にロイドがいるの ! ?待って、今店じまいするから―― |
ロゼ | 店じまいするぐらいならさっさと売り切っちゃおうよ。 |
ロゼ | はい、コーキスは列整理して。3列でね。マルタはあたしとこの熊を売る係。 |
ロゼ | 釣り銭は……んー、準備が甘いなぁ。すみませーん。小銭が不足しているのでなるべく細かいお金をご用意下さい。 |
ロゼ | えっと、ジーニアス、だっけ ? あたしはロゼ。悪いけど、小銭かき集めてきてくれる ? |
ジーニアス | ええ ! ? で、でも―― |
プレセア | ジーニアスは計算が速いので、私が……行きます。 |
ロゼ | オッケー。それじゃお願い。 |
ロゼ | それと、エミル。この子たち、ロイドの知り合いなんでしょ ?悪いけど通信でロイドたちを呼び出して。 |
ロゼ | それが終わったら列整理手伝って。 |
エミル | う、うん。わかったよ。 |
ロゼ | よーし、ちゃっちゃと売って店じまいするよ ! |
ミリーナ | まだ帝国軍が街まで来ていないみたいでよかったわ。町長さんには同盟の件を先にお手紙にして届けて貰ったんだけど……読んで貰えたかしら。 |
ユリウス | ん ? あそこじゃないか ? 町議会というのは。 |
ナタリア | あら……。扉の前にどなたか立っておられますわね。こんなに寒いのに……。 |
町長の秘書 | ミリーナさんとお手紙にあった鏡映点の皆様ですね。お待ちしておりました。 |
ミリーナ | 町長さんは中ですか ? |
町長の秘書 | それが……。皆さんが来ることは伝えてあったのですが町長はどうしても外せない用事があるとのことで皆さんに手紙を残して出かけていきました。 |
町長の秘書 | 申し訳ありません。 |
ミリーナ | いえ、私たちも急に押しかけてきてしまったので……。こちらからのお手紙は町長さんにお渡し頂けたんですよね。 |
町長の秘書 | はい。この街と鏡士の皆さんで同盟を組みたいとのことでしたね。町長からの手紙にはその返事が書かれているはずです。 |
ナタリア | お返事のお手紙は、今拝見してもよろしいんですの ? |
町長の秘書 | はい、勿論です。 |
ガイアス | ミリーナ。読んでみてくれ。 |
ミリーナ | ええ。ちょっと待ってね。 |
町長の手紙 | 黒衣の鏡士の皆様には、何度もこの街を救って頂きました。是非お力になりたいところではありますがこの決断は街の存続にも影響するものです。 |
町長の手紙 | そこで皆様の本気を見せて頂きたい。今回闘技場で行われる武闘会に皆様も代表を派遣してご参加頂きたいのです。 |
町長の手紙 | もしも途中で棄権などせず、見事優勝なさった暁には前向きに考えさせて頂く所存です。 |
ミリーナ | 闘技場に……参加……。 |
ナタリア | 何か意図がありそうですわね。 |
町長の秘書 | どのようにお考え下さっても結構。人選はお任せするとのことです。 |
ガイアス | しかしその人選でこちらの本気とやらを量るつもりなのだろう。 |
ミリーナ | 私とコーキスで出ます。少なくとも私たちが前に出なければ理屈が通らないと思うから。 |
ユリウス | かなり危険だぞ。帝国軍がコロセウムに来た場合、命を狙われる。 |
ミリーナ | それでも……ここは私が出るべきだと思います。 |
ガイアス | ――お前は案外馬鹿だな。だが、この場合は正しい判断だと言えるだろう。 |
町長の秘書 | それでは大会へのエントリーを済ませておきますね。 |
ミリーナ | はい。よろしくお願いします。 |
ミリーナ | そうだわ。コーキスにも知らせなくちゃ……。 |
キャラクター | 3話【二回戦】 |
ロイド | おーい ! ジーニアス ! プレセア !こっちに来ちまってたのか ! ! |
ジーニアス | ロイド ! それに姉さんもコレットも ! |
プレセア | 皆さん……。お元気そうで何より……です。 |
コレット | 私たちだけじゃないんだよ。ゼロスもクラトスさんもいるし、それに……。 |
リフィル | いいわ。あとは私が説明します。二人とも、このティル・ナ・ノーグのことはどれぐらいわかっているのかしら。 |
ジーニアス | 大体のことはこの街の人の話で推測できたから……。あとはロゼたちが話してくれた説明で大体わかってるつもりだけど……。 |
プレセア | はい……。80%は理解できている、と思います……。 |
リフィル | そう……。今のところ私たちの仲間だとリーガルの具現化も確認しているわ。ただ彼はアスガルド帝国に捕まっているみたいなの。 |
プレセア | ……え……リーガルさんが、ですか ? |
リフィル | アリシアの具現化を止めるために帝国に残っているのではという見立てだけれどね。 |
プレセア | ……アリシア……。この世界なら、アリシアも……救える…… ? |
ロイド | プレセア。それがプレセアやアリシアのためにいいことなのか、俺にはまだよくわからない。 |
ロイド | でも俺たちの仲間には亡くした家族を具現化で甦らせた人もいる。 |
ロイド | 俺たちと合流して、色々話を聞いてそれからじっくり考えてみたらどうかな。それにリーガルだって助けたいしさ。 |
プレセア | そう、ですね。でも今は駄目……なんです。 |
ジーニアス | 実はボクたち、今回の武闘会にエントリーしてるんだ ! |
ロイド | え ! ? ジーニアスとプレセアが闘技場 ! ?何でまたそんなことに……。 |
ジーニアス | ボクらのこの防寒具、この街の外れに住んでるおじいさんとおばあさんに貰ったんだ。 |
プレセア | 私たち……とにかく食べるものと住む場所を探さないと……と思って、行く先々でお守りを彫ったり木を伐採して売ったりして、この街に来たんです。 |
プレセア | ぼろぼろで疲れ切っていた私たちにお二人は優しくして下さいました。 |
ジーニアス | おばあさんはさちょっとマーブルさんに似てるんだ。おじいさんも優しくて……。 |
ジーニアス | でも生活は苦しそうだし、二人が借金を抱えてるって話を聞いちゃったんだよ。それで……助けてあげたいって思って。 |
プレセア | 木彫りの置き物の売り上げだけでは中々お金も貯まらないので、闘技場の優勝賞金をお二人に渡して差し上げたいんです。 |
コレット | 二人とも……すごいよ !私にもできることがあれば力になりたい。 |
リフィル | そうね……。お世話になった方にはお礼を言わないとね。 |
リフィル | 私もあとで挨拶に行かなくちゃ。弟と教え子がお世話になりましたって。 |
ロイド | なぁ、ジーニアス、プレセア。俺も手伝うよ。俺馬鹿だけどさ、戦うのは得意だし木彫りだって結構上手いぜ ! |
プレセア | ロイドさん…… ! |
ジーニアス | ありがとう……ロイド。それじゃあ木彫りの熊を作るのだけ、手伝ってもらっていいかな ?でも武闘会は大丈夫。ボクとプレセアで頑張るから。 |
プレセア | はい。これは私とジーニアスで勝たないといけないと思うんです……。ですから、応援のお気持ちだけ頂いておきます。 |
コーキス | あちゃー……。 |
ロゼ | 何、どうしたの、コーキス。 |
コーキス | 今、ミリーナ様から通信が来たんだけど……。 |
コーキス | ごめん……。俺、ミリーナ様と一緒に武闘会出なきゃならないみたいなんだ。今の話を聞いてジーニアス様とプレセア様と戦うなんて無理だよ……。 |
プレセア | それはいけません。私たちは私たちの目的のためコーキスさんはコーキスさんの目的のため一生懸命戦えばいいんです。 |
ジーニアス | そうだよ。それよりどっちも精一杯頑張って決勝で当たれるといいね。 |
コーキス | ジーニアス様、プレセア様……。二人とも小さいのにすげぇ大人だぜ…… ! |
ロゼ | あんただって、見た目はそんなだけど生まれたのまだ1年ぐらい前でしょ ? |
プレセア | ………… ! ! |
ジーニアス | え ! ? そうなの ! ? 鏡精って成長が早いんだね ! ?いいなぁ、ボクも早く大きくなりたい……。 |
エミル | ああ……この頃からジーニアスは背が伸びないことを気にしてたんだね。 |
ジーニアス | え ! ? まさかそれって、ボクがきみ――えっとエミルと出会ったときもまだ背が小さいってこと ! ? |
エミル | あ……えっ、少しは伸びてたよ ! |
マルタ | うん ! 伸びてたよ。少し。 |
ジーニアス | 嘘でしょ……。何が足りないんだろう。運動かなぁ……。 |
プレセア | ジーニアスはそのままで可愛いです。大丈夫です。 |
ジーニアス | ! ? |
ミトス | ………………。 |
カイウス | ……なぁ、そんなに心配なら声をかけに行けばいいだろ。 |
ミトス | ……駄目だよ。リフィルさんたちにはボクがこの世界にいることを言わないでくれって口止めしてあるんだ。 |
カイウス | だったらアジトで休んでようぜ。ミトス、お前死にかけたんだぞ。 |
カイウス | こんな短期間に四人もの人間にマナを分け与えたら普通死ぬって、クラトスさんも心配してたじゃないか。それに顔色も悪いし、息だって苦しそうだし……。 |
ミトス | ……わかってるよ。でも……。 |
カイウス | やっぱり、あのジーニアスって奴と話したいんだろ。もう、気にしないで話してくればいいと思うけどな。 |
ミトス | 無理だよ……。話なんてできない。 |
カイウス | どうして ? |
ミトス | 合わせる顔がないもの……。ボクは……ジーニアスたちを殺そうとしたんだから。 |
キャラクター | 4話【三回戦】 |
ミリーナ | お待たせ、コーキス。宿を取ってくれてありがとう。 |
コーキス | いえ。それにしてもミリーナ様もコロセウムに来てたんですね。 |
コーキス | 急に武闘会にエントリーするなんて言うからびっくりしました。お一人ですか ? |
ミリーナ | ナタリアとガイアスさんとユリウスさんにも一緒に来て貰ったんだけど、ここから先は闘技場で戦うことになるから、みんなには先に帰って貰ったわ。 |
ミリーナ | それに、さっき街で別の仲間も見つけたし。 |
コーキス | ミトス様にカイウス様 ! ?ミトス様は絶対安静じゃなかったんですか ! ? |
カイウス | ミトスの奴、どうしても街に行くっていうから……。 |
コーキス | あ、そうか。ジーニアス様とプレセア様に会ったことを聞いたからですね。だったらロイド様たちと一緒に来ればよかったのに。 |
ミトス | ……別にそんなんじゃない。ただ……顔を合わせたくないから、ジーニアスが合流するのなら救世軍側にでも行こうかと思って。 |
カイウス | ミトス、お前、さっき言ってたことと今言ってること全然違うけど……。ジーニアスたちに合わせる顔がないって言ってたよな ? |
ミトス | うるさいな。それよりミリーナ、どういうつもりなの。帝国に追われてるのに、武闘会に出場するなんて。 |
ミリーナ | 今後のアジトのことを考えると今よりもっと多くの補給が必要になるわ。それで外部の協力者を捜していたの。 |
ミトス | ああ、その辺りのことはカイウスに聞いたよ。カイウスも予算委員会に出ていたから。人員が多くなれば、補給問題は重要だよね。 |
カイウス | そういうのはミトスの方が得意な筈なのに何で参加しなかったんだよ。 |
ミトス | どうしてボクが人間の面倒を見なきゃいけないの。 |
ミトス | ――って、話がずれたね。コロセウムに協力を求めに来たことは知ってるけどそれがどうして戦うことになるのさ。 |
ミリーナ | それがコロセウム側の条件なの。武闘会で優勝できたら力を貸してもいいって……。 |
ミトス | ………………。 |
イクス | 『――まずい。帝国の部隊がコロセウムに近づいてる。雪のせいでよく見えなかった。ごめん、気付くのが遅れて。』 |
コーキス | え ! ?た、大変です !マスターが、近くに帝国軍が来てるって ! |
ミリーナ | え ! ? イクス、本当なの ? 規模は ? |
イクス | 『そんなに数は多くない。港に帝国の軍艦が入港してるけど出てきたのは六人ぐらいだ。あ…… ! 』 |
コーキス | あ……ってなんなんだよ、マスター ! |
イクス | 『ナーザだ……。』 |
コーキス | ナーザ ! ? ナーザが来てるんですか ! ? |
三人 | ! ! |
ミリーナ | どういうこと ? ナーザが来ているの ? |
コーキス | ……えっと、そうみたいです。六人ぐらいの兵を連れて、ナーザがコロセウムの方へ向かってるって。 |
カイウス | ……なぁ、武闘会、もうすぐミリーナたちの出番だろ。大丈夫なのか ? |
コーキス | そうですよ。棄権した方がいいんじゃないですか ? |
コーキス | 俺たちは何とか逃げられるかも知れないけど黒衣の鏡士を参加させた……とか難癖つけて帝国がコロセウムを襲ったりするかも知れないですし。 |
ミトス | 甘いね。 |
ミリーナ | え ? |
ミトス | コロセウムに協力を頼むならそんなことが起きるのは当然のことでしょう ? |
ミトス | それが嫌なら、協力なんて頼まない方がいい。わかっててお願いに行ったんじゃないの ? |
ミトス | 今更棄権するなんて、コロセウム側もその程度の甘い考えで頼ってきたのかって呆れるんじゃないかな。 |
カイウス | ……そうか。もしかしてコロセウムの人たちはオレたちの本気を確かめようとしてるのかもしれない。 |
ミリーナ | ……そうね。確かにそう言われたわ。 |
ミリーナ | それに、今後のことを考えると、帝国からコロセウムを守る手段も考えなくちゃいけないわよね。 |
ミリーナ | ありがとう、ミトス。目が覚めたわ。 |
ミトス | そう ? 目が覚めないまま、この街から手を引いてあげるのも優しさだと思うけど ? |
ミリーナ | ……でも、そこまでの余裕が私たちにはない。巻き込まざるをえないなら守る方法を見つけないと……。 |
ミトス | ……だったら精霊に相談するといいよ。ボクは元の世界で……大切なものを守るために精霊の力を借りた。 |
ミリーナ | ありがとう。参考にさせて貰うわ。 |
ミトス | ……それじゃ、ボクもう行くから。 |
コーキス | え ! ? ミトス様、そんな体でうろついていいのか ! ? |
ミトス | ……やることができたんだよ。ほっといて。 |
コーキス | ……ミトス様、行っちゃったよ。やることってなんだろう…… ? |
ミリーナ | わからないけれど、きっとこの街で出会ったジーニアスさんとプレセアさんに関することじゃないかしら。 |
カイウス | 仕方ない。オレ、もう少しミトスと一緒にいて無理しないように見張ってるよ。 |
ミリーナ | ありがとう。お願いね、カイウス。 |
コーキス | ミリーナ様。ジーニアス様たちに挨拶しませんか ?二人も会いたがってたし。 |
ミリーナ | そうね。ナーザたちに鉢合わせしないように気をつけながら行きましょうか。 |
コーキス | 案内します。多分露店で木彫りの熊を売ってると思うから。 |
ミリーナ | 木彫り……の、熊 ? |
コーキス | めちゃくちゃ人気なんです。ロゼ様もすっかり気に入ったみたいで流通に乗せるとか何とか言ってたなぁ。 |
コーキス | 在庫を売り切ったんですけど、ロイド様たちも手伝ってさらに追加分を作ってたんでそろそろ店を再開してるんじゃないかな。 |
キャラクター | 5話【四回戦】 |
ナーザ | (……どうなってるんだ。いきなり雪の塊が大量に降ってきたと思ったら、中に石だの何だのが詰め込まれてて、部下が全員負傷してしまった……) |
ナーザ | (あの雪は、この街の防衛機構か何かなのか ! ? ) |
ナーザ | ……子供がこんなところで何をしている ? |
プレセア | ……お土産屋……です。 |
ナーザ | 土産物屋 ? お前たちだけなのか ? 大人は ? |
ジーニアス | 子供だからって馬鹿にしないでよね。ここはボクらが場所を借りてるんだ。 |
ナーザ | ……それは失礼したな。何を売っている ? |
ジーニアス | 木彫りの熊 ! 紅鮭くわえた奴 ! |
プレセア | 家に飾っておけば、願いが叶います……。多分……。 |
ナーザ | 幸運の熊、か。お前たちが作ったのか ? |
ジーニアス | プレセアが作ったんだよ。ボクは手伝っただけ。プレセアの作るお土産は人気があるんだ。 |
プレセア | まだ開店前ですが……よければ売りましょうか ? |
ナーザ | ………………。 |
ジーニアス | 欲しくないなら別にこっちも無理して売るつもりはないけど。 |
ナーザ | ……いや、一つ頂こうか。 |
プレセア | ありがとうございます ! |
ジーニアス | 何だ、気に入ってくれてたんだ !9980ガルドです ! |
ナーザ | ……よくできている。妹が喜ぶだろう。 |
プレセア | 妹さんがいるんですね。 |
ナーザ | ……何故、悲しい顔をする ? |
プレセア | ……あ、すみません。私の妹は……亡くなったので。 |
ナーザ | そうか……。それは残念だな。……一つ聞いてもいいだろうか。 |
プレセア | はい ? |
ナーザ | 妹を生き返らせることができるなら生き返らせたいか ? |
プレセア | ……できることならそうしたい……です。でも……妹がそうして欲しいのかはわからない。だから簡単には答えられません。 |
ナーザ | ……そうだな。その気持ちを持った上で、それでも生き返らせる道を選んだというのならまだ理解もできるが……。 |
ナーザ | いや、何でもない。変なことを聞いたな。こんな寒い中、物売りは大変だろう。風邪などひかぬようにな。 |
ナーザ | 弟と二人、力を合わせて強く生きていけよ。 |
ジーニアス | 弟……ってボクのこと ! ? ち、違うよ !ボクはプレセアを守るき……き、き、き……きし……みたいな……。えっと……。 |
プレセア | はい。ジーニアスはこの世界に来てからもずっと私を助けて、守ってくれました。 |
ジーニアス | プ、プ、プ、プレ……セア……ッ ! |
ロイド | 驚いたな。ナーザがこんなところに来てるなんて。 |
プレセア | ロイドさん……。お知り合い、ですか ? |
ロイド | いや、あいつはアスガルド帝国の将軍で俺たちの……敵なんだ。 |
ジーニアス | そうなの ? 割といい人そうに見えたけど……。 |
プレセア | はい。そう見えました。 |
リフィル | 私たちと敵対しているからといって悪い人間とは限らないわね。 |
リフィル | まぁ……やっていることを考えると褒められるような相手でもないけれど……。 |
ジーニアス | そうだよね。例えばミトスは……そりゃ、酷いことをたくさんしてきたけど……。でも、ボクや姉さんには優しかったもん。 |
三人 | ! ! |
ジーニアス | ……やっぱり。三人とも、何か隠してるでしょ。 |
ロイド | な、何をだよ ! |
コレット | か、隠したりなんてしてないよ、えへへ……。 |
リフィル | そんなことより、そろそろ二人とも闘技場に向かった方がいいんじゃないかしら ?そろそろ出番の筈よ。 |
リフィル | お店は私たちに任せて、早く行きなさい。 |
プレセア | そうでした。ジーニアス、行きましょう。必ず優勝して、おじいさんとおばあさんの借金を返済しないと…… ! |
ジーニアス | ……そうだね。三人を追及するのは後にして今は闘技場へ向かおうか。 |
ロイド | ……行ったか ? |
コレット | ……うん。もう二人の足音が遠ざかったよ。 |
ロイド | なぁ、先生。もう無理だって。ジーニアスの奴、俺たちの嘘に完全に気付いてるぞ。 |
リフィル | ……そうね。でもミトスがどうしても自分のことは隠してくれって……。 |
ロイド | そういうとこ、クラトスそっくりだよな !何で師弟そろって姿隠そうとするんだよ ! |
ミトス | その言葉そっくりそのまま返すよ。 |
ミトス | 自分だって、ボクとジーニアスがファンダリアの花を取りに行ったとき、後ろからこそこそついてきてボクらを影から守ろうとしてたじゃない。 |
ミトス | クラトスから遺伝したんじゃないの隠密行動するところが。 |
エミル | そういえばロイド、ボクらと旅するまでずっと一人で隠れて行動してたよね……。 |
マルタ | あ、駄目だよエミル。私たちとの旅のことはロイドたちの未来に関わることだから……。 |
ミトス | ……もういいんじゃない ?どうせボクたちはもう元の世界には帰れないんだし。 |
ロイド | いや、俺はまだあきらめてないぞ。 |
ミトス | ……だとしてもボクはもう自分の未来を聞いてしまったから。 |
エミル | それって、まさかリヒターさんから…… ? |
ミトス | ……未来を知ったからってボクは何も変わらないけどね。 |
ミトス | 姉さまを連れて帰れるならともかくただ元の世界に戻れるってだけならボクは……絶対にお前たちとは手を組まない。 |
ロイド | ミトス……。 |
ミトス | それにボクがしてきたことは何も変わらない。ボクはジーニアスとプレセアを殺そうとした。 |
ロイド | ……そうかな。 |
ロイド | お前、何度もジーニアスを助けてたじゃないか。プレセアのことは確かにそうかも知れないけどお前、ジーニアスの友達だろ。 |
ミトス | 友達じゃない。 |
ロイド | そういう強情なところ、クラトスそっくりだぞ ! |
ミトス | クラトスそっくりなのはそっちだろ ! |
ロイド | 似てねーよ ! ! |
エミル | え、そうかな……。結構似てると思うけど……。 |
マルタ | わかるー。一人で全部背負い込んで何も説明してくれないところとか……。 |
コレット | え ! ? ロイドはいつだって何でも話してくれるよ ? |
コレット | 確かに一人で背負っちゃうところもあるけどそれは一人でって言うかみんなを守るためにっていうか……。 |
マルタ | あー……、うん。こっちのロイドはそんな感じ。 |
ロイド | え ? 未来の俺ってもしかしてクラトスみたいになってるのか ? |
エミル | あ……いや、えっと……その……。 |
ロイド | ……やった ! 俺、クールになれるんだな ! |
コレット | よかったね、ロイド。でも、今のロイドもくーるだよ ! |
ロイド | え、そうかなー ? |
リフィル | もう、みんな一旦落ち着いてちょうだい。 |
リフィル | ミトス、あなたの頼みだから、もう少しだけジーニアスたちにあなたの存在を隠すけれどいずれはわかってしまうことなのよ。 |
リフィル | あの子は……きっとあなたと一緒に過ごせることを喜ぶと思うわ。 |
リフィル | プレセアも……時間はかかるかも知れないけれどあなたのことを知れば、一緒にいることを許してくれると思う。 |
リフィル | もし受け入れられなくても、それが自分のしてきたことの報いなのだと、あなたはわかる子よね。あと少し、勇気を出してみたらどうかしら。 |
ミトス | ……そのことは、もう少し考えさせて。 |
ミトス | それより、帝国軍の連中を捕まえたんだ。今はまだ数が少ないけどこの後一個中隊が港で待機しているみたい。 |
ロイド | 一個中隊……ってどれぐらいの人数なんだ ? |
ミトス | 帝国軍の編成だと140人ぐらいかな。 |
コレット | そんなに来られたら武闘会どころじゃなくなっちゃうよ ! |
エミル | とりあえずナーザ付きの小隊の隊員は僕たちが捕まえた。今カイウスが見張ってくれてる。 |
エミル | あとは港で待機している部隊を何とかすれば武闘会は最後まで開催できるんじゃないかな。 |
ミトス | ミリーナとコーキスは武闘会に出なくちゃいけないし手の空いてるボクたちで、帝国軍が街に入らないよう手を回したいんだ。力を貸してくれる ? |
ロイド | わかった。で、何をすればいいんだ ? |
ミトス | この大雪を利用するんだ。 |
キャラクター | 6話【決勝戦】 |
帝国兵A | ナーザ将軍 ! 大変であります ! |
ナーザ | どうした ? まだコロセウムにつかないのか ? |
帝国兵A | それが、コロセウムへの街道が大雪で通行禁止になっておりまして、隊が先に進むことが出来ません。 |
ナーザ | 民間の通行止めなど無視すればいい。ここはアスガルド帝国領なのだぞ。 |
帝国兵A | はっ、そう思いまして先に進んだのですが、深い雪に足を取られたところに雪崩が発生しまして……。 |
帝国兵A | 何とか隊員の救助は完了しましたが進軍は不可能と判断しました。 |
ナーザ | ……仕方ない。お前たちは一旦船に戻っていろ。私もすぐにそちらに戻る。 |
ナーザ | くそ。鏡士が出入りしていると聞いて調査に来ただけだというのにまるで祟られているようだな……。 |
カイウス | ……よし、ナーザの奴、街から出て行ったぞ。 |
ロイド | ふー……。上手くいってよかったぜ。みんなで雪をかき集めて、落とし穴作ったり山の上から落としたり、もうくたくただよ……。 |
ジーニアス | ――へぇ、それってミトスのアイデアなの ? |
ロイド | ああ。あいつユグドラシルの姿になって帝国兵を誘導したんだ……って、あ ! ? |
ジーニアス | ……やっぱり。ボクとプレセアのことじっと見てる二人組がいるってプレセアが教えてくれたんだ。 |
ジーニアス | 気のせいかも知れないけど、ミトスに似てるって言ってたから、もしかしたらミトスも具現化されてるのかなって思ってたけど……。 |
ロイド | あちゃー……。 |
プレセア | どうしてミトスのことを隠していたんですか ? |
ロイド | どうしてって……。ミトスに頼まれたから……。 |
プレセア | どういうこと……ですか ?ミトスは……私たちの敵、ですよね ? |
ミトス | ……ボクから話すよ。 |
ジーニアス | ミトス ! ! |
プレセア | ……………… ! |
ミトス | ボクは姉さまを……マーテル姉さまを助ける為にロイドたちと手を組んだんだ。でも安心して。ボクは姉さまと一緒に救世軍にでも身を寄せるから。 |
ロイド | ミトス ! ? 何言ってるんだ ! |
ミトス | あっちにはクラトスもいるし、ボクが向こうに行けばゼロスは嫌がってロイドたちに合流するんじゃない ?その方が綺麗にまとまるでしょう。 |
ロイド | 馬鹿野郎 ! それじゃあ、お前を追い出すようなもんじゃないか。そんなの駄目だぞ。 |
ロイド | ミトスもマーテルさんも、俺たちと一緒にいればいいじゃないか。勿論ジーニアスもプレセアも。 |
ミトス | プレセアは納得できないって顔してるけど。 |
プレセア | ……私、ここで何があったのかまだよくわかりません。私が知っているのは……あなたが私を狙ってアルテスタさんが私を庇ってくれたこと……。 |
プレセア | あなたはアリシアをあんな風にした計画の張本人で……私の仇です。 |
ミトス | ………………。 |
ジーニアス | ま、待って、プレセア。確かにそうなんだけど……でもプレセアも見てたでしょ。 |
ジーニアス | ミトスがロイドたちと一緒に、帝国兵を追い払ったりボクらが木彫りの熊を売ってるときに変なお客を、隠れて追い払ったりしてくれてたの。 |
ミトス | ! ? |
カイウス | ……なんだよ、全部バレてたのか。 |
エミル | 僕たち、ミトスの言う通りに隠れて動いてたのに意味なかったね……。 |
マルタ | でも、こっそり何かやるのってスリル満点で楽しかった ! |
ジーニアス | きっとボクたちの知らないところでミトスが改心してくれたんだって―― |
ミトス | ――改心なんてしてない。 |
ジーニアス | ……そうだよね。ミトスは、最初から優しかったもの。ただ、つらい思いをしすぎただけで。 |
ミトス | ………………。 |
ジーニアス | プレセア。許してあげてとは、ボクも言えないよ。もしもプレセアの妹みたいなことを姉さんがされてたら……ボクだって許せない。 |
ジーニアス | でもミトスもそんな気持ちがあったからお姉さんを助けたくてあんなことをしたんだと思うんだ。 |
ジーニアス | だから、何もかも許してあげなくていいから一緒にいることだけは許してあげて。 |
ミトス | ! ! |
プレセア | ジーニアスは……小さいのに偉いですね。ジーニアスもミトスのことでは傷ついたのに……。 |
ミトス | ……ごめん……なさい。 |
二人 | ! ? |
ミトス | これは……ボクが元の世界でしてきたことへの謝罪じゃないよ。 |
ミトス | ジーニアスを傷つけたことと……それから大切な家族を傷つけたこと……。それだけは、ボクにも気持ちがわかるから。 |
ミトス | でもボクがしてきたことを、ボクは……後悔しない。もし後悔したとしても、同じ道を選ぶ。それがボクだから。 |
プレセア | ……私も……あなたを許しません。アリシアの幸せを踏みにじるような世界を造ったあなたを。私からみんなと同じ時間を奪ったあなたを……。 |
プレセア | でも同じように、あなたを追い詰めた過去の人々も許せない。それにアルテスタさんだって……私は許していません。 |
プレセア | 私は……許せないものばかりです。でも……それでいいんですよね、ロイドさん。 |
ロイド | うん……。俺はそう思うよ。許して欲しいと思うけどそれは虫がいい話だからさ。許せないならそれでいい。 |
プレセア | ……はい。だから、私はミトスを許しません。でもあなたは違う目的を前にした時に、手を組むことができる人なのだと私は知りました。 |
プレセア | それが異世界だからという条件であってもあなたが怒りや憎しみを飲み込んだように私もそうできる……と思います。 |
ミトス | ……プレセア。 |
プレセア | 復讐することは簡単です。でもそれで気持ちがいいのは私だけだから……。 |
プレセア | あなたを傷つければ、ロイドさんもジーニアスもそれにあなたのお姉さんも悲しませることになる。それは……嫌です。 |
ジーニアス | プレセア……ありがとう。それからミトスも。ボクたちが最後まで闘技場で戦えるように手を尽くしてくれたんでしょう ? |
ジーニアス | それに姿を見せなかったのもボクたちを混乱させないためだよね ? |
ジーニアス | ミトスって優しいよね。だからボクミトスと友達になりたかったんだ。……友達、だよね ? もう本当にそうだよね ? |
ミトス | ……友達……でいいの ? |
ジーニアス | もちろんだよ ! |
プレセア | よかったですね、ジーニアス。それにミトス。私からもお礼を言わせて下さい。 |
プレセア | もちろんロイドさんにも、エミルさんやマルタさんやカイウスさんにも。武闘会が続けられるように手を尽くして下さってありがとうございます。 |
ミトス | ……ううん。そんなの、いいんだ。 |
ロイド | うん、ミトスには感謝だぜ。やっぱミトスは頭いいんだよな。リフィル先生とさくさく計画立てて行くんだからさ。 |
ロイド | あ、そうだ。リフィル先生とコレットも手伝ってくれたんだ。後でお礼を言ってあげてくれよ。 |
プレセア | はい…… ! |
ジーニアス | あれ ?そういえば姉さんとコレットはどこに行ったの ? |
カイウス | あ、今丁度、闘技場でミリーナとコーキスの試合をやってるんだ。それを観てるんだと思う。 |
ロイド | お、噂をすれば通信が来たぞ ! |
コレット | ロイド ! ミリーナたちが勝ったよ !ジーニアスたちとの決勝戦になるね ! |
ロイド | よし、やったな ! |
ジーニアス | ミリーナさんとコーキスって強いんでしょ ? |
マルタ | それは勿論そうだよ。でもジーニアスとプレセアも強いよね。 |
プレセア | はい……。負けられません。 |
カイウス | どっちも勝って欲しいな。両方優勝にはならないのかな。 |
エミル | 本当だよね。どっちも応援したいから困っちゃうよ。 |
ミトス | そう ? ボクはジーニアスを応援するけど。 |
ロイド | 俺も ! |
ジーニアス | えへへ、ありがとう、二人とも。 |
プレセア | ジーニアス、頑張りましょう。 |
ジーニアス | うん ! |
キャラクター | 7話【決勝戦】 |
ジーニアス | あーあ……。負けちゃった。勝てると思ったのにミリーナさんもコーキスも本当に強いんだね。 |
ミリーナ | 私のことはミリーナって呼んで。何だか今更になってしまうけれど、初めまして。ロイドたちにはいつもお世話になっています。 |
ミリーナ | 二人とも小さいのにすごく強いからびっくりしたわ。さすがロイドの仲間ね。 |
ミリーナ | 特にプレセアはその体であんな大きな斧を振り回して……びっくりしちゃった。とってもりりしくて可愛いわ。 |
プレセア | ……あ、ありがとうございます。斧は仕事道具でもあるから使い慣れているんです。 |
コーキス | でも何だか申し訳ない気分だよ。二人はお世話になったじーちゃんたちのために賞金が欲しかったんだろ ? |
ミリーナ | その話だけれど、私たちは優勝することが目的で賞金は重要ではないの。 |
ミリーナ | だからもしよかったら、準優勝の賞金と合わせて私たちの優勝賞金も、二人がお世話になったおじいさんとおばあさんに渡してあげて。 |
ジーニアス | え ! ? で、でもいいの ? |
ミリーナ | 勿論よ。 |
ロゼ | まぁ、賞金の分ぐらい、プレセアの木彫りの熊を大量生産して売りさばいたらすぐに貯まると思うよ。 |
ロゼ | ためしにうちの伝手で売ってみたらすごく好評だったんだ。 |
ミリーナ | ロゼ ! セキレイの羽とのお話は終わったの ? |
ロゼ | うん。後はコロセウム側の出方次第かな。上手く同盟を組めるといいけど、駄目なら駄目でプレセアに熊作りを頑張ってもらうってのもありかも。 |
マルタ | そういえば、私たちの時代でもプレセアの開発した商品が大人気だったなぁ。 |
エミル | レザレノカンパニーと組んで色々なもの作ってたよね。 |
プレセア | そうなん……ですか ? 何だか不思議な感じがします。……リーガルさんにも早く会いたい……です。 |
カイウス | ……帝国に捕まってる奴はまだまだたくさんいそうだしな。そういう意味では二人とは帝国に捕まる前に合流できてよかったよ。 |
ジーニアス | うん、みんなの話を聞くと本当にそう思うよ。 |
リフィル | さて、それじゃあ、まずはジーニアスがお世話になった方にお礼を言いに行きましょうか。 |
プレセア | はい…… ! |
ジーニアス | ……待って。ミトスとロイドとコレットは ? |
ロゼ | 強制送還。 |
ジーニアス | ! ? |
ロゼ | 無理しちゃいけないって言われてたのに色々動き回ったもんだから倒れちゃったんだよね。ロイドとコレットが送っていったところ。 |
ジーニアス | ……ボクたちのために……無理してくれたんだ。 |
プレセア | ……クラトスさんを助けるために、マナを分け与えたと聞きました。それはとても危険な作業なのだとも……。 |
プレセア | ミトスは不思議な人ですね。そういう話を聞くと伝説の勇者その人なんだ……と思います。 |
プレセア | ただいま帰りました。 |
おばあさん | お帰り、二人とも。 |
ジーニアス | おじいさん、おばあさん !ごめんね。武闘会、準優勝だった……。 |
おじいさん | 何を言っているんだ。すごいことじゃないか、準優勝だって。謝ることは何もないよ。 |
プレセア | ……私たち、本当は優勝してその賞金をおじいさんたちに渡したかったんです。 |
おじいさん | ! ? |
ジーニアス | おじいさんたち……借金があるって言ってたでしょ。なのにボクたちのこと拾ってくれて色々助けてくれたから……。 |
おじいさん | いや、そんなのはいいんだよ。それに借金と言ってもこれは……。 |
おじいさん | ――ん ? そこにいるのはもしや黒衣の鏡士殿か ? |
ミリーナ | は、はい。あの、私がいてはまずいですか ? |
おじいさん | いやいや、そういう意味ではないんですよ。丁度いい。私がコロセウムの町長のクレフェルトです。 |
一同 | ! ? |
クレフェルト町長 | いやはや、後ほど町議会でお目にかかるつもりでしたがあなたがジーニアスとプレセアの知り合いだったとは……。 |
ジーニアス | え ! ? おじいさんって町長だったの ? |
クレフェルト町長 | 家では仕事の話はしないからね。驚かせてごめんよ。それにミリーナさんも、こちらの無茶な申し出をよく受け入れてくれました。 |
クレフェルト町長 | 帝国軍が近くまで来ていることはご存じだったでしょうに。 |
ミリーナ | いえ……。仲間にも言われたんです。ここで棄権しては、私たちの本気が伝わらないと。 |
ミリーナ | それでこの街と協力するのならこの街を守れるような対策を考える必要があると痛感しました。 |
クレフェルト町長 | そうですか。そこに気付いて下さいましたか。 |
クレフェルト町長 | 我々も過疎化が進むこの街を、エミルさんたちをきっかけにして支えて下さった皆さんには感謝しています。 |
クレフェルト町長 | もちろんご協力できることは何でもしていきたい。しかし同時に帝国に表だって逆らうこともまたできないのです。 |
ミリーナ | ええ。私たちも物資の補給が主な目的です。ですから、私たちがこの街に来るときだけ帝国の目をくらませる手段を考えます。 |
ミリーナ | どうかお力添え頂けませんか ? |
クレフェルト町長 | そこまで配慮頂けるのなら、何の問題もありません。是非同盟を組ませて頂きたい。 |
クレフェルト町長 | ところで帝国の目をくらませる手段というのは何かアイデアがあるのですかな ? |
ミリーナ | 精霊の力を借りようと思います。幸いここは島ですから、一時的に海を封鎖できれば帝国も島には近づけませんし。 |
クレフェルト町長 | 精霊……。なるほど。詳しいことはまた後日お聞かせ下さい。 |
クレフェルト町長 | 町議会では既に、皆さんに協力するという方向で意見はまとまっていますので。 |
ミリーナ | ありがとうございます ! |
クレフェルト町長 | それと、ジーニアスにプレセア。私の借金というのはね、この街を立て直すために私財を投入したせいなのだよ。 |
クレフェルト町長 | だから恐ろしい取り立てが来る訳でもない。気持ちはありがたいがそのお金は自分たちのために―― |
ジーニアス | ううん。そうだとしたらなおさら賞金なんて受け取れないよ。 |
ジーニアス | この間だって、急に雪が降ったから薪を買うお金がないって、古い家具を解体して燃やそうとしたでしょ。 |
ジーニアス | 街を守るためには町長さんの生活もちゃんと守らないと。 |
プレセア | ジーニアスの言う通りです。私たちからの気持ちを……どうか受け取って下さい。 |
おばあさん | ……あなた。せっかく二人がこう言ってくれているのだから……。 |
クレフェルト町長 | ……わかったよ。ありがとう、二人とも。短い間だったけれど新しい孫ができたようで嬉しかったよ。 |
ジーニアス | …… ! |
プレセア | 私たちが出ていくこと……気付いていたんですか ? |
クレフェルト町長 | 元々資金が貯まったら出ていくと言っていたしねぇ。それに、捜していた仲間が見つかったんだろう ? |
リフィル | ――初めまして。私はジーニアスの姉のリフィル・セイジです。 |
リフィル | この子とプレセアが本当にお世話になりました。ありがとうございます。 |
クレフェルト町長 | いえいえ。わしらも楽しかった。本当によい時間を過ごさせて貰いました。 |
クレフェルト町長 | せっかくミリーナさんと同盟を組むんですからまた遊びに来て下さい。妻も喜びます。 |
プレセア | ……絶対に、また来ます。 |
ジーニアス | ボクも ! |
ミリーナ | うちには小さな子が他にもたくさんいるんです。良かったらみんなのおじいさんとおばあさんになってあげて下さい。もちろん、ご迷惑でなかったら。 |
クレフェルト町長 | 迷惑なことなどあるものかね。こちらからお願いしたいぐらいだよ。 |
クレフェルト町長 | それに今回の武闘会は終わったがまだ後夜祭も残っているから、楽しんでいって下さい。 |
コーキス | 後夜祭 ! ミリーナ様、勿論参加していきますよね ! ? |
ミリーナ | そうね。私やロゼは町長さんとお話があるけれどみんなは楽しんでいくといいわ。 |
ジーニアス | ボクもミトスの様子を見たら戻ってくるよ。 |
プレセア | 私も……ノイシュに会いたいのでその後で参加します。 |
プレセア | 改めて、ミリーナさん、皆さんこれからお世話になります。よろしくお願いします。 |
ジーニアス | ロイドや姉さんが迷惑をかけてたと思うけどその分、ボクが働くからね。よろしく ! |
ミリーナ | ええ、二人とも、これからよろしくね。 |