キャラクター | 1話【月下編1 まだ見ぬクリスマス】 |
カロル | ねぇねぇ ! もうすぐクリスマスなんでしょ ?楽しみだね ! |
エステル | ですね ! |
ユーリ | そっか。二人は初めてなんだっけな。クリスマス。 |
エステル | はい !わたし、サンタクロースさんに会ってみたいです ! |
カロル | ボクも ! |
ユーリ | ……けど、ちっと妙だな。 |
ミリーナ | ええ。 |
エステル | 何がです ? |
ミリーナ | 気づかない ? クリスマスなのに街にはそんな様子が見られないわ。 |
コーキス | そういえば……。普段ならクリスマスツリーとか飾り付けでもっと華やかになってるはずなのに。 |
ユーリ | ……こりゃ、何か起きてるのかもしれねぇな。 |
カロル | え~ ! |
エステル | そんな~……。 |
レイヴン | ……しょんぼりんぐ。 |
コーキス | 来るなりどうしたんだ ? レイヴン様。 |
レイヴン | いやね、街がクリスマスカラーじゃないのが気になってそこらの人に話きいてみたんさ。 |
レイヴン | したら、なんか近頃になって空飛ぶ魔物が街に現れてて、クリスマスどころじゃないんだと。 |
ユーリ | ……んで、着飾った女の人がいなくてしょんぼりしてたと。 |
レイヴン | そう ! ゴージャスドレスのレディとかプリティなサンタガールとか、ちっとも居やしない !がっかりよ ! 魔物許すまじ ! |
リタ | おっさんが最初からやる気なのは楽でいいわ~。 |
ユーリ | その口ぶりだとリタはハナからやる気ってことだよな ? |
カロル | やっぱクリスマス、楽しみたいもんね ! |
エステル | 頑張って解決して、クリスマス楽しみましょうね ! リタ ! |
リタ | う、うん。 |
レイヴン | リタっち、照れてる~。 |
リタ | たぁ ! |
レイヴン | いたぁい。 |
ミリーナ | ふふ。それじゃ魔物の調査開始ね。 |
ユーリ | ああ。魔物なんぞにせっかくのクリスマスを台無しになんざさせねぇさ。 |
カロル | それじゃ、手分けしようよ。ミリーナとコーキスはクリスマスの準備、ボクたちは魔物退治と原因調査で。 |
ユーリ | はは。同時進行とは欲張りだなカロル先生。 |
カロル | 時間も限られてるしね。 |
リタ | ま、あたしらはミリーナとコーキスほどクリスマスのこと知らないし、役割分担した方が効率がいいのは確かね。 |
ミリーナ | わかったわ。そうしましょう。 |
コーキス | みんな、気を付けてくれよな。 |
エステル | はい ! それじゃ行ってきますね。 |
コーキス | んー、でも俺も言うほどクリスマスに詳しくないから、何から手をつければいいのか。プレゼントとかケーキの準備かなぁ ? |
ミリーナ | そうね。配達も手伝えると思うわ。あとはツリーの飾りつけとかイルミネーションの準備も。 |
ミリーナ | とりあえず人手が足りないところがあるか街の人に聞いてみましょう。 |
キャラクター | 3話【月下編3 突然の出来事】 |
コーキス | よし ! 大体片付いたぞ ! |
ミリーナ | 彼女のおかげね。私たちだけだと空を飛ぶ魔物に対処しきれなかったかもしれないわ。 |
コーキス | ですね。残りもあの人が倒してくれてるし。……しっかし、全然降りてこないな。人って飛べるんだ……。 |
ミリーナ | ………… ? |
コーキス | どうかしたんですか、ミリーナ様 ? |
ミリーナ | ……青い髪の槍を操る女性……。鏡映点リストで見かけたような……。……もう。イクスだったら完璧に覚えてる筈なのに。 |
コーキス | ちょっと待って下さい。マスターに連絡を……ってこんな時に限って繋がらないや。 |
コーキス | もし、ミリーナ様の言う通りならあの人は鏡映点だってことですよね。 |
ミリーナ | ええ。恐らくそうだと思うわ。あの人に話を聞いてみましょう。 |
コーキス | はい。あの様子だと魔物騒動についても何か知ってそうですしね。 |
コーキス | あ、最後の魔物も倒したみたいだ。――って ! もうどこかに行っちゃいそうですよ ! |
ミリーナ | 待って !私たち、あなたに話があるの。 |
女サンタ | ……悪いのだけど、私にはないわ。 |
ミリーナ | なぜあなたがこの世界に来たのかそれについての重要な話なの。 |
女サンタ | ……そう。じゃあまた今度ね。 |
コーキス | な、なんでそうなるんだよ ! ? |
女サンタ | 私には今、やらなければならないことがある。ただそれだけ。 |
? ? ? | ブォオ~。 |
コーキス | この鳴き声は ? !また魔物が街を襲いに来たのか ! ! |
女サンタ | …… ! |
コーキス | な、なんで俺の方に槍を向けるんだ。まさかあんた、俺たちの敵なのか ? |
女サンタ | ……あなたが彼に刃を向けるのなら。 |
ミリーナ | やめて、二人とも ! コーキス、武器を降ろして。空に現れた『彼』に襲い掛かってくる様子はないわ。 |
? ? ? | …………。 |
コーキス | は、はい、ミリーナ様。 |
女サンタ | バウル ! |
バウル | ブォオ~。 |
コーキス | あ ! 行っちまった……。なんだったんだ、あいつ……。 |
ミリーナ | 警戒されてしまったかしら。取り付く島もなかったわね。 |
コーキス | ミリーナ様、クリスマス飾りの手伝いは後にしてあの人を追った方がいいんじゃないですか ? |
ミリーナ | ……その前に一度ユーリさんたちと合流しない ?さっきの人なんだけれど、確かユーリさんたちがリストに挙げていたような気がするの。 |
コーキス | え ! ? じゃあ、あの人はユーリ様の仲間なんですか ? |
ミリーナ | その辺りのことも聞きたいし、魔物のことについても情報共有した方がいいんじゃないかと思って。 |
コーキス | 確かにそうですね。じゃあユーリ様たちのところに向かいましょう。 |
キャラクター | 4話【月下編4 ユーリたちを捜して】 |
コーキス | 見つけた ! カロル様ーっ ! |
カロル | あ、コーキス。どうしたの ? |
コーキス | これまでの情報を共有しようと思ってさ。 |
カロル | そうなんだ。で、どう ? これ ? |
コーキス | え ? 何のことだ ? |
レイヴン | コーキス君、服、少年の服。 |
コーキス | ああ。カロル様、サンタの服なんだな。 |
カロル | そう ! これ着て魔物を倒したらクリスマスムードも高まると思わない ? |
ミリーナ | ふふ、いいかもしれないわね。とっても似合っているわ。 |
カロル | でしょ ! ラピードもなんだよ ! |
ラピード | ワン ! |
コーキス | カロル様、なんだかテンション高いな……。 |
ユーリ | ははは。こういう時、カロル先生はネタ服で体張る役が定番なんだが今回はそうじゃないもんで、はしゃいでるのさ。 |
コーキス | カロル様……一体どんな扱いを受けてたんだ……。 |
リタ | ガキんちょの話はもういいでしょ。情報共有するんじゃないの ? |
ミリーナ | ええ、そうだったわね。それで、そちらは何かわかった ? |
リタ | 空飛ぶ魔物はもともと街の傍の山に棲んでたって話よ。で、どうやらクリスマス飾りを狙って街を襲うようになったんだって。 |
コーキス | そうなんだ。だから俺たちのところにも魔物が……。けど、なんでクリスマス飾りを ? |
エステル | おそらくカラスがキラキラするものを好むのと同じ習性があるんじゃないかと思います。あの魔物も鳥型ですし。 |
ミリーナ | ……あの魔物を追い払わない限り飾っては奪われるのイタチごっこというわけね。 |
レイヴン | ま、逆に言やあ、あの魔物どもを追い払ったらクリスマスを楽しめるってことよ。 |
ユーリ | だな。わかりやすくていいぜ。オレたち向きだ。 |
ユーリ | で、そっちは ?合流しにきたぐらいだ。何かあるんだろ ? |
ミリーナ | ええ。実はみんなの知り合いの可能性がある鏡映点の人と出会ったの。槍を振るう青い髪の女性よ。 |
カロル | え ? それって…… ! |
エステル | はい ! きっとジュディスです ! |
ミリーナ | やっぱりみんなの仲間だったのね。それなら話は早いわ。 |
ユーリ | 焦るなって。ミリーナ、コーキス、そいつ名前なんて言ってた ? |
コーキス | それがろくに話しもせず魔物を倒したらサッサと行っちまったんだ。空飛ぶ魔物に乗ってさ。だから名前も聞けてない。 |
レイヴン | ……十分な情報ね。そりゃジュディスちゃんに間違いないわ。 |
ミリーナ | 私はとにかく彼女と合流すべきだと思うんだけれどみんなはどうかしら ? |
エステル | はい ! わたしもそう思います。この世界に居るとわかったんです。すぐに迎えに行きましょう ! |
レイヴン | 賛成賛成~ ! ジュディスちゃんなら空飛ぶ魔物退治なんてお茶の子さいさいよ ! |
リタ | そうね。あいつも魔物倒して回ってるなら、目的は同じだろうし。丁度いいんじゃない ? |
ユーリ | ま、他のことはジュディと合流してから考えても遅くはないか。 |
ラピード | ワン ! |
カロル | 決まりだね ! |
コーキス | けどすんなり行くのかな。あの人、人を寄せ付けないっていうか……。 |
ミリーナ | そうね。ちょっと壁を感じたわ。 |
レイヴン | ふむ。初めて会った人にゃジュディスちゃんのあのミステリアスなとこは構えさせちまうか。 |
ユーリ | かもな。けど心配すんな、二人とも。ジュディはちっと距離感が独特ってだけだ。むずかしく考えるこたぁねぇよ。 |
カロル | うん。きっとすぐ慣れるって。 |
コーキス | ……まぁ、ユーリ様たちがいるから平気か。 |
ミリーナ | ええ。とにかくまずはジュディスさんと合流ね。 |
エステル | はい、行きましょう ! |
キャラクター | 5話【月下編5 ジュディスを捜して】 |
レイヴン | で、ジュディスちゃんどこに居るのよ。 |
コーキス | それがわかんねーんだよな。飛んで行っちゃったからさー。 |
ユーリ | ラピード、わかるか ? |
ラピード | クゥ~ン……。 |
レイヴン | さすがのわんこでも無理っぽいねぇ。 |
ユーリ | ジュディは空飛び回ってるし服もいつもと違うって話だしな。 |
ミリーナ | 彼女が魔物を倒して回っているのならその目撃情報を追ってみるのはどうかしら ? |
リタ | それなら魔物はクリスマス飾りを狙ってる訳だし飾りのある方に行った方が良いんじゃない ? |
コーキス | 飾り、まだ残ってるかなぁ。俺たち、手伝い切り上げちゃったし。 |
カロル | じゃあ飾りつけをボクたちでやったらそこに魔物が来るんじゃない ? そしたらジュディスも ! |
ユーリ | そんな都合よく行くかねぇ。 |
エステル | ……。 |
ユーリ | どうした、エステル ? |
エステル | あ、いえ、子供たちが楽しそうだなって……。 |
レイヴン | そういやそうね。プレゼント抱えてはしゃいでるわ。 |
ミリーナ | たしか、プレゼント配達はすごく良い人が見つかって手際よくどんどん配られてるって話よ。 |
ユーリ | へぇ。魔物騒ぎが起きてるってのにそんな気合入ったヤツがいるんだな。 |
リタ | っていっても、ちょっと危なくない ?魔物に出くわしたらどうするつもりなの、そいつ。 |
カロル | すごく強い人なんじゃない ?魔物に襲われても倒せるぐらい。 |
ユーリ | はは、そりゃ大したもんだ。って……。 |
全員 | んん ? ? |
全員 | それってジュディス ! ? |
カロル | 絶対そうだよ ! |
レイヴン | あ~……空を飛び回ってたら配達も捗るでしょうよ。 |
リタ | そう思ったらもう、そうとしか思えない……。 |
ユーリ | どうだ ? ミリーナ、コーキス。アテもなかったことだし、配達人を追ってみるってのも悪くないと思うぜ ? |
ミリーナ | いいと思う。ジュディスさんのことをよく知るユーリさんたちがそう言うんだもの。ね ? コーキス。 |
コーキス | じゃあそこの子供たちに配達人のことを聞いてきます ! |
リタ | …………………………。 |
エステル | あの、ユーリ……。リタのイライラがすごいことに……。 |
ユーリ | あ~……だろうなぁ。 |
レイヴン | およ、コーキスたち、聞き込み終わったみたいよ。 |
リタ | それで ! どうだったの ! |
コーキス | え~っと……今度は街の西側に行ったって……。 |
リタ | も~~~~~~~ ! !あの女、落ち着きなさすぎ ! ! ! |
カロル | リ、リタこそ、落ち着こう? |
リタ | 落ち着いてるわよ ! 西側ってさっきも行った !今いるここに来たのも3回目よ !なんで鉢合わせすらしないのよ ! |
カロル | ボ、ボクに言われても……。 |
レイヴン | いやぁ、改めて、ジュディスちゃんは走り出したらマジで止まらないわねぇ。 |
リタ | 空飛ぶイノシシなんてタチ悪すぎ ! |
ユーリ | そう言うなって。そのジュディの配達のおかげでガキどもが笑ってられるんだろ ? |
リタ | く……わかってるわよ……。 |
リタ | あー ! 魔物襲ってこい !ぶっ放させろ~ ! ! |
エステル | リタのためにも、早く追いつかないと……。 |
ミリーナ | そうね。急ぎましょう。 |
ミリーナ | ……。 |
キャラクター | 6話【月下編6 すれ違い】 |
レイヴン | なぁ青年、気付いてる ? |
ユーリ | ああ。ジュディの行った区画は被害がほとんどない。けど飛んでる先に都合よく魔物がいてそれを倒したからってワケでもない。 |
コーキス | どういうことだ ? |
レイヴン | ジュディスちゃんは魔物の注意を自分に向けるためにわざとヤツらの縄張りの空を飛び回ってるってこと。だから街に被害が出てないのよ。 |
ユーリ | ついでに魔物も倒してクリスマス飾りを取り返してもともと請け負ってたプレゼント配達もやる。一石三鳥ってところか。 |
カロル | ジュディスらしいや。 |
レイヴン | まったくよね。ジュディスちゃんってばどこに居てもデキるスーパーレディだわ。 |
エステル | ……たしかに一石三鳥かもしれないけど……。わたし、すごく不安です。囮として一人で飛び回り続けて休まず戦い続ける……危険すぎです……。 |
カロル | 大丈夫だよ。だってジュディスだよ ?自分にできないことをやったりしないって。 |
エステル | そうだといいんですけど……。わたし、なんだか無茶してるように思えて……。 |
ユーリ | ………。 |
ミリーナ | ……私もずっと気になってたの。ジュディスさんのことをまだよく知らないからなのかもしれないけど……。 |
ミリーナ | 私には彼女が他者を拒絶しているように思える。何かを一人で抱え込んで飲み込もうとしている……。そんな頑なさを感じるわ。 |
カロル | そ、そんなことないって !昔はちょっと……そんなとこもあったかもだけど……。 |
リタ | ……そうよ、そんなのは昔のこと……。今はそうじゃない、はず……。 |
リタ | だってあいつはあの時、昔の自分に戻りたいなんて思わないって……。 |
リタ | (……けど、突然知らない世界に来て、傍にいるのはバウルだけで……昔の自分に戻るしかないってぐらい追い詰められているんだとしたら…… ? ) |
リタ | ……。 |
コーキス | リタ様…… ? |
リタ | ……早く……。 |
リタ | 早くあいつと合流しないと ! |
コーキス | り、リタ様、どうしたんだよ、急に。 |
リタ | いやな予感がすんのよ !あいつ、このまま誰にも何も言わないでどっか行っちゃうんじゃ……。 |
エステル | そんな…… ! |
カロル | ど、どうしよう !ジュディス、どこにいるかわからないのに ! |
レイヴン | 嫌な予感てのは伝染しやがるな……。 |
ユーリ | とにかく落ち着け。そんなんじゃジュディがどうこうって話の前に魔物にだって足元すくわれちまうだろうが。 |
エステル | でも…… ! |
ラピード | ! ワンワン ! |
ユーリ | どうしたラピード ?……あれは ! |
カロル | わわ ! おっきい魔物が飛んで—— |
コーキス | 行っちまった……。俺たちに目もくれなかったな……。 |
ユーリ | ……みんな、追うぞ !あれはきっとジュディを狙ってる ! |
レイヴン | んだな。ヤツら、ジュディスちゃんに縄張り荒らされてオカンムリ、そんでついにボスがお出まし、そんなとこかね。 |
ミリーナ | いずれにせよ、あんな魔物を放っておけない。追いかけましょう ! |
キャラクター | 8話【月下編7 おかえり】 |
カロル | やったぁ ! |
コーキス | ふう、何とか倒せたな。まったく。どんな作戦だったにせよ次からはちゃんと話してくれよな、ジュディス様。 |
コーキス | 一人で街を救ってるつもりだった訳じゃないだろ ?……もしそう思ってたのなら、それは違うぜ。 |
ジュディス | ! ! |
リタ | コーキス、それ……。 |
コーキス | だってそうだろ、リタ様。みんなが頑張ったから被害を抑えられたんだ。 |
ジュディス | ……。 |
ジュディス | コーキス、だったわね。あなたの言う通り、私が間違っていたわ。 |
ジュディス | そちらのミリーナ、だったかしら、あなたたち二人に最初に会った時、ちゃんと話すべきだったのに。 |
ジュディス | 魔物を引き付けて倒しながらプレゼントを配る——それだけに没頭してしまった。そうすれば他のことを考えなくて済むから……。 |
ジュディス | 二人とも、本当にごめんなさい。 |
ユーリ | ……ジュディ……。 |
コーキス | 謝らないでくれよ、ジュディス様。怒ってるわけじゃないんだから。 |
ミリーナ | ええ。むしろたった一人で不安だったはずなのにみんなのために頑張ってくれてありがとう、ジュディスさん。 |
ユーリ | ……こりゃ、オレたちが間違ってたな。 |
レイヴン | ……んだな。 |
カロル | うん……。 |
ユーリ | コーキス、ミリーナ。謝らなきゃならないのはこっちの方だ。 |
ユーリ | 二人の方がよっぽどジュディを想ってくれてた。それなのに、オレは相性の話ぐらいに捉えて流しちまって……悪かった。 |
ユーリ | そんでジュディ。ジュディのことだからいつも通り上手くやってるんだろうと決めつけちまってた。 |
ユーリ | 悪かったな。すぐに駆けつけてやれなくて。 |
レイヴン | ホント……待たせてごめんね、ジュディスちゃん。 |
カロル | うん……ごめん。 |
ジュディス | ……。 |
ジュディス | ……今までどうにもならないことは忘却の彼方に投げ捨ててきたわ。今度もそのつもりだったけど……。 |
ジュディス | そうするということは、バウルだけを友として何も考えず飛び回っていた一人だった頃の私に戻るということ……。 |
ジュディス | けど、なんとかギリギリで投げ捨てずに済んだよう。ありがとうみんな。また出会ってくれて。 |
エステル | ジュディス…… ! |
リタ | まったく、不器用すぎよ。 |
ジュディス | ……ところで、みんなに言ってもらいたい言葉があるのだけれど ? |
ユーリ | ……ああ、わかってる。 |
レイヴン | 当然ね。 |
カロル | んじゃ、みんなで ! せーの ! |
五人 | おかえり ! |
ラピード | ワオーン ! |
ジュディス | ただいま。 |
ミリーナ | ふふ。良かった。 |
ジュディス | ミリーナ、コーキス。改めてよろしくね。 |
コーキス | こちらこそ、ジュディス様 ! |
ミリーナ | よろしくね、ジュディスさん。 |
ジュディス | ジュディスでいいわ。 |
ミリーナ | わかったわ、ジュディス。 |
ジュディス | 早速なんだけど、街のクリスマスのためにみんなに手伝って欲しいことがあるの。 |
コーキス | わかってるさ。一緒に魔物を退治してクリスマスの準備をしようぜ。 |
ジュディス | いえ、魔物が街に現れるようになった本当の理由、それが山にあるのよ。 |
ジュディス | 私一人じゃどうすることもできなかったけど、みんなと一緒なら解決できると思うの。 |
ミリーナ | ……その話、詳しく聞かせてもらえるかしら。 |
キャラクター | 9話【白鴉編2 空舞うドラゴン】 |
カロル | こ、こいつがジュディスの言ってたヤツ ! ? |
レイヴン | ……こんな魔物が現れたのなら、そこいらの小物が山を捨てて逃げ出してもおかしくないわ。 |
ユーリ | 大物が大好物のジュディがよく挑まずに我慢できたな。 |
ジュディス | あら。そこまで無鉄砲じゃないわ、私。 |
ユーリ | そりゃ悪かった。 |
コーキス | それにしても山奥でのこんな異変、普通じゃ見つけようがなかったな。 |
エステル | ええ。バウルと一緒に居るために山に籠っていたジュディスだからこそ見つけられたんですね。 |
リタ | バウルも大きい姿でこっちに来てたら、こんなの相手にビクビクしなくて済んだのに。 |
ユーリ | 小さな姿じゃなかったら大騒ぎになってるっての。 |
リタ | わ、わかってるわよ。ほら、とっとと倒して帰るわよ。 |
カロル | 油断しないで。こいつ結構厄介かも。 |
ミリーナ | ええ。あの巨躯で空を舞える相手だもの。攻め切る前に飛んで逃げられる、なんてこともあるかもしれない。 |
ユーリ | あいつがそこらの魔物と同じバカってんなら何も問題ないだろうが……。二人がそう言うなら用心に越したことはねぇな。 |
レイヴン | だな。あの面構えだしね。一癖二癖あってもおかしくないわ。 |
コーキス | 油断せず用心深くだな、わかった ! |
キャラクター | 11話【白鴉編4 レイヴンの作戦】 |
カロル | また空に逃げられちゃった……。 |
ミリーナ | 気を付けて。次は周りの敵が来るわ ! |
コーキス | もう何度目だ……この流れ……。 |
レイヴン | ……なんか、前にもこういうのあったねぇ。 |
エステル | 前に…… ? |
ジュディス | エゴソーの森でのことね。あの時も敵がどんどん押し寄せてきて、それをみんなで追い払って……。 |
リタ | ああ……。 |
レイヴン | ホント……よく覚えてるのよ。そん時のことはね……。 |
ユーリ | おっさん……。 |
コーキス | で、その時はどうやって乗り越えたんだ ? |
エステル | みんな、死ぬ気で頑張りました。 |
コーキス | はぁぁぁぁ ! ? |
カロル | でも実際、頑張るしかないんだ ! 今回も頑張ろう ! |
レイヴン | ……。 |
レイヴン | カロル君、ただ頑張るだけじゃダメよ。 |
カロル | え、そうなの ? |
レイヴン | エゴソーの森ん時、必要なのは時間だった。だから粘れば勝ちだったワケ。けんども、今はただ手をこまねいているだけよ。 |
レイヴン | いつ来るかわからない救援をアテにするのも危ない。現状を打破する具体的な作戦が必要よ。 |
ミリーナ | 確かに……その通りだわ。 |
ジュディス | おじさま、そういうからにはあるんでしょう ?具体的な作戦が。 |
レイヴン | よくぞ聞いてくれました ! 俺様が一人で囮になって雑魚ども引っ張るから、全員ででかいのを頼むわ。雑魚の邪魔が無けりゃ一気にいけるっしょ ? |
エステル | そんなの危険すぎます ! |
リタ | ……あきれた。ついこの前に同じようなことしてみんなに心配かけたヤツがいたの、もう忘れたワケ ? |
ユーリ | けど作戦そのものは悪くねぇ。囮をチームにすればいいんじゃねぇか ? |
カロル | そうだね !じゃあ……。 |
レイヴン | それじゃダメなんよ。この囮の仕事はつかず離れず引きまわすことよ。なんで直接ぶったたくヤツじゃあダメ。 |
レイヴン | そんで詠唱で足を止めることになるリタっちや嬢ちゃん、ミリーナちゃんもダメ。ってことで得物が飛び道具の俺様にしかできんのよ。 |
コーキス | じゃあダメだ。やっぱり危険すぎる。 |
レイヴン | ……そう言うなって。おっさん、今、死ぬ気で頑張ってみたい気分なんよ。 |
ユーリ | ……レイヴン。んなことしなくても、もうあの時とは違うってこと、わかってんぜ。 |
レイヴン | ……頼むわ。 |
リタ | っとに……不器用ぞろい。 |
エステル | レイヴン……。 |
カロル | なに ? 何の話 ? |
レイヴン | 皆まで言わせなさんな。ほれ、そろそろデカイのが降りてくる番よ。 |
ユーリ | わかった。任せるぜ、おっさん。 |
ミリーナ | 本当に……大丈夫なの ? |
レイヴン | おうともさ ! |
ジュディス | 頑張ってね、おじさま。はい、これ。 |
レイヴン | ん ? これって……浄玻璃鏡じゃないの。 |
ジュディス | ここに来る前に私が貰ったものだけどあげるわ。今は持ってないようだから。 |
コーキス | え、なんで自分のを携帯してないんだよ、レイヴン様。 |
レイヴン | あ~……いや~……。こいつは心の力に反応するものっしょ ?そんなもん俺が持っててもねぇ……。 |
ジュディス | 今もそう思う ? |
レイヴン | ……もらっとくわ。ありがとう、ジュディスちゃん。 |
カロル | おっきいのが降りて来たよ ! |
レイヴン | んじゃ、いっちょやりますか ! |