キャラクター | 1話【チョコ1 女心】 |
ルビア | ミリーナ、カカオとお砂糖はこっちに置いておくわね。 |
ミリーナ | ありがとう、ルビア。回復したばかりなのに自分から率先してお手伝いなんて本当に偉いわね。 |
ルビア | もう。子ども扱いしないで。体調はもうどこも悪くないし世話になりっぱなしはフェアじゃないと思っただけよ。 |
ミリーナ | ふふっ。またルビアに怒られちゃった♪ツンツンしてるルビアも可愛いわ。 |
ルビア | か、可愛いくもツンツンもしてないわ。ミリーナは明日がバレンタインだからってちょっと浮かれすぎよ。 |
ローエン | そういうルビアさんもどこかソワソワしているように感じられますよ。 |
カーリャ | ローエンさま !ケリュケイオンからこっちに来ていたんですね。 |
ローエン | 定期検診と軽い視察ということでお邪魔してます。今後イクスさん側と救世軍側で共同戦線を張る機会も増えると思いまして。 |
ミリーナ | こちらの戦力を把握しておいてもらった方が作戦も立てやすいですもんね。体調の方はどうですか ? |
ローエン | おかげさまでガロウズさんが作ったブレスレットを装着できるくらいには回復しましたよ。 |
ローエン | ですが精霊術の使用はまだ控えるようにと言われています。ルビアさんと違ってなにぶんジジイなものですから回復にも時間がかかるようです。 |
ミリーナ | ローエンさん……。 |
ローエン | おっと。ジジイの健康話ほど若者にとってつまらないものはないですね。失礼しました。ここはひとつ雰囲気を変えて恋バナでもしましょうか ? |
ルビア | な、なんであたしを見るのよ。 |
ローエン | 明日はバレンタインですから。 |
カーリャ | ルビアさまはカイウスさまにチョコを渡さないんですか ? |
ルビア | な、なんであたしが渡さなきゃならないの ! ?それじゃあ、あたしがカイウスのことを……。 |
ローエン | バレンタインとは恋人同士はもちろん、意中の人や大切な人に感謝と愛を伝える日です。日頃の感謝という名目ならいかがでしょう ? |
ルビア | ま、まぁ……カイウスには口喧嘩相手としていつも楽しませてもらってるし……。 |
ルビア | それに……この世界でもあたしのこと助けてくれてずっと看病もしてくれたのよね……。 |
ミリーナ | ええ。付きっきり。カイウスはずっと心配していたけどルビアが目覚めたときは本当に嬉しそうだったなぁ。 |
ルビア | そういうことなら……あたしもチョコを……。 |
カイウス | いけねっ。もうすぐ闘技場の開演時間だ。 |
ルビア | あっ。カイウス、ちょうどよかったわ。少しいいかしら。話があるの。 |
カイウス | ルビア ? 何かオレに用か ?急いでるから手短にな。 |
ルビア | えっと……その…………。 |
カイウス | ? |
ルビア | ……チョコレート、欲しい ?どうしてもあたしのチョコが欲しいなら特別に作ってあげなくもないわよ。 |
カイウス | …………。 |
ルビア | カイウス ? |
カイウス | あのなぁ、オレが甘いもの嫌いなの知ってるだろ。なんでわざわざチョコをお前にお願いしてまで食べなきゃいけないんだよ。嫌がらせか ? |
ルビア | なっ ! ち、ちが―― |
カイウス | あーはいはい。わかったわかった。いつもの口喧嘩ならまた今度な。それじゃあオレ急いでるから。 |
ルビア | あっ ! ちょっとカイウス ! |
ローエン | 行ってしまいましたね。 |
ルビア | …………。 |
ミリーナ | ル、ルビア。元気出して ?きっとカイウスは明日がバレンタインだって知らなかっただけよ。 |
ルビア | ……さない。 |
ミリーナ | えっ ? |
ルビア | 許さない ! こうなったら絶対にカイウスにチョコが欲しいって言わせてやる ! ! |
ミリーナ | ルビア、私も手伝うわ !一緒にこの困難に立ち向かいましょう ! |
ルビア | ええ ! ありがとう、ミリーナ !あたし、とりあえずお菓子の本と材料を揃えてくるわね ! |
カーリャ | あわわわわ。普通に渡せばいいのにどんどん話がややこしくなってますよ~ ! ? |
ローエン | 乙女の純情は複雑なのですよ。 |
ナタリア | …………はぁ。バレンタインですか。 |
ローエン | おや。あちらにも何やら込み入った事情がありそうな乙女がいらっしゃいますね。 |
カーリャ | だいたいなんで悩んでるかは想像つきますけどねぇ。 |
ミリーナ | とにかく放ってはおけないわ。 |
ローエン | 私も一肌脱ぎましょう。女性側のフォローはミリーナさん、男性側は私にお任せください。 |
ミリーナ | ローエンさん ? いいんですか ? |
ローエン | はい。これも共同戦線ということで。私もまだまだ現役、乙女心の理解において若い方々には負けませんよ。 |
ミリーナ | ふふっ。ローエンさんもまだまだお若いですね。それじゃあよろしくお願いします。 |
ローエン | ええ、こちらこそ。それではさっそく作戦を練るとしましょう。戦は事前の準備で勝敗が決まりますからね。 |
キャラクター | 2話【チョコ2 悩み】 |
ローエン | ……という策です。いかがでしょう ? |
ミリーナ | こんな短時間で……さすがローエンさん。私は何も異存ないです。 |
ローエン | 決まりですね。後は迅速かつ確実に作戦を実行するのみ。では、そちらはお任せしましたよ。 |
カーリャ | ミリーナさま~ !ルビアさまとナタリアさまを連れてきましたよ !談話室で待ってもらっています。 |
ミリーナ | ありがとう、カーリャ。いまそっちに行くわね。 |
ナタリア | ルビア。その本は何ですの ?ずいぶん熱心に読んでいますわね。 |
ルビア | お菓子作りの本よ。チョコレートを使ったお菓子を調べているの。けど、なかなかいいレシピがないのよね。 |
ナタリア | チョコレート……。明日はバレンタインデーですものね……。 |
ルビア | ナタリアは誰かに渡さないの ? |
ナタリア | 私は、渡さないことに決めましたの。 |
ルビア | えっ。渡さないってどうして ? |
ナタリア | いくら自分が渡したいと思っても美味しくないものを受け取った相手は困ってしまいますでしょう ? |
ルビア | ナタリア……相手を想って渡さないのね。 |
ナタリア | 私もルビアたちのように、料理ができたらよかったのですが……。 |
ナタリア | いえ、ごめんなさい。人を羨んでいても何もはじまりませんのに。 |
ルビア | ……あたしはナタリアやミリーナが羨ましいわ。二人とも大人っぽい素敵な女性って感じですごいなって思う。 |
ルビア | あたしはすぐムキになっちゃうし……自分でも普通に渡せたらいいのにって思うけど素直になれないし……。 |
マギルゥ | ならばバレンタインデーのことなどいっそ忘れてしまってはどうじゃ ? |
ルビア | マギルゥ ! ? |
ナタリア | いきなりなんですの ? |
マギルゥ | 聞いたところによるとバレンタインデーはお菓子業界が仕組んだ陰謀という可笑しな説もあるそうじゃ。 |
ナタリア | お菓子業界の陰謀 ! ?知りませんでしたわ ! |
ルビア | ちょっとナタリア ! ?簡単に信じすぎじゃない ! ? |
マギルゥ | 信じるも信じないもお主ら次第じゃ。だがバレンタインデーなどという行事に踊らされておるお主たちに、これだけは言っておくぞ。 |
マギルゥ | 誰かの手のひらの上で踊らされたあげく悩み苦しむことほど馬鹿らしいものはない。そうは思わぬかえ ? |
ナタリア | ……それは確かに。 |
マギルゥ | そこで儂とバレンタイン撲滅委員会を結成じゃ ! |
ナタリア | それは遠慮しておきますわ。何をするのかはわかりませんが明日という日を楽しみにしていた人もいるのですから。 |
ルビア | そうよ ! そんなの絶対ダメ ! |
マギルゥ | まったくノリが悪いのう。バレンタインデーもお主たちともやっておれんわ。 |
ミリーナ | ……ねぇ、ちょっとした一工夫で何事も変わるものよ。たとえば、マギルゥも一緒にチョコを作ってバレンタインデーを楽しんじゃうとか。 |
二人 | ミリーナ ! |
ミリーナ | お待たせ、二人とも。 |
マギルゥ | 言っておくが儂は絶対に参加せんからな。愛だか日頃の感謝だかしらんがそんなもの儂にとってはどーでもいいわ。 |
カーリャ | あははっ。マギルゥさまってばめっちゃ寂しい人っぽいですね。 |
マギルゥ | これ羽虫 ? ツッコミ役が来たのは嬉しいが笑顔でそこまで言われるのはさすがのマギルゥ姐さんの笑顔も引きつるぞ ? |
マギルゥ | ともかく談話室もバレンタインデーの雰囲気に染まってしまったようじゃな。儂は安寧の地を求め出て行くとするかの。 |
カーリャ | ありゃ。行っちゃいました。 |
ナタリア | ミリーナ。話があると言うから来たのですがもしかしてバレンタインデーについてですの ? |
ミリーナ | ええ。ナタリア、アッシュさんに渡したいのに悩んでいるように見えたから。お節介だったらごめんなさい。 |
ナタリア | さすが鋭いですわね。ええ、その通りですわ……。 |
ナタリア | ……あの、一応言っておきますけれどアッシュだけではなく、ルークやガイや大佐……日頃お世話になっているみんなにですわよ ? |
ミリーナ | うふふ、わかってるわ♪ナタリアの気持ちは。 |
ミリーナ | そんな悩めるナタリアとルビアにちょっとしたアドバイスよ。まずはルビア、この本を参考にしてみて。 |
ルビア | お洒落な表紙……。大人向けのスイーツレシピ集 ? |
ミリーナ | これなら甘くないビターなテイストのスイーツもたくさん載っているわ。 |
ルビア | あっ ! 見落としてたわ !ありがとう、ミリーナ ! |
ミリーナ | そしてナタリアにはこの特別なカカオ。 |
ナタリア | 特別なカカオ ?普通のものと変わらないように見えますわよ。 |
ミリーナ | これはね……必ず美味しいチョコレートが作れるカカオよ。 |
ナタリア | 必ず美味しいチョコレートが作れる ! ?それは本当ですの ! ? |
カーリャ | えー。そんな都合のいいものあるんですかー ? |
ミリーナ | ……カーリャ ? |
カーリャ | あ、はい。お口にチャックします。 |
ナタリア | 自分の見識の狭さを痛感しますわ。世間にはそのようなカカオがあるなんて……。 |
ルビア | ……ナタリア、こういうの信じ込みやすい人なのね。 |
ナタリア | え ? 何かおっしゃいました ?ごめんなさい。興奮してちゃんと聞いていませんでしたわ。 |
ルビア | う、ううん。何でもないわ。 |
ナタリア | ところでミリーナ。このカカオはどこで売っていますの ? |
ミリーナ | これはローエンさんから頂いたのよ。とても貴重なものだからこれしかないし今後も手に入らないだろうと言っていたわ。 |
ナタリア | ご厚意ありがとうございます。ですが本当に受け取ってよろしいんですの ? |
ミリーナ | 自分が持っていても仕方がないからぜひナタリアに使って欲しいと言っていたわよ。煮るなり焼くなり好きにしてくださいって。 |
ナタリア | ……ローエンが。 |
ミリーナ | ナタリア、一緒にチョコを作りましょうよ。 |
ナタリア | …………。 |
ミリーナ | ナタリア ? |
ナタリア | このご恩は生涯忘れませんわ。 |
ナタリア | 私もチョコレートを作ります ! |
キャラクター | 3話【チョコ2 悩み】 |
カイウス | アッシュ ! 聞いてくれ !闘技場の最高観客動員数が更新されたぞ ! |
アッシュ | すでに知らされている。騒ぐほどのことでもないだろうに。 |
カイウス | ったく、つれないな……って、何だよそのプレゼントの山は ! ? |
アッシュ | チョコレートだ。 |
カイウス | またファンのプレゼントか ! ?さすがアッシュ、すごい人気だな。レイヴンさんが見たら嫉妬で狂っちゃうんじゃないか。 |
アッシュ | …………。 |
カイウス | アッシュ ? どうかしたのか ?嬉しくないのかよ。 |
アッシュ | いや。嬉しくは思うが……。 |
ローエン | 大切な人からのチョコは未だ届かず。そうですよね、アッシュさん。 |
アッシュ | 何の用だ ? |
ローエン | 吉報を届けに来ました。それともチョコがよかったでしょうか。 |
アッシュ | チョコはもうたくさんだ。 |
カイウス | あの……ちょっと待ってくれ。なんでチョコなんだよ ?最近よく聞くけどチョコが流行ってるのか ? |
アッシュ | 何を言っている。今日はバレンタインデーだぞ。 |
カイウス | えっ ! ? 今日がバレンタインデー ! ? |
ローエン | やはりご存じではなかったのですね。 |
カイウス | そういうことか。どおりでみんなチョコの話を―― |
カイウス | まさかルビアもバレンタインデーだからオレにチョコを…… ! |
カイウス | あのなぁ、オレが甘いもの嫌いなの知ってるだろ。なんでわざわざチョコをお前にお願いしてまで食べなきゃいけないんだよ。嫌がらせか ? |
カイウス | どうしよう……。オレ、ルビアに酷いことを……。 |
ローエン | 誰にでも間違いはあります。真摯に向き合えばルビアさんもきっと許してくれます。 |
カイウス | ローエンさん……。ありがとう。そうだよな……ルビアが素直じゃないのは幼馴染みであるオレが一番わかってるんだ。 |
カイウス | オレ、とりあえずルビアに謝ってくるよ。 |
ローエン | アッシュさんもナタリアさんの元に向かわれた方がよろしいのではないですか ? |
アッシュ | ……余計なお世話だ。それにナタリアは進んで料理はしない。する必要もない。王女なんだからな。 |
ローエン | それはもちろん存じております。ですがもし仮に、ナタリアさんが手作りチョコを渡してきたら、あなたは食べますか ? |
アッシュ | ナタリアが ? そんなことはありえん。あいつはそこまで押しつけがましい人間ではない。 |
ローエン | たとえばの話ですよ。いいですから、答えを聞かせてください。 |
アッシュ | …………。 |
アッシュ | 食べる。 |
アッシュ | ……たとえこの身がどうなろうと。 |
ローエン | あなたならそう言ってくれると思っていました。いやぁ、よかったよかった。 |
アッシュ | どういう意味だ ? |
ローエン | いま、ナタリアさんはあなたにチョコを作っています。 |
アッシュ | なんだと ! ?どうしてナタリアが……まさかお前が ? |
ローエン | 事後報告となってしまい恐縮です。 |
アッシュ | わかっているのか ? ナタリアのチョコを食べればきっと俺は気を失ってしまうだろう。そうしたらあいつを悲しませてしまう……。 |
ローエン | ご安心を。絶対に美味しくなるカカオ……は当然この世にありませんがこの薬が問題を解決してくれるでしょう。 |
アッシュ | なんだこれは ? |
ローエン | ジュードさんと共同開発した超強力な解毒剤です。服用した瞬間、一時的に味覚や触覚を遮断。体内の抗体を活性化させチョコを分解します。 |
アッシュ | つまりこの薬を飲んでしばらくはナタリアの料理を食べても耐えしのげるのか ? |
ローエン | その通りです。まだ試験段階で副作用の心配があり服用は1度きりとなってしまいますが―― |
アッシュ | 今がその時ということか。 |
キャラクター | 4話【チョコ3 勘違い】 |
カーリャ | ミリーナさま ! カイウスさまが戻ってきました。もう少しでこっちに来ますよ。 |
ミリーナ | ローエンさんがうまいことやってくれたようね。ルビア、チョコレートの準備はできた ? |
ルビア | ええ。ちゃんと完成してラッピングも終わったわ。 |
メルディ | ルビア ! 後はカイウスに渡すだけだな ! |
ルビア | そ、そうよね。渡すだけよね。けど……もし、いらないって言われたら……。 |
ミリーナ | 大丈夫よ。ルビアが一生懸命作ったチョコだもの。カイウスなら必ず受け取ってくれるわ。 |
ルビア | ……ミリーナ、ありがとう。うん、こういうときこそ勇気を出さなきゃ。 |
ルビア | 旅を通じて……カイウスは前よりもほんのちょっとだけど、カッコよくなったんだもん。あたしだって……ミリーナやナタリアみたいに……。 |
ミリーナ | ルビア ? |
メルディ | カイウス、来たよ ! |
カーリャ | いっけぇ ! ルビアさまっ ! ! |
ルビア | うん。行ってくる。 |
カイウス | ルビア ! いるか ? |
ルビア | な、なによ。 |
カイウス | ちょっと話があってさ。 |
ルビア | そう。まああたしもカイウスに用があったからちょうどいいわ。 |
カイウス | えっ。オレに用って ? |
ルビア | と、とにかくカイウスから話しなさいよ。 |
カイウス | えっと……昨日はごめんな。オレ、バレンタインデーのことすっかり忘れてて……ホント、バカだよな。 |
ルビア | ホント、大馬鹿よ。だいたいカイウスは昔から――じゃ、じゃなくて ! いまのナシ ! |
カイウス | ……ルビア ? |
ルビア | も、もう~、カイウスったらうっかり屋さんね。けど大丈夫。あたしは全然気にしてないわ。だからカイウス、謝らないで ? |
カイウス | ! ? ! ? |
ルビア | な、なに ? どうかしたの ? |
カイウス | えっと……ルビア。何か悪いものでも食べたのか ?少しおかしいぞ。 |
ルビア | お、おかしいって……くっ !我慢、我慢よ……。 |
メルディ | ルビア……こらえてるよ。けど、もうドッカーンいきそうだな。 |
ミリーナ | ルビア……頑張って。 |
カイウス | そっか。とにかくルビアが全然気にしてないんだったらよかったよ。オレの考えすぎだったんだな。 |
ルビア | え、ええ。そうよ。 |
カイウス | まあルビアがそんな些細なことで傷付くわけないもんな。繊細な乙女かっての。 |
ルビア | …………そ、そうよねぇ。繊細な乙女じゃないものね、あたしは。 |
カイウス | ルビア ? どうしたんだよ ?やっぱいつものルビアと違うぞ。 |
ルビア | そんなことないわよ。なんでこのあたしが口喧嘩でこうも負けてあげなきゃいけないの、なんて思ってないわ。 |
カイウス | そ、そうか。ところでオレに用って……。 |
ルビア | ……えっとね、その。こ、これ…………チョコ……。甘くないからきっとカイウスも食べられるわ。 |
カイウス | ルビア……。わざわざオレのために作ってくれたのか。 |
ルビア | ? カイウスのため ?あたしが ? |
ルビア | な、なに言ってるの ! ?勘違いしないでよね !なんであたしがカイウスなんかのために―― |
ルビア | って、あぁもうっ。とにかく違うんだから ! |
カイウス | ルビア ! ? どこ行くんだよ ! |
ルビア | はぁ……落ち着いたお姉さんっぽく振る舞おうと思ってもダメだったわ。 |
ミリーナ | あともう少しだったのに。ルビア、どうしちゃったの。 |
ルビア | だって……あんなにカイウスに口喧嘩で負けてあげたでしょう ? |
ルビア | そのうえあたしがカイウスのためにチョコを作ったなんて……なんだかあたしが完敗みたいじゃない。 |
メルディ | ルビア……何と戦っているか……。 |
ルビア | とにかく他の方法を考えないと……。 |
ガイアス | ミュゼ。少し待て。 |
ミュゼ | 何呑気なことを言っているの。そんなことではバレンタインが終わっちゃうわよ。 |
ルビア | ガイアスさん ! ミュゼさん ! |
メルディ | すごいチョコの数だよぉ。お店でもはじめるか ? |
ミュゼ | ううん。みんなに配っているのよ。というわけであなたたちも受け取って。 |
メルディ | バイバ ! ミュゼ、いきなりチョコ投げるのびっくりするよ~っ。 |
ミュゼ | ごめんなさい、無駄話している時間はないの。それじゃあね。 |
メルディ | あっ……ミュゼ、行っちゃったな。とても焦ってる感じだったよ。 |
ガイアス | ミラの仲間たちにチョコを配ることで親睦を深めようと考えているらしい。 |
ミリーナ | みんなと仲良くなればミラとの仲も深まるはず……というわけね。 |
ガイアス | 一番の狙いはそこだろうな。チョコを投げつけて好感度を下げている気がしないでもないが……。 |
ミリーナ | ふふっ。なりふり構っていられないほどミュゼはミラのことが大好きなのね。 |
ミュゼ | ガイアス、はやく来て。特別に2つチョコをあげたんだからその分、きっちり働いてもらうわよ。 |
ガイアス | 俺も迂闊だったが、腹に入れてしまった以上は仕方ない。それではな。 |
メルディ | ミュゼがこと手伝うガイアス、優しいな。ファラとリッドみたいよ。 |
ミリーナ | 確かにちょっと似ているところがあるわね。なんだか微笑ましいわ。ルビアもそう思わない ? |
ルビア | …………。 |
ミリーナ | ルビア ? |
ルビア | 閃いたわ ! みんなにチョコを渡せばいいのよ ! |
キャラクター | 5話【チョコ4 ミュゼのバレンタイン】 |
ナタリア | ふふっ。少しばかりボヤ騒ぎを起こしてしまいましたが無事、チョコレートが完成しましたわ。 |
ティア | ナタリア、応援しているわよ。もしかしたら照れてしまうかも知れないけれど……ナタリアなら大丈夫。勇気を持って渡すだけよ。 |
アニス | そうそう。それで勢いにまかせて今度こそアッシュとぶちゅーっだよ。もうぶちゅーーって ! |
ナタリア | ア、アニス ! はしたないですわよ ! |
ルビア | みんな ! まだカカオって余ってる ? |
ティア | ええ、ミリーナが仕入れておいてくれたからまだまだたくさん残っているわよ。 |
ルビア | よしっ。あたしもミュゼみたいにみんなにチョコを作るわ。 |
ミュゼ | さあ。ジュードたちもチョコを受け取って。 |
ジュード | ありがとう、ミュゼ。ローエンは出かけているから後で僕から渡しておくね。 |
ミラ=マクスウェル | ミュゼのチョコか……じゅるり。 |
アルヴィン | けど、まさかあのミュゼからバレンタインチョコを貰う日がくることになるとはな。敵対していたことからじゃ考えらんねぇぜ。 |
ミュゼ | ふふっ。毒が入っていたりして ? |
エリーゼ | うっ、嘘ですよね ! ? |
ティポ | 笑えない冗談やめてーっ ! |
ガイアス | 安心しろ。味は保証する。味は、な……。 |
レイア | ガイアスが言うならきっと大丈夫だよね。よし、せっかくだし食べよう !包みを開けてっと……。 |
アルヴィン | って、何だよこの青緑色のチョコ ! ? |
レイア | うげぇ……。食欲が消し飛ばされたよ……。 |
ティポ | チョコも気分もブルーだぁ……。 |
ミラ=マクスウェル | これは……独創的だな。 |
エリーゼ | ミラのよだれもとまっちゃいましたね……。 |
ミュゼ | 私のイメージカラーにしてみたのよ。……ガイアスと相談して。 |
ガイアス | ……包装の色ではなくチョコの色の相談だったとは思わなかった。皆、すまない。 |
ミラ=マクスウェル | だが、せっかく作ってくれたものだ。私はもらうとしよう……はむっ。 |
レイア | ちょっ、ミラ ! |
ミラ=マクスウェル | うん。美味しいな。ありがとう、ミュゼ。 |
ミュゼ | (きゃ~♪ ミラが私にありがとうって !これはお姉ちゃんって甘えてくる日も近いかも ! ?そうなったら毎日チョコ作ってあげちゃうんだから ! ) |
ジュード | ……どうしたの、ミュゼ ? |
ミュゼ | 別になにもないわ。あなたたちのチョコはミラのついでなんだから感謝しなくて結構よ。 |
マギルゥ | なんじゃ。ここでもバレンタインデーモードかえ。 |
ミュゼ | あら。マギルゥとビエンフーじゃない。ちょうどよかったわ。二人にもチョコをプレゼントするわね。 |
ビエンフー | い、いま……チョ、チョコを……くれると、言ったでフか……。 |
マギルゥ | あー、いらんいらん。バレンタインなどに流されてたまるものか。 |
ビエンフー | ならボクが姐さんの分ももらうでフよ !お願いしますでフ !ミュゼ、チョコをくださいでフ ! ! |
ミュゼ | ふふふ。よっぽど欲しかったのね。はい、どうぞ。 |
ビエンフー | や、やったでフ ! !とうとうボクもチョコゲットでフ ! ! |
マギルゥ | なにを浮かれておる。俗に言うただの義理チョコだろうに。 |
ビエンフー | それでも嬉しいのが男心というもの。まぁ、姐さんにはわからないとは思いまフが。とにかく、ありがとうでフ、ミュゼ♪ |
マギルゥ | むっ。 |
ビエンフー | それじゃあさっそく人生で初めてもらったバレンタインチョコを―― |
マギルゥ | おっと。ちょうど甘味がこんなところに。いやぁ、甘いものが食べたくて仕方なかったのじゃ。 |
ビエンフー | ね、姐さん ! ? なにするでフか ! ?返してくださいでフ ! ! |
マギルゥ | 儂のモノは儂のモノ。使役聖隷のモノも儂のモノじゃ……はむっ。 |
ビエンフー | あぁっ ! ぜ、全部食べることないじゃないでフか ! !酷いでフ ! あんまりでフよ ! !ビエ~~~~~ン ! ! |
マギルゥ | ふんっ。 |
ミュゼ | 放って置いて大丈夫なの ?あなたたち、使役関係にあるんだからこのままでは取り返しがつかなくならない ? |
マギルゥ | 確かにビエンフーは儂の使役聖隷じゃが……取り返しがつかないとはどういう意味じゃ ? |
ミラ=マクスウェル | し、使役だと ! ?お前たちがそんな大人な関係だったとは……。マギルゥも意外と大胆なのだな。 |
マギルゥ | ちょっと待て。なぜ頬を赤らめておる ? |
ミラ=マクスウェル | ミュゼ。これはおそらくマンネリというやつだ。二人のためにも一肌脱ごうではないか。精霊側の意見が参考になるかもしれない。 |
ミュゼ | きっとマギルゥに良いアドバイスができると思うわ。善は急げよ、行きましょう。 |
マギルゥ | なっ、ちょ ! 放せ !どこに連れて行く気じゃ~~っ ! ! |
カイウス | ガイアスさん。何かあったのか ?騒がしいから来てみたんだけど。 |
ガイアス | 気にするな。……今はまだ知る必要はない。 |
カイウス | そ、そう。まあいいや。ところでルビアを捜しているんだけど―― |
ルビア | ガイアスさん、バレンタインチョコよ。ジュードたちにも渡したからガイアスさんも受け取って。 |
ガイアス | そうか、では、遠慮なく……。 |
カイウス | ルビア、何やってるんだよ ! ? |
ルビア | あら。カイウスじゃない。ちょうどよかったわ。 |
ルビア | あたし、みんなにチョコを配ってて……えっとその……。 |
ルビア | つ、ついでにカイウスの分も作ったからこれ受け取って ! |
カイウス | …………ついで、か。 |
ルビア | えっ……。 |
カイウス | い、いや。何でもない。ルビア、ありがとうな。 |
カイウス | オレ、ルビアからもらえないかもって思ってたからついででも嬉しいよ。それじゃあもらって―― |
ルビア | や、やっぱりダメ ! |
カイウス | はあ ! ? なんだよいきなり。 |
ルビア | だってこのチョコだけは……。 |
カイウス | ルビア ? |
ルビア | カイウスのバカ !あたしからついでって言われて嬉しそうにしないでよ ! |
カイウス | あっ ! ルビア ! |
カイウス | ……ったく、なんだよ !人のこと振り回して……いい加減、頭来た !ルビアのチョコなんてこっちから願い下げだ ! |
ローエン | おや。想像していた以上に事態が複雑化しているようですね。 |
ミリーナ | ローエンさん。どうしましょう。何か解決策はありますか ?私もできることがあれば手伝います。 |
ローエン | いえ。あとはこのジジイにお任せください。ミリーナさんにとっても大切なバレンタインデーなのですから。 |
ミリーナ | ローエンさん……。ありがとうございます。 |
メルディ | ミリーナ ! チョコ準備できたよ !渡しに行こうな ! |
ミリーナ | ええ ! 行きましょう ! |
ローエン | ふふっ。青春ですね。では私も最後の仕上げにかかるとしますか。 |
キャラクター | 6話【チョコ5 変わらないやりとり】 |
ルビア | はぁ……。 |
ローエン | ルビアさん。元気がありませんね。 |
ルビア | ローエンさん……。 |
ローエン | せっかく作ったバレンタインチョコ。カイウスさんに渡さなくてよろしいのですか ? |
ルビア | ……いらないって言われちゃったわ。 |
ローエン | ですがルビアさんは渡したいと思っている。違いますか ? |
ルビア | ……あたしなりに色々と考えて頑張ってみたのよ。けど、どの作戦も全然うまくいかなかった。 |
ルビア | みんなみたいに普通に渡せばいいって思われるかもしれないけど……あたしにはどうしてもできないの。 |
ルビア | こんなんじゃダメだなって自分でもわかってるけど……。 |
ローエン | 誰にでもできることとできないことがあります。無理する必要はないと思いますよ。 |
ルビア | けど、どう渡したらいいのかわからなくて……。 |
ローエン | 机の前に座ってどれだけ唸っていても妙案が浮かぶとは限りません。そこでお散歩がてら私とデートなどいかがでしょう ? |
ルビア | ローエンさんと ! ? |
ローエン | ふふっ。もちろん冗談です。ですが気分転換になることはお約束しますよ。 |
ルビア | 何か考えがあるのね。そういう顔をしているわ。 |
ローエン | おや、なかなか鋭いですね。 |
ミリーナ | メルディ。私も準備できたわ。イクスとキールは書庫にいるみたいね。 |
メルディ | はいな ! れっつごー ! |
ローエン | お二人とも、ちょうどいいところに。ルビアさん、行きますよ。 |
ルビア | あっ。待って、ローエンさん。 |
キール | …………。 |
イクス | キール。さっきからソワソワしてどうかしたのか ?何か気がかりなことがあるなら相談に乗るぞ。まあ俺に答えられるかはわからないけど。 |
キール | な、なにを言っている。ソワソワしてもいないし気がかりなこともない。 |
キール | まったく。今日がバレンタインデーだからってチョコがもらえるかどうか気にしているそこらへんの奴とぼくを一緒にしないでくれ。 |
イクス | あっ。今日ってそういえばバレンタインデーか !前回のバレンタインデーは参加できなかったから楽しみだな ! |
キール | 意外だな。イクスはこういった行事にあまり感心がないタイプかと思っていた。 |
イクス | 俺、毎年お菓子業界がどういう戦略で市場に消費を促すかチェックするのが楽しみなんだ。逆チョコを推してきたときには感動したよ。 |
ミリーナ | もうイクスったら ! 最高ね !ちょっと陰謀論者っぽいところも可愛いわ !何もかもが好き ! バレンタインチョコよ ! |
イクス | ミリーナ……。発言が微妙に支離滅裂だぞ。ちょっと落ち着いてくれ。 |
メルディ | キール、お待たせ !メルディが手作りチョコだよ ! |
キール | メルディ…… !い、いや、べっ、別に待ってなんかいないさ !お前は一体なにを……。 |
二人 | ハッピーバレンタイン♪ |
キール | ま、まぁ……受け取ってやる。研究漬けで糖分が不足していたからな。至急、甘い物を摂取する必要があったんだ。 |
キール | それにぼくの頭の働きが鈍ってしまってはキール研究室の精霊分野における発展にも多大な遅れが生じてしまう。 |
キール | 仮にぼくの頭の働きが6割以上低下した場合を考えてみよう。まず発生してくるであろう諸問題は大きく分類すると7つあり―― |
メルディ | キール……相変わらず話長いよ。それにそれトウブンじゃない。メルディがチョコ。 |
キール | 話が長くて悪かったな。つ、つまり要約するとだな……。 |
キール | ……ありがとう。 |
メルディ | はいな ! |
イクス | ミリーナもありがとう。それにしても今年のハート型のチョコは大きいな。俺の顔以上あるぞ……。 |
ミリーナ | だって前回は渡せなかったんだもの。その分も込めてよ。 |
イクス | そういうことか。ならちゃんと食べきらないとだな。その後は有酸素運動をたっぷりやらないと……。 |
ルビア | ふふっ。メルディとキール、それにミリーナとイクスも相変わらずね。 |
ローエン | おや、そうなのですか ? |
ルビア | ええ。バレンタインデーじゃなくてもあんなやりとりよくやってる印象だもの。 |
ローエン | それはそれは、微笑ましい限りです。 |
ナタリア | いけませんわ !ラッピングに凝っていたらもうこんな時間 !はやく広場に行きませんと ! |
ルビア | ナタリア ? |
ローエン | さあ次です。行きましょう。 |
キャラクター | 7話【チョコ7 ナタリアのバレンタイン】 |
ナタリア | ……アッシュ。ごめんなさい、待たせてしまいましたわね。 |
アッシュ | いや。俺もいま来たばかりだ。……それで、何の用だ ? |
ナタリア | バレンタインチョコを作りましたの。どうしてもこれをアッシュに渡したくて……。 |
アッシュ | その手に持っているのが……チョコなの、か ? |
ルビア | ……ローエンさん。いまナタリアのチョコで魚が跳ねた気がしたんだけど。 |
ローエン | 深くツッコミをいれてはいけません。何も見なかったことにしましょう。 |
ルビア | けど……大丈夫なの ?絶対に美味しくなるカカオなんて本当はないんでしょう。 |
ローエン | ええ。ですが問題ありません。既に対策はしております。 |
ルビア | ……あっ。アッシュが懐から何か取り出したわ。 |
ローエン | いよいよです。 |
ナタリア | このチョコは絶対に美味しくなるという特別なカカオで作りましたのよ。ですから絶対に美味しいはずですわ。 |
ナタリア | ……食べていただけます ? |
アッシュ | もちろんだ。断る理由などどこにもない。ありがとう、ナタリア。 |
ナタリア | …………アッシュ。 |
ナタリア | ――っ。 |
アッシュ | ナ、ナタリア ! ? どうした ! ?気分でも悪いのか ! ? |
ナタリア | いいえ。私、嬉しいんですの。私の料理を……笑顔で受け取ってくれる方がいたことそしてそれがあなただということが……。 |
ナタリア | 美味しいチョコが作れてよかった……。 |
アッシュ | …………ナタリア。 |
ナタリア | アッシュ。そ、その……あ、あ~ん……ですわ。 |
アッシュ | うっ…………。 |
アッシュ | …………ッ。 |
ルビア | 待って !アッシュが薬を懐に戻したわ ! |
ローエン | まさかアッシュさん ! いけません ! ! |
アッシュ | あんっ ! ! |
ナタリア | …………。 |
アッシュ | ………………うぐっ ! ? |
ナタリア | アッシュ ? |
アッシュ | ナ、ナタリアァァ ! ! ! !美味い ! このチョコは美味い !美味すぎるぞ ! ! |
ナタリア | アッシュ ! 叫び声をあげるほど気に入ってくださいましたのね ! |
ルビア | ちょ、ちょっとローエン。アッシュは大丈夫なの ! ? |
ローエン | このチョコは美味しいと叫び自らに暗示をかけることでなんとか正気を保っているのでしょう。無意識下の防衛反応のようなものです。 |
アッシュ | はぁ……はぁ……。ナタリア、1つ言っておくことがある。 |
アッシュ | たとえお前の料理が……その、少しばかり独創的な味付けであったとしても俺にとっては些末な問題だ。 |
アッシュ | お前が俺のために作ってくれたのならそれだけで俺にとっては十分嬉しい。いつだって喜んで食べる。どんなデキでもだ。 |
ナタリア | ……アッシュ。 |
アッシュ | ありがとう。ナタリア。 |
ナタリア | ……っ。ご、ごめんなさい。目にゴミが入ってしまったようですわ。ちょっと失礼しますわね。 |
アッシュ | …………行ったか。 |
ローエン | アッシュさん。お見事でした。どのようなデキであろうとナタリアさんのすべてを受け止めることを選ぶとは。 |
ルビア | ナタリア、とっても嬉しそうだったね。きっと、作ってくれた気持ちが嬉しいってアッシュに言われて安心したんだろうな。 |
アッシュ | …………。 |
ルビア | あれ ? アッシュ ? |
ローエン | 気絶してますね。 |
ルビア | 泡吹いてるじゃない !はやく医務室に運ばなきゃ ! ! |
キャラクター | 8話【チョコ9 マギルゥのバレンタイン】 |
ローエン | アッシュさん、なんとか持ち直したそうですね。間に合ってよかったです。 |
ルビア | ジュードとルカのおかげね。応急処置の素早さ、すごかったわ。 |
ローエン | ジュードさんも成長したのでしょう。医学校に在籍していたときよりここでの仕事は激務だとおっしゃっていましたから。 |
ローエン | それにルカさんという生徒もできましたからね。人に教えると言うことはさらなる気付きをもたらしてくれます。 |
ローエン | さて、それでは次の場所に―― |
ビエンフー | ビエーン ! 姐さん、放してでフ ! |
マギルゥ | うるさい ! 黙ってついて来い ! |
ルビア | マギルゥとビエンフー、またやってる……。 |
ローエン | ふふっ。それじゃああの二人を追いましょう。 |
マギルゥ | 入れ。この部屋じゃ。 |
ビエンフー | ここに何が……って、姐さん……これ、チョコレートフォンデュでフよね。まさかボクのために準備してくれたでフか。 |
マギルゥ | 何を勘違いしておる。これは余ったチョコを魔女釜で溶かした愛も感謝も義理もなーんにもないただの液体じゃて。 |
マギルゥ | あの精霊姉妹がどーしてもお前にチョコをプレゼントしてやれとうるさくてのう。だから儂は仕方なく―― |
ビエンフー | 姐さん ! ありがとうでフ !まさにソ~~グッドでフよ ! ! |
マギルゥ | ええい。ひっつくな、うっとうしい。黙ってこれでも口につっこんでおれ。 |
ビエンフー | アツッ……ね、姐さん ! ?ちょっ、アツいでフ ! ! |
ルビア | マギルゥ……はたからみてるとたまにビエンフーのことどう思ってるのかわからなくなるわね。 |
ローエン | 愛情表現が不器用なだけなのでしょう。きっと本人たちの間では通じ合っているものがあるのだと思います。 |
ルビア | そうなの ? |
ローエン | たとえばルビアさんとカイウスさんのような幼馴染みのように。 |
ルビア | あたしとカイウスみたいな……。 |
マギルゥ | ほれほれ。念願のチョコじゃぞ。アツアツのうちに食べるがよい。 |
ビエンフー | ね、姐さん。嬉しいでフけど……アツっ !アツいでフ ! 口の中がヒリヒリするでフよ ! |
マギルゥ | これしきマギルゥ奇術団のメンバーならば堪えられて当然じゃ。アツアツのおでんでないだけ―― |
ベルベット | ――水蛇葬 ! |
マギルゥ | ってこらぁ ! いきなりなにをする ! |
ベルベット | 食べ物で遊ばないの。 |
ビエンフー | ボクをかばってくれたわけじゃないんでフね……。 |
ロクロウ | それにしてもこのチョコレートフォンデュ、なかなかに美味いな。 |
エレノア | ライフィセットも食べますか ?こうやって串でイチゴなどを刺し、それをチョコにつけて食べるんです……はい、どうぞ。 |
ライフィセット | うん。ありがと。それじゃあ―― |
ベルベット | フィー、待って。 |
ライフィセット | な、なに ? |
ベルベット | こっちのイチゴの方が新鮮よ。あ、あたしが食べさせてあげるから……こっち来なさい。 |
ライフィセット | う、うん。 |
マギルゥ | うんうん。みんな楽しんでいるようで何よりってこれ儂が用意したんじゃが ! ?何を無断で食べておる ! ? |
ロクロウ | 愛も感謝も義理もなーんにもないんだろ ?なら勝手に食っても文句はないだろうが。 |
ライフィセット | えっと……ありがとうね、マギルゥ。 |
ベルベット | 礼なんていらないわよ。さっさと食べなさい。 |
マギルゥ | それはお主がいうことではなかろうに ! ? |
エレノア | ともかくこういったものはみんなで食べた方が美味しいですからね。ビエンフーもはい、これをどうぞ。 |
ビエンフー | わーい。エレノア様~、ありがとうでフ♪ |
マギルゥ | …………。 |
マギルゥ | やはりバレンタインデーなど儂は嫌いじゃ~~ ! ! |
ローエン | いやぁ。皆さんバレンタインデーを満喫していましたね。まさに青春、うらやましくなってしまいました。 |
ルビア | ……ローエンさん、ありがとう。 |
ローエン | 気分転換にはなりましたか ? |
ルビア | うん。色んな人たちのバレンタインデーを見てあたし、気付いたわ……。 |
ルビア | ミリーナとイクスたちみたいにバレンタインデーだからって特に意識せずいつも通りに……。 |
ルビア | ナタリアとアッシュみたいにチョコよりもプレゼントに込めた想いを大切に……。 |
ルビア | マギルゥとビエンフーみたいにちょっとやり取りが独特でもこれが自分たちだからって気にせずに……。 |
ルビア | そういう風に振る舞うのもいいのかなって。もちろんこれが正しいかはわからないけど。 |
ローエン | ルビアさんが導き出した答えであるということが重要なのだと思いますよ。 |
ルビア | ……ローエンさん。 |
ローエン | バレンタインデーが終わる前にラストチャレンジですよ。 |
ルビア | ええ ! あたし、カイウスのところに行ってくる ! |
キャラクター | 9話【チョコ10 ルビアのバレンタイン】 |
ルビア | カイウス。ちょっといい ? |
カイウス | ……なんだよ。 |
ルビア | えっと……その…………。 |
カイウス | …………。 |
ルビア | あたしのチョコが欲しいって言いなさい ! |
カイウス | ……はぁ ? |
ルビア | 聞こえなかったの ?あたしのチョコが欲しいって言いなさい ! |
カイウス | ちゃ、ちゃんと聞こえてるけどなんだよいきなり。 |
ルビア | このチョコ……ついでなんかじゃない。カイウスのために甘くないビターテイストにしたり頑張って作ったの。 |
ルビア | 味見のとき苦くて苦くてとっても大変だったんだから。あたしの苦労わかってるの ? |
ルビア | だから……だから……あたしのチョコが欲しくてたまらないんですっていますぐ言いなさいよ ! |
カイウス | わ、わかった !わかったから落ち着いてくれルビア ! |
ルビア | わかったならはやく ! |
カイウス | ……う、うぅ。 |
カイウス | ルビアのチョコが欲しい ! |
ルビア | 全然ダメ ! ワンスモア ! |
カイウス | ルビアのチョコが欲しいです ! ! |
ルビア | まだ足りない ! ワンスモア ! ! |
カイウス | オレは……オレは―― |
カイウス | オレはルビアのチョコが欲しくてたまらないんだっ ! ! |
周りの人々 | おおぉ~~ !ヒューヒュー ! ! |
ルビア | バ、バカ ! みんな見てるじゃない ! |
カイウス | オレが悪いのか ! ? |
ルビア | まったく。カイウスは仕方がないわね。そんなに欲しいなら……はい。あたしのチョコ、あげるわよ。 |
カイウス | はいはい……。 |
ルビア | うん ? |
カイウス | い、いえ……喜んでいただきます。 |
ルビア | 美味しくないって思ってもちゃんと全部食べること。残したら承知しないわよ。 |
ルビア | それからホワイトデーには必ずお返しをすること。あたしが一方的に贈るのはフェアじゃないもの。 |
カイウス | わかったよ。ちゃんと食べるしちゃんとお返しもする。約束だ。 |
ルビア | そう。ならよかった。 |
カイウス | ルビア。ありがとうな。 |
ルビア | えっ ? |
カイウス | ルビアはオレのこと……ちょっとカッコよくなったって言ってくれただろ。 |
カイウス | けどルビアはずっと……無理せずに、こういう感じのルビアでいてくれていいんだからな。 |
ルビア | ……カイウス。 |
カイウス | まあ、ちょっとは大人になれって思うけど。 |
ルビア | なによ ! |
カイウス | なんだよ ! |
二人 | …………。 |
二人 | ふふっ。 |
二人 | ハッピーバレンタイン ! |
キャラクター | 10話【チョコ10 ルビアのバレンタイン】 |
キール | アッシュ。もう身体の具合は大丈夫なのか ? |
アッシュ | お前ごときに心配される筋合いはない。もやし扱いはやめてもらおうか。 |
イクス | と、とにかく元気になったようでよかったよ。 |
カイウス | なんだか怒涛の1日だったな。オレ、すごい疲れたよ。 |
ガイアス | 俺もだ。ミュゼに付き合ってここまで疲弊するとは思わなかった。 |
キール | アジトで一番チョコを配っていたのは間違いなくミュゼだったからな。 |
イクス | そういえば一番もらった人は誰なんだろう……。 |
カイウス | それはたぶんアッシュだと―― |
ローエン | おや、皆さん。だいぶお疲れのようで。 |
イクス | ローエンさん……って、何ですかその大量のプレゼント ! ? |
キール | もしかして……全部チョコなのか ? |
ローエン | ええ。アジトだけでなく街の女性の方々の相談も引き受けていた結果皆さんからお礼にと頂いたものです。 |
カイウス | アッシュも闘技場のファンからすごい数もらってたけど……。 |
アッシュ | フフ……俺よりも多いな。 |
キール | もしかして……今回のバレンタインで一番チョコをもらったのはローエンってことになるんじゃないか ? |
ガイアス | 何やら画策しているようだったがローエン、もしやこれが狙いだったか ? |
ローエン | さあ。何のことでしょう。ともかく私としては皆さんのお役に立てて嬉しい限りですよ。 |
アッシュ | フ……。食えないヒゲジジイだ。 |
イクス | ともかくローエンさんもお疲れ様です。たくさんの人を手助けして大変でしたよね。 |
カイウス | そうだな。ゆっくり休むといい。 |
ローエン | 何を言っています。バレンタインデーは終わりましたが私たち男性陣は休んでいる場合じゃありませんよ。 |
一同 | ……まさか。 |
ローエン | ええ。ホワイトデーがありますから。皆さん、準備は宜しいですね ? |