キャラクター | 1話【目的】 |
カーリャ | ふえええ ! ? 近くで見るとますます大きく見えますね、この樹。 |
ミリーナ | ええ。こっちはアゼリア大陸――クレスさんたちの世界のアニマを元に具現化した大陸にある方の世界樹だから確か……ユグドラシルと言う名前だそうよ。 |
カーリャ | ミリーナさま。写真、撮り終わりましたか ? |
ミリーナ | ええ、ばっちり♪ |
カーリャ | ミトスさまはどうしてこの樹の写真が欲しいんですかね ? |
ミリーナ | 名前が同じだからかも知れないわね。 |
ミリーナ | ミトスには色々お願いしてしまっているからちょっと遠出して写真撮るくらいは私たちでやってあげないと。 |
カーリャ | サプライズですもんね !ミトスさま喜んでくれるといいですね ! |
? ? ? | 貴様が黒衣の鏡士、か。 |
ミリーナ | え…… ? |
カーリャ | ミリーナさまっ ! ? ミリーナさまーっ ! ? |
| 翌日 |
イクス | ミリーナの奴……。朝になっても帰ってこないなんて……。 |
ロンドリーネ | ごめん……。すぐに帰ってくるから誰にも言わないでって頼まれてて……。 |
ロンドリーネ | でも……まさか連絡が取れなくなっちゃうなんて思わなかったから……。 |
イクス | いや、ロディは悪くないよ。それより秘密だったのに話してくれてありがとう。 |
コンウェイ | 世界樹ユグドラシルの写真を撮りに行くなんて素敵だよね。ボクも誘って欲しかったな。 |
クラース | ……もしや世界樹を見たくてミリーナの捜索に来たのか ? |
コンウェイ | まさか。ミリーナさんの身を案じてついて来たに決まってるじゃないか。……それにしても本物の世界樹は素晴らしいね。想像以上だよ。 |
アーチェ | 本物っていうか、具現化した世界樹だけどね。 |
クレス | イクス ! あそこにいるのはカーリャじゃないか ! ? |
イクス | 本当だ ! ? カーリャ ! ? どうしたんだ ! ? |
カーリャ | イクス……さま……。ミリーナさまが……。連れていかれて……。 |
イクス | 何 ! ? |
すず | 周りに敵がいないか、確認してきます。 |
ミント | 今、法術で怪我を癒やします。そうすれば、少しはカーリャさんも楽になるはずですから。 |
チェスター | おい、カーリャ。少しは楽になったか ? |
カーリャ | はい……。ありがとうございます……。 |
クラース | 一体何があったんだ。帝国軍が現れたのか ? |
すず | ――いえ、周囲の草は踏み固められていません。足跡もほとんどない。軍隊ではないと思います。 |
すず | ただ、少し先の狩猟小屋が半壊していました。そこで何者かが戦った形跡があります。 |
カーリャ | きっと……あのイケメンですぅ……。 |
アーチェ | え ! ? ちょっとカーリャ、頭でも強く打ったの ! ? |
コンウェイ | ……まさか、とは思うけど。そのイケメンっていうのは金髪で長身のマントの男かい…… ? |
二人 | ! ! |
カーリャ | そうです。黒衣の鏡士かって……確認して……ミリーナさまをさらって……。 |
コンウェイ | ……確か、カロル調査室が出してきた最新のはぐれ鏡映点リストに、ダオスの名前があったよね。 |
すず | だとしたら、あの狩猟小屋で戦っていたのはミリーナさんとダオスということになりますね。 |
イクス | それで……連れていかれたのか。 |
ロンドリーネ | どうして……そんなことを……。 |
チェスター | あいつならやるだろ !オレたちの村だってそもそもあいつのせいで……。 |
クレス | こうしてはいられない。ミリーナの行方を捜そう。そこにダオスもいるなら、元の世界で途中だったダオスとの決着を、ここでつける ! |
イクス | ま、待ってくれ !ダオスはなんでクレスたちと敵対していたんだ ? |
イクス | ミリーナを殺さずにさらおうとしたのは、元の世界でやろうとしていたことに関係があるんじゃないかな。 |
イクス | 具現化された人は、みんな元の世界を強制的に捨てさせられた。それって果たしたかった願いとか目的も取り上げられてしまうってことだと思う。 |
チェスター | 関係あるかよ ! ? ミリーナがさらわれたんだぞ ! ? |
すず | カーリャさんも……こんな目に……。 |
クレス | ああ。ダオスが僕たちの世界でしてきたことを考えればティル・ナ・ノーグでも何かを企んでいるに違いない。 |
コンウェイ | ……クレスくんってダオスのことになるといつもと雰囲気が変わるんだね。 |
クレス | ――ダオスは倒すべき敵だ ! |
ロンドリーネ | ………………。 |
クラース | ――そう、私たちの倒すべき敵だ。だがこの世界においては、イクスの言うこともわかる。 |
クレス | クラースさん ! ? |
クラース | こうしよう。ダオスを追いかけ、ミリーナを取り戻す。それは当然のことだ。だが……ダオスの目的について彼に問いかけてみてはどうだ。 |
クレス | ………………。 |
チェスター | 奴と話して、何をしようとしていたのかがわかったところでどうなる ! ? |
チェスター | いくらこの世界にアミィを具現化されていても元の世界のアミィが辛い思いをしたのは変わらない !トーティス村だって…… ! |
ミント | ………………。 |
コンウェイ | でも、ダオスがこの世界に何かを仕掛けていた場合。ダオスを殺すことで、この世界に解けない呪いを放つことになるかも知れないよね。 |
アーチェ | んー、だから、ダオスの目的を知っておけってことか。 |
すず | 確かに、戦いにおいて敵を知ることは大事です。敵を知り己を知れば百戦危うからずといいます。 |
クレス | ……わかった。でも、ダオスが何も答えないまま攻撃してきたら――その時は元の世界で果たせなかった決着をつけることになる。それでいいかな、イクス。 |
イクス | ……ごめん。でもありがとう。 |
すず | 狩猟小屋から血の跡が続いていました。少量でしたから、致命傷による出血というよりはパンくずと同じではないでしょうか。 |
イクス | ミリーナがわざと残したメッセージか。リフィル先生の時と同じだな……。 |
クレス | それはどっちの方角に続いているんだい ? |
すず | ……あちらです。このまま森を抜けるとまっすぐ先にダオス城があります。 |
チェスター | ダオス城…… ! あそこか ! |
コンウェイ | なら、提案があるんだ。ボクとイクスくん、ロディさん、カーリャは、別働隊として動いたらどうかな ? |
コンウェイ | クレスくんたちはダオスに向き合うために正面から。ボクたちはミリーナさんを捜索するために別ルートから侵入する。 |
コンウェイ | クレスくんたちがダオスを引きつけて、ボクたちがミリーナさんを救出するための時間を確保してもらいたい。 |
コンウェイ | ミリーナさんさえ救出すれば、ゆっくりダオスの真意を聞けるだろう ? |
コンウェイ | ……まぁ、元の世界とは違うから干渉したことにはならないだろうし。 |
イクス | ? |
ロンドリーネ | ダオスの真意……。 |
イクス | ……えっと、うん。俺はそれでいいと思う。ただクレスたちはそれで構わないかな ? |
クレス | みんな――いいね。 |
チェスター | ああ。あいつを叩けるならな。 |
アーチェ | こんな形でダオスと戦うことになるなんてね。 |
すず | 私の覚悟は決まっています。 |
クラース | 無論、私もだ。 |
ミント | クレスさん、行きましょう。 |
クレス | ああ。そして僕たちは今度こそ、ダオスを――倒す ! |
キャラクター | 2話【使命】 |
クレス | や、やったのか ? |
クラース | いや、まだだ ! |
ダオス | ふはははは……。下等な生命体がここまでやるとは思わなんだぞ。 |
ダオス | この世界においてもはや貴様たちが私に刃向かう意味はないだろうに。それほどまでに死にたいか。 |
クレス | 意味ならある !僕は――トーティス村のみんなやミッドガルズのみんなのためにお前を倒す ! |
ダオス | ……良かろう。ならば私も全身全霊を賭して戦おうではないか ! ! |
クレス | て、手加減していたっていうのか ! ? |
ミント | ――待って下さい ! |
ダオス | ……この期に及んで命乞いか ? |
ミント | あなたに、聞きたいことがあります。前にあなたは、私たちとは戦う理由がないと言いました……。 |
ミント | 何故、ですか ? |
クレス | ミント ! ? |
アーチェ | クレス、これ以上続けたらもう最後まで行くしかなくなっちゃう。それじゃあ、イクスたちとの話が無駄になるじゃん。 |
ダオス | ……………………。 |
ダオス | それは……お前たちが魔科学に関わる者ではないからだ。 |
ミント | 何故、魔科学はいけないのですか ? |
ダオス | 魔科学はマナの力をことごとく使い果たしてしまうからだ ! ! 私は、魔科学を使う人間を抹殺しなければならなかった ! |
クラース | 何故、そうまでして魔科学を否定する ?確かに魔科学の力はすさまじいものだ……。 |
クラース | だが、人間も愚かではない !もう世界樹が枯れるようなことはしない ! |
ダオス | 本当にそう思うのか ?私がミッドガルズをほろぼさねばお前たちの星の世界樹はなかったのだぞ。 |
クレス | そうまでして、何故ユグドラシルを守る ! ?この世界では、ユグドラシルの写真を撮っていただけのミリーナまでさらって、カーリャを傷つけた。 |
クレス | お前の望みは何なんだ ? |
ダオス | 私にはマナが必要なのだ。だが、その理由を貴様らに話したところで理解できまい。 |
ロンドリーネ | 待って、ダオス ! |
ダオス | ………………。 |
ロンドリーネ | ダオス、もうこんなこと止めよう。私たちが戦う理由なんてないんだ。 |
ダオス | ……誰だ、貴様は ? |
ロンドリーネ | ……そうか。あんたもクレスたちと同じで私のことを知らないダオスなんだね……。 |
ロンドリーネ | でも、私は知ってるんだよ、ダオス。故郷の星を救おうとした、あんたのことをね。 |
クレス | 故郷の星 ? 一体なにを言っているんだ、ロディ ? |
コンウェイ | 何とか間に合ったみたいだね。ミリーナさんはイクスくんと救世軍で外へ運び出したよ。 |
ダオス | 黒衣の鏡士を連れ戻しに来たのか。……だが、あの者の知識の中には欠落があった。私にはもう、用がない。好きにするがいい。 |
コンウェイ | ダオス。この世界のユグドラシルが、大いなる実りを生み出すかどうかわからない。生み出したところでそれを持ち帰る術がわからない。 |
コンウェイ | ミリーナさんの中のゲフィオンの知識を求めたのはその為じゃないのかな ? |
クレス | 大いなる実り…… ?それはロイドの世界の大樹の種子のことか ?マナの塊だっていう……。 |
ダオス | 何故貴様らが大いなる実りのことを知っている ! ? |
コンウェイ | そこはさして重要なことじゃない。ここにいるクレスくんは、あなたが元の世界で戦っていたクレスくんより、さらに知識があるんだ。 |
コンウェイ | そして、あなたのやろうとしてきたことの真意を知る人もいる。 |
ロンドリーネ | ユグドラシルが大いなる実りを生み出してくれればダオスはそれをデリス・カーラーン――故郷の星に持ち帰ることができる。 |
ロンドリーネ | そうすればダオスの故郷は救われるんだ。ダオスはずっと、ユグドラシルを守るために戦っていたんだよ。 |
ロンドリーネ | それが、多くの命を救いたかったダオスの願いであり使命だったんだ。 |
クレス | 命を救う……ダオスが……。 |
ミント | だから、私たちとは戦う理由がないと……。 |
ダオス | 私を待ち望んでいる民のためにも……私は大いなる実りを手に入れこの閉ざされた牢獄から逃れねばならぬのだ ! |
ダオス | 絶対に邪魔はさせぬぞ ! |
チェスター | 何してんだ、クレス ! 武器を構えろ ! |
チェスター | あいつが自分の故郷を救うためだったとしてどうしてオレたちの村が――世界が蹂躙されなきゃいけねぇんだよ ! |
クラース | そうだ。クレス。私たちは間違ってなどいない。奴だって多くの人間を犠牲にしているんだ。 |
クラース | ダオスは、己の信じる正義のために戦っている。だが、私たちにも譲れないものがある。守るべき人々がいる。 |
クラース | ……違うか ? |
クレス | ………………。 |
クレス | ダオスは倒すべき敵だ。何を聞いても、どこまで行っても、それは変わらない。 |
クレス | ただ、僕らとダオスはもっと違う時間で、違う形で出会っていれば、もしかしたら協力し合うことができたんじゃないかって……。 |
チェスター | クレス……。 |
クレス | ……ここでダオスを倒したら、僕たちこそがダオスの故郷の魔王になってしまうんじゃないか。 |
クレス | できることなら、僕は僕たちの星も、ダオスの故郷もこのティル・ナ・ノーグも救いたい。それが……僕の旅の進む道だと思えるんだ。 |
ダオス | 母なる星を……デリス・カーラーンを救うだと ?下等生命体である貴様らが ? |
ロンドリーネ | でもダオスはその下等生命体の星に――そこにある世界樹ユグドラシルに救いを求めにきたんだよね。 |
ロンドリーネ | クレスたちはわかってるよ。ユグドラシルをきっと守ってくれる ! あんたが大いなる実りを持ち帰ることも邪魔はしないはずさ。 |
コンウェイ | ……そうだね。その点は、ボクも保証するよ。まぁ、初対面の人間が保証したところで気高い王には何の意味もないだろうけれど。 |
コンウェイ | でも王の器の持ち主なら……相手の器もわかるんじゃないかな ? |
ダオス | ………………。 |
ダオス | ――去れ。少なくとも我が目的を邪魔立てしない限りは貴様たちと争うつもりはない。 |
クレス | ――ダオス、一つだけ約束しろ。この世界では、もう誰も傷つけないと。 |
クレス | そして、いつか全てを救う道筋を見つけ出したときはお前と決着をつける。 |
ダオス | ……好きにしろ。 |
クレス | ――行こう、みんな。 |
ロンドリーネ | ……ダオス。あんたが私を知っている世界のあんたじゃなくて、少し残念だよ。でも……これ以上敵対しなくていいのは……すごく嬉しいんだ。 |
ロンドリーネ | おかしな女だと思うだろうけどまた会えるのを楽しみにしてるから。 |
ロンドリーネ | だから覚えておいて。私……このロンドリーネのことを。 |
ダオス | ……鏡精か。貴様の仲間は帰ったぞ。今更何をしに来た。 |
マーク | 黒衣の鏡士からの伝言。一人目の自分が原因でデリス・カーラーンを滅ぼす罪まで背負うのは寝覚めが悪いから、協力させて欲しい、とさ。 |
ダオス | ……元の世界にいる本当の私が大いなる実りを持ち帰る筈だ。私はそれを確認できればいい。ただ―― |
マーク | 何かの時のためのスペアは確保しておきたいんだろ。わかるさ。 |
マーク | ところでうちの親分は、ゲフィオンと一緒に異世界からの具現化技術を完成させた人間だ。 |
マーク | こっちにつけ、とは言わない。普段はこの城にいてもいい。でもまぁ、よければ救世軍の方にも顔出してくれよ。別荘感覚でな。 |
ダオス | ……何故ことさらに軽薄を取り繕うのだ、鏡精。 |
マーク | こんなこといかれてるって思うからだよ。それでもうちの親分は、ゲフィオンのためにこの世界を救いたいんだ。 |
マーク | だったらいかれてようが望みを叶えてやるしかねぇだろ。 |
マーク | あんたは誇り高い一匹狼だ。鎖に繋ぐつもりはない。 |
マーク | だがこっちにも、デリス・カーラーンの関係者やら大いなる実りに詳しい奴やらがいる。利用してくれて構わないんだぜ。 |
ダオス | ……お前も去れ、鏡精。必要とあらば、立ち寄ってやらぬこともない。 |
マーク | そいつはよかった。……救われてるといいな……あんたの故郷。 |
ダオス | いらぬ気遣いだ。 |
マーク | だな。それじゃあ、失礼するぜ、ダオス陛下。 |
コンウェイ | ……やれやれ、なんとか危機は脱したようだね。 |
ロンドリーネ | クレスたちは ? |
ミリーナ | 先にケリュケイオンに乗ったわ。 |
ミリーナ | クレスさんたちには伝えたけれど改めて二人にもお礼を言わないとね。助けてくれて本当にありがとう。 |
ロンドリーネ | 私は何もしてないよ。気にしないで。 |
イクス | ……なぁ、コンウェイ。さっき教えてくれたダオスの話が本当だとしてどうして、それを知ってるんだ ? |
コンウェイ | イクスくん、悪いけど、今はこれ以上のことを話すつもりはないよ。いずれ、その内に、ね。 |
ミリーナ | クレスさんたちとダオス……。大丈夫かしら。フィルがマークなら上手く取りなしてくれるって言っていたけれど。 |
コンウェイ | ……そうだね。まぁ、大丈夫じゃないかな。クレス君が伝説の勇者になって魔王を退治するのは――違う世界の物語さ。 |
コンウェイ | この世界の人の心に潜む【悪】が芽を出さない限り彼が【魔王】になることはないからね。 |