キャラクター | 1話【花見1 お花見をしよう】 |
イクス | エドナ様のお茶会もずいぶん豪勢になったな。ミリーナのクッキー、ミクリオのソフトクリーム、ライラのシフォンケーキと選り取り見取りだ。 |
エドナ | 三人とも順調に腕を上げていってるわね。これからも精進なさい。 |
ミリーナ | ええ、頑張るわね。褒めてくれてありがとう、エドナ様♪ |
エドナ | はぁ……もう勝手に撫でてなさい。どうせ何言っても無駄なのはわかってるから。 |
アリーシャ | (天族であるエドナ様の頭を ! うらやましい……。) |
ライラ | それにしてもさすがに量が多かったですわね。シフォンケーキが余ってしまいそうですわ。 |
スレイ | それならオレたちがもらってもいい ? |
ライラ | ええ、構いませんよ。遺跡座談会の夜食用ですわよね ? |
スレイ | うん。やっとイクスが帰ってこられたからさ。遺跡座談会でも話したいテーマがまだまだ山ほどあるんだ。 |
イクス | リフィル先生とのフィールドワークも楽しみだな。ミクリオ、セッティングしてくれてありがとう。 |
ミクリオ | かまわないよ。僕も行きたかったからね。 |
ロゼ | うわぁ……。せっかく最近ずっと天気もいいのにどうしてうちはインドア派ばかりかねぇ。 |
スレイ | フィールドワークは屋外だよ。 |
ロゼ | どうせ遺跡探検でしょ ?だったら室内じゃん。たまには日光浴びないと健康にもよくないよ。 |
スレイ | それは確かにそうだけどさぁ。 |
アリーシャ | なら皆でお花見はどうだろう ?ちょうど明日がセールンドで最も早く咲く桜、ビフレスト八重桜の開花日らしいんだ。 |
アリーシャ | 開花日の前夜からつぼみが花開き始めすべての八重桜が夜明けと共に満開を迎える。 |
アリーシャ | 発祥であるビフレストの芸術文化にも多大な影響を与えたというこの桜。一度この目で見てみたいと思わないか ? |
エドナ | なら言い出しっぺのあなたが幹事ね。開花日に合わせて開催は明日にしましょう。諸々全て準備よろしく。 |
アリーシャ | 私ですか ! ? しかも明日 ! ?そのうえ全ての準備を一人で ! ? |
エドナ | エドナ様のお茶会豪華出張版である『エドナ様のお花見会』。断ることも、失敗も許されないわよ。 |
アリーシャ | そ、それは承知しているのですが……。 |
スレイ | 大丈夫だよ。オレたちも手伝うから。 |
ミクリオ | 桜の木の下で遺跡座談会も楽しそうだしね。 |
ライフィセット | 桜の木の下で遺跡座談会……。 |
スレイ | ライフィセット。ちょうどよかった。興味があるなら一緒に来ない ? |
ライフィセット | いいの ! ? 行きたい !あっ……ベルベットたちも誘っていい ? |
スレイ | もちろん。ロクロウやマギルゥたちも一緒に。 |
ミリーナ | 大勢の方が楽しいものね。 |
ライフィセット | ありがとう ! じゃあ僕、ロクロウたちにも声かけてくるね ! |
イクス | よし。それじゃあさっそく準備に取り掛かるか。明日のお花見が楽しみだ。 |
デゼル | お花見 ? お前たち、何も聞いていないのか ? |
ロゼ | デゼル。何もってどういうこと ? |
デゼル | ビフレスト八重桜はつぼみすら形成されていない。このままでは今年のお花見は不可能だ。 |
スレイ | そんな。いったいどうして。 |
デゼル | 原因は不明だ。 |
イクス | そんな。動植物博士のデゼルさんですらわからないなんて、一体何が起こってるんだ。 |
デゼル | いや、俺は動植物博士になった覚えはないんだが……。 |
ミクリオ | とにかくこのままではお花見はできないのか。 |
エドナ | アリーシャ。幹事なのだから何とかなさい。 |
ライラ | エドナさん、さすがにそれは無茶なのでは……。 |
アリーシャ | うっ。街の人たちも楽しみにしているようでしたし何とかしたいのは山々なのですが……。 |
ロゼ | さすがに無理だよねぇ。お花見で一儲けできそうかもって考えてたんだけどなぁ。 |
デゼル | いや……植物研究室なら……。 |
ミクリオ | 植物研究室 ? |
デゼル | とある学園の植物研究室にちょっとした関わりがある。そこの優秀な職員たちなら何か知っている……いや、もう問題解決に動き出してるはずだ。 |
イクス | デゼルさんが認めるほどの植物研究室 ! ?いったいどんな人たちなんだ……。 |
ロゼ | えっ。じゃあその人たちに任せておけば原因も判明、問題も解決してお花見も無事できるようになるんじゃないの ? |
デゼル | その可能性は高いが今年のお花見には間に合わないだろうな。この規模の問題に対して職員の人員が少なすぎる。 |
ロゼ | そっか。つぼみが形成されない問題を解決しても開花日が過ぎちゃったら桜は咲かないんだもんね。 |
スレイ | ならオレたちも協力しようよ。デゼル、何かできることはないか聞いてくれる ? |
デゼル | わかった。では急いで学園に向かうぞ。 |
イクス | ああ。これだけの人数がいれば開花日にも間に合うかもしれないもんな。 |
エドナ | 間に合うかもではなく、意地でも間に合わせるのよ。 |
エドナ | もしお花見が開催できなければ幹事が大変なことになってしまうわ。 |
アリーシャ | 私はいったいどうなるのですか ! ? |
スレイ | ライラ。この中で一番お花見したがってるのってもしかして……。 |
ライラ | エドナさんかもしれませんわね。 |
ロゼ | よっし。じゃああたしは食材揃えとくね。 |
ミクリオ | ロゼ。それは気が早いんじゃないか。もし間に合わなかったらどうする。 |
ロゼ | だって桜が咲いてお花見ができるとなったらみんな一斉に買い出しに来るよ。そうなったらこの人数の食材、絶対に確保できない。 |
ロゼ | それにさ、デゼルたちだったらきっと何とかしてくれるっしょ。それじゃあよろしくね~。 |
デゼル | まったく。勝手な奴だ。 |
スレイ | また頑張る理由が増えたね。 |
デゼル | はぁ……行くぞ。 |
キャラクター | 2話【花見1 お花見をしよう】 |
スレイ | みんな楽しげでいいな。学園生活ってちょっと憧れるよ。 |
ミクリオ | スレイ、これはあくまで変装だぞ。帝国側と交戦中である僕らが目立った行動を取れば学園も帝国に目を付けられることになりかねない。 |
スレイ | わかってるって。あくまでもしもの話。ミクリオだって学園生活のこと想像したりするだろ ? |
ミクリオ | 世話焼きなスレイに引っ張り回される学園生活なら想像したよ。おかげで部活にも入れないだろうね。 |
スレイ | イヤじゃないクセに。ミクリオは付き合いいいもんな。 |
ミクリオ | 訂正する。学園内だけじゃなく放課後もスレイに引っ張り回されそうだ。 |
アリーシャ | ふふっ。学園でも二人の関係は変わらないということか。 |
スレイ | アリーシャは図書室で静かに本を読んでそうだよね。どこにどの本があるかもしっかり把握してそう。 |
アリーシャ | それは……つまり私は図書委員だな。うん、悪くはないな。 |
スレイ | そしてライラは学園の偉い人……理事長みたい ! |
ミクリオ | 大人な雰囲気だからね。 |
ライラ | なんだか恐縮ですわ。スレイさん、気軽に話しかけてくださいね。 |
スレイ | うん。ライラ理事長と廊下ですれ違ったときにはオレ、ちゃんと挨拶するよ。 |
ミクリオ | デゼルも寡黙な教師という雰囲気でハマっているな。全然違和感がない。 |
デゼル | ふんっ。 |
イクス | あれ ? ところでエドナ様は ? |
ライラ | エドナさんは着替えるのが面倒だからと外で待っていらっしゃいますわ。 |
ミリーナ | エドナ様の制服姿も見たかったのに残念よね。 |
アリーシャ | まったくだ。 |
デゼル | おい。いつまで無駄話してるつもりだ。はやく行くぞ。 |
スレイ | うん。ロゼだって食材を仕入れてくれているんだしオレたちもやることやらないとね。植物研究室に向かおう。 |
? ? ? | 研究室ねぇ。優等生の導師ご一行は学園でも勉学に勤しんでいらっしゃると。いやぁ、ご立派なことで。 |
スレイ | えっ……もしかして、ザビーダ ? |
ザビーダ | 悲しいねぇ。俺様の顔、忘れちまったか ? |
ミクリオ | いや、そういうわけじゃないんだが……。 |
デゼル | 帝国から離反したと聞いていたが学園に身を潜めていたのか ? |
ザビーダ | ちょいと違うぜ、デゼル。離反後、学園側にちっとばかり助けられた恩があっていま俺は学園運営を手伝う義理を果たしてるとこ。 |
ザビーダ | まあ、初等部のガキ共に懐かれちまって学園側にどうしてもって言われたのもあってな。だからいまの俺様は生活指導教師をやってるわけ。 |
ライラ | だから服を着ていたのですね。 |
二人 | 何か違和感あると思ったらそこか ! ! |
ザビーダ | 服着てるだけでそこまで違和感あったのかよ ! ? |
アリーシャ | 服 ? 服を着ているのは普通なことでは ? |
ミクリオ | そうなんだが……。そういえばアリーシャはザビーダと初対面だったな。後で説明するよ、いずれ分かることだが。 |
ライラ | ザビーダさん、少しお時間を頂けますか ?ご説明しておきたいことがありますので。恐らく、エドナさんからも。 |
ザビーダ | エドナちゃん ? 姿がみえねぇと思ったが別の場所にいるわけか。もちろん構わねぇぜ。女の子からの誘いを断るほど野暮じゃねぇしな。 |
イクス | すみません、俺たちからも一応。それに今までの経緯も詳しく聞かせて欲しいので。 |
ザビーダ | 人気者はつらいねぇ。わかったよ。 |
ミリーナ | エドナ様には魔鏡通信で連絡をしておきました。案内しますね。 |
ザビーダ | なるほど。アイゼンたちが……。 |
エドナ | ……そういうこと。 |
ザビーダ | ちゃんと話せたか ? |
エドナ | それなりにね。 |
ザビーダ | ふっ……そうかよ。それじゃあ俺からエドナちゃんに言うことは何もねぇな。 |
ザビーダ | おい、鏡士の坊主。アイゼンはケリュケイオンに乗ってるんだよな ? |
イクス | あ、はい。魔鏡通信が通じないこともあるしいまはどこを飛んでるかわからないですけど。 |
ザビーダ | わかった。 |
イクス | ザビーダさん、よければですが俺たちのアジトに来ませんか ?きっとその方が安全だと思うので。 |
ザビーダ | 悪ぃな。導師一行とわざわざ一緒にいる理由はねぇ。どうするかは俺が決める。 |
スレイ | ザビーダ、どこに行くんだ ? |
ザビーダ | さっき言っただろ。いまの俺は、学園の一員。義理を果たしてるところだってよ。 |
デゼル | 現在、植物研究室の奴らが中心となって桜の開花問題に当たっているようだがお前もその手伝いを頼まれているわけか ? |
ザビーダ | だったら ? |
スレイ | オレたちも目的は同じだ。協力させて欲しい。 |
ザビーダ | 知るかよ。俺がどうこういうことじゃねぇ。 |
イクス | あっ。ザビーダさん。 |
スレイ | ……行っちゃったな。 |
ライラ | ですがついてくるなとは言われてませんわよ。 |
スレイ | 大丈夫なのか ? |
エドナ | そういう人よ、昔っからね。 |
スレイ | うん。わかった。オレたちも行こう。 |
キャラクター | 3話【花見2 学園に潜入】 |
イクス | スレイ。ザビーダさんとはどういう関係だったんだ ?仲間だと思っていたんだけどそんな様子でもないみたいだったし……。 |
スレイ | 敵ではないんだけど……考え方の違いから争うこともあった。そんな感じかな。 |
イクス | 考え方の違い ? |
スレイ | 「殺すことが救いになる」 |
イクス | えっ ? |
スレイ | ベルベットが復讐鬼と呼んだもう一人の、過去のベルベットと対峙したとき。オレは彼女を浄化できなかったでしょ ? |
スレイ | あの時のように、浄化できないほど穢れに侵された相手に出会った場合、どうするか。 |
スレイ | それに対するザビーダの考えが「殺すことが救いになる」そういうこと。 |
イクス | どうしようもない場合もあるのはわかる。けど……救いになる、か。そう簡単に割り切れないよな……。 |
スレイ | 割り切れない……。うん、そうだよね。 |
デゼル | 待たせたな。 |
ライラ | デゼルさん。桜の開花問題、原因はわかりましたか ? |
デゼル | ああ。研究室の職員と話して見当はついた。とある植物型の魔物の異常発生が原因とみて間違いない。 |
ミクリオ | 植物型の魔物 ? |
デゼル | ああ。桜のつぼみ形成に必要な土壌中の成分を、その魔物が吸収してしまったんだ。 |
イクス | 異常発生……もしかして鏡殻変動が原因なのか ? |
デゼル | その通りだ。鏡殻変動による自然環境の変化が引き金となり、その魔物が異常発生。土壌中に含まれる魔物の主要養分が不足するようになった。 |
デゼル | そして本来ならば吸収はしないはずの土壌成分、つまり桜のつぼみ形成必須養分を魔物が代わりに吸収。その養分も枯渇した。これが真相だろう。 |
ミクリオ | なるほど。気候ではなく土壌の養分だったか。デゼル、よく気が付いたな。 |
ザビーダ | さすがは教授候補ってか。 |
スレイ | 教授候補 ? |
ザビーダ | 知らなかったのか。こいつ、研究室にスカウトされてるんだぜ。 |
デゼル | チッ……余計なことを。 |
スレイ | そうだったのか ! ?デゼル、すごいじゃないか。 |
デゼル | 自分の趣味もかねて研究に協力をしていたら声を掛けられるようになっただけだ。たいしたことじゃない。 |
ライラ | 十分すぎるほどたいしたことかと思いますが……。 |
ミクリオ | それで、僕たちは原因となった魔物を倒せばいいのか ? |
デゼル | ああ。その魔物はつぼみ形成に必要な養分を吸収はできても、消化はできないことが判明している。つまり、体内で結晶化されているはずだ。 |
デゼル | 開花日までに養分の結晶を集め、砕いたものを桜の木々に撒く。そうすればすぐさま桜のつぼみが形成され―― |
ライラ | \"さくら\"が\"咲くら\"しい、と。 |
デゼル | ……っ。 |
ミクリオ | デゼル。笑いを堪えているのバレバレだぞ。 |
エドナ | ライラもライラね。 |
ライラ | あっ……私ったら嫌ですわ。お恥ずかしい限りです……。 |
スレイ | 無意識だったんだね……。 |
ザビーダ | ライラの小粋なジョークも聞けたことだし、俺様は魔物を探しに出発するぜ。 |
スレイ | よし。オレたちも行こう。 |
キャラクター | 4話【花見4 調査結果】 |
ロゼ | 魔物退治だったら人手が必要でしょ。こっちの仕事はだいたい片付いたから手伝いに来たよ。 |
スレイ | ありがとう、ロゼ。それじゃあこれを受け取って。 |
ロゼ | うん ? どうしてペンデュラム ? |
デゼル | 俺たちが探している魔物は地中に潜んでいる。普通に歩き回っても見つからない。 |
ザビーダ | だからペンデュラムを使って探す。つまりダウジングだ。 |
スレイ | 森は広いでしょ。二人だけだと大変だろうしオレたちも手伝うってことになったんだ。 |
アリーシャ | だがなかなか上手くいかないな。私はさっきからちっとも動かない。 |
イクス | 潜在意識にアクセスして内なる声を聞く……ってダウジングの入門書には書いてあったけど。 |
スレイ | 内なる声か……。 |
ライラ | スレイさん !ペンデュラムが揺れていますよ ! |
スレイ | うわっ ! 本当だ ! |
アリーシャ | スレイ、そうっとペンデュラムの揺れている方向に進んで行くんだ。 |
スレイ | 任せて。オレが魔物を見つけて―― |
ミクリオ | なんだスレイ ? |
スレイ | ミクリオ ? あれ、どうしてだ。オレは魔物を探してるのに。ずっとペンデュラムはミクリオの方に揺れてるぞ。 |
エドナ | おやつの時間だからでしょ。 |
スレイ | あっ。 |
ミクリオ | 君という奴は。内なる声じゃなくて腹の虫の声を聞いてどうするんだ。 |
スレイ | 仕方ないだろ。オレの潜在意識がミクリオのソフトクリームを食べたくなっちゃったんだから。 |
ミクリオ | お花見のとき作ってあげるからいまは魔物を探すのに集中してくれ。 |
スレイ | お花見のときだな !わかった、絶対だぞ ! |
ザビーダ | お前たち。ちょいと今は静かにしてやんな。 |
デゼル | …………。 |
スレイ | デゼル ? |
デゼル | この先だ。 |
ロゼ | おぉ、さすがデゼル。見つけたみたいだね。 |
ザビーダ | 視覚に惑わされないぶん俺様よりも感度がいいってわけか。 |
ザビーダ | ったく。気がついたらいっちょ前にペンデュラムを使いこなせるようになってやがるのな。 |
デゼル | 何の話だ ? |
ザビーダ | 誰にだって初心者だったころがあるって話さ。 |
デゼル | だからどうしてそういう話になる ?いったい何が言いたい ? |
ザビーダ | 別に。 |
デゼル | くそっ。いちいちつっかかって来やがって。 |
ロゼ | なになに。デゼルがそんな感情的になるなんて珍しいじゃん。 |
ザビーダ | 潜在意識が俺様のことを気になってしかたないのかもな。 |
デゼル | 適当なこといいやがって。確かに同じ風の天族で、武器も同じペンデュラムだがこれはすべて偶然だ。 |
ザビーダ | 偶然ねぇ。 |
ロゼ | それで本題だけど魔物はこのあたりの地中にいるってことで間違いなさそう ? |
デゼル | ああ。ちょうどいま俺たちが立っている下だ。 |
イクス | あとはどうやって地中から引っ張り出すかだな。 |
ミクリオ | エドナ。地の天族の力で何とかできないか ? |
エドナ | それが人にものを頼む態度 ?ずいぶん偉くなったわね、ミボ。 |
スレイ | エドナ。よろしくお願いします。 |
エドナ | ……仕方ないわね。 |
ミクリオ | 手のひら返すのはや―― |
ミクリオ | いたっ。 |
エドナ | うるさい。刺すわよ。 |
ミクリオ | だから刺してから言わないでくれっ ! |
エドナ | それじゃあいくわよ―― ! |
イクス | こいつらか ! ? |
ザビーダ | それじゃあ一仕事いきますか ! |
キャラクター | 5話【花見7 魔物討伐3】 |
ライラ | お待たせしました。魔物から採取した結晶を砕き粉末状にしましたわ。 |
デゼル | これだけあれば十分だろう。なんとか開花日にも間に合ったな。 |
スレイ | あとはこれを桜の木に撒けばいいんだよね。 |
イクス | けど桜の木はセールンドのあちこちに生えている。俺たち全員が走り回っても今日中に終わらせるのは難しいぞ。 |
ザビーダ | そこで風の天族の出番ってわけ。 |
ミクリオ | そうか。風を使ってセールンド中にこの結晶を撒くんだな。 |
ザビーダ | さすがミク坊。ご名答。だが俺一人じゃさすがにセールンド中に結晶を飛ばすのは難しい。 |
ザビーダ | そこでデゼル。お前も力を貸せ。俺とお前の風の力を重ね合わせる。 |
デゼル | バカか。そんな簡単なことじゃない。一歩間違えば力が衝突して操作不能となりまったく別の方向に結晶が飛んでいってしまう。 |
ザビーダ | そんなの俺様もわかってるっての。もしお前が見ず知らずの風の天族ならこんな提案はしねぇ。 |
ザビーダ | お前だから力を貸せって言ったんだ。お前は俺の風を知ってるからな。 |
デゼル | お前の風を……そんなはず。 |
ザビーダ | 潜在意識ってやつさ。 |
ザビーダ | それとも自分にはできっこないって思ってるのか ?なら無理強いはしねぇよ。 |
デゼル | ふっ……ぬかせ。てめぇのことなんざ知らねぇが俺を甘くみるんじゃねぇぞ。 |
デゼル | やってやるよ。 |
ザビーダ | そうこなくっちゃな。 |
ロゼ | デゼルならできる。いっちょかましてやれ。 |
デゼル | 任せとけ。お前の商売にも関わってるんだ。ちゃんとセールンド中の桜の木を咲かしてやるよ。 |
ザビーダ | いくぜ、デゼル ? |
デゼル | いつでもきやがれ。 |
二人 | ――――ッ!! |
スレイ | うわぁっ ! すっげ ! ! |
ミクリオ | 綺麗だね。 |
アリーシャ | 美しい。これが桜……。 |
ロゼ | デゼル、お疲れ ! |
デゼル | ふんっ。こんなもんだ。 |
ザビーダ | んじゃまあ、これでおさらばだ。学園への義理も果たしたしな。 |
スレイ | 待って。ザビーダ。これからオレたち、お花見会をやるんだ。もしよければザビーダも来てくれないかな ? |
ザビーダ | 俺も ? |
イクス | ザビーダさんがいなかったらこの問題も解決するのも難しかった。俺もお礼がしたいです。 |
スレイ | もちろん無理強いはしないけど、ザビーダがよければ。 |
ザビーダ | ふっ……そうかよ。 |
ザビーダ | まあ俺もこの桜をみて花見も悪くねぇと思っていたとこだ。邪魔させてもらうわ。 |
スレイ | ありがとう ! 来てくれて嬉しいよ ! |
ミリーナ | ならこれからみんなでお花見の準備を――あら、カーリャから魔鏡通信だわ。 |
カーリャ | ミリーナさま、おつかれです~。無事、桜の問題は解決したみたいですね。 |
ミリーナ | ええ。みんなのおかげでね。アジトの方は大丈夫そう ? |
カーリャ | それが予想以上に参加者が増えて食材が足らないみたいで。 |
ロゼ | そんなに増えたんだ。わかった、仕入れてアジトに持ってくよ。デゼル、運搬手伝って。 |
デゼル | わかった。 |
カーリャ | あざまーす ! さすができる女ロゼさま ! |
ミリーナ | カーリャ、他は大丈夫そう ? |
カーリャ | はい。特には……うん ?なんですか、コーキス ? |
カーリャ | 場所取りを忘れていないか ?まったく、変なところイクスさまに似て心配性ですよね。きっと大丈夫ですよ。それより宴会芸の支度を―― |
一同 | あっ ! ! |
カーリャ | えっ ? もしかして……。 |
イクス | カーリャ。コーキスにありがとうって伝えてくれ。 |
カーリャ | わ、わかりました。 |
アリーシャ | 場所取り。毎年、皆が少しでも良い場所を確保するためしのぎを削り合う壮絶な戦いだと聞いている。これもお花見文化の1つだとか。 |
ミリーナ | もう街の人たちはいっせいに場所取りに向かっているはず。私たちも急がないと。 |
ザビーダ | 仕方ねぇ。ここはザビーダ兄さんがひとっ走りして花見に相応しい最高の場所を確保してきてやるよ。 |
アリーシャ | よろしいのですか ? |
ザビーダ | 言っただろ。俺様も花見がしてぇんだってよ。ってわけで、またあとでな。 |
スレイ | うん。ザビーダ、よろしくね。 |
キャラクター | 6話【花見8 再会】 |
ザビーダ | ちょいと出遅れちまったか。ここらへんの花見の場所もだいぶ確保されちまってるな。 |
ザビーダ | 他に場所は―― |
? ? ? | 待ちなさい ! なんですかその恰好は ! |
ザビーダ | おっと。女の子の方からお声がけいただけるとはこりゃ光栄…… |
ザビーダ | って、お前たちかよ。 |
エレノア | あなたは……ザビーダ ! ? |
ライフィセット | えっ……本当だ ! ザビーダだ !よかった、無事だったんだね ! |
ザビーダ | マオ……ライフィセットじゃねぇか !なんだよ、久しぶりだなぁ !しかもこんな元気そうでよぉ ! ! |
ライフィセット | あははっ……くすぐったいよ。どうしたのザビーダ ?なんだかいつもよりご機嫌だね。 |
ザビーダ | そりゃお前に……いや。ちょいと花見の雰囲気にあてられただけさ。 |
ザビーダ | それに、俺からしたらお前たちと会うのはかなーり久しぶりだからな。 |
ザビーダ | けど全然変わってなくて驚いたぜ。あのときの記憶のままだ。 |
エレノア | ですが……あなたはどうして半裸なんですか。私たちと会ったときは上着を着ていましたよね。 |
ザビーダ | 別に細けぇ事はいいじゃねぇか。ちょっとしたサービスってことで。 |
ベルベット | そうね。どうでもいいわ。 |
エレノア | どうでもいいんですか ! ?もうちょっと身だしなみに――ハッ。 |
ロクロウ | エレノア ? どうかしたのか ? |
エレノア | いえ。人それぞれきっと色々な事情があるんです。私はもう何もいいません。 |
ロクロウ | お、おう。そうか。あまり考えすぎるなよ。 |
ベルベット | ? |
ロクロウ | それで、ザビーダ。こんなところで何をしてるんだ ?困りごとなら、こちら側の鏡士にも紹介するぞ。 |
ザビーダ | いや。鏡士の坊主や導師どもにはもう会った。それでいろいろあって、「エドナ様のお花見会」の場所取りをしてるのさ。 |
ライフィセット | そうだったんだね。僕たちも同じだよ。お花見会の場所取りに――あっ ! |
マギルゥ | 話してる間にどんどん場所がなくなっていっておるぞ。 |
ベルベット | 気付いてるなら言いなさいよ。 |
ザビーダ | 話すのはまた後だ。俺はあっちを探してくる。 |
ライフィセット | 僕も手伝うよ。 |
ロクロウ | それじゃあ俺もついて行こう。ベルベットたちは反対方向を頼む。 |
ベルベット | ええ。わかったわ。頼んだわよ、フィー。 |
ライフィセット | うん ! |
ザビーダ | えぇっと。どこかに穴場は……。 |
ザビーダ | おっ ! あの桜の木の下は空いてるみたいだな ! |
二人 | この場所を俺が―― |
二人 | なっ ! ! |
ザビーダ | ほう。奇遇じゃねぇか。こんなところでバッタリとはよ。 |
アイゼン | それはこっちの台詞だ。 |
ザビーダ | エドナちゃんから話は聞いたぜ。なんだかんだこっちの世界でも楽しくやってるみてぇじゃねぇか。 |
アイゼン | おい。誰に許可取ってあいつを「ちゃん」付けで呼んでやがる。 |
ザビーダ | おぉ。相変わらずのシスコンっぷりだな。こりゃ懐かしいぜ。 |
アイゼン | ツモる話もありそうだな。 |
ザビーダ | 湿った雰囲気はごめんだぜ。せっかくだ。酒でパーッといこうや。 |
アイゼン | ああ。だがその前に俺はやるべきことがある。そこをどけ、ここは救世軍お花見会のシマだ。 |
ザビーダ | おい。何勝手にシート敷きはじめてやがる。先に見つけたのは俺だぞ。 |
アイゼン | あぁ ? 何言ってやがる。先に見つけたのはこの俺―― ! ? |
ザビーダ | おっと。シートが飛んでいっちまったな。とんだ風のいたずらだ。 |
アイゼン | チッ……ずいぶんとナメたことしてくれるじゃねぇか。いくらお前でも俺のシマを荒らすのは許さん。 |
ザビーダ | 別に許してくれなんて頼んだ覚えはねぇ。それにお前のシマじゃなく、俺のシマだ。 |
アイゼン | てめぇみたいなバカにはいくら口でいってもわからんみたいだな。 |
ザビーダ | やるってか ? |
アイゼン | その通りだ ! ! |
ライフィセット | ザビーダ。お花見の場所は見つかった――って、二人とも何してるの ! ? |
アイゼン | これは男の闘いだっ !止めるなよ、ライフィセット ! |
ザビーダ | 安心しろって。すぐ片を付けてやるからよ。 |
ライフィセット | けど……。どうしよう、ロクロウ。 |
ロクロウ | 放っておけ。じゃれつきたいんだろう。巻き込まれると危ない。俺たちはさがっていような。 |
ライフィセット | う、うん。 |
アイゼン | いくぞ、ザビーダ ! ! |
ザビーダ | 望むところだ、アイゼン ! ! |
キャラクター | 7話【花見9 お花見】 |
イクス | えっと……お花見会の場所取りは……。 |
ベルベット | まさか確保できてなかったんじゃないでしょうね ? |
アイゼン | そのまさかだ。どちらが先にあの場所を確保したか男と男の勝負をしている間に別のグループに占領されちまった。 |
ザビーダ | けども、後から来たとはいえガキどもから奪い返すってわけにはいかねぇしな。 |
アイゼン | それに俺たちに非がないというわけでもないからな。勝負に熱中し過ぎて場所から大きく離れてしまった。 |
エレノア | 事情はわかりましたけどそもそも争う必要はなかったのですが……。 |
エレノア | 今回は救世軍側とも合同でお花見会をするという話だったのですから。 |
アイゼン | なに。俺はそんな話、聞いてないぞ。 |
ライフィセット | たぶんアイゼンにだけ伝わってなかったみたいだね。 |
ベルベット | 死神の呪いも相変わらずね。 |
エレノア | それか相変わらず、報・連・相ができていないか。 |
アイゼン | フンッ……だが俺たちに後悔はない。そうだろう、ザビーダ。 |
ザビーダ | 当然だ。俺たちの本気の勝負で他の花見客を盛り上がらせることができたわけだしな。 |
ロクロウ | なるほど。この場に花を添えられたって考えればそれもまた一興ってことか。確かにそれは一理あるな。 |
ライフィセット | なんか格好いい ! |
ベルベット | 意味分からない。これだから男は……。 |
エレノア | 同感です。 |
マギルゥ | 花見の場所はどうするつもりかのう ?もう他に空いている場所はないようじゃぞ。 |
イクス | あそこならもしかしたら……。 |
ザビーダ | 当てがあるのか ? |
スレイ | 学園だよ。桜の問題を解決してくれたお礼にぜひ学園内のスペースをお花見に使ってくれって提案されたんだ。 |
ザビーダ | なんだよ。そういうのは先に言えって。 |
スレイ | けど……。 |
ザビーダ | ? |
スレイ | 学園に迷惑かけることになるかもしれないだろ。オレたちは帝国と敵対関係にあるし、それから―― |
ザビーダ | ったく。お前は本当、何にも分かってねぇのな。そんなこと気にしてたのかよ。 |
スレイ | そんなことって。オレには大事なことなんだ。相手を巻き込むことになるかもしれないって思ったらどうしようか考えちゃって。 |
ザビーダ | 学園の連中はバカじゃねぇ。俺たちのことなんざもう勘づいてる。それでも俺たちのことを想って誘ってくれてるんだ。 |
ザビーダ | 誘いを断ることこそ道義に反する。 |
スレイ | ……それは、そうかもしれないけど。 |
ザビーダ | まあ、お前の考えもわからなくはないがな。 |
アイゼン | 俺もザビーダの考えと同じだ。ここは厚意を受けるべきだろう。イクス、学園側に連絡を頼む。 |
イクス | はい。わかりました。アイゼンさんは救世軍側にお願いします。 |
ロクロウ | これで場所も無事確保と。それじゃあ俺たちは学園に向かうとするか。 |
ライフィセット | うん。ちゃんとお礼も持ってね。 |
スレイ | …………。 |
ミクリオ | スレイ、気になるのか ? |
スレイ | ちょっぴりね。けどザビーダの言ってることには納得した。せっかく学園の人たちが誘ってくれたんだしな。 |
イクス | これも考え方の違いか……。 |
スレイ | ううん。たぶん、そうじゃないんだ。ザビーダは割り切れないことであっても自分の中で割り切って答えを出してるんだと思う。 |
スレイ | きっとそれがオレとザビーダの違いなんだ。 |
ミクリオ | いけ好かないところもないわけじゃないがザビーダからは学ぶところも多いな。 |
スレイ | だな。 |
ザビーダ | いつまでしゃべってんだ。とっとと学園に向かうぞ。 |
スレイ | ああ、わかった。オレたちも行くよ ! |
キャラクター | 8話【花見9 お花見】 |
アリーシャ | こほん。皆様、今日はエドナ様のお茶会豪華出張版、「エドナ様のお花見会」にご来場くださり誠にありがとうございます。 |
アリーシャ | 桜も無事に咲き、また快晴にも恵まれ―― |
エドナ | 長い。反省。 |
アリーシャ | す、すみません。では挨拶はこれくらいにして…… |
アリーシャ | 乾杯っ ! ! |
一同 | ――乾杯っ ! ! |
イクス | うん。この魚の煮付け、すごく美味しいな。おにぎりと一緒に食べると抜群だ。ミリーナが作ったのか ? |
ミリーナ | イクスから教わった調理法でね。まだまだ他にもたくさん料理はあるから遠慮せずどんどん食べてね。 |
イクス | ありがとう。フィルは食べないのか ?もしかして食欲がないとか ? |
フィリップ | そういうわけじゃないんだけど……えっと……僕も、食べていいの ? |
ミリーナ | もちろんよ。はい、どうぞ。 |
フィリップ | あ、ああ。ありがとう、ミリーナ。魚の煮付けか……久しぶりだな。 |
マーク | やれやれ、魚の煮付けなら、ついこの間俺が作ってやったと思うんだがなぁ。 |
フィリップ | ち、違うんだ !ミリーナが作ったのはって意味で―― |
マーク | あははっ、冗談だよ。間に受けんなって。 |
ガロウズ | おっ……こいつはうまい。やっぱり花見には心水だな。 |
ロクロウ | だよなぁ。アイゼンも、もう一杯どうだ ? |
アイゼン | ああ。いただこう。 |
デゼル | ……というのが、オーデンセしだれ桜とビフレスト八重桜の起源の違いだ。 |
ライフィセット | デゼル、すごいね。カブトムシやクワガタだけじゃなく桜についてもそんなに詳しいんだ。 |
スレイ | あれ……だったらオーデンセ側のお花見文化ももっと独自の変化が起こっていてもいいはずじゃないか ? |
ミクリオ | 少し飛躍した主張だと思うが何故、国や時代が違ってもお花見が楽しまれているかは気になるな。 |
ライフィセット | 待って。それについて書かれた本をちょうどいま読んでるところなんだ。えっと……あった。これなんだけど―― |
ロゼ | まーたスレイたちはやってるよ……。 |
ベルベット | フィーは楽しそうだけど……。 |
エレノア | 何がそんなに面白いんでしょう……。 |
マギルゥ | なに~ ? ベルベットが対抗して絶対に面白い話を披露してくれるのかえ ?いや~、これは気になるのう。 |
ベルベット | ちょっ ! こういうのはあんたの役目でしょ !あたしはしないわよ。 |
マギルゥ | 仕方ないのう。ならハト真似で我慢してやろう。 |
スレイ | ハト真似 ? |
ベルベット | それもしないっ。 |
ビエンフー | 姐さん。ここはやはりマギルゥ一座のツートップであるボクたちがやるしかないでフよ。 |
マギルゥ | 仕方ないのう。本当は前座が欲しいところじゃが。 |
エドナ | えっ、ミボ。前座で水芸やりたいの ? |
ミクリオ | 言ってない ! なんだ水芸って ! |
ザビーダ | おっ。こっちも始まってたか。 |
ライラ | ザビーダさん。どこに行ってましたの ? |
ザビーダ | 学園連中のお花見にちょいと顔出してきたのさ。 |
スレイ | そうだったんだ。けどもう少し早ければみんなで乾杯も間に合ったのにな。 |
ザビーダ | 別に今からでも遅すぎはしねぇだろ。ミク坊の水芸には間に合ったみたいだしよ。 |
ミクリオ | 待て。だから僕はやるなんて一言も―― |
マギルゥ | さあさあ、よってらっしゃい !みてらっしゃい !華麗なるウォーターショーのはじまりじゃ ! |
ミクリオ | マギルゥっ ! ! |
エドナ | もう逃げ場はないわよ。 |
スレイ | 頑張れ、ミクリオ !失敗してもその後はオレが面白い話を披露して巻き返すって。 |
ミクリオ | その面白い話ってのもどうせ僕についてだろ。 |
スレイ | そう ! ウリボア鬼ごっこ事件 !あれは2、3日笑いがおさまらなかったほど笑ったよな ! |
ミクリオ | くっ。よりにもよってそれか……。 |
ベルベット | ウリボア鬼ごっこ事件 ?ちょっと気になるわね。 |
マギルゥ | とりあえず前座二人確保じゃな。他には……。 |
ライラ | でしたら私、ダジャレ100連発を披露しますわ。クレスさんと練りに練った傑作揃い。クオリティは保証しますわよ。 |
マギルゥ | そ、そうか……。ちょっとばかり冷え込みじゃが……ええいっ、今回は来るもの拒まずじゃ ! |
デゼル | ダジャレ100連発……だと……。すまんが急用を思い出した。 |
ロゼ | あっ、デゼル ! 逃げるなー ! |
マギルゥ | とまあお花見会の演目は目白押しじゃ !さあ、張り切っていってみよー !まずは水芸からじゃ ! |
ミクリオ | くっ……ああ、わかった !やればいいんだろ、やれば ! ! |
キャラクター | 9話【花見10 仲間】 |
アイゼン | 姿が見えないと思えばこんなところで一人酒か ? |
ザビーダ | アイゼン……。 |
アイゼン | この後はどうするつもりだ ? |
ザビーダ | 帝国をぶっ潰す。リビングドールなんざ人の自由を踏みにじることを俺は絶対に許せねぇ。 |
ザビーダ | だからアイゼン。俺もケリュケイオンに乗る。 |
アイゼン | なぜ救世軍側なんだ ?帝国と戦うのであればスレイたちの側でもいいはずだ。 |
ザビーダ | 導師一行とつるむつもりはねぇ。それに……。 |
ザビーダ | ケリュケイオンにはお前もいる。 |
アイゼン | わざわざ死神の元に来ようとはお前もずいぶんな物好きだな。 |
ザビーダ | ちょっとぐらい刺激がないと退屈しちまうからな。 |
アイゼン | なるほど……だがダメだ。お前はスレイ側につけ。 |
ザビーダ | どうしてだよ ! ? |
アイゼン | 帝国も精霊装の技術を完成させたという情報がある。これからは精霊の奪い合いがはじまるだろう。 |
アイゼン | つまり精霊と再定義された聖隷、天族も帝国に狙われる可能性が高い。 |
アイゼン | だからあいつらの側について、守ってやって欲しい。エドナのことも、お前に頼みたい。 |
ザビーダ | …………チッ。わかったよ。こんなことになった責任は俺にもあるしな。 |
アイゼン | どういうことだ ? |
ザビーダ | ジークフリートの術式を読み取られちまった。俺のミスが精霊装完成の決定打にもなったってわけさ。メルキオルのときと同じようにな。 |
ザビーダ | 自分のケツは自分で拭く。だから安心しろ。俺があいつらを見張っといてやるよ。 |
ザビーダ | ……あの甘ちゃん導師にはまだ任せられねぇしな。 |
アイゼン | 不殺を流儀としたかつての自分と重なる。だからイラつく。違うか ? |
ザビーダ | うるせぇ。別にそんなんじゃねぇよ。 |
ザビーダ | だが、お前の頼みは引き受けたぜ。約束のザビーダ、この真名にかけて。 |
アイゼン | ああ。頼んだぞ、ザビーダ。 |
ザビーダ | そんじゃあちょいと仕掛けてくるわ。嫌われ者らしくな。 |
ザビーダ | おい。スレイ。 |
スレイ | ザビーダ ? |
ザビーダ | ちょいとツラかしてもらうぜ。 |
ミクリオ | ザビーダ。どうして武器を構える。 |
ザビーダ | 威勢が良いな、ミク坊。いいぜ、全員まとめてかかってきたって。 |
ライラ | やめてください、ザビーダさん。 |
デゼル | どういうつもりだ。 |
ザビーダ | そうかっかすんなって。お前らがどれくらい成長したかこのザビーダ兄さんのちょっとしたテストさ。 |
ザビーダ | これも花見の余興。楽しくいこうぜ。下手すると、ヤッちまうかもしれねぇがな。 |
エドナ | 勝てると思ってるの ? |
ザビーダ | 厳しいな、エドナちゃんは。三度目の正直って言うだろ。俺様も本気でいかせてもらうぜ。 |
ロゼ | これは断っても聞かないパターンか。 |
スレイ | わかった、受けて立つよ。 |
ザビーダ | さあ、いくぜ ! 導師様 ! ! |
キャラクター | 10話【花見10 仲間】 |
ザビーダ | ――くっ。 |
スレイ | まだ続ける ? |
ザビーダ | いや。降参だ。まいった、まいった。 |
ロゼ | なんか軽いなー。 |
ザビーダ | というわけで賞品としてこのザビーダ兄さんをプレゼント。どうだ ? 嬉しいだろ。 |
デゼル | プレゼントだと ? |
ザビーダ | 気が変わった。俺もお前たちについて行く。 |
ミクリオ | なんだ急に。絶対に裏があるだろ。 |
ザビーダ | ねぇって、マジで。これっぽっちも。 |
スレイ | オレたちのことを思っていまは言わないでいるんだよね ? |
ザビーダ | さあな。 |
エドナ | バレバレよ。嘘が下手ね。 |
スレイ | けど一緒に来てくれるのなら嬉しいよ。オレ、きっとザビーダから学ぶことがたくさんあると思うから。 |
ザビーダ | 俺はお前の教師じゃないんでな。何かを教えるつもりはないぜ。 |
スレイ | わかってる。それにきっと、これは教わるんじゃなくて自分で気付かなきゃいけないことなんだ。 |
ザビーダ | ほぅ ? |
スレイ | オレ、なんとなくわかるんだ。覚悟を決めなくちゃいけない、ケジメを示せなきゃいけないときが近づいてる。 |
スレイ | その時までにはオレも、ザビーダのように割り切れない物事も自分なりに割り切れるようになっていたいんだ。 |
ザビーダ | ふっ……そうかよ。 |
ザビーダ | イクスとミリーナっつったな。てゆうわけで、お前たちもよろしく。 |
イクス | はい。こちらこそ。 |
ミリーナ | よろしくお願いします。 |
スレイ | それじゃあ、さっきはザビーダと乾杯できなかったしみんなで改めて乾杯しよう。 |
ライラ | ザビーダさんが「仲間」になったお祝いですわね。 |
ザビーダ | ……仲間か。 |
ロゼ | それじゃあ幹事、よろしく。 |
アリーシャ | ではいきますよ……乾杯 ! ! |
一同 | 乾杯っ ! ! |
ザビーダ | 乾杯。 |