キャラクター | 1話【カジノ1 資金難】 |
ルック | それとですね、ビクエ様から先月分の領収書を出し忘れていたと連絡がありまして……。 |
マーク | ……………………。 |
ルック | マークさん ? 聞いてますか ? |
マーク | ……聞いてる聞いてる。聞きたくなかったけど聞いてるよ。 |
マーク | さっき帳簿をまとめ終わったのにまたどこかの生活能力皆無なおっさんがため込んでた領収書を出してきたんだろ。 |
ゼロス | 何、救世軍の帳簿つけなんて地味な仕事までやらされてるの、マーくん。 |
マーク | 愚問だねぇ、ゼロスくん。他にやれそうな奴がいると思うか ? |
ゼロス | こりゃ失敬。んで、どうなのよ収支の方は……っておやおや、この数字の先頭に付いているおぞましき△印は……。 |
マーク | 神子様が帳簿を読めるたぁ驚きだ。そう、お察しの通り今月の救世軍の財政は赤字ってこと。 |
ルック | 付け加えますと、先月も先々月もです、ゼロス様。 |
ゼロス | マジかよ。世知辛いな、おい。 |
マーク | このところ急に食い扶持が増えたしな。イクスのとこみたいに、金儲けが得意な奴でもいれば助かるんだが、なんたってこっちの筆頭がフィルだろ。 |
マーク | クラトスは指揮官としては頼りになるが金儲けって柄じゃねぇし、シンクは論外。あんたは……。 |
ゼロス | 一応、ハニー達から俺さまへの愛のプレゼントの数々を寄付してるけど ? |
マーク | まぁ、な。頼まなくても、女性の方からプレゼント押しつけてくるゼロスの才能には感心するが焼け石に水でな。 |
マーク | ローエンもヴィクトルも色々節約のアイデアを出してくれて助かってるんだが病み上がりの二人を働かせる訳にもいかねぇだろ。 |
シンク | ……ちょっと。この二人が押しかけてきてるんだけど何とかしてくれる。 |
ゼロス | げ……。ミトス……。 |
ミトス | アホ神子といい、仮面の坊やといい、相変わらず態度がなってない奴らばかりだね、マーク。 |
マーク | ミトス ! どうしたんだ、マーテルを連れてケリュケイオンに来るなんて。 |
マーテル | お邪魔しています、マークさん。 |
マーク | いや、気軽に呼び捨ててくれ。 |
マーテル | ありがとう。ではそうさせてもらうわね、マーク。それから、シンク。ここまで案内してくれてありがとう。 |
マーテル | 道中ミトスがひどいことを言ったけれどどうか許して下さい。 |
シンク | ――だってさ、甘ったれ坊や。ママ代わりの姉貴のドレスの後ろに隠れて代わりに謝ってもらうなんていいご身分だね。 |
ミトス | フフ、そんなに突っかからないでよ。君が寂しいのは君の問題。 |
ミトス | 誰彼構わず辛辣にこき下ろして、それで自分を保ってるつもりなんて、子供だね。そんなに「生きる」のが怖いのかい、シンくん。 |
マーテル | ミトス。どうしてそんな言い方をするの。シンクはああして世界と自分の間の溝を埋めようとしているの。わかるでしょう。 |
シンク | 勝手にボクの分析をしないでくれる ?ホント、最悪の無神経姉弟だよ。 |
マーテル | ……ごめんなさい、気を悪くさせてしまって。 |
ミトス | ほっとけばいいよ、姉さま。生まれてきたことを呪うばかりでその先に進めない坊やなんだから。 |
シンク | ……何、喧嘩売ってるの ? |
ミトス | そう聞こえた ? 売って欲しいなら売ってあげてもいいけど、高くつくよ。 |
ゼロス | おいおい、マーク。止めなくていいのか。 |
マーク | ……………………。 |
ルック | 駄目ですね。マークさん、領収書を睨み付けてます。聞いてないですよ、これ。 |
ゼロス | マジかよ。俺さまミトスとはどうもソリが合わなくて―― |
クラトス | ――何の騒ぎかと思えばミトスとマーテルが来ていたのか。 |
ゼロス | ああ、もっとソリが合わない奴が来た !でも天の助け ! マーテル様に感謝。あ、女神の方のマーテル様。……ややこしいな、これ。 |
シンク | あんたの弟子だろ。クラトス。しつけが悪いにも程があるんじゃない。 |
ミトス | クラトスを悪く言うな。 |
シンク | へぇ、こいつはアンタの大嫌いなニンゲンなのにそうやってかばうんだ。じゃあこっちはアンタのパパなんだね、ミトス坊や。 |
クラトス | ……またか。お前達は寄ると触るとそれだ。精神の修練が足りない証拠だぞ。 |
マーテル | まぁ、クラトス。相変わらず、クールに熱いわね♪ミトスとの特訓の日々を思い出すわ。懐かしい ! |
クラトス | ……マーテル。その……お……あなたも変わらないな。 |
マーテル | まぁ、あなただなんて、他人行儀ね。お前でいいのに。 |
シンク | ……へぇ。 |
ゼロス | シンくんさぁ、人の弱点見つけて嬉しそうに笑うのやめてあげて。 |
マーテル | そうそう、今日はね、あなたに話を聞きたくてミトスに無理矢理連れてきてもらったのよ。 |
クラトス | わ、私に話……だと ? |
マーテル | ええ ! その……私とあなたたちは違う時間から具現化されたんでしょう ? だからあなたたちの時代のユアンのことを聞きたくて…… ! |
シンク | ユアン ? 何 ? |
ミトス | 砂漠で干からびた電気クラゲのこと。 |
ゼロス | うわ。なんでお前、ユアンに辛辣なの。裏切られたから ? |
ゼロス | あ ! ? まさか姉ちゃんの恋人が気に入らないとかいうアレ―― |
ミトス | 死にたいの ? アホ神子。お前のことばらすよ。ロイド達に。まだバレてないんでしょ。裏切り者だって。 |
ゼロス | アーアーアー失礼しましたーっと。 |
クラトス | ユアンか……。そうだな。奴は……以前の子供じみたところはなくなったが―― |
マーク | ――あんのクソロン毛中年引きこもり !何してくれてんだ ! ? |
マーテル | え ? ユアンが引きこもりになったの ! ?どうして ! ? |
クラトス | ま、待て、マーテル。あれはユアンのことではない。 |
ミトス | ユアンもクソロン毛だけどね。 |
クラトス | ミトス ! 話をややこしくするな。実際お前はユアンと一番仲がよかったではないか。どうしてそんなものの言い方をするのだ。 |
ミトス | ……色々あるの。クラトスには関係ないでしょ ! |
ゼロス | ……おいおいおい、あっちもこっちも空気悪くなってきたぞ。なぁ、マーク……。 |
マーク | ったく、何なんだ、この訳わかんない領収書は !どうして一晩の食事に15万ガルド掛かってるんだ ! ? |
マーク | こっちはテイラーの領収書 ! ? ケリュケイオンでパーティーでもするつもりか、フィルは !もう我慢ならねぇ、今日こそはビシッと言うぞ ! |
ミトス | ……修羅場の予感。 |
シンク | むかつくけど同意だね。 |
ミトス | 行くでしょ、もちろん。 |
シンク | は ! ? どうしてボクが ! |
ミトス | いいから、行くんだよ ! |
ゼロス | 俺さまも ! |
マーテル | あ、ミトス、待って !ほらクラトス。私たちも行きましょう ? |
クラトス | マーテル、その野次馬根性でどれだけ事件に巻き込まれてきたか―― |
ルック | ……はぁ、鏡映点ってのは口の悪い人たちの集まりなのかねぇ。まぁ、いいや。領収書の整理やっとくか。 |
キャラクター | 2話【カジノ2 フィル】 |
マーク | ここは……確か、ロイドの世界の大陸だったな。テセアラ大陸って名付けられたんだっけか。 |
ゼロス | 自分のいた世界が、異世界で大陸になってるってのも妙な感覚だな。で、フィルは何処に行くって置き手紙を残してたんだ ? |
マーク | テセアラ大陸のアルタミラって街に行くって書いてあるな。 |
ミトス | アルタミラって、リゾート都市だったよね。 |
クラトス | ああ。もっとも名前が同じなだけでこの世界のアルタミラがリゾート都市であるかはわからぬが……。 |
マーテル | ほら、シンク。早くいらっしゃい。迷子になるわよ。 |
シンク | ……子供扱いするのはやめてくれない ? |
マーク | ……なぁ、何でお前らノコノコついてきてるんだ ?しかもマーテルも一緒って、大丈夫なのかよ ? |
マーテル | あら、私もそれなりに戦いの心得はあるのよ。 |
ミトス | 姉さまはクラトスと話がしたいんだよ。 |
ゼロス | マーテル様ぁ ! 俺さまとお話ししちゃいましょーよ !ユアンのことなら俺さまでも―― |
ミトス | お前は姉さまの半径10メートル以内に入るな。 |
ゼロス | ああ、なるほど。俺さまの色香は10メートル先でも女性を惑わせる程に魅惑的だと―― |
クラトス | 丁度いい。そこの街の入り口で何かもめ事が起きているようだ。 |
ゼロス | 丁度いいとはなんだ、丁度いいとは ! |
マーテル | あら、ゼロスってユアンみたいなのね。 |
シンク | じゃあ、そのユアンってのも相当な色ボケなんだね。 |
ゼロス | それ、どういう扱いなの ! ? 喜んでいいのか悲しんでいいのかわからないんだけど ! ? |
マーク | ――ちょっと待て。街の入り口で絡まれてるのはフィルだぞ ! ? 何やってんだ、あいつは ! ? |
マーク | オラァッ ! てめぇら、うちのフィルに何してやがる ! |
シンク | ……完全に子供の喧嘩を止めに行く親になってるね。 |
マーテル | まぁ……。面倒見がいいのね、マークは。 |
ミトス | フィリップの方が手が掛かり過ぎなだけじゃない ? |
フィリップ | ……本当にごめん。みんなに迷惑をかけてしまって。 |
マーク | 全くだ。一人でフラフラ出ていくな。せめて置き手紙じゃなくて、ちゃんと俺とかクラトスに声をかけてから外出しろって。 |
フィリップ | ……だけど―― |
マーク | だけどじゃねぇだろ ! |
フィリップ | う、うん。ごめん……。あの、でも、マークは忙しそうだったから……。 |
マーク | それは帳簿をつけてたから――あ ! ?そうだフィル、何なんだ、あの高額な領収書は ! |
フィリップ | あ、そうか……。まだみんなには話していなかったね。えっと……実は最近、一人でアルタミラの街の内偵調査をしていたんだ。 |
クラトス | アルタミラに何かあるのか ? |
フィリップ | 前に偶然この街に立ち寄ったことがあるんだけどその時、妙な話を聞いたんだ。 |
フィリップ | 救世軍残党――ああ、僕らは今でも救世軍だから……そうだな、ファントム救世軍とでも呼ぼうか。 |
フィリップ | とにかくそのファントム救世軍がこの街に集まってきていると言うんだ。 |
マーク | ……鏡殻変動の時期に、俺たちにも付かず帝国にも行かなかった連中ってことか……。 |
マーク | まぁ、確かにそんな奴らもいたな。主にフリーセルのシンパだった連中だ。 |
フィリップ | ああ。しかもアルタミラ集合の大号令をかけているのが【フリーセル】だって言うんだよ。 |
ミトス | ……フリーセルって、フィリップと一緒に最初の救世軍を作った人だっけ。死んだんでしょ ? そう聞いてたけど、違うの ? |
マーク | ああ。確かにフリーセルは……もう亡くなってる。 |
シンク | まさか過去からの具現化 ?だとしたら帝国にしかできないことだよね。 |
フィリップ | その辺りがよくわからないんだ。確かに帝国の連中がウロウロしているらしいとも聞くし。それで調査を始めたんだけど……。 |
マーク | で、それと高額領収書はどう繋がるんだ ? |
フィリップ | アルタミラは娯楽の街らしくて、物価が高いんだよ。それにドレスコードに厳しい店も多くて……。 |
マーク | そ、それであんな無駄遣いを……。 |
謎の男 | ………………。 |
フィリップ | あれ…… ? 何だか視線を感じるけど……。 |
マーク | しっ。気付いてないふりをしろ。 |
シンク | あのマントの男だろ。街に入ったときからずっとこっちを見てるよね。 |
ゼロス | こっちっつーか、フィルを見てるな。 |
フィリップ | ええ ! ? |
ミトス | だから反応しないで。気付いてなかったのはフィリップだけだよ。 |
マーテル | ええ。嫌な視線だわ。ハーフエルフ狩りをしていた人たちの視線に似ている。気を付けて。 |
シンク | 後をつける ? 始末する ? |
クラトス | 泳がせよう。 |
ミトス | ボクが脅しをかける。シンク―― |
シンク | ――命令しないでくれる ?まぁ、この中じゃボクが適任なのは認めるけどね。 |
マーク | 悪いな、シンク、ミトス。始めてくれ。 |
ミトス | 何者だ ! ? |
謎の男 | ! ? |
クラトス | 今のうちにフィリップとマーテルはケリュケイオンに戻れ。ゼロス、エスコートは任せたぞ。 |
ゼロス | お、いい役をくれるじゃねーの。マーテル様のナイトなら、喜んで任されてやるぜ。 |
フィリップ | でも、ファントム救世軍の件は……。 |
マーク | そっちは俺らがやっとく。それでいいだろ。もし長距離移動することになりそうならまた連絡する。 |
フィリップ | ……マーク。ごめん。 |
マーク | 謝るぐらいなら、単独行動なんてするな。お前の単独行動は危なっかしいんだから。 |
フィリップ | ………………。 |
キャラクター | 3話【カジノ3 活動資金稼ぎ】 |
マーク | お、シンク。お疲れさん。どうだった ?なんて聞くだけ野暮か。当然、何処に逃げ込んだか突き止めたんだろ ? |
シンク | 愚問だね。街の中心部にある高級カジノの通用口に逃げ込んだ。 |
クラトス | ミトスはどうした ? |
シンク | この話をしたら、近くのテーラーに飛び込んだよ。 |
クラトス | ……カジノに入るつもりなのか。 |
マーク | おい、ちょっと待て。テーラーって……まさかスーツでも仕立てるつもりか ! ? |
シンク | 仕立てたって間に合うはずないでしょ。吊るしでも買うんじゃない ? |
マーク | そういう問題じゃねぇんだよなぁ。はぁ……。その金はどこから出ると思ってるんだ。 |
ミトス | ――大丈夫。カジノで倍にして返すよ。はい、これ、みんなの分。 |
シンク | ……ちょっと。 |
クラトス | ミトス……。どうしてそう行動力がありすぎるのだ。 |
マーク | 四着も買ったのか ! ? |
ミトス | だって、あのカジノ、ドレスコードがあるんだよ。ボクとシンクはこの外見だからそれぞれ保護者がいるしね。 |
マーク | 保護者ならクラトスだけでいいだろ。 |
ミトス | テーラーで情報を仕入れたんだ。あのカジノのオーナーの名前フリーセルっていうんだってさ。 |
マーク | ! ! |
クラトス | ……という事はあのカジノはファントム救世軍の根城か。 |
マーク | だとしたら、あの怪しいマントの男がフィルを見てたのも頷けるな。 |
マーク | 見た目はファントムそのものだし俺やミトスのことも知ってる可能性がある。 |
シンク | ああ、だから保護者が二人いるのか。面が割れてるのとそうでないのと。 |
クラトス | ここで一緒にいたのを目撃されているのだ。二手に分かれたところで、無意味かも知れんがまぁ、念には念を入れてという事か。 |
クラトス | 仕方がない。カジノに向かうぞ。 |
マーク | 悪いな、三人とも。……おっと、シンク。お前、その仮面は取れよ。さすがにカジノでそれは悪目立ちする。 |
シンク | ……チッ。 |
ミトス | 目元を隠すのは気が弱いからなんだって ?シンくん ? |
シンク | アンタも同じ顔がゾロゾロいる環境に生まれたらそんな考え吹き飛ぶよ。 |
ミトス | ………………。 |
カジノの店員 | いらっしゃ……いま……せ ! ? |
マーク | どうした ? 俺の顔に何か付いてるか ? |
カジノの店員 | い、いえ……。どうぞ、中にお入り下さい、お客様。 |
ミトス | ……やっぱり顔バレしてるね。 |
マーク | まぁ、当然か……。元救世軍で俺たちの顔を知らなきゃモグリだわな。 |
シンク | そろそろいいんじゃない。 |
クラトス | ああ。ミトスとマークは先行して中に入った筈だな。 |
カジノの客 | また、ロイヤルストレートフラッシュだ ! ? |
カジノの客 | あの子これで3回連続よ ! ? どうなってるの ! ? |
マーク | おい、ミトス……。お前なんだってそんなにポーカー強いんだよ……。 |
ミトス | 単なる運だよ。昔から勝負事には強いんだ。カード切ってるのはディーラーだしボクは何もできないよ。 |
マーク | ……カード切るのが自分ならイカサマするって聞こえるな。まぁ、いいか。マジでスーツ代、倍にして返してもらえそうだしな。 |
シンク | ……悪目立ちしてるんじゃない ? あの二人。 |
クラトス | 丁度いい。あの二人を隠れ蓑にして情報を集めよう。私は……バーに向かう。一緒に来るか ? |
シンク | 冗談でしょ。手分けした方がいい。とはいえ、子供が一人でテーブルに付いても相手にされないだろうから、ダーツの方へ行くよ。 |
クラトス | よし、では始めようか。 |
カジノの店員 | 大変です !マークさんと飛天のミトスがカジノに来ました ! |
支配人 | 何 ! ? 見間違いじゃないのか ! ? |
カジノの店員 | いえ、間違いないです。今ポーカーテーブルで荒稼ぎしています ! |
謎の男 | 支配人 ! |
支配人 | その声は……グラスティン様、ですか ! ?何故そんなマントを……。 |
グラスティン | 顔を見せられないからだ。俺の醜い顔を晒してフィリップの気を害したくない……。 |
支配人 | フィリップ……さん ? |
グラスティン | ビクエだ ! フィリップと言えばビクエフィリップ・ビクエ・レストンしかいないだろう ! |
支配人 | は、はい ! 失礼しました ! |
グラスティン | 支配人。すぐに人を集めろ。これは千載一遇の好機だ。やっとフィリップを標本にできる機会がやってきたんだからな ! |
キャラクター | 4話【カジノ4 誘拐1】 |
フィリップ | ………………。 |
マーテル | マークたちならきっと大丈夫。 |
フィリップ | え ! ? あ、ああ、ご、ごめん。心配そうな顔をしていたかな ? |
マーテル | ふふ……。そうですね。少しそう見えました。 |
ゼロス | マーテル様 ! 俺さまのことも心配して ! |
マーテル | 心配しているわ、もちろん。ミトスが……あなたにひどい仕打ちをしてしまったと聞いているし。 |
ゼロス | ――あー……それ、知ってるのか。 |
マーテル | ええ。とても許されないことを……あの子はしてしまった。 |
マーテル | でもあの子がそうなってしまった責任は周りにいた私たち大人にもある。ごめんなさい、ゼロス。 |
マーテル | ただ、勝手なことを言うけれど、せめてこの世界ではあなたもミトスやその呪縛から解き放たれていいのではないかと思うの。 |
ゼロス | それは……俺さまがロイド達にしてきたことを都合よく忘れて生きろってことか ? |
マーテル | 忘れるのではなく、真実を話してみたらどうかしら。ロイドとはよく話をするけれどとてもまっすぐないい子よ。 |
マーテル | ……そんなことはあなたの方が知っているわよね。でもだからこそ、ロイドならきっとあなたの話を受け止めてくれると思うわ。 |
フィリップ | ゼロスさんは、ロイド達に何を隠しているんですか ?あ、いえ、立ち入ったことを聞いてすみません。 |
フィリップ | 僕も……イクス――最初のイクスにもミリーナにも隠していたことがあって……。 |
フィリップ | とうとうイクスに本当のことを告げられないまま永遠に別れることになってしまったから。 |
ゼロス | ……ご忠告どうも。ま、もう少し考えてみるわ。 |
フィリップ | いや……。忠告なんてできる立場じゃないんだ。僕は色々なことに踏ん切りがつけられなくて……。マークにも申し訳ないと思ってる。 |
ゼロス | なんつーか……。あんた、自己評価低いなぁ。まぁ、俺さまも人のことは言えないがそれにしたってあんたよりはマシだと思うわ。 |
ゼロス | どうしてそんなになっちゃってるのよ。マークはそんな風に思って欲しくない筈だぜ。 |
フィリップ | ……僕は……最低の人間なんだ。あの……そんなことはないって言って欲しいとかじゃなくて、事実としてそうなんだ。 |
マーテル | ………………。 |
マーテル | ……ここはいい風が吹いているわね。鳥の声も聞こえるわ。あの綺麗な鳴き声を聞いていたら他の全ての言葉を忘れてしまいそう。 |
フィリップ | ? |
ゼロス | ……なぁ、フィル。こちらのお姉様は俺たちの世界じゃ女神様だって言われてたんだ。んで、俺さまは麗しの神子様。 |
ゼロス | あなたの罪は女神が共に背負い、またその罪に赦しを与えるであろう、なんてな。ま、こういうのはコレットちゃんの方が向いてるんだけどよ。 |
ゼロス | 神子としての俺さまは意外と口が硬いんだぜ ? |
マーテル | 私はもちろん女神ではないけれどとっても忘れっぽいんですよ。それに……他人の方が気安く話せることもあるんじゃないかと思って。 |
マーテル | あ、無理に言葉にしなくてもいいんですよ。よければ、少しここで休んでいきませんか ? |
フィリップ | 二人より僕の方が年上なのに……情けないな、僕は。でも……そうだね。僕は……幼い頃、罪を犯したんだ。 |
フィリップ | 僕はイクスに憧れていて……イクスが本当にうらやましくて……。彼みたいになりたいと……いっそ彼になりたいと思って……。 |
フィリップ | ……イクスを……殺そうとしたんだ。 |
フィリップ | 未遂だったけれど……僕はあの日のことを一生忘れない。僕は……自分が許せないんだ。 |
ゼロス | ……生きるってつらいよな。 |
フィリップ | ……そうだね。 |
マーテル | きっと今の告白は、風と鳥が遠くへ届けてくれるわ。誰にも聞こえないように。 |
フィリップ | ……二人とも、ありがとう。不思議だね。今までこのことはほとんど誰にも話さなかったのに。 |
マーテル | このこと ? 何のことかしら ? |
ゼロス | さて、何だったかね。それより早いとこケリュケイオンに戻ろうぜ。 |
フィリップ | ……本当に、ありがとう。 |
街の男性 | おーい ! そこの人たち ! ちょっと待ってくれ ! |
ゼロス | ん ? 何だ ? |
街の男性 | この先で馬車が脱輪しちまって子供が怪我をしてるんだ。手を貸してくれないか ? |
マーテル | それは大変だわ。何処ですか ? |
街の男性 | 案内するよ。こっちだ。 |
キャラクター | 5話【カジノ7 情報】 |
ミトス | ……フォールド。 |
マーク | やめるのか ? |
ミトス | うん、疲れてきたし、負けが込んできたからね。喉が渇いたから、何か飲もうよ。 |
マーク | ……途中から、明らかに回ってくるカードが悪くなってたな。 |
ミトス | ああ、気付いてた ? 確かにあのテーブルのディーラー途中からカードを操作してた。 |
マーク | 本来ギャンブルの胴元ってのは小細工しなくても儲かるんだがな。 |
ミトス | うん。つまり……ここはイカサマカジノってこと。ファントム救世軍の資金源なんじゃないかな。 |
マーク | クラトスとシンクもカジノの中にいる筈だよな。話を聞きたいが……。 |
ミトス | ――クラトスがバーカウンターにいる。 |
マーク | よし、俺たちもバーに行くか。 |
クラトス | おかえり。 |
シンク | ……ただいま。……って、何、この会話。まぁ、いいけどさ。 |
マーク | さてと、ミトス。色々盛りだくさんだったな。 |
ミトス | そうだね。お土産話がたくさん。 |
クラトス | ダーツはどうだった、シンク。 |
シンク | 簡単すぎて退屈だったよ。――ああ、でも変なおばさんに声をかけられたかな。この辺りは最近物騒だから、子供一人になるなって。 |
クラトス | そういえば近くの町や村で子供や女性が次々行方不明になっているそうだな。 |
マークとミトス | ! |
シンク | ねぇ、スロットコーナーの奥にある鏡、見た ?掃除が行き届いて綺麗に磨かれてて「まるで入れそう」だったよ。 |
マーク | ――ミトス。後ろのリボンが曲がってるんじゃないか ? |
ミトス | そう ? じゃあ、鏡を見ながら直そうかな。スロットコーナーの方にあったよね。 |
マーク | ……ここは隠し通路、か ?本当に鏡が隠し扉になってるとは。よく気付いたな、シンク。 |
シンク | 綺麗に磨いてある割に枠の1箇所だけが人の皮脂で薄汚れてたからね。 |
ミトス | へぇ、やるじゃない。 |
シンク | ……フン。 |
クラトス | お前達の話ではここはイカサマが横行しているそうだな。 |
ミトス | うん。まず間違いないよ。 |
マーク | そっちの行方不明になった人たちってのはどうなんだ。 |
クラトス | 身なりのいい男たちが最近のチップは質が下がってきた、と言っていた。 |
クラトス | 巧みに隠してはいたが、恐らく違法な人身売買が行われているのだろう。 |
シンク | そういう表に出せないものは、隠し通路を使うよね。ここからくまなく内部を探せば色々証拠が見つかりそうだけど。 |
クラトス | どうする ?元はといえば、フィリップが始めた調査だ。 |
クラトス | フリーセルの件はまだ見えないがここがファントム救世軍の資金源であることは疑いようがない。 |
マーク | 一旦、フィルに連絡してみる。 |
ミトス | ……魔鏡通信に出ないね。 |
マーク | また研究に熱中してるのか ?……仕方ない。あとでもう一回連絡するとしてこのまま調査を進めよう。 |
マーク | 人間がさらわれて売買されてるなんてのを見過ごすのは、寝覚めが悪ぃからな。 |
シンク | で、具体的に何を探せばいいの ? |
クラトス | このカジノには、VIPルームがあるようだ。まずはそこを目指すのがいいだろう。 |
マーク | 了解だ。 |
シンク | ……人のいい奴らだな。ほっとけばいいのに、馬鹿馬鹿しい。 |
ミトス | 待って、シンク。 |
シンク | ……何 ? |
ミトス | ……顔。 |
シンク | はぁ ? |
ミトス | 隠さない方がいい。 |
シンク | 頭でも打った ? |
ミトス | 人は同じ顔に生まれても育った環境で微妙に違う顔になるんだって。 |
シンク | ………………。 |
ミトス | 元が何もかも同じだったとしても……同じじゃない。 |
シンク | ああ、そうか。ディストから聞いてるんだったな。ボクがレプリカだって。 |
ミトス | 当然でしょ。 |
シンク | へぇ、それで同情でもしてくれるのかい、元勇者サマ。 |
シンク | やっと死ねたと思ったのに、また生きることを押しつけられて、異世界までつれてこられたと思ったら今度は元勇者サマのお説教か。 |
シンク | それともボクがニンゲンじゃないから優しくしたくなったのかい ? |
ミトス | ああ、そうだよ。ボクは人間が嫌いだからね。それとも人間扱いして欲しいの ? |
シンク | ――最悪だね、アンタ。退路を断った。 |
ミトス | そうさ。ボクに構われたくなかったら人間だと認めて生きるしかない。 |
ミトス | レプリカが人間じゃないって言うならボクに優しくされても仕方がない。どっちにしても地獄だね、キミにとっては。 |
シンク | 殺してやる。 |
ミトス | でも自分から死のうとはしないんだね。 |
シンク | ………………。 |
マーク | ――ついてこないと思ったら、またやり合ってたのか。 |
シンク | ……別に。 |
マーク | 抉られる側の気持ち、少しはわかったか ? |
シンク | ……そんなもの、最初から知ってるよ。 |
クラトス | ミトス……。 |
ミトス | クラトス。お説教なら聞きたくないよ。もうクラトスはボクの騎士じゃない。 |
クラトス | ……いや。やり方は決して褒められないがお前なりにシンクに歩み寄ろうとしたことは評価している。 |
ミトス | ……そういうのは息子に言ってやれば。 |
クラトス | 言ってやりたいが、中々会える機会がなくてな。 |
ミトス | 会いに行けばいいんだよ。姉さまみたいに。 |
クラトス | ……そうだな。 |
キャラクター | 6話【カジノ8 VIPルーム】 |
フィリップ | ――あの……。重ね重ねすみません……。 |
ゼロス | いやー……。こればっかりはフィリップが悪い訳じゃないけどよ。 |
ゼロス | まぁ、強いて言うなら、もうちょっと運動した方がいいかもしれねぇな。ウチのジーニアス並の運動神経だったぞ。 |
フィリップ | ……そうだよね。子供の頃から体が弱くて親から過保護にされていたから――あ、これも言い訳か……。 |
マーテル | いえ、子供が怪我をしているという言葉にまんまと引っかかってしまった私も考えが足りませんでした。 |
フィリップ | 逃げようとしたときに、僕が転んでしまって人質になってしまったから、二人までこんな牢屋に閉じ込められることになってしまって……。面目ない。 |
ゼロス | 魔鏡通信機も取り上げられちまったしなぁ。さて、どうやって脱出するか。大方、アルタミラの街でフィルを見てたあの変なマント野郎の差し金だろ。 |
フィリップ | 馬車での移動時間や、外の物音を聞いた限りではアルタミラの街に戻ったことは間違いないよ。 |
フィリップ | 断定するのは早計かも知れないけど、あの街でこんな大がかりな牢屋がある建物なんてカジノぐらいしか思い当たらない。 |
ゼロス | お、調子出てきたな。ま、頭脳労働者は頭脳労働者らしく頭働かせて貢献してくれればいいってことよ。 |
マーテル | 狙いがフィリップさんだったとしても敵が帝国軍なのかファントム救世軍なのかは定かではないわね。 |
ゼロス | そうだな。まぁ、ここに長く閉じ込めておくつもりはないだろ。どこかに移される筈だ。その時が狙い目だな。それまでは体力温存しとこうや。 |
マーク | ……何だよ、まだ怒ってるのかシンク。 |
シンク | 怒ってる ? |
マーク | 苦虫をかみつぶしたようなすげぇ顔してるぞ。仮面がないからモロわかりだ。 |
シンク | 元々こういう顔なんだよ。ほっといてくれない ? |
マーク | はいはい。……まぁ、こういうのはお前が一番嫌いな物言いだと思うけど、俺は何となくシンクの気持ちがわかるぜ。 |
シンク | 本当だね。勝手に人の心を読まないでくれる ?アンタまでそんなこと言いだすなんて、呆れるよ。 |
マーク | まぁ、そう言うなって。この際だから聞いてくれよ。鏡精の戯言だ。 |
マーク | 望んで生まれた訳じゃねぇからこそ運命に爪痕残してぇんだよ。存在を生み出した事象そのものに復讐するっつーか。 |
シンク | アンタはあの自己中な片眼鏡中年の忠実な犬だろ。 |
マーク | 誰がフィルに爪痕残したいなんて言ったよ。そうじゃねぇよ、俺が不満ぶちまけてやりたいのは俺をこういう仕組みに作り上げた【何か】だ。 |
マーク | 正体も存在もわからないそんなものはないかも知れないでも俺っていうものを生み出すに至った |
マーク | ――強いて言うなら【世界】って奴かね。 |
シンク | ……それでもアンタには価値がある。望んで創り出され、生まれたことに価値がある。必要とされてる鏡精だ。ボクとは違う。 |
マーク | 元の世界のことは知らねぇが俺らには――俺にはシンクが必要だぜ。 |
シンク | 虫酸が走るね。仲良しごっこはごめんだよ。 |
ミトス | ……荒れてる。 |
クラトス | だろうな。 |
ミトス | ちょっと反省してるよ。あんな追い詰め方をして。子供時代がない子供ってのもつらいんだろうね。ルークもそうだけど、ちょっと放っておけない感じ。 |
クラトス | お前もかつては――四千年前のあの頃は大人になることを強いられた子供だったな。 |
ミトス | ……そうだったかな。でもボクには姉さまもクラトスもユアンもいた。子供でいられる時間があったよ。まぁ、シンクには大きなお世話なんだろうけど。 |
ミトス | ……って、変だよね、こんなの。ボクは星の数ほどの命を葬り去ってきた。 |
ミトス | 今更シンクが生まれたことを呪って、価値や意味に囚われていようと、ボクにしてみればその辺の肉塊がくだらないことを喋ってるってだけなのに。 |
クラトス | ミトス。ことさらに露悪的な言い方をするのはやめなさい。確かに我らのしてきたことは非道だ。 |
クラトス | それがわかっていて――それでもこの世界で生きるのなら、もっと違う過去の認め方と償い方があるのではないか。 |
クラトス | そのことを知っている――いや、気付いたからこそマーテルに全てを話したのだろう ? |
クラトス | 今まで曖昧にしてごまかしていたであろう元の世界でのことを全て。マーテルとの関係が壊れることも覚悟の上で。 |
ミトス | ……何で知ってるの ? |
クラトス | 私にユアンの話を聞きたいと言っていた。マーテルが私と話をしたがるときはいつもミトスのことを案じていたときだ。 |
クラトス | もちろんユアンのことも聞きたいのだろうが口実でもあったのだろう。 |
ミトス | ……クラトスは本当に変わったね。ううん。昔のクラトスに戻ったのかな。ロイドの影響で。 |
クラトス | どうかな。少なくとも間違いは正せると……起こしてしまったことは変えられずとも、考え方を生き方を変えることはできるのだと教わった。 |
ミトス | ……ロイドなら、シンクをどうするんだろう。 |
クラトス | お前はロイドではない。ミトスとしてできることをすればいい。 |
ミトス | ………………。 |
キャラクター | 7話【カジノ9 ミトスとマーテル】 |
クラトス | ……誰か来るな。 |
マーク | そこの部屋、物置みたいで誰もいない。 |
カジノの店員A | さっきの綺麗な人が今度のVIPルームの景品なのか。あの人がもらえるなら、俺も勝負してぇな。 |
カジノの店員B | 馬鹿言うな。ベットが100万ガルドからだぞ。 |
カジノの店員A | けど、フリーセルさんも変わっちまったよな。こんな阿漕な真似してまで金を稼ごうなんて。 |
カジノの店員A | これだったら今更フリーセルさんのところに来ない方がよかったって思うよ。全然顔も見せてくれねぇし。 |
カジノの店員B | よせよせ。誰に聞かれてるかわからないぞ。セールンドは崩壊しちまったし帝国にはディストがいるから行きたくないし。 |
カジノの店員B | マークさんたちには今更顔向けできないし……。俺たち、もう行き場がねぇんだからさ。 |
カジノの店員A | ……そうだな。 |
ミトス | 相変わらず慕われてるね、マーク。 |
マーク | 何だかなぁ。気にせずに合流してくればいいのによ。 |
シンク | そのノリで、今財政難なんでしょ。 |
マーク | だが、元とはいえ、困ってる仲間を助けられないような甲斐性無しじゃねぇぞ。 |
シンク | その性格の何処にフィリップの要素が入ってるんだろうね。 |
クラトス | ……今の店員達が出てきた扉が、VIPルームへの通用口か。フリーセルの名前も出たし中ではいかがわしい賭けが行われているようだな。 |
二人 | さっさと中に入って潰そう。 |
マーク | そういう物騒なところだけ意見の一致をみせないでくれって。 |
マーク | それより、本当に人間が賭けの対象にされてるならこのカジノの中にまだ囚われてる人間がいるはずだ。そっちを助け出した方がいい。 |
ミトス | ……だったらこういうのはどう ? 面の割れてる二人でVIPルームに入って勝負するんだ。その間にクラトスとシンクが、囚われてる人を助ける。 |
クラトス | 救世軍のマークとミトスが乗り込んできたとなればフリーセルも動く可能性があるな。 |
シンク | いいんじゃない。派手なことは派手好きの二人に任せるさ。 |
マーク | 別に派手好きってこともないが……。まぁ、それで行ってみるか。 |
マーク | ――邪魔するぜ ! |
カジノの店員C | マークさん ! ? それに四幻将の……。 |
カジノの客A | な、何だ、あいつらは……。 |
カジノの客B | 下のフロアで馬鹿勝ちしてた子供だ。ここに入れるような客だったのか……。 |
ミトス | 下のフロアが退屈だったから遊びに来させてもらったよ。 |
? ? ? | ミトス ! ? |
ミトス | 姉さま ! ? |
ミトス | ! ! |
ミトス | ――そういうことかっ ! |
ミトス | ジャッジ……ごほぉっ ! ? |
マーク | ストップストップ ! 話が違うだろ。落ち着け ! |
ミトス | うるさい ! 放せっ ! |
カジノの支配人 | 当カジノの支配人です。困りますね、マーク様。勝手にVIPルームに入り込んで騒ぎ立てるなんて。 |
マーク | ああ、悪い悪い。連れが熱くなりやすいタイプでね。 |
カジノの支配人 | 元四幻将、飛天のミトス様ですね。 |
ミトス | お前達、殺してやる ! |
マーク | わかったわかった。落ち着いてくれよ、ミトス。 |
マーク | で、支配人よ。そこの綺麗なお姉さんも俺たちの連れなんだがどうしてこんなことになってるんだ ? |
カジノの支配人 | どうもこうも。あの方のお連れ様が、高価な調度品を次々壊してしまいまして。弁償のために身売りして頂くことになっただけですよ。 |
ミトス | 連れ…… ? まさかゼロスとフィリップ ! ? |
マーク | ……クソが。 |
カジノの支配人 | 暴れても結構ですがこちらの手には人質がいることをお忘れなく。 |
マーク | わかった。だったらこうしよう。俺たちをマーテル獲得の勝負に混ぜてくれ。 |
カジノの支配人 | 面白いですね。しかし掛け金はあるのですか ? |
マーク | ――金の代わりに新生救世軍全てを。ここまで落ちぶれたフリーセルなら喜んで受け取るんじゃないか ? |
ミトス | ! ? |
マーク | 俺が勝ったら配当金と交換でマーテルとゼロスとフィルを返してもらう。もちろんイカサマはナシだ。お互いにな。 |
カジノの支配人 | いいでしょう。ただし、ミトス様がプレイヤーになるのは認められませんよ。下での辣腕ぶりを見せて頂きましたから。 |
マーク | すると俺がプレイヤーか。後悔することになるぜ ? |
ディーラー | それでは参加者六名でのマーテル・ユグドラシル嬢争奪テキサス・ホールデムポーカーを行います。 |
マーク | お手柔らかに頼むぜ。イカサマ無しでな。 |
ディーラー | ……も、もちろんです。ま、まずはプリフロップ。 |
マーク | (俺の手札二枚が来た。――まずはハートの10、か。テーブルの位置が悪いからな。スーテッドかギャッパーで始められればいいんだが。もう一枚はどうかな……) |
マーク | (……くそ。ついてねぇな。まさか【コイツ】が来ちまうとは) |
マーク | チェック。 |
ミトス | (チェックか。表情からは弱気なのか強気なのかはわからない) |
ミトス | (マークを知らない参加者は弱腰とみるだろうけどここのカジノの店員はほとんどが元救世軍。マークなら敢えてのブラフだと読む) |
ミトス | (その空気感を悟る客はチェックかコールわからない間抜けは手札次第でまんまとレイズする筈) |
ディーラー | フロップ――ハートのA、ダイヤのQ、クラブの6。 |
マーク | ………………。 |
マーク | コール。 |
ミトス | (表情は変わらない。さすがだね、マーク。ポジションはアンダー・ザ・ガンで不利だけど自分のパーソナリティを上手く利用してる) |
ミトス | (これなら相手は役が出来たのかブラフなのか読み切れない) |
ディーラー | ターン――ハートのK。 |
カジノの客 | ……おい、こいつはもしかしたらストレートが出るかも知れないぞ。 |
ディーラー | しっ。お客様。プレイヤーの邪魔になりますのでお静かに。 |
プレイヤー1 | コール。 |
プレイヤー2 | フォールド。 |
マーク | レイズ。 |
プレイヤー3 | ……フォールド。 |
プレイヤー4 | コ、コールで。 |
プレイヤー5 | レイズ。 |
ミトス | (二人脱落か。手札次第で既にストレートやフラッシュが作れる状況だ。ワンペア程度じゃ勝負にならない) |
ミトス | ―― ! |
? ? ? | こっちだ。 |
ミトス | どうしてここに……。 |
ゼロス | マーテルがおとりになってくれて俺さまを逃がしてくれたんだ。助けを呼ぶためにな。 |
ゼロス | で、俺さまはお金持ちのマダムに頼んで同伴でVIPルームにいれてもらったって訳。 |
ミトス | 状況はわかってるの ? |
ゼロス | 少なくともお前らの状況はな。さっきクラトスと連絡を取った。あっちは首尾よくやってる。 |
ゼロス | 支配人は俺さまに気付いたみたいだが上客と一緒なんで手が出せないみたいだな。 |
ゼロス | 俺さまが支配人の気を引いてる間にクラトスとシンクが諸々片付けてくれるといいんだが。 |
ミトス | ……ポーカー勝負、少し引き延ばした方がいいね。 |
キャラクター | 8話【カジノ9 ミトスとマーテル】 |
フィリップ | (結局僕だけになってしまった。それはいいんだけどゼロスさんやマーテルさんは大丈夫かな……) |
フィリップ | ――誰だ ! ? |
謎の男 | ……やっと会えた。 |
フィリップ | ……その声は――まさか、グラスティンか ? |
グラスティン | ヒヒヒヒ、声だけで俺だとわかるのか。さすがだなフィリップ。 |
グラスティン | お前はいつだって四人の中の誰よりも優れていて美しく、俺と同じように歪んでいた。人生で初めて見つけた同志がお前だった。 |
グラスティン | あんな女にたぶらかされていなければお前はもっともっと輝いたはずだ。 |
フィリップ | ゲフィオンをあんな女呼ばわりするのはやめてくれ。 |
フィリップ | それよりどうしてそんな格好をしているんだ。それにどうしてここにいる ?きみはアニマ汚染で入院していたはずだろう。 |
グラスティン | そうだ。おかげで髪の色は抜け落ち、目は落ちくぼみ痩せこけて、これ以上なく醜い姿になってしまった。お前にこんな姿を見せたくない。 |
グラスティン | 完璧なフィリップの目には完璧なものだけを映して欲しい。 |
フィリップ | ………………。 |
グラスティン | ヒィィィァアア、汚物を見るようなその瞳たまらないなぁ…… ! |
グラスティン | けれどその美しい瞳に、この俺を映すのはあまりにも忍びない。でも、ここで再会できたことには本当に感謝しているんだ。 |
グラスティン | 俺はお前が欲しい。その全てを美しく飾り立て標本として大切にするよ。ヒヒヒ。 |
グラスティン | 愛しいものを手にかけようとした同志なんだからこの気持ちがわかるだろう ? |
フィリップ | すまないが、きみが勝手に同志だと言ってるだけで僕にはきみがまったく理解できないよ。標本になるのもごめんだ。 |
グラスティン | フィリップ。我が儘は言わないでくれ。お前のその素晴らしい才能が、頭脳が、髪が、瞳が……全てそのまま残されるんだ。永遠に。最高だろう。 |
フィリップ | そんなことより、 きみはどうしてここにいるんだ。 |
グラスティン | ここは俺が作らせたカジノだからだ。活動資金を集めるのには丁度よかったしお前を呼び寄せることもできた。素晴らしいだろう ? |
フィリップ | 僕を呼び寄せる…… ? まさか、このカジノが元救世軍を集めるための拠点だったのか !だとしたら、フリーセルも―― |
グラスティン | フリーセルは死んだよ。それはお前が一番よく知ってるじゃないか。 |
グラスティン | 救世軍を作るためにフリーセルを巻き込み具現化したもう一人のお前が殺したんだから。 |
グラスティン | ヒヒ……ヒヒヒ、フリーセルがうらやましいよ。フィリップと同じ姿の人間に殺してもらえるなんて。ゾクゾクするよぉ ! |
フィリップ | 救世軍の残党を集めるためにフリーセルの名前を利用したのか ! ? |
グラスティン | そうだ。あいつもやっと人の役に立つことをしてくれた。 |
グラスティン | 昔からクソ生意気なエセ活動家で大嫌いだったが死んでから俺の役に立ってくれるなんてなぁ ! |
グラスティン | ヒヒヒヒヒ ! フィリップ。一緒にいた女はもうすぐ売り飛ばされるしもう一人の男は逃げ出しちまったよぉ ! |
グラスティン | 二人の時間をゆっくり楽しもう。まずは筋弛緩剤の注入からだ……。ふぅぅぅ……興奮が収まらないよ。ヒヒヒヒヒヒ。 |
フィリップ | 僕を呼び寄せるための蜘蛛の糸に僕はまんまと引っかかったのか……。 |
シンク | シークレット・ドクトリン ! |
グラスティン | な……牢屋の扉が壊された ! ?――くそっ ! |
クラトス | 待て ! |
グラスティン | 来るなっ ! ここには他にも人質がたくさんいる !俺の命令で奴らの命は―― |
クラトス | ここに囚われていた子供や女性なら、全て助け出した。 |
グラスティン | ! ? |
シンク | 残念だったね。 |
クラトス | お前も逃がす訳には行かない。 |
グラスティン | ……捕まってたまるか ! |
クラトス | 今のは転送魔法陣……。帝国の関係者なのか。 |
フィリップ | ……ああ。彼の名はグラスティン・ライサンダー。デミトリアスや僕の学友だ。 |
フィリップ | デミトリアスはグラスティンを気に入っていたみたいだから……きっと……。 |
クラトス | なるほど……。この件はイクス達に共有する必要が出てきたな。 |
クラトス | それとこのカジノの帳簿や書類を見つけた。これで既に下衆な賭けで人間を物のように扱った連中も一網打尽に出来る。 |
クラトス | さらわれた者も家に帰してやれるだろう。 |
フィリップ | ありがとうございます。僕が調べ始めたことなのに結局何もかも任せることになってしまって……。情けないな……。 |
クラトス | いや、フィリップが調べ始めなければこの件は明るみに出なかった可能性が高い。卑下することもあるまい。 |
フィリップ | ………………はい。 |
シンク | ――ゼロスに知らせるよ。こっちは片付いたって。 |
キャラクター | 9話【カジノ10 新生救世軍】 |
ミトス | ねぇ。このカジノ、イカサマしてるって噂があるんだけど、そこのディーラー本当に公平にカードを配ってるの ? |
ディーラー | ……お客様。私どもには後ろ暗いところなど何一つございませんよ。 |
ゼロス | 人間を賭けの景品にするような後ろ暗さはあるのにな。 |
カジノの支配人 | ミトス様、勝負の妨害はやめて頂きたい。気に入らないなら、降りて頂いて構わないんですよ。 |
ミトス | へぇ、マークが勝ちそうだから降りて欲しいってこと ? |
カジノの支配人 | 観客がプレイヤーの判断を鈍らせるようなことを言うのは問題ですね。出ていってもらいましょうか。 |
ゼロス | ! |
ゼロス | ――支配人。悪かった。この坊やは俺さまが責任もって黙らせるから勝負を続けてくれ。 |
ミトス | ……いいの ? ゼロス。 |
ゼロス | ああ。成り行きを見守ろうや。 |
ディーラー | ……で、では、再開します。 |
ミトス | (最後のカード。このカードで、勝負が決まる) |
ディーラー | リバー――ハートのQ ! |
カジノの客たち | おお…… ! ? |
ミトス | (やっぱりカードを操作しているんじゃないか ?強いカードばかり場に出てくる) |
ミトス | (けど、客とカジノは繋がってない筈だ。特定の客に【商品】を売るつもりならこんな面倒な商売の仕方はしない) |
ミトス | (だったら、カードの手が何であれ心理の読み合いで――) |
プレイヤー1 | フォールド。 |
ゼロス | 一人脱落したな。あとマークを除いて二人か。 |
ミトス | マークはどう出るか。 |
マーク | ………………。 |
マーク | オールイン ! |
カジノの客A | オールイン ! ? 正気か ! ? |
カジノの店員 | マークさん……あれは本気の目だ。 |
カジノの客B | あっちは勝負を降りた段階で負けなんだ。絶対アレはブラフさ。 |
カジノの客C | けど、場に出てるカードを見る限りじゃ相当強い役をもってる可能性だって―― |
カジノの支配人 | お静かに ! |
プレイヤー4 | ……………………。 |
プレイヤー4 | ……………………。 |
プレイヤー4 | ……くそ。フォールドだ。この橋を渡るのは危なすぎる。 |
ミトス | これで、テーブルに残ってるのはマークともう一人のプレイヤーだけだね。あのおじいさん、中々強気だったけど……。 |
プレイヤー5 | ……小僧。マークと言ったか。中々いい目をしている。それにいいブラフだった。 |
プレイヤー5 | わしが相手でなければ、痺れる勝ち方だったろうな。ハイカード――役なしで一人テーブルに残るというのは。 |
マーク | ! ? |
プレイヤー5 | あのお嬢さんはわしの後添えとして頂いていくよ。オールイン。 |
ゼロス | ……おいおい、マークの奴あの強気はマジでブラフだったのか ! ? |
プレイヤー5 | こちらはクイーンのフォーカードだ。 |
マーク | ! |
プレイヤー5 | ……残念だよ、マーク。最初の手札が配られたとき、きみは無意識のうちに自嘲した。それで手札がわかってしまったよ。きみにとって最悪なカードが来たんだとね。 |
マーク | そうか……。隠してたつもりだが思わず顔に出ちまってたか。そうさ。あれは俺がこの世で一番嫌いなカードだったからな。 |
マーク | ――だが、勝負とは何の関係もねぇよ。ロイヤルストレートフラッシュだ。 |
プレイヤー5 | ! ? |
ミトス | マーク ! |
ゼロス | クールー ! 俺さま惚れちゃいそー ! |
マーク | 悪いな、爺さん。俺はハートのジャックがこの世で一番嫌いなカードなんだ。で、つい顔に出ちまったって訳。 |
マーク | さ、マーテルとフィルは返してもらうぜ、支配人。 |
マーテル | マーク…… ! |
カジノの支配人 | く……。そんな馬鹿な……。ディーラー !何故こうなった !マークは必ずハイカードにしろと伝えただろう ! |
カジノの客たち | ! ! |
マーク | 馬脚を現したな。次からディーラーにはもっと肝の据わった奴を用意しろよ。俺の睨みで手元が狂うような奴じゃなくてな。 |
カジノの支配人 | 警備員 ! こいつらを捕まえろ !グラスティン様のご命令だ ! |
マーク | グラスティン…… ! ?グラスティンってあのグラスティン・ライサンダーか ! ? |
カジノの支配人 | ……お、おい、警備員 ! ?どうして出てこない ! ? |
シンク | 警備員なら熟睡中だよ。 |
クラトス | こちらは増援を呼んだ。このカジノは完全に包囲されている。大人しく我らに従うんだな。 |
シンク | ここにいるお偉いさんたちも、覚悟しておくんだね。あんたたちがこのVIPルームで何をしてきたかはすぐに広まる。逃げ出しても無駄だよ。 |
カジノの客たち | ! ! ! |
カジノの支配人 | ビクエ…… ! ? |
フィリップ | やぁ、きみがこのカジノの責任者か。……よくも、フリーセルの名を汚してくれたな。 |
フィリップ | きみが死んだフリーセルの名前を利用して救世軍の残党を集めていた証拠は入手した。 |
フィリップ | この事実が知れ渡ればフリーセルの信奉者も黙っていないだろうね。 |
クラトス | 頼みのグラスティンも逃げ出した。大人しく捕まった方が身のためだ。 |
カジノの支配人 | くっ、冗談じゃない ! ディーラー ! 例の奴を出せ ! |
マーク | ――おっと。この期に及んで魔物なんか出してきてまだ抵抗するつもりかよ。 |
ミトス | ……丁度いい。姉さまを傷つけたんだ。それ相応の罰は受けてもらうよ ! |
キャラクター | 10話【カジノ10 新生救世軍】 |
ゼロス | 例の支配人は街の自警団に引き渡してきたぜ。 |
マーク | ありがとな、ゼロス。それにしても、とんだ騒ぎになっちまったな。 |
シンク | まだ全て終わった訳じゃないんだけど。手分けして、景品にされた奴らを助けるんでしょ。はー、メンドクサ。 |
マーテル | みんなでやればすぐに終わるわ。一緒に頑張りましょうね、ミトス、シンク。 |
シンク | ……ちょっと。いちいちボクに構わないで欲しいんだけど。 |
マーテル | あら、シンクは丁度反抗期なのね。ふふ、可愛らしいわ。 |
シンク | ほんとに最悪の姉弟だよ、アンタたちは。 |
ミトス | ……そういえば、まさかゼロスが姉さまたちを守り切れないとは思わなかったよ。 |
ゼロス | そこ突っ込む ! ? 俺さま結構頑張ってたのよ ! ?お前らの見てなかったところで ! |
フィリップ | ……そうだよ。それにゼロスさんは何も悪くないんだ。 |
フィリップ | そもそも僕が足を引っ張ってしまったんだよ。石に躓いたり、ぬかるみで滑ったり……。足がもつれたり……。それで囲まれてしまって……。 |
ゼロス | かなり焦って、魔鏡術の詠唱も噛んでたけどな。 |
マーク | はぁ……。フィル。やっぱり少し運動した方がいいぞ。メニュー考えてやるから。 |
フィリップ | そうだね。最近手に入れた本があんまり面白くてつい寝る間も惜しんで読んでしまったんだ。そのせいなのかな。頭も体も上手く働かなくて……。 |
マーク | ……………… ? |
ゼロス | そういや、グラスティンってのはデミトリアスとも知り合いなんだろ。 |
ゼロス | ってことは、このカジノ騒ぎも帝国に関係があるのかも知れないのか ? |
フィリップ | どうだろう。グラスティンはその……研究に没頭しすぎるところがあるから、その資金を個人的に集めていただけのような気がするんだ。 |
フィリップ | デミトリアスは資金集めにこんなやり方はしないと思う。 |
ルック | ビクエ様 ! 大変です ! |
ルック | カジノに集まってた元救世軍の連中が行き場がなくなったってケリュケイオンに押しかけてきてます ! |
フィリップ | どうしてそれが大変なんだい ?みんな今更フリーセルの名前で集められてこんなことになってしまって困ってるんだろう。 |
フィリップ | 僕たちの考えに賛同してくれるならうちで引き受けてあげればいいじゃないか。 |
マーク | 簡単に言うなって。金はどうするんだよ。人間は霞を食って生きてる訳じゃねぇんだぞ。 |
シンク | 宗教でもやれば ? 軌道に乗れば儲かるよ。 |
ミトス | 確かに。 |
マーテル | ……ミトス。それにシンクも。いけないわ、そんなことを言っては。 |
クラトス | 人の心のよりどころである信仰をそのように扱うな。特にミトスや私は、信仰の力を利用してきた立場だ。 |
ミトス | ……そうだね。ごめんなさい。 |
シンク | ……へぇ、珍しく素直じゃない。 |
ミトス | ………………。 |
シンク | 何 ? 黙り込んで、薄気味悪い。 |
ゼロス | ……なぁ、この街のカジノはどうなるんだ ? |
フィリップ | それは……閉めるしかないんじゃないかな。悪評も広まるだろうし。 |
ゼロス | 経営者が変わりましたってことで新生救世軍で経営するって訳にはいかねーの ? |
五人 | ! ! |
マーク | そうか……。そうすりゃ、ケリュケイオンに乗り切れない連中はここで働けばいいんだ。 |
ミトス | ギャンブルが一番儲かるのは胴元だしね。 |
クラトス | 地上に拠点があれば、補給が助かるな。 |
フィリップ | それなら今後も頻繁にこの街へ来ることができるね。よかった。取り寄せてる本が届くのにまだしばらく掛かりそうだったから―― |
マーク | ――やっぱりか、フィル ! ! |
フィリップ | …… ! |
マーク | あの不審な領収書、ファントム救世軍の調査だなんて言ってたけど、どうもおかしいと思ってたんだ。 |
マーク | 本当は古書を集めてたんだろ !前に予算を出して欲しいって頼まれて却下したからな ! |
フィリップ | ち、ち、ちが……う……と……思う……。 |
マーク | はぁ ! ? |
フィリップ | そ、そうだよ ! ! |
フィリップ | ……ごめん。本当は古書を探してたんだ。ミリーナとイクスが読みたがってた本がこの街の書店ならあるらしいって聞いて……。 |
フィリップ | ただ、そこで救世軍の残党の話を聞いたのも本当なんだよ ! |
マーク | 何が「偶然立ち寄って」だ。おかしいと思ってたんだ。大体ミリーナとイクスだと ?そんなものは奴らの予算で買わせろ ! |
フィリップ | ……そ、そうだよね。ごめん……マーク。 |
マーク | ………………はぁ。そんな顔すんなよ。 |
マーク | わかった。今回は特別に許してやる。 |
マーク | これからはちゃんと俺に相談しろよ。グラスティンがウロウロしてるとなると俺も色々心配だ。ヤバい奴だったからな。あいつ。 |
ルック | じゃあ、新生救世軍の志願者は一旦カジノに集まってもらいます。 |
マーク | 頼む。俺もすぐ行く。クラトス、今回の件、ヴィクトル達とイクス達に情報共有しておいてくれるか。 |
クラトス | もちろんだ。 |
マーテル | 忙しくなりそうね。クラトス、お話はまた今度にさせてもらうわ。 |
マーテル | ミトス、私たちは賭けの景品にされてしまった人たちのリストを当たっていきましょう。 |
ミトス | うん。でもちょっと待って。 |
ミトス | シンク。せいぜい感謝してよね。ボク、シンクの友達になってあげるから。 |
シンク | は ! ? 誰がアンタと ! ?大体、トモダチだなんて反吐が出る。勘弁してよね。 |
ミトス | ボクに逆らうんじゃないよ、三下。ボクが友達になってあげるって決めたんだ。お前の意見なんてどうでもいいんだよ。 |
シンク | 気が合うね。ボクもお前の命令なんて聞く気はないよ墜ちた勇者サマ。 |
ミトス | なんとでも言えば。――行こう、姉さま。 |
マーテル | シンク、ごめんなさいね。ミトスがひどいことを言って。でもよかったらミトスとお友達になってあげて。 |
ミトス | 姉さま ! |
マーテル | ――それじゃあ、また後で。 |
シンク | ……何なの、アレ。 |
ゼロス | さぁ……。まぁ、よかったんじゃね。シンくんにもいいお友達ができて。 |
シンク | 殺すよ、バカ神子。 |
クラトス | ――フフ。そう来たか、ミトス。 |
マーク | あれはあんたの入れ知恵かい、クラトス ? |
クラトス | いや、ミトスがミトスなりに考えた結果だ。上手いとは言えないが、な。 |
マーク | そうか……。まぁ、いいんじゃねぇか。あの二人が上手くいくかは知らないが……一人ってのは意外と寂しいもんだからな。 |
フィリップ | ……マーク。カーリャのこと、まだ……。 |
マーク | はは。……柄にもなく俺のパイセンのことを思い出しちまった。パイセン、生きてるのかね……。 |
フィリップ | ……捜しに行きたいんだろ ?だったらやっぱり僕から離れて自由に―― |
マーク | いや、何度も言ってるだろ。自由に動けるようになりたいかって話ならお断りだって。俺はパイセンみたいになりたい訳じゃない。 |
フィリップ | でも……そうなっても、マークには……僕がいる。僕はマークのことを忘れたりしないよ。 |
マーク | ! |
マーク | ……ハハ、いつもとは逆だな。悪いな、フィル。ありがとよ。 |
フィリップ | いや、僕こそ、いつもごめん。それから今回もありがとうマーク。これからも頼りにしてるよ。 |
マーク | ……まぁ、そう言われちまったら張り切らない訳には行かねぇよな。 |
マーク | まぁ、マーク様に任せておけって。フィルの願いはどんなことだって必ず叶えてやるよ。 |