キャラクター1話【神の具現化】
? ? ?……異世界の神の力の具現化。そんなものにお前が手を出すとはな。
ジュニアこうでもしないと、あなたをこちらに引き戻せない。
ジュニアそれに、僕が異世界の『奇跡』の研究を引き受ければ帝国は『奇跡』を悪用できないし僕もこうしてグラスティンから自由を勝ち取れた。
? ? ?だから、自信があるというのか ?俺を引き戻すこともできる、と ?
ジュニアそうです。変わろうとしているメルクリアのために僕はあなたを引き戻してみせる !
セネルそれじゃあ、そろそろウェルテス領の調査に向かおうか。
イクスああ、頼むよ。各地の様子を調べるのは元の世界を知っている人が一番適任だと思うから。
クロエそうだな。もしかしたら、まだ誰も把握していないはぐれ鏡映点を見つけられるかも知れない。
シャーリィうん。それに、一人でこの世界に放り出されていたらきっと不安になってると思う。
ミリーナそうよね。もし鏡映点が見つかったり何かあったら魔鏡通信で連絡してね。
イクス俺たちも一緒に行ければいいんだけど他にも並行して色々調査しているから……。
セネルその辺りの事情はわかってるさ。それにイクスはこのところ無理してばかりだろ。
セネルだから、ここは俺たちに任せてくれ。
コーキスそうだよ、マスター。俺がマスターの代わりに、セネル様たちを助けるから安心してくれよな。
イクスありがとう、セネル、コーキス。でも、くれぐれも気を付けて。
セネルああ。
帝国兵鏡士様。この先にアニマが異常反応を示した地点があります。
ジュニア……この先は僕が一人で回収に向かいます。皆さんはこの付近に、関係者以外が立ち入らないように封鎖をお願いします。
帝国兵了解であります。
ジュニア(……よし。具現化が成功していればこの先に異世界の神の力が結晶化している筈だ)
ジュニアえ…… ! ? どうしてここに人が……。
? ? ?………………。
ジュニア(落ち着け……。神の力を具現化した場所に人がいてしかもこの場所は封鎖されている……。だとしたら、ここにいるのは……)
ジュニア鏡映点……か……。だとしたら、あなたは……まさかシュヴァルツ……。
シュヴァルツ人の子よ、ここは『何処』だ。何故我の名を知っている ?
ジュニアあ……そうですよね。ええっと……。説明させて下さい。この世界――ティル・ナ・ノーグのことを……。
シュヴァルツ具現化……。そうか、いまの我は人の子によって生み出された存在に成り下がっていたのか。道理で力がうまく使えないわけだ。
ジュニアあの……シュヴァルツ、さん。僕の推測が正しければあなたは異世界で神、もしくは神に類する存在だと思うんですが、違いますか ?
シュヴァルツ………………。
ジュニア異世界からこの世界に具現化される時強大すぎる力には、強制的かつ自動的にエンコードという処理が行われます。
ジュニア僕はそれを利用して……神の力『だけ』を具現化する研究をしていました。成功していればここに神の力の結晶が具現化されていた筈です。
ジュニアでもそれらしきものはなく代わりにあなたがここにいた。それに先程の発言を考えても、あなたは――
シュヴァルツ答えよ、人の子。何のために我の力を欲した ?
ジュニアやっぱり……そうなんですね。すみません。僕が不用意にあなたをここへ呼び寄せてしまった。謝罪します。申し訳ありません。
シュヴァルツ質問に答えよ、人の子。
ジュニアあ、は、はい。僕が神の力の結晶を求めたのは虚無に届く魔鏡を作るためです。
ジュニア虚無とそこに漂う死の砂嵐は封じられています。この封印を解いては、死の砂嵐が世界を消滅させてしまう。
ジュニアですから、封印を解かず、虚無と死の砂嵐に干渉できる魔鏡が必要でした。そこで虚無を司る神であるあなたの力に目を付けたんです。
シュヴァルツすべてを虚無へ還す……か。死の砂嵐とやらは、どこにあるのだ ?
ジュニアえ ? それは、この世界の外側……です。この世界とは異なる次元にあってこの世界を孤立させている壁でもあります。
シュヴァルツならば、ここより南の地から感じる滅びの兆しは何だ ?
ジュニア南……。あ、それはセールンドの人体万華鏡による封印のことでしょうか。あの辺りはアイギスシステムの崩壊の時に――
ジュニアええっと、難しい話は置いておきますけど要は世界を守るアイギスの綻びがあってその綻びを人体万華鏡で封じているんです。
ジュニアでも……そこから滅びを感じるってことは封印が緩んでいるってこと…… ?
シュヴァルツ…………。
ジュニアあ……ちょ、ちょっと、どこに行くんですか ?
シュヴァルツ南の地から感じる不安や嘆き、怨嗟の声。ここでも、我が成すべき事は変わらぬ。我が救いの手となり、人の子を全より解放する。
シュヴァルツ確かに我の力の大部分は失われているが虚無をもたらす死の砂嵐を解放すれば全ては救われよう。
ジュニアええっ ! ?

キャラクター1話【神の具現化】
帝国兵鏡士様 ? どうなさいました ? そんなに慌てて……。
ジュニア実験は失敗しました。奇跡の力ではなく持ち主の方が具現化されてしまったんです。その具現化された鏡映点を捜してくれますか ?
ジュニアこの魔鏡に姿を写しておきました。
帝国兵お預かりします。他に手がかりなどはありますでしょうか。
ジュニア恐らくセールンドの、旧型カレイドスコープの方へ向かったのだと思います。ただ、転送などで一足飛びに行けるほどの力はない筈です。
ジュニアエンコードで奇跡に類する力のほとんどは失われている筈ですが、油断はできません。何しろ異世界の虚無を司る神ですから。
ジュニア発見したら下手に手を出さずすぐに僕に知らせて下さい。僕も皆さんとは別ルートで捜索に向かいます。
帝国兵承知しました !
ジュニア………………。
ジュニアああああ……。どうしよう……僕のせいだ……。僕が神の奇跡の力の具現化に失敗したから……。
ジュニアどうしよう……。イクス……ミリーナ……。マーク……。どうしよう……。
? ? ?あらあら、どうしたのぉ ?しゃがみ込んでしゃくり上げて。何か悲しいことがあったのかしら ?
ジュニア! ?
ジュニア――え ? あ、あの……この辺りは立ち入り禁止になっていませんでしたか ?
? ? ?さぁ、どうだったかしらぁ。よく覚えていないのよねぇ。
ジュニアあ、あの、今この辺りはとても危険なんです。危険人物が逃走……とはちょっと違うけどとにかく危ないので避難して下さい。
? ? ?そうなの ? それは大変ねぇ。それじゃあ、お姉さんがあなたを守ってあげるわ。一緒に避難しましょう。
ジュニアえ ! ? あ、いえ、僕はこれからシュヴァルツ――ええっと、危険人物の捜索に向かいますからお気遣いなく。
? ? ?あらぁ ?もしかして、シュヴァルツちゃんのことを知っているの ?
ジュニアえ……えええっ ! ?もしかしてシュヴァルツさんを知っているんですか ! ?
ジュニアこの人……。この、鏡に映ってる女の人ですけど……。
? ? ?やっぱりシュヴァルツちゃんだわぁ。でも、凄いわねぇ。どうして鏡にシュヴァルツちゃんが映っているのかしらぁ ?
ジュニア(それじゃあ、この人も鏡映点 ! ?まさかシュヴァルツの具現化に巻き込まれた…… ! ? )
ジュニアあの、お名前を教えて頂けませんか ?それとシュヴァルツ……さんとの関係についても。
ジュニアあ、僕はフィリップ――あ、フィリップJr.です。ジュニア、と呼んで下さい。
? ? ?ジュニアちゃんね。わたくしはグリューネっていうのよぉ。よろしくね。
グリューネただ、お姉さん、記憶がないからシュヴァルツちゃんのことは名前ぐらいしか覚えてないの。
グリューネあとは『グリューネが我を知るのと同様に我はグリューネを知る存在』『記憶がなければそれでよい。滅びの道を歩め』と言われたことぐらいかしら。
ジュニア! ?
ジュニア(この人も神の奇跡の力の関係者ってこと ?まさか……神の対の存在……とか ? )
ジュニア(断定するのは危険だけれど一人にしておかない方がよさそう……)
ジュニア――つまり、グリューネさんはシュヴァルツさんと過去に因縁があったということなんですね ?
グリューネう~ん、どうだったかしら ?でも、シュヴァルツちゃんともう一度話をすれば何か思い出せそうなのよねぇ。
ジュニアだったら、僕と一緒にシュヴァルツさんを追いかけませんか ?
グリューネまあ。ジュニアちゃんと一緒にだなんてお姉さん、と~っても嬉しいわぁ。
ジュニアわ……わわわっ ! ?な、何するんですかぁっ ! ? むね……苦し……っ ! ?
グリューネあら、ごめんなさいねぇ。お姉さんってば嬉しくて、つい。
ジュニア……い、いえ。あの……。はい。えーと、そ、それじゃあ気を取り直してシュヴァルツさんの捜索に出発しましょう。
グリューネわかったわ、ジュニアちゃん。待っててねぇ、シュヴァルツちゃん。
ジュニア(不思議な人だな……。何だか……ミリーナみたいに凄くいい匂いがした……)
ジュニア(……僕のミリーナの記憶は、僕のものじゃなくて最初のフィルの記憶だけど)

キャラクター2話【vsチェインブレイカー】
シャーリィお兄ちゃん、どうだった ?
セネルやっぱりこの先は帝国軍が封鎖している。かなり物々しい雰囲気だった。
クロエこちらも同じだ。どうやら、この先の海岸線一帯封鎖されているようだな。何があったんだ。
コーキスこの先の街道も帝国軍が検問してるぞ。人を捜してるみたいだ。
シャーリィどんな人を捜しているんですか?
コーキス仮面を付けた女だって言ってた。
セネル仮面を付けた……女……。
クロエ……まさか。
シャーリィもしかしてシュヴァルツ……。
コーキス心当たりがあるのか ?
セネル……鏡映点リストには挙げておいたが俺たちが具現化される前に戦おうとしていた敵だ。けど、詳しいことはよくわからない。
セネル黒い霧を操って、人々の心を惑わせていた。かなりの難敵だ。
クロエしかし、もし本当にシュヴァルツが具現化されたのだとしたらかなり危険だぞ。
シャーリィ本当にシュヴァルツかどうかもう少し情報を集めてみた方がいいかもしれないですね。
セネルけど、封鎖されている場所にはうかつに近づけないし検問があるんじゃ街道も危険だぞ。
クロエ帝国軍の兵士全員が私たちのことを知っている訳でもないだろう。旅人のフリをして接触してみるか ?
セネル……それもそうだな。一番警備が手薄な場所で帝国軍から話を聞いてみよう。コーキス、念のためにイクスたちに状況を知らせてくれ。
セネルもし本当にシュヴァルツなら戦力を増員した方がいい。
コーキスわかった !
グリューネジュニアちゃん、見てちょうだい。と~っても綺麗なお花が咲いてるわよぉ。ここでピクニックができたら素敵じゃないかしら ?
ジュニアあ、あはは……そうですね……。
ジュニア(ピクニック……か……。ミリーナと水鏡の森を通って月見の丘へ行く途中で……僕は……)
ジュニア………………。
ジュニア(……しっかりしなきゃ。昔のことより、今のことだ)
ジュニアえっと……この先にシュヴァルツさんの存在を感じるんですね ?
グリューネええ、そうよ。お姉さん、何故だかシュヴァルツちゃんがどこにいるのか手に取るようにわかってしまうの。
ジュニアあの、グリューネさん。あなたは一体――
グリューネあらぁ ?もしかして、そこにいるのはセネルちゃん ?
セネルえっ…… ? グリューネさん ! ?
ジュニア(あの人たちは、イクスたちの…… !それにイクスの鏡精も一緒にいる ! ?)
グリューネまあまあ、やっぱりセネルちゃんだわ !シャーリィちゃんにクロエちゃんまで !こんなところで会えるなんて、と~っても嬉しい !
コーキスセネル様、この人も知り合いなのか ?
セネルああ……。元の世界で俺たちの仲間……だったんだ。
セネルでも、今のグリューネさんは、まるで……。
シャーリィねえ、お兄ちゃん。もしかしてグリューネさんは記憶を取り戻すより前の時間軸から具現化されたんじゃないかな ?
セネルああ……そういうことか。そう考えれば辻褄が合うな。
グリューネなんだかみんな楽しそうねぇ。お姉さんも混ぜてほしいわぁ。
セネルグリューネさんにも後でちゃんと説明するよ。
セネルでもその前に、隣にいる奴のことを聞かせてくれないか ?
ジュニア
グリューネジュニアちゃんのこと ?ジュニアちゃんはね、わたくしと一緒にシュヴァルツちゃんを捜してくれているの。
三人! ?
ジュニアあ、あの……詳しいことは、僕からご説明します !
セネル神の奇跡の力の具現化……。その手違いでこんなことになったのか。
コーキスでも、なんで小さいフィリップ様……えっとジュニア様は、神様の力を具現化しようなんて思ったんだ ?
ジュニア……それは……。て、帝国に……命じられたから……。
シャーリィ確かリアラさんたちの世界のエルレインという人も具現化されていましたよね。あの人も神の奇跡が扱える人だと言っていました。
シャーリィやっぱりアスガルド帝国が神の力を必要としているってことでしょうか。
ジュニアその辺りは、僕にもよくわからないけど……。でも確かに、エルレインの奇跡の力を取り戻す研究が神の奇跡の力の具現化の始まりではあります。
ジュニア現状では、奇跡の力の類いはエンコードでほぼ無力化されてしまうから。
セネル……そうであったとしてもシュヴァルツをこのまま放置はできないな。
ジュニア……あの。こんなこと厚かましいのはわかっています。でもどうか力を貸してもらえませんか。
ジュニアこれは僕が引き起こしてしまったことです。でも僕一人では、シュヴァルツさんを止められるかわかりません。
ジュニアお願いします !
セネル………………。
シャーリィねぇ、お兄ちゃん。ジュニアさんのお願い聞いてあげようよ。
シャーリィそもそも帝国に命じられたことならジュニアさんは悪くないでしょう ?
ジュニア――そ、それは…………。
シャーリィそれに、人は時にあやまちを犯すものだもの。わたしだって……。
クロエクーリッジ、私もシャーリィの意見に賛成だ。どの程度力を失っているかはわからないがシュヴァルツは危険だからな。
セネル……わかった。グリューネさんがいればシュヴァルツを追いかけることはできるだろうし帝国兵はジュニアが何とかしてくれるな ?
ジュニアは、はい ! もちろんです !
グリューネよかったわぁ。みんながジュニアちゃんと仲良くしてくれて。
セネルグリューネさん……。
コーキスよし、そうと決まれば急いでシュヴァルツを追いかけようぜ !

キャラクター2話【vsチェインブレイカー】
クロエグリューネさん、さっきから考え込んでいるようだがどうかしたのか ?
グリューネさっき、セネルちゃんたちに言われたことを考えていたの。元の世界で記憶を取り戻した後のわたくしのこと……。
グリューネ……う~ん、ぜんぜん実感が湧かないわ。
グリューネ『シュヴァルツを倒すことが自分の存在意義』記憶を取り戻したわたくしがそんなことを言ってたなんて……。
セネルそりゃもう、キリッとした感じで、胸を張って堂々とそう言っていたけどな。どうだろう、何か思い出せないのか ?
グリューネ…………。ごめんなさいねぇ、まったく何も……。
グリューネ……………… ?
コーキスグリューネ様 ? どうかしたのか ?
グリューネなんだか、シュヴァルツちゃんを感じるわ。
セネル……という事は、近くにシュヴァルツが――
ジュニアあっ、あそこです !
グリューネまあ、やっぱりここで正しかったのねぇ。やっとシュヴァルツちゃんに会うことができたわ。
シュヴァルツ誰かと思えば、グリューネか。それに……。
セネルシュヴァルツ…… !
ジュニアお願いです ! 死の砂嵐の解放だけはどうか思い留まって下さい !それは誤った選択です。
ジュニアそんなことをしたら、この世界が滅んでしまう !それだけは困るんです。
シュヴァルツ我に過ちはない。過ちを犯すは人の子の業。幾度の過ちは、人の子の罪。
シュヴァルツ我は常に正常なる道を歩むものである。ゆえに我は『虚ろなる導き手』と知れ。
シャーリィあの、教えて下さい。なぜ、この世界を無に還そうとするんでしょうか ?
シュヴァルツ世界は、嘆き、悲しみ、苦しみに満ち、子はそれらから逃げ惑うばかりだ。
シュヴァルツ我が救いの手となり子を全より解放しようと言うのだ。人の子よ、我のもたらす救済を待つがよい。
クロエふざけるな、何が救済だ !貴様のやろうとしていることは、誰一人として望んでなどいない !
コーキスそうだ !マスターが必死に守ろうとしているこの世界をお前なんかに壊させてたまるか !
シュヴァルツ精巧な模造品を継ぎ接ぎしたいびつな世界など滅びてしまえばよい。それが人の子らの為でもある。
シュヴァルツ人の子の罪ごと、世界すべてを無に還して苦悩から永遠に解放しよう。
セネル好き勝手言ってくれるもんだな。俺たちの意思なんかどうでもいいってことか ?
シュヴァルツむろん、子が納得するかどうかに関心はない。我はただ、為さねばならぬことを為すだけだ。
クロエやれるものならやってみるがいい !ただし、私たちを打ち負かした上でな !
グリューネみんな待ってちょうだい。わたくしに、シュヴァルツちゃんとお話させてくれないかしら?
シュヴァルツあわれだな、グリューネよ。我が誰かもわからぬとは。
グリューネあなたはシュヴァルツちゃんでしょ ?
シュヴァルツあいにくだが、これ以上話すことなどない。ここが異なる世界であっても我のやるべきことは変わらぬ。
シュヴァルツ我は死の砂嵐をもって、この世界に虚無を招き入れる。それを邪魔するというのなら、ここで滅ぶがよい。
コーキス……何だ、この音は……。
魔物の群れグギャアアアアーーーッ ! !
クロエま、魔物の群れだと…… ! ?
ジュニアおかしい……。魔物があんな風に徒党を組むなんて……。
セネルシャーリィ、危ない !俺の後ろに下がってろ !
シャーリィありがとう、お兄ちゃん !
クロエジュニアは、私の後ろへ !
ジュニアは、はい…… !
シュヴァルツ…………。
グリューネ待って、シュヴァルツちゃん。まだ話が…… !
セネルグリューネさん、まずは魔物を何とかしよう !コーキス ! 半分は任せたぞ !
コーキスよし、任された !

キャラクター3話【vsクリティカルゴレム】
セネル……シャーリィたちとははぐれてしまったな。グリューネさん、大丈夫ですか ?
グリューネありがとう、セネルちゃん。お姉さんは大丈夫よ。コーキスちゃんは、怪我してない ?
コーキスああ、大丈夫。なんかグリューネ様ってこんな時でも穏やかでほっとするな。
グリューネコーキスちゃんは、気遣いが出来るいい子なのねぇ。お姉さん、なでなでしたいわぁ。
コーキスな、なでなで…… ?
セネル魔鏡通信機はコーキスしか持ってないんだったな。シャーリィたちにも持たせるべきだった……。
コーキスシャーリィ様たち……大丈夫かな。セネル様も心配だろ ?大丈夫か ? 不安になったりしないか ?
コーキスセネル様、この世界に具現化された時シャーリィ様とはぐれて、凄く心配してたし……。
セネル……あ、あれは、この世界のことをまだよくわかってなかったから。
セネルでも、今はこの世界にも随分慣れてきたし前ほど不安に思うことはない。心配ではあるがシャーリィとクロエを信じてるからな。
セネルコーキスだって、イクスたちのことを心配することはあっても、信じているだろ ?同じことだ。
セネル俺に不安はないし、シャーリィとクロエにしたってそれは同じだって言い切れる。今みたいに落ち着くまで、色々あったけどな。
セネル俺なんかは一人で突っ走りすぎて、みんなの信頼を失いかけたこともあった。シャーリィもクロエも他のみんなも、色々なことを抱えてて……。
セネルだけど俺たちは助け合ったり、本気でケンカしたり、大事な人の死に涙したり……。そうやって数々の試練を一緒に乗り切ってきた。
セネルそんな俺たちだから、自分のことも信じているし、仲間のことも信じられるんだ。
グリューネえらいわぁ、セネルちゃん。そうよね、シャーリィちゃんとクロエちゃんならきっと大丈夫だもの。それにジュニアちゃんもいるし。
グリューネ……だけど、もし今、ノーマちゃんやウィルちゃんモーゼスちゃんやジェイちゃんがいてくれたら大助かりよねぇ、きっと。
セネル確かに、みんながいてくれたらよかったけどウィルたちがこの世界に具現化されたって話は聞かないんだ……・。
グリューネそうなの……。残念ね……。
セネル……でも、この世界に来ることが必ずしもいいこととは言えない。
コーキス……そうだよな。
セネルあ、いや、すまない。
コーキスいや、当然だよ。だってセネル様たちには元の世界があるんだからさ。
コーキスなぁ、さっきのノーマ様……とかもセネル様たちの仲間なのか ?喧嘩したりして仲良くなったっていう……。
グリューネそうよぉ。ノーマちゃんはねと~っても賑やかで、元気な女の子なのよぉ。トレジャーハンターっていうお仕事をしているの。
グリューネそれから、ウィルちゃんはウェルテスの町で保安官さんなの。娘のハリエットちゃんと仲良しさんなのよねぇ。
セネルそういえば、ウィルには『まるで狂犬だな』なんて言われたことがあったな……。
コーキスマジか ! ? セネル様すげー落ち着いてるのに。シャーリィ様のこと以外では。
セネル……ま、まだそのことを言うのか、コーキス。
グリューネふふ、それからモーゼスちゃんは槍を投げるのが得意な山賊さんなの。負けず嫌いで、と~っても情熱的なのよぉ。
グリューネジェイちゃんは、モフモフ族とと~っても仲良しで情報屋さんだから、なんでも知ってるのよねぇ。
コーキス……あれ ? モフモフ族って――
セネルああ、そうだ。グリューネさん、キュッポとピッポとポッポはこっちにいるんだ。
グリューネまあ、本当に~ ?キュッポちゃんたちにも早く会いたいわぁ。
セネル今は、ジェイがこっちに来ていないか捜してるけどアジトに戻ってきた時には、会えると思う。
コーキス――マスター ! ?
イクスコーキス !今、俺とミリーナもウェルテス領についた。どこかで合流できないか。
セネル助かる ! 俺たちは――
クロエ……何とか魔物たちは切り抜けたが、ここはどこだ ?
シャーリィ完全にお兄ちゃんたちとはぐれちゃいましたね。
ジュニアこ、困りましたね……。急いでセネルさんたちと合流してシュヴァルツさんを止めないと……。
ジュニア……じゃないと、せっかく最初のミリーナがつなぎ止めようとしたこの世界の存在が……。僕のせいで……。どうしよう……。
クロエまあ、そう焦るな。こういう時だからこそ落ち着いて行動することが大事だと思うが、違うか ?
ジュニア……それは……そうなんですけど……。
シャーリィジュニアくん、今回のことにすごく強い責任を感じているんだよね。わたし……わかる気がする。自分が世界中から孤立したような気持ち……。
クロエシャーリィ……。
クロエ……そうだな。ジュニア、お前の気持ちもわかる。だが、ここで焦りと不安に身を任せることでさらに事態が混迷する可能性もあるんだ。
シャーリィそれに、今回のことは帝国の命令だったんでしょう ?ジュニアくんがそこまで責任を背負い込むことはないよ。
ジュニア…………………。
シャーリィどうしたの ? ジュニアくん。
ジュニア……すみ……ません。僕……僕は……嘘をついたんです。
クロエどういうことだ ?
ジュニア確かに帝国からは神の奇跡の力を研究するように言われました。でもその為に、奇跡の力だけを具現化するというアイデアを出したのは僕なんです。
ジュニア今回の具現化も僕が独断で行いました。だから帝国の兵力は頼れなくて……。
クロエ……どうしてそれを黙っていた。その話を聞いたからといって、クーリッジも私たちも協力は惜しまなかったというのに。
ジュニア詳しくは言えないけれど、僕は帝国でできた友達を守りたいんです。その為に奇跡の力が必要だった。
ジュニアでもこれは、ミリーナやイクスから軽蔑されることでもあるんです。それでもいいと思っていました。でも皆さんに理由を聞かれた時、急に怖くなってきて……。
シャーリィわたしたちに奇跡の力を具現化する本当の理由を知られたくなかったんだね。
ジュニア……すみません。
クロエお前もいくじなし……か。
ジュニアえ ?
クロエ何故最初から、軽蔑されると決めてかかる ?ジュニアが本気なら、それがどんなことであれきっとミリーナたちにも伝わる筈だ。
ジュニア………………。
シャーリィ……ジュニアくんが望むなら、わたしはジュニアくんが何をしようとしているのか聞かないでいるし今聞いたことも誰にも話さないでおくよ。
シャーリィでも、いつか勇気を持てたらジュニアくんが隠していることをちゃんと二人に話した方がいいと思う。
シャーリィ大事な人たちに隠し事されるのは……きっとつらいよ。それに二人なら、ジュニアくんの話をちゃんと聞いてくれるし、わかってくれるんじゃないかな。
クロエ……シャーリィに免じて私も今の話は胸に秘めておこう。だがいずれはミリーナ達と向き合うべきだと思うぞ。
ジュニア――はい。
シャーリィそれじゃあ、この話はここまでだね。あとは何とかしてお兄ちゃんたちと合流しないと……。
クロエ……待て。動物たちの気配が消えた。近くに、何かが――いる。
ジュニア――あ ! ? あの人影は…… ! ?
シュヴァルツ……まだ生きていたか、人の子よ。
クロエくっ、ここでシュヴァルツに会うとは !ここは戦うしかないのか…… !
シュヴァルツ器の違いを知れ、人の子よ。我の関心は死の砂嵐の解放にしかない。
ジュニア……クロエさん、シャーリィさん !僕が魔鏡術で、シュヴァルツさんを足止めします !お二人は逃げて、セネルさんたちと合流して下さい !
クロエあいにくだが、クーリッジがどこにいるか皆目見当もつかない。だから、私もここで共に戦う !
シャーリィわたしも戦います !覚悟して下さい !
シュヴァルツそうまでして足掻くか、人の子よ。よかろう、ならば望み通り、我みずから滅びを与えてくれよう…… !

キャラクター4話【vsクリティカルゴレム】
クロエくっ……。相変わらず、なんて強さだ…… !
シャーリィう、うん……。元の世界より力は衰えてるはずなのに攻撃を防ぐだけで精一杯だよ…… !
ジュニアこのままじゃ……。何とかしないと……。
シュヴァルツ人の子よ。抗えば抗うほど苦しむというのになぜ素直に救済を待たぬ ?
シュヴァルツ全が無ければ、痛みも苦しみもない。すべてが虚無へと還ればよい。
シャーリィいいえ、絶対にそんなことはさせません !
シュヴァルツ解せぬな。それともそれは、自分たちの都合で他の世界から好き勝手に具現化なぞをするような輩に好意や愛着を感じての発言か ?
クロエイクスやミリーナにも事情があった !それに、彼らは私たちに十分良くしてくれている !
シャーリィクロエの言う通りです。それにこの世界にも多くの人たちが生きて、暮らしています。それを見殺しにするなんてできません !
シュヴァルツ偽りの世界に生き続けてどうなる。すべてを虚無へ還さぬ限り、子らに救いはあるまい。これ以上の足掻きはやめ、救済を受け入れるのだ。
ジュニア(どうする……。このままじゃいずれ二人が倒れてしまう……。何とかセネルさんたちに僕らを見つけてもらわないと……)
ジュニア(そうだ ! 魔鏡でイクスたちに助けを求めよう。そうすればイクスからコーキスに連絡がついてこの場所をわかってもらえる筈だ)
ジュニア(何かこの辺りの目印になるようなものは……)
クロエ――く、また来るぞ !
シュヴァルツさらばだ……人の子よ !
クロエぐぅぅぅぅっ ! ?
シャーリィ危ない ! !
シャーリィああ……っ ! ?
ジュニア! ?
シャーリィジュ……ジュニアくん…… !逃げ……て…… !
ジュニアシャーリィさん ! クロエさん !危ない ! !
ジュニアうわぁぁぁぁぁぁぁっ ! !
シャーリィ・クロエ! ?
シュヴァルツ何をしても無駄だというのに、そうまでして足掻くか。
ジュニア……ごめん……なさい。シャーリィさん……クロエさん……。僕のせいで……。
クロエジュニア ! ? しっかりしろ ! !
ジュニア……だいじょ……う……ぶ……。
シャーリィ……駄目……。もうこんな風に……わたしをかばって誰かが犠牲になるなんて……絶対に駄目…… !
クロエな、何だ、今の光は ! ?――まさか、これが例の浄玻璃鏡の輝きか ! ?
シャーリィ……聞こえる……。
クロエシャーリィ ! ?もしかして滄我の声が…… ?
シャーリィ……そう。この世界に来てからはずっと聞こえなかったけれど今なら――
シャーリィ滄我の声を聞き、水の民を導くメルネスの力……。この力であなたを止めてみせます !

キャラクター5話【vsシュヴァルツ】
イクスよかった……。何とか合流できたな。
ミリーナでもシャーリィとクロエが心配だわ。それにジュニアも……。
セネルそんなに遠くに離れてはいないと思うんだが……。
グリューネあらぁ ? またシュヴァルツちゃんを感じるわぁ。
コーキスえ ! ? 何処ですか ! ?
グリューネそうねぇ。ここからすぐ南の方かしら……。
カーリャふおおおお ! ?ミリーナさま、魔鏡に通信が来ていますよ ! ?
ミリーナ……え ? これ……魔鏡通信機じゃなくて私の魔鏡に直接届いてるわ。こんなことができるのは鏡士だけの筈だけど……。
イクスまさか、ジュニアか ! ?
ミリーナ通信を受けるわね。
セネル……何も映っていないな ?
イクス待ってくれ。何か聞こえる……。
コーキスうおっ ! ? まぶし ! ?
グリューネ何かしら、この光は…… ?
ミリーナ浄玻璃鏡の光だわ…… ! ?どういうこと ! ?
シャーリィ……聞こえる……。
クロエシャーリィ ! ?もしかして滄我の声が…… ?
シャーリィ滄我の声を聞き、水の民を導くメルネスの力……。この力であなたを止めてみせます!
シュヴァルツ何処まであがけるか、試してみるがいい。
セネルシャーリィ ! ? クロエ ! ?
グリューネそれに、シュヴァルツちゃんの声も !
コーキスまさか、シュヴァルツに襲われてるのか ! ?
セネルグリューネさん ! 案内を !
グリューネ任せてちょうだい。
シャーリィうううっ……。さすがに、そろそろ限界かもね……。
クロエあまり、認めたくはないが……。どうも、そうなりつつあるようだな……。
シュヴァルツ人の子よ、これ以上そのいびつな生にしがみつくな。静かに終焉の時を迎えるがよい。
二人――ッ !
? ? ?やらせるか ! うぉぉぉぉぉっ !
シャーリィえっ…… ?
セネルシャーリィ、クロエ、無事か !
シャーリィお……お兄ちゃん !
クロエクーリッジっ !
イクスはぁ、はぁっ……。間一髪、間に合ったか…… !
コーキスジュニア様が倒れてるぞ ! ?
ミリーナ大丈夫、まだ息があるわ。今助けるわね、小さなフィル……。
グリューネシュヴァルツちゃん。元の世界のわたくしは記憶を取り戻したってセネルちゃんたちから聞いたわ。
グリューネわたくしはシュヴァルツちゃんを倒すことが存在意義だと言ってたんですって。
シュヴァルツ……そうか。何にせよ、我との対決を決意したというのであれば、容赦しない。
グリューネううん、違うの。わたくしが言いたいのはそういうことじゃないわ。
グリューネねえシュヴァルツちゃん。違う世界に来ちゃった以上元の世界のことは忘れて、協力し合うべきって思うの。だから、ケンカはやめましょう ?
シュヴァルツ幾度として我らは戦う道を選んだはず。此度のみ道を変えることはかなわぬ。
グリューネどうしても、話を聞いてくれないの ?
シュヴァルツ人は、子は、恐怖にさまよっている。解放を望む声が、聞こえるだろう。絶望からの解放を望む声が !
シュヴァルツ精巧な模造品を継ぎ接ぎしたこの世界を虚無に還し、すべてを救済する。それが、我の使命なのだ。
セネルふざけるなよ……。勝手なことばかり言いやがって !
セネル確かにこの世界はそういうふうにできてるかもしれない ! でも、みんな精いっぱい生きてるし、それは俺たちだって一緒だ !
セネル同じ身の上の仲間たちとも大勢知り合った。ヴェイグやユーリ、ロイド……あいつらはみんな今を精一杯生きてる !
セネルそして今の俺たちには、あいつらとの思い出がある !それを全部なかったことになんてさせるもんか !
シュヴァルツまだそんなことを言うとは。存在、行為、記憶……。如何なるものとて、全が無へと還る世界で、意味など存在しえない。
セネル無駄なものなんて、何ひとつありはしない !俺たちのこれまでの時間が、無駄なものであってたまるか !
セネルお前から見れば、俺たちはちっぽけな存在かもしれない ! 嘆き、悲しみ、苦しみからの解放を確かに望む時もある。
セネル苦しいことから逃げ出したい時もある。悲しみから解放されたい時もある。自分の弱さに屈して、逃げ出すことだってある !
セネルだけど ! それを乗り越えたからこそ、俺たちは成長して未来に進んでいけるんだ !
シャーリィそうです !辛いこともあるから、悲しいこともあるからだから、幸せを感じることができるんです !
クロエ時に失敗しても、時に傷ついたりしても仲間と手を取り合いながら、私たちは学んでいくんだ !
セネルだから、ここで終わるわけにはいかない ! !まだ終わりになんて絶対にさせない ! !
セネル俺たちは、お前に勝って、生きていく ! !
二人セネル…… !
シュヴァルツそうか、子らの意思はわかった。だがもはや無への帰還を止めること、かなわぬと知れ。終焉への旋律を奏でようぞ。
セネル――グリューネさん、悪いけど……。
グリューネううん、大丈夫よぉ。お姉さんはいつだってセネルちゃんたちの味方だもの。
グリューネシュヴァルツちゃん。悲しいけど、決着を付けましょう。
シュヴァルツ望むところだ。我が力、すべてをもって、世界と共に無に還るがよい !
セネル終わりになんか、させるかよ ! 俺たちは必ず勝つ !勝って、俺たちの住む世界を守るんだ !

キャラクター6話【vsシュヴァルツ】
シュヴァルツこれが人の子の力か。我の時はここまでのようだ。
グリューネシュヴァルツちゃん……。
シュヴァルツ人の子よ、覚えておくがよい。子が望めば、我は再びあらわれる。我は人の子の業により、生まれゆくものと知れ。
セネル俺たちは未来に歩いて行ってみせる。もう、お前に会うことはない。
シュヴァルツ夢を言う。だが、それが人か……。
イクス消滅した……のか…… ?
ジュニア……ううん……。
ミリーナフィル ! ? 目が覚めたのね !
ジュニア……うん。ミリーナが治療してくれたんだね……。ありが……とう……。
セネルジュニア。今のはどういうことだ ?シュヴァルツは消えたように見えたが……。
ジュニア僕にも……はっきりとしたことはわからない。
ジュニアでも……僕の推測が正しければ恐らくグリューネさんとシュヴァルツは何かしらの繋がりがある筈なんだ。
ジュニアそしてグリューネさんが今こうして元気でいると言うことは、シュヴァルツも完全に消えた訳じゃないんだと思う。
コーキスえ ! ? じゃあまた復活するのかも知れないのか ! ?
イクスエンコードの影響で本来の力が失われていたのならよほどのことがない限り、存在を保つことは難しいんじゃないかな。
イクス消えてはいない――でも再び姿を見せるほどの力もない……。そんなところだと思うけど。
ジュニア……うん。僕も……そう思うよ、イクス……。
カーリャでも、あの人最後に不穏なことを言ってましたよね。子が望めば再び現れる……とかなんとか……。
シャーリィそれは私たちが、悲しみや苦しみから逃げないでしっかり生きていく姿を見せればきっと大丈夫じゃないかな。
グリューネええ、お姉さんもそう思うわ。再びシュヴァルツちゃんが現れないよう一生懸命生きていきましょうね。
グリューネ………………あら ?
ミリーナどうかしたんですか、グリューネさん ?
グリューネシュヴァルツちゃんがいなくなったら思い出せそうだった記憶が、またどんどん遠くに……。
グリューネ思い出そうとすればするほど、どんどん頭の奥に引っ込んでいってしまうみたい……。うーん、いつか思い出せるかしらぁ。
シャーリィそうですね。だから、あまり焦らないで下さい。わたしたちはどんなグリューネさんだって、大好きなんですから !
クロエ記憶は関係ない、グリューネさんはグリューネさんだ。だから、無理をしてまで思い出さなくてもいい。私たちは家族なんだから。
グリューネふふっ。シャーリィちゃんもクロエちゃんも、ありがとう。そう言ってくれて、お姉さん、とっても嬉しいわ。
ジュニア……それじゃあ、そろそろ僕は失礼します。
グリューネあらぁ、ジュニアちゃんもお姉さんと一緒に来るんじゃないの ?
ジュニア……僕は帝国でやることがありますから。
イクスフィル……。俺たちに何か手伝えることはないか ?
ジュニア……ううん。今は……何も。でも……そうだね。僕は……メルクリアを助けてあげたいって思ってるんだ。
ジュニアその為に……ナーザをもう一度甦らせようと思ってる。
一同! ?
ジュニアその為には……また最初のイクスの体を使わせてもらうことになると思う。
ミリーナフィル !
ジュニアごめん、ミリーナ。それにイクスも。僕は酷いことをしていると思う。本当はこのことも二人に言うつもりはなかったんだ。でも……。
ジュニアメルクリアも友達だけどイクスとミリーナも友達だから。だから、伝えようと思ったんだ。
シャーリィ……ジュニアくん。
イクス……俺には、なんとも言えないよ。そもそも俺たちは本来存在しない二番目と三番目だし。でも俺の記憶の中のフィルは、人の命を弄ぶような奴じゃなかった。
イクスだから……フィルがそうしようと決めたのなら相応の理由があると思ってる。いつか全てが終わったら最初の俺に謝ろう。一緒にさ。
ジュニア……イクス…… !
ミリーナ……私は……イクスみたいに物わかりのいいことは言えない。でも……フィルはイクスを苦しめたい訳じゃないものね。
ミリーナそれに私にフィルを責める資格なんてないから。……話してくれて、ありがとう。
ジュニアミリーナ……。
クロエよかったな、ジュニア。
ジュニア……はい。シャーリィさん、クロエさんありがとうございました。
ジュニアそれから、グリューネさん。この世界に呼び寄せてしまってすみませんでした。
グリューネジュニアちゃんっ !
ジュニアわ……わわっ ! ?グ、グリューネさん ! ?
グリューネ気にしないでね、ジュニアちゃん。お姉さん、セネルちゃんたちに会えて嬉しいしジュニアちゃんともお友達になれて本当によかったわ。
ジュニア……とも……だち ? 僕が ?
グリューネそうよ。だからこれでお別れなんていわないでまたいつでもお姉さんに会いに来てね ?お姉さん、再会を楽しみにしてるから。
ジュニア…………は、はい。
ジュニアえっと……。それじゃあ……また。
セネル気を付けて帰れよ。それと……できるだけ戦いの場に出るなよ。お前とは戦いたくないから。
ジュニア僕もです。
ジュニア……そうだ。ナーザのこと帝国に漏らさないようにして下さい。これは僕の……僕一人の計画だから。
帝国兵――鏡士様 !お姿が見えないので心配しておりました !
ジュニア……例の具現化された鏡映点ですが僕の方で処理しました。撤退の準備をお願いします。
帝国兵はっ ! 承知しました !
? ? ?お人好しだな。敵に計画を話すとは。
ジュニア……イクスたちは敵じゃないですから。
? ? ?まぁ、いいだろう。お前の決意は見届けた。
ジュニアそれじゃあ、力を貸してくれる気になったんですか、ナーザさん !
ナーザセールンドの鏡士に力を貸すのは本意ではないが、な。