キャラクター | 1話【目覚め】 |
ジュニア | はぁ……はぁ……ダメだ。やっぱり距離が離れすぎてるのかイクスたちと魔鏡の通信が繋がらない……。 |
? ? ? | この研究施設は迷路みたいだね。追い詰めるのに時間がかかってしまったよ……。 |
ジュニア | ――お願いだよ……もうやめて !一度落ち着いて話させて ! |
? ? ? | ……話だって ? |
ジュニア | 確認させて欲しいんだ。……あなたはいったい誰なの ? |
? ? ? | 僕……僕は………ラザリス。 |
ラザリス | それにしても……誰だなんて酷いじゃないか。君が僕をこの世界に具現化――創造をしておきながら。 |
ジュニア | 僕が……あなたを具現化した ? |
ラザリス | そうか……この姿で対面するのは初めてだったね。それじゃあ気づかないのも無理はないか。 |
ラザリス | なら、あの部屋に閉じ込められていたと言えばわかるかな ? |
ジュニア | 無機生命体保管室の扉が壊れてる ! ?まさか―― |
ラザリス | 気づいてくれたみたいだね。そう。僕は世界ジルディアにして、その一部だよ。 |
ジュニア | そんな……具現化したジルディアは世界概念の結晶体として厳重に保管されていた筈……。なのにどうして人の姿に……。 |
ラザリス | 名前はわからないけど近しい存在がいてね。力を貸してもらったのさ。 |
ラザリス | おかげでエンコードとかいう忌々しい作用により失っていた力も、部分的に取り戻すことができた。そして……新たな力も…………。 |
ジュニア | 近しい存在…… ? 新たな力…… ? |
ラザリス | 言っておくけど君が欲しがっているものではないよ。そうであったとしても僕が人間に協力なんてするわけないけど。 |
ジュニア | もしかして研究レポートを読んだの ? |
ラザリス | ああ。だから君たち帝国が何をしようとしているのかそしてなぜ僕を具現化したのかも知っているよ。それに、僕に対しての研究結果もね。 |
ジュニア | …………。 |
ラザリス | 異世界ジルディアはヒトが住むに適す環境ではない。故に、これ以上の研究は不要と判断。安全確保のため廃棄の必要があると書かれていた……。 |
ラザリス | ふざけるなっ ! |
ラザリス | 人間の「創造」の罪深さはルミナシアの民の愚行をみていてよく知っている。 |
ラザリス | けど、自分の欲により世界すらも創造し、廃棄する鏡士の存在はルミナシアの民以上に罪深い。 |
ラザリス | だから、僕は鏡士の存在を見過ごすことはできない。今ここで君を始末させてもらうことに決めたんだ。 |
ジュニア | ……僕はあなたのことも傷つけたんだね。この研究を続けさせられているせいで……。 |
ラザリス | お喋りはもうお終いだ !これ以上、お前の好きにされてたまるか ! ! |
ラザリス | ―― ! ? |
ラザリス | ――うぐっ。 |
ジュニア | グラスティン ! ? |
グラスティン | ヒッヒッヒッ……。無機生命体保管室のセンサーが作動したから来てみれば石ころもどきが脱走しているとはなぁ……。 |
ジュニア | ……ラザリス……。ごめんなさい……。 |
グラスティン | 石ころにも憐憫の情を見せるとは小さいフィリップは優しいなぁ ! ヒャヒャヒャ !どぉれ ? 綺麗な黒髪を切られたりしてないだろうな ? |
ジュニア | 触らないでよ ! 僕は陛下から神の具現化について研究するように仰せつかっているんだ !邪魔をすれば陛下の命に背いたことに―― |
グラスティン | ヒャーハハハハッ ! いいのか ? 呪いがうずくぞぉ ? |
ジュニア | ! ! |
グラスティン | いい顔だぁ ! 絶望に歪んだ顔、ゾクゾクするよぉ !なぁ、あいつの皮をむいて持ってきてやろうか ?会いたいだろう ? ヒヒヒヒヒッ ! ! |
ジュニア | や、やめて ! |
グラスティン | やっと自分の立場を思い出したか、小さいフィリップ。大事な大事な【お前の】鏡精を守るにはそうするしかないよなぁ…… ? |
グラスティン | ジルディア具現化実験も、俺の言いつけ通りちゃんとやってくれたものなぁ。よくできまちたねぇ、小さいフィリップ~。 |
ジュニア | ……………………。 |
ラザリス | ……これが、帝国……この世界の、人間か……。 |
グラスティン | あぁ ? |
ジュニア | ラザリス ! ?さっきグラスティンの一撃は確かに致命傷だった筈なのに……。 |
グラスティン | さすが石ころヒトモドキ。無駄に頑丈ってことかぁ。 |
ラザリス | 僕は……僕たちは、死なない。お前たちを皆殺しにして―― |
ラザリス | この世界で、生きるんだっ ! ! |
キャラクター | 2話【目覚め】 |
コーキス | 明らかに魔物の数が増えてるな。アセリア領はどうなっちまったんだ。これじゃあ世界樹にたどり着く前にバテちまうぜ。 |
イクス | そうだな。世界樹まではまだまだ距離がある。ひとまずこの先にある村で休もう。 |
ミリーナ | そうね。カロル調査室が観測した世界樹からの特殊なアニマ反応……何があるかわからない以上準備はしっかり整えておいた方がいいわ。 |
P・カノンノ | アセリア領だけじゃなくテセアラ領の世界樹でも同じようなアニマ反応が観測されたんだよね。テセアラ領の方は大丈夫かな。 |
イクス | そっちは今ロイドたちが調査に行ってくれてるよ。さっき魔鏡通信で聞いた限りではテセアラ領は普段と何もかわらないみたいだ。 |
カノンノ・E | 魔物の増殖は何故かアセリア領だけなんだね。それに同じアセリア領内でも、クレスたちが今調査中の地域では魔物の増殖はないみたいだし……。 |
カーリャ | どれだけ考えても謎ですよねぇ。頭を使いすぎてお腹の減りも尋常じゃありませんよ。 |
コーキス | パイセンの腹ペコはいつものことだろ……。 |
カノンノ・G | …………。 |
ミリーナ | グラスバレーはどう思う ? |
カノンノ・G | 私は……やっぱりラザリスが関係していると思うな。 |
二人 | …………。 |
カノンノ・G | ……この増殖した謎の魔物どことなくラザリスが生み出した魔物に似ている気がする。 |
カノンノ・G | もちろん、まだラザリスが具現化されていると決まったわけじゃないから断定はできないけど。 |
イクス | いや、さっきも話したけど、ラザリスって人が具現化されている可能性は高いと思う。 |
ミリーナ | 帝国にいる三人目のフィルからの通信のことね。 |
イクス | ああ。かなり距離が離れていたのか、相当通信が乱れていたから、はっきりとは聞き取れなかったけどラザリスって言葉と世界樹って単語は聞き取れた。 |
ミリーナ | グリューネさんやシュヴァルツの時と同じようにラザリスさんも予期せぬ形で具現化されたんじゃないかしら。 |
ミリーナ | それが、神の力を具現化するという帝国の研究の一環なのかどうかまではわからないけれど……。 |
イクス | 帝国のフィルに詳しく話を聞きたいところだけどこっちからの魔鏡の通信も繋がらないんだ。無事だといいんだけどな……。 |
ミリーナ | ……そうね。それにラザリスさんのことも気になるもの。 |
カーリャ | 帝国のフィルさまに具現化されたってことはそのラザリスさまも普通の人間じゃないんですよね。やっぱり神様みたいな存在なんですか ? |
カノンノ・G | ううん。ラザリスは世界なんだよ。ジルディアっていう世界の一部が私の世界ルミナシアの民の姿で実体化した存在なの。 |
コーキス | ヒトでも神様でもなく世界 ! ?またとんでもない鏡映点が具現化されたな。 |
イクス | 世界の存在の一部が、別の世界の民の姿で実体化をした……か。複雑だな。それになんだか不思議だ。 |
カノンノ・G | 不思議 ? |
イクス | ルミナシアもジルディアも別の世界なんだろ。パスカとイアハートもルミナシアから具現化されたけど本当は別の世界の住人だって話だし……。 |
カノンノ・E | うん。私はグラニデ世界の住人だよ。パスカはパスカっていう世界のディセンダー。私たち、ルミナシアにはちょっとお邪魔していたの。 |
イクス | その話を聞いているとそれぞれが別の世界って感じがしないんだよ。だから不思議だなと思ってさ。 |
カノンノ・G | ああ。そういう意味だったのね。 |
P・カノンノ | 私たちの世界は、それぞれ別の世界だけどどの世界も一つに繋がってるんだよ。 |
ミリーナ | 一つに ? どういうこと ? |
カノンノ・G | うん。どの世界も根源の世界樹から生まれたの。その根源の世界樹の種子が芽吹いてそれぞれの世界は生まれたんだよ。 |
P・カノンノ | 他にも数え切れないくらいたくさんの世界があるんだ。 |
イクス | なるほど……根源の世界樹から生まれたから複数の世界を一つとしてもみることができる。つまり世界群みたいに考えればいいのか……。 |
コーキス | あぁ~難しすぎてわかんねぇ !つまりどういうことなんだ ! ? |
カノンノ・G | 一言で言うなら……私達は【家族】ってこと。 |
二人 | うん。 |
コーキス | 家族…… ?うーん、同じ世界樹から生まれたから…… ? |
コーキス | ――うーん、やっぱよくわかんねーけど家族だっていうなら、それでいいや。 |
カーリャ | じゃあラザリスさまも皆さんにとって家族みたいなものなんですか ? |
カノンノ・G | もちろん…………そうだよ。 |
イクス | でも、そのラザリスが今回の事態に関わってるってグラスバレーは考えているんだな ? |
カノンノ・G | …………うん。 |
ミリーナ | 何か複雑な事情があるみたいね。 |
カノンノ・G | けど私は今ならわかり合える……ううんディセンダーみたいにできるかわからないけど。今度こそ、私もわかり合いたいと思ってるんだ。 |
P・カノンノ | ラザリスは……ジルディアは新しく生まれ変わったものね。 |
カノンノ・E | きっとできるよ。あの新しい世界を知っているラザリスなら。 |
カノンノ・G | だからイクスたちにお願いがあるの。もしラザリスと出会ったらまずは私に話をさせてくれない ? |
ミリーナ | ……グラスバレー。 |
イクス | ああ。もちろんだよ。俺も応援している。 |
コーキス | よし ! ラザリス様を捜すのも頑張らないとな ! |
カーリャ | うぅ……。頑張りたいのはやまやまですが難しい話をして更にお腹が空きました……。 |
ミリーナ | ようやく村が見えてきたわ。もう一踏ん張りよ、カーリャ。 |
カノンノ・G | ふふ、カーリャのお腹と背中がくっつく前に村に急がなきゃね。 |
キャラクター | 3話【異変】 |
カーリャ | 村に到着 ! さあコーキス、食材を買いに行きますよ !ミリーナさまにたくさん料理を作ってもらいましょう ! |
コーキス | ――ちょっと待ったパイセン。なんか村の様子がおかしくないか ?マスター、どう思う ? |
イクス | うーん。そう言われてみると、比較的小さな村なのに村人の数がやけに多い気がするな。 |
P・カノンノ | ……それに、何だかこの村の人たちみんな……何かを我慢している感じがする。 |
P・カノンノ | まだ直接目には見えないけど心の中に不満や怒りが織のように溜まっていっている。そんな目をしている人が多い気がするんだ……。 |
ミリーナ | ……パスカ。もしかして昔のこと……。 |
P・カノンノ | ……ううん、私は大丈夫だよ。それよりこの村の人たちが心配。何があったのか話を聞いてみようよ。 |
カーリャ | 了解しました。ではカーリャとコーキスはあちらの列に並びつつ聞き込みをしてきます ! |
コーキス | パイセン、それ炊き出しの列だぞ。完全に食い物目当てじゃ……ってあそこで料理しているのは―― |
ミント | クラースさん。もう配布する分が無くなってしまったみたいです。急いで追加分も作らないと。 |
クラース | ……だが肝心の食材がもうない。やはり足りなかったか……。 |
カノンノ・E | ミントにクラースさんだ ! |
クレス | それでは一度ここに運んできた木材を置いておきますね。 |
村人 | なんだか悪いな。こんな小さなお嬢ちゃんまで俺たちなんかのために……。 |
すず | いえ、私は忍者ですから。 |
カノンノ・G | クレスもすずちゃんもいるよ ! |
クラース | おお、イクスたちか。そういえばこの村はイクスたちの調査ルート上に位置していたな。 |
P・カノンノ | クレスたちは隣村の周辺を調査予定だったよね。こっちに来ているってことはもしかして何かあったの ? |
クレス | ああ……その村なんだけど帝国に占領されていたんだ。 |
カノンノ・E | えっ……帝国に ! ? |
村人 | ……突然、帝国兵たちがやってきたんだ。それで俺たちを村から追い出しやがった。この場所は駐屯地として利用するからってな……。 |
クラース | 彼らはその村で暮らしていた人たちだ。住む場所をなくし途方に暮れていたところに出会ってな。 |
村人 | ……あんたらも人がいいよな。見ず知らずの俺たちのためにこの村の村長に受け入れの交渉までして。 |
クレス | 放っておけませんよ。小さい子どもやお年寄りもいるうえ、ここ――アセリア領では魔物も増殖していて危険なんですから。 |
クラース | 村外れの仮設住宅とはいえ森の中で野宿するよりはずっと安全だろう。 |
イクス | そうか、だから村人の数が多かったのか。 |
村人 | ……まあ、この村の住人たちははやく俺たちに出ていって欲しいって思ってるけどな。 |
ミント | そんなことはありませんよ。快く迎え入れてくれたじゃありませんか。困ったときはお互い様だと村長さんも言っていました。 |
村人 | この村の人たちはお前たちと同じくらい心根の優しい奴らだ。ちゃんと俺たちの事情を理解してくれている。 |
村人 | けどな……口には出さない思いもあるに決まってる。魔物の影響でどこも食料が不足しているんだ。この村だって自分たちの生活で精一杯なんだからな。 |
村人 | あんたらもこの村のピリピリした雰囲気、わかるだろ ? |
P・カノンノ | …………。 |
すず | きっと……頭ではわかっているんです。けど、心の中で色々なものが渦巻いてしまうんだと思います。感情を殺して生きるのは、とても難しいことですから。 |
クラース | ……そうだな。簡単に割り切れるものではないことも事実だろう。 |
チェスター | けど、みんなで協力をすればなんとかなるもんかもしれねぇぞ。 |
クレス | チェスター ! 戻ったのか ! |
チェスター | ああ。ちゃんと食材も確保してきたぜ。ついでにウリボアも狩ってきた。これでしばらく食うものには困らねぇだろ。 |
クラース | おぉ、これだけあれば特製シチューも人数分用意できるだろう。 |
アーチェ | 仮設住宅増築用の木材も運んできたよ。もうすっごく大変だったんだから。ちゃんと感謝してよね。 |
クレス | ありがとう、アーチェ。助かったよ。もう少しでクラースさんの料理が完成する。それまでゆっくり休んでいてくれ。 |
チェスター | そうそう。料理の手伝いをしようとか余計な首を突っ込まないようにな。 |
アーチェ | ちょっと、それどういう意味よ ! ? |
チェスター | さあ、どういう意味だろうな~。 |
村人 | はぁ……こんな状況だってのに賑やかな奴らだ。悪いが俺たちはまだそんな気分にはなれない。仮設住宅でおとなしくしてるよ。 |
コーキス | ちぇっ……なんだよ、あの態度。クレス様たちがこんなによくしてくれてるのに感謝の言葉もなしかよ。 |
クレス | 僕たちは別に構わないよ。 |
ミント | ……誰にだって辛いときはありますから。そういうときは自分の殻に閉じこもりまわりを拒絶してしまうこともあると思うんです。 |
ミント | けど、そんな時は……いえ、そんな時だからこそ誰か側にいてくれる人が必要なんだと思います。きっと、それだけで救われる人もいる筈ですから。 |
クレス | ……ミント。 |
カノンノ・G | 誰かが側にいてくれるだけで救われる、か……。うん、そうかもしれないね。 |
カノンノ・E | 私もあの人に助けられたなぁ……。 |
P・カノンノ | 私も……。 |
クラース | ふっ、青春だな……と、いかんいかん。またおじさんくさいとアジトで笑われてしまう。 |
カノンノ・G | クラースさん……エルに言われたこと気にしてたんだね。 |
クラース | ……さてと、今後についてだが、私たちはしばらくここで村人たちの援助をするつもりだ。それで問題はないかな ? |
イクス | はい。世界樹の調査は予定通り俺たちが担当します。 |
カノンノ・E | 気を引き締めて行かないとね。世界樹の周辺は魔物の数も多いみたいだし。 |
すず | いえ。少し様子を見てきたのですが現在、世界樹周辺の魔物の数は極めて少ないです。 |
P・カノンノ | そうなの ? 魔物は世界樹周辺に集まっているって調査報告書に書いてあったけど。 |
すず | 行商人によると、とある人物が世界樹に近づく魔物を排除しているらしいのです。 |
カノンノ・G | とある人物 ? |
すず | マントを纏った金髪の男性……行商人はそのように言っていました。 |
ミリーナ | それって……もしかして……。 |
クラース | ……すまないな。本来ならば私たちが行くべきなのだろうが。 |
イクス | いえ。大丈夫です。俺たちに任せてください。 |
クラース | 頼んだ。それじゃあ、また後で。特製シチューが完成したら声をかけるよ。 |
カーリャ | カーリャも食べていいんですか ! ?食料が足りないって……。 |
クラース | カーリャやみんなが食べる分ぐらいは大丈夫だ。ただし、おかわりは遠慮してもらうぞ。 |
カノンノ・G | ねぇ、イクス。すずちゃんが言っていたとある人物って……。 |
イクス | ダオス……さんなのかな、やっぱり。 |
P・カノンノ | ………… ? |
カノンノ・G | パスカ、どうかした ? |
P・カノンノ | いま……戦いの音が聞こえたような……。 |
村人 | た、大変だ ! !帝国兵たちがこっちに向かってきてるぞ ! |
P・カノンノ | そんな ! もしかしてこの村も奪うつもり ! ? |
村人 | わからない……けど誰かを追っているみたいだった。 |
村人 | 待て……ま、まさか……俺たちか ! ? |
ミリーナ | 落ち着いてください。ひとまず安全なところに避難をお願いします。 |
イクス | コーキスとカーリャはこのことをクレスたちに伝えて村周辺の警備をするよう頼んでくれ! |
二人 | 了解 ! |
カノンノ・E | どうしよう……あっちには避難民の仮設住宅があるのに巻き込まれたら大変だよ。 |
P・カノンノ | とにかく、まずは帝国が何をしようとしているのか調べてこようよ。 |
カノンノ・G | そうだね。そうすれば対策も立てられるもの。みんな、行こう ! |
キャラクター | 4話【異変】 |
ラザリス | ……はぁ。呆れたなぁ。まだ生きていたのかい。 |
グラスティン | ――残念だったなぁ。俺は痛みには鈍い方でねぇ。それに、お前の肉の裂き方の下手くそなことといったらまったく見るに堪えないよ。 |
グラスティン | さっさと捕まえて、教え込んでやらないとなぁ…… ! |
帝国兵 | ひぃ ! ? グラスティン様 ! ?腹から出血が ! ? |
ラザリス | 君たちは誤解しているんだよ。僕は君たちから逃げていたわけじゃない。むしろ逆で、僕が君たちを逃してあげていたんだ。 |
ラザリス | 何故かって ? それは君たちのような愚かな人間を相手にしている時間すら惜しいからさ。だから放っておいてあげたのに……。 |
ラザリス | 僕の邪魔をするなら……ここでくたばってもらうよ ! ! |
カノンノ・G | そこにいるのは……ラザリス ! ? |
ラザリス | ! ? |
グラスティン | ――おおっと、フィリップのお友達か。それじゃあ、この醜い姿を見せる訳にはいかないな。 |
イクス | その声……グラスティンか ! ? |
ラザリス | ようやく逃げる気になったみたいだね。 |
グラスティン | 鏡士の相手は俺の仕事じゃないんでなぁ。 |
グラスティン | だが、俺の小さなフィリップを傷つけた恨みは忘れないぞ。石ころヒトモドキが。人のエモノに手を出した報いは受けさせてやる。 |
グラスティン | 石から変質した肉の切り心地、楽しみだよぉぉ…… ! |
イクス | 小さなフィリップって…… ! ? |
コーキス | 待て ! グラスティン ! !――って、くそ。逃げ足のはやい奴だな。 |
ラザリス | あんな欠落だらけの醜い人間の群れが帝国か……そんな奴らが世界を我が物にしようとしているんだね。 |
ラザリス | おぞましい……一刻も早く消し去らなくてはいけない……。 |
カノンノ・G | ラザリス、待って。どこに行くつもりなの ? |
ラザリス | なぜ君たちに伝えなくちゃならないんだ。君たちも帝国の一味なのかい ? |
イクス | それは違う。帝国は俺たちの敵だ。 |
カノンノ・G | ラザリスも帝国と敵対してそのうえ命まで狙われているんでしょう ?一人で行動するのは危ないよ。 |
ラザリス | ……まさか僕のことを心配しているのかい ? |
カノンノ・G | そうだよ。それに、他にも聞きたいことが色々あるの。 |
カノンノ・G | けど、まずは何か困っているなら側にいて、力になりたいんだ。あの人が……ディセンダーがそうしてくれたように。 |
ラザリス | なるほど。ディセンダーのお人好しが伝染したわけだ。側に居て力になりたい……確かに、あのディセンダーも考えそうなことだね。 |
ラザリス | そんなこと何の解決にもならない。ああ、ただ鬱陶しいだけさ。 |
カノンノ・G | そんなことないよ ! |
ラザリス | なら、証明してくれよ。そこにいる彼らに、どう力になるのか。死に場所探しの手伝いでもするのかい ? |
カノンノ・G | そこにいる彼ら…… ?えっ、こっちの村に避難してきた人たち ! ?どうしてここにいるんですか ? |
村人 | …………あんたたちか。 |
カノンノ・E | 村の外は危険なんだよ !みんな荷物を背負ってどこに行く気なの ! ? |
村人 | さあな。けどもう村を出ていくって決めたんだ。やっぱり……俺たちがいるのは迷惑なんだよ。俺たちは帝国から逃げることはできないんだ……。 |
P・カノンノ | 帝国がこの村に来たのはあなたたちのせいじゃないわ。一度落ち着いて、みんなで話し合いましょう ? |
カノンノ・G | そうだよ。もう少しで仮設住居も増築されるし美味しいご飯だって食べられる。これから、みんなで一緒に暮らしていけるんですよ。 |
村人 | ……もう、疲れたんだ。こんな世界に。 |
ラザリス | ……可哀想に、どこにも居場所がないんだね。憎いよね、悔しいよね、許せないよね……。わかるよ、君たちの気持ちは。 |
ラザリス | けど、安心して。僕なら君たちを救うことができる。 |
村人 | 俺たちを……。あんたは、何者だ ? |
ラザリス | 君たちがこれから生きていく世界だ。……さあ、僕が苦しみから解放してあげる。今の僕でも、これぐらいの力はあるからね。 |
村人 | な、なんだ……身体が……う、うわぁぁあああ ! ! |
村人 | やめて ! ! なんなのよ、これは ! !あ、ああああっっ ! ! ! ! |
一同 | ! ? |
ラザリス | 大丈夫。怖くないよ。君たちは僕の世界の住人になるだけさ。もうすぐ苦しみから解放される。 |
ラザリス | 完全な身体、完全な世界を、今はまだあげられないけど、必ず僕が用意してみせるから。だから、いまはこれで我慢してね。 |
魔物 | ―― ! ! |
イクス | なっ……村人たちが魔物に ! ?しかもこの姿って……アセリア領で増殖していた謎の魔物とそっくりじゃないか ! ! |
カノンノ・G | やっぱり……ラザリスが……。 |
ラザリス | 魔物だなんて酷いな。彼らはジルディアの民だよ。完全な姿ではないが君たち人間の姿よりよっぽど美しいだろ。 |
ラザリス | さあ、みんな。きっと気に入るよ。これがもうすぐ君たちが暮らすことになる世界だ。 |
カーリャ | な、なんですか、あれ……頭が……割れそう……。息をするだけで苦しい……ですよ。 |
ミリーナ | ……あの白い物体が、原因かしら……。アセリア領どころか他の大陸でも見たことがないものだけど……。 |
カノンノ・G | あれはジルディアの一部、ジルディアのキバだよ。ラザリスはこの場の一部をジルディア化したんだ……。 |
イクス | 人を魔物に変えるだけじゃなくて世界の一部を変化させる力まであるのか ! ? |
カーリャ | それに、ジルディアってこんな世界なんですか……。生きていける感じがしないんですけど……。 |
カノンノ・G | (このジルディア、昔のまま変わっていない……。もしかしてラザリスが具現化された時間軸って――) |
ラザリス | さあ、ジルディアの民よ。この愚かな人間を滅ぼしてしまえ。僕たちの世界を築くために。 |
キャラクター | 5話【聞こえた声】 |
イクス | クレス、ありがとう。駆けつけてくれて。 |
クレス | なんとか魔物が村へ侵入するのは防げたけど……この数……きりがないな。 |
アーチェ | もうヘトヘト……魔術でまとめてぶっ飛ばして一気に片付けちゃいたいぐらいだよ。 |
クラース | それはダメだ。魔物の姿をしているとはいえ元は人間なんだぞ。 |
アーチェ | わかってるわよ。だから加減が難しくて苦戦してるんじゃない。 |
イクス | くそ……どうすれば……。 |
クレス | こっちは僕たちに任せて。カノンノたちはラザリスを頼むよ。 |
カノンノ・G | うん、ありがとう ! こっちは任せて ! |
P・カノンノ | みんな ! あそこにラザリスがいるよ ! |
ラザリス | ……しぶとい人間だな。手間がかかってしょうがないよ。 |
カノンノ・E | ラザリス ! もうこんなことはやめて !村の人たちも、この土地も、元の姿に戻して ! ! |
ラザリス | 僕は彼らを救ったんだよ。困っている者、苦しんでいる者を放っておくことはできない、君たちと同じさ。 |
ラザリス | ただ、「そばに居て力になる」なんて何の役にも立たないことは、僕はしない。 |
カノンノ・G | そんなことない ! そばにいて励ましてもらったり、話を聞いてもらえるだけで心は……人は救われるんだよ ! |
ラザリス | ふん……どうにもできない現状に絶望して傷の舐め合いをしているだけじゃないか。それじゃあ根本的な解決にはならない。 |
ラザリス | だから、僕はこの世界全てを破壊しそして新たにジルディアを具現化する。この世界でもね。 |
カノンノ・G | もしかして……また世界樹の「生命の場」を利用するつもり ! ? |
ラザリス | ああ。そのとおりだ。 |
イクス | 生命の場 ? それは一体…… ? |
カノンノ・G | 世界樹の中にある特別な場所だよ。まさかこの世界の世界樹にも備わっていたなんて……。 |
カノンノ・G | 詳しくは後で話すけどとにかくラザリスが生命の場に辿り着くのだけは阻止しないと。 |
カーリャ | よくわからないですけどティル・ナ・ノーグを破壊してジルディアにするってかなりヤバいですよね ! ? |
カノンノ・G | ティル・ナ・ノーグ全土がジルディアに侵食されれば私たちは生きていくことができない。今この世界に生きる生命は全て死に絶えることになるわ。 |
イクス | ……この世界で生きる存在が……全て…… ? |
コーキス | なんでそんなことするんだよ !グラスバレー様たちはお前の家族なんじゃないのかよ ! |
ラザリス | 家族…… ? ああ、事実はそうなのかもしれない。僕たちは根源の世界樹から生まれたからね。けど、僕の世界は生まれることすらできなかったんだ。 |
ラザリス | 生まれることができたにも関わらず滅びに向かう愚かな世界と僕の世界を一緒にするな ! ! |
ミリーナ | 生まれることすらできなかった……どういうこと ? |
カノンノ・G | ……ラザリスは……ジルディアは種子のまま芽吹くことができなかったの。 |
カノンノ・G | ジルディアはそのまま消滅するはずだった。それをルミナシアが取り込んで星晶(ホスチア)という特別な物質で包み、保護していたの。 |
カノンノ・G | けど星晶が採掘されていき、保護としての封印の力が弱体化したことがきっかけとなってラザリスが実体化することになったんだ。 |
カノンノ・G | 同じヒトなのに互いに傷つけ合い、奪い合いあげく世界を危機に陥れている。そんなルミナシアの民をみてラザリスは……。 |
ラザリス | 僕の世界の住人には創造はさせない。だから争いもなければ苦しみもない。こんな世界と違ってね。 |
ラザリス | 欲にまみれた創造ばかりする愚かな人間。そんなものが支配する世界を、僕は決して認めない。僕の世界こそ……ジルディアこそが完全な世界なんだ ! |
イクス | だからルミナシアを……そして今回はティル・ナ・ノーグを滅ぼしてジルディアにしようとしているのか。 |
コーキス | 事情はわかったけど……でも、俺は絶対にそんなこと認めないぞ ! ! |
コーキス | 俺はマスターもミリーナ様もパイセンも鏡映点のみんなも、死んでほしくなんかない ! !だって、この世界で生きてるんだから ! |
カノンノ・G | ラザリスも一緒に生きていこうよ。私たちと、この世界のみんなと一緒に。 |
ラザリス | 僕とお前たちが ?笑わせるな、そんなことできるわけがないだろ。 |
カノンノ・G | できるよ ! あなたは知らないかもしれないけど私たちはあなたが具現化された時より未来の時間軸で具現化された。だから知ってるんだ。 |
ラザリス | ……未来の時間軸だって ? |
カノンノ・G | ルミナシアは変わったの。ジルディアもヒトが生きていける環境に変わった。みんなお互いに変わって未来では1つになれたんだよ。 |
ラザリス | なにをバカなことを言い出すかと思えば。そんなウソを信じると思うのか ? |
P・カノンノ | ウソじゃないよ ! 私たちも見たもの !新しいルミナシアとジルディアの世界を ! |
カノンノ・G | だから世界をジルディアにする必要なんてないんだよ。だって私たちは、お互いに歩み寄って一緒に生きていけるんだもん。 |
ラザリス | …………なんだと。 |
カノンノ・G | だからお願い。もうこんなことやめて。村のヒトたち、アセリア領を元の姿に戻して。 |
ラザリス | ああ、そうか……よくわかったよ……。僕は信じたくもないし、認めたくもないがもし君たちの語る未来が真実ならば…………。 |
ラザリス | この世界でこそジルディアの誕生を成し遂げなければならない ! ! |
カノンノ・E | どうしてそうなるのよ ! ? |
ラザリス | 君たちの語るジルディアは、君たちの都合によって理を捻じ曲げられた偽りのジルディアだからだ ! ! |
ラザリス | 創造は害悪……。やはり人間なんて不要だ。この世界でこそ正しいジルディアを顕現させる。君たちにもそれを見せてあげるよ。 |
ラザリス | そのためにも……そうだね、万が一ということもある。 |
ラザリス | 帝国の鏡士は殺しそこねたけどそこにいる二人は今ここで仕留めておくとしよう。鏡士はどんな悪さをするかわからないからね。 |
ミリーナ | 帝国の鏡士ってジュニアのこと ! ? |
イクス | ……やっぱり !お前は帝国のフィルを傷つけたんだな ! ? |
ラザリス | ああ、そうだとも ! けどその何がいけない !創造に長けた存在である鏡士はまさに数多の世界をも蝕む最悪の化身じゃないか ! |
ラザリス | 完全で美しく安寧が約束された僕の世界ジルディアを誕生させる……そう、僕はここでやり遂げる ! |
カノンノ・G | みんな、構えて ! ! 来るよ ! ! |
ラザリス | 鏡士も、そこにいるお前たちも邪魔をするなら容赦はしない ! !この世界は僕のものだ ! ! |
キャラクター | 6話【聞こえた声】 |
ラザリス | たいしたことないね。やはりディセンダーがいなければその程度ということか。 |
イクス | はぁはぁ……どういうことだ……。さっきからずっと戦ってるのにまったく勢いが衰えないぞ。 |
ミリーナ | 戦っていても違和感があるわ。きっと何かあるのよ。 |
コーキス | マスター、どうすればいいんだ。こっちはずっと戦いっぱなしでヘトヘトだしクレス様の方も持ちこたえるの限界なんじゃ……。 |
ラザリス | さあ、もう終わりにしよう。 |
イクス | くっ……。 |
カノンノ・G | ラザリス。待って。 |
イクス | グラスバレー ! ?危ないぞ ! ? |
カノンノ・G | 私は大丈夫。少しだけ時間をちょうだい。 |
ラザリス | 武器も構えずに、どういうつもりだい ? |
カノンノ・G | ラザリス。あなたがやったことやろうとしていることはどれも許されることじゃない。 |
カノンノ・G | 何が何でも止めなくちゃいけない。けど……私は未来のあなたを知っている。だから、もう一度だけ考えて欲しいの。 |
カノンノ・G | このスケッチブックの絵を見て。 |
ラザリス | …………それは。 |
カノンノ・G | 新しいルミナシアとジルディアだよ。これは頭の中じゃなくて実際にこの目で見た風景なんだ。 |
カノンノ・G | ラザリス。私たちと一緒に生きようよ。きっとこの世界でも私たちならできる。この絵が、その証明だよ。 |
ラザリス | …………ああ、その絵をみてわかったよ。君たちは本当に未来から来たようだね。そしてそれが……ジルディアか……。 |
ラザリス | そんなものを……僕に見せるな ! ! |
カノンノ・G | ――キャッ ! ! |
コーキス | グラスバレー様 ! ! |
ラザリス | 僕は変わるつもりはない。ジルディアの民を元の姿にすることも、この世界をジルディアにすることも僕は決してやめるつもりはない。 |
ラザリス | 世界を元に戻したいなら僕を力づくで排除すればいい ! ! |
ラザリス | けど僕も邪魔をするなら見過ごしはしない。鏡士の前に―― |
ラザリス | お前を殺してやる ! ! |
カノンノ・G | ―― ! ! |
ミリーナ | グラスバレー ! ! |
イクス | ――させるかっ ! ! |
ラザリス | ……うっ、ぐふっ…………。 |
一同 | …………っ。 |
イクス | ……グラスバレー、大丈夫か ? |
カノンノ・G | ……あ、ありがとう。イクスが助けてくれなかったら私、ラザリスに…………。 |
イクス | ごめんな……。せっかく、グラスバレーがラザリスを説得しようとしていたのに。 |
コーキス | ……これで、ジルディアのキバによる侵食も魔物にされたヒトたちも元に戻るんだよな。 |
P・カノンノ | ……その筈だよ。だってラザリスはもう…………。 |
イクス | ……ああ、俺が殺した。勝手にこの世界に連れてこられたラザリスをこんな風にするなんて、最悪だと思う。 |
イクス | でも、ラザリスがジルティアを想っているように俺は……この嘘と幻の世界を守ると決めた。俺たちにとっては嘘でも幻でもないから。 |
イクス | だから、ラザリスの好きにはさせられない。 |
ミリーナ | ……イクス。 |
カノンノ・G | うん。イクスたちの考えはちゃんとわかってるよ。それに、こうなることも……覚悟していたから。 |
カノンノ・G | けど……もしラザリスが私たちと同じ具現化時間軸だったら一緒にこの世界で生きていくこともできたのかな……。 |
ラザリス | ……僕、は……生き、る……んだ……。 |
カノンノ・G | ラザリス ! ? |
イクス | そんな ! 確実に仕留めたはずだぞ ! ? |
ミリーナ | ――見て ! 傷が……ラザリスの傷がふさがっていってるわ ! |
ラザリス | ……僕は僕として生きたいだけなのにみんな僕のことを……ジルディアの存在を認めない。 |
ラザリス | ルミナシアの民も……ティル・ナ・ノーグの鏡士もそれにあいつも……僕を生み出したのは誰だ。他でもない、お前たち自身だろ。 |
ラザリス | なのに……どうして消し去ろうとする ! !自由に生きていくことを認めないならなぜ生み出したっ ! ! |
イクス | ――くっ ! ! |
コーキス | マスター ! ! |
ラザリス | もうお前たちの身勝手に振り回されるのはごめんだ !僕は僕として、本来のジルディアとして生きるんだ ! ! |
カノンノ・E | ――ここからじゃ間に合わない ! ! |
ミリーナ | イクス ! 逃げて ! ! |
ラザリス | これで終わり―― |
ラザリス | うっ、うああああっっ ! ! ! ! ! |
イクス | ……な、なんだ ! ? |
ラザリス | やめろっ ! ! 僕に話しかけるな ! !お前の声なんて聞きたくもない ! ! |
P・カノンノ | ……誰かと、話している ? |
ラザリス | ……僕の、僕の邪魔をするなっ ! ! ! ! |
カーリャ | な、何なんですか ! ? |
ラザリス | っ…………はぁ、はぁ。 |
ラザリス | もう、たくさんだ……。 |
カノンノ・G | ラザリス ! 待って ! |
カノンノ・E | 深追いは危険だよ、グラスバレー ! |
P・カノンノ | 世界樹とは反対方向に向かったししばらくは大丈夫なはずだよ。私たちも一度休もう。 |
カノンノ・G | ……うん、そうだね。ありがとう、二人とも。 |
イクス | ……ひとまず、助かった、のか……。 |
ミリーナ | イクス ! よかった…… !大丈夫 ? どこか怪我はしていない ? |
イクス | ああ、俺は大丈夫だよ。 |
ミリーナ | よかった……。本当に、イクスが無事でよかった。 |
P・カノンノ | それにしても……あのラザリスの再生能力は何だったんだろう。 |
カノンノ・E | それにさっき……誰かと話しているみたいだったよね。 |
ミリーナ | …………ラザリス…… ! |
カーリャ | ミリーナさま……落ち着いて下さいね……。 |
ミリーナ | ――大丈夫よ、カーリャ。私はいつだって落ち着いているわ。 |
P・カノンノ | あれ……そういえばグラスバレーは ? |
カノンノ・G | …………。 |
カノンノ・E | グラスバレー ? 大丈夫 ?ぼーっとして、疲れちゃった ? |
カノンノ・G | …………。 |
カノンノ・G | …………声が、聞こえ……る。 |
カーリャ | ちょっ ! 倒れちゃいましたよ !グラスバレーさま、大丈夫なんですか ! ? |
カノンノ・E | グラスバレー ! しっかりして ! |
コーキス | 次から次へとどうなってるんだ ! ? |
ミリーナ | ――ひとまずアジトに戻ってグラスバレーを医療班に見てもらいましょう。 |
キャラクター | 7話【ラザリスを追って】 |
P・カノンノ | グラスバレーの容態はどうですか ? |
リフィル | 命に別状はないそうよ。医療班の処置も完了して今は眠っているわ。 |
カノンノ・E | よかった……。一時はどうなるかと思ったよ。 |
ジェイド | ですが我々は依然として危機的状況にあります。ラザリスはこの世界をジルディアにしようとしているのですから。 |
イクス | 世界樹にある【生命の場】を利用することでティル・ナ・ノーグ全土をジルディアにすると言っていましたけど……。 |
コーキス | そもそも【生命の場】ってなんなんだよ。ティル・ナ・ノーグを一気にジルディア化できるぐらいすごい力を持った特別な場所なのか ? |
リフィル | 私も興味があるわ。世界樹の中に、何か特殊な力場が存在している……ということかしら ? |
テネブラエ | ――おや、面白そうな話をしていますね。ですが、それが大樹カーラーンの話ならない、と断言しますよ。 |
テネブラエ | 大樹カーラーンは、マナを生み、世界に循環し命を生み出す存在です。我々が元いた世界の生命線ではありますが、その内側に特殊な力場などはありません。 |
テネブラエ | あの樹は元々ラタトスク様のいた場所ですから私も隅から隅までよく知っています。 |
テネブラエ | そして、リフィルさんも過去とはいえ同じ世界の住人ですから―― |
リフィル | ――了解よ。つまりこういうことね。 |
リフィル | この世界の大樹カーラーンには【生命の場】という何かは存在していなかった。 |
リフィル | けれど帝国がラザリスを具現化したことでレイヤード処理されて、大樹カーラーンは【生命の場】を獲得するに至った。 |
ジェイド | この場合、アセリア領の世界樹もカーラーンと同じと断定して差し支えないでしょう。 |
ジェイド | アセリア領とテセアラ領の世界樹で観測された謎のアニマ反応が、レイヤード処理であったと考えれば説明がつきます。 |
ジェイド | であれば、アセリア領の世界樹にも【生命の場】なる物は存在していなかったと推測できます。 |
ミリーナ | そういえば、イアハートはストレンジャー。パスカとグラスバレーはアークからの来訪者。 |
ミリーナ | カノンノたちの世界から鏡士が具現化した存在はラザリスが初めてなのね……。 |
リフィル | ……話が逸れたわね。パスカ、イアハート。あなたたちが【生命の場】について知っているなら聞かせてくれるかしら。 |
P・カノンノ | はい。えっと……すごくざっくり説明すると【生命の場】は世界樹の中にあるマナを生み出す部分なの。 |
P・カノンノ | その世界における全ての源なんだ。 |
カノンノ・E | 世界の核、世界樹にとっての心臓であり世界樹のドクメント……世界の設計図がある場所でもあるんだよ。 |
コーキス | よくわからないけどなんかすっげぇ大切な場所ってことか ? |
P・カノンノ | うん。たとえ世界樹の【情報】があっても【生命の場】がないと世界は芽吹かない。 |
P・カノンノ | ジルディアも【生命の場】がなかったから芽吹くことができなかったの。それぐらい【生命の場】は大切な場所なんだ。 |
カノンノ・E | ラザリスはジルディアのキバでその【生命の場】を侵食つまり世界の設計図を書き換えることでこの世界をジルディア化しようとしているんだよ。 |
リフィル | いわば、世界樹を用いたレイヤード処理ね。 |
ジェイド | ……この世界では【生命の場】の機能もエンコードにより変わっている可能性はありますがざっくり言うとそんなところでしょう。 |
コーキス | ……世界樹を用いたレイヤード処理か。レイヤード処理が世界の上書きでエンコードが、具現化の時の情報の書き換えで……。 |
コーキス | うーん……。なんとなくわかった気がする……かな ? |
ジェイド | ラザリスが【生命の場】に辿り着くとティル・ナ・ノーグはジルディア化されてしまいます。 |
ジェイド | 我々はなんとしてでもラザリスを世界樹から遠ざける必要がある。 |
ミリーナ | ……となると戦いは避けられませんね。ただ、私たちに勝ち目があるかどうか……。 |
コーキス | あいつ、致命傷でも回復しちまうしずっと戦っていても全然疲れないし……。 |
カノンノ・E | 自然治癒能力って言うのかな ? |
カノンノ・E | 元の世界ではそんな能力までは持っていなかった筈なのにってグラスバレーが言っていたけど……。 |
リフィル | その自然治癒能力が備わった理由はおおよその検討がついているわ。 |
P・カノンノ | そうなんですか ! ? |
リフィル | 恐らく、テセアラ領にあるエクスフィアが原因よ。かつてファントムが集めていたし帝国が集めているという情報も入っているわ。 |
リフィル | ラザリスは帝国で具現化された。エクスフィアを手にする機会はあったでしょうね。 |
リフィル | ラザリスの超回復や疲れ知らずなところはエクスフィアやクルシスの輝石の特性によく似ているわ。 |
P・カノンノ | エクスフィアって……ロイドやリフィル先生が装備している宝石みたいなアクセサリーですよね ? |
コーキス | エクスフィアって装備するとあんな風に強くなるもんなのか ! ?確かにミトス様とかはすげぇ強いけど……。 |
リフィル | ……色々なパターンがあるから一概には言えないわね。でもラザリスなら、エクスフィアの力を最大限まで引き出せるんじゃないかしら。 |
カノンノ・E | どういうことですか ? |
リフィル | エクスフィアは無機生命体なのよ。 |
カノンノ・E | 無機生命体ってことはただの宝石のようだけど生きているんだよね。……待って、そうか……だから。 |
カーリャ | えっと……どういうことですか ? |
カノンノ・E | ジルディアは無機生命体により構成された世界なの。つまりラザリスもエクスフィアと同じように無機生命体に限りなく近い存在といえるんだ。 |
リフィル | ええ。無機生命体同士ならシンクロ率が高いからエクスフィアの能力を極限まで引き出すことができる。 |
リフィル | 更に、ラザリスの世界ジルディアが優秀なエネルギー資源の宝庫であることも関係しているわね。 |
ミリーナ | エネルギー資源の宝庫 ? |
カノンノ・E | うん。ルミナシアでは星晶というエネルギー物質のおかげで文明が発達したんだけど、この星晶はジルディアを封印するために作られたものだったの。 |
リフィル | ラザリスにも星晶のエネルギーが帯びている。エクスフィアとのエネルギーの相互作用が発生しエクスフィアの能力が通常レベルの状態を上回った。 |
リフィル | だから自然治癒能力……エクスフィアの上位版であるクルシスの輝石に匹敵する力を得ることができた。――そういうことじゃないかしら。 |
ジェイド | ……帝国がラザリスを具現化し、実験対象としたのもこの世界にはない新たなエネルギー物質の確保を見込んでいた……のかもしれません。 |
ジェイド | ですが、ジルディア環境が持つ人体への有害性と諸々のメリットを天秤にかけた結果ラザリスを処分すると結論づけたのでしょう。 |
二人 | …………。 |
ミリーナ | 二人とも……大丈夫 ? |
カノンノ・E | うん……ただ、それを思うとなんだかラザリスが……。 |
P・カノンノ | 私、ラザリスの言っていたこと……この言葉が、頭から離れないんだ―― |
ラザリス | ルミナシアの民も……ティル・ナ・ノーグの鏡士もそれにあいつも……僕を生み出したのは誰だ。他でもない、お前たち自身だろ。 |
ラザリス | なのに……どうして消し去ろうとする ! !自由に生きていくことを認めないならなぜ生み出したっ ! ! |
ジェイド | …………。 |
P・カノンノ | ……ラザリスがやっていることもやろうとしていることも許すことはできない。絶対に止めなくちゃって思う。 |
P・カノンノ | けど、ラザリスの苦しみはわかるんだ……。私も世界のどこにも居場所がなかったことがあるから。 |
P・カノンノ | あの時、私の大切なあの人……ディセンダーが側にいてくれなかったらきっと私はまた世界を滅ぼしていたと思う。 |
P・カノンノ | 私にとってのディセンダーのような人にラザリスも出会うことができていたらって……ちょっと考えちゃった……。 |
リフィル | ……あなたたちに追い打ちをかけるようで気が引けるけど――言っておくことがあるわ。 |
二人 | はい。 |
リフィル | 現状では致命傷を与えた上でエクスフィアを破壊することでしかラザリスを止める手段はない。 |
リフィル | そして、その状態でエクスフィアを破壊された装備者は死ぬことになるわ。 |
二人 | ………… ! |
ジェイド | ソーマ使いにスピルリンクをしてもらいラザリスのスピリア、心核を摘出または破壊することで完全無力化するという作戦もありますが。 |
カーリャ | それは……あんまりじゃ……。 |
イクス | ……シングたちだって嫌がるに決まってる。誇り高くて優しいソーマ使いのみんなにそんなことはして欲しくないです。少なくとも俺は。 |
ミリーナ | ……ううん。ジェイドさんは、私たちに決心させるためにわざと―― |
ジェイド | ――いいえ、一応具申しておいたまでですよ。他にもいくつか策は思い浮かびましたがこれ以上はやめておきましょう。 |
イクス | (そうか……。そうだよな。例え具現化された人であってもこの世界に仇なす存在なら、倒すんだ) |
イクス | (自分勝手でも、恨まれても、憎まれても……俺はこの世界の嘘を真実に変えるって決めたんだから) |
イクス | ――俺が、エクスフィアを破壊します。 |
ミリーナ | ……待ってイクス。私がやる。この世界は―― |
イクス | いや。これは俺がやる。もう、決めたんだ。カノンノたちもいいか ? |
P・カノンノ | ……うん。 |
カノンノ・E | きっとグラスバレーも納得してくれると思う。 |
カーリャ | そういえばグラスバレーさまの具合はどうでしょう。もう目を覚ましたんですかね。 |
アニー | 皆さん ! 少しよろしいですか ! ? |
ミリーナ | アニー。どうかしたの ? |
アニー | グラスバレーさんの様子がおかしいんです。ちょっとこちらに来てください。 |
二人 | グラスバレーが ! ? |
キャラクター | 8話【ラザリスを追って】 |
カノンノ・E | グラスバレーの意識が戻らない ! ? |
アニー | はい。そのうえ、どれだけ検査しても原因がわからないんです。バイタル上は何も問題ないんですが……。 |
P・カノンノ | ……グラスバレー。どうしちゃったんだろう……。 |
ジュード | グラスバレーが倒れた時に何か変わったことはなかった ?どんな些細なことでもいいから教えて欲しいんだ。 |
カノンノ・E | ……グラスバレーが倒れた時。 |
カノンノ・G | …………声が、聞こえ……る。 |
カノンノ・E | そういえば……何か声が聞こえるみたいなことを言ってたよね ? |
P・カノンノ | うん。そうしたら急に気を失ってしまったの。まるで心地よい眠りにつくように。 |
アニー | 声、ですか……。もしグラスバレーさんが言っていたことが本当なら、いったい誰の声だったのか……。 |
イクス | あれ……そういえば、グラスバレーが倒れる直前にラザリスも誰かの声が聞こえているみたいだったよな。 |
カノンノ・E | うん、そうだったよね。グラスバレーとは違ってその声をすごく嫌がっていたみたいだったけど。 |
ジュード | ほぼ時を同じくして同じ場所で二人は謎の声を聞いた……となると、もしかしたら声の主は同じ人物だったのかもしれないね。 |
ルカ | うん。そして二人が声に特別な感情を抱いていたなら僕たちで言うところの前世……自分の生まれに関わるような人物だったのかも。 |
P・カノンノ | 自分の生まれに関わる……。 |
クレア | 報告です。ラザリスが動き出しました。現在はテセアラ領の世界樹に向かっているようです。 |
イクス | テセアラ領の世界樹に ! ? |
クレア | ユリウスさんの分析ではアセリア領で発生したラザリスと何者かの戦闘の結果利用する世界樹を変えたのでは……ということでした。 |
リフィル | クレスたちが行商人から得た情報によるとその戦闘発生地点付近でマントを纏った金髪の男性が目撃されたのだったわね。 |
イクス | ……ラザリスを食い止めたのってもしかして……。 |
ジェイド | おかげで少し時間の猶予ができました。油断ならない状況に変わりはありませんがね。 |
コーキス | マスター ! マークから魔鏡通信だ ! ! |
マーク | 連絡を受けてたラザリスってのと遭遇した。 |
マーク | 俺たち救世軍はテセアラ領で、ラザリスとそのお仲間の魔物を食い止めてるところだ。お前たちも手を貸してくれ。 |
イクス | わかった。俺たちもすぐ向かう。 |
マーク | はぁ……アルタミラにあるカジノの視察に来たらこんなことに巻き込まれるとは……。どうして俺の周りには問題児が集まってくるかねぇ。 |
カノンノ・E | それはマークがみんなのお兄ちゃん的な立ち位置だからじゃないかな……たぶん。 |
マーク | フォローありがとな、かつての妹よ。 |
ジェイド | おや、みんなの頼れるマークお兄ちゃんでもラザリスは口説き落とせませんでしたか。 |
ジェイド | ゼロスやレイヴンとナンパの腕を磨き直した方がよさそうですねぇ。 |
マーク | ご期待に添えず悪かったな。つーか、『みんなの』の中にあんたも入ってるとしたらとんでもない弟持ちだな、俺は……。 |
マーク | まぁ、一応ラザリスと話はしてみたんだが少なくとも、俺じゃダメそうだ。 |
マーク | どんな僅かな場所であろうと居場所のある奴がラザリスに何を言ったところで説得力はない。そういうことだと思うぜ。 |
二人 | …………。 |
フィリップの声 | マーク ! 援護を頼むよ ! !左が手薄になってきた ! |
マーク | おっと。ちょいと長話をし過ぎたな。そろそろご主人様の世話に戻らせてもらうぜ。じゃあ、増援よろしく頼むぞ。 |
リフィル | ロイドたちが一足先に向かったそうよ。救世軍側にもラザリスに関する情報は共有済みだから合流し次第、連携して、行動を開始してちょうだい。 |
イクス | わかりました。それじゃあすぐに出発を―― |
二人 | …………。 |
ミリーナ | 二人とも、どこか具合でも悪いの ? |
二人 | …………声、が……。 |
アニー | パスカさん ! ? イアハートさん ! ?そんな……二人とも気を失ってる ! |
コーキス | グラスバレー様につづいて今度はパスカ様とイアハート様まで ! ? |
イクス | ……何が起こってるんだ。 |
リフィル | 心配なのはわかるけどカノンノたちのことは医療班に任せてあなたたちはテセアラ領に向かってくれるかしら。 |
イクス | ――はい、わかりました。 |
ミリーナ | カノンノたちをよろしくお願いします ! |
キャラクター | 9話【根源の世界樹】 |
カノンノ・G | …………ここは、どこだろう。 |
カノンノ・G | ううん。この場所を私は知ってる気がする……。 |
カノンノ・G | そう……意識のドクメントにダイブした時の感覚によく似てる……。ということは―― |
P・カノンノ | えっ、そこにいるのって……。 |
カノンノ・E | グラスバレー ! |
カノンノ・G | パスカにイアハート !二人ともどうしてここに ! ? |
P・カノンノ | 急に、声が聞こえてきたの。とっても優しくてあったかくて綺麗な声。 |
カノンノ・E | その声を聞いていたら眠くなって……気がついたら、ここにいたんだ。 |
カノンノ・G | 私と同じだ ! |
P・カノンノ | ねぇ、グラスバレー。ここはいったいどこなの ? |
? ? ? | ここは私の意識の中よ。 |
カノンノ・E | あっ、この声……私が聞いた声だ ! |
P・カノンノ | 私もだよ ! いったい誰なの ! ? |
カノンノ・G | 待って……やっぱり私、この声を知ってる。あなたはカノンノ、根源の世界樹だよね ? |
オリジナル・カノンノ | ええ。久しぶりね、グラスバレー。パスカとイアハートも私のことは知っているかしら ? |
P・カノンノ | ええ。私とイアハートも、あなたのことはグラスバレーから聞いています。 |
カノンノ・G | それにしても驚いた。まさかまた会うことになるなんて。 |
オリジナル・カノンノ | ラザリスが具現化された時、この世界の世界樹に私の存在がレイヤード処理されたの。 |
オリジナル・カノンノ | 私の世界に関わるものがティル・ナ・ノーグにたくさん具現化された。……だから私も、引き寄せられたのかもしれないわね。 |
P・カノンノ | ……あなたはどこにいるの ?声しか聞こえないけれど……。 |
オリジナル・カノンノ | 私は根源の世界樹として具現化されたの。 |
P・カノンノ | それじゃあ、あなたはティル・ナ・ノーグに存在はしているけど実体化はしてない……ってこと ? |
オリジナル・カノンノ | ええ。根源の世界樹という「機能」としてこの世界の世界樹に存在しているわ。ただ力の大部分はエンコードによって失われてしまったけれどね。 |
P・カノンノ | 自分の意識の中に私たちを連れて来られるだけでも十分すごいと思うけど……。 |
オリジナル・カノンノ | 誰が相手でもできるわけじゃないわ。あなたたちが私の因子を持つ存在だからよ。 |
オリジナル・カノンノ | 特にグラスバレーとは一度会ったことがあるから共鳴しやすかった。だからあなただけ先に意識をこっちに呼び込んだの。 |
オリジナル・カノンノ | パスカとイアハートも眠っていたグラスバレーを経由し因子を共鳴させることで、この場に来てもらったわ。 |
カノンノ・E | ちょっと難しいけど私たちが家族だからできたってこと ? |
オリジナル・カノンノ | ええ。少し強引だったのは謝るわ。でも、どうしても話したいことがあったの。 |
カノンノ・G | もしかしてラザリスのこと ? |
オリジナル・カノンノ | ……ええ。 |
P・カノンノ | そうか……あの時ラザリスに話しかけていたのは、あなただったのね。 |
オリジナル・カノンノ | パスカ、テレジア、グラニデルミナシア、それからジルディア。全て私が生み出した世界。 |
オリジナル・カノンノ | それは世界が一つだけでは寂しいから。皆で助け合い、未来を創造していって欲しいから。 |
カノンノ・G | うん。覚えてるよ。あなたはあの時も同じことを言っていた。 |
オリジナル・カノンノ | けれど……ラザリスは差し伸ばされた手を振り払い皆に危害を加えてしまっている。今では私の声すら届かない。 |
オリジナル・カノンノ | ティル・ナ・ノーグは私が生んだ世界ではないけれど多くの人たちが懸命に未来を創造している私たちの世界と変わらない1つの世界。 |
オリジナル・カノンノ | そのティル・ナ・ノーグをジルディアにする……世界の理を力ずくで変え、創造を根絶するのはとても悲しいことよ……。 |
三人 | …………うん。 |
オリジナル・カノンノ | ……けどね……どんなことがあってもラザリスも私が生み出した大切な世界、大切な家族。それだけは変わらないの。 |
三人 | …………。 |
オリジナル・カノンノ | 私が何を願い、何を思って創造をしたのかラザリスにちゃんと伝えてあげたい。このまま消えていくなんて……それも悲しすぎるわ。 |
P・カノンノ | そうだよね。世界の素晴らしい部分をラザリスは知らずに消えていくことになるんだもんね。 |
オリジナル・カノンノ | だから……あなたたちにお願いがあるの。 |
カノンノ・E | お願い ? |
オリジナル・カノンノ | 私が、ラザリスを引き受ける。あなたたちは、その手助けをしてくれないかしら。 |
カノンノ・E | えっ……ラ、ラザリスを引き受ける ! ?そんなことができるの ! ? |
オリジナル・カノンノ | 実体のない機能であり、器である私ならできるわ。もちろんとても危険なことよ。だから無理にとは言わない。 |
P・カノンノ | この光は何 ! ? |
カノンノ・G | みんなの声が遠くなっていってる !因子の共鳴が弱まって意識のダイブから浮上していってるんだと思う ! |
オリジナル・カノンノ | もし手伝ってくれるなら世界樹の前にラザリスを連れてきて。 |
オリジナル・カノンノ | 私だけはラザリスを―― |
三人 | オリジナル・カノンノ ! ! |
アニー | きゃっ ! び、びっくりした……あれ ?三人とも、目を覚ましたんですね ! |
カノンノ・E | アニー……そっか、ここは医務室……なんだね。 |
P・カノンノ | こっちに戻ってきたんだ。 |
アニー | ……戻ってきた ? 何の話ですか ? |
カノンノ・G | それよりアニー ! イクスたちはどこ ! ?ラザリスはどこにいるかわかる ! ? |
アニー | ちょ、ちょっと落ち着いてください。イクスさんたちはテセアラ領に向かいました。ラザリスを追っているところだと思います。 |
カノンノ・G | …………急がないと。 |
キャラクター | 10話【根源の世界樹】 |
コーキス | くっ……すごい魔物の数だな。ちっとも先に進めないぞ。 |
イクス | ラザリスを倒せば魔物やジルディアのキバの侵食も元に戻るとわかってるけど、これじゃあ近づけないな。 |
ミリーナ | フィルやマークたち救世軍がいるとはいえあっちはずっと戦いっぱなしよ。いつ防衛線を突破されてもおかしくないわ。 |
ジーニアス | しかも……この中にはラザリスのせいで魔物の姿にされちゃった人たちもいるかもしれないんだよね……。 |
ロイド | ……ジーニアス。つらいなら無理しなくていい。元の世界での……マーブルさんことを考えたらつらいのは俺にもわかる。 |
プレセア | はい、無理しないで下さい。心の乱れは隙を生じさせ身の危険に……繋がります……。 |
ジーニアス | ……うん、ありがとう。プレセア、ロイド。でも大丈夫。戦わなきゃいけない時があるってことはボクだってわかってるから。 |
ジーニアス | で、でも……プ、プ、プレ……セア……がボクのこと……心配……してくれるなんて…… ! |
コーキス | ジーニアス様 ! 後ろからくるぞ ! |
ジーニアス | ――うわっ ! ! あ、危なかった……。 |
ロイド | おいおい、心が乱れてるぞ、ジーニアス。 |
ジーニアス | アハハ……。うん、気を付ける。もう大丈夫だよ。 |
コレット | みんな、もう救世軍は限界みたい。ラザリスは世界樹にどんどん近づいていってるよ。 |
イクス | くそ……どうすれば。 |
カノンノ・G | みんな ! ! |
イクス | グラスバレー ! ?それにパスカとイアハートも ! |
ミリーナ | よかった ! 三人とも目を覚ましたのね !具合は大丈夫なの ? |
カノンノ・G | うん、もう平気だよ。それより聞いて欲しいことがあるの。 |
イクス | 聞いてほしいこと ? |
イクス | オリジナル・カノンノがラザリスを引き受けるだって ! ? |
カノンノ・G | もし協力してくれるならラザリスを世界樹の前に連れてきて欲しいってオリジナル・カノンノに頼まれたんだ。 |
ミリーナ | 世界樹の前って……すぐそこには【生命の場】があるってことよね。 |
P・カノンノ | うん。だから一歩間違えばラザリスにティル・ナ・ノーグをジルディア化されてしまうかもしれない。 |
カノンノ・E | 彼女も無理強いはしないって言ってた。けど、ラザリスは自分の生み出した大切な世界だからできれば自分に引き受けさせて欲しいって。 |
イクス | ……わかった。どのみち今の状況でラザリスを迎え撃つのは難しい。魔物を気にしながら戦える余裕はないだろうからな。 |
イクス | それに、俺もできるならオリジナル・カノンノの気持ちを尊重したい。 |
カノンノ・G | ……イクス。 |
イクス | ラザリスはティル・ナ・ノーグに具現化されたけどこの世界で生きていくのは、ラザリスにとっても俺たちにとっても、決して幸せとは言えない。 |
イクス | とはいえ、元の世界に帰すこともできない。ならせめてオリジナル・カノンノの元に送り届けたい。だから、俺も協力したいんだ。 |
ミリーナ | 私も同じ気持ちよ。イクスや帝国のフィルを傷つけたことは許せないけど、この世界の歪みの一因は私にもある。だから――イクスの気持ちはわかるの。 |
カーリャ | それじゃあテセアラ領の世界樹――大樹カーラーンに向かうんですね。 |
イクス | ああ。そこでラザリスを待ち受けよう。 |
ジーニアス | それならこの森を抜けるといいんじゃないかな。 |
ロイド | 俺たちが道を切り開く。こっちなら魔物の数も少ないみたいだからな。 |
プレセア | ラザリスより先に……世界樹にたどり着く確率、85%……。ジーニアスの示す道が……正解です。 |
P・カノンノ | ありがとう、みんな。 |
カノンノ・G | こっちの世界のロイドたちも頼もしいな。ルミナシアでもそうだったけど困った時、いつも助けてくれるんだもん。 |
カノンノ・E | 別の世界でもこんなに助けてもらうことになるなんてね。ありがとう、みんな。 |
ロイド | 気にすんなって。そっちの世界のことはよくわからないけど、困った時には助け合うのは当たり前のことだろ ? |
P・カノンノ | ……世界とか世界群とかそういう枠組みを超えて私たちは助け合っていけるんだよね。 |
カノンノ・G | うん、私もそう思うな ! |
ロイド | それじゃあ行くぞ !みんな、俺たちの後ろに続いてくれ ! |
三人 | うん ! ! |
キャラクター | 11話【VS ラザリス】 |
カノンノ・E | はぁはぁ……ロイドたちのおかげで……無事、到着できたよ。 |
カノンノ・E | これがテセアラ領の世界樹……。大樹カーラーン……。 |
カノンノ・G | ラザリスは―― |
ラザリス | また君たちか。 |
イクス | ギリギリ間に合ったみたいだな。 |
ラザリス | こんな世界のためによくそこまで必死になれるね。信じられないよ。 |
ラザリス | 僕を殺しに来たのかい ? |
カノンノ・G | いいえ、違うわ。 |
カノンノ・G | ラザリス。あなたをオリジナル・カノンノの元に送還する。 |
ラザリス | ……なに ? |
? ? ? | 私はもう少しで準備が整うわ。 |
ラザリス | くっ……こ、この声……。 |
三人 | オリジナル・カノンノ ! |
ラザリス | お前……僕に何をするつもりだ ! ? |
オリジナル・カノンノ | ラザリス、あなたの持つ因子を共鳴させることで世界樹がマナを吸収するのと同じように私もあなたのアニマを取り込むことができるのよ。 |
ラザリス | ……なんだと。 |
オリジナル・カノンノ | パスカ、イアハート、グラスバレー。あなたたち三人の魔鏡術でラザリスを倒し……エクスフィアを破壊して。 |
三人 | うん ! ! |
オリジナル・カノンノ | ラザリス ! あなたは私と共にこの世界で生きるのよ ! |
ラザリス | こんな滅びるはずだった欺瞞に満ちた世界をお前の横で指をくわえるながら傍観し続ける。そんな未来を僕に歩めと言うんだね。 |
ラザリス | ふざけるな !そうなるぐらいなら滅びた方がマシだ ! |
カノンノ・G | ラザリス。こんな状態のあなたにこのまま消えていって欲しくないんだよ。 |
ラザリス | 滑稽だな。僕を消し去ろうとしているのは君たち自身じゃないか。 |
ラザリス | 人間が住めないからなんだって言うんだ。そんなの知ったことじゃない。それがこの僕、ジルディアなんだ。 |
ラザリス | それなのに……この世界の鏡士も、ルミナシアの民もそして根源の世界樹さえも僕が僕として生きることを否定するわけだ。 |
オリジナル・カノンノ | ラザリス。そうじゃないわ。私が世界を生み出したのは一人じゃ寂しいから。助け合って、未来を創造していって欲しいからなのよ。 |
ラザリス | 僕は一人でいい。僕は寂しくなんかない。ジルディアは完成された世界なんだ。他の世界なんて僕を利用しようとする邪魔な存在でしかない。 |
ラザリス | 第一、ジルディアをこんな世界として創造したのは根源の世界樹、お前自身じゃないか。 |
ラザリス | 聞かせてくれよ……僕を否定するならどうしてジルディアをこんな世界として生み出した ! ? |
ラザリス | 欠陥だらけの世界を生み出した諸悪の根源それはお前自身のくせに ! !お前が僕を否定するなら、僕だってお前を否定する ! ! |
ラザリス | 僕はこの世界をジルディアにする !そして、お前たち全員を消し去ってやるんだ !僕が僕として生きるために ! ! |
カノンノ・G | みんな、来るよ ! ! 構えて ! |
二人 | うん ! |
キャラクター | #N/A |
イクス | ラザリスが消えて……宝石になった…… ? |
ミリーナ | コレットから聞いたことがあるわ。エクスフィアに寄生された人は体が滅びても、エクスフィアに意識が残るって。 |
イクス | つまり宝石――エクスフィアをこのままにしておくとまたラザリスが復活するのか……。根源の世界樹は―― |
オリジナル・カノンノ | こちらも準備が整ったわ。みんな、お願い。 |
カノンノ・G | ありがとう、オリジナル・カノンノ。 |
カノンノ・E | 私たちがちゃんとラザリスを届けるから。 |
P・カノンノ | みんな、行くよ。 |
三人 | ――魔鏡技 ! ! |
ラザリス | くっ……エクスフィア、が……。もう、ここまで、か……。 |
アーチェ | みんな、聞いて ! 魔物にされた村の人たちとジルディアのキバに侵食された土地どっちも元に戻りはじめたよ ! |
リフィル | テセアラ領もよ。村の人や救世軍の兵士たちも盛り上がっているわ。 |
イクス | すごいな……通信越しでも歓声が聞こえてくる。 |
ラザリス | ……っ。 |
P・カノンノ | あっ……ラザリスが……。 |
ラザリス | 僕は、消えるのか……。この世界でも……生きることは叶わなかったな……。 |
オリジナル・カノンノ | いいえラザリス、あなたはこれから新しく生きるのよ。私と一緒に、この世界を見守りましょう。 |
ラザリス | お前と……。 |
ラザリス | なぁ、根源の世界樹……教えてくれ。 |
ラザリス | どうして、僕は生まれてきたんだ ? |
ラザリス | 一人で成長もできなかった……僕は……ジルディアは……生まれては……いけなかった ? |
オリジナル・カノンノ | いいえ。それだけは違うわ。それは、あなたのせいじゃない。きっと私が不完全だったから……。 |
ラザリス | ……不完全、か。 |
オリジナル・カノンノ | だからあなたがどれだけ人間を、私を、創造を憎もうと私はあなたを許すわ。 |
オリジナル・カノンノ | 生まれてきてくれてありがとう、ラザリス。 |
ラザリス | …………。 |
ラザリス | 本当に……人間……いや、創造というものは……。 |
ラザリス | 罪深い、よ…………。 |
カノンノ・G | ……ラザリス。 |
P・カノンノ | あっ……ラザリスのアニマが世界樹に……。 |
カノンノ・E | 吸収されていったね。 |
カノンノ・G | うん。すごく、綺麗だった……。 |
イクス | な……なんだ ! ? この地震は ! ? |
ミリーナ | ……揺れがすごく大きいわ。まるで大地が変形しているよう。 |
カノンノ・G | 何が起こっているの ! ? |
ジェイド | 皆さん、無事ですか ? |
イクス | はい。こっちはなんとか……。けど……この揺れは何ですか ? |
ミリーナ | ……おさまってきた……みたい。 |
ジェイド | ……大変興味深いことが起きました。どうやら、新たに島が具現化されたようです。 |
カノンノ・G | 新たに島が ! ? |
ジェイド | 現在、リタとパスカルが解析を進めていますが……なるほど……この島は、ジルディアのキバにより侵食された土地と極めて近い性質のようですね。 |
ジェイド | ……いえ、訂正します。確定には実地調査は必要ですがこの島には人体に対する悪影響はないようです。 |
ジェイド | これは―― |
オリジナル・カノンノ | 新しいジルディアよ。ラザリスのアニマが世界樹に宿ったことでこの世界で誕生したのね。 |
カノンノ・E | 新しいジルディア……まるでラザリスが生まれ変わったみたいだね。 |
オリジナル・カノンノ | 私はラザリスの受け入れに集中するためこれからしばらく眠りにつくわ。どうか、ジルディアを見守っていって。 |
カノンノ・G | うん…… ! ラザリスのことをお願い。 |
P・カノンノ | 二人とも、行っちゃったね……。 |
三人 | …………。 |
カノンノ・G | ううん。新しいジルディアがあるよ。 |
カノンノ・G | 美しく輝く大地。ラザリスの素晴らしいところが詰まった新しいジルディアの島が……。 |
P・カノンノ | ……グラスバレー。 |
カノンノ・E | 二人が目を覚ますまでしばらく時間がかかるんだよね。 |
カノンノ・G | うん。だから目を覚ました時の未来をラザリスが好きになってくれるように私たちで頑張っていこうよ。 |
イクス | 俺は……この世界を守るためにラザリスを消滅させようとした。 |
イクス | そんな鏡士のいる世界だけど、ラザリスは――ジルティアは、形を変えて生まれてくれた。 |
イクス | この島は……守らなきゃいけない。ラザリスのためだけじゃなく俺たち自身やこの世界のためにも―― |
カノンノ・E | うん。それでラザリスにもわかってもらおう。オリジナル・カノンノが伝えたかったこと創造の素晴らしさを ! |
カノンノ・G | だから……。 |
カノンノ・G | それまでお休み。また会おうね、ラザリス。 |