キャラクター | 1話【眠れる真実1 実験】 |
クリード | ――準備は整った。 |
実験体 | てめぇ ! ここから出しやがれ !いったい何をするつもりだ ! ? |
クリード | 下等な人間如きには理解できまい。さっそく実験を開始するとしよう。 |
実験体 | 実験って……ん ? お、おい……なんだよ……この蟲みてぇな羽の音は……。てめぇ、ふざけんな ! 出せ ! ここから出してくれ ! |
クリード | さあ。食事の時間だ。 |
実験体 | や、やめろ ! ! こっちに来るな ! !頼む ! この黒い蟲どもを取って――うっ……うわぁああああ ! ! |
クリード | くははッ ! いいぞ、実験は成功だ !あとは理論値と実験値の誤差を観測し―― |
グラスティン | ヒャハハッ。こいつは驚いたなぁ。まだお前がそんな技術を隠し持っていたとはね。 |
クリード | ……邪魔だ。出ていけ。 |
グラスティン | そんな言い方はないだろう。ここは俺のラボそしてお前は俺が個人的に契約した助手―― |
グラスティン | ――おっと、危ない危ない。ヒヒヒ。腕がもげるところだったぞ ?雇い主に対してあんまりだろう。 |
クリード | 貴様に結晶人の技術情報を提供してやったのはこの世界のエネルギーに関する技術提供及び実験設備が必要だったからだ。 |
クリード | だがもう必要なものはすべて揃った。あとは計画を実行するのみ。 |
クリード | 貴様にも、この世界にも用はない。 |
グラスティン | 契約は終了か。目の前で男を喰らっている黒くて可愛い鏡精たちに、どんな技術が施されているか気にはなるが……まぁ我慢してやるよ。 |
グラスティン | 例の素材ももらったことだしな。ヒヒヒヒヒ……。 |
クリード | 貴様は耳がついていないのか ?同じことを二度も言わせるな。 |
グラスティン | わかったわかった。出ていってやるよぉ。隠しているつもりみたいだがお前も急ぐ必要があるようだからな……ヒャハハッ ! ! |
クリード | ……劣悪種め。本来なら捻り潰しているところだが今はその時間すら惜しい。 |
実験体 | ……う……うっ……が……。 |
クリード | 理論値と実験値の誤差はゼロ。くははッ、やはり私の理論は完璧だ。このエネルギーを利用すれば私は――ぐっ。 |
クリード | くそっ……忌々しい。だが、あともう少しだ。すぐさま計画を実行に移すとしよう。 |
クリード | ……待っていてくれ、フローラ。 |
リチア | ―― ! |
ヒスイ | お、おい。どうかしたのか ? |
リチア | い、いえ……急に寒気を感じただけです。何ともありませんので心配いりませんわ。 |
ヒスイ | ならいいんだけどよ―― |
シング | お待たせ。村で聞き込みをしてきたよ。特に変わったことはないみたいだった。まさに平和そのものだよ。 |
ベリル | なんだよ。セルランド領のこの村の周辺で謎の反応が観測されたっていうから、何か大変なことが起こってるのかもって、すっごく心配したのに。 |
コハク | 何もなかったみたいでよかったけどその謎の反応は調べた方がいいよね。 |
クンツァイト | 肯定。反応はこの先にある森の中。引き続き調査継続を推奨する。 |
イクス | カロル調査室によると精霊片スポットに似ているけどいつもとは異なる反応だったらしい。何が起こるかわからないから気を引き締めて進もう。 |
キャラクター | 2話【眠れる真実4 光り輝く湖】 |
クンツァイト | 座標地点に到達。反応が観測されたポイントはここだ。 |
ヒスイ | 本当にここであってんのか ?なにもありゃしねぇじゃねぇか。 |
シング | そんなことないよ !ほら、見て ! キレイな泉がある ! |
リチア | ここは……癒しの郷グースにあった泉に似て―― |
シング | わぁ ! この光、フルエーレじゃないか !まさかこの世界にも具現化されてたなんてね ! |
コハク | ……キレイだね。まるで光の雫が降り注いでるみたい。 |
シング | ああ……。それにフルエーレの光に包まれてるコハクも、とってもキレイだ。 |
コハク | もうっ……シングったら。 |
ベリル | やめやめッ ! 二人きりの世界禁止 !なんだかフルエーレより眩しくて目がチカチカしてくるよ ! |
イクス | ちょっと待ってくれ。そのフルエーレっていうのは何だ ?このキレイな光のことなのか ? |
リチア | はい。泉を好み、人のスピリアに反応して輝くわたくしたちの世界の珍しい精霊です。 |
イクス | えっ……この光たちが精霊 ! ? |
クンツァイト | 一部否定。確かに自分たちにとってフルエーレは精霊である。だが、今解析した結果この世界では微精霊として存在している。 |
ヒスイ | ハァ ? なんだそれ、まどろっこしいな。俺たちの世界では精霊だったけどこの世界では微精霊ってことなのかよ ? |
クンツァイト | 肯定。フルエーレはこの世界に封印されている精霊ほどの力を持たない。故に、具現化の際エンコードにより存在を微精霊と定義された模様。 |
リチア | そう考えればカロル調査室がフルエーレの反応を精霊片スポットとして観測したことも説明がつきます。 |
イクス | 確かにそうだな。精霊片は微精霊と近い特徴を持つしこれだけのフルエーレが集まれば精霊片スポットと同様の反応を示しても矛盾はない。 |
ヒスイ | ともかく異常はナシってことだな。いや、むしろこんなにフルエーレがいんだしこのあたりは平和ってことで間違いないんだろうよ。 |
シング | それじゃあ調査終了だね !せっかくだしここでピクニックにしようよ !オレ、もうお腹ペコペコでさ。 |
コハク | わたしとリチアで一緒に料理を作ってきたんだ。今回はわたしたちの自信作なんだよ。ね、リチア ? |
リチア | ……えっ ? す、すみません。フルエーレに夢中で……。 |
ベリル | リチアがぼーっとするなんて珍しいね。 |
コハク | こんなにキレイな景色なんだし無理もないよ。リチアもフルエーレが好きなんだよね ? |
リチア | ……はい。ですがわたくし以上にフローラ姉さまがフルエーレを好きでした。 |
シング | リチアのお姉さんのフローラさんが ? |
リチア | 結晶界にもフルエーレの泉がありわたくしたちもよくピクニックをしたのですよ。 |
リチア | わたくしとフローラ姉さま……そして、クリード。泉のもと三人で食事を取り、理想世界についてから他愛のない話まで多くのことを語り合ったものです。 |
イクス | (クリード……。鏡映点リストにあった緋色の髪の男。クリード・グラファイトのことか……。確かシングたちとは敵対していたはずだけど……) |
リチア | わたくしとクリードが結晶界を白化させてしまう前……二千年前の話ですが……。 |
シング | ……オレ、よく覚えているんだ。映像のフローラさんが「この世でたったふたりの家族すら守れなかった」って言っていたことを。 |
シング | たったふたりの家族……。それって妹であるリチアとクリードのことだったんだね……。 |
リチア | ……はい。 |
ベリル | それじゃあリチアにとっても二人は……。 |
ヒスイ | なあ、家族ならここにもいるだろ。 |
コハク | そうだよ。ずっとわたしたちは一緒に暮らしていたんだから。 |
リチア | ……ヒスイ、コハク。ありがとう、ふたりも立派な家族ですわ。 |
シング | それじゃあピクニックの準備再開だ ! |
リチア | はい。わたくしも手伝います。 |
クンツァイト | リチアさま。お疲れのようでしたら自分がリチアさまの分まで準備いたします。 |
リチア | いいえ。長く人のスピリアを器として生きてきましたから、こうした当たり前のことを自分でできるのがとても嬉しいのですよ。 |
クンツァイト | 疲労すらも喜びになる……。なるほど、承知いたしました。 |
ヒスイ | けど、無理だけはするなよ。 |
リチア | はい。心配してくれてありがとう、ヒスイ。 |
? ? ? | ――きゃあああっ ! ! |
イクス | なんだ ! ? この悲鳴は ! ? |
ベリル | 村の方からだよね ! ? |
ヒスイ | くそっ。いったいなんなんだ。 |
シング | 何かあったのかもしれない。みんな、一度村に戻ろう。 |
キャラクター | 3話【眠れる真実5 白化】 |
ヒスイ | お、おい……この荒れた村がさっき俺たちが訪ねた村だっていうのかよ ! ? |
コハク | 村の人たちは無事なの ! ? |
イクス | ウソだろ……なんだこの白い石像は ! ?こんなものさっきはなかったぞ。それに……村人たちにそっくりだ。 |
リチア | これは……白化です ! |
イクス | 白化 ? |
リチア | わたくしたちの世界ではスピリアが喪失、または精神が寿命を迎えるとこのように白化してしまうのです。 |
クンツァイト | 解析したところ、この者たちはスピリア喪失による白化現象と完全に一致する。 |
コハク | つまり、この村の人たち全員スピリア……この世界で言うと心核を喪失してしまったってこと ! ? |
ベリル | でも、どうしてさ ! ?ゼロムもあたりにはいないよ ! |
イクス | ……俺は一度アジトに連絡をする。何か手がかりが掴めるかもしれないからな。みんな、ちょっと待っていてくれ。 |
シング | オレたちは白化した村の人にスピルリンクして調べてみる ? |
リチア | 原因がわからない以上うかつに行動するのは危険です。ここは一度イクスを待ちましょう。 |
ヒスイ | くそッ……どういうことだよッ。いったい何が起こってるんだッ。 |
ヒスイ | リチア、お前の身体は大丈夫なのか ! ?どこも悪くはないんだよな ! ? |
リチア | ヒスイ、落ち着いてください。ここ最近様子がおかしいです。いったいどうしたというのですか。 |
ヒスイ | 今俺のことなんざどうでもいいんだよ。それよりお前のことが―― |
クンツァイト | ヒスイ。リチアさまから離れろ。今のお前は『恐れ』に囚われている。 |
ヒスイ | あぁ ! ? いきなり何いってんだ。俺が何にビビってるってんだよ。 |
クンツァイト | 一度手にした幸福を失うかもしれない。その恐怖にお前は怯えているのだ。 |
ヒスイ | 俺はそんなこと…………くそっ。 |
リチア | ヒスイ、よく聞いてください。わたくしはどこも悪くはありません。この世界に来てから白化進行は現時点も完全停止しています。 |
クンツァイト | 安心しろ。リチアさまの発言は本当だ。リチアさまのバイタルに何も異常はない。 |
リチア | 約束します。何かあれば正直に伝えると。 |
ヒスイ | わかった……。すまねぇな、取り乱しちまって。 |
リチア | いえ。わたくしの身体を案じてくれているがゆえだとわかっています。心配してくれてありがとう、ヒスイ。 |
ヒスイ | ああ……けど、心配なのは身体だけじゃねぇよ。リチア、お前は俺たちと当たり前の日々を過ごすことに何の迷いも、戸惑いも、抱かなくていいんだからな ? |
リチア | !ありがとうヒスイ。あなたに隠し事はできませんね。 |
イクス | みんな、待たせた。カロル調査室によると白化はこの村だけじゃなくセルランド領のあちこちで発生している。 |
イクス | そして白化の発生場所に鏡映点リストにあったクリードらしき人物が目撃されているとのことだ。 |
一同 | クリード ! ? |
シング | そんな……まさかクリードも具現化されていたなんて……。 |
ヒスイ | まだ本人だって決まったわけじゃねぇがそいつが黒幕ってことは間違いねぇな。おいイクス、その男は今どこにいるかわかるか ! ? |
イクス | 現在は隣の村に向かっているらしい。 |
リチア | わたくしたちも向かいましょう。 |
キャラクター | 4話【眠れる真実6 白化の原因】 |
シング | 見えた ! あそこの村だ !みんな、急ぐぞ ! |
ヒスイ | お、おい……なんだありゃ !村の中で黒い霧みてぇなのがうごめいてるぞ ! ? |
イクス | ウソだろ……あれは死鏡精か ! ? |
村人 | やめろっ ! こっちに来るな ! !うわああああっ ! ! |
村人 | …………。 |
シング | くそっ……間に合わなかった……。他の人たちも全員白化してる……。あの黒い妖精に全員スピリアを吸い取られたみたいだ。 |
イクス | 白化の原因は死鏡精……。いや、でも死鏡精に心核を吸収する力はないはず……。 |
クンツァイト | データ照合。スピリアの吸収方法を元に考察。さきほどの死鏡精にはガルデニア開発の技術が施されている可能性が高い。 |
ヒスイ | ……となると、もう犯人は決まりだな。 |
イクス | みんな、村の奥に誰かいるぞ ! |
クリード | ……まだエネルギーは足りぬか。先を急がねば。 |
シング | 待て、クリード ! ! |
クリード | 貴様らもこの世界に来ていたのか ! ?そこをどけ、貴様らの相手をしている時間はない。 |
リチア | 何を企んでいるのか知りませんが人のスピリアを利用しようとするあなたを見過ごすことはできません。 |
クリード | ほう、これがフローラのためだと言っても私を邪魔するというのだな ? |
リチア | フローラ姉さま ! ?それはどういう意味ですか ! ? |
クリード | 私が開発した機器でこの世界をサーチしたがやはりフローラは観測されなかった。 |
クリード | フローラのいない世界に私がいる道理はない。 |
リチア | まさかクリード ! あなたは―― |
クリード | そう、帰るのだ。フローラのいる私たちの世界に。 |
イクス | 元の世界に帰る ! ?そんなことは不可能な筈だ ! |
クリード | 脆弱な原界人ならばそうかもしれんが、私は結晶界一の思念術士だ。不可能を可能にしてみせる !リチア、お前もフローラのために協力しろ ! |
リチア | たとえもし仮に、あなたの言っていることが本当だとしても、このような人々のスピリアを弄ぶ手段をフローラ姉さまが喜ぶはずがありません。 |
リチア | クリード、これは最終警告です。すぐさま奪い取ったエネルギーを解き放ち白化した人々にスピリアを返しなさい。 |
シング | リチアだけじゃない !オレたちだってこんなやり方許すわけにはいかない ! |
クリード | 忌々しい…… ! そこをどけ !私の邪魔をするな ! |
キャラクター | 5話【眠れる真実6 白化の原因】 |
クリード | くッ ! おのれぇ…… ! |
ヒスイ | どうした ?今日は調子が悪いとか言い訳かます気か ? |
クリード | 戯言を……。そこをどけ……私には時間が―― |
シング | クリード。もうやめるんだ。わかるだろ、勝負はついたんだ。 |
クリード | 勝負はついただと ?まだ私は生きているぞ。 |
ヒスイ | そうかよ。なら望み通り、ぶっ殺して―― |
シング | ヒスイ、待ってくれ。 |
ヒスイ | おい ! まさか情けをかける気かよ ! ?こいつが何をしたのかわかってるのか ! ? |
シング | ああ。クリードのスピリアは歪んでしまっている。けどフローラさんへの想いは本物だ。だから、オレはその想いに未来を賭けたいんだ。 |
リチア | ……シング。 |
クリード | フローラへの想いか……。ああ、この想いは間違いなく本物だ。だから―― |
コハク | シング、逃げて ! ! |
シング | ―― ! |
クリード | この身が朽ち果てようと諦めるわけにはいかない !私は必ずこの世界から脱出しフローラと再会を果たすのだ ! ! |
クリード | くたばれ、シング・メテオライト ! ! |
リチア | させません ! |
クリード | 腕を上げたな、リチア。だが、まだまだお前は甘い。この私の思念術には耐えられまい。 |
リチア | うっ……くっ……。 |
クリード | ほう、これも凌いだか。だがこの高度な思念術を行使し続ければ貴様も反動により白化するやもしれ――ッ |
リチア | ! ? |
クリード | ぐっ………。くそっ……ここまで蝕まれて、いた、か……。 |
ベリル | な、なに ! ? いきなり倒れたよ ! ? |
クンツァイト | バイタル反応を検知。意識を失っただけの模様。 |
ヒスイ | まだ生きてやがるとはしぶとい野郎だぜ。シング、無事か ? |
シング | あ、うん。リチアのおかげで助かったよ。 |
ヒスイ | ったく、ヒヤヒヤさせやがって。けどさっきのでわかっただろ。こいつがどういう奴かってな。 |
シング | ……クリード。 |
ベリル | リチアも大丈夫 ? |
リチア | そんな……まさか……。 |
コハク | リチア、どうかしたの ? |
リチア | フローラ姉さま……そこにいるのはフローラ姉さまなのですか ! ? |
ヒスイ | お、おい ! 何言ってるんだよ !こいつはクリードだろ。 |
クンツァイト | リチアさま、お下がりください。クリードが目覚めるかもしれません。 |
ベリル | そうだよ。こいつなんか放っておいて今のうちにどうするか決めちゃわないと。目覚めたらまた殺し合いだよ。 |
リチア | そのときは……このスピリアに懸けてわたくしが責任を取ります。ですからお願いです、少し時間をください。 |
リチア | 先程、クリードのスピリアからフローラ姉さまらしき気配を感じたのです。 |
キャラクター | 6話【眠れる真実7 リチアの姉】 |
コハク | わたしはクリードに回復術をかけるからベリルは泉の水で火傷の箇所を冷やしてあげて。 |
ベリル | りょーかい。本当は水をぶっかけてやりたいとこだけどね。 |
ヒスイ | はぁ……はぁ……。てめぇ、冗談でもやるんじゃねぇぞ。目覚めちまったらどうすんだ。 |
イクス | はぁはぁ……意識を取り戻すまでの時間を伸ばすためわざわざ泉まで運んだわけだしな……。 |
シング | ふぅ……重かったよねぇ……。 |
ヒスイ | リチア、クンツァイト。クリードのバイタル解析は終わったのか ? |
クンツァイト | 完了。クリードは自身のスピリアに寄生された疑似ゼロムによりスピリアが少しづつ吸収され衰弱により意識を失ったものと判明。 |
ヒスイ | ちょっと待て。なんでこいつ自身がゼロムに寄生されてんだよ。 |
リチア | 恐らく、この世界でガルデニア技術を用いたゼロムの実験を繰り返したことが原因でしょう。 |
リチア | クリードは死鏡精にゼロムを憑依させ疑似ゼロム化させることでスピリアを吸収、エネルギーを回収していました。 |
リチア | ですがクリードが持っているゼロムストーンでも疑似ゼロムまでは完全にコントロールできなかったようです。 |
ベリル | それで死鏡精型疑似ゼロムに寄生されちゃったの?自分で創ったものにやられちゃうなんて案外ドジだったりして。 |
リチア | いえ。恐らくクリードは疑似ゼロムに寄生され、蝕まれてることも覚悟で実験を繰り返し、計画を進めたのでしょう。 |
コハク | だから急いでいたしどこか本調子じゃなさそうだったんだね……。 |
シング | ……フローラさんと再会を果たすために自分のスピリアを傷つけてでも……。 |
イクス | ……クリードにとってフローラさんはそれだけ大切な人物だったんだな。 |
リチア | はい…………クリードは思念術を扱う天才でした。ですがその才能により、まわりから、両親からも恐れられ、疎まれ、そして孤立していたのです。 |
リチア | そんなクリードに手を差し伸べたたった一人の人物、それがフローラ姉さまでした。 |
イクス | 大切な人っていうより全てになってしまっているのか……。 |
ベリル | ……なんだよ。それじゃあこいつは……。 |
リチア | 哀れな子ども。それがクリードなのでしょう。 |
ヒスイ | で、この図体のでけぇお可哀そうなクソガキの中からリチアはフローラのスピリアを感じたんだな ? |
リチア | はい。クリードが意識を失う直前にほんのわずかにですが。 |
ベリル | いったいどういうことなんだろう……。 |
リチア | フローラ姉さまはガルデニアと融合状態にありますがそのガルデニアにはクリードの疑似スピリアが使われているのです。 |
リチア | クリードの疑似スピリアが触媒となり、フローラ姉さまとクリードのスピリアが、キメラ具現化に近い形で具現化されていたのかもしれません。 |
コハク | ご、ごめん。話が難し過ぎてよくわからないんだけど……。 |
リチア | フローラ姉さまがスピリアとして具現化されクリードのスピリアの中で眠りについているかもしれないのです。 |
シング | クリードのスピリアの中に ! ? |
コハク | あれ……けどクリードのスピリアは疑似ゼロムに寄生されているんだよね。フローラさんは大丈夫なの ? |
リチア | いえ。とても危険な状態でしょう。 |
クンツァイト | クリードをこのまま放置すればフローラさまのスピリアは疑似ゼロムによってクリードのスピリアと共に喪失してしまうだろう。 |
ヒスイ | クリードが死ねばその中にいるフローラも死んじまうってわけか。 |
リチア | フローラ姉さまはわたくしたちのせいでガルデニアを封じるための人柱となりました。二千年もの間ずっと……。 |
リチア | だからわたくしは……どうしてもフローラ姉さまを助けたいのです。 |
シング | フローラさんを助け出す方法はあるんだね ? |
リチア | はい。クリードが意識を失っている今ならクリードにスピルリンクすることも可能ですから。 |
ベリル | ちょっと待って !リチア、こいつにスピルリンクするの ! ? |
リチア | 危険は承知のうえです。 |
シング | わかった。ならオレも一緒に行くよ。 |
リチア | シング…… ! よいのですか ? |
ヒスイ | 悪いがダメって言われてもついていくぜ。 |
コハク | わたしたちにとってはリチアも家族だもの。リチアのことも、その家族も、放ってはおけないよ。 |
シング | うん。オレも未来の家族の一員という意味でもリチアについて行くよ。 |
ヒスイ | 誰が未来の家族の一員だ !俺のことお義兄さんとか呼んだら承知しねぇぞ ! |
シング | 痛ってー ! 殴ることないじゃないか ! |
リチア | ふふっ……三人とも。本当にありがとうございます。 |
クンツァイト | リチアさま。自分はここに残ります。 |
ヒスイ | クンツァイト。まさかビビってんのか? |
クンツァイト | 否。理由はおおまかに三つ。この世界では現時点で一つのスピリアに同時スピルリンク可能な人数は四人までとなっているから、これが一つ。 |
イクス | ソーマ使いなら四人を超えても同時スピルリンクは可能だと思うけど……。 |
クンツァイト | 自分も問題はないと考えているが確証がない以上、危険は避けるべきだという判断だ。 |
クンツァイト | そしてもう一つ、ソーマ使い数名は万が一の際に備え、外で待機していた方がリスク分散となる。これが二つ目の理由だ。 |
ベリル | ま、まあボクたち全員がやられちゃったらアジトのみんなもスピルリンクができなくて困るだろうし、今の意見にはボクも賛成かな~。 |
クンツァイト | そして最後の理由。それはヒスイ、お前がリチアさまを託すに値する男であるからだ。 |
ヒスイ | へっ。もう三度目だもんな。ありがとよ、クンツァイト。 |
クンツァイト | リチアさま。どうかご無事で。 |
リチア | はい。クンツァイトは外のことは頼みました。もちろんベリル、そしてイクスも。 |
ベリル | う、うん。誰もツッコミを入れてくれなかったのが唯一の心残りだけど……でも、みんなのこと信じてるから。 |
イクス | こっちのことは安心してフローラさんのことに集中してくれ。 |
リチア | クリードが目覚める前にことを成し遂げねばなりません。急ぎましょう―― |
四人 | ――スピルリンク ! |
キャラクター | 7話【眠れる真実10 フローラを捜して】 |
ヒスイ | オラオラッ ! どきやがれ !このクソ疑似ゼロムども ! !こっちは急いでるんだよ ! |
コハク | それにしても凄い数の疑似ゼロム……。まさかこんなにいるなんて。 |
シング | それに、スピリアがこんな状態なのにクリードはオレたちと互角にやりあっていた。いったいどれほどの強さなんだ。 |
ヒスイ | バカ。感心してる場合かよ。リチア、フローラの居場所はこの先で間違いないんだな ? |
リチア | はい。やはりこの感覚はフローラ姉さまのスピリア……。もう少しで辿り着けるはず―― |
リチア | ! ? |
コハク | リチア。どうかしたの ? |
リチア | ……クリードが目覚めつつあります。 |
ヒスイ | くそッ。先に進むためとはいえ疑似ゼロムを倒したから回復してるってか ! ?予想よりも早いな。 |
コハク | もしわたしたちがスピルリンク中にクリードが目を覚ましたらどうなるの ? |
リチア | 最悪の場合、わたくしたちはクリードのスピルメイズで結晶化させられ永久に出ることができなくなるかもしれません。 |
ヒスイ | 運良くリンクアウトで済んでもまた殺し合い。俺らが負けるわけねぇがクリードは死ぬまで立ち上がってくるだろう。 |
ヒスイ | そうやっている間に、クリードのスピリアは疑似ゼロムに蝕まれて消失。フローラも一緒に死んじまうってわけか。 |
シング | ちょっと待ってよ。フローラさんのことを話したらクリードも協力してくれるんじゃないか ? |
リチア | いえ。それは難しいでしょう。クリードがわたくしたちの言葉を信じるとは思えません。 |
リチア | 証拠を示そうにも、彼の意識が戻ればフローラ姉さまの意識が抑圧され、外部から姉さまのスピリアを感知することは不可能となります。 |
コハク | それって……クリードが自分自身でフローラさんを認識することは不可能ってことだよね ! ? |
リチア | そういうことです。 |
シング | こんなすぐそばに大切が人がいるのに気がつけないなんて……。 |
リチア | 現在のフローラ姉さまは、シングの中にいた時のクリードと同じような封印状態にあります。ですから器自身が気がつくことはとても難しい。 |
シング | うん。オレもクリードが目覚めるまで自分の中に他人がいたなんて気付かなった。 |
リチア | はい。ですがそれでも兆しはあるものです。クリードは最高位の思念術士。その兆しを頼りに眠るスピリアを辿る力量が本来彼には備わっている。 |
リチア | ですがそのためには自分の意識を研ぎ澄ませ自分のスピリアに向けなければなりません。 |
コハク | それが、クリードにはできないのね。 |
リチア | はい。だからこそ天才であるにも関わらずガルデニアの設計ミスを犯してしまった。いえ、その理由こそが全ての元凶なのでしょう。 |
シング | ……愛を知らない、か。 |
リチア | 到着しました。この先にフローラ姉さまが―― |
? ? ? | 近づくな。 |
コハク | この声は ! ? |
? ? ? | ……近づくな。この先には行かせん。 |
ヒスイ | おいおい。どういうことだよ。まさかもう目覚めたのか。 |
リチア | いえ。これはクリードの思念体です。ですが目覚めが近づいているのは確かでしょう。 |
シング | ごめん。悪いけどオレたちは進ませてもらうよ。 |
思念クリード | やめろ……やめろっ ! !この先にあるものに近づくな ! !立ち去れ、今すぐに立ち去れ ! ! |
ヒスイ | くそッ。駄々こねやがって。邪魔するんじゃねぇ。 |
リチア | もう時間がありません。力づくで押し通るしかありません。 |
コハク | わかった。いつでもいいよ。 |
シング | みんな、いくぞ ! |
キャラクター | 8話【眠れる真実10 フローラを捜して】 |
思念クリード | ――くっ ! !貴様ら……よく、も……。 |
リチア | わたくしの思念術で一時的に動きを封じました。これでしばらくは大丈夫でしょう。 |
ヒスイ | 本当かよ。もっとボコボコにぶっ倒しといた方がいいんじゃないか ? |
リチア | なりません。思念体もスピリアの一部。深手を追わせてしまってはスピリアが傷つく恐れがありますから。 |
ヒスイ | お前、そこまで考えて……。 |
シング | あれっ……ちょっと二人とも見てよ。あそこの奥で何か光ってるのってもしかしてスピルーンじゃない ! ? |
ヒスイ | どのスピルーンも宝石みてぇにキラキラしてるな。こいつがフローラのスピルーンか ? |
リチア | いいえ。これはクリードのスピルーンです。 |
ヒスイ | なっ……クリードだと ! ? |
シング | ……他の人たちと全然変わらない。クリードもこんなにキレイなスピルーンを持っていたんだな。 |
リチア | …………ええ。 |
思念クリード | その……スピルーン、に…………。 |
四人 | ! ? |
思念クリード | そのスピルーンに……近づくなッ ! ! |
リチア | ――きゃああっ ! ! |
シング | リチア ! ! 大丈夫 ! ? |
リチア | うっ……は、はい……問題ありません。 |
ヒスイ | てめぇ、よくも―― ! ! |
コハク | お兄ちゃん ! 落ち着いて !リチアがさっき言っていたこと忘れたの ! ? |
ヒスイ | くそッ……そんなことわかってる。こいつが何を想っているか含めて全部……なッ ! ! |
リチア | 援護ありがとうございます。これでもう一度……より高度な術式で封じます ! |
思念クリード | ここ、から……立ち……去、れ…………。 |
リチア | やり、ました……。ですがわたくしの思念術が振りほどかれるとは……。 |
リチア | ……急がなくてはなりません。もういつクリードが目覚めてもおかしくありません。さっそく……目覚めの祈りをはじめます。 |
コハク | ちょっとリチア、すごい怪我してるじゃない。応急処置にしかならないけど今回復するから少しだけ待って。 |
ヒスイ | いや。回復は後だ。 |
コハク | お兄ちゃん、そこどいてよ ! |
シング | ヒスイ、どうして邪魔するんだ !リチアが無理してるのがわからないのか ! |
ヒスイ | わからないだぁ……ふざけんじゃねぇぞ !俺はな、全部わかってんだよ !援護のタイミングだけじゃねぇ―― |
ヒスイ | こいつが自分の命を犠牲にしてでもフローラを、そしてクリードも助けたいそう想ってることも、俺はわかってるんだよ ! |
二人 | …………。 |
リチア | ヒスイ、ありがとうございます。おかげでまず第一段階はクリアです。 |
コハク | な、なに ! ?この大きな花のつぼみみたいなのは ! ? |
シング | オレ、コハクのスピルメイズでこの花を見たことがある……もしかしてこの中にフローラさんがいるの ! ? |
リチア | はい。このつぼみの中でフローラ姉さまは眠りについています。 |
リチア | これからより強い祈りを捧げることでフローラ姉さまを目覚めさせます。 |
ヒスイ | あとは時間との戦いか。やれるか、リチア。 |
リチア | 必ず。 |
シング | うん。きっとリチアなら大丈夫。オレたちが疑似ゼロムから守るからとにかくリチアは祈りに集中してくれ。 |
コハク | 背中は任せてね。 |
リチア | ありがとう、みんな……!では、いきます―― |
キャラクター | 9話【VS クリード】 |
シング | リチア、あとどのくらい ! ? |
コハク | もうそろそろリンクアウトしないと危ないよ ! |
リチア | もう、少し……なのですが…… ! ! |
ヒスイ | リチア。お前に言っておくことがある。そのまま黙って聞いてろ。 |
リチア | ……ヒスイ ? |
ヒスイ | いいか、お前は幸せになっていい。幸せを感じていいんだ。 |
リチア | なっ…… ! |
ヒスイ | けどな、本当に死んじまったら承知しねぇぞ。死ぬ気の覚悟は認めるが死ぬことなんざ望んじゃいねぇ。 |
リチア | …………。 |
ヒスイ | 間違っても、具現化されてからこの世界で過ごした日々だけで、罪人の自分には十分幸せだったなんて考えるなよ。そんなのは嘘だ。 |
ヒスイ | 俺はこの世界でスピリアから湧き上がるようなお前の笑顔を、まだ見てねぇんだからな。 |
ヒスイ | 罪を償えないことが償いなんだとか適当に割り切ってフローラとクリード、そしてお前自身もこの世界でまた新たに生きやがれ ! |
リチア | ヒスイ……。 |
リチア | はい……わたくしもこの世界でみんなと…………生きたい ! |
シング | この光は ! ? |
リチア | 届いて――――フローラ姉さま ! ! |
コハク | こ、ここは……。 |
ヒスイ | スピルメイズじゃねぇ。リンクアウトさせられたのか。 |
ベリル | みんな ! 戻ってきたんだね ! |
クンツァイト | リチアさま、よくぞご無事で。フローラさまはみつかりましたか ? |
リチア | それは……。 |
クリード | フローラ……だと ?貴様ら何の話をしている……。 |
シング | クリード ! 目覚めたのか ! ? |
クリード | ああ。貴様らが私の中で好き勝手してくれたせいで……実に不快な目覚めだがな ! ! |
イクス | くっ……なんて威力だ……。村で戦ったときより強くなってる……。 |
リチア | クリード ! 待ちなさい。あなたは何も感じないのですか ! ? |
クリード | ふんッ !不愉快な貴様らへの殺意なら抑えきれないほど感じているぞ。 |
コハク | そんな……。それじゃあフローラさんは……。 |
リチア | ……失敗、でしたか。 |
シング | クリード ! 聞いてくれ !お前の中にフローラさんがいるんだ ! |
クリード | ……なに ? |
シング | 今度こそリチアがフローラさんを目覚めさせる。だからクリード、もう戦いはやめにしよう。オレたちにスピルリンクさせてくれ。 |
クリード | くははッ。これは愉快だ。真っ向勝負では勝てないと判断し何を言うかと思えばそのような戯言を―― |
シング | 嘘じゃないよ ! 信じてくれ !あんなにキレイなスピルーンを持っているのにどうしてスピリアを開いてくれないんだ ! |
クリード | それは簡単だ。お前たちは私を邪魔する憎き敵だからだ ! ! |
キャラクター | 10話【VS クリード】 |
クリード | ほぅ、まだ立ち上がるか。 |
シング | ……当たり前だろ。何度だって立ち上がって何度だってお前を止めてみせるッ ! |
クリード | なに ? |
シング | だってお前は……オレだから !スピリアを開かなかったもう一人の自分だからだ ! |
クリード | ふざけたことを―― ! ! |
コハク | シング ! 危ない ! |
リチア | させません ! |
クリード | 小賢しい。お前の思念術は全て見切っている。お前に思念術を教えたのはこの私なのだからな。 |
クリード | つまり何をしようとお前が私に勝つことは不可能だということだ、リチア。 |
リチア | ええ、そうかもしれません。ですがこれなら―― |
クリード | うっ……なんだこれは……。胸が焼けるように……。やめろ、その光を私に注ぐな ! ! |
クンツァイト | リチアさま ! お逃げください ! |
ヒスイ | クンツァイト、大丈夫だ !きっとリチアなら―― |
クリード | フローラを見捨てた裏切り者め !ここで殺してくれる―― ! ! |
リチア | ―――― ! ! |
クンツァイト | リチアさまは ! ? |
リチア | ……大丈夫。繋がりましたわ。 |
クリード | そん、な……。確かに私は貴様に向けて思念術を放った……。なのになぜ……この私が狙いを外したというのか……。 |
? ? ? | いいえ。あなたはスピリアの想いに従って行動をしたのです。 |
二人 | この声は ! ? |
クリード | そんな、まさか……。いや、二千年ぶりであろうと君の声を聞き間違えるはずがない……君は……。 |
リチア | フローラ姉さま ! ! |
フローラ | クリードに寄生していた疑似ゼロムの排除に時間がかかり覚醒まで時間がかかりました。待たせましたね、リチア、クリード。 |
クリード | やはりフローラなのか ! ?どこだ ! ? どこにいる ! ? |
フローラ | 今の私はあなたのスピリアを器としてそこに宿っています。 |
クリード | 私のスピリアに……だと……。 |
ベリル | なんだよ。本当にそんなこともわからないんだ。 |
コハク | 頭で考えるんじゃない。スピリアで感じるんだよ。 |
シング | 胸に手をあててみればきっとそこにフローラがいることもわかるさ ! |
クリード | …………胸の奥が温かい。温もりが泉のように溢れてくる……。 |
フローラ | それが、あなた自身も気付かずにずっと求め続けていたものです。 |
クリード | そう、だったのか…………。 |
リチア | ……この泉は先程までフルエーレが輝いていました。ですが今はもう……。 |
クリード | 私たちの争いにより消えてしまったのだな……。 |
リチア | ……はい。 |
クリード | つまりはこのようなエネルギーも必要なかったと……。 |
クンツァイト | 装置から多数のスピリアの反応。スピリアが持ち主のもとへ返っていく。 |
シング | クリード……お前は……。 |
クリード | だが……フルエーレは戻らんか。元の世界でインカローズに採取させたフルエーレも計画のため、あの気色の悪い男に渡してしまった……。 |
クリード | すまない、フローラ。せっかくこうしてまた穏やかに泉を眺めることができたのに……。私は、君の好きだったフルエーレを見せたかったのだ。 |
フローラ | いいえ、クリード。私は今とても幸せです。肉体は無いけれど、あなたの側に、あなたのスピリアにこうして寄り添っていられるのですから。 |
フローラ | それに、私たちだってこうしてまた再会できたのです。諦めなければ、きっといつかフルエーレを見ることもできるはずよ。 |
リチア | ええ。わたくしもそう思いますわ。 |
シング | あッ ! ? みんな、見て !あそこで光っているのって―― |
コハク | あれは……フルエーレ ! ?争いの気配が無くなったことを感じて一匹だけ現れたのかな。 |
フローラ | ああ、なんて美しいのでしょう……。二千年前に見たフルエーレと何も変わりません。 |
クリード | 本当に……こんなにも美しかったのだな……。 |
クリード | ……今の私では一匹しか現れないようだ。だがいつかたくさんのフルエーレが舞う泉を君に見せる。約束するよ、フローラ。 |
フローラ | クリード……ありがとう。 |
リチア | クリード兄さま、フローラ姉さま。その時はもちろん、わたくしもご一緒させてくださいますね ? |
クリード | フッ……そうだな。 |
リチア | こんな風に笑える日が来るなんて……。なんだかとても懐かしい気分です。 |
コハク | クリードもリチアも、穏やかな表情してるね。 |
クンツァイト | リチアさまがあんな顔をされるのを自分は久々に見た。 |
ヒスイ | なんだ、あいつ。いい顔でちゃんと笑えるんじゃねぇか。 |
ベリル | 緋色の髪の魔王が笑ってる……。ボク、夢を見てるのかな ! ? |
シング | 夢じゃないさ。あの三人は二千年ぶりに本当の再会ができたんだよ。 |