キャラクター1話【眠れる真実1 実験】
クリード――準備は整った。
実験体てめぇ ! ここから出しやがれ !いったい何をするつもりだ ! ?
クリード下等な人間如きには理解できまい。さっそく実験を開始するとしよう。
実験体実験って……ん ? お、おい……なんだよ……この蟲みてぇな羽の音は……。てめぇ、ふざけんな ! 出せ ! ここから出してくれ !
クリードさあ。食事の時間だ。
実験体や、やめろ ! ! こっちに来るな ! !頼む ! この黒い蟲どもを取って――うっ……うわぁああああ ! !
クリードくははッ ! いいぞ、実験は成功だ !あとは理論値と実験値の誤差を観測し――
グラスティンヒャハハッ。こいつは驚いたなぁ。まだお前がそんな技術を隠し持っていたとはね。
クリード……邪魔だ。出ていけ。
グラスティンそんな言い方はないだろう。ここは俺のラボそしてお前は俺が個人的に契約した助手――
グラスティン――おっと、危ない危ない。ヒヒヒ。腕がもげるところだったぞ ?雇い主に対してあんまりだろう。
クリード貴様に結晶人の技術情報を提供してやったのはこの世界のエネルギーに関する技術提供及び実験設備が必要だったからだ。
クリードだがもう必要なものはすべて揃った。あとは計画を実行するのみ。
クリード貴様にも、この世界にも用はない。
グラスティン契約は終了か。目の前で男を喰らっている黒くて可愛い鏡精たちに、どんな技術が施されているか気にはなるが……まぁ我慢してやるよ。
グラスティン例の素材ももらったことだしな。ヒヒヒヒヒ……。
クリード貴様は耳がついていないのか ?同じことを二度も言わせるな。
グラスティンわかったわかった。出ていってやるよぉ。隠しているつもりみたいだがお前も急ぐ必要があるようだからな……ヒャハハッ ! !
クリード……劣悪種め。本来なら捻り潰しているところだが今はその時間すら惜しい。
実験体……う……うっ……が……。
クリード理論値と実験値の誤差はゼロ。くははッ、やはり私の理論は完璧だ。このエネルギーを利用すれば私は――ぐっ。
クリードくそっ……忌々しい。だが、あともう少しだ。すぐさま計画を実行に移すとしよう。
クリード……待っていてくれ、フローラ。
リチア―― !
ヒスイお、おい。どうかしたのか ?
リチアい、いえ……急に寒気を感じただけです。何ともありませんので心配いりませんわ。
ヒスイならいいんだけどよ――
シングお待たせ。村で聞き込みをしてきたよ。特に変わったことはないみたいだった。まさに平和そのものだよ。
ベリルなんだよ。セルランド領のこの村の周辺で謎の反応が観測されたっていうから、何か大変なことが起こってるのかもって、すっごく心配したのに。
コハク何もなかったみたいでよかったけどその謎の反応は調べた方がいいよね。
クンツァイト肯定。反応はこの先にある森の中。引き続き調査継続を推奨する。
イクスカロル調査室によると精霊片スポットに似ているけどいつもとは異なる反応だったらしい。何が起こるかわからないから気を引き締めて進もう。

キャラクター2話【眠れる真実4 光り輝く湖】
クンツァイト座標地点に到達。反応が観測されたポイントはここだ。
ヒスイ本当にここであってんのか ?なにもありゃしねぇじゃねぇか。
シングそんなことないよ !ほら、見て ! キレイな泉がある !
リチアここは……癒しの郷グースにあった泉に似て――
シングわぁ ! この光、フルエーレじゃないか !まさかこの世界にも具現化されてたなんてね !
コハク……キレイだね。まるで光の雫が降り注いでるみたい。
シングああ……。それにフルエーレの光に包まれてるコハクも、とってもキレイだ。
コハクもうっ……シングったら。
ベリルやめやめッ ! 二人きりの世界禁止 !なんだかフルエーレより眩しくて目がチカチカしてくるよ !
イクスちょっと待ってくれ。そのフルエーレっていうのは何だ ?このキレイな光のことなのか ?
リチアはい。泉を好み、人のスピリアに反応して輝くわたくしたちの世界の珍しい精霊です。
イクスえっ……この光たちが精霊 ! ?
クンツァイト一部否定。確かに自分たちにとってフルエーレは精霊である。だが、今解析した結果この世界では微精霊として存在している。
ヒスイハァ ? なんだそれ、まどろっこしいな。俺たちの世界では精霊だったけどこの世界では微精霊ってことなのかよ ?
クンツァイト肯定。フルエーレはこの世界に封印されている精霊ほどの力を持たない。故に、具現化の際エンコードにより存在を微精霊と定義された模様。
リチアそう考えればカロル調査室がフルエーレの反応を精霊片スポットとして観測したことも説明がつきます。
イクス確かにそうだな。精霊片は微精霊と近い特徴を持つしこれだけのフルエーレが集まれば精霊片スポットと同様の反応を示しても矛盾はない。
ヒスイともかく異常はナシってことだな。いや、むしろこんなにフルエーレがいんだしこのあたりは平和ってことで間違いないんだろうよ。
シングそれじゃあ調査終了だね !せっかくだしここでピクニックにしようよ !オレ、もうお腹ペコペコでさ。
コハクわたしとリチアで一緒に料理を作ってきたんだ。今回はわたしたちの自信作なんだよ。ね、リチア ?
リチア……えっ ? す、すみません。フルエーレに夢中で……。
ベリルリチアがぼーっとするなんて珍しいね。
コハクこんなにキレイな景色なんだし無理もないよ。リチアもフルエーレが好きなんだよね ?
リチア……はい。ですがわたくし以上にフローラ姉さまがフルエーレを好きでした。
シングリチアのお姉さんのフローラさんが ?
リチア結晶界にもフルエーレの泉がありわたくしたちもよくピクニックをしたのですよ。
リチアわたくしとフローラ姉さま……そして、クリード。泉のもと三人で食事を取り、理想世界についてから他愛のない話まで多くのことを語り合ったものです。
イクス(クリード……。鏡映点リストにあった緋色の髪の男。クリード・グラファイトのことか……。確かシングたちとは敵対していたはずだけど……)
リチアわたくしとクリードが結晶界を白化させてしまう前……二千年前の話ですが……。
シング……オレ、よく覚えているんだ。映像のフローラさんが「この世でたったふたりの家族すら守れなかった」って言っていたことを。
シングたったふたりの家族……。それって妹であるリチアとクリードのことだったんだね……。
リチア……はい。
ベリルそれじゃあリチアにとっても二人は……。
ヒスイなあ、家族ならここにもいるだろ。
コハクそうだよ。ずっとわたしたちは一緒に暮らしていたんだから。
リチア……ヒスイ、コハク。ありがとう、ふたりも立派な家族ですわ。
シングそれじゃあピクニックの準備再開だ !
リチアはい。わたくしも手伝います。
クンツァイトリチアさま。お疲れのようでしたら自分がリチアさまの分まで準備いたします。
リチアいいえ。長く人のスピリアを器として生きてきましたから、こうした当たり前のことを自分でできるのがとても嬉しいのですよ。
クンツァイト疲労すらも喜びになる……。なるほど、承知いたしました。
ヒスイけど、無理だけはするなよ。
リチアはい。心配してくれてありがとう、ヒスイ。
? ? ?――きゃあああっ ! !
イクスなんだ ! ? この悲鳴は ! ?
ベリル村の方からだよね ! ?
ヒスイくそっ。いったいなんなんだ。
シング何かあったのかもしれない。みんな、一度村に戻ろう。

キャラクター3話【眠れる真実5 白化】
ヒスイお、おい……この荒れた村がさっき俺たちが訪ねた村だっていうのかよ ! ?
コハク村の人たちは無事なの ! ?
イクスウソだろ……なんだこの白い石像は ! ?こんなものさっきはなかったぞ。それに……村人たちにそっくりだ。
リチアこれは……白化です !
イクス白化 ?
リチアわたくしたちの世界ではスピリアが喪失、または精神が寿命を迎えるとこのように白化してしまうのです。
クンツァイト解析したところ、この者たちはスピリア喪失による白化現象と完全に一致する。
コハクつまり、この村の人たち全員スピリア……この世界で言うと心核を喪失してしまったってこと ! ?
ベリルでも、どうしてさ ! ?ゼロムもあたりにはいないよ !
イクス……俺は一度アジトに連絡をする。何か手がかりが掴めるかもしれないからな。みんな、ちょっと待っていてくれ。
シングオレたちは白化した村の人にスピルリンクして調べてみる ?
リチア原因がわからない以上うかつに行動するのは危険です。ここは一度イクスを待ちましょう。
ヒスイくそッ……どういうことだよッ。いったい何が起こってるんだッ。
ヒスイリチア、お前の身体は大丈夫なのか ! ?どこも悪くはないんだよな ! ?
リチアヒスイ、落ち着いてください。ここ最近様子がおかしいです。いったいどうしたというのですか。
ヒスイ今俺のことなんざどうでもいいんだよ。それよりお前のことが――
クンツァイトヒスイ。リチアさまから離れろ。今のお前は『恐れ』に囚われている。
ヒスイあぁ ! ? いきなり何いってんだ。俺が何にビビってるってんだよ。
クンツァイト一度手にした幸福を失うかもしれない。その恐怖にお前は怯えているのだ。
ヒスイ俺はそんなこと…………くそっ。
リチアヒスイ、よく聞いてください。わたくしはどこも悪くはありません。この世界に来てから白化進行は現時点も完全停止しています。
クンツァイト安心しろ。リチアさまの発言は本当だ。リチアさまのバイタルに何も異常はない。
リチア約束します。何かあれば正直に伝えると。
ヒスイわかった……。すまねぇな、取り乱しちまって。
リチアいえ。わたくしの身体を案じてくれているがゆえだとわかっています。心配してくれてありがとう、ヒスイ。
ヒスイああ……けど、心配なのは身体だけじゃねぇよ。リチア、お前は俺たちと当たり前の日々を過ごすことに何の迷いも、戸惑いも、抱かなくていいんだからな ?
リチア!ありがとうヒスイ。あなたに隠し事はできませんね。
イクスみんな、待たせた。カロル調査室によると白化はこの村だけじゃなくセルランド領のあちこちで発生している。
イクスそして白化の発生場所に鏡映点リストにあったクリードらしき人物が目撃されているとのことだ。
一同クリード ! ?
シングそんな……まさかクリードも具現化されていたなんて……。
ヒスイまだ本人だって決まったわけじゃねぇがそいつが黒幕ってことは間違いねぇな。おいイクス、その男は今どこにいるかわかるか ! ?
イクス現在は隣の村に向かっているらしい。
リチアわたくしたちも向かいましょう。

キャラクター4話【眠れる真実6 白化の原因】
シング見えた ! あそこの村だ !みんな、急ぐぞ !
ヒスイお、おい……なんだありゃ !村の中で黒い霧みてぇなのがうごめいてるぞ ! ?
イクスウソだろ……あれは死鏡精か ! ?
村人やめろっ ! こっちに来るな ! !うわああああっ ! !
村人…………。
シングくそっ……間に合わなかった……。他の人たちも全員白化してる……。あの黒い妖精に全員スピリアを吸い取られたみたいだ。
イクス白化の原因は死鏡精……。いや、でも死鏡精に心核を吸収する力はないはず……。
クンツァイトデータ照合。スピリアの吸収方法を元に考察。さきほどの死鏡精にはガルデニア開発の技術が施されている可能性が高い。
ヒスイ……となると、もう犯人は決まりだな。
イクスみんな、村の奥に誰かいるぞ !
クリード……まだエネルギーは足りぬか。先を急がねば。
シング待て、クリード ! !
クリード貴様らもこの世界に来ていたのか ! ?そこをどけ、貴様らの相手をしている時間はない。
リチア何を企んでいるのか知りませんが人のスピリアを利用しようとするあなたを見過ごすことはできません。
クリードほう、これがフローラのためだと言っても私を邪魔するというのだな ?
リチアフローラ姉さま ! ?それはどういう意味ですか ! ?
クリード私が開発した機器でこの世界をサーチしたがやはりフローラは観測されなかった。
クリードフローラのいない世界に私がいる道理はない。
リチアまさかクリード ! あなたは――
クリードそう、帰るのだ。フローラのいる私たちの世界に。
イクス元の世界に帰る ! ?そんなことは不可能な筈だ !
クリード脆弱な原界人ならばそうかもしれんが、私は結晶界一の思念術士だ。不可能を可能にしてみせる !リチア、お前もフローラのために協力しろ !
リチアたとえもし仮に、あなたの言っていることが本当だとしても、このような人々のスピリアを弄ぶ手段をフローラ姉さまが喜ぶはずがありません。
リチアクリード、これは最終警告です。すぐさま奪い取ったエネルギーを解き放ち白化した人々にスピリアを返しなさい。
シングリチアだけじゃない !オレたちだってこんなやり方許すわけにはいかない !
クリード忌々しい…… ! そこをどけ !私の邪魔をするな !

キャラクター5話【眠れる真実6 白化の原因】
クリードくッ ! おのれぇ…… !
ヒスイどうした ?今日は調子が悪いとか言い訳かます気か ?
クリード戯言を……。そこをどけ……私には時間が――
シングクリード。もうやめるんだ。わかるだろ、勝負はついたんだ。
クリード勝負はついただと ?まだ私は生きているぞ。
ヒスイそうかよ。なら望み通り、ぶっ殺して――
シングヒスイ、待ってくれ。
ヒスイおい ! まさか情けをかける気かよ ! ?こいつが何をしたのかわかってるのか ! ?
シングああ。クリードのスピリアは歪んでしまっている。けどフローラさんへの想いは本物だ。だから、オレはその想いに未来を賭けたいんだ。
リチア……シング。
クリードフローラへの想いか……。ああ、この想いは間違いなく本物だ。だから――
コハクシング、逃げて ! !
シング―― !
クリードこの身が朽ち果てようと諦めるわけにはいかない !私は必ずこの世界から脱出しフローラと再会を果たすのだ ! !
クリードくたばれ、シング・メテオライト ! !
リチアさせません !
クリード腕を上げたな、リチア。だが、まだまだお前は甘い。この私の思念術には耐えられまい。
リチアうっ……くっ……。
クリードほう、これも凌いだか。だがこの高度な思念術を行使し続ければ貴様も反動により白化するやもしれ――ッ
リチア! ?
クリードぐっ………。くそっ……ここまで蝕まれて、いた、か……。
ベリルな、なに ! ? いきなり倒れたよ ! ?
クンツァイトバイタル反応を検知。意識を失っただけの模様。
ヒスイまだ生きてやがるとはしぶとい野郎だぜ。シング、無事か ?
シングあ、うん。リチアのおかげで助かったよ。
ヒスイったく、ヒヤヒヤさせやがって。けどさっきのでわかっただろ。こいつがどういう奴かってな。
シング……クリード。
ベリルリチアも大丈夫 ?
リチアそんな……まさか……。
コハクリチア、どうかしたの ?
リチアフローラ姉さま……そこにいるのはフローラ姉さまなのですか ! ?
ヒスイお、おい ! 何言ってるんだよ !こいつはクリードだろ。
クンツァイトリチアさま、お下がりください。クリードが目覚めるかもしれません。
ベリルそうだよ。こいつなんか放っておいて今のうちにどうするか決めちゃわないと。目覚めたらまた殺し合いだよ。
リチアそのときは……このスピリアに懸けてわたくしが責任を取ります。ですからお願いです、少し時間をください。
リチア先程、クリードのスピリアからフローラ姉さまらしき気配を感じたのです。

キャラクター6話【眠れる真実7 リチアの姉】
コハクわたしはクリードに回復術をかけるからベリルは泉の水で火傷の箇所を冷やしてあげて。
ベリルりょーかい。本当は水をぶっかけてやりたいとこだけどね。
ヒスイはぁ……はぁ……。てめぇ、冗談でもやるんじゃねぇぞ。目覚めちまったらどうすんだ。
イクスはぁはぁ……意識を取り戻すまでの時間を伸ばすためわざわざ泉まで運んだわけだしな……。
シングふぅ……重かったよねぇ……。
ヒスイリチア、クンツァイト。クリードのバイタル解析は終わったのか ?
クンツァイト完了。クリードは自身のスピリアに寄生された疑似ゼロムによりスピリアが少しづつ吸収され衰弱により意識を失ったものと判明。
ヒスイちょっと待て。なんでこいつ自身がゼロムに寄生されてんだよ。
リチア恐らく、この世界でガルデニア技術を用いたゼロムの実験を繰り返したことが原因でしょう。
リチアクリードは死鏡精にゼロムを憑依させ疑似ゼロム化させることでスピリアを吸収、エネルギーを回収していました。
リチアですがクリードが持っているゼロムストーンでも疑似ゼロムまでは完全にコントロールできなかったようです。
ベリルそれで死鏡精型疑似ゼロムに寄生されちゃったの?自分で創ったものにやられちゃうなんて案外ドジだったりして。
リチアいえ。恐らくクリードは疑似ゼロムに寄生され、蝕まれてることも覚悟で実験を繰り返し、計画を進めたのでしょう。
コハクだから急いでいたしどこか本調子じゃなさそうだったんだね……。
シング……フローラさんと再会を果たすために自分のスピリアを傷つけてでも……。
イクス……クリードにとってフローラさんはそれだけ大切な人物だったんだな。
リチアはい…………クリードは思念術を扱う天才でした。ですがその才能により、まわりから、両親からも恐れられ、疎まれ、そして孤立していたのです。
リチアそんなクリードに手を差し伸べたたった一人の人物、それがフローラ姉さまでした。
イクス大切な人っていうより全てになってしまっているのか……。
ベリル……なんだよ。それじゃあこいつは……。
リチア哀れな子ども。それがクリードなのでしょう。
ヒスイで、この図体のでけぇお可哀そうなクソガキの中からリチアはフローラのスピリアを感じたんだな ?
リチアはい。クリードが意識を失う直前にほんのわずかにですが。
ベリルいったいどういうことなんだろう……。
リチアフローラ姉さまはガルデニアと融合状態にありますがそのガルデニアにはクリードの疑似スピリアが使われているのです。
リチアクリードの疑似スピリアが触媒となり、フローラ姉さまとクリードのスピリアが、キメラ具現化に近い形で具現化されていたのかもしれません。
コハクご、ごめん。話が難し過ぎてよくわからないんだけど……。
リチアフローラ姉さまがスピリアとして具現化されクリードのスピリアの中で眠りについているかもしれないのです。
シングクリードのスピリアの中に ! ?
コハクあれ……けどクリードのスピリアは疑似ゼロムに寄生されているんだよね。フローラさんは大丈夫なの ?
リチアいえ。とても危険な状態でしょう。
クンツァイトクリードをこのまま放置すればフローラさまのスピリアは疑似ゼロムによってクリードのスピリアと共に喪失してしまうだろう。
ヒスイクリードが死ねばその中にいるフローラも死んじまうってわけか。
リチアフローラ姉さまはわたくしたちのせいでガルデニアを封じるための人柱となりました。二千年もの間ずっと……。
リチアだからわたくしは……どうしてもフローラ姉さまを助けたいのです。
シングフローラさんを助け出す方法はあるんだね ?
リチアはい。クリードが意識を失っている今ならクリードにスピルリンクすることも可能ですから。
ベリルちょっと待って !リチア、こいつにスピルリンクするの ! ?
リチア危険は承知のうえです。
シングわかった。ならオレも一緒に行くよ。
リチアシング…… ! よいのですか ?
ヒスイ悪いがダメって言われてもついていくぜ。
コハクわたしたちにとってはリチアも家族だもの。リチアのことも、その家族も、放ってはおけないよ。
シングうん。オレも未来の家族の一員という意味でもリチアについて行くよ。
ヒスイ誰が未来の家族の一員だ !俺のことお義兄さんとか呼んだら承知しねぇぞ !
シング痛ってー ! 殴ることないじゃないか !
リチアふふっ……三人とも。本当にありがとうございます。
クンツァイトリチアさま。自分はここに残ります。
ヒスイクンツァイト。まさかビビってんのか?
クンツァイト否。理由はおおまかに三つ。この世界では現時点で一つのスピリアに同時スピルリンク可能な人数は四人までとなっているから、これが一つ。
イクスソーマ使いなら四人を超えても同時スピルリンクは可能だと思うけど……。
クンツァイト自分も問題はないと考えているが確証がない以上、危険は避けるべきだという判断だ。
クンツァイトそしてもう一つ、ソーマ使い数名は万が一の際に備え、外で待機していた方がリスク分散となる。これが二つ目の理由だ。
ベリルま、まあボクたち全員がやられちゃったらアジトのみんなもスピルリンクができなくて困るだろうし、今の意見にはボクも賛成かな~。
クンツァイトそして最後の理由。それはヒスイ、お前がリチアさまを託すに値する男であるからだ。
ヒスイへっ。もう三度目だもんな。ありがとよ、クンツァイト。
クンツァイトリチアさま。どうかご無事で。
リチアはい。クンツァイトは外のことは頼みました。もちろんベリル、そしてイクスも。
ベリルう、うん。誰もツッコミを入れてくれなかったのが唯一の心残りだけど……でも、みんなのこと信じてるから。
イクスこっちのことは安心してフローラさんのことに集中してくれ。
リチアクリードが目覚める前にことを成し遂げねばなりません。急ぎましょう――
四人――スピルリンク !

キャラクター7話【眠れる真実10 フローラを捜して】
ヒスイオラオラッ ! どきやがれ !このクソ疑似ゼロムども ! !こっちは急いでるんだよ !
コハクそれにしても凄い数の疑似ゼロム……。まさかこんなにいるなんて。
シングそれに、スピリアがこんな状態なのにクリードはオレたちと互角にやりあっていた。いったいどれほどの強さなんだ。
ヒスイバカ。感心してる場合かよ。リチア、フローラの居場所はこの先で間違いないんだな ?
リチアはい。やはりこの感覚はフローラ姉さまのスピリア……。もう少しで辿り着けるはず――
リチア! ?
コハクリチア。どうかしたの ?
リチア……クリードが目覚めつつあります。
ヒスイくそッ。先に進むためとはいえ疑似ゼロムを倒したから回復してるってか ! ?予想よりも早いな。
コハクもしわたしたちがスピルリンク中にクリードが目を覚ましたらどうなるの ?
リチア最悪の場合、わたくしたちはクリードのスピルメイズで結晶化させられ永久に出ることができなくなるかもしれません。
ヒスイ運良くリンクアウトで済んでもまた殺し合い。俺らが負けるわけねぇがクリードは死ぬまで立ち上がってくるだろう。
ヒスイそうやっている間に、クリードのスピリアは疑似ゼロムに蝕まれて消失。フローラも一緒に死んじまうってわけか。
シングちょっと待ってよ。フローラさんのことを話したらクリードも協力してくれるんじゃないか ?
リチアいえ。それは難しいでしょう。クリードがわたくしたちの言葉を信じるとは思えません。
リチア証拠を示そうにも、彼の意識が戻ればフローラ姉さまの意識が抑圧され、外部から姉さまのスピリアを感知することは不可能となります。
コハクそれって……クリードが自分自身でフローラさんを認識することは不可能ってことだよね ! ?
リチアそういうことです。
シングこんなすぐそばに大切が人がいるのに気がつけないなんて……。
リチア現在のフローラ姉さまは、シングの中にいた時のクリードと同じような封印状態にあります。ですから器自身が気がつくことはとても難しい。
シングうん。オレもクリードが目覚めるまで自分の中に他人がいたなんて気付かなった。
リチアはい。ですがそれでも兆しはあるものです。クリードは最高位の思念術士。その兆しを頼りに眠るスピリアを辿る力量が本来彼には備わっている。
リチアですがそのためには自分の意識を研ぎ澄ませ自分のスピリアに向けなければなりません。
コハクそれが、クリードにはできないのね。
リチアはい。だからこそ天才であるにも関わらずガルデニアの設計ミスを犯してしまった。いえ、その理由こそが全ての元凶なのでしょう。
シング……愛を知らない、か。
リチア到着しました。この先にフローラ姉さまが――
? ? ?近づくな。
コハクこの声は ! ?
? ? ?……近づくな。この先には行かせん。
ヒスイおいおい。どういうことだよ。まさかもう目覚めたのか。
リチアいえ。これはクリードの思念体です。ですが目覚めが近づいているのは確かでしょう。
シングごめん。悪いけどオレたちは進ませてもらうよ。
思念クリードやめろ……やめろっ ! !この先にあるものに近づくな ! !立ち去れ、今すぐに立ち去れ ! !
ヒスイくそッ。駄々こねやがって。邪魔するんじゃねぇ。
リチアもう時間がありません。力づくで押し通るしかありません。
コハクわかった。いつでもいいよ。
シングみんな、いくぞ !

キャラクター8話【眠れる真実10 フローラを捜して】
思念クリード――くっ ! !貴様ら……よく、も……。
リチアわたくしの思念術で一時的に動きを封じました。これでしばらくは大丈夫でしょう。
ヒスイ本当かよ。もっとボコボコにぶっ倒しといた方がいいんじゃないか ?
リチアなりません。思念体もスピリアの一部。深手を追わせてしまってはスピリアが傷つく恐れがありますから。
ヒスイお前、そこまで考えて……。
シングあれっ……ちょっと二人とも見てよ。あそこの奥で何か光ってるのってもしかしてスピルーンじゃない ! ?
ヒスイどのスピルーンも宝石みてぇにキラキラしてるな。こいつがフローラのスピルーンか ?
リチアいいえ。これはクリードのスピルーンです。
ヒスイなっ……クリードだと ! ?
シング……他の人たちと全然変わらない。クリードもこんなにキレイなスピルーンを持っていたんだな。
リチア…………ええ。
思念クリードその……スピルーン、に…………。
四人! ?
思念クリードそのスピルーンに……近づくなッ ! !
リチア――きゃああっ ! !
シングリチア ! ! 大丈夫 ! ?
リチアうっ……は、はい……問題ありません。
ヒスイてめぇ、よくも―― ! !
コハクお兄ちゃん ! 落ち着いて !リチアがさっき言っていたこと忘れたの ! ?
ヒスイくそッ……そんなことわかってる。こいつが何を想っているか含めて全部……なッ ! !
リチア援護ありがとうございます。これでもう一度……より高度な術式で封じます !
思念クリードここ、から……立ち……去、れ…………。
リチアやり、ました……。ですがわたくしの思念術が振りほどかれるとは……。
リチア……急がなくてはなりません。もういつクリードが目覚めてもおかしくありません。さっそく……目覚めの祈りをはじめます。
コハクちょっとリチア、すごい怪我してるじゃない。応急処置にしかならないけど今回復するから少しだけ待って。
ヒスイいや。回復は後だ。
コハクお兄ちゃん、そこどいてよ !
シングヒスイ、どうして邪魔するんだ !リチアが無理してるのがわからないのか !
ヒスイわからないだぁ……ふざけんじゃねぇぞ !俺はな、全部わかってんだよ !援護のタイミングだけじゃねぇ――
ヒスイこいつが自分の命を犠牲にしてでもフローラを、そしてクリードも助けたいそう想ってることも、俺はわかってるんだよ !
二人…………。
リチアヒスイ、ありがとうございます。おかげでまず第一段階はクリアです。
コハクな、なに ! ?この大きな花のつぼみみたいなのは ! ?
シングオレ、コハクのスピルメイズでこの花を見たことがある……もしかしてこの中にフローラさんがいるの ! ?
リチアはい。このつぼみの中でフローラ姉さまは眠りについています。
リチアこれからより強い祈りを捧げることでフローラ姉さまを目覚めさせます。
ヒスイあとは時間との戦いか。やれるか、リチア。
リチア必ず。
シングうん。きっとリチアなら大丈夫。オレたちが疑似ゼロムから守るからとにかくリチアは祈りに集中してくれ。
コハク背中は任せてね。
リチアありがとう、みんな……!では、いきます――

キャラクター9話【VS クリード】
シングリチア、あとどのくらい ! ?
コハクもうそろそろリンクアウトしないと危ないよ !
リチアもう、少し……なのですが…… ! !
ヒスイリチア。お前に言っておくことがある。そのまま黙って聞いてろ。
リチア……ヒスイ ?
ヒスイいいか、お前は幸せになっていい。幸せを感じていいんだ。
リチアなっ…… !
ヒスイけどな、本当に死んじまったら承知しねぇぞ。死ぬ気の覚悟は認めるが死ぬことなんざ望んじゃいねぇ。
リチア…………。
ヒスイ間違っても、具現化されてからこの世界で過ごした日々だけで、罪人の自分には十分幸せだったなんて考えるなよ。そんなのは嘘だ。
ヒスイ俺はこの世界でスピリアから湧き上がるようなお前の笑顔を、まだ見てねぇんだからな。
ヒスイ罪を償えないことが償いなんだとか適当に割り切ってフローラとクリード、そしてお前自身もこの世界でまた新たに生きやがれ !
リチアヒスイ……。
リチアはい……わたくしもこの世界でみんなと…………生きたい !
シングこの光は ! ?
リチア届いて――――フローラ姉さま ! !
コハクこ、ここは……。
ヒスイスピルメイズじゃねぇ。リンクアウトさせられたのか。
ベリルみんな ! 戻ってきたんだね !
クンツァイトリチアさま、よくぞご無事で。フローラさまはみつかりましたか ?
リチアそれは……。
クリードフローラ……だと ?貴様ら何の話をしている……。
シングクリード ! 目覚めたのか ! ?
クリードああ。貴様らが私の中で好き勝手してくれたせいで……実に不快な目覚めだがな ! !
イクスくっ……なんて威力だ……。村で戦ったときより強くなってる……。
リチアクリード ! 待ちなさい。あなたは何も感じないのですか ! ?
クリードふんッ !不愉快な貴様らへの殺意なら抑えきれないほど感じているぞ。
コハクそんな……。それじゃあフローラさんは……。
リチア……失敗、でしたか。
シングクリード ! 聞いてくれ !お前の中にフローラさんがいるんだ !
クリード……なに ?
シング今度こそリチアがフローラさんを目覚めさせる。だからクリード、もう戦いはやめにしよう。オレたちにスピルリンクさせてくれ。
クリードくははッ。これは愉快だ。真っ向勝負では勝てないと判断し何を言うかと思えばそのような戯言を――
シング嘘じゃないよ ! 信じてくれ !あんなにキレイなスピルーンを持っているのにどうしてスピリアを開いてくれないんだ !
クリードそれは簡単だ。お前たちは私を邪魔する憎き敵だからだ ! !

キャラクター10話【VS クリード】
クリードほぅ、まだ立ち上がるか。
シング……当たり前だろ。何度だって立ち上がって何度だってお前を止めてみせるッ !
クリードなに ?
シングだってお前は……オレだから !スピリアを開かなかったもう一人の自分だからだ !
クリードふざけたことを―― ! !
コハクシング ! 危ない !
リチアさせません !
クリード小賢しい。お前の思念術は全て見切っている。お前に思念術を教えたのはこの私なのだからな。
クリードつまり何をしようとお前が私に勝つことは不可能だということだ、リチア。
リチアええ、そうかもしれません。ですがこれなら――
クリードうっ……なんだこれは……。胸が焼けるように……。やめろ、その光を私に注ぐな ! !
クンツァイトリチアさま ! お逃げください !
ヒスイクンツァイト、大丈夫だ !きっとリチアなら――
クリードフローラを見捨てた裏切り者め !ここで殺してくれる―― ! !
リチア―――― ! !
クンツァイトリチアさまは ! ?
リチア……大丈夫。繋がりましたわ。
クリードそん、な……。確かに私は貴様に向けて思念術を放った……。なのになぜ……この私が狙いを外したというのか……。
? ? ?いいえ。あなたはスピリアの想いに従って行動をしたのです。
二人この声は ! ?
クリードそんな、まさか……。いや、二千年ぶりであろうと君の声を聞き間違えるはずがない……君は……。
リチアフローラ姉さま ! !
フローラクリードに寄生していた疑似ゼロムの排除に時間がかかり覚醒まで時間がかかりました。待たせましたね、リチア、クリード。
クリードやはりフローラなのか ! ?どこだ ! ? どこにいる ! ?
フローラ今の私はあなたのスピリアを器としてそこに宿っています。
クリード私のスピリアに……だと……。
ベリルなんだよ。本当にそんなこともわからないんだ。
コハク頭で考えるんじゃない。スピリアで感じるんだよ。
シング胸に手をあててみればきっとそこにフローラがいることもわかるさ !
クリード…………胸の奥が温かい。温もりが泉のように溢れてくる……。
フローラそれが、あなた自身も気付かずにずっと求め続けていたものです。
クリードそう、だったのか…………。
リチア……この泉は先程までフルエーレが輝いていました。ですが今はもう……。
クリード私たちの争いにより消えてしまったのだな……。
リチア……はい。
クリードつまりはこのようなエネルギーも必要なかったと……。
クンツァイト装置から多数のスピリアの反応。スピリアが持ち主のもとへ返っていく。
シングクリード……お前は……。
クリードだが……フルエーレは戻らんか。元の世界でインカローズに採取させたフルエーレも計画のため、あの気色の悪い男に渡してしまった……。
クリードすまない、フローラ。せっかくこうしてまた穏やかに泉を眺めることができたのに……。私は、君の好きだったフルエーレを見せたかったのだ。
フローラいいえ、クリード。私は今とても幸せです。肉体は無いけれど、あなたの側に、あなたのスピリアにこうして寄り添っていられるのですから。
フローラそれに、私たちだってこうしてまた再会できたのです。諦めなければ、きっといつかフルエーレを見ることもできるはずよ。
リチアええ。わたくしもそう思いますわ。
シングあッ ! ? みんな、見て !あそこで光っているのって――
コハクあれは……フルエーレ ! ?争いの気配が無くなったことを感じて一匹だけ現れたのかな。
フローラああ、なんて美しいのでしょう……。二千年前に見たフルエーレと何も変わりません。
クリード本当に……こんなにも美しかったのだな……。
クリード……今の私では一匹しか現れないようだ。だがいつかたくさんのフルエーレが舞う泉を君に見せる。約束するよ、フローラ。
フローラクリード……ありがとう。
リチアクリード兄さま、フローラ姉さま。その時はもちろん、わたくしもご一緒させてくださいますね ?
クリードフッ……そうだな。
リチアこんな風に笑える日が来るなんて……。なんだかとても懐かしい気分です。
コハククリードもリチアも、穏やかな表情してるね。
クンツァイトリチアさまがあんな顔をされるのを自分は久々に見た。
ヒスイなんだ、あいつ。いい顔でちゃんと笑えるんじゃねぇか。
ベリル緋色の髪の魔王が笑ってる……。ボク、夢を見てるのかな ! ?
シング夢じゃないさ。あの三人は二千年ぶりに本当の再会ができたんだよ。