キャラクター | 1話【オブる ザ レイズ1 今回のゲスト】 |
ワイズマン | ようこそ、皆様。学園都市アークにお越し頂きまことにありがとうございます。 |
ヒューバート | ご丁寧にどうも。……ただ厳密に言えばぼくたちは自分の意志で来たわけではなくあなたの力でここに召喚されたんですけどね。 |
ルドガー | 部屋でルルのブラッシングをしていたらいきなり周りの景色が変わったから驚いたよ。 |
クレス | こうして呼ばれたってことは、アークではまた祭りを開催しようとしているのですか ? |
ワイズマン | 仰る通りです。皆様には、間もなく始まる新たな祭りにぜひ参加していただきたいのです。 |
ロイド | はぁ……。 |
アルヴィン | どうしたんだ、ロイド ? |
ロイド | 実は俺、リフィル先生から自由研究の再提出を言い渡されちゃってさ。 |
ロイド | また、アークに呼ばれた時にっていう期限付きだったんだけど、ついにこの日が来たかー。 |
アルヴィン | そいつはご愁傷さま。ま、覚悟を決めてしっかりやるんだな。じゃないとリフィル先生が怖いぞ。 |
ロイド | 分かってるよ。俺だって、リフィル先生に叱られるのだけは勘弁だから。 |
ワイズマン | どうやら皆様祭りに参加してくださるようですね。 |
クラトス | 待て。私はまだ了承した覚えはない。 |
クラトス | アークの祭りでは、毎回想定外の問題が起きている。ことと次第によってはロイドを連れて帰らせてもらう。 |
ロイド | クラトス……。 |
ワイズマン | クラトスさんのお気持ちもよく分かります。しかし、ご安心ください。今回は祭りといってもスポーツの祭典です。 |
クラトス | スポーツ ? |
ワイズマン | ええ。これから呼び出すゲストと共に鳥のように飛び、ボールを打ち合って下さい。 |
ワイズマン | 彼らの世界ではルールに基づいた勝敗を尊ぶ傾向があり暴力など他者を傷つける行為は忌避されています。 |
ヒューバート | ずいぶんと理性的ですね。 |
クレス | これなら安心して祭りに参加できるな。 |
ロイド | ああ。クラトスも納得しただろ ? |
クラトス | ……ああ。 |
ワイズマン | それでは早速、ゲストをお招きしましょう。 |
アルヴィン | さてと……。 |
クレス | どこへ行くんだ ? |
アルヴィン | ちょっと野暮用でな。 |
ワイズマン | では……。 |
ロイド | おおっ……揺れてる。 |
ヒューバート | ゲストを呼び出している真っ最中ですからね。多少の振動は仕方がありません。 |
ルドガー | ……っ ! ?それにしても、揺れ過ぎじゃないか ? |
クレス | だ、大丈夫なんですか ! ? |
ワイズマン | くっ—— ! ?こ、これは……まずい ! |
クラトス | ロイド、こっちへ来い !装置から離れろ…… ! |
ロイド | うわあああっ ! ? |
イクス | ……うーん。 |
カーリャ | イクスさま、いつまで石窯と睨めっこしてるんですか ?そろそろグラタンを取り出さないと焦げちゃいますよ。 |
イクス | そこなんだよ。問題は。 |
カーリャ | えっ ? |
イクス | レシピには「表面に軽く焦げ目がついたら完成」と書いてあった。でも「軽く」って、どの程度なんだ ? |
エドナ | そんなのなんとなくでいいのよ。 |
イクス | いや、でも表面的に火が通っていても中はまだ生かもしれないじゃないか。 |
イクス | そんなものを食べたらお腹を壊すかもしれないしそのせいで戦いの最中に腹痛が起こったりしたら……。 |
エドナ | 今からそこまで心配してどうするのよ。 |
ミリーナ | 自分だけじゃなく、みんなのことを心配してるのよ。そういう優しさもイクスの良いところだわ。 |
エドナ | ただの心配症だと思うけど。料理は適当なくらいがちょうどいいのよ。 |
イクス | 適当…… ? うーん……。 |
カーリャ | イクスさま、また悩んじゃってます。 |
エドナ | はぁ……。バカがつくほど真面目ね。 |
ワイズマン | ——クスさん……。イクスさん——……。 |
イクス | この声は……ワイズマン ? |
キャラクター | 2話【オブる ザ レイズ2 トラブル発生】 |
カーリャ | あれれれ…… ! ?一瞬で景色が変わっちゃいましたよ ! ? |
ミリーナ | ここは……アークのようね。 |
エドナ | ということは、ワタシたちワイズマンに呼び出されたのね。 |
イクス | 転送される直前、ワイズマンの声が聞こえた。けど、なぜだろう。妙に途切れ途切れだったような……。 |
アルヴィン | よう、イクス。待ちくたびれたぞ。 |
イクス | アルヴィンさん!アークに来ていたのか。 |
ミリーナ | いったい何があったの ?どうしてワイズマンがいないの。 |
アルヴィン | そいつは、ちょっとばかし面倒なことになってな。 |
カーリャ | ……ああっ ! ?ワイズマンさまが倒れてます ! ! |
ミリーナ | ワイズマンだけじゃないわ。ロイドとクレスさんもよ…… ! |
イクス | ミリーナ、三人に治癒術を ! |
アルヴィン | あー、待て待て。その必要はねえよ。ケガはしちゃいない。そいつは確認済みだ。 |
イクス | ケガはしていない ? いったい何があったんだ。 |
アルヴィン | 詳しいことはわからん。俺はこの場にいなかったからな。 |
アルヴィン | アーク全体がデカい振動に襲われて大急ぎで戻ったらこの有様だ。 |
アルヴィン | ワイズマンが、異世界のゲストを呼ぼうとしていたのは間違いないんだがな。 |
エドナ | つまり、なんらかの事故があったってこと ? |
アルヴィン | おそらくな。 |
アルヴィン | ついでにお前たちがワイズマンに呼ばれたのは当の本人がこんな状態だからだろう。 |
カーリャ | い、生きていらっしゃるんでしょうか……。 |
イクス | ワイズマンは俺たちには想像もつかないような超常の存在だ。命を落とすなんてことはないと思う。なんらかの事情で今は動けないだけだろう。 |
ミリーナ | 情報が足りなさすぎるわ。いったい何が起きたのかしら……。 |
アルヴィン | ルドガーとヒューバート、それからクラトスもこの部屋にいたはずなんだがな。 |
ミリーナ | イクス、どうする ? |
イクス | まずは、情報が必要だ。何が起こったのか、どうして仲間が消えたのか。そこから調べてみようと思う。 |
エドナ | イクスの中ではもう手を貸すことに決まってるのね。 |
ミリーナ | イクスはいざとなったら誰よりも早く決断できるの。 |
エドナ | だから、ワタシたちも協力しろってこと ? |
イクス | 頼むよ。手を貸してくれないか。 |
エドナ | ……はいはい。わかったわよ。 |
カーリャ | カーリャもがんばりますよ ! |
アルヴィン | そういうことなら、俺はぐっすり眠っているワイズマンたちを安全な場所へ運んでおくとするか。念のためってやつだ。 |
イクス | ああ、よろしく頼む。 |
キャラクター | 3話【オブる ザ レイズ3 かぶき町】 |
ミリーナ | ここは……。 |
イクス | 看板に見たこともない文字が書いてある。町並みもあまり見たことがない様式のものだな。 |
ミリーナ | 装飾はしいなやすずちゃんの持ち物にどことなく似ている気がするわ。 |
エドナ | 当然だけど、アークにこんな場所なかったわよね。 |
イクス | つまり、町ひとつ丸ごと具現化されたのか。 |
? ? ? | な……何コレェェェェェ ! ? |
カーリャ | ひゃっ ? 今の叫び声……もしかして、ヒューバートさま ! ? |
ミリーナ | でも、ずいぶんヒューバートさんらしくないというか……。 |
エドナ | とても間の抜けた声だったわね。 |
カーリャ | せっかくミリーナさまが言葉を濁してたのに……。 |
イクス | とにかく行ってみよう ! |
カーリャ | あっ、ヒューバートさま発見 ! |
ミリーナ | 誰かと話してる……。なんだか揉めてるみたいだわ。 |
銀時 | ハァ ? さっきからギャーギャー騒いでばっかでわかんねーよ。 |
神楽 | オラァ ! はっきり言えヨ、コノヤロー ! |
ヒューバート ? | わ、わかりました。じゃあ聞いてくださいよ。信じられないかもしれませんが……。 |
新八(ヒューバート) | 僕……新八なんです ! |
銀時 | うん。 |
新八(ヒューバート) | うん。って !ほら、顔とか背丈とか服装とかぜんぜん違うでしょ ! |
銀時 | んだよ、急に色気づいたか ?男のオシャレなんか興味ねーよ。 |
新八(ヒューバート) | オイイイイ ! オシャレなんてレベルじゃないくらい変わってるでしょ !ていうか完璧に別人でしょーが ! |
新八(ヒューバート) | ていうか、何であっさり受け入れてんの ! ?この姿を見て他に言うことないの ! ? |
神楽 | 姿……あ、髪切った ? |
新八(ヒューバート) | はい ! 絶対言うと思ってましたァァ ! |
新八(ヒューバート) | そうじゃなくて、髪の色とか目の色とか !こんなに急に変わるわけないでしょーが ! |
坂田 銀時 | いたよねー、夏が明けたら急に派手になるやつ。髪染めて、ピアスして、言葉使いも変わっちゃって。いかにも夏休みになにかありました ! って感じの。 |
新八(ヒューバート) | そんなこと言ってる場合かァ !見てくださいよ、僕のこの変わりようを ! |
銀時 | 他に何が変わったっつーんだよ。いつもと同じじゃねーか。メガネだろ、メガネに、メガネ……うん。新八だな。 |
新八(ヒューバート) | メガネしか見てねーだろーがァァァ ! |
ミリーナ | ええと……。なんだかとっても賑やかね。 |
エドナ | 騒がしいっていうのよ、ああいうのは。 |
イクス | ヒューバートの様子がおかしい。まるで別人みたいだ。 |
カーリャ | なんだか、こんな状況に覚えがあるんですけど……。 |
ミリーナ | そうね、私もよ。 |
ミリーナ | たぶん、あの人たちはワイズマンに呼びだされた異界のゲストでしょうね。 |
カーリャ | それで、ヒューバートさまの中には別の人格が入っているということですね。 |
エドナ | あなたたち、理解が早すぎじゃない ? |
カーリャ | さすがに初めてじゃないですから……。 |
イクス | いずれにせよ、話しかけてみるしかないな。 |
イクス | あの……。 |
銀時 | ん ? |
神楽 | 何アルか、お前ら。チャラついた格好アルな、天人アルか ? |
イクス | アマント…… ?いや、そうじゃないんだ。 |
銀時 | 仕事の依頼なら中で聞くぜ。 |
イクス | 待ってくれ。俺たちは客じゃない。むしろゲストはあなたたちの方なんだ。 |
銀時 | はあ ? どういうこった。 |
イクス | ここはあなたたちの住んでいた世界とは別の世界だって言ったら、伝わるかな。 |
銀時 | ……茶でも飲みながらじっくり聞かねーといけねェみたいだな。 |
イクス | ——というわけなんです。 |
銀時 | なるほどね。ここはアークってとこで俺たちは祭りのために呼ばれたってか。 |
イクス | ええ。でも、なにか事故があったみたいでそのせいでヒューバート── |
新八(ヒューバート) | あ、志村新八です。 |
イクス | 新八さんの精神が俺たちの仲間の身体に入りこんでしまったようなんです。 |
新八(ヒューバート) | じゃあ、僕はその人の身体を乗っ取っちゃったんですね。なんだか申し訳ないな……。 |
エドナ | 気に病むことないわ。あなたの責任じゃないんだから。それに、意外と違和感ないわよ。メガネだし。 |
新八(ヒューバート) | 何でアナタまでェ ! ? |
神楽 | ねえねえ、定春は ? 定春がいないアル ! |
カーリャ | サダハル ? |
新八(ヒューバート) | 僕たちのペットの犬です。ちょっと大きめなんですけどね。元の世界に置いてきちゃったのかな…… |
ミリーナ | そう……神楽ちゃん、大事なペットと離れ離れなんて寂しいわよね。 |
神楽 | 定春、ちゃんとごはん食べてるかな……。 |
銀時 | 腹空かして、近所のじいさんとか食ってねーといいけどな。 |
新八(ヒューバート) | 縁起でも無いこと言わないでくださいよ。 |
神楽 | そうネ ! 定春は良い子だからそんな古くなったもの食べないアル ! |
新八(ヒューバート) | 神楽ちゃんも古くなったとか言わないようにね ! ? |
銀時 | いや、いっそ下の階のババアを亡き者にしてくれりゃ滞納してる家賃がチャラに……。 |
新八(ヒューバート) | アンタほんと最低だな ! |
銀時 | とりあえず、アリバイのためにもしばらくこっちでノンビリさせてもらうとするか。 |
新八(ヒューバート) | 何のん気なこと言ってるんですか ! |
新八(ヒューバート) | こうしてる間にも依頼が来るかもしれないし……来週にはお通ちゃんの握手会があるんです !絶対にそこまでには帰らないと ! |
神楽 | それが本音アルな。 |
銀時 | ……ん ? 来週…… ? 来週……。 |
銀時 | ぬああああああっ ! |
新八(ヒューバート) | どうしたんですか急に ! |
銀時 | もし、このまま帰れなかったら来週のジャンプが読めねーじゃねェかアアア ! |
ミリーナ | ジャンプ…… ? |
銀時 | おい、頼む !月曜までに帰らせてくれ ! |
神楽 | 定春ううう ! |
新八(ヒューバート) | お通ちゃんの握手会 ! |
イクス | わ、わかりました ! わかりましたからみなさん落ち着いてください ! |
イクス | 俺たちも事態を解決したいと思っています。だからこうしてお話したんです。 |
ミリーナ | 事故の現場に、私たちの仲間がいたはずなんです。彼らを探して何が起こったのかを聞いてみようと思っています。 |
ミリーナ | それに、他にもみなさんと同じように呼びだされたかぶき町の人たちがいるかもしれません。 |
エドナ | いなくなった仲間たちの行方。あなたたちの世界が町ごと現出した理由。調べなければいけないことは山ほどあるわ。 |
新八(ヒューバート) | そういうことなら、僕たちにも手伝わせてください。僕たちは『万事屋』ですから。 |
イクス | ヨロズヤ…… ? |
銀時 | 金さえもらえれば、どんな依頼も承る。 |
神楽 | 犬の散歩から異世界の平和を守るまで、何でもやるのが万事屋ネ ! |
銀時 | ま、そういうこった。 |
キャラクター | 4話【オブる ザ レイズ6 不審者現る?】 |
銀時 | それで、いなくなったのはルドナントカとクラナントカだっけ ? |
イクス | ルドガーと、クラトスですよ。 |
新八(ヒューバート) | 銀さん、覚え方が雑ですよ。 |
銀時 | こっちの名前はカタカナばっかで覚えにくいんだよ。もっとこう、ルド男とかクラ子とかなら俺もちゃんと覚えられるよ ? |
カーリャ | クラトスさまは男性なのですが……。 |
銀時 | じゃあ、クラ男だな。 |
新八(ヒューバート) | 同じパターンじゃないですか !つーか、紛らわしくて余計覚えられんわ ! |
銀時 | おいおい、あんまり大声出すなよパチ男。こっちの世界の人たちが驚いてるだろ。 |
新八(ヒューバート) | 誰がパチ男だ ! |
神楽 | ギャグ漫画のおもしろ生物みたいな名前アル。 |
銀時 | いいじゃねーか。メガネよりゃ個性あるぞ。 |
新八(ヒューバート) | そんな個性いらねーよ ! |
エドナ | あなたたち、いつもこんな感じなの ? |
新八(ヒューバート) | えっと、まあ概ねいつも通りです。 |
カーリャ | なんだか、ケンカしてるように見えるんですが……。 |
ミリーナ | 信頼しているから、なんでも言い合えるのよ。素敵な関係だわ。 |
新八(ヒューバート) | いや、なんかそうあらためて言われると困るというか照れるというか……。 |
? ? ? | うおおおおおおおおおお ! |
カーリャ | なんだか見覚えのある人が走ってくるような……。 |
土方 | 待てコラァァァ ! |
ルドガー ? | だからホントに俺なんだってエエエエ ! |
新八(ヒューバート) | 土方さん ! ?…もしかして、追われてるあの人が皆さんの仲間ですか ? |
イクス | あ、うん。間違いないと思う。ただ、やっぱり中身は……。 |
ルドガー ? | うおおおォォォォ ! !……おおっ ! ? 万事屋じゃねえか !頼む、あいつらを止めてくれェ ! |
銀時 | ハァ ? 誰ですかアナタ、なれなれしい。 |
ルドガー ? | そ、そんなぁぁ ! ! |
土方 | やっと観念しやがったか。町中駆けずり回りやがって……。 |
ルドガー ? | だああああ ! お、落ち着けトシ !俺だよ俺 ! 俺なんだってば ! |
土方 | 黙れ、この俺俺サギ野郎 ! |
ルドガー ? | もう、俺は本当に真選組局長の近藤勲なんだってェ ! |
沖田 | 近藤さんの名を騙るなんざ、ふてェ野郎でィ。この場で叩っ斬っちまいやしょう。 |
ルドガー ? | ひいいいいいいい ! |
銀時 | …………。一応聞くけど、あの白黒頭ヤローはいつもあんな感じなの ? |
イクス | いや、全然違うよ。 |
新八(ヒューバート) | ということは、やっぱり…… ! |
銀時 | おーいチンピラ警察。そのへんでやめとけよ。 |
土方 | あァ ?てめーは黙ってろ ! |
沖田 | あれ、万事屋の旦那、見慣れねぇ顔とつるんでますね。 |
銀時 | あー、いちいち説明すんのメンドくせーな。とにかく、そいつを斬るのはやめとけ。後悔するぞ。 |
土方 | どういうことだ。 |
イクス | それは、俺たちから説明します。 |
土方 | ……はァ、なるほどねェ。 |
沖田 | ここが別の世界ねィ。そういや、なんかデカい地震がありましたね。 |
土方 | うちの隊士たちもいなくなってやがる |
カーリャ | みなさん、ずいぶん落ち着いてますね。事情もあっさり受け入れてくれましたし。 |
エドナ | 受け入れたというか、あまり気にしてないんじゃない。 |
ミリーナ | この世界の人たちは順応性が高いみたいね。 |
土方 | まあ、中身が入れ替わっちまうのは経験済みだしな。 |
カーリャ | 経験あるんだ……。 |
ミリーナ | ほんと、すごい世界みたいね。 |
近藤(ルドガー) | トシ、総悟、わかってくれたか !じゃ、俺はちょっと行ってくるから ! |
土方 | 近藤さん、どこ行くんだ。 |
近藤(ルドガー) | もちろん ! お妙さんの無事を確認しに ! |
土方 | その面で行ってどーすんだよ……。 |
近藤(ルドガー) | かつての俺は……ゴリラだった。 |
エドナ | ……何言ってるの ? この人。 |
神楽 | そういう生き物アル。 |
近藤(ルドガー) | だが、今は違う !顔立ちはシュッとして目鼻立ちもスッキリ !どこに出しても恥ずかしくないイケメンだ ! |
近藤(ルドガー) | この姿ならきっとお妙さんも振り向いてくれる !生まれ変わった俺は、お妙さんとドキドキの異世界ライフを満喫するんだ ! |
近藤(ルドガー) | さらばゴリラ !このゴリラからの卒業 ! |
イクス | ええっ ! ? |
土方 | 行かせると面倒なことになりそうだな……総悟、取り押さえるぞ。 |
沖田 | へーい。 |
土方 | って、俺じゃねーよ ! !しかも手錠までかけやがったなてめェ ! |
沖田 | おっとこいつはいけねェ。間違えちまいやした。 |
土方 | わざとだろ ! どう見ても ! |
カーリャ | この方たちも銀時さんに負けず劣らずすごい方たちですね……。 |
エドナ | そっちの世界の人間は皆こんな感じなのかしら。 |
新八(ヒューバート) | ちゃんと常識的な人もいるんですよ。……説得力ないと思いますけど。 |
近藤(ルドガー) | うぐぐぐ、離せ~~~…… !俺を、俺を行かせてくれエ ! |
沖田 | 近藤さん、他人の面下げて好かれても、虚しいだけじゃねえですかィ。 |
近藤(ルドガー) | そうだな、人間大事なのはやっぱり中身だ !外見で判断しちゃいかん ! |
土方 | アンタ言ってることめちゃくちゃなんですけど ! ? |
銀時 | ……バッキャロォォォ ! ! ! |
近藤(ルドガー) | ぐはあああ ! ! |
神楽 | おおっ、銀ちゃんがゴリラ吹っ飛ばしたネ。 |
新八(ヒューバート) | いや、それ、他人の身体だから……。 |
カーリャ | ルドガーさま、災難ですね……。 |
ミリーナ | あ、あとで治癒術をかけてあげるわ……。 |
銀時 | オイ、ゴリラてめー本っ当にバカだな。 |
近藤(ルドガー) | 何だと ! ? |
銀時 | てめぇが惚れてんのは、ゴリラのままでもいい。ケツ毛まで愛する。そういう女じゃねーのか ? |
近藤(ルドガー) | ……っ ! ! |
近藤(ルドガー) | そ、そうだ……その通りだ……。俺は俺のまま、ゴリラのままお妙さんに振り向いてほしかったんだ……。 |
新八(ヒューバート) | やり方は完全にストーカーでしたけどね。 |
近藤(ルドガー) | なのに俺は…… !お妙さんを騙すようなやり方で……。 |
土方 | 近藤さん、正気に戻ったか。 |
近藤(ルドガー) | ああ……イチから出直しだ。俺は、もう一度この心を鍛え直してお妙さんに相応しい男になるよ。 |
近藤(ルドガー) | 万事屋……お前の一撃がなけりゃとんでもない過ちを犯していたところだった。ありがとう。 |
銀時 | うるせー、ゴリラのくせに礼なんて言うんじゃねーよ。 |
近藤(ルドガー) | ふっ……そうか。 |
新八(ヒューバート) | 銀さん、珍しいじゃないですか。近藤さんにあんなこと言うなんて。 |
神楽 | 同じ白髪キャラなのにサラサラヘアーだから嫉妬したアルか。 |
銀時 | ちっげーよ ! |
神楽 | 図星アルな。 |
近藤(ルドガー) | ところで、イクス君たちは、この混乱を収拾するために、人を探しているんだったな。 |
近藤(ルドガー) | バカをやった罪滅ぼしというわけじゃないが俺たち真選組も協力させてもらうよ。 |
イクス | はい ! ありがとうございます。 |
ミリーナ | それにしても、こんなに思われているなんてお妙さんって、きっととても素敵な女性なのね。 |
カーリャ | はい。会ってみたいですね ! |
? ? ? | きゃっ☆ |
? ? ? | いたた……。もうっ、ちょっとどこ見て歩いてるのよー |
近藤(ルドガー) | あ、ああ、すまない。大丈夫かお嬢さん。 |
ミラ ? | きゃっ、イケメン☆ミやだやだモロタイプ〜。 |
イクス | ミラ……さん ! ? |
ミリーナ | 絶対、違うと思う……。 |
ミラ ? | あたしー、妙っていうの。たえぽよって呼んでね☆ミ |
新八(ヒューバート) | 姉上えええええええええ ! ? |
キャラクター | 5話【オブる ザ レイズ7 お妙の望み】 |
お妙(ミラ) | ——ふぅん、そう。ここは異世界で私はミラっていう子に憑依しちゃったのね。 |
イクス | こちらの事情でトラブルに巻き込んでしまってすみません。 |
お妙(ミラ) | いいのよ、気にしないで。あなたのせいじゃないんだしそういうこともあるわ。 |
新八(ヒューバート) | って、姉上 !さっきのアレ何なんですか ! ? |
お妙(ミラ) | 新ちゃん、こんなところで大声出さないの。 |
新八(ヒューバート) | なかったことにしようとしてますよね ? |
お妙(ミラ) | 何のことかしら。 |
神楽 | ねぇ、ほんとにアネゴアルか ?見た目はぜんぜん別人で信じられないアル。 |
新八(ヒューバート) | 僕の時はメガネだけであっさり信じたよね……。 |
お妙(ミラ) | 神楽ちゃん、私はもうお妙ではないわ。新しく生まれ変わった……。そう、たえみょんと呼んでちょうだい。 |
新八(ヒューバート) | 真顔で何言ってんのォ ! ? |
お妙(ミラ) | ずっと……憧れていたの。 |
お妙(ミラ) | 武家の長女として生まれ、道場を守り、新ちゃんを立派な侍に育てるため生きてきたわ。そんな私に、人並みの青春なんてなかった……。 |
お妙(ミラ) | 同年代の女の子たちが楽しそうにしている姿をいつも横目に通りすぎていたわ。 |
新八(ヒューバート) | 姉上……。 |
お妙(ミラ) | だから ! こうして金髪美少女ギャルに生まれ変わったんですもの。キャピキャピした第二の青春をエンジョイしたいの ! |
新八(ヒューバート) | 何言ってんですか。僕も姉上も、他人の身体を借りてるんですよ ! |
新八(ヒューバート) | しかもそんな化石みたいな言葉づかいでギャルをやれると思ってんですかァ ! |
お妙(ミラ) | 新ちゃん。余計なお口はそのくらいにしておきなさいね ? |
新八(ヒューバート) | は、はい……。 |
銀時 | 新八、やめとけ。見た目はアレでも中身がメスゴリラなのは変わってねーぞ。 |
お妙(ミラ) | 銀さんも、そのくらいにしておいてくださいね ? |
神楽 | どんな姿になってもアネゴはアネゴアル。私、応援するネ ! |
お妙(ミラ) | ありがとう、神楽ちゃん。 |
カーリャ | ど、どうしましょうか……イクスさま。 |
イクス | うーん……ミラさんの身体は返してほしい。けど、荒っぽい手段はとりたくない。どうしたらいいんだ……。 |
アルヴィン | どうも、厄介なことになってるみたいだな。 |
イクス | アルヴィンさん ! |
エドナ | ずいぶん遅かったわね。いったいどこで何をしていたのかしら ? |
アルヴィン | まあ、少しばかり情報収集を済ませてきたのさ。 |
イクス | なにか分かったのか ? |
アルヴィン | ああ……。どうやら、アークに現出したのは異界の町の一部分だけらしい。 |
アルヴィン | 町の端はまだ次元の裂け目みたいなとこで途切れちまってたよ。 |
アルヴィン | これは俺の推測だが、ワイズマンが呼ぼうとしたゲストとこの連中は違う世界から来たように思う。 |
アルヴィン | ワイズマンはスポーツの盛んな世界からゲストを呼ぶと言ってたからな。 |
ミリーナ | 確かに、銀時さんたちはそんな風には見えないわね。 |
イクス | そうなると、ますます何をすればいいかわからないな……。 |
銀時 | 難しく考えるこたァねーよ。 |
イクス | 銀時さん……。 |
銀時 | 憑依したってことは、幽霊みたいなもんだ。それを祓うにはこの世に残した未練を断ち切ってやりゃいいんだよ。俺、一回やったことあるから。 |
銀時 | 物は試しだ。この世界で、叶えてやろうじゃねえか。お妙の未練ってヤツを。 |
神楽 | そうネ ! アネゴの夢を叶えるアル ! |
銀時 | さっさと解決して月曜までに帰ろーぜ。 |
キャラクター | 6話【オブる ザ レイズ7 お妙の望み】 |
ミラ | あたし、志村妙みょん ! ピチピチの18歳☆ミちょっぴり大人な町、かぶき町で青春をENJOYしてまーす♪ |
たえみょん☆ | 今日はギャル友のかぐかぐ、ミリリン、エドニャと遊ぶ約束をしてたんだけど、学校にピッチを忘れて遅れちゃったの~ ! |
ミラ | マジチョベリバ~ |
たえみょん☆ | いやーん☆ 遅刻遅刻っ !みんな待たせちゃってメンゴメンゴ ! |
神楽 | もお~、たえみょん遅っそ~い !待ちくたびれたアル ! ねえ、ミリリン ? |
ミリリン | えっ ? そ、そんなことはないけど。 |
カーリャ | ミリーナさま、台本のセリフと違います。ここは『マジMK5だよぉ』ですよっ。 |
ミリリン | え、ええ。そうだったわね。わかったわ……じゃなくて、おけまる ! |
ミリリン | も、もう、マジMK5だよ~。遅刻したから、今日はたえみょんの奢りね。 |
ミラ | わかってるよぉ。あ、だったら駅前に出来たタピオカ屋さんでどうカナ ? |
エドナ | …………。 |
カーリャ | エドナさま ! エドナさまの番ですよっ。 |
エドナ | なんでワタシがこんなこと手伝わなければいけないのよ。 |
カーリャ | これも、お妙さんの願望を叶えるため。ひいては、仲間を助けるためなんですっ。どうかお願いします ! |
エドナ | はいはい。わかったわよ。仕方ないわね。 |
エドニャ | エドニャー、あげぽよー。 |
カーリャ | 棒読み……。 |
エドナ | なにか文句があるのぽよ ? |
カーリャ | いえ ! ないです ! なんにも ! |
エドニャ | よろしい。じゃあ続けるわよ。 |
エドニャ | タピっちゃうー。マジ、タピっちゃうしかないっしょー。 |
ミラ | よーし、決まりっ☆ミそれじゃあ、みんなで仲良くタピりにいこ~ ! |
神楽 | おけまるアル~~っ。 |
アルヴィン | ……俺は今、とんでもないもんを見てる気がする。 |
イクス | だ、だよな……。 |
新八(ヒューバート) | ほんと、巻き込んじゃってすみません…… |
銀時 | いやー、どいつも意外とノリノリなんじゃねえか ? |
イクス | それ、エドナ様の前では言わない方がいいと思うな。 |
新八(ヒューバート) | 今も、もの凄く殺意のこもった目でこっち見てますね。僕たち生きて帰れるかわかりませんよ。 |
土方 | おい、そっちは何か進展あったか。 |
新八(ヒューバート) | 土方さん、沖田さん。近藤さんの様子はどうですか ? |
土方 | あー、お妙さんお妙さんつって暴れてるから屯所の柱にくくりつけてきた |
新八(ヒューバート) | ぜんぜん反省してないなあの人。 |
沖田 | 今の姿で二人を会わせるのは嫌な予感しかしねェ。 |
沖田 | 幸い、イケメンの中身が近藤さんだとは気づかれちゃいねェ。このまま隔離して引き離しとこうってとこでィ。 |
土方 | にしても、アイツいつの時代のコギャルやってんだよ。 |
新八(ヒューバート) | 姉上のセンスはものすごく古くて……。仕事でおじさんとばっかり話してるからですかね。 |
新八(ヒューバート) | でも、僕や道場のために色んなものを我慢してきたからなんですよね。 |
イクス | 我慢、か……。新八さんは、自分のせいだと思ってる ? |
新八(ヒューバート) | ええ、まぁ、ちょっとは……。 |
土方 | しかし、タピオカだのなんだのどっから用意してきたんだ ? |
アルヴィン | 俺がアークの連中に頼んで、ちょっとな。みんな面白がっていろいろ手を貸してくれたよ。 |
イクス | へえ、いつの間にアーキタイプたちとそんなに親しくなったんだ ? |
アルヴィン | べ、別に親しくなんかなっちゃいない。情報収集のついでにちょっと話しただけだよ。 |
アルヴィン | そんじゃ俺はまた行ってくる。クラトスも探さなきゃいけないからな。 |
銀時 | ちっ、スカしたヤローだ。なーんかいけ好かねぇな。 |
イクス | そんなことないよ。アルヴィンさんが持って来てくれる情報はいつもすごく役に立ってる。 |
銀時 | そーかね。俺はどーにも、特にあの声が気に食わねェ。 |
銀時 | なんつーかこう、めんどくさそうっつーか。聞いてるだけで妙にイラっとすんだよ。 |
新八(ヒューバート) | そうですか ? 僕はむしろ落ち着くというか不思議と聞き慣れた感じがするんですよね。 |
たえみょん☆ | は~~っ、超楽しい ! マジ卍 !みんな、今日は付き合ってくれてありがとう☆ミ |
ミリリン | お礼なんていいのよ。私たちも楽しかったから。 |
エドニャ | まあ……悪くなかったわ。 |
カーリャ | カーリャもです !美味しいものいっぱい食べられて、大満足です ! |
かぐかぐ | 私もアル ! |
たえみょん☆ | でも私、そろそろ行かないと……。 |
ミリリン | たえみょん……あの、もしかして本当は他にもっとやりたいことがあったんじゃないの ? |
たえみょん☆ | ……どうして、そう思うの。 |
ミリリン | わかるわよ。短い時間だったけど私たち友達なんだから。 |
エドニャ | ワタシたち……ズッ友、なんでしょ ? |
かぐかぐ | なんでも言ってほしいアル ! |
カーリャ | そうです ! この際、なんでも言っちゃいましょう ! |
たえみょん☆ | ミリリン……エドニャ……。かぐかぐ……カーリャちゃんも。みんな……ありがとう。 |
たえみょん☆ | 実は一つだけ心残りがあるの。私、本当は……。 |
キャラクター | 7話【オブる ザ レイズ9 本当にやりたいこと】 |
たえみょん☆ | あたし、志村妙。ちょっとドジな十八歳☆ミみんなからはたえみょんって呼ばれてるの。 |
たえみょん☆ | 今日は待ちに待った初デートの日 !でも二人っきりになるとドキドキで倒れそうだから友だちに付き添いをお願いしたの ! |
たえみょん☆ | さあ、今日はどんな一日になるのかしら ! ?楽しみだな☆ミ |
銀時 | だってよ。で、当の彼氏サンはどうなんだ ? |
近藤(ルドガー) | …………。 |
銀時 | おい、なんか喋れよ。 |
近藤(ルドガー) | あー ! あああー ! 本日はお日柄もよくううう ! |
銀時 | 声がでけーよ !あと緊張しすぎだっつーの ! |
ミリーナ | と、とりあえずここからは二人だけにしてあげましょ。 |
近藤(ルドガー) | そ、そうですね !行きましょうか、お妙……たえみょんさん ! |
たえみょん☆ | はい……ルド男さん。 |
新八(ヒューバート) | 大丈夫ですかね。姉上たち。 |
神楽 | アネゴなら心配いらないアル。どんなゴリラでも一撃で返り討ちネ。 |
新八(ヒューバート) | いや、今回は返り討ちにしちゃダメだからね。 |
土方 | 近藤さんには、絶対に正体がバレねえようにと言ってある。ついでに、変な気もおこすなってな。 |
エドナ | それにしても、ルド男って。もっと他になかったの ? |
沖田 | おっと、さっそく行動を起こしたようですぜィ。 |
近藤(ルドガー) | お、おお、おた、おた……お妙さん !僕と結婚── |
銀時 | って、早えええよ ! |
銀時 | 何やってんだよバカ。正体バレんだろーが ! |
イクス | ちょっと銀時さん、やり過ぎですって !俺たちはこっそりサポートするはずでしょ。 |
カーリャ | と、というわけでカーリャたちはまたいなくなりますので~。 |
たえみょん☆ | あっ、見て見て !このお店のアクセサリー、可愛い♪ |
近藤(ルドガー) | ど、どれだい ? |
銀時 | いい流れだ。光りもんの嫌いな女はいねーよな。 |
イクス | えーと……ミリーナ、そうなの? |
ミリーナ | 結局は贈ってくれる相手だと思う。もちろん、イクスならとっても嬉しいわ。 |
エドナ | ていうか、物で釣ろうなんてわりと最悪ね。 |
銀時 | 効果有りっぽいからいいんだよ。見ろ、たえみょんのあの目を。 |
たえみょん☆ | こっちもいいかも。でも、あっちも捨てがたい……。うーん、たえみょん迷っちゃう☆ |
たえみょん☆ | ルド男さんはどれが似合うと思う ? |
近藤(ルドガー) | たえ……みょんさんには、このスミレ色のかんざしなんかいいんじゃないかな。 |
たえみょん☆ | わあ……ほんとだ。素敵。 |
土方 | それなりにうまく進んでるぞ。近藤さんとは思えねェ。 |
たえみょん☆ | わーっ、ルド男さんってば、センスイイ ! |
近藤(ルドガー) | はっはっはっ、照れるなぁ。初デートの記念に、僕がプレゼントするよ。 |
新八(ヒューバート) | さりげなく、プレゼント !これは得点高いですよ ! |
近藤(ルドガー) | すみませーん、この指輪くださーい。薬指のサイズは○号です ! |
新八(ヒューバート) | って感心したとたんにこれかよォォォ ! |
近藤(ルドガー) | ぐはっ ! ? |
新八(ヒューバート) | さっきかんざしすすめたの何だったんだ !しかもなんで姉上の薬指のサイズ知ってんだよ ! |
銀時 | とんでもねえな、ストーカーの情報力。 |
エドナ | 素直に気持ち悪いわ。 |
カーリャ | イクスさま、どうしても知りたくなったらカーリャに言ってください。自分で調べようとしちゃダメですよ。 |
イクス | どういう意味だ? |
たえみょん☆ | えっ……。元の身体ではそうだったけど……。今はどうかな…… ? でも、どうして私のサイズを知っているの ? |
近藤(ルドガー) | えぇっ ! ? |
ミリーナ | そ、それはね。その身体の持ち主のサイズなのよ !ルドガー……ルド男さんとミラさんは一緒に旅をした仲間だったから ! |
たえみょん☆ | ……ふーん、そっか ! なら納得ね☆一瞬、どこかのストーカーゴリラが脳裏にちらついたけど、全然関係ないわよね ! |
カーリャ | ないですないです。もちろんです。だから、お二人はどうぞ遠慮無くデートをお続けください~。 |
たえみょん☆ | ルド男さん、そろそろランチにしましょ。それから公園でブランコに乗って、神社にお参りして最後は高台に登って、町を見下ろすの☆ |
近藤(ルドガー) | え、ええ ! 高校生のカップルっぽくていいですね !大賛成ですよ。わはは。 |
イクス | ふう……なんとかバレなかったみたいだ。 |
土方 | あいつも案外鈍いところがあんだな。 |
新八(ヒューバート) | 姉上はなんだかんだ大雑把なところもありますからね。 |
ミリーナ | そう、かしら……。もしかして……。 |
カーリャ | ミリーナさま、何か気になることでもあるんですか ? |
ミリーナ | いえ、なんでもないわ。 |
沖田 | そろそろ公園ですぜィ。 |
銀時 | デートも大詰めだな。 |
エドナ | ちょっと待って。この先って……。 |
たえみょん☆ | 町が……。 |
近藤(ルドガー) | 途切れてますね。 |
たえみょん☆ | そうか……ここは、別の世界だったわね。 |
たえみょん☆ | 別に、忘れていたわけじゃなかったけどこうして目の前に見せつけられると現実に引き戻されちゃうわね。 |
近藤(ルドガー) | たえみょんさん……。 |
お妙(ミラ) | デートは、ここでおしまいですね。 |
お妙(ミラ) | ここから先は別の世界。この身体の本当の持ち主が暮らす場所。今の私たちが踏み込んじゃいけないわ。 |
新八(ヒューバート) | な、何ですかアレ ! |
イクス | 銀時さんたちの世界とアークとの境目……アルヴィンさんの言っていた次元の裂け目か ! ? |
カーリャ | 何か出て来ます !光魔とは違う……でも、少し似てる……。 |
魔物 | グルルルル…… ! ! |
新八(ヒューバート) | 姉上えええええ ! |
ミリーナ | 二人が危険よ ! |
神楽 | アネゴォ ! 今助けるアル ! |
魔物 | グルアアァッ…… ! ! |
イクス | なんとか、全部倒したか……。 |
新八(ヒューバート) | 姉上 ! ケガはありませんか ! ? |
お妙(ミラ) | ええ、私は大丈夫よ。 |
銀時 | おいおい、なんだよ今のは。物騒な世界だな。 |
イクス | こんな風にアークの中に魔物が現れるなんてそうそうあることじゃないです。やっぱり、事故の影響なのか……。 |
ミリーナ | とにかく、誰もケガがなくてよかったわ。 |
カーリャ | ん……う、まだ何か……ぶるぶるじゃない……。でも、すごく怖い感じがします ! |
魔物 | グルルルル…… |
土方 | ちっ ! 一匹、仕留め損ねてたか ! |
神楽 | アネゴが危ないアル ! |
新八(ヒューバート) | 姉上えええ ! 逃げてください ! ! |
近藤(ルドガー) | うおおおおおおおおおおおおおおっ !お妙さんには、傷一つつけさせん ! |
近藤(ルドガー) | ぐはあっ ! |
お妙(ミラ) | イケメンの顔に、何傷つけとんのじゃアアアアアア ! ! |
イクス | ま、魔物を素手で……。す、すごい……。 |
土方 | 心配することもなかったか。 |
沖田 | むしろ、近藤さんはやられ損じゃねェですか。 |
アルヴィン | あー、しまったな。間に合わなかったか。 |
イクス | アルヴィンさん、どうしてここに……。 |
アルヴィン | ん ? まあ、この辺りに次元の裂け目が出来たって聞いてな。お前らに注意しろって伝えに来たんだが……ちっと遅かったみたいだな。 |
エドナ | ずいぶんタイミングよく現れるのね。 |
アルヴィン | おいおい、別に隠れてたわけじゃないぞ。 |
イクス | そのくらいにしておこう。今回のデートだってアルヴィンさんがいろいろ手配してくれたんだ。 |
アルヴィン | そうそう、あちこち駆けずり回ってたんだぜ。 |
エドナ | ……まあ、いいわ。 |
お妙(ミラ) | 大丈夫ですか ? |
近藤(ルドガー) | はい……何とか。お恥ずかしいところを見せてしまいました。あなたを、守るつもりだったのに……。 |
お妙(ミラ) | ……ふふっ、いつものことじゃないですか。 |
近藤(ルドガー) | え……。 |
お妙(ミラ) | 無茶しすぎですよ……近藤さん。 |
近藤(ルドガー) | お、お妙さん気づいて…… ! あっ…… ! |
沖田 | 近藤さん……成仏したみてェですね。 |
土方 | オイその言い方はよせ……。 |
お妙(ミラ) | さてと……そろそろ私も帰らなくちゃ。 |
お妙(ミラ) | イクス君、ミリリンたち、みんなありがとう。新ちゃん、お夕飯までには帰ってくるんですよ。 |
新八(ヒューバート) | 姉上…… ! ! |
イクス | ミリーナ、二人の様子は ? |
ミリーナ | 気を失っているだけみたい。 |
神楽 | 結局、アネゴの望みは叶ったアルか ? |
銀時 | さあな。でもまあ。ギャル気分を味わって満足したんじゃねぇの。 |
イクス | ええ……。そうですね。 |
キャラクター | 8話【オブる ザ レイズ10 どんでん返し】 |
神楽 | 銀ちゃん、ミカンとってヨ。 |
銀時 | 自分でとれよ。俺ァ忙しいの。 |
神楽 | 漫画読んでるだけアル。私、五分おきにミカン食べないと死んでしまうネ。 |
銀時 | 俺だってなあ、こいつを読み終わらねーとアレだ。その、大変なことになるんだよ。 |
神楽 | 大変って何アルか。具体的に言うヨロシ。 |
銀時 | そりゃおめー、アレだ。明日、学校で大西君に返さないといけないんだよ。 |
銀時 | 大西君は怖いぞー。身長二メートルの大男だ。左手はサイコガンになってるし、意外と剛毛だ。 |
新八(ヒューバート) | ちょっと銀さん ! 神楽ちゃん !さすがにだらけすぎでしょ ! |
銀時 | おー、新八。ちょっとアイスとジャンプ買ってこいや。 |
神楽 | 追加のミカンもナ。 |
新八(ヒューバート) | そんなもの売ってるわけないでしょ。ここは別の世界なんですよ。 |
銀時 | あー、それな。なんか、ここのやつらに言えば漫画でも食いもんでもいろいろ作ってくれるぞ。 |
神楽 | なんにもしなくてもごはんが出てくるアル。楽ちんで最高ネ。 |
銀時 | なんかもうこのままでもいいかなー。 |
神楽 | いいよネー、働くのってメンドくさいしー。 |
新八(ヒューバート) | 最低だ……この人たち最低だ……。 |
エドナ | ほんとに、みっともないわね。あなたの世界の人間って、皆こうなの ? |
新八(ヒューバート) | 断じて違います。この人たちが特別にダメ人間なんです。 |
神楽 | お、エドニャー。こっち来て一緒にダラダラしようヨ。 |
エドナ | その呼び方はやめなさい。もう、お芝居は終わったんだから。 |
イクス | なんだか、悪い時に来ちゃったかな。 |
新八(ヒューバート) | いや、この人たちに遠慮なんてしなくていいから。むしろ、この世界に居候してる身だってこといい加減わからせないと。 |
アルヴィン | 探したぜ、イクス。やっぱりここにいたんだな。 |
イクス | アルヴィンさん。戻ったのか。ミラさんとルドガーさんの身体は ? |
アルヴィン | 安全な場所に運んでおいた。ジュードに看てもらったが、どこも異常はないそうだ。二、三日もすれば目を覚ますとよ。 |
イクス | よかった。これで、少しは解決の糸口が見えてきた。あとはクラトスさんの行方だけか……。 |
アルヴィン | あー、そのクラトスのことを伝えに来たんだ。 |
イクス | 見つかったのか ! ? |
アルヴィン | 見つかったというか、見つけちまったというか。ありゃ、なかなか衝撃的な光景だったな……。 |
イクス | 衝撃的 ? |
アルヴィン | 実際のところは、自分で見てくれ。あと、そっちの二人も連れてきてくれよ。クラトス……に憑依したやつが会いたがってる。 |
新八(ヒューバート) | また、僕らの知り合いの誰かなんですね。 |
アルヴィン | みたいだな。お互い落ちぶれた者同士とか言ってたよ。なあ、白夜叉さんよ。 |
銀時 | てめえ……俺らのことも嗅ぎ回ってんのか ? |
アルヴィン | 疑い深い性格なもんでね。あんたらが根っからの善人とは限らないだろ。 |
銀時 | その物言いといい、やっぱり気に入らねーな。 |
銀時 | おい、イクス。気をつけろよ。 |
銀時 | こいつァ居酒屋で「取り分けます」とか言ってさりげなく自分に一番デカいのを確保するタイプだよ絶対。 |
アルヴィン | どんなタイプだ ! おまけにセコすぎるだろうが !お前こそ小銭拾ったらもっとないかしばらくその場をウロウロするタイプだろ ! |
銀時 | ばっ、んなことしねーよ ! |
アルヴィン | どうやら図星だったみたいだな。 |
銀時 | 図星じゃないですううう ! |
銀時 | それにお前アレだろ、母親のことけっこうな年までママって呼んでただろ ! |
アルヴィン | よ、呼んでねえよ ! |
エドナ | ちょっと動揺したわね。 |
銀時 | そんで、友達の前じゃ見栄張って「お袋」とか呼んじゃって、あとで母親本人にツッコまれるタイプとみたね ! |
アルヴィン | う、うるさい ! お前こそシャンプー代ケチってるからそんなモジャモジャ頭なんだよ ! |
銀時 | ケチってねえよ ! むしろ気遣ってる方だよ ! 天然パーマなめんなよ ! |
新八(ヒューバート) | なんて不毛な言い争いなんだ……。 |
エドナ | 争いっていうのは同じレベルの間でしか起こらないのよ。 |
カーリャ | つまり、二人とも似たもの同士ってことですかね。 |
アルヴィン | ……どうやらお前とは一度、じっくり話し合った方がよさそうだな、モジャモジャ。 |
銀時 | 上等だオラァ ! 白黒つけようじゃねーかタレ目野郎 ! |
新八(ヒューバート) | もう銀さん、何やってるんですか ! |
イクス | アルヴィンさん ! やめるんだ ! |
エドナ | ケンカしている場合じゃないでしょう。さっさとクラトスのところに行くわよ。 |
イクス | アルヴィンさん、案内してくれ。 |
アルヴィン | ……ミリーナたちにはもう伝えた。先に行ってるはずだ。 |
イクス | ああ、わかった。 |
アルヴィン | 着いたぜ。ここだ。 |
エドナ | ずいぶん、可愛らしいところにいるのね。そういう趣味があったのかしら ? |
イクス | やっぱり、別の人間が憑依してるんだな。 |
ミリーナ | イクス。 |
イクス | ミリーナ、クラトスさんの様子は ? |
ミリーナ | ええと……あの通りよ。 |
アルヴィン | 言っただろ ? なかなか強烈だって。 |
イクス | 本当だ。クラトスさんじゃないみたいだ。……いや、実際違うんだけど。 |
クラトス ? | はぁ……。 |
エドナ | 少なくとも、膝を抱えて黄昏れるようなタイプではないわね。 |
銀時 | 見るからに声をかけづらい雰囲気を醸し出してんじゃねえか。アレに話しかけんの ? 俺。 |
アルヴィン | ご指名だからな。ほら、さっさと行ってこいよ。 |
銀時 | まァ、なんとなく中身もわかったしな。 |
銀時 | おーい。 |
クラトス ? | 銀さん…… ! !ははっ、あんたはこっちでも変わらないんだな。 |
新八(ヒューバート) | その感じ……もしかして ! ? |
クラトス ? | はぁぁぁ……。ちくしょう……。俺は別の世界に来てもまるでダメなオッさんなんだよ……。 |
新八(ヒューバート) | 長谷川さんんん ! 間違いない、この人100%長谷川さんだ ! |
神楽 | グラサンもこっち来てたアルか。グラサンないけど。 |
銀時 | またずいぶんとしょぼくれてるじゃねえか。どうした。 |
長谷川(クラトス) | 銀さん……聞いてくれるのかい ? |
銀時 | ……いや、やっぱいいわ。また今度にしよう。三年後くらい。 |
長谷川(クラトス) | オイオイオイ ! なんで急に冷たくすんの ! ?いつもみたいに聞いてってよ !そんで一緒に分かち合ってよ ! この悲しみを ! |
銀時 | 一度も分かち合ったこたァねーよ !わかったわかった ! 聞いてあげるから、離せよ ! |
長谷川(クラトス) | 新しい世界、新しい身体……。人生をやり直そうと思ったんだ。やり直せると思ったんだ。 |
長谷川(クラトス) | だから、ひとまず海賊王になろうと思った。 |
新八(ヒューバート) | いきなり志高くないィ ! ? |
長谷川(クラトス) | いや、ほら、なんか剣とか持ってるし。ファンタジーっぽいし。そういうのもいいかなって。 |
エドナ | 志に比べて動機がふわっとしすぎてるわね。 |
長谷川(クラトス) | でも、どうも上手くいかなくてよ。仲間を集めようにも上手くいかないしそもそも船がない。ていうかここ、海がなかった。 |
新八(ヒューバート) | すごいな……第一歩を踏み出す以前に夢が打ち砕かれてる。 |
長谷川(クラトス) | それに、この身体が何が得意でどんな仕事についてるのか分からない。名前すら知らない。それじゃあ人生はやり直せねぇよ。 |
長谷川(クラトス) | 結局、人間は外面じゃなくて、中身が肝心なんだ。一度枯れた花は、どんなに良い場所に植え替えてももう一度咲いたりしねぇんだ……。 |
新八(ヒューバート) | 長谷川さん……。 |
イクス | あの人は、元の世界で何かつらいことがあったのかな。 |
銀時 | まあ、つらいことっちゃつらいことだな。 |
神楽 | 仕事も嫁さんも、家すらなくなった男アル。 |
銀時 | オイ長谷川さん、顔上げろよ。 |
銀時 | 無職だからって、嫁さんに逃げられたからって何も恥じることはねえ。 |
長谷川(クラトス) | 銀さん……。 |
銀時 | 変わる必要なんてねえ。アンタはそのままでいいんだ。 |
銀時 | なんせ、世界の方が変わっちまったんだからな。 |
新八(ヒューバート) | え…… ? |
銀時 | つまり、こっちの世界にいる限り家賃も借金も関係ねェ !そもそも働く必要なんてねーんだ ! |
長谷川(クラトス) | た、確かに…… ! |
新八(ヒューバート) | ちょ、ちょっと待ってくださいよ !銀さん、何のつもり── |
銀時 | アークだっけ ?こっちにいりゃ、一日三食黙っていても出てくる。 |
銀時 | それに、図書館にはあらゆる世界の本があるらしい。ならもちろん漫画だってあるだろ。 |
神楽 | お菓子もジュースも飲み放題食べ放題アル ! |
銀時 | 元の世界へ戻って、世間に後ろ指指されるよりこっちに残ってだらしなく生きる方が楽しくねェか ? |
銀時 | さ、今日から俺と一緒に『毎日ダラダラ過ごす男たち』——略してマダオになるんだよ ! |
長谷川(クラトス) | なる…… ! 俺、マダオになるよ ! |
新八(ヒューバート) | 銀さんんんん ! !アンタ何言ってんのオオオオオ ! |
イクス | ええと……どういうこと ? |
銀時 | 悪ィな、イクス。やっぱり俺ら、元の世界に帰るのやめるわ。 |
イクス | ええええええええっ ! ? |
| to be continued |