キャラクター | 1話【オブる ザ レイズ11 帰りたくない三人】 |
新八(ヒューバート) | 銀さーん ! いい加減出て来てくださいよ !元の世界に帰りたくないんですか ! ? |
銀時 | やだね。 俺はしばらくここで暮らす !もう決めた ! |
新八(ヒューバート) | なにバカなこと言ってんですか !万事屋があるでしょ ! |
新八(ヒューバート) | ていうか、ジャンプの発売日までに帰るんじゃなかったんですか ! ? |
銀時 | バーカ、お前知らねぇの ?ここの図書館には、どんな本でもあんだよ。 |
銀時 | なかったとしてもワイズマンっつーのに頼めばなんでも作ってくれるんだとよ。 |
神楽 | おまけに、ごはんも食べ放題のバイキング状態ネ。酢こんぶも作ってもらうアル ! |
銀時 | つーわけで、急いで帰る必要もなくなった。だったらこっちでしばらくのんびりしてもいいだろ。アレだ。有給休暇ってやつだ。 |
新八(ヒューバート) | 有給どころかこっちじゃ無職じゃないですか !そうやって、自堕落な生活を続けるうちに働く気がなくなって引きこもりまっしぐらですよ ! |
銀時 | うるせえな、てめーは俺のかーちゃんか ! |
長谷川(クラトス) | あのー、銀さん、俺なんか不安になってきちゃったんだけど……。 |
長谷川(クラトス) | やっぱ、こんな生活続けてたらダメになるんじゃ……。 |
銀時 | 騙されるな ! |
銀時 | これはな、あの手この手で俺らを働かそうっていう罠なんだよ ! |
銀時 | だいたい、どうして人間は働かなくちゃならねーのか ?それは生きるのに金が必要だからだ。 |
銀時 | だがしかし ! ここではそんなもの必要ねえ。むしろ家も仕事もなーんもなくても問題ない ! |
銀時 | ありのままの自分で、ありのままの姿でありのまま生きていくことができるんだよ ! |
長谷川(クラトス) | ありのままの……自分……。なんだかよくわからねぇが、すごく勇気の出る言葉だ。 |
神楽 | 単純なオッさんアル。 |
銀時 | 黙ってろ神楽。 |
銀時 | 社会に疲れた大人にはこういういかにも良い感じのフレーズで何もしないのをそれっぽく肯定してやるのが効くんだよ。 |
新八(ヒューバート) | 長谷川さん聞いてます ! ?そこの男、とんでもないこと言ってますよ ! ? |
長谷川(クラトス) | わかったよ銀さん !俺は俺のまま怠惰で自堕落でその日暮らしな生き方を貫くぜ ! |
銀時 | おうそうだ ! なんもかんも捨てちまえ !社会の仕組みに縛られんな !今こそ、そのグラサンを脱ぎ去る時なんだよ ! |
長谷川(クラトス) | おうよ ! グラサンもうないけどな ! |
新八(ヒューバート) | なんか「自分を曲げない ! 」みたいに言ってるけどアンタらそれかなり最低の生き方だからな ! |
神楽 | うるさい、ダメガネ。そういうオマエもこっちに残ってるネ。 |
新八(ヒューバート) | だ、だからそれは……。 |
銀時 | いろいろ言ってても、ほんとのとこお前も帰りたくないんじゃねーの ? |
新八(ヒューバート) | そ、そんなことないですよ !お通ちゃんのいない世界なんて僕は…… ! |
銀時 | あーはいはい。この話おしまい。じゃ、俺は今から三度寝すっから。 |
神楽 | あばよ新八 !メガネ洗って出直してくるアル。 |
長谷川(クラトス) | あの……なんかごめんね ? |
新八(ヒューバート) | ま、待ってくださいっ ! 銀さん !銀さーん ! |
キャラクター | 2話【オブる ザ レイズ12 作戦会議】 |
土方 | ……それで、説得に失敗して帰ってきたってわけか。 |
ヒューバート | なんなんだ銀さんも神楽ちゃんも !だらしなくていい加減な人たちだとは思ってましたけどほんとに、今回ばかりは呆れて物も言えませんよ ! |
イクス | 銀時さんたちにとっては巻き込まれただけです。呼んでおいていきなり追い返すなんて思うところがあって当然ですよね。 |
ミリーナ | 呼んだのは、ワイズマンだけど……。 |
ヒューバート | とにかく、僕はもう呆れ果てました。あの人たちには口で言ったって無駄ですよ ! |
エドナ | 銀時に痛いところを突かれて焦る気持ちもわかるけど、少し落ち着きなさい新八。 |
ヒューバート | い、痛いところなんて…… ! |
土方 | 近藤さんもお前の姉貴も満足したら自然と帰ってった。 |
土方 | お前が未だにその身体にいるってことはなにかこの世界に心残りがあるんだろうな。 |
ヒューバート | ありませんよ、そんなの。僕はすぐにでも帰りたいです。お通ちゃんや、姉上のいる元の世界に。 |
土方 | 別にウソをついてるなんて思っちゃいねえよ。ただ、お前自身にもわかっていない願望があるんじゃねえかってことだ。 |
ヒューバート | 僕自身にもわかっていない願望……。 |
土方 | まあ、あの馬鹿どもが口で言ってもわからねえってのはその通りだ。 |
土方 | こうなりゃ乗り込んでってふん縛っちまうか。 |
沖田 総悟 | 珍しく意見が合いやしたね。それじゃ、一発でかいのぶちかましますか。 |
アルヴィン | おいおいおい ! ちょっと待て !そんなもんぶっ放したらどんだけ被害が出るかわかんねえぞ。 |
ミリーナ | そうね。かぶき町にはアーキタイプの人たちもずいぶん出入りするようになってるわ。 |
アルヴィン | そういうこった。あいつらを巻き込むのは、さすがにマズいだろ ? |
土方 | ちっ……。面倒だな。乗り込んでって力づくじゃダメなのかよ。 |
沖田 | 真選組のやり方っていやあ、それですからね。説得だのなんだのは専門外でさァ。 |
土方 | あの野郎、いつもいつもその場の勢いで適当に生きやがって。周りの迷惑も考えろってんだ。 |
イクス | 適当……適当か。なるほど。 |
カーリャ | どうしたんですか ? イクスさま。 |
イクス | いや、エドナ様に言われてずっと考えてたんだ。「適当」ってなんなのかなって。 |
イクス | それって、銀時さんみたいな生き方のことなんじゃないかと思って。 |
イクス | つまり、銀時さんを見習えばもっとみんなの役に── |
三人 | それだけはやめろ ! |
イクス | ど、どうしてみんな止めるんだ ? |
カーリャ | 銀時さまをお手本にしてはいけません !イクスさまは、そのままでいいんですよ !ミリーナさまも、そう思いますよね ? |
ミリーナ | 私はいいと思うわ。 |
カーリャ | どこがですか~っ ! |
ミリーナ | 真面目で努力家なのはイクスの良いところよ。なんでも挑戦してみればいいと思うの。 |
エドナ | いくらなんでも挑戦しすぎよ。 |
カーリャ | イクスさまがあんな風になったらわたしショックですよ~。 |
イクス | 確かに、銀時さんはめちゃくちゃな人だ。でもこうして、みんな彼のことを気にかけている。きっとついていきたいと思わせる何かがあるんだよ。 |
新八(ヒューバート) | ついていきたいと思わせる何かがある……。 |
沖田 | あ ? 何でィ。 |
新八(ヒューバート) | い、いえ、何でもないです……。 |
土方 | ま、気は乗らねぇがなるべく穏便にアイツらを元の世界に帰す方法を考えるとするか。 |
キャラクター | 3話【オブる ザ レイズ13 クラトスとマダオ】 |
新八(ヒューバート) | 長谷川さん ! いるんでしょ !出て来てください ! |
銀時 | んだよ、また来たのかよ。 |
神楽 | 私らとっても忙しいアル。新八なんかの相手してる暇ないネ。 |
神楽 | 食べても食べてもごはんがなくならないアル。……うぷっ。 |
新八(ヒューバート) | いや、食っちゃ寝してるだけでしょ。 |
新八(ヒューバート) | って、今はアンタらの相手をしてる場合じゃなかった。長谷川さんを出してください ! |
長谷川(クラトス) | え ? 俺 ? |
イクス | そうです。俺たち、あなたに会いに来たんです。 |
ミリーナ | 私たちと話をしましょう ! |
長谷川(クラトス) | やだ、なんか注目されちゃってる ?ちょっと待って髪整えてくるから。あと、グラサングラサン……。 |
新八(ヒューバート) | いや、そういうのいいですから。 |
エドナ | いいからとっとと出て来なさい。じゃないと、この建物ごと地面を陥没させるわよ。 |
ミリーナ | エドナ様はやるといったら本当にやりますよ。たぶん、その時はこのかぶき町ごと壊滅します。 |
イクス | 大変だー。このままじゃかぶき町が壊滅してしまうー。 |
アルヴィン | お前ら……棒読みにもほどがあるだろ。もうちょっとどうにかならないのか。 |
イクス | すまない、他人を騙そうとしてると思うとどうも顔が強張ってしまって……。 |
カーリャ | イクスさま、そういうの苦手そうですもんね。 |
ミリーナ | イクスは正直だから。そこも良いところよ。 |
土方 | あァ、やっぱ面倒くせェ !おい ! さっさと出て来やがれ ! 踏み込むぞ ! |
沖田 | ぶっ壊した方が早ぇな。 |
アルヴィン | だからやめろって !その物騒な武器しまえ ! |
エドナ | ワタシもなんだか面倒になってきたわ。壊していいかしら ? |
アルヴィン | どいつもこいつもなんでそう乱暴なんだよ ! ?オッさん ! 今すぐ出て来てくれ !じゃないと本気でこの町が壊滅するぞ ! |
長谷川(クラトス) | え、なにちょっと怖いんだけど。……わかったよ。行くよ、行けばいいんでしょ。 |
エドナ | ほら、上手くいったでしょ ? |
土方 | 最初っからこうすりゃよかったんだよ。 |
アルヴィン | もういい、わかった……。とりあえずお前たちにはもう何も言わねえよ……。 |
新八(ヒューバート) | ここからが肝心ですよ。僕らは長谷川さんを説得して、自分から帰るって言ってもらわなきゃいけないんですから。 |
長谷川(クラトス) | で、なに ? 俺に話って。 |
新八(ヒューバート) | 長谷川さんは、元の世界に帰りたくないんですか ? |
長谷川(クラトス) | またその話 ? いーよ、もう。あっちにいてもなーんも良いことないし。 |
ミリーナ | でも、元の世界に家族だっているでしょう ? |
新八(ヒューバート) | そうですよ !長谷川さんには奥さんがいるじゃないですか ! |
長谷川(クラトス) | ハツ……。 |
沖田 | まあ、家族つっても別居中だし離婚したら完全に赤の他人ですがね。 |
土方 | バカお前ェ ! 余計なこと言うな ! |
長谷川(クラトス) | ああああああああ ! |
長谷川(クラトス) | そーだよ ! わかってるよ !あいつがいつまでも待ってちゃくれないことは ! |
長谷川(クラトス) | あいつも離婚の手間が省けてせいせいしてるさ !今頃は若い男とよろしくやってるに違いねえんだァ ! |
ミリーナ | 逆効果だったみたいね。 |
沖田 | いやー、打たれ弱い人でしたね。 |
土方 | 完全にお前がトドメ刺したけどォ ! ? |
長谷川(クラトス) | 結局よお、男は甲斐性なんだよ。それから、顔だ。 |
長谷川(クラトス) | いいとこに就職して、冴えない顔はグラサンで隠して仮面をかぶって生きてきたんだ。 |
長谷川(クラトス) | けどよ、仕事もグラサンもなくしちまった。ついでに男のプライドってやつもな。なんにもねえ。なんにもねえんだよ俺には……。 |
カーリャ | 余計に落ち込んじゃいましたよ。 |
エドナ | 面倒な性格しているのね。いじり甲斐もないわ。 |
沖田 | まったくでさァ。 |
土方 | ど、ドSコンビ……。 |
ミリーナ | 人間、生きていたらいくらでもやり直せます。なんにもないなんて言っちゃダメですよ。 |
長谷川(クラトス) | 嬢ちゃんは優しいな。けどよ、俺みたいなオッさんじゃあもう無理だ。 |
長谷川(クラトス) | そうだな、この身体の持ち主……クラトスだっけか。このくらい若くて顔も良けりゃいくらでも……。 |
イクス | いえ、クラトスさんは長谷川さんより年上ですよ。多分。 |
長谷川(クラトス) | え ? そうなの ? |
ミリーナ | 確か、四千年くらい生きてるのよね。 |
長谷川(クラトス) | よ、よよよ四千年 ! ? |
長谷川(クラトス) | なにそれ、どうなってんの ! ? ほんとに人間なの ! ?つーか、この世界ってそれが普通 ! ? |
土方 | マジかよ……。魔法だのなんだのあって普通じゃねえとは思ってたが。 |
沖田 | ってことは、そっちの嬢ちゃんも…… ? |
エドナ | そうね……千三百年くらいは生きてるかしら ? |
沖田 | 何でィ、ババアか。 |
アルヴィン | 馬鹿やめろ ! 命取りになるぞ ! |
長谷川(クラトス) | いったい何者なんだよ、クラトスって人は。 |
イクス | 俺も詳しくは知らないんですが世界を救った伝説の英雄だったとか。 |
長谷川(クラトス) | イケメンで英雄か……俺とは大違いだぜ。そんだけの経歴がありゃさぞや立派な人なんだろうな。今はどんな仕事してんだ ? |
イクス | 仕事と言われると……うーん。 |
ミリーナ | 今は私たちに協力してくれてる仲間ではあるけどそれはやっぱりロイドがいるからよね。 |
イクス | そうだな。クラトスさんは組織とかそういうのに縛られるようなタイプじゃないと思う。 |
長谷川(クラトス) | 何それ、俺とおんなじじゃん……。 |
銀時 | いや、おめーさんは単にクビになっただけだろ。 |
新八(ヒューバート) | 銀さん、いたんですか。 |
銀時 | まあなんかそろそろ映っとかないとこれ何コラボだよって言われるかと思って。 |
神楽 | オッさんばっかじゃ苦情殺到ネ。 |
長谷川(クラトス) | クラトスが気にかけてる、ロイドってのは誰なんだ ? |
イクス | ロイドはクラトスさんの息子ですよ。 |
長谷川(クラトス) | 息子 ! ? 息子までいんの ! ? |
ミリーナ | それも、ずっと生き別れ状態だったからクラトスさんはすごく後悔していたみたい。 |
ミリーナ | でも、最近やっとお互いに父親と息子として話ができるようになったのよ。 |
長谷川(クラトス) | 無職で、バツイチ子持ちってこと…… ?しかも四千歳 ? 俺よりずっと苦労してんじゃん……。 |
イクス | いや、言ってる意味は合ってるけど根本的に何か違うような……。 |
神楽 | よーするにその身体も『マダオ』アルか。 |
カーリャ | 意味はよくわかりませんがなんだかひどいこと言ってるような……。 |
長谷川(クラトス) | 俺は……別の世界に来ても『マダオ』のままなのか。 |
長谷川(クラトス) | いや、そうじゃねえ。まるでダメな親父から抜けだそうとしてる男の人生を俺が奪っちまってるんだ……。 |
新八(ヒューバート) | 長谷川さん……。 |
長谷川(クラトス) | ……決めたぜ。俺は元の世界に帰る。 |
銀時 | おいおい長谷川さん ! 諦めんなよ !諦めたら試合終了ってやつだよ ! |
神楽 | どうせマダオなら楽ちんな方がよくないアルか !どうせマダオなら楽ちんな方がいいアル ! |
新八(ヒューバート) | あんたらほんと最低だな ! |
長谷川(クラトス) | 違うよ、銀さん。諦めたら試合終了じゃない。俺の試合はとっくに終わっちまってるんだ。 |
長谷川(クラトス) | だったら、負けを認めて次に向かって歩き出さなきゃな。 |
長谷川(クラトス) | なあ、頼みがあるんだ。 |
イクス | 頼み、ですか ? |
長谷川(クラトス) | この身体の……クラトスの息子さんに会わせちゃくれねえか ? |
長谷川(クラトス) | 見てみてえんだ。この人が守りたいものってやつをよ。 |
キャラクター | 4話【オブる ザ レイズ14 父子】 |
イクス | あそこで眠っているのが、ロイドです。 |
長谷川(クラトス) | 眠ってるって、なんで ! ? |
イクス | ……わかりません。 |
ミリーナ | みなさんの世界がこちらに具現化した影響で精神に強い衝撃を受けたのかもしれません。 |
長谷川(クラトス) | なんてこった……。俺らのせいだってのか。 |
イクス | それは違います。これは事故だったんです。 |
イクス | それに身体に異常はないそうなのでいずれ目覚めると思います。 |
長谷川(クラトス) | そうか……そいつは良かった。これ以上、この身体の持ち主に迷惑かけるわけにはいかねえからな。 |
アルヴィン | 俺が戻った時、クラトスはロイドに覆い被さるようにして倒れてたよ。きっと咄嗟にかばったんだろうな。 |
長谷川(クラトス) | そうかい。俺はこっちに来てすぐのことはいまいち覚えちゃいねえ。混乱してたからな。 |
長谷川(クラトス) | こんなこと言うのはアレだけど正直、ロイド君の身体に入らなくて良かったよ。 |
長谷川(クラトス) | 自分の息子にこんなダメなおっさんが入ったんじゃきっと、クラトスは心配しただろうからな。 |
ミリーナ | 長谷川さん……。 |
長谷川(クラトス) | やっぱり、どことなく顔立ちが似ているな。 |
ミリーナ | それだけじゃありません。二人とも筋金入りのトマト嫌いでサラダのミニトマトも綺麗に残すんですよ。 |
長谷川(クラトス) | ははっ……そうかい。そいつはいいな ! |
長谷川(クラトス) | 息子が自分に似てるって、どんな気分なんだろうな。誇らしいのか、照れくさいのか……。 |
長谷川(クラトス) | 家族ってのはいいもんだよなァ。俺も、クビにさえなってなきゃ家族をちゃんと養えていたかもしれねえんだよな。 |
ミリーナ | いたかもしれない──じゃなくてこの先そういう未来が来るかもしれない。そう思ってみたらどうでしょう ? |
長谷川(クラトス) | へ……嬢ちゃんは優しいな。 |
長谷川(クラトス) | どうせ「かもしれない」って言葉を使うなら未来に使った方が良いってもんだ ! |
新八(ヒューバート) | 長谷川さん…… ! |
イクス | 戻った……のかな。 |
ミリーナ | 最後、笑ってたわね。 |
アルヴィン | やれやれ、世話のやけるおっさんだったな。 |
長谷川(クラトス) | ここは……。 |
クラトス | …………。 |
長谷川(クラトス) | あんた、クラトス──あ、いや。クラトスさんって呼ぶべきだな。俺なんかよりずいぶん年上だ。 |
長谷川(クラトス) | なあ、クラトスさん……。あんたなら、すぐに身体を取り返せたんじゃないのか ? |
クラトス | …………。 |
長谷川(クラトス) | ……はは、まただんまりかい。まあ、しょうがねえか。俺みたいな情けない男あんたに認めちゃもらえねえだろうな。 |
長谷川(クラトス) | アンタはスゲーよ。四千年も英雄としてがんばってそれで今度は親父としてがんばるってんだからよ。 |
長谷川(クラトス) | それに比べて俺は……。 |
クラトス | 顔をあげるといい。 |
長谷川(クラトス) | え……。 |
クラトス | 自分を卑下するものではない。虚勢だろうが胸を張っていろ。 |
クラトス | 少なくとも、必死に生きようとしている男を私は無様だとは思わぬ。 |
長谷川(クラトス) | クラトスさん……。 |
長谷川(クラトス) | ちくしょう、さすが英雄だぜ……。 |
キャラクター | 5話【オブる ザ レイズ17 なおも続く立てこもり】 |
銀時 | ククク……マダオがやられたようだな。 |
神楽 | ヤツは引きこもり四天王の中でも最弱。四天王の面汚しアル。おばちゃんおかわり ! |
おばちゃん | あいよ。たーんと食べな。銀時さんもいるかい ? |
銀時 | そうねえ、糖分が足りねーな。おはぎとか食いてーなー。 |
おばちゃん | オハギ ? というのは知らないけど。食べたいっていうなら今度調べて作ってあげるよ。 |
銀時 | お、マジで ? |
神楽 | 酢こんぶ ! 酢こんぶをよろしくお願いしますアル ! |
おばちゃん | はいはい。ちゃんと覚えてますよ。それじゃ、またね。 |
神楽 | おばちゃん、また来るアルよー ! |
銀時 | あ、しまった。いちご牛乳も頼んどけばよかった。 |
新八(ヒューバート) | って、オイコラ !アンタら何やってんのォォォ ! |
銀時 | 何って、飯だよ飯。おめーこそ何勝手に入ってきてんだよ。ここは俺らの陣地だぞ。 |
神楽 | かーえーれ、かーえーれ。 |
新八(ヒューバート) | 小学生か ! そうじゃなくて !何ちゃっかり差し入れなんかもらってるのかって聞いてるんです ! |
銀時 | 俺らが頼んだわけじゃねえよ。おばちゃんが持って来てくれんだよ。 |
神楽 | 人の善意は素直に受け取るべきネ。出されたごはんは残さず食べるアル。おかわりも元気よく言うネ。 |
新八(ヒューバート) | オメーはちょっとは遠慮しろォ ! |
土方 | どけ、メガネ !そいつらに何言っても無駄だ !こうなったら力づくで連れ出すぞ ! |
銀時 | んだと、やれるもんならやってみろよ。 |
神楽 | 働いたら負けネ ! |
銀時 | もっと銀さんを甘やかせオラァ ! |
土方 | こ、こいつら…… !クソ、やるぞ総悟 ! |
沖田 | あいよ。 |
沖田 | くたばれ土方あああああ ! |
土方 | って俺じゃねェエエエ ! ! |
カーリャ | きゃあああっ ! ? |
イクス | お、沖田さんなにやってるんですか ! ? |
沖田 | あ、手元が狂ったわ。 |
ミリーナ | 今、思い切り土方さんを狙ったわよね……。 |
カーリャ | くたばれ、って聞こえましたよ……。 |
沖田 | 気のせいでィ。 |
銀時 | ゲホッ、ゲホッ……ちょっとこんなとこでぶっ放すなんて真選組の教育どーなってんのォ ! ? |
沖田 | だから、ちゃんと外に向けて撃ったじゃねーですかィ。土方の野郎、思いっきり吹っ飛んでいきやがった。 |
沖田 | このままおっ死んでくれりゃ証拠隠滅の手間が省けて一石二鳥なんですがね。 |
ミリーナ | 沖田さんって、土方さんの仲間なんですよね…… ? |
新八(ヒューバート) | 気にしないでください。この二人はいつもこうですから。 |
カーリャ | 結局また説得どころじゃなくなっちゃいましたね。 |
沖田 | まったく、あの二人の強情さにもまいるねェ。 |
新八(ヒューバート) | アンタのせいだよ ! おもに ! |
沖田 | 土方さんの犠牲を無駄にしねえためにもしっかり気持ちを切り替えていこうぜィ ! |
新八(ヒューバート) | アンタほんとに神経図太いな ! ? |
エドナ | どう ? 説得は上手くいったのかしら。 |
イクス | 上手くいくもなにも、それどころじゃなくて。それで、クラトスさんの様子は ? |
エドナ | ロイドやクレスと同じよ。眠っているわ。 |
エドナ | それと、さっきワタシのところに見覚えのある黒服の人間が飛んできたわよ。危なかったから撃ち落としちゃったけど、あなたたちの仕業かしら ? |
新八(ヒューバート) | うわああああ土方さんんんん ! ! |
沖田 | いやあ、嬢ちゃんなかなか良い仕事するねィ。 |
エドナ | 褒めても何も出ないわよ。ああ、そうだ。アルヴィンを見なかった ? |
カーリャ | アルヴィンさまですか ? こっちには来てませんよ。 |
エドナ | そう……。あの男、ワタシにいろいろと押しつけていったいどこに消えたのかしら。 |
カーリャ | そういえば、しょっちゅういなくなりますね。どこで何をしてるんでしょうか。 |
イクス | アルヴィンさんにはアルヴィンさんの考えがあるんだよ。 |
イクス | それより、いったん真選組の詰所に戻ろう。もう一度説得の方法を考え直さないと。 |
ミリーナ | あら、あれは……。 |
おばちゃん | あらまあ、あなたたち。銀時さんとのお話は終わったの ? |
ミリーナ | 終わったというか終わらざるをえなかったというか……。 |
ミリーナ | あの、おば様はアーキタイプの方ですよね ?ああやってずっと、差し入れをしてるんですか ? |
おばちゃん | 頼まれちゃったからねえ。アルヴィンちゃんに。ゲストたちは困ってるだろうから面倒みてやってくれって。 |
カーリャ | アルヴィンさまが、頼んだ…… ? |
イクス | いつの間にそんなことをしてたんだろう。 |
沖田 | 問題はそこじゃねえよ。旦那たちが帰りたがらねえ原因がそいつにあるってことだろ。 |
イクス | 確かにそうかもしれないけど。アルヴィンさんがどうして……。 |
沖田 | さてね。お前らの方が付き合いが長ぇんだ。何か心当たりがあるんじゃねーかィ ? |
イクス | …………。 |
ミリーナ | イクス、ここで考えていても仕方ないわ。いったん詰所に戻りましょう。 |
土方 | 総悟はどこ行きやがった ! |
イクス | ええと、屯所の前で急に「用事を思い出した」って。 |
土方 | あいつ、逃げやがったな。 |
ミリーナ | 銀時さんたちを説得することはできなかったわね。 |
カーリャ | もうすっかりこっちに馴染んじゃってますよね。いっそのこと、望み通りにしてあげたらどうですか ? |
ミリーナ | ……そうね。考えてみれば、本人が残りたいというのを無理に追い返す必要もないのよね。 |
イクス | それって銀時さんが俺たちの仲間になるってことか ?それは確かに心強いな。 |
新八(ヒューバート) | そんなのダメですよ ! |
新八(ヒューバート) | そんなの……ダメです。僕は嫌だ。そんなの……。 |
イクス | 新八さん……。 |
新八(ヒューバート) | 僕、もう一度、銀さんたちを説得しに行ってきます。 |
土方 | それはいいが、できんのか ? てめえに。 |
新八(ヒューバート) | わかりません。でも、行かなきゃ。僕には、二人に言わなきゃいけないことがある。 |
イクス | 俺も一緒に行くよ。新八さん。 |
新八(ヒューバート) | はい……。 |
新八(ヒューバート) | 銀さん、神楽ちゃん、聞いてますか ? |
銀時 | あァ ? 何だまた来たのかよ。しつこいやつだね、お前も。そんなんだからモテねーんだ。 |
神楽 | 私たち帰らない言ってるネ。おとといきやがれヨ。 |
新八(ヒューバート) | 二人の気持ちはわかりました。だから、今度は僕の気持ちを聞いてください。 |
銀時 | んだよ、未成年の主張か ?やめろやめろケツが痒くならァ。 |
新八(ヒューバート) | ちがいます ! 僕は…… ! |
新八(ヒューバート) | 銀さん、前に言いましたよね。新八も帰りたくないんじゃないかって。あれは図星です。確かに僕は帰りたくないです。 |
新八(ヒューバート) | だって、銀さんや神楽ちゃんのいない万事屋に帰っても意味がないから……。 |
新八(ヒューバート) | この間、イクス君が言ってたんです。銀さんはめちゃくちゃだけど、ついていきたいと思わせる何かがある、って。 |
新八(ヒューバート) | その通りですよ。じゃなきゃ、ろくに給料もくれない万事屋なんかで誰が好き好んで働くんですか。 |
新八(ヒューバート) | 僕は、銀さんがいて神楽ちゃんがいて定春もいてそういう万事屋に帰りたいんです ! |
銀時 | 新八、お前……。 |
新八(ヒューバート) | うわわっ ! ? な、何だこれ ! |
イクス | 地震…… ! ? |
エドナ | 違うわ。この感じ……。 |
カーリャ | ……なにか来ますよ ! |
ミリーナ | 魔物 ! ? こんなにたくさん ! |
イクス | 新八さん、悪いけど説得は中止だ。今はあの魔物を退治しないと ! |
新八(ヒューバート) | ええ、わかってます ! |
沖田 | そういうことなら一暴れするかねィ。 |
土方 | てめえ、総悟 !こういう時だけ調子よく現れやがって ! |
沖田 | 土方さん。よそ見してる場合じゃないでしょう。 |
土方 | クソっ ! |
キャラクター | 6話【オブる ザ レイズ18 真相】 |
土方 | 化け物め、とっととくたばりやがれ ! |
沖田 | どうやら、こいつで全部みたいですね。 |
土方 | ちっ、なんだってんだ。ここじゃしょっちゅうこんな化け物が出やがるのか。 |
イクス | いいえ、アークはワイズマンの力で守られている。こんな風に魔物が現れることはほとんどない。 |
土方 | つまりは異常事態ってわけか……。 |
クラトス | その通りだ。 |
イクス | クラトスさん ! 目が覚めたんですね ! |
クラトス | ああ、面倒をかけたようだな。 |
カーリャ | よかったぁ、いつものクラトスさまです。 |
ミリーナ | 長谷川さんも楽しい人だったけどやっぱり私たちには今の方が落ち着くわね。 |
土方 | これが、本来の性格ってやつか。あいつとは正反対だな。 |
沖田 | 確かに、こっちの方がなんとなくしっくりくらァ。 |
イクス | クラトスさん、さっきの口ぶり……何か知ってるのか ? |
クラトス | 彼らは、本来ワイズマンが呼ぼうとしていたゲストではない。 |
ミリーナ | それは、アルヴィンさんから聞いたわ。 |
クラトス | そうか。アルヴィンがな……。 |
クラトス | 違ったゲストが来てしまったのはワイズマンにも予想外だったらしい。 |
クラトス | おまけに現出したのは町ごとだ。その余波も凄まじいものだった。ワイズマンがいなければ我々も無事ではすまなかっただろうな。 |
クラトス | おそらく巨大な存在が現出したことで次元に亀裂ができたのだろう。魔物たちがなだれ込んできた。 |
クラトス | 昏倒したロイドたちを守りなんとか魔物を倒した。だが、すぐに私も意識を失った。 |
クラトス | その時、薄れゆく意識の中で見たのだ。倒れたワイズマンとその傍らにいるアルヴィンの姿を。 |
イクス | アルヴィンさん…… ! ? |
クラトス | そこにいるのだろう。出てきて、説明をしてもらおう。 |
アルヴィン | あーあ、バレちまってたのか。上手くいってると思ってたんだがな……。 |
イクス | アルヴィンさん ! 今までどこに行ってたんですか。 |
アルヴィン | すまん。ちょっと野暮用ってやつだ……。 |
エドナ | ずいぶん歯切れが悪いのね。 |
クラトス | あの時、ワイズマンと何を話した ? |
アルヴィン | それは……。 |
土方 | おいおい、もめ事か ?そっちも仲間内に物騒なの飼ってやがるのか。 |
イクス | そんなことない。アルヴィンさんは悪い人じゃない。 |
エドナ | 隠し事は多いみたいだけどね。 |
イクス | それでも、隠すからには理由があるはずだ。 |
おばちゃん | アルヴィンちゃんは私たちのために残ってくれたのよ。 |
ミリーナ | あなたは、銀時さんのところに差し入れをしていた……。 |
おばちゃん | ワイズマンが動けないから、さっきみたいに次元の亀裂から魔物たちが溢れたら私たちアーキタイプが危険にさらされる。 |
おばちゃん | だからアルヴィンちゃんが、ずっと町を見回りしてくれていたのよ。 |
イクス | だったら、最初からそう言ってくれればいいのに。俺たちだって協力しましたよ。 |
アルヴィン | 黙っていたのは悪かったよ……。 |
アルヴィン | だが、アーキタイプたちを助けたいってのは俺の想いで、俺の問題だ。 |
アルヴィン | お前らを巻き込むわけにはいかねえよ。 |
アルヴィン | ワイズマンは、眠ってしまう前に俺に言ったんだ。いつでもアジトへ戻れるように扉を用意したって。いざとなれば、そこから逃げてくれってな。 |
アルヴィン | お前たちがゲストを元の世界に帰してる間に俺は俺で魔物どもをどうにかするすべを見つけようと思った。 |
アルヴィン | ……そんなもの見つけられなかったがな。 |
アルヴィン | 要するに、俺はお前らに時間稼ぎを押しつけてなんとか自分で解決しようとしたんだ。 |
アルヴィン | 情けねえ。上手く立ち回ったつもりで結局、俺一人じゃなにもできなかった。 |
クラトス | 何を恥じ入ることがある。 |
クラトス | 大切な者を守るため、時に非情になるのは決して卑怯なことではないだろう。 |
イクス | クラトスさんの言う通りだ。俺は、騙されたなんて思ったりしないよ。 |
アルヴィン | イクス……すまん。 |
イクス | だから謝らないで下さいって。 |
エドナ | それにしても、アルヴィンはいつの間にアーキタイプたちと親しくなったの ? |
おばちゃん | アルヴィンちゃんは、アークに来る度に顔を出してくれるのよ。そちらの世界のいろんな話をお土産にね。 |
おばちゃん | アーキタイプは、皆疲れ切っているから。アルヴィンちゃんの楽しいお話がいつも楽しみなのよ。 |
カーリャ | 確かに、アルヴィンさまはお話が上手ですよね ! |
ミリーナ | 今度、私たちにも聞かせてもらいましょうか。 |
アルヴィン | ああっ、くそ !頼むからそれ以上いじめないでくれ。 |
土方 | やれやれ、雨降って地固まるってやつかね。 |
沖田 | おや、土方さん。ちょっと感動しちゃったりしてます ? |
土方 | うるせェ ! んなわけねーだろ ! |
新八(ヒューバート) | イクス君にも大事な仲間がいるんですね。 |
イクス | ああ。新八さんと同じだ。 |
カーリャ | また来ますっ !今度はもっと大きくて、たくさん…… ! |
土方 | やべーな、こりゃ。町の奴らを避難させる暇もねえぞ。 |
イクス | いけない ! ロイドとクレスがまだ学園に ! |
クラトス | くっ…… ! 数が多すぎる。この人数で、突破できるか……。 |
? ? ? | そこのみなさん、何かお困りですか ?でしたらこの万事屋が、特別価格で力になりますよ。 |
? ? ? | 出血大サービスアル ! |
新八(ヒューバート) | その声は…… ! ! |
新八(ヒューバート) | 銀さん ! 神楽ちゃん ! |
銀時 | ったく、新八の恥ずかしい告白を聞かされたかと思えば、今度はそっちのタレ目野郎の告白ときた。さすがの俺でも甘ったるすぎて胸やけがしてくらあ。 |
銀時 | つーわけで、いっちょここらで運動してカロリーを消費しておかねーとなあ。 |
神楽 | 準備ばっちりネ ! |
土方 | けっ、カッコつけやがって。最初っから手伝うって言やあいいんだ。 |
沖田 | 万事屋の旦那も素直じゃねえや。 |
銀時 | おい、イクス !てめえの仲間のとこまで突っ走るぞ ! |
イクス | ああ、行こう ! |
キャラクター | 7話【オブる ザ レイズ19 共闘】 |
新八(ヒューバート) | うわあァァ !魔物がうじゃうじゃいますよ ! |
クラトス | 私が道を開く……葬翼絶聖翔 ! |
イクス | 今だ ! 進むぞ ! |
イクス | ワイズマン ! |
ミリーナ | どういうこと ? ロイドとクレスしかいないわ。ワイズマンはどこに行ったのかしら。 |
土方 | のんびり考えてる時間はねえぞ !また化け物どもが押し寄せてきてる ! |
沖田 | さっさとお仲間連れて逃げるぜ ! |
イクス | 逃げる……でも、どうやって。ワイズマンの行方だって気になるし……。 |
アルヴィン | そのワイズマンが脱出手段を用意してくれてんだ。とにかくそこに向かうしかないだろう ! |
銀時 | そうと決まりゃ、さっさとずらかるぞ ! |
神楽 | お宝はいただいたアル ! |
アルヴィン | お、お前ら……。 |
銀時 | なーに見てんだ。てめえも母ちゃんにおんぶされたことくらいあるだろうが。いいから、さっさと案内しやがれタレ目野郎 ! |
神楽 | グズグズしてると置いてくアル ! |
アルヴィン | 偉そうに……そんな状態でちゃんと着いてこれるのか ?遅れたら承知しねえぞモジャモジャ ! |
銀時 | うるせーよ ! |
ミリーナ | イクス ! 魔物が集まってきてるわ ! |
イクス | よし、脱出だみんな ! |
銀時 | ぬおおおおりゃあああああああ ! |
神楽 | どりゃあああああああああああ ! |
イクス | 銀時さん、すごいな…… ! |
新八(ヒューバート) | あの人はいざとなると誰よりも頼りになるんですよ !普段はマダオですけどね ! |
アルヴィン | ワイズマンの用意した扉はこっちだ ! |
土方 | 後ろは任せろ !一匹たりとも近づけさせやしねえ ! |
沖田 | 全員ぶった斬りゃいいんでしょ。 |
エドナ | 最後尾なんて、損な役回りだわ。 |
土方 | そいつは違うな。俺たちの世界じゃ見せ場って言うんだよ ! |
エドナ | 男どもはすぐそういうことを言うから面倒よ。 |
ミリーナ | でも、頑張ってかっこつけてる男の子はとっても可愛いと思うわ。 |
クラトス | ……フ。 |
カーリャ | あれ ? 今、クラトスさま笑いました ? |
クラトス | 少し、昔を思い出しただけだ。共に戦う仲間か……。 |
アルヴィン | 見えたぞ ! あそこだ ! |
銀時 | 飛び込めェェェ ! |
神楽 | うおりゃあああああ ! |
イクス | なんとか、逃げ切れた……。 |
カーリャ | あー。カーリャもうヘトヘトですよお。 |
アルヴィン | …………。 |
イクス | アルヴィンさん ? どうしたんだ。 |
アルヴィン | イクス、俺は……。 |
銀時 | 戻りてーんだろ ? |
アルヴィン | ……っ ! |
銀時 | 戻って、町の連中を助けてーんだろ。だったらそう素直に言やいいんだよ。 |
アルヴィン | だが、俺の都合で皆を危険にさらすことになる。 |
銀時 | めんどくせェ野郎だな。危険にさらす ? だったらどうだってんだ。 |
銀時 | いいじゃねぇか、おんぶにだっこでもよ。貸した借りたなんて、めんどくせェこと考えんな。てめーがどうしたいかだけ考えろ。 |
銀時 | ひとこと言えばいいんだよ。「行くぞ ! 」ってな。 |
アルヴィン | ……あー、くそっ !これ以上てめえに説教されんのはごめんだ。 |
アルヴィン | 後で文句言うんじゃねーぞ !行くぞ ! モジャモジャ ! |
銀時 | しょうがねーな、手伝ってやるぜタレ目野郎 ! |
キャラクター | 8話【オブる ザ レイズ20 お別れ……?】 |
アルヴィン | くらいな ! 咆牙地連陣ッ ! |
銀時 | ほぉ~、意外とやるじゃねぇか。 |
アルヴィン | そっちもな。 |
カーリャ | 銀時さまとアルヴィンさまなんだか息ピッタリになってきましたね ! |
ミリーナ | ほんと、なんだか兄弟か腐れ縁の友達みたい。 |
新八(ヒューバート) | それ、本人たちが聞いたらきっと嫌がりますよ。 |
イクス | 確かに。でも……俺もミリーナと同じ感想だよ。 |
土方 | ちっ、後から後からウヨウヨ湧いて来やがる。 |
沖田 | こりゃ斬っても斬ってもキリがねえや。 |
クラトス | 避難の方はどうだ。 |
エドナ | アークの人たちは避難したわよ。あとはワタシたちだけね。 |
エドナ | まあ、避難できるような状況じゃないけど。 |
カーリャ | また来ますよ !今度は……すごく大きいです ! |
神楽 | 裂け目から、でっかいのが出てきたアル ! |
新八(ヒューバート) | あれが親玉ですか…… ? |
ミリーナ | ええ、きっとそうだわ。 |
イクス | もしかして、あいつがずっとこっち側に出てこようとしてたから亀裂が閉じなかったのか。 |
銀時 | だったら、あのデカブツを片付けりゃいい。それでぜんぶ解決だ。 |
アルヴィン | 簡単に言いやがって。できるのかよ、そんなこと。 |
銀時 | できるかできないかじゃねえ。やるしかねえだろ。 |
銀時 | それにな、古今東西ああいうデカブツなラスボスは勇者たちに退治されるって相場が決まってんだよ ! |
土方 | 自分で勇者とか言いやがった。 |
沖田 | 意外とノリノリでさァ。 |
新八(ヒューバート) | なんだかんだで、熱いところもあるんですよ。熱心なジャンプ愛読者ですからね。 |
イクス | やろう、みんな。あいつを倒してアークを守るんだ ! |
カーリャ | イクスさまもノリノリです。 |
ミリーナ | そこがイクスのいいところなのよ。 |
新八(ヒューバート) | やったァ ! 親玉を倒した ! |
銀時 | これにて一件落着ってやつだな。 |
エドナ | ちょっと待って。亀裂が閉じてないわ。いえ、むしろ……。 |
新八(ヒューバート) | 親玉の身体が亀裂に挟まっちゃってますよォ !これじゃあ穴が閉じられないじゃないですか……。 |
銀時 | 何イイイイ ! ? |
アルヴィン | おい、どうするんだよアレ !責任持ってどうにかしろ ! |
銀時 | 何で俺のせいなんだよ !トドメ刺したやつがやれよ ! |
神楽 | 親玉にトドメ刺したの銀ちゃんネ。 |
アルヴィン | やっぱりお前じゃねえか ! |
エドナ | なんなの、この締まらない感じ。 |
イクス | いや、でもほんとにどうしようアレ……。 |
ミリーナ | みんなで力を合わせて押してみるとか ? |
土方 | あーあ、どーすんだよ。 |
沖田 | 旦那ァ、何とかしてくだせェ。 |
銀時 | んだよ、わかったよ ! やりゃいーんだろ !責任持って押し込んでやるよ ! |
新八(ヒューバート) | ちょっ、銀さんなにを── |
銀時 | うおおおおお、行くぜええええ ! !魔鏡技ドロップキックウゥゥゥゥ ! ! |
カーリャ | わあっ、やりました !魔物の身体が亀裂の向こうに ! |
エドナ | ……でもその勢いのせいであいつまで落っこちそうになってるわよ。 |
銀時 | ぎゃああああ ! お、落ちるううううう !助けてええええええええ ! |
神楽 | 銀ちゃん、カッコ悪いアル。 |
坂田 銀時 | いいから助けろォ ! |
アルヴィン | 俺に掴まれ ! モジャモジャ ! |
銀時 | タレ目野郎…… ! |
アルヴィン | お前にくたばられると── |
アルヴィン | 寝覚めが悪いんだよおおおお ! |
銀時 | ……はぁっ、はぁ……し、死ぬかと思ったあぁぁぁ……。ありがとよ…… 。 |
アルヴィン | ……そりゃあこっちの台詞だよ、銀時。 |
イクス | ……ぷっ。 |
イクス | あはははははっ…… ! |
新八(ヒューバート) | イクス君…… ? |
イクス | こんな、無茶苦茶なのっ……初めてだ……あはははっ ! |
カーリャ | こんなに大笑いしてるイクスさま初めて見ました……。 |
ミリーナ | 私も、すごく久しぶり。 |
エドナ | いつまでも笑ってる場合じゃないわよ。まだ亀裂は塞がってないんだから。 |
クラトス | このまま放置すれば、また魔物が溢れ出す。 |
アルヴィン | そ、そいつはマズい。なんとかしねーと…… ! |
ワイズマン | ご心配には及びません。私が責任を持って閉じますから。 |
イクス | ワイズマン ! |
ワイズマン | 皆様、ご迷惑をおかけしました。そしてアークのために力を貸していただきありがとうございます。 |
ワイズマン | 誤って呼びだしたゲストの方々もすぐに元の世界へお返しします。 |
イクス | そうか、これで……。 |
新八(ヒューバート) | 今度こそ本当に一件落着ですね ! |
アルヴィン | だが、魔物どものせいで町の中はぐちゃぐちゃだ。これじゃ、アーキタイプたちも困るだろう。 |
アルヴィン | なあ、その……復興を手伝ってやりたいんだ。みんなの力を貸してくれないか ? |
イクス | ああ、もちろん。みんなもいいよな ? |
エドナ | 仕方ないわね。 |
土方 | ま、乗りかかった船だしな。最後まで手伝ってやるよ。 |
アルヴィン | モジャモジャ、もう少し手伝っていけ。万事屋なんだろ ? |
銀時 | けっ、料金は高えぞ。 |
ロイド | ──みんなから聞いたよ、大変だったみたいだな。 |
クラトス | ……大したことはない。 |
ロイド | ずっと寝てたなんて、みんなにもクラトスにも迷惑かけちゃったな。 |
クラトス | 仕方ないことだ。むしろ、私の方こそおまえを守れずすまなかった。あの男……私に憑依していた者のことを笑えんな。 |
クラトス | 父親として、私はまだ何も成せてはいない。実に情けない。そういう男を確かマダオとか言ったか。 |
ロイド | ……いや、そんなことないさ。あんたはマダオなんかじゃないよ。……父さん。 |
クラトス | ロイド……。 |
新八(ヒューバート) | さてと。片付けも一通り終わりましたし僕はそろそろ帰らなきゃ……。 |
イクス | 新八さん……いろいろありがとう。 |
新八(ヒューバート) | ありがとうだなんて、僕は何もしてませんよ。むしろこっちが感謝してるくらいです。 |
新八(ヒューバート) | ああ、そうだ。この身体の持ち主にも僕の代わりにお礼を言っておいてくれませんか。 |
イクス | はい、任せて下さい。 |
新八(ヒューバート) | それじゃ銀さん、神楽ちゃん。先に帰って待ってますよ。 |
新八(ヒューバート) | では皆さん、お世話になりました ! |
ミリーナ | 行ってしまったみたいね。 |
銀時 | そんじゃ、俺たちもさっさと帰るとするか。あいつだけに万事屋任せるわけにはいかねぇからな。 |
神楽 | 新八寂しくて泣いちゃうネ。 |
土方 | 俺たちもそろそろ戻るか。近藤さんも隊士たちも待ってるからな。あいつら、俺がいねーとすぐサボりやがる。 |
沖田 | ここぞとばかりに土方さんの悪口大会でしょうねィ。 |
銀時 | じゃあな、イクス。お前もまあ……適当にがんばれや。 |
ミリーナ | ……あっさりしたお別れだったわね。 |
カーリャ | ですねぇ……。 |
アルヴィン | きっと湿っぽいのは苦手なんだよ。 |
エドナ | これでやっと静かになるわ。 |
イクス | 適当にがんばれ……か。 |
ミリーナ | なにか、わかった ? |
イクス | いや……俺にはあんな生き方できそうにないよ。下手に真似するより、今の自分を磨くことにする。 |
ミリーナ | そうね。イクスはイクス。銀時さんは銀時さんよね。 |
イクス | ああ……俺たちも帰ろうか。 |
イクス | ふぅ、やっと戻ってこれたな。 |
カーリャ | もうずいぶん長い間アークにいた気がします。 |
ミリーナ | ほんの数日なんだけどね。 |
銀時 | よお、遅かったなー。 |
イクス | ……って、銀時さん ! ? |
ミリーナ | ど、どうしてここに ? |
銀時 | あー、シャドウっつーの ? |
銀時 | こっちに残ってもいいなっつー俺がいてそれをどうにかこうにかアレした半身だとかワイズマンに説明されたが、よく分かんねぇわ。 |
銀時 | まあ、元の世界の俺は俺のままらしいから問題ないんじゃね ? |
ミリーナ | シャドウ、ということは私たちと銀時さんたちの間になんらかの絆が生まれたということなのね。 |
銀時 | そうそう、俺たちだけじゃねえよ税金泥棒のあいつらもだ。 |
銀時 | つーわけで、ここでお世話になりまーす。 |
神楽 | よろしくヨ !とりあえずお腹すいたネ、ごはん食べるアル ! |