Tales of the Rays Transcript

キャラクター	1話【異邦にて1 街の噂】
ルカ	ちょっと、イリア！それ僕の！
イリア	はむっ……もぐもぐ……
ルカ	ああっ、食べちゃった～……
イリア	はっへ、いふはへほおはあひのほっへ──
スパーダ	おいおい、飲み込んでからしゃべれよ。
イリア	もぐもぐ……ごくん。
イリア	だって、いつまでもお皿に残ってるんだもん。いらないのかと思ったじゃない。
ルカ	大好物だから最後にとっておいたんだよ！ていうか、昨日も同じことしたよね？
イリア	そうだっけー？あ、アンジュ、お代わりちょうだい。
アンジュ	イリア、人のものまで食べるなんて意地汚いわよ。それに、そんなに食べて大丈夫？
イリア	さっさと食べないのがいけないのよ。最近お腹すくのよね～。育ち盛りってやつ？
スパーダ	…………。
イリア	む、なによスパーダ。そんな顔してもあげないわよ。
スパーダ	ちげーよ。なんか似てきたなと思って。
イリア	似てきた？誰が誰に？
スパーダ	お前が、コーダに。
イリア	んなあっ！？
コンウェイ	おや、面白い顔をしているねイリアさん。新しい遊びかなにかかな？
イリア	ちっがうわよ！スパーダが変なこと言うから呆れてたの！
アンジュ	でも、イリア。あなた最近、食欲旺盛すぎるわよ？
イリア	ぐはぁっ！？あ、アンジュまで……。
コンウェイ	なら、ちょうどいい。少し遠出して運動してみてはどうかな？
ルカ	遠出って、何かあったの？
コンウェイ	うん、イクスくんから少しばかり面白い話を聞いてね。ある街が、独自に武装組織を配備したというんだ。
スパーダ	武装組織？軍隊ってことか？
コンウェイ	さて、そこまでの規模なのかは不明だね。だからこそ調査したいというのもあるけど。
コンウェイ	でも、一番重要なのはその武装組織の中にリカルドという名前の傭兵がいるらしいってことだ。
ルカ	リカルド！？
アンジュ	それって、あのリカルドさんなのかしら？
コンウェイ	さあ、わからない。ボクたちが行って直接確かめるのが確実じゃないかな。
スパーダ	リカルドを知ってるのはオレたちだけだもんな。……よし！んじゃ、さっそく行ってみようぜ！
コンウェイ	じゃあ決まりだね。すでにイクスくんたちには話してあるから、すぐに出られるよ。
イリア	何よ、ずいぶんと用意がいいじゃない。
コンウェイ	仲間想いのキミたちならそうするだろうと思ってね。それで、イリアさんも同行するのかな？
イリア	い、行くわよもちろん！だけど、別にダイエットのためとかじゃないから！

キャラクター	2話【異邦にて3 自警団】
ルカ	ここが、リカルドのいる街かあ……。
コンウェイ	まだ、本人だと決まったわけではないけどね。
スパーダ	にしても、みんな変わった服着てるな。
ルカ	アシハラの人たちが着てた服に、少し似てる気がする。なんていうか、２つの様式が混じったみたいだ。
コンウェイ	さすがはルカくん。素晴らしい着眼点だ。
コンウェイ	ボクが思うに、ビフレスト様式をベースにセールンド様式が取り入れられたんだろうね。
コンウェイ	しいて呼ぶなら、モダンビフレスト様式とでもいったところか。実に興味深いね。
スパーダ	なるほどな。コンウェイはこれが見たくてこの調査を引き受けたのか。
コンウェイ	もちろん、リカルドさんのことも気になっているのは本当だよ。
アンジュ	私は気に入ったわ。ちょっと着てみたいかも。
イリア	そう？なんか動きにくそうな服じゃない？そんなことより、さっさとリカルドを探しましょうよ。
ルカ	そうだね。じゃあ、街の人に話を──
街の人	コーダ様だ！
スパーダ	コーダ…… ！？
イリア	様ぁ…… ！？
コーダ	みんな元気か、しかし。
果物売り	コーダ様の大好きな果物です。今日もたくさん採れましたよ。
コーダ	うむ、くるしゅうないぞ、しかし。
カフェの店員	コーダ様の好きな果物でジュースを作ってみました！ぜひ、飲んでみてください！
コーダ	ジュルル……甘くてすごく美味しいな！しかし！
若い女性	きゃーっ！コーダ様、今日も可愛いっ！
アンジュ	なんだか大人気ね。
スパーダ	大人気なんてもんじゃねェだろ。まるで王様じゃねェか。
コンウェイ	リカルドさんを捜しに来て先にコーダを見つけるとは思わなかった。
ルカ	どうなってるんだろう、この街……。
イリア	どうもこうもないわよ。ちょっと行って、話してくるわ。
ルカ	あ、イリア！
イリア	こぉらコーダ！
コーダ	その声は……
コーダ	イリア！イリアなのか、しかし！会いたかったぞー、しかし！
イリア	なーにが会いたかったよ。ずいぶんいいご身分みたいじゃない？
コーダ	コーダはこの街の守り神だからな。毎日うまいものがたくさん食えてうれしいぞ、しかし。
イリア	守り神ぃ？あんたが？
コーダ	そうだぞしかし！神様の御使いなのだ、しかし！
アンジュ	あら、神様の御使いだなんて、コーダは立派になったのね。
スパーダ	いや、なんかの間違いだろ。
コーダ	おお！みんなもいるのか。みんなにも会いたかったぞ、しかし！
ルカ	僕たちもだよ。コーダはいつからこっちの世界にいるの？
イリア	んなことはどーでもいいのよ！あんた調子にのりすぎ！帰るわよ！
コーダ	嫌だぞ！離せイリア。
イリア	はあ！？
コーダ	美味しい果物はあるし、街の人は優しいしここは天国みたいだなー、しかし。
コーダ	コーダはしばらくここにいるんだな。しかし。イリアはたまに会いに来てくれればいいぞ、しかし。
イリア	あんったねぇ…… ！
スパーダ	コーダよ、お前今さっきイリアに会いたかったって言ってたんじゃねェのかよ？
コーダ	それはそうなんだな。でも、こうして会えたからもう大丈夫なんだな、しかし。
コーダ	ここにいれば腹いっぱい食えるんだな、しかし。イリアといてもひもじいだけなんだな、しかし。
ルカ	コ、コーダ！イリアはずっと心配してたんだよ。そんなこと言わないで一緒に行こうよ。
イリア	ルカ！そんな奴ほっときなさい！
イリア	なんの苦労もせずに甘やかされてる奴なんて大嫌い！コーダ、あんたもう帰ってこなくていいわよ！
コーダ	ひどいぞー、しかし！コーダだって苦労したんだぞー、しかし！
アンジュ	……イリア、落ち着いて。気持ちはわかるけどちょっと言いすぎじゃない？
街の人	おい、なんだあんたら。
果物売り	おお、そうだ。コーダ様に失礼じゃないか。
若い女性	そうよ、コーダ様が可哀想だわ！
イリア	な、なによなによ、なんなのよ…… ！
キュキュ	みんな、どした！なにか騒ぎか！？
コンウェイ	キミは……
ルカ	キュキュさん！？
アンジュ	まぁ！次々と懐かしい顔と再会するわ。
スパーダ	つーか、この街にいるのはリカルドのおっさんだけじゃなかったのかよ？
リカルド	なんだ、騒ぎを起こしているのはお前たちか。
スパーダ	うおっ！？出た！
リカルド	人を魔物か何かのように言うな。お前たちこそ、どうしてこんなところにいる？
ルカ	僕たち、リカルドを捜しに来たんだ。あとはこの街に武装組織が配置されたって聞いて……。
リカルド	……なるほど。
キュキュ	ルカ！イリアにアンジュ、ヘンな帽子も！キュキュ、またみんなと会えてうれしい！！
キュキュ	……と、コンウェイも。
コンウェイ	相変わらずだね、キミも。元気そうで何よりだよ。
街の人	あの～、キュキュさんたちの知り合いですか？この人たち、さっきからコーダ様に失礼な態度を……。
キュキュ	あう……ルカ達は仲間。でもこの街のルール破った。リカルド、どうすればいいか？
リカルド	そうだな、神の御使いに無礼を働いたのだから、お前たちを『不敬罪』で捕らえる。
ルカ	そ、そんなぁ……僕たちなにもしてないよ！
スパーダ	そうだぜ！悪いのはそこのイリアだって！オレたちは無実で無関係！
イリア	ちょっと、スパーダあんたねぇ！
コンウェイ	なにやら思っていたのとは違う再会になりそうだね。
アンジュ	ええ、でもきっとなるようになるわよ。
リカルド	……うるさくてかなわんな。お前たち、さっさと連行しろ。
自警団たち	はっ！承知しました！
イリア	リカルドー！おぼえてなさいよー！

キャラクター	3話【異邦にて4 罰則】
イリア	ちょっとどういうつもり！？あたしたちを牢屋に放り込むなんて！
アンジュ	そうよね、一緒に旅にした仲間に、この扱いはひどいと思うわ。
スパーダ	そうだぜ！ひどいぜ、おっさん！
リカルド	場所を移す口実が必要だっただけだ。ここなら落ち着いて話ができる。
ルカ	それなら、本当に牢屋に入れなくてもいいんじゃ……。
リカルド	うちの部下たちが張り切っていたからな。止めるのも可哀想だろう。
スパーダ	いや、可哀想なのは投獄されてるオレたちのほうだろ！
キュキュ	でも、みんな元気でよかた！変わりないか？ちゃんとごはん食べてるか？
アンジュ	格子越しに言われると微妙な気持ちね……。ええ、変わらず元気にしてたわ。
キュキュ	それはよかた！確かにアンジュ、変わらず大きい。
アンジュ	うっ…… ！キュ、キュキュさん？それはどういう……。
ルカ	え、えーっと！二人ともどうしてここに？街の人たちが言ってたことは一体何なの？
イリア	そーよ！コーダ様コーダ様って、みんなどうかしてるわよ！
リカルド	だから落ち着け。説明してやる。
キュキュ	キュキュたち、この街の人に世話になた。だから、ここでみんなを守る仕事してる。
リカルド	要するに雇われの自警団だ。
リカルド	キュキュは帝国から逃げてさまよっていた所を街の住民に保護してもらったらしい。
リカルド	俺はたまたま街が魔物に襲われていたのを助けたんだ。それで町長に頼まれてな、こうして警護している。
ルカ	じゃあ、コーダも？
リカルド	いや、コーダは俺たちより先にこの街にいた。街の住人が言うには『神の御使い』らしい。
イリア	なぁ～にが『神の御使い』よ！アレは草の根まで食い尽くすイナゴみたいなもんよ。
アンジュ	でも、コーダの一族も元は天界にいたのだから神様と言えなくもないんじゃない？
コンウェイ	一理あるね。見る人によっては彼に後光が差して見えるのかもしれない。
リカルド	話が逸れているぞ。まったく、どこにいてもお前たちは変わらんな
キュキュ	懐かしい。キュキュ、みんなとの旅、大事な思い出。また会えて嬉しい！
キュキュ	ルカ、イリア、アンジュ……それと、ヘンな帽子。
スパーダ	まだオレの名前覚えてねェのかよ！つか、前にもこんなことあったよな？
キュキュ	はい。あの時も、キュキュ鍵開けて助けた。
コンウェイ	今回は鍵をしめたほうだけどね。それにしても自警団のわりにはずいぶんと物々しい格好に見えるね。
キュキュ	エナタキイウラオネゴト……
キュキュ	この服、街の人たち作てくれた。キュキュたちの制服。
アンジュ	勲章に記章もついていて、まるで、軍人さんって感じね。
コンウェイ	まるで、ではなく彼女はもともと軍人みたいなものだからね。
キュキュ	コンウェイ！！
ルカ	え、キュキュさんは考古学者じゃなかったの？
コンウェイ	まあ、いわゆる世を忍ぶ仮の姿というやつだよ。
キュキュ	無駄口、そのくらいにする。これ以上話したら、“あの約束”の通りなる。
コンウェイ	おっと、それはボクも望むところじゃないよ。
リカルド	なにか因縁があるようだが、また今度にしろ。お前たちにはやってもらうことがある。
イリア	これ以上あたしらになにしようってのよ。コーダの世話とか言ったらぶっ飛ばすわよ。
リカルド	それは街の人間がすすんでやってくれる。もっとお前たち向きの仕事だ。
イリア	……って、これのどこがあたしたち向きなのよ！
スパーダ	リカルドのおっさん何考えてんだよ！
ルカ	牢屋から出す条件として街のために奉仕するんだって。街の人たちの手前、お咎めなしで釈放はできないから。
ルカ	でも、代わりにしばらくこの街にいられるようにいろいろ手配してくれたみたいだよ。
ルカ	よかったね、一生牢屋の中じゃなくて。やっぱりリカルドは頼りになるね。
イリア	ぜんっぜんよくないわよ！おたんこルカ！
スパーダ	オレたちが外で穴掘りなのに、コンウェイとアンジュは街で店の手伝いだァ？
イリア	そうよ、この差はなんなのよ！
ルカ	けっこう的確な人選だと思うけどなあ。
ルカ	食事も泊まる家も用意してくれるっていうし、しばらく頑張ろうよ。
イリア	なんで、あんたそんなに前向きなのよ……。
スパーダ	やってられねェぜ……。

キャラクター	4話【異邦にて5 街での暮らし】
アンジュ	う、ううん……あら？
アンジュ	やだ！もうこんな時間！すぐに起きて支度しなくちゃ！
アンジュ	ああ、でも朝ご飯どうしようかしら？今から食べてたらギリギリ……。
アンジュ	いいえ、朝はきちんと食べなくちゃ。そうじゃないとお仕事がんばれないものね。
アンジュ	急いで行けばきっと間に合うわ。それに、道具屋さんにもらったアレもあるし！
アンジュ	ふんふふ～ん♪
アンジュ	はやいはやい、これなら遅刻しなさそうね！
アンジュ	自転車って、すごいわね。魔力も使わずにこんなに楽に走れるなんて。
街の人	おや、アンジュちゃん今日も早いね！
果物売り	アンジュちゃん、うちの店に寄っていってくれよ！
アンジュ	だめよ、これからお仕事なのー。
アンジュ	ふんふ～ん♪
アンジュ	こうして、並木道を走ってると季節を感じて気持ちいいわねえ。
アンジュ	そうだわ、お仕事の帰りに新しくできたカフェーに行ってみようかしら。
リカルド	おい、アンジュ。
アンジュ	あら、リカルドさん。朝の見回りお疲れさま。
リカルド	ああ、そっちはこれから仕事か。夜にでも店に寄らせてもらう。
アンジュ	ええ、待ってますね。
アンジュ	おはようございまーす。
コンウェイ	やあ、おはようアンジュさん。今日も開店1時間前に出勤とは、さすがだね。
アンジュ	そういうコンウェイさんも、いつも私より先に来てるじゃない。
コンウェイ	この街の独特な空気感が興味深くてね朝早く起きて散歩するのが日課になっているんだよ。
コンウェイ	それはそうと、朝食は食べたかい？マスターがまかないを作ってくれたんだけど。
アンジュ	朝食は摂ったけど……自転車で運動もしたしいただこうかな。食べ物を残したらいけないものね！
コンウェイ	では、まずは腹ごしらえといこうか。
アンジュ	いただきまーす……はむっ。うーん、マスターのサンドイッチ美味しいっ！
アンジュ	そういえば、夜にリカルドさんたちお店に来るそうよ。コーダとイリア、ケンカにならなければいいんだけど。
コンウェイ	まあ、しばらくは大丈夫じゃないかな。かなり仕事に打ち込んでるようだからね。
アンジュ	あんなに穴掘りを嫌がってたのに？
イリア	掘って掘って掘りまくるのよー！
スパーダ	おっしゃー！お宝はオレらのもんだー！
ルカ	ひぃい……ふ、二人ともちょっと休憩しようよぉ……。
イリア	なーに情けないこと言ってんのよ！お宝が誰かに盗られてもいいの！？
ルカ	いや、掘り出したものは街の物なんじゃ……。
イリア	ごちゃごちゃ言ってないで掘りなさい！あんたは覇王とまで呼ばれた男でしょ！
ルカ	はぁ、僕もアスラみたいながっちりした身体がほしいよ。だいたい、本当にこんな所に宝なんて埋まってるの？
イリア	キュキュがあるって言ってたんだからあるのよ！ほら、しゃべってないで口を動かす！
コンウェイ	……とまあ、そういうわけでやる気になってるんだよ。
アンジュ	イリアらしいわね。付き合わされるルカくんがちょっと可哀想だけど。
アンジュ	あ、でも、本当は嬉しいのかしら？ルカくんってイリアに振り回されるの好きみたいだし。
コンウェイ	ルカくんって、弱そうに見えて実はけっこう根性あるよね。
アンジュ	それにしても、キュキュさんの言うお宝っていったい何なのかしら。
コンウェイ	さぁね、おいおいわかるんじゃないかな。さ、そろそろ開店準備をはじめよう。
スパーダ	んぐんぐ……ぷはぁっ！く～っ！仕事の後の一杯は格別だぜ！
ルカ	ミルクだけどね。
コンウェイ	それで、お宝というのは見つかったのかい？
イリア	ぜーんぜん、ダメ。キュキュの言う通りほんとに埋まっているのかしら
スパーダ	そう簡単に見つかっても面白くねェよ。
イリア	あたしは楽して儲けたいのよ！
スパーダ	力強く言うなよ、んなこと……。
アンジュ	はーい、みんなお料理持って来たわよー。
イリア	あたし働きすぎてお腹ペコペコよ！
ルカ	あれ？僕たちこんなに頼んでないよ？
アンジュ	ちょうどいいから私もご一緒させてもらおうと思って少し多めに持ってきたのよ。
ルカ	こ、これで少し多め……。
アンジュ	リカルドさんたちはまだ来てない？今夜来るって言ってたのだけど。
リカルド	噂をすれば影、だ。
キュキュ	遅くなった、ごめん。みんな、待たか？
ルカ	リカルド、キュキュさん、お疲れさま。飲み物はどうする？僕持って来るよ。
イリア	ちょっと、なんで二人にだけそんな親切なのよ。
ルカ	え、だって僕たちのためにいろいろと手を回してくれてるし……。
キュキュ	ルカは、良い子。偉い。賢い。なので、発掘作業の現場監督に任命する。
キュキュ	イリア、ヘンな帽子。明日からルカが二人の上司。
イリア	はあ！？なにそれ！
スパーダ	なんでルカだけひいきすんだよ！？
キュキュ	二人とも、掘り出したものネコババするつもり。キュキュは、全部知ってる。
スパーダ	ぐっ……なぜそれを……。
コーダ	それはコーダが教えたからだ。
イリア	コーダ……あんたねえ！
コーダ	昼間こっそり見に行ったんだな。しかし。イリアはすぐサボってたなー、しかし。
イリア	へ～、監視ってわけ？しばらく会わないうちに性格悪くなったわね！
アンジュ	もう、せっかく再会したのにケンカしないの。ほらみんな揃ったんだし、乾杯しましょ？
キュキュ	アンジュ、良いこと言た。キュキュの友達、ここに集また。それ素敵なこと。
キュキュ	キュキュは、この街の人、守りたい。平和なようで、実は戦争や魔物、いっぱい近くにある。
コンウェイ	君は、異世界に来ても戦争を忘れないんだね。
キュキュ	人がたくさん。戦争、必ず起こる。
リカルド	お前の正義感はわかったが、今はとりあえずメシだ。でないと腹を空かせたそこの猛獣に襲われるぞ。
二人	誰が猛獣よ！誰が猛獣だ！
アンジュ	ふふっ、それじゃそろそろ始めましょうか。
スパーダ	だな！ルカ、ひと言頼むぜ。
ルカ	ええっ、僕！？あ、えっと、それじゃ……僕たちの再会に！
全員	かんぱい！

キャラクター	5話【異邦にて6 調査】
イリア	はー、天気いいわねー。こういう日にあくせく働くなんてどうかしてるわ。
スパーダ	だなー。
ルカ	ねえ、二人ともちゃんと働いてよ。
ルカ	そんなこと言って、ずっと座ってるじゃないか。二人がサボってると僕が叱られるんだよ。
イリア	現場監督なんだから仕方ないわよねー。あたしたちをちゃんと監督しないと。
スパーダ	だなー。
ルカ	監督してるよ！二人が僕の話を聞いてくれないだけで……。
リカルド	ずいぶんと、苦労してるようだな。
ルカ	あ、リカルド！これはサボってるわけじゃなくて休憩で……。
リカルド	別に監視に来たわけじゃない。俺の仕事はあくまで軍事顧問だからな。
イリア	その軍事顧問サマがなんの用かしら？ヒマなら穴の一つでも掘っていってくださる？
リカルド	ほう。俺の管轄外とはいえ、上に報告すれば作業を倍にしてもらうこともできるぞ？
イリア	リカルドってば、お仕事お疲れさま！ほら、なにぼさっとしてるのルカ！お茶出して！
スパーダ	おっさん、肩揉もうか？昔よくハルトマンのを揉んでたから得意だぜ！
ルカ	二人とも現金すぎるよ……。
リカルド	お茶も肩揉みもいらん。それより、お前たちの目的を聞いておこうと思ってな。
ルカ	それは、リカルドたちがいるって聞いたから……。
リカルド	それだけではないだろう。……ケリュケイオンといったか、あの船は。
スパーダ	おっさん、どうしてそれを！？
リカルド	これでも傭兵だ。情報収集くらいしている。
リカルド	ということは、お前たちの組織の目的はこの街の戦力の確認か。
ルカ	それもあるけど、一番は帝国との関係だよ。
リカルド	帝国か。この街は配下ではないし同盟も交わしてない。だがそれゆえに、いつ何をされるかもわからん。
リカルド	キュキュも町長もすすんで事を構える気はないだろうがいざという時の戦力はほしがっている。
スパーダ	戦力って、あの自警団のことか？さすがにあの規模じゃどうにもなんねェだろ。
リカルド	いいや……我々が探しているのは『精霊』だ。
ルカ	精霊だって！？
リカルド	この街の近くに『精霊アスカ』がいるかもしれない。
リカルド	お前たちがやっている穴掘りも精霊の手がかりを見つけるためのものだ。
イリア	あたしたちが探してるのってお宝じゃなかったの！？
ルカ	どうしてこの辺りに精霊がいるって考えたの？
リカルド	それは、コーダが『神の御使い』と呼ばれるようになった理由に関係している。
リカルド	ある日、コーダは『光る大きな鳥』に連れられてこの街に降臨したそうだ。
スパーダ	『光る大きな鳥』……。そいつが精霊アスカだってのか？
リカルド	キュキュが帝国にいた時に得た情報だそうだ。実際、その鳥は街の近辺で度々目撃されている。
リカルド	目撃情報とコーダの証言から手がかりを探していたが、どれも確証を得ない内容でな。
リカルド	結局手詰まりになってしまい、今は手当たり次第に掘っているような状況だ。
イリア	お宝じゃないうえに当てずっぽうで掘らされてたの！？そんなの話が違うじゃない！
イリア	大体、コーダが精霊アスカに連れられて来たからって何で神の御使いになるのよ？ばっかじゃないの！
リカルド	まあ、それに関してはなんともな。街の連中も言葉を話すサルが珍しいだけかもしれん。
スパーダ	ん？コーダって、サルなのか？
ルカ	あの食欲から察するに、ミュース族はネズミの親戚だと思ってたけど。
イリア	そんなのどっちでもいーわよ！
イリア	決めた！今からコーダをとっちめて、その光る鳥とやらのこと直接聞きだしてやろうじゃない！
ルカ	あ、待ってよイリア！
イリア	うおりゃあああああああああ！待ってなさいよおおおおおお！
スパーダ	こうなったら仕方ねェ。オレらもいくか。
ルカ	また、不敬罪なんて言われる前にイリアを止めないとね……。
リカルド	やれやれ……仕事を増やしてくれるな。
コーダ	痛いんだぞー！イリア、離すんだな、しかし！
イリア	うるさい！黙って歩きなさい！
アンジュ	ねえ、これってどういうことなの？
キュキュ	イリア、知りたい言た。コーダが精霊と会った場所。
キュキュ	キュキュも知りたい。捜索の手がかり、ほしい。
キュキュ	人手は多いほうがいい。だから、みんなついてきてもらった。
リカルド	しかし、我々もこの辺りは以前に調べただろう。
リカルド	魔物がうろつく危険な場所だ。精霊が住処にしているとは思えんが。
アンジュ	精霊だってもっと落ち着ける場所で暮らしたいわよね。
ルカ	ねえ、コーダ。この辺りで間違いないの？
コーダ	あ、あんまり覚えてないんだな、しかし。コーダ、気がついたら空の上だったぞー、しかし。
イリア	はっきりしないわね。あんた、なんか隠してるんじゃないでしょうね。
コーダ	そ、そんなことないぞ、しかし！イリアは疑り深すぎるぞ。しかし！
コンウェイ	……精霊は普段、めったに姿を現す存在でないだろうになぜわざわざコーダのために出てきたんだろうね。
コンウェイ	人間に見つかるリスクを負ってまで現れるには何か特別な理由があるはずだ。そうだろう？コーダ。
コーダ	そ、それは……コーダの腹が減って倒れてたからアスカが助けてくれたんだな、しかし！
イリア	それだけの理由で？？やっぱ怪しいわね。本当のこと白状しなさい！
コーダ	イ、イリアは乱暴すぎるぞ！そんなんじゃルカに嫌われるぞ、しかし！
イリア	な、なんでそこでルカの名前が出てくんのよ！やっぱりなんか誤魔化そうとしてんでしょ！
コーダ	痛い、離すんだな、しかし！
スパーダ	はぁ……わざわざこんなとこまで来て無駄足だったな。とりあえず、街に戻ろうぜ。
リカルド	いや……そうもいかなくなったようだ。
狼の魔物	グルルルル…… ！
キュキュ	こいつ、街を襲った魔物！まだこの辺りうろついてたか！
狼の魔物	グルルル……。
リカルド	ちっ……逃したか。相変わらず足の速い魔物だな。
イリア	こら！コーダ！あんたのせいで魔物に襲われたじゃない！
コーダ	ひどいぞ！襲われたのにコーダは関係ないんだな、しかし！
リカルド	やれやれ……こっちも頭の痛い問題だな。

キャラクター	6話【異邦にて7 招かれざる客】
街の人	たいへんだぁ！街の外に、て、帝国兵が来てる！
リカルド	なんだと…… ！？
リカルド	戦闘は避けたいが、いざとなればやむを得ん。その時は、ルカ、お前たちの手を借りたい。
ルカ	うん、わかった。
スパーダ	任せろよ、おっさん！帝国の連中とやり合うのは慣れたもんだからな。
？？？	おうおうこいつはまた素敵なストリート。まるでオレ様のために用意されたみたい。
？？？	ここにリカルド先生がいるってことはさしずめこれはバージンロード？
？？？	リカルド先生、いま、殺しにいきます…… ！
ルカ	この声は……まさか……。
リカルド	こんな所でまで、あのふざけた声を聞くとはな。これが因果というやつか。
ハスタ	おろろ？そこな紳士はよもやリカルド先生じゃありませんか！
ハスタ	まさかのご本人登場でお出迎えとは。ハスタくん感激のあまり膝裏が痒くなっちゃう。
リカルド	相変わらず、人を食ったような態度だな。この街になんの用だ。
ハスタ	用と言われたらそれもちろんぶっ殺しに来たに決まってるざーんす。
ハスタ	だーれーにーしーよーおーか……あ、めんどくさ。右から順に殺ってくDEATH ！ (デス)
帝国兵Ａ	ハスタ様！おやめください！まずは交渉せよとのご命令です！
ハスタ	ああん…… ？
帝国兵Ａ	我々にはひとまず戦う意思はない！この街の武装について尋ねたいだけだ！
リカルド	あくまで、魔物から身を守るための武装だ。帝国に敵対する意思はない。
帝国兵Ａ	ならば、しばらく滞在させてもらいたい。上に報告するためにも、きちんと確認する。
キュキュ	それは許可できない。その男いる。とても危険。
スパーダ	ああ、そうだな。そこの野郎は絶対に信用できねェ！
ハスタ	これはこれは次から次へと見知った顔ばかり。同窓会の会場はここですか？
コンウェイ	『魔槍の刺客』の魂と再び相まみえるとはね。悪いけど、キミにはもう興味がないんだ。
アンジュ	ほんと、できればもう二度と会いたくなかったわ……。
ハスタ	またまたお懐かしい顔ぶれの大フィーバー。感動の再会にこのハスタ、しゃっくりが止まりません。
ハスタ	知ってる？しゃっくりは人を殺すと止まるって。
スパーダ	そんな、迷信あるか！もういい、さっさと倒しちまおう！
帝国兵Ａ	ま、待ってくれ！問題が起これば、我々も報告せざるを得ない！
キュキュ	だたら、その男しっかり止める。キュキュの街、手出したら容赦しない。
リカルド	帝国にはこう報告しろ。ハスタ・エクステルミはどこかに姿を消したとな。
リカルド	この殺人鬼のことだどうせ帝国内でも持て余していたのだろう。
リカルド	帰ってこなければ、それはそれで問題ない。むしろ厄介払いができたと喜ばれるはずだ。
ハスタ	ほひー！リカルド先生たちえげつない！ぼくちんちびりそう！
ハスタ	でも、その殺気がオイラの一次欲求をズブズブ刺激するのでありました。
リカルド	貴様のくだらん欲求などどうでもいい。何度でもとどめを刺してやる。
ハスタ	何度でもぉ……？オレさま、一度だってあんたにやられた覚えはないぜ？
ハスタ	テキトーなホラを吹かれちゃ我が家の名折れ！この靴底にかけて先生を倒——っとぉ！？
リカルド	ちっ、外したか。
イリア	いいわよリカルド！あたしも加勢するわ！
ハスタ	人が話してる途中でしょうがぁ！せっかちさんはモテないぞ☆
帝国兵Ｂ	お、おやめくださいハスタ様！あなた方も一度武器を収めてください！
スパーダ	どけ！そいつを放っておいたらどれだけの人が死ぬかわかったもんじゃねェ！
帝国兵Ｂ	わ、我々は調査に来ただけなのだ！ちゃんと落ち着いて話し合おう！
ルカ	こんな人が帝国にもいるんだ……。
アンジュ	リカルドさん、イリア、スパーダくんこの人の言う通りよ。一度落ち着きましょう。
イリア	アンジュ！？どういうつもりよ！？
アンジュ	いくら因縁の相手であっても、こちらから一方的に暴力を振るうのはよくないわ。
ルカ	そうだよ、話し合う意思があるならもっと平和的に解決できるんじゃないかな。
帝国兵Ｂ	ありがとう！よかった……。
ハスタ	なぁ、お前。オレさまの前に立つってことはこうなるって知ってた？
帝国兵Ｂ	えっ―― ？ぐあ……がっ…… ！？
アンジュ	そんな……仲間を、刺した…… ！？
ハスタ	仲間ってなんでちゅかあ？ちゅぱちゅぱ傷を舐め合うお前らみたいなのでちゅかあ？
ハスタ	だったら、こいつの傷も舐めてやんな。ザコの乱入で興が冷めりんこのハスタくんなのでした。
ハスタ	てなわけで一度退散でおじゃ～るよ。バッハハハーイ！
帝国兵Ａ	おい、死ぬな！しっかりしろ！
コンウェイ	相変わらず、どこの世界であろうと卑劣な魂は変わらないということ……か。
リカルド	こいつを宿まで運ぶぞ、手伝え！
アンジュ	傷は塞がったわ。でも、出血が多かったからしばらくは安静にさせてあげて。
帝国兵Ａ	本当に、ありがとう。俺たちは敵同士なのに……。
ルカ	今はそんなの忘れましょう。誰もこんな風に死んでいいはずないんですから。
スパーダ	あのゲス野郎、今度会ったらただじゃおかねェ！
イリア	ほんと、やることぜんっぜん変わってないわ！
リカルド	お前たち、怒る気持ちもわかるが怪我人がいるんだ。少し静かにしていろ。
スパーダ	でもよ、おっさん！ハスタの野郎、絶対また襲ってくるぜ！
リカルド	ああ、わかっている。アレとの付き合いは俺の方が長い。不本意だがな。
自警団	失礼します。あの、キュキュさんに急ぎ報告が……。
リカルド	後にできないのか、今は少々立てこんでいる。
キュキュ	だいじょうぶ。外で聞く。
キュキュ	それで、報告なにか？
自警団	実は、山側で遺跡らしきものが見つかりました。
キュキュ	遺跡、見つかた…… ！？
ハスタ	ほっほーう……これはこれは……。

キャラクター	7話【異邦にて8 大喧嘩】
キュキュ	というわけで、遺跡？のようなもの？見つかた。
ルカ	なんだか、すごく曖昧だね……。
キュキュ	キュキュ、まだ確認してない。曖昧な報告、混乱のもと。
スパーダ	にしたって、タイミング悪すぎだろ。
ルカ	そうだね、今は帝国兵が街に滞在しているわけだし。ハスタの件だって片付いてないし……。
リカルド	帝国兵全員、牢に閉じ込めるか。
キュキュ	仕方ない。街の安全、大事。
アンジュ	ちょっとダメよ二人とも！そんなの私が許しません！
ルカ	僕も、あの人たちにはこのまま何事もなく帝国に帰ってほしいな。
コンウェイ	ルカくんは、やけに彼らの肩を持つね。
ルカ	だって、ずっとハスタに振り回されながらこの街までやって来たと思ったら可哀想で……。
コンウェイ	なるほど、同じように振り回されてる身としては同情を禁じ得ないというわけかい。
イリア	ちょっとコンウェイ。なんでそこであたしを見んのよ。
リカルド	とにかく、しばらく隠し通すしかないな。街の人たちにもこのことを伝えておこう。
コーダ	もぐもぐもぐ……。
リカルド	コーダ、お前も気をつけろ。
イリア	あんた、ちゃんと話聞いてたの？
コーダ	もちろん聞いてたのだ。
イリア	あんた食べ物につられてすぐ失敗するんだからほんとに気をつけなさいよ。
キュキュ	キュキュは遺跡のような？場所の調査に向かう。リカルド、街の警備任せた。
リカルド	いつハスタが現れるかわからんからな。了解だ。スパーダ、見回りを手伝ってくれ。
スパーダ	任せろ！あの野郎絶対見つけてやる！
コーダ	まったく、イリアはひどいんだな。コーダのことバカにしているぞ、しかし。
帝国兵Ａ	君は……この街の人か？
コーダ	コーダはコーダだ。覚えておくといいぞ、しかし。
帝国兵Ａ	あらためて仲間を助けてもらった礼をと思ったんだが誰もいなくて困っていたんだ。眼帯の彼女はどこに？
コーダ	コーダはよく知らないな。それにしても、怒ったら腹が減ったんだな、しかし。
帝国兵Ａ	そうか……ん？腹が減っているならこれを食うか？帝国ではやりの菓子だ。
コーダ	お菓子！？コーダにくれるのか！はむはむ……うまいなー、うまいなー。
帝国兵Ａ	はは、そんなに急いで食べるとのどに詰まらせるぞ。それにしても、我々を助けてくれた彼らはどこに行ったのか……。
コーダ	キュキュは精霊の遺跡に行ったぞ。リカルドたちは街を見回ってるんだな、しかし。
帝国兵Ａ	精霊の、遺跡だと…… ！？
イリア	はあ！？帝国兵に精霊のことしゃべったあ！？
コーダ	お菓子がおいしくてつい、うっかりしたんだな、しかし……。
イリア	かーっ！ちゃっかり食べ物につられてるし！あんた、やっぱり話聞いてなかったんじゃない！
アンジュ	落ち着いて、イリア。コーダも悪気はなかったんだから。
イリア	悪気がなきゃいいってわけじゃない！こいつのせいで、街が危険に晒されてるんだから！
コンウェイ	確かに、最も避けたかった事態に陥ってることは否定できないね。
コーダ	う……コーダは神様の御使い。コーダがなんとかするんだな、しかし！
ルカ	あ、待ってコーダ！
イリア	ほっときなさいよ。どーせ、あいつにはなんにもできやしないわよ。
アンジュ	イリア、少しコーダに冷たいわよ。
イリア	だって、元はといえばあいつが……。
キュキュ	キュキュのこと、呼んだか。なにかあたか？
ルカ	精霊のことが帝国の人たちに知られちゃったんだ。それで、コーダが責任を感じて飛び出していって……。
キュキュ	精霊のこと、知られた。それ、すごくたいへん。コーダが危険。同じくらいたいへん。
イリア	ちょっと大げさすぎじゃない？帝国兵だって、あんなネズミ一匹、相手にしないわよ。
キュキュ	この街のみんな、コーダ好き。
イリア	え……。
キュキュ	街の人、争い嫌い。でも、外は危険。帝国も迫ってる。
キュキュ	不安たくさん。でも、コーダは幸せそうに笑う。それ見ると、みんなも幸せな気持ち、なる。
ルカ	そうだね、コーダはあんまり悩みとかなさそうだし見てるとホッとするっていうのはわかるよ。
アンジュ	なんでも美味しそうに食べるからこっちも幸せな気持ちになるのよね。
イリア	そんなの、あいつが食い意地はってるだけよ。
キュキュ	コーダ、ずっとイリアに会いたがってた。
キュキュ	初めて会った時、コーダ言てた。イリアはいっしょ違うのか。イリアどこか。
キュキュ	ずと寂しがてた。だから街の人、心配した。みんなほんとはわかてる。コーダ神様違う。
アンジュ	じゃあ、街の人たちはコーダを元気づけるために神の御使いだなんて言って甘やかしてたの？
キュキュ	あとはノリ。みんなお祭り騒ぎ好き。
ルカ	ノリって……陽気な人たちだとは思ってたけどそんな理由だったなんて。
キュキュ	キュキュ、行てくる。コーダ捜さないと。
イリア	いいわよ、そんなことしなくて。
ルカ	イリア！まだそんな──
イリア	コーダはあたしが連れて帰るって言ってんの！だからルカ、あんたも手伝いなさい！
ルカ	あ……うん！
アンジュ	ほんと、イリアもコーダも素直じゃないんだから。
キュキュ	ほんと、素直ない。二人とも、相手のこと好き。なのにどうして意地はるか？
コンウェイ	信頼関係があるからこそ意地になるのかもしれないよ。なんだかんだ言って、甘えているのさ。お互いにね。
コーダ	コーダ、みんなに迷惑かけたのか、しかし。
コーダ	もう、帰れないんだぞー……。
ハスタ	それはそれは、おめでとうゴザイマース！
ハスタ	これであなたも一人前の根無し草。自由な世界と、最悪の運命にご対面〜。
ハスタ	ちなみにそれは、ひ・と・じ・ち……なんだぴょん！
コーダ	あわわ…… ！

キャラクター	8話【異邦にて9 精霊の遺跡】
イリア	ほんっと、世話がやけるんだから！見つけたらほっぺたつねりまくってやるわ。
ルカ	ふふ……。
イリア	なによ、急に笑って気持ち悪いわね。
ルカ	なんだかんだ言って、イリアもコーダのことすごく心配してるんだってわかったからね。
イリア	ニヤニヤするんじゃないわよ、おたんこルカ！いいからさっさとコーダを見つけて帰るわよ！
スパーダ	おっ、いたいた。ルカ、イリア、探したぜ。
リカルド	コーダがいなくなったと聞いたが。
ルカ	うん、ちょっといろいろあって。精霊のことも帝国の人たちに知られちゃったんだ。
スパーダ	マジかよ！？そいつはマズいんじゃねェか？
リカルド	とにかく、遺跡に近づかれないようにするしかない。キュキュは戻っているか？いろいろ相談したい。
ルカ	うん、さっき街に戻ってきたよ。遺跡……らしき場所の調査は後回しになったみたい。
帝国兵Ａ	その話、詳しく聞かせてもらいたい。
ルカ	あなたたちは……どうしてここに！？
帝国兵Ａ	悪いが、後をつけさせてもらった。遺跡の場所はどこだ。教えてもらおう。
リカルド	帝国に報告するというわけか。なら、その口を封じるしかなさそうだな。
ルカ	待って、待ってよリカルド！
ハスタ	おやおやぁ～？こんちこれまた皆さんお揃いでぇ～～～！
コーダ	しかし～～～！！助けてくれ～～！！
イリア	ハスタ！？それにコーダも！？
スパーダ	よりにもよってハスタの野郎に捕まってんのか！？
ハスタ	おやおやお坊ちゃん方にリカルド先生！ご機嫌麗しゅうそしてこちら大変取り込み中デス！
大猿	ウガアアアアアッ！
リカルド	あれは、以前街を襲った魔物か。なぜハスタを追っている？
帝国兵Ａ	い、いかん、ハスタ様に加勢するぞ！
帝国兵たち	はっ！
リカルド	連中は、大猿に釘付けか。ならば今のうちに──
アンジュ	きゃああああああっ！
リカルド	くそっ、次から次へとどうなってる！
アンジュ	はぁはぁ……よ、よかったみんなここにいたのね。
キュキュ	みんな、気をつける！あいつ、来る。
狼	グルルルルゥ…… ！
リカルド	！？なんだこの狼の群れは！？
アンジュ	そ、その、私たちもコーダを捜しに森へ行ったの
アンジュ	そこでコーダの好きな果物を見つけたから後で食べさせてあげようと思って集めてたら……。
キュキュ	いつの間にか、たくさん魔物いた。殺気、気づけなかた……メンボクナイ。
コンウェイ	それで、ここまで逃げてきたというわけさ。さすがにこの数を、ボクらだけでは捌ききれなくてね。
リカルド	要するに、魔物を連れてきたということだろう。やれやれ、面倒を増やしてくれたものだ。
スパーダ	帝国兵に、ハスタ、それから魔物たち……。オレたちはどれと戦えばいいんだよ！
ハスタ	それはもちろんハスタくんとですー！さあ、素敵に愉快な殺し合いを──
大猿	ウガアアアアアッ！
ハスタ	……などとぉ、犯人は意味不明な供述しておりましてー。
大猿	ウガッ！ガアアッ！
リカルド	どうやら、大猿はハスタにご執心のようだな。
ルカ	ねえ、どうしてこんなに魔物が集まってくるのかな？いくらなんでも変だよ。
イリア	そんなこと今はどうでもいいのよ！そこの殺人鬼！コーダを渡しなさい！
ハスタ	お嬢さんが落としたのは、この大きなお猿さん？それともこちらの小さなお猿さんですかー？
ハスタ	残念！どっちもあげませーん！
イリア	あんたほんと腹立つわね！
コーダ	こ、これ、コーダのおやつだぞー。でも、お前にやるんだな、しかし。
ハスタ	ああん？どったの、おサル？
コーダ	コーダが、もらったお菓子を食ったせいでこんなことになったんだな、しかし。
コーダ	コーダが我慢すれば、きっとヘンなことも収まるんだなだから……コレはもういらないんだな！
アンジュ	コーダが、食べ物をあげた…… ！？
スパーダ	こりゃあ、明日は槍でも降るんじゃねェか。
コーダ	食い物より、コーダは……コーダは……。イリアのところに帰りたいんだぞー、しかし！
イリア	コーダ……あんた……。
ハスタ	あー、大変盛り上がってるところ恐縮デスガ。あたくしお肉しか食べない主義なのでー。
イリア	このぉ！コーダを離せってのよ！
ハスタ	おわっとー！？バーゲンセールのおばちゃんを彷彿とさせるような強烈なタックルー！？
イリア	コーダ！今のうちに逃げなさい！
コーダ	で、でも、どこに逃げるんだ？
キュキュ	森を抜けて、山の方行く！そこに洞窟ある。でも、入るのダメ！
コーダ	わかったぞ、しかしー！
ハスタ	おー痛い痛い。ぼくちん激おこー。クソガキお嬢ちゃん、許しませんことよ。
ハスタ	ていうか殺す。今殺すすぐ殺す。すみやかに殺す。
イリア	ふんっ、やってみなさいよ。でもね、あんたの相手はそっちの彼みたいよ。
大猿	ウガアアアアアアッ！
ハスタ	チッ…… ！
リカルド	よし、やつが大猿の相手をしてるうちに、俺たちは狼どもを片付けるぞ！

キャラクター	9話【異邦にて10 いるべき場所】
スパーダ	くらえッ！
狼	グルルルゥ……
アンジュ	魔物たちがひいていくわ。
リカルド	群れのボスがやられたんだ。これ以上は無謀だと気づいたんだろう。
大猿	グ……ガッ……
帝国兵Ａ	た、倒した…… ！
ハスタ	はいご苦労さん。ていうか、ほとんど戦ったのハスタくんだけどね。
ハスタ	とはいえ、こっからはメインディッシュだ。さあ！さあさあさあ！ヤろうぜ紳士淑女の諸君！
イリア	ふん。威勢のいいこと言って、あんたズタボロじゃない。
ハスタ	あらやだ恥ずかしいんっ！見ないで、こんなアタシを見ないでー！
ハスタ	な～んてな。流れた血は返り血で補えばオールオッケー！さぁ～て、行くんだぷ～ ――あん？
キュキュ	お前たち…… ！？
ハスタ	おんやぁ～？昔どこかで見た風景。デジャヴ？あれ、ドッペルゲンガーだっけ？
帝国兵Ａ	か、彼らは傷ついた仲間を助けてくれた！それに、先ほどの混乱の中でも危ない我らをさりげなくフォローしてくれました。
帝国兵Ａ	精霊の件も話し合えば、暴力を振るわずとも解決できるはずです！
帝国兵Ａ	私には彼らと闘う理由がありません！
帝国兵C	そ、そうだ！俺たちは兵士だ！弱い者を守るのが仕事だ！
帝国兵たち	そうだ！そうだ！
ルカ	帝国兵さんたち…… ！
リカルド	だそうだ、さすがのお前も傷ついている身にこの人数では厳しいのではないか？
ハスタ	ふっ……わかったよベイビー。そんなうるんだ瞳で見つめられたら仕方ない。
帝国兵Ａ	で、では！
ハスタ	リカルド先生一行と、学習能力なし男くんたちによるオレさまへのぶっ殺カーニバルの開催ありがとう！！
ハスタ	雑魚とはいえ、切り刻む肉が増えてくれてわっちの胸はこの上なく高鳴っているでありんす。
帝国兵たち	ひ、ひぃぃ…… ！！
スパーダ	このゲス野郎が！
コンウェイ	やはり、一筋縄ではいかないようだね。
ハスタ	おしゃべりはここまでだりゅんりゅん！さぁて、デストロイでブラッドなカーニバルを――
キュキュ	させるかー！
ハスタ	ぐはあっ！？
キュキュ	こいつ、悪いヤツ！キュキュ、倒す！！
イリア	やるじゃない、キュキュ！
スパーダ	あいつ、三回転くらいしながら吹っ飛んでったぜ！
ルカ	な、なんだか首が変な方向に曲がってるような……。
ハスタ	いたたた……あ、痛い。すごく痛い。ハスタくん大破です！
ハスタ	これはまた、さっきのお猿さんとのランデブーが思いのほかビビデバビデブーしてる？
アンジュ	い、意外と元気ね……。
イリア	どーせ、死ぬまでこんな感じよ。キュキュ、トドメ刺しちゃいましょ。
キュキュ	はい、わかた。
ハスタ	まーった！ちょっと待ったー！
ハスタ	さっきは言い過ぎました！反省してます！殺すのよくない！人類みなファミリー！
ハスタ	世界にはもっとラブ＆ピース＆ソイソースが必要！アンダスタン？さあ、ご一緒に！らーぶあーんど――
リカルド	命乞いか。だが何度もそう同じ手にのるか。
スパーダ	ルカ、こいつから槍を取りあげちまえ！
ルカ	う、うん。危ないもんね。
ハスタ	ハスタくんの信頼度ゼロ！これでは伝説の木の下に埋まって春を待つしかない！
キュキュ	安心していい。キュキュが一瞬で息の根止める。
コーダ	た〜すけてぇぇ〜！しかし～～！
イリア	コーダ、あんたなんで戻ってきたのよ！逃げろって言ったでしょ！
コーダ	洞窟には行ったんだぞでも、あそこはダメなんだぞ、しかし。
キュキュ	コーダ、洞窟入たか！？
ルカ	洞窟に入ると何かマズいの？
キュキュ	洞窟の中、遺跡ある。調べた。でも違た。あったのは──
鳥の魔物	クエエエエエエッ！
キュキュ	あったのは、魔物の巣。
コンウェイ	おや、しかもあれは鳥の魔物だね。それもほんのり身体が光っている。
コーダ	あ、あいつだぞ、コーダを街に連れて来たのは…… ！
イリア	ちょっと待ってよ。じゃあ、なに？精霊なんかじゃないってこと？
コーダ	コーダ、ウソついたんだな、しかし……。
コーダ	ほんとは、コーダがあいつから果物を盗んだら怒って、コーダを食おうとしてたんだな、しかし。
ルカ	そうか！わかったぞ！
スパーダ	うおっ！いきなりなんだよ？
ルカ	鍵は、コーダの好きなあの果物だったんだよ！
ルカ	狼も大猿も、それからあの鳥の魔物もみんなこの果物を狙って襲ってきてたんだ！
ルカ	街を襲ったのだって、きっとコーダのためにって街の人が果物をたくさん集めてたからなんだ！
リカルド	なるほど、そういうことか……。
ルカ	それから、洞窟はあの鳥の巣なんだよ。遺跡を見つけた時はたまたま離れていたんだね。
ルカ	狼と大猿と鳥で、それぞれが縄張りを作ってお互いに踏み入らないようにしていたのかもしれない。
ルカ	ぜんぜん違う種類の魔物たちが、具現化を機に集まって自然と共存するようになったんだ。
ルカ	うわぁ、生き物ってすごいなぁ。
イリア	ルカのばか！そんなの今言ってる場合じゃないでしょーが！
スパーダ	ああっ！？ハスタの野郎もいねェ！？
リカルド	この騒ぎに乗じて逃げたか。
鳥の魔物	クエエエエエエエエッ！
アンジュ	魔物も、すごく怒ってるみたいね。
キュキュ	街、守る。この魔物倒す。みんな、手伝って！

キャラクター	10話【異邦にて10 いるべき場所】
キュキュ	魔物、倒した。でも、精霊違た……。
コーダ	コーダ、ウソついて、ごめんなさいなんだな……。
リカルド	残念だったな。だが、これで帝国に目を付けられる理由もなくなったとも言える。
キュキュ	でも、戦争いつか街にもくる。その時、みんな守る力が必要。
帝国兵Ａ	そのことなんだが我々を自警団で雇ってもらえないか。
リカルド	帝国を、抜けるというのか？
帝国兵Ａ	我々は帝国にとってどうせ捨て駒だ。あんな男の下につけられて、それが身に染みたよ。
帝国兵Ａ	どうせなら、仲間の命を救ってくれた人たちのためにこの命を使いたいんだ。
リカルド	だ、そうだ。どうする？
キュキュ	もちろん、歓迎する！お前たち、いいやつ。正しい心、持てる。
帝国兵Ａ	感謝する。まずは帝国にいる家族を連れて来たい。
コンウェイ	戻るのは危険じゃないかい？逃げたハスタが何か報告しているかもしれないよ。
帝国兵Ａ	ああ、そうかもしれないな……。
リカルド	いいだろう。家族の脱出と街までの護衛は俺が引き受けよう。
帝国兵Ａ	本当か！何から何まで、助かる。
リカルド	その代わり、街のためにしっかり働いてもらうぞ。
ルカ	魔物が近づく原因もわかったしこれで、ひとまずは解決ってわけだね。
コーダ	コーダの好物、魔物も好物だったのか。でも、それくらいうまい。気持ちはわかるぞ、しかし。
イリア	な～に魔物の側に立って言ってんのよ！
イリア	あんたのことだから、どーせ我慢できずあの果物を食べちゃうでしょ。そしたらまた街に魔物が出るわよ。
コーダ	うう……イリアの言う通りだな。コーダのせいで街に魔物が来るのはだめだな、しかし。
コンウェイ	まったく、じれったいね。イリアさんはね、自分と一緒に来いと言ってるんだよ。
コーダ	イリア……本当か、しかし？
イリア	ふん。あんたの面倒見られるのはあたしくらいしかいないでしょ。
コーダ	イリア…… ！
イリア	でもね、これに懲りたら今後はあたしの言うことをよーく聞くようにしなさいよね。
コーダ	わかったんだぞー！やっぱり、イリアは群れのボスなんだぞー、しかし！
イリア	ぼ、ボスぅ！？
ルカ	コーダたちミュース族は群れで生活する種族だからね。
スパーダ	つまり、今日からイリアがボス猿ってわけだな。
イリア	誰がボス猿よ！
ルカ	あいたッ！？なんで僕を叩くのさ！？
イリア	うっさい、おたんこルカ！あんたが余計な解説するからよ！
コンウェイ	さて、問題も解決したことだしボクたちも帰らないとね。
ルカ	そうだ、キュキュさんはこれからどうするの？
キュキュ	キュキュは、この街守りたい。戦争が来ても街の人、守る。
スパーダ	リカルドのおっさんは？
リカルド	俺は雇われの身だからな。契約主の町長の意向に従うまでだ。
ルカ	そうか、じゃあ二人とはお別れなんだね……。
アンジュ	だったら、戦争の方を先に終わらせちゃえば？
キュキュ	戦争、終わらせる…… ？
アンジュ	そもそも戦争が起きなければ街に危害が及ぶことはないでしょ。
キュキュ	キュキュ、考えたこともなかた。戦争ずと続く。終わりない思てた。
コンウェイ	……ボクたちのいた所ではそれが当たり前だったからね。
コンウェイ	だけど、ここは違う世界だ。戦争を起こさない。そういう戦い方もできる。
キュキュ	戦争のない世界……それすごく良い！
ルカ	じゃあ、一緒に行こうよ！イクスやミリーナ、アジトのみんなに紹介するよ！
帝国兵Ａ	短い時間でも、あなたたちを見ていれば一緒にいるべき人たちなんだとわかります。
帝国兵Ａ	街のことは我々が責任をもって守ります。どうか、行ってください。
キュキュ	……はい、わかた！くれぐれも、街のこと、頼む！
キュキュ	リカルドのこと、キュキュも町長に頼んでみる。だから、リカルドも一緒に来ないか？
リカルド	そうだな、これだけ心強い兵士がいるなら町長も納得するかもしれん。
リカルド	そうなれば、またお前たちと共に旅もできよう。
スパーダ	おっしゃぁ！そうこなくっちゃな！
ルカ	またみんなで一緒にいられるんだね！
イリア	んじゃ、みんなで帰りましょ！
コーダ	わかったんだぞー、ボス！
イリア	だからボスって呼ぶなー！