キャラクター | 1話【ハプニング1 結婚前夜】 |
? ? ? | くくくっ。くはははははっ。ついにこのときがやってきたっす。 |
? ? ? | カメはクラゲを喰らうもの。これが弱肉強食な資本主義社会の定めっす。 |
? ? ? | さあ、明日は俺の餌としてその命を捧げてもらうっすよ。 |
? ? ? | ユアン・カーフェイ ! ! |
ユアン | なっ ! ? あのときマーテルが私を笑っていたのもミトスが原因だったのか ! ? |
クラトス | 程々にしておけと言ったのだがな。 |
ウィル | ははっ。こんなに笑ったのは久しぶりだ。姉想いのミトスに感謝せねばな。酒の肴にあう実に面白い話だった。 |
ユアン | 笑い事ではない。どうりで、なかなかうまくことが運ばなかった訳だ。 |
ウィル | 待て。その発言からするとやはりマーテルのことが気になっていたのはもっと前の段階ということにならないか ? |
ユアン | そ、それは違う !何度も同じことを言わせるな !そもそも私が旅に同行したのは―― |
クラトス | ああ、ミトスたちの欺瞞を暴くだのなんだのと面倒なことを言っていたな。ところで、ユアン。顔が赤いようだが。 |
ユアン | 面倒とはなんだ ! ?それに頬が赤いのは少し酔いが回っただけだ。 |
ウィル | いいじゃないか、クラトス。まだまだ初々しさが残っている証拠だ。 |
クラトス | フッ……それもそうだな。 |
ユアン | 先んじて家庭を持ったからと、先輩風を吹かせるな。……しかし分が悪い。今からでもクラースを呼びつけるべきか。 |
ウィル | クラースは研究があると言っていた。もっともこのような展開になると予期していたのかもしれないが。 |
クラトス | あまり夜遅くまで話し込んでいては明日に響く。このグラスが空いたら帰るとしよう。特にお前が寝坊などあってはならぬことだ。 |
ユアン | わかっている。私もそこまで間抜けではない。 |
ウィル | いよいよ明日がユアンとマーテルの挙式日か。この世界で新しく知り合ったオレでも嬉しく思うんだ。お前たちの喜びはひとしきりのものだろう。 |
クラトス | 四千年越しの夢がようやく叶うのだな。 |
ユアン | ……ああ。お前たちには色々と助言をもらえて助かった。 |
ウィル | 結婚式を挙げたいという話を聞いた時には驚いたな。それをユアンが切り出したという事実にも。オレはてっきりマーテルから言われたのかと。 |
クラトス | 私もだ。いつもの調子で「マーテルが言うなら」と同意したものだと思っていた。 |
ユアン | この世界でも争いは絶えない。万が一ということもある。もう後悔はしたくないからな。 |
ウィル | 家族になり、一生ともに添い遂げるという約束を愛する者と交わせないのはもどかしいものがあるからな。 |
ユアン | 元の世界では叶わぬ願いであったが……私たちはこの世界で再び顔を揃えることとなった。 |
ユアン | ここでならまた四人で旅ができる。元の世界とは違う未来へ向かう旅が。 |
クラトス | ああ。お前とマーテルだけではない。今回の結婚式については、ミトスと私にとってもまた新たなる未来への一歩だと言えよう。 |
ウィル | さあ、そろそろ戻るとしようか。帰りが遅いと鼻の利く連中に勘ぐられるからな。 |
ユアン | 結婚式のことを知られれば、アジトかわら版で特集記事を書かれたりと碌なことにならん。引き続き、他言無用で頼むぞ。 |
クラトス | 一番心配なのはお前なのだがな……。結婚式に気を取られ他のことに注意散漫にもなっている。 |
ユアン | そんなことはない。どうせお前たちは私がまた婚約指輪を失くすとでも思っているのだろうが先に言っておく、今回は絶対に落とさない。 |
クラトス | 私が忠告をしたのはテーブルの下に手荷物を忘れているからだ。ミラから贈られた本も入っているのだろう ? |
ユアン | い、いま取ろうと思ったのだ。 |
ウィル | 『1番になれるスープの作り方』だったか。料理の本をユアンに贈るとは、あのミラらしいな。 |
ユアン | ミラらしい、のか ? クラース精霊研究室で挙式の話から発展して、家事の分担についてミラたちと話したからだと思うのだが……。 |
クラトス | うむ。確かに家事の分担は大事だからな。新たな人生を歩むにあたり料理の本も悪くはないだろう。 |
ユアン | ああ、その通りだ。しかし、柄にもなく緊張してきたな。いよいよ明日が―― |
ティルキス | ――――俺たちの結婚式だ ! |
アーリア | もう、ティルキスったら浮かれすぎよ。結婚式といっても、ビエンフーの知り合いから頼まれた宣伝のためのモデル撮影でしょう ? |
ティルキス | わかっているさ。けどせっかくの機会なんだ。楽しんだもの勝ちだろう ? |
アーリア | でも大勢の人に見られるのよ。ティルキスは王子で人前に立つのにはわたしよりもずっと慣れてるでしょうけど……。 |
ティルキス | なるほど。だからカイウスとルビアや撮影係のミリーナ以外にはモデル撮影のことを秘密にしてたってわけか。 |
ティルキス | けど、アーリアなら大丈夫さ。いつもどおりにしているだけで十分魅力的だからな。 |
アーリア | ……ティルキス。 |
ティルキス | 新郎役として俺もついてる。肩の力を抜いて本番の練習ぐらいに思っておけばいいさ。 |
アーリア | ほ、本番 ! ? さ、さすがにわたしたちにはまだ早すぎるわよ…… ! |
ティルキス | ははっ。冗談さ。 |
ティルキス | まぁ、俺はこれが本番でもいいんだけど……。 |
アーリア | えっ ? |
ティルキス | いや。そろそろ寝る時間だと思ってな。それより、明日の準備はもう済んだか ? |
アーリア | ええ。明日に備えてティルキスがクリスマスに贈ってくれた指輪の手入れも済ませておいたわ。 |
ティルキス | ちゃんと持っていてくれたんだな。 |
アーリア | 当たり前でしょ。大切な指輪だもの。 |
ティルキス | アーリア……。 |
アーリア | さあ、今日はもう寝ましょう。大切な明日のために。 |
キャラクター | 2話【ハプニング2 式当日】 |
ミトス | 『四幻将の集い代表 薔薇のディストより』か。最高級のブドウジュースだし美味しそうではあるけど正直、あんまり嬉しくないんだよね……。 |
マーテル | 201号室はここね。部屋が多くて間違えそうになっちゃったわ。 |
ミトス | 姉さま…… ! |
マーテル | ふふっ。なんだか待ちきれなくてまだ少し早いけど着替えてきちゃった。 |
ミトス | ……ドレス姿の姉さま、とっても綺麗だ。ユアンにはもったいないくらいだよ。 |
マーテル | それならユアンも幸せ者ね。花嫁としても嬉しい限りだわ。 |
ミトス | いよいよ今日が結婚式なんだね……。いざ当日になってみるとなんだか少し落ち着かないな。 |
マーテル | ……寂しい ? |
ミトス | そんなことないよ。姉さまの結婚式だもの。嬉しいに決まってる。 |
マーテル | 隠さなくてもいいのよ。でもね、ミトス。私たち姉弟の関係は何も変わらないわ。今までも、そしてこれからもずっと。 |
ミトス | ……姉さま。 |
マーテル | これからはユアンも家族の一員よ。私たちの家族はずっと二人だったけれどこれからは三人になるの。 |
ミトス | まさかあの電気クラゲが義兄さんになるだなんて。姉さまって、昔からちょっとセンスが変だよね。クラトスならともかく……。 |
マーテル | まあ、ひどいわ、ミトスったら。ユアンは可愛い人よ。それにミトスだってユアンのことが大好きでしょう ? |
ミトス | ……うん。あいつ、いつだって姉さまを最優先にしてくれるから。まあ、すぐつけあがるから内緒だけどね。 |
ミトス | でも……もし姉さまのパートナーとして相応しくない行いをするならボクは容赦をするつもりはないよ。 |
マーテル | 相応しくない行いって……浮気とか、かしら ?ふふ……。そのときは私も加勢するわ。姉弟仲良く、ユアンにお仕置きしましょうね。 |
ミトス | あはは ! 言うね、姉さま ! |
マーテル | それにしても、ユアン……遅いわね。もうそろそろ到着してもいい頃なのに。 |
ミトス | まさか遅刻なんてことはないだろうけど姉さまのことを待たせて何してるのかな。これだけでも姉さまの相手としては減点だよ。 |
マーテル | 昨日の夜も、クラトスとウィルさんの三人で外出したきりアジトにも帰ってこなかったでしょう。何かあったのかしら。 |
ミトス | バチェラー・パーティーのつもりだったんだろうけど羽目を外しすぎたんじゃないだろうな……。手配書でも張り出してやりたいよ。 |
クロエ | ユアン・カーフェイの手配書が出回っているだと ! ? |
アリーシャ | 知り合いの自警団から報告が入った。まだ公にはなっていないが裏ではユアン殿に懸賞金もかかっているそうだ。 |
クロエ | さすがに見過ごせないな。いったいカーフェイに何があったんだ ?まさか悪事を働いたわけではないだろう ? |
アリーシャ | わからない。だがアルタミラの街でユアン殿の手荷物が落ちていたそうだ。何か事件に巻き込まれた可能性が高い。 |
クロエ | このままではカーフェイの身も危険ということだな。ならばまず私たちがカーフェイの身柄を保護。その後、本人に事情を尋ねるのがいいだろう。 |
アリーシャ | 本来ならば私が向かうのだがまだ仕事が残っていてな……。非番のところすまないが、頼めるだろうか ? |
クロエ | ああ。カーフェイのことは任せてくれ。皆に知られ、大騒ぎになる前に私がきっちりと内密にことを収めてみせよう。 |
アリーシャ | さすがはクロエ。頼もしいな。同じ浮遊島警備部の仲間としても心強く思うぞ。 |
ノーマ | しつれいしまーす ! クー、もう仕事終わった ?これからセネセネたちと遊びに行くんだけどクーも一緒に行こうよ~。 |
クロエ | すまないが急用ができた。最近は誘いを断ってばかりで悪いな。 |
ノーマ | えぇ~またぁ ! ? トレジャーハンティングも浴衣も断られて、あたしは悲しいよ~。 |
クロエ | まだそのことをひきずっていたのか……。 |
グリューネ | 一緒にお洋服を見て回ろうってお話してたのよぉ。クロエちゃんの可愛い姿が見られると思ったのにお姉さん、残念だわぁ。 |
クロエ | そ、そうか……。だが、私は可愛い格好をするつもりはないのだが……。 |
シャーリィ | 一緒に出掛けたかったけど、仕方ないね。クロエ、もし合流できそうだったら連絡して。わたしたち待ってるから。お仕事頑張ってね。 |
クロエ | ありがとう、シャーリィ。ならば早く仕事を片付けなくてはな。 |
クロエ | では、浮遊島警備部クロエ・ヴァレンス。これより出動する。 |
アリーシャ | はっ ! |
ノーマ | それじゃあ、あたしたちも遊びに行こっか。 |
シャーリィ | アルタミラでお買い物だね。 |
ミラ | ふふっ。【あれ】も今頃部屋に届いてる頃ね。無事にアルタミラで食材も揃ったし今日は最高の料理でエルを驚かせてやるんだから。 |
ウィル | はぁ……はぁ……。ダメだ、見失った。 |
クラトス | マズイことになったな……。 |
ミラ | ウィルとクラトスじゃない。あんたたち、何してるの ? |
ウィル | ミラか。ちょうどよかった。このあたりでユアンを見かけなかったか ? |
ミラ | ユアン ? 見てないわよ。何かあったの ? |
二人 | …………。 |
ミラ | はいはい。別に言いたくなきゃいいわよ。私としても、他にやることがあるからユアンのことなんか全然興味ないし。 |
ウィル | ……いや、君になら話してもいいか。ユアンに本を贈ったということは今日のことも知っているのだろう。 |
ミラ | 今日のことって ?というより、私はユアンに本なんか贈ってないわよ。 |
ウィル | なに ? 『1番になれるスープの作り方』は君がユアンに贈った本ではなかったのか ? |
ミラ | ど、どうしてその本のことを知ってるのよ ! ?まだ私の部屋に届いてすらいないのよ ! ? |
ウィル | ま、待て。君があの本を注文したのは間違いないがユアンには贈っていないということか ? |
ウィル | となるともう一人のミラが贈ったことになるが……。まさか君の本が、もう一人のミラの方に誤配送されたのか ? |
クラトス | だが、届いた本を見ればあちらのミラも気づくはず。 |
ミラ | …………プレゼント包装で注文したのよ。 |
二人 | ? |
ミラ | そ、その本を私が注文したって知られたくなかったから包装注文したの !悪い ! ? 何か文句ある ! ? |
クラトス | いや、文句などないが……何故知られたくなかったのだ ? |
ウィル | ……いや、言わなくてもいい。オレにはわかる。独特な執念を感じる表題だしな……。厳重に包装して注文したくなるのも無理はない。 |
ミラ | あなたたちも、この本のことを誰かに言ったらただじゃおかないから。 |
ウィル | わ、わかった。約束しよう。いまも本はユアンが持っているはずだ。見つけたら、返すよう話しておいてやる。 |
ミラ | ダメよ。今必要なの。だって今日はエルのために……。 |
クラトス | その食材をみればわかる。計画していたことがあるのだな。 |
ミラ | そうよ。だから私もユアンを捜す。あなたたちがユアンを追ってる理由は知らないけど手がかりが掴めたら情報共有ぐらいはしてあげる。 |
クラトス | 口止め料としては十分だ。こちらもユアンについて何かわかり次第魔鏡通信で伝えよう。 |
ウィル | では手分けして捜そう。いくぞ。 |
クラトス | ああ。 |
ミラ | まったく面倒なことになったわね。早く本を取り返して夕飯の準備をしないといけないのに。 |
キャラクター | 3話【ハプニング4 渦中の花婿】 |
アーリア | ふふっ。着替えも終わったしティルキスの反応が楽しみね。あっ、そうだわ。指輪も付けなくちゃ……。 |
? ? ? | ようやく……たどり、着いた……。 |
アーリア | あら ? そこにいるのはティルキス ?鍵なら開いてるわ。入ってきていいわよ。 |
? ? ? | ………………。 |
アーリア | ティルキス ?もしかして鍵がかかってた ?待ってて、いま開けてあげる―― |
ユアン | う、ぐっ…………貴様、は……。 |
アーリア | きゃああああ ! ! ! !だ、誰か ! 301号室にきて !干からびた電気クラゲのお化けが―― |
ユアン | だ、誰が……電気クラゲだ……。いや、それよりも……301号室だと ?ここは201号室のはずでは……。 |
アーリア | ドアのプレートを見て ! ここは301号室よ !……って、あなた、ユアン ! ?ボロボロじゃない、いったいどうしたの ! ? |
ユアン | 部屋を……間違えた…………。 |
アーリア | それくらいの推測はついてるわよ。この状況はもちろん、アジトでのあなたの日常からも。とにかく、ちょっと待って、すぐ治療するわ。 |
ユアン | 待て……ゆび、わ…………。 |
アーリア | 指輪 ? あっ、いけない !わたし、さっき落としちゃったのね。ありがとう、教えてくれて。 |
ユアン | また……失くすところ、だった…………。 |
アーリア | えっ ? ユアン、ちょっと待って。それはわたしの指輪よ。あなたの指輪はちゃんと指についてるでしょう ? |
ユアン | ………………。 |
アーリア | ウソ ! ? 気絶しちゃったの ! ?しかも、わたしの指輪を握ったまま ! ? |
アーリア | ユアン、お願い ! 指輪を返して !ティルキスとの撮影の時につけていくって約束したのよ ! |
アーリア | くっ……ダメだわ。もの凄い力で握りしめてる。どこからこんな力が湧いてくるのか知らないけどイネスの怪力も比じゃないほどだわ。 |
アーリア | いったいどうすれば―― |
? ? ? | クラゲが出たと聞こえたんで来てみればこいつはビンゴっすね。 |
アーリア | ! |
ダークかめにん | おっと、そのまま動くなっす。さあ……両手を挙げて亀のようにゆっくりと壁際に移動するっすよ。 |
アーリア | ……あなた、もしかしてダークかめにん ?ベルベットたちから話は聞いたことがあるけど……。……いったい何が目的なの ? |
ダークかめにん | 簡単な話っすよ。ホワイトな花嫁には悪いっすがそのクラゲはダークな俺がもらっていくっす。 |
クロエ | 目撃情報からするとカーフェイは201号室にいるはずなのだが。おかしい……誰もいないな。 |
クロエ | いや、この飲みかけのブドウジュース……。氷の溶け具合からして先ほどまで誰かしらはいたようだが……。 |
? ? ? | 体力はもちろん気遣いの精神も求められるとは。この仕事、皿洗いの比ではないほどキツイぞ。 |
? ? ? | よかったわね。またひとつ庶民の生活というものがわかって。さあ、次は201号室のご案内よ。 |
クロエ | 式場のスタッフか ?いや、だがこの声はどこかで……。 |
ガイアス | お前は……。 |
クロエ | ガイアス ! ミュゼ ! |
ミュゼ | あら、随分と若い花嫁なのねぇ。それにどこかで見た顔だわ。 |
ガイアス | ミュゼ、何を言っている。彼女はクロエ。同じアジトの鏡映点だぞ。 |
ミュゼ | そういえばそうだったわ。ミラに仲間がいっぱいできたのは嬉しいけど増えすぎるのも、覚えるのが大変で困るのよね。 |
クロエ | ……ミュゼはグリューネさんとはまた違う独特な雰囲気を持っているな……。いや、それより、二人はここで何をしてるんだ ? |
ミュゼ | ブライダルスタッフのアルバイトよ。見たらわかるでしょう。 |
クロエ | わかるかぁ ! ? |
ガイアス | そして、今の俺はガイアスではなく時給10ガルドで雇われたブライダルスタッフのアーストだ。 |
クロエ | 元の世界では王だったガイアスが結婚式場でアルバイトだと ! ?しかも時給10ガルドで ! ? |
クロエ | いや……だがこの世界では治める国もないのが実情。王という身分や血筋などにこだわり過ぎても詮無きことだな。 |
クロエ | 私もヴァレンス家の名前すら存在しないこの世界に来てしまったわけだ。ガイアスのように新しい生き方を模索すべきか。 |
ガイアス | このバイトをすることになったのはミュゼのつまみ食いが原因だがな。 |
ミュゼ | たかがつまみ食いで大袈裟よね。とにかく、いまはこの201号室の花嫁をご案内するとしましょう。 |
クロエ | 201号室の花嫁 ? |
ミュゼ | あなたのことに決まってるじゃない。まだドレスにも着替えてなかったなんて呆れたわ。さあ、急ぎましょう。 |
クロエ | ちょ、ちょっと待ってくれ !私は花嫁ではないぞ ! |
ガイアス | 落ち着け。ミュゼ。きっとクロエがここにいたのは何か事情があってのことだ。 |
ミュゼ | ガイアスは何もわかってないわね。彼女はマリッジブルーなのよ。真っ白なドレスでも着せたら気分も変わるわ。 |
クロエ | 何もわかってないのはどっちだ ! ?ちょ、ミュゼ、放せ ! 放してくれ ! ! |
マーテル | ありがとう、ティルキス。おかげでドレスについたブドウジュースのシミが、綺麗に落ちたわ !さすがは頼れるなんでも屋さんね。 |
ティルキス | 無事にシミが落ちて、俺もホッとしたよ。なんでも屋の仕事をはじめて、色々経験してきたがこのブドウジュースのシミは強敵だった。 |
ミトス | 送り主がディストだからね。へばりついて落ちないのも無理はないよ。送り主に似てしつこいシミだった……。 |
ティルキス | それにしても驚いたな。まさかマーテルたちも今日が挙式日だったとは。まあ、俺たちの方はあくまでモデル撮影なんだが。 |
マーテル | それでも想いは本物なのでしょう ? |
ティルキス | さすがはマーテルだな。やっぱりわかるものなのか ? |
マーテル | ええ、強い想いは周りにも伝わるものよ。ユアンのようになかなか口にはしてくれなくてもね。それがユアンの可愛いところでもあるのだけれど。 |
ミトス | はいはい。のろけはそれくらいにして姉さまはそろそろ部屋に戻らないと。ティルキスもまだ仕事が残ってるんでしょう ? |
ティルキス | ああ。カジノに配達する荷物があるんだ。はやく片付けて、撮影に向かわなきゃな。 |
ミトス | ……カジノか。 |
マーテル | ミトス、どうかしたの ? |
ミトス | ユアンのことで……ちょっと気になってね。 |
ミラ | なんだかこの式場、やけに騒がしいのね。モデルがいなくなったとか新婦がマリッジブルーだとか、よくわからないけど。 |
ミラ | まあ、私には関係ないことだわ。聞き覚えのある声も聞こえた気がするけどそれもきっと気のせいね。 |
ミラ | 今はとにかく急いでユアンを捜さないと。情報によると、この会場のスタッフも何故かユアンを捜しているみたいだし、手がかりぐらいは掴める筈。 |
グリューネ | あら、ミラちゃんだわ。こんにちは。もしかしてミラちゃんも誰か捜しているの ?そうだとしたらお姉さんと一緒ね。なんだか嬉しいわ。 |
ミラ | って、言ってるそばからトラブルの予感が……。色々ツッコミをいれたいけど今は我慢よ、私。 |
グリューネ | 我慢はよくないわぁ。マギルゥちゃんもわたくしはツッコミ甲斐があるって褒めてくれたの。だから、存分にツッコんでくれていいのよ ? |
ミラ | いや漫才の話じゃなく…………あっ。 |
ミラ | はぁ……これが天然ボケの厄介なところなのよね。で、あなたはどうして式場にいるわけ ? |
グリューネ | クロエちゃんに似合う可愛いお洋服を探していたらウェディングドレスのデザイナーさんとお友達になって今は式場の迷子係をやっているの。 |
ミラ | どうしてそうなったのかさっぱりわからないけど一言でまとめると、グリューネだからってわけね。 |
ミラ | ユアンは……さすがに迷子って年齢じゃないしあなたに聞いても無駄よね。自力で捜すとするわ。それじゃあ、あなたはあなたで迷子係を頑張って。 |
グリューネ | 待って。お姉さん、迷子係だからミラちゃんを連れて行かないといけないわ。 |
ミラ | ……どういう意味 ? |
グリューネ | ミラちゃんが迷子のモデルさんなのよね ?金髪だしロングヘアーだし、とっても美人さんだもの。それにウェディングドレスも似合いそうだわぁ。 |
キャラクター | 4話【ハプニング5 集う花嫁】 |
エル | ねぇねぇ、ルドガー。アルタミラにはカジノってとこがあるんでしょ ?エル、次はそこに行ってみたいな。 |
ルドガー | ダメだ。嫌な予感しかしない。 |
エル | ちゃんとエルのジバラでやるし。こうみえてもエルはルドガーと違ってけっこうお金持ってるんだよ。 |
ルドガー | また兄さんからお小遣いもらったな ? |
エル | も、もらってませんー。ねぇ、ルル ? |
ルル | ナァ…………。 |
ルドガー | とにかくカジノはやめておこう。借金を背負うまではいかないと思うけどもうお金周りでの苦労はこりごりだ。 |
ダークかめにん | カメは甲羅を背負いルドガーは借金の十字架を背負うってわけっすか。俺にはあんたの気持ち、よくわかるっすよ。 |
ルドガー | ダークかめにん ! ?そんな大きなカゴを背負って何してるんだ ? |
? ? ? | …………っ。 |
エル | えっ……いまカゴの中から変な声がしなかった ?ねぇ、何がはいってるの ? |
ダークかめにん | おっと。そこから先はトップシークレットっすよ。カゴの中は絶対に見てはダメっす。いいっすか ? 絶対にダメっすからね ? |
エル | はーい ! 絶対に見ませーん !エル、こっちでおとなしくしてまーす ! |
ダークかめにん | それはそうと我が友ルドガー、聞いてくれっす !とうとう俺も借金から解放されるときがきたっすよ ! |
ルドガー | 我が友かは置いておくとして……借金から解放 ?あれだけあった借金の返済目処がついたっていうのか ? |
ダークかめにん | ここまでくるのに苦労したっすよ。借金を返済し終わったら温泉にでも行ってダークに染まった心の汚れを洗い落とすとするっす。 |
ルドガー | 借金完済で温泉か……。たしかに、それは夢だよなぁ。 |
ダークかめにん | 温泉に行くときは誘ってやるっすよ。俺のおごりでパーッとやるっす。それじゃあ、俺はもう行くっすね。 |
ルドガー | ……行ったか。なんだか胡散臭いけどどうも俺はあいつを憎めないんだよな……。 |
エル | うーん…………。 |
ルドガー | エル ? どうかしたのか ?そんなに考え込んで。 |
エル | ……ううん、なんでもない。たぶん気のせいだから。誰にでも見間違いはあるもんね。 |
ルドガー | ……あちこち店を見て回ってちょっと疲れたのかもしれないな。少しカフェで休むか ? |
エル | うん。休んだほうがいいかも。なんかエル、おかしくなっちゃったみたい。ウェディングドレスを着てるミラまで見えてきた。 |
ルドガー | ウェディングドレスを着たミラ ? |
ミラ | もうっ、あいつはどこにいったのよ。 |
ルドガー | ………………あれのことか ? |
エル | ルドガーも見えるの ! ? |
ミラ | ? |
ミラ | あ、あなたたち―― ! ! |
二人 | ミラ ! ! ! ! |
ミラ | な、なによ……。おおかた言いたいことはわかるけど。 |
エル | 本当にミラなんだ ! すっごくキレイ !人魚の国のお姫さまみたい ! ! |
ミラ | お、お姫様って……。そりゃあ、私は元精霊の主だしそれなりの気品はあるとは思うけど……。 |
ルドガー | 確かによく似合ってるけど……どうしてウェディングドレス姿なんだ ? |
エル | もしかして結婚しちゃうの ! ? |
ミラ | しないわよ ! そんな予定もないから !ドレスなのは色々あって、気がついたら着てたというか、着せられてたというか……。 |
ルドガー | そうなのか……。とはいえ、こうしてみるとミラもいいお嫁さんになりそうだな。 |
ミラ | な、何言ってるのよ……。私がいいお嫁さんだなんて……。 |
エル | そんなのダメー ! ドレス姿のミラは好きだけどミラはずっとエルのミラだもん ! |
エル | ほかにアイボーとかハンリョとかいらないの !ルドガーにも誰にもあげないから !ね、ミラ ? |
ミラ | …………エル。 |
ミラ | まったく、仕方ないわね。まだまだお子様なあなたを放ってお嫁になんか行けないし別にいいわよ。 |
ルドガー | ドレスを着ていてもミラはミラだな。 |
ミラ | うるさいわね。文句ある ? |
エル | ううん。エルのミラは、エルのミラ !けど……ミラが幻じゃなかったならさっきエルが見たのも幻じゃなかったのかも。 |
ルドガー | そういえば見間違いがどうのこうのって話していたよな。何を見たんだ ? |
エル | ダークかめにんのカゴの中をこっそりのぞいたらね干からびたユアンが入ってたんだ。 |
ルドガー | 干からびたユアン ! ? |
ミラ | ちょ、ちょっと待って ! ユアンを見たの ! ? |
エル | うん。けどだいぶ干からびてたしやっぱりユアンじゃないかも……。 |
? ? ? | それは間違いなくユアンよ。わたしが見かけたときもだいぶ干からびてたもの。 |
ミラ | あなたは…… ! ! |
アーリア | よかったわ。なんとかユアンの手がかりがつかめて。 |
二人 | またウェディングドレス ! ? |
アーリア | その話をすると長くなるから色々あったのだと思っていてちょうだい。 |
? ? ? | ああ。私も色々あったのだと思ってくれ。 |
ミラ | その声は…… ! |
クロエ | それよりもカーフェイの行方を知っているならば私にも教えてくれ。 |
二人 | またまたウェディングドレス ! ? |
ミラ | なぜドレス姿なのかは問わないわ。けど、どうしてあなたたちまでユアンを追ってるのよ。 |
クロエ | 詳しくは話せないが捜査のためとだけ言っておこう。 |
ミラ | 捜査のため ? 取り調べでもするつもり ? |
クロエ | ああ。拘置所で色々と聞きたいことがある。数日かけてじっくりとな。 |
アーリア | 数日も ! ? |
クロエ | もしかしたら、一週間かかる場合も考えられる。たとえアジトの仲間とはいえ見過ごせないこともあるからな。 |
クロエ | とにかく、いまは一刻も早くカーフェイを見つけなくてはならないんだ。だからエル、カーフェイの行方について―― |
ミラ | 待ちなさい。その情報は私のものよ。 |
クロエ | ……ミラ、どういうつもりだ ?剣は不用意に握るものじゃないぞ。 |
ミラ | 覚悟なら決まってるわ。ユアンをあなたには渡さない。 |
クロエ | ……お前たちは、なぜカーフェイを捜している ?私と同じく捜査が理由じゃないのか ? |
ミラ | ど、どうだっていいでしょ。あなたには関係ないことよ。 |
クロエ | 答えるつもりはないと……。いったい何を隠している ?あまり仲間を疑いたくはないが怪しいな。 |
クロエ | いや……だがまずはカーフェイが優先か。急がなくては、また見失ってしまう。悪いがミラ、押し通させてもらうぞ。 |
アーリア | 水を差すようで悪いけどわたしも引き下がるわけにはいかないわ。 |
クロエ | アーリア ! ? |
アーリア | わたしもユアンを渡すわけにはいかないの。たとえ、何があろうとも。 |
? ? ? | なんだか大変なことになってるわね…… ? |
二人 | またまたまたウェディングドレス ! ? |
アーリア | マーテルさん ! ? どうしてここに ! ? |
マーテル | 騒ぎが起きているとつい気になる性分なの……。だけど、まさかユアンが関わっているとは思わなかったわ。 |
マーテル | みんな、一度落ち着いて話し合いましょう。えーっと、問題は、何故ユアンが干からびてしまったか……という事よね ? |
クロエ | 大人の意見とみせかけて全然論点がわかっていないな ! ? |
マーテル | ……あら、そういえばアーリアこんなところにいていいの ?ティルキスが待っているのでしょう ? |
アーリア | ……ティルキスには、こんなことになって申し訳ないと思っています。けど、だからこそ―― |
アーリア | ここで諦めるわけにはいかないんです ! |
マーテル | ! ? |
ミラ | 私も同意見ね。ユアンのためにこんな格好で追いかけてきたのよ。今さら退けるはずないわ。 |
マーテル | ユアンのために ! ? |
クロエ | 私も途中で諦めるつもりはない。カーフェイの身柄は私が預かる。 |
ミラ | それだけは認められないわね。あなたの手に渡るのが一番厄介そうなのよ。 |
アーリア | 言えてるわね。 |
クロエ | なんだと ?邪魔をするなら容赦しないぞ ! |
マーテル | ……え ? 待ってちょうだい。もしかして、みんな……ユアンを取り合っているの ! ? |
ルドガー | ど、どうしてこんなことに……。 |
エル | エル、知ってるよ !これってシュラバって言うんでしょ !ルドガー、はやく止めて ! |
ルドガー | 俺が ! ? |
エル | ほらっ、はやく ! |
ルドガー | あ、あのぉ……。 |
四人 | 邪魔するな ! !邪魔しないで ! ! |
ルドガー | 結局、俺が一番はじめにやられるのか ! ? |
キャラクター | 5話【ハプニング6 迫りくる危機】 |
ユアン | 貴様……なぜ私を狙う ?お前の商品は買ってやったが恨みまで買った覚えはないぞ。 |
ダークかめにん | お前に望むことは、ツケの精算だけっすよ。あんたは値切ろうとせず、提示価格で買ってくれる都合の……真っ当な客だったんで惜しいっすけど。 |
ユアン | ツケの精算だと ?それはもう済んでいるはずだ。言いがかりはやめてもらおうか。 |
ダークかめにん | 借金を踏み倒すつもりっすか ?悪いっすけど、そうはいかないっすよ。この請求書にかかれた全額を払ってもらうっす。 |
ユアン | な、なんだその桁数は ! ?そんな金額払えるわけがないだろう !第一そんなツケに覚えはない ! |
ダークかめにん | 命の恩人に対して随分な物言いっすねぇ。今日まで生きてこられたのは誰のおかげだったと思ってるっすか ? |
ユアン | 貴様が命の恩人だと ? 笑わせるな。確かにあの商品は悪くはなかったがさすがにそこまでの価値はない。 |
ダークかめにん | 今さらクレームも返品も受け付けないっす。金が払えないのなら身体で払ってもらうだけっすよ。向こう四千年間、ニャバクラのボーイとして。 |
ユアン | 四千年間だと ! ? |
ダークかめにん | これでようやく俺も借金地獄から解放されるっす。絶対に逃しはしないっすからそこでおとなしくしてるっすよ。 |
ユアン | くそっ……なんてヤツだ。結婚式も間近に迫っているというのに……。 |
クラトス | ユアン。無事のようだな。待っていろ、いま縄を解く。 |
ユアン | クラトス ! ウィル !どうしてここに ! ? |
ウィル | 怪しいロボが彷徨っているという情報からもしかしたらと思ってな。ひとまず水を飲め、本当に干からびるぞ。 |
ユアン | 余計なお世話だと言いたいところだが今はありがたく頂戴するとしよう。もう喉もカラカラだ。 |
ウィル | ユアン。先ほどの会話は聞かせてもらったぞ。随分と酷い言いがかりをつけられたものだな。 |
クラトス | 念のため聞いておくが本当にあの高額の借金は身に覚えがないのだな ? |
ユアン | 当たり前だ。誰があんな高額を借りるものか。あいつは自分の借金を私になすりつけてきただけだ。 |
ウィル | オレもそう思うが……いや、とにかく今はここから逃げよう。また戻ってくるかもしれん。 |
クラトス | 問題はその後だ。お前が逃げたと知ればまたヤツは追ってくる。今度は兵器もけしかけてくるだろう。 |
ユアン | …………身を潜めるべきだと言うのか ? |
クラトス | そう結論を急ぐな。まず、お前がどうしたいのかを聞かせてもらおう。 |
ユアン | 式場に向かいたいに決まっている。結婚式は私だけの問題ではない。マーテルの夢でもあるんだ。 |
ウィル | なら、どうするかは決まったな。 |
ユアン | だが戦闘は避けられん。お前たちを巻き込むことになるかもしれないが……。 |
クラトス | 構わん。私たちがなんとかする。たとえ何が立ちはだかろうと必ずお前を式場まで送り届けると約束しよう。 |
ウィル | オレたちからのご祝儀とでも思ってくれればいいさ。 |
ユアン | ――わかった。二人とも、感謝するぞ。 |
クラトス | フッ、では急ぐとしよう。気を引き締めていくぞ。 |
ウィル | ああ。街で何やら騒ぎも起こっているようだからな。ダークかめにんのことだけでも手一杯だ。他にトラブルが起こらなければいいのだが―― |
レイア | アグリア ! また勝手に記事を差し替えたでしょ ! ?ちゃんとレイア出版部部長であるわたしの許可を取ってからにしてって言ってるよね ! ? |
アグリア | うるせぇな。てめぇのきったねぇ字で書かれたつまんねぇ記事より、あたしが書いた記事の方がおもしれぇし人気なんだから黙ってろよ。 |
レイア | こ、これでもルークと一緒に特訓してけっこう上達したんだから ! |
レイア | それにいくら面白いし人気だからってこんな憶測だらけのゴシップ記事は認められません。悪いけどボツってことで。 |
アグリア | 今さら何いってんだ ?ツテのある商店や救世軍のカジノとかではもう張り出されてる頃だぞ。 |
レイア | なんなの、その仕事の速さは ! ?いつもわたしが頼んだことは無視するくせに ! |
アグリア | 陛下だってバイトを頑張ってんだ。あたしも怠けちゃいられねぇからな。いやぁ、我ながら話題性抜群の記事が書けたぜ。 |
レイア | けど……『ユアン・カーフェイ熱愛スキャンダル』ってこの記事、本当に大丈夫なのかな……。 |
ミトス | ユアンを始末したら公道に埋めようと思うんだ。そしてボクは毎日その上を姉さまと歩く。死んでもなお、踏みつけてやるためにね。 |
マーク | お、おう………………。 |
ローエン | お待たせしました。カジノの入場者リストを確認してきましたがやはりユアンさんの名前はありませんでした。 |
ミトス | そう……。まあ、当然だよね。クラトスも一緒だったんだし。 |
ミトス | バチェラー・パーティーをカジノでやって無一文になって出られなくなった……なんてことは流石に考えすぎだったか……。 |
ミトス | けど、そのかわりにこんな情報が手に入るなんてね……。 |
マーク | なぁミトス。情報って言ってもアグリアの記事だろ。そりゃあ全部がウソとは言えねぇ内容みたいだが……一度冷静になって考えてみた方がいいんじゃねぇか ? |
シンク | 仕方ないよ。こいつは重度のシスコ―― |
マーク | おーっと、その辺でやめとこうぜ、シンク。人の愛情やら憎しみにレッテルを付けるのは。 |
ミトス | 別にいいよ。そんなことより、今はユアンだ。 |
ミトス | 確かに火のないところでも煙は立てられるけどね。今日は特別なんだ。こんな日に騒ぎを起こすなんて……。 |
ミトス | それに、ユアンは姉さまに出会う前は女の人をとっかえひっかえしていたんだ。今頃になってその虫が騒ぎ出した可能性だって―― |
ローエン | 障害があるほど恋はよく燃えますからね。うっかり火遊びが過ぎてしまったのかもしれません。私も若い頃はそれはもう毎日が―― |
マーク | ローエン ! 火に油を注ぐなって !あと、どうしてちょっと張り合おうとするんだ……。 |
ヴィクトル | なるほど……つまり、年の差も恋のスパイスだと。エルも巻き込まれているらしいとの情報があったが……そういうことだったか……。 |
ヴィクトル | ユアン・カーフェイ、始末せねばならん。 |
マーク | おい、ヴィクトル ! ? お前も落ち着け !娘さんが心配なのはわかるが、さすがに考えすぎだ ! |
シンク | あははは、大変だね、苦労性の鏡精さん。ほら、そこにいる色ボケ王子もだいぶ重症みたいだよ。 |
ティルキス | ……アーリアとは深い絆で結ばれていた。こんなことになるなんて、ユアンにたぶらかされたからとしか考えられない。 |
ティルキス | 報いを受けてもらうぞ、ユアン。 |
ローエン | いいですね。これぞ青春。羨ましい限りです。 |
マーク | はぁ……もう俺は知らん。生活力皆無のご主人様の面倒だけで手一杯だからな。あとは好きにやってくれ。 |
ミトス | そうさせてもらうよ。必ず、ボクはこの手で―― |
三人 | ユアンを始末する ! ! |
キャラクター | 6話【ハプニング7 戦いの行方】 |
セネル | アルタミラでの血みどろ花婿争奪戦 ?こんなのただのゴシップ記事だろ。クロエが関わってるとは思えない。 |
シャーリィ | わたしもはじめはそう思ったけど―― |
セネル | シャーリィ、危ない ! |
シャーリィ | えっ ? |
マーテル | きゃっ……ご、ごめんなさい。もう少しでぶつかるところだったわね。大丈夫、怪我はしてない ? |
シャーリィ | はい、わたしは大丈夫ですけど……えっ ! ?マーテルさんにアーリアさんじゃないですか !しかもその格好―― |
アーリア | なんでドレス姿でこんな街中を走っているのかは色々あったからとだけ伝えておくわ。ごめんなさい、わたしたち急いでるの。 |
マーテル | この記事が出回ってからしばらく経ったわ。ミトスやティルキスが目にしていてもおかしくないものね。 |
アーリア | ユアンの命が危ないわ。 |
マーテル | ユアンだけじゃないわ。命をかけた戦いになれば勝敗に関わらず互いに無事ではすまないはずよ。争いを止めるためにも急ぎましょう ! |
アーリア | はい。あれを取り返すためにも……。 |
セネル | ……なんだったんだ ?だいぶ焦っているみたいだったが何かあったのか ? |
シャーリィ | よくわからないけど……あの二人がドレスを着ていたってことはこの記事に書いてあるとおりクロエも―― |
ノーマ | セネセネにリッちゃん、遅すぎだよ !もう最終ラウンドも終盤だよ ! |
セネル | ノーマ、おまえここにいたのか。というより最終ラウンドって何の話だ ? |
ノーマ | ほら、あれあれ ! ! |
クロエ | くらえっ ! ! 月影刃 ! ! |
ミラ | あまいわよっ ! フェイタルダンス ! ! |
ノーマ | いいぞっ、クー !いけ~、そこだ~、やっちまえ~ ! ! |
エル | ミラ ! がんばれー ! |
観客 | うおおおおぉぉぉおおお ! ! ! ! !いけえぇぇ ! ! ! ! |
セネル | 街中で決闘してるって本当だったのか ! ?しかもウェディングドレスで ! |
ノーマ | セネセネはもちろんクーに賭けるよね ? |
セネル | お前はのんきに賭けをやってる場合か ! |
シャーリィ | やっぱりこの記事は本当だったんだね。正直、こんなこと信じたくないけど……つまりクロエは…………。 |
エル | なになに ? その記事、何が書いてあるの ? |
ルドガー | エル、ダメだぞ。まだ早い。 |
エル | ちょっ、ルドガー。見えないー。 |
セネル | 「男女の仲に理由はいらない」ハリエットから教わった言葉だ。 |
セネル | だから相手が、その……婚約者がいる相手でも……俺がとやかく言うべきじゃないかもしれない。 |
セネル | けど……決闘で花嫁を決めるなんて間違ってる !あいつの騎士としての精神はどうしちまったんだよ ! |
ルドガー | …………あれ ?この戦いって花嫁を決める戦いだったか ? |
エル | しっ。ルドガーは黙ってて。これはオトナな恋の話なんだからね。 |
ルル | ナァ~…………。 |
ノーマ | セネセネ。クーは寂しかったんじゃないかな。ヴァレンス家の家どころかその歴史すらもないこの世界に来てちゃってさ。 |
ノーマ | その寂しさを、超絶年上のユアっちが癒やしてくれた。いつしかクーは禁断の恋と知りながらものめりこんでしまったんだよ。 |
ノーマ | 例え婚約者がいようと、ユアっちを失いたくない。ユアっちと一緒に歩いていくのは自分なんだって思ったんじゃないかな。 |
セネル | ユアンも罪なことしやがる……。 |
ノーマ | ホント、トレジャーハンターのあたしもビックリだよ。だってユアっちはとんでもないものを盗んでいったんだからさ。 |
ノーマ | クーの乙女心を……。 |
セネル | クロエ……くそっ !あんな姿、見ていられるかよ ! |
ルドガー | セネル ! いまあの二人に近づくのは危ないぞ ! |
クロエ | はぁはぁ……ミラ、聞いてもいいか ? |
ミラ | はぁ……はぁ…………なに ? |
クロエ | なぜ、こんなに人が集まっているんだ。それにアーリアとマーテルさんはどこにいった。そもそもなぜ一対一の勝負になっている。 |
ミラ | そんなこと知らないわよ。ただ、あなたがやめるって言うなら止めないわよ。私の勝ちってことになるけどね。 |
クロエ | 誰もやめるとは言っていない !一度剣を抜いたからには覚悟はできているつもりだ。……そろそろ決着を付けよう。 |
ミラ | あなたもしぶといわね。けど、こっちだってエルの前で格好悪いところ見せられないのよ。 |
クロエ | いくぞっ、ミラ ! ! |
ミラ | かかってきなさい ! ! これで終わりよ ! ! |
二人 | 魔鏡技 ! ! |
セネル | やめろ ! ! ! ! |
二人 | ! ? |
ミラ | ちょっと、なに割り込んでるのよ !邪魔しないでくれる ! ? |
セネル | クロエに話がある。 |
クロエ | クーリッジ、後にしてくれないか今は大事な勝負をしているんだ。 |
セネル | ……こっちも大事な話なんだ。頼むから聞いてくれ。 |
クロエ | …………わ、わかった。手短に頼む。 |
セネル | もっと自分の気持ちに正直になれよ。 |
クロエ | …… ? |
セネル | どうしてずっと黙ってたんだ。どうしてちゃんと伝えてくれなかったんだよ。 |
クロエ | ん…… ? ちょ、ちょっと待て。い、一体何の話だ ? ? |
セネル | とぼけるなよ。お前は俺の気持ちがわかるって言ってたよな。それは俺だって同じだ ! |
セネル | 俺だってお前の気持ちをちゃんとわかってるんだぞ ! |
クロエ | そ、そうなの、か…… ? |
セネル | お前も言ってたじゃないか。ちゃんと言葉にして相手に伝えることの大切さを。 |
クロエ | い、いや、しかし……クーリッジには……。 |
シャーリィ | クロエ、ちゃんと言わないとだめだよ ! |
クロエ | シャ、シャーリィ ! ? |
セネル | お前がどうしても言わないつもりでも俺はお前の本心が知りたい。なぁ、教えてくれよ ! クロエ ! ! |
セネル | そこまでしてユアンと結婚したいのか ! ? |
クロエ | ――ユアンと結婚 ! ? ! ? |
セネル | わかってる。寂しかったんだよな。けど、どうして相談してくれなかったんだ。そんな格好までしてユアンを奪い合って……。 |
クロエ | ………………なぁ、クーリッジ。私をレイナードの愛人呼ばわりしたことがあったが今度はカーフェイの伴侶呼ばわりか ? |
セネル | ? それは記憶違いだぞ。ウィルの愛人だと疑っていたのは俺じゃなくハリエットで―― |
クロエ | そんなことはどうでもいい !何を勘違いしているのか知らないがこの狼藉を許してはおけない ! ! |
セネル | ……っ !いきなり斬りかかるなんて危ないだろ ! |
ミラ | 自業自得ね。これだから鈍感な男は。乙女心を弄んだ自覚もないなんて。 |
セネル | 俺はそんなことしていない。お前もユアンの優しさに惹かれたのかもしれないが婚約者がいる相手を奪い合うなんてよくないぞ。 |
ミラ | クロエ、一時休戦にしましょう。私もこいつをぶちのめすわ。 |
クロエ | もちろんだ、ミラ。 |
セネル | なぜそうなる ! ? |
シャーリィ | ま、待って。それじゃあこの記事に書いてあったことは事実じゃないってこと ? |
セネル | ならノーマの話も……。 |
ノーマ | あれはエッちゃんとアニっちから借りた恋愛小説にインスパイアされたあたしの実話を元にしてない完全な妄想だよ。 |
セネル | 紛らわしいことをするな ! |
ミラ | なんの話をしているか知らないけど言い訳なんて聞くつもりはないから。 |
クロエ | クーリッジ ! そこになおれっ ! ! |
キャラクター | 7話【ハプニング8 解決の兆し】 |
クロエ | カーフェイをめぐっての花婿争奪戦だと ! ?なんだこの記事は ! ! こんなものは捏造だ ! ! |
ミラ | アグリア……アジトに戻ったらただじゃおかないわ。ガイアスにも言いつけてやる。 |
セネル | ひとまず、ユアンとの結婚騒動は間違いだとわかってよかったよ。 |
セネル | けど、クロエ。ひとつ聞かせてくれ。ドレス姿の理由は色々あったからだとしてもどうしてユアンを追っていたんだ ? |
クロエ | その件についてか……。ここまで大事になってしまったのなら隠していても意味はないな。 |
クロエ | 実は、カーフェイが事件に巻き込まれているようなんだ。裏では懸賞金までかけられていると聞いて私は捜査のためにカーフェイを追っていた。 |
セネル | 事件だって ? |
クロエ | まだ全容はつかめていないがダークかめにんが関与しているのは間違いないだろう。 |
ミラ | エルの話だとダークかめにんがユアンをさらっていったらしいわよ。あのカメが何を考えてるのかは知らないけど。 |
クロエ | やはり……。カーフェイが逃走中に落とした思われる手荷物を確認したが、金品がすべて抜き取られていた。 |
ミラ | ちょっと待って !ユアンの手荷物を確認したってことはもしかして、あなた持ってるの ! ? |
クロエ | ああ。証拠品として街の自警団から譲り受けた。戦いの際に邪魔だったからいまはクルスニクに預けてある。 |
ルドガー | あっ……その手荷物なんだけどマーテルさんに渡しちゃったんだ……。 |
ミラ | 何やってるのよ、ルドガー ! !もうっ ! あと一歩だったのに ! ! |
セネル | その様子だとミラはユアンの手荷物が目的でユアンを追っていたわけか。 |
エル | そうなの ? |
ミラ | 別になんだっていいでしょう。はやくユアンを捜しましょう。どうせマーテルもそこにいるでしょうし。 |
シャーリィ | そういえばマーテルさんとアーリアさんユアンさんの命が危ないとか話してたよね。無事だといいんだけど……。 |
ミトス | 安心して。ユアンは天使だからクルシスの輝石を壊さない限り生きていられる。だから、殺してくれと懇願するようにしてあげるよ。 |
ミトス | でも――殺さない。姉さまとの誓いを破ったんだからね。死ねるのは、十分に報いを受けてからだよ ? |
ユアン | ま、待て ! ミトス !その記事に書かれていることや街での噂はすべてでたらめだ ! ! |
ミトス | ならどうして姉さま以外の花嫁三人がユアンを血眼になって捜しているのかな ?それも、姉さまとの結婚式当日に。 |
ユアン | 私の方が理由を知りたいぐらいだ !信じてくれ、ミトス !私には愛人や浮気相手などいない ! ! |
ミトス | 信じてくれ、か。あれれ ? おかしいな ?レネゲードって誰が作ったんだっけ ? |
ユアン | その話をいま持ち出すか ! ? |
クラトス | ミトス ! やめなさい ! |
ミトス | いやだな。ただの冗談じゃない。今日は素晴らしい日なんだよ ?ボクも姉さまと笑顔で過ごすって約束したんだ。 |
ミトス | ――それを台無しにしてくれた理由じっくり聞かせて貰おうか。ボクが納得するまで、何日でもね。 |
ウィル | ダメだ ! 話し合いで解決しようにもこのままでは結婚式の予約時間に間に合わない !ユアン、ここはオレたちに任せて行け ! |
クラトス | ……やむを得まい。参列できないのは残念だがこの場は私たちが食い止めよう。 |
ティルキス | おっと、そうはいかないぜ。 |
ユアン | ティルキス ! ヴィクトル ! !まさかお前たちも……。 |
ティルキス | 覚悟しろよ、ユアン。俺は人を騙すような悪人が大嫌いなんだ。アーリアをたぶらかした報いを受けてもらう。 |
ヴィクトル | ミラのみならず、私のエルにまで手を出したこの男を生かしてはおけん。邪魔をするならまとめて消し去ってくれる。 |
ウィル | なっ……それが本当なら同じく娘を持つ身としてヴィクトルに加勢せざるを得ないが……。 |
クラトス | 待て ! ユアンはそのような不埒な男では――……ユアン、念のために聞くが、事実ではないな ? |
ユアン | 肝心な時はいつも私を庇わないな、クラトス ! ? |
ユアン | それに、ヴィクトルもウィルも !そこは揺らがないで欲しかったぞ !私が年端もいかない少女に手を出す筈がなかろう ! |
ミトス | ……けど、昔は女の人の取り巻きが沢山いたよね。ゼロスみたいに。 |
二人 | …………殺す。 |
ユアン | ま、待て ! それは四千年前の話だ !それに私は神子――ゼロスのような真似はしていない ! |
? ? ? | も~しもし~♪ ト~タ~ス♪か~めにん~♪ ト~タ~ス♪ |
ヴィクトル | この歌は…… ! ! |
ダークかめにん | ユアンを殺すなんて、俺がさせないっすよ ! !こいつが死んだら借金が返せないっすからね !ユアンは、この俺がもらっていくっす ! |
ウィル | また新手か ! ? |
ユアン | もうこれ以上私のことで争うな !何なのだ、この状況は ! ? |
ヴィクトル | ダークかめにん ! そこをどけっ !貴様も色々な意味で生かしてはおけない ! !ユアン共々ねじ伏せてくれる ! ! |
ダークかめにん | 甘いっすね ! こんなこともあろうかと思って高性能ロボを仕入れておいたっすよ !さあ、出番っすよ ! タルロウXXっす ! ! |
量産型タルロウXX | ユアン ハ オレ ノ モノユアン ハ オレ ノ モノユアン ハ オレ ノ モノ |
クラトス | これはディストの兵器か ! |
ミトス | ……出番もないくせにブドウジュースやらタルロウやら迷惑極まりないんだけど。 |
ゴロツキ | いたぞ ! あいつがユアンだ ! !とっ捕まえて懸賞金たんまりゲットだぞ ! |
ゴロツキたち | おおぉぉぉ ! ! ! ! |
ウィル | まだ増えるのか ! ?というよりユアンを捜しているやつが多すぎてもうわけがわからんぞ ! |
ダークかめにん | そういえば懸賞金の張り紙を出しっぱなしだったっすからたぶんまだまだ追手は増えるっすよ。 |
量産型タルロウXX | ユアン ハ オレ ノ モノユアン ハ オレ ノ モノユアン ハ オレ ノ モノ |
三人 | 黙れ ! ユアンはボク(私・俺)のものだ ! ! |
ユアン | 私は誰のものでもな―― |
クラトス | ユアン ! 構えろ ! !後ろからタルロウが迫っているぞ ! |
ユアン | くっ ! ! |
ダークかめにん | チッ……眠っててもらおうと思ったっすがちょこまかとフナムシみたいなヤツっすね。 |
ユアン | クラトス、助かった……なっ ! ! |
クラトス | どうした ? |
ユアン | とっさに武器を構えた拍子に握っていた婚約指輪がどこかに―― |
クラトス | ユアン、落ち着け。婚約指輪なら薬指につけているだろう。 |
ユアン | なっ…………気が付かなかった。だがそれなら先ほど吹っ飛んでいったあの指輪はいったい……。 |
? ? ? | こ、この指輪は ! ! |
ティルキス | ! 今の声は ! ! |
アーリア | やった ! やったわ ! ! |
ティルキス | アーリア ! ! |
ユアン | また増えたのか ! ?もう勘弁してくれ ! ! |
アーリア | ティルキス ! ! ここにいたのね ! ! |
ティルキス | ああ。色々あってな。けど、まさかアーリア……君もやはりユアンを求めてここにやって来たのか ? |
アーリア | 違うわ ! わたしはあなたを……ティルキスを迎えに来たのよ ! ! |
ティルキス | アーリア ! ? |
アーリア | さあ、行きましょう ! ! 式場に ! ! |
キャラクター | 8話【ハプニング9 さらなる混沌】 |
かめにん | モデルの二人に差し入れを置いておいたっす。部屋にあるもの自由に食べていいっすからね。もちろん、飲み物もご自由にどうぞっす。 |
アーリア | ありがとう。ちょうど喉が乾いていたのよ。色々あるみたいだけど……あら ?このブドウジュース、美味しそうね。 |
かめにん | かめにん印の特製ブドウジュースっす。最近すごく人気で、なかなか手に入らない商品っすよ。ツケにしてでも買う人もいるぐらいっすからね。 |
かめにん | 今回はサービスしとくっすから気に入ったらいつでも注文してくれっす。それじゃあ、今後ともご贔屓にっす。 |
アーリア | なんて親切なのかしら……。同じかめにんでも色が違うだけでここまで人柄も違うのね……。 |
ティルキス | よし、俺も準備が整ったぞ。全力で走ったせいで撮影前なのにヘトヘトだけどな。 |
アーリア | 今のうちに休んでおきましょう。ティルキスも、のどが渇いたわよね ?一緒にブドウジュースでもどう ? |
ティルキス | ブ、ブドウジュースか…………。 |
アーリア | 不吉なものを見るような目でどうしたのよ ?とってもいい香りだし美味しそうじゃない ? |
ティルキス | そうなんだが……今日だけは遠慮しておく。悪いことは言わないから、アーリアもやめておけ。なんというか……ほら、シミになると困るだろ ? |
アーリア | それもそうね。せっかくのいただきものだけど普通にお水を飲むことにするわ。 |
ティルキス | それにしても……アーリア。こうして間近でみると本当に綺麗だな……。 |
アーリア | そ、そこまでジッと見られると恥ずかしいわ。 |
ティルキス | ははっ、つい見惚れちまった。 |
ティルキス | なぁ……本当に結婚式を挙げることになったら今日みたいにカイウスとルビアも呼びたいよな。司会はフォレストに頼んだりしてさ。 |
アーリア | ……そうね。けど、わたしは今日が本当の結婚式でも……。 |
ティルキス | えっ ? |
アーリア | な、なんでもないわよ。それにしても案内係のスタッフさん、遅いわね。モデル撮影はそろそろのはずだけど―― |
ミュゼ | 本当に ! ? ミラがウェディングドレスを着てモデル撮影をする予定なの ! ? |
グリューネ | ええ。そうなのよぉ。わたくし、ミラちゃんにドレスを着せたのだけどと~っても綺麗でおもわず見惚れちゃったわ。 |
ミュゼ | 当然よ、ミラだもの。秘密にされていたのは寂しいけどきっとそれも私を驚かせたかったのよね。 |
グリューネ | あら、そろそろ撮影が始まる時間だわぁ。気になるのなら、ミュゼちゃんも見学させてもらったらどうかしらぁ。 |
ミュゼ | ええ。何が何でも見学に行くわ。そのためにも早くお仕事を片付けないと。 |
ミュゼ | えっと、次にご案内をする新郎新婦は……ふーん、どこかで見かけたような気もするファミリーネームね。どうでもいいけど。 |
ミュゼ | とにかく、ぱぱっと新郎新婦をご案内してミラの撮影を見学しに行かなくちゃ♪はぁ、もう私、とっても―― |
ルビア | アーリアのドレス姿、楽しみだわ。しかもお兄様も新郎役として一緒なのよね。まさに憧れにして理想のカップルよ。 |
ミリーナ | ふふっ。うっとりしているルビアも可愛いわ。せっかくだから記念に撮っておこうっと♪ |
カイウス | さすがにはしゃぎ過ぎな気もするけどな。ルビア、あんまりうるさくして他の人に迷惑をかけるなよ。 |
ルビア | ちゃんと撮影中は静かにするに決まってるでしょ。まったく、せっかく二人の姿を想像して気持ちを盛り上げていたのに……………ハァ。 |
カイウス | オレを見てため息つくなよな ! ! |
ルビア | カイウス、うるさいわよ。他の人の迷惑になるでしょ。 |
カイウス | くっ……わかったよ。 |
ルビア | さあ、話しているうちについたわね。ここが撮影場所であってる ? |
ミリーナ | ええ。他の撮影スタッフさんからティルキスさんとアーリアが案内されているってさっき報告もあったから、ここで間違いないわ。 |
イクス | けど、外で撮影予定だったのにどうしていきなり室内に変更になったんだろうな。別に天気が悪いわけでもないのに。 |
カイウス | さぁ……何か手違いでもあったのかもしれないな。今日はこの会場だけじゃなくアルタミラ全体がなんだか騒がしいしさ。 |
ルビア | もう、カイウスもイクスも細かいことはどうでもいいでしょ。さあ、あたしたちも席につきましょう。 |
カイウス | 細かいことって………あれ ?あそこにいるのって……。 |
ロイド | おっ、カイウスたちも招待されてたんだな ! |
カイウス | ロイドたちも呼ばれてたのか ! ? |
コレット | せっかくだし、カイウスたちもこっち来て。みんなで並んで座ろ。 |
ジーニアス | いくら本人たちの意向とはいえまばらに座るとガラガラな感じでちょっと寂しいのもあるしね。 |
リフィル | ここの二席分だけ空けておいてちょうだい。クラトスとウィルもそろそろ来るはずだから。 |
ルビア | クラトスさんとウィルさんも招待されてたの ! ? |
イクス | そ、そうなのか……。アジトの人間関係も複雑になってきたなぁ。 |
ロイド | そうか ?そんなに驚くことじゃないと思うけどなぁ。 |
ガイアス | コホン……皆様、ご静粛に。私は進行役のアースト。これより式を開始させていただきます。 |
ジーニアス | えっ……どういうこと ?明らかにガイアスだよね ? |
ロイド | みたいだけど……それよりクラトスとウィルはまだかよ。もう始まっちまったぞ |
ガイアス | 新郎新婦、入場 ! ! |
アーリア | ね、ねぇ……ティルキス。ミュゼに連れてこられたけど撮影場所はここであってるのかしら ? |
ティルキス | カイウスやミリーナたちもいるし……たぶん。とはいえ、やけに本格的だよな……。 |
カイウス | おぉぉっ ! 二人とも本物の新郎新婦みたいだな ! |
ルビア | キャーーーっ ! ! ! !お兄様 ! ! お姉様 ! !最高 ! ! 素敵 ! ! |
七人 | ! ? ! ? ! ? |
ガイアス | それでは略式ながら進めさせていただく。 |
ガイアス | 新郎ティルキスは新婦アーリアを妻とし病めるときも健やかなるときも愛し続けると誓うか ? |
ティルキス | 誓います。 |
ガイアス | 新婦アーリアは新郎ティルキスを夫とし病めるときも健やかなるときも愛し続けると誓うか ? |
アーリア | 誓います。 |
ガイアス | 指輪交換は……済んでいるようだな。覚悟は決まっているということか。なかなかいい心がけだ。 |
二人 | はい。 |
ガイアス | よろしい。では誓いの口づけを。 |
二人 | …………はい ? |
ガイアス | コホン……では、誓いの口づけを。 |
ティルキス | ちょ、ちょっと待ってくれ ! !えっ……えっと……そ、そこまで……する、のか ? |
アーリア | さ、さすがにそれは……だってほら、みんなの前だし……。 |
ガイアス | できないならば、それでも結構。お前たちの互いを想い、誓いを守るという意志はその程度の脆弱なものだったというだけだ。 |
二人 | それは違う ! ! |
ガイアス | よろしい。ならば、誓いの口づけを。 |
ティルキス | …………アーリア、いいか ? |
アーリア | ティルキス……いい、わよ…… ? |
ルビア | ウソ ! ? ちょちょ、待って !えっ、本当に ! ? 本当にしちゃうの ! ?あたしの心の準備がまだなんだけど ! ? |
カイウス | ルビアの心の準備は関係ないだろ ! ?それを言ったらオレもまだ全然ついていけてない ! |
イクス | うわぁ……なんだかすごいことになってるなぁ。 |
ミリーナ | 目標をフレームにいれてスイッチ……。目標をフレームにいれてスイッチ……。目標をフレームにいれてスイッチ……。 |
カーリャ | ミリーナさまがイメトレの鬼と化してますが ! ? |
リフィル | ――少しよろしくて ? |
ガイアス | この結婚に異議があるのか ? |
リフィル | 異議というわけではないのだけれど……この結婚式はユアンとマーテルのものではなくて ? |
二人 | …………えっ ? |
ガイアス | ……やはりそうか。現場はナマモノというから臨機応変かつ柔軟に対応をしたがどうりで何かおかしいわけだ。 |
ロイド | 柔軟に対応しすぎだろ !っていうか主役不在ってどういうことだよ !二人ともどこで何やってるんだ ! ? |
ミラ | 状況を整理すると……ミトスとヴィクトルは二人ともユアンを始末しようとしているけどどちらがユアンの命を刈り取るかで互いに揉めている。 |
ミラ | 一方でクラトスとウィルとダークかめにんはミトスとヴィクトルからユアンの身を守ってはいるが三人は完全に一枚岩というわけではない。 |
ミラ | ダークかめにんがユアンを守っているのはルドガーも霞むほどの借金を精算するためにユアンの身が必要で、死なれたら困るから……って話 ? |
量産型タルロウXX | ユアン ハ オレ ノ モノユアン ハ オレ ノ モノユアン ハ オレ ノ モノ |
クロエ | あ、頭が痛くなってきた……。 |
エル | エル……よくわかんないからこっちでパパを応援してるね。 |
ルドガー | ああ。俺とこっちでジッとしていよう。巻き込まれたら大変だ。 |
セネル | それで、どうするんだ ?放っておくわけにもいかないだろ。 |
マーテル | みんな……そんなにもユアンを求めているのね。でも同じユアンを求める者の間に垣根はない筈よ。それにユアンの話も聞いてあげなくては。 |
マーテル | そのためにも私は、この乱闘を止めてみせます ! |
クロエ | ならば手を貸そう。私はダークかめにんを捕らえなくては。 |
ミラ | はぁ……私はマーテルから例の物を回収したしもう用はないんだけど、ここまで来たら最後まで付き合うわよ。 |
マーテル | さあ、いきましょう―― |
四人 | ユアンは私のものよ ! ユアンはボクのものだ !ユアンは私のものだ ! ユアンは俺のものっす ! |
キャラクター | 9話【ハプニング10 ハッピーウェディング】 |
マーテル | さあ、みんな、少し頭が冷えたかしら ?――まずはミトス。何か言うことは ? |
ミトス | ……ごめんさない、姉さま。ついカッとなっちゃって……。 |
マーテル | 反省してくれればそれでいいのよ。さてと……次は―― |
二人 | 申し訳ありませんでした ! ! |
マーテル | あら、そんな風に謝らないで。二人が悪いわけじゃないでしょう ? |
カイウス | まさかあれがユアンとマーテルさんの式だったとはな。 |
ルビア | あれ……ということはお兄様とアーリアは本当の結婚式を挙げたってこと ? |
アーリア | な、何言ってるの !あれはあくまでモデル撮影よ !そうよね、ティルキス。 |
ティルキス | そうかもしれないが……俺は正直どっちでもいいんだけどな……。 |
マーテル | ふふ、いい予行練習になったみたいね。二人が楽しかったのならよかったわ。 |
ユアン | だが……念願の結婚式が台無しになってしまった。そしてその元凶はダークかめにん、貴様にある。いったいどうしてくれるつもりだ ? |
ダークかめにん | そうやって俺を悪カメ扱いっすか ! ?そもそもツケを踏み倒そうとしたお前が悪いっす !元凶はお前自身っすよ ! ! |
ユアン | 言いがかりはやめてもらおうか。そもそもツケは返したと言っているだろう。 |
ダークかめにん | いいや ! ビタ一文ももらってないっすよ ! ! |
マーテル | ちょっと待ってくれるかしら。そもそもそのツケって何のことなの ? |
ユアン | 高級特製ブドウジュースだ。披露宴での乾杯用にと購入したんだ。以前、試飲させてもらった時に気に入ってな。 |
ユアン | だがその時は持ち合わせがなくてツケにしてもらった。人気商品だとかでその場で注文をしなくてはいつ手に入るかわからないという話だったからな。 |
ミトス | 乾杯にブドウジュース……。 |
ユアン | 未成年もいるのだ。ソフトドリンクも必要だろう。 |
ミトス | 思考回路がディストと同じなのは置いておくとしてそのツケはちゃんと払ったんだよね ? |
ユアン | 何度も同じことを言わせるな。ちゃんとここに領収書もある。 |
ダークかめにん | いや、それは俺の店の領収書じゃないっすよ。 |
ユアン | ……なに ? |
ダークかめにん | そもそもあんたはさっきから何の話をしてるっすか ?ツケにしたのはブドウジュースじゃなくて普通の水っすよ。 |
クラトス | 普通の水だと ? |
ダークかめにん | こいつが具現化後に彷徨い歩き続けた末干からびそうになっていたところ水をツケにして売ってやったっすよ。 |
ユアン | それは無論、覚えている。だがその水のツケは受け取る気はないとお前は言っていたではないか。 |
ダークかめにん | そんなこと言ってないっす ! !もし本当ならちゃんと契約書を交わすっすよ ! ! |
ユアン | そ、それはそうかもしれんが―― |
? ? ? | おや ? そこにいるのはユアン様じゃないっすか。この度は特製ブドウジュースのお買い上げありがとうございましたっす。 |
ユアン | なっ ! ! かめにんが増えただと ! ? |
ダークかめにん | こんな普通のやつと俺を一緒のカメにくくるなっす ! ! |
かめにん | なんと……そんなに真っ黒に煮染められて心までダークに染まってしまったっすか。いやぁ、クワバラクワバラっす……。 |
ユアン | 別の個体だったのか。確かに色は違うが……待て。「真っ黒に煮染められて」とはどういう意味だ ? |
かめにん | こいつは元々は真っ白な身体と心を持ったホワイトかめにんだったっすよ……。いったい何があったのやら……。 |
ユアン | なっ ! お前が水を売ってくれたあのときのかめにんではなかったのか ! ? |
かめにん | 何度も言ったっすが、あんたに水は売ってないっす。だから水のツケを払うと言われても身に覚えのない金は、受け取れないっすよ。 |
ユアン | つまり……あのときのホワイトかめにんはここにいるダークかめにんだったというわけか……。 |
ダークかめにん | ホワイトなときっすかぁ……いやぁ、懐かしいっすねぇ。 |
クラトス | ようやく話が見えてきたな。ユアンは両者のかめにんを混同し同一人物だと思っていたわけか。 |
ミトス | それでツケの話もこじれてしまったわけだね。なるほど、つまり今回の騒動を簡潔にまとめると全部ユアンのドジが元凶ってことか。 |
ユアン | 私が元凶だっただと ! ? |
ダークかめにん | さあて、真相がわかったところでツケを払ってもらうっすよ。 |
ユアン | ま、待て ! あんな高額を払えというのか ! ? |
ダークかめにん | 払えないなら、四千年間ニャバクラで朝から晩までボーイとして働いてもらうっす。 |
ユアン | そんな契約は無効だ ! |
クロエ | ……カーフェイ、非常に言いにくいのだがあの契約書は少々気になるところはあるものの基本的には有効なものだ。 |
ユアン | なんだと ! ? |
ダークかめにん | ツケとはいえ利子も発生するっすからねぇ。たった一杯の水の代金でも返済せずに放置したらあれだけ膨らみ上がるのも当然っすよ。 |
ユアン | そ、そんな……バカな…………。 |
ミトス | 完全に自業自得だけどね。 |
クラトス | そう責めるな。……まあ、もとよりツメの甘いところはあったが具現化されたばかりで混乱もあったのだろう。 |
ユアン | バカな……。私は結婚式も挙げられないばかりかまたマーテルと離れ離れになるのか……。 |
マーテル | 待って。そのツケは私が払うわ。 |
ミトス | 姉さま ! ? |
ダークかめにん | 俺はどっちが払おうと構わないっすからねぇ。 |
ユアン | それだけは認められん !マーテルに払わせてなるものか ! |
マーテル | ユアン ? |
ユアン | マーテルにそんな金がある訳がない……。だとすれば私の代わりになろうというのだろう ! ? |
ユアン | たとえ天使化しているとはいえ四千年という時は……あまりに長い。 |
マーテル | その長い間、あなたは私を想い続けてくれたのよね ?本当にありがとう、ユアン。でも、だからこそツケは私に払わせてほしいの。 |
マーテル | 現金一括払いで♪ |
ユアン | げ、現金一括払いだと ! ?あんな大金を払えるのか ! ? |
マーテル | さっきクロエとミラの決闘の賭けで大当たりしたの。二人ともいい子だから、どっちにも勝って欲しくて引き分けに賭けたら私の一人勝ちだったのよ。 |
ミトス | 姉さま……また野次馬根性出してそんなところにまで、首を突っ込んでいたんだね……。 |
クラトス | しかも賭け金総取りとは。フッ……お前たち姉弟は、賭け事に強いな。 |
マーテル | だから……はい、どうぞ。これが賭け金の払い戻し引換券。金額も丁度ぴったりあるはずよ。 |
ダークかめにん | あ、ありがとうっす ! !まさか本当に払ってもらえるとは思ってなかったっす !これで借金地獄からおさらばっすよ ! ! |
ユアン | ……すまない、マーテル。しかし、私が自業自得というならこいつの借金というのも自業自得なのだが……。 |
マーテル | けど、ユアンを助けてくれたのは事実でしょう ?なら命の恩人であることに変わりはないわ。 |
マーテル | それに、誰にでも過ちはあるものよ。やり直そうとあがいている人を放っておくことはできないわ。 |
ユアン | 手を差し伸べても裏切られることになるかもしれんがな。 |
マーテル | 人は互いに手を取り合うことでより善く生きていくことができる。私はそう信じているわ。 |
マーテル | だから、たとえ裏切られても私はまた手を差し伸べ続ける。諦めずに、何度でも。 |
ミトス | 姉さま……。 |
ユアン | ……ああ。きみはそういう人だったな。 |
ロイド | 諦めずに、何度だって……か。だったら当然、結婚式も諦めずにもう一度挑んでみるよな ? |
クロエ | 私たちも手伝わせてくれ。会場スタッフほどではないが多少なりともできることはあるだろう。 |
アーリア | なんでも屋さんとして便利に使ってちょうだい。 |
ミラ | まあ、披露宴の料理ぐらいなら私も手伝ってあげるわよ。エルに作ってあげるついでにね。 |
マーテル | みんな ! ありがとう !本当に嬉しいわ !ほら、ユアンもちゃんとお礼を言わないと。 |
ユアン | ……あ、ああ。感謝する。 |
クラトス | フッ……いつの時代も変わらぬな。こうしてマーテルの優しさに惹かれて人々が集まってくる。 |
ミトス | うん……そうだったね。それが続けば……よかったのにな……。 |
ダークかめにん | そうっすか……。これが優しさっすか……。なんか、あったかいっすね……。 |
イクス | な、なんだ ! ダークかめにんから光が !まさかマーテルさんの優しさの力でホワイトかめにんに―― ! ! |
ミリーナ | ……戻ることはないみたいね。それにこの光、何か変な装置から出ているみたいよ。 |
エル | あれ ? なんかロボットが変な動きしてるよ ? |
ヴィクトル | エル ! さがるんだ ! !こいつら暴走しているぞ ! ! |
ダークかめにん | ど、どういうことっすか ! ?タルロウXXの操作が効かないっす ! ! |
ミトス | ……公道に埋めるのはあの死にかけたトンビの方だったね。 |
クラトス | やむを得ん。ディストのロボを破壊するぞ。今度こそ、ユアンとマーテルの結婚式を挙げるために。 |
キャラクター | 10話【ハプニング10 ハッピーウェディング】 |
ティルキス | よしっ。飾り付けはこんなところか。 |
アーリア | 披露宴用の料理はどう ? |
ミラ | いい感じに仕上がってるわよ。特にスープにはかなり自信あるわ。 |
エル | 今日はスープがいっぱいだね ! |
ルドガー | ヴィクトルもエルが昼寝している間に作ってくれたからな。 |
ミラ | 誰のスープが1番か改めて決めてもらうわよ、エル ! |
ミュゼ | …………。 |
ガイアス | ミラのドレス姿が見られなかったがあまり落ち込んではいないようだな。 |
ミュゼ | それはちょっと残念ではあるけどあの子の笑顔が見れたしそれはそれで良しとするわよ。 |
グリューネ | みんな。マーテルちゃんの準備も整ったみたいよ。 |
カイウス | ユアンもいつでも大丈夫みたいだ。 |
クロエ | タルロウの片付けも終わった。クーリッジたちもこちらに向かっている。 |
ルビア | いよいよなのね ! ! |
ウィル | では、クラトスとミトスにも声をかけてこよう。 |
マーテル | 色々あったけれど、無事に準備が整ったのね。これもみんなの協力のおかげだわ。感謝してもしきれないわね。 |
ミトス | 一時はどうなることかと思ったけどね。 |
マーテル | ふふ、そうね。でも色々あったからこそこうしてたくさんの人たちに祝福される結婚式を迎えられたんだわ。 |
マーテル | 現実はうまくいかないことも多いけれどだからこそ人と人とが手を取り合いそして繋がりが生まれていく。 |
マーテル | 私はいまとっても幸せよ。花嫁としても、ハーフエルフとしてもそしてミトスの姉としても。 |
ミトス | …………姉さま。 |
マーテル | ミトス……はい、ハンカチ。 |
ミトス | 待って、姉さま。もう少しだけこのままでいさせて。 |
マーテル | ? |
ミトス | もうボクは泣いたりしないと思ってたんだ。元の世界では色々なことがあり過ぎてとっくの昔に涙なんか枯れ尽くしたって。 |
ミトス | けど、忘れてたよ。涙が流れるのは、悲しいときだけじゃない。幸せなときにも流れるものだったね。 |
マーテル | ミトス……。 |
ミトス | ……なんてね。さあ、行こう。みんな待ってるから。 |
マーテル | ええ。案内、お願いね。 |
ユアン | も、もうそろそろか……。 |
クラトス | 顔がこわばっているな。お前が落ち着くまで待ってもらうか ? |
ユアン | い、いらぬ心配をするな。私は落ち着いている。 |
クラトス | そうか。ならば進めよう。 |
クラトス | 新婦入場 ! |
ユアン | ……マーテル。 |
マーテル | お待たせ、ユアン。 |
ミトス | 改めて姉さまをよろしく。ユアン『お義兄さま』。 |
ユアン | な、何故そう含みのある言い方をするのだ。言われずとも、マーテルのことは―― |
マーテル | 安心して、ミトス。ユアンには私がついているから。 |
ユアン | 逆だ……と言いたいところだが今回のことも考えると否定はできんな……。 |
クラトス | ……フッ。 |
クラトス | それではこれより新郎ユアンと新婦マーテルの結婚式を執り行う。 |
二人 | はい。 |
クラトス | 新郎ユアン。 |
ユアン | ああ。 |
クラトス | 新郎ユアンは新婦マーテルを妻とし病めるときも健やかなるときも愛し続けることを誓うか ? |
ユアン | 誓おう。たとえ死が私たちを分かとうとこの愛は未来永劫不滅だ。 |
クラトス | よろしい。 |
クラトス | では続いて新婦マーテル。 |
マーテル | はい。 |
クラトス | 新婦マーテルは新郎ユアンを夫とし病めるときも健やかなるときも愛し続けることを誓うか ? |
マーテル | もちろん、誓います。 |
クラトス | よろしい。 |
クラトス | 指輪の交換はもう済んでいるな。これ以上の誓いの言葉も不要だろう。 |
クラトス | それでは誓いの口づけを。 |