キャラクター | 1話【任務1 エージェント登場】 |
| この物語は未来のお話です。 |
ジュード | わぁ、立派なモミの木だね。これだけの大きさなら街のどこからでも見えそうだ。 |
レイア | でしょ ! わたしもこれだ ! ! って。見つけた時には、自分で自分を褒めてあげたいって思っちゃったよね。 |
レイア | ほら、ジュードも。遠慮はいらないから ! |
ジュード | な、何の話 ? |
レイア | わたしは自分で自分を褒めたんだから次はジュードからでしょ ?どうして「はぁ ? 」って顔するのよ。 |
ジュード | はぁ ? 僕は立派なモミの木だって褒めたじゃないか。 |
レイア | それは『モミの木』でしょ。『わたし』が頑張ったことも褒めてもらわないと。 |
ジュード | はぁ……レイア、よくやったね。これでいい ? |
レイア | うん ! ありがとう、ジュード。 |
エリーゼ | あの……なんのお話をしてるんですか ? |
ティポ | ぼくらを勝手に連れてきてさー。自分たちだけで話を進めないで欲しいよねー。 |
ローエン | ほっほっほ。すみません、私からもお話していませんでしたね。ですが、エリーゼさんも大好きなお話ですよ ? |
エリーゼ | わたしも大好きなお話…… ?えっと、なんでしょう……。 |
ティポ | きっと美味しいお菓子の話だよー !昨日も太るからって、お菓子を我慢してたよねー。結局食べちゃったけどー。 |
エリーゼ | ティ、ティポ ! 余計なこと言わないで。 |
エリーゼ | ち、ちがいます最近……ちょっとお腹が気になって……でも我慢できないし……。 |
ローエン | 気になさらない方がいいですよ。エリーゼさんぐらいのお歳なら好きなものをお食べなさい。 |
ティポ | 食べたのは、ローエンが隠してた紅茶味のクッキーだったけどねー。 |
ローエン | なんですとっ ! |
ローエン | ……夜にこっそり食べようと隠していたのですが見つかってしまいましたか。 |
ジュード | ははは、ローエンも次は注意しておかないと、また食べられちゃうね。 |
レイア | もう、エリーゼに今回の目的を伝えるんでしょ。話が脱線しすぎだよ。 |
ローエン | そうでしたね、失礼しました。 |
レイア | エリーゼ、今日はね、クリスマス会のお話なんだ !前のクリスマス覚えてるでしょ ? |
エリーゼ | わぁ…… ! はい、覚えてます !とっても楽しかったです。それにサンタさんからプレゼントもらいました ! |
ローエン | 今回も良い子でいればサンタさんはきっと来てくれますよ。 |
エリーゼ | わ、わかりました !わたし、良い子でいますね。 |
ティポ | そうしたら、プレゼントまたもらえるねー ! |
ジュード | それでね、クリスマス会の目玉でクリスマスツリーを作ろうと思ってみんなと話をしていたんだ。 |
エリーゼ | クリスマスツリーってあの綺麗なキラキラした木ですよね…… ?この大きな木でやるんですか ! ? |
レイア | ピンポーン !これだけ大きな木をクリスマスツリーにしたらすっごく綺麗でしょ ! |
ティポ | その分、大変だと思うけどねー。 |
レイア | あ……たしかに……あはは。そこまで考えてなかったなぁ。ジュード、どうする ? |
ローエン | ジュードさんからはすでに準備に向けて買い出しの相談や飾り付けの人手のお話は受けておりましたよ。 |
レイア | え、本当 ! ? さっすがジュード。 |
ジュード | レイアのことだからきっと考えてないんだろうなって。もちろん段取りも考えてあるよ。 |
レイア | うぅ……わたしをよく知る幼なじみの言葉。当たりすぎてて反論できないよ……。 |
ジュード | レイア、プレゼント交換だってあるんだよ。まさか忘れてないだろうね ? |
レイア | ふっふっふ。もちろんっ !準備はバッチリだよ。 |
ジュード | へえ、なにを準備したの ? |
レイア | えっとね……ああ ! 危ない危ない !思わず言っちゃうとこだった。 |
レイア | けど、すっごい考えたからきっと『あの子』も喜んでくれると思うんだ |
ジュード | 『あの子』 ? |
レイア | ほら、『あの子』だよ。もしかしたら、クリスマス会に来てくれるかもしれないじゃない ? |
ジュード | レイア……うん、そうだね。きっと来てくれるよ。 |
レイア | それで、ジュードは ?もう用意したんでしょ。 |
ジュード | うん、もちろん。まだ秘密だけどね。 |
レイア | え〜、ずる〜い。わたしのは聞き出そうとしたくせ――ん……あれって ? |
レイア | ……ねえねえ、なんだろ……。モミの木のてっぺん……何か見えない ? |
ローエン | むぅ、あれは……『人影』に見えますが……しかし、あのような場所に人がいるでしょうか ? |
ジュード | ローエンの言う通りだよ。人がいる。あんな高いところ……落ちたら大変だ !助けてあげないと。 |
レイア | ちょちょちょ !はっきりは見えないけど……イバルじゃない ?やっぱそうだよ、イバルだよ ! |
ローエン | なんと……まだ発見されていない鏡映点の方がいたとは。お話をしておく必要がありそうですね。 |
レイア | ねーーーーーーーーーーー !イバルーーーーーーーーーーー !イバルでしょーーーーーーーーーー ! ? |
イバル | 困ったぞ。どこで落としたんだ。おや……そうだ、あの場所に違いない ! |
イバル | ……なんだ ? どこからか俺を呼ぶ声が。 |
イバル | なっ ! ジュードにレイア、他の連中も。あいつらと関わるとロクなことはないが……くそ、まだ呼び続けてるな。 |
イバル | 仕方ない……挨拶ぐらいはしてやるか。 |
イバル | とぅーーーっ ! ! |
イバル | てやっ !……つっ〜〜〜〜〜っ ! |
レイア | イバル、大丈夫 ?すっごい痛そうなんだけど。 |
イバル | ははは、バ、バカを言う……なっ !俺がこの程度で痛がるわけは……。 |
ティポ | つんつんー。 |
イバル | ぎゃーーーーーっ !貴様、足をつんつんするなっ ! |
レイア | ほら、足を見せて。骨が折れてたら大事だよ。ジュードに診てもらわないと。 |
イバル | ふん ! ジュードの世話になるくらいならボアの餌になった方がマシだ !レイア、お前が治療しろっ ! |
レイア | 偉そうに言いながら、涙浮かべないでよ。薬だけ塗っといてあげるから、大人しくして。はい……おしまい ! っと。 |
イバル | ふん、感謝してやる。しかし、お前たちなんのつもりだ ? 昔の服を引っ張り出して、懐かしさにでも浸るつもりか。 |
ローエン | おや、イバルさん。あなたの服装私たちが知る巫子の装束ではありませんね。 |
イバル | 今さら、わかりきったことを。俺は巫子ではなくマルチエージェントだからな。 |
ジュード | エージェント……。ひょっとして僕たちよりも未来の時間軸から具現化されてきたってことじゃ……。 |
ジュード | ねえ、もしかしてイバルはルドガーのことを知ってるんじゃない ? |
イバル | …… ?お前は何を言っているんだ ? |
ジュード | え ? エージェント……なんだよね ?ルドガーかユリウスさんには会ったことがないの ? |
イバル | はっはっは ! 詳しくは教えてやれないが優秀な俺は秘密任務を任されて誰とも会わず、長い間、潜入していたのだ。 |
ローエン | ……ふぅ。これは私たちから説明をした方がよさそうですね。 |
ジュード | そうだね。何となく話が食い違ってるみたいだし。 |
ジュード | イバル、話しておきたいことがあるんだ。君が今、どういう状況に置かれているかをね。 |
イバル | 受け入れがたいが……お前たちが嘘を言っているようにも思えん。 |
レイア | あれ ? もっと騒ぐと思ってたけど案外、冷静に受け入れたね。 |
ジュード | 僕たちが知っている頃のイバルとは何か違うのかも。 |
イバル | つまり、お前たちのもとにはミラ様もいらっしゃるということか ? |
ローエン | はい、ミラさんもいますよ。お会いになりたいですか ? |
イバル | いずれな。それより今は仕事道具を失くして困っている。 |
レイア | わ、イバルがミラにこだわらないなんて。やっぱり、わたしたちが知ってるイバルじゃない。 |
ジュード | ねえ、イバル。ひょっとして木の上にいたのは高い場所から仕事道具を探していたとか…… ? |
イバル | その通りだ。近くに遺跡が見えるだろう。きっと失くしたのはあそこだ。 |
ジュード | そっか、それなら僕たちも手伝うよ。 |
イバル | だれがお前などに ! !余計な真似は謹んでもらおうっ。 |
レイア | なんか、ジュードに対しての態度は変わらないね。 |
エリーゼ | どうしてでしょう ?ミラのことは気にしてなかったのに。 |
ローエン | 私たちの知らないことが未来にあった……ということなのでしょう。 |
レイア | イバル、この辺りは詳しくないでしょ。だったら、わたしたちに任せてよっ ! |
レイア | ほ〜ら、強がってないで探してあげるから。行こっ。 |
イバル | そこまで言うのなら力を貸すことを認めてやる。だが、ジュード、お前は…… ! |
レイア | あ〜、はいはい。ほらみんなも行こう。ジュードも行くでしょ ? |
ジュード | あはは。うん、もちろん。 |
キャラクター | 2話【任務2 ミッション発令】 |
レイア | ねえ、イバル。この遺跡で失くしたのは間違いないの ? |
イバル | その筈だ。先日この辺りに来た時から見当たらない。 |
エリーゼ | そもそも何を失くしたんですか ? |
イバル | 俺のGHSだ。……と言っても、お前たちは過去の世界から来たと言っていたな。 |
イバル | だったら知らないだろうが、GHSは通信機器だ。……なんといえば、お前たちに伝わるだろうか。 |
ティポ | 説明下手だなー。 |
イバル | いいか、こう四角くて、小さくてボタンがたくさんついたやつだ !いいから、探せ。 |
エリーゼ | あの、これですか ? |
レイア | はっや ! |
イバル | でかした娘 ! たしかに俺のGHSだ。 |
レイア | へえ、これってまだ使えるの ? |
イバル | だいぶ前から使えなくなってしまった。思えば、ここに具現化された頃かもしれないな。 |
レイア | え~ ? 使えないなら、探さなくてよかったじゃん。 |
イバル | バカをぬかせ ! このGHSには俺の仕事の大切な思い出が詰まっているんだ。 |
イバル | ……ふう、中身のデータも無事のようだ。 |
レイア | あれ ? それなに ! ?隠さないで見せてよ〜〜 ! |
イバル | こ、こら。やめろっ。 |
レイア | ……自分の写真 ? やだ、なにこれ ?あはは、すっごい格好つけてる。 |
エリーゼ | 背中から羽が生えたんですか…… ?あ、羽の絵の前で撮ったんですね。 |
ローエン | ほう、こちらは夕暮れの海岸。美しいですね。うーん、私も三十歳若ければこのような写真を撮ってみたいものです。 |
エリーゼ | あの……この写真のためにわたしたちここまで来たんですか ? |
ティポ | 無駄足ってこういうことだねー。 |
イバル | ふん、いくらケチをつけようがなこれは俺の宝物だ。 |
ジュード | そうだ、イバル。そのGHSが使えないなら僕の予備の魔鏡通信機を……はい、これを使って。 |
イバル | 魔鏡通信機 ? |
ジュード | うん、この世界で使える通信機なんだ。たぶん、そのGHSと同じようなものだよ。 |
イバル | ふむ……これが。なんとなく使い方はわかりそうだ。 |
イバル | …… ? 急に連絡が入ったぞ ? |
ジュード | おかしいな。予備機だから、誰にもこの連絡先は教えてないんだけど。 |
イバル | まあ、いい。出てみるか。 |
??? | おはよう。エージェント・イバル。突然の連絡に驚いたかね ?今回のミッションを伝えよう。 |
??? | この度、恵まれない子供たちにクリスマスプレゼントを配ろうと非営利組織のサンタ協会が設立された。 |
??? | しかし、このことを良く思わない何者かが今回の取り組みを妨害しようとしているという情報が入った。 |
??? | 君のミッションは、この妨害する人物に抵抗できるメンバーをスカウトしサンタ協会の活動を無事成功させることだ。 |
??? | なおこのメッセージは自動的に消去される―― |
??? | ことはない。君のことだ。忘れたら通話記録を聞き直してくれたまえ。 |
ジュード | イバル、今の知ってる人 ? |
イバル | 検討はつくが……おかしいな。秘密任務中は手紙でやり取りをしていたのに……。なぜ、この通信機がわかった ? |
ローエン | それもありますが、聞き捨てならないことを言っていましたね。このクリスマスにサンタ協会の邪魔をしようとしている者がいると。 |
イバル | おい、そもそもクリスマスとはなんだ ? |
ローエン | ……というのが、クリスマスなんだそうですよ。 |
イバル | ほう、珍しい習慣があるんだな。クリスマスについては理解した。さて、どこから手をつけたものか……。 |
ジュード | イバル、普段からこんな仕事をしているの ? |
イバル | ふっ、驚いたか。この程度の任務、朝飯前の夕飯後だ ! |
ローエン | ですが、イバルさんはまだこの世界には少々疎いかと。協力者も必要だとおっしゃっておりましたしお力添えが必要では ? |
レイア | うん、そうだね !子供たちを喜ばせるいい仕事みたいだしわたしも手伝うよ ! |
イバル | お前たち素人の意見はありがたいがこの仕事を成功させるには、同業者が一番だ。 |
イバル | おい、ルドガーの連絡先はわかるか ?ルドガーも具現化されているんだろう ? |
ジュード | あ、うん……ちょっと待ってね。はい、これで連絡ができるよ。 |
イバル | ……もしもし、ルドガーか ? |
ルドガー | え、イバル ! ? ど、どういうことだ ! ?お前もこっちの世界にいたのか ! ? |
イバル | そのようだ。こっちもいい迷惑してるがな。そんな話はどうでもいい。お前に手伝って欲しい仕事がある。 |
ルドガー | 仕事って……突然過ぎるな。もしかして急ぎなのか ? |
イバル | ああ。どうしてもお前の力が必要になりそうだ。 |
ルドガー | 困ったな……。これから約束があるんだ。エルとのクリスマスパーティの準備があって兄さんも手が放せない。 |
イバル | なにを兄弟そろって寝ぼけたこと言ってるんだ !仕事より、ちゃらちゃらした遊びが大事か ! |
ルドガー | 大事だ。 |
イバル | な、ななな ! くぅ……こいつはダメだ。しかし、ルドガーぐらいの実力があって勝手のわかるやつは欲しい……。 |
ルドガー | こっちまで聞こえてくるような独り言はやめてくれよ……。 |
イバル | 頼む ! 他に当てがいないんだ。この通りだ、ルドガー。 |
ルドガー | そうだな……。ヴィクトルさんなら頼りになるとは思うが……。 |
イバル | なら、そいつだ ! そいつの力を貸してくれ。 |
ルドガー | 居場所は教えるけど協力してくれるかは約束できないぞ。 |
イバル | おお、構うか ! |
ルドガー | わかった。ヴィクトルさんが今、滞在している場所を送る。そこへ行ってみてくれ。何度も言う―― |
イバル | よし、これで大丈夫だ。レイア、ローエン、さあ行くぞ。 |
レイア | え ? わたしたち必要ないんじゃないの ? |
イバル | ジュードと娘はな。お前らは来てくれ。決して、ルドガーに断られたからじゃないぞ。 |
レイア | ふふふ、はいはい。お力、お貸ししましょ〜。 |
ローエン | では、私もお供いたしましょう。エリーゼさんはみなさんのところで待っていてください。 |
エリーゼ | はい、帰ってくるの待っていますね。 |
レイア | ジュードも、エリーゼとお留守番よろしくね。 |
ジュード | うん、クリスマス会の準備もあるしね。みんな気をつけて、いってらっしゃい。 |
イバル | さあ、ミッション開始だ。 |
キャラクター | 3話【任務3 謎のメッセージ】 |
レイア | ごめんくださーい !ヴィクトルさん、いますかー ! |
レイア | ……返事がないなら勝手にお邪魔しちゃいますよ〜。 |
イバル | なんだ不在か ?ルドガーのやつ、適当な情報を。 |
ローエン | 部屋も冷えきっておりますから空けてからしばらくは経っていそうですね。 |
イバル | ん ? なんだこの猫は ? |
ルル | ナァ〜 ! |
レイア | あ、ルルだ !どうしてここにいるの ? |
ルル | ナァ〜。 |
イバル | お前、どこかで見たな ?たしかルドガーのところの…… ? |
ルル | ナァ〜。 |
イバル | ほう。ここは巡回先の一つなのか。 |
レイア | そっか、猫って決まったところをまわって一日過ごすとか言うよね。てか、動物と話せるのやっぱすごいね。 |
ローエン | イバルさんは動物と会話できるのでしたね。潜入捜査や情報収集はお手の物でしょう。 |
イバル | ふっ、その通り……ん ?しつこいな、何がいいたい ? |
ルル | ナァ〜、ナァ〜 ! |
レイア | ひょっとして、ヴィクトルさんのすごく大事な情報を言ってるの ? |
イバル | 腹が減ってる、餌をよこせだと ?そこにカリカリがあるだろう。 |
ルル | ナァ〜。 |
イバル | 好き嫌いを言うな !世間とはそんな思い通りになるものじゃないぞ。お前も浮世の風の冷たさを知れ。 |
ルル | ナァ〜 ! ! |
レイア | あ〜〜、怒らせたでしょ ! |
イバル | 好きにさせておけ。黒いカードがどうこうと文句を言いながら去っていっただけだ。 |
ローエン | 黒い……カードですか ?でしたら、その机の上にありますが……。 |
レイア | あ、本当だ ! ルル、お手柄〜 !ちゃーんと、大事なこと教えてくれたんだ。 |
イバル | 最後まで粘り強く尋問した俺を褒めるところだろうが……まあいい。こいつを調べてみるぞ。 |
ローエン | クリスマスカードのようにも見えますが漆黒を使うとは、なんとも不気味ですね。 |
レイア | なんて書いてあるの ? |
イバル | 「サンタ協会の者たちへ告ぐ ! 今宵、たくさんのプレゼントがクリスマスの街を火の海にするだろう」 |
イバル | 「みんなの悲鳴を聞くのが今から楽しみだ ! !――ブラック・サンタ」 |
イバル | なんて趣味の悪いメッセージだ。 |
ローエン | ブラック・サンタ、ですか……。 |
レイア | ローエン、知ってるの ? |
ローエン | 確か、街の子供たちの間でサンタが二人いるといった噂話が流行っていると聞きました。 |
レイア | 二人 ? ひょっとしてプレゼントも二つになるとか ! ? |
ローエン | いいえ。良い子にはサンタクロースがご褒美を『悪い子』には……黒いサンタクロースが罰を与えるそうです。 |
ローエン | ブラック・サンタは、まるで悪魔のような身の毛もよだつ姿をしているそうですよ。 |
レイア | わざわざクリスマスに罰なんか欲しくないよー。 |
イバル | ひょっとすると、ブラック・サンタを名乗る者がサンタ協会を妨害しようとしているのかもしれんな。 |
ローエン | ありえなくはないかと。 |
イバル | だが、どうしてヴィクトルの家にこのカードがあるんだ ?……はっ ! |
レイア | ひょっとして何か分かったの ? |
イバル | ふふ……はっはっは !ヴィクトルというその男こそがブラック・サンタ本人ということだ ! |
イバル | ヴィクトルを捕まえればすべて解決……任務完了だ。 |
ローエン | いえ、イバルさんには申し上げにくいですがヴィクトルさんがそのようなことをするとは思えません。 |
ローエン | こう考えてみてはいかがでしょう ?ルドガーさんからも信頼されるほどの力をお持ちのヴィクトルさんです。 |
ローエン | ひょっとしたら、サンタ協会からなんらかの形でヴィクトルさんにも情報が提供されたのでは ? |
イバル | ふん、まあ可能性はすべて考えておく必要があるな。いいだろう、それも考慮しよう。 |
ローエン | まだなにかヒントはありませんか ?カードをよく見てみましょう。 |
イバル | そもそも、俺のもとに来た相談だ。そんな飛躍した話はないと思うが……。 |
イバル | 「次は軍事倉庫か…… ? 」と手書きのメモがあるな。ふふ……すべて俺の予想通りだ。 |
レイア | へっ ? |
イバル | ヴィクトルはなんらかの形でブラック・サンタの存在を知り、すでに独自に動き出したのだろう。まったく、チームの輪を乱す困ったやつだ。 |
レイア | それほとんどローエンが言ったことだし……ヴィクトルさんもまだスカウトしてないし……。 |
イバル | 口を慎め。がたがたと言ってる暇があったらさあ、手を動かせっ。それが俺のチームの鉄則だ。 |
レイア | はいはい……。わたしもローエンもすっごい働いてるけどね。 |
レイア | 大人になったのかなぁって思ったのにもう、相変わらず人の話聞かないなぁ。 |
ローエン | ほっほっほ。イバルさんらしく猪突猛進となってまいりましたね。 |
イバル | 二人とも何をごちゃごちゃと。ほら、ヴィクトルを見つけるぞ。こいつの行き先にブラック・サンタがいる筈だ ! |
レイア | ちょ、ちょっと !軍事倉庫はこっちだよー ! |
イバル | お前たちを試しただけだ ! |
キャラクター | 4話【任務4 軍事倉庫にて】 |
レイア | このあたりで、軍事倉庫っていえばここぐらいしか思いつかないけど……。 |
イバル | さて、ヴィクトルを捜すぞ。 |
ローエン | お待ちください。誰か、こちらにいらっしゃいます。 |
ガイアス | お前たち……どうしてここにいる ? |
ローエン | ガイアスさん ! |
ガイアス | ……なるほどな。そのブラック・サンタと名乗る者を止めるために行動していたのか。 |
ローエン | はい、恵まれない子供たちのためですから協力すべきと思いまして。 |
ガイアス | しかし、お前もこちらの世界に来ていたとは驚きだ。 |
イバル | 話の通じる奴が来て安心したがよりにもよってお前とはな。 |
ガイアス | ふっ。そう、がっかりするな。お前の知らないことがあれば手助けしてやる。 |
イバル | なら、ここで何をしていた ?軍事倉庫が似合わない……って感じでもないが理由もなく来る場所じゃないだろ。 |
ガイアス | この倉庫で、大量の爆発物が盗まれたと聞いてな。危険な犯罪に使われる可能性も考えて調べに来た。 |
ローエン | 爆発物……ですと ! ? |
ガイアス | だが、お前たちの話を聞いて合点がいった。『クリスマスの街を火の海にする』……。 |
ガイアス | ひょっとすると……クリスマスに爆弾をばら撒くつもりかもしれない。 |
レイア | ええ ! ? ちょ、ちょっと待って !サンタ協会の邪魔するのが目的でしょ。それがどうして爆弾を撒く話になっちゃうの ? |
ガイアス | だが、最悪の事態を想定しておいた方がいいだろう。 |
ローエン | 『悪い子』に罰を与えるのがブラック・サンタ。倉庫で爆弾を盗み出したのが事実であればもう噂話では済まされません。 |
ローエン | 噂話になぞらえた愉快犯……その可能性がありますね。 |
イバル | こら、お前たち勝手に話を進めるな !これは俺の仕事だ。 |
ガイアス | ローエン、そのブラック・サンタが狙う『悪い子』とは誰だと思う ? |
ローエン | そこまでは。しかし、それがわかればブラック・サンタの正体に近づくでしょう。 |
イバル | この……あくまで俺の話を聞かないつもりかっ。こうなったらもう俺のチームから外して――ん ? ルドガーか ? |
ルドガー | イバル、ヴィクトルさんには会えたか ? |
イバル | お前に言われた場所へ行ったがすでにいなかったぞ ! |
ルドガー | 悪かった。どうもヴィクトルさんは別の街にいるらしい。 |
イバル | 別の街にいるだと ?くそ……今度こそ本当だろうな。 |
ルドガー | 直接、話は出来ていないんだ。人伝に聞いた話だ。そこはわかってくれ。 |
エル | ルドガー、早く飾り付け手伝ってよー ! |
ルドガー | ああ、わかった。今行く。それじゃ、ヴィクトルさんに会えることを祈ってるよ。 |
ガイアス | ヴィクトルも動いているとなると楽観視は出来なさそうだな。 |
ガイアス | ふむ…………無差別攻撃なのかそれとも目標となる相手がいるのか……。 |
ガイアス | ローエン、これはただならぬ事態だ。俺も共に行くぞ。 |
ローエン | はい。ガイアスさんが力を貸してくれるなら頼もしい限りです。 |
レイア | やった ! これで戦力がグーンとアップだね ! |
イバル | だから、それは俺が決める話だ。勝手に決めるな、このーー ! ! |
キャラクター | 5話【任務5 仮面の男を探して】 |
イバル | ルドガーから聞いた街に着いたぞ。ここにヴィクトルがいる筈だ。 |
ローエン | 私たちも初めて来ました。土地勘のない場所で捜すのは一苦労しそうですね。 |
イバル | いいか。これは秘密任務だ。妙な行動をすれば、目立ってしまう。なるべく大人しくしてろよ。 |
レイア | あのー、すみません !わたしたちこの街に詳しくないんですけどヴィクトルさんって方、ご存知ありませんか ? |
イバル | 言ってるそばから、あの女 ! |
街の女性 | ヴィクトルさん……さあ、知らないわね。どういった方なの ? |
レイア | ええっと、それは……。 |
ガイアス | 仮面をつけた男だ。 |
街の女性 | きゃっ、またいい男 !今日はラッキーデイね。 |
ガイアス | ごほん……。 |
イバル | ……………………。 |
レイア | あ、イバルってば妬いてるんでしょー ? |
イバル | ち、ちがうに決まってるだろ。あんな言葉を真に受けてのぼせ上がるガイアスに呆れているだけだ。 |
街の女性 | 仮面の男の人なら、さっき見たわよ。仮面をつけててもいい男だったわぁ♪ |
ガイアス | どちらへ行ったかな ? |
街の女性 | たしか街の繁華街の方へ行った筈だけど……。そんな険しい顔して、なにか怖いことなの ? |
イバル | お前は知らなくていいことだ。 |
街の女性 | なによ、あんた。私、こっちのイケメンと話してるんですけどー。邪魔邪魔っ。 |
イバル | ぐっ……うぅっ。 |
レイア | ま、まあ、落ち込まないでよ。元気だして。あの人もちょっと虫の居所が悪かっただけだよ。 |
街の女性 | あの、今日はクリスマス・イブでしょ。これからどこかでゆっくりお話しない ? |
ガイアス | すまないが、俺にはやることがあるんでな。今夜は嫌な予感もする。大人しく家で過ごすのだな。 |
街の女性 | まぁ、その冷たい態度もグッと来るわぁ♪ |
イバル | レイア、あれのどこがいいんだ ? |
レイア | あはは……わたしもちょっとわからない、かも。 |
ガイアス | ヴィクトルがこの街に来ているというのは間違いなさそう――イバルはどうした ? |
ローエン | ほっほっほ、若さ故の患いでしょう。 |
ローエン | 若者にとって、クリスマス・イブは舞い上がる者もいれば嘆く者もおりますから。 |
イバル | ふんっ……ヴィクトルは勝手に動くしガイアスはモテるしいつか叩きのめすリストに加えておこう。 |
レイア | ほら、そんな冗談言ってないで行こう !ヴィクトルさんを見つけて任務を成功させるんでしょ、エージェント・イバル。 |
イバル | おお、そうだった ! |
イバル | 俺ともあろうものが、ついつい期待されているのを忘れるところだった。はっはっは ! |
キャラクター | 6話【任務6 ブラック・サンタ追跡】 |
レイア | あ、ヴィクトルさんいたよ ! |
ヴィクトル | ……こんなところで会うとは。おや ? 彼は……。 |
ガイアス | ヴィクトル、事情があってお前を捜していた。話を聞いて欲しい。 |
イバル | お前がヴィクトルか ?勝手に動かれて、こっちは迷惑してるぞ ! |
ヴィクトル | ふっ。初めて会うなり、騒がしい男だな。 |
ガイアス | 俺たちと共に具現化されていた。イバルだ。 |
ヴィクトル | ああ、話はついさっきルドガー君から聞いたよ。よろしくな、イバル君。 |
イバル | だったら、話が早い。早速だが、俺の任務に協力してもらうぞ ! |
ヴィクトル | 残念ながら、君の仕事が何かは知らない。ルドガー君もそこについては話さなかったからな。 |
ヴィクトル | それに私も少々忙しくてね。悪いが他をあたってほしい。 |
ローエン | ヴィクトルさん、それがそうも言っていられない雲行きなのです。 |
ヴィクトル | ほう ? |
ローエン | 私たちはどうやら同じ事件を追っているようです。ブラック・サンタと聞けば、もうおわかりでしょう ? |
ヴィクトル | ……そうか。その名を出されたら無下には出来ないな。 |
イバル | 始めに一つ言っておく。ブラック・サンタを止めるのは俺の仕事だ。いいか、俺のチームとなる以上は――。 |
ヴィクトル | チーム ? ふふふ……私はブラック・サンタの動きを察知して居場所を突き止めた。 |
ヴィクトル | 動くか動かないかは、いいか……イバル、私が決める。わかったな。 |
イバル | うっ、ま、まあ……そこまで言うなら少しは許可してやる。 |
レイア | あはっ、イバルってばすっかりヴィクトルさんにビビっちゃった ? |
イバル | この……っ。 |
ガイアス | ヴィクトル、ブラック・サンタは今どこにいる ? |
ヴィクトル | この先の建物だ。軍事倉庫から出た後この街に移動したことはわかっている。 |
レイア | わあ、たった一人でもうそこまで調べてるんですね ! |
ヴィクトル | 奴は爆弾を盗みだして今夜、街にばら撒くつもりだ。 |
ガイアス | やはりそうか。俺たちの推測も正しかったようだ。 |
ローエン | では、急いで止めなければ。 |
ヴィクトル | だが、用心しろ。あいつは、動物のように勘が働くやつでね。気づかれたら、逃げられる。 |
ヴィクトル | 何度も、こちらの気配を掴まれそうになった。ここからは慎重に追い詰めたい。 |
ガイアス | 獲り逃せば、別の場所で実行されるかもしれないということか。 |
ヴィクトル | 一発勝負だ。次のチャンスはないと思った方がいい。 |
レイア | こんな恐ろしいことをするなんてブラック・サンタってどんな人なんですか ? |
ヴィクトル | そうか、君たちは知らないのか……。黒服に身を包み、ギラついた眼の女だよ。 |
レイア | 女…… ? |
ヴィクトル | 会えばわかるさ。 |
レイア | なーんだ。悪魔のような身の毛もよだつ姿じゃなくてほっとしたよー。 |
ヴィクトル | 悪魔…… ? なんの話かな ? |
ローエン | ほほほ、ブラック・サンタの噂話ですよ。子供たちの間で、噂になっていたもので。レイアさんは心配していたのでしょう。 |
ヴィクトル | それは初耳だ。私はただサンタ協会を妨害しようとしている者がそう名乗っているだけだと思っていたからね。 |
ヴィクトル | では、イバル君。任務を終わらせるとしようか ?付いて来てくれ。 |
イバル | なっ、また俺の台詞を言われたっ ! |
ヴィクトル | ブラック・サンタを一気に追い込むぞ。 |
キャラクター | 7話【任務7 憎悪のサンタクロース】 |
アグリア | アハハハッ ! 待ってろ……苦しみって名のプレゼントをぶちまけてやるよ ! |
アグリア | この街は一瞬で炎の海だ……アハァ〜。 |
アグリア | ん……臭えな……誰だ ! |
イバル | なっ、お前はたしか…… ! |
イバル | え〜っと……名前は……う〜〜む。 |
レイア | アグリア ! ? |
イバル | そうだ、アグリア !え ? お前がブラック・サンタだと ! ? |
ヴィクトル | そう、犯人の正体は彼女だよ。 |
ローエン | まさか、アグリアさんがこのような……。 |
アグリア | ハァ〜〜〜〜 ?てめえらなんざに関係ねえだろ。 |
アグリア | あたしの邪魔をするつもりならこの爆弾、てめえらの口につっこんでやる。アーーハッハッハ ! |
レイア | アグリア……。こんなことなら、身の毛もよだつ悪魔の方がまだマシだった……。 |
ローエン | レイアさん、顔をお上げなさい。あなたの思い……まだ伝えていないことがあるでしょう ? |
レイア | ローエン……。……うん、そうだよね。 |
アグリア | ハァ〜、お得意の説教が出る前にもう諦めちゃったかぁ〜。 |
アグリア | アハハッ……あ……陛下……。 |
ガイアス | まるでこの世界に来たばかりの時に戻ってしまったようだな。 |
アグリア | …………。 |
レイア | アグリア、最近はこっちの世界にも馴染んで楽しそうに見えてたのに……どうしちゃったの ? |
ガイアス | アグリア、お前の口から語って欲しい。聞かせてくれないか。 |
アグリア | ……あたしは……。 |
アグリア | やっぱり、この世界が嫌い……なんです。 |
ガイアス | なにがあった ? |
アグリア | ……ただ、そう思っただけです。 |
ローエン | みなさん、よろしいですか。一つ気づいたことがあります。 |
ローエン | ブラック・サンタについてです。どうにも初耳ではない気がしておりました。 |
ヴィクトル | どういう意味かな ? |
ローエン | アグリアさんのお生まれ、六家のトラヴィス家。その地域にもブラック・サンタの噂話に近い伝承があったと記憶しています。 |
ローエン | もちろんクリスマスではなく精霊の伝承だった気はしますが……。 |
ガイアス | トラヴィス家といえば、屋敷が全焼。一族全員が亡くなったはずだったな。 |
ローエン | ええ。もしもその『炎』に包まれた中で生き残りがいたとして……そして、この世界にも具現化されていたとしたら ? |
アグリア | ……っ ! |
ガイアス | なるほど。ブラック・サンタが罰を与えたい『悪い子』はその者か。 |
アグリア | それ以上は……陛下、お願いです……。 |
ヴィクトル | アグリアの生家にまつわる話。そしてこの動揺……無関係ではなさそうだ。 |
アグリア | これ以上、あたしの詮索なんてどうだっていいんだよ ! |
アグリア | 例え、陛下だろうともう……どうにでもなれ !あたしはこの爆弾をばら撒くだけだっ ! ! |
ヴィクトル | 戦いは避けられそうにない。君たちはどうする ? |
レイア | わたしは、彼女の最期を見たんです……。やっぱり放っておけない。アグリアを止めてあげたい。 |
ガイアス | ヴィクトル、これはすべて俺の責任。アグリアを止めるぞ。 |
ヴィクトル | 意見は一致したようだな。さあ、ブラック・サンタを止めようか。 |
イバル | よし、こちらから仕掛け――ま、待て !勝手に始めるな ! ! |
キャラクター | 8話【任務8 雪降る聖夜】 |
アグリア | う……ぐっ……はぁはぁ…… |
イバル | 見たか !はっはっは、観念するんだな ! ! |
ガイアス | アグリア、理由はローエンの指摘した通りか ? |
アグリア | たまたま……街で見かけたんです。 |
アグリア | トラヴィスの……あいつを。のうのうと笑って歩いてた……。 |
ヴィクトル | 鏡映点でないなら、元の世界の記憶は持っていない。中見はきっと別人だろう。 |
レイア | あ、そうだよね……。だったらアグリアはどうして ? |
アグリア | ハハ……あたしだってわかってた。もしかしたら、ただ似てたってだけかもしれない。けどな―― |
アグリア | そんなことも、どうだってよくなった。ただ、もう……自分が抑えられなくなった。 |
ヴィクトル | 衝動……蓋をして忘れてもなお抑えきれぬほどの憎悪かな ? |
アグリア | ハッ……まぁ、そんなとこだ。こんな世界……どうだってよくなった。 |
ローエン | 恐らく、私たちには想像もつかないような場所……それがトラヴィス家だったのでしょう。 |
ヴィクトル | ……どうしてサンタ協会の邪魔までした。 |
アグリア | 言ったろ……なんだってよかった。そこのジジイが言った通りさ。 |
アグリア | 噂話を聞いて、昔話を思い出したんだ。街を火の海にして、全部なくなればいいと思った。 |
ヴィクトル | ……君の気持ちは測り知れないがその行為は容認できるものではない。 |
アグリア | ちっ……くそ、もうどうだっていい。おら、好きにしろよ。 |
レイア | あ、あのさ、聞いて欲しいの。あなたにクリスマスプレゼント用意したの。 |
アグリア | ハァ…… ?今ここで言うことか ? バカか ? |
レイア | バカで結構 ! けど、クリスマスだもん。きっとアグリアに似合うよ、これ ! |
アグリア | 今さら……いらねえ……。 |
ガイアス | レイア、お前の気持ちに感謝する。 |
レイア | ガイアス ? |
ガイアス | アグリア、お前が俺の直轄部隊四象刃(フォーヴ)となった時のことを覚えているか ? |
アグリア | どうでしょう……今さら……。 |
ガイアス | 俺はお前の弱さに気づきながら同志として認め、強くあることを強いた。 |
ガイアス | お前たちの心を救えなかったのは、俺の責任だ。 |
アグリア | へ、陛下…… ! ?ちょっと、なんですか…… ! ! |
ガイアス | あいつらも、俺たちもみな同じだったんだ。 |
ガイアス | プレザもお前のように心を引き裂かれ俺のもとへたどりついた。 |
ガイアス | ウィンガルもまた同じだ。あいつも弱かった。そして、分史世界では俺自身の弱さがウィンガルを追い込んだ。 |
ガイアス | あれは、俺自身も気付いていなかった弱さだった。 |
ガイアス | 俺たちは共に過ごし、一時代を駆け抜けた。だが、孤独で弱かったのだ。それを認めよう。 |
アグリア | あたしの知っている陛下ならこんなこと言わなかったし―― |
アグリア | こんなことしなかったです……。 |
ガイアス | お前の見られなかった未来で俺たちは幸福になれたのだ。 |
ガイアス | アグリア、孤独になるな。 |
アグリア | 陛下……。 |
アグリア | でも、陛下……。 |
ガイアス | なんだ ? |
アグリア | ジャオは ? |
ガイアス | あいつは……あいつだけは強かった。 |
アグリア | アハハっ。 |
アグリア | ……あ、雪です。陛下。 |
イバル | うぅ〜〜寒っ !もう終わったか ? そろそろ帰るぞ。 |
レイア | もう〜、イバル !せっかくいい雰囲気なのにぶち壊さないでよ ! |
ローエン | ほっほっほ、街にも被害はありませんでした。これにて一件落着ですね。 |
ヴィクトル | そういえば今日はクリスマス・イブか。いい夜になりそうだ。 |
レイア | うん、きっと素敵なクリスマス・イブになりますねっ ! |
ヴィクトル | イバル君、魔鏡通信機が鳴っているよ。 |
イバル | 仕事が終わった途端連絡が来るなんてどこかで見てるのか。 |
イバル | イバルだ。丁度、今仕事が終わったぞ。 |
? ? ? | よくやった。エージェント・イバル。喜びもひとしおだろうが、問題が起きた。 |
? ? ? | そろそろプレゼントを配り始めないと今夜中に仕事を終えることができないのだがその地域のサンタ役が全員降りてしまった。 |
イバル | どうして今になってサンタ役が降りるんだ !サンタ協会は何をしていた。 |
アグリア | あ……。 |
イバル | おい、まさかアグリア、お前。 |
アグリア | サンタ役のやつらを……ちょこっと……口沿えしたっつーか、脅したっていうか……。 |
レイア | あちゃ〜〜。どうするの。今からもう一度お願いしにいく ? |
? ? ? | 残念だが、彼らは怯えてしまい雲隠れした。残り時間を考えると新たなサンタ役を見つけるのは難しいだろう。 |
ローエン | それは困りましたね。となると、残る方法は……。 |
? ? ? | 君たちがサンタとなって、計画を実行するのだ。 |
? ? ? | 君たちの背後に箱があるだろう。そこに今回の任務に必要な道具を用意した。 |
イバル | な、いつの間に ! ? |
レイア | これのことだよね。中はなにかな……ん ?必要な道具って、この衣装 ! ? |
? ? ? | サンタへ変装するための道具だ。子供たちへのプレゼントも用意した。頼りになるのは君しかいない、エージェント・イバル。 |
? ? ? | この任務の成功は君にかかっている。 |
イバル | ま、待て ! ……一方的に掛けてきておいて切られた。 |
イバル | ……仕方ない。ヴィクトル、お前も手伝ってくれ。 |
ヴィクトル | 子供たちのためだ。手伝おう。 |
レイア | はい、イバルはこの衣装ね。 |
イバル | おう、承知した。 |
レイア | じゃあ、ヴィクトルさんはこっちかな。 |
レイア | あ、あと一着余ってるよ。 |
イバル | サンタといえば、老人だろう。ローエン、お前がやってくれ ! |
ローエン | ほっほっほ、このジジイも大義ある役目をいただけますか。もちろんやらせていただきましょう ! |
レイア | ローエン、乗り気になっちゃって。はい。じゃあ、これね。 |
アグリア | ……あたしのせいもあるからな。手伝わせろよ。 |
イバル | 『も』じゃないだろっ。お前のせいだよ。ほら、さっさと準備しろ。 |
イバル | レイア ! なぜ俺がトナカイなんだ ! |
レイア | だって、絶対ヴィクトルさんじゃないし……。ほら、みんなを引っ張るからトナカイでいいじゃない。 |
イバル | ぐぬ〜〜〜〜。百歩譲って似合っているヴィクトルはいい。ローエンの衣装は普通じゃないか。 |
レイア | もう〜、細かいことガミガミ言い過ぎだよ〜。ほら、早く出発しないと間に合わないよっ ! |
ヴィクトル | かなりのプレゼントだ。子供たちが待っている、急ごう。 |
イバル | 言われなくても、わかってる。さあ、夜が明けるまでにプレゼントを配り終えるぞ ! ! |
キャラクター | 9話【任務9 サンタのお仕事】 |
イバル | へとへとだ……サンタの仕事がこんなにキツいとは。 |
アグリア | ここで最後だな ?ん ? あいつらまだ起きてるぞ。 |
ヴィクトル | ふっ、楽しいパーティの真っ最中のようだな。 |
ヴィクトル | ここは、一番サンタらしい格好のローエンに任せよう。 |
ローエン | ほっほっほ。では、その名誉を拝命いたしましょう。 |
イバル | ま、また勝手に。俺のチームなのに……。 |
ローエン | ほっほっほー。さあさあ、良い子のみんなにサンタからプレゼントですよ。 |
マオ | 待ってたヨー !サンタさん、ありがとー ! |
エリーゼ | あ、ありがとうございます。クリスマス、大好きです。サンタさんも ! |
ティポ | サンタさんほんとにいたんだねー !びっくりー ! ! |
ソフィ | サンタさん、アスベルたちにはプレゼントないの ? みんなにもあげたい。ないなら……わたしもいらない。 |
ローエン | やさしいお嬢さん。クリスマスは良い子にしていた子供たちが幸せになる日です。あなたがもらってくれれば、みなさんも喜びますよ。 |
ソフィ | 本当…… ?うん、わかった。プレゼントありがとう、サンタさん。 |
ローエン | ほっほっほ !これからも良い子にしていればまたサンタは来ますからね。 |
ヴィクトル | 大したものだな。ローエンと気づかれずにサンタをやっている。 |
アグリア | なあ、これで仕事は終わりだろ ?あたしは帰るからな。 |
イバル | ああ、プレゼントはローエンが持っていった分でお終いだ。 |
アグリア | もうすぐクリスマス・イブも終わりだ。てめえらも……あれだ、少しは楽しめよ。じゃあな。 |
イバル | ヴィクトルももう帰っていいぞ。ふぁ〜〜ふ。俺ももう帰る……。 |
ヴィクトル | ……イバル君、待ってくれ。ひとつ頼みを聞いてくれないか。 |
イバル | おい、さっきアグリアが言ってただろ。もうクリスマス・イブは終わりだ。 |
ヴィクトル | もう一つ、プレゼントを届けたいんだ。 |
イバル | げ ! ひょっとして配り忘れたプレゼントがあったのか ? |
イバル | お前、仮面なんかして仕事ができる風に見せながら実はうっかりミスが多いタイプだな ? |
ヴィクトル | ……真面目な話だ。 |
イバル | わ、わかった。そう睨むなよ。で、相手はどこの子だ ? |
ヴィクトル | エル、という子だ。 |
イバル | 俺に頼む理由は ?自分で行けばいいだろ。 |
ヴィクトル | ……言う必要があるか ? |
イバル | そう睨んだからって、毎回ビビると思うなよ。ま、まあ……理由は言わなくていい。 |
イバル | その代わり、一つだけ答えろ。答えないなら、絶対断る。 |
ヴィクトル | わかった。なにを聞きたいのかな。 |
イバル | そのエルって子供を守るためにブラック・サンタを阻止しようとしたのか ? |
ヴィクトル | ……さすがエージェント・イバル君。肝心なところを見抜かれたようだね。私の目的は、詰まるところそれだけだったと言える。 |
イバル | ……そうか。ならわかった、手伝ってやる。 |
イバル | だが ! あくまで俺は手伝いだ。自分で届けろよ。 |
ヴィクトル | ……どうしてもか ? |
イバル | そう睨んだからって、もう通用しないぞ。俺がやるのはそこまでだ。さあ、どうする ! |
ヴィクトル | では、君に手伝いを頼むとしよう。 |
イバル | よーーーっし !これが本日最後のサンタ仕事だ ! |
キャラクター | 10話【任務10 任務完了、そして明日へ……】 |
イバル | ほら、さっさとプレゼントを置いていけ。俺はもう疲れたんだ。 |
ヴィクトル | しっ。エルが起きてしまう。 |
イバル | あ、ああ……悪かった。 |
エル | すー、すー。 |
ヴィクトル | 枕もとにしっかり靴下を用意して。かわいいことだ……。 |
ヴィクトル | おや、靴下に手紙が入っているな。これはエルが書いた手紙か ? |
ヴィクトル | 「サンタさんへ。これをパパに届けてください。エルより」 |
イバル | 一緒に入ってたのはなんだ ?紙で作った時計か ? |
ヴィクトル | 手作りの懐中時計だよ。ありがとう、エル。最高のクリスマスプレゼントだ。 |
イバル | ふん、やはりそういうことか。 |
エル | むにゃ……そのトマトシチューはパパのだしー !……ルドガーは食べちゃダメぇ……むにゃむにゃ。 |
ヴィクトル | 夢の中でもクリスマスパーティか。パパも参加して、楽しそうだ。 |
ヴィクトル | 愛してる、そしてメリークリスマス。エル。 |
ヴィクトル | イバル君、付き合わせてすまなかったね。来られてよかったよ。 |
ヴィクトル | では、またな。何かあれば連絡を……いや、やめておこう。君といると疲れそうだ。 |
イバル | それはこっちの台詞――はぁ、もういい。疲れた。 |
イバル | すっかり夜明けじゃないか。あ ! これから宿を探さないと……くそう。 |
イバル | これが俺のクリスマス・イブか。もう寝よう……。 |
ミラ=マクスウェル | イバル、聞いたぞ。クリスマス・イブに子供たちを喜ばせたそうじゃないか。さすがだな。 |
イバル | は、はい !ミラ様に褒めていただけるとは光栄です ! |
ジュード | イバル、すごいじゃないか !僕が君のライバルだなんてそんなこともう言えないよ。 |
イバル | はっはっは !当たり前だ。二度と俺に対して生意気な口を聞かないことだっ ! |
イバル | また……前によく見た夢……。 |
イバル | なんだろう。前は目覚めてがっかりしていたのにそうでもないな……。 |
イバル | 魔鏡通信 ? |
イバル | もしもし、イバルだ。こんな朝っぱらから誰だ ? |
? ? ? | ご苦労だったな。エージェント・イバル。無事、任務は成功したようだな。君に依頼した私に間違いはなかった。 |
? ? ? | 君たちが配ったプレゼントのおかげで今朝は各地で子供たちの笑顔がたくさん見られた。 |
イバル | あー、そうか。俺は散々な夜だったがな。 |
イバル | なあ、教えてくれ。これまで手紙で依頼をしてきたのにどうして今回はこの魔鏡に連絡ができた ? |
イバル | それに何より、お前は何者だ ? |
? ? ? | このまま何も言わずにいるのは君に対して失礼だったかな。 |
イバル | うわっ、ま、まぶしい―― |
サンタクロース | はじめまして、挨拶がまだじゃったな。ワシはサンタ・ビクエ・クロースことサンタクロースじゃよ。 |
イバル | サンタクロース ?本物だというのか。だったら、顔を……まぶしくて見えない。 |
イバル | 俺を使って、なぜこんな仕事をさせた ? |
サンタクロース | サンタ協会の活動を助けてやりたくての。 |
サンタクロース | しかし、ワシは表立って動けん。そこで君の力を借りたというわけじゃよ。 |
サンタクロース | 頑張った君にもプレゼントを用意した。ほっほっほ、メリークリスマス ! |
イバル | おい、どういうことだ ?あ、いつも勝手に切るなっ ! |
宿屋の主人 | お客さん、おはようございます。 |
宿屋の主人 | 朝食ご用意してますから、いつでもどうぞ !あ、新聞はここに置いておきますね。 |
イバル | 新聞…… ? |
イバル | 「――サンタが夜を駆け巡る ! ?恵まれない子供たちへプレゼントを――」 |
イバル | お、俺たちのことじゃないか !えーっと、なになに……。 |
イバル | 「サンタさん、ありがとう ! 」「はじめてプレゼントをもらって嬉しい」などと子供たちのサンタに対する感謝が次々と……。 |
イバル | なんだ……たかがこんなプレゼントが嬉しいのかよ……くぅっ……。 |
イバル | ぅぅっ……あーーはっはっ !最高のクリスマスプレゼントになったぞ !子供たち ! サンタ ! |
ルドガー | なあ、一人で大声あげて……疲れてるんじゃないか ?どこに泊まってるかわからないからいくつも宿を捜し回ったよ。 |
イバル | こ、こら ! こそっと人の部屋に現れるなっ。 |
ユリウス | その新聞、見たぞ。大仕事をやってのけたようだな。すごいじゃないか。 |
イバル | あ……ありが……当たり前だ。 |
ルドガー | 昨日は連絡をもらったのにすまなかった。その謝罪と、ちょっとした仕事が舞い込んだから今度はお前を誘いに来た。 |
ユリウス | というより、依頼者がお前のことを知ったらしくてな。どうしてもイバルも参加して欲しいと御指名だ。 |
イバル | 俺を……。 |
ルドガー | 連日の仕事なうえ、今日はクリスマス当日だ。頼むのも気がひけるが、どうだ。一緒にやってくれないか ? |
イバル | いいか、俺は大変疲れている。昨日はお前たちが想像するよりもはるかーーに、厳しい仕事だった。 |
イバル | だが、依頼者の指名とあれば仕方ない。お前たちだけでは不安だと思ったんだろう。やってやろう ! |
イバル | さあ ! すぐに出発するぞ。 |
ルドガー | 朝食はいいのか ?用意されてるみたいだぞ。 |
イバル | 構うものか !俺のチームが優先だ。 |
ユリウス | このチームは俺がリーダーだ。言うことは聞いてくれよ。 |
イバル | ふはははは ! 知ったことか !この俺、イバルがリーダーになってやる。依頼者にもそう伝えろ ! |