キャラクター | 1話【挑戦1 呼び出し】 |
レイア | ――うん、絶好調 !わたしも、そろそろ免許皆伝かな ! |
ジュード | ねえレイア、ちょっと休憩にしない ?組手をしてから、結構時間も経ってるし。 |
レイア | ええ~、ジュードってば、もう疲れちゃったの ?わたしはまだまだ……。 |
| ぐぅ~~。 |
レイア | ……あっ。 |
ジュード | ははっ。やっぱりお昼にしようよ。ちゃんとレイアの分のお弁当も持ってきてるから。 |
レイア | 本当 ! ? さっすがジュード !じゃあ、早速準備して一緒に食べよう ! |
レイア | ……ふぅ、ごちそうさま !ああ、お腹いっぱいでしばらく動けないかも。 |
ジュード | レイア、食べてすぐ横になると身体に悪いよ。 |
レイア | もう、細かいなぁジュードは。気持ちいいから別にいいの。 |
ジュード | はいはい。それよりレイア。どうして急に僕と稽古がしたいなんて言ってきたの ? |
レイア | う~ん、別に理由はなかったんだけどジュードもたまには思いっきり身体を動かしたほうがいいかと思ってさ。 |
ジュード | なに、その理由……。けど、レイアの言う通りかも。最近は、ずっと本を読んでばかりだったから。 |
レイア | もう、そんなことだろうと思った。でも、ジュードはすぐ頑張りすぎちゃうから今はそれくらい、のんびりしてたほうがいいかもね。 |
ジュード | ……のんびり、か。ねえ、レイアは他のみんなの様子とか聞いてたりするの ? |
レイア | うん。ミラは相変わらずキール研究室の人たちと一緒に大陸を飛び回ってるんだけど、そのせいでミュゼはミラに会えなくて寂しがってるみたい。 |
レイア | あっ、そうそう。それで、ミュゼは暇だからってガイアスに付いていくことが多いんだってさ。 |
ジュード | そうなんだ。でも、ミュゼが一緒だとガイアスも目立ちそうだね。 |
レイア | うん。街では『遊び人のアーストと謎の美女』って言われてて、有名人になっちゃってるみたい。 |
レイア | でも、街の人たちからはすごい信頼されてるみたいだしそういうところはさすがガイアス ! って感じだよね。 |
ジュード | そっか。やっぱり、ミラもガイアスも自分の為すべきことのために行動しているんだね。 |
ジュード | ……僕も、二人に負けないように頑張らなきゃ。 |
レイア | ……ジュード ? |
ジュード | あれ ? 僕の魔鏡通信に連絡が来てる。誰からだろう……。 |
イバル | おい、ジュード ! お前に話がある ! |
ジュード | イバル ? どうしたの、急に ? |
イバル | いいから黙って聞け。これから俺が言った日時にコロセウムの街に来い ! |
レイア | コロセウム ? そこって確か闘技場がある場所だったよね ? |
ジュード | えっと、イバル。もう少し詳しい話を……。 |
イバル | その必要はない。来ればすぐにわかることだからな。それより、絶対に遅れるんじゃないぞ ! わかったな ! |
ジュード | ……あ、切れた。なんだったんだろ、今の連絡……。 |
レイア | あれ ? それより、イバルは結局いつコロセウムに行けばいいのか言わなかったよね ?場所だってすごい大雑把だったし……。 |
ジュード | 待って、イバルから魔鏡通信文が届いてる。 |
ジュード | ……待ち合わせ場所は闘技場のロビーで日時もちゃんと書いてあるけど、やっぱり詳しい用件は書いてないね。 |
レイア | う~ん、なんで闘技場に呼び出したんだろう……。まさか、ジュードと決闘したいとか ? |
ジュード | それはないと思いたいけど……。とにかく、さっきの様子だと行ってあげたほうが良さそうだね。 |
レイア | ジュードって、なんだかんだイバルの相手をしてあげてるよね。 |
ジュード | そうかな ? けど、イバルから僕に連絡をするなんてよっぽどのことだと思うから。 |
レイア | まあ、いいや。とにかく、ジュードが行くっていうならわたしも一緒に付いていくね。 |
ジュード | えっ ? 別に僕一人だけでも……。 |
レイア | そうと決まれば、まずは出掛ける準備だね !あっ、そうだ ! 他のみんなにも連絡入れとこっと。 |
ジュード | もう、レイアってば……。 |
ジュード | でも……イバルが僕を呼び出すなんて一体、どんな用件なんだろう…… ? |
キャラクター | 2話【挑戦2 コロセウムにて】 |
ジュード | 結構人が多いね。でも、ロビーにいるなら……あっ、見つけた。 |
イバル | 遅いぞ、ジュード ! って、なんだ、レイア。お前も一緒に来たのか。 |
レイア | だって、気になったんだもん。ねえ、なんでジュードを呼び出したの ? |
イバル | ふっ、それはだな……。ジュード、お前に俺の仕事を手伝わせてやる ! |
ジュード | 仕事 ? それって、この前のサンタクロースみたいなこと ? |
レイア | あー、あれ、楽しかったよね !わたしたちのこと、新聞でも紹介されててビックリしたよ。 |
イバル | そうだ ! そして、お前たちは知らないだろうがあの後も俺はルドガーたちを率いて八面六臂の大活躍を―― |
レイア | あー、ごめん。長くなりそうだから手短にお願い。 |
イバル | なんだとっ ! ? まあいい……。とにかく、この俺に仕事を任せたいという連中から次々と依頼が舞い込んでいてな。 |
レイア | そっかぁ、イバルもがんばってるんだね。 |
ジュード | じゃあ、イバルがコロセウムに来たのも仕事ってこと ? |
イバル | ああ。だが、仕事の内容に問題が発生してな……。 |
レイア | 問題 ? |
イバル | いいか、一度しか言わないからよく聞けよ。 |
イバル | 今回の依頼主はリーゼ・マクシア大陸で商会を営む人間だ。そして、このコロセウムと貿易条約を結ぶための交渉をしたいそうだ。 |
イバル | だが、他にも大陸を代表して貿易を仕切りたいという商会が多くてな。コロセウム側と交渉を始める前にそこははっきりさせておきたいと。 |
レイア | えっと、つまり、イバルの依頼主の人は自分たちの商会が中心になって話を進めたいんだね。 |
イバル | そういうことだ。そして、コロセウム側からの提案で今回行う闘技場トーナメントの結果でリーゼ・マクシア側の代表者を決めることになった。 |
イバル | 当然、各商会はすぐに戦える人間を雇い始めたが俺の依頼主は、この俺の強さを見抜いて仕事を頼んできたわけだ ! はっはっはっ ! |
レイア | そういえば、確かミリーナたちもコロセウムの代表者と交渉する為に、闘技場に出たことがあったんだっけ ?それと似たような話かもしれないね。 |
ジュード | うん……話は大体わかってきたんだけど結局、僕を呼んだ理由ってなんだったの ? |
イバル | それはだな……。今回の闘技場トーナメントのルールが、煩わしいことにタッグバトルだったんだ……。 |
レイア | えっ ? じゃあイバルは無理じゃない。いっつも一人だし。 |
イバル | 俺を寂しい人間みたいに言うなっ !大体、依頼を受けたときは、ちゃんと当てはいたんだ ! |
イバル | だが、そのルドガーからは家族みんなでピクニックに行くからと断られ、ヴィクトルも娘と出掛けるからと断られてしまった……。 |
イバル | くそっ ! あいつら、同じ日に用事があるなんて肝心なときに使えない連中だ ! |
レイア | いや、それって二人とも一緒にピクニックに行ってるだけだと思うよ。エルだったら、みんな一緒に行こうって言いそうだし。 |
イバル | とにかくだ ! ジュード、俺は仕事を遂行するために仕方なくお前に声をかけたんだ !ありがたく思え ! |
レイア | イバル、やっぱり友達少ないんだね……。 |
イバル | 断ろうとしても無駄だぞ。依頼人には話を通してあるし、出場者としてエントリーも済ませておいたからな。 |
ジュード | ……はぁ、わかった。事前に教えて欲しかったけどイバルも困ってるみたいだし、手伝うよ。 |
レイア | 良かったね、イバル。ジュードがお人よしで。 |
イバル | ふん、俺に協力するのは当然だ。いいか、ジュード。俺の任務に関わった以上本気でやってもらうぞ。 |
イバル | と言っても、お前はただの数合わせだ。他の連中が集めた代表者なんぞ一瞬でこの俺が倒してしまうからな ! |
ガイアス | そうか、お前たちも来ていたのだな。 |
ジュード | えっ、ガイアス ! ? |
イバル | 貴様 ! 何故ここにいる ! ? |
ミュゼ | ふふっ、それは私たちも今回の闘技場トーナメントに参加するからよ。 |
レイア | ミュゼもいたの ! ? っていうか、今トーナメントに参加するって言った ? |
ミュゼ | ええ、さっきガイアスと一緒にエントリーを済ませたところよ。 |
ガイアス | ジュード、どうやらお前もトーナメントに参加するようだな。 |
ジュード | う、うん……。だけど、どうしてガイアスが……。 |
ガイアス | お前たちと似たような話だ。俺も、付き合いのある商会の連中に頼まれてな。 |
ガイアス | 『遊び人のアースト』としてそいつらの頼みを引き受けることにしたのだ。 |
ミュゼ | 私は付き合わされただけなんだけどジュードがいるのなら、少しは楽しめそうね。 |
イバル | ちょっと待て ! リーダーは俺でジュードはただの数合わせだ ! |
ミュゼ | あなたは……誰だったかしら ? |
イバル | この俺を忘れているだとっ ! ?いくらミラ様の姉だからといってもこんな屈辱は…… ! |
ミュゼ | ふふっ、冗談よ。だけど、あなただけだったら少し物足りないしジュードがいてくれて良かったわ。 |
イバル | なっ…… ! ? |
ガイアス | その辺にしておけ、ミュゼ。だが、ミュゼの言う通り、お前たちがいるならこちらも楽しみが増えたというものだ。 |
ガイアス | ジュード、戦いの場となれば手加減はしない。お前も全力で挑んでこい。 |
ジュード | ガイアス……。 |
ガイアス | 行くぞ、ミュゼ。 |
ミュゼ | ええ。それじゃあ、あなたたちも頑張ってね。 |
レイア | ビックリした……ガイアスとミュゼまで参加してたんだね。 |
ジュード | ……うん。 |
イバル | はっ ! あの二人が相手だろうが最後に勝つのは俺だ !ジュード ! お前もビビるんじゃないぞ ! |
ジュード | 僕が、ガイアスたちと……。 |
レイア | ……ジュード ? |
ジュード | ……うん、イバルの言う通りたとえ、ガイアスとミュゼが相手でも僕は全力でぶつかってみせる。 |
イバル | よし、そうと決まれば俺たちも行くぞ !この俺の活躍を、観客共に見せつけてやる ! |
キャラクター | 3話【挑戦3 予選開始】 |
レイア | お~い、みんな~、こっちこっち~ ! |
ティポ | レイアー、おまたせー ! |
エリーゼ | 遅くなっちゃいました。 |
レイア | ううん、大丈夫。ジュードたちの試合はこれから始まるところだから。 |
アルヴィン | しかし、あの巫子とジュードが一緒に戦うとはね。あいつら、水と油みたいなもんだろ ? |
ローエン | ですがジュードさんも彼の性格は理解しておられます。案外、面白い戦いをしてくれるかもしれません。 |
アルヴィン | だといいがな。せっかく来てやったのにすぐに負けちまうところを見るなんてオチはやめてくれよ。 |
エリーゼ | もう ! アルヴィンはどうしてすぐそんなこと言うんですか ! |
ティポ | アルヴィンのいじわるー ! |
ローエン | まあまあ、エリーゼさん。アルヴィンさんも応援したい気持ちがなければ、遠路はるばるこちらに来ることもなかったでしょう。 |
ローエン | そうですよね、アルヴィンさん ? |
アルヴィン | ご親切なフォロー、どうも。ところで、ミラは来てないのか ? |
レイア | うん……さっきも連絡を入れたんだけど繋がらなくて。でも、魔鏡通信文は送っておいたから時間が出来たら来てくれるかも。 |
エリーゼ | ミラ、やっぱり忙しいんですね。 |
アルヴィン | まぁ、逆に良かったんじゃねえの ?ジュードはともかく、イバルはミラがいると空回りしそうだしな。 |
レイア | あー、確かに。それはあるかも。 |
ローエン | では、ミラさんの分まで我々がジュードさんたちを応援しましょう。 |
エリーゼ | あっ、ジュードたちが出てきました ! |
イバル | いいか、ジュード。相手の奴らは俺が倒す。お前は俺のフォローに回れ。 |
ジュード | イバルがそれでいいなら構わないけど……危なかったらすぐに僕も前に出るからね。 |
イバル | ふんっ ! この俺にピンチなどあるものか !いくぞっ ! |
イバル | はっはっはっはっー ! !どうだっ ! この俺の実力は ! ! |
観客 | ――ワアアアアアアアッ ! ! ! ! |
レイア | やった ! ジュードたちの勝ちだね ! |
アルヴィン | へぇ、即席の割には、よくやってるんじゃねえの ? |
ローエン | ええ……。 |
ローエン | ………………。 |
エリーゼ | ローエン ? どうかしたんですか ? |
ローエン | いえ、私もお二人のように若々しく動き回れたら、と思いましてね。特に、最近は肩こりが酷いのが悩みの種で。 |
ティポ | ローエンも大変だねー。エリーゼ、後でローエンに肩たたきしてあげようー。 |
エリーゼ | はい。ローエン、無理は駄目ですよ。 |
ローエン | これはこれは、思わぬ楽しみができました。 |
アルヴィン | ……本当のことを言わなくて良かったのか ? |
ローエン | 今、私が不安を煽るようなことを言っても仕方ありません。ときには、静かに見守るのも大事なことです。 |
イバル | ふっ、やはり俺の敵ではなかったな !この調子で優勝は頂くぞ ! |
ガイアス | ああ、そうでなくては困る。 |
ジュード | ガイアス……。そっか、次は二人がいるブロックの予選なんだね。 |
イバル | まったく、運のいい奴め。俺と同じブロックだったら今頃お前たちは地面に這いつくばっていたところだ。 |
ミュゼ | あら、面白い冗談を言うのね。 |
イバル | 冗談ではないっ ! 俺は本気だ ! |
ガイアス | そうか。ならばよく見ておくがいい。俺たちの戦いをな。 |
イバル | ……くそっ、随分と余裕な態度を見せやがって !いいだろう、そこまで言うなら、お前たちの戦いも見てやろうじゃないか ! |
ジュード | 多分、ガイアスたちが予選で負けるようなことはないと思うけど……。 |
ガイアス | ――はああああああああっっ ! ! |
二人 | ! ? ! ? |
ガイアス | ……もう終わりか。 |
ミュゼ | 張り切り過ぎよ、ガイアス。私も少しは遊びたかったわ。 |
イバル | おい、嘘だろ…… !試合が始まってすぐだぞ…… ! |
ジュード | やっぱり、今の僕のままじゃ……。 |
観客たち | ――アースト ! ! アースト ! ! アースト ! ! |
アルヴィン | 大盛り上がりだな。まあ、あんな試合を見せられたら観客たちもこうなるわな。 |
ローエン | やはり、ガイアスさんには人を惹きつける力がありますね。 |
レイア | やっぱりガイアスってすごいんだね……。ん ? あれ…… ? |
アルヴィン | どうした、レイア ? |
レイア | 今、アグリアがいたの。もしかして、わたしたちみたいに応援に来たのかな ? |
ローエン | アグリアさんですか ?確かに、ガイアスさんがいらっしゃるのならその可能性はありますが……。 |
レイア | わたし、ちょっと声かけてくる ! |
アグリア | ……まだ、あいつらはいやがらねえか。 |
レイア | アグリア ! |
アグリア | てめっ…… ! こんなところで何してやがる。 |
レイア | 何って、多分アグリアと一緒だよ。まぁ、わたしたちはジュードの応援だけど。 |
アグリア | 応援だぁ ? けっ、相変わらずおめでたい頭してんな。 |
レイア | えっ、違うの ? だったら……。 |
アグリア | あー、うるせぇ ! てめえには関係ねぇだろ ! |
レイア | ちょ、アグリア ! 待ってよ ! |
アグリア | 黙れ、ブス ! あたしは今イライラしてんだ !これ以上近づいてきたら燃やすぞ ! わかったな ! |
レイア | アグリア !……ああ、本当に行っちゃった。 |
レイア | でも、ガイアスの応援じゃないならアグリアはどうして闘技場に来たんだろう……。 |
キャラクター | 4話【挑戦4 本戦を控えて】 |
ティポ | ジュードー。本選出場おめでとー ! |
エリーゼ | ジュード、カッコよかったです。 |
ジュード | ありがとうエリーゼ。それに、みんなも遠いところまで応援に来てくれたんだね。 |
アルヴィン | 仕方ないだろ。来ないとレイアがうるさいからな。 |
レイア | あー、そんなこと言うんだったら今度からアルヴィンには連絡しないよ。 |
アルヴィン | 冗談だよ。ま、ジュードとしては一番来て欲しかったやつが来てないのは不満だろうけどな。 |
エリーゼ | レイア、ミラからは何も連絡がないんですか ? |
レイア | うん……。もしかしたら、魔鏡通信文もまだ見てないかも……。 |
ジュード | 仕方ないよ。ミラが忙しいのは知ってるから……。 |
レイア | ジュード……。 |
ローエン | ……ところで、イバルさんの姿が見えませんがどちらに行かれたのでしょうか ? |
ジュード | あ、うん。イバルなら、依頼主の人に呼ばれて話をしてるみたい。 |
レイア | あ、戻ってきたよ。 |
イバル | 待たせたな、お前たち ! |
アルヴィン | 別にお前を待ってたわけじゃないが話は終わったのか ? |
イバル | ああ、この俺が負けるわけないと改めて言ってやったからな。 |
依頼主の商人 | エージェント、イバル。君がそこまで言うのなら私も信じるが、こちらも高い報酬を払っていることを忘れないでもらいたい。 |
依頼主の商人 | 何より、あのアーストという男を雇っている商会は若造ばかりが集まっているようなところだ。そんな奴らに、この大口案件を奪われてたまるか。 |
ローエン | 失礼。今、「奪われる」と仰いましたが今回の大会は、あくまで貿易条約を結ぶために代表者を決めるだけではないのですか ? |
依頼主の商人 | ……商売ってのはそんな甘いもんじゃない。まだ経験も知識も浅い奴らに任せてみろ。自分たちの利益を優先するに決まってるさ。 |
アルヴィン | へぇ、ご立派な考えだな。だが、それはおたくらも一緒なんじゃないか ?だからこそ、高い金払ってでも勝ちたい。そうだろ ? |
依頼主の商人 | 素人に何と言われようと構わん。こっちにも長年背負ってる看板ってものがあるんだ。 |
イバル | ふっ、安心しろ。あんたはこの俺に目をつけた時点で勝ったも同然だからな !ジュード、お前も何か言ってやれ ! |
ジュード | えっと……明日も、頑張ります……。 |
依頼主の商人 | ……本当に大丈夫だろうな。まあいい。明日も頼んだぞ、エージェントイバル。 |
イバル | くっ ! ジュード ! なんだ、今の態度は ! ? |
アルヴィン | おいおい、ガイアスたちが相手だからナーバスになっちまうのはわかるが、あそこは嘘でもいいから胸張んなきゃ駄目なところだぞ。 |
エリーゼ | そんなにジュードを責めないでください。ジュードはアルヴィンと違って嘘つきじゃないんです。 |
レイア | そ、そうだよ ! わたしだって、ガイアスとミュゼといきなり戦えって言われたらちょっと怖気づいちゃうかも……。 |
ジュード | ……ううん、アルヴィンやイバルの言う通り嘘でもちゃんと態度で見せなきゃいけなかったね。 |
レイア | だ、大丈夫 ! ジュードなら絶対ガイアスたちにも勝てるよ ! |
ジュード | ……ありがとう、レイア。そうだよね、みんなもせっかく応援に来てくれたんだから、僕も頑張らなきゃ。 |
レイア | ジュード……。 |
ジュード | ごめん、僕、先に部屋に戻るね。 |
エリーゼ | ……ジュード、大丈夫でしょうか ? |
ローエン | ジュードさんにとって、ガイアスさんは尊敬する人物であると同時に、いつかは超えなくてはいけない人物だったのでしょう。 |
ローエン | そのガイアスさんと戦う以上、ジュードさんの心にも不安や葛藤があって当然です。 |
ティポ | ぼくたち、何かできないかなー ? |
ローエン | 今は見守ってあげましょう。私たちの知っているジュードさんなら必ず、自らの不安も退けることでしょう。 |
アルヴィン | だといいがな。 |
イバル | …………。 |
ジュード | ……明日は、いよいよガイアスたちと戦うことになるかもしれない。 |
ジュード | 大丈夫、僕だって……。 |
| ――ガンッ、ガンッ、ガンッ ! |
ジュード | ……窓の音、かな ?でも、風なんてそんなに吹いてなかった気が……。 |
イバル | ――おい ! 開けろ ! ジュード ! |
ジュード | イ、イバル ! ? なんで窓なんかに張り付いて……。 |
イバル | ――聞こえてるのか ! ? 開けろと言ってるんだ ! ! |
ジュード | わ、わかったよ……。 |
イバル | ……ふぅ。もう少しで落ちるところだったぞ。 |
ジュード | ど、どうしたの ? 僕に用事があるならちゃんとドアから来てくれれば……。 |
イバル | ジュード、少し俺に付き合え。 |
ジュード | えっ ? |
イバル | いいから付き合えと言ってるんだ ! 行くぞ ! |
ジュード | えっ、イバル、そっちは窓……って !うわあああっ ! ! |
ジュード | ……はあ、はあ。イバル……一体どうしたの ?いきなり窓から飛び降りるし、僕をこんなところまで連れて来て……。 |
イバル | ……ジュード。今から俺と戦え。 |
ジュード | 戦うって、イバルと ! ? |
イバル | それ以外に何がある ! |
ジュード | ま、待ってよ !理由くらい、ちゃんと話してくれないと…… ! |
イバル | うるさい ! 今から俺がお前の根性を叩きなおす !覚悟しろ、ジュード ! ! |
キャラクター | 5話【挑戦5 かつての自分】 |
ジュード | ……くっ ! |
イバル | どうした、ジュード !何を弱気になっている ! |
ジュード | 弱気……。僕が……。 |
イバル | そうだ ! 俺が知っているお前は今のような腰抜けじゃない ! |
イバル | ジュードという奴は、例えどんな逆境に立たされても決して諦めない男だった !だからこそ、お前はミラ様に選ばれたのだろう ! ? |
ジュード | ! ? |
イバル | 思い出せ、ジュード ! !ミラ様の隣にいたお前自身のことをな ! ! |
ジュード | ……そうだ ! 僕は…… ! ! |
イバル | 思い出さないのなら、このまま俺がお前を倒す !喰らえ ! 空破殺撃弾 ! ! |
ジュード | ――はああああっ! ! |
イバル | なにっ ! ? |
ジュード | イバル……確かに君の言う通り僕はずっと……心のどこかで迷っていたんだ。 |
ジュード | ミラやガイアスは、この世界に来てからも自分たちの為すべきことを見つけて行動しているのにそうじゃない自分はどうなんだろう、って……。 |
ジュード | だけど、ミラやガイアスが認めてくれた僕はただ立ち止まっているような人間なんかじゃないっ ! |
イバル | くっ……この動きは…… ! |
ジュード | 僕は、僕自身の意思で前へ進まなくちゃいけないんだ ! |
イバル | ――ぐぅっ ! |
ジュード | ……はぁ、はぁ。 |
イバル | ……ふっ。ようやく目が覚めたようだな。 |
ジュード | うん、イバルのおかげでね。 |
イバル | まったく、手間のかかるやつだ。ならば、俺はもう帰るぞ。 |
ジュード | ……あっ、待って、イバル。そういえばイバルにも渡しておきたいものがあって……。 |
イバル | なんだ、これは……魔鏡というやつか ? |
ジュード | 浄玻璃鏡っていって、詳しく話すと長くなるんだけど僕たち鏡映点はみんな持ってて、それは僕が予備で預かっていたものなんだ。 |
ジュード | イバルみたいにまだ浄玻璃鏡を渡してない鏡映点の人たちもいるから。きっと、イバルの力にもなるときが来るはずだよ。 |
イバル | ……ふんっ。そういうことなら受け取っておいてやる。話はこれで全部か ? だったら俺は帰るぞ。お前の根性も叩き直せたからな。 |
ジュード | イバル……。 |
イバル | 礼などいらん。これも、全て仕事の為だ。なんたって俺はプロフェッショナルのエージェントだからな ! |
ジュード | えっと……イバル、僕たちの宿は逆の方向だよ。 |
イバル | そ、そんなことはわかっている !少し遠回りをして帰ろうとしただけだ ! |
ジュード | ははっ、イバルに説教されるなんて思わなかったな。 |
ジュード | だけど……ありがとう、イバル。 |
レイア | …………。 |
ローエン | レイアさん、ジュードさんにバレないうちに宿に戻ったほうが良いのでは ? |
レイア | ひぃああ ! ? って、なんだ、ローエンか……。ビックリさせないでよ。 |
ローエン | これはこれは、失礼いたしました。ですが、どうやらレイアさんの心配も解決したようですね。 |
レイア | うん……だけど、まさかイバルがジュードを励ますなんてね。 |
ローエン | 意外と、私たちが知らない未来の彼はジュードさんのことを認めているのかもしれません。 |
レイア | だったら、素直にそう言えばいいのに。 |
ローエン | そう簡単にはいかないのが、ライバルというものです。いやはや、これも一つの青春の形ですね。 |
レイア | なにそれ、わたしにはよくわかんないかも。 |
レイア | だけど……わたしはジュードの様子がおかしいことに気付いてたのに、何もしてあげられなかった……。 |
ローエン | レイアさん。私は、決してそうは思いません。現に、あなたはジュードさんのことを気に掛けて悩んでいたではありませんか。 |
ローエン | そんなレイアさんの優しさに、ジュードさんは何度も助けられたはずです。 |
レイア | そうかな ? |
ローエン | ええ、私が保証いたします。 |
レイア | うん、そうだといいな。ありがとう、ローエン。 |
ローエン | いえいえ。では、今日見たことは我々だけの秘密にしておきましょう。 |
キャラクター | 6話【挑戦6 アグリアの目的】 |
エリーゼ | わぁぁ、今日は昨日よりも人がいっぱいですね。 |
アルヴィン | エリーゼ、あんまり俺たちから離れるなよ。迷子を迎えに行くのはごめんだからな。 |
エリーゼ | 迷子になんてなりません ! |
ティポ | エリーゼを子供扱いするなー ! |
アルヴィン | へいへい。しかし、本当に人が多いな。 |
ローエン | どうやら、昨日のガイアスさんたちの試合が話題になっているようですね。 |
レイア | じゃあ、ここの人たちのほとんどがガイアスとミュゼを見に来たってこと ? |
アルヴィン | そうだとしたら、ジュードたちは完全に当て馬だな。こりゃあ、相当やりにくくなるぜ。 |
レイア | じゃあ、その分わたしたちも負けないように応援しないと……って、あれ ? |
ローエン | 今のは、アグリアさんでしょうか ? |
レイア | うん。だけど、闘技場とは全然違う方向に歩いて行っちゃったよね ? なんでだろう ? |
アルヴィン | そんなの、本人に聞かなきゃわかんねえよ。と言っても、聞きに行ったところで昨日みたいに追い払われるのが関の山だろうけどな。 |
レイア | うーん……。だけど、やっぱり気になる。わたし、ちょっと追いかけてくる !みんなは先に行ってて ! |
アルヴィン | ……ったく、あいつも懲りないねぇ。 |
エリーゼ | だけど、そこがレイアのいいところですよ。 |
ローエン | では、私たちは先に闘技場に入っておきましょう。この様子だと、場所取りも大変そうですからね。 |
レイア | あれー ? アグリア、たしかこの辺りに入っていったはずなんだけど……。 |
レイア | もしかして、わたしが追いかけてるのに気づいてこんな森の中に入って撒こうとしたのかな……。 |
? ? ? | ……情報通りだ。あの男は闘技場の試合に参加している。 |
レイア | 今の声……アグリアじゃないよね ?男の人の声だったし、誰かいるの ? |
? ? ? | 了解。では、第二、第三部隊と合流後に作戦を開始する。 |
レイア | (えっ…… ! ? あれって、帝国軍の兵士 ! ?でも、どうして……) |
アグリア | はっ ! ようやく尻尾を出しやがったな。 |
兵士A | だっ、誰だ ! ? |
レイア | (アグリア ! ?) |
アグリア | 名乗るつもりはねぇ。陛下の命を狙うカス共なんかにはな。 |
兵士B | まさか、我々の計画を知っているのか ! ? |
アグリア | ……やっぱりな。陛下がリーゼ・マクシア大陸の治安に関わるようになったら、必ずてめえらみたいなカスが出てくると思って警戒してたんだよ。 |
兵士A | ならば、貴様はあのガイアスの部下というわけか。 |
アグリア | だったら、どうだってんだぁ ? |
兵士A | 丁度いい。貴様を捕獲し人質として使う。当初の予定とは異なるが、むしろ好都合だ。 |
アグリア | アハハハハ ! ! あたしを人質だって ?いいぜ、やれるもんならやってみな ! ! |
レイア | アグリア ! ! |
アグリア | なっ ! てめえ ! なんでこんなところにいやがる ! |
兵士A | もう一人、仲間がいたか。だが、まあいい。こちらは小隊規模の兵士がいるんだ。数でこちらが負けることはない、かかれ ! |
兵士たち | ――うおおおおおおっっ ! ! |
レイア | 説明はあと ! この人たちを倒さなきゃいけないんでしょ ! ?だったら、わたしも手を貸すから ! ! |
アグリア | クソッ ! てめえの手なんかいらねぇよ !陛下を狙おうとしたこいつらはあたしがまとめて燃やしてやる ! ! |
キャラクター | 7話【挑戦8 対立】 |
レイア | はああああああっ ! ! |
兵士B | ぐはっ ! |
レイア | ……よし。これで、全員倒せたよね ?アグリア、大丈夫だった ? |
アグリア | はぁ ? 当たり前のこと聞いてくんじゃねえ、ブス ! |
レイア | ちょ ! ? 人が心配しているのになんでそんな言い方するかな ! ? |
アグリア | だいたい、なんでてめえがここにいんだよ !そんなにあたしの邪魔がしたかったのか ! ? |
レイア | 邪魔なんてしてないでしょ ! ?わたしはただ……アグリアのことが気になって……。 |
アグリア | はっ ! それでわざわざ付けてきたって訳か。だったら、もういいだろ。あんたは、あのボーヤのところにでも戻りな。 |
レイア | 待って。アグリアはどうするの ? |
アグリア | 決まってんだろ。陛下を狙った奴らは全員始末する。 |
兵士A | ……ぐっ。 |
アグリア | ちっ。まだ息があんのか。……まあいい、すぐ楽にしてやるよッ ! |
レイア | アグリア ! ? 駄目 ! |
アグリア | てめっ ! ? 邪魔すんじゃねえ !そこをどけっ ! ! |
レイア | どかない ! だって、もう勝負はついてるんだよ ! ? |
アグリア | お前には関係ねぇだろ ! ! |
レイア | 関係あるよ ! ! わたしは……。わたしはアグリアにそんなことしてほしくないっ ! |
アグリア | ! ! |
アグリア | いい加減にしろよ…… !そんなにあたしの邪魔したいってんならてめえごと丸焼きに―― |
兵士B | ……覚悟ッ ! |
アグリア | 何っ ! ? |
レイア | アグリア ! ! あぶないっ ! ! |
レイア | きゃああああっ ! ! |
アグリア | ! ? |
兵士B | ……仲間を庇ったか。だが、一矢報いることはできたようだ。 |
レイア | ……ううっ ! |
アグリア | おい、ブス ! なに余計なことしてくれてんだっ ! |
レイア | アグ……リア……。良かった……怪我……しなかった…… ? |
アグリア | お前…… ! |
兵士C | これは……第一小隊がやられているじゃないか ! ?おいっ、一体何があった ! ? |
アグリア | こいつら…… ! ! くそっ、潜んでた兵が集まってきやがったのか…… ! ! |
兵士B | た、助かった……。こいつらはガイアスの関係者だ。奇襲を受けてしまったが、一人は重傷。そのまま、あいつらを捕らえてくれ ! |
兵士C | 了解 ! おい、お前 !大人しく我々に降伏しろ ! ! |
アグリア | ……ふざけやがって。そんなに死にたきゃ、あたしが全員燃やしてやるよ ! |
レイア | ……アグ、リア……待って。 |
アグリア | おいっ ! ? 動くんじゃねえ ! 死にてぇのか ! ! |
レイア | こんな傷……全然平気…… !わたし……身体だけは丈夫だから…… ! ! |
レイア | だから……わたしも戦う ! !わたしは……アグリアを助けたいから ! ! |
アグリア | な、なんだ、この光…… ! ? |
レイア | もしかして、わたしの浄玻璃鏡が…… ! |
兵士C | ひ、怯むな ! 魔鏡を持っているようだがどうせ、ただの小細工だ !総員、かかれ ! ! |
レイア | この力があれば…… ! アグリア ! ! |
アグリア | ……くそっ ! そのままくたばっても知らねぇからな ! |
キャラクター | 8話【挑戦9 少女の奮闘】 |
兵士C | そんな……馬鹿な……。たった二人に、我々が負けるとは……。 |
レイア | ……はぁはぁ。やった……わたしたちの勝利……だね……。 |
アグリア | ……いや、まだだ。 |
レイア | アグリア ! |
レイア | あれ…… ? 力が入らない…… ! |
アグリア | てめえら、覚悟はできてんだろうな ? |
兵士C | ……敵に情けをかけられるつもりはない。我々は、誇り高き帝国軍の兵士だ。 |
アグリア | そうかよ。だったら……。 |
レイア | やめてっ ! アグリア ! |
アグリア | ――今度、陛下の命を狙うようなことしやがったらてめえら全員丸焼きだ ! わかったか ! |
兵士C | トドメを……刺さないのか ? |
アグリア | ……てめえらみたいなカスの命なんて興味ねえよ。それに、今はうるせぇ奴もいるからな。 |
レイア | アグリア……。 |
アグリア | おい、ブス。お前、薬とか持ってねえのか ? |
レイア | ……えっ ? えっと、少しだけなら持ってるけど。 |
アグリア | だったら、それ全部出せ。 |
レイア | アグリア、どこか怪我したの ? |
アグリア | いいから、とっとと出せ。 |
レイア | わ、わかったよ……。 |
アグリア | ……これだけありゃあ十分か。おい、動くなよ。 |
レイア | えっ ? ちょ、アグリア ! 痛い痛い痛い痛い ! |
アグリア | 動くなっつってんだろ。それ以上騒ぐなら、傷口燃やして止血すんぞ。 |
レイア | なにそれ、怖っ ! ? |
アグリア | ほら、ひとまずこんなもんでいいだろ。とっとと行くぞ。 |
レイア | う、うん……でも、ごめん。しばらく動けそうにないかも。 |
アグリア | ……ちっ、仕方ねぇな。 |
レイア | えっ ? うわっ ! |
アグリア | いいか、街に戻るまでに少しでも暴れたらそのまま落として放っていくからな。 |
レイア | ……わたしのこと、運んでくれるの ? |
アグリア | てめえに何かあったら、あたしが陛下から怒られるかもしんねぇだろ。 |
レイア | あはは、アグリアでもやっぱりガイアスに怒られるのは怖いんだ。 |
レイア | ……ねえ、アグリア。さっき、わたしのせいで怒ってたよね ? |
アグリア | ああん ? なんの話だよ ? |
レイア | わたしが、アグリアを助けようとして怪我したとき。あのときね……ちょっと嬉しかったんだ。アグリアが、わたしの為に怒ってくれてるんだなって。 |
アグリア | はぁ ? なに気持ち悪りぃ妄想してんだ、ブス !マジで落とすぞ。 |
レイア | や、止めてよ ! 本当に今は冗談にならないから ! |
アグリア | だったら、黙っとけ !あー、ったく。今日はマジで最悪な日だ。 |
ジュード | ――無事、僕たちも決勝戦まで来れたね。 |
イバル | 当然だ ! この俺がいて敗北などありえん ! |
ガイアス | やはり、最後の相手はお前たちか。 |
ミュゼ | お疲れ様、さすがジュードね。 |
イバル | ふっ ! ようやく決着をつける時が来たな !言っておくが、こちらは手加減をするつもりはないぞ ! |
ガイアス | 俺は初めからそのつもりだ。 |
イバル | ぐっ……さすがはガイアスだな。この俺の発言にビビらないとは…… ! |
ミュゼ | ふふっ。じゃあ、私たちも遠慮なくあなたたちを倒すことができるわね。 |
ジュード | 負けないよ、僕たちは。 |
ミュゼ | ジュード、あなた……。 |
ガイアス | ……ふっ、いい目だ、ジュード。昨日までとは違うようだな。 |
ジュード | うん、僕も、ガイアスたちと戦う覚悟を決めたから。 |
ガイアス | ……そうか。 |
ガイアス | いいだろう。俺も全力をもって応えよう。 |
キャラクター | 9話【挑戦10 いよいよ決勝戦】 |
コロセウム実況者 | お待たせしましたッ ! !激闘を繰り広げた本大会もいよいよ決勝戦ッ ! !ここまで勝ち上がった両チームの入場だッ ! ! |
観客たち | ――ワアアアアアアッッ ! ! ! ! |
エリーゼ | レイア、まだ帰って来ないですね……。 |
ティポ | もう試合が始まっちゃうよー。 |
ローエン | 何度か魔鏡通信に連絡は入れているのですが気付いておられないようですね。 |
アルヴィン | 大方、アグリアと揉めてんだろ。あいつら、喧嘩すると長いからな。心配しなくても、待ってりゃ戻ってくるさ。 |
アルヴィン | それより、やっぱ観客はガイアスたちに肩入れしてんな。ジュードの奴、大丈夫か ? |
ローエン | ジュードさんなら、もう心配には及びませんよ。 |
イバル | いいか、ジュード。作戦通りにいくぞ。 |
ジュード | ……うん、わかった。 |
ガイアス | ミュゼ、ここからはお前の力も必要になるかもしれん。 |
ミュゼ | ええ、それがあなたの望みなら。 |
コロセウム実況者 | さぁ、会場のボルテージも最高潮ッ ! !両チームの選手たちも、既に準備万端といったところかッ ! ! |
コロセウム実況者 | ならば、思う存分戦ってくれッ !――試合開始ッッ ! ! |
イバル | 先手必勝 ! ! 覚悟しろ、ガイアス ! ! |
ガイアス | いい動きだ……だが ! ! |
ガイアス | その程度では、俺の首は取れんぞ。 |
イバル | チッ ! ジュード ! ! |
ジュード | ――はああああああっっ ! ! |
ミュゼ | 甘いわ ! ! |
ジュード | くっ ! |
ミュゼ | 私のこと忘れちゃダメよ、ジュード。 |
ガイアス | ミュゼ、援護は任せたぞ。 |
ミュゼ | ええ、存分にやらせてもらうわ。 |
イバル | くそっ ! 一気に攻めてガイアスを先に倒すという俺の作戦が…… ! |
ジュード | イバル、一旦下がって ! |
イバル | お前に言われなくても、わかっている ! ! |
アルヴィン | さっきのイバルの動き、悪くはなかったんだがな。 |
ローエン | ええ。ですが、ガイアスさん相手では不意打ちも通用しないでしょう。 |
ローエン | 当然、ジュードさんもそれを見越して動いていましたがミュゼさんも彼らの動きを読んでいたようです。 |
アルヴィン | 即席のコンビネーションだけじゃあまだガイアスたちのほうが優勢って訳か。 |
エリーゼ | そんな……。 |
ティポ | ジュードたち、もしかしてピンチー ? |
ローエン | いえ、そうとは限りません。よく見てください、あのジュードさんの目を……。 |
ローエン | 彼の目には、まだ諦めの色はありません。それどころか、戦いの中で勝つための糸口を探し続けています。勿論、イバルさんも同様でしょう。 |
アルヴィン | あいつら、諦めの悪さだけは似てるからな。 |
アルヴィン | こういう時こそお前の本領発揮だぜ。さぁ、どうする、優等生 ? |
ガイアス | どうした、お前たちの力はそんなものか ? |
イバル | ……はぁ、はぁ。息一つ乱れてない、だと……。 |
ジュード | …………。 |
イバル | おい、どうしたジュード !何をぼーっと突っ立っている ! |
ジュード | ……うん、ガイアスたちに勝つには、これしかない。 |
イバル | 何っ ! ? 今なんと言った ! ? |
ジュード | ガイアスたちに勝つ方法だよ。僕たちが勝つには、これしかない。だから、イバルにも協力してほしいんだ。 |
イバル | ぐぬぬ…… ! お前の言う通りにするのはしゃくだが話だけなら聞いてやろう。一体、どんな方法だ ? |
ジュード | イバル……ここからは、一緒に戦うのは止めよう。 |
イバル | な、なんだとっ ! ?まさか、お前 ! この俺の力が信用できないのか ! ? |
ジュード | ……違うよ。信用しているからこそ一緒には戦わないんだ。 |
イバル | な、何を言っているんだ…… ? |
ジュード | だから、イバルにも僕のことを信用してほしい。僕の背中は……イバルに預ける ! |
イバル | お、おい、待て ! ジュード ! |
ジュード | ガイアス ! ! |
ガイアス | 正面からぶつかってくるか……ジュード ! |
ガイアス | ……迷いがない拳だ。 |
ジュード | まだまだ ! はあああああっっ ! ! |
イバル | なんだ……ジュードの奴……。あいつ、本当に一人でガイアスに挑むつもりか ! ? |
ミュゼ | ちょっと、ジュード。私のこと、忘れてるんじゃない ? |
イバル | ! ? おい、ジュード ! ミュゼの攻撃が来るぞ ! |
ミュゼ | 水霊の弾丸――ブルースフィア ! |
イバル | ジュード ! ! ……くそっ ! ! |
ミュゼ | あら、あなたがジュードを庇うとは思わなかったわ。 |
イバル | 俺だって好きで庇ったわけではないっ !おい、何やってるんだジュード !あのままだったら、お前がやられていたんだぞ ! ? |
ジュード | そこだっ ! ! |
ガイアス | させん ! ! |
イバル | 聞こえて……いないのか ? |
ミュゼ | ジュード……私を無視するなんて酷いじゃない。 |
イバル | ……そうか ! !あいつめ……大胆な作戦を立てやがって ! ! |
ミュゼ | だったら、無理やりにでも振り向かせてあげる ! |
イバル | させるかっ ! |
ミュゼ | ちょっと、邪魔しないで。 |
イバル | いや、お前の相手はこの俺だ ! くらえっ ! |
ミュゼ | ……小賢しいわね ! |
ガイアス | ……成程、そういうことか。ミュゼ ! 戻ってこい ! |
ジュード | ! ? |
ガイアス | ミュゼの姿を見て距離を取ったか。ジュード、やはりお前の望みは一対一の戦いか。 |
ジュード | そうだよ。ガイアスたちの連携が僕たちより上なら一緒に戦わせないようにすればいい。 |
ミュゼ | ちょっと待って。だったらジュードあなた、一人でガイアスに勝つつもり ? |
ジュード | 無謀かもしれない。だけど、少しでも可能性があるのなら僕はそれに賭けてみたいんだ。 |
ガイアス | ……いいだろう、お前の覚悟は受け取った。ならば、こちらもそれに見合う力を示そう。……ミュゼ ! ! |
ミュゼ | 本気なのね、ガイアス。わかったわ、私の力……受け取って ! |
イバル | な、なんだ…… ! あいつらの姿が変わったぞ ! ? |
ガイアス | ミュゼ、ここからはジュードたちの望み通りお前はイバルの相手をしろ。 |
ガイアス | ……ジュード、油断すれば一瞬でケリがつくぞ。 |
ジュード | ありがとう、ガイアス。でも、僕たちだって負けない ! ! |
イバル | おい、ジュード ! お前ばかりにいい恰好はさせん !今回は俺が主役だということを忘れるなよ ! ! |
ガイアス | この光……浄玻璃鏡か。面白い。さあ、お前たちの力を見せてみろ ! |
キャラクター | 9話【挑戦10 いよいよ決勝戦】 |
イバル | はっはっはっ ! ! どうだっ ! !これが俺の真の実力だ ! ! |
ミュゼ | もうっ、本当にしつこいわね !こうなったら…… ! |
イバル | 消えた…… ! ? いや、上か ! ? |
ミュゼ | うふふ、どう ? これだけ離れていれば攻撃することは出来ないでしょう ? |
ミュゼ | ここから、私の全力の術を叩き込んであげる !あなたもこれで終わりよ ! |
イバル | 俺を……舐めるな ! ! |
ミュゼ | 嘘…… ! ? こんな高さまで…… ! ? |
イバル | 安全圏だと思って油断したな ! ! |
ミュゼ | これじゃあ…… ! ! |
イバル | もう遅い ! !トドメだぁぁぁぁ ! ! |
ミュゼ | そん……な ! ! |
コロセウム実況者 | おーっと ! イバル選手 !渾身の突撃でミュゼ選手をリングアウトにしたぞッ ! ! |
イバル | ははははははっ ! どうだ ! !これで俺のことを忘れたとは言わせん ! |
コロセウム実況者 | だが、これは同時にイバル選手もリングアウトとなる大胆な捨て身の戦法だッ ! |
ミュゼ | あなた……まさか自分を犠牲にしてまで私を……。 |
イバル | 犠牲だと ? そんなものになった覚えはない。俺はただ、今の自分の役目を果たしたに過ぎん。そして、あいつは俺に『勝つ』と言ったんだ。 |
イバル | さあ、ジュード ! ! こっちは終わったぞ ! !お前も早く決着をつけろ ! ! |
ガイアス | ……ミュゼを相打ちにしたか。どうやら、勝負は俺たちに託されたようだな。 |
ジュード | …………はぁはぁ。 |
ガイアス | ジュード、よくここまで戦い抜いた。だが、お前はもう限界のはずだ。 |
ジュード | ……それは、ガイアスも一緒でしょ ? |
ガイアス | ……ふっ、気づいていたか。良かろう。ならば、次の一撃で最後としよう。 |
ガイアス | いくぞ、ジュード ! ! |
ジュード | 僕は……負けない ! ! |
二人 | うおおおおおおおおおおおおおっっっっ ! ! ! ! |
ガイアス | ……くっ ! |
ジュード | ……っ ! |
コロセウム実況者 | 両者ダウンッ ! ! これは互いに相当なダメージが入っていることは間違いなしだッ ! ! |
エリーゼ | ジュード…… ! |
ティポ | これって、一体どうなるのー ! ? |
ローエン | ルールは10カウント方式を採用していますがこのままどちらも起き上がらなければ……。 |
アルヴィン | 勝負は引き分けになっちまう。ガイアスとミュゼを相手にそこまでやったんならそれでも上出来なくらいだ。だが……。 |
ローエン | ええ、ジュードさんはそれで納得しないでしょう。勿論、ガイアスさんも。 |
エリーゼ | ジュード ! 起きてください ! ! |
ティポ | 早く起きてー ! ジュードー ! |
ジュード | (……早く……早く立たないといけないのにもう身体のどこにも……力が入らない……) |
ジュード | (……やっぱり、駄目だったんだ。僕の力じゃ……ガイアスには、勝てなかっ……) |
? ? ? | 立て ! ! ジュード ! ! |
ジュード | ……今の声は。 |
ジュード | ……ミラ ! ! |
ミラ=マクスウェル | 立つんだ、ジュード ! !君は、最後まで諦めない人間のはずだ ! ! |
ジュード | ……う、ううううっっ ! ! |
コロセウム実況者 | おっと ! ! ここでジュード選手が立ち上がった ! !そして、アースト選手は未だ目を覚ます様子はない ! !ということは―― ! ! |
ジュード | ……はぁ、はぁ ! |
ミラ=マクスウェル | よくやった、ジュード。君の勝ちだ。 |
コロセウム実況者 | 優勝は、イバル & ジュードチームだーーーー ! ! |
レイア | ――そっか。じゃあ、ミラはギリギリのところでジュードの試合に間に合ったんだね。 |
ミラ=マクスウェル | ああ、レイアが送ってくれた魔鏡通信文に気付いて急いで駆けつけたんだが、遅くなってしまった。 |
レイア | でも、最後は観れたんだから良かったじゃん。あーあ、わたしも観たかったなぁ……。 |
ジュード | レイアはそれどころじゃなかったでしょ。……怪我は、本当に大丈夫なの ? |
レイア | もう、ジュードってば心配しすぎ。これくらい全然平気だって。 |
レイア | ただ……アグリアにはちゃんとお礼を言いたかったな。わたしが知らないうちに街の診療所からもいなくなってたし……。 |
ガイアス | そうか、ならばアグリアには、俺から伝えておこう。 |
ジュード | ガイアス。それにイバルもお疲れ様。貿易条約は上手く進みそうだった ? |
ガイアス | ああ、丁度リーゼ・マクシア側の商人たちの意見もまとまったところだ。あとは、彼らに任せても問題はないだろう。 |
レイア | でも、意外だったよね。イバルの依頼主の人ってガイアス側の商人さんたちと仲が悪かったんでしょ ?それなのに、協力して貿易条約を進めようなんて……。 |
イバル | まったくだ。せっかく俺たちが勝ったというのに。 |
ガイアス | 俺が聞いた話だと、お前たちの依頼主から直々にこちらへ相談がきたそうだ。ジュード、お前の影響を受けてな。 |
ジュード | え ? えっと……僕、何もしてないはずだけど……。 |
ガイアス | いや、お前の戦う姿を見て、若い者もまだまだ捨てたものではないと思ったそうだ。 |
レイア | あっ、そっか。たしかイバルの依頼主の人ってガイアスたちの依頼主が若いから駄目だって言ってたんだっけ ? |
ガイアス | そうだ。だが、その考えを改めるきっかけを与えたのがジュード、お前だ。 |
ジュード | そんな……。僕はただ……あのときはガイアスに勝ちたくて必死だっただけだよ。 |
ミラ=マクスウェル | いや、君の姿は人の心を動かす力があるんだ。当然、私もその中の一人だ。 |
ジュード | ミラ……。 |
イバル | ぐぬぬ…… ! 先ほどからお前ばかり…… !ずるいぞ、ジュード ! |
ミラ=マクスウェル | おっと、まだ言っていなかったな。イバル、お前の活躍も大したものだったぞ。 |
イバル | ミラ様…… ! ! ふ、ふふふふ ! !どうだ、ジュード ! ! 俺もミラ様から直々にお褒めの言葉を頂いたぞ ! これでおあいこだ ! |
ジュード | う、うん……そうだね。 |
ジュード | だけど、僕がそんな人間になれたのはミラやレイア……みんなと出会えたからだと思う。そして、ガイアスとも……。 |
ジュード | だから、本気で戦ってくれて嬉しかった。……ありがとう、ガイアス。 |
ガイアス | ああ。俺もお前に恥じぬ人間であり続けよう。 |
ガイアス | ジュード。お前はまだまだ強くなる。これから先が、実に楽しみだ。 |