キャラクター1話【記念日1 意外な訪問者】
イクスあれ、マーク ?
マークよ、久しぶりだな。イクス、ミリーナ。それからパイセンズ。
二人パイセンズとはなんですか !
マークははは、小言も二倍か。
ミリーナケリュケイオンは来てないわよね ?まさか地上のゲートからアジトへ来たの ?
マークまあ、今日は色々と事情があってな。俺一人だけで来たかったんだわ。
マーク悪いが、これから俺が話すことをフィルには言わないでもらえるか ?適当な口実つけてこっちに来てるんでな。
カーリャ・Nフィリップ様に内緒だなんて珍しいですね。何かあったのですか ?
マークいや、そんな風にかしこまられると困るんだが……。そんな大した話じゃない。まあ、ちょっとばかりパーティーでもできればと思ってな。
四人……え ?
カーリャパーティーって、あのパーティーですか ?みんなでわいわいパーッと盛り上がるあのパーティー ?
マークそれ以外にどんなパーティーがあるんだよ。
カーリャ・Nマーク……大丈夫ですか ?頭でも打ったのではありませんか ?それか拾い食いでもしたのでは ?
マーク俺はパイセンとは違って拾い食いなんてしないけどな。
二人ひ、拾い食いなんてしませんよ ! ?
マークそこもハモるのかよ……。
ミリーナでも、本当にどうしたの ?突然パーティーだなんて。フィルの誕生日はまだだし……。
イクスあ、そうか ! マークの誕生日か !
マーク俺が誕生日を祝って欲しいタイプに見えるならお前もとんだ風船頭だな、イクス。
イクス(風船頭って……どういう意味だ…… ?)
マーク実はもうすぐ【鏡士の日】なんだけどよ。
二人
イクス鏡士の日……なんて、あったっけ ?
マーク――あ……っと、そうか。イクスは知らないよな。
マーク鏡士の日は、魔鏡戦争中に戦意高揚のために作られた記念日なんだよ。ビクエや鏡士たちに感謝をすることで自分たちの戦いの意義を確認する、だったっけな。
カーリャほー…… ?ミリーナさま、ご存知でした ?
ミリーナええ。私というより、ゲフィオンの記憶だけれど。
マークまあ、別に理由は何でもいいんだけどな。要は、ぱーっと盛り上がることでもやってフィルの奴を元気づけてやりたいんだよ。
イクスフィルさん、元気がないのか ?
マークああ。最近、何かと考え込むことが増えてな。いや、まあ、今に始まったことじゃないんだがそれにしても、妙に深刻そうなのが気になるんだよ。
マークけど、あいつが考え込むと碌なことがないからな。おかしなことを言い出す前に気分転換させたいんだ。
マークあいつは俺の言うことなんか馬耳東風だから何か口実をつけて、強制的にパーティーでもやれば考えごとをしてる場合じゃなくなるだろうと思ってよ。
カーリャ・N確かにあの方も、少し意固地なところがありますね。
カーリャフィルさま、思い悩むタイプですもんね~。
ミリーナええ。一度何かを考え始めるとずっとそのことで頭がいっぱいになってしまったり……。
イクス……何だか自分のことを言われているような気分になるな。
マークまあ……イクスとフィルはちょっと似てるところがあるよな。
マークあ、いや、反応するなよ。喜ばれても悲しまれても微妙な気持ちになる。
イクスだったら言うなよ !
ミリーナねえ、イクス。私たち、フィルにはとてもお世話になってるし協力してあげましょうよ。
イクスあ、うん。それはもちろんだよ。俺も……色々あったけど、やっぱり感謝してるし。
マークイクス、ミリーナ……。悪いな、二人とも。
マークパイセンズもOKだろ ?
カーリャはあ ! ? こっちには随分適当ですね、マーク !
カーリャ・Nその図々しい態度、少しは改めなさい !
マークははは、悪かった悪かった。
イクスまあまあ、カーリャもネヴァンも。
イクスそうだ。アジトのみんなにも声をかけたらどうかな ?
カーリャそれはいいですね !カーリャもなんだかワクワクしてきましたよ~ !
ミリーナでもどうしてわざわざ私たちに話を持ってきたの ?救世軍でもパーティーぐらい……――あ。
ミリーナご、ごめんなさい。そうよね、大丈夫よ !こっちにはロゼやルーティやアニスがいるし最近はイエガーさんもすごくて ! ねえ、イクス !
イクスあ、うん ! うちは割と安定してるから !ルドガーさんやファラやナナリーの節約術もすごいよ。
イクスあと俺もエレノアたちと漁に出るしリッドやスレイたちは狩りもしてるしクレアの家庭菜園のおかげで新鮮な野菜も――
マークあー……悪かった。うちが万年金欠なせいで妙な気を使わせちまったな。さすがにパーティーするぐらいの金はあるんだ。
マークけど考えてみろよ、うちのメンツを。
アリスパーティー ?ああ、フィリップもそろそろ定年ってこと ?だったらアリスちゃんが救世軍をもらってあげる ♪
シンクくだらないね。アンタの頭の中はスポンジケーキでも詰まってるの ?耳から生クリーム突っ込んで食べてみたら ?
バルバトスパーティーか、いいだろう。喜べ ! まず貴様から血祭りにしてやるわ !
四人…………………………。
カーリャ・Nまあ……。
カーリャ何というか……。
イクスほ、ほら個人主義だし……。
ミリーナいつもお疲れ様、マーク……。
マークははは……。巻き込んですまないな。
カーリャ・Nいいえ、マーク。鏡士の日というのならイクス様や小さいミリーナ様の日でもありますよ。むしろ、共に祝える機会をくれたことに感謝します。
マークお、さすがパイセン。話がわかるね。
イクス俺たちの日でもある、か。まあ、記念日ができた経緯はちょっとアレだけどせっかくだからいいパーティーにしたいな。
マークよし、話は決まったな。それと、さっきも言ったがくれぐれもフィルには内密にな。
ミリーナサプライズね ! 任せて !
マークああ。それじゃあ頼んだぜ。

キャラクター2話【記念日2 鏡精の心配】
マークよう、定例会議の時間だが、今大丈夫か ?
カーリャ題して『フィル元気出して ! 鏡士の日お祝い作戦』の定例会議ですね。
マーク誰だ、その微妙なタイトルをつけた奴は……。
ミリーナえ……微妙だったかしら…… ?
マーク――あ、いや、ミリーナか。
マークああ……いや、まあわかりやすくていいんじゃないか。
イクス絶対俺だと思ってただろ、マーク。
マークまさか ! 真面目なイクスなら『フィルさんを元気づける会実行委員会』みたいな感じだろ。
イクスえ ! ? すごいな、マーク。俺はその名前を提案したんだけど硬すぎるって却下されて……。
カーリャ・Nそれより、そろそろ本題に入りましょう。フィリップ様にこの通信がバレては元も子もありません。
イクスあ……そ、そうだな。とりあえず、みんなで相談して当日のメニューを決めてみたんだ。
イクス料理はルドガーさんが中心に、エレノアとかクレアとかファラとか、料理上手なメンバーが集まって作ってくれることになったよ。
ミリーナそれから、ソフィやエル、すず、ディオ、メルがメインで色々な飾り付けを作ってくれるんですって !どんな飾りにするか張り切って相談していたわ。
カーリャ当日の出し物を考えてくださる皆さんもいますよ !まあ、パスカルさまが中心になってたのでちょこーっとだけ不安もあるんですけど……。
マークお、いいんじゃないか。少しぐらいハプニングがあった方が盛り上がるだろうし。
カーリャ・N少しで済むように私たち運営側がしっかりしなくてはなりませんね。
マーク……やっぱりイクスたちに任せて正解だったな。
マークうちにだって友好的な奴も料理が得意な奴もいるが元々が反体制組織だからな。組織としての根っこはやっぱり『軍』みたいなもんだ。
マークお前らみたいに、和気藹々というかあっけらかんというか……ゆるい空気にはなりづらいところがあるんだよな。良くも悪くも。
カーリャ・N……そうでしょうね。それはわかるような気がします。
マークま、救世軍そのものがデカくなりすぎてみんな実務に手一杯ってのもあるか。なかなか余裕が作れなくてなあ……。
マークま、かくいう俺も書類仕事を山積みにしちまってるんだよ。情けねえ……。
イクスた、大変そうだな……。俺も何か手伝えればいいんだけど。
マークはは……いやいや、今回の件だけで大助かりだわ。これ以上、借りを作ったら返せねえよ。
マークこれでも、一人で救世軍を切り盛りしてた頃に比べりゃ、何倍もマシになったんだ。何より、フィルが目の届くところにいるのが助かる。
フィリップマーク ? そこにいるかい ?
マークおっと……噂をすればフィルだ。悪い、また連絡する。
イクスああ。こっちも引き続き準備をしておくよ。じゃあな。
フィリップあれ ? 魔鏡通信で誰かと話してた ?
マークああ、ちょっとパイセンとな。で、どうした ? 俺に用なんだろ。
フィリップああ。昨日僕が読んでいた本を知らないかな ?ほら、魔鏡での戦い方をまとめた少し分厚い……。
マーク相変わらずボケ老人だな、お前は。何で自分で読んだ本の行方がわからなくなってるんだよ。
フィリップ知らないよ。本の方がどこかに行っちゃうんだ。
マークんなわけあるか。
マークん ? 何だよ。ソファーの横に落ちてたぞ。何でこんなところに本があるんだっての。――ほら。
フィリップああっ ! そうだ ! 昨日テーブルの上が資料でいっぱいで本の置き場がなくてソファーの横の床に置いたんだ。
フィリップありがとう、マーク !
マークまあ、そんなのはいいんだけどよ。最近、また無理をしてるんじゃないか ?
マーク昨日だって調べ物に夢中になって薬を飲むのを忘れてただろ。
フィリップう……それはごめんってば。それじゃあ、ちょっと僕用事があるから……。
マークん ? ああ。今日の分も飲み忘れるなよ。忘れて痛い目見るのは自分なんだからな !
フィリップはーい。マークってお母さんみたいだよね。
マークお前がガキなだけだっつーの !
マーク……どうもおかしいな。心ここにあらずというかまた何か妙なことを考えてる顔だぞ、アレは。
マークおかしなことをしでかさなきゃいいんだが。

キャラクター3話【記念日3 マスターの心配】
ソフィイクス、見て。わっかにリボンを結んだの。
エルこれをいっぱいつなげたら、かわいいかざりになるの !ねえ、どうかな ?
ミリーナ可愛いわ ! すごく可愛い !何もかもみんな最高よ !
イクスははは、ミリーナは相変わらずだな。でも俺も、すごくいいと思うよ。カラフルで華やかになりそうだ。
エルえへへー !これ、すずが考えてくれたんだよ。
すずいえ、私は案を出しただけで……。いろんな色を入れたらいいと思うと言ってくれたのはライフィセットさんです。
ライフィセットそれは、みんなを見てて思ったんだ。みんなバラバラの世界から来て、いろんな雰囲気が混ざり合ってるから。それが表現出来るかなって。
ミリーナ天才ね。天才の仕事よ !尊いわ……。
イクスああ、みんな色々考えてくれてるんだな。フィルさんもきっと喜ぶと思うよ。
ソフィ本当 ? よかった。
エルそれじゃあ、もっともっとハデにしないとね !
ライフィセットうん ! あ、ねえ、みんなの世界に咲いてる花とか作ってみるのはどうかな ?
すずいいかもしれませんね。それぞれの世界に特徴的な花があるのかどうか皆さんに聞いてみましょう。
ソフィうん。じゃあ、まずはクレスたちから。
ミリーナふふふ♪飾りも可愛いけど、ソフィたちも可愛い♪
イクスミリーナは本当にミリーナだよな……。
ミリーナあら、これでも色々我慢しているのよ。
イクス……うん。最近俺が一番可愛いって言わなくなったもんな。
ミリーナ寂しい ?
イクスそ、そんなことはないよ !ただ……なんか、申し訳ないっていうか……。
ミリーナイクスは自分の気持ちを正直に言っただけなんだからそんな風に思わないで。それでいいのよ。イクスは今まで通りにしていてね。
イクスミリーナ……。
ミリーナ私はただの幼なじみとしてもイクスのことは大好きなの。
ミリーナただ、イクスが困るようなことはしない。そう決めただけ。
イクスお、俺だって、ミリーナのことはその……ちゃんと大事だよ。幼なじみとしても友達としてもさ。
ミリーナええ。ありがとう、イクス。
ミリーナ……あら ?もう一人の幼なじみからの魔鏡通信よ。
フィリップイクス、ミリーナ。今、少し話をしてもいいかな ?もし迷惑だったら、また改めるけど……。
イクスはい、もちろんです。どうかしましたか ?
フィリップうん……ちょっと確かめたいことがあるんだ。その、マークのことで。
ミリーナマークの ? マークがどうかしたの ?
フィリップええっと……。ここのところ、君たちとよく通信しているみたいだけど何かトラブルでも起きてるのかな ?
イクスあ、ああ……。えっと……。
フィリップやっぱり何かあるんだね ?もし良ければ僕に教えてくれないか ?
フィリップマークはネヴァンたちと楽しく話しているだけだなんて言うけど……。いや、マークとネヴァンが仲良しなのはよく知ってるけど……。
フィリップでも、もし本当にそれだけなら僕の前でも普通に魔鏡通信で話すと思うんだ。
ミリーナフィル……。そうね。これ以上隠してもしょうがないみたいだから話すけれど――
イクスミリーナ ! ?
ミリーナ実はマークから救世軍の資金繰りのことで相談を受けていたの。
フィリップえ ! ? またうちの資金繰りがまずいのかい ! ?
ミリーナ今すぐに焦げ付くとか、そんなことはないみたいね。
ミリーナでも救世軍をより良い組織にするために組織を離れた後の保障や、怪我をしたときの保障を色々手厚くしていきたいみたい。
フィリップそうか……。今目の前の戦いだけじゃなくてその先のこともマークは見据えてるのか……。
イクスあ、ああ、流石ですよ、マークは。
イクス帝国との戦いが終わった後どうしていくかは俺たちも考えておかなくちゃいけないしいい機会だから色々と打ち合わせをしていて……。
フィリップそうだったのか……。僕なんて大人なのに目の前のことでいっぱいいっぱいだったよ。恥ずかしいな……。
イクスい、いや……でも目の前のことをきちんと見てくれる人がいるからその先のことにまで考えを向けられるんだと思います。
フィリップうん……。
フィリップやっぱりマークには、僕が憧れる要素が受け継がれてるんだろうな……。僕とは大違いだ……。僕ももっとしっかりしないと……。
フィリップそうだ !二人とも、今度の予算会議には僕も呼んでくれないか ?ちゃんと現実を見ておきたいんだ。
イクスえ……あ……、そ、それは……。
ミリーナそれは私たちの一存では決められないわ。マークからは、フィルに秘密にするように念を押されているの。
ミリーナかといって、フィルがマークを問い詰めれば私たちが話を漏らしたことがバレてしまって私たちが信頼を失ってしまうわ。
フィリップあ、そうか……。そうだね。ごめん。僕としたことが、そこまで気が回らなくて。
ミリーナいいえ、いいのよ。だから折を見て、私たちからフィルにも声を掛けるようマークを説得するわ。それでいいかしら ?
フィリップああ。もちろんだよ。
イクス(さ、さすがミリーナ……。なんかゲフィオンの記憶を受け継いでから凄みが増したような…… ?)
フィリップ二人には迷惑ばっかりかけているね。本当にごめん。頼りないかも知れないけど僕にできることは何でも言ってくれ。
フィリップ僕は本気で二人の役に立ちたいんだ。
イクスありがとうございます。けど、今だって十分力をお借りしてますよ。頼りにしています。
フィリップう……うん……。そうだといいんだけど……。
フィリップでも、僕、もっと頑張るから !
フィリップ……それじゃあ申し訳ないけどマークの説得、よろしくお願いします。
ミリーナフィル……。何だかいつも以上に後ろ向きに前向きだったような……。
カーリャええ。まるでご主人様に捨てられそうで必死になっている老犬みたいでしたね……。
カーリャ・Nそ、その言い方は……。
カーリャ・Nまあ、でも、そうですね。不安そうではありました。
イクス二人とも、立ち聞きしてたのか ! ?
カーリャ・Nす、すみません !おやつの時間なのでお二人を呼びに来たのですが深刻そうな内容だったので……。
カーリャ興味津々で立ち聞きしちゃいました……。
ミリーナもう、二人とも、仕方がないんだから。
イクス……けど、マークが心配して気晴らしさせようって考えるのもわかるような気がしたよ。
カーリャ・Nですが、あれはパーティーで元気になるようなものとは思えません。
カーリャ・Nフィリップ様が意識を改革しなければ根本的には変わらないことではないかと。
ミリーナそうね。でもマークもそんなことはわかっていてそれでも元気づけたいんでしょうね。
イクスだとしたら俺たちもできる限りのことをしてあげたいな。
カーリャ・N………………。
ミリーナネヴァン ? どうしたの ?
カーリャ・Nいえ……。少し、昔を思い出していました。フィリップ様はその『昔』を『思い出』にしなければいけないのでしょうね。

キャラクター4話【記念日4 偵察任務】
マークお、今日のブリッジ当番はガロウズか。
セシリィボスだけじゃないですよー。私もいます !
マークおっ、セシリィもか。こいつは頼もしいな。
ガロウズこいつがケリュケイオンの調整を手伝わせろってうるさくてな。
マークいいじゃねぇか。戦力になってくれるならありがたい。
セシリィさっすがマークさん。ボスと違って話がわかるう !
ガロウズまったく……。で、どうしたマーク。見回りか ?
マークいや、地上部隊のルックから帝国軍が妙な動きをしてるって聞いたんでな。ちょっと探りを入れてくる。
マーク悪いがアルタミラの近くで降ろしてくれるか ?
フィリップ――ええっ ! ?
マークおわっ ! ? フィル ! ?お前、ブリッジにいたのか ! ?
セシリィビクエ様ならさっきからずっと通信席で船を漕いでましたよ。
マークはあ ! ? お前、寝るなら自分のベッドで寝ろっていつも言ってるだろうが !
フィリップマーク、地上に行くのなら、僕も連れて行ってくれ !
マーク人の話を聞いてるのかよ……。まったく。
マーク単なる偵察だ。地上部隊のルックたちと一緒に行くから別にフィルまで来なくてもそこまで遠くに行く予定はないぜ。
フィリップけど、何が起きるかわからないだろう。帝国軍の動きは僕も知りたいし。
マーク何言ってんだ。戻ってきたらお前に報告するんだからそれでわかるだろ。
フィリップ自分の目や耳で直接確認したいんだよ。
マーク気持ちはわからないでもないがお前、最近根を詰めて調べ物をしてるみたいだし倒れられても困るから、今回は――
フィリップ駄目だよマーク。そうやって僕を甘やかさないでくれ。そもそも救世軍は僕とフリーセルが作った組織だよ。
フィリップ自分が束ねる組織のことを、君に任せきりにするのは良くないと思うんだ。最近は発作もあまり起きてないし……。頼むよ。
マークいや、だからって指揮官が前線に出なくてもいいだろ。
フィリップけど、マークの行動範囲を広げるためにはマークを切り離すか、僕がもっと身軽になるしかない。
フィリップそれに、今よりもっと動けるようになってイクスやミリーナやマークや……みんなを助けられるようになりたいんだ !
マーク………………。
フィリップこの辺りが、帝国兵が目撃されたっていう森か。
ルックはい。この辺には特に街や村がある訳でもないですし帝国軍がうろつく理由が見当たらないんです。
ルック何度か接触もしてるんですが、その度に奴ら蜘蛛の子を散らすように逃げていって……。
マーク……どういうことだ。
ルックそれにしても、マークさんと一緒にビクエ様までいらっしゃるとは思いませんでした。
フィリップいつも迷惑を掛けてばかりだからたまにはみんなの役に立ちたいんだ。ルックたちには前に辛い思いをさせてしまったし……。
ルックあ、いや、そんな……。頭を上げて下さいよ、ビクエ様 !
マーク……しっ。静かに。近くに帝国兵がいる。
フィリップ
マークルック、足は大丈夫か ?
ルックはい。崖だって登れますよ。
マークよし、後ろに控えてる連中を連れてこの先の様子を見てきてくれ。
マークここに来るまでに、もう五人は帝国兵を見てる。奴らがどの規模で展開してどれくらいの範囲にいるのかを知りたい。
ルック了解です。
マーク本当にただの森だぞ……。何だってこんなに帝国兵がいるんだ ?奴ら、ここで何をするつもりなんだ。
フィリップ……妙だね。
マーク何が ?
フィリップ帝国軍の目的だよ。あちこちで反乱が起こっているっていうのにこんなところに兵力を割く余裕があるのかな。
マークまあ、そいつを確かめるための――
フィリップマーク ? 今何かが…… !
魔物グオオオオオオッ !
フィリップ魔物か !
マークチッ !帝国兵に気を取られすぎたか。フィル、下がれ !
帝国兵! ? そこにいるのは誰だ ! ?
マーククソッ、気づかれたか…… !フィル、逃げるぞ !ルックの話が本当なら、奴ら、深追いはしないはずだ。
フィリップでもルックたちは――
マーク撤退信号を出した。ポイントαで合流する。俺がここでしばらく足止めをするからお前は先に行け !
フィリップでも……。
帝国兵あれは救世軍の!――応援を呼べ! 奴らを逃がすな !
マーク何 ? こっちとやり合おうってのか ?
フィリップマーク ! 危険だ !やっぱり僕もここに残る !一緒に戦おう !
マーク馬鹿、俺は平気だ !これはいつもの作戦だし、大したことじゃない。それよりお前は――
フィリップいつもの作戦 ! ?いつもこんな危なっかしいことをしているのかい ! ?だったら尚更放っておけないよ !
マークくそ、逃がす間もなくなったか。仕方ねえ。いいか、足引っ張るなよ !俺の指示には従え。いいな !

キャラクター5話【記念日5 フィリップの思い】
マーク――おいおい、まだ来るのか。
フィリップはあ……一気に……片付けよう !
マークお、おい、フィル ! 無理すんな !
フィリップ聖なる螺旋を描け…… !ホーリースパイラル !
フィリップはぁ……はぁ……。ほら、僕も……戦える、だろ……。
マークフィル、お前……。
帝国兵2油断したな ! 覚悟…… !
フィリップッ ! ?
マークフィルッ !
フィリップうわああっ !
マークフィル――――ッ ! !
フィリップん…… ?
イクスフィルさん !
ミリーナフィル、気づいたのね…… !
フィリップえ…… ? ここ、は…… ?
ミリーナ浮遊島よ。ルックさんたちから救援要請をもらったの。
ミリーナ私たちがついたときにはマークが帝国兵を倒したところで……。
フィリップ……そ……うか、僕は森で帝国兵に……。
フィリップ――マークはっ ! ?マークは無事なんだよね ! ?
イクスはい。今は外にいます。
フィリップ……そう、か。
フィリップ僕は、だいぶ危うかったのかな。
ミリーナ怪我自体は大したことがなかったわ。でも、ジュードさんの話では体力が落ちていたせいで体へのショックが大きかったんだろうって。
フィリップ当然だよね。わかっていたつもりだったのにまたみんなに迷惑を掛けてしまったみたいだ。ごめん……。
イクス迷惑とは思っていませんけどちょっと気になっていることはあります。
フィリップえ ?
イクスマークから、詳しい話は聞きました。偵察任務についていったうえ、帝国兵たちに囲まれてマークの指示を無視して戦おうとした、って。
イクスでも……フィルさんは、今までそんな風に戦うことがあまりなかったから、どうしたのかなって思って。
フィリップ僕は生まれつきのアニマ欠乏症の影響で戦時中も後方任務ばかりだった。でも僕はビクエだ。
フィリップ魔鏡術に関してはこの世界でトップクラスの力を持っていると自負している。僕が戦いに出られるようになれば、少しは――
フィリップいや、そうじゃない。本当はいても立ってもいられなかったんだ。マークやイクスたちは前線で戦っているのに僕だけが後ろでじっとしているなんて。
カーリャ・N適材適所という言葉があります。
カーリャ・Nそれに鏡精はマスターを守るためにいるのです。マークはフィリップ様が前線に出てくることを納得していないと思いますよ。
フィリップ……そうだね。でも僕もイクスとコーキスみたいに一緒に戦えればって思ったんだ。一緒に情報を集めて、一緒に戦って、一緒に……。
イクスわ、わあ ! ? な、泣かないで下さい、フィルさん !
フィリップう……ご、ごめん。歳を取ると涙もろくなって……。
カーリャまだそんな歳じゃないですよね ! ?
フィリップいや、もうそういう歳だよ……。でも、ごめん。
ミリーナねぇ、本当にそれだけ ?私の中のゲフィオンの記憶を手繰ると、フィルが無茶をするときは、大抵イクスが絡んでいるんだけど……。
イクスえ ! ? あ、いや、最初のイクスさんか。
フィリップう……。こっちのミリーナもお見通しか……。
カーリャ・Nえ ! ?最初のイクス様のことで何かあったんですか ?
フィリップ最初の……じゃなくて目の前にいるイクスの影響というか……。
イクスお、俺ですか ? 俺、何かしましたか ?
フィリップ……以前、イクスに言われただろう ?責任をとるためにも生きなければならない、って。
イクスだったら、必ず責任を取ってください。そのためにも、あなたは生きなくちゃいけない。
イクスあ……はい……。
フィリップそのことは、しっかりと心に刻んでいる。だから薬の改良にも取り組んで少しでも寿命を延ばせるようにやってきた。
ミリーナ寿命…… ? どういうこと ?
フィリップえ ? イクスから聞いていないのかい ?
イクスわあああああ ! ?え ! ? 何でそんなカジュアルにバラすんですか ! ?
フィリップええ ! ? もしかして何も話していないのか ! ?
イクス話しませんよ ! 話すわけないでしょう !あ、コーキスには……ちょっと話しましたけど。
ミリーナな、何の話なの ? まさか……。
フィリップ……あ、ああ。うん。何だか変な形になっちゃったけど実は……僕に残された時間は、そう長くはないんだ。
フィリップもちろん、今日明日にもどうにかなる……なんてことはないよ。まあ、でも……十年持てばいい方だろうね。
三人! ?
ミリーナ……そんな……そこまで病状が重かったなんて……。
フィリップごめん。でも同情して欲しいとかじゃないんだ。単純な事実として、僕の時間は限られている。
フィリップだからこそ、僕が動けるうちに少しでも何かを返さなければと思っていたんだ。
ミリーナで、でも……だからといって、前線に出て戦うのはフィルには向いていないと思うわ。戦いには、後方で大局を見る指揮官も必要なのよ ?
ミリーナフィルにはフィルのやり方がある。焦らずにそれを見つけたほうがいいんじゃないかしら……。
フィリップ……そう、なのかもしれないね。
イクス…………。
フィリップ……すまない、世話になったね。体調はもう落ち着いたし……そろそろ帰るよ。
イクスあ……はい。
フィリップ今回のことは、ちゃんと考えてみるよ。もう無茶はしないようにする……出来る限りね。
カーリャフィルさま……そんな大変な状況だったんですね。
ミリーナええ……。だからあんなに必死になっていたのね……。心配だわ。
イクスマークも付いているし大丈夫……だと思いたいけど……。
カーリャ・N…………。
マーク……だから焦ってたのかよ。普段のお前なら気付くことも見落として。戦いだって、あそこまで下手じゃなかっただろ。
マーク何で突然そんなになっちまったんだ ?命の期限なんて今に始まったことじゃないだろ。
フィリップ……ごめん。マーク。大丈夫だよ。……大丈夫だから。
マークそうかよ。
フィリップうん……。
マークじゃあ……帰るぞ。
フィリップ……うん。

キャラクター6話【記念日6 マスターと鏡精】
イクスごめんな、ミリーナ。フィルさんのこと、黙ってて。
イクス口止めされたわけじゃないんだけどそれでも簡単に話していいことじゃないと思って。
ミリーナでも、コーキスには話したのよね ?
イクスご、ごめん ! 前にコーキスに聞かれたことがあって。あの頃はコーキスが隠し事ばっかりだって心配していた頃だったから……。
ミリーナフフ、冗談よ。いいの、イクスの判断は正しいわ。でも……何とかならないのかしら。
イクスフィルさんの病気のことや飲んでる薬のこともう少し聞いてみようか。
イクスそれを元に、アトワイトさんとかハロルドさんとかみんなに相談してみたら、何とかできるかも知れない。
ミリーナそうね。何もしないよりマシよね。
カーリャイクスさま、ミリーナさまぁ !マークから魔鏡通信が入ってますよ~ !
ミリーナマークから ?
イクスなんだろう…… ?さっきケリュケイオンに戻ったばかりなのに。
マーク悪いな、さっき邪魔したばっかりなのに。フィルのいるところでは話せなかったんでな。
ミリーナそれは構わないけれど……。どうしたの ?
カーリャなんか、思い詰めてるように見えますよ ?大丈夫ですか ?
マークそんなことねぇよ、ちっこいパイセン。ありがとな。
マークイクス、ミリーナ。例のパーティーの件なんだが中止にしてもらえないか。せっかく準備を進めてたところ悪いんだが……。
イクスもしかして、まだフィルさんの体調が良くないのか ?だったらもう一度――
マークいや……あいつの体調は問題ねえよ。
マークフィルには、しばらくケリュケイオンの自室から外に出ないで、頭を冷やしてもらうことにした。本人もそれで納得してる。
マーク仮にも救世軍をまとめる立場の人間がてめぇの命の期限のことぐらいでまともな判断ができなくなるんじゃ困るんだ。
イクスぐらいなんて言い方はないだろ !
マークフィルが責任のある立場じゃなけりゃ俺だってこんなことは言わねぇよ。
マークかかった費用はあとで領収書を送ってくれ。そこはちゃんとケジメつける。色々巻き込んですまなかった。
カーリャちょっと、マーク !
カーリャ……切れちゃいました。
イクスなんか、マークの奴も変じゃなかったか ?上手く言えないけど、いつものマークじゃないというか……敵対していた頃のマークっぽいというか。
ミリーナファントムと一緒に行動していた頃のことね。ええ……確かに。何だか余裕がない感じだわ。
カーリャ……マークも不安なのかも知れません。
イクスえ ?
カーリャフィルさまが亡くなればマークも消えてしまいます。マークを生かすためにはフィルさまはマークを切り離さなければいけない。
カーリャでも……鏡精はマスターから切り離されるのが嫌です。別に捨てられるわけじゃないと思ってもやっぱり繋がっていたいから……。
ミリーナカーリャ……。
イクスそうか……。そういう話、きっと二人はしてる筈だよな。特にフィルさんが怪我したばかりだし。
イクスそれでお互いにぎこちなくなっちゃってるのかな ?
イクスいや、そんな俺とコーキスみたいな理由な訳ないか。あの二人の方が大人だし……。
ミリーナそうかしら。二人とも案外子供よ。でも、そうね。深い絆があるからこそかえってこじれてしまうことはあるわよね。
カーリャフィルさまはマークを守りたいしマークはフィルさまを守りたい。
カーリャマークはフィルさまと離れたくないしフィルさまはマークに生き続けて欲しい……ってことなんじゃないでしょうか。
イクス――なあ、やっぱりパーティーをやらないか ?
カーリャえっ ! ? 中止だって言われたのにですか ?
イクスだって、パーティーの目的は『鏡士の日』を祝うことだろ。今のフィルさんとマークにはぴったりの記念日だと思うんだ。
イクス俺は鏡士の道を選んだから、コーキスに出会えた。ミリーナとカーリャだってそうだろ ?もちろんフィルさんとマークも。
イクスこじれた絆はほどけばいいんだよ。こじれきって取り返しがつかなくなる前に。
イクスお互いがどう生きていきたいのかこれを機にちゃんと話し合って、『鏡士の日』を二人の新しい記念日にできたらいいんじゃないかな。
ミリーナイクス…… !そうね。私もそれがいいと思うわ。
カーリャイクスさまのくせに格好いいですー !
イクスくせには余計だぞ !まあ、俺もコーキスと離れてる今偉そうなことは言えないんだけどさ。
ミリーナそんなことないわよ。コーキスはコーキスで今、一生懸命、自分がどう生きていきたいのかを考えているんだと思う。
ミリーナあなたもそう思うわよね、ネヴァン。
二人! !
カーリャ・N……気づいていたんですね、小さいミリーナ様。
ミリーナふふ。あなたにとってマークは大切な後輩でしょう ?ゲフィオンの記憶の中ではいつも二人は一緒にいたもの。
ミリーナだからマークのことが気になってあの通信を隠れて聞いていたのよね。
カーリャ・Nフィリップ様の体の話を聞いて思ったんです。マークは私を見るのが辛いのでは、と。私はゲフィオン様から切り離された鏡精ですから。
カーリャそれで姿を隠していたんですね。
カーリャ・Nええ。でも皆さんのお話を聞いていて私も覚悟が決まりました。
イクス覚悟 ? どういうことだ ?
カーリャ・Nフィリップ様とは、一度きちんと話をしなければと思っていたんです。
カーリャ・N戦争中はそれどころではありませんでしたが今ならフィリップ様も耳を傾けてくれると思います。
ミリーナフィルに何か言いたいことがあるのね。
カーリャ・Nはい。私をケリュケイオンに派遣して下さい。パーティーのことも、私が二人を説得します。
イクスわかった。頼むよネヴァン。その間に、俺たちはパーティーの準備を進めておくから !
カーリャ・Nはい !

キャラクター7話【記念日7 ネヴァンの思い】
フィリップやあ、いらっしゃい。ネヴァン。
カーリャ・Nお邪魔します。
フィリップはは……僕が部屋に押し込められていることはマークから聞いた ?
カーリャ・N……はい。
フィリップそうか……まあ、自業自得だよね。気をつけろって言われていたのに怪我はするわ、足は引っ張るわで。
フィリップマークが怒るのも当然だ。
カーリャ・N……本当にマークが怒っていると思われますか ?
フィリップえ ?
カーリャ・Nもし本気でそう思っているならあなたは大馬鹿者です。
フィリップネヴァン――いや『カーリャ』……。それは一体どういう意味だい ?
カーリャ・Nマークはあなたの病気を治すために生み出されたそうですね。
フィリップ知っていたのか ! ?
カーリャ・Nずっと昔にマークから聞きました。あなたは先天性アニマ欠乏症の治療薬を飲みたくないと拒絶した。
カーリャ・N代わりに提案されたのが、自己心片療法――自分自身の心を削って保管し、発作の際に注入及び服用する。心を削りすぎないためには鏡精のサポートが必要です。
フィリップそうか……。マークとカーリャの間には本当に隠し事がないんだな。そのこと、イクスたちも知っているのかい ?
カーリャ・Nいえ、特に誰にも話してはいません。プライベートなことですし、話せば何故フィリップ様が治療薬を拒絶したのかも話すことになります。
カーリャ・Nでも、ゲフィオン様の記憶を受け継いだミリーナ様は治療薬の正体をご存じかも知れませんね。
フィリップそうだね……。あれはキラル分子を作る際に殺した鏡精の遺体から作るもの。僕には耐えられなかった。
カーリャ・N私はあなたが薬を拒絶して、自己心片療法を選んで下さったことを尊敬しています。
カーリャ・N心を削るのは苦しい作業ですし、心片から得られる薬も鏡精の遺体から得られる薬より効果が低い。それでもあなたは鏡精を大切にしてくれた。
カーリャ・Nマークもとても嬉しそうでした。自慢のマスターだと。フィリップ様を守るために生まれたことを誇りに思っているようでした。
フィリップマークがそんなことを……。
カーリャ・Nマークはいつだってあなたのことが一番なんです。鏡精はみんなそうです。みんなマスターが一番大切なんです。
カーリャ・Nましてマークは、自分こそがあなたの命を守る存在だと信じている。
カーリャ・Nマークは怒っているのではありません。悲しんでいるんです。マークが守ろうとしているものをあなたが守ろうとしてくれないから。
フィリップそれは――それは……。
カーリャ・Nあなたは、自分が死ぬことを前提として行動しているように感じられます。それは、きっとマークにも伝わっている筈。それがどれだけ残酷なことか……。
フィリップそれでも……身体の限界は変えられない。だからまだ動けるうちに償いをしたい。
フィリップカーリャは僕の罪の重さをよく知っている筈だよね。僕がイクスの具現化を提案したとき真っ先に、しかも強硬に反対したのは君だった。
フィリップ僕たちがやるべきなのは過去を甦らせることではない。未来を創ることだって。それが戦争に荷担した僕たちの償いだって。
カーリャ・N私も前線で戦いました。フィリップ様の気持ちも少しはわかるつもりです。
カーリャ・Nでも、お願いですからマークを見てあげて下さい。あなたが自分を罰して、償いに命を捧げるときマークも傷つくんです。
カーリャ・N守りたいと思う存在が、死に急ぐ姿を見なければいけないのですから。
フィリップそれは……君自身のことでもあるんだね、カーリャ。
カーリャ・N…………はい。
カーリャ・N何かを償うために何かを犠牲にするのは過去にあなたやゲフィオン様がしてきたことと何も変わりません。
フィリップ僕がやろうとしていることはマークを犠牲にしている ?
カーリャ・Nマークもフィリップ様ご自身も、です。
フィリップまいったな……。どうすればみんなの役に立てるのかどうしたら自分の罪をあがなえるのかそればかり考えていたのに、結局何も変わらない、か。
カーリャ・Nあなた一人が罪人ではありません。私もマークもゲフィオン様も……みんなが少しずつ今の状況を作り出してしまった。
カーリャ・N一人で苦しまないで下さい。マークのためにも。それに、フィリップ様を許したイクス様や小さいミリーナ様のためにも。
フィリップけど……。
カーリャ・Nいえ、フィリップ様の言い訳は結構です。
フィリップひ、ひどいな……。
カーリャ・N言いたいことは言わせてもらいました。後はフィリップ様とマークがお互いに心の内をさらけ出せばいいことです。
カーリャ・Nそれと、もう一つ。
フィリップま、まだ怒られるのかい…… ?
カーリャ・Nパーティーのお誘いです。明日『鏡士の日』を記念したパーティーが浮遊島でひらかれます。
フィリップえ ! ? 鏡士の日 ! ?なんだってそんな懐かしい記念日を……。
カーリャ・Nフィリップ様を元気づけたいと、マークが頼みに来たんです。小さいミリーナ様もイクス様も、喜んで協力してくれました。
フィリップそう、なんだ……。マーク……そんなことまで……。
カーリャ・N絶対に参加して下さい。マークと二人で。あなたにはそうする責任があります。
フィリップカーリャは僕に厳しいよね……。
カーリャ・Nマークは私の後輩ですしあなたはゲフィオン……ミリーナ様の後輩です。
カーリャ・N後輩の面倒を見るのが先輩というものですからね。
救世軍お話の最中にすみません !大変です、ビクエ様 !
フィリップど、どうしたんだ ?
救世軍つい先程、偵察に出たマーク様との連絡が途絶えてしまったんです !
二人! ?

キャラクター8話【記念日8 共闘】
フィリップ偵察に出たってのはどういうことだ ?僕はこの部屋に閉じ込められていたから状況がわからない。詳しく話してくれ。
救世軍は、はい。マーク様はビクエ様をこちらに送り届けた後帝国軍の動きで思い出したことがある、と仰って地上に戻って行かれました。
救世軍十五分ごとに定期連絡をいただくことになっていたのですが、三度目の連絡を最後に連絡が途絶えてしまったんです。
カーリャ・Nマークは一人だったのですか ?
救世軍はい。事態をクラトス様とローエン様に報告したところお二人は、まずビクエ様に報告せよと仰って。
フィリップ……ということは、僕に指揮を執れということだね。わかった。ブリッジに行こう。ここには魔鏡通信機もないしね。
カーリャ・N私もお供します。
クラトスフィリップか。状況はわかっているな。
フィリップええ、もちろん。マーク一人で偵察に出たということは――
マーク馬鹿、俺は平気だ!これはいつもの作戦だし、大したことじゃない。それよりお前は――
フィリップいつもの作戦 ! ?いつもこんな危なっかしいことをしているのかい ! ?だったら尚更放っておけないよ !
フィリップ(そうか、そうだった。『あれ』はいつものやり方だ。馬鹿だな、僕は。あの時は本当に焦っていたんだ)
フィリップ(けどマーク。やっぱりきみも馬鹿だよ)
フィリップ――マーク一人で偵察に出たということはかなり危険な任務だったんですね。
ローエンそのようですね。こちらの世界では、危険なときほど鏡精に単独行動させるのがセオリーと聞いています。
カーリャ・Nはい。鏡精はマスターが生きている限り死にません。危機に際しては、わざと自害しマスターの心に戻れば瞬時に得られた情報をマスターに届けられます。
クラトスどの世界も戦いにおいては合理性を追求するのだな。
カーリャ・Nご心配なく。鏡精はそういう生き物です。人間が感傷を持つのはわかりますが鏡精が最も恐れるのはマスターの死ですから。
フィリップ…………………。
フィリップマークは偵察の目的をお二人にも明かしていかなかったんですね。
クラトスああ。我々がマークの地上再降下に気付いたのはマークからの最初の通信をもらってからだった。
ローエン普段、報連相のしっかりしているマークさんらしからぬ行動です。何か心当たりがあるのでは ?
フィリップ……はい。さっきもネヴァンに怒られていたところです。それにマークの行動の理由も想像がついています。
クラトスそうか。では、私がゼロスと共にマークを助けに行くがそれで構わないか ?
フィリップいえ、僕に行かせて下さい。クラトスさんとゼロスさんには僕とネヴァンを運んで欲しいんです。
ローエンマークさんが無断で単独行動を取ったということは敵の目的はフィリップさんだと思われますがそれでも行くと仰いますか ?
フィリップええ、承知しています。それでも今回は僕に任せて下さい。
ローエン……どうやら本当にしっかりお灸を据えられたようですね。わかりました。サポートはお任せください。
カーリャ・Nフィリップ様、本当に護衛は私だけでいいのですか ?
フィリップああ。必要な手は打っておいた。念のためにクラトスさんたちには上空で待機してもらっているしローエンさんに全体を把握してもらっている。
フィリップ恐らく今回の敵の目的はこうだ。まず、編成上必要のない地点――それも救世軍の勢力圏に帝国軍が兵を集めてくる。
フィリップ当然、僕ら救世軍は偵察に出てくる。帝国軍は救世軍の偵察をわざと誘導して何か大がかりな作戦があることを印象づける。
フィリップその報告はケリュケイオンの僕にも上がってくる。僕が動けばしめたもの。そうでなくてもケリュケイオンの乗員を捕らえられればまずは目的達成。
カーリャ・N狙いはケリュケイオンそのものですか。フィリップ様ではなくて。
フィリップ両方、だと思うんだ。空を飛べる乗り物は帝国だって欲しいはず。それに、自分で言うのも何だけど僕はグラスティンに気に入られているからね。
フィリップマークが独断で動いているのも、敵の狙いが僕にあることに気付いたんじゃないかな。
フィリップ今朝しつこく帝国兵が僕とマークを襲ってきたのは思っていたより早く狙いの獲物が飛び込んできたからだと思う。
カーリャ・Nなるほど。だからあえて今回はフィリップ様の護衛を私一人に絞ったんですね。
帝国兵――何者だ。この辺りは我が帝国軍が……お、お前はビクエか ! ?
二人! ?
帝国兵A――中々口を割らないな。ケリュケイオンの次の停泊地はどこだ !
マーク殴ろうが蹴ろうが、お前らに話すことなんかないぜ。
帝国兵Aこいつ !
帝国兵Bやめろ !下手にこいつを殺してみろ。ビクエのところに逃げられちまう。
マーク(ちっ。こいつら、俺がフィルの鏡精だって知ってやがるのか。どうする。何とか武器を奪って死んじまうか……)
帝国兵Cおい ! ビクエを捕まえたぞ !
帝国兵A・Bとマーク何 ! ?
マークフィルにパイセン ! ?
カーリャ・Nいいざまですね、マーク。捕まって手錠を掛けられているなんて。
マークそっちこそな ! ?つーか、なんでフィルまで来てるんだ ! ?部屋から出るなって、あれほど言っただろうが !
フィリップマークだって、僕には無茶をするなとか色々言ってたくせに、クラトスさんたちにも報告しないで偵察に出てるじゃないか。
マークだからそれは――
フィリップ敵の狙いが僕だと気付いたんだろう ? それで僕を巻き込まないように敢えて一人で偵察に出た。
フィリップマーク一人なら、何かあったときに死亡転送で僕の心に戻ってこられる。そのことを知っている僕はマークのためにも安全地帯で待たなくちゃいけない。
フィリップけどね、その作戦、大失敗だから。
マークそりゃそうだろ。お前がここに来ちまったんだから !
? ? ?輝く御名の下、地を這う穢れし魂に裁きの光を雨と降らせん。安息に眠れ、罪深き者よ。ジャッジメント !
帝国兵Aな、何だ ! ?
イクス――裂燕迅 !
帝国兵Aうわっ ! ?
マークイクス ! ?
フィリップ手筈通りだね、イクス。
イクスクラトスさんの合図がありましたから。今、手錠を外します !
帝国兵Bくそ、いつの間に接近されたんだ。見張りは何をしていた。
ミリーナ伏せていた兵は全て捕まえたわよ。
クラトスポイントβ、制圧した。
アリスポイントγ、もちろん一捻りよ♪
エルレインこちらはポイントδ。制圧は完了しました。バルバトスはまだ暴れていますが折を見て連れ戻しましょう。
ローエン――という手筈でございます。フィリップさん。
マークは…… ?
フィリップお見事です、ローエンさん。
帝国兵Cまさか、こちらの兵が全滅したのか…… ?
カーリャ・Nあとはあなた方だけ。さあ、覚悟なさい。
フィリップイクス、ミリーナ、ネヴァン……それにマーク。マークを助ける為に、力を貸してくれるね。
三人はい ! !

キャラクター9話【記念日9 マーク救出】
ローエンお疲れ様でございました。事後処理はデクスさんの班で行ってもらいます。
アイゼンケリュケイオンは浮遊島に回す。そっちで合流だ。
ローエンもうすぐ日が暮れますので気を付けてお帰りください。
マークで、何がどうなってるのか説明してくれるか ?
フィリップああ。帝国軍はケリュケイオンの拿捕及びビクエ捕獲のための罠を張っていたと、僕は推測した。
マーク根拠は ?
フィリップこの辺りは救世軍の勢力圏であること。帝国の求めるような街も設備も資源もない田舎であること。
フィリップにもかかわらず投入された兵の数が異常であること。以上のことから、今回の件は何らかの陽動である。
マークああ。
フィリップまた、帝国軍は何度も救世軍と遭遇しているのに逃げ回るばかりだった。なのに今朝の偵察では執拗に僕とマークだけを狙ってきた。
マークそこまでわかってて、なんでノコノコ出てきたんだ ! ?
フィリップマークを助けに来たんだよ。
マーク俺は、最悪死んでもお前のところに戻れるだろうが。
フィリップいいや、それはどうかな。マークは忘れてるみたいだね。リーパが目を覚ましたってことを。
マーク! ?
イクスあ、そうか。リーパ……ファントムとフィルさんはマークを共有しているんだっけ。
フィリップああ、リーパは最初の過去からの具現化でテストケースだったからね。ちょっと特殊な状態なんだ。
フィリップだから、もしもマークが心に戻っているときにリーパが鏡精を作ろうとしたらマークは今のマークじゃなくなるよ。
マークあ、あいつが今更鏡精を作ろうとするとは……。
マーク………………いや、そうだな。フィルの言う通りだ。すまなかった、フィル。確かに、俺の考えが足りなかった。
マークイクスたちも、フィルに頼まれて来たんだろう ?悪かったな。
イクスあ、いや、俺たちは別にいいんだけど……。
フィリップいや、イクス、本当に申し訳なかったよ。今回の件では、何から何まで迷惑を掛けた。
フィリップそれから、マークにも。僕が悪かった。申し訳ありませんでした。
マークフィル ? どうしたんだ、お前……。
フィリップ正直に言うよ。僕は焦っていた。イクスやマークやミリーナが前線で戦う中、一人ケリュケイオンに残ることが多かったこと。
フィリップそれにマークの行動を、僕という存在のせいで制限してしまっていること。
フィリップそれでも僕なりにできることをして世界に償いたいと思っていたのに……リーパが目を覚ました。
フィリップリーパは僕とは違って健康だ。どこにだって行ける。マークの足かせにはならない。僕よりずっとみんなの力になれる……。
マークお前……そんなこと気にしてたのか。それで急に新しい薬を開発するだの、戦い方のセオリーを学ぶだの、訳わからないことを……。
フィリップまあでも、生兵法は怪我の元だね。自分の体力や戦況を見誤って、みんなに迷惑を掛けてしまった。
フィリップ僕は昔から自分を見て欲しいって思うタイプだったから死ぬ前に何か実感が欲しい、と思ってしまったのかもしれないね。
フィリップ生きている間に罪滅ぼしができたぞっていう……。
ミリーナフィルは十分頑張ってくれているわ。これまでだって、私たちの知らないことを教えてくれて……。
フィリップもうそんなこともできなくなるよ。ミリーナにはゲフィオンの記憶がある。ゲフィオンの知識と僕の知識はほとんど変わらない。
フィリップ魔鏡術だって、潜在能力ではイクスの方が上だ。
イクスフィルさん、それは――
フィリップいや、聞いていて欲しい。僕は自分を卑下したいわけじゃない。
フィリップ確かに潜在能力はイクスの方が上だ。リーパの方が健康で、ミリーナとは知識に差がない。
フィリップそれでも僕はこの世界で最高の鏡士だ。僕にできることはまだ残っている。全てが終わった時に責任をとれる立場なのは、もう僕しかいない。
カーリャ・Nそれは帝国との戦いを終えた後、ということですね。
フィリップああ。誰かが後始末をしなくちゃいけない。それはイクスたちでは無理だ。
フィリップここに至る前の事情を知る、責任ある立場の大人が事後処理をしなくちゃいけない。
イクスだったら、必ず責任を取ってください。そのためにも、あなたは生きなくちゃいけない。
フィリップイクス…… ?
イクス俺はフィルさんと一緒に、生きて世界を守りたい。
フィリップ! !
イクス確かにこの世界は嘘だらけかもしれないけどでもそこに真実がない訳じゃない。
イクス嘘も真実も現も幻も、俺は全てを守りたい…… !その為には、あなたが必要なんです。
フィリップ僕は生きて世界を守るということはイクスと肩を並べて戦うことだと……漠然とそう思っていた。
フィリップいや、何なら、イクスを守るために命を捨てる覚悟すらあったよ。けど、それじゃあ駄目なんだよね。今回のことで痛感した。
フィリップ僕は生きるよ。例え人より期限が短くてもこの戦いの後、混乱するであろう世界を守り責任を取る。それが僕の戦い方なんだ。
カーリャ・N今度こそ、未来を創ってくれるんですね。
フィリップああ、未来のための礎になるよ。その為に残りの人生を捧げる。できるだけ長く、ね。
マーク……っ。
フィリップあれ、マーク。泣いてるのかい ?
マーク誰が泣くか、馬鹿野郎。
フィリップマーク、ありがとう。いつだってマークは僕を助けてくれた。
フィリップ今回だって、僕が狙われてることに気付いて閉じ込めたんだろう ? まあ、頭を冷やせって意味でもあることはわかってるけど。
マーク……フン。随分物わかりがいいじゃねぇか。
フィリップねえ、マーク。これからも僕に付き合ってくれるかい ?僕がこの世の果ての……その向こうに行くときも。
マーク! !
フィリップ僕はもうそのつもりだからもし嫌になったときは、力を使えるうちに言ってくれないと間に合わないよ。
マーク……ああ。愛想が尽きたときは早めに報告するよ。
カーリャミリーナさま、私もずっと……ずーっとミリーナさまと一緒がいいです !
ミリーナカーリャったら……。ええ、わかったわ。あなたがそう望むなら、約束するわね。
イクスネヴァン、どんな魔法を使ったんだ ?フィルさんにあんなことを言わせるなんて。
カーリャ・N私は何も……。強いて言うなら、先輩鏡精の意地でしょうか ?
イクスえ ?
カーリャ・N冗談です。
カーリャ・N……きっと、フィリップ様の中には最初からあの答えがあったんだと思います。
カーリャ・Nけれどフィリップ様の言う焦りが視界を曇らせていたのではないでしょうか。
イクスそうだな。フィルさんは……本当は結構図太い人だと思うし。
カーリャ・Nええ、それはもう。それがあの方の長所でもあるとカーリャは……あ、いえ、私は思います。

キャラクター10話【記念日10 感謝を込めて】
マーク何だかんだで浮遊島に辿りついたらもう朝かよ。今回はきつかったな……。
フィリップ朝……。あ……それじゃあ……。
マークさて、それじゃケリュケイオンに戻るか。
ミリーナあ、待って。その前にマークもフィルも着替えた方がいいわ。
マークは ? なんで ?
カーリャだ、だってマークもフィルさまも臭いです。
マークんな訳あるか ! ?
マーク……って、まあ、色々バタバタしてたし確かに汗かいてるわな。戻ったらシャワーでも浴びて着替えるよ。
ミリーナあら、ここでシャワーを浴びて行きなさいよ。洗濯もしておいてあげるわ。
イクスそ、そうだね。それがいいよ。あ、ついでに食事もしていったら ?
カーリャ・Nそうしなさい、マーク。その時に、今回どうして敵に捕まったのかその無様な顛末をじっくり聞かせてもらいます。
マークな、何だよ……。どうするフィル ? それでもいいか ?
フィリップう、うん ! そうしよう !
マーク…… ?
マーク……おい、こいつは一体どういうことだ ?なんで用意されてる着替えがこんななんだよ ! ?
カーリャ・N小さいミリーナ様が具現化してくださったんですよ。もっと喜びなさい、マーク。
フィリップな、なんだか照れくさいね。
マークいや、パイセンもフィルも何だってそんな格好を……。
マーク――あ、まさか。
カーリャまずいですよ、先輩。バレそうです !
カーリャ・Nフィリップ様、マークを隣の部屋に押し込みますよ !
フィリップう、うん !
三人それっ !
二人鏡士の日、おめでとう !
マークうおっ ! ?
カーリャふっふっふ、驚きましたぁ ?これぞサプライズパーティーですよ~ !
フィリップふふ、僕もサプライズする側に回れたね。
マークやっぱりそうか……。中止にしろって言ったのに。
イクス俺もミリーナも鏡士なんだから鏡士の日を祝ってもいいだろ ?
ミリーナそれにこれは、フィルとマークの仲直りの記念でもあるのよ。
マーク仲直りって……子供かっての。
フィリップえ ? 仲直りできたんだよね ?
マーク別に喧嘩もしてたつもりはねえよ。でも……ありがとな、イクス、ミリーナ、パイセンズ。
二人その呼び方はやめなさい !
エルねえねえ、みんなでカンパイするんだって。
ソフィシェリアがみんなに飲み物を配るって言ってるよ。
ミリーナそうね、私も飲み物を配るの手伝うわ !
ファラあ、ミリーナはいいよ、みんなで話してて !今日はミリーナだって主役なんだから !
ミリーナえ ? でも……。
エステル今日は『鏡士の日』なんですよね ?だから、みんなで相談してここから先はみなさんには思いきり楽しんでもらおうと決めたんです。
リタそういうこと !だから気にせずにのんびりしてなさい。はい、ドリンク。
ミリーナありがとう、みんな。それじゃあ、お言葉に甘えるわ。
イクスうん。本当にありがとう !
カイルマークとフィリップさんも、どうぞ !
マークああ、サンキュ。
フィリップどうもありがとう。
ユリウス全員に飲み物は行き渡ったな ?では乾杯しようと思うんだが……フィリップ、乾杯の挨拶は任せていいだろうか。
フィリップえっ、僕 ?
イクスうん。フィルさんが一番相応しいと思います。このパーティーは、もともと鏡士の日を祝うもの……。
イクスだから、ビクエであるフィルさんに挨拶してもらえたら、俺も嬉しいです。
ミリーナ私も同じ気持ちよ。フィル、お願いできるかしら ?
マーク大丈夫だって。お前が思う通りのことを話せばいい。
フィリップ……わかった。そう、だね。ええと、何を言おうか……。
フィリップ…………。
ゼロスあんまり考え過ぎても仕方ないんでねーのフィリップくんよ~。
フィリップえっ ?
フィリップみんな…… !
アイゼンイクスに誘われたんだ。フィリップのためにパーティーをするから参加してくれないか、と。
ガロウズビクエ様のためと言われれば断れないさ。
セシリィもっと早く教えてくれてれば、準備も手伝ったのに。
クラトス全員は参加出来なかったし、興味がないと切り捨てる連中もいたが、まだまだこの後も合流してくるだろう。
ローエン都合の付かなかった人からは差し入れもあずかってきましたよ。後ほど並べさせていただきます。
マーク意外と人徳があったみたいだな ?
フィリップマークのおかげだね。
マークそうそう、そいつを忘れないでくれればいいぜ。
フィリップはは……。
フィリップ――みんな、今日はこうしてパーティーを開いてくれて本当にありがとう。
フィリップ今日は『鏡士の日』ということだけど……もう、そんなのはやめにしよう。
みんなえっ ! ?
マークおいおいおい……。今日のパーティーのきっかけを根底から覆すなよ。
フィリップはは……ごめん。でも鏡士だけに感謝をする日、というのも違うような気がするんだ。
フィリップ僕たちは、自分の力だけで生きているわけじゃない。鏡士には鏡精の存在が欠かせないと思うし一緒に戦ってくれる仲間も必要だ。
フィリップだからこそ、今日の日の意味合いを変えたいんだ。当代ビクエとして、この日を鏡士と鏡精、そして近しい誰かとの絆に感謝する仲間の日としよう。
フィリップ僕はマークだけでなく、イクスや救世軍のみんなそして今の世界で出来た繋がりの全てに感謝したいと思うから。
カーリャそれ、勝手に変えちゃっていいやつなんですか ! ?
フィリップああ、構わないさ。どうせ覚えている人間も多くないんだしね。
カーリャ・Nふふ……いいんじゃありませんか ?私は、フィリップ様の考えを支持します。
フィリップうん。ありがとう、ネヴァン。
ゼロスいい雰囲気のところ悪いんだがそろそろ乾杯といこうや。長い演説は人徳無くすしな。
フィリップああ、ごめん。そうだね。それじゃあ……。
フィリップみんなに感謝を。乾杯 !
みんな乾杯 !
カーリャネヴァン先輩~ ! 乾杯です !
カーリャ・Nええ、乾杯。これからも小さいミリーナ様のことをよろしくね。
カーリャはい、任せてください !全力でお手伝いしますから~ !
マークはは……すごいな。花束までもらったぜ。フィルに、だってよ。
フィリップ立派な花束だな……嬉しいよ。みんなにどれだけ感謝してもし足りないな。
イクスほら見てくれ。すごく立派なケーキだろ。みんなが作ってくれたんだ。
ミリーナとっても美味しそう。そうだ、食べる前に写真を撮らなきゃ !イクス、ケーキを持ってポーズを決めて。
イクスせっかくだからオートモードにしてミリーナも一緒に入ったらいいんじゃないか ?フィルさんもマークもネヴァンもカーリャもさ。
ミリーナわかったわ。今、セットするわね。さあ、みんな集まって。
みんな【鏡士の日】改め【仲間の日】おめでとう !