キャラクター | 1話【探検隊1 宝の地図】 |
カロル | えっと、街の南側は特に異常なし、っと……それから、北側は―― |
ラピード | ワンワン ! |
カロル | あ、ラピード !北側の様子、どうだった ? |
ラピード | ワオン ! |
カロル | そっちも異常なし、って感じ ? |
ラピード | ワン ! |
カロル | オッケー !それじゃあ、その情報も地図に書き込んで、っと……。 |
カロル | よし、完成 !この街の周辺は特に問題ないみたいだね。 |
ラピード | ワン ! |
カロル | えへへ、よかった !いつ使うかはわからないけど情報は定期的に更新しなくちゃいけないもんね。 |
カロル | ラピードも付き合ってくれてありがとう !おかげで予定よりも早く調査が終わったよ。 |
ラピード | ワオーン ! |
カロル | それじゃ、どこかの宿で休憩を―― |
? ? ? | おーい、カロルー ! ラピードー ! |
カロル | え ? |
カイル | 二人とも久しぶり ! |
カロル | あ、カイルにエルマーナ ! ?二人もこの街に来てたんだ ! |
エルマーナ | せやで。こんなところで会うなんて偶然やなぁ。何しとったん ? |
カロル | 街の周辺を調査してたんだ !異変が起きてる場所はないかっていうのといざって時のために情報を更新しておかなきゃって。 |
カイル | へえ、さすがカロル調査室だね ! |
カロル | まあ、今のところ使う予定はないから念のためにっていう感じなんだけどね。 |
カロル | 二人は何をしてたの ?なんだか珍しい組み合わせだけど……。 |
エルマーナ | ふっふっふ……ええこと聞いてくれるやんか、カロル ! |
カイル | へへ、実はね……見て、これ ! |
カロル | わっ ! 何これ、手書きの地図…… ? |
エルマーナ | ただの地図やないで。宝の地図や ! |
カロル | 宝の地図 ! ? |
ラピード | ワフッ ! |
カイル | 驚いたでしょ ?オレたちも見つけたときはびっくりしたんだ。それに、ほら。ここ見て。 |
カロル | あ、何か印がついてる。それに、暗号みたいなのも書かれてるね。 |
エルマーナ | せや !これはつまり、印のついた場所に行けばお宝が手に入るってことやろ ! ? |
カイル | エルマーナが海辺で見つけたんだけど宝探しってワクワクするし、せっかくだから探しに行こうって話になって。 |
カイル | そうだ ! もし時間があるなら、二人も行かない ?みんなで一緒のほうが、絶対楽しいよ ! |
カロル | えっ、いいの ! ? |
エルマーナ | 当然や !むしろ一人でも多く仲間がほしいねん。 |
カロル | それじゃあ、行く !ラピードもいいよね ? |
ラピード | ワンッ ! |
エルマーナ | ほな決まりやな ! |
カイル | やった ! よろしくね、カロル、ラピード ! |
ラピード | ワオン ! |
カロル | よろしく !それで、最初は何からするの ? |
エルマーナ | せやなぁ。まずはこの暗号を解かなあかんのやけど……。 |
カロル | 暗号……。ここに書かれてる文字だよね ?……どういう意味なんだろう。 |
カイル | そうなんだよね……。実はオレたちもわからなくて、考えてたんだ。 |
三人 | うーん……。 |
ラピード | !ワンワン ! |
キャラクター | 2話【探検隊2 地図の秘密】 |
ラピード | ワオーン ! |
カロル | ラピード、どうしたの ? |
エルマーナ | どこ見て吠えとるん……あっ ! |
ジェイ | 皆さん、お久しぶりですね。これは……何の集まりですか ? |
カイル | ジェイ、久しぶり ! |
エルマーナ | ちょうどええところに !ジェイ兄ちゃん、ウチらと一緒に宝探しせえへん ? |
ジェイ | 宝探し ? |
カロル | うん。実は―― |
ジェイ | なるほど。つまり宝物のある場所に向かうにはまずこの暗号文を解かなければならないんですね。 |
エルマーナ | こういうんはいろんな視点があった方がええねん。 |
カイル | よかったら、探すのを手伝ってくれないかな。ジェイがいてくれたら心強いし ! |
ジェイ | ……そうですね。買い出しで来ていたのですがちょうど荷物を家に送る手配を終えたところです。 |
ジェイ | 宝探し、というのもなかなか面白そうです。ぼくも一緒に行かせてください。 |
三人 | やったー ! |
ラピード | ワオン ! |
エルマーナ | ほな、さっそく暗号を解読するで ! |
カロル | だね !えーっと、まず暗号文は……。 |
カロル | 『左の手と右の手、交わる場所にその島あり。未知なるもの、その地にあり』 |
ジェイ | 未知なるもの、というのが宝物というわけですね。 |
カイル | 島って書いてあるから、きっとこれもどこかの島の場所を示してるんだろうけど……それ以上のことはわからないんだ。 |
エルマーナ | この地図と、暗号やろ。それから、一緒にこの二つのパーツが瓶にまとめて入ってたんや。 |
エルマーナ | なんや術がかかってる気配があんねん。せやから暗号が解ければどうにかなるんやないかって話しとったんやけど。 |
ジェイ | なるほど……。 |
カロル | うーん、このパーツ、かぁ……。なんかパズルみたいになってるよね。 |
カイル | これもきっと何かの手掛かり、なんだよね。 |
カロル | あとこれ、どっかで見たことがあるような形なんだけど……。 |
エルマーナ | ……ほんまや。なーんか知っとる気ぃするで。 |
カイル | なんだろう。もう少しでわかりそうなんだけど…… ! |
三人 | うーん……。 |
ラピード | ワフ。 |
カロル | ……ああああああっ ! |
エルマーナ | なんや ! ?び、びっくりするやんか…… ! |
カロル | あっ、ごめん !でもわかったんだよ、このパーツ。ほら、見て。ラピードの足 ! |
カイル | 足 ? |
カロル | このパーツ、犬の肉球と同じ形をしてるんだ ! |
カイル | え ? ……あああ、ホントだ ! |
ジェイ | 確かに肉球の形によく似ていますね。こっちが右、こっちが左……。 |
ジェイ | …… !もしかしたら、肉球というのはその通りなのかもしれません。 |
エルマーナ | 犬の肉球がヒントっちゅーことかいな ? |
ジェイ | その通りです。ラピードさん、ちょっと足をクロスしてみていただけますか ? ちょうど交わる形になるように。 |
ラピード | ワンッ ! |
ジェイ | そうです。そして、エルマーナさん。地図をお借りしていいでしょうか ? |
エルマーナ | ひょっとして、暗号が解けたんか ! ? |
ジェイ | おそらく、ですが。こうして岬の先端を鼻に見立てて右手をここ、左手をここに置けば……。 |
全員 | ! ! |
カイル | 地図に島が浮かび上がってきた ! |
エルマーナ | これやな ! 『左の手と右の手の交わる場所』 ! |
ジェイ | どうやら正解のようですね。カロルさんとラピードさんのおかげです。 |
カロル | ボクは形に気づいただけだよ。謎を解いたのはジェイでしょ ? |
カイル | みんなが協力してくれたおかげだよ !オレとエルマーナだけだったらずっとわからなかったかもしれないし。 |
エルマーナ | せやせや !ほんなら、探検隊のリーダーはどっちかやな ! |
カロル | 探検隊 ? |
エルマーナ | せやで。ウチらはお宝目指して謎の島を進む、探検隊や ! |
ジェイ | それなら、カロルさんが適任ではないでしょうか ? |
カロル | えっ、ボク ! ? |
ジェイ | 元々、こういった調査はこれまでもカロルさんが仕切ってくれていましたから。 |
カイル | オレも賛成 !カロルがリーダーになってくれるんだったらすごく助かるよ ! |
ラピード | ワンッ ! |
エルマーナ | ええやん !頼りにしてるで、カロル ! |
カロル | うん……わかった !それじゃあ、探検隊結成だね ! |
カイル | うん ! オレ、ワクワクしてきた ! |
カロル | よーし、さっそく探検に必要なものを調達して出発しよう ! |
三人 | オー ! |
ラピード | ワオーン ! ! |
キャラクター | 3話【探検隊3 いざ探検へ】 |
カロル | んん~ ! いい天気 !これは探検日和だね、ラピード ! |
ラピード | ワンッ ! |
カイル | ふわあぁぁ……。みんな、おはよう……。 |
ジェイ | おはようございます。皆さん早起きですね。 |
カロル | えへへ、ちょっと興奮しちゃって !カイルはまだ眠そうだけど。 |
カイル | むにゃ……うーん、大丈夫。なんとか起きてるから……。冒険の朝に、寝坊してられないもんな。 |
ジェイ | それはよかったです。エルマーナさんは―― |
エルマーナ | ウチも起きてるで !テントの中で色々準備しとっただけや ! |
カロル | そっか !それじゃあ、朝ご飯を食べて今日の作戦を確認しよう ! |
全員 | おー ! |
カロル | とりあえず今日のルートなんだけど、今いるのがこの森のキャンプ地で……。 |
カロル | ちょっと行ったところに洞窟があるんだけどその中を抜けて島の近くまで行くんだ。 |
カイル | へー、洞窟があるんだ ! ? |
エルマーナ | この宝の地図にはそれっぽいもん書いてへんけど。 |
カロル | 手書きの地図だからね、たぶんだいたいの記憶で書いたものなんじゃないかな ? |
カロル | こっちがボクとラピードで調査して作った地図なんだけど、この手書きの宝の地図と重ねるとちょうど犬の鼻になってる部分が岬なんだ。 |
カイル | 本当だ !つまり、犬の手の部分が地図のこの辺で……島は岬の西のほうにあるんだ ! |
カロル | で、この島は陸から渡って行けるみたいなんだ。だから、洞窟さえ抜けられれば島に渡るのは難しくないはずだよ。 |
ジェイ | なるほど。その情報も調査の結果ですか ? |
カロル | うん。この辺は小さな島が多くて少しでも情報があったほうが便利かなと思ってラピードと一緒に色々調べてたんだ。 |
ラピード | ワン ! |
エルマーナ | やるやん、二人とも !さっそく、宝探しの役に立っとるで ! |
カイル | うん ! すごいよ !洞窟を抜けていくなんて宝の地図には書いてないからね。 |
カロル | でも、その洞窟がどんな場所なのかまではわからなかったんだよね……。危険じゃなければいいんだけど。 |
ジェイ | ……待ってください。この洞窟の近くに村がありませんでしたか ? |
カロル | うん、あったよ。人がいない村だったから情報収集は出来なかったんだけど……。 |
ジェイ | なるほど。であれば、ぼくも立ち寄った村です。一昨日確認したときには人も戻っていましたよ。 |
カロル | え、そうなの ! ?ボクたちが寄ったのは五日くらい前なんだけど……。 |
ジェイ | その時は別の場所にいたのでしょう。牛を育てているので、ずっと同じ場所で暮らしているとすぐに牧草が枯れてしまうそうで。 |
ジェイ | その人たちの話だと、洞窟に少し前から住んでいる盗賊に迷惑をかけられているとのことでした。もしかしたらこれから行く洞窟じゃないかと。 |
カイル | えっ ! ?じゃあその洞窟には盗賊がいるってこと ! ? |
エルマーナ | そら思ったより時間かかりそうやなぁ。相手の数と強さにもよるけど。 |
カロル | やっつけるのが前提なんだね……。 |
ジェイ | それが、いつの間にか姿を消していたようで今は住み着いてはいないようです。 |
ジェイ | ただ、その盗賊たちが洞窟に何か仕掛けを残している可能性もあります。 |
エルマーナ | なるほど、あり得るな……。 |
カロル | そうだね。洞窟の中がどうなってるかはわからないし慎重に進むようにしよう。 |
カイル | よーし、それじゃあそろそろ支度をして出発かな ? |
エルマーナ | ちょお待ちぃや ! |
三人 | え ? |
エルマーナ | せっかくの探検隊やさかいこれ着て行こうや ! |
カイル | なにこれ ! ?もしかして……。 |
カロル | すごい、探検隊の服だ ! |
ジェイ | 中々いいデザインですね。でも、いつの間に ? |
エルマーナ | 昨日、街を出る前に調達したんや。ほんまはラピードの分も用意したかったんやけどさすがにサイズがなくてなぁ。 |
ラピード | ワフッ。 |
エルマーナ | 堪忍してなぁ、ラピード。次はお揃いで行こな ! |
ラピード | ワンワンッ ! |
カロル | それじゃあ、さっそく―― |
キャラクター | 4話【探検隊4 洞窟を進め】 |
カロル | わー、すごい !格好いいね、この服 ! |
カイル | うん ! これから冒険が始まるぞ !って感じがして気が引き締まったよ ! |
ジェイ | 動きやすいですし、布も丈夫です。何が起こるかわからない旅路でも安心出来ますね。 |
エルマーナ | へへへ、みんな似合ってるで ! |
エルマーナ | やっぱ探検隊やし、一体感は大事やろ ? |
ラピード | ワンッ ! ワンッ ! |
カロル | 本当にありがとう、エルマーナ。 |
カロル | それじゃあ、改めて……しゅっぱーつ ! |
全員 | おー ! |
カロル | 中はこんな感じなんだね……。 |
ラピード | ……ワフ。 |
カロル | うん。なんだかいろんな匂いがするね。植物だけじゃなくて、金属っぽい匂いも。 |
カイル | この水路、道がしっかりしてるよね。誰かが作ったのかな ? |
ジェイ | ええ。一朝一夕で作れるようなものではありませんしそれなりに時間をかけて完成させたものかと。 |
ジェイ | そう考えると、ここに住み着いていた盗賊たちが作ったものとも言えないような気がします。 |
カイル | 盗賊がいたのは、どれぐらいの期間だったの ? |
ジェイ | 村の人の話から考えると、そこまで長くはないと思います。少なくとも、これだけの大工事が出来るような期間ではなさそうです。 |
カロル | ってことは、もともと整えられていた洞窟を盗賊たちが利用したって感じなのかな。 |
ジェイ | ええ、それが正解かと。 |
エルマーナ | ほんで、住み着くと同時に自分らにええように色々手を加えたんやろな。 |
エルマーナ | みんな、ちょお動かんでそのままでおってな。 |
カイル | どうしたの、エルマーナ ? |
エルマーナ | ウチは、水路みたいなとこに住んどったんや。まあ、作った人らによって様子は違うやろうけど水を流すんやから造りは似てくるやろ ? |
エルマーナ | でもって、この辺は入口の近くや。そうなると、大抵はこの壁の辺りに……。 |
エルマーナ | お、あった !罠を動かすスイッチ ! |
カロル | えっ、すごい ! |
ジェイ | なるほど、洞窟全体の罠をそのスイッチで制御していたということですか。 |
エルマーナ | せや ! 住処にしとったっちゅーんなら自分らが外から戻るときに罠が発動したら困るやろ ? |
カイル | 確かに !出かけるときには侵入防止のためにスイッチを入れるんだね ! |
エルマーナ | みんな考える定番ってわけやな。 |
ジェイ | ……今のところ、この罠のスイッチは入っていないようですね。 |
カロル | ってことは、罠は作動してない ? |
ジェイ | はい……おかしいですね。 |
カイル | え、そうなの ? |
カロル | 盗賊たちは洞窟を出るときに罠を仕掛けて中に戻るときに解除するんだよね ? |
エルマーナ | 普通に考えるならそうやな。 |
カイル | あっ、そっか ! 盗賊が出て行ったのなら罠は掛かっているはずなんだ。 |
ジェイ | ……拠点を移して、もう中には何もないから罠を掛けずに行ったのか、それとも別の理由があるのか。 |
エルマーナ | うーん、ここに罠を色々仕掛けたんやったら次の場所を探すよりここを使い続けたほうがラクなんとちゃう ? |
カイル | オレもそう思う。でも、だとすると『別の理由』って……。 |
ラピード | ウウー……ワンワン ! |
カロル | ! ラピード、何かあったの ! ? |
ラピード | ワンッ ! |
カロル | 魔物…… ! |
エルマーナ | どうやら『別の理由』のお出ましみたいやな ! |
ジェイ | 確かに、この魔物たちが原因の可能性はありますね。皆さん ! 来ますよ ! ! |
カイル | 大丈夫 ! オレたちだったら倒せるさ ! |
カロル | よし ! みんな、行くよ ! |
キャラクター | 5話【探検隊6 神殿に眠る宝】 |
カイル | ふー、やっと魔物がいなくなった !だいぶ奥まで進んできちゃったね。 |
ジェイ | ええ。ですが、このくらいの数であればよっぽど弱い盗賊団でもない限り、姿を消すというのも考えにくいですが……。 |
カロル | うーん、そうだね……。ものすごく強いっていうわけでもなかったし。 |
エルマーナ | ま、気にはなるけど考えてもしゃーないで。今んとこ、細かいことはわかっとらんわけやし。 |
カイル | それもそっか。進むうちに何かわかるかもしれないしね。 |
カロル | それじゃあ、ひとまずここを抜けることを最優先に考えよう。 |
ラピード | ワンッ ! |
カイル | けど……また急に雰囲気が変わったよね。神殿っぽいっていうか……。 |
ジェイ | そうですね。壁にも柱にも何かの意匠が施されていますし、向こうの中央にあるのは祭壇でしょうか ? |
カロル | そういえば、ちょっと前に立ち寄った街で聞いたんだ。このあたりには、精霊の声を聞くことが出来る一族が住んでいたんだ、って。 |
カロル | その一族は、神殿で祈りを捧げながらこの地域を護っていたみたいなんだ。……あくまでも、伝説らしいけど。 |
ジェイ | なるほど……伝説、と呼ばれるようなものがこの世界にどれくらいあるのかは一考の余地がありますが。 |
ジェイ | それでも、この立派な神殿が存在することは確かですし神殿があるから伝説が生まれた、という考え方は出来るかもしれません。 |
エルマーナ | ほー、なるほどなぁ。面白いこと考えるやん。 |
カロル | 精霊の声を聞けるっていう人が本当にいた可能性もあるよね。その二つがくっついちゃった、みたいな。 |
ジェイ | ええ、それもあり得ます。いずれにしても、今回は深く考える必要はなさそうですが……。 |
ジェイ | ……人が生活していた形跡がある、ということのほうが気になりますね。 |
エルマーナ | そうやなぁ。毛布に酒樽、あっちの奥にあるんは食料庫やろ ? |
エルマーナ | 間違いなく盗賊の生活の跡やな。 |
カロル | 食料、結構残ってるね。食べられそうなものはさすがにないけど……。 |
カイル | う~ん。ってことは盗賊たちは事故か何かに遭っていなくなったのかな ? |
ジェイ | ぼくはそう思います。……まだ断定は出来ませんが。 |
カロル | うん。この先、何が起こるかわからない。気を引き締めて行こう。 |
ラピード | ……ワフ。 |
カイル | うん ? どうしたの、ラピード。 |
ラピード | ワンワン。 |
エルマーナ | あそこの壁が気になるんか ?……ほーん、確かに違和感あるな。 |
エルマーナ | 岩が重なってるように見えるけど、一カ所だけ色が微妙にちゃう場所があるで。 |
カロル | 本当だ !それに……これ、風が吹いてる ? |
ジェイ | どうやらそのようですね。もしかしたら、この岩は扉で何かしらの仕掛けが―― |
ジェイ | ! 岩が光って…… ! |
カロル | 開いた ! |
エルマーナ | なるほど、触ると動くっちゅー仕掛けやったんやな。 |
カロル | 風はこの先からだね……行ってみよう。 |
カロル | …… ? 武器や布の切れ端が落ちてるね。 |
ジェイ | この刀、さっきの広間にも似たものがありました。盗賊の持ちもので間違いないかと。 |
エルマーナ | ここを寝床にしとったって訳でもなさそうやな。 |
カイル | ……あ、見て !奥のほうに宝箱がたくさんあるよ ! |
エルマーナ | ! ほんまや ! |
カロル | それじゃあ、ここは盗賊たちの宝物庫 ?でも、なんだか違和感が……。 |
カイル | ……とりあえず、あの宝箱を調べてみるよ。みんな、待ってて ! |
ジェイ | 単独行動は禁物です !もしなにか仕掛けがあったら…… ! |
カロル | えっ ! ? 扉が閉まった ! ? |
ラピード | ワンワン ! |
カイル | うわあああ ! この宝箱、フェイクだ ! |
エルマーナ | 魔物やったんか ! |
ジェイ | ずいぶん精巧な作りですね。まったく、嫌らしい魔物です ! |
カロル | 今行くよ、カイル ! ! |
キャラクター | 6話【探検隊7 目指すべき島】 |
カイル | はぁ~、なんとか倒せた……。 |
カロル | びっくりしたね……。思ったよりずっと強かったし。 |
エルマーナ | ほんまやで。それに、入って来た扉も閉じてもうた。 |
エルマーナ | ジェイ兄ちゃん、開きそうなん ? |
ジェイ | いえ、難しそうです。どうやら外から操作する分には簡単に開きますが中からは作動しないようになっているようです。 |
カイル | これも盗賊たちの作った罠っていうこと ? |
エルマーナ | けど、盗賊が仕掛けた罠は術みたいなやつとちゃうかったで。 |
ジェイ | はい。先ほどの扉は、何らかの術式が使われているように感じました。元々この神殿に仕掛けられていたものかと。 |
カロル | 武器とか服の切れ端が落ちてるってことはここで盗賊たちが戦ったんだよね。 |
カロル | ……それで、逃げてったんならいいんだけど。 |
カイル | うーん。もし無事に逃げ出してたんだとしたらこの部屋から出る方法があるっていうことだよね ? |
カロル | あ、確かに ! |
ラピード | ワンワン ! ワン ! |
カロル | ! ラピード、もしかして何か見つけた ! ? |
ラピード | ワンッ ! |
カロル | そっちだね ! みんな、行こう ! |
ラピード | ワン ! ワンワン ! |
カロル | あっ、光が見える ! |
エルマーナ | よっしゃ、出口や ! |
ジェイ | ですが、隙間が小さいですね。洞窟が崩落したのかもしれません。 |
カイル | うーん、この大きさじゃ、オレたちが通るのも厳しいかも…… ? |
カロル | 通り抜ける間に崩れたりしても危険だよね。 |
エルマーナ | せやなあ。このまま通り抜けるんやったら、の話やけど。 |
ジェイ | そうですね……。崩落した部分以外の岩盤はしっかりしていそうです。洞窟そのものが崩壊することはないと思います。 |
カイル | なるほど ! それじゃあ―― |
カロル | 岩を吹っ飛ばして外に出よう ! |
四人 | おー ! |
カロル | ! 眩しい…… ! |
カイル | やった ! 洞窟を抜けたぞ ! |
エルマーナ | ほんまやな !せやけど、これ抜けて来た方向あっとるん ? |
ジェイ | ちょっと待ってください。 |
ジェイ | 地図上で島のある方角は北西。最初に出発した街があったのはこちらの方角でとなると地図の向きはこうなるので……。 |
ジェイ | 間違いありません、洞窟は正しく抜けられたと思います。 |
ジェイ | そして、あそこに見える島が目的地ですね。 |
カロル | 本当 ! ? やった !それじゃあ、あとはこの地図に書かれている道を探すだけ……だけど……。 |
カロル | あれ…… ? |
エルマーナ | んー ? 道っぽいもんはどこにもあらへんで ? |
カイル | えっ ? でも、地図には書いてあるんだよね ? |
カロル | う、うん。近くの村や街でも聞き込みをしたから地図そのものは間違ってないはずなんだけど……。 |
ジェイ | 道が……消えた ? |
エルマーナ | えええっ ! ? そんなんアリなん ! ? |
ジェイ | もしかして、最初の段階で暗号の読解が間違っていたのでしょうか……。 |
カロル | ううん、あれは合ってたと思う。じゃなかったら術が発動するわけないもん。 |
カロル | きっと別の理由があるんだよ !洞窟の中に仕掛けがあったみたいに……ボク、探してみる ! |
カイル | カロル ! |
カイル | ……うん、そうだよね !きっと何か見落としてるんだ !オレも一緒に探すよ ! |
エルマーナ | ウチもや !ここまで来て引き下がれへん ! |
ジェイ | ええ。きっと道は見つかります。全員で探しましょう ! |
ラピード | ワン ! |
キャラクター | 7話【探検隊8 島へ渡る手段】 |
カイル | おーい、みんな !そっちは何かあった ? |
ジェイ | 残念ながら、収穫はありませんでした。 |
エルマーナ | ウチもなんも見つからんかったわ……。せめて船でもあればよかったんやけど。 |
カロル | 船は厳しいと思うよ。このあたりは海流が速いし、岩礁も多いから船では通れない場所なんだって。 |
カイル | そっかぁ……。だったら泳いで渡るっていうのも無理だよね ? |
ジェイ | そうですね。まさか、こんなところで足止めされるとは思いませんでした。 |
エルマーナ | なんやねん !地図にはきっちり道が書いてあるやん ! |
ラピード | ワフ……。 |
カロル | ……もう日が暮れちゃうね。今からじゃ洞窟を戻るのも危険だし安全そうな場所にテントを張って―― |
カイル | あれ ? |
エルマーナ | ん ? どないしたん、カイル兄ちゃん ? |
カイル | いや、今、海に道があるみたいに見えて……。気のせいかな ? |
エルマーナ | なに言っとるねん。さっきからどんだけ探しても海に道なんか……。 |
エルマーナ | ――って、ほんまや、うっすら道があるやん ! |
カロル | ええっ ! ? |
ラピード | ワンッ ! |
カイル | やっぱりある !突然道が浮かび上がってきた ! ? |
ジェイ | ……そうか、潮の満ち引きです ! |
カイル | えっ ? |
ジェイ | 海面は、潮流や引力、時間帯など様々な理由で高さが変わるんです。 |
ジェイ | 普通の浜辺ならば多少変化したところで特に違和感を覚えることもないのですが……。 |
カロル | そうか ! ここは岩礁が多い場所だから海面が下がれば人が通れる道になる…… ! |
ジェイ | そういうことです ! |
エルマーナ | 言うてる間にも、道がどんどん出来ていくで ! |
カイル | 本当だ…… !まだ島とは繋がってないけどもうすぐ渡れるようになるのかな ? |
ジェイ | 恐らくは。もう少し地形や潮流の情報が揃っていれば断言出来るんですが……。 |
ラピード | ワンッ ! |
カロル | それなら、この情報が役に立つかも !近くに漁村があって、そこで海とか棲んでいる魚のこととか聞いてきたんだ。 |
カロル | 岩礁が多いっていうのもそこの村の人たちが教えてくれたんだよ。ほら、これ ! |
ジェイ | このメモですね。すみません、少しお借りします。 |
ジェイ | ……うん。海に関して、これくらいの情報があれば―― |
ジェイ | やっぱり、予測した通りでしたね。夜から明け方にかけての十時間ほどの間陸から島へ徒歩で渡ることが出来るようになります。 |
カイル | うわぁ、本当だ ! 道が出来てる !カロルが持ってる地図は、夜の間の地形を書いたものだったんだね ! |
エルマーナ | ほな、道が渡れんようになる前に島に行こうや ! |
ラピード | ワンッ ! |
カロル | うん ! 足元をしっかり照らして一気に島まで渡るよ ! |
カイル | ここが、宝の島…… ! |
エルマーナ | よっしゃー ! ついに到着や !早速探検―― |
エルマーナ | と、言いたいところやけど、この暗さで森に入るんは危険すぎやな。 |
カロル | そうだね。何があるかわからないし、今日は安全なところでテントを張って休もう。 |
カロル | それで、明日はいよいよ宝探しだ ! |
四人 | おー ! |
キャラクター | 8話【探検隊9 腹ごしらえ】 |
カロル | よーし !朝になったし、さっそく探検に―― |
カロル | あっ…… ! |
エルマーナ | あはは ! でっかいお腹の音やなぁ~ ! |
ジェイ | それならさっそく食事に……と言いたいところですが食料も少なくなってきているんですよね。 |
カイル | 思ったより時間かかったもんなぁ。今後の食料についても考えていかないと……。 |
ラピード | ワンッ ! |
カイル | ん ? ……あ、果物 ! |
ラピード | ワフ。 |
カイル | あっちに果物がなってるよ ! |
エルマーナ | お手柄やんか、ラピード ! |
カロル | もしかしたら今日も泊まらなきゃいけないかもしれないし……。 |
カロル | よし、まずは朝のうちに食料を確保しちゃおうか ! |
ジェイ | そうですね。では、果物や木の実、そのほか食べられそうなものを見つけてきましょう。 |
カイル | あっ、ここにも木の実発見 !これ、粉にして丸めて焼くと美味しいんだ。 |
カロル | へえ、食べてみたい !こっちの木の実も炒めると香ばしくて歯ごたえもいいんだ。 |
カイル | それも美味そうだなぁ……。なんだか食料探しも宝探しみたいな気がしてきたよ。 |
カロル | うん、ボクも。こういうの、結構楽しいよね。 |
カイル | よーし、もっと探すぞー ! |
カロル | おー ! |
ラピード | ワンッ ! |
ジェイ | ああ、これも食べられる果実ですね。さすがラピードさん、鼻が利きますね。 |
ラピード | ワフッ ! |
ジェイ | これくらいで十分でしょうか。一度テントに戻って―― |
エルマーナ | おお~ ! こらすごいで ! |
ジェイ | ? エルマーナさん、何か見つけましたか ? |
エルマーナ | ほら、見てみぃ ! けったいなキノコや ! |
ジェイ | ! ……それは、確かに、なんというかけったいなキノコ、としか言えませんね……。 |
エルマーナ | へへへー、双眼鏡覗いとったらコレが見えたんや !なんやオーラ放っとるし、かっこええやん ! ? |
ジェイ | 確かに謎のオーラがありますね……。……それ、食べる気ですか ? |
エルマーナ | え、あかん ? |
ジェイ | さすがにオススメは出来ませんね……。 |
エルマーナ | そっかー。ま、確かに毒持ってそうな顔しとるしな。なんちゅーか、刺されそうや。 |
ジェイ | そうですね……。 |
ジェイ | ああ、エルマーナさん。その隣に生えているキノコは食べられるものですよ。 |
エルマーナ | ほな、こっちのキノコいっぱい採ってくことにするわ。 |
ラピード | ワン ! |
カロル | みんな、食料調達お疲れ様 !これで今日と明日のご飯は心配しなくてよさそうだね。 |
カイル | そうだね !それじゃ、とりあえず朝ご飯をみんなで作って―― |
全員 | ! ! |
エルマーナ | な、なんや ! ? 地震か ! ? |
カイル | ッ ! 違う ! これは地震じゃなくて―― |
カイル | オタオタだー ! ! |
エルマーナ | でっか !なんやこれ、城みたいなデカさやん ! ? |
カロル | ええええっ ! ?何を食べたらこんなに成長するの ! ? |
ジェイ | ! 跳び上がりました !皆さん、潰されないように離れて ! ! |
キャラクター | 9話【探検隊10 お宝とご対面!?】 |
二人 | うわああああっ ! |
カイル | ふぅ……揺れは収まった ? |
ジェイ | そのようですね。しかし、地震のような揺れを起こすほど大きなオタオタがいるなんて……。 |
カイル | ……って、あれ ?カロルとエルマーナとラピードは ! ? |
ジェイ | おそらく、ぼくたちとは反対側に逃げたのかと。このオタオタの向こう側となると、どれくらいの距離になるかわかりませんが……。 |
カイル | じゃあ、早く合流しないと…… !もし、何かあったら……。 |
カイル | ……いや、みんなならきっと大丈夫だ。これまで一緒に戦ってきたみんななら…… ! |
ジェイ | ええ。その通りです。ここで苦戦するような人たちではありませんからね。 |
ジェイ | それよりも今は、このオタオタの対処法を考えなくてはいけません。 |
カイル | うん。着地の衝撃で動けないみたいだから今のうちに倒しておいた方がいいかも。 |
ジェイ | では、一気に攻撃を仕掛けましょう。 |
カイル | ああ ! いくぞ ! |
ジェイ | えっ ! ? |
カイル | うわっ ! |
カイル | 剣が弾かれた ! ? |
ジェイ | 凄まじい弾力ですね……。並の攻撃では弾き返されてしまうようです。 |
カイル | ううーん、何か弱点みたいのが見つかれば…… ! |
オタオタ | …………。 |
ジェイ | ! オタオタがこちらを見て―― |
カイル | ジェイ、危ないッ ! |
ジェイ | カイルさん ! 大丈夫ですか ! ? |
カイル | うん、オレは平気 !それより、いい方法を思いついたんだ。 |
ジェイ | なんですか ? |
カイル | オレがしばらくオタオタを引きつけるからその間に弱点がないか探ってくれないかな ? |
ジェイ | ! 一人で引きつけるんですか ! ? |
カイル | 大丈夫。あいつ、動きは鈍いみたいだし。直接攻撃を受けないようにすればなんとかなるよ !たぶん ! |
ジェイ | ですが―― |
ジェイ | ……いえ、それが最善の策かもしれません。カイルさん、お願いしてもいいですか ? |
ジェイ | ぼくが必ず弱点を見つけます ! |
カイル | うん ! よろしく !はああああああ……っ ! |
オタオタ | …………。 |
カイル | ッ !ちょっとは効いてるみたいだけど、これぐらいじゃ全然倒せそうにないな……。 |
オタオタ | …………。 |
カイル | あっ、そっちはダメだ !蒼破刃 ! ! |
オタオタ | …………。 |
カイル | よしっ、こっちを見た ! |
カイル | 来い、オタオタ !オレが相手をしてやる ! ! |
カイル | 空翔斬 ! ! |
ジェイ | (カイルさんがうまくオタオタの気を引いてくれていますね。でも、攻撃が致命傷になっている気配はない……) |
ジェイ | (やはり何か、決定的な弱点を見つけないと) |
カイル | 爆炎剣 ! ! |
ジェイ | (攻撃を受けて、確かに傷は負っている。つまり、物理攻撃が全く効かないわけではない) |
ジェイ | (ただ、大きすぎるせいで痛みを感じにくいというところでしょうか……動きは本当に鈍いですね) |
ジェイ | (大きな身体を動かすのが難しいのか……それにしては、動きに違和感が――) |
ジェイ | …… ? なんだ、あれは ?身体の中、背中のあたりに影のようなものが……。 |
オタオタ | …………。 |
カイル | はあああっ ! くらえっ ! |
オタオタ | ……ッ ! |
ジェイ | ! やっぱり、影がある !あれは……箱 ! ? |
オタオタ | ! ! |
カイル | ! !また跳んだ ! ジェイ、避けて ! |
ジェイ | はい ! |
| ――数分前。 |
エルマーナ | ほんま、ばかでっかいやっちゃな、こいつ ! |
カロル | うん。カイルとジェイは反対側に逃げてたよね ?大丈夫かな……。 |
エルマーナ | オタオタのやつ、ウチらに背中を向けてるん ? |
カロル | だね。とりあえず、ボクたちは直接狙われることはなさそうだけど……。 |
エルマーナ | ほな、今のうちにぶっ飛ばしたるわ !はああああっ ! |
エルマーナ | ッ ! ? なんやぁ ! ? |
カロル | わあああ、足がハマってる ! ? |
ラピード | ワンワンッ ! |
カロル | エルマーナ、今すぐ引っ張り出すから ! |
エルマーナ | う、動けん~ !助けてぇな~ ! |
カロル | よい……しょっ ! |
エルマーナ | はぁ~、びっくりした !身体やわらかすぎるんとちゃう ! ? |
カロル | オタオタだし、プルプルしててもおかしくないけど足がハマっちゃうなんて……。 |
ラピード | ッ ! ワンワンッ ! ワンッ ! |
エルマーナ | また跳んだ ! |
カロル | あっ ! あそこにジェイとカイルがいるよ ! |
エルマーナ | ほんまや ! あっちに行ったで ! |
カロル | ジェイ ! カイル ! |
カイル | みんな ! 無事でよかった ! |
エルマーナ | 一応な !けど、このデカブツに攻撃しよと思ったら足が埋まってもーてビックリしたわぁ。 |
カイル | 足が埋まった ?オレたちは攻撃したら弾き飛ばされたよ ! ? |
カロル | えっ ? じゃあ硬さが違うってこと ? |
ジェイ | エルマーナさん、もしかしてオタオタの背中側に埋まってしまったんじゃありませんか ? |
エルマーナ | せや ! なんか関係あるんか ? |
ジェイ | はい。オタオタの背中側に箱らしき物が見えたんです。細かいところまではわかりませんでしたが意匠が施されているようでした。 |
ジェイ | もしかしたらあの箱は特殊なもので、その影響を受けて巨大化しているのかもしれません。 |
ジェイ | ひとまず、全員で柔らかい部分を攻撃しましょう ! |
ジェイ | その衝撃でオタオタの体内に埋まった箱を弾き出すんです ! |
カロル | なるほど !そうすればオタオタも倒せるし、宝箱も手に入る ! |
エルマーナ | ええ作戦やん !ほな、全員で―― |
カイル | いこう ! オタオタを吹っ飛ばす ! |
ラピード | ワオーン ! ! |
キャラクター | 10話【探検隊10 お宝とご対面!?】 |
カイル | これでどうだっ ! ? |
オタオタ | …… ! ! |
エルマーナ | 出たで、宝箱や ! ! |
ジェイ | ! オタオタが元のサイズに戻りました。やはり、この箱が関係しているのは間違いないようですね。 |
カロル | そうみたいだね。すごく凝った文様が彫られてるしやっぱりすごい力を持ってるのかな ? |
エルマーナ | そんな感じするで。怪しい気配がビンビンや ! |
ジェイ | 何かの術式がかけられているようですね。入っているものに関しては開けてみないとわかりませんが。 |
カイル | 開けても平気かな…… ?またフェイクみたいなのは勘弁だよ。 |
カロル | そうだね、ここは慎重に―― |
? ? ? | ちょっと待ったあああああ ! |
全員 | ! ? |
カロル | だ、誰 ! ? |
? ? ? | す、すまない !その箱には俺の研究成果が入っているんだ !だから返してもらえないだろうか ! ? |
エルマーナ | へ ? おっちゃんの研究成果 ? |
カイル | どういうこと ? |
? ? ? | うむ、実は―― |
カロル | なるほど……おじさんは研究のためにこの島に来たんだ。 |
研究者 | そうだ。元々は神殿の研究をしていて、洞窟の中にあった神殿が何のために、誰が作ったものなのか調査をしていたんだがな。 |
研究者 | 洞窟を抜けたらこの島があるだろう ?新種の植物も多くて研究のし甲斐がある !だからついここに住み着いてしまったんだ。 |
ジェイ | 気持ちはわかります。新しい発見があると、夢中になってしまうものです。 |
エルマーナ | せやけど、あの宝箱の魔物はどうしたん ?開けたら部屋の扉閉まってもうたけど。 |
研究者 | 宝箱の魔物 ? 俺は知らないなぁ。あの洞窟、こっちへの出口はひとつだけど神殿とは色んなルートで繋がってるみたいだから。 |
エルマーナ | へえ、そらツイてたなぁ。そんで、ずっと島の調査をしてるんかいな。 |
研究者 | いや、島の研究が一段落したらまた神殿に戻るつもりだったんだ。 |
研究者 | だが、いつの間にか盗賊が根城にしていて中に入れなくて……。 |
カロル | ああ、なるほど……。 |
カイル | じゃあ今は盗賊もいなくなったし、また研究が出来るようになったね。 |
研究者 | いなくなったのか。だが、そもそも……。 |
カロル | あ、洞窟の出口、塞がれてたから……。 |
研究者 | そうだ。あの洞窟を通らなければ神殿にも向こう側にも行けない。つまり俺はこっち側に閉じ込められてしまったんだ……。 |
研究者 | だから俺は誰かに助けを求めるべく術式をかけた地図を瓶に詰めて海に流したんだ。 |
カイル | あ、オレたちが拾った地図のことだ ! |
ジェイ | あれは助けを求めてのことだったんですね。ですが、それならなぜ「助けてほしい」とはっきり書かなかったんですか ? |
カロル | 確かに。きっと、なにか深い事情があったんだよね ? |
研究者 | それは……。 |
四人 | それは…… ? |
研究者 | そのほうが面白いからだ ! ! |
カロル | そんな理由 ! ? |
ラピード | ワフ……。 |
エルマーナ | ……ってことは、なんや ! ?あの宝の地図はニセモンやったっちゅーことか ! ? |
カイル | ええっ ! ? そんなあ……。 |
研究者 | そう、あれはニセモノだ !箱の中に入っているのは特殊な魔力を秘めたこの島の植物だからな ! |
研究者 | そもそも箱がオタオタに食われたのもたまたまだ ! |
カロル | はっきり言ったね……。 |
研究者 | だが、もちろん礼はする !俺がこの島で発見したキノコから作った万能薬だ ! |
エルマーナ | あああ ! そのキノコ !ウチも見つけたけったいなキノコやん ! |
エルマーナ | なんや、そのキノコそんなすごいモンやったん ! ? |
ジェイ | 見たところ毒キノコかと思って避けてしまったのですが実は食べられるものだったのでしょうか ? |
研究者 | いや、毒キノコだ。食べたら最悪死ぬ。が、それを特殊な煎じ方をすることによって毒性が反転して多くの病気を治す薬となる ! |
カロル | へえ~、すごい !その煎じ方とかも教えてほしいな ! |
研究者 | ああ、構わない。他にも新種の植物や果実、動物などこの島は発見ばかりだ。 |
研究者 | その情報を全て共有しよう !むしろ広めたい、広めさせてくれ ! |
ジェイ | なるほど、情報が『お宝』というわけですね。ぼくとしてはありがたい話です。 |
カロル | ボクも !元々調査のためにあちこち歩き回ってたんだしね。 |
ラピード | ワンッ ! |
エルマーナ | ウチには食べられるモンの情報がええわ。みんなのお土産にすんねん ! |
カイル | オレも ! 新しい食材だったらリリスさんやルーティさんが新料理を作ってくれるかも ! |
研究者 | もちろんだ !助けてもらった礼はいくらでもさせてもらう !金は1ガルドも持っていないがな ! |
カロル | お金とかよりも、ずっといいお宝だよ ! |
カロル | この島の情報もそうだし……みんなで探検が出来たことも ! |
エルマーナ | それはそうやな !謎解きも、案外楽しかったで ! |
カイル | 魔物と戦うのは大変だったけどみんなで乗り越えられたしね ! |
ジェイ | ええ。知的好奇心が刺激されるいい冒険でした。 |
ラピード | ワンッ ! |
カロル | また宝探しが出来たらいいなあ。そのときは、探検隊を再結成しよう ! |
四人 | おー ! |