キャラクター1話【意外な出会い】
ユーリ美味いメシ屋見つけたからみんなで行こうって……おっさんは相変わらず、言い出すことが唐突だな。
フレンきっと気を遣ってくれているんだよ。みんな忙しくて、なかなか集まる機会がないからね。
ユーリどうだかな。おっさんが寂しがってるだけなんじゃねえの。
ユーリ――しかし、ちょいと早く来ちまったか。これならもう少し稽古しててもよかったな。
ラピード……クゥーン ?ウー……ワン ! ワンワン !
ユーリどうした、ラピード ?
デューク…………。
ユーリデューク…… ! ?珍しいな、こんな街中であんたを見かけるなんて。
デューク預けていたものを受け取りに来ただけだ。あの魔導士の娘から。
フレン魔導士――リタのことですね。彼女に預けていたものって、まさか……。
デューク……我が友の聖核だ。
ユーリそうか……話、聞いたぜ。キメラ結合、やっと解けたんだってな。リタとフィリップが相当苦労してたみたいだが。
デューク彼らには大きな借りができた。ようやく、友の歪な姿を戻せたのだから。
ユーリよかったな、親友が元通りになって。
デューク…………。
ユーリ……デューク ?
ラピードワン ?
デュークこれ以上、私から語ることはない。さらばだ。
ユーリ……相変わらず、何考えてるんだか読めねえな。
フレンあの聖核は、彼の盟友エルシフルの形見であり命そのもの……それが手元に戻ったというのにあまり嬉しそうな顔ではなかったね。
ユーリやっぱ妙だよな。さて、どうすっか……。
フレン行くのかい ?
ユーリ……悪い。みんなには遅れるって言っといてくれ。
ユーリさっきの様子もそうだが……前から一度、あいつとは正面切って話したいと思ってたんだ。
フレンわかった、伝えておくよ。
ラピードワン ! ワンワン !
ユーリラピードもフレンと行ってくれ。今回はサシで話してえんだ。
ラピードウー……ワン !
ユーリ別に喧嘩しに行くわけじゃねえって。じゃ、また後でな。

キャラクター2話【VSミクトラン】
デューク…………。
ユーリ邪魔するぜ、デューク。――おっ ! ?
ユーリ……悪い、動物たちが逃げちまったな。嫌われるタイプじゃないと思ってたんだが。
デューク好悪の感情ではない。彼らは見知らぬ存在を恐れているだけだ。
デューク……何用だ ?ここはお前が生きる場所ではないはず。
ユーリ用ってほどじゃねえが……さっきのあんたの顔が気になったんでな。
デューク何のことだ ?
ユーリとぼけてんのか、自覚してねえのかわからねえけど……。
ユーリあんたの友達――エルシフルの聖核がやっと本来の形に戻ったんだろ。そんで、無事にあんたの手元にある。
ユーリなのに、喜ぶどころかお通夜みたいな顔してたぜ。さすがに変だと思うさ。
デューク……不思議なものだ。
デューク考え得る最善の道を選んだつもりでも表情に出てしまうほどの感傷が残るのか。
ユーリそれが人間ってもんだろ。あんたは嫌がる言い方かもしれねえけど。
デューク…………。
ユーリ壊すつもりなんだな。その聖核。
デューク……他に道はない。友の亡骸といえど、聖核の力はこの世界でもやはり混乱を招いてしまった。
デュークならば、再び不遜な輩に利用される前にこうして純粋な姿のまま、自然に還してやりたい。
デュークこの大気に満ちるものがエアルではないにせよ……それに準じる形で還元されてゆくのだろうから。
ユーリ……やっぱ、そうか。
デューク異論があるか ?
ユーリいや、何も言えねえよ。エルシフルが何を望むかなんて、会ったこともないオレたちにはわからねえからな。
デュークエルシフルの望み……。
デュークお前がここを訪れたのも、あるいは巡り合わせかもしれぬな。
ユーリどういうことだ ?
デューク今から、この近くの丘で聖核を砕く。お前にも立ち会ってもらうとしよう。
ユーリ……いいのか ?部外者のオレが立ち会って。
デューク構わん。見届ける者がいても、友は苦に思うまい。来るかどうかはお前の意志に委ねるが。
ユーリ……わかった。あんたがそう言うなら、同行させてもらうぜ。
デュークでは、ついてくるがいい。

キャラクター3話【さらば友よ】
デューク……ここが良いだろう。
ユーリ気持ちいい風が吹いてんな。景色も最高だ。エフミドの丘みてえに。
デューク…………。
ユーリ……聞くまでもねえとは思うが、一応確かめておく。本当に、いいんだな ?
デューク葛藤がないわけではない。友との離別を再び味わうのだからな。
デュークだが、以前とは違う。激情も失意もなく、静かに別れを言える。……だから、これで良いのだ。
ユーリそうか。なら、黙って見届けるぜ。
デューク…………。
デュークさらばだ、エルシフル。私の、無二の友よ。
ユーリ…………。本当に変わったな、あんた。
デューク何故、そう思う。
ユーリオレは、帝国に聖核を散々利用されちまったことであんたが今まで以上に人間を見限ってもおかしくねえと思ってた。
ユーリだけど、あんたは穏やかな顔で友達を見送った。愚かな人間どもに恨みを言うわけでもなく、さ。
デューク…………。
ユーリ今のあんたは、少しぐらい人間に希望を持ってくれてると思っていいのか ?
デューク勘違いをするな。私は決して人間の側に立ったわけではない。
デューク今はお前たちと対立する理由がない……しかし、もしまた摂理を無視した横暴を人間が繰り返すならば、身命を賭してそれに立ち向かうであろう。
デューク……そんな日が来ないのなら、それも良いがな。
ユーリ――ってことは、やっぱり少しはチャンスがあるわけだ。
デュークどう解釈するかはお前の勝手だ。
ユーリだったら都合のいいように解釈しとくぜ。どうだ、今度はちっとばかしこっちに付き合ってくれねえか ?
デューク……何 ?
ユーリ前からあんたに見せたかったもんがあるんだよ。なかなか機会がなかったけどな。
デュークまた訳のわからぬ事を……読めぬ男だ。
ユーリお互い様だろ。無理にとは言わねえよ。静かに過ごしたいんなら邪魔はしたくないからな。
デューク……いいだろう。お前の真意を確かめさせてもらう。
ユーリそう来なくっちゃな !それじゃ、ついてきてもらうぜ。
デューク……時間の無駄にならねば良いが。

キャラクター4話【生きとし生ける者】
ユーリ……やっぱ、この時間帯が一番活気あるな。飯の準備でいい匂いがしてくるし仕事帰りの職人とか、色んな人間が歩いてる。
デュークいったいどこへ行くつもりだ。見せたいものがあると言っていたが。
ユーリまだ、わかんねえかな。
デューク謎解きをするつもりはない。お前は先ほどから、どこへ向かうでもなく変哲もない街中を歩いているだけだ。
ユーリ『変哲もない街』か……。オレが見せたかったのは、まさにそれだよ。
デューク街の風景を、か ?
ユーリ風景じゃねえ。そこに住んでる人間をだ。変哲もないただの街で、毎日必死に生きてる奴らをあんたにもっと見て欲しかったんだ。
デューク…………。
ユーリあんたが人間を見限った理由はわかる。でもオレはあんたの言う人間ってのが、ふんぞり返った軍人だのお偉いさんばっかりに思えてならねえんだ。
ユーリ人間ってのはそれだけじゃねえ。世界の行く末とか戦争とか、そんなもんとは無縁にただ毎日を必死に生きてる連中だっている。
ユーリオレにとっちゃ、そういう奴らこそが一番よく知ってる『人間』なんだ。
デューク……知らずにいるから罪がない、とは言えぬ。無知に甘んじることもまた傲慢の表れだ。
ユーリそうなのかもな。別に、あんたの考えを根っから変えたいわけじゃない。
ユーリだけど、もう人間の悪い部分はたっぷり見てきたんだ。いい部分も少しは見なきゃ公平じゃないだろ ?心ある人間もちょっとはいるってことをさ。
デューク…………。
デューク生きとし生ける者、心ある者の安寧……か。
ユーリ……何だって ?
デューク友の言葉を思い出していた。その真意は聞けぬままだったがな。
ユーリそりゃ……残念だったな。聞けなかったことは、残された奴が考えるしかねえさ。
デューク……そうだな。考え続けなければならない。
デュークお前の言い分をそのまま受け入れはしない。だが、少しは考慮に入れておくとしよう。
ユーリありがとよ。今回は剣を使わずに話が通じてよかったぜ。
ユーリ話が通じたついでに聞いてみるが他の連中とメシ食う約束してるんだ。せっかくだし、あんたも来ねえか ?
デューク……やめておこう。人の世に馴れ合い、溶け込むつもりはない。
ユーリそりゃ残念だな。美味いメシも、人間のいい部分の一つだと思うが。
デューク……私は一歩離れて、見ていよう。お前たち人間の行く道を。
デュークかつてエルシフルが、人間という存在に希望を見たことが正しかったのかどうか――それを見極めるために。
ユーリああ、見ててくれ。失望はさせねえよ。
デュークフ……さらばだ。
ユーリひとまず、一歩離れたとこまでは歩み寄ってくれたと思っとくか。……またな、デューク。