キャラクター1話【黒歪1 男の目的】
ヴィクトル――ゼロディバイド ! !
ヴィクトル……警備用の機械兵器はこれで全てか。
? ? ?――私が仕掛けたトラップをかいくぐってここまで来るとは、実に見事な腕前だ。
ヴィクトル…… ! ?
ビズリー何を驚いている ?私がいることは知っていたのだろう ?
ヴィクトルビズリー…… !
ビズリー率直に聞こう。君の目的は、私の命か ?
ヴィクトル……そうだ。お前のやろうとしていることはこの世界の破滅に繋がる。
ビズリーやはり、嗅ぎつけられていたか。帝国兵たちの行動範囲を広げたことが仇になってしまったようだな。
ビズリーだが、私も退くつもりはない。その為の戦力も既に整えてある。
ヴィクトルならば、交渉の余地はない。お前の野望は私が止める。
ビズリー私と対立することを選ぶか、ヴィクトル君。
ビズリーいや、分史世界のルドガー・ウィル・クルスニク君と呼ぶべきかな ?
ヴィクトル私の正体まで知っていたのか。
ビズリー君のことだけではない。この世界には正史世界のルドガーやユリウスがいることも把握している。
ビズリー無論、君の大事な『クルスニクの鍵』であるお嬢さんのこともな。
ヴィクトル貴様 !『また』私からエルを奪おうとするのか ! ?
ビズリー安心したまえ。少なくとも、君が分史世界で経験したであろうことを起こすつもりはない。
ビズリーだが、この世界も我々の世界と同じだ。だからこそ、私は――
ヴィクトル貴様の意見など聞く必要はない !私は……ようやくエルとの平穏な世界を手に入れたのだ !
ビズリーよかろう。ならば、相手をしてやる。全力で来い !
ヴィクトル……くっ !
ビズリーさすが、『ヴィクトル』の称号を名乗るだけはある。だが、ここに来るまでの消耗が仇となったな。
ヴィクトル……まだだ。まだ、私は―― ! !
ビズリー止めておけ、これ以上は無駄だ。
ヴィクトルうおおおおおおっっ ! !
ビズリーふんっ ! !
ヴィクトルうぐっ…… ! !
ビズリーその骸殻能力はいずれ私の計画に必要になるかもしれん。悪いが君の身柄はこちらで拘束させてもらおう。
ヴィクトルエ、エル…………。

キャラクター2話【黒歪2 小さな訪問者】
ユリウス――ごちそうさま。今日のトマト入りオムレツも美味かったぞ、ルドガー。
ルドガー兄さんの大好物だからな。毎日作っていれば上達もするさ。
ユリウスおいおい、毎日は大袈裟だろ。まあ、俺はそれでもいいけどな。
ルルナァ~ !
ルドガーははっ、ルルが兄さんだけずるいってさ。
ユリウスそれは悪かった。じゃあ、ルルには今度ロイヤル猫缶を買ってやるか。
ルドガーまたそうやって兄さんは……。けど、ちょうどよかったよ。今日は特売セールの日だからな。
ユリウスそれなら、俺も買い物についていったほうがいいか ?
ルドガーいや、一人で平気だよ。兄さんがいたら、荷物を持ってもらえると思って必要以上に買ってしまいそうだからな。
ユリウスわかった。気を付けて行ってくるんだぞ。
ルドガーああ、兄さんも何か欲しい物があるならついでに買ってくるけど――
ユリウス? 誰だ、こんな朝早くに ?
? ? ?……ルドガー、いる ?
ルドガーこの声は…… !
エル……ルドガー。
ルドガーエル ! どうしたんだ ?
エル……パパが。
ルドガー……ヴィクトルさんが ?
エルパパが……パパが帰って来ないの !
ユリウス……エル、詳しく話してくれ。
ユリウス――つまり、ヴィクトルは昨日の朝から家に帰って来ていないんだな ?
エル……うん。昨日の朝起きたらパパがいなくてこの手紙だけ残ってたの。
ルドガー『夜までには戻るから、良い子で待っていなさい』か。でも、ヴィクトルさんは今日になっても戻ってこなかった……。
ユリウスそれに、魔鏡通信も繋がらないとなると何かあったと考えるべきかもな。
エルううっ……。
ユリウス……すまない、少し無神経な発言だった。
ルドガーだ、大丈夫だエル !あのヴィクトルさんが、エルとの約束を破るわけないだろ ?
エルルドガー……。
ユリウスだが、行方がわからなくなっているのは事実だ。俺たちも情報を集めるべきだろうな。
ルドガーああ。だからエル、あとは俺たちに任せてくれ。
エルルドガー…… !
ルルナァ~ !
エルみんな…… ! ありがと !
エル……あっ。
ルドガーエル、もしかして、まだ朝ご飯を食べてないのか ?
エル……うん、急いでルドガーの家に来たから。
ルドガーだったら、まずは腹ごしらえだな。すぐに用意するから待っててくれ。

キャラクター3話【黒歪3 街での調査】
ルドガー――どうだった、兄さん ?
ユリウス残念ながら有力な手掛かりはなしだ。もう少し捜索範囲を広げたほうが良さそうだな。
ルドガーわかった。俺も、いざとなったらみんなにも連絡してみるよ。
ユリウスああ、事情を話せば手伝ってくれるだろう。
ルドガーとなると、同じ大陸にいる人たちのほうがいいよな。えっと、ここから一番近くにいるのは……。
? ? ?ちょっと ! 何度言ったらわかるのよ !
ルドガーそうそう、ミラがいるはずだから……。って、ええっ ! ?
エル今の声、ミラだ !
ユリウス市場のほうから聴こえてきたが誰かと揉めているような声じゃなかったか ?
ルドガーと、とにかく行ってみよう !
ミラちゃんと私の話聞いてるの ! ?この前も同じこと言ったわよね ?
ミュゼそうだったかしら ? あっ、でもこの果物も美味しかったわよ。あなたも食べてみる ?
ミラまだ持ってたの ! ?もう……またお店の人に謝りにいかないと……。
エルミラ !
ミラエル ! ? それに……。
ミュゼあら、ルドガーたちじゃない。そんなに急いで、どうしたの ?
ルドガーいや、ミラの声が聞こえたから……ミュゼも一緒だったんだな。
ミュゼうふふ、そうなの ♪だけど、さっきからずっとミラが不機嫌なのよね。
ミラそれはあなたが勝手に店の商品を食べるからよ !
ルドガーああ、そういうことか……。ミラも大変だな。
ミラまったくよ。何度も注意してるのに……。
エルでも、ミラも一緒に謝りに行ってるんだ。ミラってやっぱり優しいよね。
ミラべ、別に、放っておくのが嫌なだけよ。ここの市場は私もよく来るし迷惑をかけてほしくないってだけ。
ミラで ? あなたたちは買い物 ?
ルドガーいや、実はヴィクトルさんを捜しているんだ。ちょうどミラにも連絡しようと思っていたところで。
エル…………。
ミラ……何か事情がありそうね。
ミュゼでも、人捜しなら私たちと一緒ね。
ユリウス君たちもか ?
ミュゼええ、ガイアスを捜してるの。ここ最近、連絡が取れないのよね。
ルドガーもしかして、ヴィクトルさんがいなくなったのと何か関係が……。
ミラどうかしらね。ローエンにも話を聞いてみたけど二、三日連絡が取れないことなんてよくあるって言ってたわ。
ユリウスそういえば、ガイアス王はよく市井に出向いて調査をしていると聞いたな。
ミラええ、だから別に心配しなくていいと思うんだけど……。
ミュゼ駄目よ ! それだと私が退屈なの !一刻も早くガイアスを見つけるんだから !
ガイアス俺ならここにいるぞ、ミュゼ。
ルドガーガイアス ! ? いつの間に…… !
ガイアスルドガー。今の俺はアーストと呼べ。
ルドガーえっ ? あ、ああ……悪い。いきなり現れたから、つい……。
ユリウス俺たち全員に気付かれずに近づくとは……。やはり只者じゃないな。
ミュゼガイアス ! もう、どこに行ってたのよ。
ガイアス少し一人で調べたいことがあってな。それに、お前たちの話も途中から聞いていた。
ガイアス大方の事情は把握したが、もしかしたら俺が調べていたこととヴィクトルの行方には関係があるかもしれん。
エル王様、それホント ! ?
ガイアス詳しいことは移動しながら話す。それに、お前たちにも協力してもらいたいことがある。
ユリウスどうやら、ただの揉め事ってわけではなさそうだな。
ルドガーわかった、話を聞かせてくれ。

キャラクター4話【黒歪4 残党の指導者】
ガイアス俺が調べていたのは、帝国軍の残党についてだ。どうやら、最近動きが大人しくなっているらしい。
ユリウス俺も出来る限り情報を集めるようにはしているが確かに帝国兵たちが抗争を起こしたという話は聞かなくなったな。
ミュゼならいいんじゃないの ?また余計なことをされても面倒なだけよ。
ガイアスいや、俺にはそれがまるで、誰かの指示で活動を一時的に止めているように見える。
ガイアスその証拠に、各地に散らばっていた帝国兵がこのリーゼ・マクシア領に集まっているという話だ。
ユリウス誰かが帝国兵を集めているというわけか……。確かに、その可能性は否定できないな。それで、調査の結果は ?
ガイアス指導者がいるのかは依然不明だ。だが、帝国兵たちが出入りしている場所については情報を得ることができた。
ミラつまり、今私たちが向かっているところがその帝国兵が潜んでいるかもしれない場所ってことね。
ガイアスそういうことだ。そして、調べている中で一つ気になる情報があった。
ガイアス俺以外にも、帝国兵の動きを調べている人物がいるというものだ。
ルドガーそれって、まさか……。
ガイアスああ。情報屋によるとそいつは仮面をつけた男だったそうだ。
エルパパだ !
ガイアスお前たちの話と合わせるとおそらくそうだろうな。
ユリウスだが、帝国兵が関わっているとはいえヴィクトルが自ら動くなんて余程のことが起こっているのか……。
エルパパ……。
ルルナァ~……。
ミラだからって、あいつに何かあったって決まったわけじゃないでしょ。
ユリウス……その通りだ。今はまだ何も判断できない。ガイアス、情報はこれで全てか ?
ガイアス今のところはな。だが、先行して偵察を任せた者がいる。これから合流する予定だ。
ルドガー偵察ってことは、アグリアか ?
ガイアスいや、アグリアは以前俺を狙った帝国兵に対応したことがあってな。必要以上に敵意を向けてしまう可能性がある。
ミュゼそういえばあの子、すっごく怒ってたわね。今度は全員燃やしてやる、なんて言ってたし。
ルドガーはは……冗談、には聞こえないな……。
ガイアスあいつが単独行動をする可能性も考えて今回の件については話していない。
ルドガーじゃあ、誰が偵察に……。
? ? ?はーはっはっはっ !この俺に決まっているだろう ! とうっ !
イバル待たせたな、お前たち !
ルドガーああ、イバルか。
イバルおいっ ! なんだその薄いリアクションは ! ?くぅ~~、折角タイミングを見計らって登場したというのに…… !
イバルいや、さてはこのイバル様に先を越されて悔しいんだな ! ふっ、ならば俺の活躍を今からじっくりと話してやろう !
ガイアスイバル、余計なことはいらん。結果だけを簡潔に話せ。
イバルうっ、わ、わかっているっ !いいか、お前たちもよく聞けよ。
イバルガイアスの言っていた通り、この先の施設で帝国兵たちが出入りしているのを確認できた。それもかなりの数のな。
ミラじゃあ、情報は確かだったのね。他には ?
イバルふっふっふ。このイバル様が首謀者を突き止めてやったぞ。
ルドガー本当か ! ?
イバルしかし、正直俺も驚いた。まさか、あいつまでこの世界にいたとはな。
ミュゼ随分と勿体ぶるわね。いいからさっさと教えなさい。
イバルふっ、ならば見せてやろう。これが証拠に撮ってきたGHSの写真だ !
ユリウスこいつは…… ! ?
イバルああ、お前たちもよく知っているだろう。
イバル俺たちエージェントを雇っていたクランスピア社代表。ビズリー・カルシ・バクーだ。

キャラクター5話【黒歪5 ビズリーの思惑】
ガイアス鏡映点が関わっている可能性も考慮していたが、まさかビズリーとはな。
イバルああ、帝国兵たちを部下のように扱っていたぞ。
ルドガーでも、どうしてそんなことを……。
ガイアスその点も含めて、話を聞く必要がありそうだ。
ミュゼそうね。悪いことを企んでるようならついでに叩き潰しておきましょう。
ルドガー……兄さんはどう思う ?
ユリウス…………。
ルドガー兄さん ?
ユリウスん ? ああ、どうした、ルドガー ?
ルドガーいや、兄さんの意見も聞きたいと思ったんだけど。
ユリウスそうだな……俺の口からは何とも言えん。だが、あのビズリーだ。無計画に動くことはないだろう。
ガイアスうむ。お前たちに同行してもらって正解だったな。いざとなれば、刃を交える可能性もある。
ルドガーそうか……。エル、俺から離れないようにな。
エル……うん。
イバルよし、そうと決まれば全員俺について来いっ !
ミラ無駄に張り切ってるわね……。まあ、変に暗くなるよりマシだけど。
ルドガーああ、こういうときはイバルの明るさが助かるよ。
ミラそれで、あっちはあなたで何とか出来ないの ?
ルドガーあっちって…… ?
ユリウス…………。
ルドガーああ、兄さんのことか。
ミラ気になるなら、今の内に話しておいたほうがいいんじゃない ?あのビズリーって男とも色々あったんでしょ ?
ルドガー……そうだな。ミラ、少しだけエルを頼む。
ミラええ。
ルドガー兄さん。
ユリウスどうした、ルドガー ?
ルドガーいや、さっきからずっと険しい顔してるから……。
ユリウスそうか、すまない……。少し考え事をしていてな。
ルドガーそれって、やっぱりビズリーのことか ?
ユリウスああ……あいつがいったいここで何をするつもりなのかと。
ルドガーそれはイバルもわからなかったって話だし俺たちが直接確認するしかないさ。
ユリウスそうだな……。
ルドガー……兄さんまだ俺に、隠していることがあるんじゃないか ?
ユリウス…………情けないな。弟を不安にさせるようじゃ、兄失格だ。
ユリウスだが、ルドガー……俺は……。
ルドガーいいよ。兄さんが話したくないっていうなら俺は聞かない。
ユリウス……いいのか ?
ルドガーああ。本当に話さないといけない時が来たら兄さんはちゃんと話してくれるって知ってるからな。
ルドガーでも、あまり一人で抱え込まないでくれ。俺が言いたかったのは、それだけだよ。
ユリウス……すまないな、ルドガー。お前には苦労ばかりかけてしまう。
ルドガー兄さんほどじゃないさ。
ユリウス……ははっ、お前も言うようになったな。
ユリウスいずれにしろ、ビズリーが帝国兵と手を組んでいるのなら、敵対する可能性は高い。気を抜くなよ、ルドガー。
ルドガー…………。
ユリウスどうした ?
ルドガーいや、昔の兄さんなら、こういう時「後は俺に任せろ」って言って俺を関わらせないようにしていたから……。
ルドガー俺のこともちゃんと頼ってくれている気がして、嬉しくなったんだ。
ユリウスルドガー……。ああ、どうせお前は言っても聞かないからな。また勝手に首を突っ込まれても困る。
ルドガーええっ ! ? 酷いな、兄さん……。
ユリウスふっ、冗談だよ。
ユリウス……頼りにしているぞ、ルドガー。
ルドガー……ああ ! 任せてくれ !
イバルおいっ ! ルドガー、ユリウス !何をしてるんだ、もう敵の本拠地だぞ !
ルドガーわ、悪い ! ……あの建物がそうなのか ?
ユリウス当然だが、帝国兵たちが周囲を警備しているな。あれではそう簡単に侵入できない。
ミュゼあそこの兵士たち、集まって何か話してるわね。
ガイアスミュゼ、奴らの会話を俺たちに流せ。
ミュゼええ、えっと……。「以前も侵入者がいたから気を付けろ」「ああ、あの仮面の男か」
エルパパ !やっぱり、パパはここに来たんだ !
ミュゼ待って、まだ何か話してるわ。「あの男なら、ビズリー様が捕まえただろ ?」「そうだ、今は地下に幽閉している」
ルドガーそんな、ヴィクトルさんが ! ?
エルパパ…… ! !
ルドガー待て、エル ! 一人で動いちゃ駄目だ !
エルでも、パパが……パパを助けなきゃ ! !
ルドガー大丈夫だ ! ヴィクトルさんは俺たちが絶対助ける !だからまずは落ち着くんだ。
ミラええ、私たちに任せなさい。
ミラけど、あの警戒網を突破するのは一筋縄じゃいかないわね……。あなた、何か手はないの ?
イバル俺だけならともかく、これだけの人数となると潜入するのは正直厳しいな。
ミュゼいいわ、面倒だし、私が全部片付けてあげる !
ミラえっ、ちょっと待ち――
ミュゼ――ディフュージョナルドライヴ ! !
帝国兵Aぐわああああああああっ ! !
帝国兵Bな、なんだ ! ? 敵襲か ! ?
ミラ何やってるのよ ! ?
ミュゼ潜入は無理なんでしょう ?だったら全員倒すしかないじゃない。
帝国兵Cこっちだ ! すぐに兵たちを集めろ ! !
イバルおいっ ! 他の兵たちも集まってきたぞ ! ?
ガイアス……やむを得ん。正面突破で行くぞ !

キャラクター6話【黒歪6 施設を進め】
ヴィクトル……ここは ?
ビズリー目が覚めたか、ヴィクトル。
ヴィクトル……私を幽閉してどうするつもりだ ?
ビズリー言わなかったか ?君の実力を見込んで、私の力になってもらいたい。
ヴィクトル断る。
ビズリー即答だな。その頑固さは兄譲りか ?それとも……。
ヴィクトルお前とこれ以上話すつもりはない。
ビズリーやれやれ、随分と嫌われたものだ。
伝令兵A失礼します !ビズリー様 ! 至急、お伝えしたいことが !
ビズリーどうした ?
伝令兵Aはっ ! 先ほど、こちらの施設が何者かに襲撃されました ! 現在、我々で対応しておりますが相手方にガイアスの姿を確認しております。
ビズリーほう、ガイアス王自ら乗り込んでくるとはな。
伝令兵Aまた、一つ不確かな報告ですが現場には小さな子供もいたとか……。
ヴィクトル! ?
ビズリーふっ、面白い。となると、ガイアス王の同行者はルドガーやユリウスたちで間違いなさそうだ。
ビズリーそして、『クルスニクの鍵』であるお嬢さんも一緒か。
ヴィクトルビズリー ! ! エルに手を出したらお前を殺す ! !
ビズリー安心しろ、命を奪うようなことはせん。だが、君との交渉材料にはなりそうだな ?
ヴィクトル貴様…… ! !
ビズリー娘の安全を願うなら、大人しくしていろ。その間に、今後のことを考えておくんだな。
帝国兵Dいたぞ ! 奴らを捕まえろ ! !
ミラまた増援 ! ? どれだけ出てくるのよ ! !
ユリウス兵だけじゃない。おそらくビズリーが用意させた警備用の機械兵器も増えてきている。
ミュゼいっそのこと、この施設ごと吹き飛ばそうかしら。
ガイアスやめろ。それでは俺たちも生き埋めだ。
ルドガーそれに、ヴィクトルさんだっているんだ。下手なことはできない。
エルパパ……待っててね。エルたちがパパを助けるから…… !
ルルナァ~ ! !
エルあっ、ルル ! 駄目だよ ! どこ行くの ! ?
ルルナァ~ ! ナァ~ !
イバルなにっ ! ? そっちに安全な道があるだと ! ?
エル本当だ ! ねえ、こっちに階段があるよ !パパがいる地下室ってこっちかも !
帝国兵D子供が離れたぞ ! 捕えろ !
機械兵器A―――― ! !
エルえっ ! ?
ユリウスマズい ! エル ! !
ルドガー兄さん ! ! エル ! !
イバルおいっ、妙な機械の攻撃のせいで通路が塞がれたぞ !
ミラエルとユリウスは無事なの ! ?
エルけほっ、けほっ…… !
ルドガーエル ! 無事か !
ユリウス安心しろ。俺とエル、それにルルも無事だ。
ルドガーそうか……よかった !
ユリウスだが、崩れた瓦礫をどけるのは時間がかかりそうだ。俺たちはこのまま、エルが見つけた地下へ続く階段を進む。
ユリウスうまくいけば、ヴィクトルを発見できるかもしれないからな。
ルドガー……わかった。兄さん、エルとヴィクトルさんを頼む !
ガイアスこちらも、防戦一方とはいくまい。一気に蹴散らすぞ !
ルドガーああ !

キャラクター7話【黒歪7 対面】
ミラはぁ、はぁ……どうやら、もう来ないみたいね。
イバルふ、ふはは……あいつらも……ようやく……このイバル様の実力に……恐れをなしたか…… !
ガイアス油断するな。おそらく意図的に兵を退かせたのだろう。何を考えているのかは読めんがまた隙を見て襲ってくる可能性は高い。
ミュゼその時は、また追い払えばいいだけよ。それより、エルたちは大丈夫かしら ?
ルドガー兄さんと一緒だから大丈夫さ。何があっても絶対に守ってくれるはずだ。
ミュゼ……前から思ってたんだけどあなたってお兄さんのことを本当に信頼しているのね。
ルドガー……ああ。兄さんは尊敬できる人でずっと俺の憧れだからな。
ミュゼそう。ちょっとだけ、ユリウスが羨ましいわ。
ルドガーえっ ?
ミュゼだって、もしミラが私をそんな風に思ってくれたなら、とても嬉しいもの。
ミラ…………。
ミュゼあら、どうしたの ?もしかして、こっちのミラはそう思ってくれていたのかしら ?
ミラち、違うわよ…… !私の姉さんは……あなたじゃないわ。
ミュゼええ。だけど、私にとってはあなたもミラよ。それだけは忘れないでね。
ミラ……そんなこと、今言わなくてもいいでしょ。
ミラでも、一応……覚えておくわ。
ミュゼふふっ。それじゃあ、こんなところはさっさと出てまた美味しいものを探しに行きましょう。
ルドガーははっ、そうだな。それじゃあ、行くか…… !
ガイアスああ、この先にビズリーがいるだろう。奴の真意を聞かねばならん。
ルドガーこれは…… ?
ガイアスクレーメルケイジか。元々、帝国軍が所有していた物とはいえかなりの数だな。
ミュゼそれに、精霊の気配も感じるわ。きっと、これを使って精霊片を管理しているのね。
イバルなんだ、そのクレーメルケイジというのは ?それに、精霊の気配だと ?
ルドガーえっと……俺も詳しく説明はできないんだが簡単に言えば、この中に精霊を入れることが出来るんだ。
イバルなんだと ! ? まさか、黒匣のようなものなのか ! ?
ガイアスいや、クレーメルケイジは黒匣とは違い精霊に悪影響を与えることはない。だが……。
ミラ……悪用すれば、精霊を捕らえることができるわ。以前の帝国がやっていたようにね。
ルドガーまさか、ビズリーがやろうとしていることって……。
ビズリーようこそ、私の研究室へ。許可なく立ち入るのはあまり感心しないがな。
ガイアス……無礼は承知の上だ、ビズリー。
ビズリーお久しぶりです、ガイアス王。あなたのご活躍は、この世界に来てからも私の耳に届いています。
ビズリー無論、これまでの帝国との出来事や君たちが鏡士に協力していたことも含めて。
ルドガーそこまで知っているのか……。
ビズリーいつ如何なる時も情報は重要だ。たとえ我々の世界と異なる地であろうとな。
ミラ全部知った上で傍観者を決め込んでたってわけ ?この世界が滅ぶかもしれないってときに。
ビズリーいざとなれば、私も君たちに協力していただろう。だが、いずれ敵対するであろう鏡士に目を付けられることは避けたかったのだ。
ルドガー敵対 ? どうしてイクスたちと戦う必要があるんだ !
ビズリーそれは、この世界も一緒だったからだ。
ガイアス一緒だと ?
ビズリー説明したところで、君たちとの衝突は避けられないだろう。
ビズリーだが、ルドガー。お前には選ぶ権利がある。呪われた一族から解放される為にもな。
ルドガーなんだって ?
ビズリー今はルドガーと二人で話がしたい。他の者たちには、お引き取り願おう。
イバルなんだ ! ? 床が光って…… !
ガイアス転送魔法陣か ! ? 今すぐ離れ――
ルドガーみんな ! ?
ビズリー安心しろ。施設内の別の場所に移動させただけだ。今の私が使える技術ではそれが限界なんでな。
ルドガーどうして俺だけを残したんだ ?
ビズリーお前に話しておくことがある。
ビズリー来たまえ。万が一、ここにあるクレーメルケイジを壊されては困るからな。
ルドガー……一つ教えてくれ。みんなは……ヴィクトルさんは無事なのか ?
ビズリーああ、命の安全は保証しよう。それも、お前の態度次第だがな。
ルドガー……わかった。
ビズリーいい判断だ。それでは、付いてきたまえ。君自身のことを知るためにもな。
ミラここは……。
ガイアス……転送魔法陣で別の場所に飛ばされたようだ。だが、内装から判断するに同じ施設内のどこかだろう。
ミラルドガーはまだあいつのところよ !早く戻らないと――
ミュゼ待って、ミラ。やっぱりまた出て来たみたいよ。
帝国兵Eいたぞ ! ビズリー様の仰った通りこの部屋に侵入者が集まっている !
イバルくそっ ! こいつら待ち伏せしてやがったのか ! ?
帝国兵E全員捕らえろ ! かかれ !
ミュゼさせないわ !――エザリィルーツ !
イバルあ、相変わらず容赦がないな……。
ミラけど、お陰で不意打ちを喰らわずに済んだわ。
ガイアスよくやった、ミュゼ。
ミュゼふふっ、どういたしまして。さあ、邪魔者はとっとと消えなさい !
帝国兵E……いや、消えるは貴様のほうだ !この中で大人しくしてもらうぞ !
ミュゼきゃあああっ ! ?
ガイアスミュゼ ! ?
帝国兵Eどうだ ! これがビズリー様が改良した精霊捕獲用のクレーメルケイジだ !
イバルあいつら…… !
帝国兵Eさあ、どうする !鏡映点といえども、たった三人では我々の部隊には勝てんぞ !
ガイアス随分と舐められたものだな。
帝国兵Eなんだと ?
ガイアス――ミュゼは返してもらうぞ。

キャラクター8話【黒歪8 脱出】
ヴィクトル……くっ、やはり簡単に切れるような鎖ではないか。
ヴィクトルこうしている間にも、あいつはエルを…… !
? ? ?――ナァ~……。
ヴィクトルこの声は…… !
ルルナァ~。
ヴィクトルルル ! どうしてここに…… !
エルパパッ ! !
ヴィクトルエルッ ! !
ユリウスよかった、無事だったんだな。
ヴィクトルユリウス、お前まで……。
エルあのねっ ! エルが頼んだのっ !ユリウスだけじゃなくてルドガーもみんなも一緒でパパが……パパが心配だったから…… !
ユリウス大丈夫だ、エル。さあ、ヴィクトルを解放しよう。
ユリウス……柵に、仕掛けはないか。これならすぐに錠を破れそうだ。
ユリウスよし、開いたぞ。
エルパパッ ! ううっ、うわああああああっっ ! !
ヴィクトルエル……心配をかけてすまなかった……。
エル……ううん、ぐすっ……エルはへーき。パパは…… ?
ヴィクトルああ、問題ないよ。こんな傷…………ぐっ !
ユリウス随分と派手にやられたな。応急処置はしてやれるが、暫くは我慢してくれ。
ヴィクトル……問題ないと言っているだろ。それより、どうしてここに来た ?お前もビズリーの存在に気付いたのか ?
ユリウスいや、それを知ったのはついさっきだ。
ヴィクトルじゃあ、何故……。
ユリウス弟を助けにいくのに、理由なんて必要か ?
ヴィクトル! ?
ユリウスあまりエルに心配をかけるようなことはするなよ。
ヴィクトル…………。
ユリウスこれで手錠も解けたな。あとは……。
ルルナァ~。
エルルル、どうしたの ?そっちに何かあるの ?
ユリウス俺が行こう。また何か見つけてくれたのかもしれないからな。
エル……パパ、ごめんなさい。
ヴィクトルどうして謝るんだ ?
エルだってエル、パパとの約束破っちゃったから……。良い子で待っていなさいって言われたのに……。パパ、怒ってる ?
ヴィクトル……ふっ、怒るわけないだろ。エルのお陰で、パパは助かったんだ。
ヴィクトルありがとう、エル。ここまでよく頑張ったな。
エルパパ…… ! うん ! エル、頑張ったよ !
ユリウスヴィクトル、いいものがあったぞ。ルルにお礼を言っておけよ。
ルルナァ~。
ヴィクトルこれは……私の武器を見つけてくれたのか。
ユリウスヴィクトル、さっきはお前を助けるために来たと言ったが、ビズリーがいるとわかった以上俺もあいつを野放しにしておくわけにはいかない。
ユリウスビズリーの居場所を教えてくれ。
ヴィクトル……奴が消えていった通路はこの先だ。
ヴィクトルおそらくビズリーはそこにいる。なんとしても、あの男を止めなくてはいけない。
ユリウスその傷で大丈夫なのか ?
ヴィクトル心配性は相変わらずだな。この程度で後れは取らない。
ヴィクトルユリウス、お前は大事な弟を守りたいのだろう ?ならば、私も力を貸そう。
ユリウスヴィクトル……。ああ、助かるよ。
ヴィクトル……なに、私はただ、借りを作りたくないだけだ。
ガイアス――はあああっ ! !
帝国兵Eば、馬鹿な…… !
ガイアスどうした ? この程度で終わりか ?
帝国兵Eば、化け物め…… !
ミラさすがね……帝国兵たちも怖気づいてるわ。
イバルぐぬぬ……ほとんどガイアスが倒してしまったら俺の活躍の場が…… ! !
帝国兵Eくそっ、せめて捕らえた精霊だけでも ! !
ミラあいつ、逃げる気よ ! ?
イバルさせるかっ !
帝国兵Eひぃ ! ?
イバルはははははっ ! この俺から逃げられると思うなよ !でぇい ! !
イバルよし ! ミュゼを取り返したぞ !……で、どうやってここから出すんだ ?
ミラ貸して。メルディたちに本物を見せてもらったことがあるから違うところを探せば……。
ミラ――あった。きっとこれね。
ミュゼミラ~~~~ ! !
ミラきゃあ ! ? ちょ、ちょっと、急に抱きつかないで !
ミュゼだって、ミラが助けてくれたんですもの。ちゃんとお礼をしなきゃ ♪
ミラなんでお礼が抱きつくことなのよ !
イバルちょっと待て ! 助けたのは俺だぞ !
ガイアス……お前たち、それくらいにしておけ。
ミュゼはーい。でも、敵は全部やっつけちゃったのね。残念。
ガイアスいや、まだ肝心の奴が残っている。
ミラええ。ルドガーが一緒にいるはずよ。
ガイアスそう簡単にやられる奴ではないが相手はあのビズリーだ。油断はできん。
ミラ……そうね、急ぎましょう !

キャラクター9話【黒歪10 決着】
ビズリー……ここまで来ればクレーメルケイジを壊されることもあるまい。
ルドガー約束通り、話を聞かせてくれるんだな ?
ビズリーああ、だがその前に一つ私の質問に答えてほしい。
ビズリールドガー。お前は、この世界をどう思う ?
ルドガーどうって……。
ビズリーこの世界は、オリジンの審判もなければ我々クルスニク一族の醜い争いからも解放された世界だ。
ビズリー現に、お前やユリウス……そして、分史世界の人間ですら生きていくことができる。
ビズリー果たして、そんな世界がいつまでも続くと思うかね ?
ルドガー悪いが俺には何が言いたいのか……。
ルドガーん ? いや、ちょっと待ってくれ。『我々』って…… !
ビズリー……そうか、『お前の記憶』ではまだ知らないことだったか。ならば、それについても話そう。
ビズリー私も、お前と同じクルスニク一族の人間――お前とユリウスの父親だ。
ルドガーなっ ! ?あんたが……俺と兄さんの父親…… ! ?
ビズリーユリウスは上手く隠していたようだがな。……お前も私も、クルスニク一族は精霊によって全てを狂わされた。
ビズリー骸殻能力も、分史世界の存在も全てはオリジンたちが仕組んだゲームだったのだ。私たち人間を試すためのな。
ルドガーそんな……。
ビズリーその因果も、全て断ち切られた。出来れば、私の手で人間をあざ笑う精霊共を殴りたいと思っていたが、それも今では叶わない。
ビズリーだが、依然として我々人間は精霊という存在に縛られていると思わないか ?
ルドガー……俺はそんな風には思わない。
ビズリーだろうな。だが、それは精霊たちがやってきたことをお前が知らないからだ。
ビズリーよく聞け、ルドガー。精霊共は、いつ人間に刃を向けるかわからない。それはこの世界でも同じだ。
ビズリーいや、それだけではない。精霊の力を利用し、世界を手中に収めようとする連中が出てくることだって考えられる。
ビズリーそうなってしまえば、また悲劇が繰り返される。ならばその前に、私が全ての精霊を支配してやろう。
ルドガービズリー……それがあんたの目的か。
ビズリーそうだ。その為にこの世界の研究データを集め帝国が残した装置も利用させてもらった。無論、帝国兵たちも私に賛同し協力している。
ビズリー人間の力のみで生きていく世界。それこそが、本来あるべき世界の形だ。
ビズリールドガー、お前も私の元へ来い。その骸殻の力を、私の為に使え。分史世界を壊し続けたようにな。
ルドガー……ヴィクトルさんを捕らえたのもそれが理由か ?
ビズリー結果的には、そういうことになる。あいつはユリウスに似て私の言うことを素直に聞かなかったがな。
ルドガーだったら、俺も同じだ。あんたは間違っている !
ルドガーこの世界は、誰かが支配していいものじゃない !その相手が人でも……精霊でもだ !
ビズリー交渉は決裂か。いいだろう、ならば私を止めてみろ、ルドガー。お前にその覚悟と力があるのならな !
ユリウスビズリーが、そんなことを……。
ヴィクトルああ、奴は本気で精霊を支配しようとしている。そんなことをすれば、この世界はどうなるかわからない。
エルそんなのやだよ…… !せっかく、みんなで守った世界なのに !
エルそれに、ミュゼやミラだって……。
ユリウスそれで、お前はビズリーを止めようとしたんだな ?
ヴィクトルこの世界は、私とエルが一緒に暮らしていける場所なのだ。勝手な真似をさせてたまるか。
ユリウスそれは俺も同じだ。だが、単独行動をする前に相談ぐらいは誰かにしてほしかったな。
ヴィクトル……説教なら聞かんぞ。
ユリウスああ、わかってるよ。ちゃんと反省はしているようだからな。
エルな、なに…… ! ?
ユリウスこの上からだな。急ぐぞ !
ルドガーぐああああああああっっ ! !
ビズリーその程度か、ルドガー ! !
ルドガー……くっ !
ユリウスルドガー ! !
ルドガー兄さん ! エル !それにヴィクトルさんも…… !
ビズリーやはりお前も来ていたか、ユリウス。こうして顔を合わせるのは、いつ以来かな ?
エルパパだけじゃなくてルドガーまで…… !どうして、そんなひどいことするの ! ?
ユリウスルドガーから離れろ !さもなくば、ここでお前を倒す !
ビズリーふん、やってみるがいい。できるものならばな。
ユリウスうおおおおおおっっ ! !
ビズリーはあああっ ! !
ビズリー腕は衰えていないようだな。さすがは我が社が誇るエージェントだ。いや、元エージェントと言った方が正しいかな ?
ユリウスお前との因縁は、今ここで終わらせる !
ルドガー兄さん……くそっ……俺も加勢を…… !
ヴィクトル君は下がれ !この男は、私たちの手で決着をつける !
ビズリー二対一か……。それも、骸殻能力者となればまとめて相手をするのは面倒だ。まずはお前に消えてもらおう、ユリウス !
ユリウスなにっ ! ? 速い…… ! !
ビズリー大人しく眠っていろ ! !
ユリウスぐはあああっ ! !
ルドガー兄さんっ ! ?
ヴィクトル貴様…… ! !
ビズリー懲りずに私のところへ来たのは褒めてやろう。だが、結果は同じだ ! !
ヴィクトル……かはっ ! !
エルパパッ ! ! ! !
ビズリーさて、残りは……。
ルドガーくっ……。
エルやめて ! !
ルドガーエル ! ? こっちへ来ちゃ駄目だ !
ビズリーお嬢さん、悪いがじっとしていてもらおう !
エルきゃあああっ ! !
ビズリー次は当てる。命の保証はないぞ。
エルやだ……。パパも、ルドガーもユリウスも…… !みんなが傷つくのはやだっ ! !
ビズリー聞き分けの悪いお嬢さんだ。
ヴィクトルやめ、ろ…… ! ビズリー ! !
ルドガーエル ! !
ビズリー庇うつもりか ?ならば、もろとも吹き飛べ !
エルルドガァァ~~~~~ッ ! !
ルドガーエル~~~~~ッッ ! !
ユリウスな、なんだ…… !何が起こった ! ?
ヴィクトル! ? あれは…… !
ルドガー……無事か、エル ?
エルう、うん……。
ビズリー……時計と直接契約したか。
ユリウス契約だと ! ? ならば、あのルドガーの骸殻は…… !
ヴィクトル……そうだ。あの姿こそルドガー・ウィル・クルスニクの本当の骸殻能力だ。
ミラいたわ !
ガイアスどうやら、勝負はまだ決していないようだな。
ビズリー……ふっ、役者が全員揃ってしまったか。だが、相手にとって不足はない !
イバルお、おい ! この人数相手でもやろうって言うのか ! ?
ミュゼそっちがその気なら、私も容赦しないわよ。
ルドガー……ビズリー。あんたの野望は、ここで終わりだ !
ビズリー……楽しませてくれる !

キャラクター10話【黒歪10 決着】
ビズリー…………くっ。
ルドガー……決着はついた。ここまでだ。
ビズリールドガー、お前はっ !
ルドガーふっ ! !
ビズリーなっ ! ?
ルドガーこれ以上やるつもりならあんたの安全は保証できない。
ビズリーふふ……まさかお前に超えられるとは……。
ビズリーわかった、悪あがきはすまい。
ルドガー……ふぅ。
エルルドガー !
ルドガーエル、大丈夫だったか ?
エルうん、エルは大丈夫だよ !
ルドガーそうか、よかっ…………た。
エルルドガー ! ?
ルドガーあれ……おかしいな…… ?力が……入らない……。
ユリウスまさか、骸殻能力の影響が…… ! ?
ビズリー……目覚めた力で消耗しただけだ。お前が懸念するようなことではない。
ビズリー時計と契約したとはいえこの世界で発現する骸殻能力は忌まわしきクロノスの精霊片の力だからな。
ビズリーそして、ルドガーの力はお嬢さんに起因する。それについては鏡士か魔鏡技師にでも聞いているはずだ。
ユリウス……そこまで知っていたのか。
ビズリー帝国が残した資料があったのでな。だからこそ、時歪の因子化が進まないことはお前もよく知っているはずだ。
ユリウスああ、信じるよ。お前の言葉ではなくシドニーや仲間たちの言葉をな。
ミュゼ話は終わったのかしら ?それじゃあ、さっさとこの人を捕まえちゃいましょう。
ミラそうね。あとは、集めた精霊片もどうにかしないと。
イバルよし ! ならば早速ミラ様に連絡だな !
ミラ嬉しそうね……。まあ、それが妥当でしょうしひとまず、これで一件落着ってところかしら。
ヴィクトル帝国軍の残党も救世軍だった者たちが対処してくれるだろう。だが……。
ビズリー私の処遇なら、お前たちの好きにしろ。
ヴィクトル……随分と引き際がいいな。まさか、他にも何か仕組んでいるのか ?
ビズリーいや、生憎もう打つ手はない。無駄な抵抗はしないというだけだ。
ビズリーだが、私の意志は変わらない。やはり精霊は危険な存在だ。
ビズリー奴らが人間を見限るその前に人間だけの意志で世界を動かさねばならんのだ。
ルドガーどうしてそこまで精霊を……。
ビズリー言っただろう。我々クルスニク一族は精霊によって狂わされた。私はその歪みを正さねばならんのだ。
ルドガー……もし、そうだったとしてもやっぱり俺は、あなたの意見には賛同できない。
ルドガー人と精霊は共に歩んでいけるはずだ。
ビズリー…………。
ガイアスビズリー。かつての俺も、お前と同じように自らの意志のみで世界を導こうとした。
ガイアスだが、それに抗う強き者たちと出会いその可能性を信じることにしたのだ。
ガイアスお前も、彼らを信じてみてはどうだ ?
ビズリー……そいつはできんな。だが、今の私にお前たちを否定する権利もない。好きなようにしろ。
ビズリー……もしこの世界でも、奴らが人間を試すようなことを始めれば――
ビズリーその時は容赦なくこの拳を叩きつけにいくだけだ。
ユリウス――わかった。俺はそれで問題ない。また何かあったら連絡してくれ。それじゃあな。
ルドガー兄さん、イクスたちからの報告はどうだった ?
ユリウスああ、まずビズリーだが精霊調査を行っているミラたちの仕事に協力するとのことだ。
ルドガーそうか。大丈夫なんだろうか……。
ユリウスビズリー自身から申し出があったらしい。精霊に関する調査に自分も参加させて欲しいとな。
ルドガーイクスやミラたちは、それを受け入れたってことか。
ユリウス野放しにするよりは、自分たちの見える範囲で行動させたほうがいいと判断したんだろう。
ユリウス帝国兵の残党もビズリーに従って大人しく投降したそうだ。
ユリウス実際のところビズリーの働きは優秀で今は魔鏡技師の技術などにも興味を示してるんだとさ。
ルドガーそれも、ビズリーがこの世界を受け入れようとしているからだといいんだけど。
ユリウスどうだろうな。まあ、あの男ならまたクランスピア社のような会社を立ち上げても不思議じゃない。
ルドガーははっ、もしそうなったら俺たちもスカウトされたりして。
ユリウスそのときは、問答無用で断るがな。
ルドガー……兄さん、ビズリーから聞いたんだけど俺たちの父親は、本当にあいつなのか ?
ユリウス……ああ、そうだ。今まで黙っていて、すまなかった。
ルドガーいいよ。兄さんのことだからきっと俺のために言わなかったんだろうしなんとなく理由も想像できるから。
ユリウスルドガー……。
ルドガーありがとう、兄さん。ずっと俺を、守ってくれて。
ユリウス当たり前だろ。お前は俺の……大事な弟だからな。
ルルナァ~。
ルドガーん ? ルル、どうしたんだ ?
エルルドガー ! ユリウス ! 遊びに来たよ !
ヴィクトル邪魔をする。
ルドガーエル、ヴィクトルさん !いらっしゃい、早かったな。
エルねえ、ミラたちはまだ来てないの ?
ルドガーああ。けど、もうすぐ約束の時間だしそろそろ来ると思うぞ。ミラも張り切ってたからな。
エルうん ! ミラが作ってくれるスープ楽しみだね !
ヴィクトルエル。それじゃあ、パパが迎えに来るまで良い子にしてるんだぞ。
ユリウス……お前は帰るのか ?
ヴィクトル私はエルを送りに来ただけだ。食事会は君たちだけでやるといい。私がいては余計な気も遣うだろう。
ルドガーいや、そんなことは……。
ミラちょっとルドガー ! 大変よ !
ルドガーミラ ! ? どうしたんだ、そんなに慌てて ?
ミラどうしたもこうしたもないわよ !今日の食事会、ミュゼが勝手に他の人たちも呼んでたのよ !
ミュゼだって、人数は多い方が楽しいでしょ ?
ルドガーえっと、ちなみに誰を呼んだんだ ?
ミュゼまずはミラでしょ ? それにジュードにレイアアルヴィンにエリーゼとローエンよ。みんな、都合がつくから来てくれるそうよ。
ルドガーえっ ! ? そ、そんなに ! ?
エルやったー ! ジュードたちとも会えるんだ !みんな、元気かな ?
ミュゼガイアスとイバルは仕事中だけど終わったらすぐに向かうって言ってたわ。
ユリウスそれは……なかなかの人数だな……。
ルドガーしょ、食材は今から買いに行けばなんとかなると思うが……。
ミラ私とルドガーだけじゃ料理を作る人手が足りないわ !せめて、あと一人でも料理が出来る人が……。
三人…………あっ ! !
ヴィクトル…………何だ ?
ルドガーヴィクトルさん、頼む !
ミラ今頼れるのはあなただけよ !
ヴィクトルしかし……。
エルパパ、お願い !エルも一緒に手伝うから !
ユリウス俺からも頼むよ、ヴィクトル。弟たちを助けてやってくれないか ?
ヴィクトル……この状況で、帰るわけにもいかないか。
ルドガーありがとう、ヴィクトルさん!
ルドガーよし、それじゃあ、みんなが集まるまでに料理の準備をしよう!