キャラクター1話【聖夜1 クリスマス間近】
クンツァイトリチアさま。イネスから依頼されていた輸送任務が完了しました。
リチアありがとう、クンツァイト。これで今日分の搬入はおしまいですね。
ヒスイ明日は朝からこいつらの検品か。頼りにしてるぜ、クンツァイト。
クンツァイト了解した。しかし、ヒスイにも一層の努力を要請する。このような原始的労働にリチアさまのお手を煩わせることなど許されない。
ヒスイ原始的労働ってお前なぁ……。『日々寧日』のクリスマス業務をそういう風に言うとイネスからどんな無茶ぶりされるかわかんねぇぞ ?
クンツァイト……忠告、感謝する。
クンツァイトまた、ヒスイに確認事項がある。リチアさまを外にお連れしているのは何故だ。現在の屋外気温では体調を崩される可能性がある。
ヒスイだ、だからこうして俺のコート着させてんだろうが。リチアが外周りのお前を出迎えたいって言って聞かなかったんだ、仕方ねぇだろ ?
リチアそうですよ、クンツァイト。ヒスイはわたくしのワガママを聞いてくれただけです。怒るのならわたくしを怒ってください。
クンツァイト……守護機士の自分には、主であるリチアさまを怒るなど不可能です。どうか防寒対策を整えて下さい。ヒスイのコートでこの気温に耐えるのは困難です。
ヒスイなんだとてめぇ !
リチアふふ。ヒスイのコートはとても暖かいですよ。クンツァイトも着たらわかるはずです。
ヒスイなんでこいつに貸さなきゃなんねぇんだよ。勘弁してくれリチア !
シングおーい ! ヒスイ~、リチア~ !イネスが商品の仕分けを手伝って欲しいってさ !
コハクあ、クンツァイト ! おかえりなさい !丁度よかった。クンツァイトも手を貸してくれない ?
クンツァイト肯定。現在の自分の主任務は『日々寧日』のクリスマス商戦対応業務の補助である。リチアさまと共に商品仕分けの支援を行う。
イネスうんうん、順調順調 ♪ロゼたちセキレイの羽にも協力してもらった甲斐があったわ ♪
コハクん~イネスが淹れてくれたココアおいし~。
リチアはい、体の芯まで温まりますね。
シングうん !上に乗ってるホイップクリームも甘くて美味しいよ !
ヒスイ今回は妙に気が利くじゃねぇか、イネス。
イネス頑張ってる従業員を労うのは当然よ。お給金だって色々手当を付けてるんだから。
ヒスイああ、そうだったな。おかげでコハクたちと派手にクリスマスパーティーができるってモンだぜ。
コハクねぇ、リチア。クリスマスプレゼントの準備はどう ?今年はみんなで交換会をしようって話になってたけど。
リチアお給金次第ですが、色々と考えています。コハクはどうするのですか ?
コハクわたしも同じ。今はお店を回ってるところなんだ。
イネスそういうことなら私に任せて。あなたたちがプレゼントを贈る相手を考慮してバッチリな品物を用意してあげるわ。
ヒスイ『日々寧日』で働いた給料で『日々寧日』の商品を買わせるのかよ……。
クンツァイト生産と消費が無駄なく循環している。実に合理的だ。
シングそうだね !イネスはオレたちのことをよく知ってるからプレゼント選びも信頼できるし !
ヒスイお前ら無邪気すぎるだろ……。つーかイネス。その恰好どうしたんだ ?昨日まではいつもの服だったのによ。
イネスクリスマスといえばサンタクロースでしょ ?ヒスイも欲しいなら用意してあげるわよ ?防寒具代わりにもなるわ。
ヒスイ俺はこれくらいの寒さどうってことねぇよ。代わりにコハクとリチアに用意してくれねぇか ?
クンツァイト自分も同様の要請をする。リチアさまはクリスマスを楽しみにされている。体調管理は徹底しなければならない。
イネスわかった、用意しておくわ。あぁ、さっきのクリスマスプレゼントのことだけど。
イネス今回は本当にみんなに助けてもらってるから特別手当ってことで、準備費用は私が出すわ。
シング本当 ! ? ありがとう、イネス !それならオレは── !
コハクここで言ったら駄目だよ、シング !交換会の楽しみが減っちゃうから。
イネスそうね。後でこっそり教えてくれる ?
シングあぁ、そうだった !うん、そうするよ。
クンツァイト…………。
ヒスイどうしたんだよ、クンツァイト。
クンツァイトクリスマスプレゼント。クリスマスに親しい者に渡す贈り物。伝統行事、儀式……。
クンツァイトヒスイ。オマエはリチアさまに何を贈るのだ。
ヒスイ今の話聞いてなかったのかよ ! ?こ、ここで言える訳ねぇだろ ! ?
クンツァイト開示してはならないのは、贈り物の内容が不明であれば交換時の期待感が高まるからか ?
ヒスイそうだよ ! わかってんじゃねぇか。
クンツァイト……その心理は理解できる。しかし、自分のスピリアは不安を覚えている。
クンツァイトリチアさまに何をお贈りすれば喜んでいただけるのか。シミュレーションを重ねても明確な答えが得られない。
ヒスイお前は何でも難しく考えちまうからなぁ……。まぁ俺にだってそいつはわかんねぇんだけどよ。
ヒスイんじゃ、後で一緒に考えるか。二人で悩めばなんか出るだろうからな。
クンツァイト……感謝する、ヒスイ。

キャラクター2話【聖夜2 見知った少女】
イネスよーし、入荷物確認終わり。クンツァイトがいると作業の効率が全然違うわね。
クンツァイト自分は機械人だ。この程度は造作ない。
イネスソーマを使えば四本腕で作業もできちゃうしね。このままずっとウチで働かない ? お給金も弾むわよ ?
クンツァイトそれは不可能だ。自分にはリチアさまをお守りするためにお側を離れることはできない。
イネスふふ、冗談よ。繁忙期にリチアやシングたちと一緒に手を貸してくれるだけで助かるわ。
クンツァイトイネスから要請があり、リチアさまが許可された場合あらゆる支援を行うと約束しよう。
イネス契約成立ね ♪ それじゃ事務所に戻りましょうか。シングたちには配達をお願いしちゃったから今頃リチア一人で商品の梱包をしてるだろうし。
クンツァイト了解。速やかに撤収行動へ──
イネス……クンツァイト ? どうかした ?
クンツァイトこの泣き声は……記録照合……該当データあり。泣き声の発生源、探索開始。
イネスちょ、ちょっとクンツァイト ! ?どこへ行くの ! ?
? ? ?うぇ~~~~ん……。
クンツァイトやはり──アン !
アンえ……おにいちゃん、だれ…… ?
イネスクンツァイト、急に走り出して一体どうしたのよ ! ?
アン…………。
イネスこ、この子、もしかしてアン ! ?
クンツァイト肯定。彼女の容姿と音声は自分のデータと一致する。しかし、その反応から鏡映点ではないと推測される。
イネス……私たちとの記憶がない。具現化されていても元の世界の記憶がない以上は別人ということね……。
イネスでも、どうして一人なのかしら ?アンが具現化されていたのならシンディとオーブも──
アン? どうしてアンとパパとママをしってるの…… ?おねえちゃんたち、だれ…… ?
イネス私たちは……シンディとオーブの仕事仲間よ。あなたのことは二人から聞いてるわ。
アン……パパと、ママから……。
クンツァイトアン、何故一人でいる ?シンディとオーブは一緒ではないのか ?
アン……パパもママも、おしごとがいそがしいんだって。だからアンはようごいんにいるの……。
クンツァイトヨウゴイン ?
イネスこの街にあるイング養護院のことだと思うわ。あそこは子供の一時預かりをしていたはずだから。仕事で忙しい親は助かってるって話だけど……。
アンいそがしいときはたくさんあったのに……。いまはパパもママも、ぜんぜんあいにきてくれないの。
アンようごいんのひとから、おまえはすてられたって…… !パパ、ママ……うぇぇぇぇぇ~~~~ん !
クンツァイトオーブとシンディがオマエを見捨てるはずがない。そのような可能性はゼロだ。
イネスクンツァイトの言う通りよ。アンのお父さんとお母さんはあなたが大好きなの。だから泣くことなんてないのよ ?
? ? ?あぁ、アン ! やっと見つけました !部屋からいなくなったと思ったらこんな所にいるなんて…… !
アンキャ、キャスリンせんせー……。
イネス……失礼ですが、あなたは ?
キャスリンイング養護院で子供たちの面倒を見ているキャスリンと申します。そちらは ?
イネスこの子の両親の仕事仲間です。アンが一人で歩いていたので気になって声を掛けたところでした。
キャスリンそうでしたか。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
クンツァイト確認。オーブとシンディがアンを養護院へ預けたのは事実か ?
キャスリンはい。今年は特に忙しいそうでして。この子を家に一人にしてしまう時間があるらしくしばらく養護院で預かって欲しいと依頼されました。
イネス……そうですか。でも、アンは養護院の方から、お前は捨てられたと言われたそうなのですが。
キャスリンお恥ずかしい話ですが、そうした酷い言葉をぶつける職員がいるのは確かです。事実関係を確認して 然るべき対応を行います。
イネス子供は大人の言葉にとても敏感です。たくさんの子供の面倒を見ているので大変かと思いますが……。
キャスリン以後、このようなことがないように注意します。さぁ、アン。養護院へ戻りましょう。このまま外にいては風邪を引いてしまいます。
アン……う、ん……。
クンツァイト……イネス。この世界のアンとシンディたちは……。
イネスアンの様子からすると、親子の関係は元の世界と変わらないように感じたわ。そうじゃないとあんな風に泣いたりしないと思うの。
イネスこの時期、商人はみんな書き入れ時よ。シンディとオーブが行商人をやっているのなら雪の中で商売先を渡り歩いているはず。
イネスアンのような子供にそれをさせるのは酷よ。街の養護院に預けたのは仕方ないわ。
クンツァイト状況は把握している。この世界のアンが我々の知るアンとは別の存在であることも理解している。
クンツァイトそれでも自分は……自分のスピリアは。アンをあのままにしてはいけないと警告している。
イネス……ええ。私も同意見よ。違和感を覚えたところもあったしね。
クンツァイト確認。その違和感とは何に対するものだ ?
イネスキャスリン……養護院の職員ね。あの気配と私たちを見る目……。どうにも引っ掛かるのよね。
クンツァイト自分のセンサーは何の反応も示していない。いわゆる気のせいではないか ?
イネス……だといいんだけどね。さぁ、私たちも事務所に戻って仕事を終わらせるわよ。それでリチアも連れてアンの様子を見に行きましょう。
クンツァイト……感謝する、イネス。
クンツァイトリチアさま。クンツァイト、及びイネス。入荷商品の確認任務を終え、帰還しました。
リチアお帰りなさい、二人とも。イネス。あなたにお客様がいらしているのですがお時間はありますか ?
イネスええ、構わないわ。アポはなかったと思うけど、誰かしら。
アリーシャ忙しいところ、突然押しかけてすまない。久しぶりだな、イネス。

キャラクター3話【聖夜3 アリーシャの頼み】
イネス元気そうね、アリーシャ。来るなら事前に連絡してくれればよかったのに。
アリーシャすまない、直前まで仕事に追われていてな……。
イネスわかるわ。それで、今日はどうしたの ? その様子だとクリスマスプレゼントを買いに来た訳じゃないわよね ?
アリーシャ……ああ。ここに来たのも仕事の為だ。私は今、グリンウッド領の統治を手伝っている。騎士として領内の治安維持に努めているんだ。
アリーシャ先日、領内の犯罪組織を一掃した際にこの街のイング養護院が裏で子供の人身売買を行っている情報を掴んだ。
イネス! ?
クンツァイトアリーシャ、その情報は事実か ! ?
アリーシャ今のところ、組織の構成員の証言のみで物的証拠は確認できていないが……イング養護院について何か知っているのか ?
イネス……後で話すわ。今はあなたの話を聞かせて、アリーシャ。
アリーシャわかった。イング養護院についてロゼたちの力を借りて調査を行ったが、人身売買を行っている確かな証拠は掴めなかった。
アリーシャだが、養護院側に逃亡の兆候が確認された。ここで彼らを逃がせば被害者の子供の救出が困難になり、売買ルートの解明もできなくなる。
イネスそうなれば二次被害が広がるわね。養護院が逃げようとしている以上証拠を集めている時間も無い、と。
アリーシャその通りだ。だから強引な手段ではあるが、養護院へ潜入し、人身売買の物的証拠を探す方針になった。だが、養護院側は警戒心が強い……。
アリーシャ考えた末、セキレイの羽が養護院と取引をして私が商品の配達員になって潜入する作戦となった。でもセキレイの羽で問題が起こって──
イネスこの街で商売をしてる私を頼ったって訳ね。話はわかったわ。キャスリンの違和感の正体もね。
アリーシャ…… ? どういうことだ ?
イネスええ。実は──
アリーシャ……何ということだ。では、そのアンという少女は…… !
イネス商品候補で、キャスリンはそのお目付け役ね。ああいう気配をまとった人間には何度か会ったことがあるの。彼女、ただの職員じゃないわ。
クンツァイトアン…… !
アリーシャやはり時間はかけていられないな。イネス。イング養護院との繋がりはあるだろうか ?
イネスごめんなさい。あそことは取引していないの。前に一度営業をかけたんだけど懇意にしてる商会があるから無理だ、ってね。
イネスでも、その懇意にしてる商会──アサノ商会は知ってるわ。
アリーシャ本当か ! ?
イネスええ。よく作業員の募集をしてる商会よ。応募すれば即採用されるはず。アサノ商会を介してイング養護院に潜入することはできると思うわ。
アリーシャありがとう、イネス ! その作戦で行かせてもらう !
クンツァイトアリーシャ、自分も養護院潜入に同行したい。
アリーシャそれは助かる。ぜひ頼むよ。
クンツァイトリチアさま。どうか自分にアリーシャを支援する許可をお与え下さい…… !
リチアクンツァイト……ええ、もちろんです。あなたのスピリアが望むことをなしてください。
クンツァイトありがとうございます、リチアさま…… !
アサノ商会面接官はい、採用です。
アリーシャえ ? あ、あの。
クンツァイト自分たちは名前と経歴しか述べていない。現状は面接と言えない。
アサノ商会面接官我がアサノ商会は圧倒的成長を遂げており幹部候補さえ手広く募集しているのです。要するに人手がまったく足りていません。
アサノ商会面接官現在クリスマス商戦に向けて工場をフル稼働させていますが、とても間に合いません。本日から是非働いていただきたいのですが、可能でしょうか ?
アリーシャクンツァイト、構わないか ?
クンツァイト肯定。前職の経験を活かして即戦力になることを保証する。
アサノ商会面接官あの『日々寧日』さんで経験を積まれていたお二人はとても心強いです。ウチはアットホームな職場ですからきっと気に入りますよ。
アリーシャお心遣い感謝します。では、できれば商品配達員を希望したいのですが。
クンツァイト自分たちは『日々寧日』で商品配達の業務を請け負い結果を出していた。自分たちに任せれば業務効率は前月比200パーセントを約束する。
アサノ商会面接官そのご要望にはお応えできません。お二人の配置先は決まっています。申し訳ありません。
アリーシャ……わかりました。ちなみに、どのような仕事になりますか ?
アサノ商会面接官ノルミン人形の製造ライン工です。
アリーシャ……ノルミン人形の、ライン工 ?
ライン工Aはぁ、はぁ、はぁ…… !ノルマが、ノルマが終わらないぃぃぃ…… !
ライン工B中に詰め込む綿が足りません !誰か ! 誰か持ってきてください !持ってきてぇええええええええええええ !
アリーシャこ、ここは本当に人形の製造工場なのか…… ! ?野戦病院か何かの間違いではないのか ! ?
ノルミンAノルミン人形が1匹、2匹、3匹……。
ノルミンB毎日18時間労働で休憩時間が30分って無茶やわぁ~ ! もういややぁ~ ! ライラはんに会いたいぃ~ !
アリーシャノ、ノルミン様がノルミン人形を作っている ! ?
? ? ?ふん。やっと来たわね、新人 !
クンツァイトオマエは何者だ ?
リーノ監督官私はリーノ。この工場を任されている監督官よ。アリーシャにクンツァイトね、話は聞いてるわ。
リーノ監督官早速だけど働いてもらうわよ !アリーシャ、あなたはノルミンたちの補佐を。クンツァイトは梱包班に入りなさい。
アリーシャ待ってください。どうしてここにノルミン様たちがいるのですか ! ?
リーノ監督官有給休暇でソロキャンプに出掛けた時に魔物に襲われているところを助けたのよ。そしたら恩返しをしたいって言い出してね。
リーノ監督官こうして商会の仕事を手伝ってもらっているの。それなりの給与も支払っているわ。
ノルミンAお金より、休みが…… !休憩が欲しいですわぁ~…… !
アリーシャ……私が彼らの分まで働きます。ですからお願いです。彼らにまとまった休息を…… !
リーノ監督官素晴らしい優しさね。では、この子たちのノルマもこなしてもらうわ。
クンツァイトそのノルマは自分が対応する。機械人である自分は1日24時間労働が可能だ。
アリーシャクンツァイト、いくらなんでもそれは…… !
リーノ監督官ではクンツァイトに1日24時間労働を与える !しっかり働いて商会に貢献しなさい !
クンツァイト了解した。
アリーシャほ、本当に大丈夫なのか ?言い出したのは私だ、無理があったらすぐに言ってくれ。
アリーシャ……それからリーノ監督官。最後にもう一つ質問があります。
リーノ監督官何かしら ?
アリーシャ私もクンツァイトも前職が商品配達員でした。慣れているそちらの業務の方がこの商会に貢献できると思うのですが、配置転換は叶うのでしょうか ?
リーノ監督官難しいけれど不可能ではないわ。商品配達員は直接お客様に商品をお届けできる花形中の花形部署なの。
リーノ監督官工場業務で優秀な成績を収めた者のみが配達員に転属できるわ。あなたたちが我がアサノ商会に本当に貢献したいと考えているのなら──
アリーシャノルミン人形の制作で優秀な成績を出せ……という訳ですね。わかりました !
クンツァイト状況を把握。商品の梱包作業に移行する !

キャラクター4話【聖夜4 意外な来客】
クンツァイト迅速な業務遂行に必要なのは徹底した無駄の排除だ。輸送箱と梱包材をこの位置に配置して作業を行えば必要最低限の動作で商品の梱包が可能になるだろう。
ライン工Aはい、教えてもらってありがとうございます !クンツァイトさん !
ライン工Bウチに来て日も浅いのに…… !クンツァイトさん、俺たちの十倍の速度で仕事してる !しかも一切休憩無しにだぜ ! ?
ライン工Cさすがクンツァイト ! 俺たちのエースだ !
クンツァイト否定。自分は汎用ジャック型機械人だ。エース型ではない。
アリーシャここはこうして……うん。いい感じだ。次からはこの縫い方でボタンをつけてみてください。
ノルミンAおおきにぃ~ !アリーシャはんはほんまに器用やなぁ。
ノルミンB器用なだけやない、作業の教え方も上手いわぁ~。アリーシャはんが来てくれてから効率上がっとるしほんま助かるわぁ~。
アリーシャ皆様の覚えが早いからですよ。今日の作業は予定よりも進んでいます。もうひと踏ん張り、頑張りましょう !
クンツァイト──以上、報告終了。任務は順調だ。工場作業員たちからの信頼も得ていると認識している。
アリーシャクンツァイトによって工場の作業効率が改善され殺人的な労働時間も減りつつある。成果は上げていると思うが……。
イネス配達員への配置転換の話は出ない、か。話を聞いてる限り、まだ時間がかかりそうね……。養護院の方も大きな動きはないけれど……。
イネスリーノ監督官に賄賂を渡して配達員にしてもらうって方法はどう ?
アリーシャ……私の所感だが、難しいと思う。リーノ監督官は、その手の手段に対して潔癖な印象があるんだ。
アリーシャ迂闊な行動をすれば逆効果になるかもしれない。時間はないが、地道に信頼を勝ち取っていくことがベストだと判断している。
リチア皆さん、お話中にごめんなさい。イネスにお客様が来ています。
イネスまた ? 最近アポなしが多いわね。どちら様かしら ?
ザビーダよう。ちょいと失礼するぜ。
エドナ……久しぶり。
アリーシャエ、エドナ様とザビーダ様 ! ?でも、あの……そのお姿は一体…… ?
ザビーダクリスマスプレゼントを配る時の正装だ。エドナちゃんが用意してくれた代物だが、どうよ ?なかなか決まってるだろ ?
エドナ角の角度がこだわりポイントよ。
アリーシャエドナ様が作られたのですか ! ?
エドナまさか。9割9分ミボよ。ワタシは考えただけ。
ザビーダおう。おかげでガキどもから大人気だ。エドナちゃんとミク坊には特別なプレゼントを用意しとくから期待しててくれ。
イネス私を訪ねてきたのは二人に贈るクリスマスプレゼントを用意する為かしら ?
ザビーダ残念だがそうじゃねぇ。実はな、プレゼントを配って養護院だの何だのあちこち回ってたらよ、聞いちまったんだ。
ザビーダガキどもが誘拐されてるって話をよ。
アリーシャ! !
ザビーダそれがどうにも気になってな……。色々探った結果、この街のイング養護院が臭うって情報を掴んだ訳だ。
ザビーダそれで街に来てみたらアリーシャちゃんがいてイネスたちと妙な動きをしてると来た。こいつは何かあるに決まってんだろ ?
ザビーダちっと話、聞かせてもらうぜ。
アリーシャ……はい、実は――
アリーシャ──という訳で、私はここにいます。
エドナ人身売買の犯罪組織……。子供をさらって売り物にするなんてね。
ザビーダお。エドナちゃんご立腹 ?珍し──いた ! 傘で突くのはミク坊だけにしろって。
エドナ別に怒ってないわ。呆れてるだけ。どの世界にも悪党はいるのね。
アリーシャ……はい。哀しいことです。
ザビーダ……んじゃ、その悪党どもをパパッと片付けますか。せっかくのクリスマスだしな。エドナちゃんに頼れる男の背中ってヤツを見せねぇと。
アリーシャ……お待ちください、ザビーダ様。この件は私に任せていただけないでしょうか ?
ザビーダ……それはアリーシャちゃんが追ってる事件だからかい ?
アリーシャいいえ。この世界の今後を考えた上での発言です。
アリーシャ私たち鏡映点は大きな力を持っています。未だに世界各地で起こっている小競り合いは仲間たちによって沈静化に向かっていますが──
アリーシャ平和が訪れた時に必要になるのは力ではありません。法と秩序です。グリンウッド領の統治に協力してきて私はそのことを強く実感しています。
アリーシャ罪人は力による制裁ではなく、法によって公平に裁かれなければならないのです。
エドナ……潜入調査なんてしているあなたが言っても説得力はないと思うけど ?
アリーシャおっしゃる通りです。しかし、罪人を法で裁くには確実な物証が必要です。真っ向から探すにはあまりにも時間が少なく……。
ザビーダだから潜入調査って訳か。
アリーシャ被害の拡大を防ぐ為にもここで捕まえたいのです。私は、今日より少しでも良い明日を迎える為にできる限りのことをしたい…… !
エドナ……あなたも言うようになったわね。
アリーシャも、申し訳ありません…… !お二人に生意気な意見を…… !
ザビーダあ~そういうのはなしなし。それに、生意気なんて思っちゃいねぇよ。
ザビーダいいぜ、アリーシャ。あんたのやりたいことはよくわかった。少し見ないうちに、いい女になったじゃねぇか。
アリーシャえ、あ、あの。ありがとう、ございます……。
ザビーダそんじゃ、アリーシャちゃんのために俺様もひと肌脱ぐとしますかね。
エドナいつも脱いでるじゃない。それ以上脱いだら捕まるわよ。
ザビーダ今はサンタなやつを着てるだろ ?ってそういうことじゃねえよ。
クンツァイトつまり、自分たちの任務に協力するということか ?
ザビーダ正解。養護院と繋がってるアサノ商会だっけか ?そこに連れてってくれ。
アリーシャそれは構いませんが……。何をされるつもりですか ?
ザビーダあんたたちの上司、女なんだろ ?だったら俺様の出番だ。

キャラクター5話【聖夜5 即戦力】
アリーシャと、という訳でして……。
ザビーダこのザビーダ様を雇わねぇか ?安心しろって。絶対に後悔させねぇからよ。
クンツァイトザビーダの能力については先ほど説明した通りだ。非常に優れた戦闘力と豊富な経験を備えている。彼の参戦で生産性は120パーセント向上するだろう。
リーノ監督官クンツァイトとアリーシャがそこまで言うのなら信頼できそうね。ええ、いいわ。雇ってあげる。
ザビーダ……即断即決か。俺としちゃ助かるが、いいのかい ?ライバル商会の回し者かもしれねぇぞ ?
リーノ監督官これでも人を見る目には自信があるの。さぁ、ふざけたことを言ってないで仕事を始めて。ウチのノルマは他所と違って厳しいわよ ?
ザビーダ上等だ。あんたの信頼に応えてみせるぜ。
リーノ監督官ええ、それなりに期待してるわ。
アリーシャザ、ザビーダ様 !何故あのような挑発めいた発言を…… !不採用になったらどうするのですか…… ! ?
ザビーダこのザビーダ様がそんなミスする訳ねぇだろ ?クンツァイトも言ってたじゃねぇか。俺は経験豊富だってな。
クンツァイト先ほどのリーノ監督官とのやりとりはその経験に則った行動だったということか ?
ザビーダそーいうこと。いいから俺に任せて、あんたたちは仕事に集中しな。
アリーシャは、はぁ……。
リーノ監督官……今日の進捗率、芳しくないわね。どこかでスケジュールを調整しないと……。
ザビーダよう、リーノさん。
リーノ監督官ご苦労様、ザビーダ。何か用 ?
ザビーダなぁに、頭脳労働で苦労をされている我らが上司殿にささやかなスイーツを、と思ってね。
リーノ監督官これは……ミルフィーユ ?こんなもの、どうしたの ?
ザビーダおいおい、こんなものはねぇだろ ?俺様が腕によりをかけて作ったんだぜ ?疲れてる時は甘い物に限る。
リーノ監督官それならあなたたちもでしょう ?肉体労働なんだし。
ザビーダその分、あんたほど気苦労はしちゃいない。さぁ、食ってくれ。このブドウのミルフィーユはマジで傑作なんだ。
リーノ監督官……いい顔で笑うのね、あなた。ありがとう、いただくわ。
リーノ監督官はぁ……。
ザビーダどうした、溜息なんざついて。また上から無茶なノルマでも言われたのかい ?
リーノ監督官……ええ。クリスマス商戦で苦戦しているらしくてね。でも、これ以上現場に無理はさせられないわ。
ザビーダノルマがキツいのはあんたのせいじゃない。あんたは中間管理職として俺たち以上に苦労を背負い込んでる身だ。
ザビーダそんなに俺たちまで気遣う必要はねえさ。
リーノ監督官……慰めのつもり ?
ザビーダいや、思ったことを言っただけだ。あんたは客や俺たちの為に頑張ってる。そのことを俺たちは知ってるつもりだ。
ザビーダ無理と思う前に相談の一つくらいはしてほしいがねぇ。あんたには笑って仕事をしてもらわねぇと。客を笑顔にすることなんてできないだろ ?
リーノ監督官ザビーダ……そうね。ええ、そうよ。私たちが笑っていないとお客様を笑顔になんてできないわ !
ザビーダおう、その意気だ。で、俺たちは何を手伝えばいい ?
リーノ監督官ザビーダ……ありがとう…… !笑顔の大切さを知っているあなたならやれるかもしれないわね…… !
アリーシャ……まさか、こんなに早く配達員への配置転換を実現してしまうなんて…… !
クンツァイトザビーダだけではなく、自分とアリーシャもだ。一体どのような手段を用いたのだ ?
ザビーダ菓子は女性の心を溶かす大事なアイテムだ。そいつをきっかけにしてやりゃいい。
ザビーダま、監督官殿も立場的に苦労してたってこった。そいつを理解して手を貸せば、向こうだってこっちをちゃんと信頼してくれる。
アリーシャなるほど……。私もグリンウッド領では管理側に立つことがあります。今回の件は大変勉強になりました。
ザビーダそいつはなにより。で、養護院への潜入はいつにする ?
アリーシャ直近の配達日にしようと考えています。クンツァイトはそれで構わないか ?
クンツァイト肯定。自分は養護院潜入計画の立案を行う。
クンツァイト…… ? あれは…… ?
? ? ?…………。
クンツァイトシンディ、オーブ…… !やはりオマエたちだったか !
オーブえ…… ? 申し訳ありませんが、どちら様でしょうか…… ?
クンツァイト自分は……自分はアンの知り合いだ。そんなことより、こんな所で何をしている ?
シンディそうでしたか……アンがお世話になっています。丁度、養護院にアンを迎えに行ったところでした。ですが……。
オーブアンが……私たちのところに帰りたくないと……。
クンツァイトそれは事実か ?
オーブ……はい。お恥ずかしい限りです。仕事に追われて、アンとの時間を作れなかった。あの子に嫌われてしまっても仕方ありません……。
クンツァイト……アンは現在もイング養護院にいるのか ?
シンディええ。もうしばらく預かると。アンも冷静になれば私たちを受け入れてくれるはずとキャスリン先生がおっしゃってくださいまして。
クンツァイト確認。アンは自ら帰還を拒否する発言をしたのか ?
シンディい、いえ。泣いて興奮してしまっているらしくて。キャスリン先生から聞きました。
クンツァイト……状況把握。アンは自分が必ず帰還させる。オマエたちは家で待機しているのだ。
シンディえ…… ? それはどういうことですか…… ?あなたは一体…… ?
クンツァイト自分は汎用ジャック型機械人クンツァイト。申告した通り、アンの知り合いだ。
イネスクンツァイト、アリーシャ、ザビーダ。準備はいい ?
ザビーダエドナちゃん。角の角度、どうよ ?
エドナバカな角度でバッチリ決まってるわ。
アリーシャ確かにリーノ監督官からはクリスマスに相応しい身なりで配達するように言われているが……。この服は少し派手過ぎる気が……。
クンツァイト季節に対応した偽装効果が期待できる。養護院の職員、及び子供たちに対する心理的影響も考慮し、この服装で作戦を遂行するべきだ。
アリーシャな、なるほど、カムフラージュということか。
イネスみんな、確認するわよ。アリーシャ、クンツァイト、ザビーダは作戦通りイング養護院に配達員として潜入──
リチアわたくしとイネス、エドナは不測の事態に備えて養護院近くで待機ですね。
エドナ院内の見張りには注意して。バレたら面倒よ。
ザビーダなにしろ敵の腹ん中でお宝探しだからな。ま、その辺は俺様の風に任せとけ。
アリーシャ私も細心の注意を払います…… !
クンツァイトアン、これより救出に向かう…… !

キャラクター6話【聖夜6 潜入捜査】
アリーシャアサノ商会です。クリスマス用のノルミン人形の搬入に来ました。
守衛ご苦労様。門を入って右に進むと荷車の搬入口がある。そこに担当の職員がいるから声を掛けてくれ。
クンツァイト案内、感謝する。
職員保管庫まで運んでもらって悪いな。この時期は俺たちも忙しくてよ。
ザビーダイング養護院はお得意様だ。これくらい喜んでやらせてもらうさ。
アリーシャ……クンツァイト。気づいているか ?
クンツァイト肯定。武装した衛兵、及び施設内トラップを感知した。トラップは非殺傷系。捕縛用と思われる。
アリーシャ外ではなく中に対しての備えに見える。やはり普通の養護院ではないな、ここは。
アンあ…… ! ?
クンツァイトアン── ! ?
職員なんだ ? この子を知ってるのか ?
ザビーダ……ああ。行商人をしてるこの子の両親とウチが取引しててな。何度か話したことがあるんだよ。
アン…………。
クンツァイトアン。自分たちと共に帰還せよ。
アンえ…… ?
クンツァイトシンディとオーブはオマエの為に労働に従事している。商いを行い、賃金を獲得し、オマエが歓喜する品物の寄贈を目標としているのだ。
クンツァイトだが、二人はこの目標は誤っていたと認識を改めた。オマエを一人にしてしまった事実を後悔し、以降はオマエとの時間の共有を優先すると発言している。
アン……ロウドウ、ジュウジ ? ジカンノキョウユウ…… ?
職員……アン、早く部屋に戻りなさい。
アン……う、ん……。
クンツァイト待て、アン !
職員待つのはあんただ。あの子とはどういう関係だ ?……あんたたち、ホントにアサノ商会の人間か ?
ザビーダおいおい、さっき商会の従業員証確認したろ ?
アリーシャ彼はあの少女と特に親しくしていたので。もういいな、クンツァイト。
クンツァイト……肯定。
職員確かにさっきの従業員証は本物だったが……荷物運びはここまでで十分だ。あんたたちはもう帰ってくれ。
ザビーダそんな無責任なことはできねえよ。アフターサービスまでバッチリ決めねぇとリーノ監督官に絞られちまう。
職員それはそっちの都合だ。知ったことじゃない。それとも最後まで手伝わなきゃならん理由があるのか ?
アリーシャ……ザビーダ様。
ザビーダああ、仕方ねぇ。
職員ぐぅっ ! ? お、お前、たち……はっ…… !
クンツァイト……自分のミスだ。アンに迂闊な接触をしたために……。申し訳ない、アリーシャ、ザビーダ。
アリーシャ気にするな。私たちの潜入はいずれバレる。遅いか早いかだけのことだよ。
ザビーダこういう展開には慣れてるしお前の気持ちもわかるしな。さて、アリーシャ、どうする ?
アリーシャ二手に分かれるのはどうでしょうか。クンツァイトはアンの保護に向かい私は人身売買の証拠を探すのが良いかと。
ザビーダなら、アリーシャちゃんには悪いが俺はクンツァイトと行かせてもらうぜ。こいつにはフォローが必要そうだからな。
クンツァイト否。自分は単独での作戦行動が可能だ。
ザビーダそういうことじゃねえよ。お前がさっきお嬢ちゃんにかけた言葉ありゃ硬すぎる。
ザビーダデートに誘うならもっとそれらしくいかねえと。俺がそこんとこしっかりレクチャーしてやるよ。
クンツァイト理解不能。自分はアンに交際を求めていない。
アリーシャふふ。わかりました。ザビーダ様、クンツァイトとアンをお願いします。
ザビーダああ、そっちの様子は風で探っとく。でも気を付けてくれよ ?
ザビーダしかし思ったよりも広いな、この養護院は。あのお嬢ちゃんを探すのは骨だぜ。
クンツァイト否。アンの通常行動で移動できる距離は限られている。自分の計算では間もなく彼女を捕捉できるはずだ。
アン…………。
ザビーダおぉ。やるじゃねぇかクンツァイト。いいか。今度はお嬢ちゃんでもわかる言葉を選べよ ?その上優しい声音でだな、こう、包み込むような……。
クンツァイト……表現が抽象的。自分には理解不能だ。
衛兵Aお前たち、そこで何をしている ! ?
ザビーダちっ ! クンツァイト、アンを !
クンツァイト肯定 ! アンの保護を最優先とする !
衛兵Bおっと、動くな ! このガキがどうなってもいいのか ! ?
アンふあぁっ ! ?
ザビーダもう一人いるとはな…… !くそ、向こうに気を回し過ぎたか。
クンツァイトアンを離せ !
衛兵Bそうはいかん。持ってる武器を捨てろ。さもないと──
アンうわぁ~~~ん !
クンツァイト……了解した。要請を受諾、武装を解除する。ザビーダ。
ザビーダわぁってるよ。大人しくしてやる。縛り首でもなんでも好きにしな。
アリーシャ(ザビーダ様の指示のおかげでここまで見つからずに来られたが……)
アリーシャ(養護院院長の寝室──ここに証拠の類が無ければ…… ! )
アリーシャ(ん ? これは……取引の目録……。それに……売買ルートの書類…… ! ? )
アリーシャ(売買された日付や子供たちについての記録だ !イング養護院が人身売買を行っていたことを裏付ける証拠になる…… ! )
アリーシャ(他には……組織のメンバーリストもある。ふむ……規模自体はそこまで大きくないな。よし、ザビーダ様に魔鏡通信で連絡を──)
アリーシャ応答がない…… ?
? ? ?総員に通達 ! 侵入者だ !院内を捜索しろ !
アリーシャ(廊下の衛兵たちが…… ! ?ザビーダ様とクンツァイトの身に何かあったのか ! ? )

キャラクター7話【聖夜7 救出】
アリーシャ(二人とも魔鏡通信に反応が無い……。まさか、捕まったのか ? )
アリーシャ(──誰か来る、隠れなくては…… ! )
衛兵Aおい。侵入者がいたって本当なのかよ ?
衛兵Bああ。三人組で二人は捕まえたらしい。残り一人は未だ逃亡中だ。
衛兵A集めてたガキどもを取り返しに来たのかねぇ……。
衛兵B念のため、ボスが子供たちを一カ所に集めてる。予定を前倒ししてここを放棄するかもしれないぞ。
アリーシャ(……やはり二人とも捕まってしまったのか。アンは無事なのか ? 状況が掴めない……。とにかくザビーダ様たちを救出しなければ…… ! )
アリーシャイネス、聞こえるか ? 非常事態だ…… !
イネスええ。こちらでも把握してるわ。ザビーダが魔鏡通信文でアンと一緒に捕まったって連絡してきたの。
エドナでも、それ以降反応がないわ。魔鏡通信機を奪われたのね。
アリーシャなるほど、そうでしたか……。
イネスそっちの首尾は ?
アリーシャ証拠は確保、人身売買組織の規模も把握した。だが、今はとにかくザビーダ様たちを救出しなければ…… !
イネスそうね。でも、あの二人が大人しく捕まるはずがない。アンを人質にされた可能性があるわ。一旦合流して対策を練りましょう。
アリーシャ了解した…… !
アンい、いたい ! キャスリンせんせいいたいよ !どうしてアンをしばるの…… ! ?
キャスリンあなたが部屋で大人しくしていなかったからよ。これは罰なの。静かにしていなさい。
クンツァイト警告 ! アンへの暴力的行為は決して看過しない !拘束するのは自分とザビーダだけでいいはずだ !
キャスリン暴力なんてまさか。この子は大切な商品よ ?その価値を損なうような真似するはずないじゃない。
アンしょう、ひん…… ? アン、うりものなの…… ?
キャスリンええ、そうよ。だから暴れたりしないでちょうだい。いいわね ?
ザビーダ……行ったか。いくら美人相手でもこういう趣味はないんだがなぁ。
アン……キャスリンせんせい……。おかお、とってもこわかった…… !
クンツァイト奴らは養護院に偽装した犯罪組織。オマエのような子供たちを売買して利益を得ている者たちだ。
アンギソウ ? バイ、バイ ?
ザビーダつまりこういうことさ。キャスリン先生たちは人を人形みたいに売って、お金をもらう悪い奴。俺たちはそれを止めに来たってワケだ。
ザビーダま、捕まっちまったけどな。
アン……つかまったの、アンのせいだよね…… ?アンがわるいひとにつかまっちゃったから……。ごめんねっ……うわぁ~~~ん !
クンツァイト否定。断じて否定。アンに現状の責任はない。そしてアンは自分の能力を過小評価している。この程度の拘束、容易に突破可能だ。
ザビーダひゅ~。さすが機械人。縄を引きちぎりやがった。それじゃ俺様は優雅にやるか。
アンなわが、かってにほどけた…… !
クンツァイトアンの拘束も解除する。
アン……うん……ありがとう……。
クンツァイト拘束解除。ザビーダ、迅速なる脱出を提案する。敵から魔鏡通信等装備品を奪還し、速やかにアリーシャたちと連絡を取るべきだ。
ザビーダ安心しな。俺たちの状況は魔鏡通信機を取り上げられる前に、通信文でイネスに知らせてある。
ザビーダ今頃、アリーシャと合流して動いてるはずだ。こっちはしばらく大人しくしとこうぜ。焦って動いたら足を引っ張るかもしれねぇ。
クンツァイト同意。自分たちや子供たちが人質になる可能性も否定できない。
ザビーダそういうこと。とにかく今はお嬢ちゃんを見てやんな。
アン…………。
クンツァイト……アンの元気が通常時を遥かに下回っている。
ザビーダ……キャスリン先生に裏切られちまったんだ。ショックに決まってる。
クンツァイトアン、元気を出せ。オマエには自分たちがついている。オーブとシンディがオマエを待っている。
アン……パパ、ママ……。
アン……アン、パパとママと……あうの、こわい。
クンツァイト疑問。何故親との再会に恐怖を抱くのか。以前にも自分は断言したはずだ。オーブとシンディがオマエを見捨てるはずがないと。
クンツァイト彼らはオマエを愛している。自分が保証する。養護院の職員たちの言葉など忘却せよ。
アンでも……でも、でも……。
ザビーダ……クンツァイト。そういう時はな、こうするのさ。
クンツァイト? 何故、アンと自分の手を握らせる ?
ザビーダいいから。ちゃんとお嬢ちゃんの手を握ってやりな。
アン…………。
クンツァイト……アンが……自分の手を握り返した。
ザビーダお嬢ちゃんの手、暖かいか ?
クンツァイト肯定。アンは生命活動を維持している。自分の温度センサーは彼女の熱源を捉えている。
ザビーダそうじゃねぇんだが……まぁ、伝わってるか。クンツァイト。お嬢ちゃんに言葉をかけ続けろ。なるべくわかりやすい言葉でな。
ザビーダお前の手を握り返してくる力と暖かさはな。お嬢ちゃんの信じたいって気持ちなのさ。
ザビーダ犯罪者どもの都合のいいこと吹き込まれても心の中じゃ親を信じるのを諦めてねぇんだ。
クンツァイトこの暖かさと、力が……。
アン…………。
クンツァイト……このままではアンたちは笑顔で再会できないと予測される。
クンツァイト自分はこれより、アンとスピルリンクを実行する。彼女のスピリアと繋がり、その不安を取り除く…… !
ザビーダスピルリンク──人の心に入るってやつか。確かに、それならお嬢ちゃんの本音を聞けるな。
ザビーダよし。行ってこい、クンツァイト。お嬢ちゃんを笑顔にするためによ。
クンツァイト了解した…… !
イネスアリーシャ !
アリーシャ何とか無事に合流できたな…… !
エドナで。これからどう動くのかしら ?
アリーシャザビーダ様たちと施設内の子供たちの救出を同時に行い、どちらの安全も確保した状態で養護院の職員たちを捕らえます。
リチアどちらかを人質にされてしまったら手の打ちようがないですからね。
イネス了解。クンツァイトたちの救出は私が行くわ。
リチアわたくしも同行させてください。クンツァイトが心配です…… !
アリーシャわかった。エドナ様は私と一緒に、子供たちの救出をお願いできないでしょうか。
エドナ……仕方ないわね。
アリーシャありがとうございます !では行きましょう !

キャラクター8話【聖夜8 少女の本心】
クンツァイトスピルリンクの成功を確認。スピルメイズの構造精査を開始する。
クンツァイト──元の世界のアンのスピルメイズと酷似している。記録から進行経路を参照──完了。最短ルートで最深部へ向かう…… !
アンの本心…………。
クンツァイト……最深部に到達。対話を開始する。アン。オマエの不安を教えてくれ。
アンの本心……せんせいたちがいってたの。パパとママはアンよりおかねがだいじなんだって。おかねもうけにアンはじゃまなんだって。
クンツァイト否。その発言は偽りだ。
アンの本心みんな、うそいってたの ?でも、パパもママもあいにきてくれなかった。いいこにしてまってたのに。きてくれなかった。
クンツァイトそれは……。
アンの本心こわい……パパとママにあうの、こわいの……。きらいだっていわれたら、しごとがだいじっていわれたら……こわいよっ…… !
クンツァイト……アン。オマエが今感じている恐怖は自分にも理解できる。自分もかつて恐怖から性能が低下したことがある。
アンの本心…… ?
クンツァイトクロアセラフとの性能差に恐怖を覚えオマエと同じように怯え、動けなくなったのだ。
クンツァイトリチアさまをお守りする為、恐怖を感じるスピリアを捨てて、ただの機械になりたい。あの時、自分はそう望んだ。
アンの本心スピリアって……なに ?
クンツァイトオマエにも自分にも備わっている大切なモノだ。確かに、スピリアは恐怖を生み出す……。
クンツァイトだが、時に恐怖を乗り越える勇気をも生み出すのだ。疑似スピリアを搭載した機械人である自分でも仲間たちの助けによって勇気を持つことができた。
クンツァイトアンなら必ず勇気を持てるはずだ。キャスリンたちの言葉に惑わされるな。
アンの本心ゆう、き……。
クンツァイトオマエには自分がついている !オーブとシンディとスピリアを通わせるのだ、アン !
イネスクンツァイトだけじゃないわよ ?
リチアええ。わたくしたちも一緒です。
クンツァイトリ、リチアさま、イネス ! ?何故ここに…… !
リチアそれは後ほど。今はアンを。
イネス聞いて、アン。親ってものはね。世界の何よりも自分の子供が大切なの。世界を敵に回すことだってできちゃうくらいなのよ ?
イネス子供の為にどんな苦労も厭わなかった人を私は知っているわ。
アンの本心…………。
リチアさぁ、アン。クンツァイトの手を握って。強くて暖かな勇気が湧いてきますよ。
アンの本心……うん。
クンツァイト……アン。
アンの本心……もう、だいじょうぶ。クンチャイトがゆうきくれたから。
クンツァイト……そうか。では帰ろう。オマエを愛する両親の元へ。
ザビーダお、戻ってきたか。お嬢ちゃんと心は通じたかい ?
クンツァイト肯定。目的は達成したと推測する。だが疑問がある。何故リチアさまとイネスが ?
リチアもちろん、あなたたちの救出に来たのです。
ザビーダクンツァイトがお嬢ちゃんにスピルリンクした後に来てくれてな。事情を話したら二人ともお前を追ってスピルリンクしたってワケさ。
アンう~ん……パパぁ、ママぁ~……。
ザビーダ……いい寝顔だ。これなら安心だな。
クンツァイトザビーダ、感謝する。オマエの言葉に自分もアンとスピルリンクを行う勇気を貰った。オマエのおかげだ。
ザビーダ子供の泣き顔は見たくなかっただけさ。気にすんなって。
ザビーダいってぇ ! ? お前、ちょっと頑丈すぎじゃねぇか ! ?
クンツァイトかつてヒスイも同様の反応をしていた。この穏やかな気持ちは……そうか。これが過去を懐かしむ、というものか。
リチアクンツァイト……。
イネス和むのは全部が終わってからよ。アリーシャが人身売買の証拠を確保したの。さっさと悪党どもを捕まえに行きましょう。
ザビーダお、いいねぇ。こんな所に放り込んでくれたお礼がしたかったんだ。付き合うぜ ?
クンツァイトリチアさまはアンを連れて先に脱出してください。自分はイネスたちと共に悪党の確保に向かいます。
リチアわかりました。アンはわたくしに任せてください。
イネス──アリーシャと連絡がついたわ。あっちも院内の子供たちの保護に成功したみたい。
ザビーダやるじゃねぇか。それじゃあ、俺たちも気合入れて大捕物といきますか !
クンツァイト了解 !

キャラクター9話【聖夜9 正義の裁き】
保護した子供Aあぁ~ ! おねえちゃんのかさについてるやつ !のるさまにんぎょーだぁ~ ! かわいい~ !
エドナあなたたちにもサンタのお姉さんがプレゼントしてくれるかもね。だから、良い子にしてなさい。
保護した子供たちはぁ~い !
アリーシャエ、エドナ様 ! ?
エドナこんな所に詰め込まれて大人しくしてるのよ。それくらいのご褒美はあるべきじゃない ?
アリーシャわ、わかりました !事件が解決した暁には子供たちにノルミン人形を全力で配ります !
エドナええ。いい心がけね。
ザビーダよぉ、待たせたな二人とも !
イネス院内の子供たちはこれで全員かしら ! ?
アリーシャ先ほど衛兵の一人を捕らえて確認した。全員ここにいるぞ。
クンツァイト感謝する。これで悪党どもを全力で捕獲できる。
エドナワタシはここで子供たちを見てるから。悪者退治は任せるわ。
ザビーダおう。言われるまでもねぇ。
アリーシャはい ! このような悪辣非道な連中は一人たりとも逃がしません…… !
キャスリン地下に閉じ込めていた連中に逃げられ子供たちも奪われるなんて…… !
衛兵ボス ! どうしますか ! ?
院長口惜しいが命あっての物種だ ! ズラかるぞ !
アリーシャそこまでだ !
クンツァイト総員、武装を解除せよ !
ザビーダ因果応報だ。神妙にお縄につけい、ってな。
イネス慈善団体を隠れ蓑に人身売買なんてね。いくらなんでも下衆が過ぎるわ。
院長て、てめぇらっ…… ! 一体何者だ ! ?なんだってそんなっ…… !
アリーシャお前がイング養護院の責任者だな。グリンウッド領の犯罪組織と共謀し人身売買で利益を得ていた──
アリーシャお前の寝室にあった、この取引目録で確認した。取引先についてもすべて話してもらう。観念して大人しく裁きを受けろ…… !
キャスリンい、いつの間に ! ?
院長っ…… ! お、お前 ! グリンウッド領の騎士か ! ?わかった、わかったよ ! 売買で得た儲けをやる !今よりずっといい暮らしをさせてやる !
院長だから俺たちの用心棒になれよ、な ! ?他の連中もだ ! いい腕っ節だ、頼りになる !
イネスって言ってるけど ?
アリーシャ論外だ。
院長このっ…… ! いいか、これから世界は平和になる !そうなりゃお前みたいな騎士はお役御免だ !金に困るに決まってる !
院長俺たちについた方が美味しい思いができる !それくらいわかるだろ ! ?
アリーシャ──騎士は守るもののために強くあれ。民のために優しくあれ。
アリーシャ私の……私の師の言葉だ。私が騎士であり続けるのは己の理想を現実にする為…… ! そして !
アリーシャお前たちのような外道から民とその幸せを守る為だ !何を言われようとそれは変わらない !
院長青二才がっ…… !もういい ! てめぇら、やっちまえ !
キャスリン私たちに刃向かったことを後悔させてあげる !
クンツァイト敵性反応、増大。アリーシャ、指示を期待する。
アリーシャ全員を無力化して捕縛する !
イネス了解。ザビーダ、手加減しなさいよ ?
ザビーダそっちもな。力の入れすぎ、注意だぜ ?
院長ち、ちくしょうっ…… !
騎士団団員そこ、大人しくしろ !
アリーシャクリスマスの警備などで忙しいのにすまない。手間を掛けさせてしまうな。
騎士団団長とんでもない。こちらこそ何とお礼を言えばいいか。まさかイング養護院がこんな非人道的な行いの拠点になっていたとは……。
アリーシャこれが彼らの犯罪の証拠だ。法に則った対応を頼む。
騎士団団長もちろんです。連中と繋がっている奴らも必ず捕らえてみせます。
エドナこれで一件落着かしら ?
ザビーダ……いや。
アン…………。
クンツァイトアン、目を覚ますのだ。
アンん……ここ、は…… ?
シンディあぁ、アン…… !
オーブ怖い思いをさせてすまなかった…… !
アンパパ、ママ……。
リチアさぁ、アン。
イネス勇気を出して。
クンツァイト自分たちが一緒だ。
アン……うん。
アンパパ、ママ。アンは……いらないこ ?
シンディそんなこと……ある訳ないでしょう…… ! ?
オーブ仕事ばかりでお前に会いに行けなかった。一人にして寂しい思いをさせてしまった。本当に……すまなかった…… !
オーブお前はパパとママにとって世界でたった一つの宝物だ。いらないなんて、そんなことあるものか…… !
アンう、ん…… !パパ、ママっ…… !
クンツァイト……アンの勇気の発露を確認。オーブとシンディとの関係は改善されると予測する。
イネスこういう時くらいシングやヒスイみたいに思い切り喜んだらどう ?
クンツァイトそれは抑制も理性的判断も無分別に放棄して涙を放出しろということか ?機械人である自分には不可能だ。
リチアでも、嬉しいのですよね ?
クンツァイトはい。スピリアの根底から歓喜を感じています。本当に……よかった。

キャラクター10話【聖夜10 それぞれのクリスマス】
ヒスイくそ、なんでクリスマス・イブにこんな重労働を…… !
コハクほら、お兄ちゃん。もう少し頑張ろ ?プレゼントを待ってる人がたくさんいるんだから。
ヒスイそりゃわかってるけどよ……。俺たちは別の街で配達終わって戻ってきたばかりだぜ ?さすがに疲れが…… !
シングみんなの笑顔を見れば疲れも吹き飛ぶはずさ !ガンドコ配達しようよ、ヒスイ !
? ? ?その通りだ、シング !
アリーシャ街の人々にクリスマスを笑顔で過ごしてもらうために、我々にできることをやろう !
ノルミンAアリーシャは~ん。こっちはウチらにお任せや~。
アリーシャノルミン様も手伝っていただき感謝いたします !
ノルミンBメリ~クリスマスや~。プレゼントお持ちしましたで~ ♪
ヒスイアリーシャもノルミンも、いい顔で働いてんなぁ……。よーし仕方ねぇ ! もうひと踏ん張りするか !シング ! 超高速ガンドコダッシュだ !
シングああ ! アリーシャたちに負けていられない !行こう、コハク !
コハクうん !
アリーシャイネス、今回は本当に世話になった。改めて感謝する…… !
イネスいいのよ、気にしないで。
イネスそれにしても、アサノ商会は相変わらずひどいわね。クリスマス向けの製造が終わった途端に工場の作業員を全員解雇するなんて。
アリーシャリーノ監督官も気に病まれていたよ。頑張って結果を出してくれた人たちを商会都合でクビにしなければならないなんて……。
イネス工場の人たち、みんなウチに来てもらおうかしら。今度は年末年始の人手が足りなさそうなのよ。
アリーシャ本当か ! ? ぜひ頼むよ、イネス !みんな落ち込んでいたから、きっと喜ぶはずだ !
イネスええ、任せて。私も助かるしね。
イネス…………。
アリーシャ……イネス ?
イネスあぁ、ごめんなさい。アンはご両親とクリスマスを楽しめてるかなって考えたら、ラピスのことを思い出しちゃって。
アリーシャラピス……。イネスの知り合いのお子さん、だったか…… ?
イネス……ええ。あの子がこの世界にいるのなら、アンと同じように鏡映点じゃないでしょうけれど……。
イネス幸せに生きていて欲しいなって。改めて、そう思ったのよ。
アリーシャイネス……。
イネスさて、私も配達に参加しようかしら。アリーシャ、一緒に行ってもいい ?
アリーシャああ、もちろんだよ。
ザビーダうし ! この辺りは終わりだ !エドナちゃん、次のナビよろしく !
エドナあっち。
ザビーダいや、あっちって……。エドナちゃん、せめて指差しくらい頼むぜ ?
エドナこのワタシに労働を強いるなんて。偉くなったものね。
ザビーダあー……お願いしますエドナ様。次はどちらに向かえばよろしいでしょうか ?指で方向を示していただけると助かります。
エドナん。
ザビーダサンキュー。あぁ、そうだ。
エドナこれ以上は働かないわよ ?
ザビーダそうじゃねぇ。イネスの手伝いが終わったらよ。アイゼンに会いに行くか ?
エドナ……いい。
ザビーダそうかい。
エドナ代わりに……この手紙、届けて。
ザビーダお。クリスマスカードってヤツか ?
エドナ届けるの ? 届けないの ?
ザビーダ届けるさ。約束のザビーダの名に懸けてな。
エドナ……ありがと。
リチアこれで配達はおしまいですね。
クンツァイト肯定。自分たちの担当区画の配達は完了しました。リチアさまは先にご帰還ください。自分は特別任務の遂行に移ります。
リチアふふ。アンにクリスマスプレゼントを届けに行くのですか ?
クンツァイトな、何故それを…… ! ?
リチアごめんなさい。今朝イネスと話しているのを聞いてしまいまして……。
アンあ~クンチャイトとおねえちゃんだ~ ♪
シンディこら、アン。お仕事の邪魔をしないの。
リチアいえ、今終わったところです。アン。雪が降っている時に走ると危ないですよ ?
アンでもね、パパとママにかってもらったノルさまにんぎょーをね、クンチャイトにみせたかったの !
クンツァイトそれはアサノ商会が総力を挙げて制作した限定品。入手は困難を極めるはずだ。
オーブアンには寂しい思いをさせてしまいましたから。これくらいのことはしないと。
リチアよかったですね、アン。
アンうん !
クンツァイト…………。
リチアクンツァイト。ほら、あなたからも。
クンツァイト……了解しました。アン、自分からもクリスマスプレゼントを進呈する。様々な情報から考慮して選定したものだ。
アンわ~ ! ありがと、クンチャイト !あけていい ?
クンツァイトもちろんだ。
アン……まっしろのマフラー ! きれー…… !アン、とってもうれしい !
リチアよかったですね、アン。ところでクンツァイト、わたくしにはないのですか ?クリスマスプレゼント。
クンツァイトそ、それは…… !本日のプレゼント交換会までお待ちください…… !
アン……クンチャイト ! こっちにきて !
クンツァイトアン ? 待て。どこへ行く ! ?
クンツァイト……状況確認。現在位置、街の露店広場。アン、何故自分をここへ連れてきたのだ ?
アンクンチャイト、おねえちゃんのプレゼントまだかってないんだよね ?
クンツァイトな、何故その情報を知っている ! ?
アンクンチャイトのことならなんでもわかるもん ♪プレゼント、アンがえらんであげる !ここ、いっぱいおみせがあるでしょ ?
クンツァイト……協力に感謝する。しかし、自分もシミュレーションを繰り返しているがリチアさまがお喜びになるプレゼントは──
アンだいじょうぶ ! アンにまかせて !う~んとね~……。
アンこれはどう ? スノードームっていうの !すごくきれーでしょ ?
クンツァイト……クリスマスを想定したインテリアの一種と確認。液体で満たされた球体内を白色の微粒子が飛散し雪を演出していると推測される。
アンでね、でね ! なかにはいってるおにんぎょうさん !おねえちゃんにそっくりでしょ !
クンツァイト……肯定。リチアさまとの類似点を確認。季節、状況から、このスノードームはリチアさまへのクリスマスプレゼントとして適切だと判断するが……。
クンツァイトリチアさまに……喜んでもらえるだろうか…… ?
アンきっとだいじょうぶ ! アンとクンチャイトがえらんだんだもん !ゆうきをだして、クンチャイト !
クンツァイト勇気……ああ、その通りだ。アン、感謝する…… !
アンうん !
リチアおかえりなさい、クンツァイト、アン。どこに行っていたのですか ?
アンえへへ、いまはひみつ ! でもたのしみにしてて !ね、クンチャイト !
クンツァイト肯定。後ほど開示しますのでお待ちください。
リチアわかりました。ではアンを信じて楽しみにしていますね ?
クンツァイトはい…… !