キャラクター | 1話【総力戦】 |
リナ | 塔で待つ……ね。 |
リオン | 普通に考えれば罠だろう。 |
ゼルガディス | どうだろうな。魔族は人間を脆弱な存在と侮っている。案外、素直に待っているかもしれんぞ。 |
リナ | どっちにしろ、行かないって選択肢はないわ。このままずっと命を狙われ続けるなんてごめんだもの。 |
リナ | それに、前の世界のことを持ち出されてネチネチ恨まれるなんて癪に障るじゃない ? |
ゼルガディス | 決まりだな。 |
ミント | はい。ヴァンさんをこのままにしておくわけにはいきません。 |
リオン | ふん、ならば相応の準備をしておくんだな。 |
リナ | もー、素直じゃないわねー。あたしみたいな美少女を一人で行かせられないってそう言えばいいのに。 |
リオン | 僕はワイズマンの依頼をこなしているだけだ。お前は一人でどこへでも勝手に行け。 |
リナ | 冗談だって。もー、怒っちゃやーよ♪んで、ガウリイはどーすんの ? |
ガウリイ | ん ? オレか ?もちろんリナについていくよ。オレはお前の保護者だからな。 |
アメリア | みなさん、心は一つのようですね……。 |
アメリア | では、行きましょう !悪しき魔族が待ち構えるあの塔へ ! |
ミトス | 盛り上がっているところ悪いけどボクのことを忘れないでほしいね。 |
ミント | ミトスさん ! ご無事でしたか。 |
ミトス | まあね。そっちで何があったかもだいたいわかってるよ。 |
リナ | そういえば、あんた塔を調べるとか言ってたわよね。 |
ミトス | うん。ちょうどガーヴと大神官が入れ違いで戻って来たよ。やつら、塔の最上階でまた何か儀式をするみたいだ。 |
ゼルガディス | もう一度、魔族を召喚するつもりか。 |
ミトス | だろうね。今度は自分の部下でも呼び寄せるのかな。 |
リナ | 魔王もいないこの世界は、あいつにとっちゃ理想の世界かもしれないわね。 |
ミント | ですが、無関係な人たちに害が及ぶようなら止めなければいけません。 |
リナ | もちろん、好きにさせるつもりはないわ。……ところでミトス。あの塔って床に大きな穴が空いてなかった ? |
ミトス | いや、そんなものはなかったよ。 |
リナ | ちっ……しっかり補修してたか。きっと前回と同じ手は使えないわね。今回は正攻法で行くしかないか。 |
リナ | 準備が出来たら塔に向かいましょ。 |
キャラクター | 2話【VS仮面の女】 |
リナ | まさか、またこの塔を登らされるとはねー。しかもてっぺんまでって……。 |
リナ | 悪の親玉って、なんでこう毎度毎度一番高いとこでふんぞり返ってるのかしらねー。 |
S・シャルティエ | ……文句が多い人ですね。坊ちゃんのように静かに登ったらどうです ? |
リナ | そんなこと言ったって、せめてお宝の一つくらい置いといてくれないとやる気が出ないわよ。はぁ……あとでワイズマンにしっかり請求しなきゃ。 |
リオン | 金の亡者め。まったく、どこかの誰かと一緒だな……。 |
ミント | がんばってくださいリナさん。ほら、もうすぐ次の階層ですよ。 |
ゼロス | リナさん、お待ちしていました。 |
ゼルガディス | ゼロス ! 貴様、今までどこにいた ! |
ガウリイ | やっぱりそっち側だったか。 |
アメリア | 最初からわたしたちを騙すつもりだったんですね !ならばその企みごと叩きつぶすまでです ! |
ゼロス | ちょ、ちょっと待ってください !僕はガーヴさんの側じゃありません ! |
ミント | では、リナさんの味方なんですね ? |
ゼロス | あ、いえ、正確に言うと味方というわけでは……。 |
S・シャルティエ | やっぱり、ここで倒しておきましょうよ、坊ちゃん。 |
ゼロス | 味方じゃありませんが、少なくともリナさんに死なれると、いろいろ困るのは確かです ! |
ガウリイ | って、言ってるがどうする ? リナ。 |
リナ | まあ、いつも通りウソはついてないみたいね。とはいえ、まだなんか隠してそうなのよねー。実際のとこどうなのよ。 |
ゼロス | それは……秘密です。 |
ゼルガディス | やはり斬るか。 |
リオン | ああ、その方が後腐れがない。 |
ミトス | その辺にしてあげたら ?ガーヴと戦うなら戦力は多いに越したことはない。こんなのでも、かなり強い魔族なんでしょ ? |
ゼロス | そうそう。僕、けっこう強いですよ。ガーヴさんには手ひどくやられちゃいましたけど。 |
ガウリイ | 負けてるじゃないか……。 |
ゼロス | だからこそ、みなさんに協力するわけですよ。僕としても、人間が混じっちゃったガーヴさんに力を持たれると困りますからね。 |
リオン | 飄々として肝心なことは明かさない。不愉快な奴だ。これが魔族なのか。 |
ミント | 私も、この方を……信用するのは危険かと思います。 |
ゼロス | いやはや、嫌われちゃいましたねー。 |
リナ | ま、こいつとの付き合いはそのくらいがちょうどいいわよ。それじゃ、ちゃっちゃと塔を登りましょ。 |
リナ | や、やっと着いた……。もうやだ帰りたい……。 |
アメリア | がんばってくださいリナ !ここからが本番ですよ ! |
リナ | あんたは無駄に元気ね……。 |
アメリア | とーぜんです !ついに巨悪との最終決戦ですから ! |
ゼルガディス | その巨悪とやらの姿が見えないが。 |
? ? ? | ほーっほっほっほ !やっと来たわね、リナ=インバース ! |
リナ | こ、この声は……。 |
仮面の女 | 待ちくたびれたわよ。さあ、決着をつけましょう ! |
リナ | あんたねぇ……いい加減気付きなさいよ。あんたはあの大神官とかいうのに騙されてんのよ。 |
仮面の女 | あんなにごはんをご馳走してくれる人が悪い人なわけないじゃない。 |
リナ | こ、こいつは……そのパターンで何回騙されれば気が済むのよ。 |
勇者 | おい、貴様 !教祖様をバカにするな ! |
リナ | ……誰 ? |
ミント | 何度もお会いした勇者さんですよ。 |
S・シャルティエ | どうして忘れられるんですか。あれだけ付きまとわれたのに……。 |
リナ | あー、いたわねそんなの。で、その勇者くんがなんでここにいるの ? |
勇者 | もちろん、貴様の手から教祖様をお守りするためだ !教祖様のためならば、この身が砕けようとかまわない ! |
仮面の女 | ふっ……そういうことらしいわ。高貴なわたしの魅力を前にすれば自ずと惹かれてしまうのも無理のないこと……。 |
リナ | そういえば、こいつ妙なのに好かれる体質だったわ。 |
ミント | どうしましょう……。さすがに何も知らないあの方を巻き込むのは心苦しいです。 |
リナ | そうねぇ、あたしもそれには同意……とか言いつつ烈閃槍(エルメキア・ランス) ! |
仮面の女 | なんの ! 勇者バリヤー ! |
勇者 | ひぎあああああっ ! |
ミント | ゆ、勇者さーん ! |
リナ | ちっ……防がれたか。 |
仮面の女 | ふっふっふ……あなたのやることなんてお見通しよリナ。 |
ミント | リナさん、ゆ、勇者さんが…… ! |
ゼロス | 安心してください。烈閃槍は精神にダメージを与える魔術です。 |
ゼロス | 僕たち魔族にはよく効きますが人間が命を落とすことはまずないでしょう。まあ、しばらく寝込むことにはなりますが。 |
ミント | そ、そうなんですか……安心しました。あ、ではリナさんは……。 |
リオン | あの自称勇者を巻き込まないためか……。 |
仮面の女 | もう気絶しちゃったのね。あと二、三発は防いでほしかったのに。 |
リナ | やるわねナー……仮面の女。烈閃槍で昏倒したところをタコ殴りにしてやろうと思ってたのに……。 |
ガウリイ | あんなこと言ってるぞ。 |
ゼルガディス | リナがそんなに優しいわけがないだろう。 |
アメリア | リナはわりとよーしゃないですよ ? |
二人 | …………。 |
リナ | こうなったら直接やりあうしかないようね。 |
仮面の女 | ふん。もとよりそのつもりよ !行くわよ、リナ ! |
キャラクター | 3話【VS仮面の女】 |
仮面の女 | やるわね……さすがはわたしのライバル。でも、これで終わりじゃないわ ! |
リナ | くっ…… ! 相変わらず無駄にしぶといやつ ! |
ミント | あの、リナさん、先ほどから気になっていたんですがこの方はお知り合いなんですか ? |
リナ | え……。 |
S・シャルティエ | 神殿でも聞いたんですけどね。さっきの勇者のくだりとか、息ピッタリでしたけど。 |
リナ | いや、だから、それは……。 |
ゼルガディス | お前たち、そっとしておいてやれ。 |
ガウリイ | そうだぞ。あんなのでも、きっとリナにとっては数少ない友達なんだからな。 |
リナ | 友達ぢゃないやい !それに地元にいっぱいいるもん ! 友達 ! |
仮面の女 | 何をゴチャゴチャ言ってるのかしら !ていうか、放っておかれると寂しいんだけど ! |
リナ | おにょれ……こうなったらあんたに八つ当たりしてやる ! |
リナ | 黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの── |
仮面の女 | ちょ、ちょっとリナその呪文は……。 |
リナ | 時の流れに埋れし 偉大な汝の名において我ここに闇に誓わん 我等が前に立ち塞がりしすべての愚かなるものに── |
仮面の女 | ああああっ ! ごめんなさい !わたしが悪かったわ ! このとーり ! |
ミトス | 急に素直になったね。 |
アメリア | 敵ながら見事な土下座です。さぞや修練を積んだことでしょう。 |
S・シャルティエ | 土下座の修練ってなんですかそれ……。 |
? ? ? | やれやれ、もうちっと粘るかと思ったんだがな。所詮は人間か……。 |
リナ | ガーヴ ! やっとお出ましね。竜破斬であぶり出す手間が省けたわ。 |
ガーヴ | やはり、そういう狙いか。さすがにあれを撃ち込まれるとこっちもタダじゃすまねぇからな。 |
大神官 | リナ=インバース、相変わらず恐ろしい女だ。人間にしておくのが勿体ないぞ。 |
リナ | 魔族なんかに褒められても嬉しくないわよ。 |
リナ | だいたいね、よくもあたしのことを邪神だかなんだかに仕立て上げてくれたわね。この精神的苦痛は慰謝料程度じゃすまないわよ ! |
仮面の女 | え…… ! この人たち魔族だったの ! ? |
リナ | ずっとそう言ってたでしょーが !あんた人の話聞いてなかったわけ ! ? |
仮面の女 | だって、気付けば見知らぬ場所にいて困っていたところを助けてくれたのよ !しかもごはん奢ってくれたし ! |
仮面の女 | そんなのいい人に決まってるじゃない ! |
リナ | だからそれが作戦なんだってば !恩を売って、自分のために働かせるの ! |
仮面の女 | だったらリナも最初からそう言ってよ ! |
リナ | だからずっと言ってたつーとるだろうが ! |
大神官 | いや、あの……こっちの話を聞いてほしいんだが……。 |
リナ | ああもう ! うっとうしい !ちょっと静かにしてなさい ! 炸弾陣(ディル・ブランド) ! |
仮面の女 | みぎゃー ! |
リナ | ふぅ……これでよし、と。 |
リオン | いいのか、それで……。 |
ミント | リナさん、お友達になんてことを……。 |
リナ | し、仕方ないでしょ !このままじゃ話が進まないんだから !それにあいつはしぶといからへーきよ ! たぶん ! |
大神官 | リナ=インバース……友にすら容赦がないとはますます人間にしておくには惜しい女よ。 |
リナ | だからあんたに褒められても嬉しくないってば ! |
大神官 | 貴様を倒すため、あらゆる策を講じたがそのことごとくを打ち破られるとはな……。 |
リナ | あんたがいくら知恵をしぼったところでこのあたしを出し抜けるわけがないじゃない。こいつを引っ張り出したことがそもそもの間違いよ。 |
大神官 | もともと、貴様の友であるその女に魔族を憑依させ戦わせる予定であったのだ。 |
大神官 | だが、運良くガーヴ様をお呼びすることができたゆえその女の利用法に困っていたのだ。ゆえに、もはや教祖も教団も用済みよ。 |
ガーヴ | そう、てめぇも用済みだ。 |
リオン | 自分の部下を、刺しただと…… ! ? |
大神官 | ぐあっ…… ! が、ガーヴ様……なぜ……。 |
ガーヴ | ここまでてめぇの策に付き合ってやったがもう飽き飽きだ。 |
ガーヴ | オレは言ったよな ? 「リナ=インバースを連れて来い。そしてオレに殺させろ」と。 |
ガーヴ | ところがいつまで経っても連れて来やしねえ。 |
ガーヴ | オレを喚んだことは褒めてやるがそれも不完全すぎてこの有様だ。 |
ガーヴ | この儀式でもっと役に立つ部下を喚ぶことにするよ。 |
大神官 | そ、そん、な……。 |
ミント | ひどい……。 |
ゼロス | …………。 |
ミトス | ゼロス……ダメだ ! |
ガーヴ | 隙を突いたつもりか ?バレバレなんだよ ! |
ゼロス | ぐはっ…… ! |
リナ | ゼロス ! |
ガーヴ | 誰の指図か知らねぇがてめぇがオレの命を狙ってることなんざとっくにわかってんだよ。 |
ガーヴ | さっきのはワザと隙を見せてやったんだ。 |
ゼロス | ………… ! |
ガーヴ | ……逃げやがったか。薄情な野郎だ。まあ魔族だから当然か。 |
ガーヴ | 悪かったな、リナ=インバース。こっちの事情に付き合わせてよ。 |
リナ | 気にしないで。こっちもゼロスに気を許してたわけじゃないから。むしろ目的がはっきりしてよかったわ。 |
ガーヴ | そうかい……じゃあ、やるか。 |
リナ | みんな ! 来るわよ ! |
ガーヴ | リナ=インバース……。てめぇのお仲間どもを一人ずつ目の前で殺してやる ! |
キャラクター | 4話【VS魔竜王ガーヴ】 |
ガーヴ | ぐはっ…… ! |
ガーヴ | このオレが、膝をつかされるとはな……。 |
リナ | ここはあたしたちがいた世界とは違う。人の身でも強大な魔族に対抗する方法はあるのよ。 |
ガーヴ | らしいな……だが、それでもまだ負けを認めるわけにはいかん。 |
リナ | あんたの死にたくないって気持ちはわかる。でも、同情はしないわ。 |
ガーヴ | はっ……それでいいのさ。さあ、続きを―― |
ミトス | いや、続きはない。きみはここで終わりだよ、ガーヴ。 |
ガーヴ | ぐああああああ ! |
リオン | ヴァン ! |
ミント | ヴァンさんのことは私に任せてください ! |
リナ | わ、わかったわ !それよりも……。 |
ゼルガディス | ミトス ! お前、なぜ……。 |
リナ | 違うわ。そいつはミトスじゃない……。 |
ミトス ? | おや、気付いていたの ?上手く演技していたつもりだったんだけどな。 |
リナ | あんた、ちょいちょいゼロスのこと庇ってたでしょ。ゼロスもあんたには一歩引いて接してたわ。それでなんか怪しいと思ったのよね。 |
ガウリイ | やっぱりそうか。なんだか違うニオイがすると思ってたんだよなー。 |
リナ | なによガウリイ、あんたも気付いてたわけ ? |
ガウリイ | 半分だけな。もともとミトスはオレたち人間とは違うニオイがするやつだから。 |
ミトス ? | ニオイで気付くなんて……彼の鼻はどうなってるんだい ? |
リナ | そういうやつなのよ。あんまり気にしないで。 |
リオン | おい、どういうことだ ?こいつがミトスじゃないなら誰だっていうんだ。 |
リナ | おそらく、高位の魔族よ。ゼロスに命令できるくらいのね。 |
ミトス ? | 正解だよリナ=インバース。 |
フィブリゾ | あらためて自己紹介するね。ぼくの名はフィブリゾ。冥王(ヘルマスター)――と呼んでくれてもいいよ。 |
ゼルガディス | 冥王……だと…… ! ? |
ガウリイ | 冥王って誰だ ? |
リナ | リオンやミントならともかくなんであんたが知らないのよ ! |
ガウリイ | いや、どっかで聞いた名前な気はするんだが……うん。やっぱり思い出せん。 |
リナ | こ、こいつは……。 |
ゼルガディス | 冥王フィブリゾは、赤眼の魔王シャブラニグドゥが有する五人の腹心の一人だ。 |
リオン | つまり、ガーヴに匹敵する存在というわけか。 |
フィブリゾ | ガーヴに匹敵 ? 侮ってもらっちゃ困るな。もともとぼくはガーヴより強いよ。 |
フィブリゾ | 今は人間の身体なんかに入っていて不完全だけどね。……いや、この身体も普通の人間じゃないか。 |
リナ | ガーヴと一緒にあんたも召喚されてたなんてね。あの大神官って、けっこう優秀だったんじゃない ? |
フィブリゾ | 確かに、運が良かったとはいえなかなかの働きだよ。彼を残しておけばガーヴももう少し長生きできたかもしれないね。 |
フィブリゾ | まあ、結局はぼくの計画通りになったわけだけど。 |
リナ | あんたの計画って、ガーヴを殺すこと ? |
フィブリゾ | それも目的の一つだね。始末したはずなのにどういうわけか人間なんかに憑依して復活してるなんて。 |
フィブリゾ | まあ、ぼくも似たような状況なんだけどね。ぼくとは元の世界での時間がズレてるのかな。手間をかけさせてくれるよ。 |
フィブリゾ | さて、それでもう一つの目的なんだけどリナ=インバース、きみは異界黙示録(クレアバイブル)に触れたかい ? |
リナ | 異界黙示録 ?なんで今そんなことを聞くの ? |
フィブリゾ | ……そうか。きみはガーヴよりもさらに前の時間から呼ばれたんだね。残念だよ。そうなると、ぼく自身の手でやるしかないか。 |
リオン | 貴様、何をするつもりだ。 |
フィブリゾ | もちろん、この世界を滅ぼすのさ。 |
全員 | っ ! ? |
フィブリゾ | ゼロスに聞いたよ。アークと言ったっけ ?そこにある技術なら例の呪文よりもずっと効率的に世界を滅ぼせそうだ。 |
ミント | 世界を滅ぼすなんて……どうしてそんなことを ! |
フィブリゾ | 元より魔族の目的はそれなんだ。こんな異世界でも滅べば混沌へと帰れるかもしれない。試してみる価値はあるでしょ ? |
リナ | ふざけないで。あんたの無理心中に付き合うつもりはないわよ ! |
アメリア | その通りです ! |
アメリア | たとえ魔族とはいえ、騙し討ちで同族を襲うとはなんという卑劣な行い ! |
アメリア | あまつさえ、世界を滅ぼそうだなんてそれはまさに悪と言う他ありません ! |
アメリア | わたしたちが正義の名の下にその悪しき企みを打ち破ってあげます ! |
ガウリイ | 急に元気になったなー。 |
リナ | わかりやすい悪人が現れたおかげでいつもの調子が出て来たのよ。 |
フィブリゾ | 正義だの悪だの、きみたち人間はいつもそれだ。まあ素直に滅びてくれないことはわかっていたけどね。 |
ゼルガディス | そういうことだ。俺たちも全力で抵抗させてもらう。 |
ミント | この世界にもたくさんの人たちが暮らしています。それを壊す権利なんて誰にもありません ! |
リオン | 世界を滅ぼす……か。今度は止めてみせる…… ! |
S・シャルティエ | 僕たちなら大丈夫ですよ、坊ちゃん ! |
リナ | というわけよ、冥王フィブリゾ。あんたの思い通りになんてさせないわ ! |
フィブリゾ | 来なよ。まずはきみたちから滅ぼしてあげるよ。 |
キャラクター | 5話【VS冥王フィブリゾ】 |
フィブリゾ | やるじゃないか、人間のくせに……。 |
フィブリゾ | だけど、わかっているのかい ?この肉体はきみたちのお仲間のものだってことを。 |
リオン | 貴様……人質のつもりか ! |
アメリア | なんて卑劣な ! |
フィブリゾ | なんとでも言うがいい。ぼくたち魔族にはその感情も心地よいものさ。 |
フィブリゾ | さて、それじゃアークに案内してもらおうか。 |
? ? ? | ――いい加減にしろ、三下。目障りなんだよ。 |
フィブリゾ | なにっ ! ? なんだ、この声は……ぐ、ぐあああああああ ! |
ミトス | 奴を身体から弾き出した !ヴァン、今だ ! |
ヴァン | 言われなくてもわかっている ! |
ヴァン | 守護崩葬陣 ! |
フィブリゾ | な、なに ! ? なんだこれは !う、動けない…… ! |
ミトス | よくも人の身体で好き勝手してくれたね。だけど、その間じっくりとお前を滅ぼす方法を練ることができたよ。 |
フィブリゾ | 人間ごときが…… !ぼくを滅ぼすだと ! |
ミトス | 精神生命体、厄介な存在だよ。だけどこちら側に引っ張り出して固定してしまえば……。 |
ミトス | エターナル・ディバイド ! |
フィブリゾ | るぐぁぁぁぁぁぁっ ! ! |
ヴァン | 終わったか……。 |
ミトス | ああ。ひとかけらも残らず消滅したよ。 |
リナ | ちょっとちょっと ! どういうことなのよ ! ? |
ミトス | どういうことも何も、見ての通りさ。 |
リナ | だからそれを説明しろって言ってるのよ ! |
ヴァン | 奴ら魔族は物理的な方法では滅ぼすのが難しい。有効な手段を見つけるために、内側から探りを入れていた。この身体を貸してやることでな。 |
リナ | また無茶なことを……。あ、まさか街で魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)が外れたのは……。 |
ヴァン | そうだ。奴に気づかれぬよう私がコントロールした。 |
ミトス | こんなやり方、ボクは乗り気じゃなかったんだけどね。ヴァンは慎重派だから時間をかけて準備をしたんだ。 |
ミトス | そのうち、ボクの身体に入り込んだ奴の狙いがわかったから魔竜王とやらは倒してもらうことにしたのさ。 |
リオン | だが、ヴァンの身体ごと攻撃させるなど……。 |
ミトス | ヴァンの中にはローレライ――治癒術のエネルギーの塊がいる。一応、そこに法術師もいたしね。 |
ミント | え…… ? |
ゼルガディス | すべて織り込み済みということか……。無茶には違いないがな。 |
リナ | ま、けっきょく上手くいったんだからいっか。帰りましょ、アークに。 |
ワイズマン | 皆さん、おかえりなさい。無事に教団とその企みを阻止されたようですね。 |
リナ | まあね。最後はミトスとヴァンに美味しいところ持って行かれちゃったけど。 |
アメリア | なんにしてもこれで一件落着ですね ! 正義は必ず勝つということがあらためて証明されました ! |
ゼロス | みなさんお疲れ様でした。リナさんもご無事で何よりです。 |
リナ | ゼロス ! ? あんたなんでいるのよ ! ? |
ゼロス | いやー、ガーヴさんの攻撃を受けてちょっとばかりピンチになっていたところをワイズマンさんに助けていただきました。 |
リナ | ワイズマン ! あんたもなにこんなのをアークに入れてんのよ ! |
ワイズマン | だ、大丈夫ですよ。助ける代わりに、このアークには手を出さないと約束してくださいましたから。 |
リナ | こいつが約束ぅ…… ? |
ゼロス | まあ、僕の仕事は写本が人間の手に渡らないように処分することですから。 |
ゼロス | このアークに写本があるかどうかはわかりませんがいずれにせよ、ワイズマンさんが管理しているならまあきっと大丈夫でしょう。 |
リナ | あんた、相変わらず手抜き仕事ねぇ。 |
ゼロス | というわけで、僕は暇になってしまいました。次のお仕事についても上司からとくに言われてないので。 |
リナ | あんた、「暇だからなんとなく世界を滅ぼしたくなりましたー」とか言い出さないでよ。 |
ゼロス | はっはっは。 |
リナ | 笑って誤魔化すな ! |
リオン | おい、しっかり手綱を握っておけよ。 |
リナ | な、なんであたしが ! ? |
ミトス | お前が拾ったんだろ。だったら最後まで面倒みたら ? |
ゼロス | お世話になります。リナさん。 |
リナ | なんでもかんでもあたしに押しつけるなー ! |
ヴァン | やれやれ……賑やかな連中だ。 |
ミント | ヴァンさん、身体の方は大丈夫ですか ? |
ヴァン | ああ……お前の治癒術のおかげだ。 |
ミント | 怪我もそうですが、身体を乗っ取られていたことも心配です。 |
ヴァン | そちらのことか……。 |
ヴァン | 正直に言うと、いろいろ考えさせられた。あのガーヴという男は、自分の理想の世界を作ろうともがいていた。 |
ヴァン | その想いは、私にもおぼえがある。だからといって、同情してやる義理はないがな。 |
ミント | 理想の世界……あの世界はこれからどうなるんでしょうか ?教団やその信者さんたちは……。 |
ワイズマン | 少なくとも外からの干渉はなくなりました。今後はあの地に暮らす人々の意志次第です。 |
ワイズマン | 私はそれを見守るつもりです。 |
ガウリイ | 今度はリナが女神様になったりしてな。 |
ゼルガディス | ある意味、邪神よりおそろしいことになるな。 |
リナ | ちょっと、どういう意味よそれ。 |
アメリア | だいじょーぶです !あの教団の人たちにはわたしが愛と正義についてこんこんと語っておきましたから ! |
リナ | あんた、そんなことしてたの ? |
ミント | 皆さん、とても真剣に聞いていましたよ。中には感動して涙する方もいて……。 |
リナ | げ……そ、それは……。 |
ガウリイ | しばらくほっといたらまた別の宗教が流行ってそうだな。 |
S・シャルティエ | あの、黒い衣装を着た連中が愛と正義を語るんですね……。 |
リナ | 怖いこと言うのやめてよ !だいたいあんな衣装好んで着るわけ……んん ! ? |
リナ | ああああああああああっ ! |
ワイズマン | ど、どうしました、リナさん。 |
リナ | あ、あいつのこと忘れてた……。 |
仮面の女 | おーい、誰かー……リナー……いないのー ? |
仮面の女 | うう……さみしい。ぐすん……。 |
キャラクター | 1話【一、 謎の儀式】 |
アメリア | 追い詰めましたよ『仮面の女』 ! |
アメリア | あなたが教団と信者を利用して行っている非道の数々……決して見過ごすわけにはいきません ! |
仮面の女 | ほーっほっほっほ !よくここまでたどり着いたと褒めてあげるわ。だけど、少し遅かったようね。 |
仮面の女 | なんだかよくわからないけど儀式とかいうやつはもう終わるみたいよ ! |
アメリア | くっ…… ! なんてこと !なんだかよくわからないけどピンチよ ! |
ヴァン | よくわからないのに、なぜピンチだとわかる。 |
ミトス | 考えるだけ無駄だよ。ここまで一緒に旅してきたんだから、お前にもわかるだろ。 |
ゼルガディス | 俺が言うことじゃないんだが……なんだか、すまん。 |
アメリア | とにかく ! |
アメリア | たとえどんなにピンチでも最後まで諦めるわけにはいかないわ ! |
仮面の女 | その根性、褒めてあげるわ !きっとご家族の教育が良かったのね ! |
アメリア | あなたに褒められても嬉しくありませんが確かに家族のことは尊敬しています !そしてあなたの仮面もなかなかカッコイイです ! |
仮面の女 | ありがとう ! 気に入ってるの ! |
ヴァン | なんだこのやり取りは。 |
ゼルガディス | 本当に、すまん……。 |
仮面の女 | ふっ……センスと育ちのいいお嬢ちゃんに免じて最後にいいものを見せてあげるわ。さあ、おやりなさい ! |
大神官 | はっ…… !我が呼び声に応えよ…… ! |
ミトス | ! やり取りは間抜けだけどこの儀式は本物みたいだね。 |
ゼルガディス | 何か、強大な存在が召喚されようとしている…… ! |
ヴァン | あれを止めるぞ ! |
仮面の女 | え、ちょっと待ってそんな怖い顔で突っ込んで来られると……みぎゃっ ! ? |
大神官 | ククク……もう遅い ! |
ゼルガディス | くっ…… ! 間に合わん…… ! |
ヴァン | こうなれば……わかっているなミトス ! |
ミトス | ああ、仕方ないね。 |
キャラクター | 2話【二、 急な呼び出し】 |
リナ | やっと……やっと、まともな食事にありつけるわ ! |
ガウリイ | ここしばらく山越えが続いたからなあ。 |
リナ | しょっぱくて硬い干し肉はもう飽き飽きなのよ !今日はこの店のメニューを端から端まで制覇するわよ ! |
ガウリイ | はいはい、付き合うよ。 |
リナ | それじゃ、さっそく……いただきま―― |
リナ | へ…… ? |
ワイズマン | リナさん、ガウリイさん、ようこそアークへ。実はお二人にお話が……。 |
リナ | ようこそ〜、ぢゃないわよ !なんてことしてくれんの ! |
リナ | あとちょっと、あとちょっとで温かい食事にありつけるとこだったのに ! |
リナ | 返して ! あたしのミートパイを返してー ! |
ワイズマン | リナさん、どうか落ち着いてください !大事なお話があるんです ! |
リナ | あたしの空腹を満たすことより大事なことなんてこの世に存在しないのよ ! |
ワイズマン | ガウリイさん、助けてください ! |
ガウリイ | あー……がんばれワイズマン。 |
ワイズマン | そんな…… ! |
リナ | ……それで ? 大事な話って ? |
ワイズマン | 冷静になっていただけて何よりです。……実はアメリアさんとゼルガディスさんのことです。 |
リナ | 二人がどうしたの ? |
ガウリイ | そういえば、前の街で別れたっきりだな。あれ ? 前の前の街だっけ ? |
リナ | さらにその前の街よ。なんか、悪い地主を懲らしめにいくとか言ってたっけ。 |
ガウリイ | そうそう。リナは街の中だと派手な魔術が使えないからやだ、とか言って別れたんだよな。 |
リナ | なんでそんなことは覚えてんのよ……。 |
ワイズマン | アメリアさんとゼルガディスさんには少し前に一つお仕事をお願いしていたのですが連絡が途絶えてしまったのです。 |
リナ | 何かトラブルに巻き込まれたってわけ ?そもそも、アメリアたちに頼んでた仕事ってのはなんなのよ。 |
ワイズマン | リナさんたちがシャドウを残すきっかけとなった事件を覚えておられますか。 |
リナ | ガウリイじゃないんだし。ちゃんと覚えてるわよ。 |
リナ | ゼロスのやつがこのアークにあるかもしれない『写本』を狙ってあたしを利用したあれでしょ。 |
リナ | あいつのせいで盗賊のふりした魔族に付け狙われるわ変な塔を登らされるわ、おまけにナー……いやなんでもないわ。あいつのことは忘れましょう。 |
ガウリイ | へー、そんなことがあったのか。 |
リナ | だから ! あんたもその場にいたの !なんで覚えてないのよ ! |
ワイズマン | その事件があった世界に少し問題が起きていましてアメリアさんたちに現地調査をお願いしたのです。 |
リナ | ちょっと待って。あそこってあたしたちの世界とこっちの世界が混じり合ってできたんじゃなかった ?そのまま残しておいたの ? |
ワイズマン | はい。彼の地にはすでに独自の文化や生態系ができていましたので、安易に消すべきではないと思い保存していました。 |
ワイズマン | 実はアークの『祭り』の開催地としても活用できるのではと思っていまして。あ、もちろんそれぞれの世界に影響がないよう対処はしました。 |
リナ | 小さいとはいえ世界をまるごと保存するとかワイズマン、あんたホントとんでもないわねー。実は神様とかそういう存在じゃないの ? |
ワイズマン | 私は単なる学園都市の長ですよ。 |
リナ | なーんか誤魔化された気がしないでもないけど。で、その世界に起きてる問題って ? |
ワイズマン | 宗教です。 |
リナ | 宗教 ? それの何が問題なわけ ?神様みたいな存在がいるなら生まれて当然でしょ。 |
ワイズマン | それが……その宗教は恐るべき早さで拡大しさらには異界の存在を召喚しようとしていたのです。 |
ワイズマン | そんなものが呼び出されてはあの世界が滅びかねません。 |
ワイズマン | そこで、宗教による影響に詳しいミトスさんと組織運営に慣れたヴァンさんをアドバイザーにアメリアさんたちと共に行ってもらったのです。 |
リナ | ……なるほど。事情はだいたいわかったわ。あたしたちが呼ばれた理由もね。 |
リナ | 行って、調べてくればいいんでしょ。その宗教と、アメリアたちが失踪した原因を。 |
ワイズマン | ご理解が早くて助かります。そうそう、危険な調査になるでしょうからもうお二方、協力をお願いしています。 |
キャラクター | 3話【三、 出発】 |
リオン | 人を呼びつけておいて、いつまで待たせるつもりだ。 |
ミント | きっと、ワイズマンさんにも事情があるのだと思います。 |
リオン | ふん、僕の知ったことか。 |
リナ | なんかすでに感じ悪いんだけど。 |
ワイズマン | そ、そうおっしゃらずに。リオンさんはガウリイさんと同じく特別な剣を使いこなす凄腕の剣士です。 |
ガウリイ | へえ、特別な剣か。そいつは魔族も斬れるのか ? |
S・シャルティエ | 侮らないでほしいですね。坊ちゃんのためなら、どんなやつでもこの刃でやっつけてやりますよ ! |
ガウリイ | うお ! ? 剣がしゃべった ! |
S・シャルティエ | 僕はシャルティエ。よろしくお願いしますね。 |
リナ | へー、意志を持った剣なんだ。これなら魔族にも効果ありそうじゃない。というわけで、その剣売って ! |
リオン | どういうわけだ。売るはずがないだろう。 |
S・シャルティエ | そうだそうだ ! 僕のマスターは坊ちゃんだけなんですからね ! |
リナ | ちぇー、ダメかー。ま、しばらく一緒に旅するわけだしじっくり話合いましょ、坊ちゃん。 |
S・シャルティエ | ……僕、あの人苦手ですよ。 |
リオン | お前も少し静かにしていろ、シャル……。 |
ワイズマン | どうやら仲良くなれそうで安心しました。ミントさんは治癒術に長けた方ですのでお二人が加われば理想的なパーティとなるはずです。 |
ミント | リナさん、ガウリイさん。よろしくお願いしますね。 |
ガウリイ | おお、よろしくな。 |
リナ | 強引に話をまとめにかかったわね。ま、ここでモタモタしてても何も解決しないしさっそくあの世界に行ってみましょ。 |
ワイズマン | ええ、すぐにお送りします……あ。 |
リナ | なによ、その「あ」ってのは。 |
ワイズマン | これはお伝えするか迷ったのですが実は、ゼルガディスさんが最後の連絡で気になることをおっしゃっていたのです。 |
リナ | 気になること ? |
ワイズマン | 厳しい戦いになると予感したようで応援の要請をされました。ですが……「リナは呼ぶな」と。 |
リナ | なにそれ。 |
ガウリイ | どーせ、リナが来たらめちゃくちゃになるとか思ってたんじゃないのか。 |
リナ | あたしは破壊の申し子かなにかか ! |
リオン | 少なくとも、相手を怒らせて事態を悪化させる可能性はありそうだな。 |
リナ | こんにゃろ……仕返しのつもり ? |
リオン | 客観的な意見だ。 |
ミント | あの……みなさん、仲良くしましょう。これからしばらく一緒に旅をするんですから。 |
リオン | だいたい、呼ぶなと言われたのになぜ呼んだんだ。 |
ワイズマン | それは……後でリナさんにこの話が伝わった時のことを考えると、そちらの方が恐ろしいので。 |
ガウリイ | なるほど、よくわかってるな。 |
リナ | あ、あんたら……。 |
リナ | いいわよ、わかったわよ。そういうことならお望み通りにしてやるわ。待ってなさいゼルガディス……ふっふっふ……。 |
ミント | あ、あの……やっぱりリナさんはここで待っていてもらった方がよいのでは……。 |
リオン | こういう奴は何かしたところで止まるものじゃない。覚悟しておくんだな。 |
ガウリイ | そうそう。リナが関わって大ごとにならなかったことの方が少ないからな。 |
キャラクター | 4話【四、 つれない魔族】 |
リナ | この先に街があったはずよ !ほら、みんな急いで ! |
ミント | リナさん、やっぱりアメリアさんたちが心配なんですね。 |
ガウリイ | いや、たぶん食い物だな。 |
ミント | 食べ物……ですか ? |
リナ | ちょっと、置いていくわよ ! |
リオン | あの調子では僕たちのことなど忘れて一人で先に行ってしまうぞ。 |
ガウリイ | 仕方ない。オレたちも追い掛けよう。 |
ミント | 大きな街なのに、ずいぶん閑散としていますね……。 |
ガウリイ | うーん……こんな街だったかなぁ。前はもうちょっと活気があったような……。 |
リナ | んなことより食べ物よ !どこかお店はやってないの ! ?みんなも探して ! |
リオン | おい、本来の目的を忘れてないだろうな ? |
ミント | ま、まあ、お店で何かお話を聞けるかもしれませんし。ですが、どこのお店もやっていませんね。……あ、あそこに屋台があります。 |
リナ | ミント、なーいす !おっちゃん、肉串ひとつ── |
店主 | 悪いな。もう売り切れだ。 |
リナ | はぁ ! ?今そこで焼いてるのはなんなのよ ! |
店主 | こいつが最後の一本。そんで、そこのお客さんの分だ。 |
ゼロス | ありがとうございます。……おや、リナさん。お久しぶりですね。 |
リナ | ぜ、ゼロス ! ? なんでここに !こっちのあんたは滅びたはずでしょ ! ? |
ゼロス | ちゃんと滅びましたよ。今の僕は思念体……まあ残りカスみたいなものです。 |
S・シャルティエ | 結局この人は何者なんです ? |
リナ | ワイズマンから聞いてるでしょ。アークのお宝を狙っていろいろ画策してた魔族よ。 |
リオン | なに…… ! ? |
ゼロス | ま、待ってください !言ったでしょう、残りカスみたいなものだって。 |
ゼロス | みなさんと戦えるような力も残ってませんしアークに手出しするつもりもありません。 |
ゼロス | 今の僕なんて余生をのんびり気ままに過ごす老人のようなものですから。優しくしてください。 |
ガウリイ | こんなこと言ってるが、リナ、どうするんだ ?今のこいつなら全員でかかれば勝てるかもしれんぞ。 |
リナ | うーん……今ここでこいつと戦って消耗するのもあれだから、とりあえず見逃してあげましょ。 |
ゼロス | ご理解いただけて何よりです。正直なところ、姿を保つだけでも大変で回復のためには時間と糧が必要なんですよ。 |
ゼロス | というわけでいただきます。 |
リナ | あーっ ! あたしの肉串 ! ? |
ゼロス | いやー、思った通りの反応でありがたいですね。 |
リナ | このぉ、何へらへら笑ってるのよ !だいたい、あんた魔族なんだから食べなくていいでしょーが ! |
ゼロス | ええ、ですから目の前で最後の肉串を食べられたリナさんの何とも言えない感情をいただきました。ごちそうさまです。 |
リナ | こ、こいつは……。やっぱここで滅ぼしておこうかしら……。 |
ゼロス | 冗談はさておき。リナさんたちがこの世界に戻って来たということは、やはり何かあったんですね。 |
リオン | やはり ? 何か知っているのか。 |
ゼロス | 知っているというほどではありませんよ。最近、やけにこの世界が居心地良くなったので。僕がこんなに早く復活できたのもそれが理由です。 |
リナ | あんたたち魔族の居心地がいいってことは人間たちの負の感情がこの世界に満ちているってことね。 |
ミント | それはワイズマンさんがおっしゃっていた例の宗教と関係あるのでしょうか ? |
リナ | タイミングがタイミングだし、たぶんね。ちょうどいいわ。ゼロス、あんたずっとこの世界にいたんならあたしたちを手伝いなさいよ。 |
ゼロス | いいですよ。 |
リオン | 本気か ?どう見ても信用できそうにないぞ。 |
ガウリイ | ゼロス、あんた何を企んでるんだ ? |
ゼロス | いやだなぁ、何も企んでなんかいませんよ。単に、僕の上司から『リナさんを死なせるな』と命令を受けているだけです。 |
リオン | そういうのを企んでいると言うんだ。こいつが死ぬと何か不都合があるんだな。それはなんだ。 |
ゼロス | それは……秘密です。 |
リオン | 貴様…… ! |
リナ | やめときなさいって。こんなんでも高位の魔族だから敵に回すとかーなーり面倒よ。 |
リナ | それに、どーせ何か企んでるなら影でコソコソされるより目の届く範囲に置いといた方がマシよ。 |
リオン | ……確かに、それも一理あるが。 |
ガウリイ | 妙な動きをしたらオレとリオンですぐに斬り捨てるってことでいいんじゃないか。 |
ゼロス | それでかまいませんよ。 |
リナ | じゃあ、決まりね。さっそくいろいろ聞きたいんだけど……。 |
ゼロス | ああ、その前に一つご忠告です。みなさん、着替えた方がいいですよ ?特にあなたとあなたは。 |
ミント | 私と、リオンさんですか…… ? |
ゼロス | ええ。やはり違う世界の衣装は目立ちますから。 |
リナ | 確かに、ゼロスの言う通りね。よーし、それじゃミントとリオンの服を探しに行きましょ ! |
ミント | え、でも、私は―― |
リナ | いいからいいから ♪お着替えしましょーねー。 |
ミント | ああ〜 ! ? |
キャラクター | 5話【五、 黒装束の信徒】 |
ミント | あの……どうでしょうか。 |
リナ | うんうん似合ってる。あたしの見立てはバッチリね。だけどリオンの方は……。 |
リオン | なんだ、何か文句でもあるのか。 |
リナ | どっかで見たことあるような格好なのよねぇ。 |
ガウリイ | ゼルガディスの格好を参考にしたからな。オレに服の見立てなんてできないぞ。 |
リナ | そりゃそうか。おまけに、もう一人はゼロスだもんね。 |
ガウリイ | そうは言うが、リナがミントに選んだ服だってシルフィールのとそっくりじゃないか。 |
リナ | ぎくぅ…… !あ、あんた大事なことはすぐ忘れるくせになんでそういうことは覚えてんのよ……。 |
リオン | いい加減、服の話は終わりにしろ。こいつから話を聞くのだろう ? |
リナ | そうだったわね。そんなわけだから、ゼロス。あんたが知ってること洗いざらい話なさい。 |
ゼロス | 洗いざらいと言われても、どこから話したものか……。そうですね、この街とその周辺ではある教団が実質的に人々を支配しているというのはご存じですか ? |
リナ | 確かに、ワイズマンが言ってたわね。変な宗教が流行ってるって。 |
ゼロス | 実はお二人に着替えを勧めたのも関係がありまして教団では信者たちに清貧を説いているんです。 |
ゼロス | 高価な服や装飾品、贅沢な食べ物、そういった物は悪でありすべて教団に捧げるのが善行であるとそう教えているそうです。 |
リナ | だから、どのお店もやってなかったのね。美味しい食べ物まで禁止するなんて街の人たちが可哀想よ ! 許せないわね ! その教団 ! |
S・シャルティエ | だいぶ私怨が入っていませんか…… ? |
ガウリイ | やめとけシャルティエ。いちいちツッコんでたらキリがないぞ。 |
ゼロス | もう一つ、教団の方々が言うにはこの世界は『邪悪な存在』に常に狙われているそうですよ。 |
ゼロス | その『邪悪な存在』に対抗する善なる存在を教団では神として崇めています。 |
リナ | ありがちな設定ねー。 |
ゼロス | ちなみに、その『邪悪な存在』は『邪神リナ=インバース』というそうです。 |
リナ | なんであたしが邪神なのよ ! |
ゼロス | なんでと言われましても、そういう教義ですから。 |
ゼロス | 『邪神リナ=インバース』は暴食、強欲、怠惰……などなど、この世のありとあらゆる罪をひっさげた存在だそうです。 |
ゼロス | 人間を堕落させ、言うことを聞かない子供は夜中にリナ=インバースが攫いにやってくる──そんな話が広まっています。 |
リナ | あたしは妖怪か何かか ! |
リオン | 暴食や強欲あたりは事実だろう。 |
ガウリイ | 自分の利益にならんことにはとことんやる気がないから、怠惰も本当だぞ。 |
ミント | み、皆さん、言い過ぎですよ ! |
リナ | 今からその教団に乗り込んで文句を言ってやる !いえ、むしろ竜破斬の二、三発ぶち込んで跡形も無く消し去ってやるわ ! |
ガウリイ | ゼルガディスが「リナを呼ぶな」と言っていた理由がわかった気がするな。 |
リオン | 息巻くのはいいが、まずは行方不明になった四人を捜すのが先だろう。その教団とやらに捕まっている可能性もある。 |
リナ | う……確かにそうね。じゃあ、見つけた後で壊滅させるわ。 |
ミント | 壊滅はさせるんですね……。 |
リナ | 当たり前でしょ !あたしみたいな乙女をつかまえて『邪神』扱いした報いを受けさせるのよ ! |
信徒A | 見つけたぞ『邪神』め ! |
リナ | んなっ ! ? |
リオン | なんだ、この妙な格好をした連中は。 |
ゼロス | これが教団の信徒たちです。 |
ミント | 黒いマントにトゲトゲのついた肩当て……。露出も多くて……こ、個性的な格好ですね。 |
ゼロス | あの衣装は、教団が崇める善なる神から遣わされた『教祖にして救世主』の神聖な衣装だそうですよ。 |
ガウリイ | 今日はよくズッコケるなあ。 |
リナ | あたしだってやりたくないわよ !ていうか、その『教祖にして救世主』とかいうヤツの正体がわかっちゃったわ ! わかりたくなかったけど ! |
信徒A | さっきから何をゴチャゴチャと……。 |
信徒B | やはり人を惑わせる悪しき存在。 |
信徒C | しかもなんて邪悪な姿…… !とても子供たちには見せられん ! |
リナ | 誰が邪悪だ、誰が !あんたらに言われたくないわよ ! |
ミント | ですが、この方たちは教えに従っているだけです。傷つけるわけにはいきません。 |
リナ | わ、わかってるわよ !だけど、あたしだってわりと傷ついてるのよ !ああ、もう ! まとめて魔術でぶっ飛ばしてやりたい ! |
リオン | 派手な魔術を使えば『リナ=インバースがここにいる』と喧伝するだけだ。ここはいったん退くぞ。 |
ガウリイ | 賛成だ。手加減しようが一般人は斬りたくないからな。 |
リナ | うう……仕方ないわね ! |
キャラクター | 6話【六、 逃亡の末】 |
ミント | はぁはぁ……結局、街の外まで逃げることになってしまいましたね……。 |
ガウリイ | さすがにここまでは追ってこないみたいだな。 |
リオン | 着いて早々、とんだ誤算だな。これからどうするんだ。 |
リナ | やることなんて一つでしょ !教団とやらをぶっ潰すのよ ! |
リオン | やはりそうなるのか……。 |
リナ | ゼロス、教団の本拠地みたいなのはどこにあるの ! ? |
ゼロス | 確か、北にある街のさらにその先だったかと。 |
リナ | ひとまずはその北の街とやらに向かいましょう。 |
ガウリイ | しばらく、また干し肉生活だな。 |
リナ | う……おのれ教団 !食べ物の恨みは怖いってこと思い知らせてやる ! |
勇者 | 見つけたぞ ! 邪神リナ=インバース !勇者である私が退治してやる ! |
リオン | おい、また来たぞ。『勇者様』が。 |
リナ | うう……。 |
ミント | 今日はこれで三組目ですね。 |
リナ | ううう……。 |
ガウリイ | しかし『勇者』ってのはそんな何人もいるものなのか ? |
リオン | 知らん。どうせ自称だろう。 |
勇者 | あのー、できれば何かリアクションが欲しいんですけど……。 |
リナ | うっさいわね ! こっちはあんたみたいなのに散々追い掛け回されていい加減、頭に来てるのよ ! |
勇者 | ええっ、そんなの私だけのせいじゃ……。 |
リナ | こうなったら『邪神らしく』やってやろーじゃない ! |
ミント | 『邪神らしく』ってどういうことですか ? |
S・シャルティエ | ただの思い付きだと思いますけど……。 |
リナ | まずは身の程知らずな勇者を血祭りにあげてやるわ !さあ、行きなさい『暗黒の坊ちゃん剣士』リオン ! |
リオン | なんだそのふざけた名前は。 |
リナ | 続いては『忘却の無思考戦士』ガウリイ ! |
ガウリイ | おうよ ! ……って、無思考はひどくないか ? |
リナ | そして最後は紅一点…… !『清純さに隠した裏の顔を持つ法術師』ミント ! |
ミント | ええ ! ?な、なんですか『裏の顔』って ! |
リナ | そのくらい言わないとあんた悪役に見えないでしょ。 |
ミント | 見えなくていいです ! |
ゼロス | あのぉ……リナさん、僕は ? |
リナ | ゼロスはその辺で悲鳴でもあげてなさい。そんなわけで、覚悟しなさい勇者とやら ! |
勇者 | くそー ! 負けるもんかー ! |
勇者 | お、覚えてろー ! |
リナ | ふっ……勝ったわ。 |
ゼロス | とても勇者とは思えない捨て台詞を残して逃げていきましたねー。 |
ミント | なんだか少し可哀想でした……。 |
? ? ? | すっかり悪役が板についてきたみたいじゃないか。 |
リオン | お前は……。 |
ミント | ミトスさん ! ご無事だったんですね。 |
ミトス | まあね。きみたちこそ、どうしてこっちに ? |
リナ | ワイズマンの要望であんたたちを捜しに来たのよ。 |
ミトス | そうか、ずいぶん手が早いね。正直助かったけど。 |
ミトス | ヴァンたちともはぐれてどうしようかと思ってたんだ。 |
リナ | アメリアやゼルガディスは無事なの ? |
ミトス | 最後に見た時は生きてたよ。ボクにわかるのはそれだけ。 |
ミント | 皆さんとはぐれてしまったなんて……いったい何があったのですか ? |
ミトス | 教団が異界の存在を召喚すると聞いてそれを止めるために乗り込んだんだ。だけど、間に合わなかった。 |
ミトス | 不意をついたつもりだったけど、連中はボクらが来ることをわかっていたみたいだった。いや、『待っていた』と言った方がいいかもしれない。 |
リナ | あんたたちが来るのを待ち構えていてわざわざ目の前で召喚したってこと ?妙な話ね。何か理由があるのかしら。 |
ミトス | さあね。でも、してやられたのは事実だ。このまま帰るのは癪に障るね。 |
ガウリイ | つまり、仕返しがしたいってわけか。 |
ミトス | 身も蓋もないなぁ……。 |
リナ | いいじゃない。やられたらやりかえす !あたしはそういうの好きよ。教団の本部まで案内してくれる ? |
ミトス | わかったよ。……もう少し頭の回る連中だとよかったんだけどね。 |
キャラクター | 7話【七、 縁ある追手】 |
勇者 | 見つけたぞ、邪神リナ=インバース ! |
リナ | うわ……また出た。 |
勇者 | 今日こそ勇者である私が貴様を倒す ! |
ミトス | なんだい、あれ ? |
ゼロス | リナさんを付け狙う自称勇者さんです。 |
リオン | しかし、ミトスの前で『勇者』を名乗るとはな。 |
ミトス | ん…… ? ああ、そうだね。全く身の程をわきまえてもらいたいな。 |
勇者 | だから私を無視するな ! |
リナ | あんた、いい加減懲りなさいよ。弱っちいんだから。 |
勇者 | 弱っちいとか言うな !これでも村じゃ一番剣が上手だったんだ ! |
リナ | 村を出て世間の厳しさを存分に味わってるわけね。 |
勇者 | くっ……だが、バカにしていられるのも今のうちだ !私にもついに仲間ができたんだからな ! |
リナ | 仲間…… ? |
? ? ? | その通りです ! |
ミント | どこかから、声が ! |
リオン | 見ろ、あの木の上だ ! |
リナ | こ、このパターンは……。 |
アメリア | 罪無き人々を苦しめる邪なる神よ !このわたしが正義の鉄槌を……って、あれ ? リナじゃない。 |
リナ | なんでアメリアが勇者様一行に加わってるのよ ! |
アメリア | もちろん正義のためです ! |
勇者 | え ? あれ ? お知り合い ? |
リナ | だいたい、邪神リナ=インバースなんて聞いてちょっとはおかしいと思わなかったわけ ? |
アメリア | ……………………。 |
アメリア | とうとうリナも悪に手を染めてしまったのね ! |
リナ | なによ今の間は ! |
アメリア | とにかく、友が悪の道に走ってしまったのならそれを止めてあげるのが真の友情というもの !リナ、愛の鉄拳制裁を食らいなさい ! |
リナ | あーもう、付き合ってらんないわ……。……ゼロス、やっちゃって。 |
ゼロス | では、遠慮無く。 |
アメリア | みぎゃー ! |
勇者 | お、覚えてろー ! |
ミント | お、お大事に……。 |
リナ | ……ったく、いつになったら諦めるのかしら。 |
ガウリイ | あの調子だと、もう一回くらいは来そうだな。 |
リナ | 嫌なこと言うのやめてよ。それはそれとして……アメリア。申し開きがあるならどーぞ ? |
アメリア | ご、誤解が解けてよかったですリナ !あなたが本当は正義を愛する人だってことわたし、信じてた ! |
S・シャルティエ | すさまじい変わり身の早さですね。 |
リナ | なんとかこの場を切り抜けようと必死なのよ。 |
アメリア | そ、そうだ ! ミトスくんも、無事で何よりですね ! |
ミトス | おかげさまで。他の二人はどうしたんだい ? |
アメリア | ゼルガディスさんとは途中まで一緒だったけど教団の追っ手が来た時に別々の方向に逃げてそれっきりです。 |
ミトス | そうか。ということは……やっぱり、ヴァンは教団に捕まった可能性が高いね。 |
リオン | なぜそう思う。 |
ミトス | ボクやアメリアたちが逃げられたのはヴァンが教団の追っ手を引きつけてくれたからじゃないかな。 |
ミトス | ヴァンは無謀な人間じゃない。ボクたちが十分逃げられたと判断したらすぐにでも連中に投降するはずだ。 |
アメリア | じゃあ、さっそくヴァンさんを助けにいきましょう ! |
リナ | オイコラ。あんたがあたしを邪神扱いした件についてまだ許したわけじゃないんだけど。 |
アメリア | や、やーね、リナったらそんな怖い顔して。わたしたちの仲じゃない ?過ぎたことは水に流しましょーよ。 |
リナ | 調子のいいやつ……。だいたい、なんであの勇者くんの仲間になんかなってたのよ。 |
アメリア | そんなの決まっているじゃないですか。路銀が尽きて困ってたからです ! |
リナ | 自信満々に言うな ! |
リオン | お前の知り合いにまともなやつはいないのか。 |
ゼロス | 言われてますよ、リナさん。 |
アメリア | リナ、友達は選んだ方がいいですよ。 |
リナ | だからあんたらが言うなー ! |
キャラクター | 8話【八、 敵情視察】 |
リナ | ここが北の街ね。思ってたより大きいじゃない。 |
ミント | 前の街よりずっと活気がありますね。皆さん表情が明るいです。 |
ミトス | ここは教団のお膝元だからね。信者から集めた財で潤ってるんだ。 |
リナ | どうりでみんな羽振りが良さそうなわけねー。 |
リオン | お膝元というなら、お前を狙う者も多いはずだ。わざわざ危険をおかしてまでこの街に立ち寄る必要があったのか ? |
リナ | リオンの言うことも一理あるわ。だけど、教団の情報を集めるのにこれほどうってつけの場所もないでしょ。 |
リオン | それはそうだが……。 |
リナ | そして情報のある場所、すなわち飯屋 ! |
リオン | ……結局それか。 |
リナ | そんなわけだから、さっそく食事……じゃなくて、情報収集に向かうわよ ! |
アメリア | リナ、あのお店が美味しそう……じゃなくて、いい情報がありそうですよ ! |
リナ | アメリア ! でかしたわ !さっそく行くわよ、リオン ! |
リオン | 待て、なぜ僕まで…… ! |
ミトス | 彼女、狙われてるって自覚はないの ? |
ガウリイ | まあ、コソコソ隠れるのはリナの主義じゃないからな。それに堂々としてた方が逆に怪しまれないもんさ。 |
ミント | 長旅でしたから、私たちも英気を養うつもりで食事を楽しんでもいいかもしれませんね。 |
ミトス | ボクは付き合う気はないよ。少し街の様子を探ってくる。ゼロス、きみはどうするんだい ? |
ゼロス | 僕はリナさんについていきますよ。 |
ミトス | そうか……なら好きにするといい。 |
ゼロス | では、僕たちも行きましょうか。 |
リナ | こんちはー !この店のメニュー、端から端までぜーんぶちょうだい ! |
アメリア | それをもう一巡お願いします ! |
大神官 | くっくっく……やはり来たなリナ=インバース。 |
リナ | あんた誰 ?どー見てもこのお店の人じゃないわよね。 |
大神官 | 久しぶりの再会だというのにつれないではないか。 |
リナ | 久しぶり…… ? |
ガウリイ | おーい、リナー、オレたちの分も残しといてくれ……って、誰だそいつ ? |
リナ | どうやら、あたしのこと待ってたみたいよ。熱心なファンかしらねー。 |
大神官 | 確かに俺はあの日以来、寝ても覚めてもお前のことばかり考えていたよ。 |
リナ | ほんとにあんた誰 ?ぜんぜん覚えてないんだけど。 |
ゼロス | 以前、僕がアークに行くためリナさんたちを利用した時に協力してくださった魔族さんの一人ですよ。 |
リナ | ……ああ ! あの時の間抜けな盗賊の親玉 ! |
大神官 | 誰が間抜けだ !だいたい、盗賊はただの変装だ !そして今は教団のトップたる大神官よ ! |
アメリア | リナ、お知り合いですか ? |
リナ | いや、あんたもあの場にいたじゃない……。 |
リナ | それはそれとして、しばらく見ないうちに立派な服着ちゃって。出世したわねー。ていうか、あんた滅びたんじゃなかった ? |
大神官 | 詰めが甘かったな。貴様に滅ぼされる寸前、なんとか身体を分離して生き延びたのだ。 |
リナ | あんたといいゼロスといい、魔族ってどうしてこうしぶといのよ……。 |
大神官 | なんとでも言うがいい。貴様こそ、世界の敵となった気分はどうだ ? |
リナ | ……その口ぶりからすると、黒幕はあんたってわけ ? |
大神官 | その通りだ。貴様への復讐を果たすため教団を作り、邪神リナ=インバースの伝説をこの世界に広めたのだ。 |
リナ | はぁ……それはそれはヒマなことで……ん ? あたしに復讐…… ? |
リナ | まあいいわ。どっちにしろ、あんたがあたしたちに勝てるわけないじゃない。行け ! あたしの忠実なしもべゼロス ! |
ゼロス | 勝手にしもべにしないでください。 |
リナ | あんたんとこの上司があたしを守れって言ってるんでしょ。なら同じことよ。 |
ゼロス | はぁ……仕方ありませんね。えーと、そういうわけなので僕はあなたを滅ぼさなければならなくなりました。 |
大神官 | くっくっく……ゼロスがリナに味方することは想定済みよ。先生 ! お願いします ! |
ヴァン | やれやれ……やっと出番か。 |
リオン | ヴァン ! ? |
ミント | ヴァンさんが、なぜ……。 |
ガウリイ | 違う。ありゃあ、別物だ。 |
ヴァン ? | ようやく会えたな……リナ=インバース。探したぜ……ゼロスの野郎も久しぶりだなぁ……あの時以来か ? |
ゼロス | っ ! ? |
リナ | ちょっと、どうしたのよゼロス ! |
ゼロス | 逃げてくださいリナさん。あれの『中身』は魔族です。それも僕よりずっと高位の存在……。 |
リナ | ……みんな、逃げるわよ。 |
リオン | どういうことだ。あれはヴァンじゃないのか ? |
ミント | だとしても、このまま放っておくわけには…… ! |
アメリア | そうです ! 目の前の悪を見過ごすなんて ! |
リナ | お願い ! ここはあたしを信じて。あのゼロスがマジになるなんて……あれはやばい。 |
ヴァン ? | リナ=インバースは『まだ』殺さん。だが、他の連中は別だ。楽しませてくれよ…… ! |
リナ | 逃げて ! |
大神官 | 逃がすな !リナ=インバース以外は殺して構わん ! |
ミント | リナさん、ゼロスさんが来ていません ! |
リナ | ゼロスはあれでも高位の魔族よ。むしろあたしたちがいないほうが戦いやすいわ。それに、こんな街中じゃ強力な魔術は使えない。 |
リオン | お前にしては賢明な判断だな。だが、ここは敵地のど真ん中だ。逃げ切れるか…… ! |
リナ | んなのわかってるわよ ! |
信者A | いたぞ ! リナ=インバースだ ! |
信者B | 魔術を使われる前に取り囲め ! |
アメリア | リナ ! 前からも信者さんたちが ! |
リナ | 数が多すぎるわね……。 |
ヴァン ? | よお、追いかけっこは終わりか ? |
リナ | あんたは ! ? |
ミント | ゼロスさんはどうしたんですか ! ? |
ヴァン ? | あいつならしばらく戦った後そそくさと逃げてったぜ。 |
リナ | あのやろ……無責任な……。 |
ヴァン ? | 魔族に何を期待してやがる。むしろ、少しでもお前らが逃げる時間を稼いだことに感謝するんだな。 |
ヴァン ? | だが、それも終わりだ……死ね。 |
リナ | みんな避けて ! |
ミント | きゃあああっ ! |
ヴァン ? | ちっ……外したか。もう少し、この身体に慣れる時間が必要だな。 |
リオン | なんて威力だ……街の一角が吹き飛んだぞ。 |
大神官 | が……先生、あまり街に被害を出しては……。 |
ヴァン ? | ちっ……わかっている。オレが戦うわけにはいかなさそうだ。信者どもに追わせろ。 |
大神官 | はっ…… ! |
リナ | ガウリイ ! 大丈夫 ! ? |
ガウリイ | ああ……なんとかな。だが、そっちに戻るのは無理そうだ。二手に分かれよう。 |
リナ | くっ……仕方ないか……。 |
ガウリイ | 行け ! オレも後から必ず追いつく ! |
リナ | わかった ! みんな、逃げるわよ ! |
キャラクター | 9話【九、 続く逃亡】 |
信者A | くそ、見失ったか ! |
信者B | 捜せ、まだ近くにいるはずだ。 |
アメリア | 信者さんたち、どんどん数が増えてますね。 |
リオン | そう簡単には諦めないだろう。何せ追ってるのは世界を脅かす『邪神』だからな。 |
ミント | ガウリイさん、ゼロスさん……ご無事でしょうか。 |
リナ | あの二人なら大丈夫よ。ゼロスはもちろん人間じゃないしガウリイだって殺して死ぬようなやつじゃないわ。 |
リオン | 僕たちも他人を心配できる状況じゃない。このままでは追い詰められるぞ。 |
リナ | なんとか街から出ることができればいいんだけど……。 |
ミトス | それならボクが案内するよ。 |
リナ | ミトス ! あんた今までどこに……。 |
ミトス | 街の調査だよ。そのおかげで、抜け道を見つけたんだ。感謝してもらいたいね。 |
リナ | もちろん感謝してるわ。だからさっさと街から出ましょ。 |
ミント | なんとか街を出られましたね。ですが、ガウリイさんにゼロスさんそれにヴァンさんもなんとかしなければ……。 |
リナ | ええ。だから教団の本拠地に乗り込むわ。 |
リオン | そうするしか道はなさそうだな。 |
リナ | うん、教団をこのままにはできない。ヴァンのこともあるし、連中は何か企んでる。 |
ミトス | どうしてそう思うんだい ? |
リナ | 魔族が『復讐する』なんてそんなこと言うのがおかしいのよ。 |
ミント | どういうことでしょう ? |
リナ | 連中は人間とは精神構造が根本的に違うのよ。世界も自分もみーんなまとめて滅びよう !なんて本気で考えてるんだから。 |
リナ | そんなやつが復讐なんて『人間みたいな』動機で動くとは思えないのよね。 |
アメリア | つまり、より大きな計画があると ? |
リナ | かもしれない。でないと、少なくともあたしを生かしたまま捕らえるなんて行動をする理由がないわ。 |
リオン | 理屈はわかった。問題は勝てるかどうか、だな。 |
S・シャルティエ | 確かに。ヴァンさんの身体を乗っ取った存在は尋常ではありませんでしたね。 |
リナ | そこは考え方が逆ね。『今なら勝てるかもしれない』のよ。 |
リナ | 連中の企みが成功したらもう手の出しようがなくなるかもしれない。だから先手を打つの。 |
リオン | ……なら、急ぐべきだな。 |
アメリア | わたしも、このまま悪を見過ごすわけにはいきません ! |
ミント | はい。行きましょう。皆さんを救うために…… ! |
ミトス | 盛り上がってるところ悪いんだけどきみたち、その本拠地がどこにあるか知ってるの ? |
リナ | あ……。 |
ミトス | そんなことだろうと思って、調べておいたよ。この先の山の麓、大きな『塔』があるところだ。 |
リナ | まさか、その『塔』って……。 |
リナ | 意外とあっさり入れたわねー。 |
ミトス | 聖地がある街だからね。毎日大勢やってくる巡礼者をいちいち調べてなんかいないよ。 |
リナ | しかし、ほんとに『あの塔』が聖地にされてんのね。 |
ミント | リナさんは、あの塔をご存知なのですか ? |
リナ | まあねー。前はあそこで魔族たちと戦ったのよ。まあ、全部ゼロスの企みだったんだけど。 |
リオン | 『塔』か……聖地というからには何かがあるんだろう。 |
ミトス | ボクが調べてくるよ。きみたちは仲間を捜しにいけばいい。 |
アメリア | ゼルガディスさんとは、この街を出る直前にはぐれました。もしかしたらどこかに捕らえられているかもしれません。 |
ミント | 怪我をされている可能性もありますね。でしたら私がお役に立てそうです。 |
リナ | じゃあ、アメリアはミントと行って。 |
アメリア | リナはどうするんですか ? |
リナ | あたしは、奥の建物に忍び混むつもり。あれだけ立派な建物ならきっとお宝……じゃなくて重要な資料とか見つかりそうだもの。 |
リオン | ここまで来てお宝だと…… ? |
リナ | そ、そんなこと言ったかしら ?ほら行きましょリオン。 |
リオン | どうしてお前と行かなければならない。 |
リナ | ミトスは一人が好きそうだし、アメリアはミントと行くんだから消去法ってやつよ。ほらほら、行くわよ ! |
リオン | ……ふん、馴れ馴れしくするな。 |
リナ | 見張りが多い。ますます怪しいわね。さて、どーやって中に入ったもんか。 |
リオン | 見張りなど、片付ければいいだろう。 |
リナ | だああっ ! ダメだってゼル !一応、あの人たちは一般人なんだから ! |
リオン | 気を失わせるだけだ !掴むな ! それにゼルってなんだ ! ? |
ゼルガディス | 俺はここだが。 |
リナ | って、本物のゼル ! ? |
ガウリイ | オレもいるぞ。 |
リナ | ガウリイ ! なんでまた二人一緒に……。 |
ガウリイ | この街の入り口で会ったんだ。入るのにも手を貸してもらったぞ。 |
リナ | なるほどね。にしても、よくあたしたちがここにいるってわかったわね。 |
ガウリイ | リナは絶対やられっぱなしではいないだろ。きっと敵の本拠地に乗り込むと思ったんだ。 |
リナ | その通りなんだけど……。ガウリイに行動を読まれるとなんか癪に障るわね。 |
ゼルガディス | この中に侵入したいんだろう。なら俺についてこい。 |
ゼルガディス | ……ところで、お前はなぜ俺と同じ格好をしている ? |
リオン | 僕に聞くな。 |
ガウリイ | はは……まぁ、いいじゃないか。双子みたいで。 |
二人 | 誰が双子だ ! |
キャラクター | 10話【十、 麗しき教祖】 |
リナ | ゼルのおかげで楽に侵入できたわ。でも、よく隠し通路なんて知ってたわね。 |
ゼルガディス | 怪我を治すため治癒術を使って体力を消耗したからな。しばらく街に留まっている間にこの通路を知った。 |
ガウリイ | ゼルが怪我をするなんて相手は誰なんだ ? |
ゼルガディス | ヴァンだ。……いや、ヴァンの身体を乗っ取った『何か』だな。 |
リオン | あれと一対一でやりあったのか。怪我で済んだのは幸運だったな。 |
ゼルガディス | お前たちも会ったのか。……あれはいったい何だ ? |
リナ | 魔族よ。それもゼロスより高位のね。 |
ゼルガディス | そうか……。やはりあの召喚の儀式で呼び出されたのは高位魔族だったか。 |
ゼルガディス | アメリアは無事か ? |
リナ | 安心して。この街に来てるわ。今はミントと一緒に別行動してるけど。ミトスもいるわよ。 |
ゼルガディス | そうか……。儀式の時にいた仮面の女……教祖がいるのはこの先だ。 |
リナ | そう……。さっさととっちめて、何を企んでるのか洗いざらい話してもらいましょ。 |
仮面の女 | ほーっほっほっほ !よくぞここまでたどり着いたわね、リナ=インバース ! |
リナ | そ、そうだった……こいつがいたんだった……。謎の魔族とか、シリアスな雰囲気が続いたからすっかり油断してたわ……。 |
仮面の女 | 何もないところで転ぶなんて注意力散漫なんじゃない。 |
リナ | うっさい ! 誰のせいだと思ってんのよ ! |
リオン | こいつと知り合いなのか ? |
リナ | う……確かに知らない相手じゃないけどそれを認めるのはひじょーに抵抗があるというか……。 |
仮面の女 | 待ちくたびれたわよ、リナ。ようやくあなたとの決着をつける時が来たわね ! |
S・シャルティエ | あっちはずいぶんと知ってるみたいですけど。 |
リナ | お願い……今は何も聞かないで……。 |
リナ | ナーガ ! なんであんたがここにいるのよ !しかも今回はちゃんと自分の身体じゃない ! |
仮面の女 | ナーガ ? そんな人知らないわね。ほら、そのナーガって人はこんな仮面なんて付けてないでしょ ? |
リナ | いや、それはそうなんだけど……。 |
仮面の女 | わたしはここの教祖にして救世主 !なんだかよくわからないけどこの世界を守るために異世界から遣わされたとかそんな感じのアレよ ! |
リナ | もうちょい自分の立場を把握しなさいよ……。どーせまたあの魔族にまんまと丸め込まれたんでしょ。 |
仮面の女 | だからなんのことかわからないってば。とにかく勝負よ、リナ ! |
リナ | と、いうことなんだけど……。 |
ゼルガディス | やるしかないだろう。あっちはその気だ。 |
リオン | バカバカしい。さっさと終わらせるぞ。 |
リナ | うう……やだなぁ……。 |
仮面の女 | きゅう……。 |
リナ | あーもう、手間かけさせてくれたわね。けど、これで教団も終わり―― |
大神官 | やれやれ、時間稼ぎにもならなかったか。 |
リナ | っ ! ? |
リオン | いつの間に ! ? |
ヴァン ? | どうだ、リナ=インバース。世界から敵とみなされ、親しい者と戦った気分は。 |
リナ | おかげさまで、なかなか苦労してるわ。そっちこそずいぶん様子が変わったじゃない。……『魔竜王(カオスドラゴン)ガーヴ』。 |
ゼルガディス | ガーヴだと…… ! ? |
アメリア | ゼルガディスさん ! |
ミント | ヴァンさん ! |
ヴァン ? | やっと全員揃ったか。待ちくたびれたぜ。 |
大神官 | 申し訳ありません、ガーヴ様。しかしこれもリナ=インバースを追い詰めるため。 |
リナ | やっぱり……あんたガーヴなのね。 |
アメリア | ガーヴ ! ? ヴァンさんの身体を乗っ取ったのはガーヴなんですか ! ? |
リオン | おい、ガーヴというのは何者だ。 |
ゼルガディス | 『赤眼の魔王』シャブラニグドゥの五人の腹心の一人。魔王が封印されている今、最強の魔族と言っていい。 |
ミント | そんな相手がヴァンさんの身体を……。 |
ガーヴ | なぜ、オレだとわかった ? |
リナ | なにより魔族のくせに『復讐』なんて考えるやつは人間として転生させられたあんたくらいでしょ。 |
リナ | あとはそうね……あんたが街で見せた攻撃。あれが魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)によく似てたからかしら。 |
リナ | ゼロスが脅威を感じるほど高位の魔族で部下にあたしを殺すように命じるやつなんてそう多くないわ。 |
ガーヴ | なるほど。ヒントは十分あったわけか。 |
リナ | それにしても、ずいぶん恨まれたものね。あたし、あんたに何かしたかしら ? |
ガーヴ | そう、それだ。オレにはそいつがわからないんだ。 |
ガーヴ | 元の世界で、オレは部下どもに『リナ=インバースを殺せ』と命じた。 |
ガーヴ | だが、その理由が思い出せねぇ。この世界への召喚が不完全だったからかそれとも元の世界で何かがあったのか……。 |
ガーヴ | 何も覚えちゃいねぇのに、ただ計画を台無しにされたっていう怒りと屈辱ばかりが今も頭ん中をグルグル駆け巡っていやがる。 |
ガーヴ | そんなオレの気持ちがてめぇにわかるか ? |
ガーヴ | オレの計画が失敗した原因がリナ=インバースだってことはわかってる。だったらてめぇを殺せば多少は気が晴れるかもしれん。 |
リナ | そんな理由で狙われるなんてあたしとしては納得いかないんだけど。 |
ガーヴ | だろうな。だが、同情はしねぇよ。オレの気晴らしのために死んでくれ。 |
リナ | っ ! |
ガーヴ | おっと、まあ落ち着け。オレたちの決着にふさわしい場所を用意した。あの塔のてっぺんだ。来るか来ないかは自由だが……。 |
ガーヴ | オレもわかるが……これからずっと命を狙われ続けるってのはつれぇもんがあるだろ ? 待ってるぜ。 |
リナ | …………。 |
| to be continued |