キャラクター1話【総力戦】
リナ塔で待つ……ね。
リオン普通に考えれば罠だろう。
ゼルガディスどうだろうな。魔族は人間を脆弱な存在と侮っている。案外、素直に待っているかもしれんぞ。
リナどっちにしろ、行かないって選択肢はないわ。このままずっと命を狙われ続けるなんてごめんだもの。
リナそれに、前の世界のことを持ち出されてネチネチ恨まれるなんて癪に障るじゃない ?
ゼルガディス決まりだな。
ミントはい。ヴァンさんをこのままにしておくわけにはいきません。
リオンふん、ならば相応の準備をしておくんだな。
リナもー、素直じゃないわねー。あたしみたいな美少女を一人で行かせられないってそう言えばいいのに。
リオン僕はワイズマンの依頼をこなしているだけだ。お前は一人でどこへでも勝手に行け。
リナ冗談だって。もー、怒っちゃやーよ♪んで、ガウリイはどーすんの ?
ガウリイん ? オレか ?もちろんリナについていくよ。オレはお前の保護者だからな。
アメリアみなさん、心は一つのようですね……。
アメリアでは、行きましょう !悪しき魔族が待ち構えるあの塔へ !
ミトス盛り上がっているところ悪いけどボクのことを忘れないでほしいね。
ミントミトスさん ! ご無事でしたか。
ミトスまあね。そっちで何があったかもだいたいわかってるよ。
リナそういえば、あんた塔を調べるとか言ってたわよね。
ミトスうん。ちょうどガーヴと大神官が入れ違いで戻って来たよ。やつら、塔の最上階でまた何か儀式をするみたいだ。
ゼルガディスもう一度、魔族を召喚するつもりか。
ミトスだろうね。今度は自分の部下でも呼び寄せるのかな。
リナ魔王もいないこの世界は、あいつにとっちゃ理想の世界かもしれないわね。
ミントですが、無関係な人たちに害が及ぶようなら止めなければいけません。
リナもちろん、好きにさせるつもりはないわ。……ところでミトス。あの塔って床に大きな穴が空いてなかった ?
ミトスいや、そんなものはなかったよ。
リナちっ……しっかり補修してたか。きっと前回と同じ手は使えないわね。今回は正攻法で行くしかないか。
リナ準備が出来たら塔に向かいましょ。

キャラクター2話【VS仮面の女】
リナまさか、またこの塔を登らされるとはねー。しかもてっぺんまでって……。
リナ悪の親玉って、なんでこう毎度毎度一番高いとこでふんぞり返ってるのかしらねー。
S・シャルティエ……文句が多い人ですね。坊ちゃんのように静かに登ったらどうです ?
リナそんなこと言ったって、せめてお宝の一つくらい置いといてくれないとやる気が出ないわよ。はぁ……あとでワイズマンにしっかり請求しなきゃ。
リオン金の亡者め。まったく、どこかの誰かと一緒だな……。
ミントがんばってくださいリナさん。ほら、もうすぐ次の階層ですよ。
ゼロスリナさん、お待ちしていました。
ゼルガディスゼロス ! 貴様、今までどこにいた !
ガウリイやっぱりそっち側だったか。
アメリア最初からわたしたちを騙すつもりだったんですね !ならばその企みごと叩きつぶすまでです !
ゼロスちょ、ちょっと待ってください !僕はガーヴさんの側じゃありません !
ミントでは、リナさんの味方なんですね ?
ゼロスあ、いえ、正確に言うと味方というわけでは……。
S・シャルティエやっぱり、ここで倒しておきましょうよ、坊ちゃん。
ゼロス味方じゃありませんが、少なくともリナさんに死なれると、いろいろ困るのは確かです !
ガウリイって、言ってるがどうする ? リナ。
リナまあ、いつも通りウソはついてないみたいね。とはいえ、まだなんか隠してそうなのよねー。実際のとこどうなのよ。
ゼロスそれは……秘密です。
ゼルガディスやはり斬るか。
リオンああ、その方が後腐れがない。
ミトスその辺にしてあげたら ?ガーヴと戦うなら戦力は多いに越したことはない。こんなのでも、かなり強い魔族なんでしょ ?
ゼロスそうそう。僕、けっこう強いですよ。ガーヴさんには手ひどくやられちゃいましたけど。
ガウリイ負けてるじゃないか……。
ゼロスだからこそ、みなさんに協力するわけですよ。僕としても、人間が混じっちゃったガーヴさんに力を持たれると困りますからね。
リオン飄々として肝心なことは明かさない。不愉快な奴だ。これが魔族なのか。
ミント私も、この方を……信用するのは危険かと思います。
ゼロスいやはや、嫌われちゃいましたねー。
リナま、こいつとの付き合いはそのくらいがちょうどいいわよ。それじゃ、ちゃっちゃと塔を登りましょ。
リナや、やっと着いた……。もうやだ帰りたい……。
アメリアがんばってくださいリナ !ここからが本番ですよ !
リナあんたは無駄に元気ね……。
アメリアとーぜんです !ついに巨悪との最終決戦ですから !
ゼルガディスその巨悪とやらの姿が見えないが。
? ? ?ほーっほっほっほ !やっと来たわね、リナ=インバース !
リナこ、この声は……。
仮面の女待ちくたびれたわよ。さあ、決着をつけましょう !
リナあんたねぇ……いい加減気付きなさいよ。あんたはあの大神官とかいうのに騙されてんのよ。
仮面の女あんなにごはんをご馳走してくれる人が悪い人なわけないじゃない。
リナこ、こいつは……そのパターンで何回騙されれば気が済むのよ。
勇者おい、貴様 !教祖様をバカにするな !
リナ……誰 ?
ミント何度もお会いした勇者さんですよ。
S・シャルティエどうして忘れられるんですか。あれだけ付きまとわれたのに……。
リナあー、いたわねそんなの。で、その勇者くんがなんでここにいるの ?
勇者もちろん、貴様の手から教祖様をお守りするためだ !教祖様のためならば、この身が砕けようとかまわない !
仮面の女ふっ……そういうことらしいわ。高貴なわたしの魅力を前にすれば自ずと惹かれてしまうのも無理のないこと……。
リナそういえば、こいつ妙なのに好かれる体質だったわ。
ミントどうしましょう……。さすがに何も知らないあの方を巻き込むのは心苦しいです。
リナそうねぇ、あたしもそれには同意……とか言いつつ烈閃槍(エルメキア・ランス) !
仮面の女なんの ! 勇者バリヤー !
勇者ひぎあああああっ !
ミントゆ、勇者さーん !
リナちっ……防がれたか。
仮面の女ふっふっふ……あなたのやることなんてお見通しよリナ。
ミントリナさん、ゆ、勇者さんが…… !
ゼロス安心してください。烈閃槍は精神にダメージを与える魔術です。
ゼロス僕たち魔族にはよく効きますが人間が命を落とすことはまずないでしょう。まあ、しばらく寝込むことにはなりますが。
ミントそ、そうなんですか……安心しました。あ、ではリナさんは……。
リオンあの自称勇者を巻き込まないためか……。
仮面の女もう気絶しちゃったのね。あと二、三発は防いでほしかったのに。
リナやるわねナー……仮面の女。烈閃槍で昏倒したところをタコ殴りにしてやろうと思ってたのに……。
ガウリイあんなこと言ってるぞ。
ゼルガディスリナがそんなに優しいわけがないだろう。
アメリアリナはわりとよーしゃないですよ ?
二人…………。
リナこうなったら直接やりあうしかないようね。
仮面の女ふん。もとよりそのつもりよ !行くわよ、リナ !

キャラクター3話【VS仮面の女】
仮面の女やるわね……さすがはわたしのライバル。でも、これで終わりじゃないわ !
リナくっ…… ! 相変わらず無駄にしぶといやつ !
ミントあの、リナさん、先ほどから気になっていたんですがこの方はお知り合いなんですか ?
リナえ……。
S・シャルティエ神殿でも聞いたんですけどね。さっきの勇者のくだりとか、息ピッタリでしたけど。
リナいや、だから、それは……。
ゼルガディスお前たち、そっとしておいてやれ。
ガウリイそうだぞ。あんなのでも、きっとリナにとっては数少ない友達なんだからな。
リナ友達ぢゃないやい !それに地元にいっぱいいるもん ! 友達 !
仮面の女何をゴチャゴチャ言ってるのかしら !ていうか、放っておかれると寂しいんだけど !
リナおにょれ……こうなったらあんたに八つ当たりしてやる !
リナ黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの──
仮面の女ちょ、ちょっとリナその呪文は……。
リナ時の流れに埋れし 偉大な汝の名において我ここに闇に誓わん 我等が前に立ち塞がりしすべての愚かなるものに──
仮面の女ああああっ ! ごめんなさい !わたしが悪かったわ ! このとーり !
ミトス急に素直になったね。
アメリア敵ながら見事な土下座です。さぞや修練を積んだことでしょう。
S・シャルティエ土下座の修練ってなんですかそれ……。
? ? ?やれやれ、もうちっと粘るかと思ったんだがな。所詮は人間か……。
リナガーヴ ! やっとお出ましね。竜破斬であぶり出す手間が省けたわ。
ガーヴやはり、そういう狙いか。さすがにあれを撃ち込まれるとこっちもタダじゃすまねぇからな。
大神官リナ=インバース、相変わらず恐ろしい女だ。人間にしておくのが勿体ないぞ。
リナ魔族なんかに褒められても嬉しくないわよ。
リナだいたいね、よくもあたしのことを邪神だかなんだかに仕立て上げてくれたわね。この精神的苦痛は慰謝料程度じゃすまないわよ !
仮面の女え…… ! この人たち魔族だったの ! ?
リナずっとそう言ってたでしょーが !あんた人の話聞いてなかったわけ ! ?
仮面の女だって、気付けば見知らぬ場所にいて困っていたところを助けてくれたのよ !しかもごはん奢ってくれたし !
仮面の女そんなのいい人に決まってるじゃない !
リナだからそれが作戦なんだってば !恩を売って、自分のために働かせるの !
仮面の女だったらリナも最初からそう言ってよ !
リナだからずっと言ってたつーとるだろうが !
大神官いや、あの……こっちの話を聞いてほしいんだが……。
リナああもう ! うっとうしい !ちょっと静かにしてなさい ! 炸弾陣(ディル・ブランド) !
仮面の女みぎゃー !
リナふぅ……これでよし、と。
リオンいいのか、それで……。
ミントリナさん、お友達になんてことを……。
リナし、仕方ないでしょ !このままじゃ話が進まないんだから !それにあいつはしぶといからへーきよ ! たぶん !
大神官リナ=インバース……友にすら容赦がないとはますます人間にしておくには惜しい女よ。
リナだからあんたに褒められても嬉しくないってば !
大神官貴様を倒すため、あらゆる策を講じたがそのことごとくを打ち破られるとはな……。
リナあんたがいくら知恵をしぼったところでこのあたしを出し抜けるわけがないじゃない。こいつを引っ張り出したことがそもそもの間違いよ。
大神官もともと、貴様の友であるその女に魔族を憑依させ戦わせる予定であったのだ。
大神官だが、運良くガーヴ様をお呼びすることができたゆえその女の利用法に困っていたのだ。ゆえに、もはや教祖も教団も用済みよ。
ガーヴそう、てめぇも用済みだ。
リオン自分の部下を、刺しただと…… ! ?
大神官ぐあっ…… ! が、ガーヴ様……なぜ……。
ガーヴここまでてめぇの策に付き合ってやったがもう飽き飽きだ。
ガーヴオレは言ったよな ? 「リナ=インバースを連れて来い。そしてオレに殺させろ」と。
ガーヴところがいつまで経っても連れて来やしねえ。
ガーヴオレを喚んだことは褒めてやるがそれも不完全すぎてこの有様だ。
ガーヴこの儀式でもっと役に立つ部下を喚ぶことにするよ。
大神官そ、そん、な……。
ミントひどい……。
ゼロス…………。
ミトスゼロス……ダメだ !
ガーヴ隙を突いたつもりか ?バレバレなんだよ !
ゼロスぐはっ…… !
リナゼロス !
ガーヴ誰の指図か知らねぇがてめぇがオレの命を狙ってることなんざとっくにわかってんだよ。
ガーヴさっきのはワザと隙を見せてやったんだ。
ゼロス………… !
ガーヴ……逃げやがったか。薄情な野郎だ。まあ魔族だから当然か。
ガーヴ悪かったな、リナ=インバース。こっちの事情に付き合わせてよ。
リナ気にしないで。こっちもゼロスに気を許してたわけじゃないから。むしろ目的がはっきりしてよかったわ。
ガーヴそうかい……じゃあ、やるか。
リナみんな ! 来るわよ !
ガーヴリナ=インバース……。てめぇのお仲間どもを一人ずつ目の前で殺してやる !

キャラクター4話【VS魔竜王ガーヴ】
ガーヴぐはっ…… !
ガーヴこのオレが、膝をつかされるとはな……。
リナここはあたしたちがいた世界とは違う。人の身でも強大な魔族に対抗する方法はあるのよ。
ガーヴらしいな……だが、それでもまだ負けを認めるわけにはいかん。
リナあんたの死にたくないって気持ちはわかる。でも、同情はしないわ。
ガーヴはっ……それでいいのさ。さあ、続きを――
ミトスいや、続きはない。きみはここで終わりだよ、ガーヴ。
ガーヴぐああああああ !
リオンヴァン !
ミントヴァンさんのことは私に任せてください !
リナわ、わかったわ !それよりも……。
ゼルガディスミトス ! お前、なぜ……。
リナ違うわ。そいつはミトスじゃない……。
ミトス ?おや、気付いていたの ?上手く演技していたつもりだったんだけどな。
リナあんた、ちょいちょいゼロスのこと庇ってたでしょ。ゼロスもあんたには一歩引いて接してたわ。それでなんか怪しいと思ったのよね。
ガウリイやっぱりそうか。なんだか違うニオイがすると思ってたんだよなー。
リナなによガウリイ、あんたも気付いてたわけ ?
ガウリイ半分だけな。もともとミトスはオレたち人間とは違うニオイがするやつだから。
ミトス ?ニオイで気付くなんて……彼の鼻はどうなってるんだい ?
リナそういうやつなのよ。あんまり気にしないで。
リオンおい、どういうことだ ?こいつがミトスじゃないなら誰だっていうんだ。
リナおそらく、高位の魔族よ。ゼロスに命令できるくらいのね。
ミトス ?正解だよリナ=インバース。
フィブリゾあらためて自己紹介するね。ぼくの名はフィブリゾ。冥王(ヘルマスター)――と呼んでくれてもいいよ。
ゼルガディス冥王……だと…… ! ?
ガウリイ冥王って誰だ ?
リナリオンやミントならともかくなんであんたが知らないのよ !
ガウリイいや、どっかで聞いた名前な気はするんだが……うん。やっぱり思い出せん。
リナこ、こいつは……。
ゼルガディス冥王フィブリゾは、赤眼の魔王シャブラニグドゥが有する五人の腹心の一人だ。
リオンつまり、ガーヴに匹敵する存在というわけか。
フィブリゾガーヴに匹敵 ? 侮ってもらっちゃ困るな。もともとぼくはガーヴより強いよ。
フィブリゾ今は人間の身体なんかに入っていて不完全だけどね。……いや、この身体も普通の人間じゃないか。
リナガーヴと一緒にあんたも召喚されてたなんてね。あの大神官って、けっこう優秀だったんじゃない ?
フィブリゾ確かに、運が良かったとはいえなかなかの働きだよ。彼を残しておけばガーヴももう少し長生きできたかもしれないね。
フィブリゾまあ、結局はぼくの計画通りになったわけだけど。
リナあんたの計画って、ガーヴを殺すこと ?
フィブリゾそれも目的の一つだね。始末したはずなのにどういうわけか人間なんかに憑依して復活してるなんて。
フィブリゾまあ、ぼくも似たような状況なんだけどね。ぼくとは元の世界での時間がズレてるのかな。手間をかけさせてくれるよ。
フィブリゾさて、それでもう一つの目的なんだけどリナ=インバース、きみは異界黙示録(クレアバイブル)に触れたかい ?
リナ異界黙示録 ?なんで今そんなことを聞くの ?
フィブリゾ……そうか。きみはガーヴよりもさらに前の時間から呼ばれたんだね。残念だよ。そうなると、ぼく自身の手でやるしかないか。
リオン貴様、何をするつもりだ。
フィブリゾもちろん、この世界を滅ぼすのさ。
全員っ ! ?
フィブリゾゼロスに聞いたよ。アークと言ったっけ ?そこにある技術なら例の呪文よりもずっと効率的に世界を滅ぼせそうだ。
ミント世界を滅ぼすなんて……どうしてそんなことを !
フィブリゾ元より魔族の目的はそれなんだ。こんな異世界でも滅べば混沌へと帰れるかもしれない。試してみる価値はあるでしょ ?
リナふざけないで。あんたの無理心中に付き合うつもりはないわよ !
アメリアその通りです !
アメリアたとえ魔族とはいえ、騙し討ちで同族を襲うとはなんという卑劣な行い !
アメリアあまつさえ、世界を滅ぼそうだなんてそれはまさに悪と言う他ありません !
アメリアわたしたちが正義の名の下にその悪しき企みを打ち破ってあげます !
ガウリイ急に元気になったなー。
リナわかりやすい悪人が現れたおかげでいつもの調子が出て来たのよ。
フィブリゾ正義だの悪だの、きみたち人間はいつもそれだ。まあ素直に滅びてくれないことはわかっていたけどね。
ゼルガディスそういうことだ。俺たちも全力で抵抗させてもらう。
ミントこの世界にもたくさんの人たちが暮らしています。それを壊す権利なんて誰にもありません !
リオン世界を滅ぼす……か。今度は止めてみせる…… !
S・シャルティエ僕たちなら大丈夫ですよ、坊ちゃん !
リナというわけよ、冥王フィブリゾ。あんたの思い通りになんてさせないわ !
フィブリゾ来なよ。まずはきみたちから滅ぼしてあげるよ。

キャラクター5話【VS冥王フィブリゾ】
フィブリゾやるじゃないか、人間のくせに……。
フィブリゾだけど、わかっているのかい ?この肉体はきみたちのお仲間のものだってことを。
リオン貴様……人質のつもりか !
アメリアなんて卑劣な !
フィブリゾなんとでも言うがいい。ぼくたち魔族にはその感情も心地よいものさ。
フィブリゾさて、それじゃアークに案内してもらおうか。
? ? ?――いい加減にしろ、三下。目障りなんだよ。
フィブリゾなにっ ! ? なんだ、この声は……ぐ、ぐあああああああ !
ミトス奴を身体から弾き出した !ヴァン、今だ !
ヴァン言われなくてもわかっている !
ヴァン守護崩葬陣 !
フィブリゾな、なに ! ? なんだこれは !う、動けない…… !
ミトスよくも人の身体で好き勝手してくれたね。だけど、その間じっくりとお前を滅ぼす方法を練ることができたよ。
フィブリゾ人間ごときが…… !ぼくを滅ぼすだと !
ミトス精神生命体、厄介な存在だよ。だけどこちら側に引っ張り出して固定してしまえば……。
ミトスエターナル・ディバイド !
フィブリゾるぐぁぁぁぁぁぁっ ! !
ヴァン終わったか……。
ミトスああ。ひとかけらも残らず消滅したよ。
リナちょっとちょっと ! どういうことなのよ ! ?
ミトスどういうことも何も、見ての通りさ。
リナだからそれを説明しろって言ってるのよ !
ヴァン奴ら魔族は物理的な方法では滅ぼすのが難しい。有効な手段を見つけるために、内側から探りを入れていた。この身体を貸してやることでな。
リナまた無茶なことを……。あ、まさか街で魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)が外れたのは……。
ヴァンそうだ。奴に気づかれぬよう私がコントロールした。
ミトスこんなやり方、ボクは乗り気じゃなかったんだけどね。ヴァンは慎重派だから時間をかけて準備をしたんだ。
ミトスそのうち、ボクの身体に入り込んだ奴の狙いがわかったから魔竜王とやらは倒してもらうことにしたのさ。
リオンだが、ヴァンの身体ごと攻撃させるなど……。
ミトスヴァンの中にはローレライ――治癒術のエネルギーの塊がいる。一応、そこに法術師もいたしね。
ミントえ…… ?
ゼルガディスすべて織り込み済みということか……。無茶には違いないがな。
リナま、けっきょく上手くいったんだからいっか。帰りましょ、アークに。
ワイズマン皆さん、おかえりなさい。無事に教団とその企みを阻止されたようですね。
リナまあね。最後はミトスとヴァンに美味しいところ持って行かれちゃったけど。
アメリアなんにしてもこれで一件落着ですね ! 正義は必ず勝つということがあらためて証明されました !
ゼロスみなさんお疲れ様でした。リナさんもご無事で何よりです。
リナゼロス ! ? あんたなんでいるのよ ! ?
ゼロスいやー、ガーヴさんの攻撃を受けてちょっとばかりピンチになっていたところをワイズマンさんに助けていただきました。
リナワイズマン ! あんたもなにこんなのをアークに入れてんのよ !
ワイズマンだ、大丈夫ですよ。助ける代わりに、このアークには手を出さないと約束してくださいましたから。
リナこいつが約束ぅ…… ?
ゼロスまあ、僕の仕事は写本が人間の手に渡らないように処分することですから。
ゼロスこのアークに写本があるかどうかはわかりませんがいずれにせよ、ワイズマンさんが管理しているならまあきっと大丈夫でしょう。
リナあんた、相変わらず手抜き仕事ねぇ。
ゼロスというわけで、僕は暇になってしまいました。次のお仕事についても上司からとくに言われてないので。
リナあんた、「暇だからなんとなく世界を滅ぼしたくなりましたー」とか言い出さないでよ。
ゼロスはっはっは。
リナ笑って誤魔化すな !
リオンおい、しっかり手綱を握っておけよ。
リナな、なんであたしが ! ?
ミトスお前が拾ったんだろ。だったら最後まで面倒みたら ?
ゼロスお世話になります。リナさん。
リナなんでもかんでもあたしに押しつけるなー !
ヴァンやれやれ……賑やかな連中だ。
ミントヴァンさん、身体の方は大丈夫ですか ?
ヴァンああ……お前の治癒術のおかげだ。
ミント怪我もそうですが、身体を乗っ取られていたことも心配です。
ヴァンそちらのことか……。
ヴァン正直に言うと、いろいろ考えさせられた。あのガーヴという男は、自分の理想の世界を作ろうともがいていた。
ヴァンその想いは、私にもおぼえがある。だからといって、同情してやる義理はないがな。
ミント理想の世界……あの世界はこれからどうなるんでしょうか ?教団やその信者さんたちは……。
ワイズマン少なくとも外からの干渉はなくなりました。今後はあの地に暮らす人々の意志次第です。
ワイズマン私はそれを見守るつもりです。
ガウリイ今度はリナが女神様になったりしてな。
ゼルガディスある意味、邪神よりおそろしいことになるな。
リナちょっと、どういう意味よそれ。
アメリアだいじょーぶです !あの教団の人たちにはわたしが愛と正義についてこんこんと語っておきましたから !
リナあんた、そんなことしてたの ?
ミント皆さん、とても真剣に聞いていましたよ。中には感動して涙する方もいて……。
リナげ……そ、それは……。
ガウリイしばらくほっといたらまた別の宗教が流行ってそうだな。
S・シャルティエあの、黒い衣装を着た連中が愛と正義を語るんですね……。
リナ怖いこと言うのやめてよ !だいたいあんな衣装好んで着るわけ……んん ! ?
リナああああああああああっ !
ワイズマンど、どうしました、リナさん。
リナあ、あいつのこと忘れてた……。
仮面の女おーい、誰かー……リナー……いないのー ?
仮面の女うう……さみしい。ぐすん……。

キャラクター1話【一、 謎の儀式】
アメリア追い詰めましたよ『仮面の女』 !
アメリアあなたが教団と信者を利用して行っている非道の数々……決して見過ごすわけにはいきません !
仮面の女ほーっほっほっほ !よくここまでたどり着いたと褒めてあげるわ。だけど、少し遅かったようね。
仮面の女なんだかよくわからないけど儀式とかいうやつはもう終わるみたいよ !
アメリアくっ…… ! なんてこと !なんだかよくわからないけどピンチよ !
ヴァンよくわからないのに、なぜピンチだとわかる。
ミトス考えるだけ無駄だよ。ここまで一緒に旅してきたんだから、お前にもわかるだろ。
ゼルガディス俺が言うことじゃないんだが……なんだか、すまん。
アメリアとにかく !
アメリアたとえどんなにピンチでも最後まで諦めるわけにはいかないわ !
仮面の女その根性、褒めてあげるわ !きっとご家族の教育が良かったのね !
アメリアあなたに褒められても嬉しくありませんが確かに家族のことは尊敬しています !そしてあなたの仮面もなかなかカッコイイです !
仮面の女ありがとう ! 気に入ってるの !
ヴァンなんだこのやり取りは。
ゼルガディス本当に、すまん……。
仮面の女ふっ……センスと育ちのいいお嬢ちゃんに免じて最後にいいものを見せてあげるわ。さあ、おやりなさい !
大神官はっ…… !我が呼び声に応えよ…… !
ミトス! やり取りは間抜けだけどこの儀式は本物みたいだね。
ゼルガディス何か、強大な存在が召喚されようとしている…… !
ヴァンあれを止めるぞ !
仮面の女え、ちょっと待ってそんな怖い顔で突っ込んで来られると……みぎゃっ ! ?
大神官ククク……もう遅い !
ゼルガディスくっ…… ! 間に合わん…… !
ヴァンこうなれば……わかっているなミトス !
ミトスああ、仕方ないね。

キャラクター2話【二、 急な呼び出し】
リナやっと……やっと、まともな食事にありつけるわ !
ガウリイここしばらく山越えが続いたからなあ。
リナしょっぱくて硬い干し肉はもう飽き飽きなのよ !今日はこの店のメニューを端から端まで制覇するわよ !
ガウリイはいはい、付き合うよ。
リナそれじゃ、さっそく……いただきま――
リナへ…… ?
ワイズマンリナさん、ガウリイさん、ようこそアークへ。実はお二人にお話が……。
リナようこそ〜、ぢゃないわよ !なんてことしてくれんの !
リナあとちょっと、あとちょっとで温かい食事にありつけるとこだったのに !
リナ返して ! あたしのミートパイを返してー !
ワイズマンリナさん、どうか落ち着いてください !大事なお話があるんです !
リナあたしの空腹を満たすことより大事なことなんてこの世に存在しないのよ !
ワイズマンガウリイさん、助けてください !
ガウリイあー……がんばれワイズマン。
ワイズマンそんな…… !
リナ……それで ? 大事な話って ?
ワイズマン冷静になっていただけて何よりです。……実はアメリアさんとゼルガディスさんのことです。
リナ二人がどうしたの ?
ガウリイそういえば、前の街で別れたっきりだな。あれ ? 前の前の街だっけ ?
リナさらにその前の街よ。なんか、悪い地主を懲らしめにいくとか言ってたっけ。
ガウリイそうそう。リナは街の中だと派手な魔術が使えないからやだ、とか言って別れたんだよな。
リナなんでそんなことは覚えてんのよ……。
ワイズマンアメリアさんとゼルガディスさんには少し前に一つお仕事をお願いしていたのですが連絡が途絶えてしまったのです。
リナ何かトラブルに巻き込まれたってわけ ?そもそも、アメリアたちに頼んでた仕事ってのはなんなのよ。
ワイズマンリナさんたちがシャドウを残すきっかけとなった事件を覚えておられますか。
リナガウリイじゃないんだし。ちゃんと覚えてるわよ。
リナゼロスのやつがこのアークにあるかもしれない『写本』を狙ってあたしを利用したあれでしょ。
リナあいつのせいで盗賊のふりした魔族に付け狙われるわ変な塔を登らされるわ、おまけにナー……いやなんでもないわ。あいつのことは忘れましょう。
ガウリイへー、そんなことがあったのか。
リナだから ! あんたもその場にいたの !なんで覚えてないのよ !
ワイズマンその事件があった世界に少し問題が起きていましてアメリアさんたちに現地調査をお願いしたのです。
リナちょっと待って。あそこってあたしたちの世界とこっちの世界が混じり合ってできたんじゃなかった ?そのまま残しておいたの ?
ワイズマンはい。彼の地にはすでに独自の文化や生態系ができていましたので、安易に消すべきではないと思い保存していました。
ワイズマン実はアークの『祭り』の開催地としても活用できるのではと思っていまして。あ、もちろんそれぞれの世界に影響がないよう対処はしました。
リナ小さいとはいえ世界をまるごと保存するとかワイズマン、あんたホントとんでもないわねー。実は神様とかそういう存在じゃないの ?
ワイズマン私は単なる学園都市の長ですよ。
リナなーんか誤魔化された気がしないでもないけど。で、その世界に起きてる問題って ?
ワイズマン宗教です。
リナ宗教 ? それの何が問題なわけ ?神様みたいな存在がいるなら生まれて当然でしょ。
ワイズマンそれが……その宗教は恐るべき早さで拡大しさらには異界の存在を召喚しようとしていたのです。
ワイズマンそんなものが呼び出されてはあの世界が滅びかねません。
ワイズマンそこで、宗教による影響に詳しいミトスさんと組織運営に慣れたヴァンさんをアドバイザーにアメリアさんたちと共に行ってもらったのです。
リナ……なるほど。事情はだいたいわかったわ。あたしたちが呼ばれた理由もね。
リナ行って、調べてくればいいんでしょ。その宗教と、アメリアたちが失踪した原因を。
ワイズマンご理解が早くて助かります。そうそう、危険な調査になるでしょうからもうお二方、協力をお願いしています。

キャラクター3話【三、 出発】
リオン人を呼びつけておいて、いつまで待たせるつもりだ。
ミントきっと、ワイズマンさんにも事情があるのだと思います。
リオンふん、僕の知ったことか。
リナなんかすでに感じ悪いんだけど。
ワイズマンそ、そうおっしゃらずに。リオンさんはガウリイさんと同じく特別な剣を使いこなす凄腕の剣士です。
ガウリイへえ、特別な剣か。そいつは魔族も斬れるのか ?
S・シャルティエ侮らないでほしいですね。坊ちゃんのためなら、どんなやつでもこの刃でやっつけてやりますよ !
ガウリイうお ! ? 剣がしゃべった !
S・シャルティエ僕はシャルティエ。よろしくお願いしますね。
リナへー、意志を持った剣なんだ。これなら魔族にも効果ありそうじゃない。というわけで、その剣売って !
リオンどういうわけだ。売るはずがないだろう。
S・シャルティエそうだそうだ ! 僕のマスターは坊ちゃんだけなんですからね !
リナちぇー、ダメかー。ま、しばらく一緒に旅するわけだしじっくり話合いましょ、坊ちゃん。
S・シャルティエ……僕、あの人苦手ですよ。
リオンお前も少し静かにしていろ、シャル……。
ワイズマンどうやら仲良くなれそうで安心しました。ミントさんは治癒術に長けた方ですのでお二人が加われば理想的なパーティとなるはずです。
ミントリナさん、ガウリイさん。よろしくお願いしますね。
ガウリイおお、よろしくな。
リナ強引に話をまとめにかかったわね。ま、ここでモタモタしてても何も解決しないしさっそくあの世界に行ってみましょ。
ワイズマンええ、すぐにお送りします……あ。
リナなによ、その「あ」ってのは。
ワイズマンこれはお伝えするか迷ったのですが実は、ゼルガディスさんが最後の連絡で気になることをおっしゃっていたのです。
リナ気になること ?
ワイズマン厳しい戦いになると予感したようで応援の要請をされました。ですが……「リナは呼ぶな」と。
リナなにそれ。
ガウリイどーせ、リナが来たらめちゃくちゃになるとか思ってたんじゃないのか。
リナあたしは破壊の申し子かなにかか !
リオン少なくとも、相手を怒らせて事態を悪化させる可能性はありそうだな。
リナこんにゃろ……仕返しのつもり ?
リオン客観的な意見だ。
ミントあの……みなさん、仲良くしましょう。これからしばらく一緒に旅をするんですから。
リオンだいたい、呼ぶなと言われたのになぜ呼んだんだ。
ワイズマンそれは……後でリナさんにこの話が伝わった時のことを考えると、そちらの方が恐ろしいので。
ガウリイなるほど、よくわかってるな。
リナあ、あんたら……。
リナいいわよ、わかったわよ。そういうことならお望み通りにしてやるわ。待ってなさいゼルガディス……ふっふっふ……。
ミントあ、あの……やっぱりリナさんはここで待っていてもらった方がよいのでは……。
リオンこういう奴は何かしたところで止まるものじゃない。覚悟しておくんだな。
ガウリイそうそう。リナが関わって大ごとにならなかったことの方が少ないからな。

キャラクター4話【四、 つれない魔族】
リナこの先に街があったはずよ !ほら、みんな急いで !
ミントリナさん、やっぱりアメリアさんたちが心配なんですね。
ガウリイいや、たぶん食い物だな。
ミント食べ物……ですか ?
リナちょっと、置いていくわよ !
リオンあの調子では僕たちのことなど忘れて一人で先に行ってしまうぞ。
ガウリイ仕方ない。オレたちも追い掛けよう。
ミント大きな街なのに、ずいぶん閑散としていますね……。
ガウリイうーん……こんな街だったかなぁ。前はもうちょっと活気があったような……。
リナんなことより食べ物よ !どこかお店はやってないの ! ?みんなも探して !
リオンおい、本来の目的を忘れてないだろうな ?
ミントま、まあ、お店で何かお話を聞けるかもしれませんし。ですが、どこのお店もやっていませんね。……あ、あそこに屋台があります。
リナミント、なーいす !おっちゃん、肉串ひとつ──
店主悪いな。もう売り切れだ。
リナはぁ ! ?今そこで焼いてるのはなんなのよ !
店主こいつが最後の一本。そんで、そこのお客さんの分だ。
ゼロスありがとうございます。……おや、リナさん。お久しぶりですね。
リナぜ、ゼロス ! ? なんでここに !こっちのあんたは滅びたはずでしょ ! ?
ゼロスちゃんと滅びましたよ。今の僕は思念体……まあ残りカスみたいなものです。
S・シャルティエ結局この人は何者なんです ?
リナワイズマンから聞いてるでしょ。アークのお宝を狙っていろいろ画策してた魔族よ。
リオンなに…… ! ?
ゼロスま、待ってください !言ったでしょう、残りカスみたいなものだって。
ゼロスみなさんと戦えるような力も残ってませんしアークに手出しするつもりもありません。
ゼロス今の僕なんて余生をのんびり気ままに過ごす老人のようなものですから。優しくしてください。
ガウリイこんなこと言ってるが、リナ、どうするんだ ?今のこいつなら全員でかかれば勝てるかもしれんぞ。
リナうーん……今ここでこいつと戦って消耗するのもあれだから、とりあえず見逃してあげましょ。
ゼロスご理解いただけて何よりです。正直なところ、姿を保つだけでも大変で回復のためには時間と糧が必要なんですよ。
ゼロスというわけでいただきます。
リナあーっ ! あたしの肉串 ! ?
ゼロスいやー、思った通りの反応でありがたいですね。
リナこのぉ、何へらへら笑ってるのよ !だいたい、あんた魔族なんだから食べなくていいでしょーが !
ゼロスええ、ですから目の前で最後の肉串を食べられたリナさんの何とも言えない感情をいただきました。ごちそうさまです。
リナこ、こいつは……。やっぱここで滅ぼしておこうかしら……。
ゼロス冗談はさておき。リナさんたちがこの世界に戻って来たということは、やはり何かあったんですね。
リオンやはり ? 何か知っているのか。
ゼロス知っているというほどではありませんよ。最近、やけにこの世界が居心地良くなったので。僕がこんなに早く復活できたのもそれが理由です。
リナあんたたち魔族の居心地がいいってことは人間たちの負の感情がこの世界に満ちているってことね。
ミントそれはワイズマンさんがおっしゃっていた例の宗教と関係あるのでしょうか ?
リナタイミングがタイミングだし、たぶんね。ちょうどいいわ。ゼロス、あんたずっとこの世界にいたんならあたしたちを手伝いなさいよ。
ゼロスいいですよ。
リオン本気か ?どう見ても信用できそうにないぞ。
ガウリイゼロス、あんた何を企んでるんだ ?
ゼロスいやだなぁ、何も企んでなんかいませんよ。単に、僕の上司から『リナさんを死なせるな』と命令を受けているだけです。
リオンそういうのを企んでいると言うんだ。こいつが死ぬと何か不都合があるんだな。それはなんだ。
ゼロスそれは……秘密です。
リオン貴様…… !
リナやめときなさいって。こんなんでも高位の魔族だから敵に回すとかーなーり面倒よ。
リナそれに、どーせ何か企んでるなら影でコソコソされるより目の届く範囲に置いといた方がマシよ。
リオン……確かに、それも一理あるが。
ガウリイ妙な動きをしたらオレとリオンですぐに斬り捨てるってことでいいんじゃないか。
ゼロスそれでかまいませんよ。
リナじゃあ、決まりね。さっそくいろいろ聞きたいんだけど……。
ゼロスああ、その前に一つご忠告です。みなさん、着替えた方がいいですよ ?特にあなたとあなたは。
ミント私と、リオンさんですか…… ?
ゼロスええ。やはり違う世界の衣装は目立ちますから。
リナ確かに、ゼロスの言う通りね。よーし、それじゃミントとリオンの服を探しに行きましょ !
ミントえ、でも、私は――
リナいいからいいから ♪お着替えしましょーねー。
ミントああ〜 ! ?

キャラクター5話【五、 黒装束の信徒】
ミントあの……どうでしょうか。
リナうんうん似合ってる。あたしの見立てはバッチリね。だけどリオンの方は……。
リオンなんだ、何か文句でもあるのか。
リナどっかで見たことあるような格好なのよねぇ。
ガウリイゼルガディスの格好を参考にしたからな。オレに服の見立てなんてできないぞ。
リナそりゃそうか。おまけに、もう一人はゼロスだもんね。
ガウリイそうは言うが、リナがミントに選んだ服だってシルフィールのとそっくりじゃないか。
リナぎくぅ…… !あ、あんた大事なことはすぐ忘れるくせになんでそういうことは覚えてんのよ……。
リオンいい加減、服の話は終わりにしろ。こいつから話を聞くのだろう ?
リナそうだったわね。そんなわけだから、ゼロス。あんたが知ってること洗いざらい話なさい。
ゼロス洗いざらいと言われても、どこから話したものか……。そうですね、この街とその周辺ではある教団が実質的に人々を支配しているというのはご存じですか ?
リナ確かに、ワイズマンが言ってたわね。変な宗教が流行ってるって。
ゼロス実はお二人に着替えを勧めたのも関係がありまして教団では信者たちに清貧を説いているんです。
ゼロス高価な服や装飾品、贅沢な食べ物、そういった物は悪でありすべて教団に捧げるのが善行であるとそう教えているそうです。
リナだから、どのお店もやってなかったのね。美味しい食べ物まで禁止するなんて街の人たちが可哀想よ ! 許せないわね ! その教団 !
S・シャルティエだいぶ私怨が入っていませんか…… ?
ガウリイやめとけシャルティエ。いちいちツッコんでたらキリがないぞ。
ゼロスもう一つ、教団の方々が言うにはこの世界は『邪悪な存在』に常に狙われているそうですよ。
ゼロスその『邪悪な存在』に対抗する善なる存在を教団では神として崇めています。
リナありがちな設定ねー。
ゼロスちなみに、その『邪悪な存在』は『邪神リナ=インバース』というそうです。
リナなんであたしが邪神なのよ !
ゼロスなんでと言われましても、そういう教義ですから。
ゼロス『邪神リナ=インバース』は暴食、強欲、怠惰……などなど、この世のありとあらゆる罪をひっさげた存在だそうです。
ゼロス人間を堕落させ、言うことを聞かない子供は夜中にリナ=インバースが攫いにやってくる──そんな話が広まっています。
リナあたしは妖怪か何かか !
リオン暴食や強欲あたりは事実だろう。
ガウリイ自分の利益にならんことにはとことんやる気がないから、怠惰も本当だぞ。
ミントみ、皆さん、言い過ぎですよ !
リナ今からその教団に乗り込んで文句を言ってやる !いえ、むしろ竜破斬の二、三発ぶち込んで跡形も無く消し去ってやるわ !
ガウリイゼルガディスが「リナを呼ぶな」と言っていた理由がわかった気がするな。
リオン息巻くのはいいが、まずは行方不明になった四人を捜すのが先だろう。その教団とやらに捕まっている可能性もある。
リナう……確かにそうね。じゃあ、見つけた後で壊滅させるわ。
ミント壊滅はさせるんですね……。
リナ当たり前でしょ !あたしみたいな乙女をつかまえて『邪神』扱いした報いを受けさせるのよ !
信徒A見つけたぞ『邪神』め !
リナんなっ ! ?
リオンなんだ、この妙な格好をした連中は。
ゼロスこれが教団の信徒たちです。
ミント黒いマントにトゲトゲのついた肩当て……。露出も多くて……こ、個性的な格好ですね。
ゼロスあの衣装は、教団が崇める善なる神から遣わされた『教祖にして救世主』の神聖な衣装だそうですよ。
ガウリイ今日はよくズッコケるなあ。
リナあたしだってやりたくないわよ !ていうか、その『教祖にして救世主』とかいうヤツの正体がわかっちゃったわ ! わかりたくなかったけど !
信徒Aさっきから何をゴチャゴチャと……。
信徒Bやはり人を惑わせる悪しき存在。
信徒Cしかもなんて邪悪な姿…… !とても子供たちには見せられん !
リナ誰が邪悪だ、誰が !あんたらに言われたくないわよ !
ミントですが、この方たちは教えに従っているだけです。傷つけるわけにはいきません。
リナわ、わかってるわよ !だけど、あたしだってわりと傷ついてるのよ !ああ、もう ! まとめて魔術でぶっ飛ばしてやりたい !
リオン派手な魔術を使えば『リナ=インバースがここにいる』と喧伝するだけだ。ここはいったん退くぞ。
ガウリイ賛成だ。手加減しようが一般人は斬りたくないからな。
リナうう……仕方ないわね !

キャラクター6話【六、 逃亡の末】
ミントはぁはぁ……結局、街の外まで逃げることになってしまいましたね……。
ガウリイさすがにここまでは追ってこないみたいだな。
リオン着いて早々、とんだ誤算だな。これからどうするんだ。
リナやることなんて一つでしょ !教団とやらをぶっ潰すのよ !
リオンやはりそうなるのか……。
リナゼロス、教団の本拠地みたいなのはどこにあるの ! ?
ゼロス確か、北にある街のさらにその先だったかと。
リナひとまずはその北の街とやらに向かいましょう。
ガウリイしばらく、また干し肉生活だな。
リナう……おのれ教団 !食べ物の恨みは怖いってこと思い知らせてやる !
勇者見つけたぞ ! 邪神リナ=インバース !勇者である私が退治してやる !
リオンおい、また来たぞ。『勇者様』が。
リナうう……。
ミント今日はこれで三組目ですね。
リナううう……。
ガウリイしかし『勇者』ってのはそんな何人もいるものなのか ?
リオン知らん。どうせ自称だろう。
勇者あのー、できれば何かリアクションが欲しいんですけど……。
リナうっさいわね ! こっちはあんたみたいなのに散々追い掛け回されていい加減、頭に来てるのよ !
勇者ええっ、そんなの私だけのせいじゃ……。
リナこうなったら『邪神らしく』やってやろーじゃない !
ミント『邪神らしく』ってどういうことですか ?
S・シャルティエただの思い付きだと思いますけど……。
リナまずは身の程知らずな勇者を血祭りにあげてやるわ !さあ、行きなさい『暗黒の坊ちゃん剣士』リオン !
リオンなんだそのふざけた名前は。
リナ続いては『忘却の無思考戦士』ガウリイ !
ガウリイおうよ ! ……って、無思考はひどくないか ?
リナそして最後は紅一点…… !『清純さに隠した裏の顔を持つ法術師』ミント !
ミントええ ! ?な、なんですか『裏の顔』って !
リナそのくらい言わないとあんた悪役に見えないでしょ。
ミント見えなくていいです !
ゼロスあのぉ……リナさん、僕は ?
リナゼロスはその辺で悲鳴でもあげてなさい。そんなわけで、覚悟しなさい勇者とやら !
勇者くそー ! 負けるもんかー !
勇者お、覚えてろー !
リナふっ……勝ったわ。
ゼロスとても勇者とは思えない捨て台詞を残して逃げていきましたねー。
ミントなんだか少し可哀想でした……。
? ? ?すっかり悪役が板についてきたみたいじゃないか。
リオンお前は……。
ミントミトスさん ! ご無事だったんですね。
ミトスまあね。きみたちこそ、どうしてこっちに ?
リナワイズマンの要望であんたたちを捜しに来たのよ。
ミトスそうか、ずいぶん手が早いね。正直助かったけど。
ミトスヴァンたちともはぐれてどうしようかと思ってたんだ。
リナアメリアやゼルガディスは無事なの ?
ミトス最後に見た時は生きてたよ。ボクにわかるのはそれだけ。
ミント皆さんとはぐれてしまったなんて……いったい何があったのですか ?
ミトス教団が異界の存在を召喚すると聞いてそれを止めるために乗り込んだんだ。だけど、間に合わなかった。
ミトス不意をついたつもりだったけど、連中はボクらが来ることをわかっていたみたいだった。いや、『待っていた』と言った方がいいかもしれない。
リナあんたたちが来るのを待ち構えていてわざわざ目の前で召喚したってこと ?妙な話ね。何か理由があるのかしら。
ミトスさあね。でも、してやられたのは事実だ。このまま帰るのは癪に障るね。
ガウリイつまり、仕返しがしたいってわけか。
ミトス身も蓋もないなぁ……。
リナいいじゃない。やられたらやりかえす !あたしはそういうの好きよ。教団の本部まで案内してくれる ?
ミトスわかったよ。……もう少し頭の回る連中だとよかったんだけどね。

キャラクター7話【七、 縁ある追手】
勇者見つけたぞ、邪神リナ=インバース !
リナうわ……また出た。
勇者今日こそ勇者である私が貴様を倒す !
ミトスなんだい、あれ ?
ゼロスリナさんを付け狙う自称勇者さんです。
リオンしかし、ミトスの前で『勇者』を名乗るとはな。
ミトスん…… ? ああ、そうだね。全く身の程をわきまえてもらいたいな。
勇者だから私を無視するな !
リナあんた、いい加減懲りなさいよ。弱っちいんだから。
勇者弱っちいとか言うな !これでも村じゃ一番剣が上手だったんだ !
リナ村を出て世間の厳しさを存分に味わってるわけね。
勇者くっ……だが、バカにしていられるのも今のうちだ !私にもついに仲間ができたんだからな !
リナ仲間…… ?
? ? ?その通りです !
ミントどこかから、声が !
リオン見ろ、あの木の上だ !
リナこ、このパターンは……。
アメリア罪無き人々を苦しめる邪なる神よ !このわたしが正義の鉄槌を……って、あれ ? リナじゃない。
リナなんでアメリアが勇者様一行に加わってるのよ !
アメリアもちろん正義のためです !
勇者え ? あれ ? お知り合い ?
リナだいたい、邪神リナ=インバースなんて聞いてちょっとはおかしいと思わなかったわけ ?
アメリア……………………。
アメリアとうとうリナも悪に手を染めてしまったのね !
リナなによ今の間は !
アメリアとにかく、友が悪の道に走ってしまったのならそれを止めてあげるのが真の友情というもの !リナ、愛の鉄拳制裁を食らいなさい !
リナあーもう、付き合ってらんないわ……。……ゼロス、やっちゃって。
ゼロスでは、遠慮無く。
アメリアみぎゃー !
勇者お、覚えてろー !
ミントお、お大事に……。
リナ……ったく、いつになったら諦めるのかしら。
ガウリイあの調子だと、もう一回くらいは来そうだな。
リナ嫌なこと言うのやめてよ。それはそれとして……アメリア。申し開きがあるならどーぞ ?
アメリアご、誤解が解けてよかったですリナ !あなたが本当は正義を愛する人だってことわたし、信じてた !
S・シャルティエすさまじい変わり身の早さですね。
リナなんとかこの場を切り抜けようと必死なのよ。
アメリアそ、そうだ ! ミトスくんも、無事で何よりですね !
ミトスおかげさまで。他の二人はどうしたんだい ?
アメリアゼルガディスさんとは途中まで一緒だったけど教団の追っ手が来た時に別々の方向に逃げてそれっきりです。
ミトスそうか。ということは……やっぱり、ヴァンは教団に捕まった可能性が高いね。
リオンなぜそう思う。
ミトスボクやアメリアたちが逃げられたのはヴァンが教団の追っ手を引きつけてくれたからじゃないかな。
ミトスヴァンは無謀な人間じゃない。ボクたちが十分逃げられたと判断したらすぐにでも連中に投降するはずだ。
アメリアじゃあ、さっそくヴァンさんを助けにいきましょう !
リナオイコラ。あんたがあたしを邪神扱いした件についてまだ許したわけじゃないんだけど。
アメリアや、やーね、リナったらそんな怖い顔して。わたしたちの仲じゃない ?過ぎたことは水に流しましょーよ。
リナ調子のいいやつ……。だいたい、なんであの勇者くんの仲間になんかなってたのよ。
アメリアそんなの決まっているじゃないですか。路銀が尽きて困ってたからです !
リナ自信満々に言うな !
リオンお前の知り合いにまともなやつはいないのか。
ゼロス言われてますよ、リナさん。
アメリアリナ、友達は選んだ方がいいですよ。
リナだからあんたらが言うなー !

キャラクター8話【八、 敵情視察】
リナここが北の街ね。思ってたより大きいじゃない。
ミント前の街よりずっと活気がありますね。皆さん表情が明るいです。
ミトスここは教団のお膝元だからね。信者から集めた財で潤ってるんだ。
リナどうりでみんな羽振りが良さそうなわけねー。
リオンお膝元というなら、お前を狙う者も多いはずだ。わざわざ危険をおかしてまでこの街に立ち寄る必要があったのか ?
リナリオンの言うことも一理あるわ。だけど、教団の情報を集めるのにこれほどうってつけの場所もないでしょ。
リオンそれはそうだが……。
リナそして情報のある場所、すなわち飯屋 !
リオン……結局それか。
リナそんなわけだから、さっそく食事……じゃなくて、情報収集に向かうわよ !
アメリアリナ、あのお店が美味しそう……じゃなくて、いい情報がありそうですよ !
リナアメリア ! でかしたわ !さっそく行くわよ、リオン !
リオン待て、なぜ僕まで…… !
ミトス彼女、狙われてるって自覚はないの ?
ガウリイまあ、コソコソ隠れるのはリナの主義じゃないからな。それに堂々としてた方が逆に怪しまれないもんさ。
ミント長旅でしたから、私たちも英気を養うつもりで食事を楽しんでもいいかもしれませんね。
ミトスボクは付き合う気はないよ。少し街の様子を探ってくる。ゼロス、きみはどうするんだい ?
ゼロス僕はリナさんについていきますよ。
ミトスそうか……なら好きにするといい。
ゼロスでは、僕たちも行きましょうか。
リナこんちはー !この店のメニュー、端から端までぜーんぶちょうだい !
アメリアそれをもう一巡お願いします !
大神官くっくっく……やはり来たなリナ=インバース。
リナあんた誰 ?どー見てもこのお店の人じゃないわよね。
大神官久しぶりの再会だというのにつれないではないか。
リナ久しぶり…… ?
ガウリイおーい、リナー、オレたちの分も残しといてくれ……って、誰だそいつ ?
リナどうやら、あたしのこと待ってたみたいよ。熱心なファンかしらねー。
大神官確かに俺はあの日以来、寝ても覚めてもお前のことばかり考えていたよ。
リナほんとにあんた誰 ?ぜんぜん覚えてないんだけど。
ゼロス以前、僕がアークに行くためリナさんたちを利用した時に協力してくださった魔族さんの一人ですよ。
リナ……ああ ! あの時の間抜けな盗賊の親玉 !
大神官誰が間抜けだ !だいたい、盗賊はただの変装だ !そして今は教団のトップたる大神官よ !
アメリアリナ、お知り合いですか ?
リナいや、あんたもあの場にいたじゃない……。
リナそれはそれとして、しばらく見ないうちに立派な服着ちゃって。出世したわねー。ていうか、あんた滅びたんじゃなかった ?
大神官詰めが甘かったな。貴様に滅ぼされる寸前、なんとか身体を分離して生き延びたのだ。
リナあんたといいゼロスといい、魔族ってどうしてこうしぶといのよ……。
大神官なんとでも言うがいい。貴様こそ、世界の敵となった気分はどうだ ?
リナ……その口ぶりからすると、黒幕はあんたってわけ ?
大神官その通りだ。貴様への復讐を果たすため教団を作り、邪神リナ=インバースの伝説をこの世界に広めたのだ。
リナはぁ……それはそれはヒマなことで……ん ? あたしに復讐…… ?
リナまあいいわ。どっちにしろ、あんたがあたしたちに勝てるわけないじゃない。行け ! あたしの忠実なしもべゼロス !
ゼロス勝手にしもべにしないでください。
リナあんたんとこの上司があたしを守れって言ってるんでしょ。なら同じことよ。
ゼロスはぁ……仕方ありませんね。えーと、そういうわけなので僕はあなたを滅ぼさなければならなくなりました。
大神官くっくっく……ゼロスがリナに味方することは想定済みよ。先生 ! お願いします !
ヴァンやれやれ……やっと出番か。
リオンヴァン ! ?
ミントヴァンさんが、なぜ……。
ガウリイ違う。ありゃあ、別物だ。
ヴァン ?ようやく会えたな……リナ=インバース。探したぜ……ゼロスの野郎も久しぶりだなぁ……あの時以来か ?
ゼロスっ ! ?
リナちょっと、どうしたのよゼロス !
ゼロス逃げてくださいリナさん。あれの『中身』は魔族です。それも僕よりずっと高位の存在……。
リナ……みんな、逃げるわよ。
リオンどういうことだ。あれはヴァンじゃないのか ?
ミントだとしても、このまま放っておくわけには…… !
アメリアそうです ! 目の前の悪を見過ごすなんて !
リナお願い ! ここはあたしを信じて。あのゼロスがマジになるなんて……あれはやばい。
ヴァン ?リナ=インバースは『まだ』殺さん。だが、他の連中は別だ。楽しませてくれよ…… !
リナ逃げて !
大神官逃がすな !リナ=インバース以外は殺して構わん !
ミントリナさん、ゼロスさんが来ていません !
リナゼロスはあれでも高位の魔族よ。むしろあたしたちがいないほうが戦いやすいわ。それに、こんな街中じゃ強力な魔術は使えない。
リオンお前にしては賢明な判断だな。だが、ここは敵地のど真ん中だ。逃げ切れるか…… !
リナんなのわかってるわよ !
信者Aいたぞ ! リナ=インバースだ !
信者B魔術を使われる前に取り囲め !
アメリアリナ ! 前からも信者さんたちが !
リナ数が多すぎるわね……。
ヴァン ?よお、追いかけっこは終わりか ?
リナあんたは ! ?
ミントゼロスさんはどうしたんですか ! ?
ヴァン ?あいつならしばらく戦った後そそくさと逃げてったぜ。
リナあのやろ……無責任な……。
ヴァン ?魔族に何を期待してやがる。むしろ、少しでもお前らが逃げる時間を稼いだことに感謝するんだな。
ヴァン ?だが、それも終わりだ……死ね。
リナみんな避けて !
ミントきゃあああっ !
ヴァン ?ちっ……外したか。もう少し、この身体に慣れる時間が必要だな。
リオンなんて威力だ……街の一角が吹き飛んだぞ。
大神官が……先生、あまり街に被害を出しては……。
ヴァン ?ちっ……わかっている。オレが戦うわけにはいかなさそうだ。信者どもに追わせろ。
大神官はっ…… !
リナガウリイ ! 大丈夫 ! ?
ガウリイああ……なんとかな。だが、そっちに戻るのは無理そうだ。二手に分かれよう。
リナくっ……仕方ないか……。
ガウリイ行け ! オレも後から必ず追いつく !
リナわかった ! みんな、逃げるわよ !

キャラクター9話【九、 続く逃亡】
信者Aくそ、見失ったか !
信者B捜せ、まだ近くにいるはずだ。
アメリア信者さんたち、どんどん数が増えてますね。
リオンそう簡単には諦めないだろう。何せ追ってるのは世界を脅かす『邪神』だからな。
ミントガウリイさん、ゼロスさん……ご無事でしょうか。
リナあの二人なら大丈夫よ。ゼロスはもちろん人間じゃないしガウリイだって殺して死ぬようなやつじゃないわ。
リオン僕たちも他人を心配できる状況じゃない。このままでは追い詰められるぞ。
リナなんとか街から出ることができればいいんだけど……。
ミトスそれならボクが案内するよ。
リナミトス ! あんた今までどこに……。
ミトス街の調査だよ。そのおかげで、抜け道を見つけたんだ。感謝してもらいたいね。
リナもちろん感謝してるわ。だからさっさと街から出ましょ。
ミントなんとか街を出られましたね。ですが、ガウリイさんにゼロスさんそれにヴァンさんもなんとかしなければ……。
リナええ。だから教団の本拠地に乗り込むわ。
リオンそうするしか道はなさそうだな。
リナうん、教団をこのままにはできない。ヴァンのこともあるし、連中は何か企んでる。
ミトスどうしてそう思うんだい ?
リナ魔族が『復讐する』なんてそんなこと言うのがおかしいのよ。
ミントどういうことでしょう ?
リナ連中は人間とは精神構造が根本的に違うのよ。世界も自分もみーんなまとめて滅びよう !なんて本気で考えてるんだから。
リナそんなやつが復讐なんて『人間みたいな』動機で動くとは思えないのよね。
アメリアつまり、より大きな計画があると ?
リナかもしれない。でないと、少なくともあたしを生かしたまま捕らえるなんて行動をする理由がないわ。
リオン理屈はわかった。問題は勝てるかどうか、だな。
S・シャルティエ確かに。ヴァンさんの身体を乗っ取った存在は尋常ではありませんでしたね。
リナそこは考え方が逆ね。『今なら勝てるかもしれない』のよ。
リナ連中の企みが成功したらもう手の出しようがなくなるかもしれない。だから先手を打つの。
リオン……なら、急ぐべきだな。
アメリアわたしも、このまま悪を見過ごすわけにはいきません !
ミントはい。行きましょう。皆さんを救うために…… !
ミトス盛り上がってるところ悪いんだけどきみたち、その本拠地がどこにあるか知ってるの ?
リナあ……。
ミトスそんなことだろうと思って、調べておいたよ。この先の山の麓、大きな『塔』があるところだ。
リナまさか、その『塔』って……。
リナ意外とあっさり入れたわねー。
ミトス聖地がある街だからね。毎日大勢やってくる巡礼者をいちいち調べてなんかいないよ。
リナしかし、ほんとに『あの塔』が聖地にされてんのね。
ミントリナさんは、あの塔をご存知なのですか ?
リナまあねー。前はあそこで魔族たちと戦ったのよ。まあ、全部ゼロスの企みだったんだけど。
リオン『塔』か……聖地というからには何かがあるんだろう。
ミトスボクが調べてくるよ。きみたちは仲間を捜しにいけばいい。
アメリアゼルガディスさんとは、この街を出る直前にはぐれました。もしかしたらどこかに捕らえられているかもしれません。
ミント怪我をされている可能性もありますね。でしたら私がお役に立てそうです。
リナじゃあ、アメリアはミントと行って。
アメリアリナはどうするんですか ?
リナあたしは、奥の建物に忍び混むつもり。あれだけ立派な建物ならきっとお宝……じゃなくて重要な資料とか見つかりそうだもの。
リオンここまで来てお宝だと…… ?
リナそ、そんなこと言ったかしら ?ほら行きましょリオン。
リオンどうしてお前と行かなければならない。
リナミトスは一人が好きそうだし、アメリアはミントと行くんだから消去法ってやつよ。ほらほら、行くわよ !
リオン……ふん、馴れ馴れしくするな。
リナ見張りが多い。ますます怪しいわね。さて、どーやって中に入ったもんか。
リオン見張りなど、片付ければいいだろう。
リナだああっ ! ダメだってゼル !一応、あの人たちは一般人なんだから !
リオン気を失わせるだけだ !掴むな ! それにゼルってなんだ ! ?
ゼルガディス俺はここだが。
リナって、本物のゼル ! ?
ガウリイオレもいるぞ。
リナガウリイ ! なんでまた二人一緒に……。
ガウリイこの街の入り口で会ったんだ。入るのにも手を貸してもらったぞ。
リナなるほどね。にしても、よくあたしたちがここにいるってわかったわね。
ガウリイリナは絶対やられっぱなしではいないだろ。きっと敵の本拠地に乗り込むと思ったんだ。
リナその通りなんだけど……。ガウリイに行動を読まれるとなんか癪に障るわね。
ゼルガディスこの中に侵入したいんだろう。なら俺についてこい。
ゼルガディス……ところで、お前はなぜ俺と同じ格好をしている ?
リオン僕に聞くな。
ガウリイはは……まぁ、いいじゃないか。双子みたいで。
二人誰が双子だ !

キャラクター10話【十、 麗しき教祖】
リナゼルのおかげで楽に侵入できたわ。でも、よく隠し通路なんて知ってたわね。
ゼルガディス怪我を治すため治癒術を使って体力を消耗したからな。しばらく街に留まっている間にこの通路を知った。
ガウリイゼルが怪我をするなんて相手は誰なんだ ?
ゼルガディスヴァンだ。……いや、ヴァンの身体を乗っ取った『何か』だな。
リオンあれと一対一でやりあったのか。怪我で済んだのは幸運だったな。
ゼルガディスお前たちも会ったのか。……あれはいったい何だ ?
リナ魔族よ。それもゼロスより高位のね。
ゼルガディスそうか……。やはりあの召喚の儀式で呼び出されたのは高位魔族だったか。
ゼルガディスアメリアは無事か ?
リナ安心して。この街に来てるわ。今はミントと一緒に別行動してるけど。ミトスもいるわよ。
ゼルガディスそうか……。儀式の時にいた仮面の女……教祖がいるのはこの先だ。
リナそう……。さっさととっちめて、何を企んでるのか洗いざらい話してもらいましょ。
仮面の女ほーっほっほっほ !よくぞここまでたどり着いたわね、リナ=インバース !
リナそ、そうだった……こいつがいたんだった……。謎の魔族とか、シリアスな雰囲気が続いたからすっかり油断してたわ……。
仮面の女何もないところで転ぶなんて注意力散漫なんじゃない。
リナうっさい ! 誰のせいだと思ってんのよ !
リオンこいつと知り合いなのか ?
リナう……確かに知らない相手じゃないけどそれを認めるのはひじょーに抵抗があるというか……。
仮面の女待ちくたびれたわよ、リナ。ようやくあなたとの決着をつける時が来たわね !
S・シャルティエあっちはずいぶんと知ってるみたいですけど。
リナお願い……今は何も聞かないで……。
リナナーガ ! なんであんたがここにいるのよ !しかも今回はちゃんと自分の身体じゃない !
仮面の女ナーガ ? そんな人知らないわね。ほら、そのナーガって人はこんな仮面なんて付けてないでしょ ?
リナいや、それはそうなんだけど……。
仮面の女わたしはここの教祖にして救世主 !なんだかよくわからないけどこの世界を守るために異世界から遣わされたとかそんな感じのアレよ !
リナもうちょい自分の立場を把握しなさいよ……。どーせまたあの魔族にまんまと丸め込まれたんでしょ。
仮面の女だからなんのことかわからないってば。とにかく勝負よ、リナ !
リナと、いうことなんだけど……。
ゼルガディスやるしかないだろう。あっちはその気だ。
リオンバカバカしい。さっさと終わらせるぞ。
リナうう……やだなぁ……。
仮面の女きゅう……。
リナあーもう、手間かけさせてくれたわね。けど、これで教団も終わり――
大神官やれやれ、時間稼ぎにもならなかったか。
リナっ ! ?
リオンいつの間に ! ?
ヴァン ?どうだ、リナ=インバース。世界から敵とみなされ、親しい者と戦った気分は。
リナおかげさまで、なかなか苦労してるわ。そっちこそずいぶん様子が変わったじゃない。……『魔竜王(カオスドラゴン)ガーヴ』。
ゼルガディスガーヴだと…… ! ?
アメリアゼルガディスさん !
ミントヴァンさん !
ヴァン ?やっと全員揃ったか。待ちくたびれたぜ。
大神官申し訳ありません、ガーヴ様。しかしこれもリナ=インバースを追い詰めるため。
リナやっぱり……あんたガーヴなのね。
アメリアガーヴ ! ? ヴァンさんの身体を乗っ取ったのはガーヴなんですか ! ?
リオンおい、ガーヴというのは何者だ。
ゼルガディス『赤眼の魔王』シャブラニグドゥの五人の腹心の一人。魔王が封印されている今、最強の魔族と言っていい。
ミントそんな相手がヴァンさんの身体を……。
ガーヴなぜ、オレだとわかった ?
リナなにより魔族のくせに『復讐』なんて考えるやつは人間として転生させられたあんたくらいでしょ。
リナあとはそうね……あんたが街で見せた攻撃。あれが魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)によく似てたからかしら。
リナゼロスが脅威を感じるほど高位の魔族で部下にあたしを殺すように命じるやつなんてそう多くないわ。
ガーヴなるほど。ヒントは十分あったわけか。
リナそれにしても、ずいぶん恨まれたものね。あたし、あんたに何かしたかしら ?
ガーヴそう、それだ。オレにはそいつがわからないんだ。
ガーヴ元の世界で、オレは部下どもに『リナ=インバースを殺せ』と命じた。
ガーヴだが、その理由が思い出せねぇ。この世界への召喚が不完全だったからかそれとも元の世界で何かがあったのか……。
ガーヴ何も覚えちゃいねぇのに、ただ計画を台無しにされたっていう怒りと屈辱ばかりが今も頭ん中をグルグル駆け巡っていやがる。
ガーヴそんなオレの気持ちがてめぇにわかるか ?
ガーヴオレの計画が失敗した原因がリナ=インバースだってことはわかってる。だったらてめぇを殺せば多少は気が晴れるかもしれん。
リナそんな理由で狙われるなんてあたしとしては納得いかないんだけど。
ガーヴだろうな。だが、同情はしねぇよ。オレの気晴らしのために死んでくれ。
リナっ !
ガーヴおっと、まあ落ち着け。オレたちの決着にふさわしい場所を用意した。あの塔のてっぺんだ。来るか来ないかは自由だが……。
ガーヴオレもわかるが……これからずっと命を狙われ続けるってのはつれぇもんがあるだろ ? 待ってるぜ。
リナ…………。
to be continued