キャラクター1話【想い1 森での出会い】
リーガル待たせた、しいな。
しいなリーガル ! それに、プレセアと……なんだい、アホ神子も来たのかい。
ゼロスなんだとはなんだ !せーっかくカジノ経営の様子を報告するって任務を後回しにして来てやったっていうのによぉ。
しいなカジノって、アルタミラのかい ?あそこはフィリップやマークが管理してたはずだけどまさかあんたがマトモに手伝いをしてたとはね。
ゼロス馬鹿にすんじゃねーぞ ! ?俺さま、デキる男だからな。
しいなふーん……デキる男ねぇ……。
しいなリーガルとプレセアもアルタミラにいるんだろ ?実際のところ、どうなんだい ?
プレセア……私とリーガルさんはアルタミラの地域発展のお手伝いをするため、街によく出入りをしていますが……。
プレセアゼロスくんが色々な女の子と楽しそうに過ごしている姿は、よく見かけます。
リーガル本当のことを言ってすまないがむしろデートをしている姿しか見たことがない。
ゼロスちょっとちょっと二人とも !淡々と言うと誤魔化しづらいからやめてくんない ! ?
しいなつまり事実ってことだね。相変わらずのアホ神子なんだから……。
ゼロスあのなあ、せっかく平和になったんだぜ ?この穏やかな時間を楽しまないなんて人生損してるだろ ?
ゼロス真面目一辺倒じゃ肝心なときに本気を出せなくなっちまうもんなんだぜ ?息抜きも大切ってね。
しいな言ってることそのものは間違ってないってのが本当に腹立つね……。
しいなまあ、アホ神子がどこでアホを晒してようがどうでもいい話だね。
しいなロイドたちは来られないって聞いてるけど……。
リーガルああ。彼らはリフィルと共に別の地域へ調査に向かっている。合流は難しいようだ。
しいなそうかい。まあ、元気でやってるならなによりだよ。そもそも、あたしの調査も本当は一人でやったって十分ではあるんだけどね。
プレセア確か、帝国兵の残党の目撃証言があった、とか。
しいなああ、そうなんだ。
しいな帝国との戦いが終わってテセアラ領で生活するようになったけど、まだ治安が安定してるとは言いきれないからね。
しいな何か不穏なことが起こったらすぐに対応出来るようにと思って情報収集してたんだよ。その中で、手に入れた情報なんだ。
しいなまあ、念には念を入れて、ってことで協力してもらえたら助かるよ。
リーガルああ、もちろんだ。確かに、世界は平和になった……。
リーガルだが、帝国が残していった小さな火種は未だにくすぶっている。
プレセア火種に気づいたのであれば、それを早いうちに取り除くのも私たちの役目ですからね。
ゼロスまーったく、ホントに真面目だねえどいつもこいつも。
ゼロスでも、ま……それも悪かないか。仕方ねえから手伝ってやるよ。
しいなまったく、余計なこと言わずに一言で済ませばいいものを……。
しいなまあいいや。とりあえず、帝国兵の目撃証言があった場所についてなんだけど――
四人! ?
しいな誰だい ! ?
女性あっ……。
プレセア女性…… ?
ゼロスええ~ ! ?こんな森の中にかわいこちゃん ! ?
女性えっ ? え……その……。
ゼロスねえ、キミ ?森の中を一人で歩いているなんて危険だろう ?
ゼロスよかったら、俺さまがキミの護衛を……ああ、安心して。俺さま、怪しい者じゃないからね。
ゼロス森の中に住んでるわけじゃないんだよね ?近くに村でもあるのかな。だとしたら俺さまがそこまでキミを送って――
? ? ?おやめなさい !
セレス彼女は一人で歩いていたわけではありません !そもそも自分で怪しい者ではないと言う人間などならず者に決まって――え ?
ゼロスなっ…… !
しいなあんた……セレス ! ?
プレセアえ ? ゼロスくんの、妹さん…… ?
リーガルそうか、セレス様も鏡映点として具現化されていたのか。
セレス鏡映…… ? 何の話ですの ?そもそも、なぜお兄……神子さまたちが――ッ !
セレスごほっ ! ごほ、ごほっ !
ゼロスセレス !
しいなあんた、大丈夫かい ! ?
セレスわっ……私は……大丈……ごほっ、ごほっ !
ゼロス全然大丈夫じゃねぇじゃねえか……。あんた、セレスの知り合いか ! ?
女性は、はい。どうやら、あなたは彼女の関係者のようですね……。
女性この近くに、私たちが住んでいる村があります。少し休んでセレスの容態が落ち着いたらまずはそちらに向かいましょう。
リーガルそのほうがいい。こんな場所で、この状態で、話を聞けるとも思えない。
リーガルまずは身体を休められる場所に移動しよう。神子、それで構わないな ?
ゼロス……ああ。案内、頼んだぜ。……これまで何があったかって話も聞かせて欲しい。
ゼロスまさか、今になってセレスに会うなんてな……。

キャラクター2話【想い2 ちぐはぐな兄妹】
セレス鏡映点……なるほど、私はそう呼ばれる存在なのですね。
プレセアはい。そして、ここは私たちが元々暮らしていた世界とは別の場所……様々な世界が具現化し、混ざり合った場所です。
セレスそうだったのですね……。
リーガル……大丈夫ですか ?落ち着いた様子だとはいえ、一度に説明をしてしまいました。
リーガルお疲れでしたら、少し休んだ方が……。
ゼロス……まあ、こんなこと急に言われたとしてもどう反応したらって感じだろうしな。
セレス……少々驚きましたわ。ですが、妙だとは思っていたのです。
セレスふと目が覚めたら全く知らない場所におりました。親切な方に助けていただいて、今はこの村に滞在しておりましたが……。
セレス色々と話をしていると、どうしても違和感を覚えてしまったのです。その理由が今、理解できましたわ。
ゼロスそうか……。つーか、体調は問題ねえのか ?
セレスおに……神子さまがご心配なさる必要はありませんわ。
ゼロスへいへい、左様でございますか。
セレスた、確かに、少々体調の良くないことはございましたがローリエが助けてくださったのです。
リーガルローリエとは、先ほどの女性のことですかな ?
セレスはい。見知らぬ土地で、とても安心いたしました。
プレセア右も左もわからない状態で体調も悪ければどんな危険があったかもわかりませんでした。良い人に巡り会えてよかったです。
セレスええ。とても献身的に看病をしてくださって今ではすっかり身体の調子も良くなりました。ですから――
ゼロスさっき咳き込んでただろ ?良いようには見えないぜ。
セレスそれは、ローリエがなかなか戻らないので心配して迎えに行ったからで……決して常に悪いわけではないですわ !
ゼロスちょっと出かけただけで咳き込むなんてやっぱり調子が悪いってことだろ ?
ゼロス安全なセールンドか、せめてアルタミラに行った方がいいんじゃねえか。帝国兵がいるかもしれねえ場所よりもな。
セレスいえ……私はこの村から離れるわけにはまいりません。
ゼロスなんでだ。
セレス……ローリエに恩があるからですわ。
ゼロスちゃんと話をすれば問題ねえだろ。礼をするっていうなら俺さまの方で用意しても――
セレスそういう問題ではありませんわ !
セレスとにかく、私はこの村を離れるわけにはいきません。だから放っておいてくださいませ !
ゼロスほっとけって……あのな、セレス。だったらせめて、理由くらい教えてくれねえか ?
セレス……神子さまには関係ありませんわ !
ゼロス関係ねえって、お前…… !
しいなちょ、ちょっと待ちなよ二人とも !せっかく会えたってのに、喧嘩なんかしてる場合じゃないだろ ! ?
ゼロスしいな――
セレスお黙りなさい !神子さまをたぶらかすメス猫 !
しいなはぁ ! ?人がちょっと優しくしたら調子に乗って…… !
セレスあなたに優しくして欲しいなんて言ってませんわ !
リーガル待て、二人とも――
ローリエ! ? ど、どうしたんですか ! ?
プレセアローリエさん。実は――
ローリエなるほど、そういうことでしたか……。すみません、私のせいでご迷惑をおかけしてしまって。
しいないや、こっちも悪かったよ。大人げなく喧嘩なんかしちまってサ。
セレス…………。
ローリエ私はよく散歩に行くのですが、天気がいいとついつい長い間森を歩き続けてしまって……。
セレス……私は、ローリエに助けられました。ですから、あなたに何かがあったら私が助けるのは当然のことですわ。
ローリエセレス……ありがとうございます。
ゼロス…………。
ローリエああ、そうだ。すみません、私ったら皆さんにお茶も出さずに買い物に行ってしまって……。
ローリエご迷惑もおかけしてしまいましたし紅茶を淹れさせていただけませんか ?
リーガルそれはありがたい。迷惑などとは思っていないがお言葉に甘えることにしよう。
プレセアはい。その間にゼロスくんもセレスさんとゆっくりお話をすればいいのではないでしょうか。
セレス……いえ。私は、部屋に戻ります。
ローリエえっ…… ?
セレス……少し、疲れてしまいましたから。皆様、申し訳ありません。失礼します。
プレセアセレスさん……。
ゼロス……ま、そうなるだろうな。
ゼロス…………。

キャラクター3話【想い3 セレスの事情】
しいな……ったく、一体どこまで行ったんだい ?あのアホ神子は。
プレセア少し出かけてくる、と言ったまま戻りませんね。
しいな仕方ない奴だね。そりゃ、結局セレスと話が出来なかったし焦るのはわかるけど……。
プレセアそうですね……。少し待たせてもらいましたけど部屋に籠もったままでしたし。
プレセア今後についてのお話を出来ればゼロスくんも安心出来たのかもしれませんが。
しいな安心するとかしないとか、それももちろん大事だけどね……。
しいなプレセアとリーガルはローリエの家の薪割りを手伝ってたっていうのに、気づいたらフラッとどっか行ってるなんて、何考えてるんだか。
プレセア……少し、心配ですね。
しいなまあいいサ。少し頭を冷やせば戻ってくるよ。こっちもこっちでやることがあるしね。
プレセアしいなさんは、村の人に聞き込みをしていたのですよね ?どうでしたか ?
しいなああ……。残念だけど、ここ最近で帝国兵を見たって話は聞かなかったよ。
しいなただ、帝国兵の話をしたときに、なんとなく反応が過敏な感じがしたのは気になったね。
プレセア過敏……ですか ?
しいなああ、帝国兵の名前が出た途端顔を引きつらせる人もいてサ。
しいなだからあんまり深く踏み込めなかったっていうのもあるんだよね。
プレセアそうですか……。
リーガル待たせたな。夕飯が完成したぞ。キッチンが使えて助かった。
プレセアローリエさんのおかげですね。
リーガルああ。宿を用意してもらっただけでなく、キッチンまで使わせてもらえるとは。
リーガル彼女が自由に使えるようにと話をつけてくれたらしい。ありがたいことだ。
しいなさすがリーガル。本当に美味しそうだよ。一人で準備させちまって悪かったね。
しいなで、夕食までできたってのにまだあのアホ神子は帰ってこないのかい ! ?
リーガルうむ……。宿の場所は伝えてあったはずだが。
しいなさすがに女の子に声を掛けてるってことはないだろうけど……。
しいな……まったく、仕方がないね !ちょっと捜しに行ってくるよ。
リーガルいや、せっかくの料理が冷める前に――
しいな二人は先に食べといてくれ。それじゃあね !
リーガル――少し食べてから捜してはどうだと言おうと思ったが、行ってしまったな。
プレセアそうですね。きっと口で言うより、ゼロスくんのことを心配しているんだと思います。
リーガルフ……そうなのだろうな。
リーガルでは、先に始めていよう。
二人いただきます。
プレセア……そういえば、リーガルさん。昼間、ローリエさんの家で薪割りのお手伝いをしたときに、木こりの道具がありましたよね。
リーガルああ。しばらく使っていない様子だったが……。
プレセアはい。ローリエさんが使うには大きすぎでしたし彼女では持ち上げられないようなものもありました。
プレセアそれが、少し気になっていて……。
リーガルああ……。あれは、彼女の御夫君のものだそうだ。
プレセア旦那さん……ですか ?でも、一緒に暮らしている様子はありませんでしたが……。
リーガル亡くなったのだそうだ。
プレセアえっ……。
リーガルキッチンを使わせてもらっているときに宿の主人に話を聞いた。仲睦まじい夫婦だったという話だ。
リーガルだが……この村は裕福とは言いがたい。そこで、出稼ぎのためにテセアラ領の帝国軍の志願兵になったのだそうだ。
プレセア……ッ !それじゃあ……。
リーガル……そうだ。彼女の御夫君は、戦乱の中……命を落とした。もしかしたら私たちの誰かが仇なのかもしれない。
プレセア…………はい。そういう可能性もゼロではありませんね。
リーガルこの村には、そういった志願兵の遺族が多くいるのだそうだ。あまり我らの素性を話さぬ方がいいだろう。
リーガル……ローリエのことに話を戻そう。
リーガル訃報を聞いたとき、ローリエは食事も喉を通らないほどに落ち込んだそうだ。それをセレス様が支えていたという話であった。
プレセア……だから散歩に出たまま戻らないローリエを心配して森の中を駆け回っていたのですね。
リーガルああ。村から離れたがらないのも、その理由を話さないのも、全てローリエを気遣ってのことだろう。
プレセアそうだったんですね……。
プレセアですが、セレスさんを心配するゼロスくんの気持ちも……理解できます。
プレセアゼロスくんの気持ちもセレスさんの気持ちも大事な人を亡くしたローリエさんはきっとわかる筈。三人がきちんと話をできれば……。
リーガルああ。私もそう思っている。
リーガル神子が戻って来たら、今の話をしてみよう。今後のことは、それから改めて相談すればいい。
プレセアそうですね。
プレセア……想い合っているのにすれ違ってしまってはあまりにも悲しいですから。
リーガルそうだな。だが、大丈夫だ。きっと、伝わる。
リーガル人を想う優しさは、人の心を動かすものだ。いや、そうあって欲しいという願望かも知れぬがな。

キャラクター4話【想い4 ゼロスの想い】
ゼロス…………。
しいなあっ ! いた !まったく、こんなところでぼーっとしてたのかい。
ゼロス……しいな。
ゼロスなんだ~ ?俺さまがいなくて寂しくなっちまったのか ?
しいななに馬鹿なこと言ってんだい !いつまでたってもあんたが帰って来ないから捜しに来てやったんだろ !
ゼロス…………。
しいなあんたがそんな辛気くさい顔してるなんてらしくないよ。
ゼロスなーに言ってんだよ !俺さまはいつも通りだっての !
ゼロスあ、いつもよりイケメンかもしれねーな ?
しいなあんたねえ……。
ゼロスだいたい、俺さまが「らしくない」なんてお前が俺さまの何をわかってるって言うんだよ。
ゼロス余計な心配してねーで、自分の仕事のことを考えたらどうなんだ ?
しいなそんなこと、あんたに言われなくたってとっくにやってるんだよ !
しいなサボってんのはあんたのほうだろ ?ローリエの家の手伝いをリーガルとプレセアに丸投げしちまうんだから。
ゼロスん~ ? 確かにそうなっちまったか。いや~悪かったな~。
しいなぜんっぜん悪いと思ってないだろ……。
ゼロスいやいや~ ? ちゃんと悪いと思ってるぜ ?けど、俺さまがあの家にいたって気まずいだけだろ。
しいな気まずい…… ?
ゼロス俺さまはセレスに嫌われてるからなあ。そんなやつがいたって、妙な空気になっちまう。
しいなあんた……。
ゼロス……まあ、セレスをずっとこの村に置いとくわけにもいかねえけどな。
ゼロス口じゃ大丈夫なんて言っちゃいたが具現化で病気が治ったってこともなさそうだ。安全なところにいたほうがいい。
ゼロスなんか事情もありそうだが、それはそれとしてセレスのことはお前らで説得してくれねえか ?
ゼロス俺が言ったんじゃ、あいつは余計に意地になるだろうしな。
しいな嫌だね。
ゼロスへそ曲げんなよ、しいな~。
しいなふざけてるんじゃないよっ !事情があるのがわかってるなら何で自分で話を聞こうとしないんだ !
ゼロスセレスは俺を憎んでるんだ。俺に打ち明ける訳が――
しいなあーもう、イライラするね !そもそも、あんたはセレスを嫌いなのかい ! ?
ゼロスそんな訳ねーだろ。嫌ってるのは向こうの方だ。
しいなその「嫌ってる」ってのも、セレス本人から直接聞いたのかい ?
ゼロスそんなもん、普通に考えて相手に言うわけねーだろうが。
しいなはっ、確かめもしないで嫌われてると思ってるのか。臆病者 !
ゼロスうるせえっ ! んなもの態度でわかるってんだよ !鈍さの塊みたいなしいなにはわからねえだろうけどな !
しいな鈍いのはどっちだい。それを本気で言ってるんだとしたらあんたは本当にただのアホ神子だよ。
ゼロスはぁ ! ?
しいな諦めてるんじゃないよ !勝手に相手の気持ちを推し量ったりしてそれは逃げじゃないかい !
しいな勝手に傷ついたような顔してんじゃないよ !その前に、ちゃんとあの子と向き合うことから始めたらどうだい ?
しいなそうすれば、今まで知らなかった相手の気持ちがわかるかもしれないだろ。
ゼロス…………。
ゼロス……はは。まさか、しいなに説教されちまうなんてな。
しいなあんたねぇ……。
ゼロスいや……今回ばっかは、お前の言う通りだ。
ゼロス……逃げてたのかもな。そのほうが、現実から目をそらせるから。
しいな…………。
ゼロスセレスともう一度話してみるよ。
しいな! !
ゼロスまさか、この俺さまがしいなの言うことを聞く日がくるなんて、別世界に転生しちまうんじゃねーか ?あ、もう召喚されてたか ?
しいな……別に、あんたのためじゃないよ。
しいなセレスがちゃんと話を聞くのはあんたくらいだからね。逃げられるとこっちが困ると思っただけサ。
ゼロスあー、そういやお前、セレスからは俺さまのハニーだと思われてんだもんな ?
ゼロスさっきもメス猫って言われてたしな !でひゃひゃひゃ !
ゼロスあいてっ !
しいな殴るよ ! ?
ゼロスだから殴ってから言うなっての ! ?
しいなうるさいね、知らないよ !
ゼロスったく、これだからしいなはよぉ……。
ゼロス……ま、今回は感謝しといてやるわ。
しいな……そうかい。
ゼロスとはいえ、こんな夜に押しかけるわけにはいかねーしな。
ゼロス明日、改めて行くとするか~ !
しいなそうだね。ひとまず、あたしたちも夕飯だよ。リーガルが作ってくれたんだ。
ゼロスなんだよ、それを早く言えよ~。俺さま腹ぺこすぎて腹と背中がチークダンス踊ってるわ。
しいな器用な体だね、まったく……。
しいなま、いいサ。ほら、帰るよ。
ゼロス……だな。

キャラクター5話【想い5 眠れぬ夜】
セレス…………。
セレスうう……。
セレス…………眠れませんわ。
セレス(せっかくお兄さまが私を見つけてくださったのに……右も左もわからないままやってきたこの世界でやっとお兄さまに会えたのに……)
セレス(……でも、ローリエをこのまま一人にすることはできませんわ)
セレス(ご主人がお亡くなりになったときのあの絶望した眼差し……今でもまだ、心が完全に癒えたとは言えませんもの)
セレス(私は、どうしたら……)
セレスあら ? 今の音は……。
ローリエ…………。
セレスローリエが外へ…… ! ?こんな時間に、一体どこに…… ?
セレス(そういえば、最近は何も言わずに突然家を出て行くことも増えていましたわね)
セレス(でも、こんな時間に出ていくなんておかしいですわ。何かトラブルに巻き込まれている、とか……)
セレス…………。
セレス考えていても仕方がありませんわ !ローリエを追いかけなければ…… !
セレス(確か、ローリエはこちらの方向に……)
セレスいましたわ…… !
村の男性ローリエ、やっと来たか !君の家にいる子には気づかれていないよな ?
ローリエええ、もちろん。……ついに、始まるの ?
村の男性ああ ! 今日、姿を見かけたんだ。あれは間違いなくセールンドからの使いだ !
村の女性それじゃあ、ついに…… !
村の男性そうだ。ここで待っていれば、帝国兵たちが迎えに来てくれる !
村の女性ああ、よかった…… !でも、帝国兵のことを聞き回っている女性がいたわよね ? 大丈夫なの…… ?
村の男性大丈夫に決まってるだろ !もうその時はすぐそこなんだから !
セレス(帝国兵…… ! ?確か、ローリエの旦那さんは帝国兵として戦っていたと聞きましたけれど……)
セレス(まさか、また戦いが起ころうとしている ?でも、そんな……)
帝国兵Aお前、こんなところで何をしている ! ?
セレス! ?
帝国兵Bコソコソと隠れて……まさか、話を聞いていたのか ! ?
セレスきゃあ !
帝国兵A大人しくしろ !
ローリエセレス ! ?どうしてここに…… !
村の女性その子、ローリエの家にいる子じゃない !
村の男性なんだと ! ?コソコソ聞いていたなんて、もしかしてスパイだったのか ! ?
セレススパイ ? どういうことですの ?
ローリエその子は関係ないの !どうか放してあげて…… !
帝国兵Aそんなわけにいくか !話を聞かれた以上、処分するしかない。
ローリエそんな…… !
帝国兵B待て。ここで殺しはマズい。ひとまず基地に連行する。
帝国兵Aそうだな。お前たちもついて来い !
村の男性はい、もちろん…… !
村の女性ローリエ、あなたも行くわよ。
ローリエ……ええ。
しいなよし。それじゃあ改めてローリエの家に――
しいな…… ?なんだか村の中がざわついてないかい ?
プレセア……少し、話を聞いてきます。
リーガル何事もなければいいのだが……。
ゼロス…………。
プレセア皆さん、大変です。
しいなどうしたんだい ?
プレセア昨晩から今朝の間に、この村の何人かが失踪しているんだそうです。
しいな失踪 ! ?
リーガルその失踪者の中に、ローリエは……。
プレセア……含まれているようです。
ゼロス! ?まさかセレスも…… ! ?
しいなゼロス ! ?
しいなあたしたちも追いかけるよ !
プレセアはい !
ゼロスセレス ! いねえのか ! ?
しいなゼロス !セレスもいなくなっちまってるのかい ! ?
ゼロスああ、もぬけの殻だ。クソッ…… !
リーガル落ち着け。気持ちはわかるが、焦れば余計に事態が見えなくなっていく。
リーガル昨日のローリエは、何か大きなことを隠しているようには見えなかった。
プレセアそうですね。もしも何かを……特にセレスさんに関することを隠しているのであれば、違和感を覚えたと思います。
しいな……あたしたちが来たっていうことがこの村にとっては大きな変化、ってところかい ?
リーガルあるいは、その前……帝国兵の姿が目撃されたことだな。
リーガルいずれにしろ、何人も姿を消しているんだ。何かしら手がかりが残っているはずだ。まずはそれを探そう。
ゼロス……そうだな。ここでわめいてても、何も解決しねえ。
ゼロス必ず、手がかりを見つける。だから待ってろよ、セレス…… !

キャラクター6話【想い6 妹を捜して】
リーガル……見えるか。あの洞窟が。
プレセアはい。洞窟、というよりは基地といった雰囲気がありますが……。
しいな実際そうなんだろうね。ほら、見てみなよ。
帝国兵…………。
ゼロス帝国兵か。
しいなああ。あたしが聞いた目撃証言っていうのもあいつらのことだろうね。
ゼロスってことは、セレスもあの奥に連れてかれたって考えてよさそうだな。
リーガルあとはこの先どう行動するかということだが……。
ゼロスンなもん、決まってんだろ !強行突破だ !
リーガルそうだな。
しいなんじゃ、まずはあの見張りを倒すよ !
プレセアはい !
しいな外から見るとただの洞窟だったのに中に入ってみると立派な遺跡って感じだね。
リーガルああ。これは恐らく、エンコードの影響なのだろう。だからこういった歪な形で遺跡が出現したのではないか。
プレセアしかもこの形状です。身を隠すのにはちょうどいいと判断して、帝国兵たちはここを拠点としていたのでしょうね。
ゼロスまあ、そんなところだろうな。
ゼロスなーんか罠とかもありそうだ。気を付けろよ、しいな。
しいななんだって、あたしを名指しするのサ !まったく、失礼なヤツだね !
しいなだいたい、こういうのは足元にしっかり注意して歩いていれば――
しいなえ ?
しいなえええええええ ! ?
ゼロスなああああああ ! ?言ったそばから落とし穴に落ちるか ! ?
プレセアしいなさん !
リーガル穴がすぐに塞がった。スイッチを踏んだ瞬間のみ開くタイプの落とし穴か。
ゼロスったくよおおおおお !フリじゃねえっつーのに !
プレセアゼロスくん ! ? 一体何をするんですか…… ?
ゼロスほっとくわけにはいかねーだろ !俺がしいなを追いかける !
ゼロスお前らは別のルートで奥を目指してくれよ。罠にはハマんなよ ! ?言っとくけど、フリじゃねーからな !
プレセア……行ってしまいましたね。
リーガルそうだな……。しかし、しいなを一人にしないほうがいいというのも確かだ。
リーガルここは神子に任せて、我々は奥を目指そう。
プレセアはい。
ゼロスしいな ! おい、無事か ! ?
しいなゼロス ! ?
しいななんだい、あんたまで落ちちまったのかい ! ?
ゼロスンなわけあるか !
ゼロス間抜けなお前を単独行動させたらこの先どんだけ罠にハマるかわかんねーから来てやったんだろうが !
しいな……わ、悪かったね。
ゼロスお、殊勝でなにより。で……怪我は ?
しいないや、ちょっと泥は付いたけど、怪我はないよ。
ゼロスそいつは良かった。
ゼロスさて、これからどうするか。穴は塞がっちまってるし、飛んで元の場所に戻るってのは無理っぽいな。
しいなそうだね……。ひとまず、どっか別の道を探すしかないか。
ゼロスんー……。そこの隙間、塞がれた痕みたいだな。少し岩をどかせば通り抜けできそうだ。
しいな何とかあの隙間は抜けられたけど、全身ドロドロだよ。
ゼロス後で洗濯が大変だな、こりゃ……――ん ?あれ、あの奥の人影は……。
しいな! ?ちょっとゼロス、あの牢獄の中にいるのって…… !
ゼロスああ、セレスだ !
ゼロスセレス ! おい、セレス !
セレスん…………。
セレスえ……お兄……神子さま…… ?
ゼロスセレス ! 無事なんだな ! ?こんなところで見つかるなんて、マジかよ……。
ゼロスしいなのドジもコレットちゃんみたいな幸運があったりするのかね ?
しいなそれはそれで複雑ではあるけど……まあいいよ、見つかったんだからね。
しいなセレス、ちょっと離れときな。今、この扉を開けるから !
セレスは、はい……。
しいな炸力符 !
しいなよし、開いた !
ゼロスよくやったぜ、しいな !セレス、早くこっちに。さっさとここから退散するぞ !
セレスはい…… !
帝国兵誰だ、貴様ら !
ゼロスおっと、もう集まって来やがったのかよ !
しいな牢獄の近くだからね、見張りもいたんだろ。
ゼロスま、上から登場しなかったらここに来る前に倒してたはずの連中ってわけか。
ゼロスだとしたら順番が変わっただけだ。さっさとこいつらをぶっ飛ばしてリーガルたちと合流するぞ !
しいなああ !
ゼロスセレス、お前は俺さまたちの後ろにいろ。
セレス神子さま……――いえ、お、お、お兄さま !
ゼロスうお ! ? ど、どうした ! ?
セレスわ、私もお兄さまと一緒に戦わせてくださいませ !
ゼロスはぁ ! ?いやいや、そんな訳には――
セレス無茶はいたしません。お兄さまたちの足を引っ張るようであればすぐに離脱して身を守ります。
セレスですが……ですが、守られているだけの妹にはなりたくないのです !
ゼロスセレス……。
しいな……いいんじゃないかい ?その子、意外と強いんだろ。
しいな帝国兵が何人集まって来てるかわからないしね。人手がありゃ助かるさ !
ゼロス……わかったよ。
セレスお兄さま…… !
ゼロスセレス、お前も一緒に戦ってくれ !ただし、無理はするなよ。約束だ。
セレスはい…… ! !

キャラクター7話【想い7 探索続行】
しいなふー。やっと全部倒したみたいだね。
ゼロスだな。おい、セレス。怪我はねえか ?
セレスええ、問題ありませんわ、お、お兄さま。
ゼロスそ、そうか……。ならよかった。
ゼロスそしたら、一旦この遺跡を出ることを考えるか。帝国兵もあとどれくらい潜んでるかわかんねーし。
しいなそうだね。いつまでもここにいたんじゃまた嗅ぎつけられるかもしれない。ひとまず移動しよう。
ゼロス――ってことは、お前は村の人たちがなんか話してるのを見かけたってだけなのか ?
セレスはい。帝国兵が迎えに来る、と言っているのは聞こえたのですが、それで何をするのかというのは全くわからず……。
セレスですが、帝国兵は私に話を全て聞かれてしまったと思ったようで、口封じをするためにひとまずここへ運んで来たようでした。
ゼロスあいつら……。
しいな勝手な思い込みで口封じをしようとするなんて滅茶苦茶だね……。
セレス……次に気がついたときには、お兄さまが私の名前を呼んでくださっていて。
セレスですから、一体何が起こっているのかは、本当に何もわからないのです……。お役に立てず、申し訳ありません。
ゼロスいや、問題ねぇよ。何にしても、助けることは出来たんだからな。
ゼロスひとまず、外に出る通路を見つけてセレスだけでも安全な場所に――
セレスいえ……私も一緒に行かせてください、お兄さま。
ゼロス何言ってるんだ。お前は――
セレスお願いです !私はローリエや村の皆さんが心配なんです。
セレスあの時夜の森に集まっていた皆さんはどこか思い詰めたような表情をしていました。
セレスそれに……ローリエは私の恩人です。この世界に来てどうしたらいいのかわからない私を助けてくれた。
セレス私は元の世界でも独りぼっちでした。だからローリエや村の人が受け入れてくれて嬉しかったし救われました。
セレス今度は私が皆さんを救う番なのです…… !
ゼロス…………。
しいなこれは、止めても無駄なんじゃないかい ?あたしにもわかるからね。自分を受け入れてくれた人がどれだけ大切なのかってことは。
ゼロスああ……そうだな。
ゼロスわかったよ、セレス。本当は安全なところにいて欲しいんだけどな。
セレスお兄さま…… ! それにしいなさんも……。
ゼロスひとまず、ローリエたちを捜す。ついでにリーガルたちとも合流できりゃ完璧だ。
しいなこの遺跡がどれだけ広いかはわからないけど歩いてればどっちかには会えるだろ。
ゼロスおお、なんという行き当たりばったり。まあ、しゃーないわな。ってことで、ちゃっちゃと終わらせますかね !
プレセアここは……なんでしょう ?今までよりも少し開けている場所ですが……。
リーガル――プレセア。あの奥を見ろ。大勢の人間がいる。
プレセア……ッ ! ? あれは、村の人たち…… ?それに、ローリエさんも……。
村の男性――そこにいるのは誰だ !
ローリエあ ! ? あなたたちは !
村の男性そうか……。お前たち ! 追ってきたのか !
村の女性私たちの邪魔をするの…… ! ?
リーガルずいぶんと警戒されたものだな……。だが、私たちは決してあなたたちの邪魔をしに来たわけではない。
リーガルただ、帝国兵が何かを企んでいる様子だから――
村の女性やっぱり !早く追い返さないと…… !
村の男性みんな ! 武器を持て !あいつらを追い返すぞ !
リーガルやむを得まい。プレセア、なるべく傷つけぬようにな。
プレセアはい…… !
村人たちう、うう……。
リーガル手荒な真似をしたな。すまない。
プレセアなぜこんなことをするんですか。私たちは帝国兵が何か行動を起こしていると知って皆さんを助けたくて……。
村の女性それが余計なことなのよ !私たちはあなたたちが敵視している帝国の皆さんに救われるのよ !
プレセア救われる ?一体どういうことなんですか…… ?
プレセア事情があるのなら話していただけないでしょうか。もしかしたら協力出来ることもあるかもしれません……。
リーガルローリエ、あなたはセレス様を救ってくれた。だから私たちも、あなたを苦しめるようなことをするつもりはないのだ。
ローリエ…………。
プレセアお願いです。どうか――
プレセア! ? これは…… !
リーガル転送魔法陣か ! ?
村の男性ああ、ついに迎えが――
村の男性なっ……魔物 ! ?どうして…… !
村の女性きゃああ !道が閉じて……逃げられないわ !
プレセアこれは、帝国側の誰かが魔物を送り込んでいると考えて間違いありませんよね ?
リーガルああ。だが、それでここに集められた人たちが巻き込まれても問題ないと思っているようだ……。
魔物グオオオオオオッ !
リーガル事情を考えている場合ではなさそうだ。プレセア ! 村の人たちに怪我をさせないように全ての魔物を倒すぞ !
プレセアはい !誰一人、傷つけさせません !

キャラクター8話【想い8 村人たちの理由】
プレセアこれで……終わりです !
プレセア……ふぅ。皆さん、ご無事ですか ?
村の男性あ、ああ……。
リーガルどうにか魔物を倒すことは出来たが塞がってしまった通路はどうするか――
しいな破魔濤符 ! !
しいな大丈夫かい、みんな ! ?
リーガルしいな、助かった。だがどうしてここにいるとわかった ?
しいなそりゃ、中からあんな音がしてりゃね。
ゼロス魔物の声も響いてたからな。まあ、リーガルとプレセアちゃんなら問題ないとは思ってたけどよ。
ゼロス……しかし、こんなに人がいたのかよ。何人いるんだ、これ。
セレスローリエ !
ローリエセレス……。
しいな一体何があったんだい ?どこから魔物が…… ?
プレセア転送魔法陣が現れて、魔物が送られてきたんです。恐らく、帝国側の何者かの仕業だと思うのですが……。
リーガル我々に嗅ぎつけられたと踏んで口封じをしようとしたのだろう。
リーガル……ここにいた人々もろとも葬るつもりで。
村の男性そんな、じゃあ、俺たちは裏切られたのか ! ?
村の女性どうして ! ? あんなに尽くしてきたのに !私たちはこれから一体どうしたら……。
セレス……ローリエ。あなたたちは何をしようとしていたのですか ?
セレスここまで念入りに口封じをするなんて、よっぽどのことだと思うのですが……。
ローリエ…………。約束を、していたの。
セレス約束…… ?
ローリエええ……帝国軍に資金や物資を援助する、と。その代わりに私たちは……。
ローリエ……大切な人を、蘇らせてもらう約束をしたの。
セレス! ?大切な人を……蘇らせる…… ?
ローリエそうよ ! 大切な……大切な、私の夫を……死んでしまったあの人を、蘇らせてもらうの !
ローリエここにいる人たちはみんなそうだわ !恋人、子ども、兄弟……大切な人たちを、戦争で失ったの……。
セレスでも……でも、そんなこと出来るはずがありませんわ !死者を蘇らせるなんて……。
村の男性いいや、出来る !だって、俺たちは見たんだ !実際に人間が蘇る瞬間を…… !
村の男性まるで、新しく生まれるように……確かに死んだはずの人間が、動いて、笑ったんだ !
セレスそんな……何かの見間違いでは…… ?
リーガル……フォミクリーだ。
セレスえ ?
リーガルそれはフォミクリーという技術だろう。いなくなったはずの人間が『新しく生まれて来た』というのなら、間違いはないはずだ。
リーガルだが、それは決して『死者を甦らせる』というものではない。
プレセア帝国軍の人間であれば、そのことは知っているはずです。しかし、説明はしていなかったのですね……。
リーガルそうなのだろうな……。
ローリエそれじゃあ、私の夫は……。
リーガル蘇ることはない。きみの夫も、他の人の家族も、恋人も。
リーガルその人たちにそっくりな姿形をした人物を生み出すことは可能だろう。だがそれは、別の人間だ。
ゼロス笑うし、わめくし、無茶もやらかすけど、そいつは全く別の人格だし、別の人生を歩むんだよ。……あんたらのことだって、知りゃしねぇ。
リーガルあなたたちが望むような結末は訪れないだろう。むしろ、新たな悲劇を生む可能性もある。
ローリエそん……な……。
ローリエそれなら……それなら私たちはどうしたらよかったの !大切な人を失って、生きる気力もなくなって……そんな日々の中で、初めて希望が湧いたのよ !
ローリエそれなのに、その希望も潰えてしまったならこれからどうやって生きていけばいいの……。
プレセア……それでも生きてください。
ゼロス…………。
プレセアどんなに辛く孤独であったとしても、生きてください。生きてさえいれば、先が生まれます。
プレセアそうすれば、もしかしたら新たな希望と出会えるかもしれません。
プレセアだから決して、絶望に飲まれてはいけないんです。
ローリエう……うっ……。
しいな……このままだと危険だね。秘密を知っちまったんだ、また帝国軍が手を回して口封じをしようとしてくるかもしれない。
リーガルうむ。残党とはいえ、それなりの戦力があるようだ。村の人々だけでも避難させたほうがいいな。
リーガルここまでの道中に危険はなかったと思うが護衛もなしで避難させるのは危険だろう。どうする ?
しいなあたしが誘導するよ。それなりに大所帯ではあるけど、いざとなったら精霊を使ってみんなを守れるからね。
リーガルそうだな。では、頼む。
しいなああ。こっちの帝国軍はあんたたちに任せるよ。
リーガルわかっている。この遺跡の中に、連中の痕跡が残っているだろう。必ずそれを見つけて、追跡する。
プレセアこんなことを企んだ人たちを放っておけません。
セレス私も一緒に行かせてください !ローリエや皆さんの純粋な想いを踏みにじるなんて許されることではありませんわ !
リーガルまだ調べていない遺跡の奥に何かあるかもしれない。私たちはそちらに向かおう。
しいなそれじゃあ、頼んだよ !ゼロス、あんたもね !
ゼロス……おう。ばっちり任されちゃうぜ。お前こそ、また罠にハマるんじゃねーぞ !
しいなうるさいね ! 当たり前だろ !一言多いんだよ、アホ神子 !
リーガルでは、我々も行こう。
ゼロスそれでも生きてください、か。
ゼロス…………痛ぇ言葉だぜ。

キャラクター9話【想い10 向き合う心】
プレセアいました ! 帝国兵です !
帝国兵リーダー! !
リーガルまだ脱出はしていなかったようだな。それとも、出来なかったというところか。
ゼロス奥のほうに大荷物があるからな。いくら転送魔法陣を使ったとしても、あれを一人で運ぶのは無理なんじゃねーか ?
リーガル……フォミクリーの技術を持ち出したのは、貴様か ?
帝国兵リーダーああ……そうだ、と言ったらなんだっていうんだ ?
セレスなぜそのようなことをしたのです ! ?ローリエを……村の人たちを騙して傷つけて…… !
帝国兵リーダー知ったことか。そんなもの、騙されるのが悪いんだよ。
帝国兵リーダー死んだ人間は生き返らない。そんな当たり前のことに気づかない連中が愚かなんだよ。
プレセア……酷い言い草ですね。
リーガルフォミクリーの技術を知っているのだったらそれがどういう意味を持つものなのかも知っているはずだ。
リーガルそれなのに、なぜ手を出した ?
帝国兵リーダーそんなもの、鏡士やお前たち鏡映点への報復のために決まっているだろうが !
帝国兵リーダー幸い、資金や物資に困ることはなかった。いくらでも援助しようという者がいたからな。だが、レプリカのデータがない人間は生成出来ない。
リーガルまさか、初めからレプリカさえも作るつもりはなかったのか ?
帝国兵リーダー当たり前だろう ! もうあいつらからは絞るだけ絞りとってやったから、後は始末するだけだったのさ。叶いもしない欲望に縋る姿は滑稽だったよ !
セレス欲望、って…… !あなたには、あの方たちがどれだけ苦しんでいたかわからなかったのですか ! ?
セレス大切な人を失って、立ち上がれないほどに落ち込んでその苦しみの中で見い出した一筋の希望の光だったのに……。
セレスそんな苦しむ彼らの姿を見ても、あなたは何も思わなかったのですか ! ?
帝国兵リーダー思わないね。
セレスなっ…… !
帝国兵リーダーそれに、希望の光になっていたんだろう ?だったらそれで十分じゃないか。
帝国兵リーダー生きる希望も失っていたのに、生き延びることが出来たんだからな !むしろ感謝してほしいくらいだ !
プレセアこの人は……。
リーガルよくここまで腐ったものだな……。
ゼロスハッ……救いようのねえ人間だぜ。
帝国兵リーダーよく言うなぁ、お前らが !
帝国兵リーダーそもそも鏡士だの鏡映点だのさえいなければ俺たちがこんな目に遭うこともなかったんだ !
帝国兵リーダー戦争に駆り出され、次から次へと人を殺し、殺され醜い争いが延々と続いた……。それは全て鏡士のせいだろうが !
ゼロス完全に否定はしねーよ。けど、それは単なる責任転嫁じゃねーか。
帝国兵リーダーどっちが !お前らがいたせいで何が起こったか自覚しやがれ…… !
帝国兵リーダーこい !
ゼロスッ ! なんだこの馬鹿でかい魔物は…… !
帝国兵リーダーレプリカと人工心核を使って生み出した大型魔物だ !ははははは ! どうだ、俺にはこれだけの技術力があるんだ ! 鏡士だってぶっ潰せる !
リーガル人の不幸を利用して自らの欲を満たすとは……許しがたい所業だ。
プレセアはい。優しい人たちの切なる想いを弄ぶなど絶対に止めなければなりません…… !
セレスッ ! ?プレセアさんとブライアン公爵から強くて温かい光が溢れています ! これは…… ! ?
ゼロス浄玻璃鏡か……。心配するな、セレス。あれは、あの二人の心の強さを宿した光だ。強い想いに呼応して力を引き出す魔鏡ってやつだ。
プレセア……ローリエさんたちが一縷の望みに縋った気持ちは私にもよくわかります。一歩間違えれば、私だって、もしかしたら……。
リーガルああ。ここに至るまでの小さな選択の違いで我々も村の者たちと同じ道を歩んでいた可能性もある。だからこそ、こんなことは止めなねばならぬ !
ゼロス俺さまはリーガルたちほど優しかねえよ。あの村の連中は確かに愚かだ。俺さまはああはならない。
ゼロスだが、セレスを助けてもらったっていう恩義はある。何より――
ゼロス人の大事な妹を危険な目に遭わせやがったんだ !てめぇだけは絶対に赦さねえから覚悟するんだな !
セレス! お兄さまからも光が…… !あれも、浄玻璃鏡の光…… ?
セレス強い想いに呼応して力を引き出すもの……。
帝国兵リーダーうるさいうるさいうるさい !ぶち壊されるのはお前らだ !行け ! 魔物たち !
魔物グオオオオオオオッ !
ゼロス誰がさせるかよ !片っ端からぶっ潰してやるぜ…… !

キャラクター10話【想い10 向き合う心】
帝国兵リーダーく、くそおおおお !俺の技術の結晶が…… ! !
ゼロスどうやら、もう手も足も出ねーみたいだな。大人しく降伏しろっつーの。
帝国兵リーダーく、くそ……。俺の命もここまでか……。
リーガルいや、命はとらぬ。
帝国兵リーダーえ…… ?
リーガル確かに貴様のしたことは赦されることではない。だが、それでも償いの機会は与えられるべきだ。何より我々には人を裁く権利はない。
リーガル貴様と仲間たちはセールンドの警備隊に送られる。そこで自分の行いを見つめ直すことだな。
帝国兵リーダーくっ…………。
プレセアこの後はどうしますか ?
リーガルまずは残党どもを捕獲しよう。セールンドにも報告が必要だろうが……。
ゼロスお、フィルへの連絡か。そっちはしいなに任せようぜ。
しいなお疲れ ! 帝国の残党どもは捕まえたんだね。
プレセアはい。先程救世軍の皆さんに引き渡しました。フィルくんの方はどうですか ?
しいなああ、帝国軍に資金や物資の援助をしていた村人たちはお咎めなしってことだよ。まあ、そもそも咎める理由もないけどね。
リーガルうむ。それはそうだろうな。
しいなそっちも、なかなか大変なことになってたみたいだね。まさかレプリカと人工心核で魔物を作り出すなんて。
プレセアあの技術も、下手に利用されれば危険があるかもしれませんが、大丈夫でしょうか……。
しいなそのあたりの懸念も、フィリップに共有済みさ。
しいなそれよりも、心配なのは村の人たちだね。一度は見えた希望がなくなったっていうのは事実だろうし……。
リーガル確かに不安は残る。だが私たちに出来るのは彼らが哀しみを乗り越えられると信じできる限りの手を差し伸べることだけだ。
ゼロス……ま、大丈夫だろ。人間ってのは意外とたくましいもんだ。プレセアちゃんの言葉も響いてただろうしな。
プレセア……そうですね。私は皆さんの強さを信じます。
しいなそれより、セレスのことはどうなったんだい ?あんた、あの子と話をしたんだろ ?
ゼロス……一応な。やっぱり身体のこともあるし、安全な場所で暮らすほうがいいんじゃねーかとは話した。
しいなそれで、答えは ?
ゼロス……待ち合わせの時間と場所は伝えたよ。
しいなつまり、行くかどうかは聞いてないってのかい ?はー、これだからあんたは……。
ゼロス仕方ないでしょーよ。無理矢理連れてくってわけにもいかねーんだから最終的にはセレスが自分で――
セレスあの……。
四人! !
セレスお待たせしてしまって申し訳ありません。あの……。
ゼロスセレス……。
セレス…………。
ゼロス……行くかどうか、決めたのか ?
セレスはい……。お兄……神子さま。私は、やっぱりここに――
ローリエ待って、セレス。
セレスローリエ…… ?
ローリエ今、ここに残ると言おうとしていたのよね ?
セレス……ええ。だって、やっぱりローリエのことを放っておくなんて私には……。
ローリエ……私のことは、気にしないで。もう、大丈夫だから。
セレスでも…… !
ローリエ本当に、もう大丈夫なの。プレセアさんが言ってくれた通りだと思ったのよ。それでも生きなくちゃ、って。
プレセア……そう、思ってくださったんですね。
ローリエええ。確かにとても苦しかった。辛かった。一体どうしたらいいのか、暗闇の中を歩くようだった。
ローリエそれでも、不思議とお腹が空くの。眠くもなるし、セレスと一緒にいて笑うことも出来た。
ローリエそれはきっと、私が「それでも生きていこう」としていたからなんだって、気づけたのよ。
セレスローリエ……本当に、大丈夫なんですの ?
ローリエ……ええ。きっと大丈夫。私は……私たちは乗り越えられるわ。だから、セレスも乗り越えなくちゃ。
セレス! !
セレス……お……神子さま。私は……神子さまの浄玻璃鏡の光を信じてもいいでしょうか ?
ゼロスえ…… ?
セレス浄玻璃鏡が光ったとき、神子さまは私のために怒ってくださった。私のことを大事な妹と言ってくださった。
セレスずっと素直になれなかったけれどそれは……怖かったから、です。神子さまに拒絶されてしまったらどうしよう、って。
ゼロスセレス……。お前、俺が憎かったんじゃないのか ?
セレス私は……神子さまに暗殺者を差し向けたお母さまのためにも神子さまに心を開いてはいけないと思っていました。私こそが神子にならなければいけないのだと。
セレスだけど……本当はそんなことどうでもよかった。いつもお見舞いに来てくださる神子さまをお兄さまとお呼びしたかった !
ゼロス……だったら呼べばいいじゃねーのよ。昨日、牢屋から助け出したときは言えてただろ。
セレスみ…………お兄さま……。
ゼロスおう、妹よ。
セレス……フ……フフフ……お兄さまったら……。
ゼロス……ずっと、お前の気持ちに気付いてやれなくて悪かった。
セレスいいえ……いいえ ! 私こそ、いつも憎まれ口ばかり叩いてごめんなさい、お兄さま…… !
ゼロスいいんだよ。それとな、一つだけ言っておくがお前は独りなんかじゃなかったんだぜ。
ゼロス俺は元の世界にいるときからお前を大事な存在だと思ってた。それに……トクナガもいたしな。
セレスはい…… !
ゼロスいやー、なんつーの ?雨降って地固まるってやつ ?
しいなだから言ったじゃないか。ちゃんと確認してみろって。
プレセアゼロスくん、嬉しそうでよかったです。
リーガルでは、セレス様は神子と共に行くということで問題はないでしょうか。
セレスもちろんですわ。
セレスそれと、しいなさん、でしたかしら。あなたはお兄さまから離れてください !
しいなはぁ ! ? ちょ……和解して早々にこれかい ! ?
セレス助けてくださったことは感謝していますわ。でも、お兄さまをたぶらかすのは許せません !さあ、離れてくださいませ !
しいなだから、たぶらかしてなんかいないよ !まったく思い込みの激しい子だね…… !
ゼロスそうよ~ ♪ たぶらかさないで~ ♪
しいないつたぶらかしたのサ !笑ってないで、あんたからちゃんと説明しなこのアホ神子 !
セレスお兄さまをアホ神子呼ばわりなさるのはやめてください !
リーガル……ふふ。しいなも困ったことになったな。
プレセアそうですね。でも、みんな嬉しそうです。よかったです。
リーガルこれからも、皆が笑顔でいられるといいのだがな。
プレセアはい。皆さんが幸せに、楽しく過ごせる日々……それを守っていきたいです……。