キャラクター | #N/A |
ディムロス | 同行してくれて感謝する、スタン。今回の任務は何が起きるかわからない部分があってな。わざわざ君の手を煩わせるか迷ったが―― |
スタン | そんなこと気にしなくていいって !俺はいつでも手伝えるから、気軽に呼んでくれよ。 |
ディムロス | そうは言っても、君ものんびり過ごしていたわけではないのだろう ? |
アトワイト | ここ最近、ファンダリア大陸にいるみんなは帝国と教団の残党それぞれの対応で忙しいものね。 |
スタン | はい、俺もルーティたちから話を聞いてあちこちで戦ってました。 |
S・ディムロス | せっかくミクトラン自身は倒せたというのに今なお爪痕を残すとは、あの男らしいな。 |
シャルティエ | 本当に、困りますよね~。帝国を倒したら、ちょっとは休みが取れるかと思ってたんですけど。 |
ディムロス | 以前、ウッドロウくんも言っていたように教団の参加者は多くがミクトランに騙された者たちだ。 |
ディムロス | ただ悪意で動いているとは限らないことが対応を難しくしている面もある。 |
スタン | 今回も、何か事情があるんだよな ?詳しいことはまだ聞いてないけど……。 |
ディムロス | ああ。今回の任務は教団の残党と戦うことではない。我々は彼らを――助けに行くんだ。 |
スタン | えっ ! ? 助けに…… ? |
アトワイト | 数日前、元教団の研究者から私たちへ救援要請が届いたのよ。 |
アトワイト | 彼らはミクトランが遺した研究や技術を引き継いで何かの実験をしていたみたい。でも、扱い切れずに予期せぬ事態を招いてしまった。 |
ハロルド | ほんっと、迷惑極まりないわ。そのせいで私まで駆り出されちゃったんだから。 |
スタン | ハロルドも呼ばれたってことは、きっと何かややこしいことが起きてるんだよな。機械とか、科学とかそういう感じの……。 |
S・ディムロス | 頭の悪そうな聞き方をするんじゃない。現時点でわかっていることを報告してくれ、ハロルド。 |
スタン | 何だよ、大体伝わるだろ。 |
ハロルド | 私だってまだ詳しいことは知らないわよ。それを調べるために呼ばれたんだから。 |
ハロルド | わかってるのは、研究者たちが何かを暴走させてその力で周囲の魔物が活性化しちゃったみたいってことぐらい。 |
シャルティエ | 救援要請が届いたすぐ後くらいかな。ファンダリア大陸のある場所を中心に魔物が暴れ出したって報告が入ってきたんだよ。 |
アトワイト | 魔物の被害報告はどんどん増えているわ。なるべく被害を抑えるため、私たちも周辺の住民に避難を呼びかけているところよ。 |
スタン | だから、さっきから通りかかる村がどこもかしこももぬけの殻だったのか……。 |
シャルティエ | ……それにしても、元教団の研究者って人たちはなんでそんな馬鹿なことをしたんですかね。 |
シャルティエ | ミクトランが遺した技術なんて、どう考えたってろくでもないものに決まってるじゃないですか。 |
シャルティエ | それをいじくり回した挙句、手に負えなくなって敵だったはずの僕らに助けを求めるなんて……。 |
ハロルド | 知的好奇心、ってやつじゃない ?それなら私にも理解はできるわ。私の場合、手に負えなくなることはないけど。 |
スタン | ……あの教団は表向き、戦乱で苦しむ人たちを助けるのが目的ってことになってたんだよな。 |
ディムロス | そうだな。実情は全く正反対だったが。 |
スタン | きっとその研究者の人たちは、まだ同じことを信じてたんじゃないかな。人助けのためにって。やり方は間違ってたけど……。 |
スタン | 助けを求めてきたのも、自分たちが危ないからじゃなくて、周りに被害が出そうになったから……って考えられないか ? |
S・ディムロス | ……お前の言いたいことはわかる。だが、それでも迂闊な行動は責められるべきだろう。 |
スタン | わかってるよ、俺だって。ただ、できればその人たちも助けたいって思っただけだ。 |
ディムロス | そうだな。研究所がある場所はすでに多くの魔物が暴れているはずだ。なるべく急いで向かい、事態を収拾しよう。 |
アトワイト | 一体どんな実験をしていたのかしらね ?ここへ来るまでに遭遇した魔物も普通じゃなかったわ。まるで正気を失ったみたいに暴れて……。 |
シャルティエ | 数も半端じゃないしね。大陸中の魔物が集まってきてるんじゃないかって思っちゃうぐらいだよ。 |
アトワイト | ハロルド。まだ情報が少ないのはわかっているけど何か推測はできそう ? |
ハロルド | うーん……まぁ、考えてることはあるわよ。でも、まだ今は言わないでおく。適当なこと言っても不安にさせるだけでしょ。 |
アトワイト | それもそうね。ごめんなさい、余計なことを言って。 |
ハロルド | まぁ、もし私の推測が当たってればかなりの危険が待ち受けてるのは間違いないわ。覚悟はしておいた方がいいかもね。 |
シャルティエ | そんなこと言われたら結局、不安になっちゃうんですけど……。 |
ハロルド | 大丈夫、大丈夫。危険度MAXが100だとすると、80くらい ? |
シャルティエ | ……僕、帰ってもいいですか ? |
ディムロス | ハロルド、その辺にしておけ。 |
ハロルド | はい、はい。ちなみに嘘はついてないわよ。 |
ディムロス | 危険は承知の上だ。全員、気を引き締めていくぞ。何が待っていようと、力なき人々を守るため我々が退くことは許されん。 |
アトワイト | ですってよ、シャルティエ。 |
シャルティエ | わかってるよ。僕だって軍人なんだからね。ハァ……。 |
ハロルド | あ、早速また魔物の群れが近づいてきたわよ。ちゃちゃっと片付けちゃいましょ。 |
ディムロス | うむ。行くぞ、スタン ! |
スタン | ああ、任せてくれ ! |
キャラクター | #N/A |
スタン | この村も……やっぱり誰もいないな。 |
アトワイト | 人が襲われた形跡がないのは幸いね。魔物が現れる前に、皆ちゃんと避難してくれたということだから。 |
シャルティエ | 廃墟みたいでちょっと不気味だけどね。いや、怖いわけじゃなくて。 |
スタン | それにしても、荒らされ方がひどいな……。家の壁は傷だらけだし、食料も全部食べられてる。 |
S・ディムロス | 先ほど倒した魔物たちが荒らしていったのだろう。気を抜くな、まだ残っているかもしれん。 |
シャルティエ | あ…… ! 皆さん、あそこを見てください ! |
アトワイト | どうしたの、シャルティエ ? |
シャルティエ | さっきからあの家の扉が動いてるからもしかして、魔物が隠れてるんじゃないかなって。 |
ハロルド | そう思うんだったら、自分で確かめればいいじゃない。 |
シャルティエ | いや、まあ僕が確かめてもいいですけど……僕よりディムロスの方が近くにいますし。 |
ディムロス | わかった。私が見てこよう。皆、戦闘準備をしておけ。 |
ディムロス | ……そこか ! |
村人 | ひ、ひぃぃ~っ ! |
スタン | あれ ! ? 人間…… ? |
アトワイト | まだ残っていた人がいたのね。大丈夫、私たちは味方です。 |
村人 | ……ハァ、ハァ。斬られてしまうかと思いました……。 |
ディムロス | すまない、驚かせてしまったな。あなたはずっとここに隠れていたのか ? |
村人 | は……はい。村の皆は避難していったんですが私だけ逃げ遅れてしまって。 |
村人 | そのうちに、魔物がどんどんやってきて家から出るに出られなくなったんです。 |
スタン | それは大変でしたね……。 |
シャルティエ | 村にいた魔物なら僕たちが倒しましたよ。これでとりあえずは安心のはずです。 |
村人 | ありがとうございます…… !やっと私も避難できます。 |
ディムロス | ……いや、それは危険だ。魔物は村の外にもあふれている。もうしばらくここで隠れていた方がいいだろう。 |
村人 | ええっ ! ? そんな……。私も一緒に連れていってくれないんですか ? |
ディムロス | 護衛できればしたいところなのだが、我々はこれからもっと危険な場所に向かわねばならない。一緒に来るのはそれこそ危険だ。 |
ディムロス | 魔物たちが暴れ出した原因を突き止めたら帰り道で必ずまたここへ立ち寄ろう。その時は、安全な場所へ連れて行くと約束する。 |
ハロルド | 悪いけど、それが私たちにできる限界ね。ま、今まで無事だったんだから大丈夫でしょ。 |
村人 | そんなぁ……。 |
スタン | うーん、こればっかりは仕方ないよな……。あ、お腹減ってたら俺の食糧ちょっと分けましょうか ? |
村人 | ……いえ、それは大丈夫です。村の中に残った食糧もありそうですし。 |
スタン | そうですか……。何か他に手助けできることがあったらいいんですけど。 |
村人 | あの……それじゃあ、せめて近くの村まで連れて行ってもらえませんか ? |
アトワイト | 村 ? そこに何か用事でも ? |
村人 | 実は皆さんの前にも、この村を通りがかった人たちがいたんです。彼らは大声で、もし逃げ遅れた者がいたらその村に集まれと呼びかけていました。 |
村人 | そこではみんなで魔物を撃退しているから安全だ。だから、動けるうちにその村へ来いと。 |
シャルティエ | 魔物を撃退…… ! ?失礼ですけど、その村ってただの村ですよね。実は帝国軍の基地があったとかじゃなくて。 |
村人 | ええ、そのはずです。私もとても信じられなくてここに残ることを選んだんですが……。これ以上、一人で魔物に怯えるのは限界です。 |
S・ディムロス | 魔物がこれだけ暴れ回っているというのに軍事訓練も受けていない村人たちが、装備もなくそうそう持ち堪えられるとは思えんな……。 |
スタン | だったら俺たちが助けに行かないと !そうだろ、ディムロス ! |
ディムロス | …………。 |
スタン | あ、いや、今のは人間のディムロスじゃなくて……こっちのうるさい方のディムロスに言ったんだよ。 |
S・ディムロス | うるさい方とはなんだ。 |
ディムロス | ……いや、スタンの言う通りだ。早急に元を断つことも重要だが、やはり逃げ遅れた人々を捨て置くことはできん。 |
アトワイト | ええ、私も同感よ。 |
村人 | 一緒に来てくれるんですね ! ?よかった……。 |
シャルティエ | それじゃ、その村まで案内してもらえますか ?ここから近くにあるんですよね。 |
村人 | はい、喜んで ! |
キャラクター | #N/A |
村人 | こっちです ! 皆さん ! |
シャルティエ | ……思ったより山奥というか、辺鄙な場所ですね。もっと近くにあるのかと……ハァ。 |
ディムロス | 文句を言うな、シャルティエ。仮にも軍人がこの程度でへばってどうする。 |
シャルティエ | 別にへばったわけでは……ブツブツ……。 |
村人 | ……あれ ? 何か向こうが騒がしいですね。 |
魔物 | グルルル……。 |
スタン | ! 村の人が魔物に襲われてる…… !助けに行かなきゃ ! |
ディムロス | ――待つのだ、スタン。 |
シャルティエ | えっ ! 何言ってるんですか ! ?丸腰の民間人が襲われてるのに……。 |
ディムロス | よく見ろ、周りに隠れている仲間がいる。あれは襲われているのではなく、誘い出しているのだ。 |
スタン | 誘い出してる ? それって、どういう―― |
武装した村人たち | 今だ ! みんな出てこい !うおおおっ ! |
魔物 | ギャウッ ! ! |
スタン | すごい…… !本当にみんなで魔物を倒しちゃったぞ。 |
ディムロス | 魔物を各個撃破するために群れから分断し待ち伏せして、複数で囲んで倒す……よく考えられた戦い方だな。 |
アトワイト | 武器を扱う訓練は受けていないようだけど戦術はまるで軍隊みたいだわ。どういうことかしら ? |
武装した村人 | ん ? あんたたちは…… ? |
村人 | おーい ! 麓の村から避難してきたんだ !俺も村に入れてくれ ! |
武装した村人 | おお、歓迎するぞ !そっちの人たちも避難しに来たのかい ? |
ディムロス | いや。我々は魔物たちが暴れている原因の調査と事態の収拾のために来たんだ。 |
武装した村人 | 原因の調査 ? そりゃありがたい !俺たちもこのままじゃ大変だと思ってたんだよ。 |
スタン | でも、さっきは魔物を簡単に倒しちゃいましたよね。俺、びっくりしましたよ ! |
武装した村人 | はは、俺たちは戦いなんか素人さ。あれは『先生』が教えてくれた通りにやっただけだよ。 |
シャルティエ | 『先生』…… ? |
武装した村人 | ああ、少し前から村に滞在してる人でね。戦いなんてしたこともない俺たちに、魔物から生き延びるための策を色々考えてくれたんだ。 |
武装した村人 | この村は、奥まったところにあるだろう。だから避難する暇もなく、魔物に囲まれちまったんだ。あの人がいなけりゃ、村は全滅してただろうな。 |
スタン | へ~、立派な人がいるんですね。 |
ハロルド | この状況で逃げずに残るなんて、やるわね。苦境に立つほど燃えるってやつ ?私にもわかるわ。 |
ハロルド | ろくな武器も技術も持ってない方に肩入れして戦況をひっくり返す快感 ! 天地戦争を思い出すわ~。 |
シャルティエ | 楽しい思い出みたいに語ることですかね……。 |
アトワイト | 確かにハロルドの頭脳がなければ、私たち地上軍が天上軍に対抗するのは難しかったでしょうね。ソーディアンだってあなたの発明だもの。 |
ディムロス | 天地戦争の勝敗を決めたのは、一人の力ではない。あの戦いに加わった者が誰か一人でも欠ければ勝利はつかめなかっただろう。 |
シャルティエ | ……そうですね。僕たちもそうだし、リトラー総司令や地上軍で一緒に戦った大勢の兵士たち。それに……カーレル中将も。 |
ハロルド | …………。 |
スタン | あれ…… ?なんか遠くで音が聞こえないか ?地響きみたいな……。 |
S・ディムロス | ! 全員、襲撃に備えろ !魔物の群れだ ! |
ディムロス | しまった…… ! 警戒を怠っていたか。アトワイト、村人たちを頼む !この規模は彼らには荷が重い。 |
アトワイト | 任せて。皆さん、こっちへ ! |
武装した村人 | は、はい…… ! |
魔物たち | グァァァッ ! ! |
武装した村人 | うわぁっ ! ? |
シャルティエ | 危ない ! 散竜閃っ ! |
スタン | くそっ ! こんなに大量の魔物がいきなり現れるなんて…… ! |
ハロルド | ちょっと場所がよくないわね。木に紛れて、魔物の位置がはっきり見えないわ。 |
アトワイト | でも、早く片付けてしまわないと村が危険よ。なんとしても守り切らないと…… ! |
魔物たち | ガァァァッ ! ! |
ディムロス | くっ……新手か !いかん、このままだと―― |
? ? ? | ディムロス、3時の方向だ !背後に回れ ! |
ディムロス | ! ? な……っ ! |
スタン | あれ ? 誰かの声がしたような……。上からか…… ? |
S・ディムロス | 馬鹿な、今の声は…… ! |
? ? ? | 詳しい話は後だ。今は私の指示に従ってくれ。金髪の君はそのまま真っ直ぐ前へ。アトワイトとシャルティエは左右からの攻撃に備えろ ! |
アトワイト | ――わかったわ ! |
シャルティエ | は、はい…… ! |
ハロルド | 嘘――まさか……。 |
? ? ? | 魔物の群れは大きく三つあるようだ。攻撃をしのぐ間に、私が村人の退路を開いておく。君たちは攻撃に専念してくれ ! |
ディムロス | わかった。行くぞ、皆 ! |
スタン | ああ ! |
ハロルド | ちょっと、どこにいるのよ ?隠れてないで姿を見せなさいってば ! |
ディムロス | ハロルド、危ない ! 右だ ! |
魔物 | ガウウッ ! ! |
ハロルド | あっ…… ! |
? ? ? | うおおおっ ! ! |
魔物 | グァァァッ ! ? |
カーレル | ……大丈夫か ? ハロルド。あんな隙を見せるなんて、お前らしくないじゃないか。 |
ハロルド | …………兄さん。本当に、兄さんなの…… ? |
カーレル | ああ、見ての通りだ。しっかりしろ、ボーッとしている暇はないぞ。 |
ハロルド | ……コホン。わかってるわよ。こんな奴ら、とっとと蹴散らしてやるわ ! |
ハロルド | その後で、きっちり話聞かせてもらうから。……どこへも行くんじゃないわよ、アホ兄貴 ! |
カーレル | ああ、もちろんだ ! |
キャラクター | #N/A |
ディムロス | ……カーレル中将。無事で何よりだ。まさか、こうしてお前とまた会える日が来るとはな。 |
カーレル | ああ。私も会えて嬉しいよ、ディムロス。皆も変わりないようで安心した。 |
アトワイト | それはこちらの台詞よ、カーレル。……本当にあの時のままなのね。 |
スタン | えっと……カーレルさんは、地上軍の軍師でハロルドさんのお兄さんなんですよね ? |
カーレル | ああ、そうだ。君の素性にも驚かされたよ。見覚えのある剣を振るっているとは思ったがまさか未来のソーディアンマスターとは……。 |
カーレル | 異世界ティル・ナ・ノーグに、鏡士による具現化……やれやれ、理解すべきことが無数にあるな。 |
シャルティエ | 村の人たちに魔物と戦う策を指導したのはカーレルだったんですね。そりゃ、上手く戦えるわけですよ。 |
カーレル | ディムロスがいれば、もっと練度を上げられただろうけどね。私は兵を直接指導するのに長けていたわけではないから……。 |
ハロルド | ……で、いつからこの世界にいたわけ ?昨日今日の話じゃないんでしょ。 |
カーレル | しばらく前だよ。まだ帝国と抵抗勢力の間で大規模な戦いが起きていた頃だ。 |
カーレル | 森で倒れていた私は、この村の人たちに助けられてここで療養していたんだ。少しずつ置かれた状況を把握しながらね。 |
カーレル | 噂を通してだが、戦いの様子もいくらか伝え聞いたよ。……その中に、強力な剣を携えた指揮官たちがいるらしいという話も。 |
ディムロス | 私たちのことも知っていたのか ?ならば、何故早く名乗り出なかったんだ。 |
ハロルド | 全くだわ。帝国と戦ってる間、兄貴がいたら押し付けたい雑用が山ほどあったのに。 |
カーレル | ……すまない。風の噂程度の話に飛びつくのは早計かと思ったんだ。それに、私はここでやるべきことがあったしね。 |
スタン | やるべきこと、っていうのは ? |
カーレル | 君たちもすでに知っているかもしれないが……この近くに怪しげな研究所が建っていてね。そこで危険な実験が行われていると噂があった。 |
カーレル | 世話になった村に危険が及ぶのではないかと私なりにずっと調査していたんだよ。どうやら、手遅れになってしまったが……。 |
シャルティエ | 僕たち、まさにその研究所から救援要請を受けて調べにいくところなんですよ。 |
シャルティエ | 詳しく話すと長くなるんですが……その研究所の裏にいたのは、かのミクトランだったんです。本人はもうスタンくんたちが倒しましたけど。 |
カーレル | ミクトランが…… ! ?そうか……この世界にも奴がいたのか。だから―― |
アトワイト | あなたの調査では、研究所について何かわかったの ?これだけ広範囲にわたって魔物を活性化させるなんてただごとではないはずよね。 |
カーレル | ……ああ。全容を把握したわけではないが、一つだけわかったことがある。その事実を知った時点で私はここを離れるわけにはいかなくなったんだ。 |
ディムロス | もったいぶるな、カーレル。一体、何がわかったんだ ? |
ハロルド | 『神の眼』なんでしょ ? あの研究所にあるの。 |
ディムロス | ! なんだと ! ? |
カーレル | そこまで察していたのか。さすがハロルドだな。 |
シャルティエ | えええ…… ! ? ちょっと待ってくださいよ !『神の眼』ってあの『神の眼』ですよね ?本当ですか ! ? |
ハロルド | 簡単な推測よ。この世界に具現化されたミクトランはあらゆる技術を使って力を蓄えようとしてたでしょ。 |
ハロルド | 元の世界で散々使ってた『神の眼』の力をまた手に入れたいと思わなかったはずがない。それだけの知識と技術は十分あったはずだしね。 |
アトワイト | ミクトランは自身の頭脳に加えてハロルドの知識も取り込んでいた……。考えてみれば、当然の帰結とも言えるわね。 |
カーレル | この世界でもミクトランは厄介な相手だったようだな。……だが、『神の眼』をこの世界で作り出す実験はどうやら失敗に終わっていたようだ。 |
ディムロス | だろうな。そうでなければ、先の戦いで必ず使っていたはずだ。 |
スタン | ただでさえ手強い相手だったのに……『神の眼』の力まで使われてたら、俺たちも勝てたかどうかわかりませんね。 |
カーレル | 一度、あの研究所に潜入して見つけた資料によるとあそこにある『神の眼』の複製は、莫大な力を内包しているものの、制御する術が見つからなかったらしい。 |
カーレル | 本物のようにエネルギー源として使用するどころか常に隔離しておかなければ、周囲の生命に悪影響を及ぼす危険があると。 |
ハロルド | ミクトランの手にも余ったってわけね。自分で作っといて、本当に最悪な男よね~。 |
シャルティエ | そして、そんな代物を教団の研究者たちがいじりまわした結果、完全に暴走させちゃったって感じですかね。 |
ディムロス | 救援要請の際に研究者たちは詳細を明かさなかったがそんな危険な研究に手を出していたとはな……。 |
ハロルド | それで、兄貴はそんな危ない研究所についてずっと一人で調べてたわけ ? |
カーレル | 過程はどうあれ、私たちの世界の問題がこの世界に悪影響を及ぼしてしまったんだ。始末をつけるのが自分の責任だと思ってね。 |
アトワイト | そういう理由があるなら、なおさら連絡して欲しかったわ。これが天地戦争の負の遺産だというならあなた一人ではなく、私たち全員の責任よ。 |
カーレル | ……そう言ってくれてありがとう。だが、私も別に一人で全て片付けられるなんて自惚れていたわけではないよ。 |
カーレル | 噂の指揮官がもし本当に君たちなら、遠からずそちらから姿を現すと予想していたからね。その時機を待っていたのさ。 |
シャルティエ | 僕たちの行動もお見通しってわけですか。さすがはカーレルですね。 |
カーレル | 偽の『神の眼』の力がすでに解放されてしまった以上私一人では手の出しようがない。だが、皆の助けがあればどうにかできるはずだ。 |
ディムロス | ああ。共に研究所へ向かい、『神の眼』を破壊するぞ。お前がいれば不可能はないだろう。 |
カーレル | 私を買い被りすぎないでくれよ、ディムロス。準備もあるだろうし、今日のところは村で休んでいってくれ。 |
シャルティエ | そうですね。ここまで結構な長旅でしたからクタクタですよ。 |
ハロルド | ……うーん。 |
シャルティエ | どうしたんです ? 何か気になることでもありましたか。 |
ハロルド | んー、ちょっとだけ引っかかるのよね。教団の研究者たちは、何のためにわざわざ危険な『神の眼』で実験を始めたのかしら。 |
アトワイト | それは、ミクトランと同じじゃないの ?莫大な力を得て、世界を支配する―― |
ハロルド | 教団はミクトランの真の目的を知らなかったはずよ。人を救うためだって信じてたんだから。 |
シャルティエ | まあ、どうせろくでもないことですよ。とにかくさっさと壊してしまえばいいんです。 |
カーレル | はは……それも間違いではないな。ソーディアンマスターがこれだけ揃っていればきっと破壊は成し遂げられるだろう。 |
スタン | 『神の眼』の破壊、か……。元の世界で試したときは上手くいかなかったけど今度は成功させなくちゃな。 |
カーレル | ……スタンくん、だったね。 |
スタン | あ、はい。 |
カーレル | ミクトランを倒してくれて、ありがとう。奴が生きていたら、この世界にどれだけの苦しみをもたらしたことか……。 |
スタン | いえ、そんな ! お礼なんてとんでもないですよ。俺だけじゃなくて、ディムロスやみんなの力で倒せたんですし。 |
カーレル | 謙虚なんだな。ディムロスのソーディアンに認められたということは、君には相応の実力と精神が備わっているに違いないと思うよ。 |
スタン | いやぁ、それほどでも……。 |
S・ディムロス | …………。 |
カーレル | 私たちの時代の問題に、これ以上君を巻き込むのは正直心苦しいのだが……もう一度、力を貸して欲しい。よろしく頼むよ、スタンくん。 |
スタン | そんなこと、気にしないでください。どの世界とかいつの時代とかじゃなくて……今は俺たち、同じ世界に住む仲間じゃないですか。 |
カーレル | …… ! |
スタン | だから一度と言わず、何度でも力を貸します。ミクトランが遺したものを片付けるために一緒に頑張りましょう ! |
カーレル | ディムロスが君を認めた理由がわかった気がするよ。共に戦おう、スタンくん。 |
スタン | はい ! |
キャラクター | #N/A |
カーレル | 皆の準備はどうだい、ディムロス ? |
ディムロス | ああ、問題ない。村の周囲は大丈夫か ? |
カーレル | 皆に交代で魔物の監視をしてもらっているが今のところ、大きな動きはなさそうだ。 |
カーレル | さっきの戦闘でかなり数を減らせたからね。私がいない間もしばらくはもつだろう。 |
ディムロス | 明日はなるべく早く終わらせて戻らねばな。仕方ない状況とはいえ、戦うのは我々軍人の仕事だ。これ以上、民間人を危険に晒すわけにはいかない。 |
カーレル | ……君は本当に変わらないな、ディムロス。相変わらず熱い男だよ。 |
ディムロス | 私は軍人として当たり前のことを言っただけだぞ。お前こそ、この世界の事情を知ったばかりなのにいつもと変わらず冷静だな。 |
カーレル | もちろん困惑はしているよ。でもまあ、慣れる時間は十分あったからね。 |
ディムロス | フッ……しかし、思いがけないことばかりだ。こうしてまたお前と肩を並べて戦える日が来るとはな。想像さえしなかった。 |
カーレル | そうかい ? 私は、ここに来てからというものきっと、どこかに君やアトワイトたちがいて生きてさえいればまた会えると思っていたよ。 |
ディムロス | ……カーレル。お前は、どこまでの記憶がある ? |
カーレル | どういう意味だ ? |
ディムロス | 同じ世界からの具現化でも時期が同じとは限らんのだ。はるか未来から具現化されたスタンのようにな。 |
カーレル | なるほど。君と私で、元の世界での時間が違う可能性があるんだな。私は、天地戦争の真っ最中だったよ。 |
ディムロス | …………。 |
カーレル | ハロルドが開発したソーディアンを手にしてミクトランと決着をつけるため、君たちと共にダイクロフトへの総攻撃をしかけたんだ。 |
カーレル | そしてミクトランのもとへ辿り着き、対決した。その先は、ぼやけているんだが……あと少しであいつを倒せると確信した瞬間は覚えているよ。 |
ディムロス | ……そうか。私たちとは少し開きがあるがさほど遠い時期ではないようだな。 |
カーレル | どうしたんだい、ディムロス。君にしては妙に歯切れが悪いな。 |
ディムロス | 私たちは……お前よりも未来から具現化されたのだ。だから、語れないこともある。 |
カーレル | それは残念だな。天地戦争の結末ぐらいは知りたかったんだが。 |
ディムロス | そのぐらいは想像がつくだろう。私が生きている限り、天上軍の勝利はありえんからな。 |
カーレル | はは、それは間違いないな。ひとまず安心したよ。 |
カーレル | ということは……私の知らない未来では地上軍の敗北以外の何か悪いことが起きたわけだ。 |
ディムロス | …………。 |
カーレル | ――そうか。私は死んだんだな。あの時、ミクトランとの戦いで。 |
カーレル | ハロルドに「兄さん」なんて呼ばれた時におかしいとは思ったんだ。まるで子供の頃みたいに……。 |
カーレル | いつも気丈なあいつが、私の顔を見ただけであんな風に慌てるなんて……よっぽどだもんな。 |
ディムロス | お前は、天地戦争で最も勇敢な英雄だった。……私が言えるのはそれだけだ。 |
カーレル | ありがとう、ディムロス。 |
ディムロス | ……カーレル。お前は知らないだろうが『あの時』のハロルドの顔を、私は一生忘れん。 |
カーレル | …………。 |
ディムロス | あんな顔を、二度と見させるなよ。 |
カーレル | ……ああ。 |
アトワイト | ……本当によかったわ。こうして、あの二人が再会できて。 |
シャルティエ | そうだね。ディムロスとカーレル……親友同士がようやくまた会えたんだから。 |
アトワイト | これで、ソーディアンチームも四人になったわけね。なんだか昔を思い出してしまうわ。 |
シャルティエ | 僕としても、カーレルが加わってくれてものすごく助かったよ。戦力的にも心情的にも……。 |
アトワイト | そうね、温和なカーレルがいると空気が和らぐ気がするもの。 |
シャルティエ | いやぁ、そういうことじゃなくてさ……。僕たち三人だけだと、明らかに僕がお邪魔虫みたいじゃないか。 |
アトワイト | 何を言っているの、シャルティエ。あなたも大事なチームの一員よ。そんな風に思う必要は―― |
シャルティエ | だから、そうじゃないって !恋人同士の二人に挟まれる僕の気持ちにもなってくれってことだよ ! |
アトワイト | えっ…… ! ?あの……ええと、それは……。 |
シャルティエ | 少なくとも、これで二人が自分たちの世界に入っててもカーレルさんが話し相手になってくれるからね。いやー、本当によかったよ。 |
シャルティエ | ……でも、僕の上司が増えたってことでもあるんだよなぁ。そう考えるとちょっと憂鬱かも。ハァ……。 |
スタン | ……なぁ、ディムロス。お前は一緒に話さなくていいのか ? |
S・ディムロス | 我はこのままでいい。余計な気を遣うな。 |
スタン | でも、昼間からほとんど黙ったままじゃないか。カーレルさんはお前の親友だったんだろ ?話したいことだって、たくさんあるはずだ。 |
S・ディムロス | 我の戦友であったカーレル・ベルセリオスは天上王ミクトランと刺し違えて死んだ。我々の物語はそこで終わっている。 |
S・ディムロス | 彼らソーディアンチームと我らソーディアンは記憶こそ重なれど、別の存在なのだ。これ以上、話をややこしくしない方がいい。 |
スタン | 考えすぎだと思うけどなぁ。きっと話せば打ち解けられるって ! |
S・ディムロス | しつこいぞ、スタン。我はあくまでソーディアンである自分に満足している。 |
S・ディムロス | ……それに今、共に戦う相棒はカーレルではなく別にいるのだしな。 |
スタン | ん ? それって……もしかして、俺のこと ?へへ、やっぱディムロスも俺を相棒って認めてくれてるんだな ! |
S・ディムロス | ええい、そんなことでいちいち喜ぶな !全く緊張感のない……。 |
ハロルド | 兄貴もディムロスも、さっきから二人で神妙な顔して何話してるの ? |
カーレル | あ、いや……何でもないんだ。 |
ディムロス | 明日の作戦について、詳細を詰めていたところだ。共に戦うのは久しぶりだからな。 |
ハロルド | あら、私のソーディアンの力が信じられないわけ ?ディムロスたちの四本に、兄貴のベルセリオスまであるっていうのに。 |
カーレル | ベルセリオス、か……。 |
カーレル | ……たとえどれだけ戦力があっても事前の作戦は重要だぞ。自分の技術を過信するのはお前の悪い癖だ。 |
ハロルド | はい、はい。しょうがないでしょ、天才なんだから。 |
ディムロス | はは、こんなやりとりを聞かされるのも久しぶりだな。 |
カーレル | …………。 |
ハロルド | 兄貴 ? 何黙ってるのよ。 |
カーレル | なんでもない。ただ、こんな時間を過ごせるのがどれだけ幸せか実感していただけだ。 |
ハロルド | ……あっそ。変な兄貴。 |
キャラクター | #N/A |
カーレル | …………。 |
ハロルド | 兄貴 ? こんな時間に一人で何してるのよ。明日は早いんでしょ。 |
カーレル | ……ハロルドか。少し、ベルセリオスを眺めていたんだ。明日はこいつの世話になるだろうからな。 |
ハロルド | どうかしら。だって、それ……ほとんど力を引き出せてないんでしょ ? |
カーレル | ! ……気付いていたのか。 |
ハロルド | 当たり前じゃない、私が作った剣だもの。それに、兄貴もごまかすのが下手だし。さっきの戦闘じゃ手加減してるのかと思ったけど。 |
カーレル | そうか、お前にはお見通しだな……。 |
カーレル | 村の人たちの話では、私は倒れていた時からベルセリオスを握っていたらしい。 |
カーレル | だが、以前のような力を感じたことは一度もなかった。それでも、ただの剣として使うには十分だし魔物から村を守る役には立ったんだがな。 |
ハロルド | 私のソーディアンをただの剣として使うなんて侮辱にもほどがあるわよ。 |
ハロルド | ――っていうか、兄貴。ベルセリオスが万全だったら、まさか研究所にも一人で乗り込むつもりだったんじゃないでしょうね ? |
カーレル | まぁ、考えなかったわけじゃないが……。 |
ハロルド | ……ハァ。相変わらず、兄貴は本当にアホね。 |
ハロルド | ほら。ベルセリオス貸して。見てあげるから。 |
カーレル | ああ、頼む。 |
ハロルド | んー……なるほど。 |
カーレル | 触っただけでわかるのか ? |
ハロルド | 簡単なことぐらいはね。……多分、コアクリスタル自体は破損してない。ソーディアンとしての力はちゃんと残ってるわ。 |
カーレル | 私が力を引き出せなくなっているということか ? |
ハロルド | そんな感じ。推測だけど、コアの人格データがエラーを起こしてるんだと思うわ。エンコードの時に何かあったのね。 |
カーレル | エンコードというと……具現化される時にこの世界に合わせて性質が変わることだったか。だが、ディムロスたちは問題ないんだろう ? |
ハロルド | そうね。兄貴だけが特殊な状況ってわけ。だから、つまり―― |
カーレル | ……私が死んだ時のことが原因か。 |
ハロルド | それ……ディムロスがしゃべったの ? |
カーレル | いや。私が察しただけさ。お前が私のことをお見通しなように私もあいつとは付き合いが長いからな。 |
ハロルド | ……それじゃ、隠す必要はないわけね。気分悪いから詳細は省くけど、ミクトランは兄貴の攻撃で死ぬ瞬間、人格をベルセリオスに照射したの。 |
ハロルド | そして、ベルセリオスを乗っ取って生きながらえた。兄貴が具現化されたのは、もしかするとその辺りの時間だったんじゃない ? |
カーレル | はっきりとは記憶がないが……ディムロスたちと共に、ミクトランと必死に戦っていたことまでは覚えている。 |
ハロルド | もし、あの瞬間から具現化されたとしたらエンコードの際に、コアの人格情報が混じっておかしくなった可能性があるわ。 |
カーレル | 私にはさっぱり理屈がわからないが……要するに、このベルセリオスにはミクトランの人格も入っているのか ? |
ハロルド | いいえ、それはないと思う。今のベルセリオスからは何の人格も感じない。壊れた情報のゴミが入ってるだけよ。 |
カーレル | なるほど……そう聞いて、少し安心したよ。力を引き出せないのは残念だが、少なくとも誰かに害を与えることはないんだな。 |
ハロルド | ちょっと、終わった話みたいにしないでくれる ?私はベルセリオスをこんな状態のままにしておく気はないわよ。 |
カーレル | どうにかできるのか ? |
ハロルド | どうにかするの。ベルセリオスは私たちの剣よ。ミクトランなんかの横槍でこんな状態にされて放ってなんておけないわ。 |
カーレル | ハロルド……。 |
ハロルド | それに……今回の事件最悪の場合を想定すると、できる限りの戦力を用意しないと不味いかもしれない。 |
カーレル | 最悪の場合 ? |
ハロルド | それは後で話すわ。まぁ、とにかく私に任せといてよ。 |
ハロルド | コアクリスタルの書き換えはできないけど兄貴が力を引き出せるように調整してみるわ。 |
カーレル | だが、出発は明日の朝だぞ。一晩でそんなこと―― |
カーレル | ……いや。お前が任せろという時はどれだけ無茶でも本当にやり遂げてしまうんだよな。 |
ハロルド | 当たり前でしょ。天才だもん。 |
カーレル | ああ、よく知ってるよ。 |
ディムロス | 皆、準備はいいか ?そろそろ研究所に向けて出発するぞ。 |
アトワイト | あら ? ハロルドがいないわ。 |
カーレル | 少しだけ待ってくれ。すぐに来るはずだ。 |
ハロルド | お待たせ……。あー、やっぱ徹夜なんてするもんじゃないわ。 |
シャルティエ | ハロルドさん !あれ ? それって……。 |
ハロルド | ベルセリオスよ。兄貴のために調整したの。完璧に……ではないけどこれで十分な力が出せるはず。 |
カーレル | ハロルド…… ! さすがだな。 |
ハロルド | ちょっと試してみる ? |
カーレル | いや、そんなことしなくても結果はわかるさ。ありがとう。よくやってくれた。 |
ハロルド | どういたしまして。ふぁ~……。 |
スタン | ふぁ~……大丈夫か、ハロルド ?なんか、俺より眠そうだぞ。 |
S・ディムロス | お前は人より自分の心配をせんか……。 |
ハロルド | そうねぇ。さすがに疲れたから私はここで待ってるわ。村の守りを手伝う人間もいた方がいいでしょ。 |
ディムロス | わかった。技術的な知識が必要な時は魔鏡通信で話を聞かせてくれ。 |
カーレル | じゃあ、村のことは任せたぞ。ハロルド。 |
ハロルド | こっちは心配いらないわよ。兄貴こそ、ちゃんと無事に戻って来るのよね ? |
カーレル | ああ、約束するよ。兄ちゃんはお前を守らなきゃいけないからな。 |
ハロルド | ……何よ、それ。本当に……アホな兄貴。 |
ディムロス | 安心しろ、ハロルド。私や皆もいる。お前が恐れるようなことにはさせん。 |
ハロルド | わかってるわ。……よろしくね。 |
キャラクター | #N/A |
スタン | はぁぁーっ ! ! |
魔物 | グギャァァッ ! |
カーレル | ふぅ……魔物の数は増えてきたがここまでは順調に来ているね。 |
ディムロス | 研究所の座標はもうすぐそこだ。この先は今以上に魔物の数が多くなるかもしれん。気を引き締めていけ。 |
シャルティエ | やれやれ、まだ増えるんですか……。 |
スタン | どれだけ来ようと、俺たちなら平気ですよ !カーレルさんのベルセリオスもすごい力ですね。 |
カーレル | ハロルドのおかげだよ。我が妹ながら、恐ろしくも頼もしい奴だ。 |
アトワイト | ……ちょっと待って。何か様子がおかしいわ。 |
ディムロス | どうした ? アトワイト。 |
アトワイト | さっきから、前方に魔物の気配を感じないのよ。研究所に近づくほど魔物の数も増えると思っていたけど……。 |
シャルティエ | 確かに、音が全然しないね。ここに来るまでずっと騒がしかったのに。 |
カーレル | ……不気味だな。嫌な予感がする。 |
ディムロス | 何が待ち受けていようと、立ち止まることはできん。『神の眼』を放置すれば、この大陸――いや、世界に何が起きるかわからんのだ。 |
スタン | そうだな。注意しながら進もう。 |
カーレル | これは……どういうことだ ?そこら中に魔物の死体が……。 |
アトワイト | どうりで気配がないわけね。 |
シャルティエ | 一体何が……この魔物たちは何に殺されたんです ? |
ディムロス | ! !――もっとタチの悪い者に、だ。 |
? ? ? | ……ほう ?随分な言い方をしてくれるな。 |
スタン | その声は…… ! ! |
バルバトス | タチが悪いのは貴様ら地上軍のクズどもだろうが。目障りな虫けらが、次から次に湧いてきやがる。 |
カーレル | バルバトス・ゲーティア ! ?この男も具現化されていたのか……。 |
バルバトス | 久しぶりだな、カーレル中将 !全く、懐かしい顔ぶれが揃ったものだな。 |
ディムロス | 少し前から、救世軍がお前の姿を見失ったとは聞いていたが……こんなところにいたのか。 |
バルバトス | 救世軍 ? フン……。くだらぬ連中だ。帝国が潰れた途端に腑抜けやがった。 |
バルバトス | 死に場所を求めるなどと息巻いていた兵どもも生き残ってしまえば、平和が一番などと抜かす。所詮は弱者の寄せ集め、俺の駒にもならん。 |
アトワイト | 救世軍はまだ治安維持のために戦いを続けているはずよ。あなたはそれに加わる気はないのね。……治安なんて興味もないでしょうけど。 |
バルバトス | クク……俺のことをよくわかっているな、アトワイト。そうだ、くだらん小競り合いなんぞ好きにさせておけばいい。 |
ディムロス | お前を少しでも知る者ならわかることだ。己しか顧みない男だとな。 |
バルバトス | 当然だろうが。英雄の俺が !敗残兵どもの相手をして、腕を燻らせていられるか ! |
バルバトス | ――俺は俺の戦いをする。俺を貶めた奴らを……全員殺す。 |
カーレル | ディムロス、気を付けろ ! |
バルバトス | 帝国は潰れた。残るはメルクリアと貴様だ !ディムロスゥゥゥッ ! ! |
ディムロス | くっ…… !今はお前などに構っている時間はないというのに ! |
スタン | ディムロス ! 俺も手伝うぞ ! |
バルバトス | スタン・エルロンか。ちょうどいい、鬱陶しい連中をまとめて葬り去ってやるいい機会だ。 |
カーレル | …………。 |
カーレル | (ここでバルバトスと戦えば、こちらも無傷では済まない。ハロルドの言った通りなら『神の眼』を確実に破壊するためには――) |
カーレル | ……待て、ディムロス。一度剣を納めてくれ。 |
ディムロス | 何 ! ? どうした、カーレル ? |
カーレル | 少し、耳を貸して欲しい。 |
ディムロス | …………。 |
バルバトス | どうした、こそこそと俺から逃げる相談か ?戦略家がついてよかったな、ディムロス。対等な勝負では貴様に勝ち目はないからな ! |
ディムロス | ……逃げるだと ? いや、その逆だ。我々は重大な任務のために来ている。皆の体力をここで消耗させるわけにはいかん。 |
ディムロス | だから、ここは私とお前だけで決着をつけよう。一対一の勝負だ。 |
バルバトス | ほう…… ? |
アトワイト | ディムロス ! ?危険だわ、そんな勝負 ! |
ディムロス | 勝算あってのことだ。……私『たち』を信じてくれ、アトワイト。 |
アトワイト | ディムロス……。 |
バルバトス | 女の前で格好つけようというわけか ?ハハハ……実に貴様らしい見栄ではないか ! |
バルバトス | 地上軍でも、そうやって貴様は兵どもやリトラーの人気取りをしていたな ? 実力ならば俺の方がずっと優れていたものを…… ! |
ディムロス | お前の歪んだ目にどう見えていようが私は将としてなすべきことをなすだけだ。過去も、これからも。 |
ディムロス | どうするのだ、バルバトス ?この勝負を受けるか ? それとも、逃げるのか。 |
バルバトス | いいだろう。貴様らが何を企んでいようとまとめて叩き潰してやる。 |
バルバトス | それに、アトワイトの前で貴様をバラバラに引き裂くのは、良い見世物になりそうだ。 |
アトワイト | ……悪趣味ね。 |
バルバトス | クク……愛する男の無様な死体を見ればお前も自分の間違いに気づくだろう。 |
バルバトス | 誰が強く ! 誰が弱いのか !無様に死ぬべき愚か者が誰なのかをなぁぁっ ! |
ディムロス | 来い ! バルバトス ! |
バルバトス | 死ねぇぇぇぇぇッ ! ! |
キャラクター | #N/A |
バルバトス | おらぁぁぁっ ! ! |
ディムロス | はっ ! 屠龍轟閃 ! ! |
バルバトス | ちぃ……っ !だが、こんなぬるい炎で俺を焼けるかぁ ! |
バルバトス | 俺の前に、膝をつきやがれ !ディムロスゥゥ ! ! |
ディムロス | ぐっ…… ! ? |
アトワイト | ディムロスッ ! ! |
ディムロス | おのれ……っ ! |
バルバトス | どうだぁ今の眺めは ?俺を見下してやがった貴様が命を乞う立場というわけだ。 |
バルバトス | ククク……ハッハッハッハァ ! ! |
スタン | くそっ…… ! このままじゃ危ない !止めなきゃダメだ ! |
S・ディムロス | 行くな、スタン。 |
スタン | どうしてだよ ! ? |
S・ディムロス | カーレルが静観しているからだ。……何か理由がある。 |
バルバトス | これでようやく、長年の望みが一つ果たせる。貴様の首をこの手で切り落とすという望みがな。 |
ディムロス | …………。 |
バルバトス | 死ねぇっ ! ! |
カーレル | ――そこまでだ。 |
バルバトス | どけぇっ ! ! |
カーレル | 勝負はついた。お前の勝ちだ。 |
バルバトス | そいつはディムロスの首を落とすまで決まらねえ。邪魔をするなら貴様も殺す ! ! |
カーレル | 決闘の勝敗は尊重するが、ディムロスの命をここで失うわけにはいかない。お前の命もだ、バルバトス。 |
バルバトス | なんだと ? |
カーレル | 私たちはこれから、ミクトランがこの世界に再現した『神の眼』を破壊しに行く。『神の眼』の力はお前も知っているな ? |
バルバトス | 知ったことか。そこをどけ。 |
カーレル | 『神の眼』の破壊にはとてつもない力が必要だ。この場にいる全員の力を結集しなくてはならない。……お前も含めてな。 |
バルバトス | 俺だと ?クククッ、この期に及んでお願いか ?どの口が抜かしやがるっ ! ! |
バルバトス | 俺の戦果も理解できなかったゴミ屑どもがあっ ! ! |
シャルティエ | 戦果というか、屍の山というか……。 |
バルバトス | 屍の山こそ英雄の証 !俺は敵を殺して殺して殺しまくってきた ! |
バルバトス | それを認めぬ貴様らが、今度は頭を下げて俺に力を貸せだと ?バルバトス様、お願いしますってのか ? |
カーレル | ……そうだ。 |
スタン | …… ! |
バルバトス | ハハ……ハハハハハ ! !なんとも、みっともない話だな。 |
カーレル | みっともないことだろうとするさ。それで世界を救えるのなら。 |
カーレル | 今の決闘で、お前の力がディムロスを上回ることが証明された。素行についてはともかくこと武においては、より優れた軍人であると。 |
ディムロス | …………。 |
バルバトス | そんな当然のことに、今更気づいたのか ?間抜けどもが。 |
バルバトス | ――いや、周到な軍師殿のことだ。大方、おだてれば話に乗るとでも思ってるのだろう。それこそ間抜けだ。 |
カーレル | たとえそうだとしても、事実は変わらない。乗るかどうかはお前次第だ。 |
バルバトス | ふざけるな。俺が興味があるのはディムロスとメルクリアの首だけだ。 |
カーレル | ……そうかな ? ならば、これはどうだ。 |
カーレル | 『神の眼』の破壊は名を残すに足る大きな戦功だ。もし、お前がその手で『神の眼』を破壊したなら私とディムロスの権限でお前を大将として迎えよう。 |
シャルティエ | え……ええ ! ? |
バルバトス | フ……フハハハハ !それが貴様が頭を捻って出した条件か ? |
バルバトス | もはや存在もしない軍隊の地位を俺にくれてやるだと ? ハッ、馬鹿馬鹿しい。 |
カーレル | 確かに軍隊は存在しない。だが、我々ソーディアンチームはここにいる。 |
カーレル | 私が提案しているのは、このチームの上に立つ気はあるかということだ。 |
バルバトス | …… ! 貴様らが俺の下につくだと ? |
カーレル | そうだ。その時はリーダーとして全権をお前に委ねる。ソーディアンマスター四人の力をどう使うか……もちろん、ディムロスの命もお前の好きにすればいい。 |
バルバトス | 貴様とそいつは親友だとか聞いたがな。その命を俺に捧げると ? |
カーレル | もし、お前が『神の眼』の破壊を成し遂げたらだ。『神の眼』をこの世から消し去ることはそれだけの価値がある。 |
バルバトス | フン、貴様らだけではやり遂げる自信がないか。だが、そんなまどろっこしいことをせずとも今すぐ貴様ら全員を殺すという選択肢もあるぞ ? |
カーレル | それが望みならば、そうするがいい。だが、いかにお前の力でもソーディアンマスター五人相手に生きては帰れまい ? |
バルバトス | 気に食わんな。『神の眼』とやらは壊せんが俺なら殺せるとでも ? |
カーレル | そういうことだよ、バルバトス・ゲーティア。 |
バルバトス | いいだろう。茶番に乗ってやる。 |
シャルティエ | えっ ! ? ……本当に ? |
バルバトス | ディムロスの敗北と軍師カーレルの無様な懇願を見られて、今の俺は気分がいい。 |
バルバトス | ディムロスの命はしばし預けてやる。貴様らは上に立つ英雄の背中を眺めているがいい ! |
シャルティエ | ……一人で行っちゃいましたね。 |
アトワイト | まさか、本当にバルバトスと協力することになるとは思わなかったわ……。 |
カーレル | 私も流石にヒヤヒヤしたがね。どうにか、今は戦わずに済ませられたな。 |
シャルティエ | ディムロスは途中からずっと黙ってましたよね ?僕は空気読んで、驚く役をやってたのに。 |
カーレル | いや、私がそう指示したんだ。演技の上手な男ではないからね。 |
ディムロス | ……それは悪かったな。 |
スタン | え ? あの、今のバルバトスとの話って……。 |
カーレル | 咄嗟のことで、君に説明できなくてすまない。だが昨夜、ハロルドと少し情報交換をして気に掛かる話を聞いていたのでね。 |
カーレル | あいつの存在が吉と出るかはまだわからないが……最悪の事態を想定して、最善の手を選んだつもりだ。 |
スタン | ……そうですか。わかりました、カーレルさんがそう言うなら。 |
カーレル | ありがとう。では、我々もバルバトスを追おう。 |
ディムロス | ある程度はあいつが蹴散らしていったようだがまだ無数の魔物が研究所を囲んでいるはずだ。気を引き締めて行くぞ ! |
キャラクター | #N/A |
バルバトス | おらおらおらぁぁっ !道をあけやがれ、クズ共がっ ! |
ディムロス | 燃えよ…… ! ファイアウォール ! |
バルバトス | ちぃぃっ ! ディムロスッ !俺の背後で術なぞ使いやがって…… ! |
ディムロス | 勝手に一人で先行したのはお前だ !はぁぁっ ! |
魔物 | グァァッ ! ! |
バルバトス | クク……いいだろう、貴様の炎も利用して俺が何もかも殺し尽くしてやる ! ! |
スタン | ディムロスとバルバトス、すごい勢いだな……。並んで戦ってても、敵同士みたいな緊張感がこっちまで伝わってくる。 |
カーレル | 二人とも、地上軍にいた頃から抜きん出た強さだったがこの世界でさらに強くなったようだな。 |
シャルティエ | ……なんだか、あの二人が一緒に戦ってると変な感じがしますね。 |
アトワイト | そうね。見ていて不安になるわ。いつバルバトスの刃がディムロスに向くか……。 |
カーレル | 大丈夫。たとえそうなっても、ディムロスがあいつの前で隙を見せることはないさ。 |
シャルティエ | もしもの話ですけど……歴史の歯車が少しでも違っていたら、あの二人が天地戦争で肩を並べる英雄になってたりしたんですかね ? |
アトワイト | それは……ありえないと思うわ。あの二人が、あの二人である限り。 |
カーレル | ディムロス ! やっと追いついたぞ。研究所内の様子はどうだ ? |
ディムロス | ……説明するより、見た方が早いだろう。 |
アトワイト | ! ひどい……死体だらけだわ。 |
シャルティエ | これ、バルバトスがやったわけじゃないですよね ?姿が見えませんけど。 |
ディムロス | あいつなら一人で奥へ進んでいった。死体はおそらく……何日か前のものだろう。我々が入った時にはこの状態だった。 |
スタン | それじゃ、救援要請を送ってから遠くないうちにみんな亡くなってたってことだよな。出発した時にはもう手遅れだったのか……。 |
カーレル | 魔物がここまで侵入してきたのだろうか ?扉が破られた様子はなかったが。 |
アトワイト | いいえ。この傷……魔物によるものじゃないわ。見覚えがあるもの……。 |
ディムロス | どうした、アトワイト ? 顔色が悪いぞ。 |
カーレル | 傷に見覚えがあると言ったな。どこで見たのか、わかるか ? |
アトワイト | ええ。忘れもしないわ。この圧倒的な力による衝撃と深い裂傷。…………あなたがかつて受けたものと同じよ。 |
カーレル | 私が…… ? ――まさか ! ! |
バルバトス | ぬおおおおおおっ ! ? |
シャルティエ | 今の声は…… ! ?バルバトスが戦ってるんでしょうか ? |
ディムロス | 奴は地下へ進んだはずだ。我々も行くぞ ! |
バルバトス | なぜ貴様がここにいる…… ! ? |
バルバトス | ……だが、英雄の門出にはちょうどいい。今一度この手で殺してやろう ! ! |
シャルティエ | えっ…… ! ? あれって―― |
? ? ? | …………。 |
スタン | ミクトラン ! ? そんな、どうして…… ! |
ディムロス | ……奥にある球体が、偽の『神の眼』か。これも『神の眼』の力だというのか ! ? |
? ? ? | ……私は……ミクトラン……天上の……王。……永遠の……永遠に……君臨……。 |
バルバトス | ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇぇぇっ ! ! |
? ? ? | ……邪魔は……させん……。私の……力……私が……。 |
アトワイト | どうなっているの ?姿も力もミクトランそのものだけど……まるで意志や心がないみたいだわ。 |
カーレル | ……やはり、最悪の想定が当たってしまったか。 |
ディムロス | カーレル、心当たりがあるなら何が起きているか説明しろ ! |
カーレル | 昨夜、ハロルドからいくつか推論を聞いていたんだ。研究者たちがなぜ危険を冒してまでこの『神の眼』に再び手をつけようと考えたのか。 |
カーレル | あいつはこう言った……かつてミクトランはベルセリオスに人格を照射することで生き延びた。この世界でも似たことを試みたのではないか、と。 |
シャルティエ | それじゃあ……まさか、ミクトランは『神の眼』に自分の人格をコピーしてたんですか ! ? |
カーレル | この様子だと、人格だけでなく肉体や力まで転写することに成功していたようだな。研究者たちの目的は、ミクトランの復活だったんだ。 |
スタン | なんて奴だ…… !そこまでして、生き延びようとしてたなんて……。 |
S・ディムロス | 『神の眼』を使って、死後の復活を企むか。奴らしい不遜な考えだ。だが……どうやら万全ではなかったのだな。 |
カーレル | ああ、ミクトランは実験を中止している。その理由は見ての通りだ。 |
アトワイト | 不完全な、壊れた人格しか残せなかった……。 |
スタン | じゃあ、教団の人たちはそれを知らずにミクトランを復活させようとしたのか……。 |
偽ミクトラン | ……私は……誰……私は……ミクトラン。この力……で……上る……天へ、と…… ! |
バルバトス | ぐぬぅ……っ ! ? |
シャルティエ | ミクトランへの盲信の結果がこの惨状だと思うとなんというか……皮肉だね。 |
ディムロス | こいつの力は『神の眼』から流れ込んでいるようだ。あるいはミクトラン本人より手強いかもしれんぞ。 |
バルバトス | 知ったことか !俺の前に立ちはだかる奴は殺すっ ! ! |
偽ミクトラン | ……下郎……ども……。 |
スタン | うぉぉぉぉぉっ ! !魔王炎撃波っ ! |
ディムロス | 緋炎・覇道滅封 ! ! |
偽ミクトラン | ………… ! ! |
バルバトス | 俺の邪魔をするんじゃねえ !皆殺しだ ! ジェノサイドブレイバァァーッ ! |
スタン | うわっ ! ? 危ないな…… ! |
カーレル | ミクトランに攻撃の隙を与えるな !……貫け ! シャインエッジ ! |
偽ミクトラン | ぐ……。 |
シャルティエ | 効いてる ! 効いてますよ ! |
カーレル | よし、このまま押し切るぞ !我々の手で、天地戦争の負の遺産を完全に消し去ってみせる…… ! ! |
キャラクター | #N/A |
バルバトス | ちぃぃぃっ…… ! !紛い物の分際で ! ! |
ディムロス | くっ…… !『神の眼』の力には、底がないのか…… ? |
偽ミクトラン | ……ぐ……うぉぉぉぉぉっ ! ! |
アトワイト | 危ない…… ! 立って、ディムロス !リメディハートレス ! ! |
シャルティエ | 僕だって、負けていられない…… !破刃千裂衝 ! ! |
偽ミクトラン | ………… ! |
スタン | ……ミクトランが、止まった !今のうちに……ぐっ。 |
S・ディムロス | 無茶をするな、スタン !お前も満身創痍なのだぞ ! |
カーレル | 私が終わらせる…… ! ! |
ディムロス | ! カーレル ! |
カーレル | 一閃 ! 二刻 ! !カオス……スライサー ! ! |
偽ミクトラン | ヘル……スライサー ! ! |
スタン | うわっ!? 二人からものすごい力が……! |
アトワイト | ベルセリオスの力が干渉し合っているんだわ。私たちも吹き飛ばされそう…… ! |
シャルティエ | 研究所ごと揺れてるよ !これって危ないんじゃない ! ? |
カーレル | うおおおおおっ ! ! |
偽ミクトラン | ……ぐっ……うぅぅぅっ ! ! |
ディムロス | カーレル ! 離れろっ ! |
カーレル | うっ…… !ハァ、ハァ……。 |
スタン | 二人が離れた ! 今だ、行くぞっ !うおおおおおっ ! ! |
ディムロス | 無事か、カーレル ? |
カーレル | ディムロス、なぜ止めたんだ !あと少しであいつを倒せたというのに…… ! |
ディムロス | 馬鹿者が ! 冷静になれ ! |
カーレル | …… ! |
ディムロス | 忘れるな。我々の任務は『神の眼』を破壊し全員で生きて帰ることだ。 |
ディムロス | ……ここでお前を死なせたら、私はハロルドに申し訳が立たん。お前にどれだけ恨まれようと絶対に勝手はさせんぞ。 |
カーレル | ……わかった。すまない。 |
ディムロス | 何でも背負い込もうとするな、カーレル。この場にいる英雄は一人ではないのだからな。 |
アトワイト | カーレルのおかげで大分弱ってきたわね。畳み掛けましょう ! ……ブリザード ! ! |
シャルティエ | アースゲイザー ! !……よし、足下を崩せた ! 頼むよ、スタンくん ! |
スタン | ――はい !いけええっ ! ! 灼光鳳天牙 ! ! |
偽ミクトラン | ぐっ……ううう…… !私は……死ぬ……死なぬ……死―― |
バルバトス | ――背中がガラ空きだぞ !天上王ぅぅぅぅっ ! |
偽ミクトラン | ぐは……っ ! ? |
スタン | バルバトス ! ? いつの間に背後に―― |
バルバトス | お膳立てご苦労だったな虫けらども。これが、真の、英雄の一撃よっ ! ! ! ! |
偽ミクトラン | ごふ……っ !うお……あ……。 |
バルバトス | ふん、あっけねぇ。所詮は紛い物か。 |
カーレル | ……皆、よくやってくれた。バルバトス、お前もな。 |
バルバトス | 貴様の労いなどいらん。あとはこの玉を砕けば終わりだ。 |
カーレル | ああ。それで取引は完了だ。 |
バルバトス | クックック……貴様らはそこで見ていろ。――ふんっ ! ! |
バルバトス | ……何 ?傷ひとつ付かんだと ? |
バルバトス | おらおらおらぁっ ! ! |
ディムロス | ……無駄だ、バルバトス。『神の眼』はただの力では破壊できん。お前が知らなくても無理はないがな。 |
バルバトス | …… ! |
スタン | やっぱり……カーレルさんは知ってたんですね。俺たちが元の世界で破壊しようとした時も『神の眼』はびくともしませんでした。 |
カーレル | 『神の眼』を破壊するには、複数のソーディアンを揃えその力を送り込まなければいけない。……そうだったな、ハロルド ? |
ハロルド | そーいうこと。ま、この偽物がどれだけ丈夫に出来てるかはミクトランの技術次第って賭けだったけど。 |
アトワイト | 賭けに勝ったのは私たち、というわけね。 |
カーレル | ああ。バルバトス。ソーディアンチームもディムロスの命もお前にはやれない。 |
バルバトス | フ……ククク。クハハハハハ ! ! |
シャルティエ | わ、笑ってる…… ?てっきり怒り狂うかと思いましたけど。 |
バルバトス | 怒る ? くっくっ……俺は喜んでいるぞ。 |
バルバトス | 清廉潔白な顔でお高くとまった将軍どもが騙してまで俺の力を欲したわけだ。 |
カーレル | ……そうだな。騙したと言われても仕方ない。 |
カーレル | 天地戦争に関わっていても、『神の眼』についてよく知る者は多くないからな。科学者か、あるいはソーディアンの関係者か。 |
バルバトス | ……あの決闘もわざと負けたのか、ディムロス ? |
ディムロス | お前相手に、手を抜けるほど自惚れてはいない。あのまま続けていれば、結果がどうなったかはわからんがな。 |
バルバトス | フ……貴様に勝ち目があったとでも ? |
ディムロス | ここで決着をつけるか ? |
バルバトス | ……いや。今は退いてやろう。ククク……いいぞ、この沸き立つ感覚。まるで甦ったようだ……。 |
バルバトス | 徹底的な侮辱、屈辱、恥辱ッ ! ! ! !かつてないほどの憎しみが滾ってくるわ ! ! ! ! |
バルバトス | 貴様らはたっぷりと時間をかけて斬り刻んでやる。 |
カーレル | お前に恨まれるのは最初から覚悟の上だ。だが、一つだけ言っておく。 |
カーレル | こうしてミクトランの分身を倒し、『神の眼』に辿り着けたのは、間違いなくお前の力があったからだ。その戦功は忘れない。バルバトス・ゲーティア。 |
バルバトス | ぬかせ ! !どいつの首から転がるか、楽しみにしておくんだな。フフフ……フハハハハハハ ! ! |
スタン | ふぅ……一時はどうなるかと思ったけどなんとか、偽物の『神の眼』を破壊できたな。 |
ハロルド | 私が計算したんだから、当たり前じゃない。被害も最小限で済んだし。前に一度、壊すところを見てたおかげね。 |
アトワイト | 最小限って……研究所は完全に崩れてしまったわよ。それに、「前に一度見た」ってどういうこと ? |
ハロルド | 細かいことは気にしない。全員、無事でしょ ? 頑丈さ以外は粗悪なコピーだったから、破壊の影響はこんなものね。 |
S・ディムロス | ……我はしばらく瓦礫に埋もれることになったがな。 |
ハロルド | マシな方、マシな方。それにしても、私の計算よりあっさり済んだわ。案外バルバトスの攻撃が効いてたのかもね。 |
カーレル | ……あり得なくはないな。あの時は、まさか砕かないかとヒヤヒヤしたよ。約束は約束だからね。 |
シャルティエ | しかし……バルバトスとは、結局こうなるんですね。あの感じだと、僕も標的になってそうだなぁ……嫌だなぁ……。 |
スタン | 大丈夫ですって !ソーディアンチームの皆さんなら、何度襲われてもバルバトスなんかに負けませんよ。 |
シャルティエ | スタンくん、襲われる前提のことを軽く言わないでくれるかな……。 |
ディムロス | …………。 |
アトワイト | どうしたの、ディムロス ? |
ディムロス | ……結果的にだが、バルバトスの存在はこの大陸と世界を守る助けになったのだな。 |
ディムロス | 救世軍での働きも、害だけではなかったと聞く。もしかすると、いつか……あの男が変わる可能性も万に一つくらいはあるのだろうか。 |
アトワイト | どうかしらね……今は全くそう思えないけれど未来のことは、誰にもわからないわ。 |
ディムロス | いや、過去の選択について考えていたのだ。私たちが辿ってきた歴史の中で、私はあの男の未来をこの手で断ち切った。 |
ディムロス | もし、バルバトスがあのまま生きていたらどうなっていたのだろうか……とな。 |
アトワイト | ディムロス。あの時のあなたは最善のことをしたわ。将としても、人としても。 |
ディムロス | ……ありがとう、アトワイト。 |
ハロルド | ねえねえ、ところで兄貴 ?壊した偽の『神の眼』の破片、そのへんにある ? |
カーレル | ああ、研究所の瓦礫と一緒に散らばっているよ。それがどうした ? |
ハロルド | 調べたいから、拾ってきてくれる ?全部。 |
スタン | 全部 ! ? |
ハロルド | 残しといたら、誰かに悪用されるかもしれないでしょ。欠片一つ見逃さないでね ! |
シャルティエ | ええ~……こんなものを持ち運べるような袋なんて持ってきてませんよ。重さだって結構ありますし……。 |
カーレル | そうだぞ。戦いの直後に無茶を言うな、ハロルド。 |
ハロルド | 何言ってるのよ~、兄貴。私の無茶には慣れっこでしょ ?色々工夫して、どうにかして ! |
カーレル | フッ……わかったよ。それじゃ、どうにかするしかないな。 |
ディムロス | やれやれ、もう一仕事することになってしまったか。 |
アトワイト | でも、なんだか懐かしいわね。無茶を言うハロルドと、振り回されるカーレル。 |
シャルティエ | だね。僕たちも巻き込むのは勘弁してほしいけど……。 |
ハロルド | こら ! そこ、口を動かす暇があったら手を動かしなさい。 |
カーレル | それじゃ、今度は『神の眼』の破片回収作戦だな。指揮は私が執ろう。さぁ、任務開始だ―― |