キャラクター | 1話【フェイズ1 混濁する記憶】 |
? ? ? | ……クス……大丈夫…… ? |
イクス | (ミリーナ…… ?) |
イクス | (……いや……違う……。この声は…………) |
? ? ? | イクス ! 起きなさい ! |
イクス | ――痛っ ! ? |
? ? ? | イクス、動ける ? |
イクス | あ……えっと、きみは……。 |
レイア | カサネ ! そっちに行ったよ ! |
イクス | な、なんだ、こいつは…… ! ? |
カサネ | 危ない ! |
イクス | あ、ありがとう。かばってくれて―― |
カサネ | そんなことより、戦えないなら下がっていて。邪魔よ。 |
イクス | え ! ? |
ヴェイグ | イクス ! 怪我をしたのなら逃げろ !こいつらは脳を食べる。危険な相手だ ! |
イクス | (な、何が起きたんだ。状況がわからないけど……) |
ヴェイグ | ぐっ…… ! |
イクス | ヴェイグ ! 今助ける ! |
イクス | 裂燕迅 ! |
イクス | 攻撃が通じない ! ? |
カサネ | イクス ! 追撃がくるわ ! |
イクス | ! ? |
メルクリア | ええい ! 何を焦っているのじゃ !そも、焦るなと言うたのはおぬしじゃぞ ! ? |
イクス | え ! ? メルクリア ! ? 一体どこから―― |
イクス | うわあ ! ? |
イクス | え ! ? 一瞬で敵から離れた…… ! ? |
メルクリア | わらわはヴェイグとレイアを拾ってくる故そこの腑抜けのことは任せたぞ。 |
カサネ | 了解よ。 |
イクス | え ! ? もういない ! ? |
カサネ | 『超高速』よ。イクス、あなたも……記憶を失ってしまったの ? |
カサネ | ……いえ、違うわね。 |
カサネ | メルクリアたちのことは覚えていたのだから記憶が混濁しているのかしら。 |
イクス | 記憶……。そうだな。 |
イクス | ――ごめん。カサネ、だっけ ?どうも俺は、きみやあの見慣れない不気味な魔物のことを覚えていないみたいなんだ。 |
イクス | 一度覚えたことを忘れちゃうなんてあんまり体験したことがなくて……。 |
カサネ | そう……。なら、最近の記憶だけが欠落しているのね。一時的なショックによるものならいいんだけれど……。 |
カサネ | イクス。私の顔を見て。そしてゆっくり深呼吸しながら記憶を探ってみてくれるかしら。 |
イクス | わ、わかった。やってみる。 |
イクス | (そうだ……。落ち着け。記憶の欠片を追いかけすぎるな) |
イクス | (俺はメルクリアに『焦るな』と言ったらしい。だったら俺はあの不気味な魔物に会ったことがある。脳を食べる魔物……。カサネ……) |
イクス | (な……なんだ…… ?何かが俺の外側から流れ込んでくるような……) |
イクス | ……超脳力……怪異…………。 |
イクス | ――そうか、アークだ ! |
キャラクター | 2話【フェイズ2 祭りの始まり】 |
イクス | ――あれは……そう、半日ぐらい前のことだ。 |
レイア | ――あれ ? ここってアーク、だよね ? |
イクス | 本当だ……。ええっと、これはまたいつものお祭りのために呼び出された感じですかワイズマンさん。 |
ワイズマン | はい。いつものアレのためにご足労頂きました。まあ、ご足労というか、私が勝手に連れてきているわけですが……。 |
ヴェイグ | まったく悪びれる様子もないな。 |
メルクリア | 噂通り、本当になんの前触れもなく呼び出されるのじゃな ! ? |
メルクリア | わらわは兄上様のためにお茶を淹れて差し上げる所じゃったというのに ! |
ワイズマン | 申し訳ありません。祭りはこのアークに住む者にとって唯一の娯楽であり癒やしですのでどうしても欠かすわけにはいかないのです。 |
レイア | またトラブルが起きなければいいんだけど……。 |
イクス | レイア、それはフラグになるよ。 |
ヴェイグ | 以前オレが呼ばれたときは何事もなかったが……セルシウスやルークたちの話を聞くとトラブルが起こると考えておいた方がよさそうだな。 |
ワイズマン | いえいえ。今回こそは、安全かつ充実した祭りを取り仕切りますのでご安心下さい。 |
四人 | ………………。 |
ワイズマン | ――さて、今回の祭りですが、アークの中にとある異世界の街を再現致しました。 |
ワイズマン | その世界には『怪異』と呼ばれる特殊な魔物たちが棲み着いています。 |
ワイズマン | その『怪異』を討伐する様子をアークの住民に中継して楽しんでもらおうという趣向です。 |
レイア | 魔物退治かあ。アイドルをやったりするよりは普通だね。魔物と戦うのが普通って言うのもアレだけど……。 |
ヴェイグ | ああ。急に慣れないことをやらされるよりはマシだ。 |
ワイズマン | それが……実は怪異には皆さんの攻撃は通用しないのです。 |
メルクリア | なんじゃと ?魔鏡術もフォルスも精霊術も効かないのか ? |
イクス | それじゃあ、どうやって戦うんですか ? |
ワイズマン | 『超脳力』と呼ばれる異世界の力になります。詳しいことは今回のゲストであるカサネ・ランドールさんにご説明頂きましょう。 |
ワイズマン | カサネさん、よろしくお願いします。 |
カサネ | 私が説明する意味がわからないんだけれど。 |
ワイズマン | 実際に超脳力を使うカサネさんに説明頂く方が間違いがないかと思いまして。 |
カサネ | ……わかったわ。 |
カサネ | カサネ・ランドールよ。早速だけど、超脳力について説明するわ。 |
イクス | は、はい。よろしくお願いします。 |
カサネ | 私たちの世界ではほとんどの人が『脳力』という念じることで脳から発生する特殊な力を持っているの。その中でも特に強い力を『超脳力』と呼んでいるわ。 |
イクス | 特殊な力っていうのは、具体的にはどんな力なんだ ? |
カサネ | そうね。例えば、念じることで炎や電撃を発生させたり自分の体を透明にしたり。 |
ヴェイグ | 炎や電撃……。フォルスに似ているな。 |
カサネ | 他にも、念じただけで物を動かしたり瞬間移動をしたり、色々よ。 |
カサネ | どんな力があるのかは個人で違うけれど共通しているのは、一人につき一つの超脳力しか持っていないし、持てないということ。 |
レイア | 一人一芸ってことだね。 |
カサネ | そうよ。この『超脳力』を使って怪異と戦うのが怪異討伐軍――『怪伐軍』という組織。 |
カサネ | 私たちの世界では怪異によって人間の生活圏が脅かされていて怪異から人々を守るのは大事な役割なの。 |
カサネ | 怪異は『超脳力』でしか倒せないから。 |
ワイズマン | つまり、皆さんには怪伐軍の一員となって怪異討伐をして頂きたいのです。 |
イクス | でも、俺たちには超脳力なんてないけど……。 |
ワイズマン | その点はご安心下さい。こちらで超脳力が使えるようになる衣装を用意致しました。 |
ワイズマン | 異世界の怪伐軍の方から、皆さんとアニマが近い方の超脳力をコピーして、衣装に重ね合わせています。 |
ワイズマン | ソーディアンの皆さんのように、人格を投影……とまでは言いませんが、技術の一部をインスパイアさせて頂きました。 |
イクス | つまり、その衣装を着れば俺たちも超脳力が使えるようになるってことですね。 |
レイア | ちょっと面白そう ! とりあえず着替えてみようよ。 |
ヴェイグ | ……断ることはできないようだな。仕方ない。 |
メルクリア | なんと……面妖な服じゃな。しかし、このうさぎの耳のような飾りは気に入ったぞ。 |
レイア | 私も !結構可愛いし、なんだか勇ましい気分になるよね。 |
ヴェイグ | アニマが近い……というのは、魂……のようなものが近いという意味だっただろうか。そんな感じはしないんだが……。 |
イクス | そうかな。俺は割としっくりきてるけど……。 |
イクス | あと、全体的に黒くて格好いいよな !ミリーナがいれば記念写真を撮ってもらえたのに……。 |
カサネ | 準備はできたみたいね。それじゃあ、さっさと怪異を倒して終わりにしましょう。 |
レイア | ええ ! ? 練習とかしなくて平気かな ? |
ヴェイグ | ……上手く力が出せない。このまま戦うのは難しいかも知れないな。 |
メルクリア | なんじゃ、だらしのない。アニマが似ている者の力なのだから、こう―― |
メルクリア | おおおおおおおお ! ?か、勝手に走り出して止まらぬ―――― ! ? |
イクス | メルクリア、危ない ! |
カサネ | ――っ ! |
メルクリア | いたたたたた ! ? |
メルクリア | と……止まった……。そなた、体を張って止めてくれたのか……。すまぬ……。 |
カサネ | アラシの戦闘服を着ている割には素直なのね。 |
メルクリア | アラシ……。この服はアラシという名前の者が着ているのじゃな ? |
カサネ | ええ。 |
カサネ | 前言撤回するわ。確かにこのままだと危険ね。少し訓練をしましょう。いいわね、ワイズマン。 |
ワイズマン | もちろんです。よろしくお願いします、カサネさん。 |
キャラクター | 3話【フェイズ3 超脳力訓練】 |
イクス | ここが、異世界の街キクチバ…… ?何だか凄いところだな。空にも建物みたいなものが浮かんでるぞ。 |
メルクリア | あれは建物、なのか ? 異世界の建物というのは随分大きくて細長いのじゃな ! ?それに逆さまに浮かんでおるが……。 |
カサネ | ああ、あれは投影装置が故障しているせいであんな風に見えているだけよ。故障まで忠実に再現してあるなんて……何だか妙な気分だわ。 |
レイア | カサネって、急に異世界に連れてこられたのに落ち着いてるよね。わたしと歳はあんまり違わないみたいなのに。 |
カサネ | そうかしら。確かに不可解な状況に放り出されるのには慣れているけれど……。 |
イクス | ああ。まだ知り合ったばかりだけど頼りになる人なんだなっていうのがわかるよ。 |
カサネ | ……不思議ね。イクスとレイアは、私の世界でその服を着ていた人に何となく似ているところがあるような気がするわ。 |
カサネ | アニマが近い――だったかしら。意味がよくわからなかったけれど確かに印象は似ているわね。 |
レイア | なんて人なの ? |
カサネ | レイアの服はハナビ、イクスの方はユイトよ。 |
イクス | ユイトさん、か。俺みたいに心配性な人なのかな ? |
カサネ | 心配性ではないわね。でも趣味はいいわ。それに真面目ね。信頼できる人間よ。 |
レイア | ハナビさんは ? |
カサネ | 明るくて前向きで元気、という感じかしら。ハナビの超脳力は発火。ユイトは……念力ね。 |
イクス | 念力 ? 念じる力 ?祈りの力って意味じゃないよな ? |
カサネ | 簡単に言うと手を使わずに物を動かしたりできる力、かしら。 |
メルクリア | わらわが使うことになるアラシとかいう者の超脳力はなんなのじゃ ? |
カサネ | 超高速。素早く動ける力よ。 |
メルクリア | そ、それで先程は突然走り出して止まらなくなってしまったのか……。 |
ヴェイグ | オレの力はどんなものなんだ ? |
カサネ | あなたの服の持ち主は……少し特殊なの。カレンという人でブレインイーターと呼ばれていたわ。 |
イクス | ええ ! ? 脳を食べる力ってことか ! ? |
ヴェイグ | なにっ…… ! ? |
カサネ | 違うわ。カレンは他人の超脳力をコピーして自分のものとして使える超脳力者だったの。 |
カサネ | カレンの力がそのまま使えるのだとしたらヴェイグは主要な超脳力を全て使えるはずよ。 |
レイア | 一人一芸じゃなくて ? |
カサネ | そうね。超脳力をコピーして自分のものにするという『一芸』だから。 |
ヴェイグ | 主要な超脳力と言われてもオレには超脳力の種類もよくわからないからな……。 |
レイア | 氷を出すような超脳力はないの ? |
カサネ | あるわ。冷却脳力よ。 |
レイア | それならヴェイグの氷のフォルスに似てるから使いやすいんじゃない ? |
ヴェイグ | ああ、そうかもしれない。 |
カサネ | それじゃあ、超脳力を使う練習を始めましょう。まず力をイメージするのよ。 |
レイア | わ、出た出た !念じると炎がどんどんあふれてくるよ ! |
レイア | これってすごい便利だよね。料理の時の火起こしにも使えるし。精霊術よりお手軽かも ! |
イクス | 念力も凄いよ。イメージしただけでいろんな物を動かせるんだ ! |
イクス | 座って本を読みながら別の本を持って来ることもできそうだな。 |
カサネ | イクスとレイアは順調みたいね。メルクリアとヴェイグは……。 |
メルクリア | おおおおお ! ?また勝手に動き出し――ぎゃっ ! ? |
イクス | 危ない ! そっちは壁だ ! 今、念力で止める―― |
イクス | ――え ! ? 止められないぞ ! ? |
カサネ | ……ッ ! |
メルクリア | いたたた……。またおぬしが体を張って止めてくれたのか。すまぬ、カサネ。 |
イクス | ごめん、メルクリア。俺がちゃんと念力を使えていれば……。 |
カサネ | いいえ。それは元々できないのよ。 |
カサネ | イクスの念力は私と同じ性質なのだけれどこの力は生き物を動かすことはできないからその点は気を付けて。 |
イクス | そうか……。だからメルクリアを止められなかったのか。 |
メルクリア | しかし、おかしいのう……。わらわとアラシとやらはアニマが近いのであろう ?もっと簡単に使いこなせると思うたのじゃが……。 |
カサネ | アニマというのがなんなのかはわからないけれどアラシとメルクリアはあまり似ていないと思うわ。 |
メルクリア | なんと ! ? そうなのか ? |
カサネ | ええ。アラシは効率優先でオンとオフがはっきりしているの。 |
カサネ | メルクリアは行動も発言も無駄が多い。感情的だし、アラシとは正反対のように見えるわ。 |
メルクリア | な、な、なんじゃと ! ?わらわが感情的だと言うのか ! ? |
カサネ | ええ。今、まさに感情的よね。 |
メルクリア | ええい、加減を知らぬ物言いをしおって !わらわは疲れた ! 少し休ませてもらうぞ ! |
カサネ | どうして怒っているの ?……もしかして、また言い過ぎたのかしら。 |
イクス | も、もしかしなくてもそうかな……。 |
レイア | メルクリアはまだ子供なんだしもう少し優しくしてあげた方がいいと思うけど……。 |
カサネ | …… ?まさかメルクリアは見た目通りの年齢だということ ? |
イクス | ふ、普通はそうなんじゃ……。あ、いや、確かに年齢と見た目が一致しない人も多いけど……。 |
カサネ | ………………。 |
カサネ | ――ヴェイグ。あなたはどう ? 超脳力は使えているようだけれど何だか顔色が良くないわ。 |
ヴェイグ | 確かに周りの物を凍らせたり、氷を作り出したりということはできるようになった。 |
ヴェイグ | フォルスを使う感覚とは少し違うがなんとか制御はできそうだ。だが……気を抜くと、力に体が支配されそうになる。 |
カサネ | どういうこと ? 制御はできそうなのに制御ができないという矛盾した言葉に聞こえるけれど。 |
ヴェイグ | いや……。上手く言えないが、自分ではない何かがまとわりついているような……。 |
ヴェイグ | この超脳力という力をオレ自身が持て余しているというか……。 |
ヴェイグ | ……すまない。少し一人にしてくれるか。 |
レイア | ねえ、カサネ。ヴェイグとカレンって人は似てるの ? |
カサネ | 冷静だけれど、内に秘めた意思の力を感じる……という所は似ているかも知れないわね。 |
カサネ | いえ、でも、やっぱり違うわ。ヴェイグの方が穏やかだもの。 |
イクス | アニマが近いと言っても人それぞれだと思うからメルクリアとヴェイグは、アラシさんとカレンさんとは少しアニマの性質が違うのかも知れないな。 |
カサネ | アニマ……。魂のようなもの、だったかしら。 |
イクス | ああ。違う言葉で表すなら魂が一番近いかな。俺たちの世界では、人間はアニマとアニムスに分けることができるんだ。 |
イクス | アニマは魂。アニムスは体と記憶。 |
カサネ | 面白いわね。記憶は魂ではなく体と結びついているのね。 |
イクス | 記憶は脳が保存しているからじゃないかなあ……。 |
カサネ | なるほど。確かにそうね。アニマとアニムス……。アニマが魂なら超脳力はアニムスに紐付くのかしら……。 |
カサネ | ………………。 |
カサネ | そういえば、ワイズマンは怪伐軍の戦闘服に人格を投影する技術をインスパイアしたと言っていたけれど、あれはどういうことなの ? |
イクス | 俺たちの仲間には、武器に人格を宿したソーディアンっていう人たち――人なのかなまあ、そういう人たちがいるんです。 |
レイア | しゃべるんだよね。剣なんだけどそれぞれ感情もあって、考えることもできて生きてる武器っていうか……。 |
カサネ | それをインスパイアしたということはあなたたちの服にはユイトやハナビ、アラシカレンの人格が投影されている……。 |
カサネ | もしくはそれに近い状況なのかしら。 |
イクス | ワイズマンの言葉を額面通りに受け取ると似たようなことが起きているんだろうと思う。 |
カサネ | ………………。 |
キャラクター | 4話【フェイズ4 苦戦の少女】 |
メルクリア | …………ふう。 |
イクス | あ、ここにいたのか、メルクリア。 |
カサネ | 練習はどうしたの ? |
メルクリア | ……なんじゃ、おぬしらか。わらわは休憩中じゃ。何度超脳力とやらを使おうとしても、上手く制御できぬ故な。 |
カサネ | それでベンチの上で横になっているの ?そんなところは『ぐでアラ』そっくりね。 |
イクス | 『ぐでアラ』ってなんだ ? |
カサネ | アラシのあだ名よ。オフの時はぐでっとしているから『ぐでアラ』と呼ばれているの。今のメルクリアはオフのアラシのサボり方にそっくりだわ。 |
メルクリア | なんとでも言え。確かにはしたない格好ではあるが超脳力を使うとどっと疲れてしまうのじゃ。すると何故か体が横になることを求めてくる。 |
メルクリア | おまけに喉が渇いてシュワシュワした……何かが飲みたくなるのじゃ。 |
カサネ | そう……。 |
メルクリア | ところでおぬしらは何をしに来たのじゃ。わらわの監視か ? |
イクス | いや、メルクリアが心配だったからさ。それとカサネが―― |
カサネ | ……あなたに謝りたくて来たの。 |
カサネ | ごめんなさい。嫌な気分にさせて。 |
メルクリア | な、なんじゃ……。別に……気にしてはおらぬ。いや、気にはしているが、本当の事じゃからな。 |
メルクリア | わらわはどうしても、心が暴れるのを抑え切れぬことがある。 |
メルクリア | 兄上様にもよく叱られるのじゃ。我が儘も大概にせよ、とな。わらわのこの姿を見たら兄上様は呆れるじゃろうな……。 |
カサネ | メルクリアにはお兄さんがいるのね。 |
メルクリア | うむ。とても立派な御方じゃ。わらわとは違う……。ここに呼ばれたのが兄上様なら、きっと超脳力も簡単に使いこなしておられたじゃろう。 |
メルクリア | わらわのように疲れ果ててこのようにサボったりはなさらぬはずじゃ。 |
イクス | メルクリア……。そんなに頑張り過ぎなくてもいいんじゃないかな。 |
メルクリア | それは嫌味か ? 今のわらわの姿を見よ。全然頑張ってなどおらぬわ。本気で努力ができておればきっと疾うに超脳力を使いこなしておる。 |
メルクリア | ……それともわらわには才がないのであろうか。 |
イクス | あのさ、俺にはメルクリアが頑張りすぎて焦っているように見えるんだ。 |
イクス | 自分の理想の姿を追いかけて追いつけなくて疲れてるっていうか……。 |
メルクリア | わらわの理想は超脳力を使いこなすことではないわ。それにここで頑張ろうが頑張るまいが所詮はアークでの出来事じゃ。 |
メルクリア | ティル・ナ・ノーグでの生活にはなんの影響もない。 |
イクス | なんの影響もないのに、超脳力を使いこなそうとして練習して、それで今ぐったりしてるんだろ ?それって頑張ってるってことだろ。 |
イクス | 頑張ってるのに……思った通りに事が運ばないのって歯がゆいと思うんだ。 |
メルクリア | ……なんじゃ、知った風な口を利きおって。 |
イクス | 俺もそうだったからさ。俺は……三人目だろ。 |
メルクリア | ………………。 |
カサネ | 三人目 ? どういうこと ? |
イクス | 俺は……まあ、なんていうか、簡単に言うとイクスって人間のコピー人間なんだよ。 |
カサネ | デザインチルドレン……。――いえ、クローンということ ? |
イクス | クローンって、確か記憶は持ってないよな。俺は記憶もコピーされてるんだ。 |
カサネ | 記憶……。コピー元のイクスの記憶を持っているという事ね。 |
イクス | うん。俺はコピー元になった最初のイクスさんと違って心配性で中々自分に自信が持てなくてでもそんな自分を変えたくて……色々もがいてさ。 |
イクス | だからメルクリアが焦る気持ちが何となくわかるような気がするんだ。 |
メルクリア | そうじゃったな……。おぬしは三人目じゃった……。 |
メルクリア | ――おぬしの言う通りやもしれぬ。わらわは焦っておるのじゃ。 |
メルクリア | 兄上様のお命は長くはない。そうなってしまったのはわらわがいたずらに命を弄ぶ行いをしたからじゃ。 |
イクス | メルクリア……。 |
メルクリア | わらわは兄上様が命あるうちに一人前になって心配をかけぬようにしなければならぬ。 |
メルクリア | 兄上様が望んでおられるように、国を導き守れる、立派な人間になる必要があるのじゃ。 |
メルクリア | じゃが……実際は、今回のように祭りの如き余興ですら役に立つことができぬ。 |
カサネ | ……少しわかった気がする。 |
カサネ | メルクリアとアラシのアニマが似ているというのはもしかしたら、兄弟に対する想いが似ているということなのかも知れないわね。 |
メルクリア | ……アラシにも兄がおるのか ? |
カサネ | 弟がいるの。あなたと違って素直に弟を心配する素振りは見せないけれど……。 |
カサネ | アラシは昔、弟のことで挫折を味わったことがあって……それが今のアラシを作っているんじゃないかしら。 |
メルクリア | 挫折……か。そうか。この服の持ち主もわらわのように自分の至らなさを恥じたのじゃろうか……。 |
カサネ | だけどアラシはお手本にはならない人だしアラシに似ていないのはいいことだと思うわ。 |
カサネ | それに、あなたは自分の努力を卑下せずきちんと評価した方がいいわね。 |
イクス | そうだよ。大体、焦ることはないんだ。 |
イクス | まだウォーデンさんは生きているんだしバルドさんもいるし、俺やミリーナもジュニアも――色んな人たちが周りにいるだろ。 |
イクス | ウォーデンさんだって、メルクリアが一人でいるよりみんなと力を合わせて頑張ってる姿を見る方が安心すると思うよ。 |
メルクリア | みんなで……か。 |
カサネ | ええ。仲間は大事にした方がいいわ。まず自分の足で立って、自分でできることを精一杯やる。 |
カサネ | その上で、メルクリアが本気で理想を追求していればきっと仲間が手を差し伸べてくれるはずよ。私もそうだった。 |
イクス | うん。肩の力を抜いて、少しずつ頑張っていけばいいと思う。急がば回れって言うだろ。 |
メルクリア | ……そうじゃな。そうであった。未熟だからこそ少しずつ研鑽を積まねばならぬのじゃった。 |
メルクリア | しかし……気持ちと裏腹に、体が何故か言うことを聞いてくれぬ。焦り故の空回りで体が動かぬのかと思っていたが、心が穏やかになってもこれでは……。 |
イクス | メルクリア。そのことだけどそれは多分メルクリアのせいじゃないと思うんだ。 |
メルクリア | うん ? それはどういうことじゃ ? |
イクス | な、なんだ、この音は ! ? |
カサネ | 怪異警報だわ !まだ超脳力の練習中なのに……。 |
イクス | つまり、怪異が出てくるってことだな ? |
カサネ | そうよ。残念だけど、これ以上練習の時間を取れそうにないわね。後は実戦で習得していくしかなさそうだわ。 |
カサネ | まあ、祭り……ということだから死ぬようなことはないと思うけれど。 |
イクス | それは……どうかなあ。ワイズマンが準備する祭りはいつもトラブルが起こるから。 |
カサネ | そう。だったら命がけになるかも知れないということね。 |
カサネ | 迷惑な話だけれど仕方ないわ。気を引き締めていきましょう。 |
キャラクター | 5話【フェイズ5 襲い来る怪異】 |
レイア | これが怪異 ! ?何だか普通の魔物と違って寒気がするような……。 |
カサネ | レイア ! 大丈夫 ! ? |
レイア | みんな ! 無事みたいでよかった ! |
メルクリア | むう……囲まれてしまいそうじゃな。 |
カサネ | レイア。あなたの炎で壁を作って。 |
カサネ | メルクリア、制御できる程度のスピードでいいわ。奴らの背後に回り込んで攪乱して。 |
カサネ | イクス、この辺りの持ち上げられそうな物を片っ端からぶつけていくわよ。 |
三人 | 「了解 !」「了解だよ !」「了解じゃ !」 |
レイア | いっけー ! わたしの炎 ! |
イクス | 凄いぞ、レイア ! 怪異が炎に焼かれて足を止めた ! |
カサネ | ハナビも頼れる存在だったけれどレイアの力も安定しているわね。借り物の力とは思えないわ。 |
レイア | そ、そう ? よーし、もっとがんばる ! |
メルクリア | むっ、わらわも負けてはおられぬ。逸らず、しかし素早く―― |
メルクリア | よ、よし !初めて超高速とやらで、敵の背後に回り込めたぞ ! |
カサネ | 上手いわよ、メルクリア ! |
カサネ | イクス、あなたは左から、私は右から、怪異を潰す ! |
イクス | 任せてくれ! |
イクス | 片っ端から怪異を叩くぞ ! |
レイア | ふう……。なんとか倒せたね。 |
メルクリア | しかし……なんとも妙な気配の魔物じゃったな。 |
イクス | そうだな。強さもだけど、雰囲気が異質すぎて……。それに、なんていうか……捕食されそうな視線を感じたというか。視線かどうかもよくわからないけど。 |
カサネ | その感覚は正しいわね。怪異は人の脳を食べるの。 |
三人 | ! ? |
カサネ | だから人間の集まるところには怪異も集まってくるわ。彼らは頭を狙ってくる。気を付けて。 |
レイア | うう……。今になって震えてきちゃった。食べられなくて良かった~ ! |
カサネ | 今後も怪異の餌にならないようにさっきの戦いを振り返っておきましょうか。 |
イクス | それは助かるよ。 |
カサネ | 思っていたより、個々の戦闘練熟度は高いのね。感心したわ。特にレイア炎の使い方が大胆で壁役として見事だったわ。 |
レイア | ほんと ! ? うれしいな ! |
カサネ | ただ、少し扱いが雑で、背後に回ったメルクリアまで焼きそうになっていたわね。 |
カサネ | レイアの状況判断は的確だけれど全体的に大雑把に動くところがあるから気を付けて。 |
レイア | は、はい……。 |
カサネ | メルクリア。今回は上手く超高速を使えていたわね。ただ、本来はもっと速く動ける力よ。さっきの感じを忘れず、もう一段踏み込んでみて。 |
カサネ | 一瞬で背後を取れればクリティカルな攻撃を与えることもできるわ。 |
メルクリア | う、うむ。やってみる。 |
カサネ | イクスは周りがよく見えているわね。でも、周りの仲間を気にするせいか少し念力の発動タイミングが遅いわ。 |
カサネ | もう少しレイアやメルクリアやもちろん私の力も信頼して任せてみて。人間は360度を見渡せるわけじゃないのよ。 |
イクス | て、手厳しいな……。でも心当たりはあるよ。気を付ける。 |
イクス | ………つっ。 |
レイア | どうしたの、イクス。こめかみが、頭が痛いの ? |
イクス | ああ……うん。ちょっとな。超脳力に慣れてないから疲れたのかも。でも平気だよ。 |
カサネ | ……待って、イクス。本当に平気なの ? |
カサネ | 例えば言葉が上手く出てこないとか思い出せないことがあるとか……そういう症状は出ていない ? |
イクス | どうしたんだ、急に。 |
イクス | ――あ、もしかして、さっき話してたこの服の……。 |
レイア | ああ、服の本来の持ち主とのリンクの話 ? |
メルクリア | なんじゃ、それは……。 |
イクス | さっきメルクリアに話そうとしていたことでもあるんだけど……。 |
イクス | どうもこの服には、本来の持ち主の超脳力と一緒にアニムス――つまり記憶のようなものが宿っているんじゃないかって思うんだ。 |
メルクリア | つまらわらわの服には、アラシという人物の記憶が宿っているというのか ? |
カサネ | 記憶そのものかどうかはわからない。 |
カサネ | だけど、アラシとは全然性格の違うメルクリアがまるでアラシのようにだらけて寝転がったりしているのは妙だと思うのよ。 |
レイア | 今のメルクリアは、服に宿ったアラシさんの記憶……的なものに、影響を受けているってことだよね。 |
カサネ | ええ。レイアとイクスはハナビとユイトに似ているところがあるせいで気付かなかったけれどもしかしたら……。 |
イクス | 俺の頭痛も、ユイトさんの記憶の影響を受けているってことか ?その人は頭痛持ちだった ? |
カサネ | ユイトは超脳力の使いすぎで記憶を失いかけたことがあるの。その症状が出たのかも知れないと思って気になって。 |
レイア | え ! ?イクス、大丈夫 ! ? |
メルクリア | ワイズマンの奴、とんでもない服を用意してくれたな。 |
イクス | 待ってくれ。俺は今のところ記憶も確かだし、大丈夫だよ。頭痛も一瞬だったしさ。 |
カサネ | ……そう。ならいいんだけど。おかしな症状が出たらすぐに知らせてちょうだい。 |
レイア | でも今の話が本当なら、ヴェイグもカレンって人の影響を受けてるかも知れないよね。 |
カサネ | ええ。心配だわ。ヴェイグを捜しに行きましょう。途中、怪異が出るかも知れないから、その時はさっき注意したポイントに気を付けて戦うのよ。 |
イクス | よし、行こう ! |
キャラクター | 6話【フェイズ7 宿る思い】 |
レイア | ヴェイグ、どこまで行ったんだろう……。 |
イクス | 魔鏡通信で呼び出してみよう。 |
カサネ | 魔鏡通信、というのは何 ? |
イクス | この魔鏡っていう鏡で、遠くにいる人とも話せるんだ。 |
カサネ | 私たちの世界でいうブレイントークみたいなものかしら。 |
イクス | ブレイントークっていうのも通信装置なのか ? |
カサネ | ええ。私たちの世界では人間の脳がデバイスがわりなの。仲間の脳と脳を仮想ケーブルで繋いで―― |
三人 | ? ? ? |
カサネ | ――いえ、実際に体験しないとわからないわよね。ヴェイグに連絡してもらえるかしら。 |
イクス | あ、ああ。わかった。 |
イクス | ヴェイグ、聞こえるか ? |
ヴェイグ | イクスか。どうした ? |
イクス | 敵の襲撃を受けた。危険だから合流しよう。 |
ヴェイグ | わかった。今からお前たちの所へ戻る。 |
レイア | お帰り、ヴェイグ。心配してたんだよ。 |
ヴェイグ | そっちこそ、敵に襲われたという話だったが大丈夫か。 |
メルクリア | うむ、わらわたちは平気じゃ。超脳力の方も少しずつ扱えるようになってきたぞ。 |
カサネ | ヴェイグ。聞いてもいいかしら。 |
ヴェイグ | なんだ ? |
カサネ | 一人にしてくれと言っていたけれど何か悩みでもあるのかしら。 |
カサネ | 今、私たちは共通の目的に向かう仲間よね。私は元の世界で、仲間が何か悩んでいるのなら手を貸すべきだと学んだの。 |
カサネ | もしよかったら話してもらえないかしら。 |
ヴェイグ | 仲間……か。 |
カサネ | 何か変だった ? |
ヴェイグ | いや、カサネの言うことは間違っていない。上手く話せるといいんだが……。 |
ヴェイグ | ……オレはこの服に宿る超脳力という力を持て余している。 |
ヴェイグ | 何度か使ってみたんだがブレインイーターという力が強すぎて暴走させてしまいそうだと感じたんだ。 |
イクス | ヴェイグがそこまで思うほどの力なのか……。 |
カサネ | カレンの力をコピーしているのだからそうかもしれないわね。カレンは怪伐軍で最強の超脳力者だと言われていたわ。 |
メルクリア | うむ……わらわも何度か超脳力を暴走させてカサネに迷惑をかけた。最強の力だというのなら、尚更大変であろうな……。 |
ヴェイグ | それに、さっきの『服に持ち主の記憶のようなものが宿っている』という話を聞いて、腑に落ちたこともある。 |
ヴェイグ | 超脳力を使おうとすると、何か鬱屈とした思いがオレの中にあふれ出ていた。あれこそがカレンという男の記憶……アニムスなのかも知れない。 |
カサネ | カレンの記憶……。 |
レイア | カサネ……何だか哀しそうな顔だけど……。 |
カサネ | ――いえ、ごめんなさい。彼は意志の強い人だからヴェイグにも強い影響を与えているのかも知れないわね。 |
ヴェイグ | 強い……。そうなんだろうか。 |
イクス | え ? |
ヴェイグ | オレがこの服を支給されたのは、カレンとオレのアニマが近いからという話だった。 |
ヴェイグ | カサネはオレとカレンは似ていないと言っていたが服から流れ込む感情はオレにも覚えがあるものだ。 |
ヴェイグ | もしかしたらこの共通点がアニマが似ているということなのかも知れない。 |
カサネ | あなたにもカレンのような感情があるってこと ? |
ヴェイグ | オレはカレンという男を知らない。この記憶だか感情だかがどうやって生まれたのかもわからない。 |
ヴェイグ | だがこれは、オレが仲間たちに出会う前に抱いていた感情に似ている。 |
イクス | 仲間って、元の世界でのことだよな ? |
ヴェイグ | ああ、そうだ。クレアを氷漬けにして閉じ込めオレ自身も心を閉ざしていたあの頃とカレンの思いが重なるように感じる。 |
ヴェイグ | この男は……マオたちに出会う前のオレだったんじゃないかと思わせるんだ。 |
カサネ | あなたは……独りで何かに立ち向かおうとしていたの ? |
ヴェイグ | 立ち向かってすらいなかった。独りで同じ所に留まり下を向いていた……。 |
ヴェイグ | オレの過ちや暴走を諫めてくれる仲間たちに出会わなければ、オレはこの感情に飲み込まれていたかも知れない。 |
カサネ | カレンのことは……私にもよくわからない。私はカレンが自分の決意を曲げない強い人間だと思っていた。 |
カサネ | でも、もしかしたら自分の弱さを抱え込んで必死に孤独と戦い続けていたのかも知れないわね。 |
レイア | だったら、なおさらヴェイグはわたしたちと一緒にいた方がいいんじゃないかな。 |
メルクリア | ふむ。確かに。一人でいると、カレンという男の感情に飲み込まれてしまうの。 |
メルクリア | レイアの言う通り、わらわたちと共にあってはしゃいで過ごすべきじゃ。ぱじゃまぱーてぃーなどをしてな ! |
レイア | いいね、パジャマパーティー ! 楽しそう ! |
イクス | よし、だったら俺が皆のパジャマを具現化するよ ! |
ヴェイグ | いや……オレは……。 |
カサネ | 待ちなさい。その服を脱いだら超脳力を使えなくなるわよ。 |
レイア | あ……そうだった。 |
イクス | だったら、単なるパーティーでもいいんじゃないかな。ここに来る前に、ワイズマンからカサネの世界の食事っていうのを預かったんだ。 |
イクス | ほら、これを食べながら―― |
イクス | ――って、これ、なんだ ?飲み物はコーラだけど……食事は……軍隊の携行食のような……。 |
カサネ | ええ、レーションね。 |
ヴェイグ | これがカサネの世界の食事なのか……。 |
レイア | え、えっと、手軽に食べられそうでいいね。 |
カサネ | 誤解を招いているようだけれどこれは私の世界の一般的な食事ではないわよ。極めて偏っていると言ってもいいわ。 |
ヴェイグ | そうか……。だがどんなものであれ異世界の食事を口にする機会などあまりないからな。これを食べながら、休憩というのも悪くない。 |
メルクリア | れーしょんぱーてぃーであるな ! |
カサネ | レーションとコーラしかないパーティー、ね。まあいいんじゃないかしら。 |
カサネ | 以前もそんなパーティーに参加したことがあったけれど結果的には、仲間のみんなのことを理解できて有意義だったわ。 |
イクス | よし、それじゃあ始めよう ! |
キャラクター | 7話【フェイズ8 仲間との談笑】 |
ヴェイグ | ………………。 |
メルクリア | ………………。 |
カサネ | ………………。 |
レイア | ……レ、レーションって何となくシンプルな味付け……だよね ? |
イクス | いやっ !でも、これは偏りなく栄養が摂れるようにっていう配慮がされた食事なのかも知れないし ! |
カサネ | 無理しないで。レーションは別に美味しさを重視した食べ物じゃないわ。 |
イクス | はは……。うん……。なんかごめん。 |
カサネ | どうして謝るの ? レーションを用意したのはワイズマンなんだし、私の世界の食べ物なんだからイクスが謝る必要はないわよね。 |
イクス | それはそうなんだけど……。パーティーっぽくならなかったから……。 |
カサネ | そういう風に周りに気を使うところやっぱりユイトに似ているわね。 |
カサネ | それに大事なのはパーティーをすることじゃなくてあなたたちを理解することだから気にしないで。 |
ヴェイグ | 理解か……。長々とオレたちの話をしてしまったが疲れていないか ? |
カサネ | いいえ。あなたたちの世界の話はとても興味深かったから。 |
カサネ | 色々な異世界から強い力を持つ人が集められてそんな人々が団結して世界を守った。 |
カサネ | 正直、よくわからない部分も沢山あったけれど大事な人を守るために戦ってきたあなたたちの話を聞けて、私も勇気づけられたわ。 |
カサネ | 私の世界もようやく変わろうとしているところだから。 |
レイア | ねえ、カサネの世界の話ももっと聞きたいな。怪異だけじゃなくて、仲間のこととか。 |
レイア | カサネはわたしのことハナビって人に似てるって何度も言ってたけどどんな人なのか詳しく聞きたいよ。 |
カサネ | そうね……。人当たりが良くてまっすぐな感じかしら。 |
レイア | ああ……なんかわかる気がする。メルクリアやヴェイグほどじゃないかもだけど、やっぱりわたしもこの服から自分ではない存在を感じることがあるんだ。 |
レイア | 上手く言えないけど……すごく一途って感じできっとわたしと同じがんばり屋なんだろうなあって。 |
メルクリア | げほっ ! ? |
イクス | だ、大丈夫か、メルクリア ! ?むせたみたいだけど ! ? |
メルクリア | ……げほっげほっ。……う、うむう、レイアがあまりにも自然に自画自賛するのでコーラが気管に入ってしまった……。 |
レイア | あはは……自画自賛ってわけじゃないよ。わたしの取り柄なんてそれくらいしかないから。 |
カサネ | フフ、でもレイアの言うことは当たっているわ。ハナビはユイトと幼なじみでね。ユイトに追いつきたいと頑張っていたから。 |
レイア | ええ ! ? わたしにも幼なじみがいるんだよ !こんなに共通点があると他人じゃない気がしてくるね ! |
レイア | ハナビちゃん、一緒にがんばろう ! |
メルクリア | 服を応援しても声は届かぬぞ、レイアよ。 |
レイア | 気持ちの問題だよ ! |
ヴェイグ | そうだな……。確かにこの世界で起きたことが服の持ち主に伝わるわけはないのだろう。 |
ヴェイグ | だがオレもレイアのようにカレンに伝えてやれたらいいと思う。 |
ヴェイグ | こういった雰囲気や笑い合える時間が生まれる仲間の素晴らしさを。 |
カサネ | カレンも仲間の素晴らしさをわかっていなかった訳ではないと思うの。 |
カサネ | さっき、ヴェイグはカレンが仲間に出会う前の自分だと言っていたけれど、本当は逆なのよ。 |
イクス | 逆ってことは、仲間を失った…… ? |
カサネ | ええ。カレンにも以前大切な仲間がいた。大切な人の喪失は……つらいものでしょう ? |
ヴェイグ | そうか……。 |
イクス | でも、大切な人を失った後も、カレンさんの周りにはカサネや他の人たちがいたんだよな ? |
カサネ | え ? ええ……。 |
イクス | だったらやっぱりヴェイグの感じたことも正しいんじゃないかなって思うよ。 |
イクス | 大切な誰かを失っても、ずっと心を閉ざしていたら周りで支えている人たちもつらいだろうし。その人たちは仲間じゃないのかって思うし……。 |
イクス | それほどまでに失った人が大切だったのかも知れないけど……。 |
カサネ | ……そうね。大切な誰かを失って立ち上がれないままでいるのはその失った人に依存しているということだしね。 |
カサネ | 仲間なら……支え合ったとしても寄りかかっては駄目なんだわ。 |
ヴェイグ | ああ。それが……カレンにも伝わるといいんだがな。 |
キャラクター | 8話【フェイズ9 重大怪異】 |
メルクリア | さて、食後の運動がてらもう少し超脳力の扱いを練習するぞ。 |
イクス | やる気だな、メルクリア ! |
メルクリア | 逆じゃ。コーラを飲みレーションを食べていると何やらこの服から「もっとダラダラせよ」と命じられている気がしてな。 |
メルクリア | それに必死で逆らっているのじゃ。 |
カサネ | 概念的な存在になってもサボることを強要してくるなんてさすがアラシだわ……。 |
ヴェイグ | 力が暴走しかけたら、今度はオレとイクスが止める。思い切ってやってみるといい。 |
メルクリア | ヴェイグ……。すまぬ。 |
メルクリア | では全力で動いてみようぞ ! |
メルクリア | おお ! ? 今回は上手くいったようじゃ。 |
レイア | アラシはコーラが好きなんでしょ ?さっきメルクリアがコーラを飲んだからご機嫌で力を貸してくれたのかも。 |
メルクリア | ならばもっともっとコーラを飲んでもよいな ! |
カサネ | 飲み過ぎはよくないわよ。 |
メルクリア | わ、わかっておる。……しかし、この超高速という力は不思議じゃな。わらわが速く動けば動くほど、周りの動きが遅くなる。 |
メルクリア | ………………。 |
イクス | どうかしたのか ? 急に黙り込んで。 |
メルクリア | いや、詮無いことを考えたのじゃ。わらわが超高速で動くかのように成長し周りの時間がゆっくりと流れてくれれば……と。 |
メルクリア | そうすれば兄上様と過ごす時間が延びてわらわももう少し、兄上様のお役に立てるようになるのではとな。 |
カサネ | メルクリアは本当にお兄さんが好きなのね。 |
メルクリア | わらわにとっては、ただ一人の家族じゃからの。 |
カサネ | そう……。 |
カサネ | ………………。 |
イクス | カサネ……。嫌だったら無理に話すことはないんだけどもしかしてカサネにも大切な人がいたんじゃないか ? |
カサネ | どうしてそう思ったの ? |
イクス | うーん、カレンのことを話していたときとかメルクリアがお兄さんの話をしたときの表情とか。何となく。 |
イクス | けどデリケートな話だし、無遠慮な質問だよな。ごめん。 |
カサネ | 先回りして謝る必要はないわよ。 |
カサネ | ……何だか本当にユイトと話しているような気分だわ。 |
イクス | はは……。そんなに言動が似てるなら俺、きっとユイトと仲良くなれるだろうな。 |
カサネ | あなたもユイトも人から嫌われるようなタイプじゃないでしょう。 |
イクス | どうかなあ……。鬱陶しいとか八方美人とかは言われそうだけど。 |
カサネ | それはそうね。 |
レイア | 否定しないんだね……。 |
イクス | うう……。 |
カサネ | ……さっきの質問だけど、当たっているわ。私には姉がいたの。私自身よりもずっとずっと大切な存在だった……。 |
カサネ | 姉を失って、私は何度も暴走して周りに迷惑をかけてしまったわ。 |
ヴェイグ | でもカサネは立ち直ったんだな。 |
カサネ | ……本当に立ち直れたのかはわからないけれどイクスが言っていたように私には他にも仲間がいたから。 |
カサネ | みんなに支えられて、私は前を向くことができた。私がカレンのような感情を抱かなくて済んだのはヴェイグと同じ理由だったのね。きっと。 |
カサネ | レイアによく似たハナビや、メルクリアと同じように弟を大切にしているアラシや、イクスみたいに絆を大切にしてくれたユイトや……みんなのおかげ。 |
レイア | ――この音は、さっきと同じ怪異警報 ! ? |
ヴェイグ | 後ろから、嫌な気配がする ! |
メルクリア | な……なんじゃあれは ! ?今までの怪異とは姿形が全く違うぞ ! ? |
カサネ | あれは重大怪異 ! ?しかも完全に私たちの世界の怪異と同じ姿だわ !ワイズマンから聞いていた話と違う……。 |
ワイズマン | ――皆さん、避難して下さい ! |
イクス | え ! ? どういうことだ ! ? |
ワイズマン | あの怪異は、こちらの手違いで『完全な形』でコピーされてしまったものです。私の制御からは外れています。 |
イクス | じゃあ今までの怪異は…… ? |
ワイズマン | 今までの怪異は、こちらで用意した魔物に怪異の能力を重ねていただけなのです。 |
ワイズマン | 怪異は非常に厄介ですので本物を呼ぶのはためらわれまして。 |
カサネ | 避難しろって言っても、あの怪異はどうするの ? |
ワイズマン | いったん、その場所ごと封じます。それから改めてトラブルの原因を探って―― |
カサネ | 面倒ね。私があいつを倒すわ。 |
ワイズマン | ですが―― |
カサネ | うるさいわよ、ワイズマン。勝手に人を呼び出してミスまで引き起こしたのはあなたよ。ここを封じると言ってもそれも失敗するかも知れない。 |
カサネ | 私に任せなさい。 |
カサネ | イクスたちはここを離れて―― |
レイア | 何言ってるの。わたしたちも一緒に戦うよ。 |
ヴェイグ | ここではオレたちも仲間なんだろう ? |
メルクリア | せっかく使えるようになった超脳力じゃ。本物の怪異とやらにぶつけてやろうではないか。 |
イクス | カサネ、いいよな ? |
カサネ | わかったわ。だったら、本気で動くわよ。足を引っ張らないでちょうだい。 |
イクス | ああ ! |
レイア | 来るよ ! ! |
ヴェイグ | ……オレが奴を足止めする。カレンの持つ冷却脳力なら動きを止められるだろう。 |
ヴェイグ | カレン……。お前の事を完全に理解することはできない。 |
ヴェイグ | だが仲間を守りたいという気持ちはお前と同じである筈だ。力を貸してくれ ! |
怪異 | ―――――― ! |
ヴェイグ | この技に耐えられるか ! |
カサネ | 怪異の動きが止まった ! 今よ ! |
イクス | よし、念力で追い打ちをかける ! |
イクス | ! ? |
イクス | な……なんだ……頭が割れるように痛む…… ! |
レイア | な、何 ! ? 見えない力に引き寄せられて―― |
ワイズマン | いけない ! ? その場所に異常な重力反応が――空間……閉じ……―― |
イクス | うわあああああああっ ! ? |
キャラクター | 9話【フェイズ10 仲間と共に】 |
イクス | ――そうだ。『完全』な怪異が出てきてしまって俺たちはここに残って……。 |
カサネ | 思い出してくれたみたいね。 |
イクス | ああ。でもさっきのあれは一体なんだったんだ……。 |
カサネ | 思い当たることはあるわ。こんなことになるとは思っていなかったからちゃんと説明はしなかったのだけれど……。 |
カサネ | 実は私とあなたの超脳力は正確に言うと『念力』ではないのよ。 |
イクス | え ? それはどういうことだ ? |
カサネ | 私たちの超脳力は『重力操作』。同質の超脳力が共鳴した……とでも今は理解しておいて。 |
カサネ | そのせいでこの辺りに重力異常が発生したのだと思う。元の世界でも似たようなことがあったわ。その時より随分規模は小さいけれど。 |
カサネ | それに、ワイズマンとの連絡が取れなくなってしまったの。 |
カサネ | 恐らく今はこの空間が完全に閉じているんじゃないかしら。 |
イクス | ということは俺たちはここから出られないのか……。 |
カサネ | 脱出の心配は、あの怪異を倒してからにしましょう。 |
イクス | そうだな。 |
イクス | ……いや、待てよ。俺とカサネの超脳力が共鳴してさっきの妙な現象が起きたのなら、俺たちが同時に超脳力を使うのは危険なんじゃないか ? |
カサネ | 今はそうかも知れないわ。 |
イクス | 今は ? |
カサネ | ええ。元の世界では単に超脳力を使うだけで共鳴が起きたりはしなかったのよ。 |
カサネ | それに今まであなたと私が同時に超脳力を使っても何も起きなかったでしょう。 |
カサネ | 状況が変わったのはあの『完全』な怪異が現れてからよ。 |
イクス | あの怪異は、ワイズマンの制御から外れているって言ってたな。あいつのコピーをここに再現したときに何か予定外のことが起きたのか……。 |
ヴェイグ | イクスが記憶を取り戻したみたいだな。 |
レイア | よかった ! |
レイア | ……って喜んでもいられないよね。この敵、強すぎ。このままじゃジリ貧だよ。 |
メルクリア | ――二人とも、いったんわらわと共に下がるのじゃ ! |
ヴェイグ | メルクリア ! わかった ! |
レイア | うん、一回立て直そう ! |
カサネ | イクス。念のため、あなたは超脳力を使わないで。その代わり、頼みたいことがあるの。 |
イクス | 俺にできることなら何でも言ってくれ。 |
カサネ | 怪伐軍ではそれぞれの隊にオペレーターがいて戦いのサポートをしてくれるの。そうすることで効率よく戦えるのよ。 |
カサネ | だからイクス、あなたがこの臨時カサネ隊のオペレーター役を引き受けてくれないかしら。 |
メルクリア | 二人を回収してきたぞ。 |
カサネ | ありがとう、メルクリア。 |
カサネ | ヴェイグ、レイア。怪異を抑え込んでくれて助かったわ。 |
レイア | それで、これからどうするの ? |
カサネ | 怪異には弱点の部位があるの。体勢を崩してそこを露出させれば―― |
ヴェイグ | 後は一気に叩くだけということか。 |
カサネ | イクス。少し距離を取って、高い場所から怪異の動きを観察してくれるかしら。 |
カサネ | 私たちが確実に弱点部位を狙えるように指示を与えて欲しいの。魔鏡通信……というのを使えばできる筈よ。 |
イクス | わかった。やってみる。 |
イクス | みんな。一緒に戦えなくてごめん。精一杯サポートするから、協力してくれ ! |
ヴェイグ | もちろんだ。 |
レイア | イクスの分もがんばるからね ! |
メルクリア | 文字通り、おぬしは高みの見物をしておるがいい。 |
カサネ | それじゃあ行くわよ ! |
キャラクター | 10話【フェイズ10 仲間と共に】 |
イクス | よし、敵の動きが止まった ! |
イクス | メルクリア ! 怪異を引きつけてくれ !その間にヴェイグとレイアは弱点部位を露出させるんだ ! |
メルクリア | 任せよ ! |
メルクリア | アラシとやらよ。そなたの力、わらわが見事使いこなしてみせようぞ ! |
メルクリア | どうじゃ、怪異 !わらわの姿、捉えることができるかの ? |
ヴェイグ | 行くぞ、レイア ! |
レイア | 任せて ! |
二人 | くらえっ ! |
イクス | 見えた ! あれが怪異の核か !カサネ ! 後は頼む ! |
カサネ | ――終わりよ ! |
イクス | ――あ、あれ ! ? ここは ! ? |
レイア | え ! ? わたしたち戻ってきたの ! ? |
ワイズマン | 皆さん、お疲れ様です。 |
ワイズマン | あの怪異を倒して下さったおかげで制御を取り戻すことができましたので皆さんをこちらに転送致しました。 |
ヴェイグ | ワイズマン……。 |
ワイズマン | 申し訳ございません。異世界の存在をこちらに呼び寄せた際に、色々と手違いがありまして……。 |
カサネ | 一体何が起きたの ?あの怪異を呼び寄せてからおかしくなったわよね。 |
ワイズマン | いえ、制御がおかしくなり始めたのはそれより少し前のことです。 |
ワイズマン | イクスさんの持つ魔鏡術の力とユイトさんの超脳力がお互いを刺激してしまったんですよ。 |
ワイズマン | その結果、ユイトさんの超脳力がイクスさんの中で具現化されようとしたらしく……。 |
メルクリア | な、何を言っておるのじゃ ? |
イクス | 要約すると、俺とユイトが同化しかけたってことかな ? |
ワイズマン | はい。その通りです。さらにイクスさんの中のユイトさんに釣られて本物の怪異が出現することになってしまいました。 |
ワイズマン | その上、ユイトさんの力とカサネさんの力が共鳴して重力異常が発生し、アークの安全機能が働いてあの空間を閉ざしてしまったのです。 |
カサネ | そう……。実はユイトもイクスを通じてこちらに来ていた……ということなのかしら。 |
レイア | だとしたら、ユイトだけじゃないんじゃないかな。わたし、服に力が宿ってただけとは思えないほどハナビちゃんを近くに感じたもの。 |
ヴェイグ | そうだな。カレンの感情もあまりに克明だった。 |
メルクリア | わらわもぐでっとしてしまったしの……。 |
カサネ | ……かも知れないわね。 |
カサネ | それで、ワイズマン。お祭りとやらは成功したの ? |
ワイズマン | 皆さんの活躍を見たアークの住人は喜んでいます。ですが、皆さんを危険にさらしてしまったという意味では失敗かも知れません。 |
レイア | それっていつものことなんじゃ……。 |
カサネ | まあいいわ。だったらこれで私の仕事は終わった訳よね。 |
ワイズマン | はい。戻られますか ? |
カサネ | ……不思議ね。やっと帰れるというのに何だか寂しい気分になるなんて。 |
メルクリア | それは……今生の別れとなるのじゃから当然であろうな……。 |
カサネ | 元の世界に帰れば、あなたたちのこともここで体験したことも忘れてしまうんですものね。 |
ワイズマン | カサネさんがそんな風に思われるとは意外でした。でしたら、イクスさんたちの世界にシャドウを残してはどうでしょうか。 |
ワイズマン | この場所で紡がれた絆の記憶を残すのです。 |
カサネ | それは、私の分身を作って残していくということ ? |
ワイズマン | その通りです。 |
カサネ | そんなことをして何の意味があるのかしら。私は元の世界に戻ってここでの体験を忘れてしまうのに分身が残っても―― |
イクス | ? |
イクス | 俺もそうだったからさ。俺は……三人目だろ。 |
カサネ | ――いえ、それが私そのものではなかったとしても新たに始まるものもあるのかも知れないわね。 |
イクス | え ? カサネ、シャドウを残してくれるのか ? |
カサネ | ええ。あなたたちの世界もまだまだ困難が続いているのよね。私の力が役に立つなら協力するわ。 |
ヴェイグ | いいのか ? ここに残されたカサネは元の世界の仲間と会えなくなってしまうんだぞ。 |
カサネ | そうね。いくら本体が戻ると言っても分身の私は寂しいと思うでしょうね。 |
カサネ | だけど……離れていても仲間であった事実は消えることがないわ。記憶も思い出も。 |
カサネ | それにこちらにも仲間がいるもの。 |
カサネ | 元の世界に帰る私の分もこの世界で新しく得た仲間を大事にするつもりよ。 |
イクス | わかった。歓迎するよ、カサネ。 |
カサネ | ありがとう。これからもよろしく。 |