キャラクター | 1話【呼び声1 奇妙な噂】 |
しいな | 不思議な気配…… ? |
街の男性 | ああ、そうなんだよ。なんかこう、もやもやっとした何かっていうか……。 |
街の女性 | もやもや ?私はふわふわっとした感じがしたけど。 |
しいな | もやもやに、ふわふわ…… ?なんだかイマイチよくわからないね。 |
街の男性 | そうなんだよな……。今のところ危険なことは起こってないんだが。 |
街の女性 | とにかくなんだか不気味なのよね……。 |
しいな | まあ、そんな気配だけ感じりゃ不気味だよね。異変は街の中で起こってるのかい ? |
街の男性 | うーん、街の中でもたまにあるんだが森のほうが多いみたいだ。うちのじいさまが首筋を撫でられたとか言ってた。 |
街の女性 | 隣の家の旦那さんもそうよ。でも振り返ると誰もいないんですって。 |
しいな | やっぱり、森のほうだと具体的だね……。実は、同じような話を聞くのはこの街で三度目なんだよ。 |
しいな | ……これは、一度調べてみるべきかね。 |
街の男性 | 調べてくれるのか ! ?それはありがたい…… ! |
しいな | まあ、もともと変わったことが起きてないか調べ回ってたんだ。そのついでみたいなもんサ。 |
街の女性 | ついでだとしても助かるわ !お願い、何か大変なことが起きていないか調べてみて ! |
しいな | ――ってわけで森まで来てみたけど。 |
しいな | この風の音……自然のものじゃなさそうだね。 |
しいな | (ここの近くにある三つの街で同じような話を聞いた。首筋を撫でられたとか、ずっと見られているような感じがするとか) |
しいな | (……確かに、何かがずっと通り過ぎて行くような妙な感覚があるね。なんだいこの違和感は……) |
しいな | (コリンがいれば、もう少し調査しやすかったんだろうけど) |
しいな | 誰だい ! ? |
クラース | 誰かいると思ったら、しいなか。 |
しいな | クラース ! ?どうしてあんたがここに……。 |
クラース | それはこちらの台詞だ。私は精霊の調査でここまで来たんだが……。 |
しいな | 精霊 ? |
クラース | ああ。これだ。 |
しいな | これは……なんだい ? レーダー…… ? |
クラース | そのようなものだな。精霊の気配を探れる計測器だ。 |
クラース | 先日、パスカルが突然持ってきたんだ。息抜きで作ったが、使う予定がないってな。 |
しいな | 息抜きで作るにしては本格的なものに見えるけどね……。 |
クラース | 私もそう思うが……彼女にとってはそういうものなのだろう。それでさっそく起動してみたところ、妙な反応があった。 |
クラース | この流れを見てくれ。 |
しいな | なんだいこれは……。地図は、ここの森……だろ ?でも、この川みたいなのは ? |
クラース | 微精霊の群だ。 |
しいな | 群 ! ? これがかい ! ? |
クラース | ああ。目に見えない精霊のエネルギーを可視化して、その動きを追えるようにしたのだとパスカルは言っていた。 |
クラース | 微精霊の群は、この森の奥にある洞窟に向かっているんだ。 |
しいな | ……一応聞いておくけど微精霊ってのは群で行動するものなのかい ? |
クラース | そんな話は聞いたことがないな。 |
しいな | なら、何かしら異変が起きてると見てよさそうだね。 |
クラース | ああ、そう考えている。 |
しいな | これだけ微精霊が集まってりゃみんなが「おかしい」と感じるのも当然だね……。 |
クラース | 何かあったのか ? |
しいな | ああ。歩きながら説明するよ。あたしが街で聞いた話を。 |
クラース | 助かる。では、微精霊が向かう先――洞窟に行ってみよう。 |
キャラクター | 2話【呼び声2 不可思議な森】 |
キール | さっき本屋で見つけた本……。やっぱり、地域によって手に入る文献が若干違っているんだな。 |
キール | いや、それ自体は別におかしなことじゃない。興味深いのは、中身だ。 |
キール | ウェルテス領で手に入れた本とセールンドで見つけたこの本。同じタイトルなのに、内容が異なっている。 |
キール | それもまったく違うのではなく、微妙な差……。この違いがどこで生じたのかがわかれば今後、世界の変化を予測することも……。 |
メルディ | キール、キール ! |
キール | ! ?なんだよ、騒がしいな。買い物はもう終わったのか ? |
キール | ……って、あれ ?クィッキーはどうしたんだ ?一緒に買い物に行ったんだろ。 |
メルディ | クィッキー、呼んでる ! |
キール | 呼んでる ? どこに ? |
メルディ | さっき一緒に買い物してた !そしたらクィッキー、走り出したよ ! |
キール | ……何を言ってるんだ ? |
メルディ | うう~とにかく来るよ ! |
キール | え ?……って、引っ張るなよ、メルディ ! |
メルディ | こっち、こっち !はよはよぅ ! |
メルディ | クィッキー、こっち行ったよ ! |
キール | こっちって、森 ?なんでこんなところに……。 |
クィッキー | クィッキー ! |
メルディ | クィッキー、いた ! |
キール | おい、お前どうしたんだよ ?勝手に森に行くなんて……。 |
クィッキー | クククィック、クィッキ ! ! |
メルディ | ? あっちになにかあるか ? |
キール | どうしたんだよ。そんなに険しい顔して―― |
メルディ | ! 風に飛ばされるよ~ ! ! |
キール | な、なんだこの強風…… ! |
キール | ! 今度は風と逆向きに木が揺れてる……。 |
メルディ | ここ、なんかヘン ! |
キール | ああ。明らかに自然現象じゃない。何かの力が働いてる。 |
クィッキー | クィッ、クキュキュキュ、クィッキー ! |
メルディ | ! 見て、キール ! |
キール | これは……クレーメルケイジ ?いや、その残骸と言ったほうが正しいか。 |
キール | 完全に壊れていて、何かに影響を与えることはなさそうだが……問題はそこじゃない。 |
メルディ | ? どしたか ? |
キール | 『誰がここに持って来たか』だ。こんなもの、この世界にいくつもあるわけじゃない。 |
メルディ | !そっか、誰か、落としたか ? |
キール | ああ。意図的に置いたわけではなさそうだ。 |
キール | だが、この森に起こっている現象とクレーメルケイジが無関係とも思えない。 |
クィッキー | クィッキー ! |
メルディ | あっち !あっちから気配がするみたい ! |
キール | 行ってみよう。厄介なことになっているかもしれないから油断はするなよ。 |
メルディ | うん !クィッキー、案内お願いな ! |
クィッキー | クィッキー ! |
キャラクター | 3話【呼び声3 森での遭遇】 |
しいな | 洞窟ってのは、こっちで合ってるのかい ? |
クラース | ああ。先ほどより微精霊が増えている。密度も濃くなっているな。 |
しいな | 密度、ね……。その洞窟に集合でもしてるのかね。 |
クラース | そう考えるのが妥当だな。問題は、なぜこんなことが起きているか、だ。 |
しいな | ああ。ここに来るまで不思議な現象の話はあちこちで聞いたけど。 |
しいな | 帝国の残党が関わっているような情報はなかったんだよね。 |
クラース | 私も、戦いが終わった後に色々と調査していたがこの近辺で帝国の残党が動いている様子は確認出来なかった。 |
クラース | よほど隠れて行動しているというのなら話は違うかもしれんが……。 |
しいな | さすがに考えづらいだろうね。今の連中に、そこまで統率の取れた動きは出来ないだろうし。 |
クラース | ああ。今はならず者が暴れているだけという印象だからな……。 |
しいな | となると、他に原因として考えられるのは ? |
クラース | 正直、わからん。そもそも私が調査を行っているのも、様々な現象の発生原因を探るのが目的だからな。 |
クラース | 帝国との戦いが終わり、この世界はまたひとつの変化を遂げたと言ってもいい。 |
クラース | 特に、精霊やそれに近しい存在がこの世界へエンコードされたことで、どの程度の影響を受けたのかはまだまだ未知数だ。 |
しいな | それを調べようってのかい ?そりゃまた途方もない話だねぇ。 |
クラース | 研究とはそういうものだ。見えない答えを探し続ける行為だな。 |
しいな | あたしもそういうのには慣れてるかと思ってたけど全然スケールが違ったよ。 |
クラース | ははっ。まあ、ほとんど趣味のようなものだ。 |
クラース | とはいえ、未知な部分が多いということは今後身の回りで何が起こるかわからないということでもある。 |
クラース | こうして研究を続けていけば、もしものときに役立つかもしれないからな。 |
しいな | 確かにね。今がまさにその『もしものとき』だろ ? |
クラース | そういうことになるな。 |
クラース | っと、ここだ。 |
しいな | この洞窟かい。……見た目は、特に変わったところはないね。 |
クラース | ああ。だが、計測器はこれまでに見たこともないような数値を叩き出している。 |
しいな | そんなにすごい数の微精霊が集まってるっていうのかい ? |
クラース | それもある。しかし……これは、もっと大きな力が存在しているのかもしれない。 |
しいな | 大きな力…… ? |
クラース | ああ……まだこの世界で出会っていない精霊という可能性もある。 |
しいな | なんだって ? それは―― |
二人 | ! ! |
クィッキー | クィッキー ! |
しいな | わっ、あんたは……。 |
メルディ | クィッキー、待ってよー ! |
キール | はぁ……はぁ……そ、そんなに急いで……い、行くな、って…… ! |
クラース | やっぱりメルディとキールも一緒か。 |
キール | ん ? クラースとしいな ? |
メルディ | ワイール ! お久しぶりだなー。二人とも、何してるか ? |
しいな | そりゃ、こっちの台詞さ。って、この会話さっきクラースともしたね。 |
クラース | まあ、こんな森の中で偶然会えばそう言いたくなるさ。 |
クラース | 我々は微精霊の異常な気配をたどってきたんだ。そして、この洞窟の奥に強大な力が存在することをデータが示している……といったところだな。 |
メルディ | それ、クレーメルケイジか ? |
しいな | え ? |
メルディ | メルディたち、さっきこれ拾ったよ ! |
キール | 壊れたクレーメルケイジだ。もう精霊を捕らえる効果もない。 |
キール | 妙な気配に騒ぎ出したクィッキーが見つけたんだ。それから気配を追ってここに来たというわけさ。 |
クラース | ふむ……どうやら我々が追っているものは同じようだな。 |
キール | ああ。ぼくもそう思う。 |
メルディ | クラースとしいなも洞窟の中、入るか ? |
しいな | そのつもりだよ。異変のひとつひとつは小さなことだったけどどうやらそれだけじゃなさそうなんでね。 |
メルディ | キール、メルディたちも―― |
キール | もちろん、調査すべきだろう。 |
クラース | なら話は早い。このまま共に―― |
クラース | ん ? ちょっと待ってくれ、魔鏡通信だ。 |
フィリップ | 突然連絡してすまない。少し頼みがあるんだ。 |
クラース | フィリップ ? |
キャラクター | 4話【呼び声4 調査依頼】 |
フィリップ | あれ ? クラース……だけじゃないのか ? |
クラース | ああ。しいなとキール、それにメルディが―― |
クィッキー | クィッキー ! |
クラース | ……と、クィッキーが一緒にいる。精霊の気配をたどってきたところで合流したんだ。 |
フィリップ | 精霊の……もしかして、この場所じゃないか ? |
しいな | あ、この森の地図じゃないか ! |
メルディ | ここに洞窟、あるよ !どうしてメルディたちが場所、わかったか ? |
フィリップ | ちょうどその森について連絡をしたくてね。地図の、印がついている洞窟の奥……。 |
フィリップ | そこに大量の微精霊が集合しているというデータが出ているんだ。 |
クラース | 我々がここへ来た理由と同じだな。 |
キール | ぼくとメルディも似たようなものだ。しかし、これだけ異常が観測されているということは何かが起ころうとしている…… ? |
フィリップ | 僕たちは、そう読んでいる。 |
しいな | 僕……たち ? |
フィリップ | 今、一足先にヨウ・ビクエがその洞窟を調査しているんだ。 |
しいな | ヨウ・ビクエ ! ? |
クラース | 彼女まで動いているのか……。 |
フィリップ | ああ。微精霊が集まっているだけならそれほど気にはとめなかった。 |
キール | 精霊片吸引器で集めたりもしているしな。 |
クラース | だが、現に異変は起きているんだ。まだ『怪奇現象』のレベルではあるが……。 |
フィリップ | そうなんだ。これが暴走でもしたら、世界のバランスが崩れる可能性もある。 |
メルディ | それはたいへん ! |
クィッキー | クィッキー ! |
フィリップ | ああ。だからこそ、ダーナの巫女であるヨウ・ビクエが調査に向かったんだ。 |
フィリップ | その結果、一人では手に余ると判断した。 |
クラース | それで私に連絡してきたということか。 |
しいな | 精霊の研究といったらやっぱりクラースだろうしね。 |
フィリップ | しいなやキール、メルディもいるなら言い方は悪いかもしれないけど、ちょうどいい。 |
フィリップ | どうか、ヨウ・ビクエに力を貸してくれないだろうか。 |
クラース | それは願ったり叶ったりだ。どちらにせよ、我々はこの洞窟に入るつもりだったからな。 |
キール | 彼女と一緒に行動すれば精霊のこともより深く知れるかもしれない。 |
しいな | ヨウ・ビクエには色々助けてもらったしね。今度はこっちの番さ。 |
メルディ | メルディたち、ヨウ・ビクエが手伝いするよ ! |
クラース | というわけで、満場一致だ。 |
フィリップ | ありがとう。こちらが持っている情報は後ほど送るよ。 |
しいな | それで、ヨウ・ビクエはどこにいるんだい ? |
フィリップ | 洞窟を入って少し進めば会えると思う。応援が来るまでは、浅いところだけ調査すると言っていたから。 |
しいな | ってことは、すぐにも合流出来そうだね。 |
メルディ | ヘンな感じ、ほっとけないよ。早く行こー ! |
クィッキー | クィッキー ! |
フィリップ | こちらからも、クラースたちのことは伝えておく。急な話で悪いけど、よろしく頼むよ。 |
クラース | ああ。すぐに向かおう。では。 |
しいな | これは大事になってきたね。 |
キール | クレーメルケイジの残骸も、関係しているかもしれない……。 |
キール | 人為的な可能性があることも視野に入れて行動するべきだな。 |
しいな | そうだね。何が起こるかわからないし注意して動こう。 |
クラース | ……データが送られてきた。ひとまずヨウ・ビクエと合流しよう。 |
メルディ | はいな ! |
キャラクター | 5話【呼び声5 微精霊が集う地】 |
クラース | 恐らく、ヨウ・ビクエはこのあたりに―― |
ヨウ・ビクエ | あ、こっちよこっち ! |
ヨウ・ビクエ | 突然呼び出しちゃって悪かったわね。でも、来てくれて助かったわ。 |
クラース | いや、我々もここを調べるつもりだったからな。むしろあなたの力を借りられて、助かるくらいだ。 |
ヨウ・ビクエ | そう、ならよかったわ。 |
しいな | いったいここは、どうなってるんだい ? |
ヨウ・ビクエ | 今のところ、この辺りはさほど異変はないの。だから一人でも入って来られたんだけど……。 |
ヨウ・ビクエ | 問題は、この先よ。階段があるんだけど、ちょっと嫌な気配がしてるのよね……。 |
キール | 階段 ?この洞窟は人工物だったのか。 |
ヨウ・ビクエ | どこかの世界の人工物が具現化されたものというのが正確かしら。それを都合よく利用していたのかもしれない。 |
ヨウ・ビクエ | 今は放棄されているけれど誰かが使っていた痕跡があったわ。 |
しいな | それは、かつての帝国の連中かい ? |
ヨウ・ビクエ | 恐らく。確認したけど、救世軍はここの存在を知らなかったみたいだから。 |
クラース | 今は誰もいないと言っても、帝国関連となるとますます油断はできないな。 |
ヨウ・ビクエ | まあ、そういうわけだから戦力がほしかったのよ。とりあえず、奥に向かいましょ。 |
キール | そういえば、ヨウ・ビクエは今フィリップと一緒に行動しているのか ? |
ヨウ・ビクエ | ええ。彼、新体制を作ろうとして一生懸命になってるから。でもほら、あの性格じゃない ? |
ヨウ・ビクエ | 頑張ろうとすればするほど、無茶もしちゃいそうで。だから手伝ってるってわけ。 |
しいな | ああ……なんか、目に浮かぶよ。集中すると周りが見えなくなるタイプだろ ? |
メルディ | キールと一緒 ! |
キール | ぼ、ぼくはそこまで無茶をするタイプじゃないだろう ! ? |
しいな | いやー、どうだろうねえ ?学者っていうのはほんっと、周りが見えなくなる生き物だからね。 |
クラース | はは……私は正直、あまり否定出来ないな……。 |
ヨウ・ビクエ | ふふ。まあ、夢中になれるものがあるのはいいことよ。身体に気をつけてさえくれればね。 |
全員 | ! |
クィッキー | クキクキ、クィッキーッ ! ! |
メルディ | 今、なんかヘンな感じがしたよー。 |
クラース | 計測器も、とてつもない数の微精霊を示している……その影響か ? |
ヨウ・ビクエ | ええ。塊のような微精霊が通り過ぎていったわ。吸い寄せられるみたいに。 |
しいな | 吸い寄せられる、ね……。まるで精霊片吸引器みたいじゃないか。 |
ヨウ・ビクエ | それ、当たらずとも遠からずって感じよ。 |
しいな | え ? |
ヨウ・ビクエ | この奥に、不自然なほど大きな力を感じるの。微精霊はそこに吸い寄せられているみたい。 |
クラース | なるほど……大きな力、か。だが、妙だな。 |
メルディ | みょう ? |
クラース | 先ほどから、どことなく懐かしい気配がする。 |
しいな | 懐かしい…… ?会ったことがある感じかい ? |
クラース | ああ、恐らく。私の世界に存在していた精霊がエンコードされてここにいるのだろうか……。 |
ヨウ・ビクエ | あるいは、あなたと縁のある精霊という可能性もあるわね。 |
キール | そうか。縁のある存在なら、懐かしいと感じるのもあり得る話だな。 |
メルディ | それに、微精霊たち、優しい ! |
しいな | そういや、街でも森でも攻撃的な気配を感じたことはなかったね。 |
しいな | 首を撫でられた、なんて怪奇現象は起きてたみたいだけど。 |
メルディ | じゃあ、心配ない ? へーき ? |
キール | いや、平気ではないだろうな。 |
メルディ | なぜか ? |
キール | 今は直接的な危険はないかもしれない。だが、小さな不安が重なれば人は疑心暗鬼になっていく……。 |
キール | それが治安の悪化に繋がり今度は人が微精霊に悪影響を及ぼすという可能性もあるからな。 |
ヨウ・ビクエ | そうなのよね。結局のところ、人の心が一番怖いのよ。 |
クラース | どこかで聞いたような話だな……。 |
しいな | 人の心、か……。 |
ヨウ・ビクエ | そういうわけだからサクッと解決しちゃいたいの。 |
ヨウ・ビクエ | さあ、ガンガンいきましょ~ ! |
キール | そこそこ深刻な話をした割に、ノリが軽いな……。 |
しいな | ま、それくらいの方が気負わなくていいのかもね。 |
キャラクター | 6話【呼び声6 洞窟の奥へ】 |
メルディ | …………。 |
しいな | どうしたんだい、メルディ。キョロキョロして。 |
メルディ | ここ、なんかキレイ。 |
しいな | キレイ ? |
キール | 神聖な雰囲気、って言いたいのか ? |
メルディ | それ ! |
しいな | 今のでよくわかったね……。言われてみれば納得だけど。 |
クラース | ああ。たしかに『洞窟』というより『神殿』と呼んだほうがしっくりくる雰囲気だな。 |
ヨウ・ビクエ | それ、言い得て妙かもしれないわ。たぶん、この奥にいる精霊がそういう空気を作っているんだと思うの。 |
ヨウ・ビクエ | 空気がピリッとしているというか王者感が漂うというか……。 |
ヨウ・ビクエ | だからキレイとか神聖って感想が出るんじゃないかしら。 |
しいな | なるほど……。けど、それだけすごいもんが待ってるってことだよね……。 |
メルディ | 強い精霊、メルディたちがこと、待ってる ? |
ヨウ・ビクエ | ええ、恐らく。 |
しいな | (強い精霊……。またか……) |
しいな | (……いや、ここで怯えてどうするんだ。ロイドやコリンが教えてくれただろう。あたしは――) |
キール | なら、いっそう気を付けないと―― |
全員 | ! ? |
しいな | 魔物……いや、光魔 ! ? |
光魔 ? | ……ウゥ~……ハルルルルル。 |
キール | なんでこんなところに光魔が ! ? |
ヨウ・ビクエ | 違うわ、これは微精霊よ ! |
キール | なんだって ! ? |
ヨウ・ビクエ | 微精霊が光魔の形を真似ているんだわ。だから攻撃してくることは―― |
光魔 ? | ……ウゥ~……ハルルルルル ! |
全員 | ええっ ! ? |
クラース | 普通に攻撃してきたな ! ? |
ヨウ・ビクエ | ええ~、私がいるのに ? |
キール | そんな理由で攻撃しないのか…… ?いや、『それでも攻撃してきた』と考えるのなら―― |
光魔 ? | …………ヲ…………ル…………。 |
クィッキー | クイッ ! |
メルディ | 光魔、何か言ってる ! |
光魔 ? | …………ヲ、マモル…………。 |
キール | 守る ? 一体何を…… ? |
光魔 ? | マモル…………マモル………… ! |
しいな | ちょっと待ちな ! あたしたちは危害を加えるつもりじゃ―― |
光魔 ? | マモル………… ! マモル………… ! |
クラース | 話が通じる状況ではなさそうだ…… ! |
しいな | どうも会話のできない精霊ってのは苦手だよ。けど、そうも言ってられないね。ちょっと眠ってもらうしかないか―― |
光魔 ? たち | マモル………… ! マモル………… ! |
メルディ | バイバ ! たくさんなったよ ! |
キール | な、なんだこの数は ! |
クラース | この洞窟には大量の微精霊が集まっている。それらがすべて形作ればこうもなるだろう。 |
キール | そ、そうか……。 |
キール | って、納得している場合じゃないな。とにかく、全員で攻撃すれば―― |
ヨウ・ビクエ | 大人しくしなさい ! |
四人 | ! ? |
メルディ | みんな消えたよ ! |
キール | ヨウ・ビクエの力か ! ? |
ヨウ・ビクエ | ふふ、そう。峰打ちよ ♪ |
しいな | 峰打ちって……。 |
ヨウ・ビクエ | まあ、それは冗談だけど私の力をぶつけて少し散らしただけ。消滅はしてないわ。 |
キール | な、なるほど……。相変わらず規格外の力だな……。 |
メルディ | ワイール ! カッコイイな ! |
ヨウ・ビクエ | ふふっ、ありがと。それじゃ、先に進みましょうか ! |
ヨウ・ビクエ | しいな、顔色が悪いけれど大丈夫 ? |
しいな | あ、ああ。大丈夫だよ。心配ないサ。 |
しいな | (雷の神殿の時と今の状況を重ねちまってたのか。あの時のことは乗り越えた筈だろ。しっかりしないと) |
しいな | さて、行こうかね ! |
キャラクター | 7話【呼び声7 行く手を阻むもの】 |
メルディ | 行こー ! |
クィッキー | クィッキー ! |
メルディ | 進むよ~ ! |
しいな | ………… ? |
メルディ | 行こ~、行こ~ ! |
しいな | …………。 |
メルディ | どんどん―― |
しいな | ちょっと待った ! |
メルディ | ? どーかしたか ? |
しいな | さっきからあたしたち、同じ場所をグルグル回ってるみたいだよ。 |
四人 | えっ ! ? |
しいな | そこの岩に、文字が書いてあるだろ。 |
クラース | これか ?……今日の日付と、しいなの名だ。 |
キール | いつの間に書いてたんだ ! ? |
しいな | さっき通りがかったときにどうもヘンだと思ってね。精霊のいる場所には色々と仕掛けがあるものだし。 |
ヨウ・ビクエ | しいな、お手柄よ。これはさすがに疑いようがないわ。 |
しいな | (……うん。あたしはやれてる。あの時とは違う。強い精霊がいても言葉の通じない相手がいても、あたしはもう――) |
メルディ | でも、なんでグルグルしたか ? |
ヨウ・ビクエ | これも、微精霊の仕業かもしれないわね。さっき、光魔の姿になって攻撃してきたのと同じように今度は先へ進めなくしたってところかしら。 |
クラース | 何がなんでも洞窟の奥へは行かせたくないということか……。 |
キール | そうみたいだな。さて、どうやって進むか。 |
メルディ | ヨウ・ビクエ、またバーってやって微精霊どかせるか ? |
ヨウ・ビクエ | そうね。申し訳ないけどその手を使わせてもらって―― |
しいな | うわっ ! |
クラース | ! ? どうした ! ? |
しいな | この壁 !今、あたしの手を掴んできて……。 |
クラース | 壁が ? |
しいな | ああ。あたしのことを足止めしようとしたんだろうけど……。 |
しいな | …………。ちょっと離れててくれるかい ? |
クラース | わかった。みんな、少し下がろう。 |
しいな | 生吸符 ! |
メルディ | ワイール ! 道が出来たよ ! |
ヨウ・ビクエ | 微精霊の力を奪って一時的に眠らせたのね。いい腕じゃない。 |
しいな | あんたに任せっぱなしじゃあたしたちが何しに来たのかわかんないしね。 |
メルディ | これで、奥、行けるな ! |
キール | 念入りに行く手を阻んでたんだ。きっとこの先に何かあるはずだ。 |
クラース | ああ、近づいているのは間違いない。行くぞ。 |
ヨウ・ビクエ | …………。 |
クラース | どうした ? 足を止めて。 |
ヨウ・ビクエ | ……ちょっと、気になってたんだけど。さっきの壁ってどうやって作られたと思う ? |
クラース | さっきの……微精霊が作った壁のことか。 |
ヨウ・ビクエ | ええ。 |
クラース | そうだな……。壁も、光魔も基本的には同じ原理だと思う。 |
クラース | この周辺にあるアニマを収集・再構築し『触れることの出来る幻』を作っていたのだろう。 |
ヨウ・ビクエ | 『触れることの出来る幻』ね……。 |
キール | ぼくも似たような見立てだ。具現化とは異なる理論だと思うが、アニマの流れを微精霊が操作していたのは確かだろう。 |
ヨウ・ビクエ | その理論って、もう少し研究したらフィリップの病気を治すことに役立てられないかしら ? |
二人 | ! ! |
クラース | 確か、フィリップの病気はアニマ汚染によるものだったな……。なら、アニマの流れを操ることは治療のヒントになり得る。 |
キール | 問題は、精霊と同じことを人間に再現出来るか……。 |
クラース | 精霊が具体的にどのように力を使っているのか本腰を入れて研究してみるのはどうだ ? |
キール | そうだな。それがわかれば人間でも同様の現象を起こせる方法が見つかるかもしれない。 |
キール | 例えばこの壁を―― |
メルディ | 待って待って !今は奥、強い精霊がとこ行くよー ! |
二人 | ! ! |
しいな | メルディの言う通りだよ。今は近くまで迫ってる異変のほうを片付けちまわないかい ? |
ヨウ・ビクエ | そうね、ごめんなさい。私が関係ない話をしてしまったから。 |
クラース | だが、面白い視点だった。良い研究テーマになりそうだ。 |
キール | ぼくも気になるところだな。ここの調査が終わったら本格的に研究を進めてみるか。しかし……。 |
キール | なぜ、フィリップの病気の件を ? |
ヨウ・ビクエ | ええ……実はね、フィリップと一緒に行動しているのは手助けだけが目的じゃないの。 |
しいな | もしかして、フィリップの病気を治すために ? |
ヨウ・ビクエ | ……彼、なかなか酷いことをしたじゃない ?とても許されるものじゃないわ。 |
しいな | ……そうだね。 |
ヨウ・ビクエ | それでも、全部抱えたうえで『生きよう』って覚悟を決めたのよ。 |
ヨウ・ビクエ | だったら、初代ビクエとしてはその覚悟に応えたいと思ったの。ビクエを継ぐ大事な後輩だしね。 |
キール | そうか……うん。ぼくもそれは、いいことだと思う。 |
メルディ | メルディも !がんばるの、応援したいよー ! |
クィッキー | クィッキー ! |
ヨウ・ビクエ | ありがとう。力を貸してもらえるなら嬉しいわ。 |
ヨウ・ビクエ | 私も縁があってこの時代に目覚めたわけだから皆の力になりたいのよ。 |
ヨウ・ビクエ | まあ、初代ビクエにして太陽神ダーナの巫女でもある私が持てる知識を―― |
全員 | ! ? |
メルディ | 今、なんかすごい力、感じたよ ! |
キール | ああ。一体何が―― |
ヨウ・ビクエ | ……オリジン。 |
キール | え ? |
ヨウ・ビクエ | この気配……オリジンだわ ! |
キャラクター | 8話【呼び声8 ビクエの提案】 |
キール | オリジン ! ?オリジンが、この奥にいるって言うのか ! ? |
ヨウ・ビクエ | ええ。間違いないわ、この気配……。でも、どうしてこんなところに……。 |
クィッキー | クィッキー ! |
メルディ | なんか、聞こえるよ ! |
しいな | ああ……。正直、何言ってんのかわかんないけど―― |
ヨウ・ビクエ | 助けて。 |
しいな | え ? |
ヨウ・ビクエ | 助けて、って言ってるわ。この奥にいる、オリジンを。 |
クラース | オリジンを助けて、か……。一体どうなっているんだ。 |
クィッキー | クイッ ! クキュウユユユキュ。 |
メルディ | バイバ ! 見て、あれ ! |
キール | あれは、クレーメルケイジか ! |
しいな | は ? なんだってこんなところに……。 |
キール | ……調べてみる。ちょっと時間をくれ。 |
クラース | どうだ、わかったか ? |
キール | ああ、だいたいな。これは、『元』クレーメルケイジと言ったほうがいいみたいだ。 |
メルディ | もと ? |
キール | そうだ。過去に何らかの影響を受けて本来とは違う性質に変容したんだと思う。 |
キール | 恐らく、これを仕掛けたのはグラスティンだ。 |
しいな | わかるもんなのかい ? |
キール | あちこちに性格の悪いギミックがあるからな。 |
しいな | ああ、そういう……。 |
クラース | 帝国との戦いでは、世界そのものが大きく変わるような事象も多々あった。 |
クラース | そのクレーメルケイジに強い負荷がかかって変容したというのはあり得る話だな。 |
キール | しかもこれは、時限式のものみたいだ。 |
メルディ | なんで今、動いてるか ? |
キール | もともとはこの間の戦いのときに発動するように仕掛けられていたんだろうがグラスティン本人がいなくなってしまったからな……。 |
キール | 制御も目的も失われたところに異変が重なっていったんだろう。 |
クラース | 世界の変革など様々な要因が絡み合った結果今になって発動したのか。 |
しいな | ヨウ・ビクエ、オリジンの気配は感じるかい ? |
ヨウ・ビクエ | ええ……このクレーメルケイジから感じるわ。 |
ヨウ・ビクエ | ただ、感じるのはそれだけじゃなくて―― |
メルディ | バイバ ! またなんか通った ! |
ヨウ・ビクエ | 微精霊よ !今、ものすごい量がクレーメルケイジに吸い込まれていったわ ! |
しいな | ッ ! ちょっと、何か光ってるよ ! ? |
クィッキー | クィッキー ! |
メルディ | 光の球、当たるとこだったよ ! |
クラース | まずいな、我々を敵だと認識しているようだ。 |
しいな | あたしらはどうにかして助けよう思ってるんだけどねぇ……ま、区別は付かないか。 |
キール | ! うかつに動くのは危険だな…… ! |
クラース | クレーメルケイジの仕組みはわかったのか ? |
キール | ハロルドがクレーメルケイジを利用した防御壁を作ったとき、一緒にいたからな。こっちの世界でも基本的な構造は変わらなかった。 |
キール | そのうえで調べた感じだと、吸収された微精霊を解放しないかぎり状況が好転することはなさそうだ。 |
しいな | って言っても、中にオリジンが閉じ込められてるんだろ ! ?だったら慎重に開けないと―― |
? ? ? | いや……問題ない。 |
しいな | ! ? 今の声は―― |
ヨウ・ビクエ | オリジン ! |
オリジン | ……手間をかけているな、ヨーランド。 |
ヨウ・ビクエ | いえ……むしろ、あなたには色々と負担を強いてしまっているでしょう ? |
オリジン | そうでもない……と言いたいところだがここに囚われた状態では説得力がないな。 |
しいな | はは、確かにね……。 |
オリジン | このクレーメルケイジは、大量の微精霊を取り込んで強化された状態にある。故に、そう簡単には破壊出来ないだろう。 |
オリジン | だが、それだけ頑丈でもあるということだ。皆で全力で攻撃を行い、わずかでいい傷を入れてもらいたい。 |
オリジン | その状態に至れば、我を召喚することでクレーメルケイジをこじ開けることが出来るだろう。 |
キール | ものすごい力業だな……。 |
しいな | それに契約なしで召喚できるのかい ? |
オリジン | 非常時だ。召喚に応じる用意はある。 |
メルディ | ワイール ! でも時間ないよ ! |
ヨウ・ビクエ | ええ。これ以上微精霊が集まると手が付けられなくなるかもしれないわ。 |
クラース | やるしかなさそうだな。オリジンの召喚は私が引き受けよう。 |
クラース | まずは、全員でクレーメルケイジを攻撃するぞ ! |
キャラクター | 9話【呼び声10 オリジンの召喚】 |
しいな | よしっ ! 上手い具合にヒビが入って―― |
しいな | ッ ! ? |
ヨウ・ビクエ | まずいわ……閉じ込められていた微精霊が吹き出してきてる ! |
しいな | 崩れる ! ? |
ヨウ・ビクエ | そうはさせないわっ ! |
メルディ | 揺れ、止まったよ ! |
キール | 壁面を強化したのか ! |
ヨウ・ビクエ | ええ。でも、押さえ続けないと崩れてしまいそうよ。 |
メルディ | 早くクレーメルケイジ止めるよ ! |
しいな | まったく……。精霊って奴が絡むとどうしてこう綱渡りなのかね……。 |
ヨウ・ビクエ | しいな…… ? |
しいな | (最初は里のみんなを……。その次はコリンを……。あたしはいつだって精霊に振りまわされてきた) |
しいな | (今だってそうサ。けど――) |
しいな | とにかく、この微精霊を少しでも抑えたいね。何か方法はないかい ? |
ヨウ・ビクエ | ………………。 |
ヨウ・ビクエ | キール、メルディ、あなたたちのクレーメルケイジを使って ! フリンジすればある程度の微精霊はコントロール出来るはずよ ! |
二人 | ! |
キール | なるほど、微精霊を取り込めるだけ取り込みさらにフリンジして―― |
メルディ | はいな ! ここにいる精霊たちに協力してもらう ! |
キール | よし ! それじゃあ―― |
二人 | ! ? |
ヨウ・ビクエ | キール ! メルディ !微精霊の攻撃が ! |
しいな | 危ない ! |
しいな | 風刃縛封 ! ! |
メルディ | あぶなかったぁ。しいな、ありがとな ! |
キール | ああ、おかげで助かった…… !でも、今の光は―― |
しいな | また何か研究ネタでも思いついたのかい ?悪いけど、そいつは後回しにしとくれ ! |
キール | いや、そうじゃない !今のは浄玻璃―― |
ヨウ・ビクエ | キール、それは後で説明してあげましょう。 |
しいな | (――あたしだって昔のあたしじゃない。ロイドたちに助けられて、知らない世界に来てもこうして一緒に戦える仲間がいる) |
しいな | 微精霊はあたしが黙らせる。その間に、キールとメルディはフリンジを ! |
二人 | わかった ! |
しいな | クラースはフリンジが成功した瞬間にオリジンの召喚を ! |
クラース | ああ、任せろ。 |
しいな | ヨウ・ビクエは一番負担になって悪いけどその間洞窟の崩壊を防いでもらえるかい ? |
ヨウ・ビクエ | ええ、もちろんよ。あなたたちを守り切ってみせるわ。 |
しいな | あたしだって、あんたたちを守ってみせるサ ! |
しいな | さあ、済ませるよ !降霊召符・火 ! ! |
しいな | 降霊召符・水 ! ! |
しいな | 降霊召符・風 ! ! |
しいな | 降霊召符・地 ! ! |
ヨウ・ビクエ | ふふ、しいなったら。自分が今どんな力を使っているかわかっていないのね。 |
ヨウ・ビクエ | さあ !キール、メルディ、今よ ! |
キール | ああ ! いくぞ、メルディ ! |
メルディ | はいな ! |
二人 | フリンジ ! ! |
ヨウ・ビクエ | 微精霊の力が弱まったわ ! |
メルディ | ワイール !新しい力、ここに入ったよー ! |
キール | ああ。ぼくたちの世界のフリンジと同じように新しい術を発生させられた ! |
クラース | よし、次は私の番だな。 |
クラース | 我、今、根源の精に願い奉る。指環の盟約のもと、我に精霊を従わせたまえ…… ! |
クラース | 我が名はクラース ! |
オリジン | ……解放されたか。 |
ヨウ・ビクエ | ええ !無事クラースの元に召喚できたみたいね。 |
しいな | よかったよ ! これで微精霊が集まってくることも―― |
全員 | ! ? |
光魔 ? | ……ウゥ~……ハルルルルル。 |
クィッキー | クィッキー ! ! |
メルディ | バイバ ! ? おっきいの、出てきたよ ! |
しいな | クレーメルケイジは壊れたんだよね ! ? |
ヨウ・ビクエ | 壊れたから、だわ。今まで閉じ込められていた微精霊が解放されて、暴走しているの ! |
クラース | そういうことか……。だが、これを鎮めさえすれば全て終わるということだな ? |
オリジン | そうだ。この微精霊は我が力に反応し吸い寄せられてきた……。 |
オリジン | それ故の暴走。収めるため、我が力を使うがいい。 |
クラース | そうだな。早速手を貸してもらうぞ。 |
クラース | 微精霊を鎮めよう。 |
キャラクター | 10話【呼び声10 オリジンの召喚】 |
クラース | ふぅ……なんとかなったようだな。 |
ヨウ・ビクエ | ええ、そうね。あとはこの洞窟をどうするか、だけど……。 |
しいな | まさか、あんたが術を解いたら崩壊するなんてことは―― |
ヨウ・ビクエ | まさにその通りよ。うーん、困ったわね~。 |
キール | 困ったと言う割に軽いな……。 |
ヨウ・ビクエ | ええ~、これでも本気で困ってるのよ ?これたぶん、洞窟を作り直すくらいしないと脱出前に潰されちゃう気がするのよね。 |
キール | やっぱり深刻さの割に軽いだろう ! ?しかし、それは本当にまずいな……。 |
しいな | なんとか支えてもらいながら逃げるって感じかね ?ヨウ・ビクエには負担掛けちまうけど。 |
ヨウ・ビクエ | そうね、それが現実的かしら―― |
オリジン | いや。 |
クラース | ん ?何かあるのか、オリジン。 |
オリジン | 我が、洞窟を創造する。再構築する、と言ったほうが正確かも知れないがな。 |
メルディ | ワイール ! そんなことできるか ! ? |
オリジン | 我の力をもってすれば、容易い。だが……。 |
しいな | 問題でもあるのかい ? |
オリジン | クレーメルケイジに囚われている間に力を少々奪われている。 |
オリジン | やがて元には戻るが、悠長なことを言っている場合ではないだろう。 |
ヨウ・ビクエ | 確かに、そうね……。なら、私が力を貸すわ。 |
ヨウ・ビクエ | 私がオリジンと共に術を使う。あなたと私、二人分の力があれば洞窟くらいパパッと元に戻せるでしょう ? |
オリジン | ああ、そうだな。 |
しいな | なかなか壮大な話をしてるよね、これ……。 |
キール | 力の尺度が違いすぎて頭が痛くなるな……。 |
ヨウ・ビクエ | ふふっ、私、規格外だから ♪ |
ヨウ・ビクエ | それじゃあ、始めましょう。この洞窟を、元通りに ! |
オリジン | ああ。いくぞ―― |
メルディ | ワイール ! 外に出られたよー ! |
クィッキー | クィッキー ! |
しいな | いやー、どうなることかと思ったけど無事に解決してよかったよ。 |
ヨウ・ビクエ | ええ。あなたたちのおかげで無事にオリジンを助け出すことができたししいなはオーバーレイを獲得したし。 |
しいな | ああ ! |
しいな | ………………え ?オーバー……なんだって ? |
クラース | 気付いていなかったのか ?浄玻璃鏡が光っていただろう。 |
しいな | え ? え ? ええ ! ? |
メルディ | しいな、よかったな ! |
しいな | い、いつの間に ! ?っていうか、みんなは気付いてたのかい ! ?なら教えてくれてもよかっただろう ! ? |
キール | 教えようとしたのに聞かなかったのはしいなの方じゃないか。 |
しいな | そ、そんな……。オーバーレイって鏡が光って、みんな格好良く力を引き出すやつだろ ?なんだってあたしの時はさらっとしてるのサ ! |
キール | そういえば、浄玻璃鏡が二度光ったように見えたが……。 |
ヨウ・ビクエ | 正確に言うと、しいなの浄玻璃鏡は洞窟に入ったときから光り始めていたわ。 |
ヨウ・ビクエ | きっとしいなは今回の事件の間自分の心と対話して、何かを決意していた。それに鏡が少しずつ反応したのでしょうね。 |
しいな | ……ああ、それはそうかもしれないね。 |
しいな | あたしには乗り越えなきゃいけないことがあって似たような状況になると、つい色々考えちまうんだ。 |
ヨウ・ビクエ | それ、少しは克服できたんじゃないかしら ? |
しいな | そうだね。きっとまた少し……前に進めたんだと思うよ。 |
しいな | (そうだろ……コリン ?) |
ヨウ・ビクエ | それじゃあ、事件も解決したことだし―― |
クラース | ちょっと待て。まだ終わったわけじゃないぞ。 |
三人 | え ? |
クラース | 先ほどの、微精霊が変化していた現象について調査が済んでいないだろう。 |
キール | ああ。あれは、この世界のクレーメルケイジが何かしら作用していたと考えられる。 |
クラース | 環境の大きな変化もあるな。併せて調査することで新たな発見があるかもしれない。 |
キール | そうだな。それぞれのデータを集めて分析してみよう。 |
クラース | 精霊とその力の在り方を解明できればフィリップの病気を治す手段も見つかり得る。そこから更なる発展もあるだろう。 |
キール | これは、ぼくたちだけでなく、キール研究室のメンバーにも声をかけて様々な見解を聞いてみたい。どうだろうか ? |
クラース | もちろん賛成だ。そのためにも、もう少しデータを収集して―― |
しいな | やれやれ、こうなるともう止まらないね。 |
メルディ | ワイール ! 二人とも、楽しそう ! |
クィッキー | クィッキー ! |
ヨウ・ビクエ | ふふ、いいんじゃない ?フィリップの件に関しては私からお願いしたわけだしね。 |
しいな | それもそうか。時間はたっぷりあるし、二人の好きにすればいいよ。 |
ヨウ・ビクエ | そうだわ。あらためて、みんなにお礼を言わせて。本当にありがとうね !それと、これからもよろしく ♪ |