キャラクター | 1話【待ち合わせ】 |
ライフィセット | オスカー、そろそろ来る頃なんだけど……。 |
ロクロウ | オスカーって、あの聖寮の男だろ ?一体いつの間に仲良くなったんだよ。 |
ライフィセット | えっと、前にちょっと、色々あって……怪盗になったりとか……。 |
ロクロウ | 怪盗 ? |
ライフィセット | その話は、今度ゆっくりするよ !けど、思ったよりも話しやすい人だったよ。クワガタとかも好きみたいだし ! |
ロクロウ | お、クワガタが好きなら悪い奴ではなさそうだな。 |
ロクロウ | けど、なんでそいつと待ち合わせてんだ ? |
ライフィセット | それは―― |
オスカー | 遅くなってすまない、ライフィセット……と……。 |
ライフィセット | ロクロウだよ。さっきたまたま会って一緒に来たんだえっと……大丈夫、かな ? |
オスカー | ……この世界では、業魔も人間も変わらないことは理解している。いや……。 |
オスカー | もしかしたら、業魔が相手であろうと対話は出来たのかもしれないな。 |
ロクロウ | ははっ、そりゃどうだろうな !所詮、業魔は業魔。俺はどの世界だろうと斬るのが生きがい。それは変わらねえよ。 |
ライフィセット | で、でも、なんでもかんでも斬るとか、そういうのはないから…… ! |
オスカー | 大丈夫だ、わかっているよ。いずれにしても、この世界で生きていく以上味方が多いに越したことはない。 |
オスカー | ……姉上も、そう考えてくださると思っていたのだが。 |
ライフィセット | うん……昨日、ベルベットとテレサ様が顔を合わせたとき、なんだかピリッとした空気だったもんね。 |
オスカー | もう恨んだり嫌ったりはしていないと思うんだ。だが、やはり何か思うところがあるのだろうか……。 |
ロクロウ | なるほどな……つまり、お前らはベルベットとテレサに仲良くなってほしいわけだ。 |
ライフィセット | うん……もちろん『すっごく仲良し ! 』みたいなのは違うと思うし、そこまでじゃなくていいんだけど……。 |
オスカー | それでも、もしものときに姉上が頼りに出来る者が一人でも多ければいい……とは思っている。 |
ロクロウ | あいつらが仲良しねぇ……。 |
ライフィセット | この間は、一緒にごはん食べたんだよ ! |
ロクロウ | なら、またメシでも食ったらどうだ ?同じ釜のメシを食った仲、とか言うしな ! |
オスカー | そうだな……。ワンパターンかもしれないがそうやって少しずつでも親睦を深めていくべきか。 |
ロクロウ | なら、決まりだな。行こうぜ ! |
ライフィセット | へ ? 行くってどこへ…… ? |
ロクロウ | メシを食うならまず狩りだろ !近くにウリボアがいるからな、肉の調達だ ! |
オスカー | は ? なぜそんな―― |
ロクロウ | 座ってても肉は手に入らないぞ !さあ、狩りに出発だ ! |
キャラクター | 2話【姉たちの心配】 |
ベルベット | ……あんた―― |
テレサ | ベルベット……今日は、一人なんですね。 |
ベルベット | え ? ああ、フィーは出かけてるわよ。オスカーに会うって。 |
テレサ | たしかに、昨日連絡を取っているようでした。だからだったんですね。 |
ベルベット | どこに行くか、言わずに出てったわけ ? |
テレサ | ええ。わざわざ行き先や用事を聞き出すことはお互いしませんし……。 |
ベルベット | へえ。まあ、オスカーもいい年だものね。 |
テレサ | ええ。 |
二人 | …………。 |
マギルゥ | お ? なんじゃ、こっちもまた変わった組み合わせじゃのう。 |
テレサ | あなたは……。それに『こっちも』とは ? |
ベルベット | マギルゥ。あんた、フィーとオスカーに会ったの ? |
マギルゥ | 会ったというわけではないな。見かけただけじゃよ。 |
マギルゥ | 業魔と聖隷と人間、男三人どこ行くものぞ、とな。 |
二人 | 業魔 ? |
マギルゥ | ロクロウに決まっておろう。なんじゃ、聞いておらんのか ? |
テレサ | ……彼も一緒に会うという話だったのですか ? |
ベルベット | そんな話は聞いてないわ。そもそも、ロクロウがここにいるなんて知らなかったし。 |
マギルゥ | 何やら楽しそうに街を出て行ったぞい。虫捕りでも行くのかのう~。あ、いや、楽しそうなのはロクロウだけじゃったか。 |
ベルベット | ……待って。ロクロウだけが『楽しそう』だったの ? |
マギルゥ | それはもう嬉々と。いや鬼気と ? |
テレサ | つまり、オスカーとライフィセットは無理矢理連れて行かれたということですか ? |
マギルゥ | どうかのう ?お主んとこの弟は押しに弱いタイプかえ ? |
ベルベット | はぁ……それ、間違いなく暴走してるわね。あの男のことだもの……。 |
テレサ | そういう意味で確信を得ているのですね……。 |
二人 | …………。 |
ベルベット | さすがに命の危険があるとは思わないわ。けど……気になるわね。 |
テレサ | 私もです。念のため、様子を見に行きましょう。どちらに向かったかわかりますか ? |
マギルゥ | さてさてあっちかの~、こっちかの~ ?フィッチ・ウィッチ・フィッチ ? |
テレサ | どちらに向かったかわかりますか ? |
マギルゥ | 顔色も言葉も変えんとは……冗談が通じぬ奴じゃのう~……。あっちじゃ、あっち ! 森のほうじゃよ。 |
ベルベット | わかったわ。じゃあね、マギルゥ。 |
マギルゥ | ……しかし、本当に変わった組み合わせじゃ。案外、相性はいいかもしれんがのう。 |
キャラクター | 3話【森で見つけたもの】 |
テレサ | この森ですよね ?オスカーたちはどこに―― |
ベルベット | ! 見て、この地面。踏み荒らされてる。 |
テレサ | これは…… !毛と……血 ! ? |
ベルベット | この毛、魔物のものだわ。血も、おそらくそうね。 |
テレサ | 戦闘があったことは間違いなさそうですね。 |
ベルベット | ええ……フィーたちが怪我をしているとは思わないけれど……。 |
テレサ | 急いで確認しましょう。足跡は……あちらに続いています。 |
ベルベット | まったくロクロウの奴、面倒なことしてくれるわね。もう少し落ち着けないのかしら。 |
テレサ | 随分な言いようですね。仲間ではないのですか ? |
ベルベット | だからこそ、でしょ。ベタベタ褒め合うのが仲間っていうなら別だけど。 |
テレサ | ……なるほど。 |
ベルベット | 生真面目な反応ね。エレノアといい、聖寮ってみんなそうなの ? |
テレサ | どうでしょう……。シグレのような人もいますから……。 |
ベルベット | そういえばそうね……やっぱり問題はあの兄弟の血かしら。 |
テレサ | そうかも――ッ ! ? ベルベット、上 ! |
ベルベット | ! ? ウリボアが降ってきた ! ? |
テレサ | 既に息絶えているようですが……。 |
ロクロウ | どけどけ ! 踏んづけちまうぞ ! |
二人 | ッ ! ? |
ロクロウ | ははっ ! また一匹でっかいのを仕留めたぜ ! |
ライフィセット | あれっ ! ? ベルベットとテレサ様 ! ?なんで二人が一緒に……。 |
ベルベット | それはこっちの台詞よ。フィーとオスカーだけならともかく、ロクロウまで一緒に森に行ったって聞いて……。 |
テレサ | あなたたちの実力を疑っていたわけではありません。それでも、絶対に何事もないとは言えませんから。……まあ、杞憂で済んだようですけれど。 |
ロクロウ | 応 ! ただ狩りをしてただけだからな。紛れてた魔物も全部ぶった斬ってやったが。 |
ベルベット | 要するに、あんたが暴れたかっただけでしょ。……やっぱりね。 |
テレサ | あなたの言う通りでしたね、ベルベット。さすが、と言うべきか複雑な気持ちですが―― |
二人 | ……よかった。 |
ベルベット | ?なに笑ってんのよ、あんたたち。 |
テレサ | 何かいいことがあったのですか…… ? |
ライフィセット | うん……。二人が仲良しでよかったな、って。 |
キャラクター | 4話【穏やかな日々】 |
テレサ | ……なるほど。私とベルベットの関係が気になっていたと。 |
オスカー | はい。お節介とは思ったのですが……。 |
ベルベット | お節介というより、心配性すぎるんじゃない ?まあ、言いたいことはわかるけど。 |
テレサ | 私とベルベットは、険悪というわけではありません。 |
テレサ | 過去には色々とありましたが……もう争う理由もないですから。 |
ライフィセット | そっか……よかったぁ……。 |
ベルベット | そもそも、敵じゃないとしてもあたしとテレサが仲良しこよしにはならないでしょ。 |
ライフィセット | うっ……。 |
テレサ | 談笑する姿はあまり想像できませんね。 |
ロクロウ | 森に突っ込んできたときには仲良く見えたけどな。一緒に戦ってりゃ親友にでもなれんじゃねーか ? |
テレサ | それは何か違うような気も……。 |
ベルベット | ただの共闘じゃない。それで親友ってどんな理屈よ。 |
ロクロウ | いいじゃねえか、共闘 ! 太刀筋からわかることもある。 |
ベルベット | これだからあんたは……。 |
テレサ | 男の子はやんちゃだとは言いますが……。 |
ベルベット | 男の子って年じゃないわよ、こいつは。 |
ベルベット | ……まあ、あたしたちのことは心配いらないわよ。友達かは知らないけど、普通に会話くらいはするし。 |
ライフィセット | そっか……へへ、ちょっと考え過ぎちゃったねオスカー。 |
オスカー | ああ、どうやらそのようだ。 |
ベルベット | というか、あんたたちが仲良くなりすぎなのよ。別に悪い事じゃないけど。 |
テレサ | ええ。オスカーに友人が出来るのは、私としても嬉しいことですから。 |
ロクロウ | おい、そんなことより腹減らねーか ? |
ベルベット | あんた、ほんとマイペースね……。まあ、いいわ。これだけ肉もあるんだし戻って何か作るわよ。 |
ロクロウ | 頼むぜ ! 肉多めでな。 |
ベルベット | あんたたちも一緒でいいでしょ ?この肉、運ぶのも大変だし。 |
テレサ | そうですね……。では、皆で運んで、私も調理しましょう。 |
ベルベット | なんか、いつもこのパターンね。 |
ライフィセット | でも、僕はみんなでご飯食べるの嬉しいよ。 |
オスカー | 僕もです。姉上、ベルベット、感謝します。 |
ロクロウ | はっはっは !これで俺も同じ釜のメシを食った仲ってわけだな ! |
オスカー | ええ、そうですね。 |
ベルベット | なんか毒気が抜ける平和さよね……。とりあえず、帰りましょう。みんなで美味しいご飯を食べるために、ね。 |