キャラクター | 1話【Origin1 村の復興】 |
カイル | えっと……このあたりだと思うんだけど……。あっ ! きっとあの村だよ、リアラ ! |
リアラ | ふふっ、カイルったら。そんなに急がなくても大丈夫よ。 |
カイル | そうなんだけど、久々に会えると思ったら嬉しくてさ。クレスさんたち、元気にしてるかな~。 |
リアラ | 魔鏡通信文だと、村の人たちの復興作業を手伝っているみたいね。 |
カイル | うん。けど、やっぱりまだどこの大陸も大変なんだね。 |
リアラ | そうね、帝国との戦いが終わってもその被害がなくなったわけじゃないもの。 |
リアラ | だけど、セールンドでフィリップが言っていたようにまずは少しずつ良くなっていくようにしないとね。 |
カイル | よし ! じゃあ、まずはオレたちもクレスさんたちを見習って頑張らなきゃ ! |
チェスター | おっ、お前たち、もう着いてたんだな。 |
アミィ | お久しぶりです、カイルさん、リアラさん。 |
カイル | チェスターさん ! アミィ ! |
チェスター | ははっ、相変わらず元気そうだな、カイル。それに、リアラもここまで来るのは大変だったろ ? |
リアラ | ううん、カイルと一緒だったからあっという間だったわ。 |
チェスター | へぇ、そっちの仲も順調ってことか。おいカイル、後で詳しく聞かせてもらうぜ。 |
カイル | えっ ? どういうこと ? |
アミィ | もう、そんなこと言ったら二人が困っちゃうでしょ。ごめんなさい、うちのお兄ちゃんが余計なことばかり言って……。 |
カイル | う、うん…… ?オレは全然気にしてないから平気だよ。 |
カイル | それより、二人はどこかに行ってたの ? |
チェスター | ああ、周りの様子を見るついでにアミィが山菜を採りに行きたいって言ってな。その帰りにお前たちを見かけたってわけだ。 |
チェスター | ま、大したもてなしはできねえけどアミィを家まで送ったら、村の中を案内するぜ。 |
チェスター | おっ、いたいた。おーい、クレス、ミント ! |
クレス | チェスター。なんだ、先に二人と会っていたんだね。 |
チェスター | おう、外から戻るときにな。お前たちに早く会いたいって言うから連れて来たんだ。 |
ミント | そうだったんですね。お二人が来てくれると聞いて私たちも楽しみにしていたんですよ。 |
クレス | 最近は、僕たちも他の大陸になかなか顔を出せなかったからね。 |
リアラ | それは仕方ないと思うわ。この村だって何も残っていないような状態だったって聞いたわ。 |
カイル | なのに、こんな立派な村になってるなんてクレスさんたちはやっぱり凄いや ! |
クレス | いや、僕たちは少し手を貸しただけで建物や畑も、ほとんどここの人たちが作ったんだ。 |
クレス | むしろ、僕たちにも不便がないように家を用意してくれたりしてお世話になっているくらいだよ。 |
リアラ | だけど、ここに人が集まったきっかけはクレスたちだと思うわ。 |
カイル | うん、みんなクレスさんたちに感謝してるって言ってたよ。住むところがなくて困っていたときにクレスさんたちの噂を聞いて来たって人もいたし。 |
チェスター | そうだぜ、クレス。お前はいつも謙遜しすぎなんだよ。もう少し威張ってもバチは当たらねえぞ ? |
クレス | それはどうかと思うけど……。でも、村の人たちがそう思ってくれているのは僕としても誇らしいかな。 |
クレス | ただ、村の復興っていうのは僕がやりたかったことの一つだから……。 |
チェスター | ………… ? |
アミィ | クレスさん、ミントさん。お話の途中にごめんなさい。少しいいですか ? |
チェスター | アミィ。お前、家で待ってるんじゃなかったのか ? |
アミィ | そのつもりだったんだけど「お客さんが来るならどうぞ」って隣のおばさんが食材を分けに来てくれたの。 |
アミィ | その時に、息子さんがクレスさんを捜しているって聞いて、ここにいるかなって……。 |
クレス | えっ ! ? いけない ! もう稽古の時間だった ! |
カイル | 稽古 ? |
ミント | はい、クレスさんは村の子供たちに剣術を教えているんです。 |
チェスター | 今じゃあ、すっかり子供たちの前では『クレス先生』だもんな。 |
チェスター | で、その先生が遅刻してちゃあ生徒たちに合わせる顔がねえぞ ? |
ミント | すみません、クレスさん。私の用事を手伝ってもらったばかりに……。 |
クレス | ミントのせいじゃないよ !時間を忘れてた僕が悪いんだ。 |
チェスター | とにかく、子供たちが待ってるんだったら早く行ってやれよ。 |
クレス | でも、ミントから頼まれた用事が……。 |
チェスター | なら、そっちはオレがやっとくよ。大方、集会所に荷物を運ぶ仕事だろ ? |
クレス | ありがとう、チェスター。それじゃあ、頼むよ。 |
チェスター | おう、任せときな。 |
カイル | ねえ、クレスさん。その稽古だけど、オレも一緒に行っていいかな ? |
クレス | えっ、カイルもかい ? |
カイル | うん、子供たちの相手ならオレもよくやってたから手伝えるんじゃないかと思ってさ。 |
クレス | そうだね、カイルならすぐに仲良くなれると思うしいい刺激になりそうだ。 |
チェスター | そんじゃあ、こっちもリアラに手伝ってもらうか ?ミントが集会所に出入りしてたらまた村の連中が集まってきそうだしな。 |
リアラ | わたしは別に構わないけれど村の人たちが集まるのと何か関係があるの ? |
チェスター | ミントはミントで、みんなの悩みを聞いててな。いつの間にか、集会所がミントの相談室みたいになっちまったんだよ。 |
チェスター | 人気がありすぎて行列が出来るくらいだからリアラにはそっちを手伝ってもらえないかと思ってな。 |
リアラ | そうだったのね。だけど、わたしで大丈夫かしら…… ? |
カイル | 大丈夫だよ ! リアラは優しいしいつもオレの話をちゃんと聞いてくれるじゃないか。 |
ミント | ええ、私もリアラさんなら、村の人たちも安心してお話できると思います。 |
リアラ | わかったわ。それじゃあ、わたしはミントとチェスターについていくわね。 |
チェスター | よし、それじゃあ用事が全部終わったらオレの家に集まるってことで。 |
チェスター | アミィは留守番と今日の晩飯を頼むぜ。 |
アミィ | はーい。お兄ちゃんも、張り切りすぎて邪魔しないようにね。 |
キャラクター | 2話【Origin2 食卓を囲んで】 |
カイル | うん !やっぱりアミィのマーボーカレーはすっごく美味しいよ ! |
アミィ | ふふっ、ありがとうございます。おかわりもありますからいっぱい食べてくださいね。 |
チェスター | それで、そっちはどうだったんだ。子供とはいえ大変だったろ ? |
カイル | あはは、確かにみんな、元気だったなぁ。けど、オレも一緒に楽しんじゃって……。 |
カイル | だから、ちゃんとクレスさんの手伝いになってたのかわかんないんですけど。 |
クレス | もちろんなってたよ。みんなも新しい先生だって喜んでたし。 |
カイル | それならよかったです !子供たちと稽古してたらなんだか懐かしくなっちゃったなぁ……。 |
リアラ | カイルの家にも、小さい子がたくさんいたわよね。みんなカイルのことをお兄さんみたいに慕っていたわ。 |
クレス | カイル、もしよかったら明日もどうだい ?もちろん、二人の予定もあるだろうけど……。 |
カイル | う~ん、どうしよう。ねえ、リアラ。少しだけ帰るのが遅くなっても大丈夫かな ? |
リアラ | わたしは平気よ。でも、念のため後でハロルドに連絡しておくわね。 |
ミント | そういえば、お二人はハロルドさんに頼まれてセールンドへ行っていたのでしたね。 |
リアラ | ええ、フィリップたちからハロルドに連絡があって調べて欲しいっていうサンプルを預かってきたの。 |
カイル | ハロルド、最近はカーレルさんの手伝いで忙しいみたいだからオレたちが行ってきたんです。で、預かったものがこれなんですけど……。 |
チェスター | こりゃ、なんかの魔鏡機器か ? |
カイル | うん、だけど調べて欲しいのはこの中に入っているエネルギーなんだってさ。 |
カイル | なんでも、バルドさんの身体から採取されたらしいんだけどセールンドで調べてもわからなかったみたいで……。 |
ミント | もしかして、バルドさんに何かあったのでしょうか ? |
リアラ | ううん、彼自身はなんともないって言ってるみたい。だけど、バルドの身体はバロールの力で甦ったから定期的にジュニアが様子を見ていたそうなの。 |
カイル | その時に見つけたのが、この謎のエネルギーだって言ってたけど……。すみません、オレ、途中から話についていけなくて……。 |
チェスター | まあ、オレたちが聞いたってわからねえだろうな。 |
ミント | でも、本人が大丈夫だと言っていてもやっぱり心配ですね……。 |
クレス | ……僕たちにも、何か出来ればいいんだけど。 |
チェスター | クレス、こういうのは適材適所ってやつだろ ?フィリップたちが動いてるなら心配ねえって。 |
チェスター | なんでもかんでも背負い込もうとするのはお前の悪い癖だぞ。 |
クレス | ……そうだね、ありがとう、チェスター。 |
アミィ | でも、バルドさんたちってもうすぐ別の場所に行っちゃうんだよね ? |
チェスター | そういやそうだったな。あいつとしては、その前に自分の問題は解決しときたいってわけか。 |
チェスター | なら、オレたちがやるべきはあいつらが安心して旅立てるようにこの世界の問題を解決しとくことだな。 |
リアラ | そうね。わたしも今日、村の人たちの話を聞いて改めて実感したわ。ここで暮らす人たちはまだまだ不安を抱えている、って……。 |
リアラ | だけど、それと同じくらい将来のことも考えていた。だからこそ、こんなに短い時間で立派な村が出来てお互いに支え合っていけるんだってわかったの。 |
ミント | はい、少しずつですが、前に進んでいる結果だと私も思います。 |
クレス | ああ、ミントの言う通りだ。僕たちも、先へ進まないと……。 |
チェスター | ……どうした、クレス ? |
クレス | ああ、ごめん。なんでもないよ。それより、アミィちゃんが作ってくれたご飯を冷めないうちに食べないとね。 |
アミィ | はい、クレスさんもいっぱい食べてくださいね。 |
チェスター | …………。 |
キャラクター | 3話【Origin3 いつも通り】 |
チェスター | ……よし、いい感じだ。今の感覚を忘れないようにしねえと。 |
チェスター | ……ん ?おい、誰かいるのか ? |
クレス | ごめん、僕だよ。 |
チェスター | なんだ、お前かよ。だったら隠れてねえで、すぐに出て来いっての。 |
クレス | 邪魔したら悪いと思って……。 |
クレス | やっぱり、まだ特訓は続けていたんだね。 |
チェスター | もう習慣になっちまってんだ。浮遊島にいた頃は、夜中に出歩くのもなんだから時間をずらしたりしたけどな。 |
チェスター | それより、お前こそ、こんな時間にどうしたんだよ ? |
クレス | 別に、何か用事があったわけじゃないんだ。ただ、なんとなく外を歩いていただけさ。 |
チェスター | へえ。それで、寝付けない理由はなんなんだ ? |
クレス | えっ ? |
チェスター | お前、飯食ってるときに考え事してただろ ?それが原因じゃねえかと思ってな。 |
クレス | ……ははっ。見抜かれていたんだね。 |
クレス | ……でも、その通りだよ。カイルたちの話を聞いて真剣に考えてみたんだ。 |
クレス | デミトリアスたちとの戦いも終わって世界は平和に向かって進んでいる。だけど、僕自身はどうなんだろう、ってね。 |
チェスター | どうって……お前はちゃんとしてるだろ ?この村の復興を手伝いたいって言ったのはお前じゃねえか。 |
クレス | それはたぶん、僕がこの村をトーティス村に重ねていたからなんだ。 |
クレス | トーティス村の復興は、僕が元の世界でやり残したことの一つだから。 |
チェスター | ……そうだな。ダオスを倒して旅が終わったんならオレも一緒に帰っただろうぜ。 |
クレス | ……だけど、ここはトーティス村じゃない。いつか復興を遂げて、自立していく。そうしたら、僕たちもこの村を離れることになる。 |
クレス | ……そのあとは、僕は一体何をしているんだろう。そんなことを考えるようになったんだ。 |
チェスター | なるほどな。つまり、お前はこの先自分のやりたいことがなくなっちまうかもしれねえと思ってるわけだ。 |
クレス | そう……なのかもしれないね。 |
チェスター | ……くっ。ははっ…… ! |
クレス | チェスター ? |
チェスター | はははははははっ !お前、そんなことで悩んでたのかよ ! |
クレス | そんなことって…… !こっちは真剣に話したんだぞ ! |
チェスター | わかってるよ。お前は昔から真面目過ぎるからな。けどな、そんな先のことなんてその時になってから決めりゃあいいんだ。 |
クレス | だけど……。 |
チェスター | いいから、お前が正しいと思うことをやってみろよ。そうすりゃ、なんでも上手くいくと思うぜ。オレたちのときもそうだっただろ ? |
クレス | 『オレたち』って……何の話だい ? |
チェスター | オレとアミィがトーティス村に来たときのことだよ。あの時も、お前がオレたちを助けてくれただろ ? |
クレス | そんな……僕は助けたつもりなんて……。 |
チェスター | お前にはなくても、オレたちはそう思ってんだよ。お前がオレたちを受け入れてくれたからオレもアミィもトーティス村が故郷になったんだ。 |
チェスター | だからもっと自信持てよ。お前が進む道はいつも正しいってな。 |
クレス | チェスター……。 |
チェスター | ま、わざわざ悩む必要なんかねえってことだ。それに、もし何かあったらオレも力を貸してやるから安心しろ。 |
クレス | ……ありがとう、心強いよ。やっぱりチェスターに話して正解だった。 |
チェスター | 何年お前の親友でいると思ってんだよ。そんくらいお見通しだっての。 |
チェスター | お前はそのままでいいんだよ。これからもな。 |
キャラクター | 4話【Origin4 稽古】 |
クレス | ――はい、そこまで !少し休憩にしよう。水分はしっかりととっておくように。 |
子供たち | はい ! クレス先生 ! |
カイル | ふぅー。オレも喉がカラカラだ……。 |
リアラ | カイル。水筒持ってきたわよ。 |
カイル | ありがとう、リアラ !ごめん、すっかり夢中になっちゃって……。 |
リアラ | ううん、頑張っているカイルを見られてわたしも楽しかったから平気よ。 |
活発な子供 | ねーねーカイル兄ちゃん !次は俺に技を教えてよ ! |
不満そうな子供 | あっ、ずるいぞ !僕が教えてもらおうと思ってたのに ! |
活発な子供 | いーや、俺が絶対先だからな ! |
不満そうな子供 | 僕だもん ! |
カイル | わかったわかった !ちゃんと二人に教えるから喧嘩は駄目だぞ。 |
活発な子供 | はーい。 |
不満そうな子供 | う~、約束だからね、カイル兄ちゃん ! |
リアラ | 大人気ね、カイル。 |
カイル | おかげでオレもへとへとだよ。まあ、元気なのはいいことなんだけどさ。ウチにいた子供たちといい勝負かも……。 |
リアラ | ねえ、カイルはやっぱり自分の家のことを懐かしく思ったりする ? |
カイル | そうだなあ、たまに思うことはあるよ。みんな元気にしてるのかなぁ、とかいたずらして母さんに怒られてないかな、とかさ。 |
カイル | だから、ここの子供たちと一緒にいるとみんなのことを思い出してオレもなんだか落ち着くのかも。 |
カイル | ……って、ごめん !オレ、自分ばかり楽しんでリアラを付き合わせちゃってるよね……。 |
リアラ | ううん、そんなことない。こういった何気ない時間でもカイルと一緒に過ごせているだけで幸せだから。 |
カイル | リアラ……。 |
リアラ | ごめんなさい、こんなこと、わざわざ言わなくてもいいよね。 |
カイル | ……ううん、オレも同じ気持ちだよ。こうしてリアラと一緒にいられて幸せだ。 |
カイル | でも、オレはリアラと一緒にやりたいことがまだまだたくさんあるんだ。 |
カイル | この世界をいっぱい回ってまだ見たことない場所に行ってみたり冒険だってしたい ! |
カイル | それで、いつかは父さんみたいな英雄になって……そのときには、リアラが傍にいて欲しいんだ。 |
リアラ | ……ありがとう、カイル。でも、何度も言っているけど、カイルはもうわたしにとっての英雄なの。 |
カイル | だったら、もっとリアラの英雄に相応しい英雄になる !それならいいよね ! ? |
リアラ | ふふっ、何それ。可笑しなカイル。 |
カイル | ええっ、変かなぁ ? |
リアラ | ……ううん、やっぱりカイルらしいかも。 |
カイル | でしょ ? なんかこう、オレの英雄への道がここから始まるって感じ ! |
チェスター | へえ。なら……こんな感じか ? |
チェスター | 『少女の為に英雄となることを誓ったカイル。たとえその道が長く、果てしのないものだとしても揺らがぬ意志を胸に最初の一歩を踏み出すのであった』 |
カイル | チェスターさん ! なんかそれカッコいい ! |
チェスター | ははっ、だろ ?お前たちの話を聞いてたらつい言いたくなっちまってな。 |
クレス | チェスター。その前に立ち聞きしてたのを謝ったほうがいいんじゃないか ? |
チェスター | おいおい、それはお前も一緒だってことを忘れるなよ ? |
クレス | いや、僕は二人の話を邪魔しちゃ悪いと思って……。 |
リアラ | いいの。隠すような話じゃないもの。それより、チェスターも稽古を受けに来たの ? |
チェスター | いや、オレは集会所へ行くところだ。その前に、ちょっと顔を出しただけさ。 |
カイル | そっか。アミィたちはまだ集会所にいるんだよね。 |
チェスター | たぶんな。オレは家の掃除と弓の手入れが終わったから退屈なんだよ。 |
クレス | 偉いね、チェスター。ちゃんと家の掃除もしてるなんて。 |
チェスター | あのな……オレだって、なんでもかんでもアミィにやってもらってる訳じゃねえぞ。 |
クレス | 冗談だよ。ミントに会ったら、手伝いが必要なときは言ってと伝えて―― |
ミント | クレスさん……あの、少しいいでしょうか ? |
クレス | ミント ! それにアミィちゃんも……。何かあったのかい ? |
ミント | それが……村の外に出掛けていた人から近くの森で魔物の群れを見たという報告があったんです。 |
クレス | なんだって ! ? それで、その人は ? |
アミィ | 大丈夫です。幸い、魔物には気付かれなかったみたいで無事に逃げてこられたと言っていました。 |
クレス | そうか……ならよかったけど……。 |
チェスター | でも近くにいるってことは村に入ってくる可能性もあるよな ? |
ミント | はい……。村の人たちも、今までこの辺りに魔物なんて出たことがなかったので不安に思っているみたいです。 |
クレス | わかった。僕たちが様子を見てくるよ。ミントとアミィちゃんは、念のため村の人たちに事情を説明して、集会所に集まるように言ってほしい。 |
クレス | あそこは丈夫な建物だから万が一、何かあっても外に出なければ安全だろうしね。 |
ミント | はい、すぐに声を掛けるようにします。 |
チェスター | クレス、オレも一緒に行くぜ。近くの森なら、地形は頭に入ってるからな。道案内は任せとけ。 |
クレス | 助かるよ。カイルとリアラは―― |
カイル | クレスさん、オレも一緒に連れて行ってください ! |
リアラ | カイルが行くなら、わたしも行くわ。 |
クレス | ありがとう、二人も来てくれるなら心強いよ。 |
チェスター | んじゃ、さっさと行こうぜ。 |
アミィ | ……お兄ちゃん。 |
チェスター | 心配すんなって。魔物の群れなんて、すぐに退治してきてやる。 |
クレス | それじゃあ、行ってくるよ。ミント、アミィちゃん。村の人たちのことを頼むね。 |
ミント | わかりました。クレスさんたちも、どうかお気をつけて。 |
ミント | では、私たちも皆さんに声を掛けに行きましょう。 |
アミィ | ……はい。 |
ミント | アミィちゃん ? |
アミィ | ごめんなさい、ミントさん。クレスさんたちなら大丈夫だってわかってるんですけど、なんだか不安で……。 |
ミント | アミィちゃん……。 |
アミィ | ……駄目駄目 !私がこんな顔してたら、村の人たちだって心配になりますよね ! |
アミィ | (……だけど、何だろう、この気持ち。ずっと昔に味わったような……) |
アミィ | (そうだ……あれは私が……この世界に来て目を覚ます前の……) |
ミント | アミィちゃん、あまり無理はしないでくださいね。体調が優れないようでしたらすぐに言ってください。 |
アミィ | はい。もう大丈夫です。 |
アミィ | ……うん、きっと私の気のせいだよね……お兄ちゃん。 |
キャラクター | 5話【Origin5 魔物たちの異変】 |
チェスター | 魔物の群れがいたってのはこのあたりだな……。 |
クレス | ああ。ここからは警戒しながら進もう。 |
リアラ | 待って ! 見て、あの茂みの奥……。 |
カイル | 魔物だ ! |
チェスター | 思ったよりも数が多いな。どうする、クレス ? |
クレス | ……まだこっちには気付いてないようだけどこれだけの魔物を一気に相手にするのは危険かもしれない。 |
チェスター | だったら、オレの弓とリアラの術で先に何匹かやっつけておくのはどうだ ? |
クレス | うん……それなら上手くいくかもしれないけど……。 |
チェスター | なんだ、まだ何か不安なのか ? |
クレス | ああ、ミントも言ってたけど村の近くに魔物が出ることはほとんどなかった。それなのに、どうして急にこんな数が……。 |
チェスター | そいつを考えるのは後にしようぜ。とにかく、今は目の前のやつらをなんとかしねえと村の連中も落ち着かねえだろ。 |
クレス | ……そうだね、チェスターの言う通りだ。それじゃあ、さっきの作戦でいこう。 |
リアラ | ええ、最初はわたしに任せて。 |
リアラ | ――エンシェントノヴァ ! |
クレス | 今だ ! 行くよ、カイル ! |
カイル | はいっ !くらえ ! 蒼破刃 ! |
カイル | よしっ、次だ ! |
クレス | 僕も負けてられない !飛燕連脚 ! |
クレス | カイル、この調子でいこう !敵が怯んでいる今がチャンスだ ! |
魔物 | グルルルルルッアアア ! ! ! ! |
カイル | クレスさん、危ない ! ? |
チェスター | させるかよ ! 紅蓮 ! ! |
カイル | クレスさん、今、全然魔物のほうを振り向かなかった……。 |
クレス | チェスターがいるからね。それよりも―― |
新たな魔物の群れ | グルルルルルッ ! ! |
リアラ | 別の魔物 ! ?それも、さっき倒したのと同じくらいいるわ ! |
カイル | だったら、またオレたちで倒せばいいだけだ ! |
カイル | ――よし、今のが最後だったみたい。 |
チェスター | 思ったより時間がかかっちまったな。けど、これでひとまずは安心だろ。 |
クレス | ……やっぱり変だ。 |
リアラ | どうしたの、クレス ? |
クレス | ……いや、やっぱりおかしいんだよ。魔物が突然こんなに増えるなんて、普通じゃない。 |
クレス | 元々別の場所にいた魔物が移動してきたって可能性もあるけど……。 |
チェスター | 魔物同士の縄張り争いとかか。それならこの辺にはいなかったはずの魔物がちらほらいたのも説明がつくな。 |
カイル | あっ、そういえば……。 |
クレス | 何か心当たりがあるのかい ? |
カイル | え、えっと……すみません。よく考えたらファンダリア大陸のことだから関係ないような気も……。 |
リアラ | もしかして、ロニやナナリーのこと ?確かに、今の状況と似ているかも……。 |
チェスター | あいつらにも何かあったのか ? |
クレス | カイル、僕たちにも聞かせてくれないか。 |
カイル | わかりました。えっと、オレたちがセールンドに行った帰りだってことは言いましたけど本当はロニも一緒に来るはずだったんです。 |
カイル | それが、ナナリーからの救援があって来られなくなっちゃって……。 |
リアラ | その救援っていうのが人の居住地に魔物が頻繁に現れるようになったという内容なの。 |
リアラ | ナナリーの話だと、その場所も今まで魔物が出るようなところじゃなかったみたい。 |
チェスター | 確かにオレたちの状況と似てるな。けど、カイルの言う通り、別の大陸の話なら関係なさそうなもんだが……。 |
クレス | あるいは同じようなことがこの大陸でもいや、ひょっとしたら世界中で起きている可能性も……。 |
チェスター | おっと、魔鏡通信だ。アミィからだな。 |
チェスター | アミィ、どうした ?こっちはちょうど魔物を倒して―― |
アミィ | お兄ちゃん ! ! 大変なの ! !村が……村のみんなが…… ! ! |
チェスター | アミィ ! ? どうしたんだ ! ? |
アミィ | それが……こっちにも魔物がたくさん来て…… !今はミントさんや村の人たちが止めて…… !きゃああああっっ ! ! |
チェスター | アミィ ! ! アミィ ! ! おい、返事をしろ ! !くそっ、通信が切れてやがる ! ! |
カイル | チェスターさん ! ?オレたちも追いかけよう ! |
クレス | ああ ! ! |
クレス | アミィちゃん……ミント……。無事でいてくれ…… ! |
キャラクター | 6話【Origin6 襲われた村】 |
リアラ | ひどい……建物がほとんど壊れてしまってるわ……。 |
チェスター | アミィ ! ! おい ! いたら返事をしてくれ ! ! |
クレス | 誰もいない……。二人だけじゃなく、村の人たちも……。 |
カイル | ……あっ ! クレスさん、チェスターさん !ここに落ちてるの、魔鏡通信機だよ ! |
クレス | 本当だ ! だけど、壊れてる……。 |
リアラ | じゃあ、ここでアミィは魔物に襲われて……。 |
チェスター | そんなはずはねえ !アミィは絶対ここにいる !早く見つけねえと ! ! |
クレス | 待つんだ、チェスター ! |
チェスター | 放せ !お前だってミントが心配じゃねえのかよ ! ? |
クレス | 心配に決まってるだろ !ミントにも何度も連絡したけど繋がらない……。だけど……だからこそ落ち着かなきゃ駄目なんだ ! |
クレス | チェスター、僕たちがここに来るまでに一人でも倒れている人を見たか ? |
チェスター | それは……。 |
クレス | これだけ村に被害が出ていて誰も犠牲になっていないなんて普通はあり得ない。 |
クレス | でも、もしミントたちが村の人と一緒に避難してくれていたら……。 |
カイル | そうだよ、チェスターさん !きっと、アミィもミントさんも村の人たちだってみんな無事です ! |
リアラ | だけど、どこに行ったのかしら。この近くに、他に安全な場所があるの ? |
クレス | 待ってくれ ! 魔鏡通信だ ! |
ミント | ……レス、さん、聞こえますか ? クレスさん…… ! |
クレス | ミント ! ああ、聞こえるよ ! |
ミント | ……よかった。すみません、魔物と戦っていたときに魔鏡通信機が故障したようで……。何度も連絡をしようとしたのですが……。 |
チェスター | おい、ミント ! アミィは ! アミィは無事なのか ! ? |
ミント | はい、アミィちゃんも村の人たちも、全員無事です。 |
チェスター | そうか…… ! |
ミント | ただ……怪我をしてしまった方が何人かいてアミィちゃんにも看護を手伝ってもらっています。 |
ミント | 今は山にある洞窟に隠れていますが魔物も追ってきていて、身動きが取れない状況なんです。 |
カイル | それじゃあ、今も危険ってことじゃないか ! ? |
クレス | 僕たちもすぐに向かうよ !ミントたちはそのまま、魔物に気付かれないように身を隠しててくれ。 |
ミント | はい、ここにいる人たちは、私がお守りします。だから、――スさ――どう――き―――― |
クレス | ミント ? ミント、聞こえるかい ! ?……駄目だ、また繋がらなくなった。 |
リアラ | だけど、ミントたちの居場所はわかったわ。 |
カイル | うん ! オレたちで魔物を倒せば大丈夫だよ ! |
クレス | ああ、急ごう ! |
チェスター | ……待ってろよ、アミィ。すぐに助けに行くからな ! |
キャラクター | 7話【Origin8 異様な魔物】 |
負傷した村人 | ……ううっ。 |
ミント | ……これで、少しは痛みが和らぐと思います。ですが、無理に動くと傷口が開いてしまうので安静にしていてください。 |
負傷した村人 | すまない、ミントさん……。それで、外の様子はどうなっているんだ ? |
ミント | ……まだ多くの魔物の気配があります。ですから、今はまだここに隠れているほうが安全だと判断しました。 |
負傷した村人 | そうか……なあ、ミントさん。さっき、怪我をした連中とも話し合ったんだが俺たちのことは置いていってくれないか ? |
アミィ | 何を言ってるんですか ! ?そんなこと…… ! |
負傷した村人 | ははっ、やっぱり反対されるよな……。でも、最後まで聞いてくれ。俺たちが足手まといになってるのは事実だ。 |
負傷した村人 | だから、せめて子供たちだけでも無事に逃げてほしいんだ。 |
アミィ | そんな……。 |
負傷した村人 | 未来ある子供たちが生き残ってくれるならたとえ魔物に殺されたとしても、後悔はないよ。 |
ミント | ……いいえ。申し訳ありませんがその提案を受けることはできません。 |
負傷した村人 | 優しいな、ミントさんは……。だけど……。 |
ミント | 私の意見が変わることはありません。 |
ミント | どんな状況でも、決して諦めないでください。皆さんのことは、私が必ずお守りしますから。 |
負傷した村人 | ミントさん……。 |
アミィ | そうですよ ! それに、お兄ちゃんたちがこっちに向かってるんです ! |
ミント | はい、クレスさんたちが来てくれれば何も心配はいりません。ですから―― |
アミィ | な、なに…… ! |
見張りをしていた村人 | たっ、大変だ !入口のバリケードが壊された !魔物たちが入ってくるぞ ! |
ミント | 皆さん ! すぐに別の出口へ向かってください !私は少しでも時間を稼ぎます !アミィちゃんも避難を ! |
アミィ | ミントさん……でも…… ! |
ミント | 大丈夫です、私も隙をみて避難しますから。 |
アミィ | ……わかりました。ミントさん……必ず戻ってきてくださいね ! |
魔物 | グルルルルルルルアアアアッ ! ! |
チェスター | どけっ ! こっちは急いでんだよ ! ! |
チェスター | 次から次へと出てきやがって…… ! |
カイル | チェスターさん、オレが前に出ます !だから、少し休んでください。 |
チェスター | こんなときに休んでられるかよっ !オレの心配なんかしなくていいっ ! |
クレス | 駄目だ、チェスター !カイルの言う通り、いったん下がってくれ。 |
チェスター | なんだと ! ? |
クレス | 今のチェスターは冷静な戦い方ができていない。それに、さっき魔物の攻撃を防いだときに手を痛めただろ ? |
チェスター | ……くっ。 |
クレス | ……リアラ、チェスターに治癒術を。その間は、僕とカイルが魔物に対処する。 |
リアラ | チェスター、今はクレスの言うことが正しいわ。あなたが無理をして何かあったら誰が一番悲しむかわかるでしょう ? |
チェスター | ……悪かった。オレだってわかってんだよ。こういう時こそ冷静にならなきゃいけねえって……。 |
チェスター | けどな、どうしても『あの時』の記憶が蘇ってくんだよ…… ! |
クレス | ……僕も同じだよ、チェスター。けど、ここはあの時のトーティス村じゃない。 |
クレス | だから、僕たちの手で必ず―― |
魔物 ? | ―――――― ! ! |
カイル | ! ! こいつはオレが倒します !はあああっ ! ! 空破絶風撃 ! ! |
魔物 ? | ―――― |
カイル | っ ! 効いてない ! ? |
魔物 ? | ―――― ! ! |
カイル | ぐわああっっ ! |
リアラ | カイル ! ! よくも…… ! !エアプレッシャー ! ! |
クレス | 一気に畳みかける ! 鳳凰天駆 ! ! |
リアラ | カイル ! 大丈夫 ! ? |
カイル | うん……オレは平気だよ。でも、あの魔物……少し変な感じだった。 |
リアラ | ……わたしも、今までの魔物とは違う雰囲気を感じたわ……。でも、あれだけ攻撃を受けたら―― |
クレス | ! ? みんな、構えろ ! ! |
魔物 ? | ―――― |
チェスター | 嘘だろ…… ! クレスたちの攻撃をまともに受けて無傷かよ…… ! |
魔物 ? | ―――― ! ! ! ! |
カイル | こっちに来る ! !リアラ、オレの後ろに ! |
カイル | こいつ……やっぱり強い ! ! |
クレス | カイルたちから離れろ ! |
チェスター | くらえっ…… ! ! 轟天 ! ! |
カイル | …… ! !駄目だ ! この魔物、オレたちの攻撃が効かない ! ! |
チェスター | くそっ、どうなってんだ ! ? |
カイル | いや……それだけじゃない……。なんだ、この違和感は……。 |
リアラ | カイル、また攻撃がくるわ ! |
カイル | くっ…… ! ! |
カイル | ……そうか !もしかして、こいつ…… ! |
チェスター | おい、カイル ! ?一人でどこ行くんだ ! ? |
魔物 ? | ―――― ! ! |
カイル | ……やっぱりそうだ ! !クレスさん、チェスターさん ! !こいつはオレを狙っています ! ! |
クレス | なんだって ! ? |
リアラ | でも確かに、さっきからカイルばかりを攻撃しているわ。 |
カイル | 理由はわからないけどこいつの狙いはオレなんだと思います ! |
カイル | だから、オレがこの魔物の相手をしている間に先へ行ってくださいっ ! |
クレス | カイル…… ! だけど…… ! |
カイル | オレなら平気です ! こんな奴に絶対負けません ! |
リアラ | 待って !カイルが残るのなら、わたしも一緒に戦うわ。 |
カイル | リアラ ! ?駄目だ、リアラもクレスさんたちと……。 |
リアラ | ごめんなさい、わがままなのはわかってる。だけど、わたしもカイルと一緒に戦いたいの ! |
カイル | リアラ…… ! |
クレス | ……わかった。だけど二人とも絶対に無理はしないでくれ ! |
チェスター | 信じてるぜ。お前らなら無事に追い付いてきてくれるって。 |
カイル | はい、クレスさんたちも……必ず村の人たちを助けてください ! |
キャラクター | 8話【Origin9 未知の力】 |
リアラ | ――イフルーヴィアム ! ! |
魔物 ? | ―――― |
リアラ | 駄目……やっぱりわたしの術も効いてない。 |
カイル | オレたちじゃ倒せないのか…… !こうなったら……。 |
リアラ | カイル、もう一度やってみるわ !せめて何か弱点を見つければ……。 |
カイル | ……いや、オレがあいつを抑える。リアラはその間に逃げてくれ ! |
リアラ | 何を言ってるの、カイル ! ? |
カイル | こいつがオレを狙っているのは間違ってなかった。クレスさんたちを追いかける様子もないしきっと、リアラが離れても追いかけてこない ! |
リアラ | でも、そんなことをしたらカイルが…… ! |
カイル | オレは、リアラが無事ならそれでいいんだ。だから、リアラだけでも逃げてほしい。 |
リアラ | カイル……。 |
カイル | ……ははっ、本当はカッコよく魔物も倒してリアラを守れるとよかったんだけどさ。 |
リアラ | だったら、わたしは尚更逃げることなんてできない ! |
カイル | リアラ…… ! 駄目だ !このままじゃあ、二人ともやられる ! |
リアラ | 聞いて、カイル。もし、同じようにわたしだけが敵に狙われていたらカイルはわたしを置いて逃げる ? |
カイル | そっ、そんなの出来るわけないじゃないか ! |
リアラ | ……ええ、そうよね。カイルならそう答えるでしょう ? |
リアラ | だから、カイルはわたしの英雄なの。カイルはどんな時でも、わたしを守ってくれる。 |
リアラ | でも、カイルがわたしを守ってくれたようにわたしもカイルを守りたいの ! |
リアラ | それに、これからもずっと一緒にいるって約束したばかりじゃない。 |
カイル | リアラ…… ! |
リアラ | 最後まで一緒に戦いましょう、カイル !わたしたちは、こんな魔物に負けたりしないわ ! |
魔物 ? | ―――― ! ! |
リアラ | 来る ! ! |
カイル | そうだ…… ! オレはずっと英雄になりたかった。父さんみたいな英雄に…… ! |
カイル | ……だけど、今は大切な人を守れる人間になりたい。そうじゃなきゃ、リアラに英雄だって言われる資格なんてないんだ ! ! |
カイル | うわあああああっっ ! ! |
リアラ | カイルッ ! ? |
カイル | だ、大丈夫……これ、くらい…… ! |
| ――カタンッ。 |
カイル | あ、魔鏡機器……今の攻撃でヒビが……。 |
カイル | な、なんだ ! ? 中から炎みたいなものが…… ! ! リアラッ ! ? |
リアラ | えっ、なに、これ…… ! |
カイル | オレのところにも炎が…… ! !いや、違う…… ! これは…… ! ? |
リアラ | わたしたちの浄玻璃鏡に反応してるの? |
カイル | 感じる……浄玻璃鏡から何かの力が……。 |
魔物 ? | ! ! |
リアラ | カイル ! ! 危ないッ ! ? |
カイル | 何度もやられてたまるかっ ! !たとえ攻撃が効かなくたって ! ! |
魔物 ? | ―――― ! ? |
カイル | ……えっ ? |
リアラ | 効いた…… ?カイルの攻撃が…… ! |
カイル | もしかして、この浄玻璃鏡が……。 |
魔物 ? | ! ! ! ! |
カイル | よくわからないけどこの力なら戦えるみたいだ ! |
リアラ | ええ、やりましょう ! カイル ! ! |
カイル | ああ ! オレたちが、お前を倒してみせるっ ! |
キャラクター | 9話【Origin10 新たな脅威】 |
リアラ | はああああああっっ ! ! |
リアラ | 今よ、カイル ! ! |
カイル | うおおおおおおっっ ! ! |
魔物 ? | ―――――――― |
カイル | ……や、やった ! やったよリアラ ! |
リアラ | ええ、わたしたちの勝ちだわ。 |
カイル | へへっ……どう……だ……。 |
リアラ | カイル ! ? |
カイル | ご、ごめん……。なんか急に力が抜けちゃって……。 |
リアラ | 待ってて、すぐに治癒術をかけるから。 |
リアラ | ……これで大丈夫だと思うけど無理はしないで。 |
カイル | ありがとう……あれ ? |
リアラ | どうしたの ? |
カイル | 浄玻璃鏡が割れてる……。 |
リアラ | わたしもだわ……。もしかして、さっきの力が原因かしら ? |
カイル | うん……あの力、一体なんだったんだろ。それに、さっきの魔物だって……。 |
リアラ | 今のわたしたちにはわからないことだらけね。 |
カイル | けど、やらなきゃいけないことは変わってないよ。オレたちもクレスさんを追いかけよう ! |
ミント | ……皆さん ! 私から離れないでください ! |
怯える子供 | ミ、ミントさんっ ! 俺たちも戦うよ ! |
涙目の子供 | そ、そうだよ ! 僕たちだってクレスさんに鍛えてもらってるんだ ! |
アミィ | 駄目っ ! それだとミントさんがみんなをかばいながら戦うことになっちゃう ! |
怯える子供 | で、でも !このままじゃあやられちゃうよ ! |
アミィ | 大丈夫…… !絶対、お兄ちゃんやクレスさんが来てくれる !だから…… ! |
魔物 | グルルアアアッッ ! ! |
怯える子供 | くそっ…… ! こんな魔物、俺だって…… ! ! |
ミント | ! ? いけません ! ! |
魔物 | グルルアアッ ! ! |
怯える子供 | う、うわあああっっ ! ! |
アミィ | …………っ ! ! |
ミント | アミィちゃん ! ! |
アミィ | 私につかまって !魔物から離れれば―― ! |
魔物 | グルルルルルルルァ ! ! ! ! |
アミィ | きゃああああああああああ ! ! |
アミィ | (……私、死んじゃうの…… ? ) |
? ? ? | ―― ! ―― ! ! |
アミィ | (……誰かが呼んでる ? でも、誰 ? ) |
? ? ? | お――、ぜ―――に、オレが―― ! ! |
アミィ | (この声…… !) |
チェスター | アミィ ! お前は、絶対にオレが守ってやるんだ ! ! |
アミィ | ――お兄ちゃん ! ! |
チェスター | アミィから離れやがれ ! ! |
魔物 | グルルァァ ! ! |
クレス | さあ、二人とも !早く僕たちの後ろへ ! |
アミィ | クレスさん…… ! |
チェスター | アミィ ! どこも怪我はしてねえか ! ? |
アミィ | う、うん、私は大丈夫 ! だけど……。 |
怯える子供 | ううっ、く、クレス先生……。 |
クレス | ……足を怪我してしまったのか。けど、大丈夫。後は僕たちに任せてミントに診てもらうんだ。 |
ミント | クレスさん、チェスターさん !すみません……私が付いていたにも関わらず皆さんを危険な目に……。 |
クレス | いや、ミントがいなかったらそれどころじゃなかったよ。アミィちゃんも、よく頑張ってくれたね。 |
チェスター | ここから先はオレたちの仕事だ。アミィたちを危険な目に遭わせた落とし前はきっちり付けてもらうぜ ! ! |
チェスター | やるぞ、クレス ! ! |
クレス | ああ ! ここの魔物をすべて倒す !――次元斬 ! ! |
チェスター | ――哭龍洸羽 ! ! |
涙目の子供 | あんなにいた魔物をあっという間に…… !やっぱり、クレスさんたちは凄いやっ ! |
ミント | さあ、皆さんはこちらへ。怪我の手当てをします。 |
怯える子供 | ミントさん……それに、アミィも……。ごめんなさい、俺が勝手に戦おうとしたから……。 |
ミント | 謝る必要はありませんよ。私たちを助けようとしてくれたんですから。 |
アミィ | そうだよ。でも、約束して。今度からは絶対に無茶はしないって。 |
アミィ | あなたに何かあったら、お母さんやお友達……それに私たちも悲しい想いをしちゃうから。 |
怯える子供 | ……うん。 |
チェスター | よしっ、魔物はあらかた片付いたな ! |
クレス | ああ、でも油断しないようにしよう。まだ近くに別の群れがいる可能性も……。 |
魔物 ? | ―――― ! ! |
チェスター | チッ…… ! 言った傍から出てきやがって !速攻で仕留めさせてもらうぜ ! |
魔物 ? | ―――― |
チェスター | なにっ ! ? 効いてねぇだと ! ? |
クレス | この感じ……カイルたちと戦った魔物と同じだ ! |
チェスター | くそっ、こいつにも攻撃が通じねえのか ! ? |
クレス | (どうする…… ! 本当に攻撃が効かないなら今ここで倒すことはできない) |
クレス | (せめて、村の人たちが安全に避難できる時間を稼がないと…… ! ) |
カイル | よかった ! 間に合った ! |
クレス | カイル、リアラ…… !二人とも、無事だったんだね ! |
カイル | はい ! だけど、この魔物って……。 |
チェスター | ああ、お前たちが相手にしてたやつと同じで攻撃が通用しねえ ! |
カイル | あの魔物と同じ……。だったら、オレに考えがあります ! |
リアラ | でも、カイル。わたしたちの浄玻璃鏡はもう……。 |
カイル | ああ、だけど魔鏡機器の中にはまだバルドさんから採取したエネルギーが残ってる。これをクレスさんたちに使ってもらえば……。 |
クレス | エネルギー ?どういうことだい ? |
カイル | 詳しくはわからないんですけど、オレたちこの魔鏡機器に入っていた力でさっきの魔物を倒せたんです ! |
チェスター | 本当か ! ?なら、オレたちにも使えるようにしてくれ ! |
カイル | はい ! 二人は浄玻璃鏡を持っていてください !あとは、魔鏡機器に残っている力がきっと…… ! |
チェスター | な、なんだ、この炎は…… ! |
クレス | 僕たちの浄玻璃鏡に反応して―― ! |
クレス | これは…… ! ? |
チェスター | わからねえ……。今までに感じたことのねえ力だ。 |
クレス | カイル、この力を使いこなせば僕たちもあの魔物を倒すことが出来るんだね ? |
カイル | はい ! きっとそのはずです。 |
クレス | わかった ! チェスター ! |
チェスター | 言われなくてもいけるぜ ! |
クレス | よし、これで終わりにしよう ! |
キャラクター | 10話【Origin10 新たな脅威】 |
チェスター | こいつでトドメだ ! |
クレス | うおおおおおおっっ ! ! ! ! |
魔物 ? | ―――― |
クレス | ……はぁ、はぁ。やった……のか ? |
カイル | うん ! オレたちの勝ちだよ ! |
リアラ | 周りに魔物の気配もないしもう安全だと思うわ。 |
チェスター | ふぅ……。ったく、手こずらせやがって。今回ばかりは、さすがに焦ったぜ。 |
アミィ | お兄ちゃん ! |
チェスター | アミィ ! って、おいおい、どうしたんだよ ? |
アミィ | だって……だって…… ! |
ミント | アミィちゃんも怖かったんだと思います。ですが、私たちに心配かけないようにとずっと我慢してくれていたんです。 |
チェスター | そっか……よく頑張ったな、アミィ。 |
アミィ | ……うん。私、信じてたよ。お兄ちゃんやクレスさんたちが助けに来てくれるって。 |
アミィ | でも、ずっと嫌な想像が頭から離れなくて……。怖くて怖くて、仕方なかったの……。 |
チェスター | アミィ……。へへっ、馬鹿だな。お前に何かあれば兄ちゃんが助けに来るに決まってんだろ。 |
アミィ | うん……うんっ…… ! |
チェスター | ……『今度』は間に合って、本当によかったぜ。 |
ハロルド | ――あんたたちに起こったことは大体わかったわ。要は、貴重なサンプルを勝手に使ったってワケね。 |
カイル | え~、ひどいよハロルド。オレたち、結構危ない目に遭ったんだけど……。 |
ハロルド | そんなの知らないわよ。むしろ、私がお遣いを頼んでなきゃあんたたちも無事じゃなかったってことじゃない。 |
ハロルド | つまり、あんたたちが助かったのは私のお陰ってことにならないかしら ? |
カイル | いや、それはさすがに違うような……。う~ん、でも、クレスさんたちを助けられたのはあの力があったからなのは確かだし……。 |
ハロルド | 冗談よ、冗談。その力については色々と推測できるけどちゃんと調べてみないと正確なことは言えないわね。 |
ハロルド | ま、話を聞く限り、バルドから採取されたエネルギーが浄玻璃鏡になんらかの作用を引き起こしたのは間違いないわ。 |
カイル | うん。だけど、その後にオレたちもクレスさんたちも浄玻璃鏡が壊れちゃったからもうあの力は使えないんだよな……。 |
ハロルド | あんた、アホね。運良く動作はしたみたいだけどデバイスに合わないエネルギーを使ったら壊れるのは当たり前でしょう ? |
カイル | デバイス ? えっと……。ごめん……全然わからないんだけど……。 |
ハロルド | 無茶な使い方をして壊したってことよ。ま、それも貴重なサンプルになるしなんならその力を使ったあんたたちも解剖して―― |
カイル | あー ! わかったわかった ! 悪かったよ……。 |
リアラ | ハロルド、カイルをこれ以上困らせないで。 |
ハロルド | はいはい。ま、バルドのことは冗談抜きでちゃんと調べたほうがいいわね。 |
ハロルド | 攻撃が効かないっていう魔物が他にもいる可能性は十分あるんだから。 |
リアラ | そうね……。わたしたちが助かったのは偶然だわ……。 |
ハロルド | さ~てと、そうなると忙しくなるわね。久々に他の連中にも声を掛けようかしら ? |
カイル | ハロルド、ちょっと楽しそうにしてない ? |
ハロルド | そりゃそうよ ! 最近は兄貴の手伝いばっかで退屈ったらないんだから。 |
ハロルド | そんじゃ、あんたたちも早くこっちに戻ってきて。ふっふーん、これで兄貴にうるさく言われず好き勝手にできるわ。 |
カイル | あっ、切れた。まあ、聞きたいことは聞けたから大丈夫かな ? |
カイル | ロニたちのところにはあの魔物は出なかったって話だし。たまたまかもしれないけど。 |
リアラ | そうね、それに今はなんともないけれど帰ったら、わたしたちの身体も一度見てもらったほうがいいと思うわ。 |
カイル | うん。浄玻璃鏡だって直してもらわないといけないし……。 |
クレス | 二人とも、連絡は済んだのかい ? |
カイル | はい。あの、村の人たちの様子はどうですか ? |
クレス | そうだね……やっぱり、魔物に壊された村を見て心を痛めている人は多かったよ。 |
ミント | ですが、皆さんはもう一度復興すると仰っていました。 |
チェスター | 前よりも立派な村にするんだって張り切ってたくらいだからな。 |
アミィ | 私たちも頑張らないとね、お兄ちゃん。 |
チェスター | ああ。オレたちだってもうこの村の一員みたいなもんだしな、クレス ? |
クレス | うん。僕たちや村の人……みんなで力を合わせれば、この場所は何度だって立ち直れるはずさ。 |
チェスター | よし ! そんじゃあ、早速始めようぜ。 |
すず | 皆さん !よかった、ご無事のようで何よりです。 |
クレス | すずちゃん ! ? 無事って……もしかして、僕たちが魔物に襲われたことをもう聞きつけたのかい ? |
チェスター | なんだよ、それだったら心配ねえぞ。魔物は全部オレたちが倒しちまったからな。 |
すず | 魔物…… ?いえ、そちらは存じておりませんが……。 |
クレス | そ、そうか、僕たちの件は関係なかったみたいだね。それで、すずちゃんはどうしてここに ? |
すず | はい。私は、鏡映点の人たちが次々と襲われているという情報が入ったので、皆さんの様子を見に来たんです。 |
カイル | 鏡映点が ! ? それ、一体どういうこと ! ? |
すず | 詳しいことは順番にお話しします。ですが、私たちを狙う何者かが現れたのは間違いありません。 |
リアラ | もしかして、さっきの魔物も何か関係あるんじゃ……。 |
クレス | ……いったい、この世界で何が起きているんだ。 |
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