キャラクター | 1話【ヒーロー1 元領主の提案】 |
ルーク | ピオニー陛下が来いって言ってた街、ここだよな ? |
ティア | ええ。街の奥の集会用施設に来るようにとのお話だったけれど……。 |
街の男性A | おい、そっちはどうだ ! ?進んでるか ! ? |
街の男性B | なんとかな ! だが人手が足りないぞ ! |
街の男性A | そっちもか。くそー、みんな忙しいなぁ ! |
アニス | なんか、めちゃめちゃ忙しそうじゃん。何やってんだろ…… ? |
ガイ | 季節的に祭りでもするんじゃないか ?活気があっていいよなぁ。 |
? ? ? | おお、さすが経験者は鋭いな。 |
ナタリア | ピオニー陛下 ! |
ピオニー | ちゃんと来たな。ご苦労ご苦労。早速だが、お前たちに任務を与えるぞ ! |
ルーク | 急に領都から離れた街に呼びつけられたと思ったら休む間もなくこれかよ……。 |
ピオニー | まあ、そう言うな。時間がないんだ。 |
ピオニー | ご覧の通り、今この街は祭りの準備をしている。俺もその手伝いをするために来たんだがもうちょっと人手がほしいところでな。 |
ミュウ | みなさん、忙しいって言ってたですの ! |
ピオニー | そういうことだ。準備もなんだが、催し物をする人員が足りなくてな。そこで白羽の矢が立ったのがお前たちってわけだ。 |
ティア | 事情はわかったのですが……。 |
ピオニー | ん ? どうしたティア ?何か言いたいことがあるなら、遠慮なく言ってくれ。 |
ティア | 恐れながら、陛下はオールドラント領の領主でしたよね ? |
ティア | 一般市民からは帝国側の人間だったと思われているはずです。陛下を敵視する者もいるかもしれません。 |
ティア | お一人で動かれては危険ではありませんか ? |
ピオニー | おや ? ティアには俺が憎まれているように見えるのかな ? |
ティア | いえ、今はそんな気配は感じられませんが……。 |
ナタリア | 確かに、敵視どころか歓迎されているように見えますわね……。 |
ナタリア | ああ、ほら。あちらの女性も陛下に手を振っていらっしゃいますわ。 |
アニス | おわ、ホントだ !あ、差し入れ渡したいみたい。 |
ピオニー | ああ、さっき割れた窓ガラスの修理を手伝ったからだろうな。 |
ピオニー | ありがとな、お嬢さん。あとでもらいにいくよ ! |
ルーク | はー……すげぇな。陛下、めちゃくちゃ人気者じゃん。 |
ピオニー | まあ、ちょっと小細工をしてるからな。 |
ピオニー | 街のみんなには「領主だったピオニーは実は偽物だ」と言ってある。まあ、ウソとは言えないだろ ? |
ルーク | 確かにそうだけど……それで信じてもらえるんですか ? |
ピオニー | もちろん、すぐにというわけじゃなかったさ。 |
ピオニー | 元々玉座にいるより、現場で動きたい人間なんでね。各地を回って、あれこれ日々の活動をしていたらご覧の通り……ってな。 |
ナタリア | 実際、それが最も効果的だったのかもしれませんわね。真摯な行動は何よりも多くを語りますから。 |
ガイ | それに、陛下の人徳もあるんだろうな。そういうのが結びついた結果がこれって訳だ。 |
ピオニー | ははっ ! わかってるじゃないか、ガイラルディア ! |
ピオニー | まあ、誤解はちゃんと解いておいたほうが今後も動きやすくなるからな。 |
ピオニー | というわけで、俺の信頼向上のためにもしっかり働くように ! |
ガイ | また陛下はそういう言い方を……。すぐ本音を軽口で隠すんですから。 |
ティア | そういうところはお変わりありませんね。 |
ナタリア | 人々のためになることでしたら喜んでお手伝いさせていただきますわ。みんなもそれでよろしいですわね ? |
ルーク | ああ、もちろん ! |
ミュウ | ミュウもお手伝いするですの ! |
アニス | アニスちゃんも手伝うけど、できればお礼のほうも期待したいな~ ♪ |
ガイ | ところで、ジェイドはどうしたんですか ?てっきりご一緒かと……。 |
ピオニー | もちろん声はかけたんだが、居留守を使われてな。ジェイドのくせに生意気な。 |
ピオニー | まあ、そっちは俺にいい考えがある。期待して――いや、安心してくれ。 |
アニス | 今、期待してくれって言いかけましたよね。何をするつもりなんですか ?ま、相手は大佐だから別に何をしてもいいですけど。 |
ルーク | そうだな。どうせジェイドだから何があっても平気だろうし。 |
ルーク | それで、俺たちは何をしたらいいんですか ? |
ピオニー | ああ。それなんだが―― |
? ? ? | ちょ、ちょっと待て……歩けないだろう ! |
ナタリア | アッシュ、どうなさったんですの ! ?随分大勢の子供に囲まれて……。 |
男の子1 | アビスシルバーだ ! 本物のアビスシルバーだ ! |
男の子2 | すごーい ! ほんものー ! 初めて見たー ! |
アッシュ | ち、違う ! 俺はそのナントカシルバーなどでは―― |
男の子1 | あーっ、見て !あそこにアビスレッドたちもいる ! |
男の子2 | すごーい、アビスマンが全員揃ってる !お祭りでやるって本当だったんだ ! |
ルーク | うえええ ! ?ちょ、まっ……俺も ! ?うおおおおお ! ? しがみついてくるなっ ! |
ミュウ | わ~、すごいですの !ご主人様も大人気ですの ! |
アッシュ | おい、ルーク ! この騒ぎは貴様の仕業か ! ? |
ルーク | ち、違う違う違う !俺は何もしてねーよ ! |
アッシュ | だったら―― |
ピオニー | うーん、やっぱり子供たちは気付いてしまったか。ルークたちとアビスマンの類似性に ! |
ガイ | アビスマン ? 元の世界で、子供向けの絵本や演劇の題材として人気があったアレですか ? |
アニス | あー、なんか聞いたことがある。子供向けなのに、ドロドロの恋愛とかキツめの世界観で一部の大きいお友達にも人気があるとかいう……。 |
ピオニー | その通り !実はアビスマンの登場人物は、お前たち一味によく似てるんだよ。 |
ピオニー | そこで優秀なピオニーPは思いついたんだ。 |
ピオニー | 今回の祭りのメインステージで『アビスマン』の劇をルークたちにやらせたら笑え―― |
ピオニー | いや、民たちが喜ぶだろうな、と ! |
全員 | はああああああっ ! ? |
キャラクター | 2話【ヒーロー2 困窮の一団】 |
ヒューバート | パスカルさん ! パスカルさん ! ? |
ヒューバート | はぁ……まったくあの人は何を考えているのか。フラフラと歩き回らないでくださいとあれほど言ったのに……。 |
パスカル | あれ、弟くん ?息を切らして走り回って、どしたの ? |
ヒューバート | パスカルさん !やっと見つけましたよ !勝手にいなくならないでください ! |
パスカル | あはは、お腹空いちゃってさ。あ、バナナ食べる ? |
ヒューバート | いりません !まったく、あなたときたら……。 |
ヒューバート | そもそも、ぼくたちはキール研究室の仕事で来ているんですよ ? ここ、オールドラント領の精霊調査は重要な使命なんです。 |
ヒューバート | 調査を終えて、無事エフィネア大陸に戻るまでが仕事なんですから。それを食べ歩きだなんて……。 |
マリク | まあまあ、そこまでにしておけ。言いたいことはわかるが、腹が減っては戦はできぬとも言うだろう ? |
ヒューバート | 確かにそうですが……。 |
リチャード | まだエフィネア大陸行きの船が出るまで時間がある。その間くらいは休憩してもいいんじゃないかな ? |
ヒューバート | ……仕方がありませんね。今回は陛下と教官に免じてここまでにしておきます。 |
ヒューバート | が、ぼくたちは遊びに来たんじゃないんです。そのことを忘れないでくださいね、パスカルさん ! |
パスカル | は~い ! |
男性A | あああ……どうしよう。このままじゃ、せっかくのチャンスが……。 |
男性B | うわあああ……もうオシマイだぁぁぁ……。 |
パスカル | ん ? なんかあの人、困ってる ?どうかしたのかな ? |
ヒューバート | あっ、ちょっとパスカルさん !言ったそばから…… ! |
リチャード | だけど、パスカルさんの言う通り本当に困っているようだよ。 |
ヒューバート | 確かに……深刻な顔をされていますね……。 |
マリク | うむ、ちょっと話を聞いてみるか。 |
パスカル | ふむふむ、なるほど~ ! |
リチャード | それで、どういう話だったんだい ? |
パスカル | あのねー、この人たち、北のほうにある街まで行きたかったんだって。 |
パスカル | でも、大量の爆弾を持った人が街道をうろついてるらしくてね。自警団に封鎖されちゃったみたい。 |
ヒューバート | 爆弾…… ! 随分と物騒な話ですね……。 |
男性A | そうなんですよ……。迂回ルートがあるにはあるんですが、そっちは魔物の目撃情報がありまして……。 |
男性B | そっちに向かうなら傭兵を雇いたいところですが貧乏劇団の俺たちにはそんなお金もなく……。 |
マリク | ほう、劇団 ? |
劇団長 | あ、はい。そうなんです。俺が劇団長で、こっちがうちのナンバー1劇団員。 |
劇団員A | あ、どうも、ナンバー1です。 |
ヒューバート | 自分で言いますか……。 |
マリク | いったいどんな演劇をやっているんだ ? |
劇団長 | 『砂浜戦隊サンオイルスター』です ! |
ヒューバート | サンオイルスター ! ? |
劇団長 | ! ? ご存知ですか ! ? |
ヒューバート | あ、いえ……。 |
パスカル | 知ってる知ってる~ !有名な話だもんね ! |
パスカル | あれでしょ、『ハマグリ団』のホラガイ総督がピピピ電波で人を操って世界平和を壊すやつ ! |
ヒューバート | …………。 |
パスカル | ホラガイ総督をはじめとする怪人の軍団がゾワワ~ってやってきて、街を包囲して……。 |
ヒューバート | …………。 |
パスカル | でもってそのホラガイ総督の兄弟が―― |
ヒューバート | いい加減にしてくださいっ ! !全く違います ! ! |
ヒューバート | ホラガイ総督ではなく、ホラガイダーです !それに、サンオイルスターの敵集団は『怪人』ではなく『殻臣』 ! |
ヒューバート | ホラガイダーは『ウォーターブレイカー』の幹部で―― |
パスカル | へえー、そうなんだ !弟くん、サンオイルスターがめちゃくちゃ好きなんだね~ ! |
ヒューバート | ぐっ……そ、そういうわけでは……。 |
劇団長 | な、なんと……サンオイルスターにこんなに詳しいとは ! |
リチャード | ずいぶん嬉しそうだね。 |
劇団長 | それは嬉しいですよ !『砂浜戦隊サンオイルスター』はエフィネア大陸とリーゼ・マクシア大陸では人気なものの……。 |
劇団長 | それ以外の大陸では未だマイナー !こんなに素晴らしい作品が知られていないなんて我慢できない ! |
劇団員A | そこで有志たちが集まって『サンオイルスター劇団』を結成し、ティル・ナ・ノーグ中で公演しているんです ! |
ヒューバート | それは素晴らし―― |
ヒューバート | ……いえ。その、ぼくもエフィネア大陸出身なので少々知っているという程度ではありますが。 |
マリク | 少々、なぁ……。 |
ヒューバート | 少々知っているという程度ではありますが !傑作を広める活動は良いことだと思います。応援させていただきます。 |
劇団長 | ありがとう。だが……。 |
リチャード | ……公演予定の街へ行けなくなってしまったということかい ? |
劇団長 | そうなんだ……。今回は祭りでの興行というまたとないチャンスをもらっていたのに ! |
劇団長 | たくさんの人に、子供たちに見てもらえるはずだった。それがこんなことになるなんて…… ! |
パスカル | うう~ん、その街に行けなかったら演劇もできないもんねぇ……。 |
劇団長 | 世界中を巡って興行することが大変なのはわかっていた。それでも、どうにかここまで頑張ってきたんだが……。 |
劇団員A | ああああ、やっぱりもうオシマイだぁぁぁ……。 |
ヒューバート | ……それは……。 |
パスカル | どうしたの弟くん ? |
ヒューバート | あ……い、いえ。 |
マリク | ……そうだな。ここで会ったのも何かの縁だ。オレたちが護衛するというのはどうだろう ? |
ヒューバート | ! 教官…… ! |
劇団長 | そ、それはありがたいですが、先ほども言った通り我々は貧乏劇団。護衛していただいても満足な報酬をお支払いできず……。 |
マリク | いや、それは気にしなくていい。だが、そうだな……。 |
マリク | 無事に公演ができたら、オレたちにも見せてくれないか。それが報酬だ。 |
劇団長 | そ、そんなことでいいんですか ! ? |
マリク | ああ、もちろんだ。……多少の寄り道にはなるが、構わないだろうヒューバート ? |
ヒューバート | え、ええ…… !これは遊びではありませんからね。 |
リチャード | そうだね。困っている人たちを放っておくわけにはいかないから。 |
パスカル | それに、演劇が見られるなんて楽しそうだし ! |
ヒューバート | はい ! |
パスカル | え ? |
ヒューバート | い、いえ……。とにかく、劇団の皆さんを護衛して、無事に街まで送り届けましょう。 |
劇団長 | あ、ありがとうございます……よろしくお願いします ! ! |
キャラクター | 3話【ヒーロー3 稽古開始】 |
ルーク | まじかよー。『アビスマン』の衣装が用意されてるぜ。レッドにブラック、ブルー、ピンク、オレンジ……で、グリーンにシルバーか。 |
ピオニー | 当然だろう。配役も決まっているからな。まずルークがアビスレッド。 |
ルーク | ……はい。 |
ピオニー | アビスブラックがティア、ピンクがアニス。 |
ピオニー | オレンジがガイ、グリーンがナタリアシルバーがアッシュ。 |
ピオニー | そして、ブルーがジェイド。以上だ。 |
アニス | けど、なんでアビスマンなんですか ?やっぱりピオニー陛下の趣味 ? |
ピオニー | いや ? お前たちの嫌がる顔が見たかったから。 |
アッシュ | おい、ガイ。死霊使いがいないときはお前がこいつのお守り役だろうが。きちっと躾けろ ! |
ガイ | 無茶言うな ! 俺に躾けられるわけないだろ ! |
アニス | ガイはルークのお守りもしなきゃだもんね。 |
ルーク | お、俺をガキ扱いするなっ ! |
ピオニー | はっはっはっ ! 今のは冗談ということにしておいて。さっきの子供たちの反応を見れば、わかるだろ ? |
ミュウ | みんな、アビスマンが大好きだったですのー ! |
ナタリア | 確かに、キャラクターとよく似ているというだけで集まってしまうのですものね。 |
ピオニー | そういうことだ。オールドラント大陸限定ではあるんだがとんでもなく人気がある偶像ヒーローでね。 |
ピオニー | その挿絵に描かれたキャラクターがお前たちにそっくりだった……だから今回の企画を考えたんだ。 |
アニス | まあ……子供たちは喜ぶかもね。 |
ティア | ……そうね。色々大変な時期だし好きな絵本の演劇を観て元気を出してもらえるなら……。 |
ピオニー | うむ。お人好しで助かる。更に、今回は特別な演出も考えているからな。 |
ルーク | 特別 ? また変なことをやらせようってんじゃ……。 |
ピオニー | 心配するな。別の大陸からも子供向けの劇団を呼んで共同上演にしようと考えてるんだよ。 |
ルーク | へえ~ !で、その劇団ってのは ? |
ピオニー | それが、まだ到着していなくてな。街道のほうで何かあったという噂を聞いたんだがそのせいかもしれないな。 |
ティア | そうなんですか ?大丈夫かしら……。 |
ピオニー | そちらの詳細は、今調べてもらっているところだ。ひとまず、稽古をしながら待つとしよう。 |
アッシュ | それで ? |
ピオニー | ん ? |
アッシュ | 本番はいつなんだ。それによって稽古のペース配分も変わるだろう。 |
ピオニー | なるほど、確かにそうだな。本番は今日の夜だ。 |
全員 | 今日の夜 ! ? |
ルーク | おいおいおい、なんでそんな急なんだよ ! ? |
ガイ | コラボする劇団が到着してないってのもあるし……いや、細かいことを話している場合じゃないな。 |
ガイ | とりあえず台本の確認だ。急ピッチで行くぞ ! |
ルーク | ふえ~~~~~つっかれたぜ~ ! |
ミュウ | ご主人様、お疲れ様ですの !お水ですの~ ! |
ルーク | お、気が利くな、ミュウ。助かるぜ。 |
ミュウ | えへへ、褒められたですの~ ! |
ティア | とりあえず、完璧とは言えないまでも通してできるようにはなったわね。 |
ナタリア | ええ。時間のない中でここまでやれていれば上出来ですわ。 |
ナタリア | アッシュも参加してくださって感謝しています。ありがとう。 |
ルーク | そうそう、それ意外だったんだよな !アッシュ、よく付き合ってくれたよな~。柄じゃねえ ! とか言いそうなのに。 |
アッシュ | 誰の真似だ、それは……。 |
アッシュ | 別に深い理由はない。ただナタリアが知らないところで妙なことに巻き込まれるのが許せないだけだ。 |
ナタリア | まあ、アッシュ……。 |
アッシュ | ……フン。 |
アニス | はあ~、いつも通り若い二人は熱々ですね~。でも、忘れてない ? 大丈夫 ? |
アッシュ | 何がだ ? |
アニス | アビスマンは、アッシュのシルバーとティアのブラックが恋人関係じゃん ? そこんとこどうよ~ ? |
アッシュ | …………。 |
アニス | しかも途中からルークのレッドもブラックに片思い !そこから泥沼の三角関係に発展して…… ! |
ガイ | 改めて考えても、これが子供にウケているのが不思議だな……。 |
アニス | ホントにさ~、大好きなブラックがシルバーの恋人とか、レッド可哀想~。ね、ルーク ! |
ルーク | おっ、俺のことみたいに言うなよ !そんなの劇だけの話だろ ! ? |
アニス | ええ~、なんかすっごい動揺してるじゃん~。もしかして、そういう現実がいつか来るかもって想像しちゃった ? |
ルーク | ち、違う違うちがーう ! |
ガイ | アニス、からかうのはその辺にしてやってくれよ。 |
アニス | は~い、ガイ先生~。 |
アッシュ | まったく……騒がしい連中だ。 |
ナタリア | ふふ、そうですわね。でも……私は、その騒がしさの中にアッシュがいてくれることが嬉しいですわ。 |
ガイ | ……だってさ、アッシュ。 |
アッシュ | な、何だ。お前まで俺をからかうつもりか。 |
ガイ | そうじゃない。お前もナタリアも自治政府の仕事で忙しいんだ。今回は少し肩の力を抜いて楽しめってことさ。 |
アッシュ | だが、アビスブルーが不在のままだ。そもそもジェイドがこんな騒ぎに協力するとは思えないが……。 |
アニス | それはそう。 |
ルーク | ジェイドが真面目に劇やってるとか、ウケるよな。 |
ティア | 確かに……こういうことは好きではないように思うけれど……。 |
ピオニー | 安心しろって。あいつは絶対に来るさ。どんなに嫌でもな。 |
アッシュ | 相当な自信だな。何を企んでいるのか……。 |
アニス | けどそれってつまり、大佐がアビスブルーの衣装を来てる姿が見られるってことでしょ ?うっわ。ミリーナ呼んで、写真撮ってもらいたい ! |
ルーク | ひっひっひっ ! もう想像するだけで笑えるな ! |
アニス | にしし、絶対にとってもとってもとーっても素直な感想を伝えてあげなくっちゃ。ねー、ルーク ! |
ルーク | だな ! いや~、楽しみだぜ~ ! |
アッシュ | ルーク、お前は人を嗤っている場合じゃないだろう。まだ演技も完璧でないくせに。 |
アッシュ | 特に登場のときのあれはなんだ !最も重要なところでろくな演技もできないんじゃ話にならないだろうが ! |
ルーク | なっ…… ! だ、だって仕方ないだろ !急なことなんだから……。 |
アッシュ | 言い訳をするな !もう休憩は十分だろう、練習を再開するぞ。最初の登場部分からやってみろ ! |
ルーク | ええっ ! ?えっと……こうだったよな ? |
アッシュ | 違う ! 腕の角度が甘い。もっと高く ! |
ルーク | こ、こうか ! ? |
アッシュ | そうだ。そのまま台詞 ! |
ルーク | くー、キツいぜ !えっと、台詞は―― |
ナタリア | ……ふふ。 |
ティア | ナタリア、顔がほころんでいるわよ。 |
ナタリア | ええ……先ほども言いましたが、アッシュがこうして楽しそうにしているのが嬉しくて。 |
ナタリア | それに、最近はルークとアッシュが本当の兄弟のように見える時もありますの。それも、なんだか胸が熱くなってしまって……。 |
ナタリア | こういう時間が、この先もずっと続けばいいですわね。 |
ティア | ……ええ。きっと、これを当たり前の時間と捉える人もいるのでしょうけど……。 |
ティア | 私たちにとっては、まるで奇跡だから。 |
ナタリア | ……本当ですわね。 |
ルーク | どーだ、これで完璧だろ、アッシュ ! |
アッシュ | フン。お前にしては悪くないな。 |
ルーク | よっしゃー !んじゃ、この勢いでもう一回通し稽古やっちまおうぜ ! |
ティア | ふふ、そうね。頑張りましょう ! |
キャラクター | 4話【ヒーロー4 護衛完了】 |
劇団長 | つ、着いた……着いたぞー ! |
劇団員たち | ばんざーい ! ばんざーい ! |
ヒューバート | そんな、大げさな……。 |
劇団長 | いいえ ! 本当に、一時はどうなることかと思ったんですから…… ! |
劇団員A | 本当に今回は、またとないチャンスだったんです。だからこそ、ままならない状況に絶望していたのですが……。 |
劇団員A | 無事、到着した !これほど嬉しいことが他にあるでしょうか ! ?いや、ない ! ! |
パスカル | 表現が大げさなのは劇団員だからかもしれないねぇ~。 |
ヒューバート | 意外に的確な分析をしますね……。 |
劇団長 | しかし、本当に護衛のお代はいらないのでしょうか ? |
マリク | ああ、もちろんだ。オレたちとしても、人助けができてよかったと思っている。 |
マリク | 何よりウチの者も楽しませてもらったからな。な、ヒューバート ? |
ヒューバート | そっ、それは…… ! |
パスカル | 弟くん、楽しそうだったもんね~ !劇団の人たちとサンオイルスターの話ができて ! |
リチャード | ああ。活き活きとした表情をしていて……見ていてなんだか微笑ましくなったよ。 |
ヒューバート | あ、あれは、その、劇団の皆さんが大変詳しいので参考にしようと……。 |
劇団員A | いや、君の知識も見事なものだったよ !こちらが参考にさせてもらうべきだ ! |
ヒューバート | そ、そんなことは…… ! |
劇団員A | 何よりも、こんなにサンオイルスターを熱く応援してくれる人がいるとは……うう…… !本当に、嬉しい…… ! |
ヒューバート | ……そうですね。ぼくも、熱意のある人たちは好きですから。 |
ヒューバート | 今日の公演も、楽しみにしています。 |
劇団員A | ああ、モチロンだ !必ずいいものを見せるよ。ねえ、団長 ! |
劇団長 | あ、ああ……そうだな。 |
ヒューバート | ? どうかしましたか ?顔色が悪いようですが……。 |
劇団長 | ああいや、長旅で少し疲れて……問題はない。 |
ヒューバート | そう……ですか。……って、あれ ? |
ヒューバート | またパスカルさんがいない ! ? |
マリク | ああ、パスカルだったらリチャード陛下と一緒に街の中を見てくると言っていたぞ。 |
ヒューバート | はぁ……なんなんですかあの人は。ちょっと目を離すとすぐに…… ! |
マリク | まあまあ。今回は陛下も一緒なんだ。心配するようなことはないだろう。 |
ヒューバート | ですが……。 |
マリク | 置いていかれて寂しいのか ? |
ヒューバート | ! ち、違います !ほら、教官 ! 劇団の皆さんの荷物運びを手伝いますよ ! |
マリク | はっはっは ! 若いっていうのはいいものだな。 |
パスカル | キウイ ! パパイヤ ! マンゴー ! パイナップル !ん~~~~、これはトロピカルヤッホー ! |
リチャード | はは、楽しそうだね。まあ、街の様子を見れば無理もないか。 |
パスカル | だよね !こんなにいろんな屋台があるなんてすごーい ! |
リチャード | これは、アスベルやソフィも喜びそうだな……。今からで間に合うかはわからないが彼らにも声をかけてみようか。 |
パスカル | うん、それいいと思う ! |
リチャード | それじゃあ、魔鏡通信文で……っと。これでよし。 |
リチャード | さて、演劇は夜だから、僕たちも今日はここに泊まることになる。宿だけは探しておこう。 |
パスカル | おっけぃ ! |
ルーク | あれ、お前ら何やってんだ ? |
パスカル | おおー、ルークにガイ !そっちこそ、何やってんの ? |
ガイ | 買い出し中なんだ。色々と入り用で。実は―― |
リチャード | なるほど、余所の劇団とコラボして演劇を、か……。 |
パスカル | ん ? その劇団ってもしかして ? |
ルーク | なんか知ってんのか ? |
リチャード | 僕たちは、移動中のトラブルで立ち往生していた劇団を護衛してここまで来たんだ。 |
パスカル | 今日の夜、公演があるって言ってたんだよね。それって多分、そうじゃない ? |
ルーク | マジかよ ! 絶対その劇団じゃん ! |
ガイ | そうか、無事に到着したんだな。すまないが、その劇団のところまで案内してもらえないか ? |
パスカル | もちろん ! こっちこっち~ ! |
パスカル | おーい、弟くん !今そこでね―― |
劇団長 | う、うう……。 |
ルーク | おいおい、どうしたんだ ? |
ヒューバート | 劇団長が急に苦しみだして……腹痛のようなんですが。 |
ガイ | 大丈夫か ? |
劇団長 | だ……いじょう……ぶ……です……うぅ……。 |
ガイ | いや、どう見ても大丈夫じゃないだろう……。 |
ルーク | なあ、ティアやナタリアのところに連れてったら治してもらえんじゃねーか ? |
ガイ | うーん、怪我ならともかく病気はな……。医者を呼ぶしかないだろう。 |
ガイ | 担架か、代わりにできるようなものはないか ?近くにピオニー陛下がいる。そこまで運べば医者を手配してくれるはずだ。 |
ヒューバート | 代用出来るものがあったはずです。今すぐ用意します ! |
ヒューバート | 少しだけ待っていてください、劇団長。あなたのことは、必ず助けます ! ! |
キャラクター | 5話【ヒーロー5 受け継がれる意志】 |
ティア | みんな、治療が終わったわよ。 |
ルーク | どうだ ? 大丈夫か ? |
劇団長 | は……はい……痛みは……治まりました……。 |
ルーク | そうか、よかった ! |
ヒューバート | でも、いったい何が原因だったんでしょう ? |
ナタリア | お医者様は、食あたりだろうと……。 |
ルーク | 食あたり ! ? |
ナタリア | ええ。鮮度の悪いものを食べたことが原因だとおっしゃっていましたわ。 |
劇団長 | ……はい。きっと魚にあたったんだと思います。 |
ヒューバート | 魚……もしかして、死んだ魚介を…… ! |
劇団長 | そう、捕食する……。我々はサンオイルスターとして世界を巡るにあたって、一日三食魚介を食べているんだ……。 |
ヒューバート | ……ッ !なんて志が高いんだ……。 |
ティア | …… ? どういうこと…… ? |
マリク | まあ、それは長くなるから後で説明しよう。 |
劇団長 | だが、新鮮な魚介類はどうしても高い……。我々は貧乏ゆえ……新鮮なものばかり買うのは難しかった。だから……。 |
劇団員A | まさか、団長 ! あなた、新鮮な分を俺たちに…… ? |
ヒューバート | ッ ! 自分の身を危険に晒して仲間を優先するなんて……さすがサンオイルスター・レッドを演じる方だ…… ! |
アニス | な、なんか、今日のヒューバートいつもとテンションが違わない…… ? |
ガイ | まあ、誰にでもそういうことはあるさ。 |
ナタリア | 事情は理解しましたわ……。ひとまず、命に別状はなく数日安静にしていれば問題ないとのことでした。 |
パスカル | そっか~。まあ、不幸中の幸いってことかな。……って、あれ、数日 ? |
リチャード | つまり、今日は絶対安静だと ? |
ナタリア | ええ。お医者様はそうおっしゃっていましたけれど。 |
劇団長 | そ、そんな !それじゃあ、今夜の公演は……。 |
ナタリア | 残念ですけれど……今だって、立ち上がることもできないではありませんか。 |
劇団長 | こ、ここまでたどり着いたというのに……っ ! |
アッシュ | 世界中を巡っているのだろう ?こういう時に備えて代役を用意していないのか ? |
劇団長 | う……そうしたいのはやまやまなのですがなにしろギリギリの人員で回しているので……。 |
劇団員A | それに、サンオイルスター・レッドを完璧に演じられる人なんて団長以外にいません !代役なんて、誰にも……。 |
劇団長 | いや……待ってくれ。ヒューバートくん。 |
ヒューバート | え ? |
劇団長 | どうか……俺の代わりにサンオイルスター・レッドを演じてはもらえないだろうか ? |
ヒューバート | ! ? ぼくが、サンオイルスター・レッドに…… ! ? |
劇団長 | ああ……ここに来るまでの間に、君のサンオイルスターにかける情熱は本物だと確信した。 |
ヒューバート | …………。 |
劇団長 | 我々には、使命がある。『砂浜戦隊サンオイルスター』を世界中に広めるという崇高で偉大なる使命が…… ! |
劇団長 | それを託せるのは、ヒューバートくん、君しかいない ! |
ヒューバート | 劇団長……。 |
マリク | やってみたらどうだ、ヒューバート。劇団長の言う通り、お前の知識は見事だった。その知識と情熱があれば、きっとできるはずだ。 |
リチャード | うん。僕もそう思うよ。世界にサンオイルスターを広めたいという想いを引き継げるのは君だけだ。 |
ヒューバート | 教官……陛下……。 |
ヒューバート | ……そうですね。サンオイルスターをたくさんの子供たちに見てもらう絶好の機会を逃すわけにはいきません。 |
劇団長 | それじゃあ…… ! |
ヒューバート | サンオイルスター・レッドの代役、ぼくが責任をもって引き受けさせていただきます ! |
劇団長 | ! !あ、ありがとう、ありがとう…… ! |
劇団員A | 助かるよ…… !君なら必ずいいサンオイルスター・レッドを演じてくれるはずだ ! |
パスカル | いいね~ !頑張って、弟くん ! |
パスカル | あ、もしかして秘密兵器とか必要 ?だったらあたしがパパッと作っちゃうよ ! |
ヒューバート | パスカルさんがそんなものを作ったら劇どころではなくなってしまいますよ ! |
ヒューバート | ……まあ、気持ちはありがたく受け取っておきます。 |
ヒューバート | しかし、ぼくがサンオイルスター・レッドを完璧に演じるには、ルークさんたちの協力も必要です。 |
ルーク | ん ? 俺たち ? |
ヒューバート | ぼくは、サンオイルスターの知識はありますがこの台本は当然のことながら初見です。これから叩き込まなければならない……。 |
ヒューバート | ですから、できる限りの稽古をする必要があるんです。どうか、付き合っていただけないでしょうか。 |
ルーク | なんだ、そんなの当然だろ !俺たちだって、まだ合同稽古はできてねーんだしな。 |
ティア | ええ。これでようやくキャストが揃った状態で通し稽古ができる……。だからみんなで協力して頑張りましょう。 |
ヒューバート | ありがとうございます !よろしくお願いします ! ! |
マリク | ふっ、若者たちは熱いな。 |
リチャード | こういうのを青春って言うんだろうね……。ヒューバート、みんな、どうか頑張ってくれ。 |
キャラクター | 6話【ヒーロー6 開演間近】 |
アッシュ | よし、ここで一度休憩だ ! |
ルーク | ふいー、疲れたぜ~ !けど、結構いい感じになってきたんじゃねーか ? |
ティア | ええ。ヒューバートやサンオイルスター劇団の皆さんが合流したおかげで、私たちも流れを意識しやすくなったわね。 |
ナタリア | ええ、やはり臨場感が違いますわね。自然と気持ちが入りますわ。 |
劇団員A | みなさーん、本当にお疲れ様です !すぐにお茶をご用意しますので、お待ちくださいね ! |
ティア | ああ、それなら私も手伝うわ。 |
ナタリア | 私も。皆さんも疲れているでしょうし協力していきましょう。 |
アニス | え ! ? ナタリアが ! ? |
ナタリア | まあ ! 失礼ですわね !お茶を運ぶだけなら失敗いたしませんわ ! |
ガイ | それにしても、ルーク。随分、動きがよくなったな。 |
ルーク | 本当か ! ? |
アッシュ | ……そうだな。最初よりはマシになった。 |
ルーク | おおー、やったぜ !これなら本番も完璧だな ! |
アッシュ | 調子に乗るなよ。その油断が命取りだ。少しでも気を抜けば本番で失敗する。そのことを忘れるな。 |
ルーク | あっ……どこ行くんだよ、アッシュ ! |
アッシュ | 静かなところで台本を読み直してくるだけだ。ついてくるな ! |
ルーク | 誰が行くかよ ! |
ルーク | ったく……アッシュのやつ、褒めるか貶すかどっちかにしろよなー。 |
アニス | でもさー、アッシュも変わったよね。 |
ルーク | そうかぁ ? |
アニス | 変わったよ~。昔のアッシュだったら「ちゃんとしろ、屑が ! 」とか言いそうだし。 |
アニス | ってか、ナタリアがいるからって一緒に劇とか絶対やらなかったでしょ。付き合いがいいというか、面倒見がいいというか。 |
ガイ | はは……。まあ、あいつはあれで元々面倒見のいいところもあったんだよ。 |
ルーク | …………。 |
ガイ | 色々あって、それどころじゃなくなったんだろうが戦いがひと段落した今、本来のあいつが顔を出すようになったのかもな。 |
ルーク | ……そうだな。あいつ、ナタリアや母上には結構優しいとこあるし……。 |
ルーク | ……俺、きっと、あいつの知らないところがまだまだたくさんあるんだろうな。 |
ガイ | 何言ってんだ。当たり前だろ。お前とアッシュは別人なんだから。知らない事があるのが普通なんだよ。 |
ルーク | そうか……。 |
ガイ | そうだよ。もしもっと知りたいと思うならあいつに寄り添ってみたらどうだ ? |
ルーク | それはガイがやった方がいいんじゃないか ?あいつ、ガイのことが好きなんだし―― |
アッシュ | はあ ! ? てめぇ、俺の代弁者みたいな面してんじゃねえ ! ! |
ルーク | うわ ! ? な、なんで戻ってきたんだよ ! ? |
アッシュ | 忘れ物をしただけだ !戻ってきたら悪いのか ! ? |
ルーク | 悪くねぇけど……。でも、ガイと仲良くしたいのは本当だろ……。 |
アッシュ | は ? 気持ちの悪いことを言ってるんじゃねぇ ! |
ルーク | はぁ ! ? 気持ち悪いとはなんだよ !ガイは気持ち悪くなんかないぞ ! |
アッシュ | ガイが気持ち悪い訳ないだろう !――ええい、もういい ! |
ルーク | おい、アッシュ !待てよ ! |
アニス | ガイってばモテモテじゃ~ん。 |
ガイ | いや、何というか複雑な心境だよ……。 |
パスカル | ん~、ここは、こうして……いや、こっちのがいいかな ? |
ヒューバート | パスカルさん、何をしているんですか ? |
パスカル | ん ? ああ、ちょっと舞台で使える道具をね~。 |
ヒューバート | 舞台で……まさか、本当に秘密兵器を ! ? |
パスカル | 違うよ~ !これは、自動で照明を切り替える装置 !しかもスモークも焚けちゃうんだよ ! |
パスカル | ピピピっと設定しといてあとはポチっとしたらバババッと色が変わって舞台を盛り上げてくれるの ! |
ヒューバート | 舞台装置を作ってくれていたんですか……。パスカルさんは劇には出ないのに。 |
パスカル | 出ないけど、弟くんすっごく頑張ってるし。あたしも力になれたらな~って。 |
ヒューバート | そんなことを……。 |
ヒューバート | ……気持ちだけで十分なのに。ですが……ありがとうございます。 |
パスカル | いいって、いいって !あたしが応援したいだけなんだから ! |
パスカル | けど、なーんか物足りないんだよねぇ……。 |
パスカル | やっぱり最後はドドーン ! かなぁ ? |
ヒューバート | だから危ないのはやめてください !まったく、あなたという人は……。 |
ヒューバート | ……暴走しないように、ぼくがアイデアを出します。それでいいですね ? |
パスカル | おお、助かるよ~ !もう少しで本番だし、パパっと完成させちゃおう~ ! |
キャラクター | 7話【ヒーロー7 大盛況のお祭り】 |
アスベル | すごい賑わいだな !あちこちに出店があって……いいよな、こういうの ! |
シェリア | ええ。見ているだけでもなんだかわくわくしてくるわ。 |
ソフィ | ヒューバート、ここで劇をするの ? |
アスベル | ああ、リチャードはそう言ってたが……。 |
シェリア | あっ ! あそこじゃない ? |
ソフィ | リチャード。 |
リチャード | みんな、間に合ってよかったよ。こっちに席を用意しておいたんだ。 |
ソフィ | ありがとう。 |
アスベル | あれ、教官とパスカルは ? |
リチャード | 二人は劇の手伝いをしているんだ。パスカルさんは自作の装置で舞台を盛り上げることになっていて……。 |
アスベル | へえ……教官は ? |
リチャード | マリクは……ふふ。見てからのお楽しみだよ。 |
シェリア | ということは……もしかして、ステージに出るのかしら ? |
リチャード | ……ほら、もう始まるよ。 |
シェリア | 楽しみね !それじゃあ、みんなの活躍を応援しましょう。 |
アスベル | ああ ! |
司会 | 悪の組織『暗黒魔界(ブラッククリフォト)団』。彼らはこの世界を不安に陥れようと日々暗躍しているのだ。そして今日も―― |
ミュウ | みゅ~~ ! 助けてですの~~ !捕まってしまったですの~ ! |
アビスシルバー | 騒ぐな !いいか、お前はこの俺、改造戦士アビスシルバーと共に世界を闇に包む手伝いをしてもらう ! |
ミュウ | みゅみゅ~……。 |
アビスシルバー | この会場にいる全ての人間ども !お前たちも同じだ ! |
アビスシルバー | お前たちは全員、我が暗黒魔界団の手下だ !わかったな ! |
司会 | これは大変だ !このままではみんな悪の組織の一員になってしまう ! |
司会 | 会場の良い子のお友達 !この危機を逃れるためにも、一緒に正義の味方アビスマンを呼んでくれ ! せーの…… ! |
会場のみんな | アビスマーン ! ! |
アビスレッド | おう、待たせたな !とうっ ! |
アビスレッド | 紅き焔は聖なる輝き ! アビスレッド ! |
アビスブラック | 闇夜に響く黒き旋律 ! アビスブラック ! |
アビスオレンジ | 天空を翔る茜の翼 ! アビスオレンジ ! |
アビスピンク | わわわわーんだ、ももももーいろ ♪ アビスピンク ! |
アビスグリーン | 慈愛を映す碧の瞳 ! アビスグリーン ! |
アビスレッド | 正義の味方アビスマン、参上 ! ! |
アビスシルバー | やはり来たかアビスマン……ん ?ブルーはどうした ? |
アビスレッド | ぶ、ブルーは、ちょっと、あれだ……妹の結婚式があって今日は欠席って言ってたぞ ! |
アビスシルバー | そうか、結婚式ならば仕方がないな。 |
アビスシルバー | まあいい !とにかく今日こそは決着をつけてやる、アビスマン ! |
アビスレッド | 待ってくれ、兄さん !俺はあんたと戦うつもりで来たんじゃない ! |
アビスシルバー | なんだと ? |
アビスブラック | そうよ、シルバー !あなたは暗黒魔界団に洗脳されているの ! |
アビスシルバー | 洗脳 ? ハッ……何を馬鹿げたことを。 |
アビスブラック | 馬鹿げたことじゃないわ !だって、私もそうだったから……。 |
アビスブラック | 私はかつて、あなたと共に洗脳されて暗黒魔界団で悪事を働いていたわ……。でも、思い出したの ! |
アビスブラック | あなたと誓ったあの約束を……その瞬間、私は洗脳から解放されたわ !だからあなただって―― |
アビスシルバー | 違う ! 俺はお前たちを倒すために生まれた改造戦士アビスシルバーだ !それ以外の何者でもない ! |
アビスシルバー | ごちゃごちゃと、余計なことを抜かすんじゃねえ !これでも……くらええええええっ ! |
アビスレッド | ぐっ…… ! |
アビスピンク | はうあ ! レッドが…… ! |
アビスシルバー | これで終わりだっ !アビスシルバー・ミレニアムショット ! |
アビスマンたち | うわあああああっ ! |
アビスオレンジ | くっ……ま、まさかこんな必殺技があるなんて…… ! |
アビスシルバー | フッ……命運尽きたな。散れ ! 雑魚どもが ! |
? ? ? | そうはさせませんよ ! ! |
アビスシルバー | ! ? 貴様は…… ! |
サンオイルスター・レッド | 死んだ魚介を捕食するぜ !バッ バッ バババッ !砂浜戦隊サンオイルスター・レッド ! |
アビスシルバー | 砂浜戦隊サンオイルスターだと ! ? |
サンオイルスター・レッド | アビスマンの皆さん、ぼくたちも力を貸します !我らがサンオイルスターの名にかけて ! |
サンオイルスターズ | おお ! |
アビスレッド | サンオイルスター・レッド、助かるぜ…… ! |
アビスブラック | でも、どうやったらシルバーを……あの人を止められるのかしら……。 |
サンオイルスター・レッド | 弱気になってはいけません、ブラック。シルバーの洗脳を解けるのは恋人だったあなたの声だけなんです ! |
アビスブラック | ! ?なぜ私が彼の恋人だったことを知っているの ! ? |
サンオイルスター・レッド | そういう細かい話はなしにしましょう ! |
アビスブラック | なしなのね、わかったわ ! |
サンオイルスター・レッド | とにかく今は、アビスシルバーの攻撃を止めなければなりません !いきますよ、皆さん ! |
全員 | はいっ ! |
アビスシルバー | フッ……愚かな。人数が多少増えた程度でこの俺に勝てるわけがないだろう ! うおおおおお ! ! |
サンオイルスター・レッド | はああああああっ ! |
アビスシルバー | ぐっ……こ、こまでか……。 |
アビスブラック | そうよ、シルバー……。もうやめましょう ! どうか、これ以上は―― |
アビスシルバー | うるさいっ ! 俺は―― ! ! |
アビスブラック | きゃあっ ! ――え ? |
アビスシルバー | …………ッ ! |
アビスブラック | なぜ……攻撃を、やめたの…… ? |
アビスシルバー | …………。 |
アビスグリーン | それは、あなたにまだ優しい心が残っているから……そうですわね、アビスシルバー。 |
アビスシルバー | くっ……そん、な……。 |
アビスブラック | お願い……どうか、思い出して !あの時の、私との約束を…… ! ! |
アビスシルバー | くっ……あああっ、あああああ―― ! |
アビスレッド | これは、もしかして洗脳が解けて―― |
アビスシルバー | ぐああっ ! |
アビスブラック | シルバー ! ?今の攻撃は、どこから…… ! ! |
? ? ? | 盛り上がっているところ申し訳ありませんがそうはさせませんよ。 |
アビスレッド | 誰だ ! ?……ってか、マジで誰だ ! ? |
サンオイルスター・レッド | 本来ここでは暗黒魔界団が登場する予定ですが……。 |
アビスブルー | フッ……あなたたちの正義は私が破壊させていただきます。 |
アビスレッド | ジェイ……い、いや……アビスブルー ! ? |
キャラクター | 8話【ヒーロー8 怒涛の展開】 |
アビスブルー | 残念でしたね、皆さん。これで勝てると思ったのでしょうがそうはいきません。 |
アビスブルー | たとえアビスシルバーの洗脳が解けたとしてもそれで平和が訪れるなんてことはありませんよ。 |
アビスブルー | なぜならば、私は暗黒魔界団のスパイなのですから。 |
全員 | えええええ~ ! ! |
ルーク | そ、そんなの台本になかったぞ ! ? |
ジェイド | こちらにも事情がありまして ♪ |
ルーク | 事情って―― |
ピオニー | がんばれー ! アビスマーン ! ! |
ガイ | ……なるほど、そういうことか。 |
ルーク | は ? なるほどって……。 |
ガイ | 考えがある、って陛下が言ってただろ。つまり、これは陛下が用意した展開だったんだ。 |
ルーク | はあああああっ ! ? |
ジェイド | ほら、続きをやりますよ。劇はまだ終わっていないんですから。 |
ルーク | く、くそ……。 |
アビスレッド | クソオ !マサカアビスブルーガスパイダッタナンテ ! |
アッシュ | 棒読み過ぎだろうが……。 |
ルーク | う、うるせえ ! |
アビスブルー | 子供たちの夢を壊さないために本気で行きますよ。ディバインセイバー ! ! |
ルーク | どわああああ !ジェイドのやつ、マジで攻撃してきやがったぞ ! ? |
アニス | さすが大佐。照準は外してくるけど本気とは。一応配慮ってやつなのかな ? |
アビスブルー | はっはっは !その程度でこの私に勝てると思っているのですか ? |
二人 | うわぁ……。 |
ルーク | 似合いすぎ……。 |
アニス | 引くわぁ……。 |
子供A | ね、ねぇ……アビスマン、大丈夫かな…… ? |
子供B | サンオイルスターも、負けちゃったりしないよね…… ? |
サンオイルスター・レッド | ……負けません ! ! |
全員 | ! ! サンオイルスター・レッド ! ? |
サンオイルスター・レッド | 我々は砂浜の正義を守るサンオイルスター !しかしたとえ砂浜以外の場所でも決して悪には負けません ! |
サンオイルスター・レッド | さあ、会場の良い子たち !正義の心を持つみんなの熱い声援をヒーローたちに届けてください ! |
子供たち | ! !がんばれー、アビスマン !がんばれー、サンオイルスター ! |
ガイ | やるな、ヒューバート。よし、俺たちも立て直していくぞ ! |
アビスオレンジ | アビスブルー ! いい機会だしかつては仲間だったお前でも、手は抜かない ! |
アビスピンク | 平和のために、日頃の恨みを込めて全力でぶっつぶーす ! |
アビスレッド | そうだぞ ! いつもマジむちゃくちゃやられてっからな ! 覚悟しろよ ! |
アビスブルー | おやおや、愚かですねぇ……。レイジングミスト ! ! |
アビスシルバー | 狙いは俺か…… ! |
アビスブラック | あ、危ない ! ! アビスシルバー ! ! |
アビスブラック | きゃああっ ! |
アビスシルバー | ブラック ! ? なぜ俺を庇って…… ! |
アビスブラック | だって……あなたに、思い出してほしかったから……。 |
アビスシルバー | 思い出す…… ? |
アビスブラック | 私たちは……魔界(クリフォト)で……正義と愛を……誓っ……た……――ガクッ。 |
アビスシルバー | ブラック……ブラックーーーー ! ! |
ルーク | お、おい、ティアのやつ、マジでジェイドの攻撃に当たっちまったんじゃねぇよな ! ? |
ナタリア | いえ、恐らくティアは気を利かせて台本に近い内容で進めようとしているんですわ。 |
ルーク | ! ! そ、そうか……。 |
アニス | それに一瞬で合わせるとかアッシュもノリノリじゃん~。 |
ナタリア | ええ、そういう人ですわ、アッシュは。 |
アビスオレンジ | ブラック ! !くそっ、ブラックが……やられちまった…… ! |
アビスシルバー | 許さない……許さないぞ、アビスブルー !お前のことは、俺が必ず倒してやる ! |
アビスブルー | フッ……面白い。やれるものならやってみて―― |
ディスト | 見つけましたよーーーー ! !ジェイドーーーーーー ! ! |
全員 | ディスト ! ? |
ジェイド | ……なぜここに ? |
ディスト | ピオニーから連絡を受けたのですよ !あなたが私と祭りに参加したがっているとね ! |
ジェイド | …………。 |
ガイ | あ、陛下を睨んでる。 |
ピオニー | …………。 |
アニス | 首振ってるけど……。 |
ディスト | あなたが祭りに参加したがるなんて。ここに何か調査すべきものがあるのですね。よろしい。早速私と屋台を回りましょう ! ! |
ルーク | おい、このままだと劇がめちゃくちゃになるぞ ! |
アビスブルー | あーっと ! |
ディスト | ! ? どうしたのです、ジェイド ! |
アビスブルー | 突然ですが、過去の記憶を思い出しました。私を洗脳し、悪の世界に引きずり込んだのは暗黒魔界団の幹部、そこにいる死神博士です ! |
ディスト | ……へ ? |
アビスブルー | ブラックもシルバーも、彼に洗脳されていました !ですが、その洗脳はもう解けた……そしてここからは会場の皆さんの力が必要です ! |
アビスブルー | そうですよね、サンオイルスター・レッド ! |
サンオイルスター・レッド | あ、ああ、はい !さあ、良い子の皆さん !ヒーローたちを応援してください ! |
子供たち | がんばれがんばれ、アビスマン !がんばれがんばれ、サンオイルスター ! |
アビスブルー | ああ、力が沸いてきましたよ……。いきます !惑星譜術(プラネットソウル) ! ! |
ルーク | いや、だから本気すぎだろ ! ? |
ジェイド | どうせアレは殺しても死にません。さあ、あなたたちも全力でいってください。 |
ルーク | ……アッシュ、行くぞ !一応、軽めのやつで。ヒューバートはトドメを頼む ! |
アッシュ | チッ…… ! |
ヒューバート | わかりました ! |
二人 | 双牙斬 ! ! |
ヒューバート | 旋風裂駆 ! ! |
ディスト | あ~~~~れ~~~~~~ ! |
アビスレッド | ふぅ……終わった。 |
魔界団員 | くそっ…… ! まだだっ ! |
アビスシルバー | なにっ ! ? |
アビスレッド | シルバー ! ? シルバーが刺された ! ? |
魔界団員 | へ、へへ……ただでは終わらないぜ……。シルバー、ブラックのもとへ、いけ…… ! |
アビスレッド | くっ、卑怯な !安心しろ、シルバー ! すぐに手当を……。 |
アビスシルバー | いや……もう、いい……。これで……ブラックの元に……いけ、る……。 |
アビスレッド | シルバー……シルバー ! ! ! |
子供A | そんなぁ……。 |
子供B | うえええん、シルバーとブラックが……。 |
アビスレッド | 大丈夫だ !我々アビスマンの命は君たちの勇気に支えられている ! |
サンオイルスター・レッド | そうです ! 会場にいる皆さんの勇気があればブラックもシルバーも蘇ることでしょう ! |
サンオイルスター・レッド | どうか、正義の心を絶やさないでください !そうすればぼくたちはまた、君たちの前に現れます ! |
子供A | ! !アビスマーン ! ! |
子供B | サンオイルスター ! ! |
子供たち | アビスマーン ! サンオイルスター ! !アビスマーン ! サンオイルスター ! !わ~~~~ ! ! ! |
キャラクター | 9話【ヒーロー9 無事閉幕】 |
ピオニー | いやあ、最高だったぞ、お前たち。おかげで大盛況だ。 |
ルーク | いや、めちゃくちゃだったじゃん ! ? |
ジェイド | まったく、とんだ茶番に付き合わされたものです。 |
ルーク | という割にはノリノリだったような……。 |
イオン | アニス、お疲れ様でした。 |
リベラ | アニス ! かっこよかったよ ! |
アニス | イオン様 ! リベラ !二人も来てくれたんだ~ ! |
イオン | はい。少し遅れてしまいましたがちゃんと見ることができました。とても凛々しかったですよ、アニス。 |
アニス | かっこいいとか凛々しいとか……。まあいいか。 |
イオン | ふふ。舞台の成功、おめでとうございます。 |
ガイ | しかし、まさか本当にジェイドが来るとはなあ。 |
ピオニー | なんだ、ガイラルディア ? 信用してなかったのか ? |
ガイ | いや、陛下が言い切ったからには何か仕掛けがあるとは思っていましたけど……。 |
アニス | でも大佐本人が来るとは思わなかったですよう~。 |
ジェイド | 事情があると言ったでしょう ?……さて、陛下。 |
ピオニー | はいはい ? |
ジェイド | ちゃんと参加したのですから、例の計画は白紙に戻すということで問題ありませんね ? |
ルーク | 例の計画 ? |
ピオニー | 『オールドラント領の街一つにつき一つ聖人ジェイド像を建てる』って計画があったんだがジェイドに反対されてなあ。 |
三人 | ああ~……。 |
ティア | ピオニー陛下の場合、絶対に冗談とも言い切れないものね……。 |
ヒューバート | そ、そうなんですね……。 |
ヒューバート | ところで、ディストさんは大丈夫なんですか ?結構、その……手加減なく吹っ飛ばしていたように感じたんですが……。 |
ジェイド | ああ、問題ありませんよ。放っておいても明日には目を覚ますでしょう。 |
ヒューバート | はぁ……。 |
ルーク | まあ、ディストも今回は災難だったよなぁ。悪役に仕立て上げられちまってさ。 |
ジェイド | いえ、そうでもありませんよ。どちらかといえば自業自得ですね。 |
ルーク | え ? |
ジェイド | この街と港町を繋ぐ街道が封鎖されていた件はご存知ですか ? |
ヒューバート | あっ !劇団の皆さんが通れなくて困っていたあの道のことですか ? |
リチャード | 確か、爆弾を持った不審者が現れたから自警団が対応していたんだったね ? |
ジェイド | ええ。運ぶように頼まれたある爆薬をディストが妙な形にデザインしてしまい爆弾と勘違いされたんですよ。 |
ピオニー | 俺が頼んだものとはだいぶ形が違ってたからな。街道のほうで騒ぎがあったと聞いて調べたらディストでさすがに唖然としたよ。 |
ガイ | 事件の影にはディストありってか。そういや、俺がティル・ナ・ノーグに来た時もそうだったっけな……。 |
ルーク | けど、なんでそんなもん、ディストに頼んだんだ ? |
ピオニー | それは……まあ、もうしばらくしたらわかる。 |
ピオニー | 俺は今からその準備にかかるがジェイドにも手伝ってもらうぞ。 |
ジェイド | ここまで来たら乗りかかった船ですしね。さあガイ、行きますよ。 |
ガイ | しれっと俺まで巻き込んだな……。 |
ピオニー | それと、演劇を手伝ってもらった諸君には俺から浴衣を用意しておいたぞ。着替えて祭りを楽しんでくれ。 |
アニス | へぇ~……あ、じゃあ ! |
アニス | ルークはティアと、ナタリアはアッシュと一緒にお祭りを回りなよ~ ! |
二人 | えっ ! ? |
二人 | …… ! |
アニス | でもって、アニスちゃんはイオン様とリベラと一緒に回ってくる~ !あと、ミュウもこっちね ! |
ミュウ | みゅう~ ? ミュウはご主人様と一緒がいいですの ! |
アニス | だーめ。今日はミュウも、こ・っ・ち !……二人の邪魔しないようにね☆ |
ミュウ | …… !はいですの ! アニスさんと回るですの~ ! |
ルーク | えっ、えっ ! ?えーっと……。 |
ルーク | じゃあ……お、お前さえよかったら……回る、か…… ? |
ティア | そ、そうね……。ルークがいいなら……。 |
ナタリア | アッシュ、私たちも共に回りませんか ? |
アッシュ | ……ああ、わかった。 |
ナタリア | ふふ。楽しみですわね。 |
ヒューバート | …………。 |
マリク | お前もパスカルを誘ってみたらどうだ ? |
ヒューバート | ! ? なっ……なんですか、教官、突然…… ! |
マリク | こんなチャンスは滅多にないぞ。あとは……お前次第だ。 |
ヒューバート | で、でも……あっ ! |
ヒューバート | …………。 |
パスカル | 弟くん、どったの ?教官に何か言われた ? |
ヒューバート | ッ ! ? い、いえっ ! 別に―― |
ヒューバート | ……いや。パッ、パスカルさんっ ! ! |
パスカル | ん ? |
ヒューバート | その……ぼくと一緒に屋台を回りませんか ! ? |
パスカル | 弟くんと ? |
ヒューバート | あっ……いえ。その……い、今のは、やっぱり、その……忘れてもらって―― |
パスカル | いいよ、行こ ! |
ヒューバート | ! ! |
ヒューバート | では……着替えてきましょうか。 |
パスカル | うん ! |
マリク | フッ……頑張ったな、ヒューバート。 |
リチャード | 今日の舞台の成功が、彼を後押ししたのかもしれないね。 |
シェリア | よかったわね、ヒューバート…… !ホントにすごいわ ! |
アスベル | …… ?あいつ、何かすごいことしたのか ? |
ソフィ | アスベルは鈍感だからわからないってシェリアが言ってた。 |
アスベル | ええっ ! ? |
アスベル | でもまあ……嬉しそうだからそれでいいか……。 |
キャラクター | 10話【ヒーロー10 これからも】 |
ナタリア | あら、ルーク ? |
ルーク | ん ? ……ああ、ナタリアか。もしかして、ここで待ち合わせか ? |
ナタリア | ええ。あなたも ? |
ルーク | ああ。そういやアッシュのやつ、さっき歩いてくの見かけたけど―― |
アッシュ | 待たせたな、ナタリア。 |
ティア | 遅れてごめんなさい、ルーク。 |
ルーク | ! ティア…… ! |
アッシュ | ……よく似合ってるな、ナタリア。 |
ナタリア | ふふ、ありがとう、アッシュ。あなたもとても素敵ですわ。 |
アッシュ | ……ありがとう。 |
ルーク | あ、あー……あー……そのー……。 |
ティア | …………。 |
ルーク | ほ、ほら ! 集合したんだから !もう行こうぜ ! な ! ? |
ティア | えっ ! ? ちょ、ちょっと待ってルーク。引っ張らないで…… ! |
ナタリア | ふふ、相変わらずですわね。 |
アッシュ | まったく、あの屑が……。 |
ナタリア | でも、ルークらしくもありますわ。 |
アッシュ | ……俺たちも、行くか。 |
ナタリア | でしたら、あちらの方に行ってみませんこと ?面白そうな出店がありましたの。 |
アッシュ | ああ。なら行こう。案内してもらえるか ? |
ナタリア | はい ! |
ヒューバート | ! ! こ、これは…… ! |
ヒューバート | 砂浜戦隊サンオイルスターのお面 ! |
ヒューバート | やっぱりレッドは格好いい……でも、イエローも味がある。いや、他のメンバーも…… ! |
ヒューバート | 選べない…… !優劣をつけるなんてできない。いっそのこと、全員集めてしまえば―― |
パスカル | ホントに好きだね~、弟くん。 |
ヒューバート | ! ! パスカルさん…… ! |
パスカル | レッドとイエローのお面、どっちも買うの ? |
ヒューバート | ちっ、違います !ですが……その、まあ、今日の出演の記念にレッドくらいは買ってもいいかなと……。 |
パスカル | そっか ! じゃ、あたしはイエローを買お~っと !おじさーん、これくださーい ! |
ヒューバート | えっ ? あっ……。 |
パスカル | はい、レッド !イエローはあたし~。 |
パスカル | どう ? 似合ってる ? |
ヒューバート | …………。 |
パスカル | ……ありゃ、ダメかな ? |
ヒューバート | いっ、いえ ! |
ヒューバート | ……似合っていますよ。とても。 |
パスカル | へへっ、ありがと !弟くんもすごく似合ってるよ ! |
ヒューバート | ……ありがとうございます。 |
パスカル | よ~し !そしたら、今度はあたしの買い物に付き合ってよ ! |
ヒューバート | それはもちろん構いませんが……。 |
パスカル | じゃ、こっちこっち~ ! |
ヒューバート | あっ ! 先に行かないでください、パスカルさん ! |
パスカル | 次、こっち ! |
ヒューバート | ええっ ! ? |
パスカル | あ、あれも ! |
ヒューバート | ちょっと、こんなに買って食べきれるんですか ! ? |
パスカル | 大丈夫大丈夫 !これくらい一瞬でぺろーっと食べ切っちゃうから ! |
ヒューバート | それはそれでどうかと思いますけど……。 |
パスカル | あっ、見て見て !なんかヘンなのがあるよ~ !あれやってみようよ ! |
ヒューバート | うわっ ! 手を引っ張らないでくださいって !というか、そんなに持ってたら遊べませんよ ! |
パスカル | そっか。んじゃ、弟くん、これよろしく~。 |
ヒューバート | うわっ ! |
パスカル | よーっし、これでバッチリ !見ててね、あたしの活躍 ! |
ヒューバート | まったく……。 |
ヒューバート | 本当に、困った人ですね。 |
ナタリア | やりましたわ !ぬいぐるみ、無事に手に入りました ! |
アッシュ | 見事な腕前だったな。さすがはナタリア。 |
ナタリア | ふふ。弓とは少々勝手が違いましたけどコツさえ掴めればなんとかなるものですわね。 |
ナタリア | ほら、見てください、アッシュ。このぬいぐるみ、アッシュに似ているでしょう ? |
アッシュ | ……そうか ? |
ナタリア | ふふっ、そうですわ ! |
ナタリア | お待たせいたしました。次は何を見ましょうか ? |
アッシュ | そうだな……めぼしいところは回ったし少しのんびり歩くか。 |
ナタリア | ええ、そうしましょう。 |
ナタリア | それにしても、今日はアッシュも大変でしたわね。 |
アッシュ | それはお前もだろう ? |
ナタリア | ふふ、確かに。でもとても楽しい時間でしたわ。 |
ナタリア | こういうなんでもない時間をアッシュと共に過ごせるなんて考えたこともありませんでしたもの。 |
アッシュ | …………。 |
ナタリア | 私、今がとても幸せなんですの。このかけがえのない時間が終わらないでほしいと願ってしまうくらい。 |
ナタリア | できれば、このままずっと……―― |
ナタリア | ……いえ、ごめんなさい。そんなこと―― |
アッシュ | お前がそう望むのなら、俺はずっと傍にいる。 |
ナタリア | ! ! |
アッシュ | 今のいる場所が以前と違う世界だろうと俺はお前との約束を破るつもりはない。 |
ナタリア | ……ええ。私もですわ ! |
二人 | ! ! |
ナタリア | 今のって―― |
ルーク | 花火だ !おい、見てみろよ、花火が上がってるぜ ! |
ティア | 本当ね。綺麗…… ! |
ティア | ピオニー陛下が用意していたのはこの花火だったのね。 |
ルーク | あー ! だから爆薬か ! |
ティア | きゃっ ! |
ルーク | おっと、大丈夫か ! ?押されたのか ? |
ティア | え、ええ。大丈夫。みんな花火に夢中で……少し混んで来たわね。 |
ルーク | だなー……。あっ ! |
ルーク | いいとこ見つけた !ティア、こっち来いよ ! |
ルーク | ほら、ここならもっと綺麗に見えるぞ ! |
ティア | 本当だわ。よく見つけたわね。 |
ルーク | へへっ、ちょうどイイ感じの高台が目に付いたからさ ! |
ルーク | はー……すげえな……。 |
ティア | ふふっ……。 |
ルーク | な、なんだよ、笑うなよ ! |
ティア | だって、ルークが子供みたいに目をキラキラさせているから。 |
ルーク | うぐっ……子供は余計だろ。 |
ルーク | ……けどさ、こんなに綺麗なものを見られるのも俺がちゃんと生きてる証拠だからさ。 |
ティア | ルーク……。 |
ルーク | ……前もさ、祭り、あったじゃん。 |
ティア | ええ。 |
ルーク | そのとき、ガイに言われたんだ。お前は生きるんだ、って。 |
ルーク | 俺、今もちゃんとここにいる。だからティアと一緒に花火を見られるんだ。 |
ルーク | でも、多分、まだこの世界には俺の知らないことがたくさんあって、まだまだやりたいことができるんだと思うんだ。 |
ルーク | だからさ……だから、これからもティアには一緒にいてほしいんだ。 |
ティア | ……私も言ったでしょ ? |
ティア | これからもあなたのことをずっと見ているわ。 |
ルーク | ありがとう、ティア。 |