キャラクター | #N/A |
アガーテ | 綺麗な空……今日もいい天気ね。 |
アガーテ | (街は穏やかでヒトは皆、笑い合い暮らしている。街の外には自然が溢れ、散歩をすれば心地良い。誰もが同じような幸福を抱くことができる世界……) |
アガーテ | (きっとこれが、あらゆるヒトが望んできた生活。わたくしは、そんな日常を過ごしている……) |
アガーテ | ……本当に、これで良いのでしょうか。 |
アガーテ | (わたくしの愚かな振る舞いがヒトを……国民を苦しめることになってしまったというのに) |
アガーテ | (そんなわたくしが今、穏やかに生活しているなんて……) |
アガーテ | ……わたくしは、どうしたら……。 |
? ? ? | ……ちだ……。 |
アガーテ | え ? |
? ? ? | ……ちに……はや……来い……。 |
アガーテ | わたくしを、呼んでいる…… ? |
? ? ? | こっちに……早く……こちらに……―― |
アガーテ | 森の奥、かしら……。……恐らく、こちらに―― |
? ? ? | こっちだ。早く、こちらに来い……。 |
アガーテ | 声は……ここね。これは、鏡 ? |
? ? ? | その手を伸ばせ。鏡に、触れろ。 |
アガーテ | ッ ! 手が、勝手に…… ! |
? ? ? | さあ、触れろ。そして―― |
アガーテ | ! ! ああっ……―― ! |
アガーテ | …………。 |
? ? ? | ……け、……わ……を……―― |
クレア | ……声が、聞こえる…… ? |
? ? ? | ……ねが……けて……。 |
クレア | ! ! 人影が…… ! |
? ? ? | ……ねがい……た……けて……。 |
クレア | 助けて…… ? 助けて、と言っているの ?あなたは一体―― |
クレア | ! ! これは……鏡 ?どうしてこんなところに……。 |
クレア | ……なぜ、かしら。鏡から、呼ばれているような……。 |
クレア | これに触れれば、私は―― |
クレア | きゃあ ! |
クレア | ! ! |
ヴェイグ | ! クレア、気がついたのか ! ? |
クレア | ヴェイグ…… ? 私は……。 |
アニー | 買い物の途中で倒れたんです。突然意識を失ってしまって……。 |
クレア | 倒れて……。 |
ヴェイグ | クレア、体調は ?今朝まではなんともなかったと思うが……。 |
クレア | ええ……大丈夫。特におかしいところはないわ。 |
ヴェイグ | そうか……。 |
アニー | 脈も正常ですし、熱もなさそうです。少し休めば回復するとは思いますが……。 |
アニー | それでも、倒れたことに変わりはありませんから。今日はここに泊まって休んでいきましょう。 |
ヴェイグ | そうだな。特に急ぐ用事があるわけでもない。体調を万全にして戻ることにしよう。 |
クレア | そうね……。ヴェイグもアニーも、心配かけてごめんなさい。ヒルダさんは…… ? |
ヴェイグ | ああ。ヒルダは外にいる。 |
アニー | ヒルダさんにも、クレアさんが目を覚ましたって伝えてきますね。 |
アニー | クレアさんはゆっくり身体を休めていてください。 |
クレア | ありがとう、アニー。 |
ヴェイグ | 本当になんともないのか ? |
クレア | ええ、大丈夫よ。疲れが溜まっていたのかしら…… ? |
ヴェイグ | そうか……。とにかく、ゆっくり休んでくれ。 |
クレア | わかったわ。そうさせてもらうわね。 |
クレア | (……本当に、身体はなんともない。けれど……) |
クレア | (さっきの夢は、なんだったのかしら……) |
キャラクター | #N/A |
クレア | おはよう、みんな。 |
ヴェイグ | おはよう。体調はどうだ ? |
クレア | ええ、もうすっかりよくなったわ。心配かけてごめんなさい。 |
ヴェイグ | いや、構わない。何事もなくてよかった。 |
クレア | あら ? ヒルダさん、その本は…… ? |
ヒルダ | ああ……さっき、宿の本棚にあったのをアニーが持って来たの。 |
アニー | 夢占いの本なんです。わたしは読んでもピンと来なかったんですけどヒルダさんならわかるかと思って……。 |
ヒルダ | 私の専門はタロットだから……全くわからないとまでは言わないけれど。 |
ヒルダ | 夢は大事なことを示唆している場合もあるわ。だから夢占いも上手く使えれば道を切り開く糧になるのよね。 |
クレア | 夢占い……。 |
ヴェイグ | ? どうした、クレア。 |
クレア | ……少し、気になる夢を見たの。あの、ヒルダさん。 |
ヒルダ | その夢を占いたいの ? |
クレア | ええ……その、出来るなら、なんだけど。 |
ヒルダ | そうね……私で構わないなら。 |
クレア | ! ええ、ぜひ ! |
アニー | どんな夢を見たんですか ? |
クレア | 昨日の……倒れたときに見た夢なんだけど。 |
ヴェイグ | ! あの時か……。 |
クレア | ええ……。私、真っ暗な場所にいたの。何もなくて……ただ、声だけが聞こえたわ。 |
ヴェイグ | 声…… ? |
クレア | ええ。なんと言っていたのかは覚えていないのだけど。声のするほうに向かったら……。 |
クレア | 鏡が、大きな鏡があったの。 |
ヒルダ | 鏡……ね。 |
クレア | 触れたら光が溢れ出して……そこで目が覚めたわ。 |
アニー | 不思議な夢ですね……。何か意味がありそうですけど。 |
ヒルダ | 確かに、何かを訴えているようでもあるわね。夢占いでも『鏡』は象徴的に取り上げられるものなの。 |
ヒルダ | この本にも書かれているわ。ええと……。 |
ヒルダ | ほら、ここよ。 |
アニー | 『鏡が夢に出てくるのは自信に満ちてプライドが高いという証拠』…… ? |
ヴェイグ | ……あまりクレアには合っていないように思うが。 |
ヒルダ | そうね……。まあ、鏡といっても色々な意味があるから。 |
ヒルダ | 組み合わせも重要なのよ。他に何か覚えていることはない ? |
クレア | 他に……そう、ね。何かが映っているような気がしたわ。人影を見た気がするのだけど……。 |
クレア | でも、あれは鏡の内ではなく外に見えたもの…… ? |
クレア | ごめんなさい。自分から聞いておいて、はっきり答えられなくて。 |
ヒルダ | 謝ることはないわ。夢ってそういうものだし……。もう少し詳しい人だったら、今の話でも何かわかるのかもしれないけどね。 |
ヒルダ | ただ、変わった夢には違いないからアニーが言うように、何か意味があるのかも。 |
クレア | ……やっぱり、私の気にしすぎかもしれないわ。体調が悪いときは変な夢を見たりもするし。 |
ヒルダ | そうね。あまり気にしすぎるのも―― |
ヴェイグ | ん ? 魔鏡通信だ。 |
ミリーナ | ヴェイグさん、突然の連絡でごめんなさい。 |
ヴェイグ | ミリーナか。どうしたんだ ? |
ミリーナ | 私もさっきミルハウストさんから連絡を受けたばかりなのだけど……。 |
ミリーナ | アガーテさんが倒れたみたいなの。 |
全員 | ええっ ! ? |
キャラクター | #N/A |
ヴェイグ | ミリーナ、アガーテの様子は ? |
ミリーナ | みんな…… !急だったのに、来てくれてありがとう。 |
ミリーナ | アガーテさんは……あまりいい状況とは言えないわ。眠ったまま、目を覚まさなくて。 |
ヒルダ | わざわざ呼び出すなんて、ただ体調が悪いというわけではないんでしょう ? |
アニー | ミルハウストさんの姿も見えませんね。一体何が…… ? |
ミリーナ | それが、少し厄介なことになっているの。 |
ミリーナ | この辺りは魔物がほとんど出ないからアガーテさんは天気の良い日は森で散歩をしていたんですって。 |
ミリーナ | 昨日もいつも通り散歩をしていたみたいで……でも、帰りが遅いからミルハウストさんが探しに行ったの。 |
ミリーナ | そうしたら、普段は行かない森の奥で意識を失って倒れていたそうよ……。 |
クレア | 昨日…… ? |
アニー | 見る限り、怪我をしている様子はありませんし襲われたというわけではないんでしょうか ? |
ミリーナ | どうなのかしら……。アガーテさんのそばに、怪しい鏡があったそうなの。 |
ミリーナ | ミルハウストさんが触れようとしたら、何かに弾かれて近づけなかったみたいで。 |
ミリーナ | 鏡なら鏡士の私がわかるんじゃないかって連絡をくれたのよ。 |
ヒルダ | 待って……鏡、って―― |
クレア | 昨日見た夢の鏡…… ! |
アニー | クレアさんが倒れたタイミングとも重なりますしもしかして関係があるんでしょうか。 |
ミリーナ | クレアさんも倒れたの ? |
クレア | ええ、昨日の昼に……。 |
ヴェイグ | クレアはアガーテと入れ替わっていたことがある。それも影響しているんじゃないか ? |
ミリーナ | それは、何かありそうね……。 |
ミリーナ | 実は今、アガーテさんの心はぽっかりとなくなっている状態なの。 |
四人 | ! ! |
ヴェイグ | また心核が抜かれたのか ! ? |
ミリーナ | いえ、心核はそのままよ。ただ―― |
ミリーナ | その鏡には何か術がかけられていたんじゃないかと思って……。 |
ミリーナ | ミルハウストさんが先に調べてくれているの。フィルにも連絡して、気になる文献をいくつか当たってもらっているわ。 |
ミリーナ | ただ、わからないことも多いからヴェイグさんたちにも協力してもらいたいの。 |
ヴェイグ | ああ、もちろん協力する。 |
ヒルダ | ユージーンやマオ、ティトレイにも連絡しましょう。人手は多いほうがいいでしょう ? |
アニー | クレアさんが見た夢も気になりますしね。 |
クレア | ええ。関係がないとは思えないわ。 |
クレア | アガーテ様……。 |
クレア | きゃっ ! |
? ? ? | ……す……て……。 |
クレア | …… ! ! |
ヴェイグ | クレアッ ! |
ヴェイグ | 大丈夫か ! ? |
クレア | え、ええ……。 |
アニー | クレアさんがアガーテ様に触れた瞬間光が……。 |
クレア | …………何かが。 |
ヴェイグ | え ? |
クレア | 一瞬……何かが聞こえたわ。声、だと思うのだけれど……。 |
クレア | 今のは……一体…… ? |
キャラクター | #N/A |
アガーテ | ……さむ、い……。暗、い……ここは…… ? |
? ? ? | オオ……オオオ……オオオオ……。 |
アガーテ | …… ? 何か、聞こえる……。 |
? ? ? | オオ……オオオ……オオオオ……。 |
アガーテ | だ、誰かいるのですか…… ? |
? ? ? | あなたの……せいだ……。 |
アガーテ | え…… ? |
男の声 | あなたの身勝手な行動が……世界をめちゃくちゃにした……。 |
アガーテ | …… ! |
女の声 | あなたに捕らえられ……利用された女たち……。 |
男の声 | ヒューマもガジュマも、あなたのせいで苦しんだ……。 |
女の声 | あなたの私利私欲で、私たちはボロボロになった……。 |
男の声 | あなたのせいで、争いが……。 |
女の声 | あなたがいたから、争いが……。 |
アガーテ | あ……あ……ッ ! |
アガーテ | (そうだわ……全て、わたくしのせい……。勝手に思い込み、人を巻き込んで苦しめた……) |
アガーテ | (国王という立場でありながら自分の望みのためヒトを苦しめることに目を背けた) |
アガーテ | (わたくしは……わたくしは…… ! ) |
男の声 | あなたがいなければ、苦しまずに済んだのに……。 |
女の声 | あなたがいなければ、傷つかずに済んだのに……。 |
男の声・女の声 | だからあなたなんて死んでしまえ…… ! |
アガーテ | ああ……わたくしは…… ! |
? ? ? | そうだ……あなたは死ぬべきなんだ、アガーテ様。 |
アガーテ | ! あなたは…… ! |
サレ | お久しぶりですね、女王陛下。 |
アガーテ | サレ……。 |
サレ | 世界をめちゃくちゃに壊しておきながらのうのうと生きてらっしゃるとは。 |
サレ | 随分と厚い面の皮、いえ毛皮をお持ちで……まあ何せ女王様ですから、当然と言えば当然ですかねぇ。 |
アガーテ | わ……たく……し、は……。 |
サレ | まさか許されるとは思っていませんよねぇ ?あなたの命令で、僕がどれだけ手を汚したと思ってるんです ? |
アガーテ | う、うぅ…… ! |
サレ | ハハハハハハ !後悔しても無駄ですよ、女王様。過去は決して取り戻せない ! |
サレ | あなたは一生消えない罪を背負っていくんですよ ! |
アガーテ | わたくしの、罪…… ! |
アガーテ | (そうだわ……わたくしの罪は、決して消えない。穏やかに暮らすことなど許されない……でも……) |
アガーテ | (誰か……助けて――) |
クレア | ……ッ ! また…… ! |
ヴェイグ | クレア ! 大丈夫か…… ? |
クレア | ……声が、聞こえるの。助けを求めるような、声……。 |
クレア | 真っ暗な空間が見えて……そこに、アガーテ様がいたような……。 |
ヒルダ | やっぱりクレアが見た夢は……。 |
ヒルダ | いえ、夢ではなかったんだわ。アガーテ様の助けを求める声がクレアに直接届いているんじゃない ? |
ミリーナ | ええ……。鏡に術をかけられたアガーテさんは関係の深かったクレアさんと心が繋がったのかもしれない。 |
クレア | それなら―― |
ミリーナ | ! ミルハウストさんからの魔鏡通信だわ。 |
アニー | 何かわかったんでしょうか ? |
ミリーナ | ミルハウストさん、そちらは―― |
ミルハウスト | 慌ただしくてすまない。もしヴェイグたちがいるなら手を貸してもらえないだろうか ! |
ミルハウスト | 鏡から魔物が次々と現れているんだ ! |
ヴェイグ | なんだって…… ! |
キャラクター | #N/A |
ミルハウスト | アガーテ様の倒れていた場所には昨日と同じように鏡があった。 |
ミルハウスト | 近づこうとしても透明な壁のようなものに弾かれてしまうため、どうにか触れる方法がないかと調査していたのだが……。 |
ミルハウスト | 突然光を放ったかと思ったら鏡から次々に魔物が現れたんだ。 |
ヒルダ | ……少なくとも、その鏡がアガーテ様にかけられた術の根源であることは間違いなさそうね。 |
ヴェイグ | ああ。ミルハウスト、魔物はどれくらいいるんだ ? |
ミルハウスト | 一度に現れるのは一体か二体程度だ。ただ、倒すたびに新しい魔物が出てくる。 |
アニー | それは、一人で対応するのは限界がありそうですね。 |
ヴェイグ | そうだな。オレたちもすぐに向かう、もう少しだけ耐えてくれ。 |
ミルハウスト | ああ、頼む。 |
ヴェイグ | 行こう。ミリーナ、詳しい場所はわかるだろうか。 |
ミリーナ | ええ、ミルハウストさんから聞いてあるわ。すぐに地図を用意するわね。 |
ヴェイグ | オレとヒルダ、アニーで向かう。クレアはここに残って―― |
クレア | いえ……私も連れて行って。 |
ヴェイグ | クレア…… ! |
クレア | 足手まといになるのはわかっているわ。危険だということも。 |
クレア | でも、聞こえるの。アガーテ様の声が……。 |
クレア | もしもアガーテ様の心が鏡の中に囚われているなら、助けたいの ! |
ヴェイグ | しかし……。 |
ヒルダ | ヴェイグが心配するのもわかるわ。私も、普段だったら止めていたと思う。 |
ヒルダ | でも、今回は一緒に行ったほうがいいんじゃない ?昨日のクレアの夢が本当にアガーテ様と繋がったことを示しているなら……。 |
ヒルダ | 近くに行けば、はっきりとその心に触れることができるかもしれない。 |
アニー | そうですね…… !先ほどアガーテ様に触れたときも姿が見えたと言ってましたよね ? |
クレア | ええ、確かに…… ! |
ヒルダ | 最初は『夢』で、さっきは『幻』のように見えていた。それなら鏡のところに行けば―― |
ヴェイグ | ……なるほど。 |
クレア | ミルハウストさんが言っていたでしょう ?鏡には近づけなかった、って。 |
クレア | もちろん、私が行ったところでどうにかなるとは限らないけど……可能性はあるかもしれない。 |
クレア | だから、お願い。ちゃんと自分の身は自分で守るから連れて行って。 |
アニー | いえ、クレアさん一人で頑張ることはありません。クレアさんはわたしが守ります ! |
ヒルダ | そうよ。こういうことは一人で背負うものじゃないわ。 |
クレア | アニー……ヒルダさん……。 |
ヒルダ | ……というわけよ。一緒に行こうって言うタイミングを逃したかもしれないけど、構わないわよね、ヴェイグ ? |
ヴェイグ | ……ああ。確かに、鍵を握っているのはクレアだろう。 |
ヴェイグ | クレアはオレたちが守る。だから、一緒に来てくれるか。 |
クレア | ええ、もちろん…… ! |
ヒルダ | ミリーナ、あんたはアガーテ様をお願い。それと、ティトレイたちが着いたらこっちへ寄越してもらえる ? |
ミリーナ | ええ、わかったわ。アガーテさんのことも、ティトレイさんたちのことも。 |
ミリーナ | みんな、気をつけて行ってきてね。 |
ヴェイグ | もちろんだ。 |
ヴェイグ | よし、行こう !ミルハウストとアガーテを助けるために。 |
三人 | ええ ! |
キャラクター | #N/A |
サレ | あなたの身勝手さが、どれだけの人を不幸にしたかまだ理解できていないんですかね ? |
サレ | 自らに備わった特別な力を私利私欲のためだけに使いその結果守るべき国民を引き裂いた。 |
アガーテ | わたくし、は……。 |
サレ | そしてあなたはそれをすっかり忘れて平穏に暮らしている。 |
サレ | 自分だけ幸せになろうとしている……。その様は誰よりもヒトらしい、とも言えますけどねぇ。 |
アガーテ | 違う……違う、違います !わたくしは決して自分だけが幸せになろうなどと思ってはおりません ! |
アガーテ | どのように償ったらいいのかと、ずっと……ずっと…… ! |
サレ | 考えているだけでは無意味でしょう ?口ではなんとでも言えますしね。 |
サレ | なんて、ハハハハッ !わかっていますよ、アガーテ様。本当は考えていないんですよね ? |
アガーテ | ち、違います ! そんなことは……。 |
サレ | いいや、あなたは他人のことなど考えていない。贖罪の気持ちも全くない。そうでしょう ? |
アガーテ | 違う、違う、違う、違う…… !違うわ、わたくしは…… ! |
サレ | 違うと叫ぶだけで、具体的な言葉は出てこない。それが全ての答えでは ? |
アガーテ | そ、れは……それは…… ! |
アガーテ | あああああ…… ! |
サレ | ハハハハッ ! そうだ、苦しめ…… !その苦しみを糧として、魔物が生まれる ! |
サレ | 世界を滅ぼしかけたあなたが、今度こそ本当に皆を不幸にすることができるんです。喜ばしいでしょう ! ? |
アガーテ | わたくしは……わたくしは、そんなつもりは…… ! |
サレ | ハハハハハ ! さあ、行け !あらゆるものを破壊し尽くせ…… ! |
アガーテ | やめてええええええっ ! |
ヴェイグ | 鏡があるのはこの辺りのはずだが――ッ ! ? |
ヴェイグ | なんだ、この魔物の数は…… ! |
ヒルダ | 魔物の数は多くないって言っていたわよね ! ? |
アニー | ええ、出てくるのは数体ずつと聞いていましたが……。 |
クレア | 見て、あそこ !ミルハウストさんが…… ! |
ミルハウスト | はぁ……はぁ……。 |
ヴェイグ | ミルハウスト、無事か ! ? |
ミルハウスト | ヴェイグ……よかった。いいタイミングで来てくれた。 |
ヒルダ | どうしたの、この魔物の数は…… ! |
ミルハウスト | 先ほど、鏡がひと際強く輝いた。その直後、一気に増えたんだ。 |
ミルハウスト | ……情けない話だが、さすがに、限界だ。 |
ヴェイグ | ああ。お前は下がって休んでいてくれ。 |
ヒルダ | むしろよくここまで耐えたわよ。こんな数……。 |
アニー | 今、怪我を治しますね。 |
ミルハウスト | すまない……助かる。 |
ヴェイグ | あの奥に見えるのが例の鏡か……。 |
ヒルダ | 調べるにも、この魔物をどうにかしないといけないわね。 |
ヴェイグ | ああ。まずは魔物を全て倒す ! 行くぞ ! |
ヴェイグ | 絶氷刃 ! ! |
ヴェイグ | 凍牙衝裂破 ! ! |
ヒルダ | 気合入ってるわね。なら、私も―― |
ヒルダ | クラスターレイド ! ! |
アニー | 着実に減ってきましたね !数は多いけれど、勝てない相手ではありません !みんなで攻撃すれば―― |
アガーテ | やめてええええっ ! |
全員 | ! ! |
ミルハウスト | 今の声は……アガーテ様 ! ! |
クレア | あの、鏡の中から…… ! |
ヴェイグ | なんだ、地震…… ! ? |
クレア | 違うわ、あれを見て ! |
アニー | なんて大きな魔物…… ! |
ヒルダ | 厄介なのが出てきたわね。 |
ヴェイグ | ああ。だが、迷うことはない。 |
ヴェイグ | 全力であいつを倒す ! |
キャラクター | #N/A |
ヴェイグ | 倒したか…… ! |
アニー | ! ミリーナさんから魔鏡通信です ! |
ミリーナ | フィルから連絡があってアガーテさんが倒れた理由がわかったわ。 |
ミルハウスト | ! ! その理由というのは…… ! ? |
ミリーナ | やっぱり、そこにある鏡のせいだったわ。人の心や想いを吸収する呪具でもともとはその付近に封印されていたの。 |
ミリーナ | けれど、何かの拍子で封印が解け運悪くアガーテさんが通りがかったのね。それで鏡に心が取り込まれてしまったのだと思うわ。 |
ヒルダ | なるほどね……。 |
アニー | では、アガーテ様を助ける方法は…… ? |
ミリーナ | それが……。 |
ヴェイグ | まさか、ないのか……? |
ミリーナ | いえ、逆なの。本来は助ける必要がないのよ。 |
ヒルダ | どういうこと…… ? |
ミリーナ | 嫌な呪いであることは確かなのだけどアガーテさんの月のフォルスのような力を持つ人なら、跳ね返せるものなの。 |
ミリーナ | だから、心だけ奪われたまま戻って来ないのは何か理由があるんじゃないか、ってフィルは言っていたわ。 |
ヴェイグ | 理由……。目を覚ましたくない理由、か…… ? |
ミルハウスト | ……。もしかしたら……。 |
ヴェイグ | 心当たりがあるのか ? |
ミルハウスト | ……アガーテ様は、この世界で平穏な暮らしをするようになってから、悩んでいる様子だった。 |
ミルハウスト | 今暮らしている街は、とても穏やかなんだ。帝国との戦いで住む場所を失い流れて来た人も多くいるのだが……。 |
ミルハウスト | 街の人たちは快く受け入れ元々隣人だったかのように暮らしている。助け合い、笑い合っているんだ。 |
アニー | 素敵な街ですね……。 |
ミルハウスト | ああ。これが理想の暮らしなのだろうと日々感じている。 |
ミルハウスト | ……だからこそ、だろうな。それが実現出来なかった元の世界でのことを考えてしまわれたのだろう。 |
ヒルダ | ……そうね。私たちは、ヒューマとか、ガジュマとか……ハーフだとか。そういうことで、いがみ合ってきた。 |
アニー | ええ……言い訳はできません。わたしも勝手な思い込みでガジュマを憎んでいましたから……。 |
ミルハウスト | そういったいがみ合いの原因を作ったのは自分だとアガーテ様は考えているようだった。 |
クレア | それは違うわ。きっかけのひとつにはなっていたかもしれないけれど全てがアガーテ様のせいなんてことは……。 |
ミルハウスト | ああ、もちろんそうだ。それぞれの心にあった感情のひとつひとつが積もり積もって起こったことだと思っている。 |
ミルハウスト | だが……。 |
ヴェイグ | ……自分を責めてしまうのは、わかる。過去の行動を悔いるのは、誰にだってあることだ。 |
ヒルダ | ええ……。因果関係なんて、わからないものだもの。だから後から勝手に結びつけてしまうんだわ。 |
ヒルダ | そして、自分が悪いのだと考えてしまう……。 |
アニー | ……辛いですね。 |
ミルハウスト | …………。 |
クレア | それでも……いえ。 |
クレア | だからこそ、アガーテ様には勇気を持って戻ってきてほしいと思うの。 |
ヴェイグ | クレア……。 |
クレア | だって……アガーテ様は、独りじゃないから。全てを独りで背負う必要なんて、ない。 |
クレア | ずっと苦しんできたんだもの。アガーテ様も私たちと一緒に笑って生きてほしいの…… ! |
キャラクター | #N/A |
ヴェイグ | ! ! また魔物が…… ! |
クレア | ミリーナ、アガーテ様が望めばあの鏡から出られるのよね ? |
ミリーナ | ええ。恐らく、ではあるけれど……。アガーテさんの力なら呪いに打ち勝つことができるはずよ。 |
クレア | それなら、私がアガーテ様に呼びかけるわ。助けを求めていたんだもの……きっと応えてくれるはずよ ! |
ミリーナ | そうね。それができるのはクレアさんだけ……どうか、アガーテさんを助けてあげて ! |
クレア | ええ、必ず ! |
ヒルダ | やることは決まったわね。 |
アニー | でも、そのためにはあの鏡に近づく必要がありますよね…… ? |
ヴェイグ | オレが先導する。クレアはアガーテのことだけを考えていてくれ。 |
ミルハウスト | 私も行く。体力が完全に戻ったとは言えないが……。 |
ミルハウスト | 私は二度と、アガーテ様を孤独にしないと誓ったのだ。 |
ヴェイグ | ミルハウスト……。 |
ヒルダ | 雑魚は私たちが相手するわ。 |
アニー | はい !道を切り開きます ! |
ヴェイグ | クレア、お前を必ずアガーテのそばに連れて行く。だからオレから離れるな。 |
クレア | ええ ! |
ヴェイグ | 行くぞ ! |
ヒルダ | 次から次へと魔物が出てくるわね。まるで私たちを拒むみたいに。 |
アニー | だからって、引き下がるわけにはいきません ! |
ヒルダ | 当然よ。アガーテ様のしたことは簡単には許されないかもしれない……。 |
ヒルダ | けれど、永遠に責められる必要はないわ ! |
アニー | はい !過ちを犯したなら、償わなければなりません。それは自分を責めて、閉じこもることではありません。 |
アニー | だから、アガーテ様には目を覚ましてもらわなくちゃ…… ! |
アニー | ペイン・レーゲン ! ! |
ヒルダ | フリジットコフィン ! ! |
クレア | すごい、魔物がどんどん倒れていくわ ! |
ミルハウスト | 二人とも見事な戦いぶりだな。 |
ヴェイグ | それだけアガーテを救いたいと思っているんだ。 |
ミルハウスト | 何故、彼女たちはそこまで……。 |
ヴェイグ | ……確かに、オレたちはアガーテがやってきたこと全てを許せたわけじゃない。 |
ヴェイグ | しかし、あの時がきっかけで見えたことや向き合えたこともある。 |
ヴェイグ | オレの住んでいた村は、ヒューマもガジュマも関係なく暮らしていると思っていた。だが……一度は、それが崩れてしまった。 |
ミルハウスト | ……ああ。 |
ヴェイグ | だからこそ、お互い本当に向き合うことができたんだ。 |
ヴェイグ | ヒューマもガジュマも違いはない。それを心から実感できたのは、共に協力してユリスを倒したからこそだと思う。 |
ヴェイグ | それを知ったというのに今更いがみ合うなんて、おかしいだろう ? |
ミルハウスト | ヴェイグ……。 |
クレア | 私たちは、過去には戻れないわ。でも、皆等しく未来に向かって進んでいるの。 |
クレア | 未来に進んで行けるはずなのよ !だから、アガーテ様……どうか、どうか戻って来てください ! |
クレア | あなたを待っている人が、ここにいるの ! |
ヴェイグ | ! ! 鏡が光った…… ! |
クレア | また魔物が…… ! |
ミルハウスト | はあっ ! |
ミルハウスト | この程度の魔物に阻まれるわけにはいかない。あなたと未来へ進むために ! |
ミルハウスト | 陛下……アガーテ様 !私は……私はあなたと共にこの世界で生きたい ! |
アガーテ | ! 今、声が……。 |
サレ | 声 ? ハハッ……そんなもの聞こえるわけがないでしょう ? |
サレ | あなたは国民を見捨てた……だからあなたも国民に見捨てられたのです。誰が助けに来ると ? |
サレ | ああ、恨みの声じゃありませんか ?ハハハハッ ! |
アガーテ | 恨みの……。 |
アガーテ | ……そう、よ……。わたくしは、恨まれているはず。苦しめた、全てのヒトから……。 |
? ? ? | ……様……。 |
アガーテ | ……え ? |
? ? ? | アガーテ様…… ! |
アガーテ | ! ! この、声は…… ! |
クレア | どうか、どうか戻って来てください ! |
クレア | あなたを待っている人が、ここにいるの ! |
アガーテ | やっぱり……クレア ! ! |
サレ | ハッ ! 世迷い言を……あなたを待っている人がいる ? |
サレ | 全てをグチャグチャにしたあなたに待つのは永遠の責め苦のみだ ! ! |
アガーテ | ……ッ !そう、かもしれない。でも―― |
サレ | 汚れた手を伸ばしたところで誰が取る ! ? |
アガーテ | ……それでも…… ! |
ミルハウスト | 陛下……アガーテ様 ! ! |
アガーテ | ミルハウスト……ミルハウスト ! ! |
ミルハウスト | 私は……私はあなたと共にこの世界で生きたい ! |
サレ | 生ぬるいことを―― |
アガーテ | わたくしも……わたくしもです ! |
サレ | ……ッ ! |
アガーテ | サレ、あなたの言う通りです。わたくしは許されないことをしてしまった。さぞ憎まれていることでしょう。 |
アガーテ | それでも、もう逃げません !その全てを、罪を受け入れ、償い続けます。たとえ許されなかったとしても。 |
アガーテ | わたくしに手を伸ばしてくれるヒトがいるから !わたくしは、そのヒトたちとこの世界で生きたい ! |
サレ | チッ、この力…… !月のフォルスか ! |
アガーテ | サレ……きっとあなたは何かを企んでいるのでしょう。それが何なのかは、わたくしにはわかりません。 |
アガーテ | ですが、わたくしはもう惑わされません !生きていくと決めたから ! |
サレ | ハッ ! それがヒトの心だとでも ?くだらない ! |
サレ | あなたに手を伸ばすヒトとやらは魔物に食われて終わりだぁぁぁぁ ! |
ミルハウスト | ! ! また巨大な魔物が…… ! |
ヴェイグ | 次から次へと……だが、やることは同じだ !全て倒す ! ! |
キャラクター | #N/A |
アニー | 魔物が倒れたわ ! |
ミルハウスト | ! ! この光は…… ! |
ヴェイグ | 鏡から出た光が、どこかへ飛んでいった…… ? |
ミリーナ | みんな、無事 ! ? |
ヴェイグ | ミリーナ !ああ、こっちは大丈夫だ。 |
ヴェイグ | だが、鏡に異変が起きた。光の塊が飛び出していったんだ。 |
ミリーナ | それは心配ないわ。今、アガーテさんが目を覚ましたの ! |
ミルハウスト | アガーテ様が ! ? |
アガーテ | ミルハウスト ! みなさん ! |
ミルハウスト | ご無事だったのですね…… ! |
クレア | よかった、アガーテ様…… ! |
アガーテ | ミルハウスト……それに、クレア。あなたたちの声が、聞こえました。 |
アガーテ | わたくしを呼ぶ声……この世界で生きることを許してくれる声。 |
クレア | よかった……。私たちの声が、アガーテ様に届いていて。 |
アガーテ | ……迷惑をかけてしまって、ごめんなさい。 |
クレア | いいえ、迷惑なんて…… !アガーテ様が優しいからこそ起きたことだと思います。 |
クレア | ですから……今後のことは一緒に考えていきましょう。 |
アガーテ | ええ…… ! |
マオ | おーい、話し込んでるみたいだけどそっちはもう大丈夫なの ? |
ヒルダ | マオ、到着していたのね。 |
ユージーン | たった今着いたところだ。そちらに向かおうとしていたのだが……。 |
ティトレイ | アガーテが目を覚ましたってことはもしかして無事に解決か ? |
アニー | そうですね。ああ、でも鏡をどうするか―― |
全員 | ! ! |
ヴェイグ | この気配は…… ! |
サレ | このお涙頂戴の展開で盛り上がるのがヒトの心だって ?まったく笑えないなぁ。 |
ヴェイグ | サレ ! なぜお前が……。 |
ミリーナ | それは幻よ。 |
アニー | 幻…… ? |
ミリーナ | ええ。その鏡は人の心を取り込む呪具。おそらく、どこかのタイミングでサレの心の一部も取り込まれていたのでしょう。 |
ミリーナ | 一部だけだったから鏡の中に留まっていたけれど……。 |
ヒルダ | アガーテ様の心を取り込んだことで出て来たのね ? |
サレ | ご名答。女王様の月のフォルスを使わせてもらったのさ。 |
サレ | 残念ながら、完全に取り込む前に逃げられてしまったけれどね。 |
ヴェイグ | そうだ。アガーテの心の力がお前を上回った。 |
サレ | しつこいね。何が心の力だ、くだらない。 |
ヴェイグ | だが、アガーテが強い心を持っていたからお前の呪縛を解けたのは事実だ。 |
サレ | くだらないって言ってるだろう。僕はそんなもの、絶対に認めない…… ! |
ヴェイグ | ……わかった。幻となってもなお戦うというのなら何度だってお前を倒してみせる。 |
ヴェイグ | ヒトの強さを決めるのは心の力だと証明する ! |
サレ | 今度こそ……今度こそキミをぶっ殺してあげるよ ! |
キャラクター | #N/A |
サレ | くそ……が…… ! |
ヴェイグ | ……お前がいくら否定しても、結果は同じだ。ヒトの心は、何よりも強い力となる。 |
ヴェイグ | 何度も足を止めかけたオレたちが未来に向かって歩み続けている……。それこそが、証拠だ。 |
サレ | そんな綺麗事……いつまでも、続くわけが……―― |
ヴェイグ | ……続けてみせる。必ず。 |
アガーテ | みなさん ! |
クレア | ! アガーテ様…… ! |
アガーテ | 無事でよかった……。 |
クレア | アガーテ様も……。もう動いても大丈夫なのですか ? |
アガーテ | はい、問題ありません。それよりも、あの鏡を破壊しなければ。 |
ユージーン | ミリーナが言うには、壊さない限りまた同じようなことが起こる可能性があるそうだ。 |
マオ | 考えたくないけど、サレの幻がいっぱい出て来るかもしれないしネ。 |
ティトレイ | そいつは本気で考えたくねぇな……。 |
アガーテ | はい……ですから、わたくしの手で責任を持って破壊しようと思ったのです。 |
ヴェイグ | …………。 |
アガーテ | これで、終わりです。わたくしが過去を振り返るのは。 |
アガーテ | ……これからは、前を向いて歩いていきます。全てを背負って、未来へ。 |
クレア | …………。 |
アガーテ | …………。 |
クレア | アガーテ様、ここにいたんですね。 |
アガーテ | ! クレア……。 |
クレア | お隣、いいでしょうか ? |
アガーテ | ええ、もちろんです。 |
クレア | 星、とても綺麗ですね。森も穏やかで、静かで……。 |
アガーテ | ええ。この森は街の近くであれば夜も安全なのです。こんなにも平穏な時間は人生でも初めてで……。 |
アガーテ | だから、考えてしまったのでしょう。わたくしが苦しめた国民のことを。 |
クレア | …………。 |
アガーテ | 鏡に閉じ込められていたときに見聞きしたものは幻だとミリーナから聞きました。 |
アガーテ | けれど、その源はわたくしの心。ずっと抱いてきた罪悪感が見せたものだったのかもしれません。 |
アガーテ | サレの心に呼ばれたのも、きっと……。 |
クレア | ……そのお話をしたくて、アガーテ様を捜していたんです。 |
クレア | 私は、アガーテ様の姿で大勢の人の前に立ったことがあります。 |
クレア | だから、それがどれだけの重荷なのか他の人より少しだけ理解できる気がするんです。 |
アガーテ | …………。 |
クレア | でも、それでもアガーテ様は前を向いて未来へ進む覚悟をされた。だから私も、お手伝いをさせてほしいんです。 |
アガーテ | お手伝い ? |
クレア | はい。こんなことを言うのは失礼かもしれないけれど……私と、お友達になってくれませんか ? |
アガーテ | 友達…… ? |
クレア | はい !重たい荷物を一緒に持てるような、お友達に。 |
アガーテ | クレア……ありがとう。 |
アガーテ | わたくしは、この世界では女王ではありません。身分もなにもない、ただのヒト……。 |
アガーテ | そんなわたくしでよければぜひお友達になってください。 |
クレア | ふふ、そんなアガーテ様がいいんです ! |
アガーテ | クレア…… ! |
クレア | ヴェイグも、そうよね ? |
ヴェイグ | ……気づいていたのか、クレア。 |
クレア | ええ。きっと危険がないように見守ってくれているんだろうと思って。 |
ヴェイグ | 安全とはいえ、夜の森だからな。だが、立ち聞きするような形になってすまない。 |
アガーテ | ふふ……素直なヒトなんですね。 |
クレア | ええ。とても真っ直ぐで、素敵なヒトなの。 |
クレア | 他のみんなも、優しくて、楽しくて、温かいヒト……きっとアガーテ様も仲良くなれるはずです。 |
アガーテ | ええ。クレアの姿でいるときに見ていましたから……。 |
アガーテ | 今度はわたくしの姿で、一緒にピーチパイを食べてみたいです。 |
クレア | ええ、ぜひ !明日、一緒に焼きましょう。 |
アガーテ | はい ! |
ヴェイグ | ……それじゃあ、今日はそろそろ戻ろう。また明日、ゆっくり話をするために。 |
アガーテ | ええ。クレア、ヴェイグ。 |
アガーテ | これからはお友達としてどうかよろしくお願いします ! |