キャラクター#N/A
アガーテ綺麗な空……今日もいい天気ね。
アガーテ(街は穏やかでヒトは皆、笑い合い暮らしている。街の外には自然が溢れ、散歩をすれば心地良い。誰もが同じような幸福を抱くことができる世界……)
アガーテ(きっとこれが、あらゆるヒトが望んできた生活。わたくしは、そんな日常を過ごしている……)
アガーテ……本当に、これで良いのでしょうか。
アガーテ(わたくしの愚かな振る舞いがヒトを……国民を苦しめることになってしまったというのに)
アガーテ(そんなわたくしが今、穏やかに生活しているなんて……)
アガーテ……わたくしは、どうしたら……。
? ? ?……ちだ……。
アガーテえ ?
? ? ?……ちに……はや……来い……。
アガーテわたくしを、呼んでいる…… ?
? ? ?こっちに……早く……こちらに……――
アガーテ森の奥、かしら……。……恐らく、こちらに――
? ? ?こっちだ。早く、こちらに来い……。
アガーテ声は……ここね。これは、鏡 ?
? ? ?その手を伸ばせ。鏡に、触れろ。
アガーテッ !  手が、勝手に…… !
? ? ?さあ、触れろ。そして――
アガーテ! !  ああっ……―― !
アガーテ…………。
? ? ?……け、……わ……を……――
クレア……声が、聞こえる…… ?
? ? ?……ねが……けて……。
クレア! !  人影が…… !
? ? ?……ねがい……た……けて……。
クレア助けて…… ?  助けて、と言っているの ?あなたは一体――
クレア! !  これは……鏡 ?どうしてこんなところに……。
クレア……なぜ、かしら。鏡から、呼ばれているような……。
クレアこれに触れれば、私は――
クレアきゃあ !
クレア! !
ヴェイグ!  クレア、気がついたのか ! ?
クレアヴェイグ…… ?  私は……。
アニー買い物の途中で倒れたんです。突然意識を失ってしまって……。
クレア倒れて……。
ヴェイグクレア、体調は ?今朝まではなんともなかったと思うが……。
クレアええ……大丈夫。特におかしいところはないわ。
ヴェイグそうか……。
アニー脈も正常ですし、熱もなさそうです。少し休めば回復するとは思いますが……。
アニーそれでも、倒れたことに変わりはありませんから。今日はここに泊まって休んでいきましょう。
ヴェイグそうだな。特に急ぐ用事があるわけでもない。体調を万全にして戻ることにしよう。
クレアそうね……。ヴェイグもアニーも、心配かけてごめんなさい。ヒルダさんは…… ?
ヴェイグああ。ヒルダは外にいる。
アニーヒルダさんにも、クレアさんが目を覚ましたって伝えてきますね。
アニークレアさんはゆっくり身体を休めていてください。
クレアありがとう、アニー。
ヴェイグ本当になんともないのか ?
クレアええ、大丈夫よ。疲れが溜まっていたのかしら…… ?
ヴェイグそうか……。とにかく、ゆっくり休んでくれ。
クレアわかったわ。そうさせてもらうわね。
クレア(……本当に、身体はなんともない。けれど……)
クレア(さっきの夢は、なんだったのかしら……)

キャラクター#N/A
クレアおはよう、みんな。
ヴェイグおはよう。体調はどうだ ?
クレアええ、もうすっかりよくなったわ。心配かけてごめんなさい。
ヴェイグいや、構わない。何事もなくてよかった。
クレアあら ?  ヒルダさん、その本は…… ?
ヒルダああ……さっき、宿の本棚にあったのをアニーが持って来たの。
アニー夢占いの本なんです。わたしは読んでもピンと来なかったんですけどヒルダさんならわかるかと思って……。
ヒルダ私の専門はタロットだから……全くわからないとまでは言わないけれど。
ヒルダ夢は大事なことを示唆している場合もあるわ。だから夢占いも上手く使えれば道を切り開く糧になるのよね。
クレア夢占い……。
ヴェイグ?  どうした、クレア。
クレア……少し、気になる夢を見たの。あの、ヒルダさん。
ヒルダその夢を占いたいの ?
クレアええ……その、出来るなら、なんだけど。
ヒルダそうね……私で構わないなら。
クレア!  ええ、ぜひ !
アニーどんな夢を見たんですか ?
クレア昨日の……倒れたときに見た夢なんだけど。
ヴェイグ!  あの時か……。
クレアええ……。私、真っ暗な場所にいたの。何もなくて……ただ、声だけが聞こえたわ。
ヴェイグ声…… ?
クレアええ。なんと言っていたのかは覚えていないのだけど。声のするほうに向かったら……。
クレア鏡が、大きな鏡があったの。
ヒルダ鏡……ね。
クレア触れたら光が溢れ出して……そこで目が覚めたわ。
アニー不思議な夢ですね……。何か意味がありそうですけど。
ヒルダ確かに、何かを訴えているようでもあるわね。夢占いでも『鏡』は象徴的に取り上げられるものなの。
ヒルダこの本にも書かれているわ。ええと……。
ヒルダほら、ここよ。
アニー『鏡が夢に出てくるのは自信に満ちてプライドが高いという証拠』…… ?
ヴェイグ……あまりクレアには合っていないように思うが。
ヒルダそうね……。まあ、鏡といっても色々な意味があるから。
ヒルダ組み合わせも重要なのよ。他に何か覚えていることはない ?
クレア他に……そう、ね。何かが映っているような気がしたわ。人影を見た気がするのだけど……。
クレアでも、あれは鏡の内ではなく外に見えたもの…… ?
クレアごめんなさい。自分から聞いておいて、はっきり答えられなくて。
ヒルダ謝ることはないわ。夢ってそういうものだし……。もう少し詳しい人だったら、今の話でも何かわかるのかもしれないけどね。
ヒルダただ、変わった夢には違いないからアニーが言うように、何か意味があるのかも。
クレア……やっぱり、私の気にしすぎかもしれないわ。体調が悪いときは変な夢を見たりもするし。
ヒルダそうね。あまり気にしすぎるのも――
ヴェイグん ?  魔鏡通信だ。
ミリーナヴェイグさん、突然の連絡でごめんなさい。
ヴェイグミリーナか。どうしたんだ ?
ミリーナ私もさっきミルハウストさんから連絡を受けたばかりなのだけど……。
ミリーナアガーテさんが倒れたみたいなの。
全員ええっ ! ?

キャラクター#N/A
ヴェイグミリーナ、アガーテの様子は ?
ミリーナみんな…… !急だったのに、来てくれてありがとう。
ミリーナアガーテさんは……あまりいい状況とは言えないわ。眠ったまま、目を覚まさなくて。
ヒルダわざわざ呼び出すなんて、ただ体調が悪いというわけではないんでしょう ?
アニーミルハウストさんの姿も見えませんね。一体何が…… ?
ミリーナそれが、少し厄介なことになっているの。
ミリーナこの辺りは魔物がほとんど出ないからアガーテさんは天気の良い日は森で散歩をしていたんですって。
ミリーナ昨日もいつも通り散歩をしていたみたいで……でも、帰りが遅いからミルハウストさんが探しに行ったの。
ミリーナそうしたら、普段は行かない森の奥で意識を失って倒れていたそうよ……。
クレア昨日…… ?
アニー見る限り、怪我をしている様子はありませんし襲われたというわけではないんでしょうか ?
ミリーナどうなのかしら……。アガーテさんのそばに、怪しい鏡があったそうなの。
ミリーナミルハウストさんが触れようとしたら、何かに弾かれて近づけなかったみたいで。
ミリーナ鏡なら鏡士の私がわかるんじゃないかって連絡をくれたのよ。
ヒルダ待って……鏡、って――
クレア昨日見た夢の鏡…… !
アニークレアさんが倒れたタイミングとも重なりますしもしかして関係があるんでしょうか。
ミリーナクレアさんも倒れたの ?
クレアええ、昨日の昼に……。
ヴェイグクレアはアガーテと入れ替わっていたことがある。それも影響しているんじゃないか ?
ミリーナそれは、何かありそうね……。
ミリーナ実は今、アガーテさんの心はぽっかりとなくなっている状態なの。
四人! !
ヴェイグまた心核が抜かれたのか ! ?
ミリーナいえ、心核はそのままよ。ただ――
ミリーナその鏡には何か術がかけられていたんじゃないかと思って……。
ミリーナミルハウストさんが先に調べてくれているの。フィルにも連絡して、気になる文献をいくつか当たってもらっているわ。
ミリーナただ、わからないことも多いからヴェイグさんたちにも協力してもらいたいの。
ヴェイグああ、もちろん協力する。
ヒルダユージーンやマオ、ティトレイにも連絡しましょう。人手は多いほうがいいでしょう ?
アニークレアさんが見た夢も気になりますしね。
クレアええ。関係がないとは思えないわ。
クレアアガーテ様……。
クレアきゃっ !
? ? ?……す……て……。
クレア…… ! !
ヴェイグクレアッ !
ヴェイグ大丈夫か ! ?
クレアえ、ええ……。
アニークレアさんがアガーテ様に触れた瞬間光が……。
クレア…………何かが。
ヴェイグえ ?
クレア一瞬……何かが聞こえたわ。声、だと思うのだけれど……。
クレア今のは……一体…… ?

キャラクター#N/A
アガーテ……さむ、い……。暗、い……ここは…… ?
? ? ?オオ……オオオ……オオオオ……。
アガーテ…… ?  何か、聞こえる……。
? ? ?オオ……オオオ……オオオオ……。
アガーテだ、誰かいるのですか…… ?
? ? ?あなたの……せいだ……。
アガーテえ…… ?
男の声あなたの身勝手な行動が……世界をめちゃくちゃにした……。
アガーテ…… !
女の声あなたに捕らえられ……利用された女たち……。
男の声ヒューマもガジュマも、あなたのせいで苦しんだ……。
女の声あなたの私利私欲で、私たちはボロボロになった……。
男の声あなたのせいで、争いが……。
女の声あなたがいたから、争いが……。
アガーテあ……あ……ッ !
アガーテ(そうだわ……全て、わたくしのせい……。勝手に思い込み、人を巻き込んで苦しめた……)
アガーテ(国王という立場でありながら自分の望みのためヒトを苦しめることに目を背けた)
アガーテ(わたくしは……わたくしは…… ! )
男の声あなたがいなければ、苦しまずに済んだのに……。
女の声あなたがいなければ、傷つかずに済んだのに……。
男の声・女の声だからあなたなんて死んでしまえ…… !
アガーテああ……わたくしは…… !
? ? ?そうだ……あなたは死ぬべきなんだ、アガーテ様。
アガーテ!  あなたは…… !
サレお久しぶりですね、女王陛下。
アガーテサレ……。
サレ世界をめちゃくちゃに壊しておきながらのうのうと生きてらっしゃるとは。
サレ随分と厚い面の皮、いえ毛皮をお持ちで……まあ何せ女王様ですから、当然と言えば当然ですかねぇ。
アガーテわ……たく……し、は……。
サレまさか許されるとは思っていませんよねぇ ?あなたの命令で、僕がどれだけ手を汚したと思ってるんです ?
アガーテう、うぅ…… !
サレハハハハハハ !後悔しても無駄ですよ、女王様。過去は決して取り戻せない !
サレあなたは一生消えない罪を背負っていくんですよ !
アガーテわたくしの、罪…… !
アガーテ(そうだわ……わたくしの罪は、決して消えない。穏やかに暮らすことなど許されない……でも……)
アガーテ(誰か……助けて――)
クレア……ッ !  また…… !
ヴェイグクレア !  大丈夫か…… ?
クレア……声が、聞こえるの。助けを求めるような、声……。
クレア真っ暗な空間が見えて……そこに、アガーテ様がいたような……。
ヒルダやっぱりクレアが見た夢は……。
ヒルダいえ、夢ではなかったんだわ。アガーテ様の助けを求める声がクレアに直接届いているんじゃない ?
ミリーナええ……。鏡に術をかけられたアガーテさんは関係の深かったクレアさんと心が繋がったのかもしれない。
クレアそれなら――
ミリーナ!  ミルハウストさんからの魔鏡通信だわ。
アニー何かわかったんでしょうか ?
ミリーナミルハウストさん、そちらは――
ミルハウスト慌ただしくてすまない。もしヴェイグたちがいるなら手を貸してもらえないだろうか !
ミルハウスト鏡から魔物が次々と現れているんだ !
ヴェイグなんだって…… !

キャラクター#N/A
ミルハウストアガーテ様の倒れていた場所には昨日と同じように鏡があった。
ミルハウスト近づこうとしても透明な壁のようなものに弾かれてしまうため、どうにか触れる方法がないかと調査していたのだが……。
ミルハウスト突然光を放ったかと思ったら鏡から次々に魔物が現れたんだ。
ヒルダ……少なくとも、その鏡がアガーテ様にかけられた術の根源であることは間違いなさそうね。
ヴェイグああ。ミルハウスト、魔物はどれくらいいるんだ ?
ミルハウスト一度に現れるのは一体か二体程度だ。ただ、倒すたびに新しい魔物が出てくる。
アニーそれは、一人で対応するのは限界がありそうですね。
ヴェイグそうだな。オレたちもすぐに向かう、もう少しだけ耐えてくれ。
ミルハウストああ、頼む。
ヴェイグ行こう。ミリーナ、詳しい場所はわかるだろうか。
ミリーナええ、ミルハウストさんから聞いてあるわ。すぐに地図を用意するわね。
ヴェイグオレとヒルダ、アニーで向かう。クレアはここに残って――
クレアいえ……私も連れて行って。
ヴェイグクレア…… !
クレア足手まといになるのはわかっているわ。危険だということも。
クレアでも、聞こえるの。アガーテ様の声が……。
クレアもしもアガーテ様の心が鏡の中に囚われているなら、助けたいの !
ヴェイグしかし……。
ヒルダヴェイグが心配するのもわかるわ。私も、普段だったら止めていたと思う。
ヒルダでも、今回は一緒に行ったほうがいいんじゃない ?昨日のクレアの夢が本当にアガーテ様と繋がったことを示しているなら……。
ヒルダ近くに行けば、はっきりとその心に触れることができるかもしれない。
アニーそうですね…… !先ほどアガーテ様に触れたときも姿が見えたと言ってましたよね ?
クレアええ、確かに…… !
ヒルダ最初は『夢』で、さっきは『幻』のように見えていた。それなら鏡のところに行けば――
ヴェイグ……なるほど。
クレアミルハウストさんが言っていたでしょう ?鏡には近づけなかった、って。
クレアもちろん、私が行ったところでどうにかなるとは限らないけど……可能性はあるかもしれない。
クレアだから、お願い。ちゃんと自分の身は自分で守るから連れて行って。
アニーいえ、クレアさん一人で頑張ることはありません。クレアさんはわたしが守ります !
ヒルダそうよ。こういうことは一人で背負うものじゃないわ。
クレアアニー……ヒルダさん……。
ヒルダ……というわけよ。一緒に行こうって言うタイミングを逃したかもしれないけど、構わないわよね、ヴェイグ ?
ヴェイグ……ああ。確かに、鍵を握っているのはクレアだろう。
ヴェイグクレアはオレたちが守る。だから、一緒に来てくれるか。
クレアええ、もちろん…… !
ヒルダミリーナ、あんたはアガーテ様をお願い。それと、ティトレイたちが着いたらこっちへ寄越してもらえる ?
ミリーナええ、わかったわ。アガーテさんのことも、ティトレイさんたちのことも。
ミリーナみんな、気をつけて行ってきてね。
ヴェイグもちろんだ。
ヴェイグよし、行こう !ミルハウストとアガーテを助けるために。
三人ええ !

キャラクター#N/A
サレあなたの身勝手さが、どれだけの人を不幸にしたかまだ理解できていないんですかね ?
サレ自らに備わった特別な力を私利私欲のためだけに使いその結果守るべき国民を引き裂いた。
アガーテわたくし、は……。
サレそしてあなたはそれをすっかり忘れて平穏に暮らしている。
サレ自分だけ幸せになろうとしている……。その様は誰よりもヒトらしい、とも言えますけどねぇ。
アガーテ違う……違う、違います !わたくしは決して自分だけが幸せになろうなどと思ってはおりません !
アガーテどのように償ったらいいのかと、ずっと……ずっと…… !
サレ考えているだけでは無意味でしょう ?口ではなんとでも言えますしね。
サレなんて、ハハハハッ !わかっていますよ、アガーテ様。本当は考えていないんですよね ?
アガーテち、違います !  そんなことは……。
サレいいや、あなたは他人のことなど考えていない。贖罪の気持ちも全くない。そうでしょう ?
アガーテ違う、違う、違う、違う…… !違うわ、わたくしは…… !
サレ違うと叫ぶだけで、具体的な言葉は出てこない。それが全ての答えでは ?
アガーテそ、れは……それは…… !
アガーテあああああ…… !
サレハハハハッ !  そうだ、苦しめ…… !その苦しみを糧として、魔物が生まれる !
サレ世界を滅ぼしかけたあなたが、今度こそ本当に皆を不幸にすることができるんです。喜ばしいでしょう ! ?
アガーテわたくしは……わたくしは、そんなつもりは…… !
サレハハハハハ !  さあ、行け !あらゆるものを破壊し尽くせ…… !
アガーテやめてええええええっ !
ヴェイグ鏡があるのはこの辺りのはずだが――ッ ! ?
ヴェイグなんだ、この魔物の数は…… !
ヒルダ魔物の数は多くないって言っていたわよね ! ?
アニーええ、出てくるのは数体ずつと聞いていましたが……。
クレア見て、あそこ !ミルハウストさんが…… !
ミルハウストはぁ……はぁ……。
ヴェイグミルハウスト、無事か ! ?
ミルハウストヴェイグ……よかった。いいタイミングで来てくれた。
ヒルダどうしたの、この魔物の数は…… !
ミルハウスト先ほど、鏡がひと際強く輝いた。その直後、一気に増えたんだ。
ミルハウスト……情けない話だが、さすがに、限界だ。
ヴェイグああ。お前は下がって休んでいてくれ。
ヒルダむしろよくここまで耐えたわよ。こんな数……。
アニー今、怪我を治しますね。
ミルハウストすまない……助かる。
ヴェイグあの奥に見えるのが例の鏡か……。
ヒルダ調べるにも、この魔物をどうにかしないといけないわね。
ヴェイグああ。まずは魔物を全て倒す !  行くぞ !
ヴェイグ絶氷刃 ! !
ヴェイグ凍牙衝裂破 ! !
ヒルダ気合入ってるわね。なら、私も――
ヒルダクラスターレイド ! !
アニー着実に減ってきましたね !数は多いけれど、勝てない相手ではありません !みんなで攻撃すれば――
アガーテやめてええええっ !
全員! !
ミルハウスト今の声は……アガーテ様 ! !
クレアあの、鏡の中から…… !
ヴェイグなんだ、地震…… ! ?
クレア違うわ、あれを見て !
アニーなんて大きな魔物…… !
ヒルダ厄介なのが出てきたわね。
ヴェイグああ。だが、迷うことはない。
ヴェイグ全力であいつを倒す !

キャラクター#N/A
ヴェイグ倒したか…… !
アニー!  ミリーナさんから魔鏡通信です !
ミリーナフィルから連絡があってアガーテさんが倒れた理由がわかったわ。
ミルハウスト! !  その理由というのは…… ! ?
ミリーナやっぱり、そこにある鏡のせいだったわ。人の心や想いを吸収する呪具でもともとはその付近に封印されていたの。
ミリーナけれど、何かの拍子で封印が解け運悪くアガーテさんが通りがかったのね。それで鏡に心が取り込まれてしまったのだと思うわ。
ヒルダなるほどね……。
アニーでは、アガーテ様を助ける方法は…… ?
ミリーナそれが……。
ヴェイグまさか、ないのか……?
ミリーナいえ、逆なの。本来は助ける必要がないのよ。
ヒルダどういうこと…… ?
ミリーナ嫌な呪いであることは確かなのだけどアガーテさんの月のフォルスのような力を持つ人なら、跳ね返せるものなの。
ミリーナだから、心だけ奪われたまま戻って来ないのは何か理由があるんじゃないか、ってフィルは言っていたわ。
ヴェイグ理由……。目を覚ましたくない理由、か…… ?
ミルハウスト……。もしかしたら……。
ヴェイグ心当たりがあるのか ?
ミルハウスト……アガーテ様は、この世界で平穏な暮らしをするようになってから、悩んでいる様子だった。
ミルハウスト今暮らしている街は、とても穏やかなんだ。帝国との戦いで住む場所を失い流れて来た人も多くいるのだが……。
ミルハウスト街の人たちは快く受け入れ元々隣人だったかのように暮らしている。助け合い、笑い合っているんだ。
アニー素敵な街ですね……。
ミルハウストああ。これが理想の暮らしなのだろうと日々感じている。
ミルハウスト……だからこそ、だろうな。それが実現出来なかった元の世界でのことを考えてしまわれたのだろう。
ヒルダ……そうね。私たちは、ヒューマとか、ガジュマとか……ハーフだとか。そういうことで、いがみ合ってきた。
アニーええ……言い訳はできません。わたしも勝手な思い込みでガジュマを憎んでいましたから……。
ミルハウストそういったいがみ合いの原因を作ったのは自分だとアガーテ様は考えているようだった。
クレアそれは違うわ。きっかけのひとつにはなっていたかもしれないけれど全てがアガーテ様のせいなんてことは……。
ミルハウストああ、もちろんそうだ。それぞれの心にあった感情のひとつひとつが積もり積もって起こったことだと思っている。
ミルハウストだが……。
ヴェイグ……自分を責めてしまうのは、わかる。過去の行動を悔いるのは、誰にだってあることだ。
ヒルダええ……。因果関係なんて、わからないものだもの。だから後から勝手に結びつけてしまうんだわ。
ヒルダそして、自分が悪いのだと考えてしまう……。
アニー……辛いですね。
ミルハウスト…………。
クレアそれでも……いえ。
クレアだからこそ、アガーテ様には勇気を持って戻ってきてほしいと思うの。
ヴェイグクレア……。
クレアだって……アガーテ様は、独りじゃないから。全てを独りで背負う必要なんて、ない。
クレアずっと苦しんできたんだもの。アガーテ様も私たちと一緒に笑って生きてほしいの…… !

キャラクター#N/A
ヴェイグ! !  また魔物が…… !
クレアミリーナ、アガーテ様が望めばあの鏡から出られるのよね ?
ミリーナええ。恐らく、ではあるけれど……。アガーテさんの力なら呪いに打ち勝つことができるはずよ。
クレアそれなら、私がアガーテ様に呼びかけるわ。助けを求めていたんだもの……きっと応えてくれるはずよ !
ミリーナそうね。それができるのはクレアさんだけ……どうか、アガーテさんを助けてあげて !
クレアええ、必ず !
ヒルダやることは決まったわね。
アニーでも、そのためにはあの鏡に近づく必要がありますよね…… ?
ヴェイグオレが先導する。クレアはアガーテのことだけを考えていてくれ。
ミルハウスト私も行く。体力が完全に戻ったとは言えないが……。
ミルハウスト私は二度と、アガーテ様を孤独にしないと誓ったのだ。
ヴェイグミルハウスト……。
ヒルダ雑魚は私たちが相手するわ。
アニーはい !道を切り開きます !
ヴェイグクレア、お前を必ずアガーテのそばに連れて行く。だからオレから離れるな。
クレアええ !
ヴェイグ行くぞ !
ヒルダ次から次へと魔物が出てくるわね。まるで私たちを拒むみたいに。
アニーだからって、引き下がるわけにはいきません !
ヒルダ当然よ。アガーテ様のしたことは簡単には許されないかもしれない……。
ヒルダけれど、永遠に責められる必要はないわ !
アニーはい !過ちを犯したなら、償わなければなりません。それは自分を責めて、閉じこもることではありません。
アニーだから、アガーテ様には目を覚ましてもらわなくちゃ…… !
アニーペイン・レーゲン ! !
ヒルダフリジットコフィン ! !
クレアすごい、魔物がどんどん倒れていくわ !
ミルハウスト二人とも見事な戦いぶりだな。
ヴェイグそれだけアガーテを救いたいと思っているんだ。
ミルハウスト何故、彼女たちはそこまで……。
ヴェイグ……確かに、オレたちはアガーテがやってきたこと全てを許せたわけじゃない。
ヴェイグしかし、あの時がきっかけで見えたことや向き合えたこともある。
ヴェイグオレの住んでいた村は、ヒューマもガジュマも関係なく暮らしていると思っていた。だが……一度は、それが崩れてしまった。
ミルハウスト……ああ。
ヴェイグだからこそ、お互い本当に向き合うことができたんだ。
ヴェイグヒューマもガジュマも違いはない。それを心から実感できたのは、共に協力してユリスを倒したからこそだと思う。
ヴェイグそれを知ったというのに今更いがみ合うなんて、おかしいだろう ?
ミルハウストヴェイグ……。
クレア私たちは、過去には戻れないわ。でも、皆等しく未来に向かって進んでいるの。
クレア未来に進んで行けるはずなのよ !だから、アガーテ様……どうか、どうか戻って来てください !
クレアあなたを待っている人が、ここにいるの !
ヴェイグ! !  鏡が光った…… !
クレアまた魔物が…… !
ミルハウストはあっ !
ミルハウストこの程度の魔物に阻まれるわけにはいかない。あなたと未来へ進むために !
ミルハウスト陛下……アガーテ様 !私は……私はあなたと共にこの世界で生きたい !
アガーテ!  今、声が……。
サレ声 ?  ハハッ……そんなもの聞こえるわけがないでしょう ?
サレあなたは国民を見捨てた……だからあなたも国民に見捨てられたのです。誰が助けに来ると ?
サレああ、恨みの声じゃありませんか ?ハハハハッ !
アガーテ恨みの……。
アガーテ……そう、よ……。わたくしは、恨まれているはず。苦しめた、全てのヒトから……。
? ? ?……様……。
アガーテ……え ?
? ? ?アガーテ様…… !
アガーテ! !  この、声は…… !
クレアどうか、どうか戻って来てください !
クレアあなたを待っている人が、ここにいるの !
アガーテやっぱり……クレア ! !
サレハッ !  世迷い言を……あなたを待っている人がいる ?
サレ全てをグチャグチャにしたあなたに待つのは永遠の責め苦のみだ ! !
アガーテ……ッ !そう、かもしれない。でも――
サレ汚れた手を伸ばしたところで誰が取る ! ?
アガーテ……それでも…… !
ミルハウスト陛下……アガーテ様 ! !
アガーテミルハウスト……ミルハウスト ! !
ミルハウスト私は……私はあなたと共にこの世界で生きたい !
サレ生ぬるいことを――
アガーテわたくしも……わたくしもです !
サレ……ッ !
アガーテサレ、あなたの言う通りです。わたくしは許されないことをしてしまった。さぞ憎まれていることでしょう。
アガーテそれでも、もう逃げません !その全てを、罪を受け入れ、償い続けます。たとえ許されなかったとしても。
アガーテわたくしに手を伸ばしてくれるヒトがいるから !わたくしは、そのヒトたちとこの世界で生きたい !
サレチッ、この力…… !月のフォルスか !
アガーテサレ……きっとあなたは何かを企んでいるのでしょう。それが何なのかは、わたくしにはわかりません。
アガーテですが、わたくしはもう惑わされません !生きていくと決めたから !
サレハッ !  それがヒトの心だとでも ?くだらない !
サレあなたに手を伸ばすヒトとやらは魔物に食われて終わりだぁぁぁぁ !
ミルハウスト! !  また巨大な魔物が…… !
ヴェイグ次から次へと……だが、やることは同じだ !全て倒す ! !

キャラクター#N/A
アニー魔物が倒れたわ !
ミルハウスト! !  この光は…… !
ヴェイグ鏡から出た光が、どこかへ飛んでいった…… ?
ミリーナみんな、無事 ! ?
ヴェイグミリーナ !ああ、こっちは大丈夫だ。
ヴェイグだが、鏡に異変が起きた。光の塊が飛び出していったんだ。
ミリーナそれは心配ないわ。今、アガーテさんが目を覚ましたの !
ミルハウストアガーテ様が ! ?
アガーテミルハウスト !  みなさん !
ミルハウストご無事だったのですね…… !
クレアよかった、アガーテ様…… !
アガーテミルハウスト……それに、クレア。あなたたちの声が、聞こえました。
アガーテわたくしを呼ぶ声……この世界で生きることを許してくれる声。
クレアよかった……。私たちの声が、アガーテ様に届いていて。
アガーテ……迷惑をかけてしまって、ごめんなさい。
クレアいいえ、迷惑なんて…… !アガーテ様が優しいからこそ起きたことだと思います。
クレアですから……今後のことは一緒に考えていきましょう。
アガーテええ…… !
マオおーい、話し込んでるみたいだけどそっちはもう大丈夫なの ?
ヒルダマオ、到着していたのね。
ユージーンたった今着いたところだ。そちらに向かおうとしていたのだが……。
ティトレイアガーテが目を覚ましたってことはもしかして無事に解決か ?
アニーそうですね。ああ、でも鏡をどうするか――
全員! !
ヴェイグこの気配は…… !
サレこのお涙頂戴の展開で盛り上がるのがヒトの心だって ?まったく笑えないなぁ。
ヴェイグサレ !  なぜお前が……。
ミリーナそれは幻よ。
アニー幻…… ?
ミリーナええ。その鏡は人の心を取り込む呪具。おそらく、どこかのタイミングでサレの心の一部も取り込まれていたのでしょう。
ミリーナ一部だけだったから鏡の中に留まっていたけれど……。
ヒルダアガーテ様の心を取り込んだことで出て来たのね ?
サレご名答。女王様の月のフォルスを使わせてもらったのさ。
サレ残念ながら、完全に取り込む前に逃げられてしまったけれどね。
ヴェイグそうだ。アガーテの心の力がお前を上回った。
サレしつこいね。何が心の力だ、くだらない。
ヴェイグだが、アガーテが強い心を持っていたからお前の呪縛を解けたのは事実だ。
サレくだらないって言ってるだろう。僕はそんなもの、絶対に認めない…… !
ヴェイグ……わかった。幻となってもなお戦うというのなら何度だってお前を倒してみせる。
ヴェイグヒトの強さを決めるのは心の力だと証明する !
サレ今度こそ……今度こそキミをぶっ殺してあげるよ !

キャラクター#N/A
サレくそ……が…… !
ヴェイグ……お前がいくら否定しても、結果は同じだ。ヒトの心は、何よりも強い力となる。
ヴェイグ何度も足を止めかけたオレたちが未来に向かって歩み続けている……。それこそが、証拠だ。
サレそんな綺麗事……いつまでも、続くわけが……――
ヴェイグ……続けてみせる。必ず。
アガーテみなさん !
クレア!  アガーテ様…… !
アガーテ無事でよかった……。
クレアアガーテ様も……。もう動いても大丈夫なのですか ?
アガーテはい、問題ありません。それよりも、あの鏡を破壊しなければ。
ユージーンミリーナが言うには、壊さない限りまた同じようなことが起こる可能性があるそうだ。
マオ考えたくないけど、サレの幻がいっぱい出て来るかもしれないしネ。
ティトレイそいつは本気で考えたくねぇな……。
アガーテはい……ですから、わたくしの手で責任を持って破壊しようと思ったのです。
ヴェイグ…………。
アガーテこれで、終わりです。わたくしが過去を振り返るのは。
アガーテ……これからは、前を向いて歩いていきます。全てを背負って、未来へ。
クレア…………。
アガーテ…………。
クレアアガーテ様、ここにいたんですね。
アガーテ!  クレア……。
クレアお隣、いいでしょうか ?
アガーテええ、もちろんです。
クレア星、とても綺麗ですね。森も穏やかで、静かで……。
アガーテええ。この森は街の近くであれば夜も安全なのです。こんなにも平穏な時間は人生でも初めてで……。
アガーテだから、考えてしまったのでしょう。わたくしが苦しめた国民のことを。
クレア…………。
アガーテ鏡に閉じ込められていたときに見聞きしたものは幻だとミリーナから聞きました。
アガーテけれど、その源はわたくしの心。ずっと抱いてきた罪悪感が見せたものだったのかもしれません。
アガーテサレの心に呼ばれたのも、きっと……。
クレア……そのお話をしたくて、アガーテ様を捜していたんです。
クレア私は、アガーテ様の姿で大勢の人の前に立ったことがあります。
クレアだから、それがどれだけの重荷なのか他の人より少しだけ理解できる気がするんです。
アガーテ…………。
クレアでも、それでもアガーテ様は前を向いて未来へ進む覚悟をされた。だから私も、お手伝いをさせてほしいんです。
アガーテお手伝い ?
クレアはい。こんなことを言うのは失礼かもしれないけれど……私と、お友達になってくれませんか ?
アガーテ友達…… ?
クレアはい !重たい荷物を一緒に持てるような、お友達に。
アガーテクレア……ありがとう。
アガーテわたくしは、この世界では女王ではありません。身分もなにもない、ただのヒト……。
アガーテそんなわたくしでよければぜひお友達になってください。
クレアふふ、そんなアガーテ様がいいんです !
アガーテクレア…… !
クレアヴェイグも、そうよね ?
ヴェイグ……気づいていたのか、クレア。
クレアええ。きっと危険がないように見守ってくれているんだろうと思って。
ヴェイグ安全とはいえ、夜の森だからな。だが、立ち聞きするような形になってすまない。
アガーテふふ……素直なヒトなんですね。
クレアええ。とても真っ直ぐで、素敵なヒトなの。
クレア他のみんなも、優しくて、楽しくて、温かいヒト……きっとアガーテ様も仲良くなれるはずです。
アガーテええ。クレアの姿でいるときに見ていましたから……。
アガーテ今度はわたくしの姿で、一緒にピーチパイを食べてみたいです。
クレアええ、ぜひ !明日、一緒に焼きましょう。
アガーテはい !
ヴェイグ……それじゃあ、今日はそろそろ戻ろう。また明日、ゆっくり話をするために。
アガーテええ。クレア、ヴェイグ。
アガーテこれからはお友達としてどうかよろしくお願いします !