キャラクター | 1話【交響曲1 抱えた不安】 |
ミトス | ……驚いたよ。まさか『アレ』がこっちの世界でも具現化されていたなんて。 |
クラトス | ああ、このまま放置しておくのは危険だ。だからこそ、オリジンは私を通してこの危機を知らせてきたのだろう。 |
ミトス | だったら、早く処分しに行かなきゃね。 |
クラトス | ミトス、本当にこの件はマーテルとユアンには話さなくていいのか ? |
ミトス | うん。だって、ボクとクラトスがいれば十分でしょ ?わざわざ姉さまたちに伝えるようなことじゃないよ。 |
ミトス | ……それに、姉さまには見られたくないものがあるかもしれないからね。 |
クラトス | ……わかった。では、私たちだけで目的地へ向かおう。 |
ミトス | うん。こんなこと、さっさと終わらせよう。 |
ロイド | ふぅ~~ ! よしっ !この部屋は大体片付いたか ? |
コレット | うん、あとは床にワックスをかけたらおしまいだよ。 |
ロイド | 了解。なんか、思ったより早く終わりそうだな。 |
コレット | でも、アジトには今までお世話になった分しっかり綺麗にしなきゃ。 |
ロイド | ああ。けど、気を付けろよコレット。最後に転んで壁に穴でも開けたら修理する時間がないからな。 |
コレット | そ、そだね……。 |
ロイド | あ、でも、いざとなったらイクスたちに具現化してもらえばいいのか。そうだ、ジーニアス。イクスたちは―― |
ジーニアス | …………。 |
ロイド | って、おーい、ジーニアス ?本なんか読んで掃除はどうした、掃除は ! |
ジーニアス | えっ ! ? ああ、ごめん。 |
コレット | ジーニアス、その本どうしたの ? |
ロイド | お前、まさかずっと掃除サボってたんじゃないだろうな。 |
ジーニアス | 違うよ。それに、これは本じゃなくてアルバム。ミリーナが撮ってくれた写真を見返してたんだ。 |
コレット | あっ、ホントだ !見て見て、ロイド ! 私たちの写真もあるよ。 |
ロイド | へぇ~、ミリーナのやつ、こんなに俺たちの写真撮ってたんだな。 |
コレット | きっとミリーナはみんなのためにいっぱい思い出を残してくれたんだよ。 |
ロイド | どれも懐かしいよなぁ。ほら、ジーニアスとプレセアが木彫りの熊を売ってる時の写真もあるぜ ! |
ジーニアス | あの時はビックリしたよ。まさか、ロイドがお尋ね者になってるなんてさ。 |
ロイド | 仕方ないだろ。いつの間にかそうなっちまってたんだから。 |
ロイド | けど、それも随分前な気がするよ。あっという間に時間が過ぎちまったよな。 |
ジーニアス | ……あっという間、か。 |
コレット | どうしたの、ジーニアス ? |
ジーニアス | ううん、なんでもない。それより、ロイドたちの掃除はもう終わりそう ? |
ロイド | ああ ! 残ってた荷物も回収したし赤点のテストもちゃんと全部捨てたから大丈夫だ。 |
ジーニアス | えっ ? それって処分してよかったの ? |
ロイド | 平気だって ! 終わったテストなんて持ってても仕方ねえだろ ? 結構溜まってたし、掃除したついでに捨てられてよかったぜ。 |
リフィル | あら、それは聞き捨てならないわね、ロイド。 |
ロイド | げっ ! 先生 ! ? |
リフィル | 「げっ ! 」じゃありません。ロイド。あなた、テストで間違えたところはしっかり復習したんでしょうね ? |
ロイド | うっ ! そ、それは……。 |
リフィル | はあ……。どうせ、そんなことだろうと思っていたけれど……。補習を追加しておくわよ。いいわね。 |
ロイド | ちょ ! 待ってくれよ、先生 !ほらっ ! 俺たち、このあとリーガルに呼ばれてアルタミラに行くんだろ ? |
ロイド | だからさ、補習はまた今度にしてくれないか ?頼むよ、先生 ! このとーり ! |
リフィル | まったく……まあいいでしょう。代わりに課題を用意するからそれはちゃんと提出すること。よろしい ? |
ロイド | へへっ ! サンキュー、先生 ! |
ロイド | ……なあ、ジーニアス。あとで課題、手伝ってくれよ。 |
ジーニアス | 仕方ないなぁ。けど、答えは教えないからね。 |
ロイド | さっすがジーニアス ! 頼りになるぜ ! |
ジーニアス | ……本当、ロイドって変わらないよね。 |
ジーニアス | だけど……いつかロイドだって……。 |
コレット | ………… ? |
ロイド | んじゃ、早く掃除を終わらせてリーガルのところへ行こうぜ ! |
キャラクター | 2話【交響曲2 新たな出発】 |
ロイド | よし、到着っと。みんなはもう来てんのかな ? |
しいな | ロイド、あんたたちも今来たところかい ? |
コレット | しいな ! それにプレセアも一緒だったんだね。 |
プレセア | はい、途中でしいなさんと合流したんです。 |
ジーニアス | ププ、プレ、プレセア…… !こここん…… ! きょうは……いい……き、だね ! |
プレセア | こんにちは、ジーニアス。はい、今日はいい天気ですね。 |
しいな | プレセア……あんたよくジーニアスの言ってることがわかったね……。 |
プレセア | そうですか ? 普通だと思いますけど。 |
しいな | まあ、あんたたちがちゃんと意思疎通できてればいんだけどサ。ところで、アホ神子を見なかったかい ? |
ロイド | ゼロスか ? まだ会ってないけど……。 |
しいな | そうかい。あのアホ神子のことだから約束をすっぽかしてんじゃないかと思ってサ。 |
ゼロス | おいおい、俺さまがてきとーなヤツみたいに言うなっての。 |
セレス | そうです、お兄さまはそんな方ではありません ! |
リーガル | みんな、よく来てくれた。忙しい中、呼び出してしまってすまない。 |
リフィル | いえ、私たちの用事は済ませて来たから。それに、今一番忙しいのはあなたではなくて ? |
プレセア | はい、リーガルさんはアルタミラを中心にテセアラ大陸の交易をお手伝いしていると聞いています。 |
ロイド | こっちでも『レザレノ・カンパニー』の会長になったんだろ ? 凄えよな ! |
リーガル | なに、私自身が動きやすいように会社を立ち上げただけだ。結果的に以前と同じような立場になってしまったがな。 |
リーガル | 様々な事業に取り組んでいるがまだまだ誰かの手を借りることも多いのだ。 |
ゼロス | つーわけで、リーガルがどうしてもって言うから俺さまも手伝ってやるのよ。 |
ジーニアス | えっ、ゼロスがリーガルの手伝い ?そんなこと出来るの ? |
ゼロス | おい、ガキんちょ、なんだその疑いの目は !あのな、俺さまだって真面目な時はちゃんとやるっての ! |
セレス | はい、お兄さまはこれから私と一緒に立派なアンバサダーを務めていくのですから。 |
ロイド | あんばさだー ? なんだ、それ ? |
リフィル | 簡単に言えば、企業や会社から依頼を受けて商品の宣伝や普及活動を行う人のことよ。 |
リフィル | 今回の場合だと、リーガルがゼロスとセレスに依頼をしたってことなのかしら ? |
リーガル | ああ、二人には主にアパレル事業の展開に一役買ってもらおうと思っている。 |
リーガル | 今日の懇親会では、その新ブランド発表と同時にゼロスたちにモデルを務めてもらう手筈となっているのだ。 |
セレス | はい、私でもお役に立てるのなら嬉しいですし何よりお兄さまと一緒にお仕事ができるなんて……。 |
コレット | そっか、セレスはゼロスと一緒にいられるのが嬉しいんだね。 |
セレス | そ、それは…… ! 私はただ可愛いお洋服が着られると思って引き受けただけですっ ! |
ゼロス | でひゃひゃひゃ。服より俺さまの美貌に惚れちまうハニーがいないか心配だけどな。 |
ジーニアス | うわあ、やっぱり人選ミスなんじゃない……。 |
コレット | そうかな ? 私はゼロスやセレスにぴったりなお仕事だと思うよ。 |
ロイド | ま、ゼロスは黙ってれば害はないしな。 |
ゼロス | ちょっとロイドくん ! ?今、結構酷いこと言ったからね ! ? |
しいな | でも、さすがはレザレノ・カンパニーの会長だよ。こんな短期間に会社を立ち上げて成功させるなんてサ。 |
リーガル | 私は自分のやりたいようにやらせてもらっているだけだ。 |
リーガル | 元の世界のレザレノ・カンパニーは祖父の代から受け継いできたものだが、こちらでは何事も一から立ち上げねばならん。 |
リーガル | なかなか大変だが、やりがいを感じることも多い。なにより、この世界の人たちの生活が豊かになっていくなら、私にとっても喜ばしいことだ。 |
プレセア | リーガルさんは、とても立派ですね。 |
ロイド | ああ、やりたいことがあるってのはやっぱりいいことだよな。 |
ジーニアス | やりたいこと……。 |
リーガル | そうだな、それを見つけられた私は幸運なのかもしれん。 |
ゼロス | はいはい、そういうイイ感じの話はこれくらいにしとこうぜ。長話をしてっと、大事な懇親会に遅れちまうぞ。 |
リーガル | 神子の言う通りだな。では、ロイド。お前たちもこのまま一緒に来てくれ。私の関係者として招待してある。 |
しいな | いいのかい ? 会社絡みの懇親会ってことはお偉いさんもいっぱい来るんだろ ?あたしたち、正装なんか用意しちゃいないよ ? |
リーガル | 衣装はこちらで用意している。お前たちにも我が社の服を着てもらえるいい機会だからな。 |
リフィル | では、お言葉に甘えようかしら。 |
ロイド | やったな、ジーニアス。きっと美味い飯もいっぱいあるぞ ! |
ジーニアス | ……もう、ロイドってば。恥ずかしいから一人ではしゃがないでよ。 |
ロイド | へへっ、わかってるって。でも、せっかくだから楽しませてもらおうぜ。 |
キャラクター | 3話【交響曲3 やりたいこと】 |
ロイド | はぁ~、食った食った。けど、やっぱああいう場所って肩こるんだよなぁ。 |
しいな | ジジくさいこと言ってんじゃないよ。ま、気持ちはわかるけどサ。 |
ロイド | だよな。今日はもう寝るか。部屋もリーガルが用意してくれてんだろ ? |
リフィル | ええ、あなたはジーニアスと同じ部屋よ。 |
ロイド | そっか。じゃあ行こうぜ、ジーニアス……って、あれ ? あいつ、どこ行ったんだ ? |
プレセア | 先ほどまで一緒だったと思いますが……。 |
しいな | ああ、ジーニアスなら、ちょっと風に当たってから戻るって言ってたよ。 |
ロイド | そうなのか。じゃあ、先に部屋で待ってるかな。 |
コレット | あっ、待ってロイド。えっとね、ジーニアスのことなんだけど少し気になることがあるんだ。 |
ロイド | 気になること ? |
コレット | うん、アジトのお掃除をしてた時からちょっとジーニアスの様子が変だった気がするの。 |
コレット | ずっと考え込んでるような……ロイドは心当たりない ? |
ロイド | うーん ? 俺は特に……。 |
コレット | そっか。ごめん、私の勘違いかも……。 |
ロイド | いや、コレットが言うなら多分そうなんじゃないか ?お前、みんなのことよく見てるし。 |
リフィル | そうね、あの子も一人で抱え込むところがあるから……。 |
ロイド | わかった。ちょっと様子を見てくるよ。あいつも俺なら話しやすいだろうしさ。 |
コレット | うん、私もそう思う。ロイド、ジーニアスのことお願い。 |
ロイド | おう、任せとけ。 |
ロイド | おっ、いたいた。 |
ジーニアス | ロイド ? どうしたの、こんなところに。 |
ロイド | お前を捜してたんだよ。部屋に戻ってもすることないしな。 |
ジーニアス | 先に寝ててよかったのに。もしかして、一人で寂しかったとか ? |
ロイド | はいはい、それでいいよ。で、お前は何してるんだ ? |
ジーニアス | 別に……ただ風に当たりたかっただけだよ。 |
ロイド | ……コレットが心配してたぜ。なんだか悩んでるみたいだってさ。 |
ジーニアス | コレットが ?そっか……バレちゃってたんだ。 |
ロイド | 何かあるなら話してみろよ。そのほうがスッキリすると思うぜ。 |
ジーニアス | ありがとう、ロイド。でも、本当に大したことじゃないんだ。 |
ジーニアス | ただ、ボクはこの先どうしていくのかなって考えていただけだから。 |
ロイド | この先…… ? |
ジーニアス | アジトでアルバムの写真を見たでしょ ?ボクたちって色々なことをしてきたんだなって思い出してさ。 |
ジーニアス | その時、ふと考えちゃったんだ。これからボクがやりたいことって何なんだろう、って……。 |
ジーニアス | ほら、他のみんなはちゃんと自分のやりたいことをやってるし、リーガルやあのゼロスだって見つけてる……。 |
ロイド | ……かもな。そのために今日だって頑張ってたし。 |
ジーニアス | ねえ、ロイドは何かやりたいことってないの ? |
ロイド | 俺か ? うーん、どうだろうな。まだはっきりとした目標とかはないけど世界を旅したいとは思ってるぜ。 |
ジーニアス | 旅か……なんか、ロイドらしいね。 |
ロイド | だろ ? その間に自分のやりたいことを考えるさ。だから、お前もゆっくり考えればいいんじゃないか。 |
ジーニアス | うん……。 |
ロイド | あっ ! なんなら俺と一緒に来るか ? |
ジーニアス | えっ、いいの ? |
ロイド | 当たり前だろ。お前とはイセリアの村からずっと一緒だったんだし、世界再生の旅やこのティル・ナ・ノーグでも色々やってきただろ ? |
ロイド | ジーニアスがいれば頼りになるしなにより俺が楽しいからさ。 |
ジーニアス | ロイド……。うん、ボクも同じだよ。ロイドと一緒にいるのはすごく楽しい。けど……最後はボクも、一人になっちゃうんだよね。 |
ジーニアス | ボクは、ハーフエルフだから……。ロイドやコレットたちとは同じ時間を歩めない。 |
ロイド | ……でも、俺たちだけじゃないだろ ?お前には、先生やミトスだっているじゃないか。 |
ジーニアス | うん、わかってるよ。でも、時々考えちゃうんだ。ロイドたちがいなくなるってことをさ。 |
ロイド | ……だったら、ジーニアスは俺のことをずっと覚えていてくれよ。 |
ロイド | そうしたら、ジーニアスの思い出の中に俺はずっと残るし、寂しくならないんじゃないか ? |
ジーニアス | ボクの中に……。 |
ロイド | だから、これからもみんなで色々やろうぜ。お前が、みんなのことを忘れないようにさ。 |
ジーニアス | ……ありがとう、ロイド。ふふっ、でも、ロイドみたいな変な人は簡単に忘れられないよ。 |
ロイド | 変ってなんだよ !せっかく励ましてやろうと思ったのに ! |
ジーニアス | ごめんごめん。 |
ジーニアス | ……そういえばボク、昔から星の位置を覚えておくように姉さんから言われていたんだ。 |
ロイド | ああ、俺の家でもよく見てたよな。 |
ジーニアス | それは、いつ村を追い出されても安全に旅ができるようにするためだったんだ。 |
ジーニアス | ……でも、今度は逃げるためじゃなくて前へ進むために星の位置を覚えるよ。また一緒に、ロイドと旅をするんだからね。 |
ロイド | ……ああ、頼んだぜ、親友。 |
ジーニアス | ……あれ ? 今のって……。 |
ロイド | ん ? どうしたんだ ? |
ジーニアス | いや……今、誰かが建物の屋上に降りたような……。 |
ロイド | 俺は見てなかったけど……。 |
ジーニアス | ボクの見間違いかな ?でも、ミトスやクラトスさんみたいだった……。 |
ロイド | あいつらが ?じゃあ、ちょっと行ってみるか ?本当にあの二人なら俺も気になるし。 |
ジーニアス | うん、また付き合わせちゃってごめんね。 |
ロイド | 別にいいって。でも、先生に怒られるからあんま遅くならないようにしようぜ。 |
キャラクター | 4話【交響曲5 二つの影】 |
ミトス | ――あったよ、クラトス。まさか、アルタミラの博物館で保管されてたなんてね。 |
クラトス | 展示前に気付けたのは幸いだな。管理者には申し訳ないが、これは我々が回収しておこう。 |
? ? ? | ――やはり、お前たちの目的はこの『魔界の書』だったのだな。 |
マーテル | ごめんなさい。ユアンから話を聞いて、先回りさせてもらったわ。 |
ミトス | ……ユアン、どういうこと ? |
ユアン | それはこちらの台詞だ。お前たちの様子がおかしいとマーテルに相談されて調べさせてもらった。 |
ミトス | へえ、相変わらずこそこそ動くのが上手だね。隠してたつもりだったんだけど。 |
マーテル | ミトス、ユアンを悪く言わないで。全部私が頼んだことなの。 |
ユアン | お前たちのことだ。マーテルが首を突っ込む前に自分たちで解決しようとしたのだろう。 |
ユアン | だが、私たちも『魔界の書』の存在を知ってしまった以上、退くつもりはない。今回ばかりは首を突っ込ませてもらうぞ。 |
クラトス | ……そうだな。ならば、我々が持っている情報を共有しておこう。 |
ミトス | クラトス…… ! |
クラトス | ミトス、これ以上二人に隠しておくのはかえって逆効果だ。 |
マーテル | ありがとう、クラトス。だけど、私たちを仲間外れにした理由はあとでたっぷり聞かせてもらうわね。 |
クラトス | うっ……あ、ああ……覚悟はしている。 |
ユアン | こほんっ。一度、話を戻すぞ。この『魔界の書』だが私たちが知っているもので間違いないのだな ? |
クラトス | そうだ。これはかつて我々が封印した禁書であり放っておくと人々の心に危害が加えられやがては世界に影響を及ぼすかもしれん。 |
ユアン | 魔界ニブルヘイムの再現か……。だが、何故この世界にも魔界の書が存在しているのだ ? |
ミトス | ここはボクたちの記憶が具現化された世界だよ ?魔界の書があっても別に不思議じゃないさ。エクスフィアや世界樹があるようにね。 |
クラトス | だが、それらはこの世界の法則に従いエンコードの力が働いている。この魔界の書も例外ではない。 |
クラトス | そのため今まで目立った被害は出ていなかったのではないかというのが我々の見解だ。 |
ミトス | この博物館に展示されることになったのは前の持ち主に災いが降りかかって手放したからみたいだけどね。 |
マーテル | その人は大丈夫だったの ? |
クラトス | ああ。本を手放してからは、夜中に謎のうめき声が聞こえることもなくなったらしい。 |
ユアン | 逆に言えば、原因はその本で間違いなかったというわけだな。 |
クラトス | そうだ。だから私とミトスが動き処分することにした。 |
ユアン | だが、完全に処分するには『封魔の石』が必要なはずだ。その問題はどう解決する ? |
ミトス | さっきも言ったでしょ ?エンコードの力が働いているなら、完全な処分はできなくても、力は抑えられるかもしれない。 |
ミトス | まずはそれを調べて、あとはマークたちにでも預けて無害にしてもらうつもりだよ。まあ、ボクたちで処分できるならそうするけど。 |
クラトス | ……お前たちに相談しなかったのは最終的には私の判断だ。ミトスのことは責めないでやってくれ。 |
ユアン | ふん、お前は相変わらずミトスに甘いな。 |
ミトス | ユアン、クラトスを悪く言うのはボクが許さないよ。 |
ユアン | お前もお前だ。クラトスにばかり頼りおって……。少しは私のことも頼ったらどうなんだ ? |
ユアン | ……これでも、私はお前の義兄になったのだからな。 |
ミトス | ……ねえ、そんなに恥ずかしそうにするなら言わないほうがよかったんじゃない ? |
ユアン | なっ ! わ、私はお前のことを考えて…… ! |
マーテル | そうよ。こんなに顔を真っ赤にして頑張ったユアンの気持ちも汲み取ってあげて ! |
ユアン | うっ…… ! |
クラトス | ……マーテル。フォローに入ったつもりだろうが今のは逆効果だぞ。 |
マーテル | えっ ? そうなの ?ユアン、ごめんなさい……。 |
ユアン | いや、君のせいではない……。 |
ミトス | ……はぁ。わかったよ。姉さまに免じてユアンの気持ちは受け取ってあげる。 |
ユアン | ……まあいい。それで、これからどうするつもりだ ? |
クラトス | まずはオリジンの力を借りて本の中に入り、調査を行う。 |
マーテル | それじゃあ、私たちもついていけばいいのね。 |
ミトス | …………。 |
クラトス | ……そうだ。では、急ぐぞ。 |
キャラクター | 5話【交響曲6 禁じられた書物】 |
ロイド | ジーニアス、この辺りで間違いないか ? |
ジーニアス | うん。ここって博物館だよね。本当にミトスたちだったんならどうしてこんなところに来たんだろう ? |
ロイド | そんなの会ってから聞けばいいって。けど、勝手に入るわけにはいかないよなぁ。 |
ジーニアス | そうだね。警備の人もいるみたいだけど話したところで入れてくれないだろうし……。 |
しいな | やっと見つけたよ !こんなところまで来てたのかい。 |
ロイド | しいな ! それにリーガルも、どうしたんだ ? |
リーガル | お前たちがホテルに戻ってこないと聞いてな。一緒に捜していたのだ。 |
しいな | ロイドにジーニアスの事を話したのはあたしだしね。それで、ここで何してたんだい ? |
ロイド | ああ、それなんだけど―― |
リーガル | ――そうか。では、警備の者には私から説明して、館内に入らせてもらおう。 |
ジーニアス | そんなこと頼めるの ? |
リーガル | 私もアルタミラではそれなりに顔が広くなったからな。事情を説明すれば通してくれるだろう。 |
しいな | さすがリーガルだね。こっそり侵入、なんてことにならなくてよかったよ。 |
リーガル | では、すぐに話をしてこよう。 |
しいな | うーん、誰かいそうな気配はないね。 |
ジーニアス | ごめん……やっぱりボクの見間違いだったのかも。 |
ロイド | まだ入ったばっかりだろ。それに、ミトスやクラトスなら気配くらい簡単に消せそうだし。 |
しいな | 鋭いとこをつくじゃないか。確かに、その線はあるかもしれないね。 |
ロイド | へへっ、だろ ?だから、もうちょっと調べてみようぜ。 |
リーガル | ん……あれは…… ? |
しいな | 何か床に落ちてるね。……本 ? |
ジーニアス | 待って ! あの本の背表紙についてるのって……。 |
ロイド | エクスフィアだ !けど、どうして本なんかに……。 |
しいな | 気を付けな、ロイド。この本……なんだか嫌な感じがするよ。 |
? ? ? | ――気が付いたか、召喚の力を持つ者よ。これは、かつてミトスとその仲間たちが封印した魔界の書だ。 |
しいな | えっ ! ? 今のは……。 |
ロイド | 俺にも聞こえたぞ。誰だ ! ? |
オリジン | 私はオリジン。お前たちに警告するため声を届けている。 |
しいな | オリジンだって ! ? あんたがなんで……。 |
オリジン | この本には、禍々しき力が宿っている。今はミトスたちが本の中へ入り力を止めようとしているところだ。 |
ジーニアス | ミトスたちが…… ! ?じゃあ……ボクの見間違いじゃなかったんだ……。 |
リーガル | しかし、本の中に入っているとはどういうことだ ?彼らは無事なのか ? |
オリジン | 今はまだな。無事に戻ってくるという保証はない。 |
ロイド | よくわからねぇけど、このままだとミトスたちも危険だってことなんだな ? |
オリジン | お前たちも巻き込まれたくなければすぐにここから立ち去るがいい。 |
ロイド | そんな話を聞いて黙ってられるかよ。なあ、オリジン。俺たちもその中に入れないのか ? |
オリジン | 私の力を使えば可能だ。 |
ロイド | よし、なら俺も行かせてくれ。 |
ジーニアス | ボクも一緒に行くよ。ミトスのこと、心配だし。 |
しいな | いいのかい ? オリジンの話からすると相当危険な感じだよ。 |
ロイド | それなら尚更だろ ?ミトスには嫌な顔されるだろうけどさ。 |
しいな | まあ、あんたならそうするだろうね。わかった、あたしも行くよ。 |
リーガル | 待て、お前たち。これは私たちだけの問題ではない。皆にも話しておくべきだろう。 |
ロイド | そうだな。じゃあ俺から連絡するよ。 |
ゼロス | 魔界の書、ね……。ったく、そんな物騒なもんまでこっちの世界で再現しなくていいってのによ。 |
リフィル | 本当はもう少し情報が欲しいところだけどミトスたちが先行している以上ゆっくりしてはいられないわね。 |
ロイド | ああ。だから、みんなにも協力してほしいんだ。一緒に来てくれるか ? |
コレット | もちろんだよ。ドワーフの誓い、第2番「困っている人を見かけたら必ず力を貸そう」だね ! |
ゼロス | コレットちゃんは優しいねぇ。まあ、ハニーたちのことは俺さまが守るから安心してくれて構わないぜ。 |
ゼロス | あとセレス、お前もあまり俺から離れるなよ。フォローできなくなっちまうからな。 |
セレス | えっ ? は、はい……。あの、お兄さま。私もついていっていいのでしょうか ? |
ゼロス | はぁ ? お前、自分でここまで来たんだろ ? |
セレス | ですから ! その……いつもなら「お前は来るな」などと仰るから……。 |
ゼロス | ……あー、はいはい、そういうことね。けど、俺さまが言ったところでお前は勝手に首を突っ込んでくるだろ ? |
ゼロス | おまけに毎回毎回、突拍子もないことばっかするからな。 |
セレス | そ、そんなことはありません !た、多分……ですけど……。 |
ゼロス | ……だから、いっそのこと目に見えるところに置いといたほうがいいって思っただけだよ。これで満足したか ? |
セレス | お兄さま……。 |
コレット | セレス。あのね、ゼロスはきっとセレスのことが心配だから、無理をしてほしくないんだよ。 |
プレセア | はい、ゼロスくんは自分の気持ちを伝えるのは不器用ですが、セレスさんを本当に大切にしているんだと思います。 |
ゼロス | ちょ、コレットちゃんにプレセアちゃん ! ?俺さまは別に……。 |
セレス | ……はい、私もわかってはいるんです。ですが、身体が弱いせいでお兄さまのお役に立てないのが悔しくて……。 |
ゼロス | ……はぁー。あのな、セレス。身体が弱いのは、お前のせいじゃねえだろ。それに、誰が役に立ってないなんて言ったんだよ ? |
セレス | えっ ? |
ゼロス | お前は……いつも頑張ってくれてるよ。だから……今回も無理しない程度にな。 |
セレス | お兄さま…… ! はい、もちろんです ! |
ロイド | なんだ、ゼロス。お前、やろうと思えばちゃんと正直になれるんだな。 |
ゼロス | ひでぇ言い方 ! ?へいへい、俺さまはどうせ捻くれてますよ。 |
ロイド | んじゃ、みんなでミトスたちのところへ行こうぜ。 |
ジーニアス | うん ! 待っててね、ミトス。ボクたちもすぐに追いつくから。 |
キャラクター | 6話【交響曲7 力を合わせて】 |
ロイド | うわっ ! ? 俺たち、本の中に入ったのか ! ? |
プレセア | そうみたいです。周りの景色もですが雰囲気が一変しました。 |
リフィル | ――素晴らしい ! !本の中にこのような遺跡が広がっているとは ! !これは大発見だ ! ! |
ロイド | あっ、やべ。先生も変わっちまった……。 |
? ? ? | ……また新たな侵入者だと ?やはり、我らを消滅させようというのか。 |
ジーニアス | 何、この声 ? |
? ? ? | ……我らは次なる魔界の王。お前たちごとき矮小なる者に我らが消せると思うのなら命を天秤に乗せ試してみるがいい ! |
リフィル | 魔界の王だと ! ?ならば、貴様がこの遺跡の所有者か ! ? |
? ? ? | この空間は幻想に過ぎん。だが、我らが生み出した世界でお前たちを排除することなど造作もない ! |
魔物 | シャアアアアアッッッッ ! ! ! ! |
ゼロス | おいおい、随分と派手な挨拶じゃねえか。 |
? ? ? | ここで屍となるがいい ! ! |
ゼロス | そっちがその気なら付き合ってやるよ ! !決めるぜ ! 魔神閃空破 ! |
ゼロス | どうよっ ! この俺さまの華麗な剣さばき ! |
リーガル | ! ? 神子よ、まだ油断するな ! ! |
魔物 | ――シャアアアアアッッッッ ! ! ! ! |
ゼロス | なにっ ! こいつら増えんのかよ ! ? |
セレス | 危ない、お兄さま ! !くらいなさい ! スターキャノン ! |
セレス | 平気ですか、お兄さま ! ? |
ゼロス | サンキュー、セレス。こいつら、思った以上に厄介だぞ。 |
プレセア | はい、倒しても倒しても次が現れます。全部を相手にしていては私たちの体力がもちません。 |
リーガル | なるべく力を温存して突破したいところだが……。 |
ロイド | よし、そういうことなら……ジーニアス ! |
ジーニアス | ……うん、いいよ、ロイド ! |
ロイド | 行くぜ ! うおおおおおおおっっっっ ! ! |
しいな | ロイド ! ? 話を聞いてなかったのかい ! ?そんな考えもなしに突っ込んだら…… ! ! |
コレット | ううん、違うよ、しいな。ロイドはきっと―― |
魔物たち | シャアアッッッッ ! ! ! ! |
プレセア | いけません ! ロイドさんの周りに魔物が…… ! |
ロイド | ――よし ! ! 今だ、ジーニアス ! ! |
ジーニアス | 了解 ! いくよ ! サイクロン ! ! |
ロイド | へへっ、上手くいったぜ !サンキュー、ジーニアス ! |
リーガル | なるほど、ロイドが魔物を集めてジーニアスの術で一掃する作戦だったのか。 |
しいな | けど、そんなことは一言も話してなかったじゃないか ? |
ジーニアス | わざわざ聞かなくてもロイドの考えてることなんてわかるよ。 |
ゼロス | やるじゃねえの、ガキんちょ。 |
ジーニアス | それじゃあ、ロイド。今の感じでもう一回いくよ ! |
ロイド | おう ! 頼んだぜ、ジーニアス ! |
ユアン | ――サンダーブレード ! |
ユアン | ……ひとまず、辺りの魔物はこれで全部か。 |
ミトス | その調子だよ、ユアン。雑魚たちの相手は任せたから。 |
ユアン | お前も少しは加勢しろ !まったく、私ばかり働かせおって……。 |
マーテル | お疲れ様、ユアン。ふふっ。こうしていると四人で一緒に旅をしていた頃を思い出すわね。 |
ミトス | ……あの頃とは違うよ、姉さま。ボクたちは天使になったし元の世界だったら姉さまだって……。 |
マーテル | ミトス……。 |
ミトス | ……変わらないのは世界がボクたちハーフエルフの存在を認めなかったことくらいだよ。 |
ミトス | 結局、ボクたちがしてきたことなんて何の意味もなかったんだ。 |
クラトス | それは違う。確かに世界は残酷だった。そして、お前を間違った道に進ませてしまったのは私たちの責任だろう。 |
クラトス | その結果、多くの者たちを苦しめたのも事実だ。だが、それでお前の今までの行い全てが否定されるわけではない。 |
クラトス | この魔界の書についてもそうだ。お前が封印をしたことで多くの命が救われ世界の危機を回避できた。 |
クラトス | そして、お前は私から話を聞いてすぐに動いた。少しずつだが、お前はクルシスの首領であった頃から変わろうとしているのではないか ? |
ミトス | ……ボクは変わらないよ。今回の件だって、ボクは自分の後始末をしようと思っただけさ。 |
クラトス | ……少し説教くさくなってしまったな。 |
マーテル | いいえ、そんなことないわ。あなたの気持ちは、きっとあの子にも届いているから。 |
マーテル | それに、私もクラトスの言う通りだと思うわ。この世界で、あの子にも大事な友達や仲間ができて守りたいと思っているんじゃないかしら。 |
ユアン | ……それならそうと素直に言えばよかろう。 |
マーテル | そうね……。昔のあの子なら話してくれたでしょうけどきっと今のあの子には、これが精一杯だと思うの。 |
マーテル | ごめんなさい、ユアン。ミトスのことであなたにも負担をかけてしまって……。 |
ユアン | ……君が謝る必要はない。それに、あいつの言動にはもう慣れている。 |
ユアン | なにより、君やクラトスが言ったように本当にあいつが変わりたいと思っているのなら私だって協力は惜しまないつもりだ。 |
ユアン | くっ……また魔物か ! ? |
ミトス | しつこいね。ほら、ユアン、出番だよ。 |
ユアン | また私にやらせるつもりか ! ? |
ミトス | 頼れって言ったのは自分でしょ ?任せたよ、ユアン義兄さん。 |
ユアン | お前というやつは…… ! |
マーテル | ユアン、私も力を貸すわ。一緒に頑張りましょう。 |
ユアン | 仕方ない……いくぞ、マーテル ! |
マーテル | ええ ! |
二人 | ここに誓う !脅かすものを、共に退けん…… ! |
二人 | 永遠の絆よ !エンゲージソーサリー ! ! |
マーテル | ユアン、このまま全てやっつけましょう。 |
ユアン | ああ ! 何度襲ってこようが私たちに敵わぬことを身をもって教えてやろう ! |
キャラクター | 7話【交響曲8 英雄の心】 |
しいな | 随分奥まで来たけど、まだ先があるみたいだね。 |
リーガル | 気を付けろ。敵の力も強くなっている。この先はさらなる強敵が待ち受けているかもしれん。 |
リフィル | そうね、今まで以上に警戒していきましょう。 |
プレセア | ……これほど強大な力を、かつてのミトスたちは封印したのですね。 |
ロイド | ああ。そう考えると、やっぱあいつってすごい奴なんだよな。 |
コレット | そだね。こんなに怖い力からミトスは世界を守ってくれたんだ……。 |
ジーニアス | ……だけど、ミトスは変わった。人間の心が、優しいミトスの心を歪ませたんだ……。 |
ロイド | ジーニアス……。 |
ジーニアス | ごめん。だからって、ミトスがしてきたこと全部を許すつもりじゃないよ。 |
ジーニアス | だけど、ボクも同じハーフエルフだから……。ミトスの気持ちが痛い程わかるんだ。 |
リーガル | ……人は時に他人の痛みを理解できぬまま非道を行うことがある。ミトスもまた、そのような人の行いに苦しめられてきたのだろう。 |
プレセア | ……そうですね。そんな不条理こそが、世界から差別や争いが消えない理由なのかもしれません……。 |
ゼロス | ……だからこそ、あいつは人の心をなくそうとした。千年王国なんて馬鹿げた話だったが\tあいつは本気で世界を変えようとしたんだ。\t |
ロイド | けど、やっぱりそれは間違ったやり方なんだ。俺たちは心があるから相手を理解しようとしたり歩み寄って支え合うことができる。 |
ロイド | 苦しくて悲しくて、一人じゃどうしようもないって思う時もあるけど、誰かがそばにいてくれるだけで救われるからさ。 |
セレス | ……はい。私も、その気持ちはよくわかります。私にとって、お兄さまがそうでしたから……。 |
ジーニアス | だけど……そんな相手をミトスは人間から奪われて変わっちゃったのなら……。 |
ロイド | 大丈夫さ。今のあいつにはマーテルさんたちがいるし友達のお前だっているだろ ? |
ロイド | アジトで仲良くしてた奴らもきっとミトスのことをわかってくれる。 |
ロイド | だから、俺たちの世界でやってきたようなあんな酷いことは、もうしないって俺は信じてる。 |
ジーニアス | ロイド……。 |
ロイド | それに、またジーニアスを裏切るようなことをしたら俺が許さないからな ! |
ジーニアス | ……うん、ありがとう、ロイド。 |
しいな | ……本当、あんたらしいよ、ロイド。 |
プレセア | はい、ロイドさんはとても真っ直ぐで素敵な人です。 |
コレット | うん、ロイドの言葉はいつもみんなに勇気や元気をくれるんだよ。 |
リフィル | そうね。きっとこの子のような人間が世界を変えてくれるのだと思うわ。 |
ゼロス | まーたロイドくんばっかモテやがって !俺さまのポジションを奪うんじゃねえっての ! |
ロイド | 何怒ってんだよ、ゼロス ? |
ゼロス | 怒ってなんかねえよ。さ、立ち話はこれくらいにして先へ進もうぜ。 |
セレス | お兄さま ! あちらに光が集まっています ! |
リフィル | あれが次のワープ装置のようね。行きましょう。 |
ゼロス | さーてと、次はどんなやつがお出ましだ ? |
リーガル | ! ? あれは…… ! ! |
? ? ? | ここから先には進ませぬ。我は封じられた本の中で力を蓄え、やがて人の世に、その心に悪が蔓延した時この檻から解き放たれるのだ。 |
ミトス | さすがに、こいつが相手だとユアン一人の手には余るね。 |
クラトス | いくぞ、ミトス !まだ完全に力を取り戻していない今が好機だ。 |
ジーニアス | ミトス ! |
ミトス | ジーニアス…… ! |
ユアン | お前たち、どうしてここに……。 |
ロイド | 説明は後だ !それより、ずっと俺たちの邪魔をしてきたやつはこいつなんだな ! ? |
クラトス | ……そうだ。この魔物は私たちが封印したなかでも強力な一体だった。 |
ミトス | 姿は違っているけれど、それもエンコードの影響かもしれないね。もしくは、まだ力が戻っていない証拠かも。 |
マーテル | それでも、感じる力は強大です ! |
ロイド | 俺たちも加勢するぞ !そのために来たんだからな ! |
ミトス | ふうん。勝手にしていいけど足手まといにならないでよ。 |
ロイド | ほんっと嫌味なやつだな !そっちこそ、油断してやられても知らねぇからな ! |
キャラクター | 8話【交響曲9 英雄の記憶】 |
? ? ? | ……ありえぬ !やはり、まだ我の力が完全ではないというのか……。 |
ミトス | 最後まで言い訳なんて見苦しいね。でも、そうだね……今度こそちゃんとトドメは差してあげるよ。 |
クラトス | 油断するな、ミトス。まだ戦いは終わっていないぞ。 |
ミトス | ボクが手を抜くと思う ?やるなら徹底的にやるつもりだよ。 |
クラトス | フッ、そうだな。では、いくぞ ! |
二人 | 詠華空破衝 ! ! |
? ? ? | ……我が消えても……ニブルヘイムは……必ず……復活……す……。 |
ロイド | ……勝ったのか ? |
リーガル | そのようだな。 |
ジーニアス | ……ミトス、大丈夫だった ?ごめん……ボク、ミトスのことが心配で……。 |
ミトス | ……ありがとう、ジーニアス。ボクたちを助けに来てくれたんだね。 |
マーテル | あなたたちにも迷惑をかけてしまったみたいね。ごめんなさい……話くらいはしておくべきだったわ。 |
ゼロス | マーテル様が謝ることじゃないでしょ ?野郎共はともかく、マーテル様に何かあったら俺さま泣いちゃうし。 |
プレセア | はい、私たちがそうしたいから来たんです。 |
しいな | けど、これで本当に終わりなのかい ?また魔物が出てきたりなんかは……。 |
ユアン | いや、封印されていた魔物は奴で最後のはずだ。だが、この本が存在する限り奴らは何度でも復活してしまう。 |
セレス | そんな…… ! ? では、一体どうしたら…… ! |
クラトス | 本来の方法での処分は難しいが、ビクエたちならば何か打開策を出してくれるだろう。 |
クラトス | その前に、まずは溜まっていた悪しき力を我々の手で削っておきたかったのだ。この世界に何かしらの影響が出る前にな。 |
ミトス | もういいでしょ ? ボクたちの役目はこれで終わり。あとはオリジンに頼んで本の外へ帰れば―― |
コレット | なに ? また光が…… ! |
ゼロス | おいおい ! さっきので最後じゃなかったのかよ ! ? |
ユアン | そんなはずは…… !いや……これは…… ! ! |
ユアン ? | ……我々だけではない……ようだな ? |
ロイド | ユアンが二人になった ! ? |
プレセア | ……いえ、ユアンさんだけではありません。ミトスさんやクラトスさんも一緒です。 |
ロイド | なんなんだ、一体……。 |
マーテル | もしかして、あなたたちは……。 |
ミトス | …………。 |
ミトス ? | ごめん、驚かせちゃったみたいだね。でも、そっちのボクはわかってるでしょ ?この人たちにも説明してあげたら ? |
ミトス | ……そんな必要はないよ。ボクの用事は終わったんだ。あとは勝手にやればいいさ。 |
クラトス | ……いいのか、ミトス ? |
ミトス | うん……でも、姉さまには問い詰められるだろうね。 |
クラトス | ……そうだな。 |
ユアン | ……マーテル、私たちも戻ろう。事情は、私からも説明する。 |
マーテル | ……わかったわ。ちゃんと話してくれるのなら今はあなたたちの判断に従います。 |
クラトス | ロイド。ここはお前たちに任せてもいいか ? |
ロイド | あ、ああ……別にいいけど……。 |
クラトス | ……すまないな。何かあればオリジンが私に伝えてくれるはずだ。では、頼んだぞ。 |
ゼロス | あいつら ! 本当に行っちまいやがった……。 |
ユアン ? | ミトスめ……太々しい態度は何も変わっていないな。 |
クラトス ? | 何か事情があるのだろう。それに、我々が聞きたいことは彼らが教えてくれるはずだ。 |
リフィル | 少しいいかしら ?先に質問をする形になるけれどあなたたちはどういった存在なの ? |
ミトス ? | ボクたちは昔の記憶の存在なんだ。この禁書を焼き尽くす人が現れた時にその実力を試す必要があるからね。 |
クラトス ? | だが、どうやら私たちが知っている状況とは随分と変化しているようだ。その経緯を知るためにお前たちの話を聞かせてほしい。 |
ミトス ? | できれば、君たちがボクと一緒にいた理由も教えてくれると嬉しいんだけど。 |
ロイド | ……わかった。ちょっと長い話になるかもしれないけどいいか ? |
ミトス ? | うん、もちろん構わないよ。それに、少し興味があるんだ。 |
ミトス ? | 君みたいな人間が、どうしてハーフエルフであるボクと一緒にいたのか、ね。 |
キャラクター | 9話【交響曲10 英雄との別れ】 |
マーテル | ……ミトス、先ほど見たあなたたちは昔の記憶のあなたたちで間違いないかしら ? |
ユアン | マーテル、君は気付いていたのか ? |
マーテル | ええ、なんとなくだけれど雰囲気が昔のあなたたちと似ていたから。 |
クラトス | ……そうだ。あれは私たちが魔界の書に残した記憶であり、一種のセーフティネットだと思ってくれて構わない。 |
マーテル | そうだったのね。だけど、どうして逃げるようにあの場から立ち去ったの ? |
クラトス | それは……。 |
ミトス | たとえ記憶だとしても、自分の昔の姿なんて姉さまに見せたくなかったからだよ。 |
ミトス | あの頃のボクは、本気でハーフエルフが差別されることのない世界を創ろうとしていた……。そんなことなんて、どうやってもできないのに……。 |
クラトス | …………。 |
ミトス | ボクはもう、あの頃のボクじゃない。だけど、姉さまはあの頃のボクに戻ってほしいって思ってるんじゃないの ? |
マーテル | ミトス……。 |
ミトス | ……ずっと怖かったんだよ。今のボクを姉さまに否定されるんじゃないかって……。 |
マーテル | …………そうね。あなたが元の世界でしてきたことは決して許されることじゃなかった。 |
マーテル | もし、私が声を届けられたのならきっとあなたの行いを否定したでしょう。 |
ミトス | …………ッ ! |
マーテル | それほどのことを、あなたはしてしまったのです。だけど―― |
ミトス | ね、姉さま…… ! ? |
マーテル | たとえあなたの行いを否定することがあっても愛していないわけじゃないわ。 |
マーテル | あなたは私にとってたった一人の弟。愛しているからこそ、間違った道に進ませるわけにはいかないの。 |
マーテル | それに、あなたがまだ優しい心を持っていることを私は知っているわ。その気持ちを少しずつでもいいから広げていってほしいの。 |
ミトス | ……そんなの無理だよ。ボクはもう……。 |
マーテル | 大丈夫、今のあなたには私たちが一緒だから。 |
クラトス | ……ああ、たとえ過ちを犯したとしてもやり直すことができる。私もお前もそれをロイドから教えてもらったはずだ。 |
ユアン | ミトス、私はこれからもお前を支えていくつもりだ。たとえ、どれだけ鬱陶しがられてもな。 |
ミトス | …………なんだよ、ユアンのくせに恰好つけて。 |
マーテル | みんな、あなたのことが大切なのよ。それをわかってくれると嬉しいわ。 |
ミトス | …………うん。 |
マーテル | それじゃあ、この話はもうお終いね。今はロイドたちが無事に帰ってくるのを待ちましょう。 |
ミトス | ……ごめんなさい。ボクは少し風に当たってくる。なにかあったら魔鏡通信で連絡して。 |
ユアン | ミトス……。 |
クラトス | 私が追いかけよう。お前たちは、引き続きここを頼む。 |
マーテル | ええ、わかったわ。あの子のこと、よろしくね。 |
ユアン | ……マーテル。こんな時にしか言えないが数千年間、何度も考えることがあったんだ。君が生きていてさえくれれば……と。 |
ユアン | それでも、私は現実から目を背けまいと決めた。目的のためとはいえ……多くの神子を苦しめ、時には手にかけた。 |
ユアン | そこまでして、ミトスの計画を止めようとしたのに結局、最後はロイドたちに任せることになってしまったがな。 |
ユアン | ……私は、最後までミトスを救うことはできなかった。ミトスが堕ちた勇者となってしまった責任は私にもある……本当にすまなかった。 |
マーテル | ……顔を上げて、ユアン。あなただけの責任ではないわ。 |
マーテル | それに、あなたがしてきたことも今は私の中にいる神子たちが教えてくれたの。悪いことも……良いことも。 |
ユアン | 世界樹に残っていた歴代の神子たちの残滓か。そうか、あの者たちが君に私のことを……。 |
マーテル | ええ、あなたはずっとミトスが過った道を進むのを止めようとしてくれた。 |
マーテル | ありがとう、ユアン。私の大事な弟を、ずっと守ってくれて。 |
ユアン | ……ふっ。やはり、君には敵わないな。 |
英雄ミトス | ――そっか。外の世界はボクたちの知っている世界とは違うんだね。 |
英雄ユアン | つまり異世界ということか。にわかには信じられんな。 |
英雄クラトス | どちらにしても、この禁書が与える影響を考えれば一刻も早く処分するのが賢明だ。 |
英雄ミトス | ボクたちの役目もここまでだね。ありがとう、君たちの話はとても面白かったよ。 |
英雄ミトス | 今のボクには新しい友達もできてるみたいだしね。 |
ゼロス | なあ、話はもうこれくらいでいいだろ。俺さまたちも、そろそろ帰りてえんだけど ? |
英雄ミトス | そうだね。でも、ひとつ我が儘を言っていいかな ?君たち、ボクと戦ってみないかい ? |
ゼロス | はぁ ! ? なんでそうなるんだよ ! ? |
英雄ミトス | さっきも言ったでしょ ?本来、ボクたちはこの禁書を本当に処分できる者か試すために存在していたんだ。 |
英雄ミトス | 話を聞いた限り、禁書はきっと今のボクや君たちがなんとかしてくれるだろうけれど、君たちの実力がどれほどのものか知りたくなったんだ。 |
リフィル | つまり、あなたたちは本来の役目を果たそうということね。 |
ロイド | わかった。それでお前たちが納得するってんなら相手になるぜ。 |
英雄ミトス | ありがとう。それじゃあ、始めようか。言っておくけど、ボクたち、結構強いよ ? |
ロイド | そんなの嫌になるくらい知ってるっての。んじゃ、いくぜ ! ! |
キャラクター | 10話【交響曲10 英雄との別れ】 |
英雄ミトス | うん、やっぱり君たちならこの本のことを任せてよさそうだ。 |
英雄ミトス | 最後に、教えてもらっていいかな ?ボクは……ボクたちはちゃんと大樹カーラーンを再生できた ? |
英雄ミトス | ハーフエルフは、少しは受け入れてもらえるようになった ? |
リフィル | そうね……今の私たちには、もう元の世界がどうなったのか知ることはできないわ。 |
リフィル | だけど、私たちの仲間には未来から来た人もいて彼らの話では世界樹は復活したと聞いているわ。 |
英雄ミトス | そっか……よかった。 |
英雄ユアン | 待て、肝心なことに答えていないぞ。未来ではハーフエルフは迫害を受けなくなったのか ? |
ジーニアス | ……それは……今の時点では……。 |
英雄ユアン | フン……まだ迫害されているようだな。人間共め ! |
英雄クラトス | 落ち着けユアン。今の時点では、という話だ。彼らはハーフエルフと共にいる。少しは変わったのかも知れぬ。 |
英雄ユアン | ……そうなのか ? |
ロイド | ああ、俺はみんなと一緒にいたいと思ったから一緒にいる。そして、ジーニアスは俺の親友でリフィル先生は俺の先生だ。 |
ロイド | ハーフエルフとか人間とか、そんなの関係ねえよ。俺はジーニアスだから友達になってリフィル先生だから尊敬してる。 |
ジーニアス | ロイド……。 |
英雄ミトス | 君は優しい人間なんだね。ジーニアス、君も同じなの ? |
ジーニアス | ……うん。ロイドは馬鹿で勉強もできないし姉さんに怒られてばっかりだけど……。 |
ジーニアス | ボクを『ボク』として見てくれた人は姉さん以外で初めてだったから……。だから、ボクはロイドと友達になれたんだ。 |
英雄クラトス | ユアン、彼のような人間もいるのだ。彼らの存在が、人とハーフエルフを繋ぐ架け橋となってくれるだろう。 |
英雄ミトス | ロイド……だったよね ?君はどこかボクと似ている気がする。 |
ロイド | それ、本当によく言われるんだよな……。マーテルさんにも言われたことがあるし。 |
英雄ミトス | 姉さまが ? ふふっ、だったらボクの見立ては間違いないかもね。 |
ロイド | な、なんか調子狂うな……。いつものお前なら、俺に似てるなんて言われたらすげー怒るのに。 |
しいな | な、なんだい ! ?あたしたちの身体が透けてきたよ…… ! ? |
英雄ミトス | もう時間みたい。君たちとはここでお別れだね。 |
英雄ミトス | ……ねえ、ジーニアス。最後にお願いがあるんだけど今のボクとずっと友達でいてあげて。 |
ジーニアス | うん、わかった。約束するよ。 |
英雄ミトス | ありがとう。それじゃあ……あとはよろしくね。 |
ミリーナ | 遅くなってごめんなさい。みんな、大変だったみたいね。 |
ゼロス | 平気平気 !ミリーナちゃんが来てくれただけで俺さま超テンション上がるから ! |
イクス | えっと……一応俺もいるんだけど……。 |
カーリャ | ゼロスさまですから仕方ありませんよ。それより、いわくつきのこわ~い本はどこにあるんですか ? |
リフィル | これよ。今は力が抑えられているようだけれど放っておいたら復活する可能性があるわ。それで、あなたたちに処分をお願いしたいの。 |
イクス | わかりました、任せてください。フィルさんとも相談して、処分できるまではセールンドで厳重に管理してもらいます。 |
クラトス | ああ、フィリップたちには私からも話してある。彼らならば、適切に処分してくれるはずだ。 |
ロイド | さてと、これでひとまず一件落着かな。 |
ゼロス | そんじゃあ、俺さまはこれから可愛いハニーたちと遊んじゃおっかな~ ! |
セレス | いけません、お兄さま !私たちには、大事なお仕事が残っているじゃないですか ! |
リーガル | 神子よ、すまないがこれからレザレノ・カンパニーのプロモーションショーの予定がある。 |
ゼロス | ……あー、すっかり忘れてたぜ。帰って早々に仕事かよ……。 |
ミリーナ | 頑張って、ゼロスくん。私もカメラを持ってきたからばっちり撮らせてもらうわ。\tもちろん、セレスの可愛い姿もね。\t |
プレセア | はい、私もゼロスくんを応援します。 |
ゼロス | おおっ ! 貴重なゼロスくん呼びをしてくれるハニーたちの声援 ! !俺さま、ちょっと本気出しちゃうかも。 |
しいな | はぁー、アホ神子はどこまでいってもアホ神子だね。 |
コレット | でも、ゼロスもセレスも楽しそうだからいいと思うな。私たちも応援しよう、ね ? |
ユアン | ……もういいか ?話が済んだのなら、私たちは帰らせてもらうぞ。 |
ミトス | 今回ばかりはボクもユアンに同意するよ。もうここに用はないし。 |
ジーニアス | あっ ! 待って、ミトス ! |
ミトス | どうしたの、ジーニアス ? |
ジーニアス | いや、えっと……。ねえ、ミリーナ。さっき、カメラを持ってきてるって言ってたよね ?それで、ボクたちの写真を撮ってくれないかな ? |
ミリーナ | もちろんいいわよ。せっかくならみんなで撮りましょう。 |
マーテル | あら、私たちも一緒でいいのかしら ? |
ジーニアス | うん、ここにいるみんなで撮りたいんだ。ミトスもいいでしょ ? |
ミトス | ……ジーニアスの頼みなら断れないね。今回だけだよ。 |
ジーニアス | へへっ、ありがとう、ミトス。 |
ミリーナ | それじゃあ、カメラをセットするからみんな集まってね。 |
ロイド | なあ、どうしたんだ急に ? |
ジーニアス | うん、なんだか今の光景がミトスが目指していた世界なんだろうなって思ってさ。 |
ジーニアス | ここにはボクたちハーフエルフを差別する人はいない。だから、その光景を残しておきたかったんだ。ただの思い付きだけど。 |
ロイド | ……そういうことか。けど、差別をしない人間はなにも俺たちだけじゃないだろ ? |
ロイド | この世界にはハーフエルフのほかにも色々な奴らが暮らしていて、良い奴もいたけど悪い奴だっていた。 |
ロイド | だけど、最後は手を取り合ってこの世界を救った。誰か一人じゃなくて、みんながいたからできたんだ。 |
ロイド | もう、誰かが誰かを差別する世界なんて生み出しちゃいけない。それを実現できるかはこれからの俺たち次第さ。 |
ジーニアス | ……うん。ボクも昔は人間が嫌いだったしエルフだって嫌いだった。 |
ジーニアス | きっと、ボクの心にも差別を生み出す『何か』があったんだ。けど、ロイドやみんなのおかげでその『何か』はどんどん小さくなっていった……。 |
ジーニアス | ボクが変われたのは、ロイドのおかげだよ。だから、ロイド。ロイドはずっと……ボクの友達だからね。 |
ロイド | ああ、もちろんだ !これからも頼むぜ、親友 ! |
カーリャ | みなさーん、写真の準備ができましたよー !ちゃんと笑ってくださいね~、せーの―― ! |
カーリャ | ――はい、チーズ ! |