キャラクター | 1話【物語1 引き受けた依頼】 |
チェスター | うお ! すごい風だな…… !立ち止まってたら凍り付いちまいそうだ。 |
ミント | 今の時期は風が強いと聞きましたけど山の上のほうまで来ると気温も下がってさらに厳しく感じますね。 |
クレス | この山に魔物が現れるようになったのか……。こんな場所だったら簡単に退治に行けないし街の人たちが困っているというのもわかるよ。 |
チェスター | それでお前が引き受けたってわけかよアーチェ。 |
アーチェ | まあね~。だって、ほっとけないじゃん。すっごい困ってるみたいだったからさ。 |
アーチェ | 今まで魔物が街まで来るなんてことなかったから余計に怖いみたい。 |
クレス | なるほど。突然現れたのか行動範囲が変わったのか……。 |
ミント | いずれにしても、まずはその魔物を見つけなければなりませんね。 |
クレス | ああ。アーチェ、どんな魔物なんだい ? |
アーチェ | へ ? |
クレス | 探すにも特徴を知らないとね。こういう山の中だったら、大型の獣なのかな。 |
ミント | 小型で、毛皮が厚い魔物の可能性もありますね。集団で襲ってくるような種類でなければいいのですが。 |
チェスター | で、どうなんだよ ? |
アーチェ | あー、え~っと……。 |
チェスター | ……まさか、どんな魔物かも聞かずに引き受けたんじゃねえだろうな ? |
アーチェ | ギクッ ! !そっ……………………そんなことないし。 |
チェスター | 誤魔化せてねえっての。は~、ったく、これだからお前は……。 |
アーチェ | う、うるさいなあ !とにかく助けなきゃって思ったんだから仕方ないでしょ ! |
チェスター | だからって、どんなもんかもわからなかったら助けることもできねえだろうが ! |
アーチェ | うっ ! そ、そうだけど ! そうだけど…… ! |
ミント | 落ち着いてください、二人とも。ひとまず、魔物の気配があるかどうか調べましょう。そうしたらきっと何かわかるはずですよ。 |
クレス | ああ、そうだね。困っている街の人を助けたいというアーチェの気持ちもよくわかるし……。 |
クレス | まずはこの付近を調査していこう。 |
アーチェ | そうそう、その通り ! !というわけで、ゴチャゴチャ言わずにサクサクッと行くよ ! ほらほら~ ! |
チェスター | あっ、おい ! |
チェスター | 行っちまった……。ったく、妙な張り切り方しやがって。 |
ミント | ふふ。ですが、なんだか懐かしい感じがしますね。アーチェさんとお会いするのは久しぶりですし。 |
クレス | ああ、そうだね。僕たちは、しばらく村の復興でアーチェにはあまり会えてなかったから。 |
チェスター | あー、そういやそうか。だから最近あのうるさい声を聞かなかったんだな。 |
クレス | はは、またそんな言い方をして。 |
チェスター | 本当のことなんだから仕方ないだろ ?実際、さっきの大騒ぎを見りゃわかるじゃねえか。 |
チェスター | ま、懐かしいのも確かだけどよ。 |
チェスター | つっても、アーチェが突然オレん家にいたときはびっくりしたぜ……。 |
キャラクター | 2話【物語2 突然の訪問】 |
| ――数日前。 |
チェスター | ただいま、アミィ。今日はウリボアを狩ってきたぞ。 |
アミィ | わぁ、すごい。ありがとう、お兄ちゃん ! |
アーチェ | へえ~、やるじゃん !この鶏肉もあんたが狩ってきたんだって ?意外とちゃんとしてんのね~。 |
チェスター | アーチェ ! ?なんでお前がオレん家で飯食ってんだよ ! |
アミィ | 私が誘ったの。たまたま近くまで来ていてこの村に立ち寄ったんだって。 |
アミィ | あ、お兄ちゃんのお昼ご飯もちゃんとあるから安心してね。 |
チェスター | いや、それは心配してねぇし、別にいいんだけどよ。 |
チェスター | 来るなら先に言っとけよ。たまたまっつっても、着く前に連絡くらいできただろ。 |
アーチェ | 別にあんたに会いに来たわけじゃないし~。クレスやミントやアミィちゃんの様子が見たかっただけなんだから。 |
アーチェ | 大体、誰が好き好んであんたの顔なんて見に来るのよ。 |
チェスター | ああそうかよ !んじゃ、もうアミィに会ったし、飯も食ったし用は済んだだろ、帰れ帰れ ! |
アーチェ | あーっ ! ちょっと、お皿引っ込めないでよ !まだ食べてるんだから ! |
チェスター | うるせえな、勝手に人ん家来ておいて ! |
アミィ | もう、いじわるはダメだよ、お兄ちゃん。ごはんはゆっくり食べてもらわないと。 |
チェスター | ……ったく、仕方ねぇな。 |
アミィ | あ、そうだ。せっかく来てくれたんだし、もしよかったら今日は泊まっていきませんか ? |
アーチェ | んー、それはありがたいんだけど……。実は、もう少ししたら出発しなくちゃいけなくって。 |
チェスター | なんだよ。そんなに忙しいのか ? |
アーチェ | そっちこそなによ、さっきまで「帰れ ! 」とか言ってたくせに。 |
チェスター | う、うるせえな !図々しく泊まっていきそうなやつが帰るとか言うから妙だと思っただけだよ。 |
アーチェ | そんな言い方しなくてもいいでしょ !この後、雪山に出る魔物を退治しにいくの。だから時間がないってだけ ! |
チェスター | 魔物退治 ? |
アーチェ | うん。こっからちょっと先の街なんだけどそこの近くに山があるの、知ってる ? |
チェスター | あー、あの山か。知ってはいるけど、行ったことはないな。 |
チェスター | 山頂がずっと雪に覆われてて、寒すぎるんだよな。だから動物も魔物もあまり住んでなくて狩りには向いてないんだってよ。 |
アーチェ | そっか。じゃあやっぱり急に魔物が出るようになっちゃったのかなぁ……。 |
チェスター | そこに行くのか ? お前一人で ? |
アーチェ | そうよ。街の人たちが困ってたから、早く行って調査しなくっちゃ ! |
チェスター | はぁ ? 大丈夫なのかよ、それ。 |
アーチェ | どういう意味よ ! ? |
チェスター | 雪山に一人で行っても迷子になって終わりだろ。魔物の退治だって簡単にできるとは思えねぇし。 |
アーチェ | 何よー、ナメないでくれない ?あたしだって色々鍛えてるんだから !あんたに心配なんかされなくたって平気よ ! |
チェスター | 別に心配してるわけじゃねえよ !お前が失敗したら依頼した街の奴らだって―― |
アーチェ | ちょっと ! |
アミィ | もう、またケンカしてる。落ち着いて、二人とも。 |
アミィ | でも、アーチェさんが心配なのは私も同じだし……お兄ちゃん、アーチェさんと一緒に行ったらどう ? |
チェスター | は ? いや、そしたらアミィが一人になっちまうだろ。それはダメだ ! |
アーチェ | そうだよ、どのくらいかかるかわからないしアミィちゃんを一人にするなんて……。 |
アミィ | 私は平気だよ。ここは魔物も現れないし、村の人たちも親切にしてくれるから。 |
アミィ | それより、魔物が出る場所にアーチェさんを一人で行かせるほうが心配でしょ ? |
チェスター | それは、まあ……。 |
アミィ | クレスさんとミントさんにも声をかけてみたら ?きっと手伝ってくれるよ ! |
チェスター | うーん…………そうだな。この村の人は、間違いなく信頼できるし。 |
チェスター | クレスたちにも話して、魔物の調査に行く。それでいいだろ、アーチェ。 |
アーチェ | あ……うん。それだと助かるんだけど……。 |
チェスター | なんだよ ? |
アーチェ | 二人とも、忙しいんじゃない ?ほら、村の復興を手伝ってるって聞いたし……。 |
チェスター | ああ、知ってたのか。それは大丈夫だと思うぜ。最近はだいぶ落ち着いてきたからな。 |
アーチェ | そ、そっか !それなら、いい……かな。 |
チェスター | …… ? なあ、アーチェ。お前―― |
アーチェ | よーっし ! そうと決まれば、善は急げよ !さっそく会いに行こー ! |
チェスター | あっ、おい、勝手に行くなっての !……ったく、落ち着きのないやつだな。 |
アミィ | ふふっ。久しぶりに会ったけど、変わらないね。なんだか嬉しくなっちゃった。 |
チェスター | まあ、変わらねえって言ったらその通りなんだけどな……。悪い、アミィ。ちょっと行ってくる。 |
アミィ | じゃあ、ご飯はお弁当にしておくから村を出る前にまた寄ってね。 |
チェスター | おう。ありがとな。 |
チェスター | ……アーチェのやつ、何かあったのか…… ? |
キャラクター | 3話【物語3 忍ぶ影】 |
クレス | ――なるほど、それでアーチェと一緒に僕たちのところに来たんだね。 |
チェスター | ああ。巻き込んじまって悪かったな。 |
ミント | いいえ、むしろ頼ってくださって嬉しかったです。 |
クレス | そうだよ。こういうときこそ、声をかけてくれなきゃ。 |
チェスター | お前らならそう言ってくれると思ってたぜ。 |
ミント | ですが、意外でした。アーチェさんは、最初からチェスターさんを頼って村に来たのかと。 |
アーチェ | そんなわけないじゃん~。誰がこんなやつ頼るもんですか ! |
チェスター | おわ ! お前、いつの間に戻ってきたんだよ。 |
アーチェ | この先は何もなかったから別の道に行こうって伝えに来たの。 |
アーチェ | そしたら、誰かさんが人の悪口言ってたみたいで~。 |
チェスター | 悪口なんか言ってねえよ !突然人ん家に押しかけてきたやつがいたって事実を話してただけだ。 |
アーチェ | たまたま通りがかったからって言ったでしょ ! |
アーチェ | っていうか、クレスが来てくれるのがわかってたなら最初からそっちに行ったし、あんたがここにいるのはただのなりゆきなんだからね ? |
チェスター | はぁ ? お前はいっつも―― |
クレス | まあまあ、二人とも。まずは魔物を退治しないと。 |
アーチェ | そうだそうだー !サクッと魔物やっつけて、街でゆっくりしようよ。 |
アーチェ | 麓の街は静かで落ち着いてるんだけど温泉なんかもあって最近観光客に人気なんだって ! |
アーチェ | 隠れ家的な宿も多くて、それ目当てに遠方から来るお客さんも増えてるみたい。 |
ミント | そんなところに魔物が現れたなんてそれは不安になりますね……。 |
チェスター | つーか、噂になるだけでも客足が遠のきそうだよな。 |
アーチェ | そう、それよ !なんだ、あんたも意外とわかってるじゃない。 |
チェスター | 普通に褒められないのかよ、お前は……。 |
クレス | はは……。でも、そういう事情なら、できるだけ早く魔物を退治したいというのは納得できるね。 |
ミント | ええ、そうですね。まずは居場所の手がかりを―― |
全員 | ! ! |
チェスター | ……今、なんか気配があったよな ? |
クレス | うん。それほど大きなものって感じじゃないけど……。 |
クレス | ! 来る…… ! |
すず | ! 皆さんだったんですね…… ! |
アーチェ | えっ、すずちゃん ! ? |
チェスター | 驚かせるなよ……。なんでまた、こんなとこにいるんだ ? |
すず | ここの魔物退治の依頼を受けたんです。以前お世話になった忍者の里の人から手伝ってほしいと連絡をいただいたので……。 |
アーチェ | えっ、ホント ! ?じゃああたしと一緒じゃん ! |
すず | 皆さんも、魔物退治を ? |
アーチェ | そうそう ! 麓の街の人に頼まれて。まだ魔物は見つけてないんだけどさ……。 |
すず | そうだったのですね。でしたら、このまま私と同行していただけませんか ? |
すず | 忍者の里の方々と協力して、魔物が出現する場所はだいたい掴めたのですが数が多いようで……。 |
チェスター | お、本当か ! ?さすがだな、すず。魔物の特徴すら聞いてこなかったどっかの間抜けとは大違いだぜ。 |
アーチェ | ひと言多い ! もー……。 |
アーチェ | すずちゃん、あたしからも、ぜひ協力させて !困ってる街の人を早く助けたいんだ。みんなもそれでいいよね ? |
ミント | ええ、もちろんです。 |
クレス | 目的は一緒なんだ、力を合わせよう。 |
すず | ありがとうございます。アーチェさんには、またご協力いただくことになりますね。 |
ミント | また…… ? |
アーチェ | あー、そういえばそっか !ちょっと前なんだけど、忍者の里で手伝いをしたことがあったからさ。 |
ミント | まあ、そうだったんですね。素敵です、アーチェさん。 |
アーチェ | いやー、それほどでも~ ! |
クレス | 僕たちがいない間も、アーチェは困っている人を助けていたんだね。 |
チェスター | ああ……そうだな。 |
クレス | ? チェスター ? |
チェスター | …………なあ、アーチェ―― |
アーチェ | よーし ! そうと決まれば !さっさと魔物退治に向かうわよ~ ! |
チェスター | あ ! おい…… !ったく、何を焦ってんだよ、あいつは……。 |
キャラクター | 4話【物語5 追跡】 |
アーチェ | 結構奥まで行くんだね。 |
すず | もう少しで到着します。ただ、この辺りの道が一番険しくて……。 |
ミント | 標高が高いからか、雪も深くなってきましたね。 |
クレス | うん。足を取られやすいから、気をつけて。 |
ミント | ありがとうございます、クレスさん。 |
アーチェ | …………。 |
チェスター | なにじーっと見てんだよ。 |
アーチェ | やっぱりクレスは優しいな~って思ってたの。 |
チェスター | ……なんか棘を感じるな……。 |
アーチェ | そんなんじゃないわよ。意識しすぎ ! |
アーチェ | てかさ、最近のクレスとミントってどんな感じ ? |
チェスター | どんな感じ、って……別に普通だぜ ? |
アーチェ | 普通って、どう普通なわけ ?なんかこう、一緒に出かけたりとか、そういうのは ? |
チェスター | いや、特にねえけどな。今まで通りだ。 |
アーチェ | えー ! でも、同じ村に住んでるんだよ ! ?まったく何にもないってことはなくない ?ホントに何もないわけ ! ? |
チェスター | だから、ないって言ってるだろ。みんなと旅してたときとか、浮遊島にいたときとか。その頃と変わらないっての。 |
アーチェ | ふーん、そっか。 |
チェスター | なんなんだよ、お前は……。 |
アーチェ | 別に~。あ、ミント ! あのさ―― |
チェスター | お、おい ! ったくなんなんだ、マジで……。 |
チェスター | ……ま、あいつがコロコロ話題を変えるなんていつものことか。 |
すず | ! 皆さん、見てください。この足跡……。 |
クレス | これは、魔物のものか…… ! |
すず | はい。これを見るかぎり複数体が近辺を歩いていたと思われます。 |
クレス | 見える範囲にはいないみたいだけど……この足跡の感じからすると、そんなに遠くにいるってわけでもなさそうだな。 |
ミント | では、ここからは慎重に進んだほうがよさそうですね。 |
アーチェ | あ、そういうことならあたしに任せて ! |
チェスター | どうするんだよ ? |
アーチェ | 空から確認するの ! ちょっと待っててね ! |
すず | なるほど、アーチェさんなら空から見渡すことができますね。 |
チェスター | おい、どうだ、アーチェ ! |
アーチェ | ! ! 魔物の群れがいる !北の方 ! |
アーチェ | でも、あっちもあたしたちに気づいてるみたい。向かってきてるし……これ、マズいかも。 |
チェスター | どういうことだ ! ? |
アーチェ | 魔物があたしたちを囲もうとしてる。ぐるっと半円状に広がってる感じなの。 |
ミント | ! !知能が高い魔物のようですね。 |
すず | はい。統率もとれているようです。 |
チェスター | けど、向こうから来るなら好都合だ。目についたやつから倒しちまおうぜ ! |
クレス | そうだね ! みんな、背後をとられないように気をつけて。行こう ! |
キャラクター | 5話【物語6 魔物たちとの戦い】 |
チェスター | おっしゃ、また倒したぜ !これでだいぶ減らせたんじゃねえか ! ? |
クレス | ああ ! この調子で押していこう ! |
アーチェ | あっ、でも待って ! |
アーチェ | あいつら、逃げる気だよ ! |
ミント | このままでは全滅してしまうと悟ったのかもしれませんね……。 |
チェスター | チッ。囲んで仕掛けてきたときといいやけに頭が回る魔物だな ! |
アーチェ | でも、ここで逃がすわけにいかないよね。あたし、あいつらを追いかける ! |
チェスター | あっ ! おい、一人で行くのは―― |
アーチェ | ! ? あ、あれ ! ? |
アーチェ | う、うまく飛べ……きゃあ ! |
チェスター | アーチェ ! |
チェスター | おい、大丈夫かよ ! ? |
アーチェ | べ、別になんともないし !なんでかわかんないけどちゃんと飛べなかったってだけで……。 |
チェスター | それは全然大丈夫じゃねぇだろ ! ? |
ミント | アーチェさん、無事ですか ! ? |
アーチェ | あー、平気へーき !ちょっと落っこちちゃっただけだし。 |
チェスター | だから、平気じゃねえって !ミント、回復頼めるか ? |
ミント | はい !ファーストエイド ! |
チェスター | どうだ、治ったか ? |
アーチェ | う、うん……。 |
ミント | 特に怪我はなさっていないようなんですが……。 |
クレス | 調子が良くないみたいだね。一度下山したほうがいいかもしれない。 |
アーチェ | え ! ? だ、大丈夫だよ !あとひと息で倒せるんだから、この勢いでたたみかけないと―― |
クレス | いや、無理をして最悪の状況になったら大変だ。手遅れにならないうちに撤退するのも作戦のひとつだよ。 |
すず | 魔物に関しては、忍者の方々に追跡をお願いしておきます。今、この近くにいるはずですから。 |
クレス | ああ、そうしてもらえると助かるよ。 |
アーチェ | …………。 |
チェスター | ……ってわけだ。しっかり掴まってろよ。 |
アーチェ | へ ? ……わっ ! |
アーチェ | ちょ、ちょっと何してんのよ !下ろしてって ! |
チェスター | うるせぇ、黙って運ばれてろっての ! |
チェスター | ……こういうときくらい、大人しくしてろ。 |
アーチェ | あ……。……うん。 |
チェスター | よし、戻るぞみんな。 |
クレス | うん。魔物も今は退いているけど、また襲ってくるかもしれない。慎重にいこう。 |
アーチェ | …………。 |
クレス | ふぅ、日暮れ前に戻れてよかった。あとは宿がとれればいいんだけど―― |
クラース | ん ? クレスか ?それにみんなも……。 |
ミント | クラースさん !どうなさったんですか ? |
クラース | あー……その。精霊の調査で立ち寄ったんだが……。 |
アーチェ | …………。 |
クラース | とにかく、休める場所が必要だな。私が泊まっている宿に空きがあるかもしれない。すぐそこだから、案内しよう。 |
チェスター | ああ、そうしてもらえると助かるぜ ! |
キャラクター | 6話【物語7 不調の少女】 |
ミント | はい、これで診察は終わりです。 |
チェスター | ミント ! アーチェはどうなんだ ? |
ミント | 外傷はありません。何かの病気ということもないようですし心配はないかと。 |
クレス | そうか、よかった……。 |
チェスター | けど、それならなんだってあいつ倒れるようなことになったんだ ? |
ミント | おそらく、疲れが溜まっていたのではないかと……。その状態で、過酷な雪山に登ったので限界に達したのでしょう。 |
チェスター | ってことは、過労かよ !人騒がせな……。 |
アーチェ | ん~……もう食べられないよぅ~……。 |
チェスター | 呑気な寝言言いやがって……。心配かけるなっての。 |
クレス | だけど、どうしてそこまで疲れていたんだろう ? |
チェスター | 確かにな。あいつ、体力は結構あるだろ。何かあったのか…… ? |
クラース | それとどこまで関係しているかわからないが……最近、キール研究室の精霊調査にアーチェがよく顔を出しているんだ。 |
チェスター | アーチェが ?手伝いをしに行ってるってことか ? |
クラース | ああ、そうだ。こちらとしてもかなり助かってはいたのだが。 |
ミント | そういえば、すずちゃんの手伝いもしていたと言っていましたよね…… ? |
クレス | うん。僕たちの知らないうちに、アーチェは世界中を飛び回っていたんだな……。 |
ミント | 皆さんのお手伝いをするためにあちこちに行くなんて元気なアーチェさんらしいですね。 |
ミント | それで無理をしすぎてしまったのかもしれませんが……。 |
クラース | そうだな。いつも笑顔で引き受けてくれるからと、甘えすぎた。 |
クレス | でも、今は僕たちもいる。魔物討伐の件はみんなで片付けてアーチェには休んでもらおう。 |
チェスター | まあ、それが一番だとは思うんだけどな……。 |
ミント | ? 何か気になることがあるんですか ? |
チェスター | うーん……いや。まあ、あれこれ引き受けすぎて無茶するってのはあいつらしいっちゃらしいのか…… ? |
すず | 皆さん、お待たせしました。 |
すず | 忍者の方々の報告によると残念ながらあの魔物たちは山の奥まで戻ってしまったとのことです。 |
クレス | そうか。じゃあ、また襲ってくる可能性があるね。 |
チェスター | 早めに倒しにいったほうがいいとは思うがもう夜だからな。明日、また調査しようぜ。 |
クラース | それがいいだろう。日中に活動する魔物であれば、夜間は大人しくしている可能性が高い。 |
すず | ひとまず、居場所については忍者の皆さんが引き続き確認してくれるそうです。 |
クレス | それじゃあ、僕たちも今日はここに泊まって明日改めて出発しよう。 |
ミント | そうですね。あ……そうだ。宿のキッチンをお借りすることはできるでしょうか ? |
クラース | ここの主人なら貸してくれると思うがどうしたんだ ? |
ミント | アーチェさんの身体が温まるものを作れれば、と思ったんです。 |
クラース | なるほど、ではさっそく交渉してみよう。 |
クレス | その間に、僕たちは食材の買い出しに行こうか。 |
ミント | はい、お願いします。 |
すず | 私はこちらの予定を忍者の皆さんにお伝えしてきます。 |
チェスター | んじゃ、オレはアーチェの様子を見とくか。呑気に寝てるだけだけどな。 |
ミント | でも、目を覚ましたときにチェスターさんがいてくれたら安心すると思いますよ。 |
チェスター | どうだかな。鬱陶しいとか言いそうだけど。まあ、みんな頼むぜ。 |
キャラクター | 7話【物語8 思い出の雪夜】 |
クレス | 遅い時間だから店が閉まっているかもと思ったけど無事に食材が買えてよかったよ。 |
ミント | はい。これだけあれば、アーチェさんに栄養のあるものを作れると思います。 |
クレス | うん。それに、久しぶりにみんなで食事ができるのも嬉しいね。 |
ミント | はい !そういえば、揃ってお会いすることはしばらくありませんでしたね。 |
ミント | ずっと……この世界に来る前から、ずっと私を支えてくださった皆さんと……。 |
クレス | ミント……。 |
ミント | ……この雪景色を見ていると、アーリィの町を思い出します。 |
クレス | ああ……。あの夜も雪が降ってたな……。 |
ミント | はい……。 |
ミント | 私も、きっとクレスさんも他の皆さんも考えたこともないような出来事に直面していたのだと思います。 |
ミント | そうやって、混乱していたときだったからこそクレスさんが正直に話してくれたことが嬉しかった……。 |
ミント | 私の、母のこと……。 |
クレス | …………。 |
ミント | 黙っていてくれたこともあのときに話してくれたこともクレスさんが私を支えていた証拠です。 |
ミント | 本当に、ありがとうございました。 |
クレス | ……それは、僕も同じだよ。ミントの言う通り、想像もしなかったことの連続で最初はどうしたらいいのかわからなかった。 |
クレス | だけど、君がずっとそばにいてくれたから僕は戦い続けることができたんだ。諦めずに、最後まで。 |
ミント | …………。 |
クレス | あのときの、ダオスとの戦いの旅は、大切なものを失い続ける日々だった。 |
クレス | 何度くじけそうになったか、わからない……。選択を間違えなければ失わずに済んだものもあったのかもしれないと考えてしまう。 |
クレス | それでも、いつもミントがいてくれて優しさを感じられた。希望を捨てずにいられた。 |
クレス | だから、あのときダオスに立ち向かう力をくれたのはミント、君なんだ。 |
ミント | クレスさん……。 |
クレス | 君の優しさは、僕にとってかけがえのないものなんだ。 |
ミント | ……あの。 |
クレス | ん ? |
ミント | これからも……これからも、ずっとクレスさんの隣にいてもいいですか ? |
ミント | クレスさんと一緒に新しい景色を見て喜んだり、楽しんだり……時には、悲しんだり。 |
ミント | 良いことも悪いことも全部、クレスさんと一緒に経験したいんです。 |
クレス | うん……もちろん。 |
クレス | これからも、たくさんのことを一緒にしよう。きっと色々あるだろうから。 |
クレス | それがたとえ辛いことだったとしてもミントと一緒なら大事な思い出になると思うんだ。 |
ミント | ……はい ! |
ミント | 風が…… ! |
クレス | はっくしゅん ! |
ミント | ! クレスさん、大丈夫ですか ? |
クレス | はは……大丈夫。急に冷たい風が吹いたから。 |
ミント | さっきよりも寒くなってきましたね……。身体を冷やしてはいけませんし、宿に戻りましょう。 |
クレス | そうだね。じゃあ、行こうか。 |
ミント | はい ! |
キャラクター | 8話【物語9 少女の本音】 |
アーチェ | ん……んん~ ! |
アーチェ | は~、よく寝た !……って、ここどこ ? |
チェスター | やっと起きたか。 |
アーチェ | チェスター ! ? なんで……。 |
チェスター | ここに来るまでのこと、覚えてねえのか ?お前は―― |
アーチェ | そうだったんだ……。ごめん、みんなに迷惑かけちゃって。 |
チェスター | まったくだぜ。あっちにもこっちにも顔を出して疲れ果てるなんてお前らしいっちゃお前らしいけどな。 |
アーチェ | ……っていうかあんた、なんであたしの部屋にいんの ?まさか変なことしてないでしょうね…… ? |
チェスター | するわけねえだろ !なんでオレがお前なんかに……。 |
アーチェ | お前なんかってなによ !でも、そうよね。あんたってそういうヤツよね。 |
アーチェ | ……まあ、看病してくれてたわけだし。その辺は、その……。 |
アーチェ | …………ありがと。 |
チェスター | ん、なんか言ったか ? |
アーチェ | 何も言ってないわよ !もぉ……。 |
アーチェ | それより、みんなは ?まさかあたしの代わりに、また山に…… ? |
チェスター | いや、買い出しに行ってるだけだ。お前に温かいもの食わせたいってよ。 |
アーチェ | そっか……。 |
チェスター | っていうかお前、なんでそんな疲れ果てるまであちこち顔を出してたんだよ。 |
アーチェ | え ? なんで、って……。 |
チェスター | そりゃ、頼まれたらやるだろうけど人助けが趣味って柄でもねえだろ ? |
アーチェ | なによそれー !あたしがわざわざ人助けするのはおかしいってこと ?失礼な…… ! |
チェスター | だから、頼まれたらやるとは思うって言っただろ ! |
アーチェ | まあ、そうだけど……。 |
アーチェ | …………。 |
アーチェ | みんなの力になりたいっていうのは嘘じゃないよ。 |
チェスター | 嘘だなんて思ってねえよ。お前らしくないやり方だって言ってんだ。 |
アーチェ | ……なんであんたはそういうの、気づくのよ。チェスターのくせにさ。 |
チェスター | …………。 |
アーチェ | ……みんな、誰かと一緒にいていいなぁって思ったの。 |
アーチェ | 誰かと関わって、一人でいる寂しさを誤魔化してたのかもしれない。 |
アーチェ | 色んなとこ行って人と話して、困ってるみたいなら手伝って……。 |
アーチェ | そうやってずっと忙しくしてたら寂しさなんて感じないかなぁって。 |
チェスター | ……オレらの村に来たときも、魔物退治の依頼を受けてたよな。 |
アーチェ | うん……。あのときもさ、本当はちょっと顔を見るだけのつもりだったの。 |
アーチェ | だけど、アミィちゃんが声をかけてくれたからつい長居しちゃって……。 |
チェスター | 長居って……別にいいだろ ?今さらそんな遠慮するような短い付き合いでもないんだし、好きにすりゃいいじゃねえか。 |
アーチェ | でも……でも、さ。 |
アーチェ | あんた、せっかく平和な世界でアミィちゃんやクレスたちと過ごせるようになったじゃない。 |
アーチェ | それを邪魔するのは、悪いし……。 |
チェスター | 邪魔って……。 |
チェスター | 変なところで気を遣いやがって。お前らしくもねぇ。 |
アーチェ | う、うるさいわね !あたしだって色々考えてんのよ。 |
チェスター | 気にしすぎだっての。そりゃ、元々お前は別の場所で暮らしてたけどオレは……。 |
チェスター | オレは……お前がいても―― |
クレス | ただいま !あ、アーチェ、起きたんだね。 |
ミント | よかったです、アーチェさん。今、温かいスープを作りますから。 |
アーチェ | クレス ! ミント !心配かけてごめんね。 |
アーチェ | でも、もう大丈夫だから !明日は改めて魔物退治がんばるよ ! |
クレス | いや、無理はいけないよ。ちゃんと身体を休めないと。 |
ミント | まずは食事ですね。出来上がったら、みんなで食べましょう。 |
アーチェ | わーい !ミントのご飯、久しぶりだから楽しみ~ ! |
チェスター | あ……。 |
チェスター | ……ったく。結局言いそびれちまったな。 |
すず | クラースさん、まだラウンジにいたんですね。 |
クラース | ! ? す、すず ! ?い、いや、これは、その……。 |
すず | この街はお酒が名産だとも聞きました。それを目的に遠方から来る方もいるとか。 |
クラース | あ、あー……うん。そうだな……。 |
クラース | …………。 |
すず | …… ? |
クラース | ……実はな、ここに来たのは精霊の調査ではなく完全にプライベートなんだ。 |
すず | そうだったのですか。 |
クラース | ああ。たまたま休暇が取れることになってな。それで、せっかくだから美味い酒が飲めるこの街に来たんだよ。 |
すず | なるほど。まさにお酒を目的に来た方だったんですね。 |
クラース | そういうことだ。だが、それでは格好が付かないからな。クレスたちには黙っておいてくれないか ? |
すず | ふふ……。忍者は秘密をばらすようなことはしませんからご安心を。 |
クラース | はは、そうだったな。君はすっかり優秀な忍者だ。今も色々とがんばっているんだろう ? |
すず | いえ、私はまだまだ……。皆さんのほうが大変だと思います。ただ……。 |
クラース | ……どうした ? |
すず | あの……『大人になる』というのはどういうことなのでしょうか。 |
クラース | 大人に…… ? |
すず | はい。クラースさんも、クレスさんたちもみんな大人です。それぞれ責任のある仕事を任され、役割があり……。 |
すず | ですが、私はまだ子供扱いされることが多いように感じるんです。 |
すず | でも、私は大人にならなければなりません。でなければ、立派な忍者とは言えない……そう思うんです。 |
クラース | なるほど……。それで、どうすればいいのか、と ? |
すず | はい……。 |
クラース | 大人、か……。どうなんだろうな。確かに私は年齢的に『大人』と呼べるだろうが決して褒められたものじゃない。 |
クラース | ミラルドにも怒られてばかりだったしな。 |
すず | そう……ですか ? |
クラース | まあ、そう思われていないのであれば私としては威厳が保てていいんだが。 |
クラース | そうだな……。大人になるのは大切なものができたとき、かもしれないな。 |
すず | 大切なもの……。 |
クラース | そうだ。人は生きていれば、必ず大切なものができる。 |
クラース | それを守りたいと思い、そのために必死に生きていこうとすること……。それが、大人になるということではないかと思うよ。 |
すず | 大切なもの。それなら、私は……。 |
クラース | ……思い当たるものはありそうだな。 |
すず | ……はい。 |
クラース | なら、大丈夫だ。君はきっと、立派な大人になれるさ。 |
クラース | だから、今は気負わずに自然体でいればいい。案外それが近道かもしれないぞ。 |
すず | はい……ありがとうございます。 |
キャラクター | 9話【物語10 帰る場所】 |
クラース | ここが魔物の住む山か……。なるほど、魔物退治が簡単にいかないのは納得だな。 |
チェスター | そうなんだよ……。足場が悪いから踏ん張りが利かねえし移動中に滑ることもあるし。 |
クラース | 寒さも堪えるし視界も悪い。やはりアーチェを休ませてきたのは正解だったな。 |
ミント | はい。アーチェさんには申し訳ないですが今無理をするとまた倒れてしまうかもしれませんから……。 |
チェスター | 気にすんなよ。ベッドに縛りつけといてもよかったくらいだ。 |
クレス | はは……まあ、気持ちはわかるよ。だからこそクラースさんが来てくれたんだし。 |
すず | はい。クラースさんが一緒なら戦力は十分だと納得してくれました。 |
クラース | そこまで言われたら、きっちり成果をあげないとな。 |
クレス | 今日こそ魔物を退治して、街の人たちにも安心してもらおう。 |
すず | ! 皆さん、見てください。 |
ミント | 何か見つけたんですか ? |
すず | はい。今朝、忍者の皆さんから聞いていた魔物の痕跡が、そこに。 |
クレス | これは、体毛…… ?まだ新しい感じだね。 |
すず | この付近を調査していたところ、巣が見つかったそうです。 |
すず | 私たちと戦ったせいか移動することにしたようですが群れ全体で動いているため、あちこちに痕跡が残っていると言っていました。 |
チェスター | ってことは、これを追いかけていけば魔物の群れにぶち当たるってことか ! |
クレス | その可能性は高いね。よし、いつでも戦えるように準備をして先へ向かおう ! |
すず | ! ! クレスさん、見てください。あそこに魔物の群れが…… ! |
チェスター | よっしゃ、追いついたか ! |
クレス | やっとだね。今日こそ逃がさないように一気に攻撃しよう ! |
チェスター | おう ! 絶対に終わらせてやるぜ !おりゃ ! ! |
魔物 | グオオオオオ ! |
ミント | ! 魔物が散り散りになっていきます。また私たちを囲む気かもしれません ! |
すず | そうはさせません !ハッ ! |
クラース | うまく道を塞いだな !時間を稼ぎながら、連中を観察するぞ。 |
クラース | これだけ統率の取れた動きだ。群れを率いているやつが必ずいるはずだ。 |
クレス | 確かに。そのボスを倒せば一気に崩せるかもしれない ! |
クラース | よし、では動きを封じつつボスを見つけ出す ! |
クレス | はい、右から回り込んで――っ ! ? |
クレス | この辺り、雪が柔らかくて足を取られる…… ! |
ミント | 昨晩降った雪が積もっているみたいですね。 |
クラース | なるほど、魔物が移動したのは我々をここに誘導するためか。 |
チェスター | くそ、相変わらず厄介なやつらだな…… ! |
クレス | チェスター、弓で戦うのも厳しそうかい ? |
チェスター | ちょっとな。上半身がブレちまって精度が落ちる ! |
すず | 私も、これでは狙いが安定しません。 |
クレス | クラースさん、術ならどうですか ! ? |
クラース | 詠唱はもちろん問題ない。だが、大規模な術を使うと雪崩が起きる可能性がある。 |
クラース | かといって威力を弱めればトドメを刺せずまた逃げられてしまうだろう。 |
クレス | そうですか……、何かいい手は―― |
アーチェ | みんな~、おっまたせー ! |
すず | アーチェさん ! ? |
チェスター | お前、なんで来たんだよ ! ?またぶっ倒れたら―― |
アーチェ | はいはい、そういうのはあとあと !ここはあたしの魔術に任せてよ ! |
チェスター | バカ ! それは雪崩が起きるかもしれねえって話をしてたんだよ ! |
アーチェ | バカってなによ !だったらあんたがなんとかしなさい ! |
チェスター | オレがなんとかするって――うおっ ! |
チェスター | ちょっ……いきなり引っ張りあげんじゃねえよ !落ちたらどうすんだ ! |
アーチェ | だからほうきに乗せてあげたんじゃない !ほら、これならあんたにだってできることがあるでしょ ! ? |
チェスター | ! そうか…… ! |
チェスター | おい、アーチェ !群れの中にデカいのは見えるか ! ? |
アーチェ | デカいの ? |
チェスター | 魔物を率いてるボスがいるはずなんだ !デカいのか、偉そうなのか、そんなのを見つけろ ! |
アーチェ | なるほどね !あの群れのどこかに――あっ ! |
チェスター | いたか ! ? |
アーチェ | うん ! あの岩の上 !真上に移動するよ ! |
アーチェ | こいつでしょ ! |
チェスター | ああ、それっぽいな !アーチェ、しばらく止まっててくれるか ?一発で仕留める ! |
アーチェ | うん ! しっかり狙いなさいよ ! |
チェスター | 任せとけ…… !…………食らえ ! |
チェスター | よっし ! ! どうだっ ! ? |
魔物のボス | グオオオオオオ…… ! |
アーチェ | やった、倒れたよ ! ! |
ミント | ! ! 今のは…… ! |
すず | あちらです !岩場の上空に、アーチェさんとチェスターさんが ! |
クラース | 魔物たちが動揺している……ボスを倒したんだな ! |
クレス | なら、今がチャンスだ !残りの魔物を一気に片付けるぞ ! |
ミント・すず | はい ! |
キャラクター | 10話【物語10 帰る場所】 |
チェスター・アーチェ | 大勝利~ ! |
クレス | うん。無事に全ての魔物を倒せた。これでひと安心だ…… ! |
ミント | 街の人たちにも良い報告ができますね。 |
チェスター | そうだな。……だけど、おいアーチェ。 |
アーチェ | なによ ? |
チェスター | なによじゃねえ !大人しくしとけって言っただろ ! ?なんでこんなとこまで来てんだよ ! |
アーチェ | うるさいなー、もー !あたしが来たおかげで勝てたんだからいいでしょ ! |
チェスター | 開き直ってんじゃねえよ !結果的にうまくいっただけで、もっとヤバいことになる可能性だってあったんだ ! |
アーチェ | そんなことないって~。だいたい、あたしがいなかったら魔物のボスだって倒せなかったし―― |
ミント | チェスターさん、アーチェさん、落ち着いてください。せっかく無事に終わったのですから……。 |
すず | ……ふふ。こういう雰囲気、なんだか懐かしいですね。 |
クラース | 協力してボスを倒したところまではよかったんだがなぁ。 |
クレス | 結局こうなっちゃうのがあの二人らしさなのかもしれないですね。 |
クラース | はは、まったくだ。 |
アーチェ | 無事に解決したって街の人たちに伝えてきたよ~ !みんな安心して喜んでた ! |
クレス | そうか、それならよかった ! |
ミント | ええ。これで今回の依頼は終了ですね。 |
クラース | ならば、私は次の街に向かうとするか。 |
アーチェ | え ? もう行っちゃうの ? |
クラース | ここは別件の合間に寄っただけだからな。もうしばらくはあちこち歩き回るつもりだ。 |
チェスター | それも精霊の研究ってやつか ? |
クラース | ああ。まだまだわかっていないことが多いからな。 |
クラース | 調査したい場所も色々ある。場合によってはお前たちの手を借りることになるかもしれない。 |
クレス | いつでも声をかけてください。喜んで手伝いますよ。 |
クラース | ああ、頼りにしている。それじゃあな。 |
すず | では、私もそろそろおいとまします。 |
アーチェ | すずちゃんは、また忍者の里に ? |
すず | はい。しばらくは忍者の皆さんと一緒に生活を続けるつもりです。 |
すず | その中で、自分にできることをもっと探していければと思っています。 |
チェスター | 誰かさんみたいに無理はしすぎんなよ。 |
すず | ありがとうございます。気をつけますね。 |
すず | それでは、また皆さんとお会いできることを楽しみにしています。 |
アーチェ | 行っちゃった……。じゃあ、あたしもそろそろ行こっかな。 |
チェスター | お前、まだ予定があんのか ? |
アーチェ | あー……うん。もうちょっと頼まれ事があってさ~。 |
チェスター | そんな疲れ果てるくらい動き回って時間を埋めようとするんなら……。 |
アーチェ | あー、オッケーオッケー !あんたが何を言いたいかはわかってるからこれ以上は―― |
チェスター | ちげーよ、最後まで聞けって !つまりな、あー……別にお前がどこで何しようが勝手だけどな。その……。 |
チェスター | ちゃんと帰る場所ってのが必要だろ、って話で……。 |
アーチェ | …… ? で、何が言いたいの ? |
チェスター | だから ! !オレのところに来いって言ってんだよ ! |
アーチェ | ……へ ? |
チェスター | あっ ! ?ち、ちげーぞ !変な意味じゃねえからな ! ? |
チェスター | だ、だから……お前も落ち着く場所がないとしっかり休めねえわけだし……。 |
チェスター | 変な気なんか使わないでいつでも帰って来いよ。 |
アーチェ | …… ! うんっ ! |
アーチェ | クレスとミントも !また会いに行くからね ! |
クレス | ああ、いつでも来てくれ。 |
ミント | はい。待っていますね。 |
アーチェ | ありがと ! ばいばい ! |
チェスター | ったく……本当に騒がしいやつだな。ま、あいつらしいけど。 |
クレス | ふふ、そうだね。なんだかんだで、楽しい時間だったな。 |
ミント | ええ。久しぶりに皆さんとお会いして一緒に冒険をして、戦って……。 |
ミント | ……次にこうして皆さんとお会い出来るのはいつになるのでしょうか。 |
クレス | きっとまた、すぐに会えるよ。 |
クレス | どんな旅でも終わりはあるのかもしれない。だけど、また一緒にいたい、旅に出たいって思うときが来れば、みんな集まるはずさ。 |
クレス | だから、そのときまでは僕たちそれぞれがやるべきこと、やりたいことをやっていこう。 |
ミント | ……そうですね。でしたら、クレスさんのやりたいことを教えてください。 |
ミント | それが今、私が一番やりたいことですから。 |
クレス | ありがとう。それじゃあ、次に何をするかまた改めて考えよう。 |
ミント | はい ! |
チェスター | よしっ !そんじゃ、オレたちも村に戻るか ! |
クレス | うん、帰ろう。また次の旅が始まることを楽しみにしながら。 |