キャラクター1話【軌跡1 天遺見聞録】
エドナはぁ、はぁっ……。
ミクリオ空気がだいぶ薄くなってきたな。硫黄の匂いも混じってきてる……。
スレイエドナも疲れてるみたいだしちょっと休憩しようか。
エドナこれくらい、なんともないわ…… !
スレイそ、そう…… ?
ミクリオエドナにそんなことを言ったらそう返ってくるだろ。
エドナまだ登り始めたばかりじゃない。最初に音を上げるなんて…… !
スレイ頑張ってくれるのは嬉しいけど倒れたら大変だし、やっぱり休憩を取ろう。
エドナ……まったく、なんでこんなことになったのよ。
ミクリオそうだな、最初はスレイが――
ミクリオ新しい天遺見聞録を作りたい ?
スレイうん。この世界……ティル・ナ・ノーグのことをもっと知りたくてさ。
スレイ様々な異世界から具現化された世界。人はまだこの世界の全貌を知らないと思うんだ。
ミクリオそれは、そうだな。このグリンウッド領だけでも元の世界では目にしなかった地形や遺構がある。
スレイだからまずはグリンウッド領を調査してそれから他の大陸も調べて……。
スレイ世界各地の遺跡や地理、伝承を纏めて自分なりの天遺見聞録を作りたいんだ。
スレイみんなももっと世界のことを知りたいだろうし役に立つと思うんだけど……。
ミクリオそれで、僕はどう思うかって ?
スレイうん。
ミクリオどうせ何を言ったって、君はやるつもりだろ。
スレイははは……そこまでお見通し ?
ミクリオわかるさ。どれだけ一緒にいると思ってるんだ。
スレイだってさ、本来なら絶対に見られなかった別の世界の遺跡とかも山ほどあるんだ。そんなの見たいに決まってるじゃないか !
ミクリオみんなの役に立つとか建前を並べてたけど結局のところ、それだろう。
ミクリオ知的欲求。自分の知らないことを知りたい。
スレイうん……だから、これはオレのわがままだ。もしミクリオが反対なら――
ミクリオバカを言うな。僕も同じ気持ちだ。
スレイミクリオ…… !
ミクリオ世界も少しずつ落ち着いてきた。正直、僕も頃合いだと思っていたんだ。
ミクリオ新しい天遺見聞録って発想はなかったけどね。面白そうじゃないか。
スレイありがとう…… !やっぱり、持つべきものはミクリオだな !
ミクリオなんだその言い回しは……。それにしたって、ティル・ナ・ノーグは広い。僕たちだけじゃ限度もあるだろう。
ミクリオみんなにも話して情報を提供してもらうのはどうだ ?
スレイそっか…… !  そういえばもうすぐみんなとの食事会だな !
スレイうん、そこで協力してもらえないか聞いてみよう !
スレイ久々に会えるだけでも嬉しいのにますます楽しみになったよ !

キャラクター2話【軌跡2 食事会】
スレイみんな、グラスは持った ?
デゼルああ。
ザビーダ長い話は勘弁な !さっさと始めようぜ !
スレイそれじゃ、久しぶりの再会を祝して――乾杯 !
全員かんぱーい !
ライラロゼさん、最近のお仕事はどうですか ?
ロゼまあ、ボチボチやってるよ。交易はどの世界でも必要だしね。
アリーシャエドナ様、あちらにケーキがありましたよ。
エドナあら、そう ?後で味を見てみましょう。
ザビーダしかし、こうして集まるのもホント久々だな。平和になってからさっぱりだったもんな。
デゼル便りがないのは良い便りということだ。
スレイみんな元気みたいで何よりだよ。
ザビーダそういうスレイは最近何やってんだ ?やっぱり遺跡関係か ?
スレイああ、それについてなんだけど……実はみんなに話したいことがあって。
ミクリオみんな、少しスレイの話を聞いてくれるか ?
アリーシャああ、どうしたんだ ?
スレイオレ、このティル・ナ・ノーグで新しい天遺見聞録を作りたいと思ってるんだ。
ライラまあ、天遺見聞録……。
エドナ大きく出たものね。
スレイ元の天遺見聞録とはだいぶ違ったものになっちゃうかもしれないけどさ。
スレイオレなりにこの世界を調べて、考えたことを記して……みんなもそれを知って、興味を持ってもらえたら嬉しいなって思ったんだ。
スレイオレが天遺見聞録を読んだときみたいに。
アリーシャスレイ……。
エドナどうせミボも一緒なんでしょ ?
ミクリオどうせ、って……。まあ、確かにその通りではあるけど。
スレイうん、まずは二人でグリンウッド大陸の遺跡調査から始めようと思ってる。
スレイでも、世界中となるとオレたちだけでどこまでやれるかちょっと心配でさ。
スレイそこで、みんなにも力を貸してほしいんだ。もし遺跡の情報とか噂を聞いたらオレたちに教えてくれないかなって。
ライラもちろんですわ。ぜひお手伝いさせてください。
アリーシャああ。情報提供だけではなく時間が合えば調査のほうも手伝わせてくれ。特にグリンウッド大陸なら融通も利く。
スレイいいの ! ?ありがとう !
ザビーダ遺跡一筋のお前らだけじゃ他のことがおろそかになりそうだしな。
エドナあなたはあなたで、色々と心配だけど。
ザビーダなっ……そりゃあねえよ !
二人ははっ !ふふっ。
スレイ各大陸の歴史や遺跡がどうなっているか実際に見て確かめた人はたぶんまだいない。
ミクリオ無謀だから、普通はやろうと思わない。でも、スレイは……スレイだから。
スレイははは……そういう訳でできる範囲で協力してくれると助かるよ。
ロゼ大陸の調査は商売にも役立つだろうしスレイの頼みなら断れないね。
デゼルついでに面白いものでも見つかりゃ、なおいい。
スレイロゼもデゼルも、ありがとう。エドナも、手伝ってくれる ?
エドナ……さて、どうしようかしら。
スレイまたみんなと一緒に冒険できることもあるのかなって思ったんだけど……。
エドナ手伝わないとは言ってないでしょ。
エドナ好きなようにやりなさい。ワタシは何があってもあなたの味方よ。
ザビーダまったく、最初から手伝う気なのにもったいぶっちゃって。
ザビーダあいだっ ! ! !足 !  刺さってるって !  傘 ! ! !
エドナあら、この傘置きしゃべるのね。面妖だわ。
ザビーダくぅー……痛つつ……容赦ないぜ。
デゼルフッ……茶化したお前が悪い。
エドナそれで……どこから手をつけるつもり ?偶然にも幸運なことにワタシの予定は空いてるけど。
ロゼスレイとミクリオの門出ってことでしょ ?せっかくならみんなで行こうよ、予定を合わせて。
ザビーダおう、初回限定サービスってやつだ !
ライラふふふ、初回だけとは限りませんけど。
スレイありがとう、みんな…… !最初の行き先は、目星をつけてあるんだ。このグリンウッド大陸で、まだ調査していない場所。
スレイそれは――

キャラクター3話【軌跡3 行きたかった場所】
エドナ――で、この山に来たのよね。
スレイうん。この山は活火山でかつて滅びた裾野の街が遺跡になってるんだ。
ザビーダおいおい、そんなところ登って大丈夫なのか ?
ミクリオ今は小康状態だから問題ない。
ロゼ滅んだっていう街も今はその上に温泉街が広がってる。たくましいね。
スレイ活火山があるなら温泉が湧くからね。観光客でにぎわってるみたいだ。
デゼル登山でかいた汗は温泉で流すとするか。
ライラええ、この後が楽しみです…… !
アリーシャ……ところで、スレイ。ひとつ聞いていいか ?
スレイうん、どうしたの ?
アリーシャ遺跡を調べるのになぜ火山を登る必要があるんだ ?
エドナそうよ、山なんて登らなくていいじゃない。
スレイああ、それはね。噴火の時期を特定するのに火山の地層を調べたいんだ。
ミクリオ遺跡のほうは多くが埋まっていて地層まで調べるのは大変だ。
ミクリオその点、火山は地層が露わになっている場所もあるだろう ?
ロゼなるほどね。
ミクリオやろうと思えば遺跡に使われた建材から年代の推定もできるが……。
ミクリオどうしても誤差が大きくなってしまうんだ。建造時に古い建材を使うこともあるからね。
デゼル家を建てるのに樹齢何百年って木を使うようなものか。
ミクリオそう。天族からみれば大差ないかもしれないけど……。
スレイ人間の歴史だと結構なズレだからね。できるだけ年代を絞りたいんだ。
ライラなんだか本当に学者さんのようですね。とても頼もしいですわ。
ミクリオとはいえ……ここは具現化された大地。細かい年代を特定することにどれだけ意義があるのか。
ザビーダそうそう。俺たちの記憶が元になって生まれたんだろ ?エンコードとかいうのもあるみたいだし。
ロゼここに火山で滅びた街があったという歴史自体も具現化されたもの、なんだよね。
スレイだからこそ、面白い題材だと思うんだ。作られた歴史はどこまで精巧なのか。
スレイ人は遺跡のことをどう思っているのか……。考古学の常識は通用しないかも。
スレイ今までにないまったく新しいタイプの遺跡……。どんなことがわかるのか、考えるだけでワクワクするよ !
ロゼ子供みたいに目をキラキラさせて……。本当に好きなんだな、遺跡。
ザビーダ難しい話はわかんねーけどま、協力するって約束したしな。
スレイ……っと、話している間に断層まで着いたよ。ここが目的地だ。
エドナふぅ、これ以上登らなくていいのね。
デゼルここから先はガスの対策とかも必要だろうしな。
ミクリオ細かい測定は僕とスレイでやるからみんなは休んでてくれ。
ザビーダおう、なんか手が必要になったら言ってくれよ。
エドナ……ワタシにはただの山に見えるけどスレイにはきっと違う風に見えているのね。
アリーシャ人によってものの見方は違いますからね……。私も見えているようで、見えていなかった……。
デゼルしかし……こうして見下ろすと裾野は煙が多くて戦場のようだな。
ロゼ実際は温泉街なんだけどね。ほら、見える ?  あの黄色い屋根の大きな建物。
ライラどこでしょう ?……あっ、ありましたわ !
ロゼあそこだよ、今夜予約した宿。露天風呂があって、効能は保湿に美肌。
ロゼその名も『美人の湯』 !  楽しみっしょ ?
ライラまあ…… !長風呂になってしまいそうですわ。
ザビーダああ、そいつは楽しみだな……ふふっ。
ライラ……ザビーダさん、怪しい風があればすぐに燃やしますからね ?
ザビーダ……ちっ。読まれてたか。
エドナバカね。
デゼル今夜、もし何か騒動があったとしても俺は一切関与していないからな……。
アリーシャあはは……。
ライラ……。
スレイ火山灰層はこことここだから噴火活動は150年周期で――
ミクリオなるほど……付近の遺跡の年代算出にも役立つな。念のため地質柱状図を――
ライラ……活き活きしてますね。
アリーシャええ。私には詳しいことはわかりませんが……。
アリーシャ噴火の周期がわかれば、あらかじめ温泉街の人を避難させるなどの対策ができます。
アリーシャスレイのしていることは自分のためだけではないと感じます。
エドナ……情報をどう使うかは受け取った人次第。
エドナスレイはその情報を発信したいのね。
エドナかつて自分を導いてくれた天遺見聞録のように。
ライラふふ……想いはちゃんと繋がっているということですね。
エドナ……登っているときは気づかなかったけれど。
ザビーダん ?
エドナ思ったより高いところまで来てたのね、ワタシたち。
デゼル……まだ、道の途中だ。

キャラクター4話【軌跡4 ひと休み】
スレイふう……いいお湯だった !
エドナ……肌がすべすべになった気がする。
ザビーダはぁ……完全にガードされててまったく隙がなかったぜ……。
ライラ覗きはいけませんわ。
デゼル登山して、風呂に入って……。次は飯か ?
アリーシャ確かに、お腹がすきました。
ロゼ観光地だけあっていろいろ売ってるな~。あ、あれは地獄たまごだって。
ミクリオ井戸みたいになっているがこれは源泉なんだな。かなり熱そうだ。
スレイたまごを買って自分で茹でるのか。温泉たまご、おいしいもんな。
ライラ真っ白なたまごが茹でると真っ黒に…… ?
ミクリオたしか……温泉の成分が殻に付着して黒くなるんだとか。
ライラへえ~……。不思議ですわ。
ロゼあっちには溶岩饅頭なんてのもあるよ。みんな商魂たくましいね~。
ライラ味が気になりますわね。あの、おひとつ頂けませんか ?
ザビーダおっ、買ったよ。即断即決だな。
アリーシャこれは……溶岩飴 ?イチゴに溶かした氷砂糖がけ……。
デゼル溶岩を模したのか。面白い、一本もらおう。
ザビーダお前、意外とわんぱくだな……。
デゼルむ、これは……。甘酸っぱい。いや……正確には甘甘甘酸っぱい甘いくらいだ。
エドナ見ればわかるわよ。
スレイははっ。どれもこの土地ならではの面白い食べ物だね。
スレイミケルもこんな風に各地の郷土料理を食べて天遺見聞録を書いていったのかな。
ライラあら……このお饅頭、栗が入ってます !「溶岩饅頭」は「よう噛んで」食べないと !
デゼル…… !
ミクリオ……その土地の料理を集めた記録なんかがあっても面白いかもな。
ライラむう、せっかくうまいこと言いましたのに…… !
デゼル……大抵の食べ物は、よく噛んで食べたほうがいい。
ライラその溶岩飴をバリボリ食べるのも大変そうですが……。
スレイ郷土料理集か……確かにそれも地域特有の文化だよな。
ロゼいいんじゃない ?世界を網羅したグルメマップなんかないよ。
ロゼ近くに来たら立ち寄るべきお店は星一つで旅をしてまで行く価値があるなら星三つとか……。
エドナはいはい、ビジネスの話はそれくらいにして。スレイ、この後はどうするの ?
スレイ今日はここに泊まって明日はジャングルの水晶遺跡に行く予定だよ。
デゼル……ほう、ジャングルか。珍しい虫がいそうだ。
ライラ水晶遺跡、ですか……。キラキラして綺麗なところなのでしょうか ?
アリーシャ水晶で出来た遺跡だったら神秘的なんでしょうね。
スレイははは……それは明日行ってみてからのお楽しみってことで。

キャラクター5話【軌跡5 水晶遺跡】
エドナやっと着いたわね。虫の羽音がとにかく不快だったわ。
デゼル俺はもっと見たかったが……。
ミクリオデゼルには悪いけど今は遺跡の調査を優先しよう。
スレイここが今日、調査をする水晶遺跡だよ。
ライラあの、ひとつよろしいですか ?
スレイうん、ひとつと言わずなんでも聞いて。
ライラ水晶遺跡という割には水晶がないように見えるのですが……。
アリーシャ私もそれが気になっていました。てっきり水晶で出来ているのかと。
ミクリオそんなに派手な遺跡だったらもっと有名になっているはずだろ ?
ロゼそれはそうだね。じゃ、なんで水晶遺跡なの ?
ミクリオ元々ここは水晶の採掘場だったんだ。
ミクリオ時の権力者は水晶を独占するべく採掘場の上に宮殿を建てて守ることにした。
ザビーダはー、いつの時代にも強欲な連中ってのはいるもんだ。
ロゼ経済の観点から言えば理に適ってはいるけれどね。
ミクリオこのあたり、地上部分はその権力を示す水晶の意匠が散りばめられた宮殿だ。
ミクリオそして地下には、アリの巣のように広がった水晶の採掘場があるという訳だ。
スレイ昔はここにも水晶がたくさんあったはずだよ。ほら、あそことか。
アリーシャ壁が砕かれた跡があるな。なるほど、水晶が嵌まっていたのか。
スレイ目に付く場所は盗掘の被害に遭いやすいからね……。
ザビーダこっちの壁には落書きがあるぜ。なんたら参上、とか。
ミクリオすでに何度も踏み入られているようだな。盗掘除けの罠もすべて作動済みだ。
ライラ綺麗な水晶が見られると楽しみにしていましたのに。
アリーシャ罠というのは、どんな風に仕掛けられていたんだ ?パッと見ではわからないのだろうが。
スレイあそこの隅、隙間があるだろ ?ああいうところから棘が出るんだ。
スレイ特定の場所を踏んでしまうとその重みで針が飛び出す……何度でも使える罠だね。
ミクリオ種類としては一度きりの大掛かりな罠もある。転がってくる大岩とか。簡単には戻せないだろう ?
ザビーダそんなのおとぎ話でしか聞いたことないぜ。現実にあんのか ?
ロゼ大岩の運搬とか非効率だよね。それもある意味ロマンってやつ ?
ミクリオそういう大がかりな罠が残っていたら誰も立ち入っていない可能性が高いんだ。
ライラあの、お話中すみません。あそこの壁に出っ張りがあるのですが……。
エドナ本当……気になるわね。
スレイこれは……何か作動するスイッチみたいだ。
スレイ押してみるけど……みんな念のため警戒を怠らないで。
ザビーダおうよ。さあ、ひと思いにやってくんな !
スレイ壁が動いて……隠し通路だ !ライラ、お手柄だよ !
ライラふふっ、お役に立てましたでしょうか ?
デゼル隠し通路の先も調査するのか ?
ミクリオ危険だが、見つけてしまったからには……。
スレイうん、慎重に進もう。
エドナカビくさいし、湿っぽいわね……。空気が古いって感じ。
スレイ緩やかな下り坂が続いてる……斜めに掘り進んだんだ。これは採掘ルートのひとつかもしれない。
アリーシャそれにしては分かれ道もないな。
ミクリオある程度の深さまでは一直線に掘り進んでそこから横に延ばしているのかも……。
全員! !
ライラ今、後ろから凄い音と地響きが聞こえてきたんですけど……。
スレイ何かしら、正規の手続きをしていないと発動する仕掛けか… ?
アリーシャ音と揺れが、どんどん近づいてくる……。
ミクリオ……これは、さっき言った罠のうち、後者だな。
スレイまさか本当にあるなんて……。ある意味、感動だよね !
ザビーダああ、待望の転がる大岩とご対面だ……って言ってる場合か ! !走れー ! ! !
ライラはぁ、はぁっ…… !足元が、暗くてっ…… !
アリーシャライラ様、掴まってください ! !
デゼル大岩のほうが速い、逃げ切れないぞ !
ロゼどこかに横道は…… !
エドナしょうがないわね…… !
エドナエアプレッシャー ! !
ミクリオ大岩の動きが鈍った ! !
エドナ長くはもたないわ。今のうちに距離を稼ぐわよ !
ザビーダふぃ~……なんとか分かれ道に逃げ込めた……。
ミクリオ採掘ポイントまでの道を罠に転用するとは昔の人も知恵が回るものだ。
スレイエドナ、ありがとう。おかげで助かったよ。
エドナワタシは自分の身を守っただけよ。
ロゼ……ところで、ライラとアリーシャは ?
デゼルそういえば……いないな。
スレイもしかして、はぐれた…… ! ?

キャラクター6話【軌跡6 遺跡の罠】
アリーシャふう……近くに横穴があってよかった。ライラ様、大丈夫ですか ?
ライラはい、ありがとうございます。大岩の罠、恐ろしいものですね……。
アリーシャええ。みんなとはぐれてしまいましたが無事でしょうか……。
ライラ皆さんならきっと大丈夫だと信じていますが……。
アリーシャそれにしても、この空間はいったい…… ?あそこに見える大きな宝石は……。
ライラこれは……水晶ですわ !
アリーシャ中央の大きなものがひときわ目立つが他にも多くの水晶が転がっている……。
アリーシャここはもしかして採掘した水晶を一時的に保管する場所でしょうか ?
ライラ可能性はありそうですね。あのような大掛かりな罠を仕掛けていましたし。
ライラいえ、これは……違うかもしれません。
ライラあの大きな水晶何かよからぬものを感じます。
アリーシャ私には感じられませんが……ライラ様が言うのなら間違いないのでしょう。
ライラひょっとして、ここはあの水晶を封じておくための部屋なのでは……。
ライラほら、持ち主を不幸にする宝石とかいかにもありそうじゃありません ?
アリーシャそ、そういうものでしょうか……。
アリーシャいずれにしろ我々だけでは危険です。一刻も早くスレイたちと合流するべきかと。
ライラそうですね――
アリーシャこ、これはっ ! ?
水晶の魔物――― ! ! !
ライラ水晶が集まって、ゴーレムに ! ?
アリーシャ出口を塞がれた…… !相手をするしかないか…… !
アリーシャはあっ !
アリーシャくっ…… !なんて硬さだ ! !
ライラ先程の大きな水晶きっとあれがゴーレムの核です ! !
ライラ炎よっ ! !
ライラ腕で核を覆って…… !これでは直接狙えません !
アリーシャでしたら、ここは――
アリーシャライラ様 !  私は前に出ます !ライラ様はそのまま核を狙ってください !
ライラですが、それではアリーシャさんが危険に…… !
アリーシャ十分承知しています。それでも、ここで引くわけにはいきません !
アリーシャ私は……私の騎士としての心そして、大切な仲間を守るために……。
アリーシャこの槍を振るうんだ !
ライラあれは、浄玻璃鏡の光…… ! ?
アリーシャ皇刃蒼雨衝 ! !
水晶の魔物――― ! ! !
ライラ! !今です、フォトンブレイズ ! !
水晶の魔物――― ! !――……
アリーシャふう……なんとかうまくいった……って、エドナ様 ! ?
エドナ騒がしかったから来てみれば……出番はなかったみたいね。
ライラそんなことはありません。もし今の連携が失敗していたら……。
アリーシャええ。エドナ様に助けてもらうことになっていたと思います。
エドナ……そうね、タイミングが少しでもズレていたら術がアリーシャに当たっていたわ。
ライラそれでも……あの場面ではやるしかありませんでした。
エドナわかっていてもやらなきゃいけないとき、ね……。
スレイいた…… !みんな、こっちだー !
アリーシャ……という訳で、貴重な水晶を破壊してしまった。申し訳ない。
スレイ謝ることじゃないよ。二人の無事が何よりだし。だけど、水晶のゴーレムか……。
ライラいったいあれは、なんだったのでしょうか ?
スレイ推測の域を出ないけど……ここの主は水晶を兵器にも使おうとしてたんじゃないかな。
スレイ二人が戦ったのはその試作品だと思う。
ロゼなんか、しっくりこないな。水晶でそんなの作るより、売ったほうが早くない ?
デゼルそうだな。売った金で武器を買えばいい。
ミクリオ……武器を揃えても、使う人間がいなかった。
ミクリオ記録によると主は採掘労働者たちを巻き込んだ反乱で命を失ったという。
スレイうん、だから非効率な水晶ゴーレムの製造を試みたのかもしれないね。
ザビーダはあ……最初から最後まで水晶にしがみついてたって訳か。因果だな。
スレイあくまでもオレの仮説だよ。色々な推測が出来ることも添えて水晶のゴーレムがいたという事実を記そうと思う。
スレイ謎に包まれた過去に思いを馳せるのもロマンのひとつだからね。
エドナまったく……スレイにとっては水晶より歴史のほうがお宝みたいね。

キャラクター7話【軌跡8 未知の村】
エドナで、次の目的地は ?
スレイ次は、奇岩を見にいきたいんだ。
ロゼキガン ?祈るほうの祈願じゃなくって……。
ミクリオああ、奇妙な岩の奇岩だ。
ミクリオもっとも信仰の対象になっていたから祈るほうも間違いとは言えないが。
スレイあの丘の先にある大岩で獣の形をしているとか……。
アリーシャどれどれ……。ああ、あの集落の奥の丘か。
ライラ確かに集落がありますね。地図には載っていませんでしたが……。
スレイ地図を作った人が見落としたのかな ?奇岩の話は伝わっているんだけど……。
ザビーダ丁度いいや、休ませてもらおうぜ。歩き詰めで疲れちまったし。
デゼル地図にない村か……。よそ者は歓迎されないかもしれないな。
ミクリオそうだな。何があってもいいように警戒だけはしておこう。
村長よく来てくださった !ささ、飲んでください !
ザビーダ村総出でお出迎えとは大層な歓迎ぶりじゃねえの。
ライラ無用な心配でしたでしょうか。
スレイ物珍しさや外の情報を求めて旅人を歓迎してくれる村もあるんだろうけど……。
ミクリオちょっと対応が良すぎるな。
エドナこれは何かあるわね。例えばこの飲み物。
村長は、はて、なんのことでしょうか ?まあ、とりあえず一杯飲んでから。
ロゼこの香り……。眠り薬を混ぜた特有のものだね。
アリーシャ……だそうですが。村長様、これはいったいどのような了見で ?
村長……ぐっ ! !……も、申し訳ございません !実は今年の生贄を捧げる季節でして……。
ライラ生贄、ですか ?穏やかではありませんね……。
村長この村では代々、ヌシ様に生贄を捧げて他の魔物から身を守っているのです。
ミクリオそれで、今回は折よく訪れた旅人を生贄にしようとした……と。
村長はい……本当に申し訳ございません !
エドナ昔話によくある、ベタな話ね。実際に遭遇するとは思わなかったけど。
スレイ村長さん、そのヌシ様というのも魔物なんですか ?
村長……はい。かつて村を襲ったこともございます。
村長……あの。眠り薬を見破った皆さんだからこそお頼みしたいことがあるのですが。
ザビーダおいおい、まさかヌシを倒してくれとか言い出さないだろうな ?
デゼル生贄にしようとした人間に頼みごとか。厚かましいにもほどがある。
村長……ですが、厚かましいのを承知で !どうか !  どうかお願いします !
エドナ……どうするの、スレイ。
スレイもちろん。その依頼、引き受けるよ。
ザビーダまったく、負けじとお人好しな奴がいたよ。ま、予想はしてたけどな。
アリーシャああ。困っている人を見過ごすことは私にはできない。
ロゼお人好しは一人だけじゃないみたいよ ?
ザビーダわかってるよ。やるしかねぇだろ。
村長み、皆さん……ありがとうございます !
ライラそれで、そのヌシとはどのような魔物なのですか ?
村長やつは骨だけの竜……。アンデッドドラゴンなのです。
エドナドラゴン……そう。
スレイ……。
エドナ……。
スレイエドナ。
エドナ……あら、何か用 ?
スレイ……この世界のドラゴンはオレたちがいた世界のドラゴンとは違う。
スレイそれでもエドナは複雑だよな。
エドナまあ……いい気分ではないのは確かね。
スレイ無理はしなくていいよ。討伐の間はこの村で休んでいても――
エドナまさか、ワタシのことそんなに弱いと思ってる ?
スレイいや……エドナは強いよ。
スレイけど、どんなに強くたって弱くなるときはあると思うんだ。
スレイエドナは今回の旅の前にどんなときも味方だって言ってくれたよね。
エドナ……ええ。
スレイオレも同じだよ。オレはどんなときもエドナの味方だから。
エドナ…… !
エドナワタシの言葉をそっくり返すなんて生意気ね。
エドナ……大丈夫よ。ワタシは問題ないわ。
エドナ……そう、こんなときでもあなたの味方だから。

キャラクター8話【軌跡9 ドラゴンの棲む地】
デゼル遺跡調査のはずがドラゴン退治になるとはな。
スレイ勝手に決めちゃってごめん。
デゼル……別に構わん。もう慣れた。
ザビーダスレイと一緒に行くんだからこういうことにもなるわな。
スレイみんな……ありがとう。
ミクリオ……それで、問題のアンデッドドラゴンがいるのはこの先の丘だ。
ミクリオ木などが少なく見晴らしがいいから奇襲は難しそうだな。
ロゼとりあえず昨夜の宴で盛られた睡眠薬入りの食事を持ってきたけど。
エドナアンデッドがご飯食べるのかしら ?
デゼル待て。そもそも食事が要らないのならなぜ生贄が必要なんだ ?
ライラ確かに……そうですわね。
ミクリオ可能性としては……すでに形骸化し結果的に迷信となってしまっているのかもしれない。
ザビーダそりゃあ……つまり、どういうことだ ?
ミクリオ例えば、昔この辺りを縄張りにしている魔物がいた。その魔物は人間を食べて、生贄の効果はあったんだ。
ミクリオだが、そのうちに魔物は他の魔物――
スレイ今回でいえば、アンデッドドラゴン ?
ミクリオああ。生贄を必要としない魔物に負けてしまった。
ミクリオそれでも村には生贄という成功体験が残り必要のない犠牲を払い続けている、という具合だ。
スレイひょっとして地図を作った人はあの集落を見落としたのではなくあえて載せなかったのかも……。
アリーシャだが……それでは生贄に選ばれた者があまりに悲しすぎる……。
ロゼドラゴンに食べられなかったとしても一人で生き延びるのは難しいだろうね。
ミクリオ村長から聞いた話によると村がアンデッドドラゴンに襲われたのは一度だけだ。
ミクリオ恐らく、ドラゴンは村の存在など気にもかけていないのだろう。
ミクリオかといって生贄は要らないと説明しても簡単に信じてはもらえないだろうね。
スレイ長年続く風習だしドラゴンがうろついているのは事実だもんな。
ライラ生贄も、村も……死してなお彷徨うドラゴンもその苦しみから解放したいですわ。
アリーシャライラ様……。私も同じ気持ちです。
スレイ今すぐ生贄をやめるよう押し付けるのは難しいと思う。
ミクリオだが、人の代わりに家畜や模した食物などで穏やかに変えていくことはできるかもしれない。
スレイうん。その第一歩としてアンデッドドラゴンを倒してもう生贄は必要ないって伝えるんだ。
ロゼそうそう。いつか地図にもあの村を載せられるようにね。
デゼル……そうこう言っているうちに、着いたぞ。
アンデッドドラゴングオォォ…… !
エドナこっちには気づいているみたいね。
スレイ行こう、生贄を止めるために !

キャラクター9話【軌跡10 新たな見聞録】
アンデッドドラゴングオオォォン ! !
ミクリオ前脚を大きく後ろへ反らした !攻撃が来るぞ !
エドナわかってるわよ !
デゼル散開して的を絞らせるな !俺は背後から――
アンデッドドラゴングォッ ! !
デゼルチッ、尻尾が…… !
アリーシャデゼル様っ !
ザビーダおっと、そうはさせないぜ ! !
デゼル助かった、ザビーダ。俺の狙いはお見通しだったようだ。
ザビーダどうせ助けるならお姫様がよかったけどな。
デゼルそいつは悪かったな。借りは返す。
ザビーダへっ、それじゃあさっそく頼もうか。続けよデゼル !
ザビーダジルクラッカー ! !
デゼルああ、その厄介な尾を地に繋ぎとめる !
アンデッドドラゴングオオオォォンッ ! !
アリーシャよし、今なら――いや !  あの動作は !
スレイブレスが来る !
ミクリオ炎のブレスなら僕が水で !
ライラお手伝いします !アスティオン !
ミクリオぐっ…… !相殺が精一杯か…… !
ロゼならこれでどうだ !裂泉雅 ! !
アリーシャ見えた ! !その口を塞ぐ !  逆雲雀 ! !
アンデッドドラゴンギャオオオォンッ ! !
スレイよし、ここから反撃に……って翼を広げた ! ?
アンデッドドラゴングオオオオオォォオォオンッ ! ! !
ライラ……すさまじい風です ! !吹き飛ばされてしまいます ! !
ミクリオだが、身を隠そうにも ! !
ロゼうわあぁぁっ ! !
エドナくっ……、ロックランス ! !
エドナスレイ、この岩に隠れなさい !
スレイわ、わかった ! !
デゼル吹っ飛んだ奴らは俺たちに任せとけ !
ザビーダおうよ、あえて風に乗ってピックアップしてくるぜ ! !
スレイわかった、みんなのことは頼んだ !
アンデッドドラゴングオオォオォ……ッ !
エドナひとまず風は止んだわね……。残ったのはワタシたちだけ、と。
スレイここが正念場だ !みんなが戻ってくるまで持ちこたえるぞ !

キャラクター10話【軌跡10 新たな見聞録】
スレイはぁ、はぁっ…… !
エドナしぶとい、わねっ…… !
アンデッドドラゴングオオォォッ……。
スレイあの仕草…… !また、ブレスが来るぞ ! !
エドナまずいわね、ミボがいない今は…… !
エドナ……わかっていてもやらなきゃいけないとき、か。
エドナスレイ、神依よ。
スレイえ、でもこっちの世界じゃあまだ――
エドナ時間がないわ。――ワタシを信じなさい。
スレイ……わかった !
アンデッドドラゴン――ゴオオォォォッ ! ! !
エドナ来たわね…… !傘で時間を稼ぐわ !
エドナ遅い !
スレイオレはこっちだ !
アンデッドドラゴングオオォッ !
二人地神招来 !
二人やるぞ !やるわよ !
二人駆ける巨魁 !
二人拒む岩壁 !
二人乱れる弧投 ! !
アンデッドドラゴンギャオオオオォォオオオンッ ! !
ロゼ二人とも、無事 ! ?
スレイああ……終わったよ !
スレイみんな、グラスは渡ったかな ?
デゼルああ、今度は久々……というほどでもないがな。
アリーシャみんなでグリンウッド大陸の遺跡を回ってからまだ数か月ですからね。
ザビーダ今思い出してもえらかったぜあのアンデッドドラゴンは。
ライラその後に丘の先で見た奇岩もすごかったですわ。
スレイうん、まだまだ世界は広いなって改めて思ったよ。
ロゼそれを伝えるために出来たのがこの本、ってわけ。
スレイうわぁ、これが…… !
ロゼうん。スレイ執筆の記念すべき一冊目。刷りたてのほやほやだよ。
エドナ『転移見聞録 ~グリンウッド大陸編1~』転移 ?  天の遺物の天遺じゃなくて ?
スレイライラがうまいタイトルを考えてくれたから採用させてもらったんだ。
ミクリオ正確には、僕たちは転移してきたって訳じゃないけど。
スレイ天遺見聞録の名前をそのまま使うのもなんだか恐れ多いし、やっぱりこの本はオレたちが作った違うものだからさ。
エドナおかげで随分としまらない名前ね。ま、スレイらしくていいんじゃない。
ミクリオそれにしても、こうして実物を見ても……実感が湧かないな。
スレイまだ夢みたいだよ。本当に本を出したなんて。
エドナ現にここにあるでしょ。最初は、火山と埋もれた遺跡の章ね。
ミクリオ年代測定は苦労したからな。ここは僕も書かせてもらったよ。
ライラ溶岩饅頭のコラムもあります !
ロゼ店のランク付けは結局やめたけど地域の料理や名産も載せて親しみやすくしたんだよね。
ザビーダこの『デゼル監修 自宅で作れる郷土のおやつ』……ってのは ?
デゼル読んで字のごとくだ。各地方に生息する昆虫についてのコラムも寄稿させてもらった。
アリーシャ遺跡以外にも、地域の魅力が詰め込まれているんだな。これは読むのが楽しみだ。
アリーシャ水晶遺跡と、丘の奇岩のことも書かれているな。
スレイうん。この本はまだ一巻だけど二巻、三巻と作っていきたい。
ミクリオそしてグリンウッド大陸が終わったら他の大陸だ。
スレイみんなも、また機会があったら手伝ってくれるかな ?
アリーシャ当たり前だ。前にも言っただろう ?
エドナワタシは何があってもあなたの味方よ。
スレイうん……ありがとう !
エドナ何度礼を言うつもりかしら。巻末にも書いてあるのに。
『人々が生きた証は今この瞬間も生まれている。遺跡を巡る旅はこれからも続くだろう』
『本書の執筆にあたり、共に調査・考察したミクリオ並びに冒険を繰り広げた仲間たちに最大限の感謝を』