キャラクター1話【世界1 大陸巡り】
イクスうわぁ、思ったよりも人が多いな。どこか目印になるような場所があればいいんだけど……。
? ? ?おーい、イクスさ~ん !  こっちこっち !
メルお久しぶりです、イクスさん。
イクスディオ、メル !よかった、ちょうど二人に連絡を入れようと思ってたところなんだ。
ディオオレたちも早く着いちゃってさ。せっかくなら迎えにいこうってなったんだ。
イクスありがとう。けど、凄い人の数だな。
ディオそうなんだよ。最近、漁に行く船が増えたからな。あっ、そうそう !  オレたちもその船に乗るんだけど――
メルちょっと、ディオ。自分の話ばっかりしないでよ。イクスさんだって長旅で疲れてるだろうし……。
イクスははっ、俺は大丈夫だよ。それに、ディオたちが今なにをしているのか聞いてみたかったんだ。
イクスそれで、ディオたちも船に乗ってるってことは漁師さんたちの手伝いをしてる感じかな ?
ディオああ、そうだぜ !なんか急に魚の獲れる量が増えたらしくてさ。
メルそれで、人手が足りないという話を聞いたディオが手伝うって言い出して漁船に乗ることになったんです。
ディオこの前なんて、船の上がいっぱいになるくらいカニが獲れたんだぜ。
ディオ気づけばオレたちも、立派な海の男になっちまったぜ。
メル別にカッコつけるところじゃないしわたしは女だけど……。
ディオそういや、イクスさんも元は漁師だったんだっけ ?
イクスああ。今はたまにコーキスたちと釣りをするくらいだけどせっかくならディオたちの漁にも付き合ってみたいな。
ディオ本当か !  んじゃ、今度一緒に行こーぜ !
メルまた勝手にそんなこと言って……。わたしたちが船を持ってるわけじゃないでしょ。
ディオいいじゃん別に。きっと船長も許してくれるって。今じゃあオレたちも、この街の名物みたいになってるし。
イクス名物 ?
メルはい。漁のお手伝いのほかにも獲れたお魚を運ぶサービスもやってみたんです。そしたら、凄く好評で……。
ディオ獲れたて新鮮な魚をあなたの食卓にお届けっ !ご注文は『メルの宅配便』でお願いしまーす !
メル……って感じで、ディオが勝手に始めちゃったんです。
ディオけど、メルだって楽しそうじゃん。届け先の人からお菓子もらったりしてるし。
メル嫌とは言ってないでしょ。そんなこと言うなら、今度からもらってきたお菓子分けてあげないから。
ディオメルだけなんてずるいぞ !オレだって魚捌くの頑張ってるだろ !
イクスはははっ、まぁ、二人が元気そうで何よりだよ。鏡映点のみんながどんな風に生活してるのか見にいくのも、旅の楽しみの一つだし。
メルそういえば、イクスさんは宮廷鏡士になったんですよね。
ディオあれだろ ?  フィリップさんの『ビクエ』みたいに鏡士の偉い人になったんだよな ?
イクスいや、さすがにビクエほどじゃないよ。それに、宮廷鏡士になったっていってもまだ新米もいいところだし。
イクスこうしてティル・ナ・ノーグを回って社会勉強するのも大事だってヨーランドさんからも言われてるんだ。
イクスまぁ「可愛い子たちには旅をさせなきゃ ! 」っていう理由で俺とミリーナを旅に行かせたかったらしいけど。
ディオそっか。それってオレたちが『なりきり士』として旅立ったときとなんか似てるよなぁ。
メルディオとイクスさんを一緒にしちゃ駄目だよ。あのときだって、ディオ一人だと心配だからわたしもついていったんだもん。
ディオな、なんだよ !オレもちゃんと『なりきり士』としてやってただろ ! ?
ディオほら、最初にヴァルハラ村でクルールを助けたときだって……って、あれ ?
メルクルール…… ?あれ、クルールは ! ?
イクスもしかして、クルールも一緒だったのか ?
メルはい。ついさっきまで一緒にいたんですけど……。
ディオ食べ物の匂いにつられて、どっか行ったんじゃないか ?この辺って料理屋多いし。
メルディオじゃないんだからそんなことで勝手にどこかへ行ったりしないと思うけど……。
ディオオレだってしねぇよ !そういうメルこそ、この前ケーキ屋の前で立ち止まってたじゃん。
メルあ、あれは違うもんっ !ちょうどおやつの時間だったから…… !
イクスまぁまぁ、二人とも落ち着いて。人通りも多いし、きっと途中ではぐれちゃったんだな。
イクスでも、そんなに時間は経ってなさそうだし近くを捜せばすぐに――
? ? ?わあああっっ ! す、すみませんっ ! !道を開けてくださいーーーー ! ! ! !
ディオん、なんだ ?
? ? ?クルールーー ! ?
メルえっ、今の…… ! !
イクスカナタ ! ?
カナタえっ、イクス ! ?それにディオとメルも……。
クルールクルール !  クルール ! !
メルクルール、何してたの ?
街の子供たちまてーーーー !にげるなーーーー !
イクス……あの子たち、こっちに走ってきてないか ?
カナタそ、そうなんだっ !えっと、俺もちゃんと説明したいんだけど…… !
街の子供たちつかまえろーーーー !
カナタい、今はとにかく逃げたほうがいいかもっ ! !
クルールクルール ! !
ディオな、なんなんだよーーーー ! !

キャラクター2話【世界2 港の逃走劇】
イクス――って、ことだからみんなの勘違いだってわかってくれたかな ?
街の子供たち……はーい。ごめんなさい。
クルールクルクルッ、クルール !
メルふふっ、クルールも怒ってないから大丈夫って言ってるよ。
ディオカナタさんもツイてないよな。けど、クルールを助けてくれてありがとな。
カナタううん、俺は大丈夫。だけど、まさか子供たちがオタオタと勘違いして追い回してるなんて思わなかったよ。
カナタみんな、いい ?オタオタはヌルヌルしててもっと目が大きい魔物だから、今度から間違えないでね。
街の子供たちはーい。
イクスところで、カナタはなんでこの街にいたんだ ?
カナタえっと、イクスには前にも連絡したと思うけど俺たち、今は正義の海賊としていろんな地域に行ってるんだ。
ディオ正義の海賊 ! ?なんだよ、それ !  すげぇカッコいい ! !
メルそういえば、港で少し聞きました。噂の海賊がこの街にも来たって。
カナタうん、目立たないように停泊することもあるんだけどここの人たちは俺たちのこと知ってて親切にしてくれてさ。
カナタおかげで今回はゆっくり買い出しができるって話してたんだけど……あっ、そうだ !
カナタねえ、どこかでミゼラを見なかった ?
イクスミゼラ ?  いや、見てないけど……二人は ?
ディオいや、見てないぜ ?もしかして、カナタさんたちもはぐれたのか ?
カナタそれが、買い出ししてる間にどこかに行っちゃったみたいでさ。
カナタ出航は明日の予定だけど俺たちに何も言わないでいなくなっちゃったのがちょっと気になって……。
カナタそれで、気になるんだったら捜してみたらってユナに言われて、街を回ってたんだ。
メルそうだったんですね。でも、ミゼラさんって綺麗だし、街の人が見かけていたら覚えているかもしれませんよ ?
ディオ確かに、あの花の髪飾りとか綺麗だもんな。
メルそれもそうだけど……。……はぁ、やっぱりディオって子供だね。
ディオあっ、なんか今バカにされた気がするぞっ ! ?
メル別にー。カナタさんはわかってくれますよね ?
カナタええっ ! ?  そ、そうだね……。ミゼラはその……綺麗、だよね……。
ディオ? ?  なんでカナタさんが照れてるんだ ?
イクスははっ……ミリーナがこの場にいたら嬉しそうにしただろうなぁ……。
リーダーっぽい子供花の髪飾り……もしかして、あの人かな ?
カナタえっ !  ミゼラのこと、知ってるの ! ?
リーダーっぽい子供うん。その人、オタオタの森に行くって言ってた。道もおれが教えてあげたし。
カナタオタオタの森 ?
ディオあっ、それ、聞いたことあるぜ。最近、オタオタがめちゃくちゃ出るって森だろ ?
リーダーっぽい子供そうだよ。おれたちもオタオタをやっつけるために行ったことがあるんだぜ !
不満そうな子供でも、大人の人に見つかって「危ないから二度とここには近づくな」って怒られたんだよなぁ……。
リーダーっぽい子供だから、その丸っこいやつが森から来たオタオタだと思って追い返そうとしてたんだよ。
カナタ教えてくれてありがとう !俺、ミゼラを追いかけるよ !
ディオあっ、待ってよカナタさん !オレたちも行くって !
カナタえっ、いいの ?
ディオもちろん !困っている人がいたら助ける !それが『なりきり士』なんだぜ !
メルカナタさんがご迷惑じゃなかったら、ですけど。
カナタ全然 !  迷惑なんかじゃないよ !二人は土地勘もあるみたいだし凄く助かるよ。
イクスなら、俺も一緒に行くよ。大丈夫だとは思うけど、オタオタがたくさんいる場所みたいだしな。
カナタありがとう !それじゃあ、みんなでミゼラを追いかけよう。

キャラクター3話【世界3 ディオの推理】
カナタへぇー、ディオとメルは街の人たちの手伝いをしながら生活してるんだ。まだ小さいのに、二人とも偉いね !
ディオカナタさんー、メルはともかくオレはもう大人だぜ ?あんま子供扱いしないでくれよ。
メル双子なのに何言ってんの。そういうこと気にするディオのほうが子供じゃない。
ディオそ、そんなことねーよ !
カナタああっ、ご、ごめん !だけどさ、二人だけで寂しくなったりしないの ?
ディオぜーんぜん。今みたいに、メルがずっとうるさいくらいだぜ。
メルうるさいのはそっちでしょ ! ?この前も珍しい花見つけたーって騒いでたくせに。
ディオあ、あれはメルが見たら喜ぶかなーって思ったから……。
メルえっ ?
ディオな、なんでもねえよ !とにかく、オレたちは二人でもだいじょーぶってこと !
クルールクルール ! !
メルふふっ、クルールもいるしね。
カナタそっか。でも、もし何か困ったことがあったら言ってね。俺も助けてあげるから !
メルはい、ありがとうございます、カナタさん。
ディオけど、今のところあんまり困ったことってないよなぁ。だいたいは『なりきり士』の力でなんとかなるし。
イクス『なりきり士』か。初めて見たときは驚いたよ。衣装に合わせた力が使えるようになるなんてさ。
カナタあっ、それ、俺も気になってた。一体どんな仕組みなんだろ……。
ディオふふっ、悪いけど企業秘密だぜ~。元の世界じゃあ、もっとすごい衣装もあったし。
カナタええっ、そうなの ! ?いいなぁー、ファッションに合わせた力が使えるなんて…… !
イクスまさか、黒い衣装を身に纏ったら隠された闇の力が発動したり…… !
メルそ、そういうのはなかった気がしますけど……。
ディオま、オレたち『なりきり士』の力は凄いってことだよ !な、クルール !
クルールクルール ! !
メルもう、すぐそうやって調子に乗るんだから……。
メルあっ、そうだ。カナタさん、わたし気になってたことがあるんですけど……。
カナタうん、何かな ?
メルミゼラさんなんですけどどうしてオタオタの森に向かってるのか心当たりとかありますか ?
カナタえっ ?  う~ん……確かに……なんでミゼラはオタオタの森へ行こうとしてるんだろう ?
イクス何か用があったんだろうけどカナタにも連絡してないってことはすぐに済ませて戻ってくるつもりなのか……。
イクスあるいは……。
ディオあっ !  それなら、どうしてミゼラさんがオタオタの森に行ったのか推理しようぜ !
カナタえっ、推理 ?
メルごめんなさい……。ディオ、最近ミステリー小説にはまってるみたいで……。
イクスあはは。気持ちはわかるよ。
イクスミステリー小説って、物語自体も楽しめるけど何気ない会話や行動が伏線になってたりして面白いんだよなぁ。
ディオこほんっ。では、カナタさん。昨日から今日にかけて、ミゼラさんはどんな様子でしたか ?
カナタうーん、いつも通りだったと思うよ。あっ、でも、港に到着したときは久々にお肉が食べられるって喜んでたっけ。
カナタ俺たち、今はほとんど船の上で生活してるから魚は自分で釣ったやつを食べられるけど肉は日持ちする干し肉くらいしかなくて。
カナタ新鮮なお肉がいっぱい食べられるのは港に寄ったときくらいなんだ。って、これはあまり関係なさそう……。
ディオ――それだ !ミゼラさんはきっと、お肉を食べるためにオタオタの森へ行ったんだ !
カナタええっ ! ?  そうだったの ! ?
メル……うーん、そうかなぁ。
ディオなんだよ、メル。オレの推理が不満なのか ?
メルだって、お肉なら街でも売ってるしわざわざ遠くにまで足を運ぶ必要ないよね ?
ディオそ、それは……。
メルそれに、ミゼラさんはオタオタの森の場所を聞いたくらいだから、そこにオタオタがたくさんいることは知ってると思うの。
メル仮に本当にお肉を食べたくて自分で獲りにいったんだとしてもそんな危険な場所は避けるんじゃないかな ?
ディオじゃ、じゃあ !ミゼラさんはきっと……オタオタを食べる気なんだ !
クルールクルール ! ?
カナタええっ ! ?  ミゼラがオタオタを…… ! ?……うん、まあ、ミゼラなら……。
イクスか、可能性はあるんだな……。
カナタミゼラ……まさか、今頃オタオタを丸焼きにしてるんじゃ…… !
カナタ駄目だよ…… !ミゼラには、ちゃんとした美味しいお肉を食べてほしいのに……。
ディオ…………ん ?なあ、あっちのほうからいい匂いがしてこないか ?
メルえっ ?  そう言われれば……この香ばしい匂いって……。
カナタもしかして…… ! ?ミゼラーー ! !
イクスカナタ ! ?
メルもう !  ディオが変なこと言うからカナタさんが本気にしちゃったでしょ ! ?
ディオお、オレのせいかよ ! ?
イクスと、とにかく俺たちも追いかけよう !
ミゼラ……はぐっ。うん、やっぱりお肉は美味しい。お肉こそが一番……はぐっ。
オリエふふっ、ミゼラさんを見ているとますますお腹が空いてきました。
カノンノ・Gうん、それじゃあ私たちもいただきま――
カナタミゼラーーーー ! !
ミゼラカナタ ! ?  どうして……。
カナタはぁ、はぁ……。ごめん、ミゼラ。俺、気づかなかったよ……。ミゼラがずっと、オタオタを食べたかったなんて……。
カナタでも、やっぱりちゃんとしたお肉を食べなきゃ駄目だよ !  俺がいっぱい食べさせてあげるから !
ミゼラ………… ?カナタ、何を言ってるの ?
ディオふぅ……やっと追いついた……。って、あれ ?
イクスグラスバレーとオリエも一緒だったのか ?
カノンノ・Gう、うん。ミゼラとはついさっき会ったんだけど……。
オリエあの、どうかされたんですか ?みなさん、随分と慌てているようですけど……。
メルえ、えっと……なんて説明すればいいのか……。
イクス一応確認しておきたいんだけどミゼラたちが今食べてるのってオタオタだったりしないよな…… ?
カノンノ・Gえっ ! ?  ち、違うよ !これはウリボアのお肉だよ ! ?
イクスだ、だよな……。ごめん、変なこと聞いちゃって……。
メルディオ、みんなに謝って。
ディオお、オレが悪いのか ! ?
カナタでも、よかった。ミゼラが見つかって。
ミゼラカナタ、私を捜してたの ?
カナタうん。だって何も言わずにいなくなっちゃったから……。魔鏡通信にも出ないし。
イクスそれで俺たちも一緒に捜してたんだ。
ミゼラそう、なんだ……。
カナタねえ、ミゼラ。どうして一人で街から出たの ?言ってくれれば、俺もついていったのに。
ミゼラそれは……。
ぐぅーーーー。
ディオ……あ、やべっ。
メル……ディーオー ?
ディオし、仕方ねえだろ !その焼いてる肉が、すっげー美味そうだったから……。
カノンノ・Gふふっ、そうだね。私たちも今から食べるところだったしせっかくだから、みんなで食べながら話そう ?
オリエそうですね。お肉はたくさんありますしぜひ食べていってください !

キャラクター4話【世界4 それぞれの理由】
カノンノ・G――ごちそうさまでした。
メルすみません、わたしたちまでいただいちゃって。
カノンノ・Gううん、ご飯はみんなで食べたほうが美味しいし、会えてよかったよ。
オリエでは、改めてみなさんのお話をまとめますとイクスさんたちはオタオタの森へ向かおうとしていたミゼラさんを追ってここまで来た、と。
イクスああ。だけど、グラスバレーたちはどうしてオタオタの森へ ?
カノンノ・G私は仕事の依頼だよ。オタオタが増えすぎちゃって、近くの街の人たちが困ってるみたいなの。
オリエまだ被害は少ないらしいですがこのあたりは行商人さんたちが使う街道もあるそうなので。
カナタそっか。オタオタに襲われたら荷物が届けられなくなっちゃうもんね。
オリエはい。ちなみに私は、グラスバレーさんたちのお仕事の取材で同行させてもらっています。
メルディオ、これってわたしたちがいる港街にも影響があるよね ?
ディオだな。よし !  オレたちもオタオタを退治しにいこうぜ !
カナタうん !  困っている人がいるなら助けてあげなきゃ !
イクスというわけだから、グラスバレー俺たちも一緒に行っていいかな ?
カノンノ・Gもちろん !  ありがとう、みんな !
カナタ決まりだね !  あとは……。
ミゼラ…………。
カナタミゼラ、教えてもらえる ?どうして、オタオタの森へ行こうとしたの ?
カナタ俺だってミゼラの用事を手伝いたいよ。
ミゼラ……お肉。
カナタ……えっ ?
ミゼラねえ、カナタ。オタオタがどうしてあんなにまるまるとしてプニプニなのか知ってる ?
カナタえっ、えっと……なんでだろう ?
ミゼラそれはね、普段から美味しいお肉を食べてるからだよ。あのボディは、その証拠。
ミゼラだから、オタオタがいっぱいいるところには美味しいお肉の動物もたくさんいるってこと。
カナタええっ ! ?  そうだったの ! !俺、知らなかったよ !
カナタけど、そっか。ミゼラはオタオタが食べるお肉を食べたかったんだね。それならそうと、言ってくれればよかったのに。
ミゼラ……ごめんなさい。私のわがままでカナタを巻き込みたくなかったの。
カナタそんなの気にしなくていいよ !でも、今からは俺も協力するからね。
ミゼラうん、ありがとう、カナタ。……やっぱり優しいね、カナタは。
カナタ……ミゼラ ?
ディオ見たか、メル !オレの推理、半分は当たってたぜ !どうだ !  すげーだろ !
メルうーん、当たったっていうのかなぁ。
メルでも、それならミゼラさんもわたしたちが一緒に行くのは問題ないってことですよね ?
ミゼラ……えっと、うん、大丈夫だよ。
ディオよっしゃー !んじゃ、オタオタを倒して、ついでに美味い肉もいただいちまおうぜ !
クルールクルール ! !
ミゼラ……ユナ、上手くやっとくって言ってたのに。
カナタユナ ?  ユナがどうかしたの ?
ミゼラううん、なんでもない。オタオタの森のことを教えてくれたのがユナだったって話。
カナタへぇ、そうだったんだ。じゃあ、ユナにもお土産を持って帰らないとね。あと、ヴィシャスとイージスにも !
ミゼラうん、もし新鮮なお肉が獲れたらユナとイージスにもあげようね。
カナタあれ、ヴィシャスは ?
ミゼラヴィシャスには骨をあげましょう。遠くに投げて取ってこさせるの。すごく遠くに。さあ、そんなことより、ご飯の後片付けをしなきゃ。
カナタヴィシャスは犬じゃないよ ! ?ねえ、ミゼラー !
カノンノ・Gふふっ、よかった。ミゼラが元気になってくれて。
オリエはい。私たちと会ったときはなんだかお疲れの様子でしたから。
オリエ本人はお腹が空いただけだと仰っていましたがやはり一人だけの旅路で心細かったのかもしれませんね。
イクス……なぁ、オリエ。オタオタのいる場所に美味しいお肉の動物もいるって話ほかで聞いたことがあるか ?
オリエえっ ?  ど、どうでしょう……。少なくとも、私は初耳でした。
イクスだよな……。
カノンノ・Gでも、食物連鎖のことを考えたらそういう環境になっていたとしても不思議じゃないと思うよ。
イクス……うん、ごめん。俺の考えすぎだったのかも。
ディオさてはイクスさんオレの推理する姿がカッコよくて真似したくなったんだな ?
イクスははっ、そうかも。けど、推理はこれくらいにして今はオタオタ退治が優先だな。
カノンノ・Gうん、後片付けが終わったらすぐに出発しよう。

キャラクター5話【世界5 オタオタの森】
イクス……予想以上だな。
オリエはい、私たちが聞いていた話よりずっとオタオタの数が多いです。
ディオ確かに、これだけいたら森の外に出てきてもおかしくないよな。
メルうん、街の人たちが安心できるようにわたしたちで退治しなきゃ。
カノンノ・G幸い、まだ私たちに気づいてないね。でも、この数だと……。
イクスこっちの体力も考えて作戦を立てたほうがいいな。みんな、長期戦を覚悟しておいてくれ。
カナタうん、俺たちも頑張ろうね、ミゼラ。
ミゼラ…………。
カナタミゼラ ?
ミゼラえっ ?  あっ、うん……ごめんね、カナタ。ちょっと周りの様子を見てたから……。
カナタ周りの…… ?あっ、そっか。ミゼラはオタオタ退治だけじゃなくてお肉を手に入れなきゃいけないもんね。
カナタけど、この辺りに動物はいないみたいだよ。もっと奥のほうにいるのかな ?
ミゼラ……そうだね。きっとこの先に、美味しいお肉が待ってるはず。
ディオミゼラさん。肉もいいけど今はオタオタ退治が先だぞ。終わったらオレたちも手伝うからさ。
ディオあっ !  でも、でっかいヤツがいたら競争な !オレも今日はステーキの気分になってるし !
メルもう、ディオが一番集中してないよ。晩御飯のことを考えるのは後にして。
ディオわかってるって。イクスさん、まずはオレたちから行ってもいいか ?
ディオオタオタなんて、オレたちの技で一気に吹き飛ばしてやるからさ !なっ、メル !
メルまたそうやって目立ちたがるんだから……。ごめんね、クルールはちょっと待ってて。
クルールクルッ、クルール ! !
イクスわかった。先陣は二人に任せるよ。何かあれば、すぐにサポートに入る。
ディオ了解。けど、たぶんその必要はないぜ。ささっと終わらせてくるからさ !
メルあっ、ディオ !もうっ !  合図ぐらい出しなさいよね !
ディオ待たせたな、オタオタどもッ !お前たちの相手はこのオレだ !
メルわたしたち、でしょ。
ディオ細かいことはいいだろ。ほら、来るぞ !
メルうん !  いくよ !
ディオオレは―― !
メルわたしは―― !
ディオ & メル何にだって打ち勝つ !
ディオ双咎 !
ディオ & メル連翔破 ! !
メルやった !  うまくいったね !
ディオ当たり前だろ。こんなヤツらオレたちの敵じゃねーっての。
カノンノ・G凄い !  今のでオタオタを全部倒しちゃった。
オリエええ、これもお二人の息が合うからこそ為せる技なのかもしれませんね。
カナタもしかして、俺たちの出番、なくなっちゃったかな ?
イクス……いや、まだだ。
ディオまたオタオタが出てきた !
メルさっきので、わたしたちに気づいたのかも。
ディオへっ、そっちから来てくれるならラクでいいじゃん。この調子でどんどん集まってくれても――
ディオ…………えっ ?
メルディ、ディオ ! !奥からものすごいいっぱい来たよ !なんか大きいのもいるし !
ディオなっ ! ?  い、いくらなんでも多すぎるだろっ ! !
メルもうっ !  ディオがどんどん集まれなんて言うから !
ディオまたオレのせいかよっ !だいたい、オタオタに言葉が通じるわけないだろ !
クルールクルールッ ! !
ディオクルール、みんな ! !
イクスディオ、メル !さすがにこの数だと全員で相手にしないとマズい !一緒に戦おう !
ディオう、うん !こうなったら、大きいのも小さいのも全部まとめて倒してやるからなっ ! !

キャラクター6話【世界6 撃退の末】
ディオおりゃああああっ ! !
ディオはぁはぁ…… !い、今ので何匹目だ…… ?
メルどうだろう……途中からわたしもわからなくなっちゃった……。
クルールクルッ !  クルール !
ミゼラ大丈夫。残っているのは、あの大きなオタオタだけ。
イクスよし、みんな !  このまま押し切るぞ !
カノンノ・G! ?  こっちに来た !
オリエグラスバレーさん ! ?
カノンノ・G大丈夫、私が前に出る !
オリエはい !雌雄を決する瞬間が迫っています……。
カノンノ・Gここだぁぁーー ! !
オリエグラスバレーさんジャーンプ !
カノンノ・Gオリエ !  合わせて !
オリエ私っ ! ?
カノンノ・Gよしっ、今 !
オリエえ、えーい、いきますっ ! !
オリエ & カノンノ・G秋百合・二重 !
カナタやった !  倒したよ !
カノンノ・Gありがとう、オリエ。息ピッタリ !
オリエは、はい !  突然の振りに驚きましたがなんとかなりました。
カノンノ・Gごめんね。でも、オリエなら合わせてくれるって信じてたよ。
ディオえっ ?  今の技、とっさに出したのか ! ?そんな風には全然見えなかったぜ。
イクスああ、グラスバレーの機転もよかったけどそれに応えたオリエもさすがだな。
オリエありがとうございます !  私の役目はあくまでみなさんのサポートですから役に立てて嬉しいです。
ディオくっそ~。オレたちも負けてられないぜ !
メル別に競うことじゃないでしょ。それより、オタオタはもういないのかな ?
ミゼラたぶん、平気。魔物の気配はなくなったから。
メルよかったぁ。でも、なんでこんなにオタオタが増えちゃったんだろう ?
ディオさぁな。なんか種類もいっぱいいたしどっかから集まってきたんじゃねーか ?
メルどっかって、どこ ?
ディオし、知らねーよ。たぶん……海とか山とか、そーいうとこ !
オリエ魔物の種類や生息数が変化するのも具現化大陸ならではの生態系なのでしょうか。
イクスう~ん、どうだろう。確かに具現化大陸は特殊な自然環境にもなるし、魔物にも影響が出てきてるのかも……。
イクス今度、フィルさんに話してみるよ。俺も興味があるからさ。
オリエはい。私も記事の題材としてレイアさんたちと相談してみます。取材コラムを掲載しても面白そうですし。
イクスそれはぜひ読んでみたいな。けど、まずは俺たちのもう一つの任務をこなさないとな。
カナタうん !  ミゼラ、お肉を探しにいこう !あれだけオタオタがいたんだからきっと美味しいお肉の動物もたくさんいるよ !
ミゼラ…………えっと、カナタ。あのね……。
クルールクルール !  クルール !
メルえっ ?  クルール、あっちの茂みのほうになにかいるの ?
ディオまたオタオタか ! ?
恰幅のいい兵士お前たちっ !  こんなところで何をしているっ !
ディオ人 ! ?  な、なんだよ。急に出てきたらビックリするだろ ?
細身の兵士……子供、だと ?くそっ、前にあれほど近づくなと言ったのに……。
ディオ子供じゃねーって。オレは立派な『なりきり士』だ !
意地の悪そうな兵士はぁ ?  なりきりし ?やっぱり子供の遊びか。
ディオ違うって !  『なりきり士』っていうのは……。
メルディオ、話をややこしくしないでよ。
カノンノ・Gすみません。私たち、この森のオタオタ退治を街の人から依頼されたんです。
恰幅のいい兵士オタオタ退治…… ?  そういうことか……。どうりでさっきまでうるさかったわけだ。
イクス……あの、あなたたちは ?見たところ、かなり武装してるようですけど。
恰幅のいい兵士俺たちか ?  俺たちは……あんたたちと似たようなもんだ。
カナタじゃあ、あなたたちもオタオタ退治に来たんですね。それなら安心してください。この辺りのオタオタは全部俺たちがやっつけましたから !
恰幅のいい兵士そうか……ん ?待て、そこの女、その髪に付けている花はどうした ! ?
ミゼラ…………あなたたちに答える必要なんてない。
恰幅のいい兵士なんだと…… !
カナタああっ !  こ、これは俺がプレゼントした髪飾りなんですっ !  そうだよね、ミゼラ !
ミゼラ……うん、カナタからもらった大切な物。
恰幅のいい兵士……考えすぎか。まあいい、ともかくお前たちは帰れ。
カナタえっ、でも……。
意地の悪そうな兵士いいから帰れって言ってんだろ !俺たちの仕事を増やすんじゃねえ !
恰幅のいい兵士やめろ。おい、お前、こいつらを安全に森の出口まで送ってやれ。
細身の兵士は、はいっ。わかりました !
オリエあ、あの……申し訳ないのですがまだ私たちには予定が……。
イクス…………いや、この人たちの言う通りだ。まだ森の中は危険かもしれないし俺たちはもう帰ろう。
カノンノ・Gえっ ?  で、でもミゼラの用事が……。
イクス……ごめん、ミゼラ。今は少し我慢してもらっていいかな ?埋め合わせはちゃんとするからさ。
ミゼラ……うん。私は別に、構わない。
カナタ……えっ ?
イクスありがとう。そういうことですから出口までの案内よろしくお願いします。
細身の兵士……こっちだ。ついてこい。
ディオちぇっ、偉そうにしやがって。ちょっと背が大きいくらいでさ。
メルディオ、聞こえちゃうよ。確かに態度はちょっとアレだけど……きっとわたしたちのことを心配してくれてるんだよ。
イクスああ、俺もそう思う。だから、ここは素直にご厚意に甘えさせてもらおう。
ミゼラ…………。
カナタ……ミゼラ。

キャラクター7話【世界7 イクスの推理】
ディオあーあ、せっかくいい感じにオタオタをやっつけられたのに、スッキリしねーなー。
細身の兵士……おい、なんか言ったか ?
メルい、いえ !  案内してもらえて安心だなぁって話してたんです。
細身の兵士……そうか。森を出たらとっとと帰れよ。まったく……なんで俺がこんなことを……。
カノンノ・Gあの、やっぱりもう少し残っていいですか ?ほかにやりたいこともあるんですけどまだオタオタが残っているかもしれませんし……。
細身の兵士しつこいぞ。そんなのは俺たちが退治しておく。だから、これ以上この森に近づくんじゃない。
カノンノ・G……はい、ごめんなさい。
オリエ私たち、ご迷惑をかけてしまったのでしょうか……。
クルールクルール……。
イクス…………あっ、そうだ。さっきビクエ様から連絡が来てたんだった。みんなにもよろしくって書いてあるから見てくれ。
全員! !
細身の兵士ビクエ…… ! ?おい、お前 !  今、ビクエって言わなかったか ! ?
イクスはい、そうですけど……って、すみません。まだ自己紹介してなかったですね。
イクス俺、セールンドから来た宮廷鏡士のイクス・ネーヴェです。
細身の兵士宮廷鏡士…… !
イクスはい、ビクエであるフィリップ様からの任務でこの森の調査に来ていたんですよ。
イクスだけど、魔物退治も終わってもう俺が出る幕はなさそうですし、後は皆さんにお任せします。
細身の兵士そ、そうか……。
イクス最近は色々と手続きも大変ですよね。魔物を討伐するにもセールンドから発行された免許が必要だなんて。
細身の兵士……は ?
イクスあれ、知りませんでした ?ここにいるグラスバレーたちも、ちゃんと免許を取ってギルドの活動をしてるんですよ ?
イクスまぁ、免許証は今日発行したばかりで今は俺がこうして持っているんですけどね。
細身の兵士そ、そんなものが…… ?
イクスあれ ?  どうしたんですか ?もしかして、免許証を交付されていないのに魔物討伐の依頼を引き受けていたんですか ?
細身の兵士い、いや……。
イクス困ったなぁ。市民が巻き込まれないようにせっかくフィリップ様が法整備してくれてるのに……。
細身の兵士わ、悪かった。あとでその免許証とやらの発行をちゃんと申請しておくよ。だから……。
ディオあっ、そうだ !なぁイクスさん。それならやっぱりオレたちでオタオタ退治続けようぜ !
カナタそ、そうだねっ !  俺も賛成 !
イクスありがとう、みんな。実は、俺もそれが一番いいんじゃないかと思っていたんだ。
イクスというわけで、俺たちがこのまま森に残って仕事をしておきます。後は任せてください。
細身の兵士なっ !  だ、駄目だっ !
ミゼラ……駄目 ?  どうして駄目なの ?
細身の兵士そ、それは…… !お、俺だけで判断できないからだっ !一度リーダーと相談して……。
イクスじゃあ、そのリーダーの方と話しましょう。さっき一緒にいた身体が大きい人ですよね ?
細身の兵士いや、待て !  勝手に話を……。
イクス――まさか、俺たちが森にいると何か不都合がある。……なんて、言いませんよね ?
細身の兵士! ?くっ、クソッ ! !
ディオあっ、逃げた ! !
クルールクルールッ ! !
細身の兵士うわっ ! !  な、なにすんだ、こいつ ! ?
ディオナイスタックルだぜ、クルール !
細身の兵士ち、畜生……。
オリエやっぱり、イクスさんの仰る通り私たちをいち早く森から追い出したかったんですね。
カノンノ・Gあなたたちがオタオタ退治に来たっていうのも嘘だったんですか ?
細身の兵士ああ、そうだよ。まさか、魔物退治に免許証が必要だったなんてな……。
イクスああ。それ、嘘ですよ。俺が今、勝手に作っただけですから。
細身の兵士なっ…… !
カナタさっきイクスが俺たちに見せてくれた魔鏡通信には「これからする俺の話に合わせてくれ」って書いてあったんだよね。
メルでも、どうしてイクスさんはこの人たちが嘘をついてるってわかったんですか ?
ディオだよな。こいつら、態度は悪かったけど手柄を独り占めしたいんだなってくらいにしか思わなかったぜ ?
イクスうーん、確信があったわけじゃないけど俺たちがオタオタ退治に来たって言ったときにピンと来てない様子だっただろ ?
イクスそれなのに「自分たちも似たような理由だ」って言ったから、変だなって思ったんだ。
イクスあと、俺が逆の立場だとしたらそれなりに武器を持っている人間が来たら同業者じゃないかって、考えると思う。
イクスなのに、俺たちの身元も確かめずにさっさと追い出そうとしたのは、自分たちも何か探られるのは嫌だったからじゃないかと思ってさ。
ディオすげー、イクスさん !探偵みたいだぜ !
イクスははっ、ディオとミステリー小説の話をしていたから違和感に気づけたのかも。
ミゼラでも、それならどうしてその場で指摘しなかったの ?
イクス俺たちを警戒していたから、かな ?茂みに隠れて様子を見ていた人もいたし俺たちも戦ってすぐだったからさ。
オリエつまり、イクスさんは相手が油断する機会をうかがっていた、ということですね。
イクスうん。まぁ、そんなところかな。最近、こういう作戦が上手い仲間に会って影響を受けたのかも。
オリエイクスさん、その方というのは――
細身の兵士……へっ、じゃあ俺はまんまとあんたたちの術中にはまっちまったってわけか。
細身の兵士だが、これだけは言っておくぞ。俺はこれ以上何もしゃべらねえし仲間を売るつもりはない。
イクスでも、やましいことがあるから逃げようとしたんですよね ?
イクスだったら俺は、自分の目でそれを確かめに行きます。
カナタイクス、俺も行くよ。この人たちがもし悪いことをしてるんだったら見過ごすことなんてできないから。
イクスわかった。けど、ここからは魔物だけじゃなく人の気配にも注意してくれ。
イクス俺たちがいたこともあって向こうも警戒しているはずだ。
カノンノ・Gうん、そうだね。みんな、慎重に行こう。

キャラクター8話【世界8 森の奥へ】
オリエ……途中で何度か見張りの方を見かけましたが無事にたどり着けましたね。
カノンノ・Gやっぱり、イクスの言っていた通り警戒してるみたい……。
イクスああ。けど、見張りがいるってことはこの近くにさっきの人たちも……。
ディオあっ !  あそこに馬車が止まってるぞ。
メルなにか荷物を積んでいるみたい。そばにはわたしたちが会った兵士さんと……もう一人は誰だろ ?
カナタ後ろの茂みまで行けないかな ?話し声が聞こえるかも。
イクスそうだな、行ってみよう。
怪しい行商人――ご苦労さん。これで取引成立だ。ところで、部外者が森に入ったと聞いたが ?
恰幅のいい兵士気にしなくていい。丁重に対応して帰ってもらった。
ディオはぁ ?  なにが丁重に~だよ。偉そうにしてたくせに。
メル静かにしてよディオ…… !バレちゃうでしょ…… !
恰幅のいい兵士しかし、こんなものに大金を払うのはおたくくらいだ。これからも仲良く頼むぜ。
怪しい行商人わかってる。くれぐれも内密にしてくれよ。こいつの『性質』がバレたらこっちも商売ができなくなるからな。
カナタ性質……って、なんのことだろ ?
オリエそうですね、大金を払うとなると希少な宝石……とかでしょうか ?
ディオもしかして改造した武器とかかもしれねーぜ。あいつら、めちゃくちゃ悪そうな感じだし。
ミゼラ……違う。やっぱりあれはっ…… !
恰幅のいい兵士ん ?  おいっ !  そこに誰かいるのか ! ?
ディオやべっ !  気づかれた ! ?
恰幅のいい兵士お前たちはさっきの…… !まさか今の話を聞いていたのか ! ?
イクスだとしたら、マズいことでもあるんですか ?
恰幅のいい兵士ああ、大アリだね。悪いが、このまま帰すわけにはいかねえぜ !
メルど、どうしよう。囲まれちゃったよ !
カノンノ・G大丈夫、私たちが力を合わせれば…… !
オリエはい、この窮地も突破できるはずです !
恰幅のいい兵士元気がいいな。おい、あんたは先に行け。こいつらはこっちで始末しておく。
怪しい行商人あ、ああ !  くれぐれも俺たちのことはしゃべるんじゃねえぞ ! !
イクス先に馬車だけ逃がすつもりだ !
カナタでも、この数の兵士を相手にしてたら追いつけないよ !
メルそれなら、わたしに任せてください !この服で……。
メルほうきに乗って馬車を追いかけます !
ディオ待てっ !  メル !よいしょ、と !
メルわわわわっ !  ちょ、ちょっとディオまでほうきに乗らないでよ !
ディオメル一人だけで行かせられるか !馬車にも兵士が乗ってるかもしれねえしオレも行く !
メルもう、仕方ないなぁ !それじゃあ、落ちないように気を付けてよ !クルールはみんなをお願いね !
クルールクルールッ !
恰幅のいい兵士あいつら、まさか噂の空飛ぶ運び屋か !……まあいい、所詮子供だ。それよりこいつらを先にやっちまえ !
部下の兵士たちうおおおおおおおっっ ! !
オリエみなさん !  来ます !
イクス俺がいく !  はあああああっっ ! !――緋閃鏡影刃 !
カノンノ・G私も続くよ !――秋沙雨・紅葉 !
部下の兵士たちな、なんだ !  こいつら、強いぞっ !
恰幅のいい兵士怯むな !  数はこっちが圧倒的だ !そのまま一気にかかれば……。
オリエお待たせしました !  私もいきますよー !――イッツ、ショウターイム ! !
部下の兵士たちうわあああああああっっっっ ! !
恰幅のいい兵士ば、馬鹿な……。これだけの人数があっという間に……。
ミゼラ諦めて。あなたたちは勝てない。
恰幅のいい兵士クソッ…… !調子に乗るなよッ、ガキどもがあああっっ ! !
カナタミゼラッッ ! !
カナタミゼラ、平気 ! ?
ミゼラうん……。カナタが助けてくれたから。
恰幅のいい兵士ちっ。そんなに相手をして欲しいならまずは貴様からだッ !
ミゼラカナタには指一本触れさせない !
カナタ俺だって…… !誰にもミゼラを傷つけさせるもんかっ ! !
ミゼラ私がカナタを――
カナタ俺がミゼラを――
カナタ & ミゼラ守る ! !
カナタ & ミゼラデッドエンド ! !
カナタ & ミゼラブレイズ ! !
恰幅のいい兵士ぐはああああっっ ! !
イクスカナタ、ミゼラ !  大丈夫だったか ! ?
カナタうん、俺たちは平気だよ。きっと、この人も……。
恰幅のいい兵士……わかったわかった、降参だよ。部下も全員、派手にやられたみたいだしな。
恰幅のいい兵士だが、勘違いするなよ。俺たちは何も悪いことなんざしちゃいない。ただ『商品』を売っていただけさ。
ディオおーい !  みんなー !
カノンノ・Gあっ、ディオたちも戻ってきたよ。
オリエお二人とも、怪我などはされてないようですね。
ディオああ。乗ってた怪しいヤツは武器を向けただけで気絶しちゃったんだよ。で、いちおう荷物の中身を確認したんだけど……。
オリエ一体、何が入っていたんですか ?
メルそれが……この花がいっぱい入っているだけでした。全部を確認したわけじゃないんですけど……。
カノンノ・G綺麗な花……。でも、どこかで見たような……。
ミゼラシラヌイの花……。やっぱり、本当だったんだ……。
カノンノ・Gあっ、そうだ !ミゼラの付けてる髪飾りの花 !
カナタミゼラ……もしかして、知ってたの ?この人たちが渡した荷物がシラヌイの花だったってこと。
恰幅のいい兵士へっ……嬢ちゃんひょっとしてこの花の性質のことも知ってるのか ?
カナタ花の性質って……まさか !
恰幅のいい兵士そうさ。こいつは発火性の珍しい花だそうじゃねえか。俺もあの行商人から聞くまで知らなかったぜ。
恰幅のいい兵士だが、よく考えたよなぁ。この花を『不慮の事故』を引き起こしたい連中に売り込むなんてよ。
ミゼラ……ッ ! !
恰幅のいい兵士おかげでいい金になったぜ。買っていった連中が何に使うのかは知ったこっちゃないけどな。
カナタそんなことをするためにシラヌイの花を…… !
恰幅のいい兵士あ ?  だったら、どうする ?俺たちは、ただの善良な花売りだぜ ?
ミゼラ……そうね、あなたたちは私と同じ。シラヌイの花を利用しただけ。
カナタミゼラ !  何言ってるんだよ !この人たちは…… !
ミゼラ一緒だよ !私もシラヌイの花を使って火を付けた !
カナタでも、それは俺を助けるためにッ…… !
恰幅のいい兵士なんだ、偉そうなこと言っておきながら薄汚ぇ連中と同じ穴の狢か ?
カノンノ・G……違うよ。
恰幅のいい兵士はぁ ?  なんだって ?
カノンノ・Gあなたとミゼラは全然違うよ !あなたには、罪の自覚がない !
恰幅のいい兵士だから言ってるだろ、俺たちはただの花売りだって。
カノンノ・G本当にそれで済むと思う…… ?あなたたちの行動が、何を起こしたのか。知らないなんて、言わせない。
イクス……これから流通経路を調べてどんなことに使われたのかこちらでも調査します。
イクスもしあなたたちがそういった事件に使われると知りながら売っていたなら罪になることは覚悟しておいてください。
恰幅のいい兵士…………ちっ。
イクス身柄の確保は救世軍の地上部隊に任せよう。到着まで、少し時間がかかるかもしれないけど。
カナタ……ねえ、ミゼラ。少し話さない ?
ミゼラ……ありがとう、カナタ。でも、その前に一つだけ……あの人たちに確認しておきたいことがあるの。
恰幅のいい兵士……なんだ、説教は勘弁だぜ。
ミゼラ……シラヌイの花が咲いてる場所を教えて。この近くにあるんでしょ ?
恰幅のいい兵士そんなことか。それなら、この森を抜けた岬だよ。……もう行っても無駄だけどな。
ミゼラ………… ! !
カナタミゼラ !  待って !
ミゼラカナタ、離して !  私は…… !
カナタシラヌイの花が気になるのはわかるよ !だけど、今のミゼラを一人で行かせたくない !
カナタお願いだよ、ミゼラ。行くなら、俺と一緒に行こう。
ミゼラカナタ……。うん、わかった……。

キャラクター9話【世界9 あの日見た景色】
ディオ……結局、オレたちも付いてきたけどよかったのか ?
メルだって心配なんだもん。カナタさんもミゼラさんも構わないって言ってくれたし……。
カノンノ・G大丈夫、あの二人ならきっと……。
オリエ教えてもらった場所はこの辺りですね。シラヌイの花畑はどこに……。
クルールクルール !
ディオあっ、クルール !どこ行くんだよ ! ?
メルもしかして、花畑を見つけたのかな ?わたしたちも行ってみよう。
イクスえっ、ここは……。
ミゼラ……うん。たぶん、シラヌイの花が咲いてた場所。でも……。
カナタ……全部刈り取られてる。
ディオこれ、絶対あいつらの仕業だよな !だから場所を教えたんだ !
ミゼラ……カナタ、ごめんね。
カナタ……どうして、ミゼラが謝るの ?
ミゼラ私、カナタに嘘をついてたから。……ううん、カナタだけじゃない。みんなに嘘をついてた。
オリエでは、やはりミゼラさんは最初から……。
ミゼラうん。私はこの場所を探すためにオタオタの森へ向かってたの。ユナがシラヌイの花を取引している怪しい商人がいるって教えてくれたから……。
ミゼラその人を見つけて、シラヌイの花畑の場所を聞き出すつもりだった。もう一度だけ、あの光景を見たかったから……。
ミゼラでも、間に合わなかった。これで私も、諦められる。
カナタ諦めるって……駄目だよ、ミゼラ !まだほかに咲いてる場所があるかもしれないじゃないか !
ミゼラもういいの。もし見つかってもカナタにつらい思いをさせちゃうから……。
カナタ俺が…… ?  なんで……。
ミゼラ……私にとっては大切な思い出だけどカナタは違うから。あの日、私はカナタの正しさを奪ってしまった…… !
ミゼラ……だから、これは私のわがままでカナタには秘密にしておきたかったの……。ごめんなさい……カナタ…… !
カナタミゼラ……俺のほうこそ、ごめん。ミゼラがずっと苦しんでることわかってたのに俺は何もしてあげられてなかった。
ミゼラ違うよ……、カナタは悪くない !これは私の……。
カナタ聞いて、ミゼラ。俺だって、ミゼラと一緒に見たシラヌイの花畑は大切な思い出だよ。あの日の景色も、ミゼラの姿だって……忘れない。
カナタ……だから、もうそんな悲しそうな顔をしないで。今度は俺も一緒に探すよ。ミゼラと俺の、大切な思い出の景色を。
ミゼラカナタ…… !ごめんね……ありがとう。
カノンノ・Gねえ、オリエ。私たちもミゼラたちのために出来ることがあるよね ?
オリエはい、私も情報を集めてみます。きっとほかにもシラヌイの花が咲く場所があるはずですから。
イクス……ここは、俺に任せてくれないか ?
カナタえっ、イクス ?もしかして花畑の場所を知ってるの ?
イクスいや、俺の魔鏡術を使うんだよ。少し待っててくれ。意識を集中させて……。
イクス――輝け、魔鏡よ。
カノンノ・Gシラヌイの花が咲いてる !凄い !  凄いよ、イクス !
ミゼラ……綺麗。
カナタ本当に、あのとき見たシラヌイの花畑みたいだ。
ミゼラ……うん。
カナタ……ねえ、ミゼラ。もう一度、あの日みたいにミゼラに約束したいことがあるんだ。
カナタ俺は世界中の人を幸せにしたい。その気持ちは今でも変わってないよ。
カナタだけど、その世界ではミゼラも笑っていてほしいんだ。俺たちが犯した罪は決して消えないものだけれど……。
カナタ俺はミゼラに幸せになってほしい。俺がずっと、ミゼラのそばにいるから。
ミゼラカナタ…… !ごめんなさい…… !  私……ずっとカナタを苦しめてると思ってた…… !
ミゼラなのに……今は凄く、胸が温かい…… !こんなこと……許されないはずなのに…… !
ミゼラ私もカナタのそばにいたい…… !カナタは私の……光だから…… !
カナタ……うん。たとえ世界中の人がミゼラの敵になっても俺はずっと、ミゼラの味方だよ。
メルうぅっ……ミゼラさん、カナタさん…… !
ディオば、バカ…… !  なんでお前が泣くんだよ !二人の邪魔になるだろっ…… !
メルディオだって泣いてるじゃない…… !でも、本当によかったね……。
カノンノ・Gうん……私たちは一人で生きているわけじゃない。『誰か』と繋がりを持って、生きているんだよね。
オリエはい。そして、その繋がりが想いを紡いで大きな絆が生まれる……。私も『みなさん』から学んできたことです。
オリエそして、それをお伝えするのが私の務めであることが今はとても誇らしいです。
カノンノ・Gそうだね。でも、今は少しだけ二人にさせてあげよう。
イクスああ、きっと今日は二人にとって大切な一日になるだろうからな。

キャラクター10話【世界10 永遠の思い出】
フィリップ報告ありがとう、イクス。宮廷鏡士としての旅は順調みたいだね。
イクスはい、鏡映点のみんなにも会えるし修行の旅って割には楽しんじゃってる気がしますけど。
マーク別にいいんじゃねえか。ちゃんと仕事はしてるみてぇだし。
イクスあっ、そうだ。この前、俺たちが捕まえた行商人たちはどうなったんですか ?
フィリップそうか、まだイクスには伝えてなかったね。彼らが運営していた商会は営業停止処分にしたよ。無論、協力していた組織も含めてね。
マークさすがに流通したシラヌイの花を全部回収するのは難しいがこっちでも取り扱いの注意喚起は流しておいた。
マークちなみに、オリエたちもシラヌイの花の記事を出してたぜ。こっちは事件の記事というより花についてのコラムに近かったけどな。
フィリップ花自体に罪はないからね。要は扱う人間次第ってことさ。
イクス扱う人間次第……確かにそうですね。俺、今回のことで改めて思ったんです。
イクスフィルさんの言った通りどんなものも使い方次第で人を幸せにも不幸にもできる。
イクス俺の魔鏡術だってそうなんだと思います。だから俺は、この力を誰かを笑顔にするようなものにします。
フィリップ……ああ、イクスならできるはずだよ。君は優しい心を持つ鏡士だからね。
イクスはい、そのためにはもっと色々なことを学ばなければいけないと思ってます。
フィリップははっ、そうなると僕の隠居生活がますます現実味を帯びてきたね。
イクスいいんですか ?  そんなこと言うとまたマークにお小遣い減らされますよ。
マークそうだな、また無駄遣いが増えてきてるみたいだし今のうちに老後の資金に回しとくか。
フィリップええっ ! ?  そ、それは困るよ !今月も欲しい本がたくさんあるのに…… !
マークだったら、イクスたちに負けねえようにお前も働け。ミリーナとパイセンも、さっきセールンドに戻ったそうだが……。
イクスえっ、ミリーナも帰って来てるのか ?
マークまたすぐ出発するってよ。一応こっちにも寄るらしいからお前もここで待っとくか ?
イクスいや、それなら俺が迎えに行ってくるよ。
マークんじゃ頼むわ。俺はパイセンに文句言われないように飯の準備でもしとくか。
イクスははっ、それはカーリャが喜びそうだな。俺からも伝えておくよ。
イクスそれじゃあ、いってきます。
フィリップ……本当に、どんどん成長していくね、イクスは。
マークお前の親戚のおっさん具合もな。それより……まだ話さなくてよかったのか ?
フィリップ……うん。まだ調査段階だしね。結果が出るまではイクスやミリーナに余計な心配をかけたくないんだ。
マークそうかよ。けど、イクスがあげた報告書にも各大陸での魔物や生物の急増や異常気象の記録があった。
フィリップでも、そのほとんどが原因不明……。精霊の力が関与した形跡もないとなると一時的な大陸のアニマエネルギーの変化か……。
フィリップあるいは、僕たちが知らないところでこのティル・ナ・ノーグに異変が起こっている……。何かの前触れじゃなきゃいいんだけど……。
マーク縁起でもねえこと言うんじゃねえよ。それに、こっちには初代ビクエに現役バリバリの当代ビクエ様だっているんだ。
マークこの先何かが起こったとしても俺のマスターがなんとかしてくれるって信じてるぜ。
フィリップマーク……うん、そうだね。ヨーランドやほかのみんなの知識も借りて頑張ってみるよ。
マークおう、頼んだぜ。そんで、解決した後にイクスたちに自慢してやりゃあいいさ。
フィリップああ、『イクス』と『ミリーナ』から託された世界だ。必ず、僕たちで守ってみせるよ。
カーリャ長旅お疲れさまでした、ミリーナさま。カーリャも美味しいものがたくさん食べられて大満足です !
ミリーナふふっ、そうね。でも、まだ報告書を渡すお仕事が残っているから早く行きましょう。
イクスあっ !  おーい、ミリーナー !
ミリーナイクス !  どうしたの ?
イクスフィルさんたちからミリーナも帰って来たって聞いたから迎えに来たんだよ。
ミリーナそうだったのね。到着してすぐにイクスに会えるなんて今日はなんていい日なのかしら !きっと世界中の人が幸せになる日だわ !
イクスお、大袈裟だなぁ……。
カーリャあー、ミリーナさま、最近はイクスさま成分が不足してましたもんねー。
カーリャまぁ、ちゃーんとミリーナさまを迎えに来るなんてイクスさまもわかってるじゃないですか~。ということで、カーリャには何かおごってください !
ミリーナ駄目よ、カーリャ。船の中でもいっぱいお菓子食べたでしょ ?  セールンド城に着くまでは我慢してね。
カーリャううっ、仕方ありませんねぇ。わかりました。代わりに食後のデザートをマークに用意してもらいます。
ミリーナねえ、イクス。少し歩かない ?私、イクスがどんな旅をしてたのか聞きたいの。
イクスああ、そうだな。俺もミリーナに話したいことがたくさんあるんだ。
カーリャおやおや、これはカーリャも空気を読まなくてはいけない展開ですね !
カーリャそれじゃあ、カーリャも一旦さよ~なら~。また、ご飯の時間になったらお呼び出しを~ ♪
ミリーナもう、カーリャってば。
イクスははっ。でも、せっかく二人きりにしてくれたんだしよかったらミリーナの旅の話も聞かせてほしいな。
ミリーナええ、もちろんよ。それじゃあ、行きましょう。
ミリーナ――そっか。そんなことがあったのね。
イクスああ、その後はみんな自分の仕事や家に戻っていったけど、またいつでも会いに来てって言われたんだ。
ミリーナやっぱり、イクスは鏡映点のみんなからも頼りにされてるのね。
イクスそれはミリーナも同じだろ。っていうより、俺たちが鏡映点の人たちを頼りにしてるんだよな。
ミリーナでも、それだけじゃないわ。きっと私たちのことを仲間だと思ってくれているから。
イクス……不思議だよな。色んな世界の人たちと出会ってたくさんのことを経験したはずなのになんだかあっという間だったような気がする。
ミリーナええ。だけど、どんな出来事もずっと忘れないわ。きっとこれからも、そんな大事な思い出が増えていくはずよ。
イクスああ、それだけ思い出が出来たのはミリーナたちや鏡映点の人たちと出会って同じ時間を過ごせたからだと思う。
イクスだから、俺たちの今があるのはみんなのおかげで俺はこの世界を守るために生きていきたい。これからも、ずっと……。