Character | 物語1 物語1頼もしい助っ人 |
魔物 | ガルルルル ! |
ユーリ | 囲まれちまったか……。 |
ラピード | ワンワンッ ! |
ユーリ | ああ、わかってる ! |
魔物 | ガルウウウウッ ! |
イクス | ユーリさん ! |
ユーリ | よお、お二人さん。ナイスタイミング ! |
コーキス | ユーリ様、超余裕じゃん。ピンチかと思って助けに入ったのに。 |
ユーリ | 本当のピンチはこれからなんでね。 |
魔物 | ワオーーーーンッ ! |
コーキス | あいつら、仲間を呼んでる ! |
ユーリ | キリがなくて嫌んなってたところだ。一気に叩くぞ。 |
イクス & コーキス | はい ! |
ユーリ | ――よし、こんなもんか。二人ともありがとな。助かったぜ。 |
ラピード | ワン ! |
イクス | あいつら厄介なんですよね。群れで行動するから。俺も何度囲まれたか。 |
ユーリ | そういや……前と逆だったな。 |
イクス | 前と…… ? ああ、そうですね ! |
コーキス | 何が ? |
イクス | ユーリさんとラピードに初めて会ったときの話だよ。魔物に囲まれた俺を助けてくれたんだ。 |
ラピード | ワフン ! |
イクス | 懐かしいなあ……。鏡映点探しを始めたばっかりで不安だったけどユーリさんたちが手助けしてくれて。 |
ユーリ | オレたちが最初の鏡映点だったよな。それが今や……。 |
クレス | おーい ! |
コーキス | あ、クレス様たちだ ! |
ユーリ | この大所帯だもんな。 |
ロイド | あっちの魔物は全部倒したぜ ! |
アルフェン | 俺のほうもだ。しばらく魔物の被害は収まると思う。 |
コーキス | はやっ ! みんなもう片付いたのか。 |
カナタ | クレス先生とチェスターが手伝ってくれたんだ。魔物を追い込んでさ、息もピッタリだったよ ! |
チェスター | 昔はいつもクレスと二人で狩りをしてたからな。このくらいは朝飯前だ。 |
クレス | イクスたちのほうも片付いたみたいだね。 |
イクス | おかげさまで。――それじゃみんな、改めて。 |
イクス | 今日は魔物討伐に協力してくれてありがとう。これで近隣の人たちも安心して旅ができるようになります。 |
ユーリ | なんだよ畏まって。 |
ロイド | そうだよ。こんなの大したことないって。仲間なんだから当然だろ ? |
イクス | けど、ここのところ魔物が多いしみんなの大陸だって大変だろ ?急な話だったのにわざわざ駆けつけてくれてさ。 |
カナタ | そんなの当たり前でしょ。いつだって手伝ってあげるよ。 |
アルフェン | ああ、俺たちがやりたくてやってるんだ。遠慮なんか必要ない。 |
ユーリ | そういうわけだ。これからもよろしく頼むぜ。オレたちのリーダーさん。 |
イクス | ええと……、はい、頑張ります ! |
コーキス | ははっ、マスター照れてる。 |
チェスター | さてと、魔物退治も終わったし、これからどうする ?もう解散か ? |
アルフェン | よければだが……みんなで稽古をしないか ? |
アルフェン | さっきのクレスたちの戦い方を見ていてまだまだ学ぶことが多かったんだ。 |
カナタ | 賛成 ! 俺もクレス先生の稽古を受けたいです。 |
コーキス | そういや、カナタ様の世界じゃクレス様が剣の先生だったんだっけ。 |
カナタ | うん。こっちのクレス先生とも何度か稽古してるよ。今日もよろしくお願いします ! |
ユーリ | クレス先生、お願いしまーす。 |
クレス | ユーリ、また僕をからかって―― |
二人 | お願いします、クレス先生 ! |
クレス | ロイドにアルフェンまで ! ? |
チェスター | こうして集った鏡映点たちは己が剣術に更なる磨きをかけるべく英雄クレスに師事するのだった。 |
クレス | チェスター、また変なナレーションを……。 |
クレス | わかったよ。僕もみんなと手合わせはしたかったんだ。やろう ! |
ロイド | よおし、出張クレス道場開催だ !誰からやる ? やっぱイクスか ? |
イクス | ごめん。俺とコーキスだけどこの後、スレイたちと合流することになってるんだ。 |
ロイド | スレイ ? そういやリフィル先生もスレイたちと遺跡に行くって言ってたっけ。 |
イクス | うん。新しく見つかった遺跡の調査に立ち会うんだ。今日は残念だけど、またクレス道場が開かれるときには呼んでもらえるかな。 |
クレス | もちろん。いつだって大歓迎さ。 |
コーキス | 絶対だぞ、クレス様 ! 絶対呼んでくれよな ! |
イクス | ほら、行くぞコーキス。それじゃみんな、何かあったら連絡よろしく。 |
ロイド | 了解 ! 先生たちにもよろしくな。 |
ユーリ | ……本当に頼もしくなったよな。 |
クレス | イクスたちかい ? |
ユーリ | ああ。最初に会ったときはなんであいつらみたいな子供が世界を背負わなきゃならねえのかって思ったけどよ。 |
ユーリ | あいつだから、背負えたんだろうな。 |
ラピード | ワン。 |
クレス | うん。僕たちも負けてられないね。 |
クレス | それじゃ稽古を始めよう。みんな、今日は総当たり戦でやろうか ! |
全員 | よっしゃーーーー ! |
Character | 物語2 出発の準備 |
ウォーデン | よし、こんなものか。……うん ? ここが少し曇っているな。 |
バルド | ウォーデン様 !窓拭きまで、ご自分でなさっているのですか ?そのようなことは私が。 |
ウォーデン | 構わん。俺の荷造りはほとんど終わっている。残っているのは掃除くらいなものだ。 |
ウォーデン | それにこの浮遊島には世話になった。使った者が清めて返すのは礼儀だろう。 |
バルド | 本当に律儀なお方ですね。では私も一緒に。 |
バルド | ですが、こういうことは月ではお控えください。威厳を重んじるトルステンやローゲは咎めるでしょうから。 |
ウォーデン | わかっている。だからこそお前と二人きりのときくらい好きにさせてくれ。 |
バルド | ふふっ、いいよ。可愛い弟の頼みだ。こうしているのも、子供の頃に戻ったみたいで楽しいからね。 |
ウォーデン | ……こんな穏やかな日を送れることを感謝しなければならないな。イクスたちや鏡映点それに……未来からの来訪者たちに。 |
バルド | そうだね。彼らのおかげで僕たちはこうして無事に月へと旅立てる。 |
ウォーデン | あれから身体に異常はないか ? |
バルド | ああ。フィリップさんやヨーランド様の見立てだと僕の中のバロールの力は徐々に弱まっているみたいだ。いずれは消滅するらしいよ。 |
ウォーデン | ならばよいが、異変があればすぐに言えよ。 |
バルド | もちろん。世界に関わることだからね。 |
ウォーデン | それもあるが、お前に何かあれば新しいビフレストの再建にも支障が出るだろう。 |
ウォーデン | お前がいなければ……俺が困る。 |
バルド | ……ごめんよ、ウォーデン。心配させてしまったね。 |
ウォーデン | 俺のことはいい。それよりも、お前には『あのバルド』のために、生きて果たさねばならぬことがあるはずだ。それを忘れるなよ。 |
バルド | わかってる。彼の根源であるウォーデンとメルクリア様への想いはしっかりと刻まれているよ。僕の中にね。 |
ウォーデン | そういえばメルクリアはどうした。 |
バルド | 手伝いに来てくれたみんなと庭のほうへ行ったよ。何か用事かい ? |
ウォーデン | あいつの部屋を見たら、まったく片付いていなかった。月に発つ日も迫っているというのに……。 |
ウォーデン | 連れ戻して片付けさせる。こういうことはきちんと教えねば。 |
メルクリア | この花は、このまま鉢に植えてよいのか ?しおれたりせぬか ? |
ソフィ | 大丈夫。でも、しばらくは日陰で水をあげて。そうしたら元気になってくるから。 |
メルクリア | ふむ。日陰……月での移植の際は植える場所も考えねばならぬな。 |
サラ | それなら、このヒカリバナは水辺に植えてみて。もっと増えると思うよ。私の世界では湖のそばにたくさん咲いてたんだ。 |
アレン | 特に夜は絶景だよ。風に吹かれると舞い散る花びらが光って……すごく綺麗だった。 |
サラ | うん、懐かしいね。 |
コハク | メルクリアー、お待たせ ! |
シング | コハク、どこに行ってたの ?それって……。 |
コハク | うん大豆の苗持ってきたんだ。浮遊島にいたときに土から作って育ててたやつだよ。わたしたちが離れても元気だったから、持ってって ! |
五人 | (ミソだ……) |
メルクリア | なるほど。月での食糧事情も考えねばな。これは楽しみじゃ ! |
カイウス | そういやメルクリアそろそろあっちも始めないとヤバいだろ。部屋の片付け。 |
ルキウス | 移住までもうあまり日がないんだよね ?かなり荷物が残ってたけど……。 |
メルクリア | そうじゃな。兄上に見つかったら大目玉じゃ。だが、今日はこちらを優先で頼む。 |
メルクリア | そなたらが荷造りの手伝いに来てくれたおかげでお別れだと思っていたこの花畑も『引っ越し』できると知れたのじゃからな。 |
メルクリア | ……花の株分けなぞ、そなたらの提案がなければ考えもしなかった。これで月にいるチーグルやローゲにも見せてやれる。 |
ソフィ | はい、メルクリア。これも大切に育ててね。 |
メルクリア | その花は確か……。 |
アスベル | クロソフィだよ。俺たちにとって大事な花なんだ。チーグル……トルステンにも渡してくれ。 |
メルクリア | そうか。アスベルからならあやつも喜んで受け取るじゃろう。 |
ソフィ | 月でもたくさん咲かせてね。何十年、何百年先まで残って『あの人たち』の時代が花でいっぱいの世界になるように。 |
ソフィ | それにね、『心が安らぐような場所』があればきっと、みんなそこで出会えると思うんだ。 |
アスベル | そうだな。俺とソフィも、ラントの裏山みたいな花がいっぱいの場所で再会できたもんな。 |
メルクリア | 確かに、ヘイズ殿はこの花畑をいたく気に入っていた。 |
メルクリア | 月でもそんな場所が作れればコダマたちとも、そこで出会えるじゃろう。 |
メルクリア | しかしそうなるともっと植物について学ばねばならぬな。責任重大じゃ……。 |
シング | 大丈夫。きっとコハクのスピリアみたいな綺麗な花がたくさん咲くよ。 |
コハク | わ、わたしのスピリアはともかくみんなの願いがこもってるんだからきっと花たちも応えてくれるよ。 |
メルクリア | うむ。この浮遊島の花畑に負けないくらい見事な花を咲かせてみせよう。 |
サラ | 楽しみだね。きっと素敵な景色になるよ ! |
アレン | ああ。僕たちもいつか遊びに行きたいね。 |
カイウス | だったらみんなで行こう。そうだ、ルビアたちにも知らせとくか。今から準備しといてもいいよな ! |
ルキウス | 待って、兄さん。そんなにすぐに押しかけると迷惑がかかるよ。 |
ルキウス | メルクリアたちには月で大切な役目がたくさん待っているはずだから。それに……。 |
ルキウス | 月との行き来が気軽にできるようになるのはもう少し先だろうし……。 |
カイウス | そうだった……。確か今は、限られた人たちだけが行ける状態なんだっけ。 |
ルキウス | うん。月と簡単に行き来ができるゲートが完成するのは未来の話なんでしょ ?今はジュニアたちが研究してる最中だから。 |
メルクリア | そうじゃな。少しの間……いや、もしかしたらおぬしたちと顔を合わせる機会はしばらくないかもしれぬ。 |
シング | 心配しないで。遠くに行ってもきっとスピリアがオレたちを繫げてくれるよ。 |
コハク | そうだね。メルクリア、わたしたちと繋がっていること絶対に忘れないでいて。 |
メルクリア | そなたたちには辛い思いをさせたというのに……。 |
メルクリア | ありがとう、皆。そなたたちに出会えて、本当に良かった。 |
メルクリア | ビフレストの再興を無事成し遂げたら必ず招待する。そのときは皆を『友』として歓迎させて欲しい。……良いだろうか ? |
カイウス | 当たり前だろ。喜んで行くって ! |
ルキウス | 本当によかったね、メルクリア……。 |
メルクリア | うむ ! |
バルド | ……ウォーデン様、メルクリア様の荷造りならば私も手伝います。今日はひとまず、このままにしていただけませんか ? |
ウォーデン | まったく……甘い奴だな、お前は。好きにすればいい。 |
バルド | ふふっ。きみも十分甘いけどね。 |
Character | 物語3 遺跡探検 |
リフィル | 私の見立てだと数千年は経っているはずだ。スレイたちの世界であればアヴァロストの調律時代のものではないか ? |
スレイ | たぶんね。ルーフェイの神殿に似てる気もするしあの特殊な意匠とかは天響術を使ったものだと思う。それが具現化されてるんだよ。 |
イクス | う~ん……けどやっぱり決め手が欲しいな。ミクリオはどう思う ? |
ミクリオ | 僕の見解もスレイと同じだ。ただ、年代はもう少し広く考えてはどうだろう。クローズド・ダークまで含めるべきかもしれない。 |
リフィル | となると、さらに数千年の幅が出てしまうか。う~ん、悩ましいが面白い ! |
三人 | わかんねー……。 |
リアラ | リフィルさんも遺跡モード全開ね。 |
オリエ | 楽しそうで何よりです。 |
リフィル | そうだ、オリエ !お前の世界に似たような遺跡はないか ! ? |
イクス | そうか ! 鏡映点たちと同じ人物がいるなら歴史や世界も似通った部分があるかもしれない。こっちに来てくれ ! |
コーキス | やべえ、オリエ様が巻き込まれた ! |
オリエ | 望むところです。みなさんのあの熱量、いい取材ができそうですよ ! |
スタン | ……オリエって絶対レイアの影響受けてるよな。 |
カイル | ですね……。取材に行くときのレイアとそっくり。 |
コーキス | うちのマスターもさ、スレイ様やミクリオ様の影響を受けまくってるんだよ。最近はリフィル様にも似てきた気がして怖いぜ。 |
スタン | コーキス、怖いなんて言ってるけどなんかご機嫌じゃないか。 |
コーキス | まあな。楽しそうなマスター見てると嬉しくてさ。 |
カイル | わかるなあ。オレもリアラが笑ってるとすごく嬉しくなるし。 |
リアラ | ふふっ、わたしもよ、カイル。 |
スタン | 二人は本当に仲がいいよな。な、ルーティ。 |
スタン | ……あれ ? ルーティがいないぞ ?おーい、ルーティ ! |
ルーティ | ふふ~ん、大漁大漁 ♪ |
スタン | いったい、どこ行ってたんだよ。それに、その袋は ? |
ルーティ | すごいでしょ。中身は全部金貨よ。 |
コーキス | 金貨 ! ? いつの間に……。 |
ルーティ | スレイたちがあっちこっちで立ち止まってゴチャゴチャやってたでしょ ?その間に偵察がてら集めたの。 |
カイル | さすが母さ……ルーティさん ! |
ルーティ | でね、その途中で見つけた通路の奥にすごいお宝がありそうなのよね。 |
ルーティ | というわけで、スタン、行くわよ ! |
スタン | ええっ、俺も ? |
ルーティ | 当然 ! お宝次第じゃ荷物持ちがいるでしょ。ほら、早く。 |
スレイ | ルーティ、ちょっと待って ! |
ルーティ | なに、あんたたちも来る ? でも分け前は―― |
スレイ | そうじゃなくて、ここから先はなるべくみんな一緒に進みたいんだ。 |
ルーティ | なんで ? 魔物は大した強さじゃなかったし罠だって見当たらなかったけど。 |
スレイ | うん、ルーティの力量は信用してる。けど、最近は魔物が迷い込むどころか巣にしてるような遺跡も多いんだ。 |
ルーティ | はいはい。しょうがないわね。じゃあ、みんなで行けばいいんでしょ。こっちはお宝の気配でウズウズしてるんだから。 |
スレイ | それもごめん。もう少し時間がかかるかも。 |
ルーティ | な、どういうことよ ! ? |
ミクリオ | 魔物が棲みついているかもしれないと言っただろう。そういう遺跡は魔物の行動による損傷が激しいんだ。放っておくと、そこからどんどん崩壊する。 |
ミクリオ | 僕たちは破損個所を確認してできるだけ修復も行っているんだ。 |
スレイ | 遺跡たちだってせっかくこの世界に生まれてきたんだ。出来れば未来までずっと残っていて欲しいからさ。 |
スレイ | とはいっても、具現化による年代の混合が見られるから修復の仕方も複雑なんだよね。リフィル先生にも協力してもらってるけど……。 |
リフィル | ふむ……少し欠けているがこの程度なら修復の必要はないな。 |
スタン | スレイたちってそんなこともしてたのか。結構大変そうだな。 |
スレイ | けど、やりがいはあるよ。今も世界中を周ってるけど、まだまだオレが知らない遺跡がたくさんあると思う。 |
スレイ | それを見つけて、調査して、みんなで話し合ってさそういうの考えただけでワクワクするんだ。ミクリオだってそうだろ ? |
ミクリオ | まあね。スレイと一緒なら一生退屈はしないだろうな。 |
リフィル | 素晴らしい ! 好奇心は学問全ての根源だ。お前たちは最高の生徒だぞ ! |
ルーティ | もー、わかったわかった !今日はあんたたちのペースに合わせてあげる。 |
ルーティ | それと、これからの遺跡探索もたまになら付き合ってあげてもいいわ。遺跡を未来に残すってのも悪くない話だし。 |
スレイ | 本当 ! ? ありがとう、ルーティ。 |
スタン | いやいや、ルーティの目的は別だろ ?世界中のお宝を―― |
ルーティ | なんか言った ? |
ソーディアン・ディムロス | 口は災いの元だぞ、スタン……。 |
ソーディアン・アトワイト | 放っておきなさい、ディムロス。ルーティも楽しんでるんだから。 |
ルーティ | ちょっ、アトワイト ! ? |
カイル | スレイ、スタンさんを呼ぶならオレも呼んでよ。遺跡調査のついでにみんなと手合わせできるし。 |
リアラ | わたしも行くわ。カイルと遺跡デートしているみたいで楽しいもの ♪ |
リフィル | ふふっ、本当に仲がいいこと。 |
コーキス | あ、遺跡モードが解けた。 |
ミクリオ | オリエ、何を書いてるんだい ? |
オリエ | 本日の調査の成果と、先ほど話していたみなさんの志や想いをメモしているんです。 |
オリエ | 今日聞いたお話はきちんと記事にさせていただきますね ! |
イクス | 『オリエの先出し放送局☆』か。また評判になるんだろうなあ。 |
スレイ | イクスたちもありがとう。忙しいだろうけどこれからも一緒に遺跡調査をしたり意見交換してもらえる ? |
イクス | もちろん ! 俺もすごく楽しいよ。 |
コーキス | ぶっちゃけ難しい話はわかんないけど、遺跡巡りは探検してるみたいで面白いから、いつでも参加するぜ ! |
イクス | 次はミリーナたちにも声をかけてみようかな。スレイたちと初めて会ったときみたいに探検中におやつ食べたりしてさ。 |
コーキス | そんな楽しそうなことしてたんだ。おやつ付きならパイセンも喜びそうだな ! |
イクス | 今日はジュードたちに会いに行ってるよ。向こうでも何かの集まりがあるって言ってたけど……何してるんだろうな。 |
Character | 物語4 楽しき集い |
エル | これ、おいしーーーー !ルドガー、おかわり ! |
ルドガー | 嬉しいけど、そんなに食べて大丈夫か ? |
カーリャ | はーやも、おふぁありふらはい ! |
ファラ | え、何 ? |
ミリーナ | ふふっ、カーリャもおかわりですって。 |
カーリャ・N | ……もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……ごくん。お行儀が悪いですよ、小さいカーリャ。そんなに頬張りながらしゃべって。 |
ライフィセット | カーリャの気持ちもわかるよ。こんなに美味しい料理が山ほど並んでるんだもん。 |
ファラ | どんどん食べて感想を聞かせてね。今日は新作料理の発表会なんだから。 |
リッド | しかし、すげえな。よくこんなに思いつくもんだ。 |
イリア | そうねえ。あたしも料理はするけどあのメンバーはレベルが違うっていうか。あ、ピーチパイ最後の一切れじゃない。もらうわよ。 |
ヴェイグ | ……。 |
クレア | 大丈夫よ、ヴェイグ。ピーチパイはたくさん作ってあるから今、新しいのを持って来るわ。 |
ヴェイグ | ありがとう。 |
イリア | もしかしてこのパイ、ヴェイグも狙ってたの ?ごめんあそばせ~、こういうのは早い者勝ちだから ♪ |
ヴェイグ | 仕方がない。クレアのピーチパイは美味いからな。 |
クレア | ありがとう。でも、やっぱりポプラおばさんのピーチパイには敵わないわ。どんなに再現してもやっぱりどこか違うの。 |
クレア | ……なんだか食べたくなっちゃったわね。 |
ヴェイグ | クレア……。 |
イリア | ちょ、ちょっと、なにしんみりしちゃってんのよ。ほら、このピーチパイはあげるから。あたしはえーと、こっちのお肉食ーべよ ! |
ミゼラ | それは私のお肉よ。手を出さないで。 |
イリア | 大皿にのってんだから誰が食べてもいいじゃない。あたしだってお肉が好きなんだから ! |
シオン | 騒がしいわね。肉ばかり取り合わないで他のものを食べればいいでしょう。 |
イリア | あんた……目の前の皿、全部空にしておいてどの口が言うわけ ? |
セネル | 待たせたな。今回の新作パンは10種類だ。好きなのを選んでくれ。 |
シャーリィ | 焼きたてだから気をつけてくださいね。 |
シオン | ひと通りいただくわ。 |
ミゼラ | お肉が入ってるパンはある ? |
セネル | 作りすぎたかと思ったけど……。 |
シャーリィ | うん、すぐに次を焼かないと間に合わないね。 |
エル | ねえ、ルドガーたちはちゃんと食べてる ?作ってばっかりで、ソンしてない ? |
ルドガー | ありがとう、エル。俺たちは大丈夫だよ。味見でたくさん食べてるから。 |
ファラ | うん。それにね、作った人にとっては美味しそうに食べてくれる人の顔が一番のご馳走なんだ。 |
ミリーナ | 私たちはお互いのレシピを知れてレパートリーも増えるからファラ主催の料理発表会はいいことずくめなのよ。 |
ジュード | わあ、いいにおいだね。 |
アニー | 本当ですね。急にお腹が減ってきました。 |
ミリーナ | お疲れ様。医療班の勉強会、終わったのね。 |
ルカ | うん。すごくためになったよ。 |
ミリーナ | 私たち、騒がしくなかった ?ジュードさんたちとも会いたいから勉強会と同じ日にしちゃったけど……。 |
ジュード | 全然気にならなかったよ。こっちも集中してたし。 |
アニー | はい。むしろ同じ日で嬉しいです。頭を使って疲れた後に美味しい料理が待っているんですから。 |
ルカ | 本当だね。あ、イリアの食べてるお肉、美味しそう。 |
イリア | 駄目 ! これはあたしの分 !やっとミゼラと話がついたとこなんだから。 |
ルカ | とらないってば……。っていうか、ミゼラと何があったのさ……。 |
ベルベット | 心配しなくてもあんたたちの分はちゃんとあるわよ。ちょっと待ってなさい。 |
ライフィセット | ベルベット、僕も手伝うよ。 |
ベルベット | それならスープの火加減を見ててちょうだい。あれ以上煮詰めると、しょっぱくなるから。 |
ライフィセット | しょっぱく……か。うん、わかった ! |
ルカ | ライフィセット、嬉しそうだったね。 |
ミリーナ | ええ。ベルベットが料理するときはいつもあんな感じよ。 |
ミリーナ | ベルベットの味覚が戻って思い切り料理できるようになったことが自分のことみたいに嬉しいのね。 |
アニー | 確かエンコードの影響ですよね。この世界に来たことがいい方向に出て何よりです。こういう例ばかりだといいんですけど。 |
ジュード | そうだね。鏡映点のみんなについてはまだまだわからないことが多いし医療班の僕たちはもっと学ばないと。 |
ミリーナ | それじゃ、私もベルベットたちを手伝ってくるわね。 |
ジュード | 待って、ミリーナ。忘れないうちにこれを渡しておくよ。 |
カーリャ | なんですかそれ。美味しいものですか ? |
ミリーナ | 本当に食いしん坊ね、カーリャは。これはジュードさんに頼んでいた薬や医療品よ。――いつもありがとうございます。ジュードさん。 |
カーリャ | お薬……うえええええジュードさまの作った激ニガ解毒薬の記憶が……。 |
ジュード | あはは、懐かしいな。あのときは拾い食いが原因だったっけ。今日は食べすぎに気をつけてね。 |
カーリャ・N | 拾い食い ?小さいカーリャ、あなた何をしていたんですか……。 |
カーリャ | わわっ、先輩、聞いてたんですか ! ?先輩だってお腹が空きすぎたらやっちゃうでしょ ?月に行ったら気を付けてくださいね。 |
カーリャ・N | ここでも月でもしませんよ ! |
ミリーナ | とにかく、ジュードさんたちには本当に感謝だわ。カーリャみたいな鏡精や色んな事情のある鏡映点のみんなを診てもらえて。 |
アニー | 確か、ジュードさんは精霊についても勉強してるんですよね。 |
ジュード | うん。僕たちの世界では精霊術を使ってたからね。ティル・ナ・ノーグの精霊も含めて再研究してるんだ。 |
カーリャ | すごいじゃないですか !やっぱりミラさまのためですか ? |
ジュード | 切っ掛けはそうだけど、今は僕がそうしたいから。この世界では、ミラみたいに精霊に属する人がたくさんいるでしょ ? その人たちを診るためにもね。 |
ミリーナ | そういえば、ミラさんは元気 ? |
ジュード | うん。最近はクラース精霊研究室のメンバーと連絡を取り合ってたよ。なんだか忙しそうだったな。 |
ジュード | キール研究室やフィリップさんからも頻繁に連絡が来るみたいで……。ミリーナは何か聞いてる ? |
ミリーナ | いいえ、何も……。ネヴァンは ? |
カーリャ・N | 私も聞いていませんね。 |
ミリーナ | みんな、ちょっといい ?フィルやキール研究室と連絡を取り合ってる人がいたら話を聞かせて欲しいの。リッドさん、何か知らない ? |
リッド | 何かっつっても……そうだな……。この前キールに会ったときは、フィリップから精霊の調査を頼まれたとか言ってたくらいだぜ ? |
ルドガー | そういえば兄さんもキール研究室の人たちとよく連絡を取っているな。 |
カーリャ・N | ……何かあったのでしょうか。 |
フィリップ | ミリーナ、ちょっといいかい ? |
ミリーナ | フィル、ちょうどよかったわ。連絡しようと思ってたの。 |
フィリップ | そうか。こちらはちょっと込み入った話になる。今からセールンドに戻って来てもらえるかな。 |
Character | 物語5 調査結果 |
フィリップ | みんな、この資料を見て欲しい。キール研究室とクラース精霊研究室からの報告を元に纏めたものだ。 |
フィリップ | 現在ティル・ナ・ノーグで起きている地盤沈下、異常気象、魔物の大量発生箇所と精霊の力を数値化したものを重ねてある。 |
ハロルド | やっぱりね。大陸の異変と精霊に関連はなし。クラースの予想通りってわけね。 |
クラース | ああ。精霊たちの気分次第で多少の変化はあるが力は安定している。 |
ミラ=マクスウェル | 念のため四大の力も借りて調べたが暴走しているような者はいなかった。 |
ミラ=マクスウェル | エミル、大樹の様子はどうだった ? |
エミル | 変化はなかった……よね ? テネブラエ。 |
テネブラエ | はい。私とラタトスク様で調査しましたので間違いありません。 |
ラタトスク | ったく、精霊精霊って異常が出りゃ、なんでもこっちのせいにされるのは迷惑だぜ。 |
キール | 参ったな。確実に異変の報告は挙がっているしそのスパンも短くなってきている。なのになんの手掛かりもないなんて。 |
ユリウス | 引き続き調査を進めるしかないだろう。だが……。 |
リタ | そうね。結果は変わらないでしょ。今までと同じことしかできないんだから。 |
ジェイド | あるいは、変化が見られるようになる頃には取り返しのつかない事態になっているかもしれませんね。 |
マーク | ……もうちょい希望のある見解は聞けないもんかね。 |
ジェイド | 嘘でよければ、いくらでも。 |
マーク | ったく、やっぱパイセンの言う通り陰険鬼畜メガネだぜ。 |
ジェイド | ともかく、ここまで調べつくした今我々にできることはこれ以上ないということです。 |
ジェイド | フィリップ、ここから先は世界の理に踏み込むことができる『あなた方』の判断にお任せするべきかと思います。 |
フィリップ | 鏡士の領域、ということだね。承知した。 |
ユリウス | イクスやミリーナに連絡は ? |
フィリップ | 入れておいたよ。あの資料を纏めたときからそうなるような気がしてたから。ウォーデンさんたちも呼んでいる。 |
テネブラエ | おや、判断がお早い ! |
フィリップ | みんなには束の間でも穏やかに過ごして欲しいと思ってたけど……こうなっては仕方がないね。 |
カノンノたち | お邪魔しまーす。 |
ルーク | お、いたなジェイド !……あれ、もしかして取り込み中か ? |
フィリップ | いや、ちょうど終わったところだよ。 |
ルーク | だったらいいよな。ジェイドを借りてくぜ。 |
マーク | なんだ、遊びにでも行くのか ? |
ルーク | ちげーよ。ピオニー陛下から頼まれたんだ。 |
ジェイド | 嫌な予感しかしませんが、どういった用向きで。 |
ルーク | 聖人ジェイド像に続く観光目玉を開発したんだとさ。光るジェイドキーホルダーとか、ジェイドの名前が掘ってある木刀とか、色々作ったみたいだぜ。 |
ルーク | 本人に確認して欲しいから連れて来いって言われた。あと、後日になるけど新商品の完成披露会もやるからよろしくだってさ。 |
ジェイド | そうですかー。陛下は相当お暇なようですねえ。では山ほど仕事を持って帰りましょう。 |
テネブラエ | ジェイドさんの周囲に闇のオーラが見えます。美しい…… ! |
カノンノ・E | ほら、みんな急いで !早くダアトに行かないと『ジェイド祭』の打ち合わせが始まっちゃう。 |
ジェイド | ……今なんと言いました ? |
ルーク | さっき言ったじゃねえか。新商品の完成披露会だよ。それが『ジェイド祭』。 |
リタ | なにそのイベント、バカっぽい。 |
ハロルド | え~いいじゃない !おちょくり……じゃなくて面白そう ♪ |
P・カノンノ | でしょう ? 私たちそのイベントでライブをすることになってるの。 |
カノンノ・G | バンドで出演するのは久しぶりだからちゃんと段取り組まないとね。 |
クラース | じゃあ、ディオとメルもか ? |
メル | はい。わたしたちはルークさんたちと一緒に舞台劇をやるんです。うまくできるか心配だけど……。 |
ディオ | なに言ってんだよ。こういうときこそ、なりきり士の力の見せ所だろ。『ジェイド祭』で驚かせてやろうぜ ! |
ルーク | そうだ、みんなも来てくれよ、『ジェイド祭』。っていうか絶対来い。笑えるから ! |
ルーク | ほら、行くぞジェイド。お前は『ジェイド祭』の主役なんだからな。頑張ろうな『ジェイド祭』 ! |
ジェイド | ルーク……、わざと言ってますね。 |
カノンノ・E | フィリップ、マーク、絶対に来てね ! |
二人 | 「う、うん」「お、おう」 |
マーク | ……なんか妙な約束しちまったな。 |
フィリップ | うん、勢いでつい返事しちゃったよ。 |
マーク | でもまあ、可愛い妹分の頼みだ。約束を守るためにもさっさとこっちの問題を解決しようぜ。 |
ルーク | 何やってんだよジェイド、早くしろって。 |
ジェイド | あなた方、さきほどの私たちの話、聞いていましたね ? |
ジェイド | やはりそうでしたか。扉の外で息をひそめていたのでしょうが気配を隠しきれていませんでしたよ。 |
ディオ | オレたち、まだまだ修行が足りないなあ……。 |
メル | あの、ごめんなさい……。 |
ジェイド | 責めているわけではありません。少々疑問だったもので。 |
ジェイド | あなた方には世界の異変を知らせずにいるのにどうして私を問い詰めないのかと。 |
ルーク | んな必要ねえよ。本当に力を貸して欲しいときが来ればジェイドなら言ってくれるだろ ? |
カノンノ・E | 私たちもそう思います。それで今は聞かなかったことにしようってみんなで決めたんです。 |
カノンノ・G | うん。知らせないことにもちゃんと理由があるはず……でしょう ? |
P・カノンノ | 私たちはみんなを信じてる。だからいいの。 |
ジェイド | ……そうですか。 |
ルーク | よし、話は終わりだな。さあ、キリキリ歩け ! |
ジェイド | やれやれ、逃げる口実が出来そうだったんですがね。 |
ルーク | その手には乗らねえよ。 |
ルーク | お前ら、絶対にジェイドを逃がすなよ。必ず連れてくぞ ! |
全員 | はーーい ! |
ジェイド | まったく本当に……地獄ですねえ。 |
Character | 物語6 異変の原因 |
ウォーデン | ――観測した数値に変化はないが各地から異変の報告が相次いでいる、か。 |
イクス | 確かに魔物の大量発生の報告は増えてたし居住地まで現れるようになってました。ずっと違和感はあったけど……。 |
ミリーナ | 研究室のメンバーが調べても原因がわからずじまいだなんて。 |
フィリップ | うん。だからこそ思い当たることがある。彼らにも踏み込めない領域があるだろう ?世界の根源たるダーナに関することだ。 |
フィリップ | この世界は、ダーナという存在で造られている。そのダーナに問題が起きているのかもしれない。 |
イクス | でも、ダーナの心核は修復されましたよね ? |
フィリップ | うん。その修復が本当に完全か確認する必要がある。それともう一つ気になっているのは心核自体が弱っている可能性だ。 |
ウォーデン | ダーナの心核が弱る……というのはティル・ナ・ノーグという世界が弱り始めているという意味か ? |
フィリップ | まだ憶測でしかないよ。けれど、考えてみると思い当たる節がある。 |
フィリップ | 報告があったのは地盤沈下などの地殻変動。そして魔物の大量発生や狂暴化だ。 |
フィリップ | 本来であれば、そういったトラブルや害をなす存在が現れてもダーナ自らの防御機構が働くはずだ。 |
ミリーナ | 人の身体に免疫があるのと同じというわけね。 |
メルクリア | ふむ。風邪を引いたとしても熱が出たり汗をかいたりしながら自然に治っていくのと同じ……というわけか ? |
フィリップ | そのとおり。恐らく、その機能が衰えてしまっているんじゃないかと思うんだ。その例が幻影種という存在だよ。 |
フィリップ | 幻影種は、バルドとルグが持つバロールの力が異様な干渉をし続けたことで発生した事象だ。 |
フィリップ | もしダーナの防御機構が正常に機能していれば幻影種が発生したとしても、ティル・ナ・ノーグが滅びるほど急激に増えることはなかったと思う。 |
コーキス | コダマたちから聞いた未来は酷かったもんな……。 |
カーリャ・N | 確かに説明はつくかもしれません。ですが、精霊に異常がないのは何故なのでしょう。 |
フィリップ | 精霊はダーナではなくアイフリードが生み出した存在だから……かな。あくまで僕の推測だけどね。 |
フィリップ | もちろん、この世界が滅びるまでに至れば精霊たちにも異常が現れるだろうけど。 |
マーク | あの陰険メガネ、精霊の異常を感知できる頃には取り返しのつかないことになっているとか言ってたけどあながち間違いじゃなかったってことか。 |
カーリャ | 陰険メガネってジェイドさまのことですか ?口が悪いですねえ。 |
コーキス | よくジェイド様のことってわかったなあ。言い出しっぺのパイセン。 |
カーリャ・N | あなたたち、やめなさい。とにかく、これで皆さんが密かに動いていた理由も理解できました。 |
カーリャ・N | ティル・ナ・ノーグの幻影種はまだ殲滅前です。これ以上、幻影種が増えないように他の方々を不安にさせたくなかったのですね ? |
フィリップ | うん。心が弱ると幻影種が発生しやすくなるからね。研究室のメンバーには、色々と苦労をかけてるよ。 |
フィリップ | でも、みんながあらゆる調査で要因を絞ってくれたから僕たち鏡士の領域だということがわかった。 |
フィリップ | そこでだ。イクス、ミリーナそしてビフレストの方々にもダーナの心核の調査に協力してもらいたい。 |
イクス | もちろんです。 |
ミリーナ | ええ。やらせて、フィル。 |
メルクリア | 兄上様 ! |
ウォーデン | ああ、我々も協力する。太陽神ダーナの祭司の末裔として見過ごせるわけがない。 |
ウォーデン | ビクエよ、是非協力させて欲しい。 |
フィリップ | みんな、ありがとう。では、これから全員で、ダーナの心核が安置してある精霊の封印地へ向かう。 |
フィリップ | 先にヨーランドやジュニアが調査してるけど少し難航しているようなんだ。 |
メルクリア | ジュニアめ、出かけてばかりいると思ったらそんなことをしておったのか。 |
メルクリア | あやつの荷物はすっかり片付いておった故月に持ち込む機材でも買い集めておるのかと思ったわ。 |
バルド | ジュニアの部屋なら、随分前からジュニアのマークが片付けていましたよ。 |
メルクリア | なんと ! 自分でやっておらぬのか。まったく鏡精をなんと心得る。 |
マーク | 奴らのことは大目に見てやってくれ。『フィリップ』がそんな手際よく片付けられるわけがねえからな。なあ、フィル。 |
フィリップ | う……、そうだね。けど、こっちの件は手際よく片付けてみせるよ。イアハートたちが待ってるからね。 |
マーク | お、言うねえ。さすが俺のご主人様だ ! |
ミリーナ | マーク、イアハートたちがどうかしたの ? |
マーク | くくくっ、それがよ、オールドラント大陸で『ジェイド祭』っていうのが―― |
Character | 物語8 消失 |
バルド | ……駄目です。魔鏡通信も通じない。 |
コーキス | なあ、そっちはどうなってる ! ?マスターはどこに消えたかわかったのか ? |
メルクリア | 静かにせぬか !兄上様たちが調べておるのじゃぞ。 |
カーリャ・N | そうですよ、コーキス。落ち着きなさい。 |
マーク | イクスが無事なのは間違いないんだ。お前が消えてないんだからな。 |
コーキス | そりゃわかってるけどさ ! |
マークⅡ | わかってたって心配だよな。先輩方みたいに冷静でいろってのが無茶なんだよ。 |
マークⅡ | で、ジュニア、どこまで探れてる ?やっぱイクスはダーナの心核の中にいるのか ? |
ジュニア | ……ううん、どこにもいない。気配もないよ。 |
ヨウ・ビクエ | イクスはあのとき、「何か大きな」って言いかけてたわ。ダーナ様の力なら『何か』なんて言わないはずだけど。 |
フィリップ | だとしたら、イクスはダーナとは別のものにアクセスしてしまったんじゃ……。 |
ウォーデン | 別のものだと ? 一体―― |
バルド | ウォーデン様 ! ? |
メルクリア | 兄上様 ! どこに―― |
カーリャ | また消えました ! |
ミリーナ | みんな、気を付けて―― |
マークⅡ | ジュニア、こっちだ ! |
ジュニア | マー…… ! |
マーク | フィル、来い ! パイセンも―― |
コーキス | 俺たちまでどっかに飛ばされる ! ? |
ヨウ・ビクエ | 落ち着いて。悪い力は感じないから―― |
コーキス | くそっ !どうせならマスターと同じところに送ってくれ ! |
コーキス | ……あれ ? ここは―― |
ワイズマン | 皆さん、突然お呼び立てして申し訳ありません。 |
コーキス | おいおいおい !このタイミングって過去イチ悪いぞ ! |
カーリャ | そうですよ ! お祭りしてる場合じゃないんです ! |
ワイズマン | もちろん、事情はわかっています。イクスさんのことですね。 |
ミリーナ | もしかしてイクスもここに来ているの ? |
ワイズマン | いいえ。私は今回の件には関与していません。ですが、イクスさんの無事は確認できています。 |
ワイズマン | 今もこちらから連絡を取ろうと試みているところです。そろそろ私の声が届く頃なのですが、先にあなた方にお伝えしておこうと思いまして。 |
ミリーナ | そう……。ワイズマンさんが言うならひとまずは安心してよさそうね。それで、伝えたいことってなんですか ? |
ワイズマン | 今、世界の壁が崩壊しようとしています。 |
コーキス | 世界の壁 ? わかりにくいな。崩壊するってどういうことだよ。 |
ワイズマン | つまり、あなたたちの世界はもう少しで消滅するということです。 |
コーキス | しょう……めつ…… ? |
ヨウ・ビクエ | ……それは、ダーナ様の心核に限らずティル・ナ・ノーグから派生する全てを含めた『私たちという存在そのもの』という意味かしら。 |
ワイズマン | そのとおりです。 |
カーリャ | そ、それ、幻影種よりもまずくないですか…… ? |
フィリップ | もしかして、今ティル・ナ・ノーグに起きている異変は……。 |
ワイズマン | ええ、その影響です。まずは、事の次第を順番に説明しましょう。 |
コーキス | あ、わかりやすくな ! |
ワイズマン | かつて、ティル・ナ・ノーグは【死の砂嵐】によって生まれた【虚無】に覆われていました。 |
ワイズマン | あなた方の活躍で、死の砂嵐自体は消えましたが発生した虚無はそのまま存在し続け、数多の世界からの干渉を退ける防壁の一部として機能しています。 |
メルクリア | ふむ、虚無があるゆえに鏡映点は元の世界には帰れぬと聞いておる。 |
ワイズマン | ですが、死の砂嵐がなくなったことで虚無に別のもの……数多の世界からの『心』が流れ込み始めました。 |
ワイズマン | それらは今、ティル・ナ・ノーグという世界の防壁を突破しようとしています。 |
コーキス | じゃあ、そいつらが世界を壊そうとしているんだな ! |
ワイズマン | いいえ、心たちにそんな意図はないかと。むしろ、これまでこの世界を存続させてくれていたんですよ。 |
ワイズマン | そもそも、ティル・ナ・ノーグという世界は二度目にアイギスが壊れたとき―― |
ワイズマン | 二人目のイクスさんが亡くなったときに消失するはずでした。 |
ワイズマン | けれどそのときに、あなた方よりも高次元にある『外の世界』の何者かがこちらの世界を捉え『観測』し始めた。 |
ワイズマン | 『観測』されることで、存在が強固になった。そのおかげで、ティル・ナ・ノーグという世界は崩壊せずに存在することになりました。 |
ワイズマン | しかし同時に、この世界も『観測』の影響を受けることになります。 |
ワイズマン | 私はこの世界を観測している何者かを『観測者』と呼んでいます。 |
ミリーナ | 観測者……。 |
ワイズマン | 観測者のおかげで可能性を得たティル・ナ・ノーグはあなた方や鏡映点の努力で、さらに強固な存在となり世界は補強されて今に至ります。 |
カーリャ・N | 今も見ているんでしょうか。その観測者は。 |
ワイズマン | ええ。しかも観測者は一人ではありません。数千、いや、数万……数多の観測者がこの世界を観ています。 |
メルクリア | そう思うと、何とも緊張するのう……。 |
バルド | ですが、なぜ彼らの心……観測者がティル・ナ・ノーグを滅ぼすことになるのでしょう。 |
ワイズマン | 観測者の数だけ、ティル・ナ・ノーグという『世界』が存在することになるからです。そこには当然、矛盾が生まれます。 |
マーク | なるほどね。俺が思うフィルとあっちのマークが思うフィルは同じ人物でも違うだろうからな。 |
マークⅡ | 同じものを見ていても感じ方はそれぞれってことだな。 |
ワイズマン | そのせいで世界――あなた方の神ともいえるダーナという存在も揺らいでいるのでしょう。 |
ヨウ・ビクエ | ダーナ様が弱っているのは確かなのね……。 |
ジュニア | この上、虚無の防壁まで壊れたら無限の可能性と矛盾が押し寄せて……。 |
ウォーデン | 世界は崩壊する、か。 |
フィリップ | それが今、ティル・ナ・ノーグを襲っている事象の本当の原因なんだね。 |
ワイズマン | はい。そしてこの現象は止めることができません。 |
ワイズマン | このままではティル・ナ・ノーグは間違いなく滅びます。 |
Character | 物語9 イクスの願い |
ワイズマン | さて、どうでしょう、ご理解いただけましたか ? |
二人 | ……ギリギリ。 |
フィリップ | 可能性……、矛盾……、心……、思い出の力……。 |
ジュニア | あ、幻影種のことでしょ ? 僕も考えてた。でも、これも可能性の話だよね。 |
バルド | 何の話です、ジュニア。聞かせてください ! |
ジュニア | うん……。みんなフィリップからダーナが弱っているせいで防御機構が働かなくて幻影種を抑えきれなかったって仮説を聞いたよね。 |
ジュニア | もしかしたら人神のダーナからだって幻影種が発生する可能性があるんじゃないか……って。 |
マークⅡ | それはティル・ナ・ノーグの幻影種ってことか ?観測者の話だけでも満腹なのに、お前らはなんでそうおっそろしい考えを……。 |
マーク | ああ。そんな仮説、今回ばっかりは外れてて欲しいぜ。 |
ワイズマン | いいえ。さすがフィリップさんです。ダーナの幻影種はすでに生まれつつあります。 |
ワイズマン | 今は眠っていますが、虚無の壁が壊れればすぐにでも目覚めるでしょう。 |
ミリーナ | ダーナの幻影種が目覚めたらどうなるの ? |
ワイズマン | ティル・ナ・ノーグの世界の記憶(ワールドメモリア)を喰いつくし、滅ぼした後で数多の世界の記憶をも喰らいつくします。 |
ワイズマン | そうなればティル・ナ・ノーグだけではなくこの宇宙にある三千世界の危機です。 |
ヨウ・ビクエ | 鏡映点の故郷の世界も滅びるわけね。 |
ウォーデン | なるほど。俺たちをアークに呼んで危機を知らせたのはただの親切心だけではないというわけか。 |
マーク | 他の奴らに迷惑かける前に自分らでケツ拭きやがれってことだろ ?そりゃごもっともだ。 |
バルド | 私とルグから始まったことが全ての世界を巻き込むことに……。 |
ヨウ・ビクエ | いいえ、そもそも全ての始まりは鏡士たちがその力の影響を考えずに使い続けたことよ。私も含めてね。 |
鏡士たち | ………………。 |
ワイズマン | 話を戻しましょうか。幻影種のような存在が生まれたのも、『可能性の矛盾』という要素が絡んでいるせいです。 |
コーキス | ええと……観測者がいっぱいで虚無の壁が壊れそうでそのせいでダーナが弱って幻影種が生まれかけてて壁が壊れたら幻影種も目覚めて全部なくなる……。 |
コーキス | ……よし、大体わかった。で、ワイズマン。俺たちは何をすればいい。 |
カーリャ | コーキス、大体ってなんですか……。ヤケになってません ? |
コーキス | ヤケでも何でもいいよ。ここでグダグダ言ってても仕方ねえし。早くしないと全部なくなるんだろ ? |
コーキス | 俺たちが何とかすれば、鏡映点たちの世界も守れるしコダマたちが生まれる未来にも繋げることができる。何より俺はマスターと一緒にいたい ! |
ミリーナ | ……そうね。私だってアイリスの歌を残さなきゃいけないもの。 |
メルクリア | おぬしら、随分と私利私欲の目立つ発言じゃの。 |
ミリーナ | あら、私は元からそういう女よ ? 知ってるでしょ。 |
メルクリア | そ、そうじゃったな……。 |
ヨウ・ビクエ | ふふっ。私の家系って吹っ切れると強いのよね。うん、可愛い可愛い。 |
ミリーナ | ヨ、ヨーランド様……。 |
フィリップ | そうだね、僕たちはどんなときも抗ってここまで来た。 |
フィリップ | ワイズマン、聞かせて欲しい。あなたが我々を呼んだということは何か考えがあるはずだ。 |
ワイズマン | ええ。イクスさんのおかげで一つだけ突破口を見出すことができそうなんです。今、その方法をイクスさんに伝えているところで。 |
コーキス | じゃあ、マスターと繋がったのか !どこにいるんだ ? |
ワイズマン | 虚無の防壁――『壁』の前です。 |
イクス | ――そうか。じゃあ俺が感じているのが『観測者』たちの心なんですね。 |
イクス | どうりで懐かしく感じるわけだ……。 |
ワイズマン | 懐かしい ? |
イクス | アイギスが壊れて滅びるはずだったのに『観測者』が見つけてくれたから、世界は続いた。そして俺が生まれた。 |
イクス | そのときから、観測者たちはずっと俺のことを見守ってくれてたってことになる。 |
イクス | 不思議だったんだ。ときどき、近くに誰かいるような気がして。 |
イクス | それを感じると、心が温かくなったり贈り物をもらったような嬉しさがこみ上げたり。 |
イクス | それは仲間との絆とか、コーキスとの繋がりだと思ってたけど、どこか違うとも感じてた。 |
イクス | たぶん、この観測者たちだったんじゃないかな。 |
ワイズマン | そうですか……。あなたが観測者たちを身近に感じていたからこそこの場に引き寄せられたのかもしれませんね。 |
ワイズマン | イクスさん、あなたならば観測者に声を届けることができるかもしれません。彼らに呼びかけて心を繋いでください。 |
ワイズマン | 彼らの協力を得られればこの危機を回避する『策』を実行できます。 |
イクス | 回避する手段があるんですか ! ? |
ワイズマン | ええ。無数の可能性が引き起こす消滅を避けるために観測者からの観測を停止させます。それはあなたたちの世界の技術レベルなら可能な筈。 |
イクス | それなら、観測者の力は必要ないですよね。確かに、俺たちを観測することはできなくなってしまいますけど……。 |
ワイズマン | そうですね。ティル・ナ・ノーグを守るというだけなら観測者の力は必要ありません。ただ、この世界には鏡映点がいます。 |
ワイズマン | 鏡映点は特殊な存在です。彼らは元の世界との繋がりを保持しています。彼らをそのままにしておけば世界を完全に閉じることはできません。 |
ワイズマン | 彼らを安全にこの世界に残すには観測者の力を借りることになります。 |
ワイズマン | そしてそれはシャドウも同じです。世界を閉じるということはアークとの繋がりも断たれるということですから。 |
イクス | 待ってください。もし鏡映点やシャドウがここに残ることを拒んだらどうなるんですか ! ?あるいは観測者が協力を拒否したら ? |
ワイズマン | 鏡映点の存在はこの世界からはじき飛ばされ元の世界へと戻されます。 |
ワイズマン | ですが、鏡映点はあくまで鏡写しの影です。映された瞬間から時間が経過し元の存在とは似て非なる者となった。 |
ワイズマン | 元の世界からも異物と判断され存在は消失するでしょう。その可能性はイレブンナインの確度です。 |
イクス | 99.999999999%……。それは『死ぬ』ということですね。 |
イクス | いつか帰れるかもしれないと思ってティル・ナ・ノーグで生きている鏡映点も多い筈だ。 |
イクス | 鏡映点の希望を奪う……もしくは限りなく低い可能性に賭けて死の旅路を行くか。そんな選択を鏡映点のみんなにさせるなんて―― |
ワイズマン | いえ、鏡映点たちに選択権はありません。 |
ワイズマン | 鏡映点たちを守る力を与えることはこの世界より高次元の存在である観測者にしかできないことです。そして時間的猶予もない。 |
ワイズマン | イクスさんたちが世界を閉じる準備を終えたらすぐに『選択』が始まるでしょう。 |
イクス | そんな……そんなことを外の世界の人たちに頼まなければならないんですか ! ?彼らを呼んだのは俺たちなのに ! |
ワイズマン | ええ、そうです。もちろん、外の世界の皆さんの力を借りずにこのままこの世界を消し去ることもできます。 |
ワイズマン | 数多の世界を巻き込み、犠牲にするのなら。 |
イクス | …………っ ! |
イクス | ……俺たちを見てくれている皆さん今までありがとうございます。 |
イクス | あなたたちは本当に『俺が生まれた瞬間』から今まで俺たちを見守ってくれていたんですね。 |
イクス | もうご存じだと思います。何度も世界の危機を乗り越えて今、このティル・ナ・ノーグがあることを。 |
イクス | 世界が続いて欲しいと、みんなが願ってくれたから俺たちはここに生きている……。 |
イクス | 自分の世界のけじめを自分でつけられないことが情けないしもどかしいけれど今はあなたたちの力を頼るほかないみたいです。 |
イクス | どうか皆さんの力を貸してください。この世界を、そして三千世界を未来へと繋ぐために。俺たちがみんなと生きた時間を残すために。 |
イクス | どうか、鏡映点のみんなを……お願いします ! |
イクス | 俺の体が光ってる……。 |
ワイズマン | イクスさんの言葉に応えてくれたようですね。 |
イクス | ……はい。ありがとうございます、皆さん……。 |
ワイズマン | 観測者の力で、イクスさんは元の場所に戻れるはずです。 |
ワイズマン | ミリーナさんたちには全てお話ししてあります。今頃はアークから元いた場所に戻っているでしょう。私が出来るのはここまでです。 |
ワイズマン | イクスさんたちの世界の事象に影響を与えることはアークの者として禁止事項でして、これも少しばかりラインオーバーしているぐらいなのですよ。 |
イクス | はい、おかげで全てを知ることができました。後は俺たちが自分でやるべきです。 |
ワイズマン | わかりました。……残念ですが我々アークの存在もティル・ナ・ノーグの皆さんとはお別れになります。 |
ワイズマン | 今まで、ありがとうございました。あなた方の世界が幸せであることを願いますよ。 |
イクス | ありがとうございます。ワイズマンさんもお元気で。 |
イクス | ――さあ、『俺たち』も帰ろう。みんなのところへ。 |
Character | 物語10 選択 |
ミリーナ | イクス ! |
コーキス | マスター ! |
イクス | ただいま、みんな。連絡が取れなくてごめん。 |
ミリーナ | そんなのいいの。無事でよかった……。 |
カーリャ | ワイズマンさまから聞きましたよ。虚無の壁に行ってたんですよね ? |
イクス | ああ。今からそのときのことを説明するよ。まず、ダーナの心核に触れたときに感じた力だけど―― |
フィリップ | ……すごいな。本当に観測者と通じ合うことができたのか。 |
ウォーデン | イクスならやれるとワイズマンが言っていたが観測者を味方につけるとはな。 |
ジュニア | でも、この世界を救うという『意味』を観測者たちはわかってくれてるの ?だって、それって……。 |
メルクリア | そうじゃ。今まで見守ってきた観測者たちに『観測』を断ち切らせ、鏡映点の選択を委ねるということじゃぞ。 |
イクス | うん。数多の観測による、可能性の矛盾を防ぐためにこの世界を完全に『閉じる』。 |
イクス | 辛い選択を強いられることもちゃんとわかってくれた上で観測者たちは力を貸してくれる……んだと思う。 |
イクス | それで、観測の遮断だけどフィルさんが考えてくれた方法っていうのは ? |
フィリップ | この世界を完全に覆い隠す。そのために僕たち鏡士が総力を挙げて巨大な魔鏡を作るんだ。 |
フィリップ | けど、これには多大なリスクがある。観測者からの『観測』はなくなり世界の可能性は極端に狭まる。 |
フィリップ | 鏡映点たちの具現化によって外部から取り入れていたエネルギーも供給されなくなるだろう。 |
ウォーデン | ああ。再びティル・ナ・ノーグがエネルギー不足に陥る可能性は否定できない。 |
メルクリア | 魔鏡戦争の大本の原因はエネルギー不足だったと聞いておる……。わらわはそれが気がかりじゃ。 |
ジュニア | けどね、世界はいずれ時間をかけて回復して鏡映点からのアニマエネルギーの供給がない状態になるはずだったから、それが少し早まるだけなんだよ。 |
フィリップ | そうだね。そのリスクを冒してでも実行した結果ティル・ナ・ノーグは誰からも観測されない完全に閉じた世界になる。 |
ヨウ・ビクエ | そうなれば虚無の壁は安定してダーナ様の幻影種もこれ以上刺激されることはない。今の状態を保つことができるわ。 |
ヨウ・ビクエ | すでにこの世界に発生している幻影種はヘイズたちが託してくれた力でいずれ消し去ることができるでしょう。 |
バルド | ええ。必ず消しますよ。『私』のためにも。 |
イクス | わかった。じゃあ観測者からの観測遮断はそれでいこう。 |
イクス | 後は、鏡映点のみんなのことだけど……。 |
カーリャ・N | 元の世界には帰れないと割り切った方々もいれば目的を変えずに手段を探っている方々もいます。 |
カーリャ・N | 特にダオス様……あの方などは、完全に閉じることを知ったらきっと反対なさるでしょうね……。 |
フィリップ | うん……。僕も彼とは話したことがあるからわかるよ。 |
マーク | とはいえ、俺たちにできるのは今も見ているだろう観測者たちに鏡映点の望みが伝わることを祈るだけなんだよな。 |
フィリップ | もっと時間があれば、みんなを元の世界に返す研究もできたと思うのに……。 |
ミリーナ | ………………。 |
イクス | ……観測者にお願いする力って具体的にはどんなものなのかな ? |
フィリップ | イクスは詳細を知らないんだね。じゃあ、ワイズマンから聞いた話を伝えようか。 |
フィリップ | これは鏡映点、それにシャドウやストレンジャーに当たる存在も、全て同じ認識でくくられるものとして聞いて欲しい。 |
フィリップ | 鏡映点たちは元の世界には戻れない。異世界であるティル・ナ・ノーグでも観測できなくなる。 |
フィリップ | それは、存在の不確かさをも生んでしまうんだ。 |
カーリャ・N | 不確かというのは、存在しているかどうかわからないということですか ? |
マークⅡ | なんだそりゃ、色んな奴が観測すると矛盾が出て観測しなきゃ存在しないことになっちまうってか ? |
フィリップ | 不本意だけどそういうことになるんだ。彼らをしっかりとこの世界に繋ぎ止めておくために【生体封呪】と呼ばれる術を施す必要があるらしい。 |
フィリップ | これはワイズマンや『観測者』のような僕たちの次元よりも上の存在だけが使える力なんだそうだ。 |
ミリーナ | 死ぬかもしれなくても……僅かな可能性に賭けて帰りたいと望む鏡映点はいるでしょうね。 |
フィリップ | この世界を見続けてきた観測者なら鏡映点の望みを理解できるのかもしれない。 |
フィリップ | もちろん、鏡映点たちも自分で決めたいだろう。でも、こればかりは次元の壁に阻まれて彼らにさえ決定権はない。 |
イクス | 観測者にとってもつらい決断になるよな……。 |
コーキス | だ、だったらマスターせめて観測者たちにお願いしてくれよ。全員残してくれって ! |
イクス | 駄目だよ、コーキス。それだと鏡映点にも、観測者にも俺たちの考えを押し付けることになる。 |
ミリーナ | もどかしいわ……。過去の私がイクスに行わせたことがこんな苦しい結果を招くなんて……。 |
ミリーナ | 自分自身ですら、責任を負えないなんて……。 |
フィリップ | 観測者を信じて託すしかない。この世界を助けてくれた鏡映点たちに一番ふさわしい選択をしてくれるって。 |
ウォーデン | 本当に観測者とやらが、力を貸してくれるのならな。直前で気が変わるかもしれぬぞ。 |
イクス | ……そうだとしても、今の俺たちにできることは観測者を信じることだけだ。 |
カーリャ | カーリャも信じますよ。また鏡映点のみんなと美味しいご飯を食べられるって。 |
カーリャ・N | そうですね。今日のファラ様たちとの料理発表会は大変楽しかったですから。 |
バルド | ああ、素晴らしい笑顔ですね、カーリャ。 |
二人 | またお前……。 |
マークⅡ | 安心しろって、お二方。なんだかんだ言っても、バルドはご主人様命だからな。 |
メルクリア | おぬしもな、ジュニアのマーク。主人を甘やかしすぎじゃ。ジュニアも自分の部屋くらい片付けよ。 |
ジュニア | う……、月では頑張るよ。 |
ヨウ・ビクエ | みんな楽しそうでいいわねえ。私もイチャイチャする相手が欲しいわ。 |
ヨウ・ビクエ | ……観測者さんとか面白そうね。 |
マーク | そこの初代ビクエ、観測者ナンパすんな !まったく、どいつもこいつも。こういう俺の苦労も観測者は知ってんのかねえ……。 |
フィリップ | き、きっとわかってくれてるよ……。いつもありがとう、マーク。 |
イクス | ……ははっ、結局みんな、いつも通りなんだな。そのほうがいいのか。 |
イクス | 世界を閉じた後どうなるのかは俺たち次第だ。観測者が鏡映点を残す選択をしたときに鏡映点たちが安心して暮らせる世界にしないとな。 |
ミリーナ | そうね……。彼らを呼んでしまったのだからせめて、そうしないとね。 |
イクス | よし、それじゃあ【大魔鏡】の作成に入ろう。 |
ミリーナ | ええ。みんなの思い出のティル・ナ・ノーグを守るために。 |
イクス | 観測者の皆さん、すみません。鏡映点たちの未来を託します。 |
Character | 物語11 閉じゆく揺り籠 |
? ? ? | ――どうやら【大魔鏡】の作成が始まったようですね。そろそろ選択の時間のようです。 |
? ? ? | ……ああ、私はワイズマンと呼ばれている者です。いつもの仮の姿ではなく、本来の姿で失礼します。 |
ワイズマン | さて、これからあなたには数多の観測者たちを代表して鏡映点たちの選別を行っていただきます。 |
ワイズマン | 誰をこの世界に残すのかそして誰を元の世界へと戻すのか。 |
ワイズマン | とはいえ、すでにご存じかと思いますが元の世界に戻れる可能性は限りなくゼロに近い。 |
ワイズマン | 仮に奇跡が起きたとしてもこの世界での記憶は消滅するでしょう。 |
ワイズマン | ここは揺り籠の世界。この世界に残れば希望と後悔が生まれ戻れば存在――或いは記憶の死が待っています。 |
ワイズマン | あなたならわかる筈です。彼らがどんな道を望んでいるのか―― |
クラース | 我々の知らないところで我々の未来を決められてしまうのだな。 |
ミント | もし選択権があるならクレスさんはどうしたいですか ? |
クレス | ……わからない。この世界に来たからこそ僕たちはダオスの目的を知ることが出来た。 |
クレス | でもダオスのしてきたこと全てを肯定することはできない。 |
クレス | もう一人の僕が元の世界にいるのだとしても僕は僕自身の手で全ての決着をつけたかった……とも思うんだ。 |
チェスター | ……けど、ここにはアミィがいる。ここには……失ったものが確かにある。 |
リオン | ……お前たちとは別れることになるかもしれないな。 |
ルーティ | あんた……元の世界に戻りたいの ? |
リオン | ………………。 |
スタン | 俺だって元の世界に帰れるのなら帰ったほうがいいんじゃないかと思うよ。ここでの記憶を持ったままなら―― |
リオン | そんなことはできないと聞いただろう。……元の世界での選択に、僕は一片の後悔もない。たとえどんな結果になったとしても――僕は僕だ。 |
メルディ | メルディ、この世界でもたくさんできたよ。忘れたくない、たいせつな思い出。 |
キール | だが、観測者とやらがぼくたちを元の世界に戻す選択をすれば、記憶は失われる。いや、命すらも失うんだ。 |
ファラ | かもしれない、でしょ。どんなことになるのかはわからない。でもどちらの世界で生きたわたしもわたしなんだから。 |
リッド | どっちになろうと、平和であってくれればそれが一番なんだけどな。 |
リアラ | どんなものにも終わりが来る。永遠の幸せなんて、存在しないかもしれない。 |
カイル | だけど、こうして一緒にいる時間が何よりも大切なんだって、オレたち自身がちゃんと知っている。 |
カイル | だから、この世界に留まることになっても元の世界に戻ることになってもみんなと一緒に過ごして感じた心は、絆は、消えない。 |
ジーニアス | ボクはこの世界に来てミトスと仲直りができた。他のみんなも、ボクたちみたいにこの世界だからできたことがたくさんあったんだと思う。 |
ロイド | ……でも、もし本当に戻れる可能性がゼロじゃないなら俺たちは自分のやるべきことから逃げちゃ駄目なんじゃないか ? |
コレット | そだね。元の世界にもう一人の私がいたとしても元々は同じ存在だったんだもんね。だけど、どっちになったとしてもきっと寂しいね。 |
ミトス | 夢の終わり、かな。 |
クラトス | 観測者の選択次第だがな。 |
ミトス | 観測者がどんな奴かは知らないけど、姉さまと……おまけでユアンは残して欲しいよ。ボクは消えても構わない。 |
ミトス | クラトスは、きっとどんな選択をされても受け入れそうだしね。 |
エミル | 僕たちどうなっちゃうんだろう……。 |
マルタ | そんな顔しないで、エミル。私はエミルやラタトスクやみんなに出会えて幸せだった。後は、自分の運命を受け入れるだけだよ。 |
ラタトスク | フン、脳天気な奴だな。だが、今の俺たちにできるのはそれだけ、か。 |
デクス | オレはずっとアリスちゃんと一緒だよ !愛してるよ、アリスちゃーーーーん ! ! |
アリス | あーもう、ほんっとウザい。そんなの当たり前でしょ。あんたはアリスちゃんの下僕なんだから。 |
アガーテ | たくさんのヒトたちが手を取り合ったこの世界は本当に素晴らしい世界なのでしょう。けれど……元の世界に戻れるのなら……。 |
クレア | ええ。元の世界でも手を取り合えるはずよ。 |
ヴェイグ | どちらが正しい道なのかはわからないがオレたちは自分にできることをしていこう。 |
グリューネ | 他の世界の人ともお友達になれたのにお別れしなくちゃならないのかしら ? |
シャーリィ | わかりません。ただ、元の世界にいる水の民のこともずっと心配していました。これが最後の機会になるのなら……。 |
セネル | 希望がほんの僅かだったとしてもあの世界は俺たちの故郷だからな。 |
ルーク | 俺……今度こそ死ぬのかな……。今までの時間はご褒美みたいなものだったし……。 |
ティア | 消えないわ !……消えないで、お願いだから。 |
ジェイド | 自分たちの幸福を取るか、背負うべき責務のために生死を賭けた旅に出るのか。人生の全てに選択権があるとは限りませんが……厳しいですねぇ。 |
ヴァン | この世界は預言から解放された世界かもしれぬ。ならば、私は元の世界こそあるべき道へ戻さねばならない。僅かな可能性に賭けて。 |
シンク | ……どっちにしてもボクには地獄だよ。世界が続く限りね。 |
リグレット | 私は閣下にお供したいと願っています。それがどのような道であっても。 |
ルキウス | ボクは兄さんたちと同じ時間を過ごせて楽しかったよ。それに、この世界でしか経験できないこともたくさんあったと思う。 |
カイウス | だったら、もっと色んな場所を冒険するぞ !ここにいるみんなでさ ! |
ルビア | そうね。どんな選択になったとしても……またみんなで冒険できたらいいわね。元の世界でもこの世界でも……。 |
イリア | なんかまた難しい話になってるみたいだけどあたしたちは堂々と構えておけばいいんでしょ ? |
ルカ | うん、そうするしかないんだよね。どう足掻いても僕たちにはそれ以上できることがないから。もちろん元の世界が恋しいことは間違いないけど……。 |
コンウェイ | ボクも……やるべきことは済ませてきたけれど『あれからどうなったか』は気がかりでね。無事でいてくれれば…………――姉さん。 |
エステル | ……ティル・ナ・ノーグではたくさんの出会いがありましたよね。二度と会えないはずの人とも……。 |
レイヴン | そうね……。だからこそいつまで都合のいい夢見てんだって横っ面ひっぱたかれた気がしちゃってさ。 |
ユーリ | 元の世界でやり残したことがあるのは確かだ。生きてたどり着けりゃ万々歳。こっちの世界に残れるなら御の字だな。 |
エステル | どちらにしろ、わたしたちの未来を決める観測者さんは辛い思いをするでしょうね……。 |
ユーリ | ああ。けどな、その覚悟で引き受けてるからこっちも腹決められるんだよ。「オレらの命、あんたに任せる」ってな。 |
アレクセイ | 万が一、元の世界に戻れたとてこの世界の記憶がなければ私にとって意味がない。 |
デューク | 存外この世界を気に入っているという意味か ?それとも……。 |
アレクセイ | さて、どうだろう。 |
コハク | わたし、どんな結果になってもシングと……みんなと一緒にいたい。離れたくないよ。 |
シング | きっと観測者もわかってくれてると思う。ずっと見ていた人たちならオレたちのスピリアとも繋がっているはずだから。 |
リチャード | 僕は……元の世界がどうなったのかこの世界にいる限りずっと考え続けると思う。 |
アスベル | それなら心配ないと言っただろ。俺たちが絶対にリチャードを止めているはずだって。 |
アスベル | でも……俺も考えるときがあるよ。元の世界にいたらラムダにも違う未来があったかもしれない。だけど……。 |
ソフィ | うん。みんなが死ぬのは、絶対に嫌。 |
ジュード | 僕はこの世界でもやりたいことを見つけた。でも……委ねるしかないんだね。 |
ミラ=マクスウェル | 私もこの世界では様々な出会いがあった。もう一人の私や、未来で出会うはずの仲間……。だから信じよう。みなが共にある未来を。 |
ガイアス | だが、もしこの世界に留まれなかったとしても俺は必ず死を超えてみせよう。お前たちが切り開いた世界へ……必ずたどり着く。 |
ユリウス | 俺はこの世界で夢を見ることができた。それだけで十分すぎるくらい、いい時間を過ごさせてもらったと思っていたが……。 |
エル | いいんだよね ? エルたちが……パパやみんなが一緒にいる場所があっても。 |
ルドガー | ああ、当たり前だろ ! |
ルドガー | (……でも、俺は本当に知らずにいていいのか ?あの世界の真実を。兄さんたちの苦しみを……) |
スレイ | オレ、覚悟はしてるつもりだよ。 |
ライラ | スレイさん……。死んでしまうんですよ ?万が一戻れても、記憶だって……。 |
スレイ | もちろん死ぬのは嫌だよ。でも、導師としてやり残したことがあるのは事実だろ ? |
スレイ | オレが【生体封呪】を受けられないとしたらその役目を果たせって意味かもしれない。 |
ミクリオ | どちらにしても、僕はスレイに付き合うつもりだよ。自分では選べないけど……その気持ちは変わらない。 |
ライフィセット | 元の世界でベルベットがやり残したことがあるのはわかってる。だけど……僕はこの世界が好きだよ。 |
ベルベット | そうね、楽しかった。思いっきり料理してあんたたちとバカみたいな話して……。 |
ベルベット | けど、ずっと胸の奥にくすぶってるの。あたしの復讐を、元の世界の『あたし』に任せたままでいいのかって。 |
ベルベット | それを考えると怒りがこみ上げるのよ。何より、こうやって悩んで答えを出したって観測者の意志ひとつで捻じ曲げられるんでしょ。 |
ベルベット | 自分の舵は自分の意志で……それさえもままならないのが……心底むかつく。 |
ダークかめにん | うわーん ! ! いやっすーーーー ! !俺はまだ死にたくないっすーー! ! |
テレサ | ……もし、オスカーと共にいられるなら私はこの世界で……。 |
シグレ | 俺も決着をつけなきゃならねぇ奴がいるからな。だが、命懸けで元の世界に戻ってケリをつけるのもそれはそれで面白れぇ。 |
アルフェン | この世界に留まることになったら俺は自分のこともわからないままなのか。シオンの〈荊〉もこのまま……。 |
シオン | あなたは言ってくれたでしょう。この世界でも〈荊〉を消すことができるかもしれないって。 |
シオン | ……いいえ、違う。〈荊〉のことはいいの。私はあなたに……みんなに死んで欲しくないだけよ。 |
メル | わたし、この世界が好きだよ。でも、もしも……、もしも元の世界に帰れたらエトに会えるんだよね。 |
ディオ | バカ ! 死んじまったら、それこそエトが悲しむだろ。この世界で、なりきり士として立派に働くほうが喜ぶぜ ! |
ディオ | オレだって……会いたいけどさ……。 |
P・カノンノ | ティル・ナ・ノーグって少し私たちの世界と似てるよね。 |
カノンノ・E | うん。たくさんの仲間がいてみんなが手を取り合って助け合える世界。それに……ここはオリジナル・カノンノがいて、ラザリスもいる。 |
カノンノ・G | この世界で、みんなでラザリスが目覚めるのを待つことができたらいいのに……。 |
カナタ | どんな判断が下るとしてもこれまでの自分の行いの結果なんだよね。俺は……受け入れるよ。 |
ミゼラ | 私はカナタに死んで欲しくない。でも、もし戻ることになっても、私は一緒だよ。私がカナタを絶対に生かして元の世界に帰すから。 |
オリエ | 観測者さん……もしかしたら、私たちの世界も見ていたかもしれませんね。 |
アレン | そうだね。だとしたら僕たちが何を望むのかわかってくれると思う。 |
サラ | そうそう。きっと大丈夫 !私たちだって、まだまだ冒険したいもん。このままずっと……。 |
サラ | ずっと……みんな一緒にいさせてくれるよね…… ? |
ダオス | 私には元の世界へ戻り果たさねばならぬ使命がある。 |
ダオス | ――たとえ、この命を賭してでもな。或いは、他にもそういう者たちがいるやも知れぬ。 |
バルバトス | この俺が死など恐れるものか !俺はディムロスを殺し、英雄になった後で戻ってやる。この世界を壊してでもな ! |
サイモン | もはや、私たちが干渉できることなどない。所詮、人の命は他人が握るということか。 |
エルレイン | だが、その先にある結末がどうなるのかそれを見届けるのも、神の選択だと言える。私たちは、行く末を見守るだけだ。 |
ワイズマン | ――私からあなたに話しかけることができるのもこれが最後になるでしょう。 |
ワイズマン | 最後まで鏡映点を見てきたあなたならよい選択ができると信じています。よろしくお願いしますね。 |
Character | 物語12 |
ヨウ・ビクエ | ――【生体封呪】を行う力の反応が消えたわ。観測者の選択が終わったみたいね。 |
ミリーナ | 辛い判断だったでしょうね……。本当なら私たちが負うべき責任と苦しみなのに。ごめんなさい……。 |
イクス | ミリーナ、俺も同じ気持ちだよ。でもさ、観測者にはそれ以上に伝えたいんだ。俺たちの感謝の気持ちを。 |
ミリーナ | ……そうね。イクスの言うとおりだわ。泣き顔で謝りながらのお別れなんてそれこそ勝手すぎるわよね。 |
ヨウ・ビクエ | さて、いいこと ? これから先は、外の世界からティル・ナ・ノーグを観測することができなくなるわ。もう、外からの力を借りることもできない。 |
コーキス | 何かあっても、後は俺たちの力でなんとかしなくちゃいけないんだな……。 |
カーリャ | 平気ですよ ! いざとなれば、カーリャもどどーんと大活躍しますから ! |
マーク | おっ、さすがパイセンだな。んじゃ、俺はながーい目でパイセンの成長を見守らせてもらうか。 |
カーリャ・N | マーク、あなたはもう少し後輩らしく小さいカーリャをサポートしてください。 |
ファントム | あなたたちは相変わらずですね。こんな大事なときだというのに。 |
メルクリア | そうじゃ !この先の未来がどうなるかはわらわたちにかかっておるのだぞ。 |
ウォーデン | より良い世界へ進んでいくように務めるのが俺たちの役目でもある。 |
バルド | はい。私もビフレストの誇り高き騎士として必ずやお二人を支え、お守り致します。 |
フリーセル | ビフレスト皇国の再建は我々の手で成し遂げましょう。 |
マークⅡ | 立派なもんだ。もちろん、うちのマスターもしっかり働いてくれるはずだぜ。 |
ジュニア | うん。僕もみんなに負けないように頑張らなきゃね。 |
ガロウズ | こうなりゃ、いっそケリュケイオンを宇宙でも動かせるように改造してみるか。そしたら、月に行くのもあっという間だろ。 |
セシリィ | やりましょう、ボス !私もお手伝いします ! |
フィリップ | フフ……。みんなの決意も固まっているようだしそろそろ世界を閉じるための【大魔鏡】を完成させようか。 |
フィリップ | イクス、ミリーナ……準備はいいかい ? |
ミリーナ | ええ。 |
ミリーナ | 観測者さん、私たちのことを見ているかしら。私たち、世界を閉じた後もしっかり生きていきます。今まで助けてくれて本当にありがとう。 |
イクス | 俺……俺たち、頼りないところもたくさんあったと思うけどこれからもここにいるみんなや、残ることになった鏡映点のみんなと一緒に、この世界を守ってみせます。 |
イクス | 未来で待ってくれている、仲間たちのためにも―― |
コダマ | ――あれ ? 今、誰かの声が聞こえたような…… ?って、やべっ ! 俺も早く行かなきゃ ! |
イクス | 全てが『嘘』から始まった世界を『真実』にするために色々な人たちが力を合わせてきた。そうして俺たちはここにいる。 |
イクス | これからもここで生き続ける。【大魔鏡】の内側で俺たちの時間は進み続けるんだ。 |
イクス | ずっとこの世界を……俺たちを見守って助けてくれた『あなた』がいたことを俺は生涯忘れません。 |
イクス | 本当にありがとうございました。そちらもこちらも、みんなが幸せでありますように。 |