プロフィール
陰謀が渦巻く王宮、そこで暮らす王子はその純真ゆえに猜疑心に支配されがちだった。自国の辺境にて風変わりな領主の息子と出会い、美しい花畑で友情を誓い合う――たとえこの先何があっても僕たちは友達でいよう、と。少年はいつしか青年となり、王位継承者は命を狙われる。死にたくない、その願いに呼応し、それまでリチャードの中で眠っていたラムダが目覚めてしまった。そして、君子は豹変する。ラムダに精神を乗っ取られた青年は、かつて友情の誓いを交わした青年と少女と対峙する運命となる。
ミリーナの一言
リチャードさんはアスベルさんとソフィの三人で、昔、友情を誓い合ったんですって。木に自分の名前を彫って、互いの手のひらを合わせて、景色のいい花畑で誓う友情だなんて、とってもロマンチックよね。今もあの三人はすごく仲がいいし、その誓いは、永遠に続いて欲しいって願ってしまうわ。あの三人なら、永遠を信じられるような気がするから。
イクスの一言
リチャードさんは普段は凛々しい王族って感じなんだけど、ちょっとお茶目なところがあるんだよな。この間なんて素顔がわからないように頭に布を巻いてさ、マスク・ド・バロニア参上って言って、アジトの中で困ってる人を見つけては颯爽と義賊的な活動をしてたよ。ソフィからはタイガーフェスティバル兄貴って呼ばれて微笑んでたし、なんだか不思議な魅力のある王様だよな。
キャラクター | リチャードの計画 |
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リチャード | セネル、いきなり呼び出してしまって悪かったね。 |
セネル | いや、それは別に構わないんだが俺に話したいことって一体何なんだ ? |
リチャード | 実は……君に「納豆トースト推進委員会」のメンバーになって欲しいんだ。 |
セネル | 納豆トースト推進委員会 ? |
リチャード | ああ、納豆トーストのおいしさをこのアジトの人たちにも知ってもらいたくてね。そのために発足した委員会だ。 |
セネル | ああ……。なんとなく話はわかったけどどうして俺なんだ ? |
リチャード | 君のパン作りの腕は一流だと聞いている。そこで、納豆の味を引き立てるトーストを作ってほしいんだ。 |
セネル | そういうことか。まぁ、それくらいなら別に構わないが……。 |
リチャード | 本当かい ! ? ありがとう !もしかしたら、君も納豆否定派の人間だったらと肝を冷やしていたんだよ。 |
セネル | 確かに、あれは匂いが独特だから苦手なやつも多いかもしれないな。 |
リチャード | そうなんだよ !でも皆は食わず嫌いなだけなんだと思うんだ。 |
リチャード | 僕も実際に食べるまでは、これほどまでにおいしいとは知らなかったぐらいで……。 |
リチャード | だからこそ、まずはみんなが食べたくなるよう働きかけるのも、僕たち納豆トースト推進委員会の役目の一つというわけさ。 |
ユリウス | リチャード、ここにいたのか。 |
リチャード | ユリウス。丁度いいところに来てくれたね。無事、セネルにも協力してもらえることになったよ。 |
セネル | もしかして、ユリウスもメンバーなのか ? |
ユリウス | ああ、自分がおいしいと思っている料理を食べてもらいたい。その気持ちは、俺にもよくわかるからな。 |
リチャード | 彼とは同盟に近い関係だよ。ユリウスが進めていた「トマト推進計画」に僕も協力することになっているからね。 |
ユリウス | そういうことだ。リチャード、今後の推進委員会の活動方針なんだが……そうだ、セネル。よかったら君も一緒に聞いてくれ。 |
ユリウス | 先ほど、納豆成分の分析結果をまとめておいた。これを大々的に公表し「納豆は健康にいい食品」であることをアピールしていこう。 |
リチャード | なるほど……。健康志向というのはいいね。戦いに身を置く僕たちにとって身体の自己管理はとても重要だ。 |
リチャード | そして、セネルが作ってくれるトーストがあればおいしさの件でもアジトのみんなに興味を持ってもらえる筈だね。 |
ユリウス | ただ、このアジトの人数だ。皆が急に納豆トーストを食べ始めたら今ある納豆の在庫では追いつかない可能性もある。 |
リチャード | そうだね、せっかく食べたいと言ってくれたのに材料不足で作れない状況になるのは避けたい。 |
リチャード | よし、ロゼさんと交渉して大豆や小麦粉の交易ルートを確保してもらっておこう。 |
セネル | なんか、俺が想像していた以上に緻密な計画が練られているんだな……。 |
キャラクター | 責任 |
リチャード | これで検査も一通り終わりか。ありがとう、アニーさん。いつも悪いね、僕のために時間を取らせてしまって。 |
アニー | そんな、気にしないでください。皆さんの身体の健康状態を管理するのもわたしたちの大事なお仕事なんですから。 |
ソフィ | アニー、リチャード、大丈夫 ? |
アニー | はい。ジュードさんやルカさんも特に異常は見られなかったと仰っていました。 |
ソフィ | そっか。よかったね、リチャード。 |
リチャード | 心配ないよ、ソフィ。あくまで、念のために受けてる定期検査だからね。 |
アニー | ですが、何か違和感があればすぐに仰って下さいね。長期間心を支配されていたんですからこのまま身体に影響がないとは限りません。 |
リチャード | ああ、気を付けるよ。でも、立ち止まってはいられないんだ。僕には責任があるからね。 |
ソフィ | 責任 ? |
リチャード | ああ、自分がやってしまったことの責任さ。 |
リチャード | 僕は元の世界でエフィネアを滅ぼそうとして……。そして、ソフィやアスベル……大切な友達を傷つけてしまった。 |
ソフィ | それはラムダが……。 |
リチャード | いや、ラムダだけのせいにはできない。あれは、全て僕の心の弱さが生み出してしまった結果なんだ。 |
ソフィ | リチャード……。 |
アニー | ……あの、リチャードさん。少し、わたしの話を聞いてもらえませんか ? |
リチャード | アニーさん…… ? |
アニー | わたしも、自分の憎しみにとり憑かれてしまったことがあります。そのせいで、周りのヒトを傷つけてしまったことも。 |
アニー | ですが、ユージーンが……。仲間の皆が、わたしを信じて見守ってくれたんです。 |
アニー | リチャードさんにもいますよね ?わたしと同じように、大切な仲間が。だから……。 |
リチャード | ……仲間、か。 |
ソフィ | リチャード……。リチャードには、わたしたちがいるよ。 |
リチャード | ……ありがとう、ソフィ。全く、僕は君たちに助けられてばかりだな。 |
リチャード | ソフィ、今度は僕に君たちを助けさせてほしい。これは責任なんかじゃない僕が決めた、僕の意志だ。 |
ソフィ | うん、わかった。だったらわたしも、リチャードを守るね。 |
リチャード | ははっ、それじゃあ、いつまで経っても君に恩を返せそうにないね。 |
アニー | ソフィは、お互いに助け合おうって言ってくれてるんじゃないでしょうか ? |
リチャード | ……ああ、困ったときに助け合う。それが友達、だからね。 |