プロフィール
養父と共に暮らしていた日々。それは傷を負った騎士の訪れによって崩壊した。異端の民、リカンツとして連行された養父を助け出すためにルビアと共に旅立つ。旅路の途中で知ることとなった己が引く『レイモーンの民』の血、そして双子の弟の存在。明かされた実の父親の正体。父に託された想いを受け継ぎ、カイウスは立ち向かう。国王の欲望で、これ以上命を奪わせないために。
ミリーナの一言
この間カイウスを歓迎するつもりでケーキを焼いたんだけど、カイウスったら誰もいないところでケーキとにらめっこして唸っていたの。甘いものが嫌いなんですって。悪いことをしちゃったわ。言ってくれればいいのに、何とか食べようと努力してくれたみたいで……。だから今度みんなで甘くないお菓子を作ってあげようと思うの。あんな顔をさせるのは申し訳ないものね。
コーキスの一言
カイウス様が首から下げているペイシェントって石は、お母さんの形見なんだって。カイウス様はレイモーンの民っていう獣人の血を引いてるらしいんだけど、ペイシェントはそのレイモーンの民に関わりが深い、強い力を持ってる石らしいんだ。そのせいで悪い奴らに狙われたりもしたらしい。そんなすごい石なら帝国も狙ってきそうで心配だよな。
キャラクター | 恐怖?百物語 |
---|---|
ナタリア | これは、興味深いですわね……。 |
ロゼ | おっ、ナタリアじゃん。本なんか読んでどうしたの ? |
ナタリア | ファラに面白いお話をしていただいたので、私も何かないかと探していたんですの。それで――ほらこれ、見てください ! |
カイウス | なになに……『誰でもわかるオーデンセ百物語』 ? |
ロゼ | 百物語ってことは、もしかして……。 |
カイウス | どうしたんだロゼ、顔ひきつってるぞ ?それって一体なんなんだ ? |
ロゼ | あ、あはは……ちょーっと野暮用 ?緊急で思い出した ! ごめん、カイウス ! |
カイウス | あっ、おい !すごい早さで逃げてったぞ……。 |
ナタリア | まぁ、ロゼは怖い話が苦手でしたのね。 |
カイウス | え、怖い話…… ? |
ナタリア | 不可思議なものから、身の毛のよだつ出来事まで……この本にはそんな怖いお話が沢山詰まっていますのよ。 |
カイウス | …… ! |
ナタリア | ちょうどいいですわ。どのお話がいいかカイウスも一緒に選んで下さいませんか ? |
カイウス | オレ ! ?い、いや ! 他の人に聞いた方がいいんじゃ…… ? |
ナタリア | そうですわね……例えばこれなんかどうでしょう ?黒の森で彷徨う少年と少女、歩くとなぜか影が四つ…… |
ナタリア | 振り返ると当然、人影はありません。安心した二人が正面を向くとそこにはなんと――…… |
リッド | 女の人が ! |
カイウス | ぎゃーっ ! ! |
リッド | そ、そんなに驚くほどだったか ? |
ナタリア | そういうリッドこそ、同じようにされたら驚くのではなくって ? |
リッド | たしかにオレもあんまり得意じゃねぇけど……。あんなに驚かないって。 |
ナタリア | ……あら ? リッドの肩に……。 |
リッド | なに ! ? なんだ ! ?手とかないよな ! ? |
ナタリア | ……あなたが言うと説得力がありませんわね。 |
キャラクター | 野生?個性? |
カイウス | よし。これで買い出しは完了だな。戻ろうぜ……ってあれ ?サラ ? ロディ ? ラピード ? どこいったんだ ? |
ラピード | ワン ! |
サラ | カイウスさん~ ! 置いてかないで~ ! |
ロンドリーネ | はぁはぁ……何をそんなに急いでんのよ。 |
カイウス | あ ! 悪い ! 先に行っちゃってたのか !別に急いだつもりはないんだけど……。 |
ロンドリーネ | ラピードが気付いて戻ってくれなかったらはぐれるところだったよ。 |
カイウス | ごめん……。 |
ロンドリーネ | ごめんより、ラピードにありがとう、でしょ ? |
カイウス | そうだった。ありがとう、ラピード。 |
ラピード | ワン ! |
カイウス | それにしても二人を置いていってるって全然気付かなかったぜ。 |
カイウス | 大きな街の人混みの中を歩くの、初めてみたいなもんだったからかな。注意しないと。 |
サラ | なんだかすごかったよ。カイウスさんとラピード。この人混みで荷物もたくさん持ってるのにスイスイ進んでいくんだもん。 |
カイウス | そうか ? サラもロディも、人がどっちに動くのかって、何となくわかるだろ ? |
サラ | ええ~ ? 戦ってる時ならまだしも、普通に歩いてるときはわからないよ。 |
ロンドリーネ | 研ぎ澄まされた野生のカンってやつ ?ラピード並みだなんて、レイモーンの民ってすごいんだね。 |
カイウス | そ、そうかな。へへ、ありがとう !レイモーンの民だってことを褒められるとすごく嬉しいぜ ! |
サラ | そうだったね……カイウスさんは元の世界で……。 |
カイウス | ああ。レイモーンの民だってだけで差別されて迫害されてた。 |
カイウス | 忘れない。忘れてたまるか。あの時の気持ちを……。 |
サラ | 辛かったね……。 |
カイウス | けどさ ! 今はここのみんなと頑張るって決めたし、頑張れるってわかった ! だからこの話は終わり ! |
カイウス | さぁ、戻ろうぜ――って、あれは ! |
ロンドリーネ | ちょ、ちょっとどこいくのよ ! カイウス ? |
カイウス | スリだ ! そこのお前 ! 止まれ~ ! ! |
サラ | ああ~ ! また人混みをスイスイと……。追いつけないよ~ !やっぱりレイモーンの民ってすごい ! |
ロンドリーネ | ふふふ。それ以前にカイウスって、なんだか落ち着きのない子供みたい。 |
ロンドリーネ | そう言ったらきっと――ふふ。ムキになって言い返すね、あれは。 |
サラ | あ~……。目に浮かぶよう……。 |
ラピード | ワフ……。 |
カイウス | 待て~ ! ! |
キャラクター | 眠れないから… |
カイウス | ううーん……。なんでだろうなぁ……。 |
ティルキス | どうしたんだ、カイウス。うんうん唸って。 |
カイウス | あれ ?ティルキスもまだ起きてたのか ? |
ティルキス | ああ。今日、店で会った連中からいろいろと面白い話を聞かせてもらってな。 |
ティルキス | なかなか良さそうな場所を教えてくれたんだ。アーリアを連れていったら喜びそうだなとか考えてたら、こんな時間ってわけさ。 |
カイウス | へぇ……考えごとしてたのか。 |
ティルキス | お前は、眠れないみたいだな ? |
カイウス | うん。その通りなんだけど、なんか変でさ……。 |
カイウス | 今日、みんなで出かけただろ ?あちこち回ったし、メシも思いっきり食べたからすぐに眠れると思ったんだよ。 |
カイウス | ベッドに入ったら身体も休まってる感じがするし……。なのに、頭はずっと冴えたまんまなんだよなぁ。 |
ティルキス | ふむ……今日はいろんなことがあったからまだ興奮してるんじゃないか ? |
カイウス | そうなのかな……。確かに初めて行くところばっかで楽しかったけどさ。 |
カイウス | それで興奮して眠れないとか子供みたいで、ちょっとなぁ……。 |
ティルキス | ははは ! いいじゃないか。カイウスは俺より年下なんだしさ。 |
ティルキス | 経験してないことや、知らないことも多いだろう。つまり、これからまっさらな状態でいろんな『初めて』を手に入れられるってことだ ! |
カイウス | これから手に入れる『初めて』か……。 |
カイウス | ……なんか、そういう風に言われるとこうやってまだ興奮してるのも悪いことじゃないって気がしてきたな。 |
ティルキス | そうさ。楽しい、すごい、面白いって感じる機会は多いほうがいいに決まってる。 |
ティルキス | ルビアをどこに連れてってやろうかなってソワソワ考えてみたりさ。 |
カイウス | なっ……ル、ルビアは関係ないだろ ! |
ティルキス | いやいや、大アリだぞ ?それも大事な経験のひとつだからな。 |
カイウス | そう……なのか ? |
ティルキス | そうだよ。ルビアが喜んでくれたらお前だって嬉しいだろ ? |
カイウス | うーん、まあ……。 |
カイウス | この間も、綺麗な景色を見せてやったらすごく喜んでて……やった、って思ったし……。 |
ティルキス | うんうん、俺も同じさ。だから、そうだな……。 |
ティルキス | さっきの店で聞いた女の子が喜びそうな場所カイウスにも教えてやるよ。 |
カイウス | いいのか ! ? |
ティルキス | もちろん。俺もまだ眠れそうにないしな。なんか飲みながら、ゆっくり話すか ! |
カイウス | ああ、ありがとう !よーし、ルビア、覚悟しとけよ。また驚かせてやるからな ! |