プロフィール
ティアの兄であり、神託の盾(オラクル)騎士団の主席総長にして、ルークの剣の師匠。しかしヴァンはその全てを裏切ることになる。大切な妹とは道を違え、主席総長でありながら預言のない世界を密かに目指し、優しい師を演じて弟子を愛したふりをした。それも全て預言のない世界を作るため。滅びゆく故郷や死にゆく人々を、預言どおりと指をくわえて見ていた者たちへの復讐のため。『栄光を掴む者』の名を与えられた男の決意は、妹にも、弟子にも、そして一時は志を共にした幼なじみでさえも、止めることはできなかった。
ミリーナの一言
ヴァンさんって、あの髭のせいか年齢よりも貫禄があるように見えるわ。若いうちに騎士団の主席総長になったから、軽んじられないようにと髭を生やしたんじゃないかって話も聞くけど、あの声や威厳のある雰囲気だけでも十分に周りを圧倒できそうよね。声といえば、ヴァンさんはティアと同じように、譜歌を歌える第七音譜術士(セブンスフォニマー)なんですって。あんないい声で歌う譜歌、一度聞いてみたいわね。
イクスの一言
ヴァンさんが元の世界で何をしようとしていたか、ルークたちから聞いてるよ。それでも俺は少しだけ共感してしまうんだ。人の生死も、国の滅亡も、全てが預言に定められていて、人々もそれに疑問を持たずに従う世界なら……俺も変えたいと思ってしまうだろうって。人類を全てレプリカに置き換えるなんて手段には賛成できないけど、ヴァンさんは誰よりも強い意志で、人が自由に生きる世界を目指していたんじゃないかな。そんな人が、預言のないこの世界でこれからどう生きるのか、そして俺たちのような存在をどう見るのか、確かめたいって思ってる。
キャラクター | 魅惑のたまご丼 |
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ヴァン | マーク。外へのゲートを開けてもらえるか ? |
マークⅡ | かまわねぇけどなんか用事でもあるのか ? |
ヴァン | うむ……。リグレットが疲れているようなので少し休ませてやりたいのだ。 |
マークⅡ | ああ……そうだよな。リグレットのおかげで生活能力の無い連中にも、それぞれ仕事を割り振れるようになったが、監督役は休めないからな。 |
マークⅡ | 悪い、こっちでもっと配慮すべきだった。じゃあ、リグレットをつれて外の空気でも吸うのか ? |
ヴァン | いや、リグレットは部屋で休ませている。その代わり、しばらくはリグレットが担当していた仕事を、私が引き受けようと思うのだ。 |
マークⅡ | ああ、そうか。ヴァンは家事全般得意だもんなぁ !最初にたまご丼を食わせてもらったときはあまりの美味さにびっくりしたぜ。 |
アリエッタ | え ! ? 総長、またたまご丼作ってくれるの ? |
メルクリア | まことか ! ? あれは……いいものじゃ……。 |
ムルジム | たまご丼 ? あれが出たときは大騒ぎだったわね。 |
シグレ | ああ。だが確かにあれは美味かった。俺もまた食べたいと思っていたところだ。 |
ジュニア | あ、あの……僕も食べたいです、ヴァンさん。 |
コーキス | 俺も俺も !ヴァン様 ! 俺は大盛りにしてくれよ ! |
ディスト | 総長、私も研究の合間に味見をするのはやぶさかではありませんよ。 |
アステル | あのたまご丼、マジで神だもんね。僕も食べたい ! |
リヒター | ……たまご丼……。 |
バルド | たまごの半熟加減が素晴らしかったですよね。また食べられる日がくるとは……。 |
ナーザ | お前たち ! 何を騒いでいる ! ? |
ヴァン | ああ、すまないな、ナーザ将軍。仕事の邪魔をしてしまったようだ。 |
アリエッタ | ……でも総長が、たまご丼……作ってくれるって……。 |
ナーザ | な、何……だと…… ! ?あの口当たりがまろやかでほんのりと甘く出汁の香りがかぐわしい、あのたまご丼かっ ! ? |
マークⅡ | いや、ナーザが一番うるせぇよ。 |
リグレット | ……閣下…………。 |
ヴァン | リグレットか。無理をするな。寝ていろ。 |
リグレット | ……あ、あの。私も……閣下のたまご丼を頂きたい……です。 |
ヴァン | (私は一言もたまご丼を作るとは言っていないのだが……) |
ヴァン | ……わかった。皆のためにたまご丼を作ろう。 |
ナーザ | そうか……。ヴァン、期待している。皆喜べ ! 今宵はたまご丼ぱーてぃーである ! |
全員 | おおおおおおおおっ ! |
ヴァン | (――大丈夫なのか ?ビフレスト聖騎士団は……) |
キャラクター | 眠れぬ夜に |
メルクリア | はぁ……はぁ……。これしきの術で息が切れるようでは役に立てぬ。もっと鍛錬を……。 |
ヴァン | がむしゃらに続けても精度はあがらぬぞ。 |
メルクリア | ヴァン…… ! 見ていたのか。 |
ヴァン | いや、今しがた通りがかっただけだ。邪魔をした。夜も遅い、皇女殿も早く眠りなさい。 |
メルクリア | あっ、待ってくれ。精度を上げるとは、どうすればよいのじゃ ? |
ヴァン | そうだな……まずは呼吸法と体術を学ぶといい。術者とはいえ、ある程度の基礎は必要だ。 |
メルクリア | なるほど。体力も必要か。わらわは魔鏡術を磨くことばかりを考えておった。 |
ヴァン | 教えを乞うのであればリグレットが適任だろう。頼んでみるといい。 |
メルクリア | 承知した。しかし、あれだけでわらわの至らぬ点を見抜くとはのう……。そなたは良き師となること間違いなしじゃ。 |
ヴァン | さて……どうだろうな。それよりも、何故このような時間に鍛錬をしている。 |
メルクリア | 夢見が悪くて目が覚めてしまった。……兄上様を失う夢じゃった。 |
メルクリア | どんな形であれ、今、兄上様はそばにいる。しかしこれから先はどうなるかわからぬ。そう考えると胸が苦しくて……。 |
ヴァン | あれは不安を打ち消すための鍛錬だったか。 |
メルクリア | 不安……、そうじゃな。わらわは不安なのであろう。兄上様の身に何が起こるかわからぬゆえ。 |
メルクリア | 未来が見えればこのような夢に惑わされぬものを。 |
ヴァン | いや、先が見えぬからこそ希望を持つことができる。手を尽くそうとも思えるのだ。 |
ヴァン | 聞きなさい、メルクリア。たとえ今夜の鍛錬の成果が微々たるものだとしてもそれはいつか兄を助ける力となるだろう。 |
ヴァン | その力を身につけるために悪夢を見たのだ、と思ってはどうだ。 |
メルクリア | ……そうじゃな。そのように考えるよう努力する。そうは言うても、簡単には寝つけぬだろうな。 |
ヴァン | ……妹も、よく怖い夢を見て眠れなくなると私のところへ来ていたな。その度に子守歌をせがまれたものだ。 |
メルクリア | なんと、ヴァンが子守歌を ?あの……よければ聴かせてくれぬか ? |
メルクリア | 母上様が亡くなられてからわらわに子守歌を歌ってくれる者など誰一人いなかった。また聴けるものなら……。 |
ヴァン | それは……。 |
メルクリア | す、すまぬ……。甘えであったな。困らせるつもりはなかったのじゃ……。 |
ヴァン | ………………。 |
ヴァン | では皇女殿、一つ約束して欲しい。私が歌を歌ったことは私と皇女殿、二人だけの秘密にすると。 |
メルクリア | わ、わかった ! 約束する !感謝するぞ、ヴァン ! |
キャラクター | カリスマの長 |
アレクセイ | 今回の情報提供は以上だ。また何か情報を掴んだ際には魔鏡通信などで連絡しよう。 |
ヴァン | 感謝します、団長殿。まさか、直々に出向いて下さるとは思いませんでした。 |
アレクセイ | 野暮用があったのでな。偶然立ち寄ったに過ぎん。 |
アレクセイ | 無事交渉は終わったのだから部下たちに警戒を解くように指示してもらえないか ? |
ヴァン | やはり、気付かれていましたか。 |
アレクセイ | 上手く気配を消しているのはさすが謡将の部下といったところだが残念ながら私には通用せん。 |
ヴァン | これは失礼しました。お前たち、もう出てきてよいぞ。 |
リグレット | 申し訳ありません、アレクセイ殿。 |
リグレット | ですが、一つ訂正を。この場で待機していたのは、閣下の命令ではなく私たち自らの判断です。 |
アリエッタ | 総長に何かあったら、アリエッタたちも困る、です。 |
アレクセイ | なるほど、随分と殊勝な部下をお持ちのようだ。私も見習いたいものだよ。 |
ヴァン | お褒めに預かり光栄です。ですが、彼女たちの同行を不快に思わせてしまったらお詫びを申し上げましょう。 |
アレクセイ | なに、改めて謡将の人望を思い知らされた。私と違って、部下たちから慕われているようで羨ましい限りだ。 |
ヴァン | 一国の軍を率いていた人物としては少々弱気な発言と取れますが ? |
アレクセイ | それもここに来るまでの話だ。今は小規模な軍隊を率いている矮小な人間だ。 |
アレクセイ | だからこそ、貴殿のような男には期待しているのだ。いずれ私のところへやって来てくれることを楽しみにさせてもらおう。 |
アリエッタ | 総長。さっきの人、アリエッタのお友達に追いかけてもらってる。 |
ヴァン | いや、その必要はない。こちらに害のある人物ではないからな。 |
リグレット | しかし、あの者は閣下を仲間に引き入れようとしています。鏡士たちの話では警戒すべき要注意人物だということですが ? |
ヴァン | 確かにな。だが、それなりに利用価値はある。今は友好な関係を築いておくのが得策だろう。 |
リグレット | 承知しました。ですが、あの者との交渉の場には出来れば今回のように我々の同行を許可して頂けると助かります。 |
リグレット | 閣下に何かあっては、私もティアに顔向けが出来ません。 |
ヴァン | よかろう。だが、もしあの御仁を敵に回すことになればこちらも只では済まないだろうな。 |
リグレット | あの者にどのような力が ? |
ヴァン | 腕も確かだが、何よりあの御仁は人を掌握する力に長けている。 |
ヴァン | リビングドール化されるまでのわずかな時間で多くの帝国兵を心酔させたのが、その証拠だ。 |
リグレット | 閣下がそれほどまでに評価するとは……。では、私たちも引き続き警戒しておきます。 |
ヴァン | 任せたぞ。それにしても、この私さえ手駒に収めようとするとはな。 |
ヴァン | だが、生憎私は従順な駒ではない。時には背信棄義も厭わない人間だという事を知っておいてもらわねばな。 |