プロフィール
サフィールが生まれ育った雪の街は理想の国だった。なんでもできる憧れの親友と彼の優しい妹、それから鼻持ちならない皇帝の息子。子供の時代がいつまでも続くと思っていた。親友が大切な先生を殺めてしまうまでは。天才であった親友と肩を並べるため、必死にその影を追い、死者の復活という途方もない夢をその手につかみかけた時、親友は全てを投げ出してしまった。いつの間にかサフィールと親友は違う道を歩んでいたのだ。あと少しで取り戻せる。全ての努力が報われる。何故それを諦められるのか。サフィールは決意した。たとえどのような手段を使っても、先生を甦らせ、あの時代を取り戻す。こうして後に死神と呼ばれる薔薇のディストが誕生した。
ミリーナの一言
ディストさんは色々な意味で純粋な人なんだと思うわ。だからこそ、時には非道なことや残酷なことも平気でするし、同じ顔で人を助けたり、優しさを見せたりするの。ジェイドさんは確かに天才だけれど、ディストさんも果てない努力の天才なんじゃないかしら。まあ……だからといって、面倒を見なさいと言われると……正直ちょっと大変そうよね。取扱注意って感じかしら。ルークさんたちが、とりあえずジェイドさんに押しつける気持ちがわかってしまうもの。これからもこちらに迷惑がかからない限り、元気に頑張って欲しいわね。
イクスの一言
ディストさんは音機関――機械にすごく詳しいんだ。色んなロボットを作っているし、それがどれも高性能なのに、どこかポンコツ感があって癒やされるんだよな。アニスのトクナガを改造して戦えるようにしてくれたのもディストさんらしいんだ。どう見てもただのぬいぐるみなのにあんな風に大きくなる理屈もよくわからないけど、一番わからないのはディストさんの椅子だよな……。あれはどういう理屈で飛んでるんだろう。反重力 ? ロケットエンジン ? オートジャイロ ? いや、案外ディストさんパワーで強引に浮かんでるだけなのかも知れないな。
キャラクター | 四幻将の集い |
---|---|
イクス | ……あ。 |
チェスター | やめろ、馬鹿 ! 目をそらせ ! |
ミトス | もう遅いよ。こっちに来る。 |
ディスト | はーっはっはっはっ ! お久しぶりですねぇ ! 魔弓のチェスターに飛天のミトスそれに裂燕のイクス。 |
イクス | え ! ? 俺にも二つ名をくれるんですか ! ? |
ディスト | あなたは日頃から私の価値というものをそれなりにわかっているようですからね。私の信奉者には褒美の一つや二つはくれてやりますよ。 |
イクス | 信奉者じゃないけど、ありがとうございます ! |
ディスト | あなたは実に素直ですねえ。よろしい。次からは四幻将の集いにあなたも招いて差し上げましょう。 |
イクス | え ! ? そんな集いを開催してるんですか ! ? |
チェスター | 誰も参加したことのない集いだろ、それ。 |
ミトス | チェスターはね。 |
チェスター | おい ! ? まさかお前……参加してるのか ! ? |
ディスト | 三回に一回は顔を出していますよ。欠席の時もジェイドにこき使われているとか丁寧な詫び状が届きますしね。 |
ディスト | 私を慕うミトスの気持ちが痛い程に伝わってきます。 |
イクス | あの……四幻将の集いって具体的にはどんなことをするんですか ? |
ディスト | そうですね。まず、四幻将を称える歌を歌います。 |
チェスター | 四幻将を……。 |
イクス | 称える歌……。 |
ディスト | それから、我々の結束と流した血を忘れぬよう薔薇色のブドウジュースで乾杯します。 |
チェスター | 薔薇色の……。 |
イクス | ブドウジュース……。 |
ディスト | 参加者には未成年もいますからね。アルコールは使わないという配慮ですよ。 |
リヒター | ディスト ! こんなところで油を売っていたのか。早く物資をタルロウに運ばせないと店に迷惑をかける。早く来い。 |
ディスト | 何ですか、その言い方は。私が好意からタルロウXを荷物運びに使わせてあげているのですよ ! ? |
リヒター | それには感謝している。だが格安で補給品を集めてくれた店に迷惑をかける訳にはいかない。 |
ディスト | ……仕方ありません。あなたの言うことにも一理ありますからね。 |
ディスト | では、私はこれで失礼しますよ。飛天のミトス。次はジェイドなど無視して、是非遊びに来て下さい。 |
ディスト | むしろジェイドにも招待状を送っているので一緒に来て下さって構わないのですよ。 |
ディスト | それから魔弓のチェスター。あなたが礼を失していることがよくわかったでしょう。次こそは必ず参加するのですよ ? |
リヒター | ……すまん。無理に来ることはないぞ。魔弓に飛天。 |
イクス | ……え……えっと。 |
ミトス | ……リヒターが哀れでね。たまに参加するんだ。 |
チェスター | 今度はオレも付き合うぜ。なんか、リヒターに申し訳なくなってきた……。 |
キャラクター | それは罪ではなく |
メルクリア | ……ふむ。つまりタルロウの自律回路は心核の研究によってより洗練されたということじゃな。 |
ディスト | ええ。機械が人間らしく見えるのは観測する人間の感受性の問題に過ぎません。 |
ディスト | その感受性の発現を統計化し、組み込むことで人間の側がタルロウに対して隙を見せるのですよ。 |
メルクリア | ふむ……。人心掌握の一つの形……とも言えるな。 |
ディスト | あなたは単なる分別のない繰り人形かと思っていましたがそれなりに知性があったのですねえ。 |
メルクリア | ……む。そうじゃな。ディストにそのように思われていても仕方が無い。わらわは未熟であった。未熟であることに気付かぬ程に。 |
メルクリア | じゃが、せめてこれからは己の不明を自覚しわらわにとってのビフレストとは何なのかを考えていきたいのじゃ。 |
ディスト | ビフレストの復活は諦めたのではないのですか ? |
メルクリア | 復活とは何を指すのか……。わらわはそこから考えねばならぬ。 |
メルクリア | そもそも、わらわはビフレストという国を知らぬ。知らぬまま過去の国家を具現化することがわらわにとっての復活なのか……。 |
メルクリア | まずはそこから問うていきたい。 |
ディスト | ふむ……。 |
メルクリア | ディスト。そなたは幼い頃の師を甦らせようとしていると聞いた。それは具現化で簡単にできるであろう ? |
メルクリア | 立ち入ったことを尋ねている自覚はある故答えずともよいが何故具現化させようとしないのじゃ ? |
ディスト | 具現化では、私たちの望む先生を甦らせることにはならないからですよ。 |
メルクリア | そなたたちの望む師とは…… ? |
ディスト | 死を体験した先生です。 |
ディスト | 死の記憶を持つ生きた先生と対面してこそジェイドはあの薄気味の悪い仮面をはがせるようになるのです。 |
メルクリア | ……では、ディストが真に甦らせたいのはジェイドとやらのことなのか ? |
ディスト | ! ? |
ディスト | なるほど……。そんな風に考えてみたことはありませんでした。ですがそれは少し違うのでしょうね。 |
ディスト | きっと私は、私という者の可能性を追求したいのです。広い意味では、あなたの言うことにも一理あるのでしょうが。 |
メルクリア | 難しいのう……。じゃが、ディスト。わらわはそなたが、他の者たちの言うような道化ではないことを知ったぞ。 |
メルクリア | 志は違うのであろうが、そなたの目的がわらわたちと対立せぬ間は、力を貸して欲しい。 |
メルクリア | わらわにはそなたが必要だと感じている。死したものを甦らせることは罪なのか。ではこの世界は何なのか。 |
メルクリア | わらわなりの答えを見つけるのには多様な考えに触れる必要があると兄上様も仰っていた。 |
ディスト | 言われずとも、利用価値のある間は私のこの優れた頭脳を存分に発揮して差し上げますよ。 |
ディスト | それにあなたがどのような『復活』を望むのかその答えは非常に興味深いですからね。 |
キャラクター | 意外な一面 |
ディスト | 妙な組み合わせで妙なところにいるものですね。ここはあなたたちの住む場所ではないでしょう ? |
カロル | げ、ディストだ…… ! |
ディスト | げ、とはなんですか、げ、とは !まったく、最近の若い者は礼儀知らずですね。 |
ライフィセット | あ、あはは……ごめんなさい、ディスト。でも、ディストだってこの辺に住んでるわけじゃないよね ? |
ディスト | ほう、よくご存知じゃありませんか。その通り、私の自宅はこの辺りではありません。土地の調査に来ただけですね。 |
ディスト | ま、私はあなたたちのようなガキとは違って色々と忙しいのですよ。 |
カロル | ボクたちも暇なわけじゃないけどね。今日は自然現象の観測に来たんだし。 |
ディスト | 自然現象 ? |
ライフィセット | この先の山で、オーロラが出るんだって。それを見に来たんだけど、ディストは知らない ? |
ディスト | フン、誰にモノを尋ねているんですか。それくらい知っていますよ。興味がないだけです。 |
ライフィセット | 興味ないんだ……。まあ、さすがに一緒に行くとは思ってないけど。 |
カロル | そうだね……。それじゃあ、ボクたち準備のための買い物に行ってくるから。 |
ディスト | お待ちなさい。 |
二人 | え ? |
ディスト | あなたたちが行こうとしている山ですが天候が悪化しやすい場所にあります。きちんと雨具を用意していきなさい。 |
カロル | そうなの ?じゃあ、しっかり対策していかなきゃね。ありがとうディス―― |
ディスト | それと、魔物の姿は見当たりませんが少々足場が悪いですね。 |
ディスト | 到着までに時間がかかることも見越して余裕を持った出発と、食料の調達をしていきなさい。 |
ライフィセット | 時間と食料を見誤らないように、だね。うん、気をつける ! |
ディスト | まあ、あなたたちなら体力が尽きるようなことはないと思いますけどね。 |
ディスト | それでも、こうして顔を合わせてしまった以上野垂れ死ぬようなことになれば私のせいにされかねません。 |
ディスト | ですから、注意に注意を重ねて行動するようになさい。いいですね ? |
二人 | …………。 |
ディスト | なんですか、そのなんとも言えない顔は ! |
カロル | ディストって、ちょっと困った人だなって思ってたけど意外といいところがあるんだね。 |
ライフィセット | 頭もいいし、本当は悪い人じゃないのかも。色々空回っちゃうだけで。 |
ディスト | 褒めるか貶すかどちらかにしなさい !まったく……。 |
カロル | あはは ! ありがとう、ディスト。アドバイス通り、気をつけて行ってくるよ。またね ! |
ディスト | まったく、失礼な子たちですね……。まあ、素直に受け止められるというのも悪い気はしませんが。 |
ディスト | せいぜい好奇心を満たしてくることですね ! |