プロフィール
山間の村に暮らすごく普通の少女であったクレアは、幼馴染みであり家族同然に育ったヴェイグの氷のフォルスが暴走し、一年もの間、氷に閉じ込められ眠っていた。しかしそれは、彼女に迫る大きな運命のほんのはじまりでしかなかった。ヒューマとガジュマ、二つの種族間に横たわる軋轢の中で、クレアは女王アガーテとその運命を交錯させる。クレアは戦う力を持たない。だが、決して守られるだけの弱い少女ではない。他者への敬意と慈愛、それを貫けるだけの強い心を持っている。
ミリーナの一言
クレアさんは、アジトを支える縁の下の力持ちね。たくさん仲間が増えたからお掃除やお洗濯、食事の用意もクレアさんがいないと回らないわ。でも、一番はやっぱり「そこにいてくれる」ってことかしら。激しい戦いを終えて戻ると、いつもクレアさんが温かい食事を作って待っていてくれるの。それだけで「帰ってきた」って気持ちになれる。普通で当たり前のことが、とても幸せなことなんだって、きっとクレアさんは知っているのね。
イクスの一言
クレアは、とても勇気のある人だと思う。武器を持つことはそれほど難しくない。武器を向ける相手や、武器をふるって起きた結果に責任は持たないといけないけどね。でも、クレアは最初から武器を持たない。目に見える敵を相手にするわけでもない。だからといって戦っていないわけじゃないんだ。理不尽なことや悲しい出来事に、面と向かって自分の言葉で何か言えるって簡単じゃないよ。
キャラクター | #N/A |
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イクス | うーん……。 |
ミリーナ | どうしたの ? イクス。 |
イクス | 少し、気になることがあるというか。おかしいなと思って。 |
カーリャ | おかしい、ですか ? |
イクス | さっき、キッチンで料理を作ってるクレアを見たんだ。 |
コーキス | それのどこがおかしいんだ ? |
カーリャ | クレア様のお料理美味しいですよねー。 |
イクス | いやいや、そういうことじゃなくてさ。その前は洗面所の掃除をしてたんだ。 |
イクス | で、その少し前は洗濯をしてたしさらに少し前には共有スペースで椅子の脚を拭いてた。 |
ミリーナ | そういえば、ついさっき私もクレアさんが植木に水をやってるのを見たわ。 |
カーリャ | カーリャは朝早くに庭の草むしりをしてるのを見ましたよ |
コーキス | そういえば、夕べ遅くに繕いものをしてた……。 |
イクス | クレアって、いったいいつやすんでるんだ? |
イリア | ねえねえ、クレアさん。顔拭くタオルどこー ? |
クレア | タオルね。はい、これを使って。 |
ルビア | クレアさーん ! どうしよう ! お洋服にトマトソースこぼしちゃった ! |
クレア | それならすぐにしみ抜きするわね。 |
パスカル | やっばーい ! 実験してたらカーテン焦げちゃったー。 |
クレア | まあ、大変。それじゃ、当て布をして直しましょうね。 |
クラース | 少し調べたいことができた。調査に── |
クレア | はい、よかったらお弁当持っていってください。 |
クラース | あ、ああ……助かる。 |
クレア | さてと、それじゃお掃除にお洗濯に……。そうだわ、みんなのお布団も全部干しちゃいましょう。 |
イクス | やっぱり、これは……。 |
ミリーナ | そうね。ちょっと良くないかも。 |
ヴェイグ | クレアが、働きすぎている ? |
ミリーナ | ええ、朝から晩までずーっとアジトの中をあちこち走り回って働いてるの。 |
ミリーナ | すごく助かってるのは事実なんだけどさすがに申し訳なくって。 |
イクス | なにより、あんなクレアが心配だよ。働きづめで身体を壊したりしないかって。 |
ヴェイグ | そうか……実はオレも気になっていた。どうやら少し張り切りすぎているようだな。 |
ミリーナ | みんな少しクレアさんに頼り過ぎだと思うの。 |
ミリーナ | 今の状態が当たり前になるのは誰にとっても良くないわ。 |
ヴェイグ | そう言われると、耳が痛いな。オレもクレアに頼り切りだからな。 |
ヴェイグ | だが、オレが働くなと言っても無駄だと思う。クレアのことだ、結局なにか仕事を見つけてしまうぞ。 |
イクス | うん、そうだと思う。だから、ヴェイグにはクレアを連れだしてもらいたいんだ。 |
ヴェイグ | クレアを連れ出す…… ? |
クレア | ねえ、いったいどこへ行くの?そろそろ教えてほしいわ。 |
ヴェイグ | いや、目的地はとくには……ない。 |
クレア | じゃあ、どうして私に着いて来いだなんて……。 |
マオ | まあまあ、いいじゃない。目的なんかなくてもサ。 |
アニー | ずっとアジトの中にいたんじゃ、不健康ですよ。たまにはこうしてお日様の下を歩かないと。 |
クレア | それは、そうかもしれないけど…… |
ヒルダ | ちょっと、クレア困ってるわよ。もっと良い口実はなかったの ? |
アニー | そう言うなら、ヒルダさんが考えてくださいよ。 |
マオ | ほら、ユージーンも何か言ってヨ ! |
ユージーン | う、うむ……そうだな。 |
ユージーン | あー、日の光をしっかり浴びることが綺麗な毛並みを保つ秘訣だ。 |
ユージーン | 俺も、王に謁見をする前日などはしっかりと日に当たり身だしなみを整え── |
マオ | …………。 |
ヒルダ | …………。 |
ユージーン | な、なんだ。その顔は。 |
マオ | もー、もうちょっとマシな言い訳なかったの ?それに、クレアさんに毛皮はないヨ ! |
ユージーン | む、そうだった……すまん。 |
クレア | みんな、どうしたの ?なんだか様子が変よ。 |
クレア | まるで、何か隠し事してるみたい。 |
マオ | ギクぅ…… ! |
アニー | そ、そんなことないですよ !わたしたちいつも通りです ! |
クレア | ヴェイグ……。 |
ヴェイグ | な、なんだクレア。 |
クレア | ちゃんと私の目を見て。 |
ヴェイグ | む……。 |
マオ | マズいヨ ! あのヴェイグがクレアさんに隠し事なんてできるわけないヨ ! |
アニー | ヴェイグさん、絶対に目を合わせちゃダメですよ ! |
ヴェイグ | むむむ……。 |
ヒルダ | いい加減にしたら ? ここまで連れ出せたんだからもう隠すこともないでしょう。 |
ユージーン | 確かに、我々の目的はクレアさんを外に連れ出して息抜きをしてもらうことだったな。 |
クレア | それって……。 |
ヴェイグ | すまない、クレア。騙したわけではないんだ。 |
ヴェイグ | ただ、本当のことを言えばお前は気兼ねしてちゃんと休めないんじゃないかと思ったんだ。 |
ユージーン | 待て。その話は後にした方がいい。 |
魔物 | グルルルルゥ……。 |
マオ | だね。どこかから魔物が集まってきちゃったみたいだ。 |
ヴェイグ | クレア、話は後だ。下がっていてくれ。 |
キャラクター | #N/A |
ユージーン | おおかた片付いたな。 |
ヴェイグ | クレア、大丈夫か ?ケガはしていないか。 |
クレア | ええ、私は平気よ。 |
ヒルダ | ここは魔物なんか出ない安全なところじゃなかったの ? |
アニー | そう聞いてたんですけど……。 |
マオ | 匂いにでも釣られたんじゃない ? |
マオ | クレアさんが持ってるそのバスケットさっきからいい匂いがしてるヨ。 |
ヴェイグ | ちょうどいい、この辺りで少し休憩にしよう。クレアに事情も説明するべきだろうしな。 |
クレア | 私が働きすぎ ? |
ヴェイグ | ああ、イクスたちがずいぶん気にしていた。みんなしてクレアに頼り過ぎなんじゃないかと。 |
クレア | そんなの気にしなくていいのに。私が好きでやっているんだから。 |
ヒルダ | そうね、実際みんな助かってるわ。でも、そうじゃない人もいる。 |
クレア | 私、迷惑だった…… ? |
ヒルダ | 迷惑なんじゃなくて、申し訳ないのよ。 |
ユージーン | 自分で出来ることを、人任せにできない者もいる。こればかりは性分やプライドの問題だからな。 |
アニー | 誰かに頼るって、実は難しいですよね。 |
マオ | ボクはもっと気楽にすればいいと思うけどネ。やってくれるんだからそれでいいじゃない。 |
ユージーン | おまえはもっと遠慮をおぼえるべきだな。 |
ヴェイグ | みんな、クレアのことを心配したんだ。働きすぎじゃないか、身体を壊さないか、と。 |
クレア | 私、少し張り切りすぎてたかもしれないわ。みんなと違って私は戦うことができないから。 |
ヴェイグ | お互いに、少し気を遣いすぎていたのかもな。 |
マオ | つまり、もっとみんなと仲良くなればいいんじゃない ? |
アニー | 仲良く、なる ? |
マオ | だって、ヴェイグはいつもクレアさんにお世話されてるけど申し訳ないとか思わないでしょ ? |
ヴェイグ | いつも感謝はしている。 |
クレア | ヴェイグは、口には出さないけどいつも私のことを気遣ってくれてるわ。 |
マオ | ほらね、仲が良いと口に出さなくてもわかるんだヨ。 |
マオ | だから、クレアさんがもっとみんなと仲良くなれば心配させたり申し訳ないと思うこともないんじゃない ? |
ユージーン | なるほどな、それは一理ある。 |
アニー | でも、仲良くなるって具体的にどうすれば……。 |
ヒルダ | ……これでいいんじゃない ? |
ヒルダ | こんな風に、他の仲間たちとも話をすれば ?クレアのお茶とお菓子があれば話も弾むでしょう。 |
マオ | それいい ! クレアさんにも息抜きになるしネ ! |
ヴェイグ | クレアのお茶会か……。いいかもしれないな。 |
クレア | 私が、みんなを招くのね……なんだか楽しそう。美味しいお菓子をたくさんつくらないと。 |
ヴェイグ | オレたちも手伝おう。帰ったら、イクスたちに話してみるか。 |