プロフィール
連綿と続くはずの日常。それは雨の夜に壊された。凶漢による両親の死、幼い彼女の手では支えられなかった家名は、周囲の嘲笑とともに取潰しとなる。彼女の胸に残る凶漢への憎悪と、肩の荷が下りたという安堵の相反する想い。狭間に揺れ動く心を抱えながら、進むしか道はなく。背負い続けた復讐の果て、乗り越えた先で、彼女は己が意思で剣を取る。生きる世界を、守るために。
ミリーナの一言
クロエとファラが真剣な顔でダイエットの話をしていたの。二人ともそんなもの必要ないと思うのに、体重や体形が気になるんですって。だから部分痩せできるストレッチを教えてあげたんだけど、クロエったら教えた量の十倍ぐらい鍛えてしまったみたいで、逆に体重が増えちゃったんですって。筋肉が付き過ぎちゃったのね。そんなやり過ぎなぐらい頑張るクロエも可愛いわね。
コーキスの一言
朝方に目が覚めて、道場の近くを通りかかったらクロエ様を見かけてさ。こんな朝早くからどうしたんだと思って声掛けたら、目一杯素振りに付き合わされたんだ。つーか、素振りは別にいいんだけど、朝飯食ったら素振り、昼飯食ったら素振りでずーっと素振りばっかなんだよな。途中からクレス様も感化されて素振り始めちまうし。結局丸一日素振りやらされて腕が痛ぇよ。鍛錬の鬼だぜ……。
キャラクター | 大切なこと |
---|---|
クロエ | ふっ ! ふっ ! |
カロル | やっ ! それっ ! |
ルカ | ……クロエ、カロル、朝からずっと素振りしてるね…… ? |
クロエ | ん ? ミルダか。何か用だろうか ? |
ルカ | あ、ごめんなさい !用っていうか、朝からずっと素振りしてたみたいだったから……。 |
クロエ | アルベインもファラも先ほどまで一緒に稽古していたし、普通では ? |
カロル | うん。ボクもときどき特訓してたら朝になっちゃうことあるもん。 |
ルカ | ふ、二人とも特訓が大好きなんだ……。 |
クロエ | べ、別にそういうわけではない。ただ、強くならなければならなかった。目的を達成するために……。 |
ルカ | ……強くならないと果たせない目的……きっとすごく大変なものなんだろうな……。 |
クロエ | ああ、いや……。今は、もう当初の目的はいいんだ。 |
クロエ | けれど、いずれは国に戻り、もう一度騎士として家を立て直したい。それには、腕がなまってしまっては困る。 |
カロル | そうなの ? |
ルカ | 立て直すってことは、クロエの家は……。 |
クロエ | ああ。両親が亡くなって、取り潰されてしまった。 |
カロル | そうだったんだ……けどクロエは前を向けたんだ。それってすごいよ ! |
ルカ | ……クロエは、強いんだね。 |
クロエ | ……いや、強くなれたんだ。クーリッジと……仲間たちと共に歩んできたから……。 |
クロエ | 私が忘れない限り、ヴァレンス家の騎士の誇りは、なくなることはない。それに気づくことができた。 |
カロル | 仲間が一緒だったから……うん、そうなんだよね ! |
クロエ | ああ、そうだ。 |
カロル | よ~し ! もっと頑張らなきゃ ! |
ルカ | ふふ。 |
クロエ | その意気だ、カペル !では特訓を再開しよう !ミルダも一緒にどうだ ? |
ルカ | え ? あ~……じゃあ、ちょっとだけ……。 |
カロル | そうこなくっちゃ ! じゃ、何しよっか ! |
クロエ | では素振りを今から四時間ほどやっておこう。 |
カロル | へ ! ? |
ルカ | 四時間 ! ? |
クロエ | それでは始めるぞ ! |
二人 | ええ~…… ! |
キャラクター | 自制 |
クロエ | こ、これは……。 |
ライラ | 焼き菓子を作り過ぎてしまって。クロエさんとセネルさんもよければ食べてください。 |
セネル | ありがとう。それじゃあ遠慮なく。 |
エドナ | このクッキー、なかなかいけるわね。そっちのシフォンケーキもちょうだい。 |
ライラ | はい。どうぞ、エドナさん。 |
クロエ | う、うぅ…………。 |
セネル | クロエ。体調でも悪いのか ? |
クロエ | い、いや……そうじゃないんだ。 |
ライラ | 先ほどお昼を食べたばかりでまだお腹が空いていないとか ? |
クロエ | いや……まだ昼は食べていない。どちらかと言えば、腹は空いている。 |
エドナ | ならこれくらい全部ぺろっといけちゃうでしょ。 |
セネル | いや、全部はさすがに―― |
クロエ | ああ、その通りだ……。きっと全部ぺろっといけてしまう。 |
ライラ | ですわよね ! クロエさん ! |
セネル | なら、普通に食べればいいんじゃないか。 |
クロエ | そ、それは…………。 |
セネル | ? ああ、もしかして体じゅ―― |
エドナ | ―― ! |
セネル | いたっ ! いきなり傘でつつくなよ ! |
エドナ | ワタシのお茶会の前でその話をしたらただじゃおかないわよ。 |
セネル | 意外と凶暴なヤツだな……。 |
セネル | とにかくクロエ、気にしすぎだ。好きなものを我慢するあまりストレスを抱えるのも体に悪いんじゃないか ? |
クロエ | ……クーリッジ。 |
クロエ | ダ、ダメだ ! その甘えが身を滅ぼすんだ !そんな姿をクーリッジに晒すわけにはいかない ! |
セネル | ど、どうしてそうなるんだ ! ?俺は気にしないから食べればいいだろ ! |
クロエ | 気にしないだと ! ?おい、それはあんまりじゃないか ! |
セネル | じゃあ俺はどう答えればいいんだよ !甘い物よりもそうやって感情的になる方を自制してくれ ! |
エドナ | ……騎士には変な子が多いわね。 |
キャラクター | 頑張るために必要なこと |
クロエ | く……っ ! いい攻撃だ。だが、これはどうだっ ! ? |
ロウ | うおっ ! |
クロエ | 一本あったな。 |
ロウ | あぁ…… ! くそー、悔しいな。もう一回頼む ! |
クロエ | もちろんだ。いくらでも相手になろう。しかしロウは体力があるな。一日中でも鍛錬していられるのではないか ? |
ロウ | おう、まだまだ鍛え足りねえからな !そういうクロエだって、ほっときゃ夜通し素振りしてるってセネルが言ってたぜ。 |
クロエ | クーリッジめ……。まあ、あながち間違いではない。 |
クロエ | 私には成し遂げねばならないことがある。世界は違えど、ヴァレンス家の騎士として鍛錬をおろそかにすることはできないからな。 |
ロウ | 成し遂げなきゃならないこと、か。なんだかわかる気がするよ。 |
クロエ | お前とは良い鍛錬ができそうだ。……ん ? 魔鏡通信か。 |
シャーリィ | クロエ ! 今どこにいるの ? |
クロエ | シャーリィ。行き先を伝えずに出かけてすまない。どうしたんだ ? |
シャーリィ | 美味しいクッキーが焼きあがったからみんなでお茶しようって話してるの。クロエも来ない ? |
クロエ | わかった。もう少し鍛錬したら戻るよ。 |
クロエ | 待たせてすまない。ではもう一本手合わせを―― |
ロウ | なあ、クロエのそれ。他のやつらと違うんだな。 |
クロエ | ん ? 私の魔鏡通信機か ?以前、得意な者に装飾をしてもらったんだ。 |
ロウ | へえー。なんか洒落てるっつーか可愛いっつーか。そういうの好きなのか ? |
クロエ | あ、ああ……。騎士としてふさわしくない趣味だとは重々承知のうえだが……。 |
ロウ | そうなのか ?騎士ってのはよく知らねえけど趣味なんて人それぞれだろ。 |
クロエ | それはそうだろうが……。なかなか後ろめたさが抜けずに隠したり、我慢したりしてしまいがちでな。 |
ロウ | そんな必要ないんじゃねえか。好きなもんや好きなことがあるとそのために頑張ろうって気になるし。 |
クロエ | 好きなものや好きなこと……か。確かに私は、こういった装飾が好きだ。可愛いものを見るのが好き……というか。 |
ロウ | ふんふん。他には ? |
クロエ | 他には……そうだな。皆と茶を飲み、甘いものを食べるのも好きだな。そんな時間があれば鍛錬をすべきなのだが……。 |
クロエ | ……いや、ロウの言うとおりだ。それらすべてを否定すると、苦しくなってしまうな。 |
ロウ | だろ。頑張り続けるためにもそういうのって大事なんじゃねーか ? 世界が平和になったとしても俺たちにはまだまだやることがあるんだしさ。 |
クロエ | ああ。立ち止まらないためにも好きなものを大切にしていこうと思う。感謝するよ、ロウ。良い教訓を得た。 |
クロエ | 早速ですまないが……もう一本手合わせをしたら一緒にシャーリィの茶会に行かないか ? |
ロウ | ははっ。いいな。そんじゃ、速攻で勝負つけようぜ ! |