プロフィール
姉弟には決まり事があった。ハーフエルフと名乗ってはならない。迫害や差別に満ちた世界、混血であることを名乗れば居場所を失うこととなる。唯一無二の親友にすら長く明かせずにいた。そんな中、旅の途中で同じ境遇に悩む少年と出会った。迫害を受ける歪んだこの世界に葛藤する……彼の名はミトス。初めてのハーフエルフの友達だった。
ミリーナの一言
この間、ジーニアスが作ったフルーツケーキが女の子の間で話題になったの。プレセアに作ってあげる試作品って本人は言っていたけれど、ユーリさんのクレープに匹敵する美味しさだったわ。アーチェなんか、おかわりして二切れも食べてたもの。ジーニアスって頭が良いだけじゃなくて、料理の腕もすごいのね。お姉さんのリフィルさんが……その、料理が得意じゃないから身に付いたのかしら ?
コーキスの一言
色々な武器で戦ってる人を見てきたけど、まさかけん玉で戦う人がいるとは思わなかったな。ジーニアス様が言うには、詠唱に集中するために使ってるらしいんだけど……どっちも成功させながら戦うって、俺には真似できそうにないや。あの器用なロイド様ですら失敗するけん玉だし……もしかして、ハーフエルフってけん玉が上手い種族なんじゃないか ?
キャラクター | 綺麗なお姉さんは好きですか |
---|---|
ミトス | ジーニアス ! リフィルさん ! |
ジーニアス | あ、ミトス ! 今姉さんにアジトの中を案内してもらってるんだ。 |
ジーニアス | もしかして隣にいるのって……。 |
ミトス | うん、ボクの姉さま。 |
マーテル | 初めまして。ミトスの姉のマーテルです。ミトスが色々とご迷惑をおかけしたそうですね……。 |
マーテル | 謝って許されることではないけれどそれでも本当に申し訳ありません。 |
ジーニアス | あ、そ、そんな……。大丈夫です。大丈夫って言うのも変だけど……。 |
ジーニアス | ボク、ミトスの気持ちも少しだけわかるしだから……人間もエルフもハーフエルフもみんな仲良く出来たらいいなって……。 |
ジーニアス | あー、もう、こんな話はやめようよ。ボク、ミトスと友達になれて本当に嬉しいから。 |
ミトス | ジーニアス……。ありがとう……。 |
マーテル | う……。 |
リフィル | マーテル ? 泣いているの ? |
マーテル | ミトスにこんないいお友達ができるなんて……。 |
ミトス | やだなぁ。姉さま、恥ずかしいよ……。 |
リフィル | フフ……。ミトスはしっかりしているからジーニアスも見習うべきところは見習っていい関係を築いて欲しいわ。 |
マーテル | しっかりしているように見えるけれど子供の頃は泣き虫だったのよ。 |
マーテル | お料理をしているときに、魚を捌いているのを見て怖いって泣き出してしまって……。 |
ミトス | ちょ、姉さま……。 |
ジーニアス | あはは、ミトスにもそんな頃があったんだね。 |
リフィル | あら、あなただって似たようなものだったじゃない。風が窓を叩く音で「怪物が来た」って泣き出して。 |
ジーニアス | ちょ、姉さん……。 |
マーテル | あらまぁ……。うふふ、可愛らしいわね。 |
リフィル | 小さな頃はすぐに助けを求めて駆け寄ってきたのにどんどん生意気になって。 |
マーテル | 男の子ですものね。意地を張りたいのよ、きっと。あ、そういえば、ミトスが小さな頃―― |
ミトス | ジーニアス……。ここ、すごく居心地が悪いね……。 |
ジーニアス | うん……。みんなニヤニヤしてこっちを見てるし恥ずかしいからやめて欲しいよ……。 |
キャラクター | マッスルを求めて |
ジーニアス | はぁ……。助かったよ、カイウス。荷物運ぶの手伝ってくれてありがとう。 |
カイウス | いや、そんなのいいんだけどさそんなに大量のジャガイモ、どうするんだ ? |
ジーニアス | ロゼが安く仕入れたって言ってたからポトフでも作って、余った分はスイートポテトにでもしようかなって。 |
カイウス | うぇ……。 |
ジーニアス | え ? もしかしてボクがリフィル姉さんの弟だから心配してる ?大丈夫。料理ならそこそこできるから。 |
カイウス | あ、ごめん。違うんだ。スイートポテトって聞いてあの甘い味を想像しちゃって……。 |
ジーニアス | あ、甘いもの苦手なんだ。じゃあ、フライドポテトも作るよ。それならカイウスも食べられるでしょ。 |
カイウス | ありがとう。助かるよ。ここのみんなは甘党が多いから肩身が狭いんだよなぁ……。 |
ジーニアス | そういえばそうだね。あと、やたらとトマト嫌いもいるし。 |
カイウス | それぞれ違う世界の人間なのに変なところで共通点があるよな。 |
ジーニアス | ボクとカイウスも、人間とそうでない種族のハーフって意味では同じだよね。 |
ジーニアス | あ……でも……。 |
カイウス | うん ? どうかしたか ? 急に暗い顔になって。 |
ジーニアス | カイウスは力も強いし、運動神経もいいし何か格好いいよね……。ボクももっとムキムキの強い男に生まれたかったな。 |
カイウス | オレなんてたいしたことないよ。他のレイモーンの民はオレよりずっと大きいし力も強いんだ。 |
ジーニアス | ええええ……いいなぁ…… !ボクも鍛えればもう少し力がつくかな。 |
カイウス | 魔術士が体を鍛えるってのもおかしな気がするけど……。 |
カイウス | よかったらオレと一緒にクレス道場の朝練に参加するか ? |
ジーニアス | あ、それいいかも ! 前にロイドを誘ったんだけど朝は苦手だし、朝練は飽きたって……。 |
カイウス | そういえばロイドって朝練にはほとんど出てないな……。 |
カイウス | よし、それならこうしようぜ。三時のおやつ、甘くないものが出る日を増やすようにファラ生活向上委員会で議題に挙げてくれよ。 |
ジーニアス | 任せてよ。もし駄目でもボクが甘くないおやつを作るからさ。 |
カイウス | それならジーニアスのトレーニングはオレが引き受けた ! |
ジーニアス | うん ! よろしく、カイウスコーチ ! |
キャラクター | 新しい居場所 |
ジーニアス | お待たせ、ロイド !ボクのほうが時間掛かっちゃったね。 |
ロイド | いいって、俺も今戻ってきたとこだから。それで、欲しい食材は買えたのか ? |
ジーニアス | うん ! やっぱりマークやヴィクトルさんの情報網はすごいね。いつもの半分の値段で買えちゃった。 |
ロイド | そうか。それにしても、すっげー買い込んだな。ほら、一つ袋持ってやるよ。 |
ジーニアス | ありがとう。お店のおじさんがいっぱいサービスしてくれてさ……。 |
ジーニアス | でも、そのおじさんってば最初はボクのこと子供扱いしたんだよ ! |
ジーニアス | 「一人でおつかいに来て偉いねぇ」なんて言ってさ。ボク、そんな子供じゃないのに…… ! |
ロイド | サービスしてくれたんならいいじゃねえか。おかげで、こんだけ食材が手に入ったんだろ ? |
ジーニアス | まあ、そうなんだけどさ……。でも、珍しい経験をしたかも……。 |
ロイド | 子供扱いされたことか ? |
ジーニアス | いや、そうじゃなくて……。知らない人間に優しくされたこと。 |
ジーニアス | ほら、元の世界だと、ハーフエルフが人間に優しくされることなんて中々ないでしょ ? |
ジーニアス | この世界の人たちは、まだハーフエルフにも普通に接してくれるんだなって。 |
ロイド | いいことじゃないか。 |
ジーニアス | うん……。だけど、いつかまたボクたちが差別されるのが当たり前の世界になっちゃうかもしれない……。 |
ロイド | ……ジーニアス。 |
ジーニアス | ……ごめん。そんなことを考えちゃうのはボクがまだ、人間を信用しきれてないからだと思う。 |
ジーニアス | もちろん、ロイドやコレットたちのことは好きだよ。それに、この世界で出会ったイクスたちだって優しくしてくれた。 |
ジーニアス | だけど……ボクの人間嫌いが完全になくなったわけじゃないと思う……。 |
ロイド | ……仕方ないさ。それだけ、俺たち人間はハーフエルフに酷いことをしてきたんだ。 |
ロイド | ……だけどさ、ジーニアスは人間が嫌いでも俺たちを好きになってくれたんだろ ?俺、それだけでもすごいことだと思うぜ。 |
ジーニアス | ……そうかな ? |
ロイド | ああ。だから、誰かが虐げられたりしない世界になるように、一緒に頑張っていこうぜ。 |
ロイド | 俺も、そんな世界が見たいからさ。 |
ジーニアス | うん……ありがとう、ロイド。姉さんの言ってた通り、やっぱりロイドみたいな人が世界を変えるのかもね。 |
ロイド | そんなことないぞ。世界を変えるのは世界のみんなだって俺は思う。だから、ジーニアスもなんだぜ。 |
ジーニアス | うん、そうだね。まあ、ロイド一人に任せて勉強しない世界になっても困るしね。 |
ロイド | どういう意味だよ ! ?せっかく人が真面目に話してたのに台無しじゃねえか ! |
ジーニアス | そんなことないよ。ロイドのおかげでボク、ここでやりたいことを見つけられたから……。 |
ジーニアス | ボクはこれからこの世界を見守っていくよ。みんなが居場所を見つけられるような世界になるようにね。 |
キャラクター | 寝顔の記憶 |
ジーニアス | んー……むにゃむにゃ……。すー……。 |
リフィル | ……ふふ。 |
ジーニアス | ん〜……、ん ?……あっ、あれ ! ?ボク、いつの間に寝ちゃってたの ! ? |
リフィル | 一時間前くらいだったかしら。正確に計ったわけではないけれど。 |
ジーニアス | そんなに ! ? もう、姉さん !見てないで起こしてくれればよかったのに。人前で居眠りなんて恥ずかしいなぁ……。 |
リフィル | ごめんなさいね。なんだか、起こせなかったのよ。昔を思い出してしまって。 |
ジーニアス | 昔…… ?ボク、居眠りした記憶なんてないけどな。まさかロイドと間違えてないよね。 |
リフィル | 本当にずっと昔のことよ。あなたが覚えていないくらい小さかった頃。 |
ジーニアス | それって……。 |
リフィル | ええ……イセリアに住むようになる前。幼いあなたと二人きりだった頃のことよ。 |
ジーニアス | なら、ボクが覚えてないわけだね。……その頃のことなんて、思い出しても楽しくなさそうだけど。 |
リフィル | そうね。ほとんどの記憶は忘れたいものばかり。……でも、私が覚えているのはそれだけではなくてよ。 |
リフィル | 一日の終わりに、小さいあなたを寝かしつけて……ずっと寝顔を眺めていたことがあったの。 |
リフィル | その無邪気な寝顔を見ると、どんな辛い日々の中でもまだ頑張らなくては、と……生きていかなくてはと思えたものだわ。 |
ジーニアス | 姉さん……。 |
リフィル | 湿っぽい話をしてごめんなさい。平和そうに居眠りしているあなたの顔を見たらその時の気持ちを思い出してしまったの。 |
ジーニアス | なんだか、こそばゆいなぁ……。言っておくけど、ボクもう子供じゃないんだからね。ずっと見守ってなくても大丈夫だから ! |
リフィル | ええ、それはよくわかっていてよ。あなたときたら、物心ついたと思ったらすぐにお料理も上手になって……。 |
ジーニアス | それは必要に迫られて――……あ、ううん、なんでもない。 |
リフィル | あなたが出来の良い弟で助かったこともあるけれど姉としては、少し寂しくもあるのよ。 |
ジーニアス | 出来の良い弟、かぁ……へへへ。その割には、毎日たくさんはたかれたけどね。 |
リフィル | ……もう。茶化さないで頂戴。 |
ロイド | おーい、ジーニアス !もう昼寝は終わったかー ? 出かけようぜ。 |
ジーニアス | えっ ! ? ロイドたちにも見られてたの ?くそー……なんか弱みを握られた気がする。 |
コレット | ふふ。ジーニアス、気持ちよさそうにぐっすり眠ってたよ〜。 |
ジーニアス | もうその話はいいから !ほら、行こ行こ ! |
リフィル | ……どれだけの幸運だったのかしらね。イセリアに辿り着いて、あの子たちと出会えたことは。 |
リフィル | ずっと見守らなくてもいい……か。私も、少しだけ弟離れが必要かもしれないわね。 |