プロフィール
幾度もカイウスたちの前に立ちはだかった異端審問官。仮面に隠されたその正体は、カイウスの双子の弟だった。家族を知らないまま家族の再生を望んだ少年は、正気を失った父親とともに生命の法に希望を求め、リカンツ狩りに手を染めていく。だが仮面の下では、自分と同じ血を引く民を虐げることへの罪悪感に苛まれていた。カイウスに敗れ過去を振り払った彼は、世界を救うため最後に残された家族である兄に手を貸すのだった。
ミリーナの一言
双子だけあって顔はカイウスと瓜二つだけど、やっぱり性格は違うみたい。しっかりしていて落ち着いているけど、どこか陰を感じるのよね。この間は、掃除当番でもないのに、こっそりアジトの廊下をお掃除してくれていたのよ。ルキウスのそういう真面目な優しさが、元の世界では彼自身を苦しめてしまったのかしら。せめてここでは、肩の力を抜いて生きて欲しいって思うわ。
イクスの一言
ルキウスは時々遠くを見て辛そうな顔をしていることがあるんだ。きっと昔あった色々なことを思い出しているんだろうな。でも、そういう時はいつの間にかカイウスやルビアがそばに来て、ルキウスをどこかに連れ出していくんだよ。元気な二人に振り回されて呆れてるなんて言ってたけど、本当はルキウスも二人の存在にすごく助けられているんじゃないかな。
キャラクター | 弟たちの悩み |
---|---|
ヒューバート | はぁ……。まったく兄さんには困ったものですね。 |
ルキウス | はぁ……。まったく兄さんには困ったものだよ。 |
二人 | ! ! |
ヒューバート | 誰かと思えば……、ルキウスでしたか。今のつぶやきを聞く限り、あなたも兄弟のことでお悩みのようですね。 |
ルキウス | ああ……。ヒューバートもそうみたいだね。 |
ヒューバート | ええ、いつも迷惑のかけられ通しなものでつい愚痴をこぼしたくなります……。子供の頃からそうでした。 |
ルキウス | はは……、大変そうだね。そうか、子供の頃からか……。 |
ルキウス | あの、ヒューバート……。少し相談していいかい ?ボクはまだ兄さんと一緒に過ごすようになって日が浅いから、付き合い方がよくわからなくてさ。 |
ヒューバート | そういえば……二人は離れて育てられたんでしたね。少なくとも子供時代を兄さんと一緒に過ごしたぼくとはまた違うのでしょうが―― |
ヒューバート | ――わかりました。無鉄砲な兄との付き合い方ならぼくも少しは心得がありますから。 |
ルキウス | ありがとう ! 助かるよ。相談っていうのは……、どうもボクは兄さんに振り回されてばかりな気がするんだよ。 |
ルキウス | 兄さんはいつも考えなしに行動するから気付くと、ボクが世話を焼くようなことが多くてさ。そのくせ何をするとか決めるのは大抵兄さんだ。 |
ヒューバート | ええ、まるで自分のことのようによくわかります ! |
ルキウス | ボクたちの場合、双子なんだから歳の差なんてないようなもののはずなんだ。なのに、いつも兄貴面されて……。 |
ヒューバート | ……なるほど。つまり、ルキウスはカイウスと対等に付き合いたいということですね。 |
ルキウス | そうだね、そういうことだと思う。何かいい方法はあるかな ? |
ヒューバート | まず、一つ……兄という生き物は、基本的に弟のことを手下か何かだと思っています ! |
ルキウス | そ、そうなの ?うっすら私怨を感じるような……。 |
ヒューバート | いいえ、私情抜きの一般論ですよ。ですから、対等になりたいのならば強気に出ることが大事です。 |
ルキウス | 強気に……。 |
ヒューバート | いつも振り回されるだけではないとこちらからはっきり伝えることです。何か要求されても、きっぱり断る ! |
ルキウス | なるほど、勉強になるな。それじゃあ、たとえば喧嘩になっても―― |
アスベル | ヒューバート ! ちょっといいか。ソフィに勉強を教えてやろうとしたんだが全然わからない部分があってな……。 |
ヒューバート | またですか、兄さん……。ソフィに教える前に自分が勉強してください ! |
アスベル | そう言われると何も言い返せないが……。いざという時はお前に聞けばなんでもわかるだろうって、つい頼ってしまってな。 |
ヒューバート | はぁ……。仕方がありませんね。……ルキウス、この話はまた今度。 |
ルキウス | あ、うん……。 |
ルキウス | ヒューバート、全然きっぱり断れてなかったな。……でも、頼られてまんざらでもなさそうだった。兄弟、か……。 |
カイウス | おーい、ルキウス ! 一緒に稽古しようぜ。お前のプリセプツとオレの技をぶつけたらなんかスゴい奥義が生まれそうな気がするんだ ! |
ルキウス | ……また無茶なこと言って。本当に仕方ないな、兄さんは……。わかった、付き合うよ。 |
キャラクター | 仮面を捨てた道 |
ルキウス | ……体の調子もよくなってきたから今日は少しアジトの中を見て回ってみるか。どんな場所なのか知っておきたいし……。 |
ジューダス | …………。 |
ルキウス | (あの人……仮面をつけてる ! ?ボク以外にもそんな人がいたんだな。もっとも、ボクはもう仮面はつけないけど……) |
ルキウス | (そう、ボクにはもう仮面をつける理由がない。あの人には何か理由があるんだろうか ?いや、詮索しても仕方ないか……) |
ジューダス | おい、そこのお前。 |
ルキウス | えっ ?……ボクのこと ? |
ジューダス | 他に誰もいないだろう。さっきから何をジロジロ見ている ?用があるのならさっさと言え。 |
ルキウス | 別に、用があったわけじゃ……。ただその仮面が気になって。 |
ジューダス | つまり、興味本位というわけか。……くだらない。僕がどんな格好をしようと勝手だろう。放っておいてくれ。 |
ルキウス | いや、違うんだ !悪気があったわけじゃない。 |
ルキウス | ボクも以前、仮面をつけていたから。その頃のことを思い出してしまったんだ。それで少し感慨深くなって……。 |
ルキウス | 気を悪くしたなら謝るよ。仮面をつけることで、人から好奇の目で見られる気持ちはボクもわかるから。 |
ジューダス | 僕は人目を気にしているわけじゃない。詮索してくる相手が鬱陶しいだけさ。 |
ジューダス | ……だが、お前の言い分はよくわからないな。まるで、自分が仮面をしていた頃を懐かしんでいるみたいじゃないか。 |
ルキウス | ボクが、仮面を懐かしんでる…… ?どうしてそう思ったんだ ? |
ジューダス | ……人が仮面をかぶるのは大抵は己の素性を隠すためだ。そこに明るい理由などありはしない。 |
ジューダス | 仮面が必要なくなった後で、そんな過去を感慨深く思い出すなんて妙な奴だと思っただけさ。よほど仮面が気に入っていたのか、とな。 |
ルキウス | ボクは、そんな……。 |
ジューダス | ……まぁ、見当違いだというのならそれでもいい。僕には関係のないことだ。 |
ルキウス | いや、待って。もしかすると、一理あるかもしれない。言われてみれば、あの頃のボクは仮面の存在に助けられていたと思うから。 |
ジューダス | …………。 |
ルキウス | ――ボクはずっと、異端審問官として大勢の人たちにひどいことをしていた。仮面の裏に本当の顔を隠して……。 |
ルキウス | 自覚はなかったけれど、きっとそうすることで自分自身の罪から目をそらしていたんだ。これはボクじゃない、ボクのせいじゃないって。 |
ジューダス | ……愚かだな。 |
ルキウス | ああ、その通りだよ。仮面を外した今、ボクはその愚かさに正面から向き合っていかなきゃいけないんだ。 |
ルキウス | とっくに覚悟しているつもりだったけど心のどこかに、まだ甘えがあったのかもしれない。……気付かせてくれて、ありがとう。 |
ジューダス | 別に、お前に気付かせようとしたわけじゃない。…………。 |
ジューダス | ……お前は仮面を捨てる道を選んだんだろう。だったら、迷わずにその道を進めばいい。そうすれば……愚かな自分に戻ることはないさ。 |
ルキウス | ……あの人の言う通りだ。ボクはもう、仮面を捨てたんだ。二度と目をそらしたりはしない。 |
ルキウス | ……彼も、選んだんだろうか。ボクとは違う、仮面とともに生きる道を……。 |