プロフィール
アタモニ神団の指導者。その実態はフォルトゥナ神によって創られた神の化身であった。人間はどこまでも弱い。その人間の幸福には、神の力による画一化された世界の実現が必要だ。だがもう一人の聖女が導き出した幸福の答えは、それと正反対のものであった。神の降臨を邪魔させはしない。神による救済こそが、自分の存在意義なのだから。
ミリーナの一言
エルレインさんはリアラと同じ神の御使いである聖女なんですって。聖女の役割は人々を幸福にする方法を見つけて女神フォルトゥナに伝えることらしいわ。そして人間の幸福を真剣に考えた結果が、カイルたちが否定する「神による絶対の幸福」だった。互いに目指すものは同じなのに、こんなにも違ってくるものなのね。
イクスの一言
神による絶対の幸福か。嫌な目には誰だって遭いたくないもんな。だけどそれが成長に繋がったりすることだってある。その時は不幸でも、振り返ってみれば幸福に思えてくることだってあるわけだし……けど困難に負けちゃう人だっているのはわかるから……答えを出すには難しい問題だな。
キャラクター | 男たちの救済 |
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ゼロス | やったやったやった !とうとうケリュケイオンにも綺麗なおねーちゃんが来てくれた ! ! |
エルレイン | 私のことですか ? |
ゼロス | そのとおり ! よくぞこのむさ苦しい空間に降臨してくれましたとも !俺さまにとっては女神様だぜ ! ! |
ゼロス | そうそう。俺さま、ちょっと転んじゃってさ。ここの傷、なおしてくれない ? 女神様~♪ |
エルレイン | いいでしょう。見せてみなさい。 |
ゼロス | うひょー ! 美女の検診とか最高だぜっ ! !あとあと俺さまってば耳もヘンな感じするから耳かきもして欲しいな ! もちろん膝枕で ! |
ゼロス | それからそれからマッサージもお願いね !俺さまの肩と腰のコリは美女にしかほぐせないからさ ! |
エルレイン | ……哀れな。 |
ゼロス | えっ ? 何の話 ? |
エルレイン | これが色欲にとらわれた青年の末路か……。自制心を忘れ、ついには獣に成り下がる。やはり人間は弱い。 |
バルバトス | ふんっ。女は引っ込んでろ。甘ったれの小僧はこの俺が鍛え直してやる。 |
エルレイン | バルバトス……。 |
ゼロス | 野郎はあっち行ってろよ !いま俺さまはエルレインさまと話すのに忙しいの ! |
救世軍バルバトス派 | 貴様……我らが英雄、バルバトス様に向かって不敬だぞ ! |
エルレイン | ……英雄。 |
バルバトス | ウジ虫ども。その軟弱者を連れてこい。 |
救世軍バルバトス派 | ははっ ! ! |
ゼロス | ちょ、やめろ ! 放せ ! !俺さまはエルレインさまに耳かきを――助けて、エルレインさま~~ ! ! |
バルバトス | たっぷり可愛がってやろう。英雄である俺がな。 |
エルレイン | ………………。 |
エルレイン | これもまた救いか。 |
キャラクター | これからの世界 |
エルレイン | 私が治療できるのはここまでです。 |
村の少女 | す、すごい。足の痛みがなくなっちゃった。 |
エルレイン | ですがもうあなたは…………。 |
村の少女 | お姉さん、本当にありがとう。お礼がしたいから少し待ってて。 |
エルレイン | …………。 |
エレノア | 風のように孤児院へ戻っていきましたね。車椅子なのに器用なものです。 |
エルレイン | あなたには見えていなかったようですね。 |
エレノア | えっ ? |
エルレイン | あの少女は泣き顔を見られまいと去って行ったのですよ。 |
エルレイン | 気がついたのでしょう。……自分が歩けるようになることはもうないのだと。 |
リアラ | …………。 |
エルレイン | 以前の私なら……聖女の力を持ってすれば治すことができたのに。 |
リアラ | 彼女が光魔に襲われ足を負傷したのも、そしてもう歩くことができないことも確かに不幸だけど―― |
エルレイン | 言うな、リアラ。もう散々お前たちの主張は聞いた。 |
エルレイン | あの少女がどのように生きていくか、ここからさきは私がこの目で確かめるべきこと。 |
エレノア | ……彼女が泣いていたのはどうしてでしょうね。 |
エルレイン | ? |
エレノア | 人間が泣くのは悲しいからだけではありませんよ。嬉しいから泣くときだってあるんです。 |
エレノア | もちろん、彼女の涙の理由は、彼女にしかわかりませんが。 |
村の少女 | お姉さん、ごめんなさい。お礼のものいまはどうしても用意できなくて。 |
エルレイン | ……いいえ。構いませんよ。 |
村の少女 | けど、ちゃんと用意しておくからまたここに来て。お願い。 |
エルレイン | いいでしょう。約束です。 |
キャラクター | 人の可能性 |
エルレイン | この街の情勢は落ち着いてきたようですね。あとは、教団の者たちと救世軍に任せましょう。 |
シゼル | 相変わらず多忙のようだな、エルレイン。 |
エルレイン | シゼルか。お前も精霊調査に協力していると聞いているぞ。 |
シゼル | ああ、今回もその途中でこの街に立ち寄ってな。 |
エルレイン | そうか、ならばゆっくりしていくとよい。教団の者たちにもお前のことは伝えておこう。 |
シゼル | 感謝する。しかし、この辺りは魔物が蔓延っていると聞いていたのだがその情報は既に古いもののようだ。 |
エルレイン | ああ。魔物の襲撃に備えて、街の外に防衛柵を作らせた。これで農作物が荒らされる心配はない。 |
エルレイン | 救世軍も少しは手を貸したがほとんどは街の者たちが完成させたものだ。 |
エルレイン | しかし、魔物によって身体だけではなく心が疲弊している者も少なくはなかった。 |
シゼル | そこで、新生アタモニ神団の聖女の出番というわけか。 |
エルレイン | そうだ。ただし、私や神団はあくまできっかけであり現実から目を背けることなく立ち上がれたのは本人たちの力だ。 |
シゼル | だが、結果的には成功し街は確実に復興を遂げている。 |
シゼル | お前の存在に救われた人間も数多くいよう。まさに聖女の偉業なのではないか ? |
エルレイン | ……そうだな。以前の私ならば、人は弱く、迷う。だからこそ、私が導かなければならないと考えていた。 |
エルレイン | しかし、それは大きな間違いだった。人には私のような存在を凌駕する者もいる。 |
エルレイン | そして、それは決して特別なことではない。あらゆる人間が持っている可能性なのだ。 |
シゼル | ……信じているのだな、人間を。 |
エルレイン | ……どうだろうな。まだ私の中でも、答えが出ていないのかもしれない。 |
シゼル | ならば、時間は充分にある。この世界がどのような道を歩んでゆくのか見物であろう。 |
シゼル | こんなことは、私が言うまでもないだろうがな。 |
エルレイン | そうだな。今の私は、ただ人の歩みを見守る一人の存在だ。 |
エルレイン | これから先の世界は、ここに住む者たちが決めていく。だが、救いを必要とする者がいるならば私は手を差し伸べると決めたのだ。 |
エルレイン | 全ての人間に幸福と救いをもたらす。それが神の力ではなく人間自身が起こす奇跡によることを願ってな。 |